エレベータの通報システム
【課題】エレベータ利用者による操作で通報された連絡事項の内容を管理センターで整然と把握でき、またそれを容易に再確認でき、エレベータ利用者の要請に的確に応えることができるエレベータの通報装置を提供することにある。
【解決手段】エレベータ利用者による操作で、エレベータに対する不具合、苦情、改善要望等の連絡事項をエレベータを管理する管理センターに通報する通報システムであって、
エレベータ利用者が操作して前記連絡事項を電子メール用の文書データとして入力することが可能な通報装置10を備え、この通報装置10に入力された連絡事項の文書データを電子メールとしてインターネット網を介してエレベータの管理センターの端末13に送信する。
【解決手段】エレベータ利用者による操作で、エレベータに対する不具合、苦情、改善要望等の連絡事項をエレベータを管理する管理センターに通報する通報システムであって、
エレベータ利用者が操作して前記連絡事項を電子メール用の文書データとして入力することが可能な通報装置10を備え、この通報装置10に入力された連絡事項の文書データを電子メールとしてインターネット網を介してエレベータの管理センターの端末13に送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータ利用者がエレベータを管理する管理センターに所要の連絡事項を通報するための通報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータ利用者が外部に通報して連絡を取る手段としては、乗りかご内に設けられたインターホンを用いる方法が一般的である(特許文献1参照)。
【0003】
すなわち、エレベータの異常や緊急事態が発生したようなときに、エレベータ利用者が外部の管理センタに通じる通報ボタンを押し、インターホンを通してその管理センターにエレベータの異常や緊急事態を通報するようになっている。
【特許文献1】特開2005−162367公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のインターホンを用いる通報手段は、あくまでも非常時を対象としていて、エレベータに対する日常的な不具合、苦情、改善要望等の連絡には適していない。もし、緊急性の低い日常的な不具合、苦情、改善要望等をインターホンで逐一管理センターに通報するようなことがあると管理センターで混乱が生じ、真に緊急性の高い通報があったときの対応に遅れが生じる恐れがある。
【0005】
また、インターホンによる通報では、音声をそのまま管理センタに送って用件を伝えることになるため、管理センタの担当者が内容を聞き違えたり、再確認がしにくかったりする難点がある。
【0006】
この発明はこのような点に着目してなされたもので、その目的とするところは、通報の内容を管理センターで整然と把握でき、また容易に再確認でき、エレベータ利用者の要請に的確に応えることができるエレベータの通報装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、エレベータ利用者による操作で、エレベータに対する不具合、苦情、改善要望等の連絡事項をエレベータを管理する管理センターに通報する通報システムであって、エレベータ利用者が操作して前記連絡事項を入力することが可能な通報装置と、前記通報装置に入力された前記連絡事項をインターネット網を介してエレベータの管理センターに送信することが可能な送信手段とを備えることを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明は、前記通報装置には連絡事項を文書データまたは音声データとして入力することが可能で、前記送信手段によりその文書データまたは音声データをインターネット網を介して管理センターに送信することが可能なことを特徴としている。
【0009】
請求項3の発明は、前記通報装置が、入力された連絡事項としての文書データまたは音声データを保存する記録装置を備えることを特徴としている。
【0010】
請求項4の発明は、前記連絡事項が通報される管理センターは、その連絡事項に対する回答をエレベータ利用者に返信することが可能な返信手段を備えることを特徴としている。
【0011】
請求項5の発明は、エレベータ利用者により管理センターに寄せられた複数の連絡事項の情報を蓄積し、その蓄積した連絡事項の情報をエレベータ利用者に対して表示する表示手段を備えることを特徴としている。
【0012】
請求項6の発明は、前記通報装置の周辺を撮影して監視することが可能な監視手段、およびこの監視手段により管理センターにおいて前記通報装置がいたずらされていると判断したときに、それに対する警告を発する警告手段を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、エレベータ利用者による操作で通報された連絡事項の内容を管理センターで整然と把握でき、またそれを容易に再確認でき、したがってエレベータ利用者の要請に的確に応えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1ないし図3にはこの発明の第1の実施形態を示してある。図1に示すように、建物のエレベータ乗り場1にはエレベータ乗降口2およびその乗降口2を開閉するドア装置3が設けられている。乗降口2の脇には乗り場操作盤4が設けられ、この乗り場操作盤4にかご呼びボタン5およびかご位置表示器6が設けられている。
