説明

オピオイド受容体拮抗物質

肥満症及び関連疾患の治療、予防又は改善に有用な式(I):


(I)
(式中、可変要素X〜X、R、R、R3’を含むR〜R、E、p、j、y、z、A、B及びCは、明細書中に記載した通りである)の化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、エナンチオマー、ラセミ体、ジアステレオマー若しくは混合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品化学の分野に関する。具体的には、本発明は、オピオイド拮抗物質として有用な化合物、その治療方法、使用方法、及び医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
3つのタイプのオピオイド受容体、μ、κ、δオピオイド受容体が広く報告されている。最近の証拠は、μ、κ、及び/又はδ受容体の受容体二量体コンビネーション(ヘテロ二量体と称される)の間の相互作用もまた、オピオイド活性に寄与することを指摘している。オピオイド受容体とその通常制御又はその欠如は、動物における過敏性腸症候群、悪心、嘔吐、掻痒性皮膚疾患、鬱病、煙草・アルコール中毒、性的機能障害、脳卒中、及びトラウマなどの病状に関与している。したがって、オピオイド受容体に拮抗的に結合できる能力が、これらの病状の1つ以上を患うヒトなどの動物における改善、予防、及び/又は治療効果をもたらすことが示されたのは驚くことではない。
【0003】
つい最近、オピオイド受容体のある拮抗物質が、代謝エネルギー消費を高め、肥満したラットの筋肉の質量は維持しながら体重を減らすことが見出されている。これらの発見は、効果的なオピオイド拮抗物質が、肥満を予防、治療、及び/又は改善する効果に有用であり得ることを示唆している。西洋社会における肥満人口の割合、及び肥満とそれに関連する疾病の影響と症状の治療に関わる間接費用を考慮すると、これらの発見の重要性は、誇張し過ぎて述べることはできない。
【0004】
多くのオピオイド拮抗物質が公表されているが、患者に対して全体的な利益を与え、大きな副作用が殆ど又は全くない代替の及び/又は改良された又はより有効な拮抗物質に対して、追求が続いている。米国特許第4891379号は、糖尿病と肥満の治療に有用なフェニルピペリジンオピオイド拮抗物質を開示している。特に、米国特許第4891379号は、
【化1】

で示される化合物LY255582を開示している。
【0005】
米国特許第6140352号は、
式1:
【化2】

(1)
式中、X、X、X、R、R、R、R、及びRは、明細書で説明された通りである化合物を、糖尿病及び肥満症の治療に有用なベータアドレナリン作動性受容体として開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
オピオイド受容体拮抗物質として有用な、あるいは肥満及び/又は別なメカニズムによる糖尿病の治療に有用な、これら及びこの他の化合物が開示されているが、オピオイド受容体とりわけ肥満とその関連疾病に係わる疾病の、安全で有効な及び/又は代わり得る治療又は予防に対する満たされていない医療ニーズが依然として存在している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、互変異性体、エナンチオマー、ラセミ体、ジアステレオマー、若しくはジアステレオマーの混合物を提供する。
【化3】

