説明

エレベーターの非常通報装置

【課題】 本発明は、非常時に、音声通話や文字通信などを併用しかごと外部間で多重に通信を可能とすることで、あらゆる乗客が外部へ意思疎通を図ることができる非常通報装置を得る。
【解決手段】 かご内に設けられ、昇降路外のインターホン親機と接続されたインターホン子機と、かご内に設けられ、インターホン親機とインターホン子機とを通話状態に設定した場合にインターホン子機から送信される通話中信号に基づいて、子機側タッチパネル表示部を昇降路外と筆談可能な画面に切り替え、子機側タッチパネル表示部に入力された情報を昇降路外に転送する子機側タッチパネル制御部と、昇降路外に設けられ、通話状態に設定した場合にインターホン親機から送信される通話中信号に基づいて、親機側タッチパネル表示部をかご内と筆談可能な画面に切り替え、親機側タッチパネル表示部に入力された情報をかご内に転送する親機側タッチパネル制御部とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーターの非常時において、かご内の聴覚障がい者や外国人に対してビルの監視室との通話手段を提供する非常通報装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベーターの非常通報装置は、インターホン釦およびインターホン釦に連動したインターホンにより、音声にて会話し、かご内の状況を管理人などエレベーターの外部に伝えたり、エレベーターの外部よりかご内の乗客に対して指示を伝えたりしている。
【0003】
また、近年はバリアフリー化に伴い、エレベーターを利用する車椅子使用者に対してかご内に車椅子用釦を設けたり、視覚障がい者に対して点字を設けるなどの対策を行なっている。
【0004】
また、聴覚障がい者に対しては、かご内に設けたインターホン釦に点滅可能なランプを設けて話が出来る状態をランプの点滅で表示することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、エレベーターの乗客が聾唖者や言語障がい者である場合にもかご内と乗場、管理室と文字通信を可能とするために、タッチパネルを有しそのタッチパネル上でキーボード画面に切り替えて表示する操作盤がかごあるいは乗場に設けられるものが提案されている。平常時には、行先階登録ボタン、戸開閉ボタン等が表示され、エレベーターが故障した等の異常時には、自動的にキーボード画面に切り替えて上記利用者が管理室などの外部と通信可能としている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平4−40079号公報(実用新案登録請求の範囲及び第2図)
【特許文献2】特願2002−503074号公報(第4頁24行目〜27行目及び図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の方法では、外部と通信ができる状態を表示しているだけであり、かご内の状況をエレベーターの外部(管理人など)に伝えることは可能であるが、エレベーターの外部からかご内の乗客に対して指示を伝えることはできないといった問題がある。このことは、特に聴覚障がい者が1人でエレベーターに乗車したときに、エレベーター外部と意思疎通を図る事ができなくなるため問題となる。これに加えて、エレベーターの外部の人の言語を話せない外国人などがエレベーター内にいたときも同様の問題が生じる。
【0008】
また、特許文献2の方法では、エレベーターの異常時に自動的にタッチパネル上の画面を切り替えるが、かご内で聴覚障がい者や外国人が具合悪くなった場合や暴漢に襲われそうになった場合などの非常時には画面は切り替わらず、かご内で具合悪くなった乗客や襲われそうになった乗客を早急に救出することができない。
【0009】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、エレベーターの異常時のみならず乗客の非常時に、インターホン子機とインターホン親機とが通話可能な通話状態となった場合に音声通話や文字通信などを併用しかごと外部との間で多重に通信を可能とすることで、あらゆる乗客が外部へ意思疎通を図ることができるエレベーターの非常通報装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係るエレベーターの非常通報装置は、エレベーターのかご内に設けられ、昇降路外に設置されたインターホン親機と接続されたインターホン子機と、かご