【0016】
さらに、乗り場操作盤4の脇にその乗り場操作盤4と並んでワードプロセッサーやマイクロプロセッサー等を備える通報装置10が設けられている。この通報装置10は図2に示すようにインターネット網11を介して前記建物のエレベータを管理する外部の管理センターにおける端末13(パソコン)と接続可能となっている。
【0017】
通報装置10はケーシング14を備え、このケーシング14の表面にキー入力部15および表示部16が設けられている。キー入力部15には、文字、数字、記号等を入力して所要の文書データを作成するための各種の操作キー15aが設けられ、その操作キー15aの操作で作成された文書データが表示部16に表示されるようになっている。表示部16は例えば液晶パネルを用いて構成されている。
【0018】
さらに、入力部15には送信キー15bが設けられ、この送信キー15bを操作することで、通報装置10がインターネット網11を介して管理センタ12の端末13の電子メールアドレスに接続され、前記表示部16に表示された文書データが電子メールとしてその端末13に送信されるようになっている。
また、管理センターに設けられた端末13は、キー入力部18、ディスプレイ19、スピーカー20等を備えている。
【0019】
このような通報システムでは、図3に示す処理手順の流れでエレベータ利用者と管理センタの担当者との間で連絡が取られる。すなわち、エレベータについての不具合、苦情、改善要望等の特に緊急性の高くない連絡事項がある場合に、乗り場1においてエレベータ利用者が通報装置10の所要の操作キー15aを操作し(S1)、例えば『エレベータから異音がしています。すぐ直してください。』という電子メール用の文書データを作成し(S2)、表示部16に表示させる(S3)。
【0020】
次に、送信キー15bを押し、連絡事項としての前記文書データをインターネット網11を介して管理センターの端末13に送信する(S4)。そして管理センターの担当者が端末13を操作し、送信された文書データを端末13のディスプレイ19に表示してその内容を確認し(S5)、その連絡事項に対応する。
なお、管理センターの端末13に送信された文書データは端末13に保存され、任意に呼び出すことができる。
【0021】
このような通報システムによれば、エレベータに対する日常的な不具合、苦情、改善要望等の連絡事項を電子メールの文書データとして管理センターの端末13に送信して通報することができ、したがって管理センターではその通報の内容を整然と整理して把握でき、その内容に応じた対応を的確にとることができ、またその通報内容を容易に再確認することができる。
【0022】
図4および図5には第2の実施形態を示してあり、この実施形態においては、通報装置10のケーシング14に前記第1の実施形態の場合と同様に、入力部15および表示部16が設けられていると共に、さらに通話ボタン22およびマイクロホン23が設けられている。そして、マイクロホン23を介して入力されるアナログ音声信号をデジタル音声信号に変換して音声データとする音声認識装置24がケーシング14内に内蔵され、前記音声データをインターネット網11を通して管理センターの端末13に送信することが可能となっている。
【0023】
この実施形態の場合には、前記第1の実施形態の場合と同様に、乗り場1においてエレベータ利用者が通報装置10の所要の操作キー15aを操作して通報用の文書データを作成する。
【0024】
さらに、通報装置10の通話ボタン22を押し、マイクロホン23に向って通報用の言葉を発してその言葉による音声データを作成する。この後、送信キー15bを操作し、前記文書データおよび音声データをインターネット網11を介して管理センターの端末13に送信する。送信された文書データおよび音声データはそれぞれ端末13に保存される。管理センターの担当者は端末13を操作して前記文書データをディスプレイ19に表示して確認し、また前記音声データをスピーカー20で再生して確認する。
【0025】
なお、この実施形態の場合には、特に電子メールとして送信する文書データを作成せずに、音声の入力による音声データのみを作成し、その音声データのみを管理センターに送信して通報することも可能である。
【0026】
この実施形態においても、エレベータに対する日常的な不具合、苦情、改善要望等の連絡事項を文書データや音声データとして管理センターの端末13に送信して通報することができ、したがって管理センターではその通報の内容を整然と整理して把握でき、その内容に応じた対応を的確にとることができ、またその通報内容を容易に再確認することができる。
