オルトケイ酸塩をベースとするpcLED用の発光体の製造方法
本発明は、式(I) BawSrxCaySiO4:zEu2+、式中、w+x+y+z=2および0.005≦z≦0.3が良好に保持される、で表される発光体の製造方法に関する。本発明はまた、照明ユニット、および白色LEDのための、またはいわゆるカラーオンデマンドアプリケーションのためのLED変換発光体としての発光体の使用に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユウロピウム(II)がドープされたオルトケイ酸塩、好ましくはアルカリ土類金属オルトケイ酸塩からなる蛍光体を製造するための湿式化学的方法、および白色LEDまたはいわゆるカラーオンデマンド(colour-on-demand)用途のためのLED変換蛍光体としてのこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーオンデマンドの概念は、1種または2種以上の蛍光体を用いるpcLEDによる、ある種の色位置(colour location)の光の発生を意味するものと解釈される。この概念は、例えば、例えば照明された企業ロゴ、商標などのためのある種の企業デザインを作成するために用いられる。
【0003】
近年では、光学スペクトルのUV光領域または青色光領域における励起に基づく青緑色光、黄緑色ないしオレンジ色光を発する蛍光体は、かつてない重要なものになった。これは、蛍光体を、白色光を発する機材用に用いることができるという事実のためである。特に、セリウムがドープされたガーネット蛍光体(YAG:Ce)が、種々の方向で用いられている(例えばEP 862794、WO 98/12757を参照)。しかし、これらは、これらが560nmより低い発光極大にて十分に高い効率を有するに過ぎないという欠点を有する。
【0004】
この理由のために、青色ダイオード(450〜490nm)と組み合わせた純粋なYAG:Ce蛍光体を、6000〜8000Kの間の色温度を有し、比較的低い色再現(色再現指数Raについての典型的な値は70〜75である)を有する低温白色光色を発生させるために用いることができるに過ぎない。これにより、応用可能性が大いに限定されることとなる。一方では、一般的に、白色光源を一般的な照明において用いる際のランプの色再現品質についてより高い要求がなされており、他方では、2700〜5000Kの色温度を有するより温暖な色の光が、特にヨーロッパおよび北アメリカにおいて、消費者によって好まれている。
【0005】
WO 00/33389にはさらに、青色LEDからの光を変換するための発光団として、とりわけ、Ba2SiO4:Eu2+を用いることが開示されている。しかし、蛍光体発光の極大は505nmにおいてであり、これは、このタイプの組み合わせを用いる白色光を発生させることが確実には可能ではないことを意味する。
【0006】
ケイ酸塩蛍光体は、白色LED用に、先の数年において開発された(WO 02/11214、WO 02/054502を参照)。さらに、これらの蛍光体をガス放電ランプ用に用いることができることが知られている(K.H. Butler "Fluorescent Lamp Phosphors" Pennsylvania Univ. Press, 1980を参照)。加えて、T.L. Barry, J. Electrochem. Soc. 1968, 1181には、(Ca,Sr)2SiO4:Euの均一であり、固体の二元混合物が体系的に研究されていることが記載されている。これらの蛍光体は、粉末としての酸化物出発物質を混合し、混合物を粉砕し、次に任意に還元雰囲気中で、1500℃までの温度で数日までにわたり炉中で粉砕した粉末をか焼することによって、固体拡散方法(混合して焼く方法)によって調製された。
【0007】
この結果、形態、粒度分布および基質量中の発光性活性化イオンの分布に関して不均等性を有する蛍光体粉末が生成する。さらに、伝統的な方法により作成されるこれらの蛍光体の形態、粒度分布および他の特性を困難を伴って調節することができるに過ぎず、再現するのは難しい。したがって、これらの粒子は、例えば特に、最適ではなく不均等な形態および粒度分布を有する当該蛍光体によってLEDチップが不均等にコーティングされ、この結果散乱により高度な損失プロセスが発生することなど、多数の欠点を有する。LEDチップの蛍光体コーティングが不均等であるのみならず、LEDからLEDへと再現可能でもないという事実により、これらのLEDを製造する際にさらなる損失が発生する。これにより、バッチ内でも発生するpcLEDsから発光された光の色位置の変動が生じる。
【0008】
LEDケイ酸塩蛍光体は、YAG:Ce系より高いCRIを得るために、単独で、または青色もしくはUV LED基質用の混合物中に用いられる。しかし、実際には、従来のケイ酸塩蛍光体は、YAG:Ce蛍光体より高い効率性および照度を示さない。加えて、高いバリウム濃度を有するいくつかの蛍光体は、使用中の加水分解感受性についての問題を有することが、報告されている(T.L. Barry, J. Electrochem. Soc. 1968, 1181を参照)。これらの欠陥により、ケイ酸塩蛍光体の効率性が低下する結果となる。