(I)
(式中、jは1又は2であり、
yは0、1、又は2であり、且つzは0、1、又は2であり、
pは0、1、又は2であり、
EはO又はNHであり、且つ
、X、X、X、X、又はXの各々は、C、CH、又はNであるが、但し環A又は環Cの各々は、わずか2個の窒素原子を有し、環Bは、環A及び環Cとの互変異性結合を除いて、0個又は1個の二重結合を有するものとし、
及びRは、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、フェニル、C−C10アルキルアリール、C(O)C−Cアルキル、SO−Cアルキル、SO−CアルキルNR、(CHC(O)NR、SO−C10アルキルアリール、SO−Cアルキル複素環、C−C10アルキルシクロアルカン、(CHC(O)OR、及び(CHC(O)Rから独立して選ばれ、
ここでアルキル、アルケニル、及びアリール基の各々は、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、フェニル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルキルアリール、及びC(O)C−Cアルキルから独立して選ばれた1個〜5個の基で任意にて置換され、またR及びRは、任意にて互いに一緒になって4、5、6、又は7員環の窒素含有複素環を形成し、該窒素含有複素環は更に、オキソ、アミノ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、フェニル、C−Cアルキルアリール、C(O)C−Cアルキル、CO(O)C−Cアルキル、ハロ、C−Cハロアルキルからなる群より選ばれる置換基を有してもよく、
及びR3’の各々は、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、フェニル、アリール、C−Cアルキルシクロアルキル、及びC−Cアルキルアリールから独立して選ばれ、
及びRの各々は、水素及びC−Cアルキルから独立して選ばれるか、又はそれらの対応する炭素原子と一緒になってビニレン基−CH=CH−を形成し、
及びRの各々は、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、ハロ、C−Cハロアルキル、フェニル、アリール、C−Cアルキルアリール、(CHNSO−Cアルキル、(CHNSOフェニル、(CHNSOアリール、−C(O)C−Cアルキル、及び−C(O)OC−Cアルキルから独立して選ばれ、ここでR及びRの各々は、その対応する環と炭素原子のみにて結合し、またmは1又は2であり、nは1、2、又は3であり、
及びRの各々は、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C(O)C−Cアルキル、SO−Cアルキル、SO−Cアルキルアリール、SO−Cアルキル複素環、アリール、C−Cアルキルアリール、C−Cシクロアルカン、C−Cアルキルシクロアルカン、(CHC(O)OR、(CHC(O)R、(CHC(O)NR、及び(CHNSOから独立して選ばれ、ここでアルキル、アルケニル、及びアリール基の各々は、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、フェニル、及びC−Cアルキルアリールから独立して選ばれた1〜5個の基で任意にて置換され、またR及びRは独立して、互いに、かつそれらが結合する窒素原子と一緒になって4、5、6、又は7員環の窒素含有複素環を形成してもよく、該窒素含有複素環は、オキソ、アミノ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、フェニル、及びC−Cアルキルアリールからなる群より選ばれる置換基を任意にて有してもよく、
は、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、フェニル、ベンジル、及びC−Cアルキルアリールから独立して選ばれる。)
【0008】
本発明はまた、肥満症及び関連疾患の症状を予防、治療及び/又は改善する方法も提供し、該方法は治療的有効量の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、エナンチオマー、ラセミ体、ジアステレオマー若しくはジアステレオマーの混合物を投与することを含む。
【0009】
本発明はまた、担体、希釈剤及び/又は賦形剤と関連して式Iの化合物を含有する医薬製剤も提供する。
【0010】
本発明はまた、治療的有効量の式Iの化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、エナンチオマー、ラセミ体、ジアステレオマー若しくはジアステレオマーの混合物を投与することを含む、摂食障害(過食症、拒食症等)、糖尿病、糖尿病性合併症、糖尿病性網膜症、性的/生殖障害、鬱、不安、てんかん性発作、高血圧、脳溢血、うっ血性心不全、睡眠障害、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、脳卒中、高脂血症、高トリグリセリド血症、高血糖、高リポ蛋白血症、物質乱用、薬物過剰投与、強迫行動(例えば、犬の足舐め等)、及び例えば賭博、及びアルコール依存症のような常習行為を含む、肥満症及び関連疾患を治療及び/又は防御する方法にも関する。
【0011】
本発明は、肥満症及び関連疾患に関連した症状を治療、予防及び/又は改善するための医薬品の製造に有用な、式(I)の化合物に関する。
【0012】
別の一実施態様において、本発明は、食欲抑制剤として有用な式Iの化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、エナンチオマー、ラセミ体、ジアステレオマー若しくは混合物に関する。
【0013】
本発明は、除脂肪体重を維持するか、又は除脂肪体重の損失を最小限にする一方で減量を達成する方法に関し、該方法は、減量を必要とする患者に式Iの化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、エナンチオマー、ラセミ体、ジアステレオマー若しくは混合物を投与することを含む。
【0014】
本発明は、単独で、又は肥満症及び関連疾患並びにそれらの症状の治療、予防及び/又は改善用に認可された他の薬剤との組み合わせにて有用な、式Iの化合物を提供する。
【0015】
発明の詳細な説明
本願で使用されているように、用語「患者」は、人及び人ではない動物、例えばペット動物(犬、猫及び同様物)、並びに家畜動物を含む。
【0016】
肥満症及び関連疾患を治療、改善及び/又は予防するに好ましい患者は、人である。
【0017】
用語「治療」及び「治療する」は、本願で使用されているように、それらが一般に受容されている意味を有し、例えば、本願に記載する病的状態若しくはその続発症の進行又は重症度を予防、制止、抑制、緩和、改善、遅延、停止、又は逆行させることを含む。
【0018】
本願にて用語「改善」、「予防」、「防御」、「予防法」及び「予防する」は、交換可能に使用され、肥満症及び関連疾患、並びにそれらに関連した症状に罹患した患者の重症度を軽減するか、又は式Iの化合物の受容者の、本願に記載する任意の病的状態若しくはその続発症に苦しむ若しくはそれらを発症する傾向を低下させることを意味する。
【0019】
本願で使用されているように、用語「有効量」は「有効用量」と同義であり、本願に記載する疾病状態、又はその有害な影響を予防、改善若しくは治療するための一回又は二回以上の投与において十分な式Iの化合物の量、又はオピオイド受容体に拮抗して本発明の目的を達成するに十分な式Iの化合物の量を意味する。
【0020】
本願にて用語「医薬的に許容される」は、形容詞として使用され、受容する患者にとって実質的に無害であることを意味する。
【0021】
本願に使用されているように、用語「活性成分」は、式Iの化合物、又は式Iの化合物の組合せ、又は式Iの化合物とオピオイド受容体の共拮抗薬との組合せ、又は式Iの化合物と他の有効な抗肥満、減量若しくは抗糖尿病薬との組合せを意味する。
【0022】
医薬製剤に使用される用語「製剤」、又は「医薬組成物」は活性成分(前記にて定義)と、担体を構成している不活性成分(一種又は複数種)とを含有する製品、並びに任意の二種又は三種以上の成分の組合せ、複合、若しくは集合から、又は一種若しくは二種以上の成分の解離から、又は一種若しくは二種以上の成分の他の種類の反応若しくは相互作用から、直接若しくは間接的に生成される任意の製品を包含する。従って、本発明の医薬製剤は、本発明の化合物と薬剤担体とを混和して形成される任意の有効な組成物を包含する。本発明の医薬製剤はまた、式Iの化合物と、肥満症又は関連疾患の治療及び/又は予防に有用な、医薬的に許容されるオピオイド受容体の共拮抗薬とを包含する。
【0023】
本願で使用されるように、用語「関連疾患」は、肥満の状態を原因とする、それにより悪化する、それにより誘発される、又はそれに付属する症状、疾患又は状態を意味する。このような疾患、状態及び/又は症状には、摂食障害(過食症、拒食症等)、糖尿病、糖尿病性合併症、糖尿病性網膜症、性的/生殖障害、鬱(特に肥満を意識及び肥満に関連した自尊心の損失が引き起こす)、不安、てんかん性発作、高血圧、脳溢血、うっ血性心不全、睡眠障害、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、脳卒中、高脂血症、高トリグリセリド血症、高血糖、高リポ蛋白血症が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
本願で使用されるように、肥満症及び/又は関連疾患の治療用に認可された、又は減量及び/又は食欲抑制に有用な「他の薬剤」は、ゼニカル(登録商標)、メリディア(登録商標)、リピトール(登録商標)、クレストール(登録商標)、プラバコール(登録商標)、ゼチア(登録商標)、カナビノイド受容体拮抗薬、及び他のオピオイド受容体拮抗薬を含むが、これらに限定されるものではない。
【0025】
用語「適切な溶媒」は、反応物質を十分に溶解して、内部で所望の反応を達成する媒体を与える、進行中の反応に対して不活性な任意の溶媒、又は溶媒混合物を意味する。
【0026】
用語「共溶媒」は、反応又は混合に先立って、反応の二種若しくは三種以上の成分又は混合物を別々に十分に溶解するのに使用される溶媒を意味し、混合物の二種以上の試薬又は成分に共通する溶媒である。
【0027】
用語「窒素含有複素環」は、炭素原子に加えて1、2若しくは3個の窒素原子を含み環の大きさを完成させている、又は適当な数の炭素原子に加えて1個の窒素原子と、酸素、及び硫黄から選ばれた1個若しくは2個の原子との組合せを含み環の大きさを完成させている4、5、6、若しくは7員環の単環を意味する。本願で使用されているように、窒素含有複素環は0、1、2又は3個の二重結合を有してもよい。窒素含有複素環は、現存する環置換基に結合又は縮合することによって、二環又は三環系を形成し得る。とはいえ、二つの基、及びそれら基が結合している窒素原子を連結して窒素含有複素環を形成すると、直接的には単環が形成される。
【0028】
用語「C−Cアルキル」又は「C1−8アルキル」は、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基の全基、構造異性体、及び/又は類似体を意味し、それら全部を含む。用語C−Cアルキルが別の一つの基に先行するか又は接頭辞として使用されている場合、用語C−Cアルキルは、アルキル構成要素の炭素原子数のみを限定している。例えばC−Cアルキルアリールは、C−Cアルキル基の置換基を有するアリール基を意味し、C−Cアルキルアリール基の炭素原子数は、事実上、アリール基の炭素原子数に、C−Cアルキル基の炭素原子数を足したものである。同様に、用語「C−Cアルキルシクロアルキル」は、C−Cアルキル置換基を有するシクロアルカン基を意味し、C−Cアルキルシクロアルカンの完全なる基は、それ自体がアルキル基又はシクロアルキル基のいずれかにて基体に結合した置換基であり得る。この定義及び使用法は、例えば、C−C、C−C等の他のC−C類似体にも同等に適用される。
【0029】
用語「シクロアルカン」又は「シクロアルキル」は、3〜8個の炭素原子を有するシクロアルカン、即ちシクロプロパン〜シクロオクタンを意味する。
【0030】
用語「ハロ」は、本願で使用されるように、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を含むハロゲンを意味する。
【0031】
本願で使用されるように、用語「アルケニル」は、1個又は2個の炭素−炭素二重結合を有する直鎖又は分岐鎖の炭素原子を意味する。
【0032】
本願で使用されるように用語「アルキニル」は、1個又は2個の炭素−炭素三重結合を有する直鎖又は分岐鎖の炭素原子を意味する。
【0033】
本願で使用されるように用語「アルコキシ」は、「O−アルキル」基を意味し、ここでアルキルは前記にて定義した通りである。
【0034】
用語「アリール」は、本願で使用されるように、Huckel 4n+2π電子配置を有する化合物又は基を意味し、フェニル、ベンジル、ナフチルを含むが、カルバゾール及び他の縮合三環構造は除外される。
【0035】
当業者は、置換基が存在しない場合、別に示されない限り、原子価要求を満たすために水素原子が指定されることを理解するであろう。例えば、yが0の場合、Rは存在せず、環上の適用できる全位置は、環内の原子の原子価要求を満たすために水素原子を有する。
【0036】
本願で使用されるように、用語「保護基」は、分子内の反応性位置を遮蔽して他の一つの基の反応性を高めるか、又は他の所望の一又は複数の位置における反応を可能にして、その後除去されるに有用な基を意味する。保護基は通常、−OH、−NH、及び−COOHを含むが、これらに限定されない基を保護又は遮蔽するのに使用される。適当な保護基は当業者に周知であり、Protective Groups in Organic Synthesis、3rd edition、Greene、T.W.、Wuts、P.G.M.Eds.、John Wiley and Sons、New York、1999に記載されている。
【0037】
本願で使用されるように、用語「溶媒和物」は、本発明の化合物の一形態であり、本発明の化合物の結晶(一種又は複数種)が、化学量論的量又は非化学量論的量の式Iの化合物及び溶媒から形成されている。溶媒和する典型的な溶媒には、例えば水、メタノール、エタノール、アセトン及びジメチルホルムアミドがある。
【0038】
本発明の化合物が酸性又は塩基性の官能基を有する場合、親化合物と比較して水溶性が高い、及び/又は生理学的により適した様々な塩が形成され得る。医薬的に許容される代表的な塩には、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム及び同様物のようなアルカリ及びアルカリ土類塩が含まれるが、これらに限定されるものではない。塩は都合よくは、溶液中の酸を塩基で処理するか、又は酸をイオン交換樹脂に晒すことによって、遊離酸から製造される。
【0039】
医薬的に許容される塩の定義には、比較的毒性の低い、本発明の化合物の無機及び有機塩基の付加塩が含まれる。塩基付加塩は、例えば、アンモニウム、第四級アンモニウム、及びアミンカチオンのような、本発明の化合物と共に塩を形成するに十分な塩基性を有する窒素含有塩基から誘導される(例えばS.M.Berge等、「Pharmaceutical Salt」 J.Phar.Sci.,66:1−19(1977)参照)。更に、本発明の化合物の塩基性基(一つ又は複数)は、適切な有機又は無機酸と反応して、例えば酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ素酸塩、臭化水素酸塩、カンシル酸塩、炭酸塩、クラブラン酸塩、クエン酸塩、塩化物、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストル酸塩、エシル酸塩、フッ化物、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレソルシン酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフト酸塩、ヨウ化水素酸塩、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリル酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、臭化メチル、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、亜硫酸塩、硫酸塩、ムコ酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩、ポリガラクトン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、及び吉草酸塩のような塩を形成し得る。
【0040】
式Iで表される本発明の化合物は、位置(positional)異性体、立体異性体、若しくは位置(regio)異性体、又は限界構造若しくは互変異性体のいずれとしても存在することができ、それら全ては本発明の目的に含まれる。本発明の特定の化合物は、1つ以上のキラル中心を有することができ、したがって、光学活性形態で存在することができる。同様に、本化合物がアルケニル基又はアルケニレン基を有する場合、本化合物のシスとトランスの異性体形態の可能性がある。ラセミ混合物、及び鏡像異性体又はシス・トランス異性体の混合物などのR異性体、S異性体、及びこれらの混合物は、本発明においても考慮されている。付加的な不斉炭素原子が、アルキル基のような置換基に存在することができる。こうした異性体及びこれらの混合物は、いずれも本発明の範囲内に含まれるものである。特定の立体異性体が必要とされる場合、不斉中心を有して既に溶解した出発物質から立体特異的反応を用い、当該分野でよく知られた方法によって、あるいは、立体異性体の混合物をもたらす方法と公知の方法による以降の分割により調製することができる。例えば、ラセミ混合物をある別な化合物、即ち、キラル分解剤の1つの鏡像異性体と反応させることができる。これは、ラセミ体を立体異性体とジアステレオマーの混合物に変化させ、それらが異なる融点、異なる沸点、及び異なる溶解度を有するため、結晶化のような通常の手段によって分離することができる。
【0041】
本発明の化合物は食欲増進作用を抑制することが示されており、従って単独療法として、又は運動及び他の効果的な食欲抑制薬剤又は減量薬剤と共に、食欲抑制剤として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
式Iの化合物は、好ましくは、遊離塩基又は医薬的に許容される塩として存在する。式Iの化合物の塩酸塩、重硫酸塩、メシル酸塩又はシュウ酸塩がより好ましい。
【0043】
及びR基に関して
好ましいR及びR基は、水素、メチル、エチル、プロピル、ペンチル、及びイソプロピルからなる群から独立して選ばれる。また好ましいR及びR基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、フェニル、
【化4】

