説明

エーテル結合およびカルバメート結合を介する四置換NDGA誘導体ならびにそれらの合成および薬学的使用

エーテル結合またはカルバメート結合によってそれぞれのヒドロキシ残基のO基に結合した側鎖を介して、炭素原子またはヘテロ原子によって結合した種々の末端基を含むノルジヒドログアイアレチン酸誘導体化合物、薬学的組成物、これらを作製する方法、ならびに疾患および障害、特に、例えばHIV感染、HPV感染、もしくはHSV感染などのウイルス感染、例えば種々の型の関節炎および炎症性腸疾患などの炎症性疾患、例えば糖尿病などの代謝疾患、例えば高血圧症および黄斑変性などの脈管疾患、または例えば広範な型の癌などの増殖性疾患から生じるかまたは関連する疾患の処置のための、これらの使用の方法およびこれらを備えるキットが開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2006年10月2日に出願された米国仮特許出願番号60/827,776の利益を主張し、この米国仮特許出願の開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の背景)
本発明は、ノルジヒドログアイアレチン酸誘導体、これらを作製する方法、ならびにウイルス感染、炎症性疾患、代謝疾患、脈管疾患(心血管疾患を含む)および増殖性疾患(例えば、癌)を処置するためにこれらを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ノルジヒドログアイアレチン酸(NDGA、式I)は、以下の化学構造を有し、この化学構造中に、2つのカテコール基および1つの2,3−ジメチルブタン架橋が存在する。このブタン架橋は、2つのカテコール部分を、4位を介して連結する。NDGAは、Larrea tridentata(米国南西部およびメキシコに固有の砂漠植物)の葉の樹脂から単離され得る、天然化合物である。NDGAは、(2S,3R)というメソ型の配置を有し、この配置は対称であるので、光学活性ではない。
【0004】
【化1】

NDGAおよびその誘導体の研究は、最近、増加する興味を引き付けている。多数のNDGA誘導体が報告されており、そして以下のように分類され得る:
タイプ1:エーテル結合したNDGAであり、最も一般的なNDGA誘導体。置換された基が、カテコール部分のヒドロキシのうちの1つ以上において化学結合している。
【0005】
タイプ2:エステル結合したNDGA誘導体。置換された基が、カテコール部分のヒドロキシ基のうちの1つ以上に共有結合している。
【0006】
タイプ3:末端環NDGA誘導体。カテコール部分のヒドロキシが一緒に結合して、エーテル結合またはカーボネート結合を介して5員〜6員環を形成している。
【0007】
タイプ4:二置換NDGA誘導体。カテコールの一方のヒドロキシ基がメチル化されており、そして他方のヒドロキシ基が置換された基に共有結合している。
【0008】
タイプ5:フェニル環修飾。置換された基がフェニル環に化学結合している。
【0009】
タイプ6:ブタン架橋修飾。この架橋の中の2つのメチル基が除去されているか、または置換された基で修飾されている。
【0010】
NDGAおよびその合成誘導体は、多数の特徴を有する。リポキシゲナーゼインヒビターであるので、NDGAは、ラットにおいて嚢胞性腎症を誘導し得る(非特許文献1)。さらに、NDGAは、種々の生物活性(プロテインキナーゼCの阻害(非特許文献2)、アポトーシスの誘導(非特許文献3)、細胞膜の変質(非特許文献4)、細胞Ca2+レベルの上昇(非特許文献5)および平滑筋細胞におけるCa2+チャネルの活性化(非特許文献6)、インビトロでの予め形成されたアルツハイマーβ−アミロイド小繊維の破壊(非特許文献7)、酸化防止(非特許文献8)などが挙げられる)を示す。この天然産物であるNDGAは、世界の一部において、脂肪およびバターを保存するための食品添加物として市場で使用されている。最近、植物リグナンNDGAの誘導体が、ウイルス転写の阻害によって、ウイルス複製を遮断するために使用されている(非特許文献9〜16)9−16。これらの化合物は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)9−13、単純疱疹ウイルス(HSV)14,15、およびヒトパピローマウイルス(HPV)転写物16の産生を、これらのSp1依存プロモーターの脱活性化によって阻害し得る。さらに、(テトラ−O−メチル)ノルジヒドログアイアレチン酸(MN,式II,テトラメプトコル(terameprocol))は、抗HIVプロウイルス転写インヒビターとして機能し得、そして培養物中およびマウス中で、種々の形質転換されたヒト細胞およびマウス細胞の成長の停止を引き起こす(非特許文献17〜19)17−19。化合物MNは、現在、ヒト癌に対する臨床治験中である。
【0011】
N(式II)は、顕著に効果的かつ非毒性の抗癌剤であるが、MNおよび他の数種のメチル化NDGAは全て、乏しい水溶性を示し、このことは、特定の薬物作用研究へのこれらの化合物の応用をいくらか制限している。この問題を回避するために、NDGAの水溶性誘導体である(テトラ−O−ジメチルグリシル)ノルジヒドログアイアレチン酸(GN,式III)が、設計および合成された11,18
【0012】
【化2】

Nは、HIV−1、HSV−1およびHSV−217に対する非常に効果的な変異非感受性インヒビターである。しかし、GNは、いくらか不安定であり、そして水溶液中での比較的短い半減期を有する。このことは、報告によれば、NDGA主骨格にジメチルグリシン部分を接続するエステル結合に起因する18
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Trang,T.;Stutak,M.;Quirion,R.;Jhamandas,K.Br.J.Pharmacol.2003,140,295−304.
【非特許文献2】Nakadate,T.Jpn.J.Pharmacol.1989,49,1−9.
【非特許文献3】Hausott,B.;Greger,H.;Marian,B.J.CancerRes.Clin.Oncol.2003,129,569−576.
【非特許文献4】Fujiwara,T.;Misumi,Y.;Ikehara,Y.Biochem.Biophys.Res.Commum.2003,301,927−933.
【非特許文献5】Cheng,J.S.;Jan,C.R.Toxicol.InVitro2002,16,485−490.
【非特許文献6】Yamamura,H.;Nagano,N.;Hirano,M.;Muraki,K.;Watanabe,M.Imaizumi,Y.J.Pharmacol.Exp.Ther.1999,291,140−146.
【非特許文献7】Ono,K.;Hasegawa,K.;Yoshiike,Y.;Takashima,A.;Yamada,M.;Naiki,H.J.Neurochem.2002,81,434−440.
【非特許文献8】Lee,C.H.;Jang,Y.S.;Her,S.J.;Moon,Y.M.;Baek,S.J.;Eling,T.Exp.Cell.Res.2003,289,335−341.
【非特許文献9】Hwu,J.R.;Tseng,W.N.;Gnabre,J.;Giza,P.;Huang,R.C.J.Med.Chem.1998,41,2994−3000.
【非特許文献10】Huang,R.C.;Li,Y.;Giza,P.E.;Gnabre,J.N.;Abd−Elazem,I.S.;King,K.Y.;Hwu,J.R.Antiviral Res.2003,58,57−64.
【非特許文献11】King,K.Y.;Hakimelahi,G.H.;Huang,R.C.;Hwu,J.R.J.Genetics Mol.Biol.2002,13,248−257.
【非特許文献12】Gnabre,J.N.;Brady,J.N.;Clanton,D.J.;Ito,Y.;Dittmer,J.;Bates,R.B.;Huang,R.C.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1995,92,11239−11243.
【非特許文献13】Gnabre,J.;Ito,Y.;Ma,Y.;Huang,R.C.J.Chromatogr.A.1996,719,353−364
【非特許文献14】Chen,H.;Teng,L.;Li,J.;Park,R.;Mold,D.E.;Gnabre,J.;Hwu,J.R.;Tseng,W.N.;Huang,R.C.J.Med.Chem.1998,41,3001−3007.
【非特許文献15】Park,R.;Giza,P.E.;Mold,D.E.;Huang,R.C.Antiviral Res.2003,58,35−45.
【非特許文献16】Craigo,J.;Callahan,M.;Huang,R.C.;DeLucia,A.Antiviral Res.2000,47,19−28.
【非特許文献17】Chang,C.−C.;Heller,J.D.;Kuo,J.;Huang,R.C.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2004,101,13239−13244.
【非特許文献18】Heller,J.D.;Kuo,J.;Wu,T.C.;Kast,W.M.;Huang,R.C.Cancer Res.2001,61,5499−5504.
【非特許文献19】Park,R.;Chang,C.C.;Liang,Y.C.;Chung,Y.;Henry,R.A.;Lin,E.;Mold,D.E.;Huang,R.C.Clin.Cancer Res.,2005,11(12),4601−4609.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、改善された水溶性および良好な安定性を有し、所望の薬学的効果を有する、水溶性化合物および疎水性化合物の両方としての、NDGA誘導体が必要とされている。本発明者らは、これらの利点を有し、そして治療組成物および処置方法において有用な、NDGAの新規誘導体を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(発明の簡単な要旨)
本発明は、ノルジヒドログアイアレチン酸誘導体化合物、薬学的組成物、これらを作製する方法、ならびにこれらを使用する方法およびキット(疾患および障害(特に、ウイルス感染、炎症性疾患、代謝疾患、脈管疾患または増殖性疾患から生じる疾患またはこれらに関連する疾患)の処置のためのものを含む)に関する。
【0016】
本発明の1つの局面は、一般構造(式IV):
【0017】
【化3】

を有する「SbN」と表されるノルジヒドログアイアレチン酸誘導体化合物、およびその薬学的に受容可能な塩に関する。
【0018】
この化合物は、ノルジヒドログアイアレチン酸(NDGA)骨格を有し、この骨格は、「SbN」との表現において「N」により表される。4つの基Xは、NDGAヒドロキシル基のHを置換しており(ときどき、「置換された基X」と称される)、「SbN」において「Sb」により表される。
【0019】
Xは、
−A−R;
−(CHHalであって、ここでxは、1〜10の整数であり、そしてHalは、ハロゲン原子、すなわち、塩素、フッ素、臭素またはヨウ素のうちのいずれかである、−(CHHal;
−(CHCHO)Hであって、ここでyは、1〜10の整数である、−(CHCHO)H;および
【0020】
【化4】

からなる群より選択されるカルバメート結合した基からなる群より選択され、
ここでnは、1〜6の整数であり、Zは、2個〜6個の炭素および必要に応じて1個〜3個のハロゲン原子の飽和直鎖炭化水素鎖であり、Zは、0〜3個の二重結合を必要に応じて含み、そしてO、NおよびSのうちのいずれかの1個〜3個の原子を必要に応じて含む、5員〜7員環であり、そしてZは、メチルまたはエチルである。
【0021】
Xが−A−Rである場合、Rは末端基であり、そしてAは、任意のヘテロ原子を含む直鎖飽和炭化水素側鎖であり、この側鎖は、一端において、エーテル結合またはカルバメート結合によって、それぞれのヒドロキシ残基のO基に結合しており、そして他端において、末端基R中の炭素原子またはヘテロ原子に結合している。
【0022】
側鎖Aは、O、NおよびSからなる群より選択される1個〜5個のヘテロ原子を必要に応じて有するC〜C16直鎖飽和炭化水素鎖であって、それぞれのNGDAのヒドロキシ残基のO基にエーテル結合を介して結合している、C〜C16直鎖飽和炭化水素鎖;ならびに1〜5単位のポリエチレングリコール(PEG)鎖からなる群より選択される。
【0023】
末端基Rは、
5員〜7員の炭素環式環であって、1個〜3個のN、OまたはSのヘテロ原子を有する完全に飽和した環;6員環もしくは7員環については1個〜3個の二重結合、そして5員環については1個〜2個の二重結合を含む環であって、この5員〜7員の環について1個〜3個のN、OまたはSのヘテロ原子を有する、環;カルバメート結合、尿素結合、カーボネート結合またはアミド結合を含む環からなる群より選択される、5員〜7員の炭素環式環;ならびに
水溶性の基であって、スルホン酸のアルカリ金属塩;ホスホン酸のアルカリ金属塩;薬学的に受容可能な塩;糖およびポリヒドロキシ基からなる群より選択される、水溶性の基、
からなる群より選択される。
【0024】
ここでXは、
【0025】
【化5】

であり、
aは、3〜16の整数であり、そしてbは、4〜16の整数である。
【0026】
本発明の別の局面は、SbN化合物および薬学的に受容可能なキャリアを、必要に応じて他の薬学的に受容可能な賦形剤と共に含む、組成物である。
【0027】
本発明のなお別の局面は、本明細書中で以下に記載されるようなSbN化合物を作製する方法である。
【0028】
本発明の別の局面は、ウイルス感染の予防的に、またはウイルス感染を処置するために有効な量のSbN化合物を、単独でかまたは薬学的組成物の一部として、被験体に投与する方法である。
【0029】
本発明のなお別の局面は、増殖性疾患の予防的に、または増殖性疾患を処置するために有効な量のSbN化合物を、単独でかまたは薬学的組成物の一部として、被験体に投与する方法である。
【0030】
本発明の別の局面は、炎症性疾患の予防的に、または炎症性疾患を処置するために有効な量のSbN化合物を、単独でかまたは薬学的組成物の一部として、被験体に投与する方法である。
【0031】
本発明のなお別の局面は、代謝疾患の予防的に、または代謝疾患を処置するために有効な量のSbN化合物を、単独でかまたは薬学的組成物の一部として、被験体に投与する方法である。
【0032】
本発明のなお別の局面は、脈管疾患の予防的に、または脈管疾患を処置するために有効な量のSbN化合物を、単独でかまたは薬学的組成物の一部として、被験体に投与する方法である。
【0033】
本発明のさらに別の局面は、SbN化合物を含有する薬学的組成物、およびウイルス感染、増殖性疾患、炎症性疾患、代謝疾患または脈管疾患の予防的または処置するためのこの薬学的組成物の使用説明書を含む、キットである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(発明の詳細な説明)
上記のように、本発明は、ノルジヒドログアイアレチン酸誘導体化合物、これらの化合物を含有する薬学的組成物、これらを作製する方法、ならびに疾患および障害(特に、ウイルス感染(例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)(全ての亜型)、単純疱疹ウイルス1および2(HSV−1およびHSV−2)、水痘−帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス、エプスタイン−バーウイルス、ポックスウイルス(痘瘡、牛痘、サル痘、ワクシニア)、オルトヘパドナウイルス、JCウイルス、およびBKウイルスにより引き起こされる感染であるが、これらに限定されない);炎症性疾患(例えば、種々の型の関節炎および炎症性腸疾患であるが、これらに限定されない);代謝疾患(例えば、糖尿病であるが、これに限定されない);脈管疾患(例えば、高血圧症、心脈管疾患および黄斑変性);ならびに増殖性疾患(例えば、種々の型の癌))の処置のためが挙げられるこれらの使用およびキットに関する。
【0035】
本発明は、癌およびウイルス(HIVが挙げられる)を処置するために使用される薬剤;NDGAに関連する化学構造を有する誘導体(このような誘導体が、(テトラ−O−メチル)ノルジヒドログアイアレチン酸(MN)(テトラメプトコル)(その少なくともいくつかの処方物は経口で生体利用可能である)に対してより強力かつ良好なPD/PKプロフィールを有し、そして副作用が少ないか存在しない場合)を用いる経験を含む考慮に基づく。本発明のNDGA誘導体は、メソ形態であり、それらのエナンチオマーの可能な混合物をまったく有さず、このことは、化学的特徴付けおよび生物学的特徴付けをより容易にする。NDGA親化合物の修飾のための置換官能基は、首尾よい薬物分子修飾のために使用される最も一般的な化学基から選択される。これらの基は、HCl塩形態もしくは他の塩形態で、または遊離塩基の形態で、かなりの水溶性を有するという点で、合理的な水溶性で容易に合成され得、そして容易に処方され得る。本発明のNDGA誘導体のうちの他のものは、疎水性である。本発明のNDGA誘導体は、これらの誘導体が水溶性化合物であっても疎水性化合物であっても、良好な安定性を有する。これらの誘導体は、市販の生成のために、容易に規模を拡大され得る。
【0036】
本発明のNDGA誘導体は、NDGAが広範な生物学的活性を有する天然化合物であるという事実に基づいて、開発された。NDGAは、多数の副作用を有し、これらの副作用は、本発明の誘導体により克服される。これらの誘導体は、改善された生物学的活性を有する。本発明の開発に導く研究はまた、NDGA誘導体(例えば、MN)のヒドロキシ基修飾が、腫瘍細胞の複製を防止し、そして腫瘍細胞死(アポトーシス)を選択的に誘導することを示した。このことは、cdc2(p34)およびサービビンの、Sp1により調節される産生を防止することによって達成される。サービビンとは、前癌性細胞および癌性細胞において過剰発現されたアポトーシスタンパク質のインヒビター(IAP)であり、そして健常な成体細胞中ではほとんど見出されない。MNはまた、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、単純疱疹ウイルス(HSV)、およびヒトパピローマウイルス(HPV)の増殖を防止する。このことは、ウイルス増殖のために必須であるウイルスのSp1依存プロモーターの脱活性化により達成される。本発明のNDGA誘導体は、NDGAのヒドロキシル基を修飾するために適切な官能基を使用することによって、cdc2およびサービビンのSp1により調節される産生を防止する活性を顕著に改善する。
【0037】
(定義)
本明細書中で使用するために適切な「緩衝剤」としては、当該分野において慣習的である任意の緩衝剤(例えば、Tris、リン酸塩、イミダゾール、および重炭酸塩)が挙げられる。
【0038】
「シクロデキストリン」とは、本明細書中で使用される場合、非修飾シクロデキストリンまたは修飾シクロデキストリンを意味し、そしてα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンおよび修飾を含む任意の修飾シクロデキストリン(例えば、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(「HP−β−CD」)またはスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン(「SBE−β−CD」))が挙げられるが、これらに限定されない。シクロデキストリンは、代表的に、6個の糖(α−シクロデキストリン)、7個の糖(β−シクロデキストリン)、および8個の糖(γ−シクロデキストリン)を有し、1個の糖あたり3個までの置換を有し、従って、0〜24個の第一級置換が可能である(第一級置換とは、シクロデキストリン環に直接結合した置換として定義される)。本発明において使用される、修飾シクロデキストリンまたは非修飾シクロデキストリンは、任意の適切な数および位置の、第一級置換または他の修飾を有し得る。
【0039】
本発明の「NDGA誘導体」とは、本明細書中で使用される場合、本明細書中以下で「SbN」と示されるNDGAの誘導体を意味する。
【0040】
「薬学的に受容可能なキャリア」とは、任意の従来の型の材料または処方助剤をカプセル化する、非毒性の、半固体または液体の、充填剤、希釈剤をいう。「薬学的に受容可能なキャリア」は、使用される投薬量および濃度において、受容者に対して非毒性であり、そしてその処方物緒他の成分と適合性である。例えば、本発明のカテコール性ブタンまたはNDGA誘導体を含有する処方物のためのキャリアは、好ましくは、酸化剤、およびこのような誘導体に対して有害であることが既知である他の化合物を含有しない。適切なキャリアとしては、水、ブドウ糖、グリセロール、生理食塩水、エタノール、緩衝液、ジメチルスルホキシド、Cremaphor EL、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。このキャリアは、さらなる薬剤(例えば、湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤)を含み得る。他の材料(例えば、酸化防止剤、湿潤剤、粘度安定剤、および類似の薬剤)が、必要に応じて添加され得る。
【0041】
「薬学的に受容可能な塩」としては、本明細書中で使用される場合、酸付加塩(ポリペプチドの遊離アミノ基を用いて形成される)が挙げられ、これらの塩は、無機酸(例えば、塩酸もしくはリン酸)、または有機酸(酢酸、マンデル酸およびシュウ酸など)と形成される。遊離カルボキシル基を用いて形成される塩がまた、無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、または水酸化鉄(III))および有機塩基(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、およびヒスチジンなど)から誘導され得る。本発明のNDGA誘導体の薬学的に受容可能な塩の非限定的な例としては、例えば、以下の一般式の塩:
[SbN]・k[酸]
が挙げられ、この式において、NはNDGAであり、Sbは、以下の表1および表2に記載されるような置換された基Xであり、kは、整数または整数ではない数であり、そして酸は、非限定的な表Aに例示されるような有機酸または無機酸である:
【0042】
【表1−1】