【0009】
DE 10 2005051063 A1には、精製プロセスにおいて残留した水の大部分を回収するために、非水性有機溶媒、例えばエタノールを用いる湿式化学的方法(湿式粉砕および湿式ふるい分け方法)によって調製された、発光効率が改善されたケイ酸塩をベースとする蛍光体が開示されている。
【発明の概要】
【0010】
したがって、本発明の目的は、1つまたは2つ以上の上記の欠点を有せず、暖かい白色光を生じる、白色LED用またはカラーオンデマンドアプリケーション用のアルカリ土類金属オルトケイ酸塩蛍光体を提供することにある。
【0011】
驚異的なことに、アルカリ土類金属オルトケイ酸塩蛍光体を湿式化学的方法により調製することによってこの目的が達成され、ここで複数の方法の変法が可能である。
【0012】
したがって、本発明は、式I
BawSrxCayEuzSiO4 (I)
式中、
w+x+y+z=2および
0.005<z<0.5である、
で表される蛍光体の製造方法であって、
a)塩類、硝酸塩、シュウ酸塩、水酸化物またはこれらの混合物の形態の、少なくとも2種のアルカリ土類金属およびユウロピウム含有ドーパントおよびケイ素含有化合物を、水、酸または塩基に溶解、分散または懸濁させ、
b)ケイ素含有化合物を加え、
c)無機または有機沈殿試薬をこの混合物に加え、
d)生成する蛍光体前駆体を、熱後処理によって完成した蛍光体に変換する
ことを特徴とする、前記方法に関する。
【0013】
ここで、w、x、yまたはzは、0〜2の値を採ることができる。
【0014】
本発明はさらに、上述の式Iで表される蛍光体を調製するための方法であって、
a)塩類、硝酸塩、シュウ酸塩、水酸化物またはこれらの混合物の形態の少なくとも2種のアルカリ土類金属およびユウロピウム含有ドーパントを、水、酸または塩基に溶解、分散または懸濁させ、
b)この溶液、分散体または懸濁液をケイ素含有混合物に加え、高温にて蛍光体前駆体に変換し、
c)その後、乾燥した蛍光体前駆体を熱後処理により完成した蛍光体に変換する
ことを特徴とする、前記方法に関する。
【0015】
用いるアルカリ土類金属出発物質は、所望の化学量論的比率のバリウム、ストロンチウムおよび/またはカルシウムのハロゲン化物、水酸化物または硝酸塩である。好ましいのは、対応する水酸化物または塩化物を用いることである。
【0016】
最初のプロセスにおける好適なケイ素含有化合物は、一般的に無機または有機ケイ素化合物である。用いる無機ケイ素化合物は、好ましくは微細に分散したSiO2ソルまたはゲルである。
【0017】
用いる有機ケイ素化合物は、好ましくは、式Si(OR)4で表され、式中R=メチル、エチル、プロピル、ブチルである予め濃縮した(precondensed)ケイ酸エステル類、例えばTES-28(登録商標)またはTES-40(登録商標)(Wacker)である。特に好ましいのは、Si(OEt)4を用いることである。
【0018】
用語「ケイ素含有混合物」は、上記で定義したように、ジカルボン酸、好ましくはシュウ酸および無機または有機ケイ素化合物の混合物を意味するものと解釈される。
【0019】
用いることができるドーパントは、一般的にすべての所望の水溶性ユウロピウム塩類であり、硝酸ユウロピウムおよび塩化ユウロピウムが好ましい。ユウロピウムのドーピング濃度が0.5〜50mol%であるのが、さらに好ましい。特に好ましくは2.0〜20mol%である。一般的に、10〜15mol%のユウロピウム濃度において、蛍光体の増大した吸収および結果として増大した光収率またはより大きい明度が生じる。より高いユウロピウム濃度は量子収量を低減し、したがって同様に低下した光収率がもたらされる。
【0020】
湿式化学的プロセスにより、蛍光体前駆体が得られ、これは熱後処理(か焼プロセス)により完成した蛍光体に変換される。
【0021】
以下の方法は、例えばハロゲン化または水酸化バリウム、ストロンチウムおよびユウロピウムとケイ素含有化合物との混合物からなる蛍光体の水性前駆体(「蛍光体前駆体」)の湿式化学前処理に好ましい:
・出発物質、好ましくはアルカリ土類金属水酸化物の有機ケイ素化合物、好ましくは有機ケイ酸テトラエチルとの反応
【0022】
・無機または有機ケイ素化合物、例えばSiO2またはSi(OEt)4を用いるシュウ酸塩沈殿
・無機または有機ケイ素化合物、例えばSiO2またはSi(OEt)4を用いる炭酸水素塩沈殿
【0023】
第1のプロセスの変法において、有機ケイ素化合物、好ましくはSi(OEt)4を、例えば対応する蛍光体出発物質およびユウロピウム含有ドーパントの水酸化物溶液に、上昇した温度にて加え、蛍光体前駆体の生成をもたらす。
【0024】
第2のプロセスの変法、いわゆるシュウ酸エステル沈殿において、先ずアルカリ土類金属ハロゲン化物をハロゲン化ユウロピウムと共に水に溶解し、ジカルボン酸および無機または有機ケイ素化合物からなるケイ素含有混合物に加える。粘性を増大させることにより、蛍光体前駆体の形成がもたらされる。
【0025】
