説明

エネルギー反応性組成物及びそれに関連する方法

【課題】新規なエネルギー反応性組成物、並びにその調製方法又は使用方法の提供
【解決手段】第1材料及び第2材料の製品を含む組成物。当該第1材料は低い流動点を示し、第1官能基を含む。当該第2材料は第2官能基を含む。当該第1官能基は閾値温度以下の温度で当該第2官能基と相互作用し、当該第1材料の粘性又は当該第2材料の粘性より高い粘性を有する製品を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(連邦の支援により行われた本発明の権利に関する声明)
本発明は国立標準技術研究所により、承認番号70NANB2H3034として支援されたものである。したがって、政府は本発明に関して一定の権利を有する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、エネルギー反応性組成物に関連する実施態様に関する。本発明は、エネルギー反応性組成物の調製方法又は使用方法に関連する実施態様に関する。
【背景技術】
【0003】
自己組織化ネットワーク及び複合構造は、様々なアプリケーションにおいて有用性を発揮する特性及び特徴を有する。特に非共有結合性の相互作用は、自己組織化ネットワーク及び複合構造の高次構造を制御しうる。非共有結合相互作用の動的性質によって当該構造の可逆的な形成が可能となり、それにより超分子のモジュール構築が可能となる。天然のシステムの例としてはタンパク質及び/又はDNAが挙げられ、官能基間の水素結合が二次構造を構築している。また化合物によるシステムがデザインされており、それは相補的な官能基同士(例えば水素結合供与体−受容体のペア、若しくはルイス酸−ルイス塩基のペア)が各々会合し、超分子構造を形成することを特徴とする。
【0004】
天然及び合成の自己組織化システム中の個々の鎖若しくは構成要素は、適度な温度では固体の状態で存在するが、流動点以下では分解することができる。流動点とは、材料が固体の状態から流動状態(例えばそれ自身の重量によるフロー)に移行する温度範囲のことを指す。かかる構成要素から超分子構造を構築するために、溶媒により個々の構成要素を溶解させ、非共有結合性の相互作用を合理的なタイムスケールで生じさせてもよい。さらに溶媒の除去をすることにより、超分子を構築することができる。しかしながら、溶媒の使用は、例えば更なる処理工程が追加されること、処理の間の余分のエネルギー消費及び/又は環境汚染の懸念などの理由から望ましくない。
【0005】
場合によっては、自己組織化は、極性を有する骨格を有するポリマーを含有するシステム中で、非共有結合性の相互作用により形成されることもある。しかしながら、無極性の骨格を有するポリマーを含有する場合、それにより生じる相互作用は、超分子構造を構築するのに十分なものではない。
【0006】
入手可能なシロキサンポリマーには、自己補完的な水素結合基を含むものもある。しかしながら、その結合単位における自己補完的な性質により、鎖間の会合以外にも、鎖内部の会合が形成されてしまうこともある。鎖内部の会合により、超分子複合体の形成においてモジュラリティ及び選択性が制限されることもありうる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上より、個々の構成要素が鎖間自己組織又は超分子を可逆的に形成できるシステムが望ましい。分解温度より低い流動点を有する少なくとも1つの構成要素を含有するのが望ましい。溶媒を用いずに自己組織化を生じさせるのが望ましい。更に、自己組織化が無極性のポリマー系内で(ポリマー分子と無極性骨格との間で)生じるのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態は、第1材料及び第2材料の製品を含んでもよい組成物の提供に関する。当該第1材料は低い流動点を示し、第1官能基を含んでもよい。当該第2材料は第2官能基を含んでもよい。当該第1官能基は閾値温度以下の温度で当該第2官能基と相互作用し、当該第1材料の粘性又は当該第2材料の粘性より高い粘性を有する製品を形成することができる。
【0009】
一実施形態は、低い流動点を有し、第1官能基を含んでもよいオリゴマー若しくはポリマー性の第1材料、並びに当該第1材料と異なる第2材料を含んでもよい組成物の提供に関する。当該第2材料は、当該第1官能基と異なる第2官能基を含んでもよい。当該第1官能基及び第2官能基は、可逆的な化学結合を形成して組成物の粘度を上昇させ、又は凝固させる。第1官能基及び第2官能基は、エネルギー閾値準位を越える量のエネルギーの供給に反応して各々から分離するものであってもよい。但し、当該可逆的な化学結合は共有結合でない。
【0010】
一実施形態は、表面を有する熱生成ユニットと、表面を有する熱消散ユニットと、熱消散ユニットの表面又は熱生成ユニットの表面の少なくとも1つに配置されたエネルギー反応性組成物を含む電子装置の提供に関する。
【0011】
一実施形態は、エネルギー反応性組成物を含んでもよいゴム製品の提供に関する。当該ゴム製品はタイヤとして形成してもよく、その場合、当該タイヤでは、エネルギー反応性組成物が剪断力によって可逆的に第1官能基と第2官能基が分離し、更にその剪断力が除去されて当該第1官能基と第2官能基が再び会合する反応が生じる。すなわち、タイヤのウエットスキッド抵抗が相対的に増加することもありうる。
【0012】
様々な態様及び実施形態では、本発明はエネルギー反応性組成物を含む1つ以上の化粧品又は接着剤を提供することも可能である。
【0013】
一実施形態では、基材の結合面と、製品の第1材料及び第2材料とを接触させることを含めてもよい。当該第1材料は低い流動点を示し、第1官能基を含んでもよい。当該第2材料は第2官能基を含んでもよい。当該第1官能基は閾値温度以下の温度で当該第2官能基と相互作用し、当該第1材料の粘性又は当該第2材料の粘性より高い粘性を有する製品を形成することができる。当該製品を閾値温度より高温範囲で加熱し、結合面に接着させてもよい。当該製品を閾値温度以下の温度で冷却してもよい。当該製品を閾値温度より高温で再加熱し、結合面から製品を分離してもよい。
【0014】
一実施形態では、鋳型を形成する方法の提供に関する。当該方法は、当初の鋳型に製品を添加することを含んでもよい。当該製品は、第1材料及び第2材料を含んでもよい。当該第1材料は低い流動点を有し、第1官能基を含んでもよく、当該第2材料は第2官能基を含んでもよい。当該第1官能基は、閾値温度以下の温度で第2官能基と相互作用でき、それにより得られる製品は、第1材料の粘性又は第2材料の粘性より高い粘性を有する。当該製品をその閾値温度以上の高温に加熱してもよい。当該製品を高温で成形してもよい。当該製品を閾値温度以下のワーク温度に冷却してもよい。当該製品を当初の鋳型から取り外し、当該製品から形成される再利用可能な鋳型を形成してもよい。再利用可能な鋳型は、鋳型中の上記組成物を閾値温度より高い温度で加熱することによって再構築させ、閾値温度以下の温度に冷却して新規な別の形状とすることができる。原料を再利用可能な鋳型に添加してもよい。当該原料は当該閾値温度より低い温度範囲の流動点を有してもよく、再利用可能な鋳型は、当該原料の流動点より高い温度で、かつ当該鋳型の形成において採用した当該製品の閾値温度より低い温度で使用してもよい。
【0015】
一実施形態は、第1材料を第2材料に接触させることを含んでなる方法に関する。当該第1材料は低い流動点を有し、第1官能基を含んでもよく、当該第2材料は第1材料と異なり、前記第1官能基と異なる第2官能基を含んでもよい。当該接触では、当該第1官能基及び第2官能基がエネルギー閾値レベル以下で可逆的な化学結合を形成して、固体状の又は高い粘性を有する組成物となるが、但し当該可逆的な化学結合が共有結合でない。第1官能基は、組成物を流動化させるか又は粘性を低下させるのに必要なエネルギー閾値レベルを上回るエネルギー供給レベルで、エネルギーを供給することによって、第2官能基から解離させてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に包含される実施態様は、エネルギー反応性材料に関する。本発明の実施態様は、エネルギー反応性組成物から形成されるか、又はそれと組み合わせた製品及び/又は装置に関する。本発明に包含される実施態様は、エネルギー反応性材料又はそれにより形成される製品若しくは装置の、1つ以上の製造方法若しくは使用方法に関する。