【0027】
図6および図7には第3の実施形態を示してある。この実施形態においては前記第1の実施形態の構成に加え、エレベータ乗り場1に回答用の表示装置26が設けられている。この表示装置26は例えば液晶パネルを用いて構成されている。
【0028】
この実施形態では、エレベータ乗り場1でエレベータ利用者が通報装置10を操作して通報用の文書データを管理センターの端末13にインターネット網11を介して送信し、その内容が管理センターの担当者により確認された際に、図7に示すようにその回答である例えば『ご連絡ありがとうございます。至急伺い、点検、修理します。』という文書データが表示装置26にインターネット網11を介して送信され、その文書データの文面が表示装置26に表示される。
【0029】
したがってこの実施形態の場合には、エレベータ利用者がエレベータ乗り場1で表示装置26を見ることにより、通報済みの内容が管理センターにおいて確認され、その通報に対する対応がとられることを知ることができ、エレベータ利用者に対するサービス性が向上する。
【0030】
図8および図9には第4の実施形態を示してあり、この実施形態においてはエレベータ乗り場1に情報確認用の表示装置27が設けられている。この表示装置27は例えば液晶パネルを用いて構成されている。
【0031】
この実施形態では、エレベータ乗り場1の通報装置10を介して管理センターの端末13に送信された文書データや音声データがその端末13に蓄積され、その蓄積されたデータ内容が管理センターの端末13からエレベータ乗り場1の表示装置27に送信され、そのデータ内容つまり既に管理センターに寄せられている通報の内容、例えば『1.照明が暗い 2.到着までの時間をアナウンスしてほしい 3.……』のような内容が表示装置26に表示される。
【0032】
したがってこの実施形態の場合には、エレベータ利用者がエレベータ乗り場1で表示装置27を見ることにより、現在までに管理センターに通報済みである情報を知ることができ、このため重複する内容の連絡事項を管理センターに無駄に通報してしまうようなこと避けることができ、エレベータ利用者に対するサービス性が向上する。
【0033】
図10および図11には第5の実施形態を示してある。この実施形態においては、前記第2の実施形態の構成に加え、エレベータ乗り場1に監視カメラ25が設けられ、この監視カメラ25で通報装置10を含むエレベータ乗り場1の周辺を撮影し、その画像を管理センタのモニターで確認することができるようになっている。また、エレベータ乗り場1には警報手段としてスピーカー28が設けられている。
【0034】
この実施形態においては、通報装置10を介して管理センターの端末13に送信されてくる文書データや音声データの内容からいたずらで通報装置10が操作されていると判断した場合に、まず監視カメラ25を介してエレベータ乗り場1の状況を把握する。そして、通報装置10が子供や不審者によりいたずらで操作されていることが確認されたときに、管理センターの端末13を操作していたずらを止めるよう、例えば『このエレベータは監視カメラで監視しています。イタズラを止めてください。』というような警告の文書データをインターネット網11を介して通報装置10に送信し、その文面を表示部16に表示する。さらに、スピーカー28を介してエレベータ乗り場1に音声による警告をアナウンスする。
【0035】
したがってこの実施形態の場合には、エレベータ乗り場1で通報装置10がいたずら等により不正に操作されたときに、それを管理センターで確認してその不正行為を止めるように注意し、不正な行為が繰り返されるような事態を防止することができる。
【0036】
図12には第6の実施形態を示してある。この実施形態においては、通報装置10のケーシング14に前記第1の実施形態の場合と同様に、入力部15および表示部16が設けられていると共に、入力部15の操作キー15aの操作で作成された文書データを登録して保存するための記録装置30が内蔵され、この記録装置30へ前記文書データを登録するのための登録キー15cおよびその登録された文書データを呼出すための呼出しキー15dが入力部15に設けられている。
【0037】
この実施形態の場合には、まず、乗り場1においてエレベータ利用者が入力部15の所要の操作キー15aを操作して通報用の文書データを作成する。この作成した文書データの文面は表示部16に表示される。エレベータ利用者は表示部16に表示された文書データの文面内容を確認し、その確認後に登録キー15cを操作して前記文書データを記録装置30に保存する。
【0038】
この後、エレベータの定期点検のために、管理センターの担当者(サービスマン)がエレベータ乗り場1に訪れた際に、その担当者が通報装置10の呼出しキー15dを操作して記録装置30に保存されている通報用の文書データを呼出し、表示部16に表示させてその内容を確認する。
【0039】