からなる群からも独立して選ばれ、これら各々は、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cチオアルキル、C−Cアルキルアミノ、フェニル、C−Cアルキル置換フェニル、C−C複素環若しくはC−Cアルキル複素環からなる群より選ばれる基で任意にて置換されるか、又はC−Cアルキル、ハロゲン、C−Cハロアルキル、C−Cチオアルキル、C−Cアルキルアミノ、フェニル、C−Cアルキル置換フェニル、C−C複素環若しくはC−Cアルキル複素環から選ばれた基と一緒になって置換又は非置換の二環又は三環を形成する。
【0044】
【化5】

からなる群より選ばれる基を形成し、各々がハロゲン、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cチオアルキル、C−Cアルキルアミノ、フェニル、C−Cアルキル置換フェニル、C−C複素環又はC−Cアルキル複素環からなる群より選ばれる基で任意にて置換されているR及びR基もまた好ましい。
【0045】
好ましいR及びR3’
好ましいRは水素である。好ましいR3’基は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、フェニル及びベンジルから選ばれる。R及びR3’の両方が水素であることがより好ましい。
【0046】
好ましいR
好ましいR基は、水素、ハロ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルアミノ、フェニル、C−Cアルキルフェニル、C−Cアルキルシクロアルキル、及びC−Cチオアルキルからなる群から選ばれる。R基は水素、メチル、エチル、イソプロピル、クロロ、フルオロ、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、チオメチル、フェニル、及びベンジルからなる群から選ばれることがより好ましい。R基は水素、メチル、エチル、イソプロピル、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、及びベンジルからなる群から選ばれることが最も好ましい。
【0047】
及びR基は、各々の環基体上にて多様な置換基として存在し得るが、本発明の好ましい実施態様は、R及びRの各々が独立して存在しないか、又はそれらの対応する環基体上を単独で置換する化合物を含む。
【0048】
好ましいR及びR
及びRは各々、水素、又はpが2の場合、一緒になってビニレン基CH=CHを形成することが好ましい。
【0049】
好ましいR
好ましいR基は、水素、ハロ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルアミノ、フェニル、C−Cアルキルフェニル、C−Cアルキルシクロアルキル、及びC−Cチオアルキルからなる群から選ばれる。R基は水素、メチル、エチル、イソプロピル、クロロ、フルオロ、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、チオメチル、フェニル、及びベンジルからなる群から選ばれることがより好ましい。R基は水素、メチル、エチル、イソプロピル、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、及びベンジルからなる群から選ばれることが最も好ましい。
【0050】
好ましいR及びR
及びR基は、水素、メチル、エチル、プロピル、ペンチル、イソプロピル、フェニル及びベンジルからなる群から独立して選ばれることが好ましい。
【0051】
及びRが、独立して互いに、かつR及びRが結合する窒素原子と一緒になって4、5、6、又は7員環の窒素含有複素環を形成し、該窒素含有複素環はオキソ、アミノ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、フェニル、C−Cアルキルアリール、C(O)C−Cアルキル、CO(O)C−Cアルキル、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、ハロ、及びハロアルキルからなる群より選ばれる置換基を任意にて有する式Iの化合物も好ましい。
及びRが両方とも水素である本発明の化合物が最も好ましい。
【0052】
好ましいE基
最も好ましいE基は、酸素原子(O)である。
【0053】
好ましいA環
好ましいA環は、フェニル環又はピリジン環である。
【0054】
好ましいB環
好ましいB環は、5、6、又は7員環である。好ましいB環(環B)はまた、(CRがCH=CHである環である。
【0055】
好ましいC環
好ましいC環は、フェニル環、ピラジン環、ピリミジン環又はピリジン環である。最も好ましいC環は、フェニル環又はピリジン環である。
【0056】
n、m、及びpの好ましい値
nの好ましい値は、1又は2である。
mの好ましい値は、1又は2である。
pの好ましい値は、2である。
【0057】
本発明に従った好ましい化合物は、
8−[(3−メチル−ブチルアミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−(イソブチルアミノ−メチル)−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−[(4−メチル−ペンチルアミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−[(2−チオフェン−2−イル−エチルアミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−ペンチルアミノメチル−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−ヘキシルアミノメチル−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−[(シクロヘキシルメチル−アミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−シクロオクチルアミノメチル−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−シクロヘプチルアミノメチル−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−[(シクロヘプチルメチル−アミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミドトリフルオロ酢酸塩、
8−{[2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−エチルアミノ]−メチル}−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−[(3、3−ジメチル−ブチルアミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−[(2−シクロペンチル−エチルアミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−[(3−モルホリン−4−イル−プロピルアミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−[(3−エトキシ−プロピルアミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−[(2−ジエチルアミノ−エチルアミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−[(3−メトキシ−プロピルアミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、及び
8−[(3−フェニル−プロピルアミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−(3−フェニル−ピロリジン−1−イルメチル)−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−(3−フェニル−ピペリジン−1−イルメチル)−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−[2−(4−クロロ−フェニル)−ピロリジン−1−イルメチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−(2−フェニル−ピロリジン−1−イルメチル)−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−(2−フェニル−ピペリジン−1−イルメチル)−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−(2−フェニル−アゼパン−1−イルメチル)−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−(2−ベンジル−ピロリジン−1−イルメチル)−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−[(3−メチル−ブチルアミノ)−メチル]−ジベンゾフラン−2−カルボン酸アミド、
8−[(3−メチル−ブチルアミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−[(3−メチル−ブチルアミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−5−オキサ−4−アザ−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−2−カルボン酸アミド、
8−[(3−メチル−ブチルアミノ)−メチル]−5−オキサ−4−アザ−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−2−カルボン酸アミド、
からなる群より選ばれる化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、エナンチオマー、ジアステレオマー及びジアステレオマー混合物である。
【0058】
本発明の化合物の製造
式Iの化合物は、以下のスキーム及び/又は実施例に従って、又は該化合物の断片及びその組合せを製造するための当業者周知のスキームの組合せに従って製造され得る。本発明の化合物の合成にて当初の出発物質として使用される化合物は当業者に周知であり、商業的に入手できないものに関しては、本願に提供した特定の引用を使用して、又は当業者により通常使用される、及び/又は一般の参考テキストに見出される標準的な手順により容易に合成される。
【0059】
詳細には、本発明の化合物は、以下に詳細に説明するスキーム1〜3、又はそれに類似した方法に従って製造される。これらの反応は、多くの場合、周知の手順、方法、又はそれらに類似した方法に従って実行される。それら周知の手順及び/又は方法の例は、Comprehensive Organic Transformations、VCH Publishers Inc、1989、Compendium of Organic Synthetic Method、Volumes 1−10、1974−2002、Wiley Interscience、Advanced Organic Chemistry、Reactions Mechanisms、and Structure、5th Edition、Michael B.Smith and Jerry March、Wiley Interscience、2001、Advanced Organic Chemistry、4thEdition、Part B、Reactions and Synthesis、Francis A.Carey and Richard J.Sundberg、Kluwer Academic/Plenum Publishers、2000等の一般的な参考テキスト、及びそれらの中に引用されている参考文献に記載されているものを含む。
【0060】
本発明の化合物は一般に、スキーム1に示すように、対応するジベンゾ含酸素三環1から出発して製造される。1を二臭素化して位置異性体2を得る。
スキーム1
【化6】

【0061】
シアン化銅との反応によりジニトリル類似体3を得る。モノ酸化により非対称化を行って、カルボキサミド4を得る。好ましくは、50%以上であるが、等モルよりも少ない試薬、即ちH/KCOを用いて非対称化を最大にし、ビスカルボキサミド化合物の形成を最小にする。水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL(登録商標))による残留ニトリルのアルデヒドへの更なる転換により、化合物5を得る。化合物5の還元的アミノ化により、所望の生成物6を得る。特定の手順の詳細は、以下のスキーム及び/又は実験セクションにて提供する。当業者に周知の、最小限の試験研究を要する手順を用いて、カルボキサミド官能基をN−置換、又はN、N−二置換アミド基にすることにより、化合物6を本発明の他の化合物に転換することもできる。
【0062】
環Cがピリジンで、中央の環(B)が7員環である式Iの化合物を製造する好ましい合成経路を、スキーム2に示す。
スキーム2
【化7】

【0063】
スキーム2によれば、2,6−アミノニコチノニトリル(7)の5位を立体選択的に臭素化して、臭素化化合物8を得る。化合物8の遊離アミノ基を、化合物9に示す塩化物に転換する。化合物9を、対応する3−ブロモ−4−ヒドロキシベンジル、N−tertブチルオキシカルボニル保護アミン(10)と連結して、連結化合物11を得る。パラジウム触媒による11のビニルトリブチルスタンナンとのクロスカップリングにより、アリールビニル化合物12を得る(Stille Coupling、Angew Chemie、Int.Ed.25、508、(1986)及び関連する参考文献を参照のこと)。ジビニル誘導体12は分子内メタセシスを受けて、化合物13(Grubbs second generation Tetrahedron 54、4413、(1998)及びその中の関連する参考文献を参照)を得る。化合物13を塩基性条件下で加水分解して、カルボキサミド14を得る。例えば、化合物13を、例えばジメチルスルホキシド中で炭酸ナトリウムの存在下、過酸化水素で処理すると、カルボキサミド化合物14が得られる。次いで、カルボキサミド14を、好ましくは室温で、例えば塩化メチレン中でトリフルオロ酢酸と反応させて、アミンにおいて脱保護して、本発明の化合物である15を得る。カルボキサミド14を、炭素上パラジウムを触媒として用いて、水素雰囲気下で還元して化合物16を得る。次いで化合物16を、塩化メチレン中でトリフルオロ酢酸と反応させることによりアミンにおいて脱保護して、本発明の化合物である17を得る。
【0064】
代替的に、下のスキーム3に示すように、化合物17を使用して本発明の二置換化合物を得る。
スキーム3
【化8】

