説明

エポキシ樹脂成形体とその製造方法

【課題】 作業性と成形性とを良好に保ちつつ、耐熱性、熱伝導性および高強度を兼ね備えたエポキシ樹脂成形体を提供することを一の課題とする。
【解決手段】 本発明のエポキシ樹脂成形体は、補強材にエポキシ樹脂が含浸されてなるエポキシ樹脂成形体であって、粒径15〜100μmの大粒径粒子群と粒径4μm未満の小粒径粒子群とを有する水酸化アルミニウム粉体が、前記エポキシ樹脂100重量部に対して250〜350重量部配合され、前記エポキシ樹脂は、エポキシ当量250以下のエポキシ樹脂70質量%以上と、エポキシ当量250を超えるエポキシ樹脂とが配合されてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ樹脂成形体とその製造方法に関し、特に、絶縁性と耐熱性が要求される各種電気機器の構成材料として好適に使用されるエポキシ樹脂成形体とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスマット等の補強材にエポキシ樹脂が含浸されてなるエポキシ樹脂成形体は、電気的特性や耐熱性に優れるという特徴を有しており、絶縁物の耐熱基準においては、ポリエステル樹脂がB種(130℃)にランク付けされているのに対して、エポキシ樹脂はF種(155℃)にランク付けされている。
斯かる特性に着目され、該エポキシ樹脂成形体は、一般的な電気絶縁板やその他の電気機器の構造材料として利用されており、更なる性能改善が期待されている。
【0003】
各種電気機器の構成材料としては、例えば、発電機等の回転機を構成する絶縁カラーや、ウェッジ、スペーサーギャップ材といった用途が挙げられるが、これらの用途においては、該エポキシ樹脂成形体に更なる耐熱性の向上と熱伝導性の向上とが求められる場合がある。
さらに、エポキシ樹脂成形体の製造に際しては、補強材へ樹脂を含浸させやすいという良好な作業性と、成形体に樹脂の欠けやピンホールなどを生じさせないという良好な成形性とが求められている。
【0004】
従来、このような要望に対し、エポキシ樹脂成形体の熱伝導性を高める方法としては、該エポキシ樹脂成形体に熱伝導性の高いアルミナやチッ化ホウ素などの充填材を配合する方法が知られている(特許文献1)。
また、エポキシ樹脂成形体の耐熱性を高める方法としては、エポキシ樹脂の架橋密度を高める方法が考えられる。
さらに、エポキシ樹脂成形体の製造に際して、作業性や成形性を改善するには、エポキシ樹脂を予備縮合させる方法(特許文献2)や、高分子量のエポキシ樹脂を使用する方法などが知られている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−310984号公報
【特許文献2】特開平6−166765号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術のように、エポキシ樹脂成形体の熱伝導性を更に高めるべく、熱伝導性の高い充填材をエポキシ樹脂成形体に配合した場合には、充填材の硬度が高く、補強材(例えばガラス繊維)を傷つけるために該エポキシ樹脂成形体の強度が低下するという問題があり、高強度を維持しつつ熱伝導性をさらに向上させるには限界があった。
【0007】
また、耐熱性を向上させるべくエポキシ樹脂の架橋密度を高めるためには、エポキシ当量の小さいエポキシ樹脂を使用する方法があるが、作業性が悪化したり、成形性に悪影響を及ぼすなどの問題があった。
【0008】
また、作業性や成形性を確保するべくエポキシ樹脂を予備縮合させる方法では、エポキ当量の小さいエポキシ樹脂を使用して架橋密度を高めることはできるが、予備縮合という煩雑な作業が必要となり、作業性に劣るものとなる。
一方、高分子量のエポキシ樹脂を使用する方法では、作業性に優れるもののエポキシ当量の小さいエポキシ樹脂を使用することができないため、架橋密度を高めることができず、耐熱性の向上を図ることができない。
【0009】