したがってこの実施形態においては、管理センターの担当者(サービスマン)がエレベータ乗り場1に訪れて保守点検を行なう際に、通報装置10を介して通報されているエレベータ利用者の要望や苦情等に応じる処置をその保守点検の作業時にそれと併せて効率よく実施することができる。
【0040】
図13には第7の実施形態を示してあり、この実施形態においては、通報装置10のケーシング14に前記第2の実施形態の場合と同様に、入力部15および表示部16が設けられていると共に、通話ボタン22およびマイクロホン23並びにスピーカー29が設けられている。そして、マイクロホン23を介して入力されるアナログ音声信号をデジタル音声信号に変換して音声データとする音声認識装置24、およびその音声データを登録して保存するための記録装置31が内蔵され、この記録装置31へ前記音声データを登録するのための登録キー15cおよびその登録された音声データを呼出すための呼出しキー15dが入力部15に設けられている。
【0041】
この実施形態の場合には、まず、乗り場1においてエレベータ利用者が通報装置10の通話ボタン22を押し、マイクロホン23に向って通報用の言葉を発してその言葉による音声データを作成する。この後、登録キー15cを操作し、前記音声データを記録装置31に保存する。
【0042】
この後、エレベータの定期点検のために、管理センターの担当者(サービスマン)がエレベータ乗り場1に訪れた際に、その担当者が通報装置10の呼出しキー15dを操作して記録装置31に保存されている通報用の音声データを呼出し、スピーカー29を介して再生してその内容を確認する。
【0043】
したがってこの実施形態においても、管理センターの担当者(サービスマン)がエレベータ乗り場1に訪れて保守点検を行なう際に、通報装置10を介して通報されているエレベータ利用者の要望や苦情等に応じる処置をその保守点検の作業時にそれと併せて効率よく実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る通報システムを備えるエレベータ乗り場の外観を示す正面図。
【図2】その通報システムの構成を示す説明図。
【図3】その通報システムの処理手順の流れを示すフローチャート。
【図4】この発明の第2の実施形態に係る通報システムを備えるエレベータホールの外観を示す正面図。
【図5】その通報システムの構成を示す説明図。
【図6】この発明の第3の実施形態に係る通報システムの構成を示す説明図。
【図7】その通報システムの表示装置を示す正面図。
【図8】この発明の第4の実施形態に係る通報システムの構成を示す説明図。
【図9】その通報システムの表示装置を示す正面図。
【図10】この発明の第5の実施形態に係る通報システムを備えるエレベータ乗り場の外観を示す正面図。
【図11】その通報システムの構成を示す説明図。
【図12】この発明の第6の実施形態に係る通報システムの通報装置を示す正面図。
【図13】この発明の第7の実施形態に係る通報システムの通報装置を示す正面図。
【符号の説明】
【0045】
1…エレベータ乗り場
3…ドア装置
4…乗り場操作盤
10…通報装置
11…インターネット網
12…管理センター
13…端末
14…ケーシング
15…キー入力部
16…表示部
22…通話ボタン
23…マイクロホン
24…音声認識装置
25…監視カメラ
26…表示装置
27…表示装置
28…スピーカー
29…スピーカー
30…記録装置
31…記録装置
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータ利用者がエレベータを管理する管理センターに所要の連絡事項を通報するための通報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータ利用者が外部に通報して連絡を取る手段としては、乗りかご内に設けられたインターホンを用いる方法が一般的である(特許文献1参照)。
【0003】
すなわち、エレベータの異常や緊急事態が発生したようなときに、エレベータ利用者が外部の管理センタに通じる通報ボタンを押し、インターホンを通してその管理センターにエレベータの異常や緊急事態を通報するようになっている。
【特許文献1】特開2005−162367公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のインターホンを用いる通報手段は、あくまでも非常時を対象としていて、エレベータに対する日常的な不具合、苦情、改善要望等の連絡には適していない。もし、緊急性の低い日常的な不具合、苦情、改善要望等をインターホンで逐一管理センターに通報するようなことがあると管理センターで混乱が生じ、真に緊急性の高い通報があったときの対応に遅れが生じる恐れがある。
【0005】
また、インターホンによる通報では、音声をそのまま管理センタに送って用件を伝えることになるため、管理センタの担当者が内容を聞き違えたり、再確認がしにくかったりする難点がある。
【0006】
