説明

エンジンと発電機との間のトランスミッションのための定常状態と過渡部の制御

【課題】エンジンで駆動される発電機の一定速度での駆動を提供する。
【解決手段】可変出力を所望の速度値を有する入力に変換するためのシステムであって、システムは、トランスミッションを含む、第1の速度Ve、第2の速度Vgenおよび入力に対するパワー需要(Pdem)に対応するデータを生成するものである比率設定ポイントコントローラは、データを受信し、利用可能パワーPav、システムの安定性レベルS、U1、U2、第1の速度Veに対する所望の値、およびトランスミッション比率に対する所望の値と変化の速度を計算する。比率コントローラは、トランスミッションを作動させることで、トランスミッション比率を、変化の所望の速度に従って所望の値に変える。速度コントローラは、第1の速度Veを、第2の速度Vgenが所望の速度値に対応するまで変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願への相互参照
この特許出願は、2004年9月27日に出願されたカナダ特許出願第2,479,890号に関する優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
この発明は、概しては、機械的なトランスミッションシステム、および、エンジンで駆動される発電機システムに関する。より具体的には、この発明は、連続可変トランスミッションシステムに関するものであり、該システムは、発電機システムにおいて、最も効率の良いレンジ内での稼動のためのエンジン速度の連続的な調整(モジュレーション)を可能にしながらも、調整されたパワーを可変負荷に供給すべく、発電機の一定速度での駆動を提供するのに、有利に用いることができる。
【背景技術】
【0003】
背景技術
発電機システムは、多年に渡って用いられており、機械的エネルギーのソース、例えば、永久磁石発電機を駆動する内燃機関の動力取出し(power take-off)(PTO)から、電力(electrical power)を負荷へ供給するために用いられている。負荷には、一般的に、交流の電流パワーを、実質的に一定の周波数(典型的には、50または60Hz)にて供給する必要があるために、発電機は、ほとんど一定の回転速度(2極発電機の場合、60Hzに対しては1800r.p.m.、50Hzに対しては1500r.p.m.)にて、駆動される必要がある。そうしないと、電気波動(electrical wave)の周波数を調節するために、発電
機と負荷との間に電子周波数コンバータを挿入することが必要となる(例えば、合衆国特許第5,552,640号、Sutton et al. - Sept. 3, 1996 - British Gas plc.参照)。従って、この周波数の変換を排除するという観点から、ほとんどの発電機システムはディーゼルエンジンを用いて運転され、該ディーゼルエンジンは、常時、発電機の全定格パワー容量(full generator rated power capacity)が得られるように、一定の速度にてか
なり高いレンジにて駆動される。
【0004】
Sutton によって力説されたように、エンジンを一定の速度にて運転することは、非常
に多くの短所を有し、これらは、適当なエンジン速度コントローラを導入することで回避することができる。事実、内燃機関が、最適な効率(出力機械的パワー/入力燃料パワー
)のために、ある特定の速度にて所定のパワーを供給するということは、当業者には良く知られている。こうして、負荷需要が著しく変動したときでも、エンジンを一定速度にて運転することは、燃料コストの上昇、汚染物質の放出の増加、雑音レベルの上昇、およびメンテナンスコストの上昇をもたらす。従って、エンジン速度を、負荷の所での瞬間パワー需要と関連させて絶えず調節できることが望ましい。このようなシステムは多くの有利な特徴を有するが、中でも、負荷が大きなときは、これを支えるために、より高い速度レンジにて運転することでエンジンの全パワーを利用し、負荷が軽いときは、エンジンをアイドルレベルの付近で走行させることが可能となる。しかしながら、これは、発電機を定常周波数にて固定比率のギヤーボックスを通じて動作するために、エンジンの可変速度をある一定の速度の駆動に絶えず変換しなければならないという問題を引き起こす。
【0005】
Cronin は、合衆国特許第4,382,188号(Lockheed Corp. - May 3, 1983)に
おいて、トロイダルドライブのような、連続可変トランスミッション(continuously variable transmission)(CVT)を用いて、永久磁石発電機を一定の周波数にてあらかじめ選択されたエンジン速度レンジに渡って駆動できるように、エンジンからの可変速度の機械的出力を変換することが可能であることを教示している。事実、CVTにおいては、そのトランスミッションからの駆動の出力速度と、トランスミッションに供給される駆動の入力速度との比率は、あらかじめ定められた上限比率と下限比率の間で、連続的に、かつ、無限的に、可変である。しかしながら、Cronin の発明は、固有に可変なエンジン速度
に対処することを意図されており、そのエンジンを効率の目的のために制御するという視点(基本構想)は有さない。合衆国特許第5,539,258号(Sutton et al. - July
23, 1996 - British Gas plc)、および、欧州特許第0643474号(Sutton - March 3, 1997 - British Gas plc)では、Sutton が、特定のエンジン駆動による発電機システムを開示しており、該システムは、トロイダルCVTを有し、かつ、エンジンスロットルと連続的なトランスミッション比率とを制御するためのコンピュータ化されたシステムを有し、それによって、負荷パワー需要における変化が検出されると、エンジン速度が、測定された需要に対応する最も効率的なレンジ内に、自動的に、あるプログラムされたエンジン効率マップに基づいて設定されるものである。
【0006】
このようなシステムは、負荷のパワー需要がゆるやかに変化するときは正しく動作するかも知れないが、負荷需要の急激な変化に直面したときでも、供給される電流の品質を維持することは、かなりの難題のままである。これは、主として、システム内の慣性および遅延に対する過渡的な応答に起因する。例えば、エンジンは、負荷が突然に加えられ、スロットルが全開されたとき、全速に加速するためには、ある程度の立ち上がり時間を必要とする。逆に、エンジンは、負荷が突然に発電機から切断されたときは、走行してはならず、そして、エンジンおよびCVTは、パワー需要の変動した場合でも、常に、安定なモードにとどまらなければならない。乗り物においては満足に機能することができる多くのエンジン/CVTシステムが開発されているが、しかしながら、どれも、ac発電機に対
する要求(ネットワークに電力を送り、そして、1年に数千時間運転することを意図する)を満たすことはできない。また、ほとんどの連続可変トランスミッションおよびエンジン制御デバイスが、例えば、車、ボート、列車および飛行機などの車両(vehicle)のため
に開発されてきたということは、言及するに値する。そのため、これらのほとんどは、運転のために、油圧(hydraulic)パワーあるいは油圧デバイスに依存し、年間を通じてのこ
れほど多くの運転を維持できるような、価格的に手頃なタイプのものは構築されていない。油圧は、乗り物に対しては、自然な選択ではあるが、生産量が少ない場合のコスト、および保守要件の観点からは、これを、ヘビーデューティーな発電機に対して用いることは、望ましくない。このため、例えば、合衆国特許第3,581,587号(Dickenbrock - June 1, 1971 - General Motors Corp.)において記述されているような、完全に機械
的なトロイダルCVTが、このような用途に対しては、好ましいタイプのCVTであると考えられる。トロイダルCVTにおいては、機械的パワーは、入力トロイダルディスクから出力トロイダルディスクへと伝達され、その伝達は、中心から制御可能な距離にある各ディスクの内面上を走行する、一連の摩擦ローラーを通じて行なわれる。比率は、これらローラーが、各ディスク上の、異なる直径のトラック上を走行するようにさせることで制御され、これら直径の比率によって、トランスミッション比率が定義される。このかなり単純な基本的概念は、発電機システムに良く適合する。しかしながら、これらが、この過酷な用途にふさわしい十分な、信頼性、頑丈さおよび柔軟性を有するようにするためには、より早い段階の設計に、改善を組み入れることが必要である。
