説明

エレベーターの運転制御システム

【課題】戸開に際し障害物を検出した場合、手動操作により戸開を行うエレベーターの運転制御システムを得る。
【解決手段】カゴ出入口に存在する障害物を検出するカゴ障害物センサー2と、カゴ内に設けられ、所定のアナウンスを報知するカゴアナウンス装置9と、カゴ扉3及び乗場扉12の戸開閉を制御する扉戸開閉制御部24と、カゴが停止した際、カゴ障害物センサー2により障害物が検出され、戸開ボタン6aが押下されてカゴ呼びがある場合には、カゴ戸開ボタン灯制御部19により戸開ボタン灯6bを点滅させるとともに、カゴアナウンス装置9により障害物を検出した旨及び戸開方法として点滅しているボタンを押下する旨を報知し、点滅している戸開ボタン6aが押されると、扉戸開閉制御部24により、カゴ扉3と当該階の乗場扉12を通常速度より遅い低速度で戸開するエレベーター制御部22とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、戸開の際に、障害物を検出した場合には、手動操作によって戸開を行うエレベーターの運転制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
エレベーター利用者が戸開の際に扉の隙間や戸袋に指などを引込まれるのを防止するために、障害物を検出し、危険な旨の報知や、戸開するタイミングを遅らせたり、戸開動作速度を低速にしたりするなどの方法がある。
【0003】
従来のエレベーターの運転制御システムにおいては、戸開の際に、障害物を検出した場合には、警告、報知して、一定時限経過後、戸開させていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−321177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。上述したような従来のエレベーターの運転制御システムでは、いくら警告、報知を行っているとはいえ、障害物を検出しているにも係らず、エレベーターの運行効率を上げるために、自動戸開動作を行っているので、実際に引込まれる可能性を完全には排除できないという問題点があった。
【0006】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、戸開に際し障害物を検出した場合、エレベーター利用者が安全を確認した上で、手動操作を行うことにより、エレベーター戸開の際の引込まれなどを防止することができるエレベーターの運転制御システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るエレベーターの運転制御システムは、カゴ出入口に存在する障害物を検出するカゴ障害物センサーと、戸開ボタン灯の点消灯を制御するカゴ戸開ボタン灯制御部と、カゴ内に設けられ、所定のアナウンスを報知するカゴアナウンス装置と、カゴ扉及び乗場扉の戸開閉を制御する扉戸開閉制御部と、カゴが停止した際、前記カゴ障害物センサーにより障害物が検出され、戸開ボタンが押下されてカゴ呼びがある場合には、前記カゴ戸開ボタン灯制御部により前記戸開ボタン灯を点滅させるとともに、前記カゴアナウンス装置により障害物を検出した旨及び戸開方法として点滅しているボタンを押下する旨を報知し、点滅している戸開ボタンが押されると、前記扉戸開閉制御部により、前記カゴ扉と当該階の乗場扉を通常速度より遅い低速度で戸開するエレベーター制御部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るエレベーターの運転制御システムは、戸開に際し障害物を検出した場合、エレベーター利用者が安全を確認した上で、手動操作を行うことにより、エレベーター戸開の際の引込まれなどを防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1に係るエレベーターの運転制御システムにおいてカゴの内部からカゴ出入口を見た正面図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るエレベーターの運転制御システムにおいて乗場から乗場出入口を見た正面図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るエレベーターの運転制御システムにおいてカゴと乗場の水平断面を示す部分断面図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係るエレベーターの運転制御システムにおいてカゴ操作盤の正面を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係るエレベーターの運転制御システムにおいて乗場ボタンと乗場アナウンス装置の正面を示す図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係るエレベーターの運転制御システムの構成を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係るエレベーターの運転制御システムのエレベーター制御部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のエレベーターの運転制御システムの好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
【0011】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係るエレベーターの運転制御システムについて図1から図7までを参照しながら説明する。なお、以降では、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0012】
図1は、この発明の実施の形態1に係るエレベーターの運転制御システムにおいてカゴの内部からカゴ出入口を見た正面図である。
【0013】
図1において、カゴ縦枠垂直面1と、カゴ障害物センサー投光部2aと、カゴ障害物センサー受光部2bと、カゴ障害物センサー光2cと、カゴ扉3と、カゴ縦枠垂直面1とカゴ扉3の隙間4と、戸開ボタン6aと、戸閉ボタン7と、複数の行先ボタン8と、カゴアナウンス制御器9aと、カゴアナウンススピーカー9bとが描かれている。
【0014】
図2は、この発明の実施の形態1に係るエレベーターの運転制御システムにおいて乗場から乗場出入口を見た正面図である。
【0015】
図2において、乗場縦枠垂直面10と、乗場障害物センサー投光部11aと、乗場障害物センサー受光部11bと、乗場障害物センサー光11cと、乗場扉12と、乗場縦枠垂直面10と乗場扉12の隙間13と、DOWN呼び登録ボタン15aと、UP呼び登録ボタン16aと、乗場アナウンス制御器17aと、乗場アナウンススピーカー17bとが描かれている。
【0016】
図3は、この発明の実施の形態1に係るエレベーターの運転制御システムにおいてカゴと乗場の水平断面を示す部分断面図である。
【0017】
図3において、カゴ縦枠垂直面1と、カゴ障害物センサー投光部2aと、カゴ障害物センサー受光部2bと、カゴ扉3と、カゴ縦枠垂直面1とカゴ扉3の隙間4と、乗場縦枠垂直面10と、乗場障害物センサー投光部11aと、乗場障害物センサー受光部11bと、乗場扉12と、乗場縦枠垂直面10と乗場扉12の隙間13とが描かれている。
【0018】
図4は、この発明の実施の形態1に係るエレベーターの運転制御システムにおいてカゴ操作盤の正面を示す図である。
【0019】
図4において、戸開ボタン6aと、戸開ボタン灯6bと、戸閉ボタン7と、複数の行先ボタン8と、カゴアナウンス装置9とが描かれている。なお、カゴアナウンス装置9は、図1に示す、カゴアナウンス制御器9aと、カゴアナウンススピーカー9bとから構成され、カゴ内に設けられ、所定のアナウンスを報知する。
【0020】
図5は、この発明の実施の形態1に係るエレベーターの運転制御システムにおいて乗場ボタンと乗場アナウンス装置の正面を示す図である。
【0021】
図5において、DOWN呼び登録ボタン15aと、DOWN呼び登録ボタン灯15bと、UP呼び登録ボタン16aと、UP呼び登録ボタン灯16bと、乗場アナウンス装置17とが描かれている。なお、乗場アナウンス装置17は、図2に示す、乗場アナウンス制御器17aと、乗場アナウンススピーカー17bとから構成され、各階の乗場に設けられ、所定のアナウンスを報知する。
【0022】
図6は、この発明の実施の形態1に係るエレベーターの運転制御システムの構成を示す図である。
【0023】