この発明はこのような点に着目してなされたもので、その目的とするところは、通報の内容を管理センターで整然と把握でき、また容易に再確認でき、エレベータ利用者の要請に的確に応えることができるエレベータの通報装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、エレベータ利用者による操作で、エレベータに対する不具合、苦情、改善要望等の連絡事項をエレベータを管理する管理センターに通報する通報システムであって、エレベータ利用者が操作して前記連絡事項を入力することが可能な通報装置と、前記通報装置に入力された前記連絡事項をインターネット網を介してエレベータの管理センターに送信することが可能な送信手段とを備えることを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明は、前記通報装置には連絡事項を文書データまたは音声データとして入力することが可能で、前記送信手段によりその文書データまたは音声データをインターネット網を介して管理センターに送信することが可能なことを特徴としている。
【0009】
請求項3の発明は、前記通報装置が、入力された連絡事項としての文書データまたは音声データを保存する記録装置を備えることを特徴としている。
【0010】
請求項4の発明は、前記連絡事項が通報される管理センターは、その連絡事項に対する回答をエレベータ利用者に返信することが可能な返信手段を備えることを特徴としている。
【0011】
請求項5の発明は、エレベータ利用者により管理センターに寄せられた複数の連絡事項の情報を蓄積し、その蓄積した連絡事項の情報をエレベータ利用者に対して表示する表示手段を備えることを特徴としている。
【0012】
請求項6の発明は、前記通報装置の周辺を撮影して監視することが可能な監視手段、およびこの監視手段により管理センターにおいて前記通報装置がいたずらされていると判断したときに、それに対する警告を発する警告手段を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、エレベータ利用者による操作で通報された連絡事項の内容を管理センターで整然と把握でき、またそれを容易に再確認でき、したがってエレベータ利用者の要請に的確に応えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1ないし図3にはこの発明の第1の実施形態を示してある。図1に示すように、建物のエレベータ乗り場1にはエレベータ乗降口2およびその乗降口2を開閉するドア装置3が設けられている。乗降口2の脇には乗り場操作盤4が設けられ、この乗り場操作盤4にかご呼びボタン5およびかご位置表示器6が設けられている。
【0016】
さらに、乗り場操作盤4の脇にその乗り場操作盤4と並んでワードプロセッサーやマイクロプロセッサー等を備える通報装置10が設けられている。この通報装置10は図2に示すようにインターネット網11を介して前記建物のエレベータを管理する外部の管理センターにおける端末13(パソコン)と接続可能となっている。
【0017】
通報装置10はケーシング14を備え、このケーシング14の表面にキー入力部15および表示部16が設けられている。キー入力部15には、文字、数字、記号等を入力して所要の文書データを作成するための各種の操作キー15aが設けられ、その操作キー15aの操作で作成された文書データが表示部16に表示されるようになっている。表示部16は例えば液晶パネルを用いて構成されている。
【0018】
さらに、入力部15には送信キー15bが設けられ、この送信キー15bを操作することで、通報装置10がインターネット網11を介して管理センタ12の端末13の電子メールアドレスに接続され、前記表示部16に表示された文書データが電子メールとしてその端末13に送信されるようになっている。
また、管理センターに設けられた端末13は、キー入力部18、ディスプレイ19、スピーカー20等を備えている。
【0019】
このような通報システムでは、図3に示す処理手順の流れでエレベータ利用者と管理センタの担当者との間で連絡が取られる。すなわち、エレベータについての不具合、苦情、改善要望等の特に緊急性の高くない連絡事項がある場合に、乗り場1においてエレベータ利用者が通報装置10の所要の操作キー15aを操作し(S1)、例えば『エレベータから異音がしています。すぐ直してください。』という電子メール用の文書データを作成し(S2)、表示部16に表示させる(S3)。
【0020】
次に、送信キー15bを押し、連絡事項としての前記文書データをインターネット網11を介して管理センターの端末13に送信する(S4)。そして管理センターの担当者が端末13を操作し、送信された文書データを端末13のディスプレイ19に表示してその内容を確認し(S5)、その連絡事項に対応する。
なお、管理センターの端末13に送信された文書データは端末13に保存され、任意に呼び出すことができる。
【0021】
このような通報システムによれば、エレベータに対する日常的な不具合、苦情、改善要望等の連絡事項を電子メールの文書データとして管理センターの端末13に送信して通報することができ、したがって管理センターではその通報の内容を整然と整理して把握でき、その内容に応じた対応を的確にとることができ、またその通報内容を容易に再確認することができる。
