説明

エレベータケージの位置を確認するための装置を有するエレベータ設備

【課題】ガイドトラック(7)のガイドフランジ(21)に沿って移動可能なエレベータカー(2)の位置を確認するための装置を備えたエレベータ設備を提供する。
【解決手段】長手方向のコードマークモデル(10)は、エレベータカー(2)の全移動経路に沿って移動方向(8)で固定して設けられており、エレベータカー(2)と共に移動できるコード読み取りセンサシステム(12)によって非接触で検出される。コード読み取りセンサシステム(11)は、移動方向(8)で固定して配置されるとともに、ホルダ(14)を用いてエレベータカー(2)上に装着されており、これにより、コード読み取りセンサシステム(11)がエレベータカー(2)の移動方向(8)と垂直な方向に移動でき、長手方向のコードマークパターン(10)と垂直な第1の方向(x)で、ローラガイド(15)をガイドフランジ(21)のガイド面(25)上で転動させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのガイドレールのガイドフランジに沿って移動可能なエレベータケージの位置を確認するための装置を有する特許請求の範囲に記載されたエレベータ設備に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータにおいて、この装置は、エレベータケージの位置を確認すると共に、そこから制御用のデータ信号を得る目的で使用される。位置情報は、エレベータケージ2の全移動経路に沿って固定されたコード化形式で加えられるとともに、コード読み取り装置によりコード化形式で読み取られて、評価ユニットに伝えられる。この評価装置は、読み取られたコード化位置情報を、制御装置によって理解できるように処理するとともに、その情報から、エレベータを制御するために伝えられる情報信号、いわゆるシャフトデータを得る。
【0003】
そのような装置は、独国実用新案第G9210996.9号明細書によって知られている。コード化された位置のステートメントは、エレベータケージの移動方向で且つその全行程高さにわたって、磁気ストリップの形態で固定的に加えられる。エレベータケージに固定され且つエレベータケージと共にコーディングの読み取り方向で磁気ストリップに対して移動可能なセンサヘッドは、コード化データを読み取るとともに、そのデータを評価のために送る。
【0004】
振動減衰分離装置は、磁気ヘッドをエレベータケージの水平移動すなわち振動から切り離し、磁気ヘッドを磁気ストリップから一定の間隔に維持する。具体的な構造に関する内容は、説明されておらず、また、図面にも示されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明は、エレベータケージの位置を確認するための序文で述べた装置であって、僅かな労力でコード化位置データを正確に読み取ることができる小型且つ信頼性の高い装置を提供するという目的を有している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明において、この目的は、特に、コード読み取りセンサシステムがガイドフランジのガイド面上で転動するローラガイドを有するという事実によって特徴付けられる請求項1の特徴を有する装置によって満たされる。
【0007】
本発明によって達成される利点は、エレベータケージ2がガイドレールに沿って高速で移動した際に、ローラガイド自体を非常に高い滑らかさで走行させることができるという点である。このようにすれば、ガイドからコード読み取りセンサシステムに伝達され且つ読み取り結果を誤って伝える移動時の騒音や振動が回避される。ガイドローラは、実質的に摩耗が無い状態で、ガイド面上を転動する。全体としては、本発明に係るローラガイドによれば、長さコードマークパターンから前記センサシステムを一定の間隔で僅かに離間させた状態で、コード化情報を非接触で経済的に読み取ることができる。一方、ローラガイドは、長さコードマークパターンとコード読み取り装置との接触、特に、長さコードマークパターンとコード読み取り装置のセンサシステムとの接触を防止するとともに、それによって生じる2つのサブアセンブリの損傷を防止する。
【0008】
