説明

エンジン過給装置

【課題】エンジンの低速回転数領域におけるトルクを向上させる。
【解決手段】本発明のエンジン過給装置10は、排気通路24に設けられたタービン50と、第一吸気通路26に設けられた第一インペラ60と、第二吸気通路28に設けられた第二インペラ70と、還流通路30と、第一吸気通路26及び還流通路30を開閉する第一開閉バルブ34及び第二開閉バルブ35とを備えている。エンジンが中速以降の回転数領域で運転されている場合には、第一開閉バルブ34が開放されると共に第二開閉バルブ35が閉止されることにより、第一インペラ60及び第二インペラ70からエンジンへ圧縮空気が導かれてエンジンが過給される。一方、エンジンが低速回転数領域で運転されている場合には、第一開閉バルブ34が閉止されると共に第二開閉バルブ35が開放されることにより、第二インペラ70からエンジンへ圧縮空気が導かれてエンジンが過給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン過給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジン過給装置としては、次のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、特許文献1には、一つのタービンに対して一つのインペラが設けられたターボチャージャを備えた例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−282891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の例のように、一つのタービンに対して一つのインペラが設けられたターボチャージャでは、エンジンが低速回転数領域にある場合には、過給効率が低いため過給圧を高めることができない。
【0005】
また、仮に、エンジンが低速回転数領域にある場合にインペラに対する駆動力を十分に得られたとしても、コンプレッサ部の効率特性(吸気の圧力比及び空気流量との関係)において、吸気がサージラインよりも少流量側となる条件ではサージングによりエンジンを運転できない。
【0006】
つまり、コンプレッサ部の効率特性は、一般に、中流量域で高く、特に低圧力、少流量域では低い。また、コンプレッサ部の最大流量が大きいほどサージ流量も大きくなる傾向にある。
【0007】
このため、この種のターボチャージャを備えたエンジンシステムでは、低速回転数領域におけるトルクを向上させることができないという課題がある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、エンジンの低速回転数領域におけるトルクを向上させることができるエンジン過給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、請求項1に記載のエンジン過給装置は、エンジンと接続された排気通路に設けられ、前記排気通路を流れる排気により回転されるタービンと、互いに並列に設けられて前記エンジンと接続された第一吸気通路及び第二吸気通路と、前記第一吸気通路に設けられ、前記タービンと一体に回転されることで前記第一吸気通路を流れる吸気を圧縮する第一インペラと、前記第二吸気通路に設けられ、前記タービンと一体に回転されることで前記第二吸気通路を流れる吸気を圧縮する第二インペラと、前記第一吸気通路における前記第一インペラに対する下流側と、前記エンジン及び前記第二吸気通路以外の領域とを連通する連結通路と、前記第一吸気通路における前記第一インペラに対する上流側から下流側に流れた吸気を前記連結通路を通じて前記エンジン及び前記第二吸気通路以外の領域へ導くと共に、前記第二吸気通路を通じて前記第二インペラから前記エンジンへ圧縮空気を導く第一切替態様と、前記第一吸気通路及び前記第二吸気通路を通じて前記第一インペラ及び前記第二インペラから前記エンジンへ圧縮空気をそれぞれ導く第二切替態様とを取り得る切替部と、前記エンジンの回転数が上昇されているときに、前記エンジンの回転数が所定の回転数を超えた場合には、前記切替部を前記第一切替態様から前記第二切替態様に切り替える制御部と、を備えている。
【0010】
請求項1に記載のエンジン過給装置では、エンジンの回転数が上昇されているときに、エンジンが所定の回転数以下(つまり、低速回転数領域)で運転されている場合には、切替部が制御部によって第一切替態様とされる。これにより、第一吸気通路における第一インペラに対する上流側から下流側に流れた吸気が連結通路を通じてエンジン及び第二吸気通路以外の領域へ導かれると共に、第二吸気通路を通じて第二インペラからエンジンへ圧縮空気が導かれて、エンジンが過給される。
【0011】
一方、エンジンの回転数が上昇されているときに、エンジンが所定の回転数を超えた回転数(つまり、中速以降の回転数領域)で運転されている場合には、切替部が制御部によって第二切替態様とされる。これにより、第一吸気通路及び第二吸気通路を通じて第一インペラ及び第二インペラからエンジンへ圧縮空気がそれぞれ導かれて、エンジンが過給される。
【0012】
このように、請求項1に記載のエンジン過給装置では、エンジンの回転数領域に応じて、第二インペラからエンジンへ圧縮空気を導いてエンジンを過給する状態と、第一インペラ及び第二インペラからエンジンへ圧縮空気をそれぞれ導いてエンジンを過給する状態とに切り替えられる。
【0013】
