説明

エッチング処理装置

【課題】 半導体素子や回路基板など電子回路部に用いられる部材をエッチング加工にて製造するためのエッチング加工処理において、非リターン液の発生をできるだけ抑え、且つ、安定的なエッチング加工を行うことができるエッチング処理装置を提供する。
【解決手段】 処理する際の前記基材の搬送方向、前記エッチング処理を処理槽内において行うエッチング処理部の後、前記洗浄処理を行なう洗浄処理部の前、前記処理槽の外において、エアを上側から基材およびコンベアに吹きつけて、エアの力により基材およびコンベアに残留しているエッチング液を、下側に落下させるエッチング液落下処理部と、落下させたエッチング液を受ける落下液受け部と、該受け部に落下させたエッチング液をリターン液として回収利用する回収経路とを有し、前記落下液受け部で受けたエッチング液をリターン液として回収利用するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子や回路基板など電子回路部に用いられる部材のエッチング処理装置に関し、特に、薄い板状の基材をエッチング安定性良くエッチングでき、且つ、エッチング液として利用された後に回収して再度利用されるリターン液とならず、洗浄処理側に持ち込まれる非リターン液の発生をできるだけ抑えることができるエッチング処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体素子や回路基板など電子回路部に用いられる部材には、エッチング加工にて作製されるエッチング加工製品が多く、最近では、サスペンション用の部材であるフレキシャー等の電子回路用の基板も薄い板状の基材からエッチング加工にて所望の形状に作製されている。
エッチング加工は、化学薬品による腐食作用による加工で、通常、鉄系や銅系の薄い板状の基材(以下、基板とも言う)に対して所望の形状にエッチング加工を施して製作されるが、場合によっては、異なる金属層、あるいは金属層と樹脂層とを積層した複合層を基材として加工する。
エッチング加工製品のエッチング加工処理は、通常、予め、加工される基材の表面および裏面に、耐エッチング性のレジストを、前記所望の形状にあわせて、開口を有するパタン形状に形成しておき(図示していない)、この状態で、図3に示すように、基材110を所定の方向にコンベア120にて搬送しながらエッチング処理槽131内で、スプレーノズル135によりエッチング液137を噴射して、基材110の両面にエッチング液を吹き付け、レジストに覆われていない前記開口から露出した基材部分をエッチングすることにより、所望の形状を得るものである。
そして、エッチング加工後、洗浄処理部150にて洗浄水(純水)152による洗浄処理を行い、基板に付着しているエッチング液を洗い流している。
【0003】
上記エッチング加工処理においては、エッチング処理槽130内で、スプレーノズル135により噴射されたエッチング液137は、大半は回収して再利用されるが、一部は、基板110あるいはコンベア120に付着あるいは残留して洗浄処理部150側に持ち込まれる。
尚、ここでは、上記回収されるエッチング液をリターン液と言い、上記洗浄処理側に持ち込まれる液を非リターン液とも言う。
通常、リターン液は、劣化状況に応じ専門業者が引き取って処理を行い再利用され、非リターン液は、洗浄水などのがエッチング液に混入するため、一般には、分離処理(排水処理とも言う)を行って、汚泥を除去して廃液として排出される。
非リターン液の分離処理によって生じる汚泥が多量に排出されると、環境悪化および処理費用の拡大などの問題がある。
汚泥はそのまま廃棄することができず、処理する必要があり、非リターン液が多量に発生する場合には、汚泥を処理するための処理設備の負荷も増大することとなるため、非リターン液の発生をできるだけ抑えることが求められていた。
非リターン液の発生をできるだけ抑えるため、特開2009−164366号公報(特許文献1)に記載のように、エッチング槽等の処理槽(処理室とも言う)の直後に高圧にした槽(加圧室とも言う)を設け、処理槽と高圧の槽との圧力差と風圧に基づき処理液の処理槽からの排出を防止する方法がある。
しかし、この方法においては、高圧の槽と処理室との圧力差を利用するため、処理がエッチング加工処理の場合、エッチング処理室に対して強くエアが送り込まれることとなり、これにより、エッチングの対象である基材にかかるエッチング液が不安定になるという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−164366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、従来より、半導体素子や回路基板など電子回路部に用いられる部材をエッチング加工にて製造するためのエッチング加工処理においては、エッチング液として利用された後に回収して再度利用されるリターン液とならず、洗浄処理側に持ち込まれる非リターン液の発生をできるだけ抑えることが、環境面や、非リターン液の分離処理から発生する汚泥処理の面から求められているが、特に、非リターン液の発生をできるだけ抑えることができ、且つ、安定的なエッチング加工ができるエッチング処理装置が求められていた。