図6において、カゴ障害物センサー投光部2aと、カゴ障害物センサー受光部2bと、カゴ障害物センサー制御・検出部2dと、戸開ボタン6aと、入力インターフェース(I/F)18aと、戸開ボタン灯6bと、出力インターフェース(I/F)18bと、戸開ボタン灯6bの点消灯を制御するカゴ戸開ボタン灯制御部19と、カゴアナウンス制御器9aと、カゴアナウンススピーカー9bとが描かれている。なお、カゴ障害物センサー2は、カゴ障害物センサー投光部2aと、カゴ障害物センサー受光部2bと、カゴ障害物センサー制御・検出部2dとから構成され、カゴ出入口に存在する障害物を検出する。
【0024】
また、図6において、乗場障害物センサー投光部11aと、乗場障害物センサー受光部11bと、乗場障害物センサー制御・検出部11dと、DOWN呼び登録ボタン15aと、UP呼び登録ボタン16aと、入力インターフェース(I/F)20aと、DOWN呼び登録ボタン灯15bと、UP呼び登録ボタン灯16bと、出力インターフェース(I/F)20bと、DOWN呼び登録ボタン灯15b及びUP呼び登録ボタン灯16bの点消灯を制御する乗場登録ボタン灯制御部21と、乗場アナウンス制御器17aと、乗場アナウンススピーカー17bとが描かれている。なお、各階の乗場に設けられた乗場障害物センサー11は、乗場障害物センサー投光部11aと、乗場障害物センサー受光部11bと、乗場障害物センサー制御・検出部11dとから構成され、各階の乗場出入口に存在する障害物を検出する。
【0025】
さらに、図6において、エレベーター制御部22と、カゴ扉3及び乗場扉12の戸開状態を検出する扉戸開状態検出部23と、カゴ扉3及び乗場扉12の戸開閉を制御する扉戸開閉制御部24と、カゴを昇降駆動するカゴ昇降駆動装置25とが描かれている。
【0026】
つぎに、この実施の形態1に係るエレベーターの運転制御システムの動作について図面を参照しながら説明する。図7は、この発明の実施の形態1に係るエレベーターの運転制御システムのエレベーター制御部の動作を示すフローチャートである。
【0027】
この発明の実施の形態1に係るエレベーターの運転制御システムは、戸開の際に、障害物を検出した場合には、手動操作によって戸開を行う。
【0028】
まず、ステップ101〜102において、エレベーター制御部22は、カゴが停止した際、そのまま戸開動作として良いか、障害物センサーの検出状態を確認する。障害物センサーが動作していない場合(NO)には、ステップ112へ進む。一方、障害物センサーが動作している場合(YES)には、次のステップ103へ進む。
【0029】
すなわち、カゴ障害物センサー制御・検出部2dの制御の下、カゴ障害物センサー投光部2aからカゴ障害物センサー受光部2bへ、図1に示すように、カゴ障害物センサー光2cがカゴ出入口全体に渡って投光される。そのカゴ障害物センサー光2cがエレベーター利用者の指などの障害物によって遮られると、カゴ障害物センサー受光部2bによって障害物が検出され、その検出情報がカゴ障害物センサー制御・検出部2dにより生成される。乗場障害物センサー側の動作も同様である。カゴ障害物センサー制御・検出部2dから障害物の検出情報、乗場障害物センサー制御・検出部11dから障害物の検出情報のいずれか一方、あるいは両方が入力されると、次のステップ103へ進む。
【0030】
次に、ステップ103において、障害物を検出している場合、検出している障害物センサー側の呼びがあるかどうかを確認する。ここで、障害物センサーがある側の呼びとは、カゴ障害物センサー2であれば、カゴ呼びがあること、乗場障害物センサー11であれば、乗場呼びがあることを意味する。言い換えると、呼びがある側の障害物センサーが動作しているかを確認する。呼びがある側の障害物センサーが動作していない場合(NO)には、ステップ131へ進む。一方、呼びがある側の障害物センサーが動作している場合(YES)には、次のステップ104へ進む。
【0031】
すなわち、カゴ障害物センサー2が障害物を検出している場合に、DOWN呼び登録ボタン15aや、UP呼び登録ボタン16aが押下され、入力インターフェース(I/F)20aを介して、乗場呼びがあるときには、ステップ131へ進む。あるいは、乗場障害物センサー11が障害物を検出している場合に、戸開ボタン6aが押下され、入力インターフェース(I/F)18aを介して、カゴ呼びがあるときには、ステップ131へ進む。
【0032】