ここで、一つのタービンに対して第一インペラ及び第二インペラを組み合わせたものに相当する一つのインペラが設けられたエンジン過給装置と、請求項1に記載のエンジン過給装置とを比較した場合、この一つのインペラに比して第一インペラ及び第二インペラは小さい。
【0014】
そして、請求項1に記載のエンジン過給装置では、上述のように、エンジンの回転数が上昇されているときに、エンジンが低速回転数領域で運転されている場合には、インペラに比して小さい第二インペラからエンジンへ圧縮空気が導かれる。従って、吸気の少流量域において、過給効率を向上させることができると共にサージ流量も抑えることができる。これにより、吸気の少流量域における過給圧を高めることができるので、エンジンの低速回転数領域におけるトルクを向上させることができる。
【0015】
しかも、請求項1に記載のエンジン過給装置では、エンジンの回転数が上昇されているときに、エンジンが低速回転数領域で運転されている場合には、第一吸気通路における第一インペラに対する上流側から下流側に吸気が流れる。従って、第一インペラに作用する負荷を低減させることができる。
【0016】
さらに、請求項1に記載のエンジン過給装置では、エンジンの回転数が上昇されているときに、エンジンが中速以降の回転数領域で運転されている場合には、第一吸気通路及び第二吸気通路を通じて第一インペラ及び第二インペラからエンジンへ圧縮空気がそれぞれ導かれる。従って、一つのタービンに対して第一インペラ及び第二インペラを組み合わせたものに相当する一つのインペラが設けられたエンジン過給装置と同等の過給圧を得ることができる。
【0017】
請求項2に記載のエンジン過給装置は、請求項1に記載のエンジン過給装置において、前記連結通路が、前記第一吸気通路における前記第一インペラに対する下流側と、前記エンジン及び前記第二吸気通路以外の領域としての前記第一吸気通路における前記第一インペラに対する上流側とを接続する還流通路とされ、前記切替部が、前記第一吸気通路における前記還流通路との下流側の接続部に対する下流側に設けられ、前記第一吸気通路を開閉する第一開閉バルブと、前記還流通路を開閉する第二開閉バルブと、を有し、前記制御部が、前記切替部の前記第一切替態様として、前記第一開閉バルブを閉止させると共に前記第二開閉バルブを開放させ、前記切替部の前記第二切替態様として、前記第一開閉バルブを開放させると共に前記第二開閉バルブを閉止させる、構成とされている。
【0018】
請求項2に記載のエンジン過給装置では、第一吸気通路における第一インペラに対する下流側と、エンジン及び前記第二吸気通路以外の領域としての第一吸気通路における第一インペラに対する上流側とは、連結通路としての還流通路により接続されている。また、第一吸気通路における還流通路との下流側の接続部に対する下流側には、第一開閉バルブが設けられ、還流通路には、第二開閉バルブが設けられている。
【0019】
そして、エンジンの回転数が上昇されているときに、エンジンが所定の回転数以下(つまり、低速回転数領域)で運転されている場合には、切替部の第一切替態様として、第一開閉バルブが閉止されると共に第二開閉バルブが開放される。これにより、第一吸気通路における第一インペラに対する上流側から下流側に流れた吸気を還流通路を通じてエンジン及び第二吸気通路以外の領域(すなわち、この場合、第一吸気通路における第一インペラに対する上流側)へ導くことができる。
【0020】
また、この場合には、第二吸気通路がバルブにより開閉されないので、第二吸気通路を通じて第二インペラからエンジンへ圧縮空気を導くことができる。
【0021】
一方、エンジンの回転数が上昇されているときに、エンジンが所定の回転数を超えた回転数域(つまり、中速以降の回転数領域)で運転されている場合には、切替部の第二切替態様として、第一開閉バルブが開放されると共に第二開閉バルブが閉止される。これにより、第一吸気通路における第一インペラに対する上流側から下流側に流れた吸気が還流通路を通じてエンジン及び第二吸気通路以外の領域へ導かれることを抑制しつつ、第一吸気通路を通じてこの吸気を圧縮空気としてエンジンに導くことができる。
【0022】
また、この場合には、第二吸気通路がバルブにより開閉されないので、第二吸気通路を通じて第二インペラからエンジンへ圧縮空気を導くことができる。
【0023】
請求項3に記載のエンジン過給装置は、請求項2に記載のエンジン過給装置において、前記切替部が、前記第一吸気通路における前記還流通路との上流側の接続部に対する上流側に設けられ、前記第一吸気通路を開閉する第三開閉バルブをさらに有し、前記制御部が、前記切替部の前記第一切替態様として、前記第一開閉バルブを閉止させると共に前記第二開閉バルブを開放させる前に、前記第一開閉バルブを開放させると共に前記第二開閉バルブ及び前記第三開閉バルブを閉止させる、構成とされている。
【0024】
請求項3に記載のエンジン過給装置では、第一吸気通路における還流通路との接続部に対する上流側には、第三開閉バルブが設けられている。
【0025】
そして、切替部の第一切替態様として、第一開閉バルブが閉止されると共に第二開閉バルブが開放される前には、第一開閉バルブが開放されると共に第二開閉バルブ及び前記第三開閉バルブが閉止される。
【0026】
これにより、第一インペラの周辺の空気密度を下げてから、第一吸気通路において第一インペラに対する上流側から下流側に吸気を流すことができるので、第一インペラに作用する負荷をさらに低減させることができる。
【0027】
なお、切替部の第一切替態様において、第三開閉バルブは、開放されても良く、また、閉止されても良い。
【0028】