内に設けられ、インターホン子機の発信の有無に関わらずインターホン親機とインターホン子機とを通話可能な通話状態に設定した場合にインターホン子機から通話状態であることを示す子機側通話中信号が送信される子機側タッチパネル制御部であって、子機側通話中信号に基づいてかごに設けられた子機側タッチパネル表示部の画面を昇降路外と筆談可能な画面に切り替え、子機側タッチパネル表示部に入力された子機側入力情報を昇降路外に転送する子機側タッチパネル制御部と、昇降路外に設けられ、通話状態に設定した場合にインターホン親機から通話状態であることを示す親機側通話中信号が送信される親機側タッチパネル制御部であって、親機側通話中信号に基づいて、昇降路外に設けられた親機側タッチパネル表示部の画面をかご内と筆談可能な画面に切り替え、親機側タッチパネル表示部に入力された親機側入力情報をかご内に転送する親機側タッチパネル制御部とを備え、子機側タッチパネル制御部から転送された子機側入力情報が子機側タッチパネル制御部に接続された親機側タッチパネル制御部により親機側タッチパネル表示部に表示され、親機側タッチパネル制御部から転送された親機側入力情報が親機側タッチパネル制御部に接続された子機側タッチパネル制御部により子機側タッチパネル表示部に表示されるものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係るエレベーターの非常通報装置によれば、エレベーターの異常時のみならず乗客の非常時に、インターホン子機とインターホン親機とが通話可能な通話状態となった場合に音声通話や文字通信などを併用しかごと外部との間で多重に通信を可能とすることで、あらゆる乗客が外部へ意思疎通を図ることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1におけるエレベーターの非常通報装置のシステム構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1におけるかご内操作盤の平面図である。
【図3】この発明の実施の形態1における外部操作盤の平面図である。
【図4】この発明の実施の形態1における子機側タッチパネル表示部の筆談用画面を示す平面図である。
【図5】この発明の実施の形態1における親機側タッチパネル表示部の筆談の画面を示す平面図である。
【図6】この発明の実施の形態1における別の非常通報装置のシステム構成図である。
【図7】この発明の実施の形態1における別のかご内操作盤の平面図である。
【図8】この発明の実施の形態1における子機側タッチパネル表示部の平常時の画面例を示す平面図である。
【図9】この発明の実施の形態1における非常時の子機側タッチパネル表示部のタイピング用画面を示す平面図である。
【図10】この発明の実施の形態1におけるエレベーターの非常通報装置の動作を示すフロー図である。
【図11】この発明の実施の形態1における別の非常通報装置のシステム構成図である。
【図12】この発明の実施の形態1における非常時の子機側タッチパネル表示部の別のタイピング用画面を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
以下、本実施の形態1におけるエレベーターの非常通報装置について、図面を参照して説明する。図1は、かご内操作盤及び外部操作盤を有するかごエレベーターの非常通報装置のシステム構成図である。図2は、エレベーターかご内に設けられたかご内操作盤の平面図である。図3は、昇降路の外部の管理室等に設けられた外部操作盤の平面図である。図1において、エレベーターの非常通報装置は、エレベーターのかご内操作盤1及び、昇降路外に存在する管理室や監視室に設けられた外部操作盤2を有している。
【0014】
かご内操作盤1はかご内に設けられ、外部と通話を行うインターホン子機3a、非常時などにインターホン子機3aを使用して管理室と通話するためのインターホンボタン4a、外部と通信を行う子機側タッチパネル制御部5a、及び液晶パネルにタッチパネル機能を搭載する子機側タッチパネル表示部6aを有している。外部操作盤2は昇降路外部の管理室や監視室等に設置され、かご内の乗客と通話を行うインターホン親機3b、複数のかごの号機のうち通話対象とする号機を選定し、インターホン親機3bを使用してかご内と通話するためのインターホン選局ボタン4b、かご内と通信を行う親機側タッチパネル制御部5b、及び液晶パネルにタッチパネル機能を搭載する親機側タッチパネル表示部6bを有している。
【0015】