本発明は、これらに対応するもので、半導体素子や回路基板など電子回路部に用いられる部材をエッチング加工にて製造するためのエッチング加工処理において、非リターン液の発生をできるだけ抑え、且つ、安定的なエッチング加工を行うことができるエッチング処理装置を提供しようとするものです。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のエッチング処理装置は、表裏に所望形状の開口を有するレジスト膜を配した板状の基材を、水平にして、コンベア搬送しながらエッチング処理を行い、その後に、洗浄処理を行なうエッチング処理装置であって、処理する際の前記基材の搬送方向、前記エッチング処理を処理槽内において行うエッチング処理部の直後、前記洗浄処理を行なう洗浄処理部の前、前記処理槽の外において、エアを上側から基材およびコンベアに吹きつけて、エアの力により基材およびコンベアに残留しているエッチング液を、下側に落下させるエッチング液落下処理部と、落下させたエッチング液を受ける落下液受け部と、該落下液受け部に落下させたエッチング液をリターン液として回収利用する回収経路とを有し、前記落下液受け部で受けたエッチング液をリターン液として回収利用するものであることを特徴とするものである。
そして、上記のエッチング処理装置であって、前記エッチング液落下処理部は、エッチング処理部へのエアの送り込みが無いようにして、且つ、エアを、前記基材の幅やベルトコンベアの幅よりも広い幅で、直線状にして、上側から基材およびコンベアに吹きつけるエアノズルを、コンベア上側に備えていることを特徴とするものであり、前記コンベア上側のエアノズルへのエアの供給は、インバータ制御のブロアから配管を通して供給されるものであること特徴とするものである。
そしてまた、上記いずれかのエッチング処理装置であって、前記コンベアは、メッシュ状のベルトコンベアであることを特徴とするものであり、薄板状の基材を貫通させるエッチング加工を行うものであることを特徴とするものである。
また、上記いずれかのエッチング処理装置であって、前記エッチング液落下処理部には、前記コンベア上側のエアノズルを第1のエアノズルとして、該第1のエアノズルの他に、更に、コンベア下側に、コンベアの下側から、エッチング処理部へのエアの送り込みが無いようにして、且つ、基材およびコンベアにエアを直線状にして吹きつける第2のエアノズルを備えており、前記第1のエアノズルと前記第2のエアノズルとにより、基材およびコンベアの上下に付着しているエッチング液を、下側に落下させるものであることを特徴とするものであり、前記第2のエアノズルへのエアの供給は、インバータ制御のブロアから配管を通して供給されるものであること特徴とするものである。
また、上記いずれかのエッチング処理装置であって、前記エッチング処理部は、エッチング処理槽内のコンベア下側をリターン液を受けて貯めるリターン液貯め部とし、該リターン液貯め部から循環して再利用する循環経路を備えており、前記落下液受け部に落下させたエッチング液をリターン液として回収利用する前記回収経路を、前記落下液受け部から前記リターン液貯め部に繋げていることを特徴とするものである。
【0007】
(作用)
本発明のエッチング処理装置は、このような構成にすることにより、半導体素子や回路基板など電子回路部に用いられる部材をエッチング加工にて製造するためのエッチング加工処理において、非リターン液の発生をできるだけ抑え、且つ、安定的なエッチング加工を行うことができるエッチング処理装置の提供を可能としている。
具体的には、処理する際の前記基材の搬送方向、前記エッチング処理を処理槽(エッチング処理槽とも言う)内において行うエッチング処理部の直後、前記洗浄処理を行なう洗浄処理部の前、前記処理槽の外において、エアを上側から基材およびコンベアに吹きつけて、エアの力により基材およびコンベアに残留しているエッチング液を、下側に落下させるエッチング液落下処理部と、落下させたエッチング液を受ける落下液受け部と、該落下液受け部に落下させたエッチング液をリターン液として回収利用する回収経路とを有し、前記落下液受け部で受けたエッチング液をリターン液として回収利用するものであることにより、これを達成している。
落下させたエッチング液を受ける落下液受け部を備え、且つ、該落下させたエッチング液をリターン液として回収利用する回収経路とを備えていることにより、非リターン液の量を抑え、リターン液の量を多くして液の有効利用が図れ、エッチング処理において、非リターン液の分離処理の必要性をなくし、環境的にも良いものとできる。
【0008】