請求項4に記載のエンジン過給装置は、請求項1に記載のエンジン過給装置において、前記連結通路が、前記第一吸気通路における前記第一インペラに対する下流側と、前記エンジン及び前記第二吸気通路以外の領域としての前記排気通路における前記タービンに対する上流側とを接続するバイパス通路とされ、前記切替部が、前記第一吸気通路における前記バイパス流路との接続部に対する下流側に設けられ、前記第一吸気通路を開閉する第一開閉バルブと、前記バイパス通路を開閉する第二開閉バルブと、を有し、前記制御部が、前記切替部の前記第一切替態様として、前記第一開閉バルブを閉止させると共に前記第二開閉バルブを開放させ、前記切替部の前記第二切替態様として、前記第一開閉バルブを開放させると共に前記第二開閉バルブを閉止させる、構成とされている。
【0029】
請求項4に記載のエンジン過給装置では、第一吸気通路における第一インペラに対する下流側と、エンジン及び第二吸気通路以外の領域としての排気通路におけるタービンに対する上流側とは、連結通路としてのバイパス通路により接続されている。また、第一吸気通路におけるバイパス流路との接続部に対する下流側には、第一開閉バルブが設けられており、バイパス通路には、第二開閉バルブが設けられている。
【0030】
そして、エンジンが所定の回転数以下(つまり、低速回転数領域)で運転されている場合には、切替部の第一切替態様として、第一開閉バルブが閉止されると共に第二開閉バルブが開放される。これにより、第一吸気通路における第一インペラに対する上流側から下流側に流れた吸気をバイパス通路を通じてエンジン及び第二吸気通路以外の領域(すなわち、この場合、排気通路におけるタービンに対する上流側)へ導くことができる。
【0031】
また、この場合には、第二吸気通路がバルブにより開閉されないので、第二吸気通路を通じて第二インペラからエンジンへ圧縮空気を導くことができる。
【0032】
一方、エンジンが所定の回転数を超えた回転数域(つまり、中速以降の回転数領域)で運転されている場合には、切替部の第二切替態様として、第一開閉バルブが開放されると共に第二開閉バルブが閉止される。これにより、第一吸気通路における第一インペラに対する上流側から下流側に流れた吸気がバイパス通路を通じて排気通路におけるタービンに対する上流側へ導かれることを抑制しつつ、第一吸気通路を通じてこの吸気を圧縮空気としてエンジンに導くことができる。
【0033】
また、この場合には、第二吸気通路がバルブにより開閉されないので、第二吸気通路を通じて第二インペラからエンジンへ圧縮空気を導くことができる。
【0034】
また、請求項4に記載のエンジン過給装置では、上述のように、エンジンが低速回転数領域で運転されている場合には、第一吸気通路における第一インペラに対する上流側から下流側に流れた吸気をバイパス通路を通じて排気通路におけるタービンに対する上流側へ導くことができる。これにより、タービンに作用する駆動力を増加させることができるので、吸気の少流量域における過給圧をより一層高めることができる。
【発明の効果】
【0035】
以上詳述したように、本発明によれば、エンジンの低速回転数領域におけるトルクを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第一実施形態に係るエンジン過給装置を備えたエンジンシステムの全体構成を示す図である。
【図2】図1に示される過給機の側面断面図である。
【図3】図1に示されるコントローラの動作を表すフローチャートである。
【図4】図1に示されるエンジンが低速回転数領域で運転されている場合のエンジン過給装置の動作状態を説明する図である。
【図5】図1に示されるエンジンが中速以降の回転数領域で運転されている場合のエンジン過給装置の動作状態を説明する図である。
【図6】図2に示される過給機のコンプレッサ部における効率特性を示す図である。
【図7】図1に示されるエンジンシステムと比較例に係るエンジンシステムとのトルク特性の比較を示す図である。
【図8】本発明の第二実施形態に係るエンジン過給装置を備えたエンジンシステムの全体構成を示す図である。
【図9】図8に示されるコントローラの動作を表すフローチャートである。
【図10】図8に示されるエンジンが低速回転数領域で運転される前のエンジン過給装置の動作状態を説明する図である。
【図11】図8に示されるエンジンが低速回転数領域で運転されている場合のエンジン過給装置の動作状態を説明する図である。
【図12】図8に示されるエンジンが中速以降の回転数領域で運転されている場合のエンジン過給装置の動作状態を説明する図である。
【図13】本発明の第三実施形態に係るエンジン過給装置を備えたエンジンシステムの全体構成を示す図である。
【図14】図13に示されるエンジンが低速回転数領域で運転されている場合のエンジン過給装置の動作状態を説明する図である。
【図15】図13に示されるエンジンが中速以降の回転数領域で運転されている場合のエンジン過給装置の動作状態を説明する図である。
【図16】比較例に係るエンジン過給装置を備えたエンジンシステムの全体構成を示す図である。
【図17】図16に示される過給機のコンプレッサ部における効率特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
[第一実施形態]
はじめに、本発明の第一実施形態について説明する。
【0038】
図1には、本発明の第一実施形態に係るエンジン過給装置10を備えたエンジンシステムS1の全体構成が示されている。
【0039】