【0007】
上の例から、従来技術の幾つかの発電機システムは、エンジン速度の変更を可能にし、結果として、効率を改善するために、連続可変トランスミッションを使用することを考えていることがわかるが、それにもかかわらず、それらシステムおよびトランスミッションデバイスは、周波数および電圧において安定な電力を可変負荷に供給するための、実用的で、信頼性が高く、頑丈で、しかも、手頃な安価の解決策を提供するためにそれらに必要な重要な特徴を欠いている。
【0008】
従って、発電機システムおよび機械的トランスミッションシステムの分野において、可変速度の機械的なエネルギーのソースからの、ある装置の一定速度の駆動を可能にするトランスミッションシステムと、ある可変負荷に、安定した電力を供給するために有利に使用することができるエンジン速度を調節できることを特徴する高効率発電機システムを提供することは、大きな進歩である。
【発明の概要】
【0009】
発明の要約
この発明の目的は、従って、高効率発電機システムと、そのための連続可変トランスミッションとを提供し、従来技術のデバイスおよびシステムの制約および短所を排除することにある。
【0010】
より具体的には、本発明によると、機械的パワーの可変ソースの可変出力を、装置に対する所望の装置速度値を有する入力へと伝達するためのシステムが提供され、当該システムは、当該システムは、トランスミッションを有し、該トランスミッションは、該可変出力を受け取り、かつ、該入力を生成し、該トランスミッションは、該出力の第1の速度と該入力の第2の速度との間のトランスミッション比率を定めるものであり、当該システムは、第1のセンサを有し、該センサは、第1の速度を測定し、これに対応する第1の速度データを生成するものであり、当該システムは、第2のセンサを有し、該センサは、第2の速度を測定し、これに対応する第2の速度データを生成するものであり、当該システムは、第3のセンサを有し、該センサは、前記装置のパワー需要を測定し、かつ、これに対応するパワー需要データを生成するものであり、当該システムは、比率設定ポイントコントローラを有し、該比率設定ポイントコントローラは、第1と第2の速度データおよび前記パワー需要データを受け取り、該比率設定ポイントコントローラは、ソースの利用可能パワーと、当該システムの安定性レベルとを、第1の速度データおよびパワー需要データに応じて計算し、第1の速度に対する所望のソース速度値を、パワー需要に応じて決定し、トランスミッション比率に対する所望の比率値を、所望のソース速度値の関数として計算し、トランスミッション比率の変化の所望のレートを当該システムの安定性レベルに応じて決定するものであり、当該システムは、比率コントローラを有し、該比率コントローラは、比率設定ポイントコントローラを、トランスミッションにインタフェースするものであり、該比率コントローラは、トランスミッションを作動させて、変化の所望のレートに従って、トランスミッション比率を所望の比率値へと変化させるものであり、当該システムは、ソース速度コントローラを有し、該ソース速度コントローラは、第2の速度データを第2のセンサから受け取り、かつ、第2の速度データが所望の装置速度値に対応するまで、第1の速度を変化させるものである。
【0011】
この発明によると、さらに、機械的パワーの可変ソースの可変出力を、装置に対する所望の速度値を有する入力へと変換するためのシステムが提供され、当該システムは、トランスミッションを有し、該トランスミッションは、該可変出力を受け取り、かつ、該入力を生成し、該トランスミッションは、該出力の第1の速度と該入力の第2速度との間の可変の比率を有するものであり、当該システムは、少なくとも1つのセンサを有し、該センサは、第1の速度に対応する第1の速度データと、第2の速度に対応する第2の速度データと、装置のパワー需要に対応するパワー需要データとを生成するものであり、当該システムは、第1のコントローラを有し、該コントローラは、第1の速度データ、第2の速度データ、および、パワー需要データを受け取り、利用可能パワーおよび所望のトランスミッション比率値を、第1の速度データおよび前記パワー需要データに基づいて計算し、第1の速度と所望の速度値とを含む設定レンジとの第1の比較、および、利用可能パワーと少なくとも1つの閾値との第2の比較に基づいて、当該システムを少なくとも第1および第2のカテゴリーの1つに分類し、当該システムが第1のカテゴリーにあるときは、可変比率を所望のトランスミッション比率値へ迅速に至らせるように前記トランスミッションに指示し、当該システムが第2のカテゴリーにあるときは、可変比率を所望のトランスミッション値に徐々に至らせることを前記トランスミッションに指示するものであり、当該システムは、第2のコントローラを有し、該コントローラは、第2の速度データを受け取り、かつ、第1の速度を変化させるために、第2の速度データが所望の速度値に対応するまで、速度訂正信号を機械的パワーのソースに送るものである。
【0012】
さらに、この発明によると、機械的パワーの可変ソースの可変出力を装置に対する所望の速度値を有する入力へと変換する可変トランスミッションを制御する方法が提供され、当該方法は、前記可変出力の第1の速度と、前記入力の第2の速度と、前記装置のパワー需要とを得るステップを有し、当該方法は、計算するステップを有し、該計算は(1)第1の速度とパワー需要とに基づいた、利用可能パワーの計算、(2)第1の速度と利用可能パワーとに基づいた、前記装置の入力の安定性レベルの計算、(3)パワー需要に基づいた、トランスミッションの所望の比率の計算、および(4)安定性レベルに基づいた、比率の変化の所望のレートの計算であり、当該方法は、トランスミッションに対して、比率の変化の所望のレートにて所望の比率に変えるように指示するステップを有し、当該方法は、前記第1の速度を、前記第2の速度が実質的に前記所望の速度値と等しくなるまで変化させるステップを有する。
【0013】
さらに、本発明によると、トロイダルトランスミッションが提供され、該トロイダルトランスミッションは、入力シャフトによって回転される第1および第2のトロイダルディスクを有し、該トロイダルトランスミッションは、前記第1と第2のトロイダルディスクの間に配置され、出力シャフトを回転させる、第3のトロイダルディスクを有し、該トロイダルトランスミッションは、前記第1のディスクのトロイダルキャビティ球溝と、前記第3のディスクの第1のトロイダルキャビティ球溝とに、摩擦的に咬み合う複数の第1の摩擦ローラーを有し、これら第1の摩擦ローラーの各々は、回転パワーを第2と第3のディスクの間で伝達するように回転可能であり、該トロイダルトランスミッションは、前記第2のディスクのトロイダルキャビティ球溝と、前記第3のディスクの第2のトロイダルキャビティ球溝とに、摩擦的に咬み合う複数の第2の摩擦ローラーを有し、これら第2の摩擦ローラーの各々は、回転パワーを第1と第3のディスクの間で伝達するように回転可能であり、該トロイダルトランスミッションは、前記第1の摩擦ローラーを、前記第3のディスクに対して、同じ第1の選択的な角度に維持する第1の手段を有し、この第1の手段は、前記第1の選択的な角度を変えるように作動可能であり、該トロイダルトランスミッションは、前記第2の摩擦ローラーを、前記第3のディスクに対して、同じ第2の選択的な角度に維持する第2の手段を有し、この第2の手段は、前記第2の選択的な角度を変えるように作動可能であり、該トロイダルトランスミッションは、第3の手段を有し、該第3の手段は、前記第1の選択的な角度が実質的に前記第2の選択的な角度と等しくなるように、前記第1の手段と第2の手段とを接続するためのものであり、かつ、該第3の手段は、前記第1の手段と第2の手段とを一緒に作動させて、前記第1および第2の選択的な角度に対する選択された値を得るためのものであり、前記選択された値は、トランスミッションの所望の比率と、トランスミッションの比率変化の所望のレートとうちの、少なくとも1つに対応し、この第3の手段は、制御信号の受け取りによって、前記第1および第2の手段を作動させるものである。
【0014】
この発明の他の目的、長所、および特徴は、この発明の以下の好ましい実施例の非制限的な説明を、単に例示として与えられている添付の図面を参照にして読むことで、一層明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の実施態様による、高効率発電機システムの概略図である。
【図2】図2は、図1の高効率発電機システムの部分概略図であり、エンジンコントローラの詳細を示している。