更に具体的には、エッチング液落下処理部は、エッチング処理部へのエアの送り込みが無いようにして、且つ、エアを、前記基材の幅やコンベアの幅よりも広い幅で、直線状にして上側から基材およびコンベアに吹きつけるエアノズルを、コンベア上側に備えている態様のもので、例えば、エアを直線状にして上側から基材およびコンベアに吹きつける角度θ(図1(c)参照)を調整することにより、処理する際の前記基材の搬送方向、エッチング処理部の直後、洗浄処理を行なう洗浄処理部の前、処理槽の外において、エアを上側から基材およびコンベアに吹きつけても、エッチング処理部へのエアの送り込みが無いようにでき、エッチング処理部でのエッチング処理を安定なものとできる。
尚、前記コンベア上側のエアノズルへのエアの供給としては、インバータ制御のブロアから配管を通してエアノズルにエアを供給する形態が挙げられる。
この形態の場合には、エア流量(風量)を容易に制御でき、エッチング加工する基材にあたる風速を適量に制御することを可能としている。
また、前記コンベアとしては、メッシュ状のベルトコンベアである形態が挙げられる。 この形態の場合は、薄板状の基材を貫通させるエッチング加工を行う場合に、基材を変形さあせずに保持して搬送でき、エッチング液落下処理部によるエッチング液の落下を可能とするが、あまりメッシュ開口が小さいとエッチング液が落下しずらくなるので、開口の大きさを適宜決める必要がある。
エッチング処理基材が変形しずらい程度に厚い場合には、コンベアはベルトコンベア搬送とせず、コロ搬送の形態としても良い。
コロ搬送は、基材を回転するコロの上に載せ、コロの回転により搬送させるもので、搬送方向に回転するコロを均一(千鳥状等)に配して行う。
尚、通常、棒状の軸を水平にして回転させることにより、その周囲に取り付けたコロを回転させている。
【0009】
また、前記エッチング液落下処理部としては、前記コンベア上側のエアノズルを第1のエアノズルとして、該第1のエアノズルの他に、更に、コンベア下側に、コンベアの下側から、エッチング処理部へのエアの送り込みが無いようにして、且つ、基材およびコンベアにエアを直線状にして吹きつける第2のエアノズルを備えて、前記第1のエアノズルと前記第2のエアノズルとにより、基材およびコンベアの上下に付着しているエッチング液を、下側に落下させる形態が挙げられる。
この形態の場合、基材およびコンベアの上側だけでなく下側に付着しているエッチング液もできるだけ除去しようとするもので、第1のエアノズルと第2のエアノズルとのコンビネーションにより、上下に付着しているエッチング液を、下側に落下させるもので、各エアノズルの風量を調整して行うことが必要となる。
通常は、第2のエアノズルのエアを、第1のエアノズルによりも弱い風速で基材にあてる。
第2ノエアノズルへのエアの供給も、インバータ制御のブロアから配管を通して供給する。
【0010】
また、エッチング処理部としては、エッチング処理槽内のコンベア下側をリターン液を受けて貯めるリターン液貯め部とし、該リターン液貯め部から循環して再利用する循環経路を備え、前記落下液受け部に落下させたエッチング液をリターン液として回収利用する前記回収経路を、前記落下液受け部から前記リターン液貯め部に繋げている態様が挙げられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、このように、半導体素子や回路基板など電子回路部に用いられる部材をエッチング加工にて製造するためのエッチング加工処理において、非リターン液の発生をできるだけ抑え、且つ、安定的なエッチング加工を行うことができるエッチング処理装置の提供を可能とした。
非リターン液の量を減らすことで、従来、非リターン液の分離処理により発生する産業廃棄物である汚泥の発生量を減らすことができ、環境にやさしい社会の構築に貢献でき、また、汚泥処理のための、処理設備の負荷を低減することができる。
また、ブロア化することで、省エネを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1(a)本発明のエッチング処理装置の要部の概略構成を示した図で,図1(b)はエッチング液落下処理部の斜視図で、図1(c)は、エアノズルのエアの吹きつけ角度を説明するための図である。
【図2】エッチング液落下処理部の概略構成図である。
【図3】従来のエッチング処理装置の要部の概略構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のエッチング処理装置の実施形態の1例を、図1に基づいて説明する。
本例のエッチング処理装置1は、電子回路用の基板のエッチング加工を対象として、表裏に所望形状の開口を有するレジスト膜を配した板状の基材をコンベア搬送しながらエッチング処理を行い、その後に洗浄処理を行なうエッチング処理装置である。
エッチング処理部30は、コンベア20にて搬送されてきた基材10の両面からスプレーノズル35からエッチング液37を吹きつけてエッチング処理を行うものであるが、エッチング処理槽31内のコンベア20下側をリターン液を受けて貯めるリターン液貯め部38としており、リターン液貯め部38から循環して再利用する循環経路39を備えている。