【0065】
スキーム3に示すように、化合物17を還元的アミノ化して、アミン18(ここでR及びRのいずれも水素ではない)を得る。
【0066】
化合物1の置換類似体は、例えばスキーム4のようなスキームに従って製造され得る。
スキーム4
【化9】

【0067】
スキーム4に示すように、任意にて置換されたBoc−保護アミノ2−ブロモアミノフェノール19を、任意にて置換された3−ブロモ、4−フルオロベンゾニトリル20と連結して連結生成物21を得ることができる。連結反応は、前述したような塩基性反応条件下で行われる。連結生成物21を前述したStille連結条件下でビニルトリブチルスタンナンと反応させて、ビニル化合物22を得る。次いで、Grubbsメタセシス手法を用いて化合物22を閉環して、三環式化合物23を得る。化合物23のシアノ基を、前述した塩基性条件下で加水分解して、カルボキサミド化合物24を得る。カルボキサミド化合物24をアルケニル基において還元して、還元化合物25を得、これを更にboc基において脱保護して、化合物27を得る。代替的に、カルボキサミド24をアミノ基において脱保護すると、アルケニル化合物26が得られる。当業者は、化合物19の代わりに二置換アミン化合物を出発物質として使用すると、上記のプロトコールに従って化合物26又は化合物27の二置換アミン類似体が得られることを理解するであろう。
【0068】
式20の化合物の一例は、欧州特許出願公開第EP85/114373号に開示されている3−ブロモ−3,4,5−トリフルオロベンゾニトリルである。式19の化合物は、当業者に周知の方法により製造され得るか、又は商業源より入手され得る。例えば、式19の化合物は、スキーム6に示すように製造され得る。
【0069】
スキーム6
【化10】

【0070】
スキーム6に示すように、式19の化合物は、任意にて置換されたヒドロキシベンズアルデヒド28から出発して製造してもよい。28をアミン29に還元的アミノ化する。アミン29をboc保護して、形成されたアミン19を得る。任意にて置換された化合物28の特定の例は、化合物30、31、及び32を含み、これら全ては商業源から入手可能である。
【0071】
本発明の使用方法
上述のように、本発明の化合物は、μ、κ、及び/又はδオピオイド受容体におけるアゴニストの作用を阻害するのに有用である。そのようなものとして、本発明は、哺乳類におけるμ、κ、δ受容体又は受容体コンビネーション(ヘテロダイマー)を阻害する方法もまた提供するものであり、その哺乳類に、式Iの化合物の受容体阻害量を投与することを含む。
【0072】
本願における用語「受容体阻害量」は、哺乳類に投与した後に、μ、κ、δ受容体又はこれらの受容体コンビネーション(ヘテロダイマー)を阻害するのに必要な式Iの化合物のμ、κ、δ受容体又はこれらの受容体コンビネーション(ヘテロダイマー)を阻害するのに必要な量を意味する。
【0073】
式Iの化合物又はこれらの組み合わせは、広い投与量の範囲にわたって有効である。 例えば、1日あたりの投与量は、一般に、体重1kgあたり約0. 05〜約250mg/kgの範囲内である。大人のヒトの治療においては、1回又は分割投与において、約0. 5〜約100mg/kgの範囲が好ましい。しかしながら、実際に投与される化合物の量は、治療すべき状態、投与すべき化合物の選択、年齢、体重、個々の患者の応答、患者の症状の重症度、及び選ばれた投与経路を含む関連する状況を考慮して、開業医により決定されるであろうことが理解されよう。したがって、上記の投与量の範囲は、多少なりでも本発明の範囲を限定するものではない。化合物は例えば、経口、経皮、皮下、鼻腔内、筋内、及び静脈内経路等の様々な経路により投与され得る。
【0074】
脳において、いろいろな生理的機能が、μ、κ、又はδ受容体もしくは受容体コンビネーション(ヘテロダイマー)に支配され又は影響されることが実証されている。そのようなものとして、本発明の化合物は、摂食障害、オピオイド過剰摂取、憂うつ、喫煙、アルコール依存症、性的機能障害、ショック、脳卒中、脊髄損傷、及び頭部外傷のようなこれらの受容体又はその組み合わせが関与する障害を治療する能力を有するものと考えられる。また、そのようなものとして、本発明は、μ、κ、δ受容体又はこれらの受容体コンビネーション(ヘテロダイマー)におけるアゴニスト作用を阻害することによる上記障害の治療方法を提供する。
【0075】
アッセイ方法
本発明の化合物は、化合物のμ、κ、δ又はそれら受容体の組み合わせ(ヘテロ二量体)を遮断する能力を測定するオピオイド受容体結合アッセイにおいて、有意な活性を示すことが見出されている。GTPγS結合アッセイを用いて、サンプル化合物の機能的拮抗能(Kb)を測定した。GTPgSベースの機能的アッセイは、インビトロでのオピオイド作動薬及び拮抗薬の活性の測定値を提供する。オピオイド基準化合物、又は試験化合物を、クローン化された人のμ、κ又はδオピオイド受容体を発現している細胞からの膜ホモジネート、及び放射線同位体で標識した[35S]GTPgSと共にインキュベートした。化合物がオピオイド受容体を活性化すると、GTPgS結合の増大が観察される。同様に、化合物が拮抗薬活性を示すと、GTPgS結合を刺激するコントロール作動薬の能力と干渉する。これらの試験は、人オピオイド受容体における化合物の活性のインビトロ測定値を提供する。
【0076】
GTP−γ−S結合アッセイ
以前のオピオイド(Emmerson等、J.Pharm Exp Ther 278、1121、1996、Horng等、Society for Neuroscience Abstracts、434.6、2000)及びムスカリン(DeLapp等、JPET 289、946、1999)アッセイフォーマットに基づいて、SPAベースのGTP−γ−Sアッセイフォーマットを開発した。膜を20mM HEPES、100mM NaCl、5mM MgCl、1mM DTT、及び1mM EDTA中に再懸濁した。50mLのGTP−γ−[35S]、化合物、膜懸濁液(20μg/ウエル)、及び小麦麦芽凝集素を被覆したSPAビーズ(1mg/ウエル)を透明底96ウエルアッセイプレートに加えた。アッセイプレートに添加する前に、膜溶液にGDP(200mM)を添加した。プレートをシールし、室温で4時間にわたってインキュベートした後、終夜にわたって冷蔵庫に入れ、ビーズを沈降させた。4℃において信号安定性が60時間を超えることが測定された。プレートを室温まで暖め、Wallac Microbetaシンチレーションカウンターで計測した。拮抗剤アッセイのため、次の濃度、即ち、1マイクロモルの(MOR)DAMGO、30nMの(DOR)DPDPE、300nMの(KOR)U69593で特定のアゴニストを添加した。Kb’sをCheng−Prusoffの式によって求めた(「ChengandPrusoff,Biochem.Pharmacol.22,3099,1973」参照)。GTP−γ−S結合アッセイにおいて、本発明の化合物のサンプルについて得られた結果を、下の表1に示す。
【0077】
【表1】

【0078】
製剤
本発明の化合物は、好ましくは、医薬的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤、及び本発明の化合物を含む医薬製剤の形態で提供される。こうした組成物は、約0.1重量%〜約90.0重量%で本発明の化合物を含む(活性成分)。従って、本発明は、本発明の化合物と、該化合物のための医薬的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤とを含有する医薬製剤も提供する。
【0079】
本発明の組成物を製造するにおいて、活性成分は、通常、担体と混合され、又は担体で希釈され、又はカプセル、小袋もしくはその他の容器の形態であることができる担体の中に封入される。担体が希釈剤として役立つ場合、これは、活性成分のビヒクル、賦形剤、又は媒体として作用する固体、半固体、又は液体材料であることができる。即ち、本組成物は、錠剤、ピル、粉末、薬用キャンデー、小袋、カチェット、エリキシル剤、エマルジョン、溶液、シロップ、サスペンジョン、エアロゾル(固体として又は液体媒体中で)、及び軟質・硬質ゼラチンカプセルの形態であることができる。
【0080】
適切な担体、賦形剤、及び希釈剤の例には、乳糖、ブドウ糖、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、スターチ、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、トラガカント、ゼラチン、シロップ、メチルセルロース、メチル−及びプロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウム、水、及び鉱油が挙げられる。また、製剤は、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤、甘味剤、又は香料を含むことができる。本発明の製剤は、当該分野でよく知られた手順を採用することにより、患者に投与した後、活性成分の迅速、持続、又は遅延放出を提供するように処方することができる。
【0081】
経口投与に関し、本発明の化合物である活性成分は、担体及び希釈剤と混合され、錠剤に成形され又はゼラチンカプセルに封入されることができる。
【0082】
本組成物は、好ましくは、単位投与量形態に製剤され、各々の投与量が、約1〜約500mg、より一般的には、約5〜約300mgの活性成分を含む。用語「単位投与量形態」は、ヒト被検者その他の哺乳類に一回の投与量として適する物理的に分離した単位を指称し、各々の単位は、所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性物質とともに適切な医薬担体を含む。
【0083】
本発明の作用をより十分に例証するため、以下の処方例が提供される。これらの例は、説明のために過ぎなく、本発明の範囲を限定するものではない。これらの処方は、本発明の任意の化合物を活性成分として採用することができる。
【0084】
処方1
下記の成分を用いて硬質ゼラチンカプセルを調製する。
【表2】