そこで本発明は、作業性と成形性とを良好に保ちつつ、耐熱性、熱伝導性および高強度を兼ね備えたエポキシ樹脂成形体を提供することを一の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決すべく、本発明のエポキシ樹脂成形体は、補強材にエポキシ樹脂が含浸されてなるエポキシ樹脂成形体であって、粒径15〜100μmの大粒径粒子群と粒径4μm未満の小粒径粒子群とを有する水酸化アルミニウム粉体が、前記エポキシ樹脂100重量部に対して250〜350重量部配合され、前記エポキシ樹脂は、エポキシ当量250以下のエポキシ樹脂70質量%以上と、エポキシ当量250を超えるエポキシ樹脂とが配合されてなることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のエポキシ樹脂成形体は、前記大粒径粒子群および小粒径粒子群が、前記水酸化アルミニウム粉体全量に対してそれぞれ30質量%以上含まれていることを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明のエポキシ樹脂成形体の製造方法は、エポキシ当量250以下のエポキシ樹脂70質量%以上と、エポキシ当量250を超えるエポキシ樹脂とが配合されてなるエポキシ樹脂100重量部に対し、粒径15〜100μmの大粒径粒子群と粒径4μm未満の小粒径粒子群とを有する水酸化アルミニウム粉体を250〜350重量部配合した後、補強材に含浸させることを特徴とする。
【0013】
また、本発明のエポキシ樹脂成形体の製造方法は、前記大粒径粒子群および小粒径粒子群が、前記水酸化アルミニウム粉体全量に対してそれぞれ30質量%以上含まれていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、大粒径粒子群と小粒径粒子群とからなる水酸化アルミニウム粉体を充填材として使用するため、エポキシ樹脂100重量部に対して250〜350重量部という高い割合で水酸化アルミニウム粉体を配合しても、作業性や成形性に悪影響を与えることなく、エポキシ樹脂中へ高密度で充填することが可能となる。
該水酸化アルミニウムはアルミナやチッ化ホウ素と比べて熱伝導性が低いが、これらアルミナやチッ化ホウ素と比べて硬度が低く、補強材を傷つけにくいものであるため、成形体の強度低下を招くことなくアルミナ等よりも高充填とすることが可能であり、結果として従来よりもエポキシ樹脂成形体の熱伝導性を高めることが可能となる。
【0015】
また、本発明では、エポキシ当量250以下のエポキシ樹脂が70質量%以上配合されてなるエポキシ樹脂を用いるため、エポキシ樹脂の架橋密度を高めることができ、成形体の耐熱性を向上させることができる。加えて、エポキシ当量250以下のエポキシ樹脂が70質量%以上配合されてなるエポキシ樹脂を用いれば、成形時の昇温によって低粘度となり、含浸性が増すために該水酸化アルミニウムの充填性をより一層高めることができる。
【0016】
そして、このように水酸化アルミニウムの配合割合を高めることができるため、エポキシ当量の低いエポキシ樹脂を70質量%以上使用しているにも拘わらず、高充填の水酸化アルミニウムが成形昇温時の低エポキシ当量エポキシ樹脂の急激な粘度低下での樹脂流出を抑えることになり、エポキシ樹脂の樹脂フローが良好となって作業性と成形性をも確保しうるという相乗効果がある。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明に係るエポキシ樹脂成形体およびその製造方法によれば、作業性と成形性とを良好に保ちつつ、耐熱性、熱伝導性および高強度を兼ね備えたエポキシ樹脂成形体を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係るエポキシ樹脂成形体について詳細に説明する。
本発明で使用するエポキシ樹脂は、エポキシ当量が250以下のもの(以下、エポキシ樹脂Aともいう)を70質量%以上配合されてなるものである。
ここで、エポキシ当量とは、1当量のエポキシ基を含む樹脂の質量(g)であり、JIS K7236に規定された方法に従って測定されるものである。
【0019】
前記エポキシ樹脂Aとしては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、等を使用することができる。また、エポキシ樹脂Aの市販品としては、「エピコート(登録商標)825」(エポキシ当量172〜178)、「エピコート828(エポキシ当量184〜194)」、(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、「エポトート(登録商標)YD−128」(エポキシ当量184〜194、東都化成(株)製)、「エピクロン(登録商標)840」(エポキシ当量180〜190)、「エピクロン850」(エポキシ当量184〜194)、「エピクロン830」(エポキシ当量:165〜185)(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、「スミエポキシ(登録商標)ELA−128」(エポキシ当量184〜194、住友化学(株)製)、「DER331」(エポキシ当量182〜192、ダウケミカル社製)等を挙げることができる。