用語「薬学的に受容可能な賦形剤」としては、本明細書中で使用される場合、公共に容易に入手可能である、ビヒクル、アジュバント、または希釈剤もしくは他の補助物質(例えば、当該分野において慣用的である物質)が挙げられる。例えば、薬学的に受容可能な補助物質としては、pH調整剤および緩衝剤、張度調整剤、安定剤、湿潤剤などが挙げられる。
【0043】
本明細書中で、例えば、用語「5員環」、「6員環」および「7員環」において使用される場合の「環」とは、他に特定されない限り、本明細書中で使用される場合、任意の示されたヘテロ原子を含む、炭素環式環をいう。
【0044】
用語「被験体」、「宿主」、および「患者」は、本明細書中で交換可能に使用され、本発明の組成物で処置される動物をいい、サル、ヒト、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、家畜哺乳動物、スポーツ用の哺乳動物、および哺乳動物ペットが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
本明細書中のNDGA誘導体に関する「実質的に精製された」化合物とは、本発明のNDGA誘導体ではない化合物(本明細書中以下で、「非NDGA誘導体材料」)を実質的に含まない、化合物である。実質的に含まないとは、非NDGA誘導体材料を少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、そしてなおより好ましくは少なくとも90%含まないことを意味する。
【0046】
本明細書中で使用される場合、用語「処置」、「処置する」などは、所望の薬理学的効果および/または生理学的効果を得ることをいう。この効果は、状態もしくは疾患またはその症状を完全にかまたは部分的に予防するという意味で、予防的であり得、そして/あるいは状態もしくは疾患および/またはこの状態または疾患に起因する有害な影響を部分的にかまたは完全に治癒するという意味で、治療的であり得る。従って、「処置」は、例えば、動物(好ましくは哺乳動物であり、より好ましくはヒト)における状態または疾患の任意の処置を網羅し、そして(a)状態または疾患に罹患しやすくあり得るがまだこの状態または疾患を有すると診断されていない被験体において、この状態または疾患が発症することを防止すること;(b)状態または疾患を阻害すること(例えば、その発症を止めること);および(c)状態または疾患を軽減するか、緩和するか、または改善すること(例えば、この状態または疾患の後退を引き起こすこと)が挙げられる。
【0047】
本発明は、例のみとして記載され、そして本発明をいかなる方法でも限定すると解釈されない。従って、本発明は、記載される特定の実施形態に限定されない。なぜなら、このような実施形態は、もちろん、変動し得るからである。本明細書中で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明する目的のみであり、そして限定することを意図されないこともまた理解されるべきである。なぜなら、本発明の範囲は、本仮出願に基づく非仮出願に添付される特許請求の範囲によってのみ限定されるからである。
【0048】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間の各中間の値(その文脈がそうではないことを明白に示さない限り、その下限の単位の10分の1まで)、および記載される範囲内の他の任意の記載される値または中間の値が、本発明の範囲内に含まれることが理解されるべきである。これらのより小さい範囲の上限および下限は、より小さい範囲に独立して含まれ得、そしてまた、記載される範囲における任意の具体的に排除される制限を条件として、本発明の範囲内に含まれる。記載される範囲がそれらの限度の一方または両方を含む場合、これらの含まれる限度のいずれかまたは両方を排除する範囲もまた、本発明に含まれる。
【0049】
本明細書中で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、その文脈がそうではないことを明白に示さない限り、複数の対象物を包含することが、注意されなければならない。従って、例えば、「誘導体(a derivative)」への言及は、複数のこのような誘導体を包含し、そして「NDGA誘導体(the NDGA derivative)」への言及は、1種以上のNDGA誘導体、および本開示を考慮して当業者に公知であるその等価物への言及を包含する。
【0050】
本明細書中に記載される全ての刊行物(特許、特許出願、および雑誌の論文を含む)は、それに引用される参考文献(これらもまた本明細書中に参考として援用される)も含めてその全体が、本明細書中に参考として援用される。本明細書中で議論される刊行物は、本願の出願日より前のそれらの開示のみについて提供される。本明細書中のいずれも、本発明が先行発明によるこのような刊行物よりも前の日付である資格を与えられないことの是認と解釈されるべきではない。さらに、提供される刊行物の日付は、実際の刊行日とは異なり得、このことは、個別に確認される必要があり得る。
【0051】
上記のように、本発明の1つの局面は、以下の一般構造(式IV):
【0052】
【化6】

を有するSbNノルジヒドログアイアレチン酸誘導体化合物、およびその薬学的に受容可能な塩に関する。
【0053】
この化合物は、ノルジヒドログアイアレチン酸(NDGA)骨格を有し、この骨格は、「SbN」の表現において「N」により表される。4つの基Xは、NDGAのヒドロキシル基のHを置換しており(ときどき、「置換された基X」と称される)、「SbN」において「Sb」により表される。
【0054】
Xは、
−A−R;
−(CHHalであって、ここでxは、1〜10の整数であり、そしてHalは、ハロゲン原子、すなわち、塩素、フッ素、臭素またはヨウ素のうちのいずれかである、−(CHHal;
−(CHCHO)Hであって、ここでyは、1〜10の整数である、−(CHCHO)H;ならびに
【0055】
【化7】

からなる群より選択されるカルバメート結合した基からなる群より選択され、
ここでnは、1〜6の整数であり、Zは、2個〜6個の炭素および必要に応じて1個〜3個のハロゲン原子の飽和直鎖炭化水素鎖であり、Zは、0〜3個の二重結合を必要に応じて含み、そしてO、NおよびSのうちのいずれかの1個〜3個の原子を必要に応じて含む、5員〜7員環であり、そしてZは、メチルまたはエチルである。
【0056】
Xが−(CHHalである場合、xは、好ましくは1〜3であり、そしてHalは、塩素またはフッ素であり;より好ましくは、この例において、Xは、例えば、−(CHFである。
【0057】
Xが−(CHCHO)Hである場合、yは、好ましくは1〜3であり、そしてより好ましくは、例えば、この例において、Xは−(CHOH(yが1である場合);または−(CH−O−(CH−OH(yが2である場合)である。
【0058】
1つの条件は、Xが
【0059】
【化8】

である場合、
aは、3〜16の整数であり、そしてbは、4〜16の整数であることである。
【0060】
Xの上記さらなる定義および条件に関して、側鎖Aおよび末端基Rは、上記発明の簡単な要旨に記載されたものから選択され得、側鎖Aおよび末端基Rは、以下の表1に表の形式で記載される:
【0061】
【表1−2】

適切な側鎖Aの非限定的な例は、一端においてNDGAのそれぞれのヒドロキシ残基のO基にエーテル結合を介して結合した、C〜Cの直鎖(例えば、エチレン、プロピレンまたはブチレン);OまたはNのヘテロ原子を有し、そして鎖がNGDAのそれぞれのヒドロキシ残基のO基にエーテル結合を介して結合している、C〜Cの直鎖(例えば、エチレン、プロピレンまたはブチレン;1〜3単位のポリエチレングリコール(PEG)鎖;あるいはカルバメート結合である。この側鎖は、他端において、末端基Rの炭素原子またはヘテロ原子に結合している。
【0062】
適切な末端基Rの非限定的な例は、以下の表2に記載されている:
【0063】
【表2】

エーテル結合したNDGA誘導体を合成するための一般方法は、以下のとおりである:
一般方法1:ハロゲン化アルキルとNDGAとの、塩基性触媒条件下での反応:
【0064】
【化9】