【0085】
上記の成分を混合し、460mgの量で硬質ゼラチンカプセルの中に充填する。
【0086】
処方2
各々が20mgの薬剤を含むカプセルを次のようにして製造する。
【表3】

【0087】
活性成分、セルロース、スターチ、及びステアリン酸マグネシウムを配合し、篩45メッシュ(米国)を通過させ、硬質ゼラチンカプセルの中に充填する。
【0088】
処方3
各々が100mgの活性成分を含むカプセルを次のようにして製造する。
【表4】

【0089】
上記の成分を十分に混合し、空のゼラチンカプセルの中に入れる。
【0090】
処方4
各々が10mgの活性成分を含む錠剤を次のようにして調製する。
【表5】

【0091】
活性成分、スターチ、及びセルロースを篩45メッシュ(米国)に通し、十分に混合する。ポリビニルピロリドンの溶液を、得られた粉末と混合した後、篩14メッシュ(米国)に通す。このようにして製造した顆粒を50〜60℃で乾燥し、篩18メッシュ(米国)に通す。次いで、先に篩60メッシュ(米国)に通しておいたナトリウムカルボキシメチルスターチ、ステアリン酸マグネシウム、及びタルクをこの顆粒に添加し、混合した後、錠剤機で圧縮し、重さ100mgの錠剤を生成する。
【0092】
処方5
下記の成分を用いて錠剤処方を調製することができる。
【表6】

【0093】
成分を配合・圧縮して、各重量が665mgの錠剤を製造する。
【0094】
処方6
5mLの用量あたり5mgの薬物を各々が含有するサスペンジョンを次のようにして製造する。
【0095】
【表7】

【0096】
薬物は、篩45メッシュ(米国)に通し、ナトリウムカルボキシメチルセルロース及びシロップと混合し、スベスベしたペーストを作成する。安息香酸溶液、香料、及び着色料を若干の水で希釈し、撹拌しながらペーストに添加する。次いで、十分な水を添加し、必要な体積を得る。
【0097】
処方7
次の成分を含むエアロゾル溶液を調製する。
【表8】

【0098】
活性化合物をエタノールと混合し、その混合物を一部のPropellant22に添加し、−30℃まで冷やし、充填装置に移す。次いで、必要量をステンレス鋼容器に供給し、Propellantの残りの量でさらに希釈する。次いで、バルブ装置をその容器に装着する。
【実施例】
【0099】
本発明の化合物は、本願明細書において開示される手順またはそれの周知の変形例に従って調製されることができる。別に示さない限り、試薬は一般に、精製用途に限定された化学薬品を専門とする業者を含む化学品配給業者から入手可能である。
【0100】
<実施例1>
8−[(3−メチル−ブチルアミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド
【0101】
ステップ1
2,8−ジブロモ10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン
【化11】

【0102】
(10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン(2.7g、13.8mmol)のAcOH(11mL)溶液に、AcOH中のBr2.0M(17.2mL、13.8mmol)を加えた。混合物を55℃で4時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、溶媒を減圧下で除去した。粗物質をCHClに溶解し、NaHSO水溶液で洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥した。溶媒を除去して4.9gの表題の化合物(99%)を得た。これを精製せずに次のステップで使用した。
H−NMR (CDCl, 300 MHz): 7.29−7.23 (m, 4H), 7.04−6.99 (m, 2H), 3.08 (s, 4H). 13C−NMR (CDCl, 500 MHz): 155.9, 133.8, 133.2, 130.6, 122.9, 116.8, 30.9.
(10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピンの合成は、J.Am.Chem.Soc.1969、91、1665に記載されている。
【0103】
ステップ2
10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2,8−ジカルボニトリル
【化12】

【0104】
上記の中間体(4.9g、13.8mmol)の乾燥DMF(120mL)溶液にCuCN(8.6g、96.8mmol)を加え、混合物をN雰囲気下、160℃で一夜加熱した。混合物を室温に冷却し、NHOHを加え、空気を4時間バブリングした。冷たい(0〜25℃)水を加え、EtOAcで抽出し、NaSO上で乾燥した。溶媒を減圧下で除去した。シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーで精製して(溶離液:ヘキサン/EtOAc 4/1)、表題の化合物(2.0g、59%)を得た。
H−NMR (CDCl, 300 MHz): 7.54−7.48 (m, 4H), 7.28−7.22 (m, 2H), 3.17 (s, 4H). 13C−NMR (CDCl, 300 MHz): 158.0, 134.7, 132.5, 131.8, 122.2, 118.5, 107.5, 31.1.
【0105】
ステップ3
8−シアノ−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド
【化13】

【0106】
上記の中間体(2.0g、8.1mol)の乾燥DMSO(80mL)溶液にKCO(562mg、4.06mmol)を加え、混合物を0℃に冷却し、H33%(837μl、8.1mmol)を滴加した。混合物を室温で一夜撹拌した。冷たい(0〜25℃)水を加え、EtOAcで抽出し、有機層をNaSO上で乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーで精製して(溶離液:EtOAc)、表題の化合物(1.08g、48%)を得た。
H−NMR (MeOD, 300 MHz): 7.75−7.70 (m, 2H), 7.60−7.54 (m, 2H), 7.33−7.22 (m, 2H), 3.28 (m, 4H). 13C−NMR (MeOD, 300 MHz): 167.4, 159.4, 157.7, 135.6, 133.1, 132.2, 131.2, 130.7 (2C), 127.5, 122.5, 120.9, 118.9, 106.9, 30.8, 30.6.
【0107】
ステップ4
8−ホルミル−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド
【化14】

【0108】
−78℃に冷却したステップ3からの中間体(2.5g、9.5mmol)の乾燥CHCl(320mL)溶液に、N雰囲気下でトルエン(28.4mmol)中のDIBAL 1.0Mを加えた。混合物を室温に暖め、一夜撹拌した。混合物を0℃に冷却し、AcOH/HOを加えた。室温で1時間撹拌した。水性層をCHCl(×2)で抽出した。有機層を一緒にし、NaSO上で乾燥した。溶媒を除去し、フラッシュクロマトグラフィーで精製して(溶離液:EtOAc/ヘキサン 3/1)、表題の化合物(1.75g、69%)を得た。H−NMR (MeOD, 300 MHz): 9.91 (s, 1H), 7.81−7.73 (m, 4H), 7.37−7.26 (m, 2H), 3.21 (m, 4). 13C−NMR (MeOD, 300 MHz): 193.2, 162.6, 160.3, 134.4, 133.8, 133.2, 131.9, 131.3, 130.6, 128.8, 123.3, 122.4, 32.9, 32.8.
【0109】
ステップ5
8−[(3−メチル−ブチルアミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド
【化15】

【0110】
ステップ4の中間体(250mg、0.94mmol)を3−メチルブチルアミン(110μL、0.94mmol)、MeOH(12mL)及びモレキュラーシーブ3A(1.5g)と一緒にした。室温で一夜撹拌した。NaBH(178mg、4.7mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。MeOHと共にセライトで濾過し、溶媒を除去した。SCXイオン交換クロマトグラフィーにより精製して、表題の化合物(300mg、91%)を得た。
【0111】
実施例1の方法により、対応する試薬を使用して以下の化合物(実施例2〜20)を製造した。精製プロセスは、対応する実施例の構成に依存する。
【0112】
【表9】





【0113】
<実施例21>
8−{[シクロプロピルメチル−(3−メチル−ブチル)−アミノ]−メチル}−10,1−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド
【化16】

【0114】
実施例1(30mg、0.09mmol)のアミンのMeOH−AcOH5%(0.5mL)溶液に、シクロプロパンカルボキサルデヒド(0.18mmol)を加えた。混合物を室温で一夜撹拌した。NaBHCNを加え、混合物を室温で約2時間撹拌した。更なるアルデヒド(1.5mmol)を加え、一夜撹拌した。SCXイオン交換クロマトグラフィーで精製して表題の化合物(22mg)を得た。H−NMR (CDOD, 300 MHz): 7.72−7.69 (m, 2H), 7.21−7.09 (m, 4H), 3.64 (s, 2H), 3.14 (bs, 4H), 2.61−2.56 (m, 2H), 2.37 (d, 2H, J= 6.5 Hz), 1.60−1.37 (m, 4H), 0.87 (d, 6H, J= 6.7 Hz), 0.55−0.49 (m, 2H), 0.13−0.08 (m, 2H). エレクトロスプレーMS M+1 イオン= 393.
【0115】
実施例21の方法により、対応する試薬を使用して以下の化合物(実施例22、23)を製造した。精製プロセスは、対応する実施例の構成に依存する。
【0116】
<実施例22>
8−{[シクロヘキシルメチル−(3−メチル−ブチル)−アミノ]−メチル}−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド
【化17】

H−NMR (CDOD, 300 MHz): 7.72−7.69 (m, 2H), 7.21−7.07 (m, 4H), 3.44 (s, 2H), 3.16−3.12 (m, 4H), 2.61−2.56 (m, 2H), 2.36 (t, 2H, J= 7.1 Hz), 2.16 (d, 2H, J= 7.1 Hz), 1.84−1.13 (m, 12H), 0.83 (d, 6H, J= 6.8 Hz). エレクトロスプレーMS M+1 イオン= 435.
【0117】
<実施例23>
8−{[メチル−(3−メチル−ブチル)−アミノ]−メチル}−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミドトリフルオロ酢酸塩
【化18】