第3のプロセスの変法、いわゆる炭酸水素塩沈殿において、先ずアルカリ土類金属出発物質、好ましくはアルカリ土類金属ハロゲン化物を、ユウロピウム含有ドーパントと共に水に溶解し、その後無機または有機ケイ素含有化合物を加える。沈殿を、炭酸水素塩溶液を用いて行い、蛍光体前駆体のゆっくりとした生成がもたらされる。
【0026】
完成した蛍光体を得るための蛍光体前駆体の熱後処理を、高温炉中で、コランダムるつぼ内温度1000〜1400℃にて何時間にもわたり所定量の前駆体をか焼することにより行う。粗製の蛍光体ケークを粉末状にし、洗浄し、ふるい分けする。ここで、高温炉を、回転管状炉、チャンバー炉、管状炉または流動層反応器とすることができ、ここでチャンバー炉を好ましくは用いる。
【0027】
前述の熱後処理において、か焼を少なくとも部分的に還元条件下(例えば一酸化炭素、フォーミングガスもしくは水素を用いて、または少なくとも真空もしくは酸素欠乏雰囲気で)で行うのが好ましい。
本発明の蛍光体の粒径は、50nm〜50μm、好ましくは1μm〜25μmである。
【0028】
無機塩を、熱後処理の前または間に融点を降下させるためのフラクシング剤(fluxing agent)として加えるのが、さらに好ましい場合がある。用いることができる無機塩類は、用いる出発物質の量を基準として0.5〜80%、好ましくは1〜5%の量での塩化物、好ましくは塩化アンモニウム、または硝酸塩もしくは塩素酸塩である。
【0029】
他の好ましい態様において、蛍光体は、LEDチップの反対側上に、構造化された(例えばピラミッド状)表面を有する(DE 102006054330.0、Merckを参照。これを、この全範囲において本出願の文脈中に参照により導入する)。これにより、蛍光体からの可能な限り多大な光を組み合わせる(coupled)ことが可能になる。
【0030】
蛍光体上の構造化された表面は、すでに構造化された好適な材料でその後コーティングすることによって、または、(フォト)リソグラフィープロセス、エッチングプロセスによる、またはエネルギーもしくは材料ビーム(material beam)もしくは機械力の作用を用いる書き込みプロセス(writing process)による以降の段階において、作成される。
【0031】
他の好ましい態様において、本発明の蛍光体は、LEDチップの反対側に、SiO2、TiO2、Al2O3、ZnO2、ZrO2および/またはY2O3またはこれらの物質の組み合わせのナノ粒子、あるいは蛍光体組成物を含む粒子のナノ粒子を担持する粗面を有する。ここで、粗面は、数百nmまでの粗さを有する。被覆表面は、全反射を低減または防止することができ、本発明の蛍光体からの光をより良好に組み合わせることができるという利点を有する(DE 102006054330.0(Merck)を参照。これを、この全範囲において本出願の文脈中に参照により導入する)。
【0032】
さらに、本発明の蛍光体が、チップに向いていない表面において屈折率が適合された層を有するのが好ましく、これにより、一次放射線および/または蛍光体素子により発せられる放射線の組み合わせが単純化される。
【0033】
他の好ましい態様において、蛍光体は、SiO2、TiO2、Al2O3、ZnO、ZrO2および/またはY2O3またはこれらの混合酸化物からなる密閉コーティング(closed coating)を有する。この表面コーティングは、コーティング材料の屈折率の好適な目盛り付けにより、周囲(environment)への屈折率の適合を達成することができるという利点を有する。この場合において、蛍光体の表面における光の散乱は低減され、より大きい比率の光が蛍光体中に差し込み、吸収され、変換され得る。加えて、全体的な内面反射が低減するため、屈折率が適合された表面コーティングは、蛍光体からのより多くの光を組み合わせるのを可能にする。
【0034】
加えて、蛍光体をカプセル封入しなければならない場合には、密閉層は有利である。これは、周辺の水または他の物質の拡散に対する蛍光体またはその一部の感受性に対処するために必要であり得る。密閉された覆いでカプセル封入することの他の理由は、チップ中で発生する熱からの実際の蛍光体の熱的デカップリング(thermal decoupling)である。この熱により、蛍光体の蛍光収率の低下がもたらされ、また蛍光の色に影響を及ぼし得る。最後に、このタイプのコーティングは、蛍光体において発生する格子振動が周囲に伝播するのを防止することによって、蛍光体の効率の増大を可能にする。
【0035】
加えて、SiO2、TiO2、Al2O3、ZnO、ZrO2および/またはY2O3またはこれらのもしくは蛍光体組成物の混合酸化物からなる多孔性表面コーティングを有する蛍光体を当該方法により調製するのが好ましい。これらの多孔性コーティングは、単一層の屈折率をさらに低減する可能性を提供する。全範囲において本出願の文脈中に参照により導入するWO 03/027015に記載されているように、このタイプの多孔性コーティングを、3つの従来の方法により製造することができる:ガラス(例えばソーダ石灰ガラス(US 4019884を参照))のエッチング、多孔質層の適用および多孔質層とエッチングプロセスとの組み合わせ。