【0017】
概略的表現(本明細書及び特許請求項の全体にわたって用いられる)はいかなる定量的表現の修飾にも適用でき、言及する機能に基本的な変化を及ぼさない範囲において適宜変化させることができる。したがって、例えば「約」及び「実質的に」などの用語により修飾される値は、その具体的に記載されている数値に限定されない。少なくとの幾つかの例では、概略的表現は数値の測定に用いる装置の精度に対応することもありうる。本明細書及び特許請求の範囲の全体にわたり、数値範囲の限界値は相互に連結及び/又は交差することもあり、前後関係又は文脈において特に断りのない限り、かかる範囲はそこに含まれる全ての部分領域を含むものと解される。流動点とは、対象の材料がそれ自身の重量で流動を開始する温度のことを指す。エネルギー閾値供給レベル(threshold energy input level)とは、供給エネルギーが、所定の程度で第1及び第2官能基を各々解離させる値のことを指す。所定の程度は、対象となる材料の特性又は特徴(例えば一定レベルの粘性低下)として測定できる。
【0018】
本発明の一実施形態では、製品は第1材料及び第2材料から形成される。第1材料は、低い温度の流動点を有してもよく、第1官能基を含んでもよい。第2材料は第1官能基と異なる第2官能基を含んでもよい。
【0019】
第1官能基はエネルギー閾値供給レベル以下で第2官能基と相互作用できる。当該エネルギー供給は熱エネルギーであってもよく、その場合、当該エネルギー閾値供給レベルは温度範囲のことを指す。他の実施形態では、当該エネルギー供給は機械的剪断力であってもよく、その場合、当該エネルギー閾値供給レベルは剪断力のことを指す。適用可能な他のエネルギー供給の形態としては、磁気、電磁気及びそれらに類似するものが挙げられる。
【0020】
第1材料及び第2材料の混合に反応して、組成物は、第1材料又は第2材料のいずれかの粘性より高い粘性を有する製品を形成することができる。第1官能基及び第2官能基の会合又は相互作用により、超分子が形成されてもよい。
【0021】
エネルギー供給閾値レベル以上のエネルギー供給に反応して、組成物の粘度が減少若しくは低下してもよい。特に、第1官能基及び第2官能基が分離して、例えば超分子構造が崩壊してもよい。更に、エネルギー供給がエネルギー供給閾値レベル以下に低下したとき、組成物の粘性が、元の比較的高い粘性に、又はそれに近い粘性を回復してもよい。
【0022】
エネルギー反応性組成物の粘性は、ニュートン粘性、擬塑性又は非ニュートン粘性であってもよい。一実施形態では、当該製品を含んでなる組成物は、室温における30/秒の剪断率で、約75,000センチポアズ以上の粘性を有してもよい。他の実施態様では、当該粘性は他の温度及び/又は剪断率で異なることもあり、また同じ剪断率及び/又は温度で異なることもある。
【0023】
材料成分に関しては、第1材料は1つ以上の有機オリゴマー又は有機ポリマーを含有してもよい。第1材料は、それらの代わりに、又はそれらに加えて、1つ以上の無機オリゴマー又は無機ポリマーを含有してもよい。
【0024】
適切な無機ポリマーは、1つ以上の環状オルガノシロキサン、オリゴオルガノシロキサン又はポリ(オルガノシロキサン)を含んでもよい。一実施形態では、ポリ(オルガノシロキサン)は3−アミノプロピルメチルシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体であってもよく、一実施態様では、ポリオルガノシロキサンは実質的に3−アミノプロピルメチルシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体からなる。適切な環状オルガノシロキサンは、2つ以上のアミノプロピル部分を含んでもよい。
【0025】
一実施形態では、第1官能基は1つ以上の塩基を含んでもよく、第2官能基は1つ以上の酸を含んでもよい。第1官能基及び第2官能基は、各々会合して酸塩基の対を形成してもよい。一実施形態では、酸性の基は1つ以上のブレーンステズ酸を含んでもよく、塩基性の基は1つ以上のブレーンステズ塩基を含んでもよい。適切な酸塩基の対は、塩錯体を含んでもよい。一実施形態では、酸塩基の対は、実質的に塩錯体からなる。
【0026】
一実施形態では、酸性の基は1つ以上のルイス酸を含んでもよい。そして、塩基性の基は1つ以上のルイス塩基を含んでもよい。第1官能基及び第2官能基は、各々会合して電子供与体/電子受容体の対を形成してもよい。一実施形態では、電子供与体/電子受容体対は水素結合を介して会合する。
【0027】
一実施形態では、第1官能基は電子リッチな芳香環を含んでもよく、第2官能基は電子プアーな芳香環を含んでもよい。第1材料及び第2材料は、各々会合して、π結合が重なった超分子構造又は製品を形成してもよい。
【0028】
適切な第1官能基はアミノ基を含んでもよい。アミノ基と結合する能力を有する適切な酸性の基は、カルボン酸を含んでもよい。一実施形態では、第1官能基は実質的にアミノ基からなり、第2官能基は実質的にカルボン酸基からなる。適切な第2官能基は、リン酸基又は亜リン酸基を含んでもよい。一実施形態では、第1官能基は第2材料の一部であってもよく、第2官能基は第1材料の一部であってもよい。
【0029】
低流動点材料は、約200℃未満の範囲の温度の流動点を有してもよい。一実施形態では、低流動点材料は、約150℃未満、約100℃未満又は約75℃未満の範囲の温度の流動点を有してもよい。一実施形態では、低流動点材料は約25℃〜約50℃、約50℃〜約75℃、約75℃〜約100℃又は約100℃超の範囲の温度の流動点を有してもよい。一実施形態では、低流動点材料は、室温(25℃)以下の流動点を有してもよい。
【0030】
第2材料は、1つ以上の有機モノマー、有機オリゴマー又は有機ポリマーを含んでもよい。適切な有機モノマー、有機オリゴマー又は有機ポリマーとしては、第1材料に適する態様の上記の組成物の1つ以上が挙げられるが、但し選択される当該第2材料は第1材料と異なる材料である。第2材料は、上記の代わりに、又はそれらに加えて、1つ以上の無機材料を含んでもよい。
【0031】
適切な無機材料は、1つ以上の無機モノマー、無機オリゴマー又は無機ポリマーを含んでもよい。第2材料は、1つ以上の無機有機複合型材料を含んでもよい。一実施形態では、無機ポリマーはカルボン酸末端を有するオリゴ(ジメチルシロキサン)又はポリ(ジメチルシロキサン)を含んでもよい。適切なシロキサンは、約5個以上のモノマー単位の鎖長を有してもよい。一実施形態では、シロキサンの鎖長は、約5モノマー単位〜約500モノマー単位、又は約500モノマー単位〜約1000モノマー単位の範囲であってもよい。
【0032】
適切な無機材料としては、1つ以上の無機塩類、有機金属化合物、官能化セラミック微粒子又は金属粒子が挙げられる。第2材料が微粒子である場合、微粒子の表面を、対応する第2官能基によって官能化してもよい。当該微粒子は、球体、半球体、不規則な表層形状、ロッド状、シリンダ状及び単純な幾何学的多角形(例えば角錐、立方体又は偏菱形)に形成してもよい。当該微粒子(形態学を問わない)は多孔質若しくは無孔質であってもよく、又は当該微粒子は中実コアを有してもよく、又は中空であってもよい。
【0033】
エネルギー閾値供給レベルとは、本発明の実施形態に係るエネルギー反応性組成物に対して供給されるエネルギーの値であって、エネルギー反応性組成物による反応が所定の量又は程度で得られる値のことを指す。適切な供給エネルギーは、例えば放射エネルギー又は機械的エネルギー又はそれらの組み合わせであってもよい。放射エネルギー又は放射線エネルギーとしては例えば、熱エネルギー、電磁気エネルギー、電気エネルギー又は磁気エネルギーなどが挙げられる。機械的エネルギーとしては例えば剪断力が挙げられる。
【0034】