【0022】
図4および図5には第2の実施形態を示してあり、この実施形態においては、通報装置10のケーシング14に前記第1の実施形態の場合と同様に、入力部15および表示部16が設けられていると共に、さらに通話ボタン22およびマイクロホン23が設けられている。そして、マイクロホン23を介して入力されるアナログ音声信号をデジタル音声信号に変換して音声データとする音声認識装置24がケーシング14内に内蔵され、前記音声データをインターネット網11を通して管理センターの端末13に送信することが可能となっている。
【0023】
この実施形態の場合には、前記第1の実施形態の場合と同様に、乗り場1においてエレベータ利用者が通報装置10の所要の操作キー15aを操作して通報用の文書データを作成する。
【0024】
さらに、通報装置10の通話ボタン22を押し、マイクロホン23に向って通報用の言葉を発してその言葉による音声データを作成する。この後、送信キー15bを操作し、前記文書データおよび音声データをインターネット網11を介して管理センターの端末13に送信する。送信された文書データおよび音声データはそれぞれ端末13に保存される。管理センターの担当者は端末13を操作して前記文書データをディスプレイ19に表示して確認し、また前記音声データをスピーカー20で再生して確認する。
【0025】
なお、この実施形態の場合には、特に電子メールとして送信する文書データを作成せずに、音声の入力による音声データのみを作成し、その音声データのみを管理センターに送信して通報することも可能である。
【0026】
この実施形態においても、エレベータに対する日常的な不具合、苦情、改善要望等の連絡事項を文書データや音声データとして管理センターの端末13に送信して通報することができ、したがって管理センターではその通報の内容を整然と整理して把握でき、その内容に応じた対応を的確にとることができ、またその通報内容を容易に再確認することができる。
【0027】
図6および図7には第3の実施形態を示してある。この実施形態においては前記第1の実施形態の構成に加え、エレベータ乗り場1に回答用の表示装置26が設けられている。この表示装置26は例えば液晶パネルを用いて構成されている。
【0028】
この実施形態では、エレベータ乗り場1でエレベータ利用者が通報装置10を操作して通報用の文書データを管理センターの端末13にインターネット網11を介して送信し、その内容が管理センターの担当者により確認された際に、図7に示すようにその回答である例えば『ご連絡ありがとうございます。至急伺い、点検、修理します。』という文書データが表示装置26にインターネット網11を介して送信され、その文書データの文面が表示装置26に表示される。
【0029】
したがってこの実施形態の場合には、エレベータ利用者がエレベータ乗り場1で表示装置26を見ることにより、通報済みの内容が管理センターにおいて確認され、その通報に対する対応がとられることを知ることができ、エレベータ利用者に対するサービス性が向上する。
【0030】
図8および図9には第4の実施形態を示してあり、この実施形態においてはエレベータ乗り場1に情報確認用の表示装置27が設けられている。この表示装置27は例えば液晶パネルを用いて構成されている。
【0031】
この実施形態では、エレベータ乗り場1の通報装置10を介して管理センターの端末13に送信された文書データや音声データがその端末13に蓄積され、その蓄積されたデータ内容が管理センターの端末13からエレベータ乗り場1の表示装置27に送信され、そのデータ内容つまり既に管理センターに寄せられている通報の内容、例えば『1.照明が暗い 2.到着までの時間をアナウンスしてほしい 3.……』のような内容が表示装置26に表示される。
【0032】
したがってこの実施形態の場合には、エレベータ利用者がエレベータ乗り場1で表示装置27を見ることにより、現在までに管理センターに通報済みである情報を知ることができ、このため重複する内容の連絡事項を管理センターに無駄に通報してしまうようなこと避けることができ、エレベータ利用者に対するサービス性が向上する。
【0033】
図10および図11には第5の実施形態を示してある。この実施形態においては、前記第2の実施形態の構成に加え、エレベータ乗り場1に監視カメラ25が設けられ、この監視カメラ25で通報装置10を含むエレベータ乗り場1の周辺を撮影し、その画像を管理センタのモニターで確認することができるようになっている。また、エレベータ乗り場1には警報手段としてスピーカー28が設けられている。
【0034】