前記ローラガイドは、移動方向に並んで(hintereinander)配置された2つのローラを案内方向において有していることが好ましい。このようにすれば、コード読み取りセンサシステムは、ガイド面の対応する長さ部分に基づいて案内され、これにより、ガイド面の局所的な不均一性が補償され、したがって、コード読み取りセンサシステムの案内経路が均一に形成される。
【0009】
この場合、コード読み取りセンサシステムが移動方向においてガイドローラ間に空間を見つけると、このセンサシステムは、長さコードパターンと平行に案内される。移動方向に並んで一列に配置された幾つかのセンサをコード読み取りセンサシステムが有している場合、これらのセンサは全て、評価を容易にする同じ強度の出力信号を伝える。
【0010】
センサシステムと長さコードマークパターンとの間の間隔が0mm<x>5mmの範囲で調整可能である場合、ローラガイドは、使用される各センサのタイプに簡単な方法で適合することができる。
【0011】
センサシステムとガイド面との間の間隔を最小に確保するx当接部をコード読み取り装置が第1の方向で有している場合、センサシステムとガイドレールとの間の間隔は、使用されるセンサのタイプとは無関係に、また、ローラガイドとは無関係に、確保される。したがって、ローラガイドが破損または摩耗した場合であっても、センサの機械的な破損は防止される。
【0012】
移動方向と垂直である、第1の方向および第1の方向と直交する第2の方向で、コード読み取りセンサシステムが機械加工されたガイド面に沿って案内される2次元ローラガイドを用いると、コード読み取りセンサシステムは、長さコードマークパターンと常に一致したままとなる。これにより、コード読み取りセンサシステムが一列に配置された幾つかのセンサを有している場合、長さコードマークパターンに対する角度のズレが防止され、それに伴う読み取りエラーが回避される。
【0013】
また、そのような実施形態の場合、コード読み取りセンサシステムが第2の方向でy当接部を有していると、ガイドフランジの端面(Stirnflache)からのセンサシステムの間隔が最大に確保される。
【0014】
マウントがサスペンションを有し、このサスペンションにより、コード読み取りセンサシステムが、ガイド面と垂直な第1の方向および第1の方向と垂直な第2の方向において、所定の範囲内で移動可能に装着されている限りは、ローラガイド付きのコード読み取りセンサシステムは、エレベータケージに対する相対移動および振動を水平面内で補償することができる。その場合、エレベータケージのガイドシューとガイドフランジとの間の案内遊びよりも大きい範囲にわたって移動できるようにコード読み取りセンサシステムを形成することが有益である。
【0015】
本発明の好ましい実施形態においては、コード読み取りセンサシステムをガイドレールの方向へ付勢する付勢力を作用させる装置が提供される。このようにすれば、ローラガイドは、エレベータケージの水平移動とは無関係に、ガイド面と常に接触したままとなる。
【0016】
そのような実施形態においては、第1の圧縮スプリングが第1の軸に対して同軸的に押し付けられ、第2の圧縮スプリングが第2の軸に対して同軸的に押し付けられる。この場合、前記スプリングは、クロスガイド部材とマウントの装着部またはコード読み取りセンサシステムの装着部との間で挟圧され、クロスガイド部材をガイドレールの方向へ付勢する。
【0017】
2つのサスペンションがコードマークパターンのトラックと平行に一列にマウントに装着される本発明の一実施形態は、特に有益である。第1の軸および第2の軸は互いに平行に装着され、2つの第1の軸間の間隔は、移動方向におけるガイドローラの間隔よりも大きい。
【0018】
また、移動方向における突出がコード読み取り装置の断面領域内で成されるように、2つの第1の軸を配置することが有益である。このようにすれば、エレベータケージの側方のコード読み取り装置の構造的寸法が小さくなり、お互いに対するガイドレールとの間の間隔を小さくすることができる。これにより、エレベータ設備の空間をより一層活用することができる。同時に、ガイドローラ間隔が大きいと、コード読み取りセンサシステムが長さコードマークパターンと平行に案内される。
【0019】