【図3】図3は、図1の高効率発電機システムの部分概略図であり、CVTコントローラの詳細を示している。
【図4】図4は、図3のCVTコントローラによって遂行される動作を示すフローチャートである。
【図5】図5は、本発明の実施態様による、トロイダル連続可変トランスミッションの長手方向の断面図である。
【図6】図6aは、本発明の実施態様による、トランスミッションの比率制御アセンブリの半径方向断面図である。図6bは、図6aのアセンブリの線BBに沿って取られた断面図である。
【図7】図7aは、図6aの比率制御アセンブリの側面図であり、その作動手段を示している。図7bは、図7aの作動手段の部分正面図である。
【図8a】図8aは、図5のトランスミッションの、1つのローラーアセンブリの正面図であって、最小の低駆動比率(underdrive ratio)についての図である。
【図8b】図8bは、図8aのアセンブリの正面図であって、1の一定比率におけるものである。
【図8c】図8cは、図8aのアセンブリの正面図であって、最大の過駆動比率(overdrive ratio)についての図である。
【0016】
これら図面中、同一の数字は、説明を通じて類似する部分を表す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
好ましい実施例の説明
連続可変トランスミッションシステム、および、それを用いた高効率発電機システムが、図1に示すように、総括的に数字1にて識別されている。以下に説明されるこのシステムは、適切なコントローラを持つ連続可変トランスミッションシステムの使用を通じて、機械的パワーの可変なソースから、装置へと、安定な出力を提供する。さらに、このシステムは、発電機から安定な定格電気出力を提供するとともに、発電機システム内のエネルギー効率の良いを改善させるために、その瞬間の電力需要に従ってエンジン速度の調節を遂行することも意図されている。
【0018】
この連続可変トランスミッションシステムは、CVTデバイス30を有し、該デバイスは、内燃機関(エンジン)2のような機械的なパワー源の出力に接続するための、入力駆動シャフト9を有している。入力速度センサ12は、シャフト9の回転速度に応答し、トランスミッション30の入力速度信号、または、エンジン2の出力速度信号を、CVTコントローラ31に提供し、該コントローラ31は、この連続可変トランスミッションシステムの重要要素(key component)である。CVTコントローラ31は、さらに、5のよう
な駆動される装置の出力においてパワー需要を監視するための負荷パワー信号入力デバイス37を有する。低慣性フライホイール13が、機械的パワーのソース(エンジン)2の回転速度の変動をある程度まで緩和するために、入力駆動シャフト9に固定的に取り付けられている。これは、エンジンの場合は通常そうされるように、パワー源自体に一体化されても良いが、しかし、その慣性は、必要なときにこのソースの迅速な対応が可能となるように最小限に(通常の発電機動システムの場合よりも低く、むしろ匹敵するパワーの車両のエンジンと同程度に)押さえられるべきである。
【0019】
この連続可変トランスミッションシステムは、さらに、出力駆動シャフト11を有しており、該シャフトは、安定した電力を負荷6に供給するための、発電機5の入力ロータシャフトのような、定速定格装置に接続するためのものである。ここでも、出力速度センサ10は、シャフト11の回転速度に応答して、トランスミッション30の出力速度信号、あるいは発電機5の入力速度信号を、CVTコントローラ31に提供する。高慣性フライホイール8が、出力駆動シャフト11に固定的に取り付けられ、これは機械的エネルギーの緩衝装置として機能し、それによって、負荷パワー需要あるいはエンジン速度の急速な変化に起因して出力速度が突然に変化することが防止され、さらに、エンジン2をアシストして、必要なときにその速度をより速く増加させる。大きな慣性の出力フライホイール8内に蓄積されるエネルギーは、低慣性入力フライホイール13のそれより、このシステムの適切な動態的挙動を確保するためには、はるかに大きくなければならない。この対策は、安定したトランスミッション出力を確保するために、過渡的状態を適切に管理することを可能にするための重要な要因であり、とりわけ、例えば、エネルギー効率の良いを最適化するために、エンジン速度の調節が遂行されるような場合に重要である。
【0020】
出力駆動シャフト11の回転速度が変化すると、発電機5内の回転子の入力回転速度が変化するが、これは、直接的に、出力電気波動の周波数に、それと同一の割合にて、影響を及ぼす。実際、電気出力の周波数は、この回転速度(秒当たりの回転数)に極の数(一般的には2)を掛けたものに等しい。例えば、2極発電機は、60Hzの出力波動を生成するためには、ぴったりと1800r.p.m.にて駆動されなければならない。出力電圧も、回転速度の変動による影響を受けることがある。とりわけ、電源障害の場合に、電気的ネットワークに給電することを意図されているような場合には、電気波動パラメータの非常に限定された変動が発電システムから容認され得る。従って、このシステムは、非常に安定であり、負荷需要の変動に高いレベルの無影響性を特徴としなければならない。これは、エネルギー効率の良いという目的に従って、意図的にエンジン速度の調節を遂行する際に、大きな課題となる。
【0021】
機能的に高効率な発電機システムを完成させるために、CVTコントローラ31の負荷パワー入力デバイス37に負荷パワー信号を供給するための、出力パワーセンサ(メータ)7がさらに提供される。さらに、エンジンコントローラ4は、出力速度信号を出力速度センサ10から入力23の所に受信し、速度制御信号をエンジン速度を制御するスロットルまたは調速機(governor、ガバナー)3に出力24を通じて提供する。燃料の供給15
は、スロットルあるいは調速機3に、オプションとして燃料計測デバイス14を通じて供給される。これらエンジン速度制御デバイス3、4、15は、発電機システムに対する標準の在庫品(off-the shelf item)であることを指摘しておく。
【0022】
作動の伝統的なモードにおいては、エンジン速度は一定にとどまることを意図され、発電機の速度設定ポイント(speed set point)と一致するが、エンジンコントローラ4の入
力23は、おそらくはその瞬間におけるモーター速度を示す速度センサ(例えば、12)に接続されるところである。しかしながら、図2に詳細に示されている典型的な速度コントローラ4は、ほとんどの場合、単に入力23における瞬間エンジン速度信号と、発電機速度設定ポイント信号21とを、比較器22において比較し、比較器は、速度エラー信号をエンジン速度コントローラ20に送り、順に、スロットルあるいは調速機3を作動させるための制御信号を生成し、その結果として、発電機速度設定ポイントからの任意の逸脱が訂正される。高性能エンジンコントローラの幾つかの事例においては、発電機の出力パワーも、性能を改善させるために考慮される。このタイプのエンジンコントローラをここで説明されるシステムと共に使用することが考慮される。
【0023】
この目下のセットアップにおいては、入力23は、出力速度センサ10に接続され、下流の発電機の回転速度は、CVTデバイス30から監視されるが、この標準のエンジンコントローラ4も同様に動作する。すなわち、発電機の速度を発電機の速度設定ポイント21上に(例えば、60Hzなる電気出力に対しては、1800r.p.m.に)維持することを試み、エンジン2の速度をCVTデバイス30の挙動に関係なく制御する。従って、この高効率発電機システムを提供するために要求される可変速度制御の全ては、この連続可変トランスミッションシステムの、CVTコントローラ31内に存在する。
【0024】
図3からわかるように、ここでは、全てのエンジン制御デバイスがより一層の明快さのために除去されており、CVTコントローラ31は、2つの主要なデバイス、すなわち、比率制御セクション(比率コントローラ36、比率監視デバイス33、および、逸脱評価デバイス35を有する)と、デバイス34によって表される比率設定ポイント選択セクションとを、有してなる。比率制御セクションは、比率設定ポイント選択デバイス34から比率設定ポイントを受信し、それを、逸脱評価デバイス35において、実際の比率値と比較し、その実際の比率値は、入力速度センサ12と出力速度センサ10とに接続された比率監視(計算)デバイス33によって提供される。明らかなことであるが、実際の比率は、出力速度値を入力速度値にて割ることによって得られる。実際の比率値が、次に、比率設定ポイント値から、逸脱評価デバイス35において引かれ、結果として、逸脱信号が得られ、この信号は比率コントローラ36に送られ、このコントローラは、CVTデバイス30内のアクチュエータを、その計算された比率設定ポイントに対する逸脱が最小となるように駆動するための適当な比率位置信号を生成する。従って、この比率設定ポイント選択デバイス34は、このCVTコントローラの最も重要なセクションであり、ここにおいて、エンジン2および発電機システム1の、最適なシステム性能を目指しての、効果的な制御が遂行される。