【0036】
他の好ましい態様において、蛍光体は、好ましくはエポキシまたはシリコーン樹脂からなる、周囲への化学結合を容易にする官能基を担持する表面を有する。これらの官能基は、例えば、オキソ基を介して結合しており、エポキシドおよび/またはシリコーンをベースとするバインダーの成分への結合を形成することができるエステル類または他の誘導体であり得る。このタイプの表面は、蛍光体のバインダー中への均一な混合が容易になるという利点を有する。さらに、したがって、蛍光体/バインダー系のレオロジー的特性およびまたポット寿命を、ある程度調節することができる。混合物の加工は、このように単純化される。
【0037】
LEDチップに適用される本発明の蛍光体層が好ましくはシリコーンおよび均一な蛍光体粒子の混合物からなり、シリコーンが表面張力を有するため、この蛍光体層は微視的なレベルにおいて不均一であるか、または層の厚さは完全に一定ではない。
【0038】
本発明はさらに、本発明の方法により調製された、式I
BawSrxCaySiO4:zEu2+ (I)
式中、
w+x+y+z=2および
0.005<z<0.5である、
で表される蛍光体に関する。この蛍光体は、好ましくは、構造化された表面あるいはSiO2、TiO2、Al2O3、ZnO、ZrO2および/もしくはY2O3またはこれらの混合酸化物のナノ粒子または蛍光体組成物を含む粒子のナノ粒子を担持する粗面を有する。
【0039】
さらに、式Iで表されるこの蛍光体がSiO2、TiO2、Al2O3、ZnO、ZrO2および/またはY2O3またはこれらの混合酸化物からなる密閉性のまたは多孔性の表面コーティングを有するのが好ましい。
さらに、蛍光体の表面が、好ましくはエポキシまたはシリコーン樹脂を含む周囲への化学結合を容易にする官能基を担持するのが好ましいだろう。
【0040】
前述のプロセスの補助により、蛍光体粒子のあらゆる所望の外形、例えば球状粒子、薄片および構造化された材料およびセラミックスを製造することができる。
【0041】
さらに好ましい態様として、薄片形態の蛍光体を、対応する金属および/または希土類金属塩類から、従来の方法により調製する。調製方法はEP 763573およびDE 102006054331.9に詳細に記載されており、これらを、これらの全範囲において本出願の文脈中に参照により導入する。極めて大きいアスペクト比、原子的に平滑な表面および調整可能な厚さを有する、例えば雲母薄片、SiO2薄片、Al2O3薄片、ZrO2薄片、ガラス薄片またはTiO2薄片の、天然の、または合成により作成された、高度に安定な支持体または基板を、水性分散体または懸濁液における沈殿反応によって蛍光体層でコーティングすることにより、これらの薄片形態の蛍光体を調製することができる。
【0042】
雲母、ZrO2、SiO2、Al2O3、ガラスもしくはTiO2またはこれらの混合物以外に、薄片はまた、蛍光体材料自体からなるかまたは材料から構築され得る。薄片自体が単に蛍光体コーティングに対する支持体として作用を奏するに過ぎない場合には、後者は、LEDから一次放射線に対して透明である材料からなるか、または一次放射線を吸収し、このエネルギーを蛍光体層に伝送しなければならない。薄片形態の蛍光体を、樹脂(例えばシリコーンまたはエポキシ樹脂)中に分散させ、この分散体をLEDチップに適用する。
【0043】
薄片形態の蛍光体を、50nm〜約20μm、好ましくは150nm〜5μmの厚さで、大きい産業的規模で製造することができる。直径はここで、50nm〜20μmである。
【0044】
これは、一般的に、1:1〜400:1、特に3:1〜100:1のアスペクト比(直径対粒子の厚さの比率)を有する。
薄片の大きさ(長さ×幅)は、配置に依存する。特にこれらが特に小さい寸法を有する場合には、薄片はまた、変換層内に散在する中心部として適する。
【0045】
LEDチップに面する本発明の薄片形態の蛍光体の表面は、LEDチップにより発せられた一次放射線に関する反射低減作用を有するコーティングを備えていることができる。この結果、一次放射線の後方散乱の低減がもたらされ、本発明の蛍光体素子中へ後者を組み合わせることを増強する。
【0046】
この目的に適するのは、例えば屈折率が適合されたコーティングであり、以下の厚さd:d=[LEDチップからの一次放射線の波長/(4×蛍光体セラミックの屈折率)]を有しなければならない(例えば、Gerthsen, Physik [Physics], Springer Verlag, 18th Edition, 1995を参照)。このコーティングはまた、フォトニック結晶からなっていてもよく、これはまた、特定の機能を達成するために薄片形態の蛍光体の表面を構造化することを含む。
【0047】