供給エネルギーが熱エネルギーである場合、エネルギー閾値供給レベルは閾値温度又は閾値温度範囲として表されてもよく、それは以下に詳細に説明する。閾値温度は室温より高くてもよい。一実施形態では、閾値温度は約50℃超、約75℃超、約100℃〜約125℃超、約150℃〜約175℃超の温度範囲であってもよい。一実施形態では、当該閾値温度は、約25℃〜約50℃、約50℃〜約75℃、約75℃〜約100℃、約100℃〜125℃、約125℃〜約150℃、約150℃〜約160℃、約160℃〜約180℃、約180℃〜約200℃又は約200℃超の範囲であってもよい。特定の用途では、上記で列挙した範囲と異なるエネルギー閾値供給レベルを採用してもよい。上記は飽くまで例示である。
【0035】
閾値剪断力は50/秒(s)超、100/s超、150/s超、又は200/s超の範囲の剪断速度で印加してもよい。一実施形態では、剪断力閾値は50/s〜約100/s、100/s〜約150/s、150/s〜約200/s、200/s〜約300/s又は300/s超であってもよい。
【0036】
組成物による所定の量又は程度の反応は、粘性の低下、相の変化、粘着力の変化等の1つ以上として定義される反応測定に基づく測定基準を含んでもよい。当該低下若しくは変化は、測定できる第1の量又は程度から、測定できる第2の量又は程度への低下若しくは変化であってもよい。
【0037】
組成物による所定の量又は程度の反応は、例えば第2官能基に対する第1官能基の濃度又はモル比により調節してもよい。当該比率は約0.1:1〜約1:0.1の範囲であってもよい。一実施形態では、当該比率は約1:1であってもよい。他の実施形態では、当該比率は正確に1:1であってもよい。
【0038】
当該組成物は、1つ以上の添加材又は追加的な材料を含んでもよい。一実施形態では、当該組成物は1つ以上の熱伝導性充填材を含んでもよい。適切な充填材としては、1つ以上の金属、金属合金又は低融点の合金が挙げられる。他の適切な充填材としては、1つ以上の酸化物、ホウ化物、窒化物又はカーバイドが挙げられる。更に他の適切な充填材としては、炭素ベースの材料(例えば黒鉛、ダイヤモンド、バッキーボール/フラーレン又はカーボンナノチューブ)などが挙げられる。一実施形態では、当該充填材は酸化アルミニウム又は窒化ホウ素の一方又は両方を含んでもよい。充填材は球状粒子を含んでもよく、またそれを任意に他の材料(例えば炭水化物、結合剤、液体金属など)でコーティングしてもよい。
【0039】
本発明の一実施形態は、オリゴマー若しくはポリマー性の第1材料及び第2材料を含んでもよい組成物の提供に関する。オリゴマー若しくはポリマー性の当該第1材料は、低流動点を有してもよく、第1官能基を含んでもよい。当該第2材料は当該第1材料と異なることがあってもよい。当該第2材料は当該第1官能基と異なる第2官能基を含んでもよい。第1官能基及び第2官能基が各々接触したとき、可逆的な化学結合を形成してもよい。組成物へのエネルギー供給がエネルギー閾値供給レベル以下であるときに結合が形成されてもよい。当該結合の形成により、比較的高い粘性を有するか又は硬化した組成物が形成されてもよい。第1官能基及び第2官能基は、閾値レベルを越えるエネルギー量の供給に反応して各々分離してもよい。当該分離により、組成物の粘性が低下してもよく、又は固体状の組成物が流動化若しくは液状化してもよい。但し当該可逆的な化学結合が共有結合ではない。
【0040】
好適な供給エネルギーとしては、電磁放射、磁場、機械的剪断力又は熱エネルギーの1つ以上が挙げられる。一実施形態では、当該供給エネルギーは機械的剪断力であってもよい。一実施形態では、当該熱エネルギー若しくは熱は、約50℃超、約75℃超又は約100℃超の温度である。一態様では、当該粘性は閾値温度でシャープに低下し、最初の粘度と後の粘度とで各々大きく異なる。粘性低下は、粘性の10%の低下、25%の低下、35%の低下、50%の低下、75%の低下又は85%の低下を上回る低下であってもよい。
【0041】
一実施形態では、組成物は更に熱伝導性の充填材を含んでもよい。当該充填材は、第1成分と混合してもよく、第2成分と混合してもよく、又は第1成分及び第2成分各々と混合した後、両方の成分を混合してもよい。
【0042】
好適な熱伝導充填材としては、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、シリカ、タルク、酸化亜鉛、酸化スズなどのうちの1つ以上が挙げられる。他の適切な充填材としては、金属(メタロイドを含む)(例えばインジウム、アルミニウム、ガリウム、ホウ素、リン、銀、スズ又は合金など)を含有する微粒子が挙げられる。かかる充填材は酸化物、窒化物、ホウ化物、ケイ化物など、又はそれらの2つ以上の混合物であってもよい。一実施形態では、熱伝導性の液体金属を単独で添加してもよく、あるいは微粒子状の熱伝導性材料と共に添加してもよい。
【0043】
任意の充填材(熱伝導性であっても熱伝導性であってもよい)としてはシリカが挙げられる。適切なシリカとしては、溶融シリカ、フュームドシリカ又はコロイド状シリカの1つ以上が挙げられる。当該充填材は約500μm未満の平均粒子直径を有してもよい。一実施形態では、当該充填材は、約1nm〜約5nm、約5nm〜約10nm、約10nm〜約50nm、約50nm〜約100nm、又は約100nm〜約500nmの範囲の平均粒子直径を有してもよい。
【0044】
充填材を用いる場合、約0.5重量%超の量で存在させてもよい。一実施形態では、当該充填材は、組成物の合計量に対して、約0.5重量%〜約10重量%、約10重量%〜約20重量%、約20重量%〜約30重量%まで、約30重量%〜約40重量%、約40重量%〜約50重量%、約50重量%〜約60重量%、約60重量%〜約70重量%、約70重量%〜約80重量%、約80重量%〜約90重量%、又は約90重量%超の範囲の量で存在させてもよい。
【0045】
本発明による組成物には任意に難燃剤を含有させてもよい。適切な難燃剤としては、1つ以上のトリフェニルリン酸塩(TPP)、レゾルシノール二リン酸塩(RDP)、ビスフェノール−a−二リン酸(BPA−DP)、有機ホスフィン酸化物、ハロゲン化樹脂(例えばテトラブロモビスフェノールA)、金属酸化物、水酸化金属などが挙げられる。他の適切な難燃剤としてはリンアミド化合物類から選択される化合物が挙げられる。
【0046】
難燃剤を用いる場合、組成物の合計量に対して約0.5重量%超の量で存在させてもよい。一実施形態では、難燃剤は、組成物の合計量に対して、約0.5重量%〜約1重量%、約1重量%〜約1.5重量%、約1.5重量%〜約2.5重量%、約2.5重量%〜約3.5重量%、約3.5重量%〜約4.5重量%、約4.5重量%〜約5.5重量%、約5.5重量%〜約10重量%、約10重量%〜約15重量%、約15重量%〜約20重量%、又は約20重量%超の範囲の量で存在させてもよい。
【0047】
一実施形態では、本発明の実施態様に係る組成物は透明であってもよい。透明であるとは、所定の厚みを有する組成物の層の通して見ることにより物体を視認し、区別することができる性質のことを指す。一実施形態では、透明性はASTM D1746−97及び/又はASTM D1003−00において認定されるものとして定義される。
【0048】
本発明の別の態様は、電子装置の提供に関する。当該電子装置は、表面を有する熱生成ユニット、表面を有する熱消散ユニット、及び上記のエネルギー反応性組成物(任意に熱伝導性の充填材を含有する)を含んでなってもよい。当該組成物は、熱放散ユニット面の少なくとも1つ、熱生成ユニット面、又は両方の面に配置されていてもよい。これにより、熱生成ユニットから熱消散ユニットへの熱インタフェース及び熱輸送体が提供されうる。このようにして形成される熱インタフェース材料は再利用されたものであっても、又は再利用可能であってもよい。
【0049】
適切な熱消散部材としては、熱シンク、熱ラジエータ、熱分散材、熱パイプ又はペルティエ熱ポンプの1つ以上が挙げられる。適切な熱生成装置としては、統合チップ、動力チップ、電源、光源(例えばLED、蛍光若しくは白熱ランプ)、モーター、センサー、コンデンサ、燃料貯蔵区画、導体、インダクタ、スイッチ、ダイオード又はトランジスタのうちの1つ以上が挙げられる。