【0025】
エンジン速度を最適化するためには、デバイス34における比率設定ポイントの選択は、次のようなやり方にて遂行されなければならない。即ち、発電機5からの与えられたパワー需要に対して、CVTデバイスが、エンジン2を動かせて、その最もエネルギー効率の良いの良い速度にて作動させるというようなやり方である。さらに、発電機5からのパワー需要が変化したときには、比率設定ポイントは、出力電気波動(発電機5によって生成され、負荷6に供給されたものである)における周波数の振幅と電圧の過渡部とを最小とするように調節されなければならない。そのためには、発電機の速度は、可能な限り安定のままでなくてはならない。これらの要求の全ては、比率設定ポイント選択デバイス34で実施される制御方法(control strategy)によって取り組まれる。
【0026】
図3および図4を参照して、エンジン速度の最適化と、発電機出力の線形性とを達成するために、比率設定ポイント選択デバイス34において主に実施される制御方法についてここで説明する。図4のプロセスチャートは、比率設定ポイント選択デバイス34内の、PIDなどのような電子コントローラ(例えば、プロセッサ)によって、1秒間に多数回も遂行される無限ループを表している。このプロセスは次の通りである。
【0027】
最初に、速度センサ10が、発電機速度Vgen を読み出し、そして、該発電機速度Vgen を、速度信号32を通じて、比率設定ポイント選択デバイス34に連絡する。次に、判定40に示されるように、比率設定ポイント選択デバイス34は、この発電機速度Vgen を、プログラムされた許容レンジ(ある設定ポイント速度、例えば、1500r.p.m.または1800r.p.m.を含んでいる)と比較する。この設定ポイント速度は、所望の出力パラメータに応じて選択される操作値(operational value)である。前述したように、この設
定ポイント速度は、例えば、発電機5の所望の周波数に応じて選択される。こうして、センサ10は、周波数信号を比例設定ポイント選択デバイス34に送ることができ、それが、設定ポイント(例えば、50Hzまたは60Hz)含んだ周波数レンジと比較される。
【0028】
もしその発電機速度Vgen が、その許容レンジ(つまり、設定限界)内であるときは、当該システムの安定性レベルは、このポイントでは未知であり(場合X)、そして、比率設定ポイント選択デバイス34はステップ42に進む。もしその発電機速度Vgen が、プログラムされたレンジ即ち設定限界から外れているときは、システムは、不安定であると判断され(場合U)、このため、この比率設定ポイント選択デバイス34は、判定41に進む。
【0029】
判定41に示されるように、もし発電機速度Vgen が、プログラムされたレンジ即ち設定限界から外れているときは(場合U)、比率設定ポイント選択デバイス34は、速度信号32が設定限界より低いかまたは高いかを決定する。もし速度信号32が、設定限界より高いときは、VCTコントローラ31は、システムは不安定であっても介入する必要はなく(場合あるいはカテゴリーU1)、エンジンコントローラ4(図2参照)は、これに対応して、ステップ52に示されるように、エンジン2の速度Ve を、発電機速度Vgen が設定ポイントに達するまで低減および安定化させ、その後、この比率設定ポイント選択デバイス34は、このループをステップ40の所から再開する。
【0030】
もしステップ41において、発電機速度Vgen が設定限界よりも低いものであると、比率設定ポイント選択デバイス34が判定したならば、あるいは、もしステップ40において、発電機速度Vgen が設定限界内であると、比率設定ポイント選択デバイス34が判定したならば、パワー計測器7は、パワー消費信号37を通じて、パワー需要Pdem を、比率設定ポイント選択デバイス34に連絡し、そして、速度センサ12は、速度信号39を通じて、エンジンの速度Ve を比率設定ポイント選択デバイス34に連絡する。
【0031】
比率設定ポイント選択デバイス34にはデータベースが備えられており、該デバイス34は、ステップ42に従って、第一のプログラムされているデータテーブルに、このデータベースからアクセスし、そのエンジン速度Ve に対応する最大エンジンパワーPmax に対する値を引き出す。次に、ステップ43に示されているように、比率設定ポイント選択デバイス34は、エンジン速度Ve に対する最大エンジンパワーPmax およびそのパワー需要Pdem に基づいて、利用可能パワーPav を計算する。
【0032】
1つの好ましい実施例においては、この利用可能パワーPav は、最大エンジンパワー
Pmax から、パワー需要Pdem を引き、それから、安全ファクタを引いたものに対応し、安全ファクタは、発電機5からのパワー需要Pdem の偶発的な突然の増加に持ちこたえるために、いくらかのパワーの蓄えを提供するものである。
【0033】
次に、ステップ44に示されているように、比率設定ポイント選択デバイス34は、利用可能パワーPav が第一の閾値より低いかどうかを評価する。この第一の閾値に対する
好ましい値は0とされるが、この場合は、パワー需要Pdem の突然の増加に持ちこたえるために必要とされるだけのパワー、すなわち、安全ファクタのみが利用できることとなる。
【0034】
発電機速度Vgen が設定限界の範囲内にあり(場合X)、そして、その利用可能パワーが、判定44において第一の閾値(例えば0)に等しいかまたはそれより上であると評価されるような場合においては、システムは安定であり(場合あるいはカテゴリーS)、よって、利用可能パワーPav は十分であり、当該システムは、ステップ45において、エ
ネルギー効率の良い(即ち、経済的な)モードに入って良い。
【0035】
ステップ45では、比率設定ポイント選択デバイス34は、データベースの第2のプログラムされたデータテーブルにアクセスし、パワー需要Pdem に対応する最適エンジン速度Veff を取り出す。第2のデータテーブルによって提供される最適エンジン速度Veff
は、その速度において、エンジン2が、発電機5の所定のパワー需要Pdem に対して可能な限り効率的であるように駆動されるだろうという速度である。好ましくは、この最適エンジン速度Veff は、最も効率的な速度の値と、パワー需要Pdem が突然増加した場合(
例えば、そのシステムの定格容量の100%)にも、安定な状態(つまり、一定の速度Vgen)に発電機5を維持することができるための最小の値との間の、折衷点を表している。
【0036】
ある実際的な例として、もしパワー需要Pdem が0(即ち、無負荷)のときは、エネルギー事情からは、エンジン速度Ve を、より低いアイドルレベル、例えば、トランスミッション30の動作レンジの観点からは、例えば、おおむね500r.p.m.に変更することが示唆される。しかしながら、エンジン速度Ve がアイドルレベルにある状態において、もし突然、全負荷(full load)が加えられた場合には、発電機速度Vgen を設定限界内に維
持するために、エンジン2はその速度Ve を十分に迅速には上げることはできない。この理由から、この第2のデータテーブルのプログラミングに当たっては、0なるパワー需要に対する最適エンジン速度Veff は、エンジン2が、ある突然の負荷に十分に対処でき、過渡的応答の期間と強さ(intensity)とを最小にすることができるように、例えば、10
00r.p.m.とされる。こうして、この第2のデータテーブルから得られるこの最適エンジン速度Veffは、速度Ve であって、その速度において、与えられたパワー需要Pdemに対して最適な効率性および機能性が達成されるように、システムが作動するだろうという速度である。この第2のデータテーブルは、負荷6の予測される挙動を考慮に入れてプログラムしても良い。
【0037】
次に、ステップ46に従って、比率設定ポイント選択デバイス34は、新なトランスミッション比率を計算し、その比率は、第2のデータテーブル内に見出だされる最適エンジン速度Veff と、設定値における発電機速度Vgen との間の比率に対応する。比率設定ポイント選択デバイス34は、この新たなトランスミッション比率を、逸脱評価デバイス35に送る。