【0020】
また、本発明で用いるエポキシ樹脂には、エポキシ当量が250を超えるエポキシ樹脂(以下、エポキシ樹脂Bともいう)を、30質量%以下の範囲で配合することができる。
該エポキシ樹脂Bとしては、特に限定されることなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等を使用することができる。また、該エポキシ樹脂Bの市販品としては、「エピコート1001(エポキシ当量450〜500)」、「エピコート1002(エポキシ当量600〜700)」、「エピコート1003(エポキシ当量670〜770)」、「エピコート1055(エポキシ当量800〜900)」、「エピコート1004(エポキシ当量875〜975)」(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)等を使用することができる。
【0021】
また、該エポキシ樹脂に添加する硬化剤としては、ジシアンジアミド(DICY)、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(DDM)などを使用することができる。
また、該硬化剤の市販品としては、「ジシアンジアミド」((株)喜多村製)、「セイカキュア」(DDS、和歌山精化工業製)、「スミキュアー」(DDM、住友化学工業製)などを使用することができる。
該硬化剤は、前記エポキシ樹脂(エポキシ樹脂Aおよびエポキシ樹脂Bの合計)100重量部に対し、概ね3〜25重量部添加すればよい。
【0022】
また、本発明で使用するエポキシ樹脂には、必要に応じて硬化促進剤を添加することもできる。該硬化促進剤としては、例えば、三フッ化ホウ素モノエチルアミン、イミダゾール等を挙げることができる。
該硬化促進剤は、前記エポキシ樹脂(エポキシ樹脂Aおよびエポキシ樹脂Bの合計)100重量部に対し、概ね0.5〜3重量部添加すればよい。
【0023】
一方、本発明で使用する水酸化アルミニウム粉体は、大粒径粒子群と小粒径粒子群とを有し、好ましくはこれら大粒径粒子群と小粒径粒子群との合計量が、水酸化アルミニウム粉体全量に対して60質量%以上のものである。
大粒径粒子群とは、粒径15〜100μmの範囲内にあるものであり、小粒径粒子群とは、粒径4μm未満のものである。
【0024】
また、本発明において使用する水酸化アルミニウム粉体は、大粒径粒子群と小粒径粒子群とを水酸化アルミニウム粉体全量に対してそれぞれ30質量%以上含んでなることが好ましく、35質量%以上含んでなることがより好ましく、40質量%以上含んでなることがさらに好ましい。
【0025】
このような大粒径粒子群と小粒径粒子群とからなる構成の水酸化アルミニウム粉体を用いることにより、大粒径粒子の間隙に小粒径粒子が入り込む状態となるため、従来技術に比して著しく充填率を高めることができる。即ち、該水酸化アルミニウム粉体の充填率を従来よりも高く(例えば、50〜70質量%)した場合であっても、補強材への含浸作業を円滑に行うことができ、作業性を低下させることがない。
【0026】
さらに、該水酸化アルミニウム粉体は、従来、高熱伝導性の充填材として使用されているアルミナやチッ化ホウ素等と比べて熱伝導率は小さいが、これを高充填(例えば、50〜70質量%)とすることにより、成形体としては熱伝導率が高いものとなる。
しかも、該水酸化アルミニウム粉体は、アルミナやチッ化ホウ素と比べて硬度が低いため、補強材を傷つけ難いという利点があり、従って、高充填とした場合でも該エポキシ樹脂成形体の曲げ強度等を低下させにくいという効果がある。
【0027】
尚、前記水酸化アルミニウム粉体の粒子径は、レーザー回折散乱法により測定されるものである。具体的には、ベックマン・コールター社製のレーザー回折粒度分布測定装置(LS 13 320)を用いて粒子径および分布を測定した結果を採用することができる。
【0028】
また、該水酸化アルミニウム粉体は、前記エポキシ樹脂100重量部に対して250〜350重量部配合するものであるが、好ましくは270〜330重量部、より好ましくは290〜310重量部とする。250重量部未満であれば成形体の熱伝導性が低下し、逆に350重量部を超えるとエポキシ樹脂の割合が減少し、成形体の強度や電気的特性に劣るものとなる。
【0029】