この図に示されるエンジンシステムS1は、例えば、乗用自動車等の車両に搭載されるものであり、エンジン過給装置10と、エアクリーナ12と、エンジン14とを備えている。
【0040】
エアクリーナ12及びエンジン14は、従来と同様の構成とされている。エンジン14は、インタークーラ16と、サージタンク18と、エンジン本体20と、排気マニホールド22とを有して構成されている。排気マニホールド22には、排気通路24が接続されている。
【0041】
エンジン過給装置10は、第一吸気通路26と、第二吸気通路28と、連結通路としての還流通路30と、過給機32と、切替部としての第一開閉バルブ34及び第二開閉バルブ35と、センサ38と、制御部としてのコントローラ40とを有して構成されている。
【0042】
第一吸気通路26及び第二吸気通路28は、互いに並列に設けられており、エンジン14のインタークーラ16と接続されている。
【0043】
還流通路30は、第一吸気通路26における第一インペラ60に対する下流側と、第一吸気通路26における第一インペラ60に対する上流側(エンジン14及び第二吸気通路28以外の領域)とを接続している。なお、第一インペラ60については後述する。
【0044】
図2には、過給機32が側面断面図にて示されている。この図に示されるように、過給機32は、タービン部42と、第一コンプレッサ部44と、第二コンプレッサ部46とを有して構成されている。
【0045】
タービン部42は、タービンケーシング48と、タービン50とを有して構成されている。タービンケーシング48には、図示しない吸入口、スクロール通路52、タービン室54、排出口56が形成されている。
【0046】
タービン50は、上述のタービンケーシング48に形成された図示しない吸入口から吸入されて排出口56から排出される排気によって回転される構成とされている。
【0047】
第一コンプレッサ部44は、第一コンプレッサケーシング58と、第一インペラ60とを有して構成されている。第一コンプレッサケーシング58には、第一吸入口62、第一スクロール通路64、第一コンプレッサ室66、図示しない第一排出口が形成されている。
【0048】
第二コンプレッサ部46は、第二コンプレッサケーシング68と、第二インペラ70とを有して構成されている。第二コンプレッサケーシング68には、第二吸入口72、第二スクロール通路74、第二コンプレッサ室76、図示しない第二排出口が形成されている。
【0049】
第一インペラ60及び第二インペラ70は、回転シャフト78を介してタービン50と一体回転可能に連結されている。第一インペラ60は、タービン50と一体に回転されることで、上述の第一コンプレッサケーシング58に形成された第一吸入口62から吸入されて図示しない第一排出口から排出される吸気を圧縮する構成とされている。
【0050】
同様に、第二インペラ70は、タービン50と一体に回転されることで、上述の第二コンプレッサケーシング68に形成された第二吸入口72から吸入されて図示しない第二排出口から排出される吸気を圧縮する構成とされている。
【0051】
なお、この過給機32において、上述のタービンケーシング48に形成された図示しない吸入口から排出口56までの通路は、図1に示される排気通路24の一部を構成している。
【0052】
また、上述の第一コンプレッサケーシング58に形成された第一吸入口62から図示しない第一排出口までの通路は、図1に示される第一吸気通路26の一部を構成している。さらに、上述の第二コンプレッサケーシング68に形成された第二吸入口72から図示しない第二排出口までの通路は、図1に示される第二吸気通路28の一部を構成している。
【0053】
また、この過給機32には、図1に示されるように、ウェイスト通路80及びウェイストゲートバルブ82が設けられている。このウェイスト通路80及びウェイストゲートバルブ82は、従来と同様の構成である。
【0054】
第一開閉バルブ34は、第一吸気通路26における還流通路30との下流側の接続部に対する下流側に設けられており、この第一吸気通路26を開閉する構成とされている。第二開閉バルブ35は、還流通路30に設けられており、この還流通路30を開閉する構成とされている。この第一開閉バルブ34及び第二開閉バルブ35は、例えば、電磁バルブ等により構成されている。
【0055】
なお、第一開閉バルブ34及び第二開閉バルブ35の代わりに、これらの機能を組み合わせた構成からなる三方バルブが用いられても良い。
【0056】
センサ38は、例えば、圧力センサにより構成されており、サージタンク18の内部圧力に応じた信号をコントローラ40に出力する構成とされている。
【0057】
コントローラ40は、例えば、ECUやロジック回路等により構成されており、センサ38から出力された信号に基づいて、第一開閉バルブ34及び第二開閉バルブ35を制御する構成とされている。なお、このコントローラ40の動作については、後述する。
【0058】
次に、本発明の第一実施形態に係るエンジン過給装置10の動作と併せてその作用及び効果について説明する。
【0059】
図3には、コントローラ40の動作を表すフローチャートが示されている。また、図4には、図1に示されるエンジン14が低速回転数領域で運転されている場合のエンジン過給装置10の動作状態が示されており、図5には、図1に示されるエンジン14が中速以降の回転数領域で運転されている場合のエンジン過給装置10の動作状態が示されている。
【0060】
コントローラ40は、図3のフローチャートで示されるプログラム処理を開始すると、先ず、ステップST2において、センサ38の出力信号を検出する。