一般方法2:トルエンスルホン酸活性化アルコールとNDGAとの反応:
【0065】
【化10】

カルバメート結合したNDGA誘導体を合成するための一般方法は、以下のとおりである:
一般方法1:イソシアネート化合物とNDGAとの反応
【0066】
【化11】

一般方法2:N−スクシンイミジルN−置換カルバメートとNDGAとの反応
【0067】
【化12】

本発明による例示的な特定のNDGA誘導体化合物の調製の詳細は、以下で実施例の節に記載される。
【0068】
本発明のNDGA誘導体は、適切な処方物中で(好ましくは、適切な場合には薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤を含む薬学的組成物中の活性成分としてか、またはこの組成物中の2種以上の活性成分のうちの1つとしてであるが、排他的ではない)、このような処置を必要とする被験体に、鼻腔内送達によってか、吸入によってか、静脈内で(例えば、中心静脈内への注入または注射によって)か、静脈内で(閉塞ありまたはなしで)か、腹腔内にか、間隙にか、皮下にか、経皮的にか、皮内にか、眼内にか、筋肉内にか、局所的にか、頭蓋内にか、心室内にか、経口的にか、または頬にか、あるいは移植によって、安全に投与され得る。
【0069】
さらに、これらのNDGA誘導体は、このような処置を必要とする被験体に、溶液、懸濁物、半固体もしくは固体の形態で適切なように、または上記1以上の経路を介する投与のためのリポソーム処方物、ナノ粒子処方物、もしくはミセル処方物中で、安全に投与され得る。
【0070】
さらに、リポソーム処方物、ナノ粒子処方物、またはミセル処方物中のNDGA誘導体は、生分解性ポリマー処方物中に包埋され得、そして例えば、皮下移植によって、安全に投与され得る。
【0071】
本明細書中での投与のための組成物は、任意の適切な形態であり得、例えば、限定されないが、溶液、懸濁物、錠剤、癌剤、カプセル、徐放処方物または粉末、液体(親水性もしくは疎水性のいずれか)、粉末(例えば、凍結乾燥から生じるもの)、エアロゾル、水性組成物もしくは水溶性組成物、疎水性組成物、リポソーム組成物、ミセル組成物(例えば、Tween(登録商標)80もしくはジブロックコポリマーをベースとするもの)、ナノ粒子組成物、ポリマー組成物、シクロデキストリン複合体組成物、エマルジョン、または「リポコア(lipocore)」と称される液体ベースのナノ粒子であり得る。
【0072】
本発明は、組成物をさらに包含し、NDGA誘導体および薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤を含有する薬学的組成物が挙げられる。これらの組成物は、緩衝剤を含有し得、この緩衝剤は、NDGA誘導体の所望の用途に従って選択され、そしてまた、意図される用途のために適切な他の物質を含有し得る。当業者は、本開示を考慮して、意図される用途に適した、適切な緩衝剤(広範な種々の緩衝剤が当該分野において公知である)を容易に選択し得る。いくつかの例において、この組成物は、薬学的に受容可能な賦形剤を含有し得、種々の賦形剤が当該分野において公知である。本明細書中で使用するために適切な薬学的に受容可能な賦形剤は、種々の刊行物(例えば、Gennaro(Gennaro,A.,Remington:The Science and Practice of Pharmacy,第19版,Lippincott,Williams,& Wilkins(1995));Anselら,(Ansel,H.C.ら,Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,第7版,Lippincott,Williams,& Wilkins(1999));およびKibbe(Kibbe,A.H.,Handbook of Pharmaceutical Excipients,第3版,Amer.Pharmaceutical Assoc.)が挙げられる)に記載されている。
【0073】
本明細書中の組成物は、潜在的な投与様式に従って処方される。従って、例えば、この組成物が鼻腔内または吸入により投与されることが意図される場合、この組成物は、このような目的のために当該分野において慣習的であるように、粉末またはエアロゾルの形態に転換され得る。他の処方物(例えば、経口送達または非経口送達のためのもの)もまた、当該分野において慣習的であるように使用される。
【0074】
経口送達または注射可能送達のために適切な組成物または処方物としては、さらに、適応される疾患の処置のための、カテコール性ブタンを含有する薬学的組成物が挙げられ、この組成物は、薬学的に受容可能なキャリアおよび他の任意の賦形剤を用いて処方され、このキャリアは、(a)水溶性有機溶媒;(b)シクロデキストリン(修飾シクロデキストリンを含む);(c)イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤もしくは両性界面活性剤(d)修飾セルロース;(e)水不溶性脂質;およびキャリア(a)〜(e)のうちのいずれかの組み合わせからなる群より選択される、可溶化剤および賦形剤のうちの少なくとも1つを含有する。
【0075】
水溶性有機溶媒は、好ましくはジメチルスルホキシド以外のものであり得るが、必ずしも必須ではない。非限定的な例示的な水溶性有機溶媒としては、ポリエチレングリコール(「PEG」)(例えば、PEG 300、PEG 400またはPEG 400モノラウレート)、プロピレングリコール(「PG」)、ポリビニルピロリドン(「PVP」)、エタノール、ベンジルアルコールまたはジメチルアセトアミドが挙げられる。
【0076】
シクロデキストリンまたは修飾シクロデキストリンは、限定されないが、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、HP−β−CDまたはSBE−β−CDであり得る。
【0077】
イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤または両性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(ポリソルベートとしてもまた公知)(これは非イオン性界面活性剤であり、例えば、ポリソルベート20およびポリソルベート80であり、Tween(登録商標)20またはTween(登録商標)80として市販されている)、d−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート(「TPGS」)、グリセロールモノオレエート(モノオレイン酸グリセリンとしてもまた公知)、エステル化脂肪酸、またはエチレンオキシドとヒマシ油との35:1のモル比での反応生成物(Cremophor(登録商標)ELとして市販されている)などの界面活性剤が挙げられ得るが、これらに限定されない。好ましくは、特定の実施形態について、界面活性剤が非イオン性界面活性剤である場合、この非イオン性界面活性剤は、キサンタンガムの非存在下で存在する。
【0078】
修飾セルロースの非限定的な例としては、エチルセルロース(「EC」)、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース(「HPMC」)、メチルセルロース(「MC」)またはカルボキシメチルセルロース(「CMC」)が挙げられる。本発明の1つの実施形態において、カテコール性ブタンは、修飾セルロースに可溶化され得、これは、使用前にエタノール(「EtOH」)で希釈され得る。
【0079】
水不溶性脂質としては、例えば、油(例えば、ヒマシ油、ゴマ油またはハッカ油)、蝋(例えば、蜜蝋またはカルナウバ蝋)、および混合脂肪エマルジョン組成物(例えば、Intralipid(登録商標)(Pharmacia & Upjohn,現在はPfizer、製造業者の推奨に従って使用される))が挙げられる。例えば、成人の投薬量は、2gの脂肪/体重kg/日(それぞれ20mL/kg、10mL/kgおよび6.7mL/kgのIntralipid(登録商標)10%、20%および30%)を超えないことが推奨されている。Intralipid(登録商標)10%は、1,000mL中に、精製ダイズ油100g、精製卵リン脂質12g、グリセリン無水物22g、注射用水1,000mLになるまでの適量を含むと考えられる。pHは、水酸化ナトリウムでpH約8に調整される。Intralipid(登録商標)20%は、1,000mL中に、精製ダイズ油200g、精製卵リン脂質12g、グリセリン無水物22g、注射用水1,000mLになるまでの適量を含む。pHは、水酸化ナトリウムでpH約8に調整される。Intralipid(登録商標)30%は、1,000mL中に、精製ダイズ油300g、精製卵リン脂質12g、グリセリン無水物16.7g、注射用水1,000mLになるまでの適量を含む。pHは、水酸化ナトリウムでpH約7.5に調整される。これらのIntralipid(登録商標)製品は、25℃未満の制御された室温で貯蔵され、そして凍結させるべきではない。
【0080】
本発明の1つの実施形態において、NDGA誘導体は、様々なキャリアに溶解されるかまたは溶解および希釈されて、動物(ヒトを含む)への経口投与のための液体組成物を形成する。例えば、この実施形態の1つの局面において、NDGA誘導体は、水溶性有機溶媒(例えば、PEG 300、PEG 400またはPEG 400モノラウレート(「PEG化合物」)あるいはPG)に溶解される。別の実施形態において、NDGA誘導体は、修飾シクロデキストリン(例えば、HP−β−CDまたはSBE−β−CD)に溶解される。なお別の実施形態において、本発明のNDGA誘導体は、PEG化合物とHP−β−CDとを含む組み合わせ処方物中に可溶化および/または希釈される。さらなる実施形態において、本明細書中のNDGA誘導体は、修飾セルロース(例えば、HPMC、CMCまたはEC)に溶解される。なお別の実施形態において、本明細書中のNDGA誘導体は、修飾シクロデキストリンと修飾セルロースとの両方を含む別の組み合わせ処方物(例えば、HP−β−CDおよびHPMC、またはHP−β−CDおよびCMC)に溶解される。
【0081】
なお別の実施形態において、NDGA誘導体は、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤または両性界面活性剤(例えば、Tween(登録商標)20、Tween(登録商標)80、TPGSまたはエステル化脂肪酸)に溶解される。例えば、本発明の化合物は、TPGS単独に溶解され得るか、Tween(登録商標)20単独に溶解され得るか、またはTPGSとPEG 400との組み合わせ、もしくはTween(登録商標)20とPEG 400との組み合わせなどに溶解され得る。
【0082】
さらなる実施形態において、本発明のNDGA誘導体は、水不溶性脂質(例えば、蝋、脂肪エマルジョン(例えば、Intralipid(登録商標))または油)に溶解される。例えば、本発明の化合物は、ハッカ油単独に溶解され得るか、ハッカ油とTween(登録商標)20とPEG 400との組み合わせに溶解され得るか、ハッカ油とPEG 400との組み合わせに溶解され得るか、ハッカ油とTween(登録商標)20との組み合わせに溶解され得るか、またはハッカ油とゴマ油との組み合わせに溶解され得る。
【0083】
ECは、上記例におけるHPMCまたはCMCの代わりに用いられ得るか、あるいはHPMCまたはCMCに添加され得る;PEG 300またはPEG 400モノラウレートは、上記例におけるPEG 400の代わりに用いられ得るか、またはPEG 400に添加され得る;Tween(登録商標)80は、上記例におけるTween(登録商標)20の代わりに用いられ得るか、またはTween(登録商標)20に添加され得る;そして他の油(例えば、トウモロコシ油、オリーブ油、ダイズ油、鉱油またはグリセロール)は、上記例におけるハッカ油またはゴマ油の代わりに用いられ得るか、あるいはハッカ油またはゴマ油に添加され得る。
【0084】
さらに、加熱(例えば、約30℃〜約90℃の温度までの加熱)が、これらの組成物のうちのいずれかの処方の経過中に適用されて、本明細書中の化合物の溶解を達成し得るか、またはNDGA誘導体の均一に分布した懸濁物を得ることができる。
【0085】
なおさらなる実施形態において、NDGA誘導体は、固体として、付随するキャリアなしでかまたはキャリアの使用を伴ってかのいずれかで、経口投与され得る。1つの実施形態において、NDGA誘導体は、最初に、上記例においてのような液体キャリアに溶解され、そして続いて、経口組成物としての投与のための固体組成物にされる。例えば、NDGA誘導体は、修飾シクロデキストリン(例えば、HP−β−CD)に溶解され、そしてこの組成物が凍結乾燥されて、経口投与のために適切な粉末を与える。
【0086】
さらなる実施形態において、NDGA誘導体は、TPGS溶液に、適切である場合には加熱を伴って溶解または懸濁されて、均一に分布した溶液または懸濁物を得る。冷却すると、この組成物はクリーム状になり、そして経口投与のために適切である。
【0087】
なお別の実施形態において、NDGA誘導体は、油に溶解され、そして蜜蝋が添加されて、蝋状の固体組成物を生成する。
【0088】
一般に、経口処方物を調製する際に、本明細書中のNDGA誘導体は、最初に可溶化され、その後、他の賦形剤が添加されて、より高い安定性の組成物を生成する。不安定な処方物は望ましくない。不安定な液体処方物は、頻繁に、結晶性沈殿物または二相溶液を形成する。不安定な固体処方物は、頻繁に、粒子が粗く、塊に見え、そして時々、水っぽい液体を含む。最適な固体処方物は、滑らかで、均質に見え、そして狭い融点範囲を有する。一般に、処方物中の賦形剤の割合は、安定正に影響を与え得る。例えば、少なすぎる硬化剤(例えば、蜜蝋)は、この処方物を、上品な経口処方物のためには水っぽくし過ぎ得る。
【0089】
従って、一般に、本発明の液体処方物については、使用される賦形剤は、本明細書中のNDGA誘導体の良溶媒であるべきである。換言すれば、これらの賦形剤は、NDGA誘導体を、加熱することなく溶解し得るべきである。これらの賦形剤はまた、NDGA誘導体とは無関係に互いに適合性であり、これらの賦形剤が安定な溶液、懸濁物またはエマルジョンを形成し得るべきである。また、一般に、本発明の固体処方物については、使用される賦形剤はまた、NDGA誘導体の良溶媒であって、塊および不均一な処方物を回避するべきである。水っぽ過ぎるかまたはきめが不均質な固体処方物(これらは望ましくない)を回避するために、賦形剤は、NDGA誘導体の非存在下でさえも滑らかな均質な固体を形成するように、互いに適合性であるべきである。
【0090】
本発明は、さらに、本発明の薬学的組成物を製造する方法に関し、この方法は、NDGA誘導体を、好ましくは実質的に精製された形態で作製または提供する工程、この組成物を薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤と混合する工程、および所望の投与様式に適合性である様式でこの組成物を処方する工程を包含する。
【0091】
本発明の化合物および組成物は、例えば、増殖性疾患(例えば、悪性、前悪性もしくは良性の腫瘍)、ウイルス性疾患、炎症性疾患、代謝疾患または脈管疾患を有する被験体に処置を提供することを望む状況で、治療剤としての用途を見出す。
【0092】
本発明の化合物および組成物は、種々の腫瘍および癌(血液学的悪性疾患(例えば、白血病(例えば、急性もしくは慢性のリンパ芽球性白血病、急性もしくは慢性の骨髄性白血病、急性もしくは慢性のリンパ性白血病、急性もしくは慢性の骨髄性白血病、小児期急性白血病、慢性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病)、悪性皮膚T細胞、菌状息肉腫、非悪性線維性皮膚T細胞リンパ腫、リンパ腫様丘疹症、T細胞豊富皮膚リンパ様過形成、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫)、水疱性類天疱瘡、円板状エリテマトーデス、扁平苔癬、副腎皮質癌腫、肛門癌、総胆管癌、膀胱癌、骨癌、骨肉腫/悪性線維性組織球腫、神経腫瘍および悪性疾患(例えば、神経芽細胞腫、多形性グリア芽細胞腫、神経膠星状細胞腫、神経膠腫、脳幹神経膠腫、脳腫瘍脳室上衣細胞腫、髄芽細胞腫、女性および男性の乳癌)、胃腸の類癌腫、副腎皮質の癌腫、膵島細胞の癌腫、明細胞癌、腱鞘の明細胞肉腫、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚T細胞リンパ腫、子宮内膜癌、食道癌、ユーイングファミリーの腫瘍、性腺外生殖細胞腫瘍、肝臓外総胆管癌、眼癌、眼内黒色腫、腺管癌、眼の癌である網膜芽細胞腫、形成異常の口腔粘膜、侵襲性口腔腫瘍、胆嚢癌、胃癌、胃腸の類癌腫、性腺外の生殖細胞腫瘍、生殖細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、肝細胞(肝臓)癌、下咽頭癌、眼内黒色腫、島細胞癌腫(膵臓内分泌)、カポージ肉腫、喉頭癌、肝臓癌、肺の腫瘍および癌(例えば、非小細胞肺癌および小細胞肺癌)、悪性中皮腫、黒色腫、メルケル細胞癌腫、多発性内分泌腫瘍症候群、菌状息肉腫、多発性骨髄腫、鼻腔腫瘍、鼻傍および洞の癌、鼻咽頭癌、口腔および唇の癌、口腔咽頭癌、膵臓癌、副甲状腺癌、陰茎癌、褐色細胞腫、松果体およびテント上方の未分化神経外胚葉性腫瘍、下垂体性腫瘍、胸膜肺芽細胞腫、前立腺癌、直腸癌、腎臓、骨盤および尿管の移行細胞癌、網膜芽細胞腫、横紋筋芽細胞肉腫、唾液腺癌、成人軟組織の肉腫、セザリー症候群、皮膚癌、小腸癌、精巣の腫瘍および癌、胸腺腫、甲状腺癌、尿道癌、移行細胞および扁平上皮細胞の尿癌腫、婦人科学的な腫瘍および癌(例えば、頚部癌、卵巣の腫瘍および癌、卵巣上皮癌、卵巣生殖細胞腫瘍、子宮癌、子宮内膜癌、膣癌、外陰部癌)、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、ウィルムス腫瘍、肝臓腫瘍(肝細胞癌(「HCC」)が挙げられる)および総胆管の腫瘍、他の肺腫瘍(小細胞癌および明細胞癌が挙げられる)、様々な器官の肉腫;ならびに他の癌および腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない)を処置するために使用され得る。
【0093】
本発明のNDGA誘導体により効果的に処置され得るウイルス性疾患の非限定的な例としては、例えば、とりわけヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)(全ての亜型)、単純疱疹ウイルス1および2(HSV−1およびHSV−2)、水痘‐帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス、エプスタイン−バーウイルス、ポックスウイルス(痘瘡、牛痘、サル痘、ワクシニア)、オルトヘパドナウイルス、JCウイルス、ならびにBKウイルスにより引き起こされるウイルス感染が挙げられるが、これらに限定されない。
【0094】
本発明のNDGA誘導体により効果的に処置され得る炎症性疾患の非限定的な例としては、例えば、とりわけ、慢性関節リウマチ、変形性関節症、乾癬、サルコイドーシス、全身性エリテマトーデス、スティル病、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患および炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎およびクローン病)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
本発明のNDGA誘導体により効果的に処置され得る代謝疾患の非限定的な例としては、例えば、とりわけ、真性糖尿病(若年発症および成人発症)、尿崩症、症候群X、高脂質血症、高コレステロール血症、低血糖症、アテローム、ケトアシドーシス、アディソン病、クッシング症候群、副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能亢進症、白質萎縮およびポルフィリン症が挙げられる。
【0096】
本発明のNDGA誘導体により効果的に処置され得る脈管疾患の非限定的な例としては、例えば、とりわけ、動脈高血圧症、肺動脈高血圧症、心脈管疾患および黄斑変性が挙げられるが、これらに限定されない。
【0097】
上記のように、有効量のNDGA誘導体が宿主に投与され、ここで「有効量」とは、所望の結果を生じるために充分な投薬量を意味する。いくつかの実施形態において、この所望の結果とは、ウイルス感染または炎症性疾患、代謝疾患、増殖性疾患もしくは脈管疾患の1つ以上の症状を少なくとも減少させることである。代表的に、本発明の組成物は、約0.1%未満から約99%までの活性成分(すなわち、本発明のNDGA誘導体)を含む。必要に応じて、本発明は、約5%〜約90%の活性成分を含む。投与されるべき適切な用量は、例えば、処置されるべき被験体(例えば、この被験体の一般的健康状態、この被験体の年齢、疾患または状態の状態、この被験体の体重)に依存する。一般に、約0.1mg〜約500mgが小児に投与され得、そして約0.1mg〜約5グラムが成人に投与され得る。NDGA誘導体は、単回用量で投与され得るか、またはより代表的には、疾患を処置するために必要とされる頻度および期間にわたって、複数用量で投与され得る。所定の薬剤についての好ましい投薬量は、本開示を考慮して、種々の手段によって当業者により容易に決定される。他の有効な投薬量は、用量応答曲線を確立する慣用的な試みによって、本開示を考慮して当業者により容易に決定され得る。NDGA誘導体の量は、もちろん、使用される特定のNDGA誘導体、およびこのNDGA誘導体を含有する処方物の性質、ならびに投与経路、被験体のサイズおよび状態、疾患の性質および程度などに依存して変化する。
【0098】
NDGA誘導体の投与の頻度は、その用量と同様に、看護する者によって、患者の年齢、体重、疾患状態、健康状態および応答性に基づいて決定される。従って、これらの薬剤は、1日に1回以上、または従来決定されるように必要とされるだけ長時間にわたって適切であるように、投与され得る。
【0099】
NDGA誘導体の複数の用量または単回用量を含むキットが、本発明に含まれる。このようなキットにおいて、NDGA誘導体を含有する組成物の複数の用量または単回用量を含む容器に加えて、所定の適応症のためのその使用に関する指示書(例えば、目的の病理状態(例えば、多数の炎症性疾患、代謝疾患、脈管疾患もしくは増殖性疾患またはウイルス感染のうちのいずれか)を処置する際のその薬物の使用および付随する利点を記載する指示を含むインフォメーションシートまたはパッケージインサート)が含まれる。
【0100】
本発明は、ここで、以下の具体的な非限定的な作業実施例(その実施例が予定であると示されている場合を除く)を参照しながら、より詳細に記載される。
【0101】
(一般手順)
全ての反応を、他に示されない限り、オーブンで乾燥した(120℃)ガラス器具内で、窒素雰囲気下で実施した。アセトン、ジクロロメタン、1,4−ジオキサン、酢酸エチル、ヘキサン、およびテトラヒドロフランを、Mallinckrodt Chemical Co.から購入した。アセトンを、4Åのモレキュラーシーブで乾燥させ、そして蒸留した。ジクロロメタン、酢酸エチル、およびヘキサンを乾燥させ、そしてCaHから蒸留した。1,4−ジオキサンおよびテトラヒドロフランを、ナトリウムおよびベンゾフェノンから、窒素雰囲気下で蒸留することにより乾燥させた。ノルジヒドログアイアレチン酸を、Fluka Chemical Co.から購入した。4−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩、4−(3−クロロプロピル)モルホリン塩酸塩、1−(3−クロロプロピル)ピペリジン一塩酸塩、1−(2−クロロエチル)ピペリジン一塩酸塩、2−クロロエタノール、(2−クロロエトキシ)エタン、1−(2−クロロエチル)ピロリジン塩酸塩、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、および炭酸カリウムを、Aldrich Chemical Co.から購入した。
【0102】
融点を、Buechi Labortechnik AG 535融点装置を用いて得た。分析用薄層クロマトグラフィー(TLC)を、予めコーティングされたプレート(シリカゲル60 F−254,Merck Inc.から購入した)で実施した。ガスクロマトグラフィー分析を、25−m架橋メチルシリコーンゴムキャピラリーカラム(内径0.32mm)を備えるHewlett−Packard 5890 Series II器具で実施した。窒素ガスをキャリアガスとして使用し、そして流量を、14.0mL/分に一定に維持した。保持時間tを、以下の条件下で測定した:注入器温度260℃、等温カラム温度280℃。ガスクロマトグラフィーおよび低分解能質量分析を、Agilent 5973 Network Mass Selective DetectorおよびキャピラリーHP−1カラムを備えるAgilent Technology 6890N Network GC Systemで実施した。重力カラムクロマトグラフィーによる精製を、Merck Reagents Silica Gel 60(粒径0.063mm〜0.200mm,70〜230メッシュASTM)を使用して実施した。全ての化合物の純度は、HPLCまたはGCにより確認して、99.5%より高かった。
【0103】
紫外(UV)スペクトルを、Hitachi U3300 UV/VIS分光光度計で測定した。赤外(IR)スペクトルを、Jasco FT−IR−5300フーリエ変換赤外分光計で測定した。報告される波数は、ポリスチレンの1601cm−1での吸収を参照とした。吸収強度を以下の略号により記録した:s,強;m,中間;w,弱。蛍光強度を、Hitach F−4500蛍光分光光度計で測定した。プロトンNMRスペクトルを、Varian Mercury−400(400MHz)分光計で、クロロホルム−dを溶媒として使用し、そして3−(トリメチルシリル)プロピオン酸ナトリウムを内部標準として使用することにより得た。炭素−13 NMRスペクトルを、Varian Mercury−400(100MHz)分光計で、クロロホルム−dまたはDOを溶媒として使用することにより得た。炭素−13の化学シフトは、CDCl三重線の中心(δ77.0ppm)を参照とした。多重度を、以下の略号により記録した:s,一重線;d,二重線;t,三重線;q,四重線;m,多重線;J,結合定数(ヘルツ)。高分解能質量スペクトルを、JEOL JMS−HX110質量分析計により得た。エレクトロスプレーイオン化質量分光(ESI−MS)分析を、Finnigan LCQ,Finnigan MATのエレクトロスプレーイオン化源を備える四重極イオントラップ質量分析計で実施した。
【0104】
電算を、Silicon Graphics O2+ワークステーションで実行した。Software Chemoffice Ultra 10.0を使用して、化学構造および合成スキームを描いた。ソフトウェアPCModel 7.5を、最大導関数が1.0kcal・mol−1・Å−1より小さくなるまで、一貫した原子価力場(CVFF)に関して最小化したエネルギーのために使用した。
【実施例】
【0105】
(実施例1)
(1,4−ビス{3,4−ビス[3−(ピペリジン−1−イル)プロポキシ]フェニル}−2,3−ジメチル−(2R,3S)−ブタン遊離塩基(C5082,FW=803.21)「化合物A」;および四塩酸塩(C5086Cl,FW=949.05)「化合物B」の合成)
(工程1:N−(3−クロロプロピル)−ピペリジンの合成)
【0106】
【化13】