セラミックス素子の形態の本発明の蛍光体の調製を、DE 102006037730 (Merck)に記載されている方法と同様に行い、これを、参照によりこの全範囲において本出願の文脈中に包含する。蛍光体をここで、対応する出発物質とドーパントとを湿式化学的方法により混合し、その後混合物を平衡に加圧し、均一であり、薄い、無孔の薄片の形態のチップの表面に混合物を直接適用することにより、調製する。蛍光体の励起および放出の位置に依存する変化はしたがって発生せず、これにより提供されるLEDは恒常的な色の均一な光円錐(light cone)を発し、高い発光力(luminous power)を有することとなる。
【0048】
セラミックス蛍光体素子を、大産業的規模で、例えば数百nm〜約500μmの厚さの薄片として、製造することができる。薄片の大きさ(長さ×幅)は、配置に依存する。チップに直接適用する場合において、薄片の寸法は、好適なチップ配置(例えばフリップチップ配置)の場合において、チップの大きさ(約100μm×100μmないし数mm2)に従って、チップ表面より約10%〜30%過剰な大きさで、またはそれに相当するように選択しなければならない。蛍光体薄片を完成したLEDの最上部に装着する場合には、発せられた光円錐はすべて、薄片に回収される。
【0049】
セラミックス蛍光体素子の側面を、軽金属または貴金属、好ましくはアルミニウムまたは銀で金属化することができる。金属化は、光が蛍光体要素から側方に進出しないという効果を有する。側方に進出する光は、LEDから組み合わせて放出される光束を低減し得る。セラミックス蛍光体素子の金属化を、平衡加圧の後のプロセス段階において行い、棒状または薄片状にて得、ここで、所望により、この棒状または薄片状のものを、金属化の前に所要の大きさに切断することができる。このために、側面を、例えば硝酸銀およびグルコースの溶液で湿潤させ、その後上昇した温度にてアンモニア雰囲気に曝露する。この操作の間、例えば、銀コーティングが側面上に形成する。
【0050】
あるいはまた、無電解金属化法が、好適である。例えば、Hollemann-Wiberg, Lehrbuch der anorganischen Chemie [Textbook of Inorganic Chemistry], Walter de Gruyter VerlagまたはUllmanns Enzyklopaedie der chemischen Technologie [Ullmann's Encyclopaedia of Chemical Technology]を参照。
セラミックス蛍光体素子を、必要に応じて、水ガラス溶液を用いてLEDチップの基板に固定することができる。
【0051】
他の態様において、セラミックス蛍光体素子は、LEDチップの反対側上に構造化された(例えばピラミッド状の)表面を有する。これにより、可能な限り多量の光を蛍光体素子に組み合わせるのが可能になる。蛍光体素子上の構造化された表面を、構造化されたプレスプレートを有する型を用いて静水圧プレス成形を行い、それにより構造を表面中に浮き彫りにして作成する。目的が、可能な限り薄い蛍光体素子または薄片を作成することにある場合には、構造化された表面が所望される。押圧条件は、当業者に知られている(J. Kriegsmann, Technische keramische Werkstoffe [Industrial Ceramic Materials], 第4章、Deutscher Wirtschaftsdienst, 1998を参照)。用いる押圧温度が、押圧される物質の融点の2/3〜5/6であるのが重要である。
【0052】
加えて、本発明の蛍光体は、約120nm〜530nm、好ましくは254nm〜約480nmに及ぶ広範囲にわたって励起することができる。したがって、これらの蛍光体は、UVまたは青色発光一次光源、例えばLED、または従来の放電ランプ(例えばHgをベースとする)による励起に適するのみならず、451nmにて青色In3+線を用いるもののような光源にも適する。
【0053】
本発明はさらに、発光極大が120nm〜530nm、好ましくは254nm〜約480nmの範囲内にある少なくとも1つの一次光源を有する照明ユニットに関し、ここで一次放射線は、本発明の蛍光体により、より長い波長の放射線に部分的に、または完全に変換される。
【0054】
本発明において、用語「照明ユニット」は、以下の構成要素または成分を包含する:
・紫外線または青色光を発光するための少なくとも1つの一次光源、
・一次光源と直接的にまたは間接的に接触して位置する少なくとも1つの変換蛍光体、
・任意に、照明ユニットをカプセル封入するための透明な密封樹脂(例えばエポキシまたはシリコーン樹脂)、
・任意に、一次光源が搭載され、電気エネルギーを一次光源に供給するための少なくとも2つの電気的接続を有する、支持素子、
・任意に、二次的な光学配置、例えばレンズ、鏡、プリズムまたはフォトニック結晶。
【0055】
この照明ユニットは、好ましくは白色光を発するか、または特定の色位置(カラーオンデマンドの原理)を有する光を発する。本発明の照明ユニットの好ましい態様を、図1〜12に記載する。
【0056】
本発明の照明ユニットの好ましい態様において、光源は発光性窒化インジウムアルミニウムガリウム、特に式IniGajAlkNで表され、式中、0≦i、0≦j、0≦kおよびi+j+k=1であるものである。