一方、カゴ障害物センサー2が障害物を検出している場合に、戸開ボタン6aが押下され、入力インターフェース(I/F)18aを介して、カゴ呼びがあるときには、次のステップ104へ進む。あるいは、乗場障害物センサー11が障害物を検出している場合に、DOWN呼び登録ボタン15aや、UP呼び登録ボタン16aが押下され、入力インターフェース(I/F)20aを介して、乗場呼びがあるときには、次のステップ104へ進む。
【0033】
次に、ステップ104において、障害物を検出している障害物センサー側の呼びがある場合、ボタン灯を点滅させ、障害物がある旨と戸開方法を報知する(障害物を検出しているため点滅しているボタンを押下することにより戸開する旨アナウンスする)。ここで、ボタン灯は、乗場であれば、呼びを登録した呼び登録ボタン灯15b、16bを示し、カゴであれば、戸開ボタン灯6bを示す。
【0034】
すなわち、カゴ障害物センサー2が障害物を検出している場合には、カゴ戸開ボタン灯制御部19により、出力インターフェース(I/F)18bを介して、戸開ボタン灯6bを点滅させる。また、乗場障害物センサー11が障害物を検出している場合には、乗場登録ボタン灯制御部21により、出力インターフェース(I/F)20bを介して、押下された呼び登録ボタンに対応する、DOWN呼び登録ボタン灯15b又はUP呼び登録ボタン灯16bを点滅させる。
【0035】
上記のアナウンスは、障害物を検出した箇所で行う。カゴ側の場合は、カゴ内でアナウンスし、乗場側の場合は、検出階の乗場でアナウンスする。具体的には、カゴ側の場合は、カゴアナウンス制御器9aにより、カゴアナウンススピーカー9bを通じて、例えば、「障害物を検出しました。扉(ドア)を開ける場合は、点滅しているボタンを押し続けてください。」とアナウンスする。乗場側の場合は、乗場アナウンス制御器17aにより、乗場アナウンススピーカー17bを通じて、例えば、「障害物を検出しました。扉(ドア)を開ける場合は、点滅しているボタンを押し続けてください。」とアナウンスする。
【0036】
次に、ステップ105において、上記の状態でボタン操作を待ち、当該点滅しているボタンが押されれば、次のステップ106へ、当該ボタンが押されなければ、ステップ121へ進む。
【0037】
次に、ステップ106において、当該点滅しているボタンが押されると、扉戸開閉制御部24により、通常速度より遅い低速度でカゴ扉3と当該階の乗場扉12の戸開を開始する。
【0038】
次に、ステップ107〜108において、扉戸開閉制御部24により、当該ボタンが押し続けられている間は低速度で戸開動作を継続し、当該ボタンが押されないと、戸開動作を停止する(ステップ111)。つまり、当該ボタンを押すのを扉が全開するまでに止めると、扉(ドア)は停止し、ボタン押下待ちとなる(ステップ105へ)。手動操作で戸開動作をさせたとき、引込まれそうなのを見過ごし、実際に引込まれると、ここで救出する。
【0039】
次に、ステップ109において、扉戸開状態検出部23により、戸開状態を確認する。扉が全開していない場合には、ステップ107へ戻り、扉が全開している場合には、次のステップ110へ進む。
【0040】
次に、ステップ110において、扉が全開すると、当該ボタン灯を消灯し、本動作終了となる。すなわち、戸開ボタン灯6bを点滅させている場合には、カゴ戸開ボタン灯制御部19により、出力インターフェース(I/F)18bを介して、戸開ボタン灯6bを消灯させる。また、DOWN呼び登録ボタン灯15b又はUP呼び登録ボタン灯16bを点滅させている場合には、乗場登録ボタン灯制御部21により、出力インターフェース(I/F)20bを介して、DOWN呼び登録ボタン灯15b又はUP呼び登録ボタン灯16bを消灯させる。
【0041】
ステップ112において、エレベーター制御部22は、障害物センサーが動作していない場合には、扉戸開閉制御部24により、通常速度でカゴ扉3と当該階の乗場扉12の戸開を開始し、本動作終了となる。
【0042】
ステップ121において、エレベーター制御部22は、当該ボタンが押されていない場合には、扉戸開状態検出部23により、全閉中かどうかを確認する。全閉中でなければ、ステップ105へ戻り、全閉中であれば、次のステップ122へ進む。
【0043】
次に、ステップ122において、戸全閉状態で所定時限(例えば、4秒)経過したかどうかを確認する。所定時限経過していない場合には、ステップ105へ戻り、所定時限経過している場合には、次のステップ123へ進む。