2つのガイドローラが第2の間隔をもって第2の案内方向に並んで配置され、第2の間隔が第1の間隔よりも小さいという構造上の利点は、コンパクトな構造形態により、移動方向と直交する面内でコードマークパターンに対して平行に案内できるという点である。
【0020】
各ガイドローラが、ホイールリムと、このホイールリムの外周に設けられたゴムまたは合成材料から成るケーシングとを備えている場合には、滑らかな走行を更に向上させることができる。ケーシングの材料のそれぞれの選択においては、機械加工されたガイド面を殆ど摩耗させない振動減衰ローラ対が入手できる。
【0021】
長さコードマークパターンがガイドフランジに形成されている場合、ガイド面および読み取られる長さコーディングが同じ構成部品に配置されると、長さコードマークパターンに対するコード読み取り装置の正確な案内が容易となる。
【0022】
この場合、長さコードマークパターンを、ケージガイドレールのガイドフランジの端面に配置するのではなく、ガイドフランジの側方に配置すると、ガイドフランジに隣接して側方にオフセットされるコード読み取り装置の構造形態をコンパクトにすることができる。
【0023】
本発明の更なる特徴および利点は、添付図面に関する好ましい実施形態の以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】エレベータケージの位置を確認するための装置を有するエレベータ設備を概略的に示している。
【図2】図1の断面線II−II線に沿うエレベータ設備の詳細を示している。
【図3】図2の矢印IIIの方向から見た、エレベータケージの位置を確認するための装置を有するエレベータ設備の詳細を示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
シャフト1を有する図1に概略的に示されるエレベータの場合、エレベータケージ2とカウンターウェイト3は、ここでは1本の支持ケーブル4として代表的に示される幾つかの支持ケーブルで吊り下げられる。支持ケーブル4は、偏向ローラ5に掛け渡されるとともに、駆動されるドライブプーリ6を介して案内される。ドライブプーリ6は、ここには図示されていない駆動モータの駆動力を支持ケーブル4に伝え、支持ケーブル4は、駆動プーリによって駆動されることにより、カウンターウェイト3をおよびエレベータケージ2をガイドレール7に沿って昇降させる。移動方向8において、エレベータケージ2と接続固定されるガイドシュー9は、移動方向8と垂直な方向でガイドレール7でエレベータケージ2を案内するのに役立つ。ガイドレール7には、エレベータケージ2の移動方向8と平行なエレベータケージ2の移動経路全体に沿ってコードキャリアが取り付け固定されている。コードキャリアは、磁気ストリップ10として形成されており、トラック内に形成された複数の「0」および「1」から成る18桁擬似ランダムシーケンスの単一トラックコードマークパターン、すなわち、バイナリコードワードを長手方向8で持っている。これらの各コードワードは、シャフト1内におけるエレベータケージ2のゼロ点に対する絶対位置を再現する信号の数字コードを表わしている。
【0026】
磁気ストリップ10の長さコードマークパターンは、透過性が異なるコードマークによって表わされており、コード読み取りセンサシステム11の磁場感応型読取ステーション27によって読み取られる。基本的には、長さコーディング表示のための他の物理的原理も考えられる。すなわち、コードマークは、容量性効果を検出するセンサによって読み取られる様々な誘電数を有していても良い。また、個々のコードマークのそれぞれの意味に基づいて、多量の光または少量の光が照明装置からセンサとしての反射光バリアへと反射される反射型のコードマークパターンも考えられる。
【0027】
磁気ストリップ10からのコード化情報は、コード読み取り装置の18桁コード読み取りセンサシステム11によって非接触で検出され或いは読み取られる。これに対して、磁気ストリップ10から連続的に読み取られた各18ビットは、バイナリコードワードを形成する。コード読み取りセンサシステム11がガイドレール7に沿ってコードマークパターンの1ビット位置分だけ移動すると、新たなバイナリコードが既に読み取られている。
【0028】