この実施形態においては、通報装置10を介して管理センターの端末13に送信されてくる文書データや音声データの内容からいたずらで通報装置10が操作されていると判断した場合に、まず監視カメラ25を介してエレベータ乗り場1の状況を把握する。そして、通報装置10が子供や不審者によりいたずらで操作されていることが確認されたときに、管理センターの端末13を操作していたずらを止めるよう、例えば『このエレベータは監視カメラで監視しています。イタズラを止めてください。』というような警告の文書データをインターネット網11を介して通報装置10に送信し、その文面を表示部16に表示する。さらに、スピーカー28を介してエレベータ乗り場1に音声による警告をアナウンスする。
【0035】
したがってこの実施形態の場合には、エレベータ乗り場1で通報装置10がいたずら等により不正に操作されたときに、それを管理センターで確認してその不正行為を止めるように注意し、不正な行為が繰り返されるような事態を防止することができる。
【0036】
図12には第6の実施形態を示してある。この実施形態においては、通報装置10のケーシング14に前記第1の実施形態の場合と同様に、入力部15および表示部16が設けられていると共に、入力部15の操作キー15aの操作で作成された文書データを登録して保存するための記録装置30が内蔵され、この記録装置30へ前記文書データを登録するのための登録キー15cおよびその登録された文書データを呼出すための呼出しキー15dが入力部15に設けられている。
【0037】
この実施形態の場合には、まず、乗り場1においてエレベータ利用者が入力部15の所要の操作キー15aを操作して通報用の文書データを作成する。この作成した文書データの文面は表示部16に表示される。エレベータ利用者は表示部16に表示された文書データの文面内容を確認し、その確認後に登録キー15cを操作して前記文書データを記録装置30に保存する。
【0038】
この後、エレベータの定期点検のために、管理センターの担当者(サービスマン)がエレベータ乗り場1に訪れた際に、その担当者が通報装置10の呼出しキー15dを操作して記録装置30に保存されている通報用の文書データを呼出し、表示部16に表示させてその内容を確認する。
【0039】
したがってこの実施形態においては、管理センターの担当者(サービスマン)がエレベータ乗り場1に訪れて保守点検を行なう際に、通報装置10を介して通報されているエレベータ利用者の要望や苦情等に応じる処置をその保守点検の作業時にそれと併せて効率よく実施することができる。
【0040】
図13には第7の実施形態を示してあり、この実施形態においては、通報装置10のケーシング14に前記第2の実施形態の場合と同様に、入力部15および表示部16が設けられていると共に、通話ボタン22およびマイクロホン23並びにスピーカー29が設けられている。そして、マイクロホン23を介して入力されるアナログ音声信号をデジタル音声信号に変換して音声データとする音声認識装置24、およびその音声データを登録して保存するための記録装置31が内蔵され、この記録装置31へ前記音声データを登録するのための登録キー15cおよびその登録された音声データを呼出すための呼出しキー15dが入力部15に設けられている。
【0041】
この実施形態の場合には、まず、乗り場1においてエレベータ利用者が通報装置10の通話ボタン22を押し、マイクロホン23に向って通報用の言葉を発してその言葉による音声データを作成する。この後、登録キー15cを操作し、前記音声データを記録装置31に保存する。
【0042】
この後、エレベータの定期点検のために、管理センターの担当者(サービスマン)がエレベータ乗り場1に訪れた際に、その担当者が通報装置10の呼出しキー15dを操作して記録装置31に保存されている通報用の音声データを呼出し、スピーカー29を介して再生してその内容を確認する。
【0043】
したがってこの実施形態においても、管理センターの担当者(サービスマン)がエレベータ乗り場1に訪れて保守点検を行なう際に、通報装置10を介して通報されているエレベータ利用者の要望や苦情等に応じる処置をその保守点検の作業時にそれと併せて効率よく実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る通報システムを備えるエレベータ乗り場の外観を示す正面図。
【図2】その通報システムの構成を示す説明図。
【図3】その通報システムの処理手順の流れを示すフローチャート。
【図4】この発明の第2の実施形態に係る通報システムを備えるエレベータホールの外観を示す正面図。
【図5】その通報システムの構成を示す説明図。
【図6】この発明の第3の実施形態に係る通報システムの構成を示す説明図。
【図7】その通報システムの表示装置を示す正面図。
【図8】この発明の第4の実施形態に係る通報システムの構成を示す説明図。
【図9】その通報システムの表示装置を示す正面図。
【図10】この発明の第5の実施形態に係る通報システムを備えるエレベータ乗り場の外観を示す正面図。
【図11】その通報システムの構成を示す説明図。
【図12】この発明の第6の実施形態に係る通報システムの通報装置を示す正面図。
【図13】この発明の第7の実施形態に係る通報システムの通報装置を示す正面図。
【符号の説明】