基材10は、コンベア20とともに流れ、エッチング処理槽31内にてエッチング液を噴きつけられ、エッチングされるが、エッチング液は、エッチング処理後、基材10あるいはコンベア20の隙間から下側に落ちエッチング処理槽内のリターン液受け部38に貯まり再利用される液と、基材10またはコンベア20に付着してエッチング処理槽31外に持ち出される液とに分けられる。
【0014】
特に、本例のエッチング処理装置1は、図1(a)に示すように、処理する際の基材10の搬送方向、前記エッチング処理をエッチング処理槽(単に処理槽とも言う)31内において行うエッチング処理部30の直後、前記洗浄処理を行なう洗浄処理部50の前、前記処理槽31の外において、エア41を基材10およびコンベア20に吹きつけて、エア41の力により基材10およびコンベア20に残留しているエッチング液37aを、下側に落下させるエッチング液落下処理部40と、落下させたエッチング液37bを受ける落下液受け部46と、該落下させたエッチング液37bをリターン液として落下液受け部46から回収利用する回収経路47とを有するものである。
尚、落下液受け部46に落下させたエッチング液をリターン液として回収利用する回収経路47を、落下液受け部46から前記エッチング処理部30のリターン液貯め部38に繋げている。
基材10またはコンベア20に付着してエッチング処理槽31の外に持ち出された液は、エアノズル42により、基材10上およびコンベア20上に直線状にエア41を吹きつけられることで、落下液受け部46に落ち、更に、落下液受け部46、回収経路47を介してエッチング処理槽31内のリターン液貯め部38へと回収されて再利用される。
ここでは、エッチング液落下処理部40は、エッチング処理部へのエアの送り込みが無いようにして、且つ、エアを、前記基材の幅やコンベアの幅よりも広い幅で、直線状にして、上側から基材10およびコンベア20に吹きつけるエアノズル42を、コンベア20上側に備えており、エアノズル42により、エッチング処理後に基材10およびコンベア20に残留しているエッチング液を下側に落下させる。
そして、落下されたエッチング液を、落下液受け部46、回収経路47を介してリターン液としてリターン液貯め部38に回収して、更に、回収したエッチング液を循環経路39を介して再度利用する。
このため、本例のエッチング処理装置1は、半導体素子や回路基板など電子回路部に用いられる部材をエッチング加工にて製造するためのエッチング加工処理において、非リターン液の発生をできるだけ抑え、且つ、安定的なエッチング加工を行うことができるエッチング処理装置の提供を可能としている。
【0015】
尚、本例のエッチング処理装置では、サスペンション用のフレキシャ等の薄板状の基材を貫通させるエッチング加工を行うことを処理対象とするもので、薄板状の基材の保持を安定させるために、コンベア20として、メッシュ状のベルトコンベアを用いている。
また、図1(a)においては、循環経路を簡略化して示しているが、実際には、循環駆動用のポンプや、リターン液を再利用する際のゴミや固化した粒子等をろ過するフィルタを備えており、通常は、エッチング液を貯めるタンクも適宜配置されている。
【0016】
本例においては、エアノズル42は、固定された位置において、図1(b)に示すように、直線状にして、上側から基材10およびコンベア20にエアを吹きつけるため、エアノズルの吐出口42aの開口は直線状のスリット形状に形成されている。
エアノズル42の吐出口42aの長手方向の開口幅は、基材10の幅やコンベア20の幅よりも広い幅である。
エアノズル46の吐出口42aの短かい方の開口幅は、エアノズルへエアが供給され、且つ、エアノズルから吐出されたエアが基材にあたる際の風速が所望の風速にできるように設定されている。
ここでは、基材10上側からから吹きつけたエア41が基材10の下側に行き渡ることが好ましく、基材10が貫通孔開け加工されたものであることを前提としている。
また、ここでは、エアノズル42を用いて上から吹きつけるだけで、基材10やコンベア20に残留しているエッチング液が下側にうまく落ちるように、コンベア搬送に用いるコンベアをメッシュ状のベルトコンベアとしているが、メッシュの開口は適宜選ぶことが必要である。
メッシュの開口は小さ過ぎるとエッチング液が落下しなくなってします。
【0017】
図2に示すように、インバータ44による制御されたブロア43から配管45を通して、エアノズル42へ、エア41の供給がなされる。
ここでは、ブロア43としては、38Pa以上の高圧タイプのものを用い、配管45としては、耐熱塩化ビニルのものを用いている。
ブロア43はインバータ44にて駆動する。