コード読み取りセンサシステム11は、並んで一列に配置された18個の磁場感応型読取ステーション27から成る第1のグループと、コードワードを読み取るために第1のグループを制御する6個のセンサから成る第2のグループとによって構成されている。読み取りステーション27の数は、少なくとも擬似ランダムシーケンスの桁数、すなわち、長さコードマークパターンのコードワードの長さに対応している。例えばホールセンサ、誘導送信器、いわゆるGMRセンサ、または、磁場方向を検出する磁気抵抗センサ、いわゆるMRセンサが設けられている。これらの各センサのうち、幾つかの個々のセンサおよび/または互いに結合される様々なセンサから成るグループが、コード読み取りセンサシステム11に存在しても良い。
【0029】
コード読み取り装置12は、移動方向8で、エレベータケージ2上に装着固定されている。コード読み取り装置は、基本的に、センサブロック13から成る。センサブロック13は、コード読み取りセンサシステム11を支持するとともに、移動方向8に対して垂直に移動できるように、マウント14によって装着されている。ローラガイド15は、これがエレベータケージ2と同じように磁気ストリップ10に沿って移動される際に、ガイドレール7でセンサブロック13を案内する。エレベータケージ2の側方または下側でも同じ構成が考えられる。
【0030】
コード読み取り装置12は、読み取られたコード化情報を、接続ライン16を介して、評価ユニット17に送る。評価ユニット17は、読み取られたコード化情報が例えばエレベータケージ2の位置決めのために吊りケーブル19を介してエレベータ制御装置18に伝えられる前に、読み取られたコード化情報を、エレベータ制御装置18が理解できる絶対位置ステートメントに変換する。
【0031】
図2は、コード読み取りセンサシステム11に関して見たガイドレール7の領域における図1のII−II線に沿うエレベータの水平断面の詳細を示している。この場合、対応する部材には、対応する参照符号が付されている。ガイドレール7はT字型の断面形状を有している。このガイドレール7においては、固定フランジ20の中央で、ガイドフランジ21が90°の角度で一方側に大きく突出している。ガイドレール7には、その固定フランジ20が、周知の方法で、レール留め具22により、エレベータシャフト1の壁23または他の適当な支持構造体に対してクランプされている。ガイドフランジ21は、シャフト1の内部へと向くように、エレベータケージ2の方向に突出している。端面ガイド面(stirnseite Fuhrungsflache)24および互いに側方に対向する2つの側方ガイド面(seitliche Fuhrungsflache)25は、ガイドフランジ21の自由端で、ガイドレール7の全長にわたって形成されている。ガイド面24、25の領域において、ガイドフランジ21は、閉じられた製造公差内で、金属切削により機械加工される。あるいは、ガイドレール7は、機械加工されず、熱間圧延による製造に伴う対応する面を有している。
【0032】
ガイド面24、25を有するガイドフランジ21の自由端は、エレベータケージ2の静止位置に固定された1又は幾つかのガイドシューと共に、エレベータケージ2のためのリニアガイドを形成している。図2に係る実施形態において、スライディングガイドシュー9は、フォーク状の形態で、移動方向8と垂直な面内において、ガイドフランジ21の自由端を越えてこれと係合する。また、スライディングガイドシュー9は、記録された座標系のx方向で側方ガイド面に沿ってエレベータガイド2を案内するとともに、y方向で端面ガイド面に沿ってエレベータガイド2を案内し、いずれの場合にも、僅かな案内遊び44をもっている。スライディングガイドシューの代わりに、いわゆるローラガイドシューによってエレベータケージ2をガイドフランジ21に沿って案内することも慣例である。この場合、ローラガイドシューのローラは、移動方向8と垂直に移動できるように装着されるとともに、付勢されてガイド面に対して押し付けられる。
【0033】
ワードコードバイナリ長さステートメントを有する磁気ストリップ10は、ガイド面21の脚部26の側部に装着固定されている。磁気ストリップ10は、受け溝内に同一平面上に挿入されている。しかしながら、他の実施形態において、磁気ストリップ10は、機械加工されていないガイドレール7の上に直接に固定されていても良い。
【0034】