【0050】
本発明の態様はまた、チップ及び基板との間において使用するための再利用可能アンダーフィル材料に関する。当該アンダーフィルの使用により、電子回路の構成要素を除去する際の作業が軽減されうる。
【0051】
本発明はまた、エネルギー反応性組成物を含むゴム製品の提供に関する。当該タイヤはゴム製品から形成してもよい。一実施形態では、当該タイヤにおいて、剪断力に応じて可逆的に第2官能基が第1官能基から解離し、その後、当該剪断力が除去されたときに第1官能基と第2官能基が再び会合する。かかる反応は、例えば、F408「Standard Test Method for Wet Traction Braking”、F1650−98「Standard Practice for Evaluating Tire Traction Performance Data Under Varying Test Conditions」、F377−03「Standard Practice for Calibration of Braking/Tractive Measuring Devices for Testing Tires」などのウエットスキッド抵抗測定方法で測定されるタイヤのウエットスキッド抵抗を増加させてもよい(これらの文献は、それらの測定法及び専門用語に関して、本願明細書に援用される)。Uniform Tire(Tyre)Quality Grading System(UTQG)を用いて、本発明の実施形態に係るタイヤを試験、評価してもよい。一実施形態では、かかるタイヤはトレッド摩擦:200、トラクション:A、耐熱性:Aを上回る評価が得られることもあり、他の実施形態では、異なるUTQG評価が得られてもよい。
【0052】
本発明に係る組成物を含有するゴムタイヤに関連する一実施形態では、閾値温度は0℃未満〜約180℃の範囲である。一実施形態では、当該エネルギー閾値供給は、約−70℃〜約−50℃、約−50℃〜約25℃、約−25℃〜約−10℃、又は約−10℃〜約0℃の範囲の温度である。
【0053】
別の態様では、当該エネルギー反応性組成物を含有するパーソナルケア化粧品の提供に関する。一実施形態では、当該閾値温度は体温である。化粧品用途の場合、当該組成物は皮膚(特にヒト皮膚)にとり非毒性、非感作性又は非刺激性のうちの1つ以上の性質を有してもよい。更に、当該組成物は目及び/又は粘膜に対して非刺激性であってもよい。
【0054】
別の態様は、エネルギー反応性組成物を含む接着剤の提供に関する。一実施形態では、当該接着剤は、閾値温度より高い温度範囲で粘着性を有してもよく、閾値温度以下の温度範囲で相対的に非粘着性であってもよい。かかる接着剤は例えば、熱反応性の剥離可能な接着剤が使用されうる用途に用いてもよい。当該接着剤を用いて基材表層を形成してもよい。
【0055】
用途特異的なパラメータによって定義される粘着力のレベルは、非常に高くてもよく、又は非常に低くてもよい。低水準粘着材料(特に感圧接着剤)の場合、当該粘着力のレベルは、軽い指圧に反応して接着剤が粘着性となり、付着する程度のものである。高水準粘着材料(特に構造接着剤)の場合、当該粘着力のレベルは、当該接着剤が基材に強固に付着し、保持する程度のものである。粘着力レベルに関係なく、エネルギー閾値供給(例えば温度)以下で、粘着フィルムが従来の接着剤として機能してもよい。閾値以上のエネルギー供給がなされると、接着フィルムの特性又は特徴は、エネルギー供給閾値以下の場合と異なる特性又は特徴へ切り替わる。閾値以上のエネルギー供給がなされた場合の特性又は特徴としては、フィルムにおける密度、粘着力、粘性、結合力、熱屈折温度(HDT)又は混濁のうちの1つ以上の減少、又はフィルムにおける柔軟性、整合性、弾力性などのうちの1つ以上の増大が挙げられる。かかる特性各々、対応するASTMスタンダードとして定義され、測定することができる。
【0056】
適切なエネルギー反応性組成物は、基板の結合面とエネルギー反応性組成物を接触させることによって、例えば熱制御(熱インタフェース材料として)用途に用いることができる。当該エネルギー反応性組成物は、第1材料及び第2材料からなる製品を含んでもよい。当該第1材料は、低流動点を有し、第1官能基を含んでもよい。当該第2材料は、第2官能基を含んでもよい。当該第1官能基を、閾値温度以下の温度で第2官能基と相互作用させて製品を形成してもよく、当該製品は第1材料の粘性又は第2材料の粘性よりも高い粘性を有する。当該製品を閾値温度より高い温度範囲で加熱してもよい。その後、当該製品を閾値温度以下の温度に冷却し、フィルム、シート又はパッドを結合面の上に形成させてもよい。当該製品は任意に、閾値温度より高い温度で再加熱し、結合面から組成物を分離してもよい。
【0057】
本発明の一態様に係る実施形態は、鋳型を形成する方法の提供に関する。当該方法は、当初の鋳型に製品を添加することを含んでもよい。当該製品は、第1官能基を有し低流動点を有する第1材料、並びに第2官能基を有する第2材料を含んでもよい。当該第1官能基は、閾値温度以下の温度で第2官能基と相互作用でき、それにより得られる製品は、第1材料の粘性又は第2材料の粘性より高い粘性を有する。当該方法では、当該製品を閾値温度を越える高温で加熱し続けてもよい。当該製品の成形を高温で実施してもよい。当該製品は閾値温度以下のワーク温度に冷却してもよく、当該製品を固化させてもよい。冷却された製品を、当初の鋳型から取り外し、再利用可能な鋳型を形成してもよい。再利用可能な鋳型は、閾値温度以上の温度で再加熱することにより、元の鋳型又は別の鋳型に再構築又は変形させてもよい。
【0058】
その後、原料を当該再利用可能な鋳型に添加してもよい。原料は閾値温度より低い温度範囲の流動点を有してもよく、また再利用可能な鋳型のワーク温度は、原料の流動点より高い温度範囲であってもよく、また再利用可能な鋳型の形成に採用する材料の閾値温度より低い温度であってもよい。
【0059】
別の態様に係る本発明の実施形態は、閾値温度以下の温度で第2材料に第1材料を接触させることを含んでなる方法の提供に関する。当該第1材料は低い流動点を有し、第1官能基を含んでもよい。当該第2材料は第1材料と異なり、第1官能基と異なる第2官能基を含んでもよい。当該接触では、当該第1官能基及び第2官能基がエネルギー閾値レベル以下で可逆的な化学結合を形成して、固体状の又は高い粘性を有する組成物となる。但し当該可逆的な化学結合が共有結合でない。当該方法では更に、エネルギーを供給して組成物を流動化させるか又は粘性を低下させ、第2官能基から第1官能基を解離する工程をその後に実施してもよい。一実施形態では、当該エネルギーは熱エネルギーであってもよく、又は当該エネルギーは物理的エネルギーであってもよい。
【0060】
当該方法では更に任意に、熱消散ユニットの表面に製品を接触させる工程をその後に実施してもよい。それに加えて、又はその代替として、当該組成物を熱生成ユニットの表面に接触させてもよい。
【実施例】
【0061】
以下の実施例は本発明の方法及び実施態様を例示するものに過ぎず、そのような態様に特許請求の範囲が限定されるものと解釈すべきでない。特に明記しない限り、全ての反応成分は、Alpha Aesar社(Ward Hill、マサチューセッツ)、Spectrum Chemical Mfg社(Gardena、カリフォルニア)、Gelest社(Tullytown、ペンシルバニア)、GE Silicones社(Waterford、ニューヨーク)などの公知の化学品供給業者から市販されているものを使用した。シリコンなどの鎖長はNMRで測定した。
【0062】
<実施例1−カルボン酸末端ポリ(ジメチルシロキサン)の合成>
実施例1は、サンプル1からサンプル3のカルボン酸末端ポリ(ジメチルシロキサン)の調製に関する。サンプル1から3の構造式を以下の式(I)に示す。
【化1】

サンプル1の調製は以下のとおりである。4−ビニル安息香酸5.00gを、窒素雰囲気下で無水トルエン60ml中に溶解し、溶液を調製した。5.44gのヘキサメチルジシラザン(1当量)を溶液に添加し、混合物を形成した。混合物を窒素雰囲気下で3時間還流した。