図1においてかご内操作盤1のインターホン子機3aは、昇降路外の管理室にいる管理人等と通話するためのものである。かご内のインターホン子機3aは、外部操作盤2のインターホン親機3bと接続される。また、インターホンボタン4aは、インターホン子機3aからインターホン親機3bに対して発信を行うトリガーとなる非常押しボタンであり、かご内の乗客がインターホンボタン4aを押し、インターホン親機3bが管理室に設置されている受話器を上げた場合にはかご内と管理室とが通話可能な状態(通話状態)に設定される。
【0016】
子機側タッチパネル表示部6aは、かごと管理室が通話状態でない平常時と、通話状態である非常時とで画面を切り替える、タッチパネル機能を有する表示部である。平常時は、画像や動画などの映像を流している。一方、非常時には、指やかご内に備え付けのペンで文字入力が可能な筆談用の画面が表示され、画面に指等で文字入力が可能となっている。また、子機側タッチパネル表示部6aは、指などで入力された入力情報(子機側入力情報)を子機側タッチパネル制御部5aに送信する。
【0017】
子機側タッチパネル制御部5aは、インターホン子機3aから通話状態であることを示す通話中信号(子機側通話中信号)を受信し、その通話中信号に基づいて、子機側タッチパネル表示部6aの表示画面を平常時の画面から非常時の筆談用画面に切り替えるものである。また、子機側タッチパネル制御部5aは、子機側タッチパネル表示部6aへ指などで入力された入力情報を受信し、外部操作盤2の親機側タッチパネル制御部5bに入力情報をリアルタイムで転送するものである。
【0018】
このほか、図2に示すとおり、かご内操作盤1には、エレベーターかごの運行位置を表示するかご位置表示器7、乗客がかごの行先階を指定するための行先階登録ボタン8a〜8d、戸開ボタン9、戸閉ボタン10などがある。
【0019】
一方、図1において外部操作盤2のインターホン親機3bは、かご内の乗客と通話するためのものである。インターホン親機3bは、かご内のインターホン子機3aと接続される。また、インターホン選局ボタン4bは、通話を行うかごの号機を選択し、選択したボタンに対応するかごの号機のインターホン子機3aに対してインターホン親機3bが発信を行うトリガーとなるボタンであり、管理室内の例えば管理人がインターホン親機3bの有する受話器を上げてインターホン選局ボタン4bを押して発信した場合にはかご内と管理室とが通話可能な状態(通話状態)となる。この場合、子機側から親機側への発信する場合と異なり、親機側からの一方的な発信により通話状態となる。つまり、かご内と管理室とが通話状態となる条件としては、インターホン子機3aからインターホン親機3bに発信されてインターホン親機3bの受話器をとり、インターホン選局ボタン4bを押した場合や、インターホン親機3bからインターホン子機3aに一方的に発信した場合であり、インターホン子機3aの発信の有無に関わらない。
【0020】
親機側タッチパネル表示部6bは、かごと管理室が通話状態でない平常時と、通話状態である非常時とで画面を切り替える、タッチパネル機能を有する表示部である。平常時は、画像や動画などの映像を流すなどの用途に用いられる。一方、非常時には、指や管理室に備え付けのペンで文字入力が可能な筆談用の画面が表示され、画面に指等で文字入力が可能となっている。非常時の筆談用画面は、管理人がインターホン親機3bの受話器を取ってインターホン選局ボタン4bを押し、通話状態になったときにインターホン選局ボタン4bで選択したかご号機に対応した画面に切り替わる。また、親機側タッチパネル表示部6bは、指などで入力された入力情報(親機側入力情報)を親機側タッチパネル制御部5bに送信する。
【0021】
親機側タッチパネル制御部5bは、インターホン親機3bから通話状態であることを示す通話中信号(親機側通話中信号)を受信し、その通話中信号に基づいて、親機側タッチパネル表示部6bの表示画面を平常時の画面から非常時の筆談用画面に切り替えるものである。このとき、通話中信号には、どの号機と通話中であるかを示す情報も含まれている。これにより、通話状態になったときにインターホン選局ボタン4bで選択したかご号機に対応した画面に切り替えることが可能となる。また、親機側タッチパネル制御部5bは、親機側タッチパネル表示部6bへ指などで入力された入力情報を受信し、かご内操作盤1の子機側タッチパネル制御部5aに入力情報をリアルタイムで転送するものである。
【0022】