そして、図1(a)に示すようにエアノズル42を処理槽31の出口側外に配置し、ブロア43からのエア41をエアノズル42に送られたエア41を、上側から基材10およびコンベア20に噴き付けるが、エッチング処理層30内へのエアノズル42からのエア41の送り込みが無いように、ここでは、図1(c)に示すように、エア41は垂直方向より小さい角度で搬送方向にθだけ傾いて吹きつけられる。
尚、基材10が銅材で厚さが0.1mmの場合には、基材接触時に風速20m/secであれば、通常、基材10上およびコンベア20上に付着した液を除去することができるが、基材10が薄い場合には、適宜、インバータ44によりブロア43の風量を下げてエアノズル42のエア41の風速を落として、基材が折れ曲がるなどの不具合がないようにする。
エアノズル42は、コンベア20の搬送の動作とあわせて、上側から基材10およびコンベア20の全面にエアを吹きつけることができ、これにより、基材10およびコンベア20の全面に対して、エッチング液の落下処理を行うことができる。
本例では、基材の貫通エッチング加工ないし貫通した部材を基材とした場合のエッチング加工を前提としており、エアノズル42により、基材の貫通孔やコンベアの隙間を通して、エッチング処理後に基材10およびコンベア20に残留しているエッチング液の大半を下側に落下させることができる。
【0018】
落下液受け部46は、エッチング液落下処理部40による処理にてコンベア20の下側に落とされてきたエッチング液37bを受けることができれば、特に限定されないが、外周部に壁を設けた凹状の形態の槽が用いられる。
尚、壁部の一部にとして、エッチング処理槽31の壁部31aを利用しても良い。
落下液受け部46としては、エッチング液に腐食されないもので液落下受け部としての機能を備えていれば特に限定はされない。
例えば、塩化ビニル等の樹脂、Ti等の金属が挙げられる。
尚、エッチング処理対象の材質が鉄系や銅系の金属層の場合、エッチング液としては、通常、塩化第二鉄溶液が用いられている。
【0019】
基材10の材質は、加工するエッチング部材により異なるが、例えば、鉄系や銅系の金属層を単層あるいは多層にしたものや、樹脂層と金属層とを積層して多層にしたものが挙げられる。
エッチング処理対象の材質が鉄系や銅系の金属層の場合、エッチング液としては、通常、塩化第二鉄溶液が用いられている。
【0020】
洗浄処理部50は、エッチング液落下処理部40エッチング液を除去した後の基材10およびコンベア20を、洗浄液52を入れた洗浄処理槽51内を通過させて、洗浄するもので、図1に示すように、洗浄液供給部53から洗浄液52を供給しながら、オーバーフローするようにしている。
洗浄液としては、通常、純水が用いられている。
【0021】
コンベア20の材質としては、耐エッチング液性のもので、コンベアとしての機能が果たされれば特に限定はされない。
例えば、塩化ビニル等の樹脂、Ti等の金属材質が用いられる。
【0022】
本例は1例で、本発明の洗浄処理装置はこれに限定されない。
上記実施の形態例のエッチング処理装置に対して、エッチング液落下処理部40の形態を変えたものが挙げられる。
例えば、前記エッチング液落下処理部40に対して、前記コンベア20の上側のエアノズルを第1のエアノズルとして、該第1のエアノズルの他に、更に、コンベア20の下側に、コンベア20の下側から、エッチング処理槽31側へエアの送り込みが無いようにして、且つ、第1のエアノズルと同様に、基材10およびコンベア20にエアを直線状にして吹きつける第2のエアノズル(図示していない)を備えて、前記第1のエアノズルと前記第2のエアノズルとにより、基材およびコンベアの上下に付着しているエッチング液を、下側に落下させる形態のものも挙げることができる。
この形態の場合、基材およびコンベアの上側だけでなく下側に付着しているエッチング液もできるだけ除去しようとするもので、第1のエアノズルと第2のエアノズルとのコンビネーションにより、上下に付着しているエッチング液を、下側に落下させるもので、各エアノズルの風量を調整して行うことが必要となる。
この形態の場合、通常は、第2のエアノズルのエアを、第1のエアノズルによりも弱い風速で基材にあてる。
尚、第2ノエアノズルへのエアの供給も、インバータ制御のブロアから配管を通して供給する。
【0023】
また、図1(a)に示す実施形態例のエッチング処理装置1においては、回収経路47をエッチング液貯め部38に繋げているが、再度利用する経路としては、これに限定されない。
例えば、別に回収経路47により回収されたエッチング液を他のエッチング液を貯めるタンク(図示していなし)に一旦貯めて再度利用する形態としても良い。
【符号の説明】
【0024】
1 エッチング処理装置
10 基材
20 コンベア
30 エッチング処理部
31 エッチング処理槽(単に処理槽とも言う)
31a 壁部
35 スプレーノズル
36 配管
37 エッチング液
37A リターン液
37a (残留した)エッチング液
37b (落とされた)エッチング液
38 リターン液受け部
39 循環経路
40 エッチング液落下処理部
41 エア