【0063】
最初に形成された白い沈殿物は、1.5時間還流後に消失した。−78℃の条件で溶液から沈殿物が形成されない場合に、反応が完了したとみなした。反応の完了を、陽子NMRスペクトル(CDCl)(0.43ppm)における、SiMeの共鳴の積分値によりモニターした。得られた生成物は、トリメチルシリル−(4−ビニル)−ベンゾアートの黄色溶液であった。
【0064】
調製されたトリメチルシリル−(4−ビニル)ベンゾアートの黄色溶液を、56.07gのHSiMe−(O−SiMe43−OSiMeH(M43)の無水トルエン(100ml)中の溶液に添加した。5mlの1,4−ジオキサンを徐々に添加し、トリメチルシリル−(4−ビニル)−ベンゾアートを溶解させた。キシレン溶液中の100ppmのプラチナ(Pt)触媒(Karsdtタイプ)を得られた混合物に添加し、60℃〜70℃で2時間撹拌した。2等量(Ptに対して)のトリフェニルホスフィン(PPh)を添加して第2の混合物を調製し、第2の混合物を20分撹拌した。カーボンブラックの過剰量を第2の混合物に添加し、16時間撹拌した。カーボンブラックを濾過して除去し、60℃〜70℃、0.2Torrの条件で、ROTAVAPを使用して揮発性物質を除去し、粘着性の無色の流動性物質を得た。余分なトリフェニルホスフィンを130℃で真空昇華によって除去した。
【0065】
残留する液体を1:2の比率で1,4−ジオキサン中に溶解させ、相分離が観察されるまで水を添加した。混合物を60℃〜70℃で1時間撹拌した。最初にROTAVAP、及び更に真空蒸発によって揮発性物質を除去した。加水分解の程度を、陽子NMRスペクトル(0.43ppm)における共鳴の欠如に基づいて制御し、サンプル1を調製した。1,2(−CH−CH−架橋形成)と2,1(−CH(Me)−架橋形成)=47.5:52.5の割合でヒドロシリル化反応を行わせた。以下のNMRデータから、式(I)に示す構造が確認された。
【0066】
HNMR(CDCl,25℃,400MHz,ppmδ):8.04d(JH−H=8.1Hz),CHar−C−COOH,1.9H;8.1d(JH−H=7.7Hz),CHar−CCOOH,2.1H;7.36d(JH−H=8.3Hz),CHar−C−CH−,1.9H;7.25d(JH−H=7.3Hz),CHar−C−CH<,2.1H;2.78m,Ph−CH−,1.9H;2.37q(JH−H=7.6Hz),CH−CH<,1.05H;1.45d(JH−H=7.6Hz),CH−CH<,3.15H:0.98m,−CH−Si≡1.9H;0.12s,OSi(CH,258.5H。
CNMR(CDCl,25degreesCelsius,470MHz,ppmδ):172.33COOH,172.13COOH,152.61C−COOH,152.03C−COOH,132.15C−CH<,132.05C−CH−,130.24Car,129.91Car,127.99Car,127.36Car,32.30−CH−Ph,29.59CH−CH<,19.87−CH−Si≡,13.86CH−CH<,0.90−O−Si(CH−C−Ph,0.77−O−Si(CH−。
【0067】
サンプル2の調製は以下の通りである。2gの4−ビニル安息香酸及び55.8gのProduct89184(GESilicones社製のSi−H末端を有するPDMS流体)を用いた点を除き、サンプル1で記載したのと同様の方法でサンプル2を調製した。
【0068】
NMR分析の結果、サンプル1の結果と一致した。
【0069】
サンプル3の調製は以下の通りである。100mlの丸底フラスコに、8.0gの4−ペンテノン酸(Aldrich社から供給を受けたままの状態で使用)、12.8gの無水トルエン及び窒素グローブボックス中の50mlのヘキサメチルジシラザンを添加し、混合物を調製した。混合物を窒素雰囲気下で3時間還流した。最初に形成された白色の沈殿物は、1時間還流した後に消失した。反応の完了を、陽子NMRスペクトル(CDCl)(0.43ppm)における、SiMeの共鳴の積分値によりモニターした。生成物を161℃で蒸留し、無色のトリメチルシリルペンタノエート(CH=CHCHCHCOOSiMe)を得た。
【0070】
一定量のトリメチルシリルペンタノエート(6.12g)を窒素下で49.46gのHSiMe−(0−SiMe40−OSiMeH(M40)と混合し、混合物を調製した。トルエン中のPt触媒(100ppm)を混合物に添加した。室温で1時間撹拌した後(反応はわずかに発熱的)、茶色の反応生成物が得られ、NMR分析に基づき解析した。茶色の生成物を、200mlのトルエン−塩化メチレン=1:1混合溶液中に溶解させた。2等量(Ptに対して)のPPhを添加して混合物を調製し、当該混合物を20分間撹拌した。カーボンブラックの過剰量を当該混合物に添加し、16時間撹拌した。カーボンブラックを濾過して除去し、60℃〜70℃、0.2Torrの条件で、ROTAVAPを使用して揮発性物質を除去し、粘着性の無色の流動性物質を得た。余分なトリフェニルホスフィンを130℃で真空昇華によって除去した。
【0071】
残留する液体を1:2の比率で1,4−ジオキサン中に溶解させた。相分離が観察されるまで水を添加した。混合物を60℃〜70℃で1時間撹拌した。最初にROTAVAP、及び更に真空蒸発によって揮発性物質を除去した。加水分解の程度を、陽子NMRスペクトル(0.30ppm)における共鳴の欠如に基づいて制御し、サンプル1を調製した。ヒドロシリル化反応は1,2(−CH−CH−架橋形成)の形式のみであった。以下のNMRデータから、構造を確認した。
【0072】
HNMR(CDCl、25℃、400MHz、ppmδ):2.37tr(JH−H=7.6Hz)、HOOC−CH−、2.0H;1.69p(JH−H=7.6Hz)、HOOC−CH−CH−、2.01H、1.41m−CH−CH−S≡、2.02H、0.58m、−CH−Si≡、2.10H、0.10s、OSi(CH、120H。
【0073】
<実施例2:1,3,5,7−テトラキス(3−プロピルアミノ)−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン(サンプル4)の調製>
一般反応式を下記の式(II)に示す。
【化2】

100gのNH(CHSiMe(OEt)(Gelest社(Morrisville、ペンシルバニア)から供給を受けたままの状態で使用)、100gのトルエン、50gの水及び1gのKOH(粉末)の混合液を、0.5Lの丸底1首フラスコで30分間還流し、更に常圧で揮発性物質を徐々に蒸留した。熱い無色の粘稠性の残余物を、170℃〜182℃、0.1〜0.2Torrの条件下で、20cmの分別蒸留カラムで更に蒸留し、フラクション(サンプル4を含有)を回収した。サンプル4は85%の収率で得られた。その他は高分子シロキサンから構成されていた。シクロトリシロキサン構造は観察されなかった。蒸留されたばかりの無色の液体(サンプル4)の粘性は110センチポアズであり、時間経過と共に増加する傾向を示した。
【0074】
揮発性物質を除去し、室温に冷却した直後に生成物が精製されない場合には、凝固させる。この場合、1g〜2gの水を添加しながら150℃でオーブンにおいて溶解させ、減圧蒸留する必要がある。以下のNMR及び質量分析データから、構造を確認した。
【0075】
HNMR(CDCl、25℃、400MHz、ppmδ):2.65tr(JH−H=7.1Hz)、HN−CH−、2.0H;1.81brsNH−、2.08H;1.46m、HN−CH−CH−、2.02H;0.51m、−CH−Si≡、2.0H;0.07s、OSiCH、3.0H。29Si NMR(CDCl、25℃、119MHz、δ):−19.77。MS:468(M)451、438、410、392(100%)381、367、352、338、324、305,292、279、266、252、217。
【0076】
<実施例3:ビニル末端を有する3−アミノプロピルメチルシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体(サンプル5及び6)の調製>