図3に示すとおり、外部操作盤2は、インターホン親機3b、インターホン選局ボタン4b、親機側タッチパネル制御部5b、親機側タッチパネル6bを有している。インターホン親機3bは、かご内と通話するための受話器を有している。インターホン選局ボタン4bは、かごの号機を指定するボタンであるとともに、あるかごの号機がインターホン子機3aからインターホン親機3bに発信した場合に対応する号機のランプが点灯あるいは点滅する。そして、点灯あるいは点滅したランプを押してから受話器をとるとかご内と通話可能となる。
【0023】
ここで、図4及び図5を用いて、かご内及び外部に設けられたタッチパネル入力画面の表示例を説明する。図4は、実施の形態1における子機側タッチパネル表示部6aの筆談用画面の表示例を示すものであり、図5は、実施の形態1における親機側タッチパネル表示部6bの筆談用画面の表示例を示すものである。図4において、かご内に設けられた子機側タッチパネル表示部6aは、かごと外部が通話状態にある筆談時には、外部操作盤2の親機側タッチパネル表示部6bにて入力された文字・図形を表示する出力エリア11a、かご内で乗客が入力した文字・図形を表示する入力エリア12a、及び入力エリア12aの入力を消去する入力消去ボタン13aをタッチパネル上に表示させる。
【0024】
一方、図5において、子機側タッチパネル表示部6aと同様に、管理室に設けられた親機側タッチパネル表示部6bは、かごと外部の管理室が通話状態にある筆談時には、かご内操作盤1の子機側タッチパネル表示部6aにて入力された文字・図形を表示する出力エリア11b、管理室で管理人が入力した文字・図形を表示する入力エリア12b、及び入力エリア12bの入力を消去する入力消去ボタン13bをタッチパネル上に表示させる。
【0025】
図1のかご内操作盤1と外部操作盤2を有するエレベーターの非常通報装置における動作を図10のフローで説明する。図10は、実施の形態1におけるエレベーターの非常通報装置の動作を示すフロー図である。図10において、かご内と昇降路外の管理室が通話状態でない平常時には、かごに設けられた子機側タッチパネル表示部6aと、管理室に設けられた親機側タッチパネル表示部6bはそれぞれ、画像・動画などの平常時用の画像を流している(ステップS1)。
【0026】
ステップS2において、インターホン子機3aは、外部側のインターホン親機3bとかご側のインターホン子機3aが通話状態であるか否かを、例えばインターホン親機3bからの信号の受信により判断する。通話状態とは、かご内に設けられるインターホンボタン4aをかごの乗客が押すことによりインターホン子機3aが外部のインターホン親機3bに対して発信し、管理室内の人がそのかごの号機のインターホン選択ボタン4bを押してインターホン親機3bの受話器をとった時の状態を指す。また、図3に示すとおり、外部操作盤2のインターホン親機3bの受話器を持ち上げ、インターホン選局ボタン4bのうちの1つを押して通話対象となるかご号機の選択を行った場合に、インターホン親機3bからインターホン子機3aに発信されて通話状態となる。なお、通話状態となっている間は、当然にかご内と外部の管理室間において通話することが可能となっており、言語障がい者や聾唖者など以外の視覚障がい者や健常者などはインターホンを用いて外部と通話して救助を求めることができる。また、視覚障がい者はインターホンと文字通信を併用することもでき、併用することにより外部とのコミュニケーションをより円滑に行うことができる。音声図10のステップS2でインターホン親機3bとインターホン子機3aが通話状態である場合には、ステップS3に進み、そうでない場合は平常時の画面を表示したまま保つ。
【0027】
ステップS3では、インターホン親機3bは、かごと外部間において通話状態であると判断すると、かごと外部間が通話状態であることを示す通話中信号を親機側タッチパネル制御部5bへ出力する。
【0028】
また、ステップS3からステップS4に進みステップS4では、同様に、インターホン子機3aは、かごと外部間において通話状態であると判断すると、かごと外部間が通話状態であることを示す通話中信号を子機側タッチパネル制御部5aへ出力する。なお、ステップS3の処理とステップS4の処理は、順序が入れ替わっても構わない。
【0029】
ステップS5では、ステップS3で出力された通話中信号を受信したことに基づいて親機側タッチパネル制御部5bは、管理室の外部操作盤2に設けられた親機側タッチパネル表示部6bの表示画面を図5に示す筆談用の画面に切り替えて表示し、また、ステップS4で出力された通話中信号を受信したことに基づいて子機側タッチパネル制御部5aは、かご内の子機側タッチパネル表示部6aの表示画面を図4に示す筆談用の画面に切り替えて表示する。この時、親機側及び子機側ともに筆談時モードに移行する。