【0044】
次に、ステップ123において、戸全閉状態であり、ボタン押下しないで所定時限経過すると、ボタン灯を消灯し、当該階では戸開せず、次階走行を経た後、ステップ101へ進んでカゴ停止する。
【0045】
すなわち、戸開ボタン灯6bを点滅させている場合には、カゴ戸開ボタン灯制御部19により、出力インターフェース(I/F)18bを介して、戸開ボタン灯6bを消灯させる。また、DOWN呼び登録ボタン灯15b又はUP呼び登録ボタン灯16bを点滅させている場合には、乗場登録ボタン灯制御部21により、出力インターフェース(I/F)20bを介して、DOWN呼び登録ボタン灯15b又はUP呼び登録ボタン灯16bを消灯させる。
【0046】
次に、ステップ124において、カゴ昇降駆動装置25により、他階呼び(カゴ、乗場)があれば、その呼びに応えるため当該カゴを他階へ走行させ、他階呼びがなければ、当該カゴを次階へ走行させ、ステップ105へ戻る。
【0047】
ステップ131において、エレベーター制御部22は、呼びがある側の障害物センサーが動作していない場合には、利用者側でない側で障害物を検出したこと、そのため戸開できないことを報知する。また、次階走行する旨を報知する。その後、ステップ124へ進む。
【0048】
すなわち、カゴ呼びで停止した場合は、カゴアナウンス制御器9aにより、カゴアナウンススピーカー9bを通じて、例えば、「乗場側で障害物を検出しました。扉(ドア)を開けることができませんので次階へ走行します。」とアナウンスする。また、乗場呼びで停止した場合は、乗場アナウンス制御器17aにより、乗場アナウンススピーカー17bを通じて、例えば、「カゴ側で障害物を検出しました。扉(ドア)を開けることができませんので次階へ走行します。」とアナウンスする。
【0049】
以上のように、この実施の形態1によれば、カゴ、乗場に戸開の際に引込まれる可能性のある障害物を検出できるエレベーターが停止したのち戸開に際し障害物を検出した場合、エレベーター利用者が安全を確認した上で、上述したように、以下の操作を行うことにより、エレベーター戸開の際の引込まれなどを防止することができる。
【0050】
カゴ側で障害物を検出した場合、自動戸開はさせず、カゴの戸開ボタン6aの操作により戸開動作とする。尚、障害物を検出した場合、障害物を検出した旨の報知を行い、戸開ボタン灯6bを点滅させるとともに、戸開方法の報知を行う。
【0051】
乗場側で障害物を検出した場合、自動戸開はさせず、乗場呼び登録を行った呼び登録ボタン15a、16aの操作により戸開動作とする。尚、障害物を検出した場合、障害物を検出した旨の報知を行い、乗場呼び登録を行った呼び登録ボタン灯15b、16bを点滅させるとともに、戸開方法の報知を行う。
【0052】
カゴ、乗場とも戸開動作中にボタン操作を中止すると扉を停止させることにより、利用者が、戸開動作開始時に、引込まれている人を見落としても、直ちに救出できるようにする。
【0053】
カゴ呼びで停止した際に乗場側で障害物を検出し、且つ、乗場呼び登録がない場合は、当該階では戸開しない。その後、障害物を検出したため戸開しない旨報知し、他階呼び(カゴ、乗場)があれば、その呼びに応えるため走行開始し、なければ、次階走行を行う。
【0054】
乗場呼びで停止した際にカゴ側で障害物を検出し、且つ、当該階のカゴ呼び登録がない場合は、当該階での戸開はしない。障害物を検出したため戸開しない旨報知し、他階呼び(カゴ、乗場)があれば、その呼びに応えるため走行開始し、なければ、次階走行を行う。
【符号の説明】
【0055】
1 カゴ縦枠垂直面、2 カゴ障害物センサー、2a カゴ障害物センサー投光部、2b カゴ障害物センサー受光部、2c カゴ障害物センサー光、2d カゴ障害物センサー制御・検出部、3 カゴ扉、4 隙間、6a 戸開ボタン、6b 戸開ボタン灯、7 戸閉ボタン、8 行先ボタン、9 カゴアナウンス装置、9a カゴアナウンス制御器、9b カゴアナウンススピーカー、10 乗場縦枠垂直面、11 乗場障害物センサー、11a 場障害物センサー投光部、11b 乗場障害物センサー受光部、11c 乗場障害物センサー光、11d 乗場障害物センサー制御・検出部、12 乗場扉、13 隙間、15a DOWN呼び登録ボタン、15b DOWN呼び登録ボタン灯、16a UP呼び登録ボタン、16b UP呼び登録ボタン灯、17 乗場アナウンス装置、17a 乗場アナウンス制御器、17b 乗場アナウンススピーカー、19 カゴ戸開ボタン灯制御部、21 乗場登録ボタン灯制御部、22 エレベーター制御部、23 扉戸開状態検出部、24 扉戸開閉制御部、25 カゴ昇降駆動装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カゴ出入口に存在する障害物を検出するカゴ障害物センサーと、