N−(3−クロロプロピル)−ピペリジン塩酸塩(純度97%、Aldrich Chemicals製)(100g)を水(150mL)に溶解し、そして飽和水性炭酸カリウム(250mL)をそこにゆっくりと添加した。また、10N水酸化ナトリウム(25mL)およびジエチルエーテル(250mL)を添加し、そしてこの混合物を1時間攪拌した。層を分離した;その有機層を無水炭酸カリウムで乾燥させ、そしてBuechi Labortechnik AG Rotavapor(登録商標)エバポレーターで濃縮して、表題化合物(77.2g,94.4%)を得、これを精製せずに次の反応のために私用した。
【0107】
(工程2:1,4−ビス{3,4−ビス[3−(ピペリジン−1−イル)プロポキシ]フェニル}−2,3−ジメチル−(2R,3S)−ブタン「化合物A」の合成)
【0108】
【化14】

NDGA(15.0g,48.0mmol)の無水DMF(1L)中の溶液に、パラフィン中60%の水素化ナトリウムの懸濁物(10.4g,260mmol,5.4当量)を添加し、そしてこの混合物を65℃で1時間加熱した。次いで、この混合物を室温まで冷却し、化合物N−(3−クロロプロピル)−ピペリジン(39.0g,241モル,5.0当量)およびヨウ化ナトリウム(7.2g,48mmol,1当量)を添加し、そしてこの混合物を室温で120時間攪拌した。TLCは、生成物への完全な転換を示した。
【0109】
この反応の後処理を、この反応混合物を水(3L)およびジエチルエーテル(2.5L)にゆっくりと添加することにより実施した。その水層を再度ジエチルエーテル(2L)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(750mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして減圧下で濃縮した。その粗製物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。そのカラムを、シリカゲル(500g)および酢酸エチル:メタノール:トリエチルアミン(93:2:5)の溶媒混合物を使用して組み立て、酢酸エチル:メタノール:トリエチルアミンの勾配(93:2:5〜91:4:5)を用いて溶出して、生成物を白色固体として得た(28.lg,収率76.6%)。この生成物を酢酸エチル:ヘキサン混合物から結晶化させて、結晶性化合物を得た(22.5g)。
【0110】
m.p.84℃〜86℃。HPLC純度−99.47%。
【0111】
H NMR(CDC1,300MHz),δ=0.81(d,J=6.6Hz,6H),1.35−1.50(m,8H),1.53−1.65(m,16H),1.67−1.80(m,2H),1.90−2.2.03(m,8H),2.40−2.60(m,26H),2.72(m,2H),3.99(t,J=6.5Hz,4H),4.00(t,J=6.5Hz,4H),6.65(dd,J=1.9,8.0Hz,2H),6.67(d,J=1.9Hz,2H),6.79(d,J=8.OHz,2H);構造と一致する。
【0112】
13C NMR(CDCl,75MHz):δ=16.1,24.5,26.0,27.0,38.9,39.4,54.7,56.2,67.8,68.0,114.1,1 15.2,121.3,134.9,147.0,148.8;構造と一致する。
【0113】
分析:C5082についての計算値C:74.76,H:10.29,N:6.98,実測値C:75.07,H:10.59,N:6.91。
【0114】
(工程3:1,4−ビス{3,4−ビス[3−(ピペリジン−1−イル)プロポキシ]フェニル}−2,3−ジメチル−(2R,3S)−ブタン四塩酸塩「化合物B」の合成)
【0115】
【化15】

水性飽和HCl(7.2mLの11N HCl,79mmol,24モル当量)の95%エタノール(21mL)中の氷冷した(0℃〜5℃)溶液に、1,4−ビス{3,4−ビス[3−(ピペリジン−1−イル)プロポキシ]フェニル}−2,3−ジメチル−(2R,3S)−ブタン(2.658,3.30モル)の95%エタノール(21mL)中の溶液を滴下した。この溶液を0℃〜5℃で3時間攪拌し、水浴の温度を45℃に維持しながらその溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。その塩酸塩を高真空下で48時間乾燥させた。その粗製生成物をエタノール:エーテルから結晶化させて、2.20gの生成物(収率70.3%)を、高真空下で72時間乾燥させた後に得た。この生成物についての分析データを以下に示す。
【0116】
m.p.265℃〜270℃(分解)
HPLC純度:99.2%(ピーク面積の%);Karl Fisher法による水分含有量:2.3938%。元素分析−C5086Cl4,計算値:C:63.27;H:9.13;N:5.90。実測値:C:63.60;H:9.59;N:5.73。滴定法による塩素元素分析(無水をベースとする):理論値:14.94%;実測値:14.97%(理論値の100.3%)。
【0117】
1H−NMR(DO,300MHz):δ=0.65−0.80(ss,6H),1.40−2.0(m,26H),2.10−2.15(m,8H),2.18−2.24(m,2H),2.56−2.61(m,2H),2.70−3.05(m,8H),3.05−3.20(m,8H),3.20−3.60(m,8H),4.05(t,J=4.2Hz,8H),6.71(dd,J=1.8,8.4Hz,2H),6.89(d,J=1.8Hz,2H),6.92(d,J=8.4Hz,2H)。
【0118】
13C NMR(CDC1,75MHz)δ=16.0(CH),23.4(CH),24.5(CH),27.5(CH),38.8(Ar−CH),39.4(CH),54.6(NCH),54.9(NCH),68.1(OCH),113.4(Ar),114.1(Ar),121.4(Ar),135.0(Ar),146.8(Ar),148.5(Ar)ppm;構造と一致する。
【0119】
LC−MS,m/e=839(M+K),803(M+)遊離塩基C5082と一致する。
【0120】
(実施例2)
(1,4−ビス{3,4−ビス[4−(N−ピペリジノ)ブトキシ]フェニル}−2,3−ジメチル−(2R,3S)−ブタン遊離塩基(C5490,FW=859.32)−「化合物C」;および四塩酸塩(C5490・4HCl,FW=1005.16)−「化合物D」の合成)
(工程1:N−(4−クロロブチル)ピペリジンの合成)
【0121】
【化16】

2Lの三口丸底フラスコに、ピペリジン(85.15g,1.0mol)、アセトン(1000mL)、および無水炭酸カリウム(276.42g,2.0mol,2.0当量)を入れた。このフラスコに、機械攪拌子および冷却器を備え付けた。4−クロロ−1−ブロモ−ブタン(188.6g,1.1mol,1.1当量)を、室温で絶えず攪拌しながら、30分間かけて滴下した。次いで、この懸濁混合物を40℃で攪拌した。この反応の進行をTLCにより監視し、これにより、この反応が4時間後に完了したことを確認した。この混合物を室温まで冷却し、そして不溶性物質を濾過により除去し、そしてジクロロメタン(2×100mL)で洗浄した。合わせた濾液を、乾燥するまで減圧下で濃縮した。次いで、その残渣をジクロロメタン(500mL)と混合した。不溶性物質を濾過により除去し、そしてジクロロメタン(2×100mL)により洗浄した。合わせた濾液および洗浄液を濃縮し、フラッシュシリカゲルカラムで精製し、これにより、予測した生成物を淡黄色油状物として得た(98.39g,収率56%)。
【0122】
H NMR(CDCl,300MHz),δ=1.37(m,2H,CH),1.60(m,8H,4CH),2.46(t,J=6.5Hz,4H,2CHN),2.89(t,J=6.8Hz,2H,CHN),3.56(t,J=7.2Hz,CHCl)ppm;構造と一致する。
【0123】
13C NMR(CDCl,75MHz),δ=24.5,25.1,25.5,26.1,44.1(CHNCl),53.1(CHN),55.4(CHN)ppm;構造と一致する。
【0124】
MS(EI),m/e=176(M+1);構造と一致する。
【0125】
(工程2:1,4−ビス{3,4−ビス[4−(N−ピペリジノ)ブトキシ]フェニル}−2,3−ジメチル−(2R,3S)−ブタン「化合物C」の合成)
【0126】
【化17】

ノルジヒドログアイアレチン酸(NDGA,602mg,2.0mmol)および水酸化リチウム一水和物(1.0g,24.0mmol,12当量)をtert−ブタノール(100mL)中に含有する溶液に、N−(4−クロロブチル)ピペリジン(2.11g,12.0mmol,6.0当量)を添加した。この溶液を絶えず攪拌しながら50℃で加熱した。この反応をTLC(CHCl:MeOH:EtN=95:3:2,V/V/V)により監視し、これにより、この反応が20時間後に完了したことを確認した。この反応懸濁物を室温まで冷却し、そしてジクロロメタン(200mL)と水(100mL)とで分配した。この混合物を振盪してよく混合した。その有機相を分離し、そしてその水相をジクロロメタン(2×100mL)で抽出した。その有機層および抽出物を合わせ、そして水性飽和重炭酸ナトリウム(100mL)およびブライン(10mL)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後に、この溶液を減圧下で濃縮した。その残渣をシリカゲルカラムで、ジクロロメタン、メタノールおよびトリエチルアミン(95:3:2,V/V/V)を溶出液として使用して精製し、これにより、予測した生成物を白色半固体物質として得た(704.6mg,収率41%)。
【0127】
HPLC純度−98.5%。
【0128】
H NMR(CDC1,300MHz),δ=0.81(d,J=6.6Hz,6H,2CH),1.35−1.50(m,8H,4CH),1.53−1.65(m,24H,12CH),1.67−1.80(m,2H),1.90−2.2.03(m,8H),2.40−2.60(m,26H),2.72(m,2H),3.99(t,J=6.5Hz,4H),4.00(t,J=6.5Hz,4H),6.65(dd,J=1.9,8.0Hz,2H),6.67(d,J=1.9Hz,2H),6.79(d,J=8.OHz,2H)ppm;構造と一致する。
【0129】
13C NMR(CDCl3)16.1,24.5,25.4,26.0,27.0,38.9,39.4,54.7,56.2,67.8,68.0,114.1,1 15.2,121.3,134.9,147.0,148.8ppm;構造と一致する。
【0130】
分析:C5490(859.32)についての計算値C:75.48,H:10.56,N:6.52,実測値C:75.07,H:10.59,N:6.91;構造と一致する。
【0131】
(工程3:1,4−ビス{3,4−ビス[4−(N−ピペリジノ)ブトキシ]フェニル}−2,3−ジメチル−(2R,3S)−ブタン四塩酸塩「化合物D」の合成)
【0132】
【化18】

水性飽和HCl(2.2mLの11N HCl,24mmol,24モル当量)の、95%エタノール(7mL)中の氷冷した(0℃〜5℃)溶液に、1,4−ビス{3,4−ビス[4−(ピペリジン−1−イル)ブトキシ]フェニル}−2,3−ジメチル−(2R,3S)−ブタン(859.32mg,1.0モル)の95%エタノール(7mL)中の溶液を滴下した。この溶液を0℃〜5℃で3時間攪拌し、水浴の温度を45℃に維持しながら、その溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。この塩酸塩を高真空下で48時間乾燥させた。次いで、その粗製生成物をエタノール:エーテルから結晶化させて、高真空下で72時間乾燥させた後に、736.9mgの生成物(収率73.3%)を得た。この生成物についての分析データを以下に示す。
【0133】
m.p.225℃〜230℃(分解)。
【0134】
HPLC純度:99.2%(ピーク面積の%)。元素分析−C5490 4HCl,FW=1005.16,計算値:C:64.53;H:9.43;N:5.57。実測値:C:64.23;H:9.21;N:5.43。滴定法による塩素元素分析(無水をベースとする):理論値:14.11%;実測値:14.21%(理論値の100.7%)。
【0135】
H−NMR(DO,400MHz):δ=0.76(d,J=6.4Hz,6H,2×CH),1.28−1.37(m,8H),1.36−1.46(m,8H,4×ピペリジンCH),1.43−2.56(m,16H,8×ピペリジンCH),1.55−1.68(m,2H,2×CH),2.36−2.51(m,16H,8×ピペリジンCHN),2.64(dd,J=13.2,1.2Hz,2H,2×ArCH),2.71(t,J=6.0Hz,8H,4×CHN),4.03(t,8H,4×CHO),6.60−6.75(m,6H,6×ArH)ppm;構造と一致する。
【0136】
13C NMR(DO,100MHz),δ=15.93,23.85,24.00,25.06,25.72,38.92,39.31,54.87,54.97,57.87,67.13,67.28,113.90,114.96,121.38,134.71,146.75,148.48ppm;構造と一致する。
【0137】
MS(EI),m/e=859(M+),遊離塩基C5490と一致する。
【0138】
(実施例3)
(1,4−ビス{3,4−ビス(2−メチル−チアゾール−4−イル−メトキシ)フェニル}−2,3−ジメチル−(2R,3S)−ブタン遊離塩基(C3846,FW=747.02)「化合物E」;四塩酸塩(C3846・4HCl,FW=892.87)「化合物F」の合成)
(工程1:1,4−ビス{3,4−ビス(2−メチル−チアゾール−4−イル−メトキシ)フェニル}−2,3−ジメチル−(2R,3S)−ブタン「化合物E」の合成)
【0139】
【化19】

4−クロロメチル−2−メチルチアゾールのその塩酸塩からの調製:4−クロロメチル−2−メチルチアゾール塩酸塩(25g,135mmol)に、50%水性炭酸カリウム(100mL)およびエーテル(400mL)を添加した。この混合物を室温で15分間攪拌した。その有機層を分離し、無水炭酸カリウムで乾燥させ、そして減圧(30mmHg〜40mmHg)下25℃で濃縮乾固させた。その残渣を高真空(0.1mmHg〜0.5mmHg)下室温で一晩乾燥させて、4−クロロメチル−2−メチルチアゾールを得た(20g,収率99.5%)。
【0140】
1,4−ビス{3,4−ビス(2−メチル−チアゾール−4−イル−メトキシ)フェニル}−2,3−ジメチル−(2R,3S)−ブタンの調製:NDGA(1.50g,4.96mol)のDMF(50mL)中の氷冷溶液に、パラフィン中60%の水素化ナトリウムの懸濁物(1.98g=1.19g NaH,49.6mmol,10モル当量)を添加した。この混合物を0℃で30分間、および室温で30分間攪拌した。次いで、4−クロロメチル−2−メチルチアゾール(5.86g,39.69mmol,8.0モル当量)のDMF(20mL)中の溶液を添加し、そしてこの反応混合物を室温で16時間攪拌した。この反応混合物を飽和水性塩化アンモニウム(300mL)およびエーテル(600mL)に添加した。振盪後、その有機層を分離し、そしてその水層をエーテル(2×200mL)で抽出した。合わせた有機層および抽出物を水(100mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、そして無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして減圧(30mmHg〜40mmHg)下25℃で濃縮乾固させた。その残渣を最少量のジクロロメタンに溶解し、そしてヘキサン:酢酸エチル(50:50〜0:100)を溶出液としてを使用するシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーカラムにより精製して、予測した生成物を白色固体として得た(1.56g,収率42.09%)。これをアセテート−ヘキサンからの結晶化によりさらに精製した。
【0141】
Mp 85−87℃,HPLC純度:98.9%。
【0142】
H NMR(300MHz,CDCl):δ=0.84(d,J=6.4Hz,6H,2×CH),2.01(m,2H,2×CH),2.65−2.70(m,4H,2×Ar−CH)2.81(s,6H,2×CH),5.23(d,J=20.7Hz,8H,4×OCH),6.70−6.84(m,6H,6×Ar−H),7.07(s,4H,4−Ar−H)ppm;構造と一致する。
【0143】
13C NMR(75MHz,CDCl):δ=16.5(CH),19.5(CH),38.6(Ar−CH),39.4(CH),72.6(OCH),112.1(Ar),113.8(Ar),115.4(Ar),122.8(Ar),131.1(Ar),135.0(Ar),147.4(Ar),149.5(Ar),159.8(Ar),165.3(Ar)ppm;構造と一致する。
【0144】
LC−MS,m/e=770(M+Na),747(M+)。
【0145】
分析:C3842,FW=747.02についての計算値,C:61.10,H:5.67,N:7.50,実測値C:60.86,H:5.86,N:7.31。
【0146】
(工程2:1,4−ビス{3,4−ビス(2−メチル−チアゾール−4−イル−メトキシ)フェニル}−2,3−ジメチル−(2R,3S)−ブタン四塩酸塩「化合物F」の合成)
【0147】
【化20】