【0030】
なお、このときインターホン子機3aとインターホン親機3bは通話状態にあり、両者間で通話を行うこともできる。つまり、あらゆる乗客に対応できるよう音声通話や文字通信を併用してかごと外部との間で多重に通信を可能とすることで、あらゆる乗客が外部へ意思疎通を図ることができる。また、音声通話や文字通信に加えて画像通信を併用することもできる。例えば、図1のかご内に設けられた監視カメラ21と子機側タッチパネル制御部5aを接続する。そして、常に監視カメラ21の映像は子機側タッチパネル制御部5aに送信されるが、乗客がインターホンボタンを押したことにより発生する通話中信号に基づいて子機側タッチパネル制御部5aが監視カメラ21の映像をリアルタイムで親機側タッチパネル制御部5bに転送し、親機側タッチパネル制御部5bが親機側タッチパネル表示部6bに部分的にその動画を表示して文字表示と併用することが考えられる。これにより、かご内で乗客が暴漢等に襲われている場合でも、乗客がインターホンボタンを押すだけで、管理人は管理室に配信された動画から乗客の不審な動きを素早く察知し、早急にかご内で襲われている被害者を救助することができる。
【0031】
子機側タッチパネル表示部6aが筆談用の画面に切り替わった(筆談時モード移行)後は、ステップS6に進み、子機側タッチパネル表示部6aの入力エリア12aに入力があった場合は、入力エリア12aに入力された入力情報を子機側タッチパネル制御部5aに送信し、ステップS7にて子機側タッチパネル制御部5aから管理室の外部操作盤2に設けられた親機側タッチパネル制御部5bに入力情報(入力データ)を転送し、ステップS8にて、親機側タッチパネル制御部5bは、親機側タッチパネル表示部6bの表示エリア11bへ、上記入力エリア12aに入力された入力情報を表示する。
【0032】
また、ステップS9において、親機側タッチパネル表示部6bの入力エリア12bに入力があった場合は、入力エリア12bに入力された入力情報を親機側タッチパネル制御部5bに送信し、ステップS10にて親機側タッチパネル制御部5bからかごに設けられた子機側タッチパネル制御部5aにその入力情報(入力データ)を転送し、ステップS11にて、子機側タッチパネル制御部5aは、子機側タッチパネル表示部6aの表示エリア11aへ、上記入力エリア12bに入力された入力情報を表示する。
【0033】
次に、ステップS12にて、インターホン親機3bとインターホン子機3aとが通話状態を解除した場合、ステップS13に解消し、解消していない場合は、ステップS6に戻る。ステップS13では、インターホン親機3bから親機側タッチパネル制御部5bに出力していた、通話状態であることを示す通話中信号を解消する。同様に、ステップS14において、インターホン子機3aから子機側タッチパネル制御部5aに出力していた、通話状態であることを示す通話中信号を解消する。
【0034】
ステップS15では、通話中信号を解消された親機側タッチパネル制御部5bは親機側タッチパネル表示部6bに平常時の画面を表示させ、筆談時モードを解除する。同様に、通話中信号を解消された子機側タッチパネル制御部5aは子機側タッチパネル表示部6aに平常時の画面を表示させ、筆談時モードを解除する。
【0035】
以上のように本発明の実施の形態1の構成によれば、エレベーターの異常時のみならず乗客の非常時にかご内に設置されたインターホンボタンを押すことにより音声通話、文字通信及び画像通信を併用して行い、かごと外部との間で多重に通信を可能とすることで、あらゆる乗客が外部へ意思疎通を図ることができる。
【0036】
また、インターホンが通話状態にある場合にタッチパネルの入力情報をかごと管理室間でお互いに確認でき、筆談が可能となるため、かご内で聴覚障がい者や外国人が具合悪くなった場合や暴漢に襲われそうになった場合などの非常時に指示・情報伝達が可能となり、かご内の乗客を早急に救出することができる。
【0037】
また、かご内の子機側タッチパネル表示部6aの入力画面に手書きで入力するので、かご内の乗客が気の動転した状況であっても即座に外部にかご内の状況を伝えることができる。また、キーボードを使えない人でも容易に文字入力を行うことができ、即座に外部にかご内の状況を伝えることができる。
【0038】