【0038】
該逸脱評価デバイス35は、また、実際のトランスミッション比率を比率計算デバイス33から受け取り、それは、センサ13によって提供されるエンジン速度信号39と、センサ10によって提供される発電機速度信号32と、から計算されたものである。
【0039】
ステップ50において示されているように、システムが安定であるから、比率設定ポイント選択デバイス34は、逸脱評価デバイス35を通じて、比率コントローラ36に対してトランスミッション比率を徐々に訂正するように指令する。比率コントローラ36は、こうして、比率訂正信号38をCVTトランスミッション30に送り、該トランスミッション比率を、比率設定ポイント選択デバイス34によって計算された新たなトランスミッション比率へと徐々に到達するようにさせる。この比率の訂正は、こうして、ゆるやかに、即ち、このループの各実行において増分的(incrementally)に遂行され、結果として、
安定性が維持されることともに、ステップ52に示されるように、エンジンコントローラ4に、エンジン速度Vgen を調節させて、トランスミッション比率の変化に追従させる。その後、この比率設定ポイント選択デバイス34は、ループを判定40の所から再スタートする。
【0040】
判定47に示されるように、発電機速度Vgen は、設定限界内にあり(場合X)、利用可能パワーが、判定44において、第1の閾値(例えば0)より低いことが決定されるような場合においては、比率設定ポイント選択デバイス34は、第1のデータテーブル内に見出される最大のエンジンパワーPmax と、パワー需要Pdem とを比較し、たとえ利用可能パワーPavが第1の閾値より低い場合でも、該システムが安定であるために、最大パワーPmax がパワー需要Pdem より十分に大きいかどうかを判定する。換言すれば、比率設定ポイント選択デバイス34は、システムが十分な安全マージン、即ち、安全ファクタを有するかどうかを決定し、発電機5の負荷が突然増加した場合にも、最小の過渡期間にて、エンジン2が十分に補償することを可能とする。これは、例えば、利用可能パワーPav
(これは最大エンジンパワーPmax と、パワー需要Pdem との関数である)と、第1の
閾値より低い第2の閾値とを比較することで行うことができ、この第2の閾値は、選択された安全ファクタを表している。
【0041】
もし判定47において、利用可能パワーPav が、少なくとも第2の閾値と等しいとき
、即ち、最大エンジンパワーPmax が、パワー需要Pdemよりも十分に大きいときは、シ
ステムは安定である(場合S)。ステップ48に見られるように、比率設定ポイント選択デバイス34は、少なくとも第1の閾値(例えば、0)と等しい利用可能パワーPav を
生成するような、最大エンジンパワーPmax に対する新たな値を、パワー需要Pdem に基づいて計算する。
【0042】
次に、ステップ49に示されるように、比率設定ポイント選択デバイス34は、データベースの第1のデータテーブルにアクセスし、最大エンジンパワーPmax に対するこの新たな値に対応する新たなエンジン速度Ve の値を取り出す。この新たなエンジン速度Ve は、発電機5の負荷が突然増加した場合でも、エンジン2が、最小の過渡期間にて、十分な補償が可能であるような、新たな安全マージンあるいはファクタを有することを可能にする。
【0043】
次に、前に説明されたステップ46、50および52が遂行される。即ち、比率設定ポイント選択デバイス34は、見出された新たなエンジン速度Ve に対応する新たなトランスミッション比率を計算し(ステップ46)、この新たなトランスミッション比率を比率コントローラ36に送り、該コントローラは、比率訂正信号38をCVTトランスミッション30に送り、トランスミッション比率を次第に新たなトランスミッション比率へと到達させるようにし(ステップ50)、そして、エンジンコントローラ4は、エンジン速度Ve を、トランスミッション比率の変化に追従して調節することで、Vgen をその設定値に維持する(ステップ52)。比率設定ポイント選択デバイス34は、その後、このループをステップ40の所から再スタートする。
【0044】
一方、もし判定47において、利用可能パワーPav が、第2の閾値より低いと決定さ
れたならば、即ち、最大エンジンパワーPmax が、比率設定ポイント選択デバイス34によって決定されたパワー需要Pdem よりも十分に大きくないときは、システムは、不安定になることが予想される(場合U2)。このため、エンジン速度Ve は、システムを可能な限り早く安定なモードに戻すために、迅速に増加されなければならない。遂行される最初の複数のステップは、利用可能パワーPav が、少なくとも第2の閾値と等しいときと
同一である。即ち、比率設定ポイント選択デバイス34は、少なくとも第1の閾値と等しい利用可能パワーPav を生成するような、最大エンジンパワーPmax に対する、ある新
たな値を計算し(ステップ48)、それに対応する新たなエンジン速度Ve 値を、第1のデータテーブルから取り出し(ステップ49)、そして、見出だされた新たなエンジン速度Ve に対応する、新たなトランスミッション比率を計算する(ステップ46)。
【0045】
しかしながら、ステップ51に示されているように、システムが不安定であるため(場合U2)、比率設定ポイント選択デバイス34は、比率コントローラ36に対して、トランスミッション比率をただちに訂正するように指令し、そして、比率コントローラ36は、比率訂正信号38をCVTトランスミッション30に送り、トランスミッション比率がただちに新たなトランスミッション比率へと変えられるようにする。
【0046】
ここが、高慣性出力フライホイール8に蓄積されているエネルギーが役立つところであり、それが部分的に、システムへと、エンジンの加速を支援するために供給される。結果として、フライホイール8の速度は減速し、そして、その上にそのフライホイール8が搭載されている出力駆動シャフト11が減速し、これに続いて、発電機速度Vgen が減速する。この駆動シャフト11の所の速度の低下は、エンジンコントローラ4によって検出され、コントローラ4は、これに対応して、エンジン2を、フルスロットルモードに切り変える。こうして、システムは、パワーの過渡的な欠如から迅速に回復することができ、可能な限り安定に維持される。比率設定ポイント選択デバイス34は、次に、このループのステップ40から再スタートする。
【0047】
同様に、もし、発電機速度Vgen が設定レンジより低く(場合U)、利用可能パワーPav が第1の閾値より低いことが判定44で判定されるような場合には、システムは不安
定である(場合またはカテゴリーU2)。こうして、遂行される複数のステップは、上記で発電機速度Vgen が設定レンジ内であるような場合(場合X)に対して説明された複数のステップと同一であり、判定47では、利用可能パワーPav が、第2の閾値より低い
ことが決定される。換言すると、比率設定ポイント選択デバイス34は、少なくとも第1の閾値に等しい利用可能パワーPav を生成するような、最大エンジンパワーPmax に対
する所望の値を計算し(ステップ48)、それに対応する新たなエンジン速度Ve 値を第1のデータテーブルから取り出し(ステップ49)、見い出された新たなエンジン速度Ve に対応する新たなトランスミッション比率を計算し(ステップ46)、そして、比率コントローラ36に指令し、コントローラ36は、CVTトランスミッション30に対して、ただちに、高慣性出力フライホイール8内に蓄積されているエネルギーを利用して、その実際のトランスミッション比率を、新たなトランスミッション比率に変化させるように指令する(ステップ51)。エンジンコントローラ4は、これに反応して、発電機速度を安定化させるために、エンジン速度Ve を増加させ(52)、そして、比率設定ポイント選択デバイス34は、このループをステップ40の所から再スタートする。
【0048】
最後に、発電機速度Vgen が設定レンジより低く(場合U)、利用可能パワーPav が
、少なくとも第1の閾値に等しいことが判定44において決定されるような場合には、システムは不安定ではあるが、しかしながら、CVTコントローラ31は、介入することは必要とされない(場合U1)。エンジンコントローラ4は、発電機速度Vgen を設定値へと安定化させるために、利用可能パワーPav を使用してエンジン速度Ve を訂正し(ス