【0045】
1…エレベータ乗り場
3…ドア装置
4…乗り場操作盤
10…通報装置
11…インターネット網
12…管理センター
13…端末
14…ケーシング
15…キー入力部
16…表示部
22…通話ボタン
23…マイクロホン
24…音声認識装置
25…監視カメラ
26…表示装置
27…表示装置
28…スピーカー
29…スピーカー
30…記録装置
31…記録装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ利用者による操作で、エレベータに対する不具合、苦情、改善要望等の連絡事項をエレベータを管理する管理センターに通報する通報システムであって、
エレベータ利用者が操作して前記連絡事項を入力することが可能な通報装置と、
前記通報装置に入力された前記連絡事項をインターネット網を介してエレベータの管理センターに送信することが可能な送信手段と、
を備えることを特徴とするエレベータの通報システム。
【請求項2】
前記通報装置には連絡事項を文書データまたは音声データとして入力することが可能で、前記送信手段によりその文書データまたは音声データをインターネット網を介して管理センターに送信することが可能なことを特徴とする請求項1に記載のエレベータの通報システム。
【請求項3】
前記通報装置は、入力された連絡事項としての文書データまたは音声データを保存する記録装置を備えることを特徴とする請求項2に記載のエレベータの通報システム。
【請求項4】
前記連絡事項が通報される管理センターは、その連絡事項に対する回答をエレベータ利用者に返信することが可能な返信手段を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のエレベータの通報システム。
【請求項5】
エレベータ利用者により管理センターに寄せられた複数の連絡事項の情報を蓄積し、その蓄積した連絡事項の情報をエレベータ利用者に対して表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のエレベータの通報システム。
【請求項6】
前記通報装置の周辺を撮影して監視することが可能な監視手段、およびこの監視手段により管理センターにおいて前記通報装置がいたずらされていると判断したときに、それに対する警告を発する警告手段を備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のエレベータの通報システム。
【請求項1】
エレベータ利用者による操作で、エレベータに対する不具合、苦情、改善要望等の連絡事項をエレベータを管理する管理センターに通報する通報システムであって、
エレベータ利用者が操作して前記連絡事項を入力することが可能な通報装置と、
前記通報装置に入力された前記連絡事項をインターネット網を介してエレベータの管理センターに送信することが可能な送信手段と、
を備えることを特徴とするエレベータの通報システム。
【請求項2】
前記通報装置には連絡事項を文書データまたは音声データとして入力することが可能で、前記送信手段によりその文書データまたは音声データをインターネット網を介して管理センターに送信することが可能なことを特徴とする請求項1に記載のエレベータの通報システム。
【請求項3】
前記通報装置は、入力された連絡事項としての文書データまたは音声データを保存する記録装置を備えることを特徴とする請求項2に記載のエレベータの通報システム。
【請求項4】
前記連絡事項が通報される管理センターは、その連絡事項に対する回答をエレベータ利用者に返信することが可能な返信手段を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のエレベータの通報システム。
【請求項5】
エレベータ利用者により管理センターに寄せられた複数の連絡事項の情報を蓄積し、その蓄積した連絡事項の情報をエレベータ利用者に対して表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のエレベータの通報システム。
【請求項6】
前記通報装置の周辺を撮影して監視することが可能な監視手段、およびこの監視手段により管理センターにおいて前記通報装置がいたずらされていると判断したときに、それに対する警告を発する警告手段を備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のエレベータの通報システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−190874(P2009−190874A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−35260(P2008−35260)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
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