また、インターホンの通話状態にある場合にのみ、かご内の子機側タッチパネル表示部6aを筆談時モードに切り替えるので、かご内での子供などの不用ないたずらを防止することができる。
【0039】
また、かご内にいる音声の聞き取れない聴覚障がい者などの乗客に対し、外部からの指示が可能となる。
【0040】
なお、筆談時のフローは図10に示すフローと同一であるが、図6に示すとおり、子機側タッチパネル制御部5aとエレベーター制御盤とを接続することができる。図6は、図1とは別の非常通報装置のシステム構成図である。図7は、かご内操作盤1の別の平面図例である。図8は、図7の子機側タッチパネル表示部6aを拡大した拡大図である。図6において、図1との違いは、エレベーター制御盤15が非常通報装置に含まれている点である。エレベーター制御盤15は例えば昇降路側壁に設置され、かごの子機側タッチパネル制御部5aと接続されている。インターホンが通話状態でない平常時には、図7及び図8に示す子機側タッチパネル表示部6aには、乗客が目的としている利用階を登録するための行先階登録ボタン14a〜14dが画面上に表示されている。乗客がタッチパネル上にて行先階を登録すると、子機側タッチパネル表示部6aから子機側タッチパネル制御部5aを介してその入力信号をエレベーター制御盤に転送することにより、インターホン通話状態時以外は、行先階登録ボタンとして対応可能なシステムとすることができる。
【0041】
また、筆談時のフローは図10に示すフローと同一であるが、図9に示すとおり、子機側タッチパネル表示部6aのインターホン通話状態時の入力を手書き入力の代わりにキーボード表示をさせても良い。図9は、子機側タッチパネル表示部6aのタイピング用画面を示す平面図である。子機側タッチパネル表示部6aは、キーボード16と、乗客がキーボードで入力した入力内容を表示するエリア17と、かごと外部間での文字通信内容を表示する表示エリア18とを備えている。キーボード16は、羅列した文字群や、ひらがな、ローマ字、数字等の文字を切り替え可能なボタンや、誤入力を削除するための削除ボタンや、子機側タッチパネル制御部6aに入力情報を送信するための送信ボタンなどで構成される。キーボード16で入力した文字はいったんエリア17に表示され、その後送信ボタンを押せば表示エリア18にその内容が転写されるとともに、子機側タッチパネル制御部6aに送信される。
【0042】
このような構成にすることにより、インターホン通話状態において、キーボードによる入力情報をかごと管理室間でお互いに確認でき、乗客が聴覚障がい者などであってもかご内の状況や外部からの指示内容を伝えることができる。なお、キーボード16の代わりに手書き文字認識による方法であっても良い。これにより、キーボードを使えない人でも容易に文字入力を行うことができ、即座に外部にかご内の状況を伝えることができる。
【0043】
また、管理室の管理人とかご内の乗客が異なる言語を用いる場合に、自動翻訳機を用いて文字通信を行うことができる。図11は、図1及び図6とは別の非常通報装置のシステム構成図である。図12は、言語選択スイッチを備えた子機側タッチパネル表示部の表示画面である。図12において、言語選択スイッチ20を図9に示した子機側タッチパネル表示部6aに追加する。言語選択スイッチ20は複数の国に対応した言語が選択可能な切り替え可能なスイッチであり、スイッチを例えば図12に示す英語に切り替えると、子機側タッチパネル表示部6aの表示画面全体が英語表記となる。つまり、言語選択スイッチ20を選択することにより子機側タッチパネル表示部6aは選択された言語にてキーボード16や文字を表示する。
【0044】
図11において、子機側タッチパネル制御部5aと親機側タッチパネル制御部5bとの間に自動翻訳機19を配置し、言語選択スイッチ20にて選択された言語の情報は子機側タッチパネル制御部5aを介して自動翻訳機19に転送される。図10のフローにおいて、S7の子機側タッチパネル制御部5aから親機側タッチパネル制御部5bへ入力情報を転送する際、自動翻訳機19にて、言語選択スイッチ20にて選択された言語から予め設定された言語へ翻訳され、親機側タッチパネル制御部5bへ転送される。また、S10の親機側タッチパネル制御部5bから子機側タッチパネル制御部5aへ入力情報を転送する際は、逆に、言語選択スイッチ20にて選択された言語へ翻訳され、子機側タッチパネル制御部5aへ転送される。
【0045】
上記のような構成をとることにより、外国人に対しても、インターホン通話状態において文字通信が可能となるので、かご内の外国人に対して外部からの指示が可能となるとともに、外部の外国人に対してかご内からの指示が可能となる。