テップ52)、そして、該比率設定ポイント選択デバイス34は、このループをステップ40の所から再スタートする。
【0049】
これで、比率設定ポイント選択デバイス内で実現される制御方法の説明を終える。要約すれば、システム1では、CVTコントローラ31は、システムの安定性レベルを、発電機速度Vgen および利用可能パワーPav に基づいて評価し、システムを3つのカテゴリ
ーのうちの1つに分類し、その3つのカテゴリーは、安定なシステム(S)、エンジンコントローラ23のみによって安定化することができる不安定なシステム(U1)、または、CVTコントローラ31によって安定化されることを必要とする不安定なシステム(U2)である。コントローラ31は、さらに、トランスミッション比率の変化の適切な速度を、安定性レベルに基づいて評価し、もしシステムが安定なときは、その比率は、徐々に(例えば、増分的に)変えられ、そして、もしシステムが不安定なときは、その比率は、急速に(例えば、瞬間的に)変えられる。こうして、CVTコントローラ31は、システムが安定(S)であるとみなされたときは、エンジン2に対して、該エンジンが最も効率的である速度を漸進的(progressively)に採用するように命令し、過渡的あるいは不安定なモード(U2)であるとみなされたときは、該エンジンが最も強力(powerful)となる速度を迅速に採用するように命令する。これが、粗い速度制御を遂行し、精細な制御は、エンジン速度コントローラ4に任され、それは、燃焼パラメータを調節することで遂行され、それによって、エンジン/CVTのタンデムの出力における速度が安定化され、発電機の周波数または速度が可能な限り安定となり、供給された電気波動がそれらの標準を満たすことが確保される。
【0050】
次に、図5に移り、今度は、設定ポイント選択デバイス34と比率コントローラ36とによって指示された通りに比率を変えるための応答を果たす、CVTデバイス30について、より詳細に説明する。
【0051】
該CVTデバイス30は、好ましくは、2段(dual stage)トロイダル・キャビティ・ローラータイプの連続可変比率トランスミッションである。多くの特徴において、このトランスミッションは、従来技術のそれと類似するため、この基本的な動作の詳細な説明については、合衆国特許第3,581,587号(Dickenbrock - June 1, 1971 - General Motors Corp.)、または、カナダ特許出願第2,401,474号(Careau ら - 200
4年3月5日公開、Ecole de Technologie Superieureに譲渡)を参照されたい。とは言え、本発明では、幾つかの重要な改善が考慮され、発電などの産業用途において使用するために、容易に制御可能な頑強なデバイスを提供している。このタイプのトランスミッションは、他のタイプ、例えば、静液圧(hydrostatic)CVTよりも好ましいが、これは、その作動のために油圧(hydraulics)を必要とせず、このため、コストと維持の両方が低減されるためである。さらに、トロイダルトランスミッションは、通常は、油圧トランスミッションと比較して、著しく高い効率を有する。
【0052】
概要的に述べると、該トランスミッションは、一対の外側の入力トロイダルディスク50、51を有し、それらディスクは、回転軸61上に固定的に取り付けられかつエンジン2によって駆動される入力シャフト9を通じて駆動され、かつ、該トランスミッションは、内側の両面(double sided)出力トロイダルディスク52を有し、該ディスクは、軸61のまわりに回転可能に取り付けられ、出力ギヤーステージを通じて出力シャフト11を駆動し、こうして発電機5を駆動する。代替的には、外側のトロイダルディスク50、51を駆動する回転軸61が、出力シャフト11に接続され、それによって発電機5を駆動し、内側のトロイダルディスク52が、入力シャフト9を通じて、エンジン2によって駆動されることが可能である。
【0053】
これらトロイダルディスク50、51、52は、それぞれトロイダルキャビティ球溝53、54および55、56を備えている。回転パワーは、外側入力ディスク50および51(軸61を通じて接続されている)から、摩擦ローラー(例えば、57および58)を通じて、内側出力ディスク52へ対称的に伝達され、これら摩擦ローラーは、軸方向に延在するキャリア59、60上に取り付けられ、2つの向かい合った前記球溝(race)の間で、これらに面するように走行し、回転パワーを、一方から他方に(外側球溝から内側球溝に)伝達する。複数の摩擦ローラー57、58、好ましくは3個が、球溝53−54、55−56の各対の間に設けられ、それらのキャリア59、60が、ボール形ジョイント62、63上にピボット回転可能に取り付けられ、これらジョイントは、共通のスパイダー(spider、放射状に出ている)ハブ64、65から延びており、該ハブは、軸61上に回転可能に取り付けられ、かつ、トランスミッションのハウジングに固定的に接続されている。代替的には、2個、4個、さらには、より多くのローラー57、58を、球溝53−54、および、55−56の各対の間に設けることもできる。与えられた組のローラー57、58のキャリア59、60の遠位端部66、73は、これも軸61に対して同軸状であり、スパイダーハブ64、65の外周に取り付けられた一対の同軸円形リング、すなわち内側リング68、71および外側リング69、72に、スライド可能に組み立てられている(図6a参照)。外側リング69、72は、スパイダーハブ64、65に、一連のローラー83、84(スパイダーハブ64、65の各アームの端の所に1つ)を通じて取り付けられ、それが、固定されたスパイダーハブ64、65に対する、外側リング69、72の限定された半径方向(radial)移動を可能とするが、しかし、軸方向移動を妨げる。外側リング69、72には、3つのスロット70、75が設けられており(特に図8a〜8c参照)、これらスロットは、キャリア59、60(内側リング68、71中に設けられた3つのブッシング67、74内に接続されている)の遠位端部66、73の移動をガイドするための、ガイドスリーブまたはカムとして作用する。各ブッシング67、74は、スロット70、75内へと延び、変位の力は、このスロットからブッシングへと伝達され、順に、遠位端部66、73へと伝達される。内側リング68、71は、こうして、外側リング69、72に接続され、外側リング69、72に対して軸方向と径方向とに移動できる。これらスロット70、75および対応するブッシング67、74は、それぞれ、外側および内側リング69、72および68、71の外周上に、120度ずつ離して設けられる。図6および7a−7は、この二重リング比率制御機構の詳細な断面図である。
【0054】
操作においては、トランスミッション比率の変化は、キャリア59、60の遠位端部66、73の移動を通じて、摩擦ローラー57、58を傾斜させることによって遂行され、それは、各ローラー57、58が、各向かい合う球溝53−54および55−56に面して、異なる直径の円形トラック上を走行するようになされる。このトラックの直径の比率によって、与えられた対のディスク50−52および51−52に対するトランスミッション比率が与えられる(異なる比率に対する図8a〜8c参照)。遠位端部66、73の移動は、軸61の回りの外側リング69、72の回転を通じて都合よく提供され、それが、キャリア59、60の遠位端部66、73を保持する内側リング68、71上に径方向の力の成分を生じさせる。こうして、この回転は、遠位端部66、73に半径方向の力を与え、その力によって、キャリア59、60が、ボール形状のジョイント62、63について傾く。こうして、摩擦ローラー57、58は、もはや、円形のトラック上ではなく、螺旋状のトラック上を走行し(それは、対のディスク50(51)および52の反対向きの回転に起因しており)、それが、ローラーの接触点を、軸61について上下に移動させる。摩擦ローラー57、58のこの運動の結果として、ボール形ジョイント62、63の回りにキャリア59、60の回転を起こさせる比率が変化する。この回転は、目下、外側リング69、72の前(prior)の回転に起因する前の傾斜平面に対して垂直な平面内で起こり、こうして、同一のトロイダルキャビティの3つのキャリア59、60の回転は、遠位端部66、67を動かし、内側リング68、71を軸方向に移動させるように働く。しかしながら、内側リング68、71は、これら3つのスロット70、75に従ってしか移動できないために、この軸方向の運動も、内側リング68、71の回転運動(軸61の回りの、そして、その比率の変更を開始した最初の外側リング69、72の回転とは反対方向の回転運動)へと変換される。そして再び、この回転のために、遠位端部66、73が力を受け、結果として、キャリア59の、ボール形ジョイント62、63を中心としての傾きが元に戻され、このため、この同一のトロイダルキャビティの3つの摩擦ローラー57、58は、もはや、螺旋状のトラック上ではなく、元の円形のトラック上(従って、固定された比率上)を走行し、トランスミッションを、定常状態に引き戻す(図8a〜8c参照)。この構成の長所は、3つ1組み(trio)の3つのローラー57、58が、全て、自動的に、完全に同期して、かつ、高い精度にて、移動することであり、それは、キャリア59、60の遠位端部66、73が、全て、精密に加工された内側リング68、71にリンクされていることによる。外側リング69、72の半径方向の移動は、単一の電気的に駆動されるリニアアクチュエータ76、例えば、DCモーター/エンドレス・スクリューのタンデム(2連)、ソレノイドまたはその種の他のものを用いて達成されるのが有利であり、これは、第2の長所である。即ち、このような電気的なデバイス76は、CVTコントローラ31の比率コントローラ36によって生成される電気的な信号を用いて容易に制御することができる。