【0061】
続いて、コントローラ40は、ステップST4において、センサ38の出力信号に基づいて、エンジン14の回転数が上昇されているときに、エンジン14が所定の回転数以下(つまり、低速回転数領域)で運転されているか否かを判断する。
【0062】
そして、コントローラ40は、ステップST4において、エンジン14が低速回転数領域で運転されていると判断した場合には、ステップST6において、図4に示されるように、第一開閉バルブ34を閉止させると共に第二開閉バルブ35を開放させる(切替部の第一切替態様)。
【0063】
これにより、第一吸気通路26における第一インペラ60に対する上流側から下流側に流れた吸気A1が還流通路30を通じて第一吸気通路26における第一インペラ60に対する上流側へ還流される。
【0064】
また、この場合には、第二吸気通路28がバルブにより開閉されないので、第二吸気通路28を通じて第二インペラ70からエンジン14へ圧縮空気A2が導かれる。そして、これにより、エンジン14が過給される。
【0065】
一方、コントローラ40は、ステップST4において、エンジン14が所定の回転数を超えた回転数(つまり、中速以降の回転数領域)で運転されていると判断した場合には、ステップST8において、図5に示されるように、第一開閉バルブ34を開放させると共に第二開閉バルブ35を閉止させる(切替部の第二切替態様)。
【0066】
これにより、第一吸気通路26における第一インペラ60に対する上流側から下流側に流れた吸気A1が還流通路30を通じて第一吸気通路26における第一インペラ60に対する上流側へ還流されることを抑制しつつ、第一吸気通路26を通じてこの吸気A1が圧縮空気としてエンジン14に導かれる。
【0067】
また、この場合には、第二吸気通路28がバルブにより開閉されないので、第二吸気通路28を通じて第二インペラ70からエンジン14へ圧縮空気A2が導かれる。そして、これにより、エンジン14が過給される。
【0068】
このように、本発明の第一実施形態に係るエンジン過給装置10では、エンジン14の回転数領域に応じて、第二インペラ70からエンジン14へ圧縮空気を導いてエンジン14を過給する状態と、第一インペラ60及び第二インペラ70からエンジン14へ圧縮空気をそれぞれ導いてエンジン14を過給する状態とに切り替えられる。
【0069】
ここで、本発明の第一実施形態に係るエンジン過給装置10が奏する作用及び効果を明確にするために、比較例に係るエンジン過給装置140について説明する。
【0070】
図16には、比較例に係るエンジン過給装置140を備えたエンジンシステムS4の全体構成が示されており、図17には、図16に示される過給機132のコンプレッサ部における効率特性(吸気の圧力比及び空気流量との関係)が示されている。なお、この比較例に係るエンジン過給装置140において、本発明の第一実施形態に係るエンジン過給装置10と同様の構成には、同一符合が付されている。
【0071】
この比較例に係るエンジン過給装置140は、一つのタービン50に対して一つのインペラ160が設けられた構成とされている。また、このインペラ160は、本発明の第一実施形態に係るエンジン過給装置10における第一インペラ60及び第二インペラ70を組み合わせたものに相当する。
【0072】
しかしながら、この比較例に係るエンジン過給装置140のように、一つのタービン50に対して一つのインペラ160が設けられた構成では、エンジン14が低速回転数領域にある場合には、過給効率が低いため過給圧を高めることができない。
【0073】
また、仮に、エンジン14が低速回転数領域にある場合にインペラ160に対する駆動力を十分に得られたとしても、コンプレッサ部の効率特性(図17に示される吸気の圧力比及び空気流量との関係)において、吸気がサージラインよりも少流量側となる条件ではサージングによりエンジン14を運転できない。
【0074】
つまり、コンプレッサ部の効率特性は、一般に、中流量域で高く、特に低圧力、少流量域では低い。また、コンプレッサ部の最大流量が大きいほどサージ流量も大きくなる傾向にある。
【0075】
このため、この比較例に係るエンジン過給装置140を備えたエンジンシステムS4では、低速回転数領域におけるトルクを向上させることができないという課題がある。
【0076】
これに対し、本発明の第一実施形態に係るエンジン過給装置10では、上述の比較例に係るエンジン過給装置140におけるインペラ160に比して、第一インペラ60及び第二インペラ70は小さい。
【0077】
そして、本発明の第一実施形態に係るエンジン過給装置10では、上述のように、エンジン14の回転数が上昇されているときに、エンジン14が低速回転数領域で運転されている場合には、インペラ160に比して小さい第二インペラ70からエンジン14へ圧縮空気が導かれる。従って、吸気の少流量域において、過給効率を向上させることができると共にサージ流量も抑えることができる。これにより、吸気の少流量域における過給圧を高めることができるので、エンジン14の低速回転数領域におけるトルクを向上させることができる。
【0078】
しかも、本発明の第一実施形態に係るエンジン過給装置10では、エンジン14の回転数が上昇されているときに、エンジン14が低速回転数領域で運転されている場合には、第一吸気通路26における第一インペラ60に対する上流側から下流側に吸気が流れる。従って、第一インペラ60に作用する負荷を低減させることができる。
【0079】