一般反応式を以下の式(III)に示す。
【化3】

サンプル4と、ビニル末端ポリ(ジメチルシロキサン)ポリマーとを用い、160℃で12時間、KOH触媒(100ppm)による再分布反応を行わせ、サンプル5及び6を調製した(SL6000、GE Silicones(ウォーターフォード、ニューヨーク)。最初の時点において、液体は混和していなかった。120℃〜160℃で40分〜60分反応させた後、混合物は単一相に変化した。反応終了後、混合物を室温に冷却し、氷酢酸で急冷した。撹拌しながら160℃、0.1Torrの条件下で揮発性物質(環状生成物)を除去した。揮発性物質の形成は12.5%を越えなかった。ジメチルシロキサンの数(n)及び3−アミノプロピルメチルシロキサン単位の数(m)を、HNMRに基づくスペクトルのピークの積分値から決定した。以下のNMRデータから構造を確認した。
【0077】
HNMR(CDCl、25℃、400MHz、δ):6.2−5.7CH=CH−システム、2.67tr(7.1HzJH−H=)HN−CH−;1.84brsNH−;1.49m、HN−CH−CH−;0.51m、−CH−Si≡;0.17s、−OSi(CH32)Vi、0.08s、−OSi、CH32−+−OSi(CH)CNH−。29SiNMR(CDCl、25℃、119MHz、δ):−21.45(3%)、−21.76(64%)、−21.88(15%)、−22.19(7%)+より小さい共鳴。
【0078】
開始材料及び製品の特性を表1に示す。
【0079】
表1:SL6000、サンプル4、サンプル5及びサンプル6の特性
【表1】

【0080】
<実施例4:ネットワーク構造の形成>
第1材料及び第2材料をスパチュラで混合した。数時間後に得られた混合物の粘度が最大となった。平衡に達するまでの時間は、混合物を70℃以上の高温に加熱し、数分間剪断を行い、更に混合物を室温に冷却することにより短縮された。
【0081】
以下の組成物(サンプル7−14)を調製した。
表2:第2官能基に対する第1官能基のモル比率
【表2】

【0082】
<実施例5:流体力学的特性及び影響因子>
サンプル7〜14の粘度は、サイズ6のスピンドルを使用し、Brookfield CAP 2000+ Viscometerで測定した。サンプル1からサンプル6の粘度は、サイズ1のスピンドルを使用して、Brookfield CAP 2000+ Viscometerで測定した。剪断速度とrpmの関係は、サイズ6のスピンドル:剪断速度(/s)=3.33×rpm、サイズ1のスピンドル:剪断速度=13.33×rpmである。表3においてサンプル1から14の粘性測定値(ポアズ)を列挙する。
【0083】
表3:サンプル1から14の粘性測定値(ポアズ)
【表3】


【0084】
表2及び3に示すそれぞれ第1材料及び第2材料は、試験した条件下では低い粘性の流体であった。混合した後、剪断力を除去することにより、第1及び第2材料の混合により調製されたコンポジットは、閾値温度以下の温度で即座に粘性が増加した。コンポジットの粘性は、剪断、温度又はその両方などの、外部からの刺激に反応を示すか、若しくは影響された。高い剪断(25℃における100回転/分、対、30回転/分)又は高温(75℃、対、25℃)によりコンポジットの粘性が減少した。75℃における、剪断に対する粘性の依存性は、室温の場合よりも小さかった。
【0085】
コンポジットの粘性は、酸:アミンのモル比(サンプル7―9)、酸性基の濃度(サンプル10対12、及びサンプル11対13)、アミノ基の濃度(サンプル7対10対11、12対13)及びpKa値(サンプル13対14)の関数として調節することができる。
【0086】
アミノプロピル置換されたPDMS流体は、脂肪族カルボン酸で置換したPDMSよりも、酸性(低いpKa)の安息香酸末端を有するPDMSと強く会合した。このことは、得られたアミノ−塩ピークの化学シフトの比較、アミノ塩の融解開始温度、及び不可逆性のアミド構造の形成開始温度(表4を参照)から明らかである。
【0087】
表4:選択された実施例における、閾値温度範囲の測定
【表4】

【0088】
ネットワーク構造は、官能基の立体構造により調節される。例えば、カルボン酸末端を有するPDMSを、テトラ(N,N’−ジメチル−アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン)(酸:アミノ=1:1)と混合した場合、顕著な粘性増加が見られず、またRNHピークのいかなる顕著な化学シフトも見られない。
【0089】
外部の刺激物(例えば剪断速度又は高温)を除去した後、システムは必ずしも直ちに最初の平衡状態に戻るわけではない。例えば、0.2566gのサンプル2及び0.0490gのサンプル4の混合物では、100/sの剪断速度、25℃の条件下で1263ポアズの粘性を示した。混合物を75℃に加熱したとき、100/s(88ポアズ)及び333/s(84ポアズ)の粘性を示した。混合物を更に25℃に冷却し、100/sを取り除いた後に(<5分)おいて粘性を測定した結果、528ポアズを示していた。この粘性測定値は、同じ実験条件下で得られる最初の粘度値より低い。30分後に、100/sで再び測定した結果、1250ポアズを示し、すなわち当初の値とほぼ同様であった。この実施例では、第1材料及び第2材料との間の結合が可逆的であることを示していた。
【0090】
<実施例6:TIM用途>
1.5023gのサンプル2と、0.8181gの窒化ホウ素(PTX60、GE Advanced Ceramics社製)をspeed−mixer(FlackTek社、Model #DAC400FV)で混合(2000回転/分で2×10秒間、更に2749回転/分で2×10秒)し、サンプル15を調製した。0.1243gのサンプル5を添加し、粘性が均一となるまで混合物を手作業で混合した(最終的な調製物は33.5%のBN)。混合物を真空オーブン中で12時間余り処理(70℃、100Torr超)した。その後、混合物を窒素流中で徐々に冷却した。安息香酸基とアミノプロピル基との間の相互作用により、コンポジットは重く堆積した熱いゲル状又はグリス状の物質に変化した。
【0091】
当該混合物を、70℃、10psiの条件下で1つのアルミニウ基板と1つのシリコン基板の間に設け、1枚の3層構造を作製した(当該混合物が熱インタフェース材料(TIM)として機能する)。かかる構造を5つ(サンプル15aから15e)調製した。サンプル15は、サンプル15aから15eの平均である。各サンプルの接着ラインの厚を以下の通り測定した:アセンブリ前の各クーポン(Al及びSi)、並びにアセンブリ後の、又はトルク付与後の各3層構造に関して、5箇所の厚み(4つの角及び1つの中心)を測定した。更に測定値の平均値を算出し、クーポン又は3層構造の平均厚を得た。各3層構造のTIM層の接着ライン厚を、3層構造の厚さと2つのクーポン厚の合計との差として算出した。
【0092】
TIMのin situにおける熱パフォーマンスを、Netzsch Instrument社製のMicroflash 300で測定した。当該試験では、ボルト及びトルクレンチを用いて各々トルクを印加し、それを各々の3層サンプルへの各々の圧力(psi)に変換した。サンプル15aから15eに関し、25℃で30psiの負荷により測定した。次にサンプルを、100℃に加熱し、30psiで再度トルクをかけ、再度測定した。
【0093】
<実施例7>:
実施例6と同様の調製法に従い、サンプル1及びサンプル4(カルボン酸基:アミノプロピル基の比率=1:1)及びBN(最終的な調製物の33%、PTX60、GE Advanced Ceramics社製)を混合してサンプル16を調製した。サンプル16(サンプル16a〜16e)を使用して5つのサンドイッチ構造を作製した。TIMとしてのサンプル16の性能を評価した。室温におけるサンプル16a−16eの平均をサンプル16とし、それは粘土状の粘性を有したが、高温では軟化した。粘土状とは、手で型どることができる半固体の非粘着性の状態のことを指す。この性能により、サンプル16は相変化可能な熱インタフェース材料として使用できる。
【0094】
<実施例8>:
サンプル2、サンプル4(カルボン酸基:アミノプロピル基比率=1:1)及びBN(最終的な調製物の33%、PTX60、GE Advanced Ceramics社製)を混合し、上記と同様の調製法によりサンプル17を調製した。サンプル17(サンプル17a〜17eの平均)を使用して5つのサンドイッチ構造を作製した。TIMとしてのサンプル17の性能を評価した。BLTとは接着ライン厚(bond line thickness)のことを指し、Tcは元の位置の熱伝導率に関連する。そして、TRは元の位置の熱抵抗力に関連する。
【0095】
表5:異なる試験条件下での試験結果
【表5】

【0096】
サンプル17は高温で粘度が低下し、比較的低い接着ライン厚となった。更に、高温でのin situにおける熱伝導率の増加により示されるように、低い粘度により基板と材料とのより良好なウェッティングが可能となった。接着ライン厚の減少、及びin situにおける熱伝導率の増加により、高温でのin situにおける熱抵抗が50%〜60%減少した。
【0097】
<実施例9>:
サンプル2(3.5604g)を、25.375gのアルミナ(4:1=DAW05:AA04、DAW05はDenka社製、AA04はSumitomo社製)を混合して混合物を調製した。この混合物に、0.290gのサンプル5を添加し、重く堆積したグリス状のTIM材料が得られるまで混合した。得られた生成物を、90℃、10psiの条件下で2つのアルミニウ基板の間に設け、1枚の3層構造のサンドイッチ構造を作製した。5つのサンドイッチ構造(サンプル18aからサンプル18e)を調製し、サンプル18aからサンプル18eの平均をサンプル18とした。TIMとしてのサンプル18aから18eのin situにおける熱パフォーマンスを、Netzsch Instrument社製のMicroflash 300で測定した。当該試験では、ボルト及びトルクレンチを用いて各々のトルクを印加し、それをサンプル18aから18eの各3層サンドイッチ構造に対する各々の圧力(psi)に変換した。
【0098】
サンプル18aから18eを試験用ビヒクルにロードし、110psiのトルクを与えた。接着ライン厚を測定し、室温におけるin situの熱パフォーマンスをMICRO FLASH計測器で測定した。サンプル18aから18eを試験ビヒクルから取り出し、再ロードして100℃で測定した。テストフィクスチャに再ロードした後、サンプル18aから18eを110psi(室温)で再度トルクを与えた。TIM層の接着ライン厚を再び測定した。試験ビヒクルを100℃に加熱し、耐熱性を測定した。100℃で測定を行う前に、サンプル18aから18eの再度のトルク供与を行わなかった。18aから18eは100℃で軟化し、著しく粘度が低下するため、アルミニウムクーポン間のTIM層の接着ラインの厚を減少させることができ、すなわちボルトから付与される力が減少した。従って、測定前に再度のトルク付与を行わない場合、100℃においてサンプル18aから18eに付与する有効な圧力は110psi未満であった。
【0099】
<実施例10>:
3.022gのサンプル2、21.067gのアルミナ及び0.138gのサンプルを用いてサンプル19を調製した。サンプル19(サンプル19aから19e)を使用して5つのサンドイッチ構造を作製した。実施例6と同様にサンプル19を調製し、試験した。
【0100】
<実施例11>:
3.20gのサンプル1、22.754gのアルミナ及び0.2gのサンプル4を混合してサンプル20を調製した。実施例6に記載の方法に従ってサンプル20を調製し、試験した。サンプル20(サンプル20aから20e)を使用して5つのサンドイッチ構造を作製した。室温において当該混合物は硬く、粘土状であったが、高温では軟化し、柔軟なグリス状の物質に変化した。
【0101】
BLTとは接着ライン厚を指し、Tはin situの熱伝導性を指し、TRはin situの耐熱性を指す。
表6:サンプル18、19及び20の試験結果
【表6】

【0102】
調製物は高温で接着ライン厚の減少を示し(試験ビヒクルにサンプルを再ロードした後の再度のトルク付与による)、当該減少は、塩基樹脂(充填材を含まない第1及び第2材料の混合物)が当初高い粘度を有する(サンプル18に対するサンプル19−20)調製物である場合により顕著である。これは、100℃における低い圧力に起因することもありうる。
【0103】
上記の実施例は単なる例であり、本発明の特徴の幾つかを例示することのみを目的とする。添付の特許請求の範囲は、本発明の記載から認識される技術的範囲を特許請求することを目的とする。本発明の実施例は、全ての可能な実施態様のマニホールドから選択した実施態様のみを図示している。したがって、添付の特許請求の範囲が、本発明の特徴を例示するために利用した実施例中の選択により限定されることを出願人は意図していない。請求項において用いられる「含む」の用語、及びその文法的な活用形は、例えば限定されないが「実質的にそれのみを含む」及び「それのみを含む」のような様々な異なる範囲の用語を論理的に包含する。必要な場合、範囲を設定する場合、それらの範囲には両者間の全ての部分範囲も含まれる。これらの範囲の変形は当業者であれば自明であり、またそれらが公知となっていない場合には、そのバリエーションは可能な場合に添付の請求の範囲として記載される。また、科学及び技術の進歩が均等物及び置換候補者を生じさせることも予期されるが、それは現時点では言語の不正確の理由で考察されないに過ぎず、これらのバリエーションもまた可能な場合に添付の特許請求の範囲によって網羅されると解釈すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1官能基を含み、低い流動点を有する第1材料と、第2官能基を含む第2材料を含んでなる組成物であって、前記第1官能基が閾値温度以下の温度で第2官能基と会合して、第1材料の粘性又は第2材料の粘性より高い粘性を有する製品を形成する組成物。
【請求項2】
前記第1官能基が、前記製品へのエネルギー供給に反応して第2官能基から分離できる、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記第1官能基が塩基を含み、前記第2官能基が酸を含み、前記第1材料及び前記第2材料が酸塩基の対を形成することができる、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記第1官能基がブレーンステズ塩基を含み、前記第2官能基がブレーンステズ酸を含む、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
前記第1官能基がルイス塩基を含み、前記第2官能基がルイス酸を含む、請求項3記載の組成物。
【請求項6】
前記酸塩基の対が塩錯体を含む、請求項3記載の組成物。
【請求項7】
前記第2官能基がカルボン酸基を含む、請求項3記載の組成物。
【請求項8】
前記第1官能基が窒素含有部分を含む、請求項3記載の組成物。
【請求項9】
前記第1官能基が実質的にアミノ基からなり、前記第2官能基が実質的にカルボン酸基からなる、請求項3記載の組成物。
【請求項10】
前記第2官能基がリン酸基又は亜リン酸基を含む、請求項3記載の組成物。
【請求項11】
前記第1材料が1つ以上の有機オリゴマー又は有機ポリマーを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
前記第1材料が1つ以上の無機オリゴマー又は無機ポリマーを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項13】
前記無機ポリマーが環状オルガノシロキサン、オリゴ(オルガノシロキサン)又はポリ(オルガノシロキサン)のうちの1つ以上を含む、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
前記ポリ(オルガノシロキサン)が3−アミノプロピルメチルシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体を含む、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