コード読み取りセンサシステム11は、センサブロック13の一部である。エレベータケージの位置を確かめるための装置を有する図1のエレベータ設備の詳細が図3の側面図に示されている。この場合、対応する部材には、対応する参照符号が付されている。ブロック形状のセンサブロック13は、長手方向の側面がガイドフランジ21と平行になるように、移動方向8と平行な長手方向に向いている。この長手方向ガイド面28で、コード読み取りセンサシステム11は、固定フランジ20と対向する側で側方に突出している。エレベータケージ2と対向する長手方向側面29上には、移動方向8に沿って互いに所定の間隔30をもって並んで離間する2つのガイドローラ31が装着されている。各ガイドローラ31は、端面ガイド面24と平行な軸方向ピン32を中心に回転できるとともに、ローラマウント33を介してセンサブロック13に取り付けられている。ガイドローラ31は、端面ガイド面24上で転動する。ローラマウント33のスロットにより、コード読み取りセンサシステム11に対する軸方向ピン32およびガイドローラ31の間隔34をy方向で設定することができる。端面ガイド面に対するコード読み取りセンサシステム11の案内位置は、間隔30、34によって固定されている。また、コード読み取りセンサシステム11の角度調節は、その全長にわたり、磁気ストリップ10と正確に一致してy方向で行なわれる。
【0035】
所定の間隔36をもって移動方向8で互いに並んで配置された2つのガイドローラ35は、側方ガイド面24上で転動する。これらの各ガイドローラ35は、センサブロック13のマウント38に側方ガイド面25と平行に装着されたローラ軸37を中心に回転することができる。磁気ストリップ21に対するコード読み取りセンサシステム11の間隔39は、ローラ軸37を装着するための対応するスロットにより、側方ガイド面25と垂直な方向で、0mm<x<3mmの範囲で設定することができる。コードマークによって生じ且つ間隔の増大に伴って弱くなる磁場にもかかわらず、磁気ストリップ10の磁気長さコーディングを正確に検出できるように、コード読み取りシステム11は、基本的に、できる限り最小且つ一定の間隔39で、磁気ストリップ21に沿って移動される。また、離間したガイドローラ35を用いたx方向でのコード読み取りセンサシステム11の平行ガイド15により、移動方向8で互いに並んで配置されたコード読み取りセンサシステム11の読み取りステーション27は、磁気ストリップ10の長さコードマークパターンに対して同じ間隔39で移動される。したがって、読み取りステーション27の出力信号は、一体の強度を有する。これにより、エレベータケージ2が高速で移動しても、長さコーディングの正確な読み取りが行なわれる。
【0036】
ガイドローラ31、35は、いずれの場合にも、ホイールリム40上にコーティングされたゴムまたはポリウレタン等の合成材料から成るケーシング41を有するホイールである。特定のポリウレタンは、耐摩耗性で且つ振動減衰形式の経済的なタイヤを形成する。ガイドローラ31、35は、ここに示されるように直径が約50mmの場合、レール結合部の領域での不連続な移行を補償する。センサヘッド11には、x方向で2つのx当接部42が形成されるとともに、y方向で2つのy当接部43が形成されている。これらの当接部は、いわゆる緊急ガイドを形成しており、例えばガイドローラ31、35が故障した場合に、コード読み取りセンサシステム11とガイド面25との間の間隔を最小にするとともに、コード読み取りセンサシステム11とガイドフランジ21の端面ガイド面24との間の間隔を最大にする。
【0037】
本発明において、センサブロック13は、一方では、ローラガイド15により、x方向に一定の間隔39で且つガイドレール7のガイドフランジ21にある磁気ストリップ10と平行なy方向に間隔34で案内されるとともに、他方では、いずれの場合も移動方向8と垂直に移動できるように、マウント14のサスペンション45により移動方向で前後に取り付けられたマウント38によって装着される。
【0038】
図3に示されるように、各サスペンション45は、センサブロック13のマウント38にy方向で装着された第2の軸47と、第2の軸と垂直な方向でマウント14に装着された第1の軸46とを備えている。2つの軸46、47は、クロスガイド部材48によって互いに直角に連結されている。その目的のため、クロスガイド部材48は、互いに所定距離だけ移動方向8に離間する2つの挿通穴と、90°の角度で交差する中心線とを有している。クロスガイド部材48は、第1の軸46上および第2の軸47上で軸方向に所定の範囲内でスライドするとともに、いずれの場合にも、対応する長軸を中心に回転することができる。