戸開ボタン灯の点消灯を制御するカゴ戸開ボタン灯制御部と、
カゴ内に設けられ、所定のアナウンスを報知するカゴアナウンス装置と、
カゴ扉及び乗場扉の戸開閉を制御する扉戸開閉制御部と、
カゴが停止した際、前記カゴ障害物センサーにより障害物が検出され、戸開ボタンが押下されてカゴ呼びがある場合には、前記カゴ戸開ボタン灯制御部により前記戸開ボタン灯を点滅させるとともに、前記カゴアナウンス装置により障害物を検出した旨及び戸開方法として点滅しているボタンを押下する旨を報知し、点滅している戸開ボタンが押されると、前記扉戸開閉制御部により、前記カゴ扉と当該階の乗場扉を通常速度より遅い低速度で戸開するエレベーター制御部と
を備えたことを特徴とするエレベーターの運転制御システム。
【請求項2】
各階の乗場に設けられ、乗場出入口に存在する障害物を検出する乗場障害物センサーと、
DOWN呼び登録ボタン灯及びUP呼び登録ボタン灯の点消灯を制御する乗場登録ボタン灯制御部と、
各階の乗場に設けられ、所定のアナウンスを報知する乗場アナウンス装置と、
カゴ扉及び乗場扉の戸開閉を制御する扉戸開閉制御部と、
カゴが停止した際、前記乗場障害物センサーにより障害物が検出され、DOWN呼び登録ボタン又はUP呼び登録ボタンが押下されて乗場呼びがある場合には、前記乗場登録ボタン灯制御部により前記DOWN呼び登録ボタン灯又は前記UP呼び登録ボタン灯を点滅させるとともに、前記乗場アナウンス装置により障害物を検出した旨及び戸開方法として点滅しているボタンを押下する旨を報知し、点滅しているDOWN呼び登録ボタン又はUP呼び登録ボタンが押されると、前記扉戸開閉制御部により、前記カゴ扉と当該階の乗場扉を通常速度より遅い低速度で戸開するエレベーター制御部と
を備えたことを特徴とするエレベーターの運転制御システム。
【請求項3】
前記エレベーター制御部は、前記扉戸開閉制御部により、点滅しているボタンが押されないと、戸開動作を停止する
ことを特徴とする請求項1又は2記載のエレベーターの運転制御システム。
【請求項4】
カゴ出入口に存在する障害物を検出するカゴ障害物センサーと、
各階の乗場に設けられ、所定のアナウンスを報知する乗場アナウンス装置と、
カゴを昇降駆動するカゴ昇降駆動装置と、
カゴが停止した際、前記カゴ障害物センサーにより障害物が検出され、DOWN呼び登録ボタン又はUP呼び登録ボタンが押下されて乗場呼びがある場合には、前記乗場アナウンス装置によりカゴ側で障害物を検出した旨及び扉を開けることができず次階へ走行する旨を報知し、前記カゴ昇降駆動装置により、他階呼びがなければ、当該カゴを次階へ走行させるエレベーター制御部と
を備えたことを特徴とするエレベーターの運転制御システム。
【請求項5】
各階の乗場に設けられ、乗場出入口に存在する障害物を検出する乗場障害物センサーと、
カゴ内に設けられ、所定のアナウンスを報知するカゴアナウンス装置と、
カゴを昇降駆動するカゴ昇降駆動装置と、
カゴが停止した際、前記乗場障害物センサーにより障害物が検出され、戸開ボタンが押下されてカゴ呼びがある場合には、前記カゴアナウンス装置により乗場側で障害物を検出した旨及び扉を開けることができず次階へ走行する旨を報知し、前記カゴ昇降駆動装置により、他階呼びがなければ、当該カゴを次階へ走行させるエレベーター制御部と
を備えたことを特徴とするエレベーターの運転制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−159151(P2010−159151A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−3577(P2009−3577)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】