【0055】
図7に図示されているように、両方の外側リング69、72の移動を同時的に制御し、トランスミッション30の両方の段(ステージ)における比率を同一に保つために、単一のリニアアクチュエータ76が有利に用いられる。このアクチュエータ76は、ナット79内にネジ式に咬み合わされたエンドレスネジ78を駆動するDCギヤ付モーター(DC geared motor)77を有する。ナット79は、第1のアーム80に接続され、該アームは、
第1のピン81を通じて、第2のアーム82に第一端部で接続されている。第2のアーム82は、その第2端部において、第2のピン83に接続されている。第1および第2のピン81、83は、両方とも、2つの外側リング69、72を相互接続する。こうして、比率位置信号38を比率コントローラ36から受信すると(図3参照)、モーター77は、エンドレスネジ78を回転させ、すると、該ネジ78はナット79を並進移動させ、それが、第1と第2のアーム80、82の並進移動(translation)を生み出し、第1と第2の
ピン81、83を通じて、協調された様式にて、外側リング69、72を回転させる。このアクチュエータ76は、トランスミッション30の両方の段における比率の、簡単で、調和した制御を可能とし、これは、従来のCVTアクチュエータとは反対であって、従来のCVTアクチュエータは、通常、液圧にて駆動され、このため、エネルギー効率は劣り、コストも高く、耐久性も低い。
【0056】
加えて、アクチュエータ76によって提供された両方の段における比率の協調された制御(該アクチュエータは外側リング69、72の両方を一緒に作動させ、外側リングは精密に加工され、ピン81、83によって相互接続されている)は、これらの段同士の間に改善された比率の整合を生じさせ、それが、当該トランスミッション30の相当高い機械的効率を導く。
【0057】
こうして、容易に理解できるように、本発明による上述の実施態様は、可変速度の機械エネルギーのソースから装置の一定速度の駆動を可能にするトランスミッションシステムを提供し、かつ、エンジン速度の調整を特徴とする高効率発電機システムを提供し、可変負荷に、安定した電力を供給するために有利に使用でき、多種多様な出願での用途において有利に使用できる。
【0058】
上に説明された本発明の実施態様は、例示であることを意図している。従って、当業者は、上の説明が、もっぱら解説のためのものであり、様々な代替物および修正物を、本発明の精神から逸脱することなく工夫できることを理解できよう。トランスミッション30およびコントローラ23、31は、様々なタイプの複数のソースによって生成される可変速度の出力から、様々なタイプの複数の装置への、一定速度の入力を提供するためにも、あるいは、1つのソースによって生成される一定速度の出力から、1つの装置への、可変速度の入力を提供するためにも、使用することができる。後者の1つの例は、一定速度の出力を生成する1つの電気モーターと、トランスミッションから可変速度の入力を受け取る1つのコンベアとを有する。このように、本発明は、添付のクレームの範囲内に入る、全てのこのような代替物、修正物、および改良物を包含することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械的パワーの可変ソースの可変出力を、装置に対する所望の装置速度値を有する入力へと伝達するためのシステムであって、当該システムは、
トランスミッションを有し、該トランスミッションは、該可変出力を受け取り、かつ、該入力を生成し、該トランスミッションは、該出力の第1の速度と該入力の第2の速度との間のトランスミッション比率を定めるものであり、
第1のセンサを有し、該センサは、第1の速度を測定し、これに対応する第1の速度データを生成するものであり、
第2のセンサを有し、該センサは、第2の速度を測定し、これに対応する第2の速度データを生成するものであり、
第3のセンサを有し、該センサは、前記装置のパワー需要を測定し、かつ、これに対応するパワー需要データを生成するものであり、
比率設定ポイントコントローラを有し、該比率設定ポイントコントローラは、第1と第2の速度データおよび前記パワー需要データを受け取り、該比率設定ポイントコントローラは、ソースの利用可能パワーと、当該システムの安定性レベルとを、第1の速度データおよびパワー需要データに応じて計算し、第1の速度に対する所望のソース速度値を、パワー需要に応じて決定し、トランスミッション比率に対する所望の比率値を、所望のソース速度値の関数として計算し、トランスミッション比率の変化の所望のレートを当該システムの安定性レベルに応じて決定するものであり、
比率コントローラを有し、該比率コントローラは、比率設定ポイントコントローラを、トランスミッションにインタフェースするものであり、該比率コントローラは、トランスミッションを作動させて、変化の所望のレートに従って、トランスミッション比率を所望の比率値へと変化させるものであり、
ソース速度コントローラを有し、該ソース速度コントローラは、第2の速度データを第2のセンサから受け取り、かつ、第2の速度データが所望の装置速度値に対応するまで、第1の速度を変化させるものである、
前記システム。
【請求項2】
比率設定ポイントコントローラが、最大データテーブルから、第1の速度データに基づいて、実際の最大パワー値を取り出し、実際の最大パワーおよびパワー需要データに基づいて、利用可能パワーを計算する、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
比率設定ポイントコントローラが、実際の最大パワーより高い新たな最大パワーを計算し、所望のソース速度値を、最大データテーブルから新たな最大パワーに基づいて取り出す、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
与えられた安定性レベルに対して、パワー需要データが、与えられた閾値に少なくとも等しいとき、比率設定ポイントコントローラが、所望のソース速度値を効率データテーブルからパワー需要データに基づいて取り出し、所望のソース速度値が、パワー需要データに対応するソースのエネルギー効率の良い速度を表している、請求項1から3のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項5】
第1の速度データを、所望の速度値を含む設定レンジと比較することで、かつ、パワー需要データを、少なくとも1つの閾値と比較することで、当該システムの安定性レベルが評価されるものである、請求項1から4のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項6】
機械的パワーの可変ソースの可変出力を、装置に対する所望の速度値を有する入力へと変換するためのシステムであって、当該システムは、
トランスミッションを有し、該トランスミッションは、該可変出力を受け取り、かつ、該入力を生成し、該トランスミッションは、該出力の第1の速度と該入力の第2速度との間の可変の比率を有するものであり、
少なくとも1つのセンサを有し、該センサは、第1の速度に対応する第1の速度データと、第2の速度に対応する第2の速度データと、装置のパワー需要に対応するパワー需要データとを生成するものであり、