このタイプの光源の可能な形態は、当業者に知られている。これらは、種々の構造を有する発光LEDチップであり得る。
【0057】
本発明の照明ユニットの他の好ましい態様において、光源は、ZnO、TCO(透明な導電性酸化物)、ZnSeもしくはSiCをベースとする発光配置または有機発光層(OLED)をベースとする配置である。
【0058】
本発明の照明ユニットの他の好ましい態様において、光源は、エレクトロルミネセンスおよび/またはフォトルミネセンスを示す源である。光源はさらに、またプラズマまたは放電源であってもよい。
【0059】
本発明の蛍光体を、樹脂(例えばエポキシもしくはシリコーン樹脂)中に分散させるか、または好適な大きさの比率を前提として、一次光源上に直接配置するか、または用途に依存して、一時光源から遠隔させて配置することができる(後者の配置はまた、「遠隔蛍光体技術」を含む)。遠隔蛍光体技術の利点は、当業者に知られており、例えば以下の刊行物中で明らかにされている:Japanese Journ. of Appl. Phys. Vol 44, No. 21 (2005). L649-L651。
【0060】
他の態様において、蛍光体と一次光源との間の照明ユニットの光学的連結が、光伝導性配置により達成されるのが好ましい。これにより、一次光源が中央位置に設置され、光伝導性装置、例えば光伝導性繊維により蛍光体に光学的に連結することが可能になる。このようにして、照明の願望と整合し、単に1種のまたは種々の蛍光体(配置して光スクリーンを形成してもよい)および、一次光源に結合する1種または2種以上の光伝導体からなるランプを達成することができる。このようにして、強力な一次光源を、電気設備に好ましい位置に配置し、任意の所望の位置において光伝導体に結合する蛍光体を含むランプを、さらに電気的配線を施さず、代わりに単に光伝導体を据えることのみにより設置することが可能である。
【0061】
さらに、真空UV(<200nm)および/またはUV領域において光を発する一次光源が、本発明の蛍光体と組み合わせて、少なくとも10nmの半値幅を有する発光帯を有するのが、本発明において好ましい。
【0062】
本発明はさらに、本発明の蛍光体を、発光ダイオードからの青色または近UV発光を部分的に、または完全に変換するために用いることに関する。
【0063】
本発明の蛍光体を、さらに好ましくは、青色または近UV発光を視覚可能な白色放射線に変換するために用いる。本発明の蛍光体を、さらに好ましくは、「カラーオンデマンド」概念に従って一次放射線を特定の色位置に変換するために用いる。
【0064】
本発明はさらに、例えば硫化亜鉛またはMn2+、Cu+もしくはAg+がドープされた硫化亜鉛をエミッタとして用いた、黄緑色領域において発光するエレクトロルミネセントフィルム(また発光フィルムまたは光フィルムとして知られている)などのエレクトロルミネセント材料において本発明の蛍光体を用いることに関する。エレクトロルミネセントフィルムの適用の領域は、例えば広告、液晶ディスプレイ画面(LCディスプレイ)および薄膜トランジスタ(TFT)ディスプレイにおけるディスプレイバックライト、字光式(self-illuminating)車両ナンバープレート、床の図形(耐圧壊性(crush-resistant)および滑り止め積層体と組み合わせて)、例えば自動車、列車、船舶および航空機におけるディスプレイおよび/または制御素子、あるいはまた屋内電気器具、園芸機材、測定器具またはスポーツおよびレジャー機材である。
【0065】
以下の例は、本発明を例示することを意図する。しかし、これらを、いかなる方法によっても限定的であると考慮するべきではない。組成物において用いることができるすべての化合物または構成成分は、知られており、商業的に入手できるか、または既知の方法によって合成することができる。例において示す温度は、常に℃で示す。さらに、記載およびまた例の両方において、組成物中の構成成分の添加量は、常に合計100%まで加えられる。示す百分率のデータは、常にこの所定の関係にあると見なすべきである。しかし、これらは通常常に、示す部分量または合計量の重量に関する。
【0066】
例
例1:アルカリ土類金属水酸化物のオルトケイ酸テトラエチルとの反応による蛍光体Ba0.345Sr1.6Eu0.055SiO4の調製
55.18gのBa(OH)2x8H2O(特別に純粋な等級、Merck KGaA)、212.496gのSr(OH)2x8H2O(特別に純粋な等級、Merck KGaA)および10.08gのEuCl3x6H2O(分析的等級ACS、Treibacher Industrie AG)を、120℃にて油浴(精密なガラス撹拌器)中で、500mlの3つ首フラスコ中で、20mlの脱イオン水を加えて撹拌する。ペースト状のコンシステンシーが生成する。さらに60分間の撹拌後、混合物は低い粘度を有する。
【0067】
104.164gのオルトケイ酸テトラエチル(分析的等級、Merck KGaA)を、撹拌しながら迅速に加える。そこで、懸濁液は増粘化する。さらに20mlの脱イオン水を加え、そこで再び低粘度の混合物が得られる。
60分後、加熱をスイッチオフし、混合物を撹拌しながら約50℃に冷却する。