前記ポリ(オルガノシロキサン)が実質的に3−アミノプロピルメチルシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体からなる、請求項13記載の組成物。
【請求項16】
前記環状オルガノシロキサンが環基当たり2つ以上のアミノプロピル部分を含む、請求項13記載の組成物。
【請求項17】
前記第2材料が1つ以上の有機モノマー、有機オリゴマー又は有機ポリマーを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項18】
前記第2材料が1つ以上の無機材料を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項19】
前記無機材料が、無機モノマー、無機オリゴマー又は無機ポリマーのうちの1つ以上を含む、請求項18記載の組成物。
【請求項20】
前記無機ポリマーが、カルボン酸末端を有するオリゴ(ジメチルシロキサン)又はポリ(ジメチルシロキサン)の一方又は両方を含む、請求項19記載の組成物。
【請求項21】
前記無機材料が、無機塩、有機金属化合物、官能化セラミック微粒子又は金属微粒子のうちの1つ以上を含む、請求項18記載の組成物。
【請求項22】
前記第2材料が無機−有機複合型材料を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項23】
前記低流動点材料が、約50℃未満の温度の流動点を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項24】
前記閾値温度が約25℃〜約100℃の範囲である、請求項1記載の組成物。
【請求項25】
前記組成物が熱伝導性を有する1つ以上の充填材を更に含む、請求項1記載の組成物。
【請求項26】
前記充填材が金属、金属合金、低融解温度合金、ホウ化物、カーバイド、窒化物、酸化物、ケイ化物、黒鉛、フラーレン、ダイヤモンド又はカーボンナノチューブのうちの1つ以上を含む、請求項25記載の組成物。
【請求項27】
前記充填材が、酸化アルミニウム又は窒化ホウ素の一方又は両方を含む、請求項25記載の組成物。
【請求項28】
所定の温度及び剪断速度における前記製品の粘性が、第2官能基に対する第1官能基の濃度又はモル比により決定される、請求項1記載の組成物。
【請求項29】
低い流動点を有し、第1官能基を含むオリゴマー性若しくはポリマー性の第1材料と、前記第1材料と異なる第2材料を含む組成物であって、前記第2材料が第1官能基と異なる第2官能基を含み、前記第1官能基及び前記第2官能基が、組成物の粘度を上昇させるか又は凝固させる可逆的な化学結合を形成でき、更に前記第1官能基及び前記第2官能基が、エネルギー閾値準位を越える量エネルギーの供給に反応して各々から分離でき、前記可逆的な化学結合が共有結合でない、前記組成物。
【請求項30】
前記組成物が固体でない場合に、前記第2官能基からの前記第1官能基の分離により、組成物の粘度が低下するか、又は前記組成物が流動化する、請求項29記載の組成物。
【請求項31】
前記エネルギー供給が機械的剪断力又は熱エネルギーである、請求項29記載の組成物。
【請求項32】
熱伝導性の充填材を更に含む、請求項29記載の組成物。
【請求項33】
表面を有する熱生成ユニットと、表面を有する熱消散ユニットと、前記熱消散ユニットの表面又は前記熱生成ユニットの表面の少なくとも1つに設けられた請求項32記載の組成物を含んでなる、電子装置。
【請求項34】
請求項29記載の組成物を含むゴム製品。
【請求項35】
前記組成物が、剪断力に反応して可逆的に第2官能基から第1官能基を解離させ、前記剪断力が除去された後、前記第1官能基と前記第2官能基が再び会合し、それによりウエットスキッド抵抗が増加する、請求項34記載の製品を含むタイヤ。
【請求項36】
エネルギー閾値レベルが約0℃〜約180℃の範囲の温度である、請求項35記載のタイヤ。
【請求項37】
請求項29記載の組成物を含むパーソナルケア化粧品。
【請求項38】
閾値温度が体温である、請求項37記載の化粧品。
【請求項39】
前記組成物が非毒性、非感作性又は非皮膚刺激性のうちの1つ以上の性質を有する、請求項37記載の化粧品。
【請求項40】
請求項29記載の組成物を含む接着剤。
【請求項41】
前記組成物が基板表面上に層として形成され、閾値温度より高い温度範囲で粘着性であり、閾値温度より低い温度範囲で比較的非粘着性である、請求項40記載の接着剤。
【請求項42】
基板の結合面を介して製品の第1材料と第2材料を接触させる工程であって、前記第1材料が低流動点を有し、第1官能基を含み、前記第2材料が第2官能基を含み、前記第1官能基が閾値温度以下の温度で前記第2官能基と相互作用して、前記第1材料の粘性又は前記第2材料の粘性より高い粘性を有する製品を形成する工程と、
前記製品を前記閾値温度より高い温度範囲で加熱する工程と、
前記製品を前記閾値温度以下の温度で冷却して前記表面に接着させる工程と、
閾値温度より高い温度で任意に製品を再加熱して前記結合面から製品を分離する工程を含んでなる方法。
【請求項43】
当初の鋳型に製品を添加する工程であって、前記製品が第1材料及び第2材料を含み、前記第1材料が低い流動点を有し、第1官能基を含み、前記第2材料が第2官能基を含み、閾値温度以下の温度で前記第1官能基が前記第2官能基と相互作用でき、それにより得られる製品が、第1材料の粘性又は第2材料の粘性より高い粘性を有する工程と、
前記製品をその閾値温度以上の高温に加熱する工程と、
前記製品を高温で成形する工程と、前記製品を閾値温度以下のワーク温度に冷却する工程と、
前記製品を前記当初の鋳型から取り外し、前記製品から形成される再利用可能な鋳型を形成する工程と、
原料を前記再利用可能な鋳型に添加する工程を含んでなる鋳型の形成方法であって、前記原料が前記閾値温度より低い温度範囲の流動点を有し、前記鋳型の前記ワーク温度が、当該原料の流動点より高い温度で、かつ前記製品の閾値温度より低い温度である方法。
【請求項44】
第2材料に第1材料を接触させる工程であって、前記第1材料が低い流動点を有し、第1官能基を含み、前記第2材料が第1材料と異なり、前記第1官能基と異なる第2官能基を含み、前記接触では、前記第1官能基及び前記第2官能基がエネルギー閾値レベル以下で可逆的な化学結合を形成して、固体状の又は高い粘性を有する組成物となるが、但し当該可逆的な化学結合が共有結合でない工程と、
任意に、前記第1官能基を、組成物を流動化させるか又は粘性を低下させるのに必要なエネルギー閾値レベルを上回るエネルギー供給レベルで、エネルギーを供給することによって、第2官能基から解離させる工程を含んでなる方法。
【請求項45】
前記エネルギーが熱エネルギーである、請求項44記載の方法。
【請求項46】
前記エネルギーが物理的エネルギーである、請求項44記載の方法。
【請求項47】
熱消散ユニットの表面に組成物を接触させることを更に含んでなる、請求項44記載の方法。
【請求項48】
前記熱生成ユニットの表面に組成物を接触させることを更に含んでなる、請求項44記載の方法。
【請求項49】
チップ、基板、又はチップ及び基板に対して組成物を接触させることを更に含んでなり、前記基板がエレクトロニックボードユニットを含む、請求項44記載の方法。

【公表番号】特表2009−504843(P2009−504843A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526037(P2008−526037)
【出願日】平成18年7月24日(2006.7.24)
【国際出願番号】PCT/US2006/028726
【国際公開番号】WO2007/019037
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(506390498)モーメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・インク (85)
【Fターム(参考)】