また、本発明で用いる補強材としては、エポキシ樹脂成形体を補強する材料であれば特に限定されないが、電気絶縁性の高いガラス質材料が好適である。該ガラス質材料としては、ガラスマットやガラスクロスを挙げることができる。特に、取り扱い性、補強信頼性、寸法安定性、強度、電気絶縁性に優れるという観点から、電気用Eガラス繊維を原料として用いたチョップドストランドガラスマットが好ましい。該ガラスマットの坪量は、100〜600g/m2が好ましく、200〜500g/m2がより好ましい。該チョップドストランドガラスマットの市販品の例としては、日本板硝子社製の「REM 300−G5」(坪量300g/m2)および「REM 450−E1」(坪量450g/m2)、日東紡績社製の「MC 300A−104SS」(坪量300g/m2)、「MC 380A−104SS」(坪量380g/m2)等を挙げることができる。
【0030】
次に、本発明に係るエポキシ樹脂成形体の製造方法の一実施形態について説明する。
該製造方法の一実施形態としては、先ず、エポキシ当量250以下のエポキシ樹脂が70質量%以上配合されてなるエポキシ樹脂と、硬化剤と、必要に応じて硬化促進剤および粘度調整用の溶剤(例えば、メチルエチルケトン、アセトン、ベンゼン、トルエンなど)とを前記配合割合にて混合し、さらに大粒径粒子群と小粒径粒子群とからなる水酸化アルミニウム粉体を前記配合割合にて混合してワニスを調製する。
そして、該ワニスを補強材に塗布して含浸させた後、例えば温度110〜150℃で2〜20分間加熱することにより、いわゆるプリプレグと呼ばれるBステージ状態のエポキシ樹脂成形体を得ることができる。
また、該Bステージ状態のプリプレグを複数枚積層し、好ましくは加熱下において、加圧し、Cステージ状態のエポキシ樹脂成形体としてもよい。
【実施例】
【0031】
以下、実施例を挙げて、本発明についてさらに詳細に説明する。
(実施例1)
エポキシ樹脂Aとして「エピコート828(エポキシ当量184〜194)」(ジャパンエポキシレジン(株)製)70重量部、エポキシ樹脂Bとして「エピコート1001(エポキシ当量184〜194)」(ジャパンエポキシレジン(株)製)30重量部、硬化剤としてDDS22重量部、硬化促進剤として三フッ化ホウ素モノエチルアミン1重量部を溶剤であるメチルエチルケトン80重量部に混合し、さらに粒径15〜100の大粒径粒子群40質量%と粒径4μm未満の小粒径粒子群40質量%とを有する水酸化アルミニウム粉体300重量部を加えて混合し、ワニスを調製した。そして、該ワニスを補強材としてのガラスマット「日本板硝子社製、REM360−E1」に含浸させ、120℃で10分間加熱することにより、Bステージ状態にあるプリプレグを調製した。さらに、そのプリプレグを6枚積み重ね、セパレータを介してステンレス板の間にセットし、プレス機によってプレス圧力10MPaの実圧をかけた状態で、温度150℃から180℃まで90分間かけて昇温させることによって加熱し、厚み3mmの実施例1のガラスマット積層板(Cステージ)を得た。
【0032】
(実施例2)
エポキシ樹脂Aとしての「エピコート828」を80重量部とし、エポキシ樹脂Bとしての「エピコート1001」を20重量部とすることを除き、他は実施例1と同様にして実施例2のガラスマット積層板を作製した。
【0033】
(実施例3)
エポキシ樹脂Aとしての「エピコート828」を90重量部とし、エポキシ樹脂Bとしての「エピコート1001」を10重量部とすることを除き、他は実施例1と同様にして実施例3のガラスマット積層板を作製した。
【0034】
(比較例1)
エポキシ樹脂Aとしての「エピコート828」を100重量部とし、エポキシ樹脂Bとしての「エピコート1001」を使用しないことを除き、他は実施例1と同様にして実施例4のガラスマット積層板を作製した。
【0035】
(比較例2)
エポキシ樹脂Aとしての「エピコート828」を60重量部とし、エポキシ樹脂Bとしての「エピコート1001」を40重量部とすることを除き、他は実施例1と同様にして比較例1のガラスマット積層板を作製した。
【0036】
前記実施例および比較例のエポキシ樹脂成形体に用いたワニスについて、成形性、強度、ガラス転移点(Tg)、および熱伝導率を測定した。測定方法を以下に示すとともに、得られた測定結果を表1に示す。
【0037】
成形性
実施例および比較例のエポキシ樹脂成形体の表面を目視により観察し、樹脂の欠けやピンホールがないか否かを調べた。そして、樹脂の欠けやピンホールなどがなく、表面状態が良好であるものを○、樹脂の欠けやピンホールなどが認められ、表面状態が不良であるものを×、また、その中間のものを△として、3段階で評価した。