250mlのアセトンを加え、懸濁液を室温にゆっくり冷却し、一晩撹拌する。
沈殿物を吸引により濾別し、150mlのアセトンで洗浄し、その後真空中で乾燥する。
【0068】
例2:高度に分散性の二酸化ケイ素を用いたシュウ酸塩沈殿からの蛍光体Ba0.345Sr1.6Eu0.055SiO4の調製
126.07gのシュウ酸二水和物を、1.236lの脱イオン水に溶解する。12.016gの二酸化ケイ素を加える。16.855gの塩化バリウム二水和物(分析的等級、Merck KGaA)、85.288gの塩化ストロンチウム六水和物(分析的等級、Merck KGaA)および4.030gの塩化ユウロピウム六水和物(分析的等級ACS、Treibacher Industrie AG)を、200mlの脱イオン水に溶解し、撹拌しながら30分にわたりシュウ酸二水和物/二酸化ケイ素溶液に滴加する。滴加の間、温度は15℃に降下する。次に、混合物を2時間還流させ、一晩放置して冷却し、翌日に吸引により濾過する。
生成物を、75℃にて24時間わずかな減圧下で乾燥する。
【0069】
例3:オルトケイ酸テトラエチルを用いたシュウ酸塩沈殿からの蛍光体Ba0.345Sr1.6Eu0.055SiO4の調製
126.07gのシュウ酸二水和物を、1.236lの脱イオン水に溶解する。
41.66gのオルトケイ酸テトラエチルを加える。16.855gの塩化バリウム二水和物(分析的等級ACS, ISO reag. Ph Eur, Merck KGaA)、85.288gの塩化ストロンチウム六水和物(分析的等級、Merck KGaA)および4.030gの塩化ユウロピウム六水和物(分析的等級ACS、Treibacher Industrie AG)を、200mlの脱イオン水に溶解し、撹拌しながら30分にわたりシュウ酸二水和物/二酸化ケイ素溶液に滴加する。
【0070】
滴加の開始時に、温度は16℃に降下するが、次にさらに滴加する際に上昇する。次に、混合物を3時間還流させ、室温に冷却し、吸引により濾過する。生成物を、75℃にて24時間わずかな減圧下で乾燥する。
【0071】
例4:高度に分散性の二酸化ケイ素を用いた炭酸水素塩沈殿からの蛍光体Ba0.345Sr1.6Eu0.055SiO4の調製
16.9gのBaCl2x2H2O(分析的等級、Merck KGaA)、85.3gのSrCl2x6H2O(分析的等級、Merck KGaA)および4.0gのEuCl3x6H2O(分析的等級ACS、Treibacher Industrie AG)を、1000mlの3つ首フラスコ中で360mlの脱イオン水に溶解する。12.0gのSiO2を加える。79.1gの炭酸水素アンモニウムを、18℃にて加える→激しい発泡(激しいガスの発生)および+7℃への吸熱性(endothermicity)。
得られた懸濁液を、88℃に加温し(浴温度は100℃)、2時間撹拌する。得られた懸濁液を、一晩20℃に冷却し、結晶を洗浄せずに吸引により濾別する。母液は透明であり、無色である(pH9)。
【0072】
例5:オルトケイ酸テトラエチルを用いた炭酸水素塩沈殿からの蛍光体Ba0.345Sr1.6Eu0.055SiO4の調製
16.9gのBaCl2x2H2O(分析的等級、Merck KGaA)、85.3gのSrCl2x6H2O(分析的等級、Merck KGaA)および4.0gのEuCl3x6H2O(分析的等級ACS、Treibacher Industrie AG)を、1000mlの3つ首フラスコ中で360mlの脱イオン水に溶解する。41.7gのオルトケイ酸テトラエチル(合成的等級、Merck KGaA)を加える。79.1gの炭酸水素アンモニウムを、17℃にて加える→激しい発泡(激しいガスの発生)および+7℃への吸熱性。得られた懸濁液を、88℃に加温し(浴温度は100℃)、2時間撹拌する。得られた懸濁液を、一晩20℃に冷却し、結晶を塩非含有となるまで洗浄し、吸引により濾別する。
【0073】
次に、例1および5からの前駆体を、還元フォーミングガス雰囲気中で行う1200℃でのか焼プロセスにおいて、蛍光体に変換する。このために、前駆体を、250mlのコランダムるつぼ中に導入し、5重量%の塩化アンモニウムで覆い、振盪により圧縮し、その後5時間か焼する。その後、完成した粗製の蛍光体ケークを、モルタルミル(mortar mill)中で粉砕し、次に洗浄し、乾燥し(T=120℃)、ふるい分けする。
【0074】
比較例6:従来の固体反応方法による蛍光体Ba0.345Sr1.6Eu0.055SiO4の調製
1molの蛍光体について、上記の式の組成に相当する化学量論量のBaCO3、SrCO3、Eu2O3およびSiO4を、0.2〜0.3molのNH4Clと共に、ボールミルで5時間にわたり激しく粉砕する。
均一な開始混合物を、コランダムるつぼ中に導入し、還元性雰囲気(フォーミングガスN2/H2)下で3〜10時間1200〜1400℃にて反応させる。
【0075】
得られた粗製の蛍光体を、微細に粉砕し、脱イオン水で4〜5回洗浄し、その後濾過し、数時間にわたり乾燥キャビネット中で100℃にて残留水分を除去する。乾燥した蛍光体を、目的の粒子の大きさに応じて乾式ふるい分けする(dry-sieve)。