H−NMR (CDOD, 300 MHz): 7.76−7.72 (m, 2H), 7.37−7.23 (m, 4H), 4.43−4.16 (m, 2H), 3.21−3.10 (m, 6H), 2.79 (s, 3H), 1.67 (m, 3H), 0.98 (d, 6H; J= 6.7 Hz). エレクトロスプレーMS M+1 イオン= 353.
【0118】
<実施例24>
8−(3−フェニル−ピロリジン−1−イルメチル)−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド
【化19】

【0119】
実施例1のステップ4で得られたアルデヒド中間体(92mg、0.34mmol)のTHF/AcOH(6.5mL/30μL)溶液に、3−フェニルピロリジン(0.34mmol)を加えた。混合物を室温で一夜撹拌した。NaBH(OAc)(0.52mmol)を加え、室温で一夜撹拌した。溶媒を除去し、ISCOクロマトグラフィーで精製した(溶離液:CHCl/B 0〜10%、B:EtOH/NHOH 10%)。
【0120】
実施例24の方法により、対応する試薬を用いて以下の化合物(実施例25〜30)を製造した。精製プロセスは、対応する実施例の構成に依存する。
【0121】
【表10】



【0122】
<実施例31>
8−[(3−メチル−ブチルアミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド塩酸塩
【化20】

【0123】
実施例1のアミンを、AcOEt中の1N塩酸に溶解した。真空濾過により白色沈殿を単離して、表題の化合物を得た。H−NMR (CDOD, 300 MHz): 7.91−7.86 (m, 2H), 7.50−7.37 (m, 4H), 4.31 (s, 2H), 3.36 (s, 4H), 3.24−3.18 (m, 2H), 1.89−1.70 (m, 3H), 1.13 (d, 6H, J= 6.5 Hz). エレクトロスプレーMS M+1 イオン= 339.
【0124】
<実施例32>
8−[(3−メチル−ブチルアミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミドメタンスルホン酸塩
【化21】

【0125】
実施例1のアミンをTHF(0.1M溶液)に溶解した。メタンスルホン酸(1等量)を加えた。真空濾過により白色沈殿を単離して、表題の化合物を得た。H−NMR (CDOD, 300 MHz): 7.90−7.87 (m, 2H), 7.51−7.37 (m, 4H), 4.31 (s, 2H), 3.36 (s, 4H), 3.22−3.19 (m, 2H), 2.87 (s, 3H), 1.86−1.73 (m, 3H), 1.14 (d, 6H, J= 6.5 Hz). エレクトロスプレーMS M+1 イオン= 339.
【0126】
<実施例33>
8−[(2−モルホリン−4−イル−エチルアミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミドジメタンスルホン酸塩
【化22】

【0127】
実施例15のアミンをTHF(0.1M溶液)に溶解した。メタンスルホン酸(1等量)を加えた。真空濾過により白色沈殿を単離した。H−NMR (CDOD, 300 MHz): 7.73−7.69 (m, 2H), 7.42−7.38 (m, 2H), 7.27−7.20 (m, 2H), 4.27 (s, 2H), 4.04 (bs, 2H), 3.88 (bs, 2H), 3.58 (m, 6H), 3.18 (m, 6H), 2.70 (s, 6H). エレクトロスプレーMS M+1 イオン= 382.
【0128】
<実施例34>
8−[(3−モルホリン−4−イル−プロピルアミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミドジメタンスルホン酸塩
【化23】

【0129】
実施例16のアミンをTHF(0.1M溶液)に溶解した。メタンスルホン酸(1等量)を加えた。真空濾過により白色沈殿を単離した。H−NMR (CDOD, 300 MHz): 7.73−7.69 (m, 2H), 7.38−7.35 (m, 2H), 7.27−7.20 (m, 2H), 4.20 (s, 2H), 3.86 (bs, 4H), 3.19−3.13 (m, 12H), 2.71 (s, 6H), 2.22−2.06 (m, 2H). エレクトロスプレーMS M+1 イオン= 396.
【0130】
<実施例35>
8−[(3−メチル−ブチルアミノ)−メチル]−ジベンゾフラン−2−カルボン酸アミド
【0131】
ステップ1
ジベンゾフラン−2,8−ジカルボニトリル
【化24】

【0132】
2、8−ジヨード−ジベンゾフラン(763mg、1.8mmol)の乾燥DMF(16mL)溶液にCuCN(1.1g、12.7mmol)を加え、混合物をN雰囲気下、160℃で一夜加熱した。混合物を室温に冷却し、NHOHを加え、空気を4時間バブリングした。冷水を加え、EtOAcで抽出し、NaSO上で乾燥した。溶媒を減圧下で除去した。シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーで精製して(溶離液:ヘキサン/EtOAc 3/1)、表題の化合物(25mg、6%)を得た。
H−NMR (DMSO, 200 MHz): 8.81 (dd, 2H, J= 0.8 and 1.6 Hz), 8.11−8.06 (m, 2H), 8.03−7.99 (m, 2H).
【0133】
ステップ2
8−シアノ−ジベンゾフラン−2−カルボン酸アミド
【化25】

【0134】
上記の中間体(22mg、0.1mmol)の乾燥DMSO(1mL)溶液に、KCO(7mg、0.05mmol)を加え、混合物を0℃に冷却し、H33%(11μl、0.1mmol)を滴加した。混合物を室温で一夜撹拌した。冷水を加え、EtOAcで抽出し、有機層をNaSO上で乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーで精製して(溶離液:EtOAc)、表題の化合物(15mg、62%)を得た。
H−NMR (DMSO, 300 MHz): 8.79 (d, 2H, J= 1.2 Hz), 8.13 (dd, 1H, J= 1.8 and 8.7 Hz), 8.11 (bs, 1H), 8.03 (dd, 1H; J= 1.4 and 8.5 Hz), 7.98 (d, 1H, J= 8.3 Hz), 7.86 (d, 1H, J= 8.9 Hz), 7.49 (bs, 1H).
【0135】
ステップ3
8−ホルミル−ジベンゾフラン−2−カルボン酸アミド
【化26】

【0136】
−78℃に冷却した上記の中間体(15mg、0.07mmol)の乾燥CHCl(3mL)中の懸濁液に、N雰囲気下でトルエン(0.25mmol)中のDIBAL 1.0Mを加えた。混合物を1時間撹拌した。AcOH/HOを加え、室温で1時間撹拌した。水性層をEtOAc(×2)で抽出し、有機層を一緒にし、NaSO上で乾燥した。溶媒を除去し、フラッシュクロマトグラフィーで精製して(溶離液:EtOAc/ヘキサン 4/1)、表題の化合物(10mg、61%)を得た。H−NMR (MeOD, 300 MHz): 10.15 (s, 1H), 8.73 (m, 2H), 8.18−8.13 (m, 2H), 7.84 (d, 1H, J= 8.7 Hz), 7.76 (dd, 1H, J= 0.6 and 8.7 Hz).
【0137】
ステップ4
8−[(3−メチル−ブチルアミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド
【化27】

【0138】
上記の中間体(10mg、0.04mmol)を、3−メチルブチルアミン(5μL、0.04mmol)、MeOH(1mL)及びモレキュラーシーブ3A(60mg)と一緒にして、室温で一夜撹拌した。NaBH(8mg、0.2mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。MeOHと共にセライトで濾過し、溶媒を除去した。SCXイオン交換クロマトグラフィーにより精製した。得られた固体をHPLC精製して(精製は60%の重炭酸アンモニウム(pH8)及び40%のアセトニトリルによる塩基性条件下で行った)、表題の化合物(5.5mg、43%)を得た。
H−NMR (CDOD, 300 MHz): 8.62 (s, 1H), 8.11−8.05 (m, 2H), 7.68−7.55 (m, 3H), 4.02 (s, 2H), 2.78−2.73 (m, 2H), 1.72−1.59 (m, 1H), 1.51 (q, 2H, J= 7.0 Hz), 0.94 (d, 6H, J= 6.6 Hz). エレクトロスプレーMS M+1 イオン= 311.
【0139】
<実施例36>
8−[(3−メチル−ブチルアミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−5−オキサ−4−アザ−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−2−カルボン酸アミド
【0140】
ステップ1
6−アミノ−5−ブロモ−ニコチノニトリル
【化28】

【0141】
6−アミノ−ニコチノニトリル(102mg、0.86mmol)のAcOH(2mL)溶液に、Br1.0MのAcOH(0.86mmol)溶液を加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を除去した。シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーで精製して(溶離液:ヘキサン/EtOAc 3/1)、表題の化合物(110mg、65%)を得た。
H−NMR (DMSO, 300 MHz): 8.26 (d, 1H, J= 2.0 Hz), 8.10 (d, 1H, J= 2.0 Hz), 7.24 (bs, 2H). MS (APCI Neg): 196, 198
【0142】
ステップ2
5−ブロモ−6−クロロ−ニコチノニトリル
【化29】

【0143】
無水CuCl(77mg、0.58mmol)のCHCN(3mL)溶液に、tert−BuONO(0.72mmol)を加えた。混合物を65℃に加熱した後、上記の中間体(96mg、0.48mmol)のCHCN(2mL)中の懸濁液を加えた。混合物を3時間加熱し、室温に冷却した。HCl 3M中に注ぎ、EtOAcで抽出した。有機層をNaSO上で乾燥した。溶媒を除去した。シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーで精製して(溶離液:ヘキサン/EtOAc 2/1)、表題の化合物(55mg、55%)を得た。
H−NMR (DMSO, 300 MHz): 8.93 (s, 1H), 8.90 (s, 1H).
【0144】
ステップ3
2−ブロモ−4−[(3−メチル−ブチルアミノ)−メチル]−フェノール
【化30】