さらに、本発明の第一実施形態に係るエンジン過給装置10では、エンジン14の回転数が上昇されているときに、エンジン14が中速以降の回転数領域で運転されている場合には、第一吸気通路26及び第二吸気通路28を通じて第一インペラ60及び第二インペラ70からエンジン14へ圧縮空気がそれぞれ導かれる。従って、比較例に係るエンジン過給装置140と同等の過給圧を得ることができる。
【0080】
なお、図6には、図2に示される過給機32の第一コンプレッサ部44及び第二コンプレッサ部46を組み合わせたコンプレッサ部における効率特性(吸気の圧力比及び空気流量との関係)が示されている。また、図7には、本発明の第一実施形態に係るエンジンシステムS1と比較例に係るエンジンシステムS4とのトルク特性の比較が示されている。
【0081】
図6に示されるように、本発明の第一実施形態に係るエンジン過給装置10によれば、吸気の少流量域における過給圧を高めることができる。また、図7に示されるように、比較例に係るエンジンシステムS4に比して、エンジン14の低速回転数領域におけるトルクを向上させることができる。
【0082】
また、本発明の第一実施形態に係るエンジン過給装置10では、一つのタービンに対して一つのインペラが設けられた過給機を二つ備えた所謂ツインターボ方式のエンジン過給装置に比して、タービン50が一つで足りるので、装置の構成を簡素化して小型化することができる。
【0083】
なお、本発明の第一実施形態に係るエンジン過給装置10では、ステップST6において、図4に示されるように、第一吸気通路26における第一インペラ60に対する上流側から下流側に流れた吸気A1が還流通路30を通じて第一吸気通路26における第一インペラ60に対する上流側へ還流される構成とされていたが、次のように構成されていても良い。
【0084】
すなわち、ステップST6において、第一吸気通路26における第一インペラ60に対する上流側から下流側に流れた吸気が図示しない連結通路を通じてエンジン14及び第二吸気通路28以外の領域としてのエンジンシステムS1の外部に放出される構成とされていても良い。
【0085】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
【0086】
図8には、本発明の第二実施形態に係るエンジン過給装置120を備えたエンジンシステムS2の全体構成が示されている。
【0087】
この図に示されるエンジンシステムS2は、上述の本発明の第一実施形態に係るエンジンシステムS1に対し、エンジン過給装置10の代わりに、エンジン過給装置120が備えられている。エンジン過給装置120は、上述の本発明の第一実施形態に係るエンジン過給装置10に対し、第三開閉バルブ36が追加されると共に、コントローラ40の構成が変更されている。
【0088】
つまり、第三開閉バルブ36は、第一吸気通路26における還流通路30との接続部に対する上流側に設けられており、この第一吸気通路26を開閉する構成とされている。この第三開閉バルブ36は、第一開閉バルブ34及び第二開閉バルブ35と同様に、例えば、電磁バルブ等により構成されている。
【0089】
コントローラ40は、センサ38から出力された信号に基づいて、第一開閉バルブ34、第二開閉バルブ35、第三開閉バルブ36を制御する構成とされている。なお、このコントローラ40の動作については、後述する。
【0090】
次に、本発明の第二実施形態に係るエンジン過給装置120の動作と併せてその作用及び効果について説明する。
【0091】
図9には、コントローラ40の動作を表すフローチャートが示されている。また、図10には、図8に示されるエンジン14が低速回転数領域で運転される前のエンジン過給装置120の動作状態が示されている。さらに、図11には、図8に示されるエンジン14が低速回転数領域で運転されている場合のエンジン過給装置120の動作状態が示されており、図12には、図8に示されるエンジン14が中速以降の回転数領域で運転されている場合のエンジン過給装置120の動作状態が示されている。
【0092】
本発明の第二実施形態に係るエンジン過給装置120において、コントローラ40は、ステップST4において、エンジン14の回転数が上昇されているときに、エンジン14が低速回転数領域で運転されていると判断した場合には、ステップST6に移行する前に、ステップST5を実行する。
【0093】
すなわち、コントローラ40は、ステップST5において、図10に示されるように、第一開閉バルブ34を開放させると共に第二開閉バルブ35及び第三開閉バルブ36を閉止させる。これにより、吸気A1が第一インペラ60に対する下流側に引き込まれて第一インペラ60の周辺の空気密度が一時的に低下する。
【0094】
続いて、コントローラ40は、ステップST6において、図11に示されるように、第一開閉バルブ34を閉止させると共に第二開閉バルブ35及び第三開閉バルブ36を開放させる(切替部の第一切替態様)。
【0095】
これにより、第一吸気通路26における第一インペラ60に対する上流側から下流側に流れた吸気A1が還流通路30を通じて第一吸気通路26における第一インペラ60に対する上流側へ還流される。
【0096】
また、この場合には、第二吸気通路28がバルブにより開閉されないので、第二吸気通路28を通じて第二インペラ70からエンジン14へ圧縮空気A2が導かれる。そして、これにより、エンジン14が過給される。
【0097】
なお、ステップST6において、第三開閉バルブ36は、開放されていたが、閉止されても良い。
【0098】