【0039】
第1の圧縮スプリング50は、第1の軸46の一端に押し付けられており、クロスガイド部材48とマウント14における第1の軸46の装着位置49との間でガイドレール7から離れて対向している。第1の圧縮スプリング50は、クロスガイド部材48の移動量に比例した付勢力をクロスガイド部材48に作用させ、これにより、ガイドローラ35を側方ガイド面25に対してx方向で押し付ける。同様に、第2の圧縮スプリング52は、第2の軸47の一端に押し付けられており、クロスガイド部材48とマウント38における第2の軸47の装着位置51との間でエレベータケージ2から離れて対向している。第2の圧縮スプリング52は、クロスガイド部材48の移動量に比例した付勢力をクロスガイド部材48に作用させ、これにより、ガイドローラ31を端面ガイド面24に対してy方向で押し付ける。移動方向8に並んで配置された2つのサスペンション45の第1の軸46および第2の軸47はそれぞれ、互いに平行である。したがって、サスペンション45は、センサブロック13に対するエレベータケージ2の水平移動を補償するとともに、エレベータケージ2の振動からコード読み取りセンサシステム11を切り離す。これにより、磁気ヘッドと磁気ストリップ10との間の間隔は、減少することなく一定に保たれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのガイドレール(7)のガイドフランジ(21)に沿って移動可能なエレベータケージ(2)の位置を確認するための装置と、前記エレベータケージ(2)の移動方向(8)で前記ガイドレール(7)の全長にわたって固定して形成されたコードキャリア(10)と、前記コードキャリア(10)の長さコーディングを非接触検出するためのコード読み取りセンサシステム(11)とを備え、前記センサシステムは、前記長さコードキャリア(10)から所定の間隔(39)をもって前記ガイドレール(7)で案内されるとともに、前記移動方向(8)で固定され且つ前記移動方向(8)と垂直な方向に移動可能なように、マウント(14)によって前記エレベータケージ(2)に接続されている、エレベータ設備であって、前記コード読み取りセンサシステム(11)は、前記ガイドフランジ(21)上で転動するガイドローラ(31)を備えていることを特徴とする、エレベータ設備。
【請求項2】
少なくとも2つのガイドローラ(35)が前記移動方向(8)に並んで配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のエレベータ設備。
【請求項3】
前記コード読み取りセンサシステム(11)は、移動方向(8)で、前記ガイドローラローラ(35)間に配置されていることを特徴とする、請求項2に記載のエレベータ設備。
【請求項4】
前記コード読み取りセンサシステム(11)と前記コードキャリア(10)との間の間隔(39)は、0mm<x<3mmの範囲で調節可能であることを特徴とする、請求項1に記載のエレベータ設備。
【請求項5】
前記コード読み取りセンサシステム(11)は、前記コード読み取りセンサシステム(11)とガイド面(25)との間の間隔(39)を最小にするx当接部(42)を有している、請求項1に記載のエレベータ設備。
【請求項6】
前記ガイドフランジ(21)には、端面ガイド面(24)と、端面ガイド面に対して垂直に形成された少なくとも1つの側方ガイド面(25)とが形成され、第1のガイドローラ(35)は、前記側方ガイド面(25)に沿って転動して、前記側方ガイド面(25)に対して垂直な第1の方向で前記コード読み取りセンサシステム(11)を案内し、第2のガイドローラ(31)は、前記端面ガイド面(24)に沿って転動して、前記第1の方向(x)と直交する第2の方向(y)で前記コード読み取りセンサシステム(11)を案内することを特徴とする、請求項1に記載のエレベータ設備。
【請求項7】