【符号の説明】
【0046】
1 かご内操作盤
2 外部操作盤
3a インターホン子機
3b インターホン親機
4a インターホンボタン
4b インターホン選局ボタン
5a 子機側タッチパネル制御部
5b 親機側タッチパネル制御部
6a 子機側タッチパネル表示部
6b 親機側タッチパネル表示部
7 かご位置表示器
8a〜8d 行先階登録ボタン
9 戸開ボタン
10 戸閉ボタン
11a、11b 出力エリア
12a、12b 入力エリア
13a、13b 入力消去ボタン
14a〜14d 行先階登録ボタン
15 エレベーター制御盤
16 キーボード
17 エリア
18 表示エリア
19 自動翻訳機
20 言語選択スイッチ
21 監視カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターのかご内に設けられ、昇降路外に設置されたインターホン親機と接続されたインターホン子機と、
前記かご内に設けられ、前記インターホン子機の発信の有無に関わらず前記インターホン親機と前記インターホン子機とを通話可能な通話状態に設定した場合に前記インターホン子機から前記通話状態であることを示す子機側通話中信号が送信される子機側タッチパネル制御部であって、前記子機側通話中信号に基づいて前記かごに設けられた子機側タッチパネル表示部の画面を前記昇降路外と筆談可能な画面に切り替え、前記子機側タッチパネル表示部に入力された子機側入力情報を前記昇降路外に転送する子機側タッチパネル制御部と、
前記昇降路外に設けられ、前記通話状態に設定した場合に前記インターホン親機から前記通話状態であることを示す親機側通話中信号が送信される親機側タッチパネル制御部であって、前記親機側通話中信号に基づいて、前記昇降路外に設けられた親機側タッチパネル表示部の画面を前記かご内と筆談可能な画面に切り替え、前記親機側タッチパネル表示部に入力された親機側入力情報を前記かご内に転送する親機側タッチパネル制御部と、
を備え、前記子機側タッチパネル制御部から転送された前記子機側入力情報が前記子機側タッチパネル制御部に接続された前記親機側タッチパネル制御部により前記親機側タッチパネル表示部に表示され、前記親機側タッチパネル制御部から転送された前記親機側入力情報が前記親機側タッチパネル制御部に接続された前記子機側タッチパネル制御部により前記子機側タッチパネル表示部に表示されることを特徴とするエレベーターの非常装置。
【請求項2】
前記かご内に設けられ、前記子機側タッチパネル制御部に接続された監視カメラとを備え、
前記子機側通話中信号に基づいて子機側タッチパネル制御部が前記監視カメラの映像を前記親機側タッチパネル制御部に転送し、前記親機側タッチパネル制御部が前記親機側タッチパネル表示部に転送された前記監視カメラの映像を表示することを特徴とする請求項1記載のエレベーターの非常通報装置。
【請求項3】
前記子機側タッチパネル制御部は、昇降路に設置されたエレベーター制御盤と接続され、平常時は前記子機側タッチパネル表示部に行先階を登録する行先階登録ボタンを表示し、前記通話状態となった場合に前記子機側タッチパネル表示部を前記筆談可能な画面に切り替えることを特徴とする請求項1または2記載のエレベーターの非常通報装置。
【請求項4】
前記通話状態において前記子機側タッチパネル表示部に入力される前記子機側入力情報または前記親機側タッチパネル表示部に入力される前記親機側入力情報は、前記子機側タッチパネル表示部の前記筆談可能な画面に表示されたキーボードにより入力されることを特徴とする請求項1または3記載のエレベーターの非常通報装置。
【請求項5】
前記インターホン子機は、前記子機側タッチパネル表示部に入力された前記子機側入力情報を前記子機側タッチパネル表示部に設けられ言語を選択する言語選択スイッチで選択された言語から予め設定された言語に翻訳する自動翻訳機を介して、前記インターホン親機と接続されることを特徴とする請求項4記載のエレベーターの非常通報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−18632(P2013−18632A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154609(P2011−154609)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】