42 エアノズル
42a 吐出口
43 ブロア
44 インバータ
45 配管
46 落下液受け部
47 回収経路
50 洗浄処理部
51 洗浄処理槽
52 洗浄液
53 洗浄液供給部
60 分離処理設備(排水処理設備とも言う)
101 エッチング処理装置
110 基材
120 コンベア
130 エッチング処理部
131 エッチング処理槽(単に処理槽とも言う)
131a 壁部
135 スプレーノズル
136 配管
137 エッチング液
137A リターン液
137a (残留した)エッチング液
138 リターン液受け部
139 循環経路
146 落下液受け部
150 洗浄処理部
151 洗浄処理槽
152 洗浄液(純水)
153 洗浄液供給部
160 分離処理設備(排水処理設備とも言う)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏に所望形状の開口を有するレジスト膜を配した板状の基材を、水平にして、コンベア搬送しながらエッチング処理を行い、その後に、洗浄処理を行なうエッチング処理装置であって、処理する際の前記基材の搬送方向、前記エッチング処理を処理槽内において行うエッチング処理部の直後、前記洗浄処理を行なう洗浄処理部の前、前記処理槽の外において、エアを上側から基材およびコンベアに吹きつけて、エアの力により基材およびコンベアに残留しているエッチング液を、下側に落下させるエッチング液落下処理部と、落下させたエッチング液を受ける落下液受け部と、該落下液受け部に落下させたエッチング液をリターン液として回収利用する回収経路とを有し、前記落下液受け部で受けたエッチング液をリターン液として回収利用するものであることを特徴とするエッチング処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエッチング処理装置であって、前記エッチング液落下処理部は、エッチング処理部へのエアの送り込みが無いようにして、且つ、エアを、前記基材の幅やコンベアの幅よりも広い幅で、直線状にして、上側から基材およびコンベアに吹きつけるエアノズルを、コンベア上側に備えていることを特徴とするエッチング処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載のエッチング処理装置であって、前記コンベア上側のエアノズルへのエアの供給は、インバータ制御のブロアから配管を通して供給されるものであること特徴とするエッチング処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のエッチング処理装置であって、前記コンベアは、メッシュ状のベルトコンベアであることを特徴とするエッチング処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載のエッチング処理装置であって、薄板状の基材を貫通させるエッチング加工を行うものであることを特徴とするエッチング処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のエッチング処理装置であって、前記エッチング液落下処理部には、前記コンベア上側のエアノズルを第1のエアノズルとして、該第1のエアノズルの他に、更に、コンベア下側に、コンベアの下側から、エッチング処理部へのエアの送り込みが無いようにして、且つ、基材およびコンベアにエアを直線状にして吹きつける第2のエアノズルを備えており、前記第1のエアノズルと前記第2のエアノズルとにより、基材およびコンベアの上下に付着しているエッチング液を、下側に落下させるものであることを特徴とするエッチング処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載のエッチング処理装置であって、前記第2のエアノズルへのエアの供給は、インバータ制御のブロアから配管を通して供給されるものであること特徴とするものであることを特徴とするエッチング処理装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のエッチング処理装置であって、前記エッチング処理部は、エッチング処理槽内のコンベア下側をリターン液を受けて貯めるリターン液貯め部とし、該リターン液貯め部から循環して再利用する循環経路を備えており、前記落下液受け部に落下させたエッチング液をリターン液として回収利用する前記回収経路を、前記落下液受け部から前記リターン液貯め部に繋げていることを特徴とするエッチング処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−253206(P2012−253206A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124938(P2011−124938)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】