【0145】
3−ブロモ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド(1.5g、7.5mmol)を、3−メチルブチルアミン(867μL、7.5mmol)、MeOH(25mL)及びモレキュラーシーブ3A(5.8g)と一緒にし、室温で一夜撹拌した。NaBH(1.4g、37.3mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。MeOHと共にセライトで濾過し、溶媒を除去した。SCXイオン交換クロマトグラフィーで精製して、表題の化合物(1.5g、75%)を得た。H−NMR (CDOD, 300 MHz): 7.52 (d, 1H, J= 2.0 Hz), 7.17 (dd, 1H, J= 2.0 and 8.5 Hz), 6.87 (d, 1H, J= 8.5 Hz), 3.80 (s, 2H), 2.79−2.74 (m, 2H), 1.76−1.63 (m, 1H), 1.54 (q, 2H, J= 6.8 Hz), 0.99 (d, 6H, J= 6.56Hz). 13C−NMR (CDOD, 300 MHz): 158.6, 134.9, 130.7, 128.6, 118.8, 112.7, 53.3, 47.9, 38.6, 27.8, 23.3.
【0146】
ステップ4
(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−ベンジル)−(3−メチル−ブチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化31】

【0147】
上記の中間体(800mg、2.94mmol)をN雰囲気下で乾燥THF(5mL)中に溶解した。ジ−tert−ブチルジカーボネート(642mg、2.94mmol)の乾燥THF(4mL)溶液を加えた。混合物を室温で一夜撹拌した。溶媒を除去した。ISCOクロマトグラフィーで精製して(溶離液:EtOAc/ヘキサン 1/5)、表題の化合物(850mg、78%)を得た。H−NMR (CDCl, 300 MHz): 7.34 (s, 1H), 7.07 (bs, 1H), 6.96 (d, 1H; J= 8.1 Hz), 4.13 (bs, 2H), 3.12 (bs, 2H), 1.48−1.24 (m, 12H), 0.88 (d, 6H, J= 6.6 Hz). エレクトロスプレーMS M−1 イオン= 370, 372.
【0148】
ステップ5
[3−ブロモ−4−(3−ブロモ−5−シアノ−ピリジン−2−イルオキシ)−ベンジル]−(3−メチル−ブチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化32】

【0149】
ステップ4で得られたフェノール(677mg、1.82mmol)、5−ブロモ−6−クロロ−ニコチノニトリル(395mg、1.82mmol)、KCO(277mg、2.0mmol)及びDMF(22mL)の混合物をN雰囲気下、100℃で一夜加熱した。室温に冷却した。氷水中に注ぎ、EtOAcで抽出した。有機層をNaSO上で乾燥した。溶媒を除去した。シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーで精製して(溶離液:ヘキサン/EtOAc 8/1)、表題の化合物(860mg、85%)を得た。H−NMR (CDCl, 300 MHz): 8.30 (d, 1H, J= 2.0 Hz), 8.19 (d, 1H, J= 2.0 Hz), 7.53 (s, 1H), 7.29 (m, 1H), 7.18 (d, 1H, J= 8.3 Hz), 4.43 (m, 2H), 3.19 (m, 2H), 1.58−1.42 (m, 12H), 0.90 (d, 6H, J= 6.5 Hz).
【0150】
ステップ6
[4−(5−シアノ−3−ビニル−ピリジン−2−イルオキシ)−3−ビニル−ベンジル]−(3−メチル−ブチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化33】

【0151】
上記の中間体(154mg、0.28mmol)、PdCl(dppf)(23mg)、トリブチルビニル−スタンナン(1.67mmol)の乾燥DMF中の混合物をN雰囲気下、125℃で5時間加熱した。これを室温に冷却した。EtOAcと共にセライトで濾過し、有機層を飽和NaClで洗浄し、続いて飽和フッ化カリウム(KF)で洗浄した。この有機層をNaSO上で乾燥し、溶媒を除去した。シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーで精製して(溶離液:ヘキサン/EtOAc 40/1、20/1及び10/1)、表題の化合物(70mg、58%)を得た。H−NMR (CDCl3, 300 MHz): 8.25 (d, 1H, J= 2.0 Hz), 8.02 (d, 1H, J= 2.4 Hz), 7.49 (bs, 1H), 7.19 (bs, 1H), 7.07−6.97 (m, 2H), 6.64 (dd, 1H, J= 10.9 and 17.8 Hz), 6.01 (d, 1H, J= 17.4 Hz), 5.72 (dd, 1H, J= 0.8 and 17.8 Hz), 5.61 (d, 1H, J= 11.3 Hz), 5.23 (d, 1H, J= 11.7 Hz), 4.44 (bs, 2H), 3.1 (bs, 2H), 1.48 (bs, 12H), 0.89 (d, 6H, J= 6.5 Hz). エレクトロスプレーMS M+1−Bu イオン= 392.
【0152】
ステップ7
(2−シアノ−5−オキサ−4−アザ−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−8−イルメチル)−(3−メチル−ブチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化34】

【0153】
上記の中間体(142mg、0.32mmol)を1、2−DCE(以前にモレキュラーシーブ3A上で乾燥、33mL)に溶解し、Grubbs第二世代触媒(54mg、0.06mol)を加えた。混合物をN雰囲気下、82℃で6時間加熱した。室温に冷却した。溶媒を除去した。ISCOクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/EtOAc8%〜20%)で精製して表題の化合物(60mg、46%)を得た。H−NMR (CDCl, 300 MHz): 8.53 (d, 1H, J= 2.0 Hz), 7.78 (d, 1H, J= 2.0 Hz), 7.31−7.17 (m, 2H), 7.06 (bs, 1H), 6.82 (d, 1H, J= 11.5 Hz), 6.53 (d, 1H, J= 11.3 Hz), 4.37 (s, 2H), 3.13 (bs, 2H), 1.49−1.37 (bs, 12H), 0.88 (d, 6H, J= 6.5 Hz). エレクトロスプレーMS M+1 イオン= 420.
【0154】
ステップ8
(2−カルバモイル−5−オキサ−4−アザ−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−8−イルメチル)−(3−メチル−ブチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化35】

【0155】
上記の中間体(50mg、0.12mmol)の乾燥DMSO(1.5mL)溶液にKCO(8.2mg、0.06mmol)を加え、混合物を0℃に冷却し、H33%(0.48mmol)を滴加した。この混合物を室温で一夜撹拌した。氷水中に注ぎ、EtOAcで抽出し、有機層をNaSO上で乾燥した。溶媒を減圧下で除去した。ISCOクロマトグラフィー(溶離液:EtOAc)で精製して表題の化合物(39mg、78%)を得た。H−NMR (MeOD, 300 MHz): 8.53 (d, 1H, J= 2.0 Hz), 7.78 (d, 1H, J= 2.0 Hz), 7.31−7.17 (m, 2H), 7.06 (bs, 1H), 6.82 (d, 1H, J= 11.5 Hz), 6.53 (d, 1H, J= 11.3 Hz), 4.37 (s, 2H), 3.13 (bs, 2H), 1.49−1.37 (bs, 12H), 0.88 (d, 6H, J= 6.5 Hz).
【0156】
ステップ9
(2−カルバモイル−10,11−ジヒドロ−5−オキサ−4−アザ−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−8−イルメチル)−(3−メチル−ブチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化36】

【0157】
実施例35のステップ8からの中間体(38mg、0.09mmol)とPd/C10%(4mg)との混合物を、H雰囲気(101.3kPa(1気圧))下で48時間撹拌した。MeOHと共にセライトで濾過し、溶媒を除去して表題の化合物(35mg、92%)を得た。H−NMR (MeOD, 300 MHz): 8.62 (m, 1H), 8.17 (m, 1H), 7.26−7.13 (m, 3H), 4.42 (s, 2H), 3.24 (m, 2H), 3.18 (bs, 4H), 1.51−1.38 (m, 12H), 0.89 (d, 6H, J= 6.5 Hz).
【0158】
ステップ10
8−[(3−メチル−ブチルアミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−5−オキサ−4−アザ−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−2−カルボン酸アミド
【化37】

【0159】
上記のステップ10からの中間体(30mg、0.07mmol)をCHCl(1.5mL)に溶解した。トリフルオロ酢酸(1.82mmol)を加え、混合物を室温で一夜撹拌した。溶媒を除去した。粗物質をSCXイオン交換クロマトグラフィーにかけて黄色油状物を得た。HPLC(重炭酸アンモニウム(10mM)によるpH8の塩基性条件、アイソクラチックモード:27%CHCN)で精製して、表題の化合物(20mg、67%)を得た。H−NMR (MeOD, 300 MHz): 8.61 (d, 1H, J= 1.9 Hz), 8.17 (d, 1H, J= 2.0 Hz), 7.28−7.26 (m, 3H), 3.80 (s, 2H), 3.19 (s, 4H), 2.70−2.65 (m, 2H), 1.70−1.57 (m, 1H), 1.50−1.43 (q, 2H, J= 6.8 Hz), 0.92 (d, 6H, J= 6.7 Hz). エレクトロスプレーMS M+1 イオン= 340.
【0160】
<実施例37>
8−[(3−メチル−ブチルアミノ)−メチル]−5−オキサ−4−アザ−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−2−カルボン酸アミド
【化38】