1,4−ビス{3,4−ビス(2−メチル−チアゾール−4−イル−メトキシ)フェニル}−2,3−ジメチル−(2R,3S)−ブタン(0.50g,0.6mmol)のアセトン(20mL)中の溶液に、塩酸ガスをこの溶液に通して室温で10分間、絶えず攪拌しながらゆっくりとバブリングした。その沈殿物を吸引濾過により収集した。収集した物質を最少量のメタノールに溶解し、そして無水エーテルにより粉砕した。次いで、その固体物質を吸引濾過により収集し、そして減圧下で一晩乾燥させて、0.51g(収率85%)の予測された四塩酸塩を白色固体として得た。
【0148】
m.p.91℃〜92℃。HPLC純度:98.9%(ピーク面積純度)
H NMR(300MHz,メタノール−d):δ=0.74(d,J=6.4Hz,6H,2×CH),2.11(m,2H,2×CH),2.55−2.60(m,4H,2×Ar−CH)2.75(s,6H,2×CH),5.28(d,J=20.7Hz,8H,4×OCH),6.77−6.87(m,6H,6×Ar−H),7.09(s,4H,4−Ar−H),10.56(brs,NH)ppm;構造と一致する。
【0149】
13C NMR(75MHz,メタノール−d):δ=16.7(CH),19.5(CH),38.6(Ar−CH),39.4(CH),72.6(OCH),112.1(Ar),113.8(Ar),115.4(Ar),122.8(Ar),131.1(Ar),135.0(Ar),147.4(Ar),149.5(Ar),159.8(Ar),165.3(Ar)ppm;構造と一致する。
【0150】
LC−MS,m/e=770(M+Na),747(M+)親化合物の構造と一致する。
【0151】
分析:C3842・4HCl,FW=892.87についての計算値,C:51.12 H:5.19,N:6.27,実測値C:50.86,H:5.06,N:6.01。
【0152】
(実施例4)
(1,4−ビス{3,4−ビス(2−(N,N’−ジメチルアミノ)−エトキシ)フェニル}−2,3−ジメチル−(2R,3S)−ブタン遊離塩基(C3458,FW=586.85)「化合物G」;四塩酸塩(C3458・4HCl,FW=732.69)「化合物H」の合成)
(工程1:1,4−ビス{3,4−ビス(2−(N,N’−ジメチルアミノ)−エトキシ)フェニル}−2,3−ジメチル−(2R,3S)−ブタン「化合物G」の合成)
【0153】
【化21】

NGDA(1.50g,4.96mmol)のアセトン(150mL)中の溶液に、無水炭酸カリウム(6.84g,49.6mmol,10モル当量)およびN,N−ジメチル−N−(2−クロロエチル)アミン塩酸塩(4.28g,29.7mmol,6モル当量)を添加した。この混合物を還流下で12時間攪拌した。この反応の進行をTLC(ジクロロメタン:メタノール=95:5,v:v)により監視し、かなりの量のNDGAが未反応であることが示された。従って、さらなる無水炭酸カリウム(6.84g,49.6mmol,10モル当量)およびN,N−ジメチル−N−(2−クロロエチル)アミン塩酸塩(4.28g,29.7mmol,6モル当量)を添加し、そしてこの混合物を還流下でさらに64時間攪拌した。TLCでの監視は、この反応が完了したことを示した。この混合物を室温まで冷却した。不溶性物質を吸引濾過により除去し、そしてアセトン(2×50mL)で洗浄した。その濾液および洗浄液を合わせ、そして減圧(30mmHg〜40mmHg)下25℃で濃縮乾固させた。その残渣を最少量のジクロロメタンに溶解した。その不溶性物質を吸引濾過により除去した。その濾液を、ジクロロメタン:メタノール:トリエチルアミンの勾配溶出(94:1:5〜85:10:5)を使用するシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーカラムにより精製して、予測した生成物を白色固体として得た(1.56g,収率53.6%)。これをアセテート−ヘキサンからの結晶化によりさらに精製した。
【0154】
Mp 98℃〜100℃,HPLC純度:99.1%(ピーク面積純度)。
【0155】
H NMR(300MHz,CDCl):δ=0.81(d,J=6.4Hz,6H,2×CH),1.95(m,2H,2×CH),2.60−2.65(m,4H,2×Ar−CH),2.72(t,J=6.1Hz,8H,4×NCH)2.86(s,6H,2×NCH),4.08(t,J=6.1Hz,8H,4×OCH),6.60−6.75(m,6H,6×Ar−H)ppm;構造と一致する。
【0156】
13C NMR(75MHz,CDCl):δ=15.2(CH),36.6(Ar−CH),38.7(CH),45.5(NCH),56.7(NCH),65.4(OCH),112.8(Ar),114.4(Ar),121.8(Ar),132.8(Ar),146.4(Ar),147.5(Ar)ppm;構造と一致する。
【0157】

LC−MS,m/e=609(M+Na),586(M+);構造と一致する。
【0158】
分析:C3458,FW=586.85についての計算値,C:69.59,H:9.96,N:9.55,実測値C:69.86,H:9.76,N:9.31。
【0159】
(工程2:1,4−ビス{3,4−ビス(2−(N,N’−ジメチルアミノ)−エトキシ)フェニル}−2,3−ジメチル−(2R,3S)−ブタン四塩酸塩「化合物H」の合成)
【0160】
【化22】

1,4−ビス{3,4−ビス(2−(N,N’−ジメチルアミノ)−エトキシ)フェニル}−2,3−ジメチル−(2R,3S)−ブタン(0.50g,0.85mmol)のアセトン(20mL)中の溶液に、塩酸ガスを、この溶液に通して室温で10分間、絶えず攪拌しながらゆっくりとバブリングした。その沈殿物を吸引濾過により収集した。収集した物質を最少量のメタノールに溶解し、そして無水エーテルにより粉砕した。次いで、その固体物質を吸引濾過により収集し、そして減圧下で一晩乾燥させて、0.44g(収率70%)の予測された四塩酸塩を白色固体として得た。
【0161】
m.p.78℃〜80℃。HPLC純度:99.2%(ピーク面積純度)。
【0162】
H NMR(300MHz,メタノール−d):δ=0.76(d,J=6.4Hz,6H,2×CH),1.85(m,2H,2×CH),2.63−2.69(m,4H,2×Ar−CH),2.75(t,J=6.1Hz,8H,4×NCH)2.96(s,6H,2×NCH),4.01(t,J=6.1Hz,8H,4×OCH),6.65−6.77(m,6H,6×Ar−H),10.55(br s,NH)ppm;構造と一致する。
【0163】
13C NMR(75MHz,メタノール−d):δ=16.2(CH),35.6(Ar−CH),37.9(CH),46.6(NCH),55.9(NCH),64.7(OCH),112.5(Ar),115.4(Ar),122.8(Ar),131.7(Ar),145.4(Ar),146.5(Ar)ppm;構造と一致する。
【0164】
LC−MS,m/e=609(M+Na),586(M+)構造と一致する。分析:C3458・4HCl,FW=732.69についての計算値,C:55.73,H:8.53,N:7.65,実測値C:55.38,H:8.36,N:7.31。
【0165】
(実施例5)
(1,4−ビス{3,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−2,3−ジメチル−(2R,3S)−ブタン遊離塩基(C2638,FW=478.58)「化合物I」の合成)
(方法1:(類似の合成手順については、J.Chem.Soc.Chem.Commun.1987,(3),223−224;J.Am.Chem.Soc.1981,103,2361を参照のこと))
【0166】
【化23】

NDGA(2.0g,6.61mmol)の無水ジメチルホルムアミド(DMF)(20mL)中の溶液に、炭酸エチレン(3.49g,39.69mmol,6.0モル当量)およびテトラエチルアンモニウムブロミド(69mg,0.33mmol,0.05モル当量)を添加した。この混合物を140℃で攪拌した。この反応をTLC(ジクロロメタン:メタノール=9:1,V/V)により監視し、これにより、この反応が36時間後に完了したことが示された。次いで、DMFを減圧(20mmHg〜30mmHg)下80℃〜90℃で除去して乾固させた。次いで、その残渣をジクロロメタン(200mL)に溶解し、そして水性重炭酸ナトリウム(50mL)およびブライン(2×50mL)により洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後に、その溶媒を減圧(30mmHg〜40mmHg)下30℃〜40℃で除去して乾固させた。その残渣を最少量のジクロロメタンに溶解し、そしてジクロロメタン:メタノールの勾配溶出(10:0〜9:1,V/V)を使用するシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーカラムにより精製して、予測された生成物を得、これをジクロロメタン−エーテルからの再結晶によりさらに精製して、純粋な生成物0.88gを得た(収率27.8%)。
【0167】
m.p.120℃〜122℃、HPLC純度99.4%。
【0168】
H NMR(300MHz,CDCl):δ=0.73(d,J=6.4Hz,6H,2×CH),1.85(m,2H,2×CH),2.35,2.65(mm,4H,2×Ar−CH),3.74(t,J=6.1Hz,8H,4×OCH),3.93(t,J=6.1Hz,8H,4×OCH),6.56−6.72(m,6H,6×Ar−H)ppm;構造と一致する。
【0169】
13C NMR(75MHz,CDCl):δ=15.4(CH),35.2(Ar−CH),37.9(CH),61.8(OCH),68.7(OCH),112.3(Ar),115.4(Ar),122.9(Ar),132.8(Ar),146.4(Ar),148.1(Ar)ppm;構造と一致する。
【0170】
LC−MS,m/e=501(M+Na),478(M+);構造と一致する。
【0171】
分析:C2638,FW=478.58についての計算値,C:65.25,H:8.00,実測値C:65.01,H:8.34。
【0172】
(方法2:(類似の合成手順については、Synth.Commun.2002,32(12),1909−1915を参照のこと))
【0173】
【化24】

NDGA(1.5g,4.96mmol)のn−ブタノール(150mL)中の溶液に、水酸化ナトリウム(4.0g,99.20mmol,20モル当量)の、水(20mL)および2−クロロエタノール(8.0g,99.22mmol,20モル当量)中の溶液を添加した。この混合物を還流しながら攪拌した。この反応をTLC(ジクロロメタノール:メタノール,9:1,V/V)により監視し、そして36時間後に完了したことが示された。この混合物を0℃まで冷却し、そしてpH7.0まで、濃塩酸により注意深く中和した。この混合物を減圧(30mmHg〜40mmHg)下70℃〜80℃で濃縮乾固した。その残渣を混合し、そして酢酸エチル(200mL)と一緒に攪拌した。不溶性物質を濾過により除去し、そして酢酸エチル(2×50mL)で洗浄した。その濾液および洗浄液を合わせ、ブライン(2×100mL)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後に、この混合物を減圧(30mmHg〜40mmHg)下30℃〜40℃で濃縮乾固した。次いで、その残渣を最少量のジクロロメタンに溶解し、そしてジクロロメタン:メタノールの勾配溶出(95:5〜80:20,V/V)を使用するシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーカラムにより精製して、予測した化合物を白色固体として得、これをジクロロメタン−エーテルからの再結晶によりさらに精製して、純粋な生成物1.32g(55.6%、mp.120℃〜122℃、HPLC純度98.5%)を得た。分析データは、方法1から得られたサンプルと同一であった。
【0174】
(方法3:(類似の実験手順については、Bull.Korean Chem.Soc.2004,25(12),1941−1944を参照のこと))
【0175】
【化25】

NDGA(1.5g,4.96mmol)のDMF(150mL)中の溶液に、無水炭酸カリウム(13.70g,99.20mmol,20モル当量)および(2−クロロエトキシ)エタン(10.57g,99.22mmol,20モル当量)を添加した。この混合物を130℃で攪拌した。この反応をTLC(ジクロロメタノール:メタノール,9:1,V/V)により監視し、そして48時間後に完了したことが示された。この混合物を減圧(5mmHg〜10mmHg)下50℃〜60℃で濃縮乾固した。その残渣を混合し、そして酢酸エチル(200mL)と一緒に攪拌した。不溶性物質を濾過により除去し、そして酢酸エチル(2×50mL)で洗浄した。その濾液および洗浄液を合わせ、ブライン(2×100mL)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後に、この混合物を減圧(30mmHg〜40mmHg)下30℃〜40℃で濃縮乾固した。次いで、その残渣を最少量のジクロロメタンに溶解し、そしてジクロロメタン:メタノールの勾配溶出(95:5〜80:20,V/V)を使用するシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーカラムにより精製して、予測した化合物を白色固体として得、これをジクロロメタン−エーテルからの再結晶によりさらに精製して、純粋な生成物1.50g(収率63.1%,mp.120℃〜122℃、HPLC純度98.5%)を得た。分析データは、方法1から得られたサンプルと同一であった。
【0176】
(実施例6)
(1,4−ビス{3,4−ビス[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシl]フェニル}−2,3−ジメチル−(2R,3S)−ブタン遊離塩基(C345412,FW=654.79)「化合物J」の合成)
【0177】
【化26】

NDGA(1.5g,4.96mmol)のDMF(150mL)中の溶液に、無水炭酸カリウム(13.70g,99.20mmol,20モル当量)および(2−クロロエトキシ)エタノール(12.36g,99.22mmol,20モル当量)を添加した。この混合物を130℃で攪拌した。この反応をTLC(ジクロロメタノール:メタノール,9:1,V/V)により監視し、そして72時間後に完了したことが示された。この混合物を減圧(5mmHg〜10mmHg)下50℃〜60℃で濃縮乾固した。その残渣を混合し、そして酢酸エチル(200mL)と一緒に攪拌した。不溶性物質を濾過により除去し、そして酢酸エチル(2×50mL)で洗浄した。その濾液および洗浄液を合わせ、ブライン(2×100mL)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後に、この混合物を減圧(30mmHg〜40mmHg)下30℃〜40℃で濃縮乾固した。次いで、その残渣を最少量のジクロロメタンに溶解し、そしてジクロロメタン:メタノールの勾配溶出(95:5〜80:20,V/V)を使用するシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーカラムにより精製して、予測された化合物を得、これをジクロロメタン−エーテルからの再結晶によりさらに精製して、純粋な生成物1.25g(収率38.5%)を淡黄色の半固体として、HPLC純度98.5%で得た。
【0178】
H NMR(300MHz,CDCl):δ=0.74(d,J=6.4Hz,6H,2×CH),1.88(m,2H,2×CH),2.38,2.68(mm,4H,2×Ar−CH),3.60−4.01(m,32H,16×OCH),6.58−6.74(m,6H,6×Ar−H)ppm;構造と一致する。
【0179】
13C NMR(75MHz,CDCl):δ=15.4(CH),36.3(Ar−CH),38.5(CH),61.3(OCH),69.7(OCH),70.7(OCH),71.2(OCH),112.4(Ar),114.1(Ar),123.4(Ar),131.6(Ar),145.9(Ar),149.5(Ar)ppm;構造と一致する。
【0180】
LC−MS,m/e=677(M+Na),672(M+HO),655(M+);構造と一致する。
【0181】
分析:C345412,FW=654.79についての計算値,C:62.37,H:8.31,実測値C:62.01,H:8.14。
【0182】
(実施例7)
(1,4−ビス[3,4−ビス(2−フルオロ−エトキシル)フェニル]−2,3−ジメチル−(2R,3S)−ブタン(C2534,FW=486.54)「化合物K」の合成)
【0183】
【化27】

氷水浴中で冷却した、化合物I(479mg,1.0mmol)のジクロロメタン(10mL)中の懸濁物に、ジエチルアミノ硫黄トリフルオリド(DAST,805mg,5mmol)を添加した。得られた黄色がかった溶液を室温で10時間攪拌した後に、冷却しながら飽和重炭酸ナトリウム(2mL)でクエンチした。その有機層を飽和ブラインで洗浄し、MgSO(s)で乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。その残渣をシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶出液としてジクロロメタン中10%メタノール)により精製し、そして所望の画分を収集して、予測された化合物をオフホワイトの固体(277mg,0.47mmol)として収率57%で得た。
【0184】
m.p.98℃〜102℃,HPLC純度:97.5%(ピーク面積純度)。
【0185】
H NMR(CDCl,400MHz):δ=0.76(d,J=6.4Hz,6H,2×CH),1.63−1.70(m,2H,2×CH),2.18(dd,J=13Hz,2H,2×ArCH),2.76(dd,J=13.2,4.6Hz,2H,2×ArCH),4.09(t,J=5.6Hz,8H,4×CHO),4.66(m,J=47Hz,8H,4×CHF),6.55−6.72(m,6H,6×ArH);予測された構造と一致する。
【0186】
13C NMR(CDCl,100MHz):δ=15.90,38.68,39.23,64.23,64.50,66.49,66.86,113.75,114.80,121.56,134.96,146.63,148.38;予測された構造と一致する。
【0187】
MS(EI)m/e:486(M+),496(M+),525(M+K);予測された構造と一致する。
【0188】
分析:C2534,FW=486.54についての計算値,C:64.18;H:7.04。実測値,C:63.95;H:6.85。
【0189】
(実施例8)
(1,4−ビス{3,4−ビス[4−(N−モルホリノ)ブトキシ]フェニル}−2,3−ジメチル−(2R,3S)−ブタン遊離塩基(C5082,FW=867.21)「化合物L」;四塩酸塩(C5482・4HCl,FW=1013.05)「化合物M」の合成)
(工程1:N−(4−クロロブチル)モルヒネの合成)
【0190】
【化28】

2Lの三口丸底フラスコに、モルホリン(87.12g,1.0mol)、アセトン(1000mL)、および無水炭酸カリウム(276.42g,g,2.0mol,2.0当量)を入れた。このフラスコに、機械攪拌子および冷却器を備え付けた。4−クロロ−1−ブロモ−ブタン(188.6g,1.1mol,1.1当量)を、室温で絶えず攪拌しながら、30分間かけて滴下した。次いで、この懸濁混合物を40℃で攪拌した。この反応の進行をTLCにより監視し、これにより、この反応が4時間後に完了したことを確認した。この混合物を室温まで冷却し、そして不溶性物質を濾過により除去し、そしてジクロロメタン(2×100mL)で洗浄した。合わせた濾液を減圧下で、乾燥するまで濃縮した。次いで、その残渣をジクロロメタン(500mL)と混合した。不溶性物質を濾過により除去し、そしてジクロロメタン(2×100mL)により洗浄した。合わせた濾液および洗浄液を濃縮し、そしてフラッシュシリカゲルカラムで精製し、これにより、予測した生成物を淡黄色油状物として得た(80.83g,収率45.5%)。
【0191】
H NMR(CDCl,300MHz),δ=1.35(m,2H,CH),1.75(m,2H,CH),2.41(t,J=6.5Hz,4H,2CHN),2.97(t,J=6.8Hz,2H,CHN),3.65(m,6H,2OCH,CHCl)ppm;構造と一致する。
【0192】
13C NMR(CDCl,75MHz),δ=25.4,25.8,45.4,53.2,60.2,65.5ppm;構造と一致する。
【0193】
MS(EI),m/e=178(M+1);構造と一致する。
【0194】
(工程2:1,4−ビス{3,4−ビス[4−(N−モルフィノ)ブトキシ]フェニル}−2,3−ジメチル−(2R,3S)−ブタン「化合物L」の合成)
【0195】
【化29】