一方、コントローラ40は、ステップST4において、エンジン14が中速以降の回転数領域で運転されていると判断した場合には、ステップST8において、図12に示されるように、第一開閉バルブ34及び第三開閉バルブ36を開放させると共に第二開閉バルブ35を閉止させる(切替部の第二切替態様)。
【0099】
これにより、第一吸気通路26における第一インペラ60に対する上流側から下流側に流れた吸気A1が還流通路30を通じて第一吸気通路26における第一インペラ60に対する上流側へ還流されることを抑制しつつ、第一吸気通路26を通じてこの吸気A1が圧縮空気としてエンジン14に導かれる。
【0100】
また、この場合には、第二吸気通路28がバルブにより開閉されないので、第二吸気通路28を通じて第二インペラ70からエンジン14へ圧縮空気A2が導かれる。そして、これにより、エンジン14が過給される。
【0101】
このように、本発明の第二実施形態に係るエンジン過給装置120によっても、エンジン14の回転数領域に応じて、第二インペラ70からエンジン14へ圧縮空気を導いてエンジン14を過給する状態と、第一インペラ60及び第二インペラ70からエンジン14へ圧縮空気をそれぞれ導いてエンジン14を過給する状態とに切り替えることができる。
【0102】
また、本発明の第二実施形態に係るエンジン過給装置120では、ステップST6において、第一開閉バルブ34が閉止されると共に第二開閉バルブ35及び第三開閉バルブ36が開放される前には、ステップST5において、第一開閉バルブ34が開放されると共に第二開閉バルブ35及び第三開閉バルブ36が閉止される。
【0103】
これにより、第一インペラ60の周辺の空気密度を下げてから、第一吸気通路26において第一インペラ60に対する上流側から下流側に吸気を流すことができるので、第一インペラ60に作用する負荷をさらに低減させることができる。
【0104】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について説明する。
【0105】
図13には、本発明の第三実施形態に係るエンジン過給装置130を備えたエンジンシステムS3の全体構成が示されている。
【0106】
この図に示されるエンジンシステムS3は、上述の本発明の第一実施形態に係るエンジンシステムS1に対し、エンジン過給装置10の代わりに、エンジン過給装置130が備えられている。エンジン過給装置130は、上述の本発明の第一実施形態に係るエンジン過給装置10に対し、還流通路30の代わりに、連結通路としてのバイパス通路31が備えられると共に、第二開閉バルブ35の配置位置が変更されている。
【0107】
つまり、バイパス通路31は、第一吸気通路26における第一インペラ60に対する下流側と、排気通路24におけるタービン50に対する上流側(エンジン14及び第二吸気通路28以外の領域)とを接続している。
【0108】
第二開閉バルブ35は、バイパス通路31に設けられ、バイパス通路31を開閉する構成とされている。
【0109】
なお、第一開閉バルブ34は、第一吸気通路26におけるバイパス通路31との接続部に対する下流側に設けられている。
【0110】
次に、本発明の第三実施形態に係るエンジン過給装置130の動作と併せてその作用及び効果について説明する。
【0111】
なお、本発明の第三実施形態において、コントローラ40の動作は、上述の本発明の第一実施形態と同様であり、その詳細は図3を参照することとする。また、図14には、図13に示されるエンジン14が低速回転数領域で運転されている場合のエンジン過給装置130の動作状態が示されており、図15には、図13に示されるエンジン14が中速以降の回転数領域で運転されている場合のエンジン過給装置130の動作状態が示されている。
【0112】
コントローラ40は、ステップST4において、エンジン14が低速回転数領域で運転されていると判断した場合には、ステップST6において、図14に示されるように、第一開閉バルブ34を閉止させると共に第二開閉バルブ35を開放させる(切替部の第一切替態様)。
【0113】
これにより、第一吸気通路26における第一インペラ60に対する上流側から下流側に流れた吸気A1がバイパス通路31を通じて排気通路24におけるタービン50に対する上流側へ導かれる。
【0114】
また、この場合には、第二吸気通路28がバルブにより開閉されないので、第二吸気通路28を通じて第二インペラ70からエンジン14へ圧縮空気A2が導かれる。そして、これにより、エンジン14が過給される。
【0115】
一方、コントローラ40は、ステップST4において、エンジン14が中速以降の回転数領域で運転されていると判断した場合には、ステップST8において、図15に示されるように、第一開閉バルブ34を開放させると共に第二開閉バルブ35を閉止させる(切替部の第二切替態様)。
【0116】
これにより、第一吸気通路26における第一インペラ60に対する上流側から下流側に流れた吸気A1がバイパス通路31を通じて排気通路24におけるタービン50に対する上流側へ導かれることを抑制しつつ、第一吸気通路26を通じてこの吸気A1が圧縮空気としてエンジン14に導かれる。
【0117】
また、この場合には、第二吸気通路28がバルブにより開閉されないので、第二吸気通路28を通じて第二インペラ70からエンジン14へ圧縮空気A2が導かれる。そして、これにより、エンジン14が過給される。
【0118】