【0161】
実施例36のステップ8で得られた中間体(9mg)を、CHCl(1mL)に溶解した。トリフルオロ酢酸(50μl)を加え、混合物を室温で一夜撹拌した。溶媒を除去した。フラッシュクロマトグラフィーで精製して(溶離液:溶離液:CHCl/B 10%、B:EtOH/NHOH 10%)、表題の化合物(3.5mg、51%)を得た。H−NMR (MeOD, 300 MHz): 8.70 (d, 1H, J= 2.2 Hz), 8.20 (d, 1H, J= 2.2 Hz), 7.42−7.27 (m, 3H), 6.91 (d, 1H, J= 11.3 Hz), 6.75 (d, 1H, J= 11.4 Hz), 3.78 (s, 2H), 2.66−2.61 (m, 2H), 1.69−1.56 (m, 1H), 1.45 (q, 2H, J= 6.8 Hz), 0.91 (d, 6H, J= 6.7 Hz). エレクトロスプレーMS M+1 イオン= 338.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、互変異性体、エナンチオマー、ラセミ体、ジアステレオマー、若しくはジアステレオマーの混合物:
【化1】

(I)
(式中、jは1又は2であり、
yは0、1、又は2であり、且つ、zは0、1、又は2であり、
pは0、1、又は2であり、
EはO又はNHであり、かつ
、X、X、X、X、又はXの各々は、C、CH、又はNであるが、但し環A又は環Cの各々は、わずか2個の窒素原子を有し、環Bは、環A及び環Cとの互変異性結合を除いて、0個又は1個の二重結合を有するものとし、
及びRは、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、フェニル、C−C10アルキルアリール、C(O)C−Cアルキル、SO−Cアルキル、SO−CアルキルNR、(CHC(O)NR、SO−C10アルキルアリール、SO−Cアルキル複素環、C−C10アルキルシクロアルカン、(CHC(O)OR、及び(CHC(O)Rから独立して選ばれ、
ここでアルキル、アルケニル、及びアリール基の各々は、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、フェニル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルキルアリール、及びC(O)C−Cアルキルから独立して選ばれた1個〜5個の基で任意にて置換され、またR及びRは、任意にて互いに一緒になって4、5、6、又は7員環の窒素含有複素環を形成し、該窒素含有複素環は更に、オキソ、アミノ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、フェニル、C−Cアルキルアリール、C(O)C−Cアルキル、CO(O)C−Cアルキル、ハロ、C−Cハロアルキルからなる群より選ばれる置換基を有してもよく、
及びR3’の各々は、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、フェニル、アリール、C−Cアルキルシクロアルキル、及びC−Cアルキルアリールから独立して選ばれ、
及びRの各々は、水素及びC−Cアルキルから独立して選ばれるか、又はそれらの対応する炭素原子と一緒になってビニレン基−CH=CH−を形成し、
及びRの各々は、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、ハロ、C−Cハロアルキル、フェニル、アリール、C−Cアルキルアリール、(CHNSO−Cアルキル、(CHNSOフェニル、(CHNSOアリール、−C(O)C−Cアルキル、及び−C(O)OC−Cアルキルから独立して選ばれ、ここでR及びRの各々は、その対応する環と炭素原子のみにて結合し、またmは1又は2であり、nは1、2、又は3であり、
及びRの各々は、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C(O)C−Cアルキル、SO−Cアルキル、SO−Cアルキルアリール、SO−Cアルキル複素環、アリール、C−Cアルキルアリール、C−Cシクロアルカン、C−Cアルキルシクロアルカン、(CHC(O)OR、(CHC(O)R、(CHC(O)NR、及び(CHNSOから独立して選ばれ、ここでアルキル、アルケニル、及びアリール基の各々は、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、フェニル、及びC−Cアルキルアリールから独立して選ばれた1〜5個の基で任意にて置換され、またR及びRは独立して、互いに、かつそれらが結合する窒素原子と一緒になって4、5、6、又は7員環の窒素含有複素環を形成してもよく、該窒素含有複素環は、オキソ、アミノ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、フェニル、及びC−Cアルキルアリールからなる群より選ばれる置換基を任意にて有してもよく、
は、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、フェニル、ベンジル、及びC−Cアルキルアリールから独立して選ばれる。)。
【請求項2】
前記環Aは、フェニル、ピリジン、ピリミジン、及びピラジンからなる群より選ばれる請求項1記載の化合物。
【請求項3】
前記環Cは、フェニル及びピリジンからなる群より選ばれる請求項1記載の化合物。
【請求項4】
前記環Aはフェニルであり、前記環Cはピリジンである請求項1記載の化合物。
【請求項5】
前記環A及び環Cは、いずれもフェニルである請求項1記載の化合物。
【請求項6】
pは2であり、R及びRは水素である請求項1記載の化合物。
【請求項7】
−(CR−は、−CH=CH−である請求項1記載の化合物。
【請求項8】
Eは、酸素原子である請求項1記載の化合物。
【請求項9】
yは0又は1であり、Rはフルオロ、クロロ、ブロモ、メトキシ、エトキシ、メチル、エチル、イソプロピル、トリフルオロメチル、フェニル、ベンジル、及びエトキシからなる群より独立して選ばれる請求項1記載の化合物。
【請求項10】
zは0又は1であり、Rはフルオロ、クロロ、ブロモ、メトキシ、エトキシ、メチル、エチル、イソプロピル、トリフルオロメチル、フェニル、及びベンジルからなる群より独立して選ばれる請求項1記載の化合物。
【請求項11】
及びRの各々は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2−メチルペンチル、t−ブチル、シクロプロピル、フェニル、
【化2】

からなる群より独立して選ばれる請求項1記載の化合物。
【請求項12】
及びRの各々は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、及びフェニルからなる群より独立して選ばれる請求項1記載の化合物。
【請求項13】
Eは酸素原子であり、R及びRはいずれも水素原子である請求項1記載の化合物。
【請求項14】
8−[(3−メチル−ブチルアミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−(イソブチルアミノ−メチル)−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−[(4−メチル−ペンチルアミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−[(2−チオフェン−2−イル−エチルアミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−ペンチルアミノメチル−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−ヘキシルアミノメチル−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−[(シクロヘキシルメチル−アミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−シクロオクチルアミノメチル−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−シクロヘプチルアミノメチル−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−[(シクロヘプチルメチル−アミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミドトリフルオロ酢酸塩、
8−{[2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−エチルアミノ]−メチル}−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−[(3、3−ジメチル−ブチルアミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−[(2−シクロペンチル−エチルアミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−[(3−モルホリン−4−イル−プロピルアミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−[(3−エトキシ−プロピルアミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−[(2−ジエチルアミノ−エチルアミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−[(3−メトキシ−プロピルアミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、及び
8−[(3−フェニル−プロピルアミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−(3−フェニル−ピロリジン−1−イルメチル)−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−(3−フェニル−ピペリジン−1−イルメチル)−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−[2−(4−クロロ−フェニル)−ピロリジン−1−イルメチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−(2−フェニル−ピロリジン−1−イルメチル)−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−(2−フェニル−ピペリジン−1−イルメチル)−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−(2−フェニル−アゼパン−1−イルメチル)−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−(2−ベンジル−ピロリジン−1−イルメチル)−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−[(3−メチル−ブチルアミノ)−メチル]−ジベンゾフラン−2−カルボン酸アミド、
8−[(3−メチル−ブチルアミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−2−カルボン酸アミド、
8−[(3−メチル−ブチルアミノ)−メチル]−10,11−ジヒドロ−5−オキサ−4−アザ−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−2−カルボン酸アミド、
8−[(3−メチル−ブチルアミノ)−メチル]−5−オキサ−4−アザ−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−2−カルボン酸アミド、
からなる群より選ばれる化合物、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、エナンチオマー、ジアステレオマー及びジアステレオマー混合物。
【請求項15】
治療的有効量の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ラセミ体、ジアステレオマー混合物、若しくは溶媒和物を、担体、希釈剤及び/又は賦形剤とともに含有する医薬組成物。
【請求項16】
μ、κ、δ又はそれら受容体の結合(ヘテロ二量体)の遮断を必要とする哺乳動物に対して、受容体遮断用量の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩、エナンチオマー、ラセミ体、ジアステレオマー混合物、若しくは溶媒和物を投与することを含む、哺乳動物においてμ、κ、δ又はそれら受容体の結合(ヘテロ二量体)を遮断する方法。
【請求項17】
治療的有効量の式(I)の化合物を投与することを含む、肥満症及び関連疾患の治療又は予防方法。
【請求項18】
前記関連疾患は、糖尿病、糖尿病性合併症、糖尿病性網膜症、アテローム性動脈硬化症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高血糖、及び高リポ蛋白血症からなる群から選ばれる、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
治療的有効量の式(I)の化合物を投与することを含む、過敏性腸症候群、悪心、嘔吐、鬱、喫煙及びアルコール依存症、性的機能不全、物質乱用、薬物過剰投与、常習行為、強迫行動、並びに脳卒中を含む肥満症に関連した疾患の治療及び/又は予防方法。
【請求項20】
治療的有効量の式(I)の化合物を投与することを含む、食欲抑制を必要とする患者において食欲を抑制する方法。
【請求項21】
治療的有効量の式(I)の化合物を必要とする患者に投与することを含む、肥満症及び関連疾患に関連する症状の治療又は回復のための医薬品の製造における、式(I)の化合物の使用。

【公表番号】特表2007−528898(P2007−528898A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502871(P2007−502871)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/007052
【国際公開番号】WO2005/090337
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【Fターム(参考)】