尚、ここで成形性が良好である場合は、ワニスの塗布作業においてワニスが取り扱い易く、作業性も良好であることを示す。
【0038】
強度
JIS K 6911に規定された「5.17 曲げ強さ及び曲げ弾性率」に基づき、得られたエポキシ樹脂成形体の曲げ強度を測定した。
【0039】
ガラス転移点
JIS C 6481に規定された「5.17 ガラス転移温度 Tg(DMA法)」に基づき、得られたエポキシ樹脂成形体のガラス転移点(Tg)を測定した。
【0040】
熱伝導率
ASTM−E1530に規定された「熱流量計による熱透過性評価に関する標準試験」に基づき、得られたエポキシ樹脂成形体の熱伝導率を測定した。
【0041】
【表1】

【0042】
(実施例5)
水酸化アルミニウム粉体の配合量(樹脂100重量部に対して)を250重量部とすることを除き、他は実施例1と同様にして実施例5のガラスマット積層体を作製した。
【0043】
(実施例6)
水酸化アルミニウム粉体の配合量(樹脂100重量部に対して)を350重量部とすることを除き、他は実施例1と同様にして実施例6のガラスマット積層体を作製した。
【0044】
(比較例3)
水酸化アルミニウム粉体の配合量(樹脂100重量部に対して)を200重量部とすることを除き、他は実施例1と同様にして比較例3のガラスマット積層体を作製した。
【0045】
(比較例4)
水酸化アルミニウム粉体の配合量(樹脂100重量部に対して)を375重量部とすることを除き、他は実施例1と同様にして比較例4のガラスマット積層体を作製した。
【0046】
(比較例5)
水酸化アルミニウム粉体として、大粒径粒子群の割合が100質量%のものを使用することを除き、他は実施例1と同様にして比較例5のガラスマット積層体を作製した。
【0047】
(比較例6)
水酸化アルミニウム粉体として、小粒径粒子群の割合が100質量%のものを使用することを除き、他は実施例1と同様にして比較例6のガラスマット積層体を作製した。
【0048】
これら実施例および比較例のエポキシ樹脂成形体について、上記と同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0049】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係るエポキシ樹脂成形体は、一般的な電気絶縁板として使用されるだけでなく、他の電気機器の構成材料としても広く使用することができる。電気機器の構成材料としては、例えば、モータや発電機等の回転機に用いられる絶縁カラー、ウェッジ、スペーサー材などに最適であり、本発明に係るエポキシ樹脂成形体の高熱伝導性を生かし、機器の高性能化設計に応用展開が期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
補強材にエポキシ樹脂が含浸されてなるエポキシ樹脂成形体であって、
粒径15〜100μmの大粒径粒子群と粒径4μm未満の小粒径粒子群とを有する水酸化アルミニウム粉体が、前記エポキシ樹脂100重量部に対して250〜350重量部配合され、
前記エポキシ樹脂は、エポキシ当量250以下のエポキシ樹脂が70質量%以上と、エポキシ当量250を超えるエポキシ樹脂とが配合されてなることを特徴とするエポキシ樹脂成形体。
【請求項2】
前記大粒径粒子群および小粒径粒子群が、前記水酸化アルミニウム粉体全量に対してそれぞれ30質量%以上含まれていることを特徴とする請求項1記載のエポキシ樹脂成形体。
【請求項3】
エポキシ当量250以下のエポキシ樹脂70質量%以上と、エポキシ当量250を超えるエポキシ樹脂とが配合されてなるエポキシ樹脂100重量部に対し、粒径15〜100μmの大粒径粒子群と粒径4μm未満の小粒径粒子群とを有する水酸化アルミニウム粉体を250〜350重量部配合した後、補強材に含浸させることを特徴とするエポキシ樹脂成形体の製造方法。
【請求項4】
前記大粒径粒子群および小粒径粒子群が、前記水酸化アルミニウム粉体全量に対してそれぞれ30質量%以上含まれていることを特徴とする請求項3記載のエポキシ樹脂成形体の製造方法。

【公開番号】特開2006−137807(P2006−137807A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−326734(P2004−326734)
【出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【出願人】(000190611)日東シンコー株式会社 (104)
【Fターム(参考)】