NDGA(602mg,2.0mmol)および水酸化リチウム一水和物(1.0g,24.0mmol,12当量)をtert−ブタノール(100mL)中に含む溶液に、N−(4−クロロブチル)モルホリン(2.13g,12.0mmol,6.0当量)を添加した。次いで、この溶液を50℃で、絶えず攪拌しながら加熱した。この反応をTLC(CHCl:MeOH:EtN=92:6:2,V/V/V)により監視し、これにより、この反応が20時間後に完了したことを確認した。この反応懸濁物を室温まで冷却し、そしてジクロロメタン(200mL)と水(100mL)とで分配した。この混合物を振盪してよく混合した。その有機相を分離し、そしてその水相をジクロロメタン(2×100mL)で抽出した。その有機層および抽出物を合わせ、そして水性飽和重炭酸ナトリウム(100mL)およびブライン(10mL)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後に、この溶液を減圧下で濃縮した。その残渣を、ジクロロメタン、メタノールおよびトリエチルアミン(92:6:2,V/V/V)を溶出液として使用して、シリカゲルカラムで精製し、これにより、予測した生成物を白色半固体物質として得た(667.75mg,収率38.5%)。
【0196】
HPLC純度−99.2%。元素分析−C5082,FW=867.21計算値:C:69.25;H:9.53;N:6.46。実測値:C:69.05;H:9.21;N:6.43;構造と一致する。
【0197】
H NMR(CDCl,400MHz):δ=0.74(d,J=6.4Hz,6H,2×CH),1.32−1.46(m,16H)1.62−1.71(m,2H,2×CH),2.26(dd,J=13.4,9.2Hz,2H,2×ArCH),2.75(dd,J=13.2,4.6Hz,2H,2×ArCH),2.51−2.79(m,16H,8×モルホリンCH),2.89(t,J=12.2Hz,8H,4×CHN),3.56−3.76(m,16H,8×モルホリンCH),4.11(t,J=5.6Hz,8H,4×CHO),6.47−6.69(m,6H,6×ArH)ppm,構造と一致する。
【0198】
13C NMR(CDCl,100MHz):δ=16.96,24.31,24.91,38.77,40.18,54.31,55.79,56.46,60.59,65.60,67.58,67.70,115.68,116.09,122.39,135.75,145.39,149.29ppm;構造と一致する。
【0199】
MS(FAB)m/e:867(M+),434(1/2M+),構造(C5482)と一致する。
【0200】
分析:C5082(867.21)についての計算値C:69.25,H:9.53,N:6.46,実測値C:68.94,H:9.39,N:6.91,構造と一致する。
【0201】
(工程3:1,4−ビス{3,4−ビス[4−(N−モルフィノ)ブトキシ]フェニル}−2,3−ジメチル−(2R,3S)−ブタン四塩酸塩「化合物M」の合成)
【0202】
【化30】

水性飽和HCl(2.2mLの11N HCl,24mmol,24モル当量)の95%エタノール(7mL)中の氷冷した(0℃〜5℃)溶液に、1,4−ビス{3,4−ビス[4−(N−モルホリノ)ブトキシ]フェニル}−2,3−ジメチル−(2R,3S)−ブタン(867.21mg,1.0モル)の95%エタノール(7mL)中の溶液を滴下した。この溶液を0℃〜5℃で3時間攪拌し、水浴の温度を45℃に維持しながらその溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。その塩酸塩を高真空下で48時間乾燥させた。次いで、その粗製生成物をエタノール:エーテルから結晶化させて、高真空下で72時間乾燥させた後に691.9mgの生成物(収率68.3%)を得た。この生成物についての分析データを以下に示す。
【0203】
m.p.215℃〜220℃(分解)。
【0204】
HPLC純度:98.2%(ピーク面積の%)。元素分析−C5082,・・4HCl,FW=1013.05計算値:C:59.28;H:8.56;N:5.53。実測値:C:58.94;H:8.21;N:5.43。滴定法による塩素元素分析(無水をベースとする):理論値:14.00%;実測値:14.05%。
【0205】
H NMR(DO,400MHz):δ=0.72(d,J=6.4Hz,6H,2×CH),1.32−1.42(m,16H)1.62−1.68(m,2H,2×CH),2.16(dd,J=13.4,9.2Hz,2H,2×ArCH),2.72(dd,J=13.2,4.6Hz,2H,2×ArCH),2.41−2.59(m,16H,8×モルホリンCH),2.70(t,J=12.2Hz,8H,4×CHN),3.46−3.72(m,16H,8×モルホリンCH),4.01(t,J=5.6Hz,8H,4×CH2O),6.57−6.70(m,6H,6×ArH)ppm;構造と一致する。
【0206】
13C NMR(DO,100MHz):δ=15.96,23.91,24.89,38.57,39.08,53.31,53.79,57.46,59.79,66.50,66.58,66.70,113.68,114.69,121.39,134.75,146.39,148.29ppm;構造と一致する。
【0207】
MS(FAB)m/e:867(M+),434(1/2M+),遊離塩基(C5482)と一致する。
【0208】
(実施例9)
(1,4−ビス{3,4−ビス[4−(N−メチル−ピペラジノ−N’−イル)ブトキシ]フェニル}−2,3−ジメチル−(2R,3S)−ブタン遊離塩基(C5494,FW=919.38)「化合物N」;八塩酸塩(C5494・8HCl,FW=1211.06)「化合物O」の合成)
(工程1:N−メチル−N’−(4−クロロブチル)ピペラジンの合成)
【0209】
【化31】

2Lの三口丸底フラスコに、N−メチル−ピペラジン(100.16g,1.0mol)、アセトン(1000mL)、および無水炭酸カリウム(276.42g,2.0mol,2.0当量)を入れた。このフラスコに、機械攪拌子および冷却器を備え付けた。4−クロロ−1−ブロモ−ブタン(188.6g,1.1mol,1.1当量)を、室温で絶えず攪拌しながら30分間かけて滴下した。次いで、この懸濁混合物を40℃で攪拌した。この反応の進行をTLCにより監視し、これにより、この反応が4時間後に完了したことを確認した。この混合物を室温まで冷却し、そして不溶性物質を濾過により除去し、そしてジクロロメタン(2×100mL)で洗浄した。合わせた濾液を、乾燥するまで減圧下で濃縮した。次いで、その残渣をジクロロメタン(500mL)と混合した。不溶性物質を濾過により除去し、そしてジクロロメタン(2×100mL)により洗浄した。合わせた濾液および洗浄液を濃縮し、そしてフラッシュシリカゲルカラムで精製し、これにより、予測した生成物を淡黄色油状物として得た(92.5g,収率48.5%)。
【0210】
H NMR(CDCl,300MHz),δ=1.37(m,2H,CH),1.81(m,2H,CH),2.25(s,3H,NCH),2.33(m,8H,4NCH),3.10(t,J=6.5Hz,2H,2CHN),3.65(t,J=6.8Hz,2H,CHCl)ppm;構造と一致する。
【0211】
13C NMR(CDCl,75MHz),δ=25.4,25.9,44.1,45.8,52.1,53.1,55.8ppm;構造と一致する。
【0212】
MS(EI),m/e=191(M+1);構造と一致する。
【0213】
(工程2:1,4−ビス{3,4−ビス[4−(N−メチル−ピペラジノ−N’−イル)ブトキシ]フェニル}−2,3−ジメチル−(2R,3S)−ブタン「化合物N」の合成)
【0214】
【化32】

NDGA(602mg,2.0mmol)および水酸化リチウム一水和物(1.0g,24.0mmol,12当量)をtert−ブタノール(100mL)中に含む溶液に、N−メチル−N’−(4−クロロブチル)ピペラジン(2.29g,12.0mmol,6.0当量)を添加した。この溶液を50℃で絶えず攪拌しながら加熱した。この反応をTLC(CHCl:MeOH:EtN=92:6:2,V/V/V)により監視し、これにより、この反応が20時間後に完了したことを確認した。この反応懸濁物を室温まで冷却し、そしてジクロロメタン(200mL)と水(100mL)とで分配した。この混合物を振盪してよく混合した。その有機相を分離し、そしてその水相をジクロロメタン(2×100mL)で抽出した。その有機層および抽出物を合わせ、そして水性飽和重炭酸ナトリウム(100mL)、およびブライン(10mL)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後に、この溶液を減圧下で濃縮した。その残渣を、ジクロロメタン、メタノールおよびトリエチルアミン(92:6:2,V/V/V)を溶出液として使用してシリカゲルカラムで精製し、これにより、予測した生成物を白色半固体物質として得た(855.02mg,収率46.5%)。
【0215】
HPLC純度:98.2%(ピーク面積の%)。元素分析−C5494,FW=919.38計算値:C:70.55;H:10.31;N:12.19。実測値:C:70.65;H:10.11;N:12.43;構造と一致する。
【0216】
H NMR(CDCl,400MHz):δ=0.76(d,J=6Hz,6H,2×CH),1.36−1.56(m,16H),1.65−1.71(m,4H),2.42(s,6H),2.45−2.65(m,22H),2.85(t,J=6.0Hz,4H),2.95(t,J=6.0Hz,4H),4.23(q,J=6.0Hz,8H),6.65−6.78(m,6H,6xArH)ppm;構造と一致する。
【0217】
13C NMR(CDCl,100MHz):δ=15.61,23.55,24.56,32.26,35.58,46.27,53.13,55.05,56.36,66.44,66.86,113.77,115.63,121.15,145.66,147.97,150.02ppm;構造と一致する。
【0218】
MS(FAB)m/e:920(M+),460(M+),構造と一致する。
【0219】
(工程3:1,4−ビス{3,4−ビス[4−(N−メチル−ピペラジノ−N’−イル)ブトキシ]フェニル}−2,3−ジメチル−(2R,3S)−ブタン八塩酸塩「化合物O」の合成)
【0220】
【化33】

水性飽和HCl(2.2mLの11N HCl,24mmol,24モル当量)の95%エタノール(7mL)中の氷冷した(0℃〜5℃)溶液に、1,4−ビス{3,4−ビス[4−(N−メチル−ピペラジノ−N’−イル)ブトキシ]フェニル}−2,3−ジメチル−(2R,3S)−ブタン(919.38mg,1.0モル)の95%エタノール(7mL)中の溶液を滴下した。この溶液を0℃〜5℃で3時間攪拌し、水浴の温度を45℃に維持しながらその溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。その塩酸塩を高真空下で48時間乾燥させた。次いで、その粗製生成物をエタノール:エーテルから結晶化させて、高真空下で72時間乾燥させた後に914.35mgの生成物を得た(収率75.5%)。この生成物についての分析データを以下に示す。
【0221】
m.p.215℃〜220℃(分解)。
【0222】
HPLC純度:98.2%(ピーク面積の%)。元素分析−C5494・8HCl,FW=1211.06,計算値:C:53.55;H:8.49;N:9.25。実測値:C:53.24;H:8.21;N:9.43。滴定法による塩素元素分析(無水をベースとする):理論値:23.42%;実測値:23.35%;構造と一致する。
【0223】
H NMR(DO,400MHz):δ=0.75(d,J=6Hz,6H,2×CH),1.33−1.46(m,16H),1.55−1.64(m,4H),2.32(s,6H),2.35(s,6H),2.45−2.65(m,16H),2.83(t,J=6.0Hz,4H),2.82(t,J=6.0Hz,4H),4.10(q,J=6.0Hz,8H),6.65−6.78(m,6H,6xArH)ppm;構造と一致する。.9(Ar),132.8(Ar),146.4(Ar),148.1(Ar)ppm;構造と一致する。
【0224】
13C NMR(DO,100MHz):δ=15.91,23.85,25.06,31.26,35.38,46.17,53.73,55.15,57.36,67.34,67.46,114.47,114.73,120.95,146.06,148.77,149.92ppm;構造と一致する。
【0225】
MS(FAB)m/e:920(M+),460(M+);構造と一致する。
【0226】
以下の予定実施例1−5は、示される化合物を作製するために効果的であると考えられる反応スキームを示す。
【0227】
(予定実施例A)
(1,4−ビス{3,4−ビス[2−(1−メチル−ピペラジン−4−イル)−エトキシ]フェニル}−2,3−ジメチル−(2R,3S)−ブタン遊離塩基(C4678;FW=807.16);四塩酸塩(C4678・4HCl,FW=953.01)の合成)
【0228】
【化34】

(予定実施例B)
(1,4−ビス{3,4−ビス[2−(ピペリジン−1−イル)エチルカルバモイルオキシ]フェニル}−2,3−ジメチル−(2R,3S)−ブタン遊離塩基(C5078,FW=919.20);四塩酸塩(C5078・4HCl,FW=1065.05)の合成)
【0229】
【化35】

(予定実施例C)
(1,4−ビス{3,4−ビス[2−(モルホリン−1−イル)エチルカルバモイルオキシ]フェニル}−2,3−ジメチル−(2R,3S)−ブタン遊離塩基(C467012,FW=927.09);四塩酸塩(C467012・4HCl,FW=1072.94)の合成)
【0230】
【化36】

(予定実施例D)
(1,4−ビス{3,4−ビス[(2−N,N−ジメチルアミノエチル)カルバモイルオキシ]フェニル}−2,3−ジメチル−(2R,3S)−ブタン遊離塩基(C3862,FW=758.95)の合成)
【0231】
【化37】

(予定実施例E)
(1,4−ビス{3,4−ビス[(フラン−2−イル)メチル−カルバモイルオキシ]フェニル}−2,3−ジメチル−(2R,3S)−ブタン遊離塩基(C424212,FW=794.80)の合成)
【0232】
【化38】