前記コード読み取りセンサシステム(11)は、前記ガイドフランジ(21)の前記端面ガイド面(24)からの前記コード読み取りセンサシステム(11)の間隔(34)を最大にするy当接部(43)を前記第2の方向(y)で有していることを特徴とする、請求項6に記載のエレベータ設備。
【請求項8】
前記マウント(14)がサスペンション(45)を備え、このサスペンションによって、前記コード読み取りセンサシステム(11)は、前記第1の方向(x)および前記第2の方向(y)のそれぞれにおいて所定の範囲内で移動可能に装着されることを特徴とする、請求項6に記載のエレベータ設備。
【請求項9】
前記サスペンション(45)は、前記コード読み取りセンサシステム(11)で前記ガイドローラ(35)の回転軸と平行に装着された第1の軸(47)と、第1の軸(47)と垂直に装着されたマウント(14)内の第2の軸(46)とを備え、第1の軸(47)および第2の軸(46)は、クロスガイド部材(48)によって連結され、対応する長軸を中心に回転できるとともに、所定の範囲内で互いに直角に軸方向に移動できることを特徴とする、請求項8に記載のエレベータ設備。
【請求項10】
前記エレベータケージ(2)は、1または複数のガイドシュー(9)により、所定の案内遊び(44)をもって前記ガイドフランジ(21)で案内され、前記第1の軸(47)および前記第2の軸(46)は、前記案内遊び(44)よりも大きい範囲内で移動可能であることを特徴とする、請求項8に記載のエレベータ設備。
【請求項11】
付勢力を作用させるための装置(50、52)が設けられ、この装置によって、ローラガイド(15)がガイドレール(7)へと向かう方向に付勢されることを特徴とする、請求項1に記載のエレベータ設備。
【請求項12】
弾性手段(50、52)が設けられ、この弾性手段によって、クロスガイド部材(48)がガイドレール(7)へと向かう方向に付勢されることを特徴とする、請求項9または11に記載のエレベータ設備。
【請求項13】
前記マウント(14)には、長さコードマークパターン(10)のトラックと平行に一列に、2つの前記サスペンション(45)が並んで装着され、前記第1の軸(47)同士が互いに平行で、第2の軸(46)同士が互いに平行であることを特徴とする、請求項8に記載のエレベータ設備。
【請求項14】
前記移動方向(8)における2つの前記第1の軸(47)間の間隔(53)は、前記第1のガイドローラ(35)の間隔(36)よりも大きいことを特徴とする、請求項13に記載のエレベータ設備。
【請求項15】
前記移動方向(8)における2つの前記第1の軸(47)の突出は、前記センサブロック(13)の断面領域内で成されていることを特徴とする、請求項13に記載のエレベータ設備。
【請求項16】
前記2つのガイドローラ(31)は、所定の間隔(30)をもって前記第2の案内方向(y)に並んで配置されており、前記第2の間隔(30)は、前記第1のガイドローラ(35)の間隔(36)よりも小さいことを特徴とする、請求項13に記載のエレベータ設備。
【請求項17】
前記各ガイドローラ(31、35)は、ホイールリム(40)と、このホイールリムの外周に設けられたケーシング(41)とを備えていることを特徴とする、請求項3に記載のエレベータ設備。
【請求項18】
前記長さコードマークパターン(9)が前記ガイドフランジ(21)に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のエレベータ設備。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−256107(P2009−256107A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176790(P2009−176790)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【分割の表示】特願2003−516932(P2003−516932)の分割
【原出願日】平成14年7月22日(2002.7.22)
【出願人】(390040729)インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフト (166)
【氏名又は名称原語表記】INVENTIO AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】