このように、本発明の第三実施形態に係るエンジン過給装置130によっても、エンジン14の回転数領域に応じて、第二インペラ70からエンジン14へ圧縮空気を導いてエンジン14を過給する状態と、第一インペラ60及び第二インペラ70からエンジン14へ圧縮空気をそれぞれ導いてエンジン14を過給する状態とに切り替えることができる。
【0119】
また、本発明の第三実施形態に係るエンジン過給装置130では、上述のように、エンジン14が低速回転数領域で運転されている場合には、第一吸気通路26における第一インペラ60に対する上流側から下流側に流れた吸気をバイパス通路31を通じて排気通路24におけるタービン50に対する上流側へ導くことができる。これにより、タービン50に作用する駆動力を増加させることができるので、吸気の少流量域における過給圧をより一層高めることができる。
【0120】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【0121】
なお、上記各実施形態において、エンジン過給装置10,120,130は、インペラを二つ備えた構成とされていたが、インペラを複数備えた構成とされていても良い。また、このインペラの数に合わせて連結通路、切替部、制御部が構成されていても良い。
【符号の説明】
【0122】
10,120,130 エンジン過給装置
14 エンジン
24 排気通路
26 第一吸気通路
28 第二吸気通路
30 還流通路(連結通路)
31 バイパス通路(連結通路)
32 過給機
34 第一開閉バルブ(切替部の一部)
35 第二開閉バルブ(切替部の一部)
36 第三開閉バルブ(切替部の一部)
38 センサ
40 コントローラ(制御部)
50 タービン
60 第一インペラ
70 第二インペラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと接続された排気通路に設けられ、前記排気通路を流れる排気により回転されるタービンと、
互いに並列に設けられて前記エンジンと接続された第一吸気通路及び第二吸気通路と、
前記第一吸気通路に設けられ、前記タービンと一体に回転されることで前記第一吸気通路を流れる吸気を圧縮する第一インペラと、
前記第二吸気通路に設けられ、前記タービンと一体に回転されることで前記第二吸気通路を流れる吸気を圧縮する第二インペラと、
前記第一吸気通路における前記第一インペラに対する下流側と、前記エンジン及び前記第二吸気通路以外の領域とを連通する連結通路と、
前記第一吸気通路における前記第一インペラに対する上流側から下流側に流れた吸気を前記連結通路を通じて前記エンジン及び前記第二吸気通路以外の領域へ導くと共に、前記第二吸気通路を通じて前記第二インペラから前記エンジンへ圧縮空気を導く第一切替態様と、前記第一吸気通路及び前記第二吸気通路を通じて前記第一インペラ及び前記第二インペラから前記エンジンへ圧縮空気をそれぞれ導く第二切替態様とを取り得る切替部と、
前記エンジンの回転数が上昇されているときに、前記エンジンの回転数が所定の回転数を超えた場合には、前記切替部を前記第一切替態様から前記第二切替態様に切り替える制御部と、
を備えたエンジン過給装置。
【請求項2】
前記連結通路は、前記第一吸気通路における前記第一インペラに対する下流側と、前記エンジン及び前記第二吸気通路以外の領域としての前記第一吸気通路における前記第一インペラに対する上流側とを接続する還流通路とされ、
前記切替部は、
前記第一吸気通路における前記還流通路との下流側の接続部に対する下流側に設けられ、前記第一吸気通路を開閉する第一開閉バルブと、
前記還流通路を開閉する第二開閉バルブと、
を有し、
前記制御部は、
前記切替部の前記第一切替態様として、前記第一開閉バルブを閉止させると共に前記第二開閉バルブを開放させ、
前記切替部の前記第二切替態様として、前記第一開閉バルブを開放させると共に前記第二開閉バルブを閉止させる、
請求項1に記載のエンジン過給装置。
【請求項3】
前記切替部は、
前記第一吸気通路における前記還流通路との上流側の接続部に対する上流側に設けられ、前記第一吸気通路を開閉する第三開閉バルブを有し、
前記制御部は、前記切替部の前記第一切替態様として、前記第一開閉バルブを閉止させると共に前記第二開閉バルブを開放させる前に、前記第一開閉バルブを開放させると共に前記第二開閉バルブ及び前記第三開閉バルブを閉止させる、
請求項2に記載のエンジン過給装置。
【請求項4】
前記連結通路は、前記第一吸気通路における前記第一インペラに対する下流側と、前記エンジン及び前記第二吸気通路以外の領域としての前記排気通路における前記タービンに対する上流側とを接続するバイパス通路とされ、
前記切替部は、
前記第一吸気通路における前記バイパス流路との接続部に対する下流側に設けられ、前記第一吸気通路を開閉する第一開閉バルブと、
前記バイパス通路を開閉する第二開閉バルブと、
を有し、
前記制御部は、
前記切替部の前記第一切替態様として、前記第一開閉バルブを閉止させると共に前記第二開閉バルブを開放させ、
前記切替部の前記第二切替態様として、前記第一開閉バルブを開放させると共に前記第二開閉バルブを閉止させる、
請求項1に記載のエンジン過給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−216439(P2010−216439A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66938(P2009−66938)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】