本発明は、実施された一般プロトコルに従う、インビトロの細胞傷害性および有効性の研究に関する、以下の特定の非限定的な作業実施例に関して、さらに記載される。
【0233】
(細胞傷害性および有効性の研究)
本発明の化合物のうちの特定のものを、インビトロで研究した。これらのインビトロ研究は、種々のクラスの本発明のNDGA誘導体が、ウイルス感染または増殖性疾患、炎症性疾患代謝疾患もしくは脈管疾患の予防処置または発症後の処置のために安全かつ有効であることを立証した。以下の実施例は、このような試験に含まれた研究を説明する。
【0234】
(細胞傷害性研究)
細胞傷害性に関して実施された研究は、周知のMTS、トリパンブルーおよびMTTプロトコルを含んだ。MTS研究を、CellTiter 96(登録商標)AQueous One Solution Cell Proliferation Assay(Promega Corporation,Madison,Wisconsin USA)を使用して行った。代謝的に活性な、すなわち生存している細胞は、MTS(テトラゾリウム化合物(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム,内部塩))を、色のついたホルマザンに変え、このホルマザンは、組織培養培地に可溶である。ホルマザンの吸光度の測定値を、490nmで読み取る。使用の準備ができた試薬を、96ウェルプレート中の倍地中の細胞に直接添加し、1時間〜4時間インキュベートし、そしてその結果をプレートリーダーにより記録した。IC50を、収集したデータをグラフ化することにより評価した。IC50とは、コントロールと比較した、試験物質の成長または生存能の50%を阻害する、試験物質の濃度である。
【0235】
トリパンブルーアッセイにおいて、細胞をトリプシン処理し、そしてサンプルを、トリパンブルー色素と生理食塩水との溶液に添加する。生存細胞は、この色素を細胞膜の外側に維持し得、損傷細胞または死細胞は維持し得ない。生存細胞および非生存(青色)細胞を係数し、そして生存細胞の百分率を計算する。増殖率を、プラシーボ処理した細胞からの値を使用して、処理された細胞の生存能を処理されていない細胞の生存能と比較することにより計算する。
【0236】
MTTアッセイは、生存細胞の数を決定するための比色定量方法である。代謝的に活性な細胞は、MTT試薬(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)を紫色のホルマザン結晶に変え、この結晶は、ジメチルスルホキシド(DMSO)に可溶化される。MTT試薬をMTT(無色)培地に添加する。この培地を細胞に添加し、そしてこれらの細胞を4時間インキュベートする。DMSOをこれらの細胞に添加し、そして混合する。次いで、この着色した溶液を540nmで読み取り、そして630nmで補正する。IC50を、収集したデータをグラフ化することにより評価する。
【0237】
(抗ウイルス活性のSEAPアッセイ)
抗ウイルス活性を、SEAP(SEcreted Alkaline Phosphatase)アッセイを使用して決定する。このアッセイにおいて、細胞を、SEAPプラスミドおよびTATプラスミドと一緒にトランスフェクトする。TATは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)遺伝子発現のトランス作用因子であり、そしてHIV遺伝子発現のために必須な2つ以上のウイルス調節因子(TATおよびREV)のうちの1つである。TATは、TAR RNAエレメントに結合し、そして長い末端反復(LTR)プロモーターからの転写を活性化することによって、作用する。TATタンパク質は、転写の伸長を安定化し、そしてまた、転写阻害に関与することが示されている。以前の研究は、TATが、抗体依存性T細胞増殖の減少を媒介し、免疫応答の失敗に実質的に寄与することを示した。TATはまた、カポージ細胞増殖を直接刺激する。
【0238】
TATは、明らかな細胞ホモログを有さないので、この強い陽性レギュレーターは、抗AIDS薬物の開発のための魅力的な標的になっている。現在利用可能なHIV逆トランスクリプターゼインヒビター(AZT、DDI)、または感染の新たな回数を防止する潜在的なプロテアーゼインヒビターとは異なり、ウイルス遺伝子TATにより調節される組み込まれたプロウイルスDNAの発現を抑制するインヒビターは、このウイルスを初期段階で停止させる(Hsuら,Science 254:1799−1802,1991)。宿主真核生物において遺伝子発現を転写レベルおよび転写後レベルで制御する因子の説明を試みる努力が、最近、TAT機能の定量的評価を可能にした(Sim,Ann.N.Y.Acad.Sci.616:64−70,1990)。TATにより調節されるトランス活性化(TAT−TRS)についてのインヒビターをスクリーニングするために、SEAPレポーター遺伝子が、プラスミドpBC12/HIV/SEAPのHIV−1 LTRプロモーターの制御下に置かれる。TATコードされた活性は、第二のプラスミド構築物pBC12/CMV/t2により供給される。COS−7細胞とこれらの2つのプラスミドとの一時的な共トランスフェクションは、培養培地内へのアルカリホスファターゼの分泌をもたらし、このアルカリホスファターゼが、単純な比色定量アッセイにより分析される(Bergerら,Gene 66:1−10,1988)。従って、SEAPアッセイは、TATトランス活性化の間接的な決定を提供する。
【0239】
SEAPアッセイにおいて、インヒビターは、SEAPレポーター遺伝子発現の減少を、TATタンパク質(TAT−TRS)によるHIV−1 LTRプロモーターのトランス活性化を介して引き起こすべきである。TATタンパク質は、サイトメガロウイルスプロモーターの制御下で発現され、そして非内因性の、耐熱形態の分泌アルカリホスファターゼの発現を誘導する。TATトランス活性化が薬物により遮断される場合、レポーターSEAPは、培地中に排出されない。SEAPは、パラ−ニトロフェニルホスフェート基質によって、405nmで比色定量的に検出される。Gnabre13を参照のこと。これらの細胞は、MTTアッセイにより分析されて、細胞傷害性をSEAP阻害と比較される。その目的は、その薬物が、毒性になりすぎずにSEAPを阻害することである。
【0240】
(抗増殖活性)
抗増殖活性を、TiterTACS(登録商標)Apoptosis Detection Kit(R&D Systems Inc.,Minneapolis,Minnesota USA)を使用して、DNA断片化に基づく細胞のアポトーシスに関して決定し、そしてELISA VEGF(脈管上皮成長因子)およびサービビンアッセイにより決定する。
【0241】
DNA断片化アッセイにおいて、アポトーシスのインサイチュ検出を、TiterTACS(登録商標)96ウェルApoptosis Detection kit(カタログ番号TA600(R&D Systems,Inc.))で特異的に達成する。TiterTACS(登録商標)アッセイは、培養された細胞のアポトーシスの定量を、比色定量検出を使用する標識細胞の直接計数なしで提供する。細胞を試験化合物で処理し、実験ネガティブコントロールとして未処理のままにするか、またはポジティブコントロールとしてTACSヌクレアーゼで処理する。TACSヌクレアーゼは、ポジティブコントロールが各実験系について発生することを可能にする。標識化前の、細胞のTACSヌクレアーゼでの短時間の処理は、各細胞におけるDNA切断を発生させ、研究中の系に対して特異的な、適切なポジティブコントロールを提供する。DNA断片へのdNTPsの付加を触媒するTdT酵素は、ストレプトアビジン−HRP溶液、続いてTACS−Sapphire基質を使用するよって、450nmでの比色定量検出を可能にする。450nmにおける高い吸光度は、細胞におけるアポトーシスを示す。処理された細胞を未処理の細胞およびヌクレアーゼ切断した細胞と比較して、アポトーシスの程度を評価する。
【0242】
ELISA(酵素結合イムノソルベント検定法)VEGF研究を、製造業者の指示に従って、Endogen(登録商標)Human VEGF ELISAキット(カタログ番号EHVEGF(Pierce Biotechnology,Inc.,Rockford,Illinois USA))を使用して行った。低酸素症状態を各細胞に、これらの細胞をデスフェロキサミン(DFO)(これは、鉄をキレートする)で処理し、そしてこれらの細胞にVEGFを培地中に分泌させることよって、生じさせた。その上清(培地)を除去し、そして試験のために凍結させ、そしてこれらの細胞を、結果が細胞計数に対して正規化され得るように、トリパンブルーアッセイで係数した。VEGFをサンドイッチELISAで測定する。サンドイッチELISAは、培地中のタンパク質を抗体でコーティングされたマイクロプレート上に捕捉し、次いでビオチン化抗体試薬を使用してこのタンパク質を検出する。標準曲線からの結果は、使用者が各サンプル中のタンパク質の量を定量することを可能にする。
【0243】
(ELISA−サービビンアッセイ)
サービビンとは、多くのヒト癌において異常に発現するが、正常な成人組織中では発現しない、インヒビターであり、従って、細胞の死/生存の末期エフェクター段階の可能なモジュレーターと考えられている。サービビンは、G−Mにおいて、細胞周期に依存する様式で発現し、有糸分裂紡錘体微小管に直接結合する。サービビンのThr34におけるリン酸化は、細胞分裂の際の細胞の生存能を維持するために必要とされ得るようであり、そしてリン酸化が不完全なサービビン変異体の発現は、数種のヒト黒色腫細胞株におけるアポトーシスを誘発することが示されている。リン酸化サービビンは、カスパーゼ経路に作用して、カスパーゼ−3およびカスパーゼ−9の形成を抑制し、これによって、アポトーシスを阻害する。従って、サービビンの発現を減少させる化合物は、アポトーシスおよび細胞死の割合を増加させると予測される。
【0244】
サービビンに対する試験化合物の影響を、製造業者の指示に従って、SurveyorTM IC Human Total Survivin Immunoassay(カタログ番号SUV647 (R&D Systems,Inc.))を使用して研究した。細胞溶解物を、サービビンタンパク質含有量について分析した。このキットは、サービビンに特異的な抗体でコーティングされたプレート、およびこのプレートに結合したサービビンを認識するビオチン化抗体を備える。このプレートを、450nmに設定されたプレートリーダーで読み取り、そして540nmで補正する。Bradford法(Bradford,M.1976,Anal Biochem 72:248−254)によるタンパク質アッセイを使用して、サンプルを、全タンパク質含有量に従って定量および正規化した。標準曲線からの結果は、使用者が、各サンプル中のサービビンタンパク質の量を定量することを可能にする。
【0245】
(抗炎症活性)
抗炎症活性を、試験化合物の、初代ヒトケラチノサイト(PHK)に対する影響に基づいて決定した。PHKは、炎症プロセスにおいて重要な役割を果たし、多数のサイトカイン、接着分子、成長因子および増殖因子を合成する。試験化合物がケラチノサイトを阻害してインターフェロンγ(IFN−γ)、インターロイキン−8(IL−8)、腫瘍壊死因子α(TNF−α)、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、細胞間接着分子−1(ICAM−1、CD54としてもまた公知)および単球走化性タンパク質−1(MCP−1)の産生を防止または減少させ得るか否かを決定するために、研究を実施した。PHKを、最初にTNF−αで処理して、炎症前状態を誘導し、そして炎症前サイトカインの放出を誘導した。次いで、特異的サイトカインを、製造業者の指示に従って、R&D Systems,Inc.のタンパク質アッセイ(Quantikine ELISAキット;MCP−1キットについてはカタログ番号DCP00、GM−CSFキットについてはカタログ番号DGM00、そしてIFN−γについてはカタログ番号DIF50)を使用してアッセイした。
【0246】
(抗ウイルス活性および抗増殖活性に関する細胞傷害性研究のための一般プロトコル)
ATCCから得、そしてATCCにより示されるように維持した3つの細胞株(HeLa(子宮頚部腺癌)、A549(肺腺癌)、およびCOS−7(SV40形質転換したサル腎臓))を試験した。これらの細胞株の研究は、哺乳動物(ヒトを含む)の疾患に対する試験物質の影響を示すと考えられる。
【0247】
全ての化合物をDMSOに溶解した。DMSOをプラシーボとして使用する。これらのサンプルを、最初にDMSO中10mMの希釈物に溶解し、次いで、5mM、1mM、0.5mM、0.1mM、0.05mM、および0.01mMの溶液にさらに希釈した。これらの溶液を、培地に1%の濃度(1μl〜100μlの培地)で添加して、これらの細胞を100μM、50μM、10μM、5μM、1μM、0.5μM、および0.1μMの化合物で処理した。低いIC50を有することがわかった化合物を、DMSOでさらに希釈した。溶液を使用前に、沈殿物について確認した(特に、10mMの溶液)。沈殿物が存在した場合、これらの溶液を65℃まで温め、そして温めた培地に添加した。
【0248】
96ウェルプレートのウェルに、100μlの培地中の1.5−8×10個の細胞を播種し、そして一晩インキュベートした。このプレートの外周のウェルを200μlの滅菌脱イオン(DI)水で満たして、培地の蒸発を抑制した。24時間後、試験化学物質を、培地中に、培地体積の1%の濃度で調製した。試験サンプル培地を添加し、ピペットで混合し、その後、1ウェルあたり100μlを添加した。培地を、「培地のみ」のウェルに添加した。このウェルプレートおよびその内容物を、実施する研究に依存して24時間〜72時間インキュベートした。MTSアッセイの日に、MTS試薬を冷蔵庫から取り出し、そして室温に戻した。マルチチャネルピペットを使用して、20μlのMTS試薬を各ウェルに添加し、そして1時間〜4時間インキュベートした。このプレートを、490nmで、690nmの参照波長を用いて、インキュベーター内での1時間後に読み取り、その後、ブランクウェルが約0.2ODになるまで読み取った。次いで、これらの結果をMicrosoft(登録商標)Excel(登録商標)テンプレート(データが入力されると全ての必要な計算を実行するように設計されている)に走査した。これらのデータを、統計学的誤差について確認した。その群についてのデータ点の平均の10%以内であるデータ点を含めた。ブランク(「培地のみ」)の平均を減算し、そしてこれらのデータを、増殖応答(処理あり/処理なし)を表す図に挿入した。
【0249】
(SEAPプロトコル)
以下のSEAPプロトコルを、HIV転写のTATにより媒介されるトランス活性化の活性を測定するためのレポーター系として使用した。MTTアッセイは、細胞増殖を測定し、そしてSEAP活性のレベルが細胞傷害性のみに起因するわけではないことを確認するために使用される。これらのアッセイを、抗ウイルス薬剤、特に、抗HIV候補としての潜在的な薬物リード化合物についてスクリーニングする際に使用した。
【0250】
COS−7(ミドリザル腎臓)細胞を、Fugene 6試薬(Roche Applied Science,カタログ番号11815091001,Indianapolis,Indiana,USA)を使用して、2つのプラスミド(pHIVSEAP(HIV LTRプロモーターの制御下の発現ベクターSEAP)およびpCTAT(CMV(サイトメガロウイルス)プロモーターの制御下のHIV TAT転写因子発現ベクター))を用いて共トランスフェクトした。試験化合物での48時間の処理後、サンプルを、p−ニトロフェニルホスフェート基質の添加後に、SEAP活性について405でnm分析した。SEAP活性阻害の百分率を、プラシーボコントロールに対して計算した。
【0251】
(実施例10)
(SEAP/MTTおよびMTS研究−細胞傷害性および抗ウイルス有効性)
上に記載された一般プロトコルに基づく上記作業実施例からの示された化合物に対する、SEAP/MTT研究およびMTSの結果を、以下の表3に示す。表3において、左側の欄は、試験した化合物を識別し、そしてEC50は、コントロールの効果の50%を有する化合物の濃度を示す。IC50を、上記のように定義した。
【0252】
【表3】

MTSアッセイを使用して試験した2つの細胞株において、細胞生存能の指標としての生物学的活性を有する化合物からの結果を、表3に示す。IC50濃度は、これらの化合物による細胞生存能の阻害の種々の程度を示す。全ての化合物は、用量依存様式で細胞生存能を減少させ得たので、用量依存様式でアポトーシスを誘導し得た。化合物Aは、A549細胞において、最も強い細胞生存能阻害を示し、一方で、その塩酸塩(化合物B)は、HeLa細胞において最も強い阻害を示した。
【0253】
SEAPアッセイにより決定される場合のTAT−トランス活性化の阻害の程度もまた、表3に示されるように、化合物間で変動した。化合物Aはまた、およそ0.5μM〜1.0μMのEC50を有する、有意な抗ウイルス活性を示した。MTTにより決定される場合の、試験細胞(COS−7)の細胞生存能の阻害濃度は、通常、TAT−トランス活性化についての有効濃度と類似していた。
【0254】
(実施例11)
(TiterTACS(登録商標)、VEGAおよびサービビンアポトーシス研究に基づく抗増殖活性)
上記一般プロトコルに基づく上記作業実施例からの示された化合物に対する、TiterTACS(登録商標)DNA断片化、ELISA VEGAおよびELISAサービビンアポトーシス研究の結果を、以下の表4に示す。
【0255】
【表4】

陽性=アポトーシスを誘導する。
陰性=アポトーシスを誘導しない。
【0256】
試験した化合物は、低いマイクロモル濃度で、サービビンタンパク質のレベルの有意な低下を示した。従って、これらの化合物はまた、DNA断片化アッセイにより決定される場合に、強いアポトーシス誘導を示した。化合物D、M、OおよびHは、サービビンタンパク質発現を減少させ、従って、アポトーシスを誘導し得る。これらの化合物は、用量依存様式でサービビンを低下させ得、そして用量依存様式でアポトーシスを誘導し得る。化合物Dは、サービビンタンパク質産生の最も強力なインヒビターであり、サービビン産生についておよそ4μMのIC50を有した。
【0257】
VEGFタンパク質の放出もまた、これらの化合物により減少される。VEGFタンパク質産生の阻害は、化合物B、D、M、O、GおよびHについて、低いマイクロモルの濃度の範囲であった。全ての化合物による阻害が、用量依存様式で観察された。化合物Bは、VEGF産生について、およそ2μMのIC50を示し、一方で、化合物DとMとの両方は、およそ9μMのVEGF IC50を示した。
【0258】
表4からの結果は、本発明の化合物が、ウイルス活性を阻害する際に有効であり、そして試験された細胞において細胞死(アポトーシス)を引き起こす際に有効であることを示す。試験した化合物のうちで、化合物A、B、D、G、H、MおよびOは、より低いEC50値およびIC50値に起因して、他の化合物よりも効果的であるようである。化合物Aは、最も効果的であるようである。
【0259】
(実施例12)
(アメリカ国立がん研究所DTPヒト腫瘍細胞株スクリーン)
アメリカ国立がん研究所(NCI)は、癌薬物発見を支持して提示された物質をスクリーニングするための、開発的治療プログラム(DTP)(http://dtp.nci.nih.gov/branches/btb/ivclsp.html)を提供する。インビトロ細胞株スクリーニングプロジェクト(IVCLSP)は、熱心なサービスであり、DTP抗癌薬物発見プログラムに対する直接的な支持を提供し、そして1年間に3,000の化合物を、潜在的な抗癌活性についてスクリーニングするように設計されている。このスクリーンの操作は、白血病、黒色腫、ならびに肺、結腸、脳、卵巣、乳房、前立腺および腎臓の癌を代表する、60の異なるヒト腫瘍細胞株を利用する。その目的は、特定の腫瘍細胞株の選択的増殖阻害または細胞殺傷を示す、合成化合物または天然産物サンプルのさらなる評価を優先することである。このスクリーンは、与えられた化合物により生成された60の細胞株の用量応答の複雑さが、パターン認識アルゴリズム(COMPAREプログラム。http://dtp.nci.nih.gov/docs/compare/compare.htmlを参照のこと)において利用され得る生物学的応答パターンを生じる点で、独特である。これらのアルゴリズムを使用して、試験化合物に対する推定作用機構を割り当てること、またはその応答パターンが独特であってNCIデータベースに含まれる標準プロトタイプ化合物のいずれの機構とも類似ではないことを決定することが、可能である。さらに、60の細胞株における種々の細胞分子標的の特徴付けに従って、特定の分子標的と最も相互作用しやすい化合物を選択することが可能であり得る。
【0260】
このスクリーニングは、2段階のプロセスであり、全ての化合物の、60の細胞株に対する10μMの単回用量での評価で開始する。この単回用量スクリーンからの出力は、平均グラフとして報告され、そしてCOMPAREプログラムによる分析のために利用可能である。有意な増殖阻害を示す化合物を、5つの濃度レベルにおいて、60の細胞パネルに対して評価する。
【0261】
(インビトロ癌スクリーンの方法論)
癌スクリーニングパネルのヒト腫瘍細胞株は、5%牛胎仔血清および2mMのL−グルタミンを含むRPMI 1640培地中で増殖される。代表的なスクリーニング実験について、細胞を、96ウェルマイクロタイタープレートに100μLで、個々の細胞株の倍化時間に依存して5,000細胞/ウェル〜40,000細胞/ウェルの範囲のプレーティング密度で播く。細胞を播いた後に、これらのマイクロタイタープレートを37℃、5% CO、95%空気および100%相対湿度で24時間インキュベートし、その後、実験薬物を添加する。
【0262】
24時間後、各細胞株の2つのプレートをインサイチュでトリクロロ酢酸(TCA)で固定して、薬物添加の時点(Tz)での各細胞株についての細胞の割合の尺度を提供する。実験薬物を、所望の最終最大試験濃度の400倍でDMSOに溶解し、そして使用前に凍結させて保存する。薬物の添加の時点で、凍結した濃厚物のアリコートを溶解し、そして50μg/mlのゲンタマイシンを含有する完全培地で所望の最終最大試験濃度の2倍に希釈する。さらなる4回の10倍または1/2log連続希釈物を作製して、合計5つの薬物濃厚物およびコントロールを提供する。これらの異なる薬物希釈物の100μlのアリコートを、すでに100μlの培地を含む適切なマイクロタイターウェルに添加し、所望の最終薬物濃度を生じる。
【0263】
薬物の添加後、これらのプレートを、さらに48時間、37℃、5% CO、95%空気、および100%相対湿度でインキュベートする。接着系細胞については、このアッセイを、冷TCAの添加により停止させる。50μlの冷50%(w/v)TCA(最終濃度10% TCA)を穏やかに添加し、そして4℃で60分間インキュベートすることによって、細胞をインサイチュで固定する。上清を処分し、そしてこれらのプレートを水道水で5回洗浄して、空気乾燥させる。スルホローダミンB(SRB)溶液(100μl)を、1%酢酸中0.4%(w/v)で各ウェルに添加し、そしてプレートを室温で10分間インキュベートする。染色後、未結合の色素を、1%酢酸で5回洗浄することにより除去し、そしてこれらのプレートを空気乾燥させる。続いて、結合した染料を10mMのtrizma塩基で可溶化し、そしてその吸光度を、自動プレートリーダーで515nmの波長で読み取る。浮遊系細胞について、50μlの80% TCA(最終濃度16% TCA)を穏やかに添加することにより、ウェルの底部に沈降した細胞を固定することによってこのアッセイを停止させることを除いて、その方法論は同じである。7つの吸光度の測定値[時刻ゼロ(Tz)、コントロール増殖(C)、および5つの濃度レベルでの薬物の存在下での試験増殖(Ti)]を使用して、増殖の百分率を、各薬物濃度レベルで計算する。増殖阻害の百分率を、以下のように計算する:
[(Ti−Tz)/(C−Tz)]×100(Ti>/=Tzである濃度について)
[(Ti−Tz)/Tz]×100(Ti<Tzである濃度について)。
【0264】
3つの用量応答パラメータを、各実験薬剤について計算する。50%の増殖阻害(GI50)を、[(Ti−Tz)/(C−Tz)]×100=50から計算する。これは、薬物インキュベーション中にコントロール細胞中での正味のタンパク質増加(SRB染色により測定される場合)の50%の減少を生じる薬物濃度である。総増殖阻害(TGI)を生じる薬物濃度を、Ti=Tzから計算する。処理後の細胞の正味の損失を示すLC50(薬物処理の終了時に測定されるタンパク質を、開始時のタンパク質と比較した場合に、50%の減少を生じる薬物の濃度)を、[(Ti−Tz)/Tz]×100=−50から計算する。活性のレベルに達した場合に、これらの3つ全てのパラメータの各々についての値を計算する。しかし、その効果が達成されないかまたは超過される場合、そのパラメータについての値は、試験した最大濃度より高いかまたは最小濃度より低いかとして表される。
【0265】
10μMの化合物Aについての、上記のようなNCI DTP研究の結果の要約を、表5に示す:
【0266】
【表5】