第1のコントローラを有し、該コントローラは、第1の速度データ、第2の速度データ、および、パワー需要データを受け取り、利用可能パワーおよび所望のトランスミッション比率値を、第1の速度データおよび前記パワー需要データに基づいて計算し、第1の速度と所望の速度値とを含む設定レンジとの第1の比較、および、利用可能パワーと少なくとも1つの閾値との第2の比較に基づいて、当該システムを少なくとも第1および第2のカテゴリーの1つに分類し、当該システムが第1のカテゴリーにあるときは、可変比率を所望のトランスミッション比率値へ迅速に至らせるように前記トランスミッションに指示し、当該システムが第2のカテゴリーにあるときは、可変比率を所望のトランスミッション値に徐々に至らせることを前記トランスミッションに指示するものであり、
第2のコントローラを有し、該コントローラは、第2の速度データを受け取り、かつ、第1の速度を変化させるために、第2の速度データが所望の速度値に対応するまで、速度訂正信号を機械的パワーのソースに送るものである、
前記システム。
【請求項7】
第1のコントローラが、第1および第2の比較に基づいて、当該システムを、第1のカテゴリー、第2のカテゴリー、および、第3のカテゴリーのうちの1つに分類し、かつ、当該システムが第3のカテゴリーにあるときは、第1のコントローラが、トランスミッションに対して可変比率を変えるように指示することを避けるものである、請求項6記載のシステム。
【請求項8】
第1の速度が設定レンジより高い場合に、第1のコントローラが、当該システムを第3のカテゴリーに分類する、請求項7記載のシステム。
【請求項9】
第1の速度が設定レンジより低く、利用可能パワーが少なくとも1つの閾値より高い場合に、第1のコントローラが、当該システムを第3のカテゴリーに分類する、請求項7および8のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項10】
第1の速度が設定レンジより低く、利用可能パワーが少なくとも1つの閾値より低い場合に、第1のコントローラが、当該システムを第1のカテゴリーに分類する、請求項6から9のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項11】
第1の速度が設定レンジ内であり、利用可能パワーが少なくとも1つの閾値より低い場合に、第1のコントローラが、当該システムを第1のカテゴリーに分類する、請求項6から10のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項12】
前記の少なくとも1つの閾値が、第1の閾値を含んでおり、かつ、第1の速度が設定レンジ内であり、利用可能パワーが第1の閾値より高い場合に、第1のコントローラが、当該システムを第2のカテゴリーに分類する、請求項6から11のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項13】
前記の少なくとも1つの閾値が、さらに、第1の閾値より高い第2の閾値を含んでおり、かつ、
当該システムが第2のカテゴリーに分類され、利用可能パワーが第2の閾値より高い場合に、第1のコントローラが、パワー需要データに基づいて、第1の速度に対するエネルギー効率の良いの良い値を計算し、かつ、第1の速度に対するエネルギー効率の良いの良い値に基づいて、所望のトランスミッション比率値を計算する、請求項12記載のシステム。
【請求項14】
第1と第2のコントローラが、独立して作動する、請求項6から13のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項15】
トランスミッションが、トロイダル連続可変トランスミッションである、請求項1から14のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項16】
トランスミッションが、入力を生成するシャフトと、該シャフト上に取り付けられた高慣性フライホイールとを含んでいる、請求項1から15のいずれかに記載のシステム。
【請求項17】
前記ソースが内燃機関であり、前記装置が発電機である、請求項1から16のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項18】
機械的パワーの可変ソースの可変出力を装置に対する所望の速度値を有する入力へと変換する可変トランスミッションを制御する方法であって、当該方法は、
前記可変出力の第1の速度と、前記入力の第2の速度と、前記装置のパワー需要とを得るステップを有し、
計算するステップを有し、該計算は(1)第1の速度とパワー需要とに基づいた、利用可能パワーの計算、(2)第1の速度と利用可能パワーとに基づいた、前記装置の入力の安定性レベルの計算、(3)パワー需要に基づいた、トランスミッションの所望の比率の計算、および(4)安定性レベルに基づいた、比率の変化の所望のレートの計算であり、
トランスミッションに対して、比率の変化の所望のレートにて所望の比率に変えるように指示するステップを有し、
前記第1の速度を、前記第2の速度が実質的に前記所望の速度値と等しくなるまで変化させるステップを有する、
前記方法。
【請求項19】
さらに、
パワー需要に基づいて、前記ソースの所望の最大パワー値を計算し、
所望の最大パワー値に基づいて、第1の速度に対する所望の値をデータテーブルから取り出し、かつ、
第1の速度に対する前記所望の値に基づいて、前記所望のトランスミッション値を計算することを有する、請求項18記載の方法。
【請求項20】
与えられた安定性レベルにおいて、かつ、与えられた閾値より高い利用可能パワーをもって、第1の速度に対する所望の値が、前記パワー需要に基づいてデータテーブルから取り出され、前記所望の値は、前記ソースのエネルギー効率の良い速度を提供しながらも、前記利用可能パワーを所望のレベルに維持するものである、請求項18記載の方法。
【請求項21】
トロイダルトランスミッションであって、
入力シャフトによって回転される第1および第2のトロイダルディスクを有し、
前記第1と第2のトロイダルディスクの間に配置され、出力シャフトを回転させる、第3のトロイダルディスクを有し、
前記第1のディスクのトロイダルキャビティ球溝と、前記第3のディスクの第1のトロイダルキャビティ球溝とに、摩擦的に咬み合う複数の第1の摩擦ローラーを有し、これら第1の摩擦ローラーの各々は、回転パワーを第2と第3のディスクの間で伝達するように回転可能であり、
前記第2のディスクのトロイダルキャビティ球溝と、前記第3のディスクの第2のトロイダルキャビティ球溝とに、摩擦的に咬み合う複数の第2の摩擦ローラーを有し、これら第2の摩擦ローラーの各々は、回転パワーを第1と第3のディスクの間で伝達するように回転可能であり、
前記第1の摩擦ローラーを、前記第3のディスクに対して、同じ第1の選択的な角度に維持する第1の手段を有し、この第1の手段は、前記第1の選択的な角度を変えるように作動可能であり、
前記第2の摩擦ローラーを、前記第3のディスクに対して、同じ第2の選択的な角度に維持する第2の手段を有し、この第2の手段は、前記第2の選択的な角度を変えるように作動可能であり、
第3の手段を有し、該第3の手段は、前記第1の選択的な角度が実質的に前記第2の選択的な角度と等しくなるように、前記第1の手段と第2の手段とを接続するためのものであり、かつ、該第3の手段は、前記第1の手段と第2の手段とを一緒に作動させて、前記第1および第2の選択的な角度に対する選択された値を得るためのものであり、前記選択された値は、トランスミッションの所望の比率と、トランスミッションの比率変化の所望のレートとうちの、少なくとも1つに対応し、この第3の手段は、制御信号の受け取りによって、前記第1および第2の手段を作動させるものである、
前記トロイダルトランスミッション。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【公開番号】特開2012−42054(P2012−42054A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−202423(P2011−202423)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【分割の表示】特願2007−532741(P2007−532741)の分割
【原出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(507098287)エス.オー.イー. テクノロジーズ インコーポレイティッド (2)
【Fターム(参考)】