これらの結果は、10μMの濃度の化合物Aが、60の細胞株のうちの多数の型に対して、ベースの広い活性を有したことを示す。最大の阻害効果は、腎臓癌細胞株に対して示され、それに前立腺癌細胞株がすぐ続き、最小の阻害効果は、乳癌に対して示された。
【0267】
(実施例13)
(抗炎症製活性および抗脈管疾患活性のPHK研究)
上記作業実施例の化合物のうちの数種の抗炎症活性を、初代ヒトケラチノサイト(PHK)に対する試験化合物の効果に基づいて、上記のように、そしてこの研究において使用されたキットについての製造業者の指示に従って、決定した。これらの研究は、代表的に、抗炎症性の調査のために主として使用されるが、これらの研究はまた、脈管疾患にも適用され得る。なぜなら、ケラチノサイトにおける結果が、脈管内皮に対して外挿され得るからである。
【0268】
PHKを用いるMCP−1データのみが用量依存性であるので、MCP−1についてのIC50は計算され得るが、他のサイトカインについては計算され得ない。種々の化合物に対するMCP−1研究の結果を、以下の表6に示す。
【0269】
【表6】

MCP−1タンパク質産生によりアッセイされた場合に、TNF−αで処理されたPHKにおいて抗炎症活性を有した化合物からの結果を、表6に示す。MCP−1タンパク質についてのIC50濃度は、この炎症性サイトカインの種々の程度の阻害を示す。これらの試験の他のものの結果において、試験された全ての化合物は、用量依存様式でMCP−1タンパク質産生を減少させ得た。化合物Bは、TNF−αで処理されたPHKにおいて、MCP−1の最も強い阻害を示した。
【0270】
(実施例14)
(経口生体利用性の指標としての透過性研究)
透過性研究が、本発明および本願の譲受人のために、外部の契約者により実施され、Caco−2単層を通る化合物Aの透過性を決定した。経口生体利用性の重要な要因は、化合物が小腸において吸収される能力である。細胞単層を通る薬物の見かけの透過性(Papp)の測定は、ヒトの腸での吸収によく相関付けられており、そして数種のヒト細胞株(Caco−2、LLC−PK1およびMDCKが挙げられる)は、この測定のために適切である(Artursson,P.ら,Correlation between oral drug absorption in humans and apparent drug permeability coefficients in human intestinal epithelial(Caco−2)cells.Biochem Biophys Res Comm 175:880−885(1991);Stewart,B.H.ら,Comparison of intestinal permeabilities in multiple in vitro and in situ models:relationship to absorption in humans.Pharm Res 12:693(1995))。P−糖タンパク質(P−gp、MDR1によりコードされる)は、ABCトランスポータースーパーファミリーのメンバーであり、そしてヒトの腸、肝臓および他の組織において発現される。P−gpの腸での発現は、このトランスポーターの基質である薬物分子の経口生体利用性に影響を与え得る。P−gpとの相互作用は、分極細胞系(例えば、Caco−2細胞単層)ならびにヒトP−gp cDNA発現LLC−PKおよびMDCK細胞単層における薬物輸送の直接アッセイを使用して、研究され得る。
【0271】
Caco−2細胞(ヒト腺癌結腸細胞株Caco−2、ATCCカタログ番号HTB−37、第18継代と第45継代との間で使用される)を、BD FalconTM HTS 24−マルチウェル、1μmカルチャーインサート(BDカタログ番号351180)(BD Biosciences Discovery Labware,Woburn,MA,USA)に播種した。培地を3日〜4日ごとに交換しながら、これらの細胞を21日〜25日間培養した。単層の一体性を、実験前の経上皮電気抵抗(TEER)測定および実験後のルシファーイエローのAからBへの流れの決定により評価した。
【0272】
輸送緩衝液は、10mMのHEPES(N−[2−ヒドロキシエチル]ピペラジン−N’−[2−エタンスルホン酸])の添加により緩衝され、そしてpHを7.4にNaOHで調整されたHBSS(ハンクスバランス塩溶液)であった。受容溶液を、1% DMSOを輸送緩衝液に添加することにより調製した。試験溶液は、最終DMSO濃度が1%の、輸送緩衝液中のDMSO中の化合物Aの溶液であった。2つの透過性比較化合物のドナー溶液(「高」としての50μMの[H]−プロプラノロールおよび「低」としての50μMの[14C]−マンニトール)ならびにポジティブコントロールであるP−gp基質のドナー溶液(5μMの[H]−ジゴキシン)を、放射性標識したストック溶液および非放射性標識ストック溶液のアリコートを輸送緩衝液に最終DMSO濃度1%で希釈することによって、調製した。
【0273】
試験品を、単一濃度(1μM)で、AからBの方向とBからAの方向との両方においてアッセイした。ドナー溶液および受容溶液を、単層の先端チャンバまたは基底外側チャンバ(測定されるべき輸送の方向に依存する)に添加した。これらの単層をオービタルシェーカー(50rpm)で37℃で、周囲の湿度およびCOでインキュベートした。90分後、ドナーチャンバおよび受容チャンバからのサンプルを、分析のために取り出した。
【0274】
サンプルからアッセイプレートへの非特異的結合の程度を決定するために、サンプル溶液を、24ウェルアッセイプレートの1つのウェル内で、上記条件下でインキュベートした。90分後、サンプルを、分析のために各ウェルから取り出した。全てのサンプルを収集した後に、ルシファーイエロー溶液を、各単層に、100μMの最終濃度で添加した。インサートを、輸送緩衝液を含む新たな受容プレートに入れた。オービタルシェーカー(50rpm)で37℃で周囲の湿度およびCOでの30分間のインキュベーション後、サンプルを受容チャンバから取り出して、ルシファーイエローの流れの百分率を測定した。
【0275】
高い透過性(50μMの[H]−プロプラノロール)および低い透過性(50μMの[14C]−マンニトール)を代表する、2つの透過性比較化合物を、ドナーチャンバおよび受容チャンバからのサンプルを90分目という1つの時点で採取して、AからBへの方向でアッセイした。コントロールであるP−gp基質は、5μMの[H]−ジゴキシンであり、ドナーチャンバおよび受容チャンバからのサンプルを90分目という1つの時点で採取して、AからBへの方向とBからAへの方向との両方でアッセイした。二連の単層を、各インキュベーションのために使用した。
【0276】
サンプルを、LC/MS/MSによって、内部標準に対するピーク面積比を使用して分析した。試験品の濃度を、試験品を含むドナー溶液の、見かけの濃度での輸送緩衝液中への適切な希釈物について得られたピーク面積比に基づいて計算した。応答が質量分析検出器の直線範囲内であることを確実にするために適切であるように、サンプルを希釈した。比較サンプルおよびコントロールサンプルを、液体シンチレーション計数により分析した。ルシファーイエロー濃度を、蛍光プレートリーダーを使用して決定した。
【0277】
実験前の経上皮電気抵抗(TEER)測定(平均411Ωcm)および実験後のルシファーイエローのAからBへの流れ(平均0.1%)により、単層の一体性を確認した。ポジティブコントロールであるジゴキシンの分極により、機能的なP−gp輸送モデルを確認した。透過性比較物質であるマンニトールおよびプロプラノロールについてのPapp値は、この試験システムを用いてこの試験設備で観察された履歴範囲内であり(マンニトールについて平均4.1×10−7±SD2.4×10−7、プロプラノロールについて1.5×10−5±4.2×10−5)、適切に機能するモデルであることを示した。
【0278】
透過性比較物質であるマンニトールおよびプロプラノロール、ならびにコントロールであるP−gp基質ジゴキシンについての結果を、以下の表7に報告する。
【0279】
【表7】

n.d.−決定しなかった。
【0280】
Caco−2細胞単層において試験化合物について得られた二方向透過性データおよび分極比を、表8に報告する。
【0281】
【表8】

インキュベーションの終了時における化合物Aの、先端チャンバおよび基底外側チャンバからの回収(質量収支)、および24ウェル培養プレートの細胞のない1つのウェルからの回収(非特異的結合)を、表9に報告する。
【0282】
【表9】

*質量収支/100%を超える回収の値は、代表的に、インキュベーションの経過にわたり増加した溶解度に起因する。
【0283】
(結論)
試験結果は、非常に有望であった。腸吸収のインビトロモデルとしての、Caco−2細胞単層における透過性研究は、BCS透過性分類システムにより決定される場合に、化合物Aが中間クラスに入ることを実証する。
【0284】
単層TEERの結果および実験後のルシファーイエローの流れの結果は、アッセイの間中の機能的細胞単層の存在を示した。P−gp輸送についてのポジティブコントロールであるジゴキシンは、分極した輸送を示し(5.4の分極比、表7)、試験システムが適切に機能していることを示した。
【0285】
質量収支および非特異的結合の決定は、化合物Aが、プラスチックプレートおよび/または細胞に、拡散および輸送のために利用可能な化合物の量を減少させたかもしれない程度まで、結合したことを示した。その結果として、見かけのPapp値および分極比(表8)は、化合物Aの透過性を過小評価しているかもしれないので、表10に示されるようなBCS透過性クラスに対して評価する場合に、注意して使用されるべきである。
【0286】
【表10】

化合物Aについて観察されたA−B透過性は、マンニトールとプロプラノロールとについて観察された透過性の中間であった。BCS透過性分類(表10)に基づけば、化合物Aは、中間の透過性の化合物であると考えられる。
【0287】
化合物Aは、0.1〜0.2の分極比を示し、この化合物について、A−B透過性がB−A透過性を上回ったことを示す。この知見は、P−gpにより媒介されるB−A流出と一致し、そしてP−gp以外の輸送媒体による能動的なA−B流れの包含を示唆し得る。
【0288】
上記研究は、本発明のNDGA誘導体の代表的な化合物が、有用な薬学的化合物であることを実証する。
【0289】
上記実施形態に対して、これらの実施形態の広い新規概念から逸脱することなく、変更がなされ得ることが当業者により理解される。従って、本発明は、開示される特定の実施形態には限定されず、添付の特許請求の範囲により規定されるような本発明の趣旨および範囲内での改変を網羅することを意図されることが、理解される。
【0290】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般構造(式IV):
【化39】

を有する、ノルジヒドログアイアレチン酸(NDGA)誘導体化合物およびその薬学的に受容可能な塩であって、一般構造(式IV)において、
Xは、
−A−R;
−(CHHalであって、ここでxは、1〜10の整数であり、そしてHalは、ハロゲン原子である、−(CHHal、および
−(CHCHO)Hであって、ここでyは、1〜10の整数である、−(CHCHO)H;および
【化40】

からなる群より選択されるカルバメート結合した基
からなる群より選択され、
ここでnは、1〜6の整数であり、Zは、2個〜6個の炭素および必要に応じて1個〜3個のハロゲン原子の飽和直鎖炭化水素鎖であり、Zは、0〜3個の二重結合を必要に応じて含み、そしてO、NおよびSのうちのいずれかの1個〜3個の原子を必要に応じて含む、5員〜7員環であり、そしてZは、メチルまたはエチルであり;
ここでXが−A−Rである場合、Rは末端基であり、そしてAは、一端においてそれぞれのヒドロキシ残基のO基にエーテル結合またはカルバメート結合によって結合し、そして他端において該末端基Rの炭素原子またはヘテロ原子に結合している、直鎖飽和炭化水素側鎖であり;
ここで該側鎖Aは、O、NおよびSからなる群より選択される1個〜5個のヘテロ原子を必要に応じて有し、NGDAのそれぞれのヒドロキシ残基のO基にエーテル結合を介して結合しているC〜C16直鎖飽和炭化水素鎖;ならびに1〜5単位のポリエチレングリコール(PEG)鎖からなる群より選択され;
ここでRは、
5員〜7員の炭素環式環であって、1個〜3個のN、OまたはSのヘテロ原子を有する完全に飽和した環;1個〜3個の二重結合を含み、1個〜3個のN、OまたはSのヘテロ原子を有する環;カルバメート結合、尿素結合、カーボネート結合またはアミド結合を含む環からなる群より選択される、5員〜7員の炭素環式環;ならびにスルホン酸のアルカリ金属塩、ホスホン酸のアルカリ金属塩、薬学的に受容可能な塩、糖およびポリヒドロキシ基からなる群より選択される、水溶性の基
からなる群より選択され;そして
ここでXが
【化41】

である場合、aは、3〜16の整数であり、そしてbは、4〜16の整数である、
化合物。
【請求項2】
請求項1に記載のNDGA誘導体および薬学的に受容可能なキャリアを、必要に応じて他の薬学的に受容可能な賦形剤と共に含有する、組成物。
【請求項3】
ウイルス感染の予防的に、またはウイルス感染を処置するために有効な量の、請求項1に記載のNDGA誘導体を、単独でかまたは薬学的組成物の一部として、被験体に投与する方法。
【請求項4】
増殖性疾患の予防的に、または増殖性疾患を処置するために有効な量の、請求項1に記載のNDGA誘導体を、単独でかまたは薬学的組成物の一部として、被験体に投与する方法。
【請求項5】
炎症性疾患の予防的に、または炎症性疾患を処置するために有効な量の、NDGA誘導体を、単独でかまたは薬学的組成物の一部として、被験体に投与する方法。
【請求項6】
代謝疾患の予防的に、または代謝疾患を処置するために有効な量の、NDGA誘導体を、単独でかまたは薬学的組成物の一部として、被験体に投与する方法。
【請求項7】
脈管疾患の予防的に、または脈管疾患を処置するために有効な量の、NDGA誘導体を、単独でかまたは薬学的組成物の一部として、被験体に投与する方法。
【請求項8】
請求項1に記載のNDGA誘導体を含有する薬学的組成物、ならびにウイルス感染、増殖性疾患、炎症性疾患、代謝疾患および脈管疾患のうちの少なくとも1つの予防的にかまたは処置するための該薬学的組成物の使用のための指示書を備える、キット。

【公表番号】特表2010−505865(P2010−505865A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531557(P2009−531557)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【国際出願番号】PCT/US2007/080182
【国際公開番号】WO2008/042896
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(509092339)エリモス ファーマシューティカルズ エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】