【図面の簡単な説明】
【0076】
本発明を、多数の例示的態様を参照して以下により詳細に説明する。図1〜12は、種々の照明ユニットを記載し、これらはすべて、本発明のオルトケイ酸塩蛍光体を含む:
【0077】
【図1】図1は、蛍光体含有コーティングを有する発光ダイオードの線図を示す。構成要素は、放射線源としてのチップ状発光ダイオード(LED)1を含む。発光ダイオードは、カップ形状の反射体中に設置されており、これは、調整フレーム2により保持されている。チップ1は、フラットケーブル7を介して第1の接点6に、および第2の電気的接点6’に直接接続している。本発明の変換蛍光体を含むコーティングは、反射体カップの内側の湾曲に適用されている。蛍光体を、互いに別個に、または混合物の形態で用いる。(部品の符号のリスト:1 発光ダイオード、2 反射体、3 樹脂、4 変換蛍光体、5 ディフューザ(diffuser)、6 電極、7 フラットケーブル)
【0078】
【図2】図2は、白色光用光源(LED)として作用するInGaNタイプのCOB(チップオンボード)パッケージを示す(1=半導体チップ;2,3=電気的接続;4=変換蛍光体;7=ボード)。蛍光体はバインダーレンズ中で分配され、これは同時に二次的な光学素子を表し、レンズとして発光特徴に影響する。
【0079】
【図3】図3は、白色光用光源(LED)として作用するInGaNタイプのCOB(チップオンボード)パッケージを示す(1=半導体チップ;2,3=電気的接続;4=変換蛍光体;7=ボード)。蛍光体は、LEDチップ上に直接分布する薄いバインダー層中に位置する。透明な材料からなる二次的光学素子を、この上に配置することができる。
【0080】
【図4】図4は、白色光用光源(LED)として作用するパッケージの1つのタイプを示す(1=半導体チップ;2,3=電気的接続;4=反射体を有する空洞中の変換蛍光体)。変換蛍光体はバインダー中に分散し、この混合物は空洞を充填する。
【0081】
【図5】図5は、第2のタイプのパッケージを示し、ここで、1=ハウジングプレート;2=電気的接続;3=レンズ;4=半導体チップである。この設計は、フリップチップ設計であるという利点を有し、ここでより大きい比率のチップからの光を、ベース上の透明な基板および反射体によって光源の目的のために用いることができる。加えて、この設計では熱消散が好ましい。
【0082】
【図6】図6は、パッケージを示し、ここで1=ハウジングプレート;2=電気的接続;4=半導体チップであり、レンズの下の空洞は、本発明の変換蛍光体で完全に充填されている。このパッケージは、より多量の変換蛍光体を用いることができるという利点を有する。後者はまた、遠隔の蛍光体として作用することができる。
【0083】
【図7】図7は、SMDパッケージ(表面実装したパッケージ)を示し、ここで1=ハウジング;2,3=電気的接続;4=変換層である。半導体チップは、本発明の蛍光体により完全に覆われている。SMD設計は、小さい物理的形状を有し、したがって従来の光源に収まるという利点を有する。
【0084】
【図8】図8は、T5パッケージを示し、ここで1=変換蛍光体;2=チップ;3,4=電気的接続;5=透明な樹脂を有するレンズである。変換蛍光体は、LEDチップの背面に位置し、これは、蛍光体が金属的接続を介して冷却されるという利点を有する。
【0085】
【図9】図9は、発光ダイオードの線図を示し、ここで1=半導体チップ;2,3=電気的接続;4=変換蛍光体;5=ボンドワイヤであり、ここで蛍光体は、最上部の球体としてバインダー中に適用される。蛍光体/バインダー層のこの形状は、二次的光学素子として作用し、例えば光伝播に影響し得る。
【0086】
【図10】図10は、発光ダイオードの線図を示し、ここで1=半導体チップ;2,3=電気的接続;4=変換蛍光体;5=ボンドワイヤであり、ここで蛍光体を、バインダー中に分散した薄層として適用する。二次的光学素子として作用する他の構成要素、例えばレンズ、をこの層に容易に適用することができる。
【0087】
【図11】図11は、すでにUS-B 6,700,322から原理上知られている他の用途の例を示す。本発明の蛍光体を、ここでOLEDと共に用いる。光源は、実在の有機フィルム30および透明な基材32からなる有機発光ダイオード31である。フィルム30は、特に、例えばPVK:PBD:クマリン(PVK、ポリ(n−ビニルカルバゾール)の略語;PBD、2-(4−ビフェニル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールの略語)により発生した、青色の一次光を発する。発光は、本発明の蛍光体の層33により形成される被覆層によって、黄色の、二次的に発せられた光に部分的に変換され、一次的におよび二次的に発せられた光の色混合により、全体で白色の発光を生じる。
【0088】
OLEDは本質的に、発光ポリマーの少なくとも1つの層または2つの電極、これは、例えばITO(酸化スズインジウムの略語)をアノードとしておよび例えばBaまたはCaなどの高度に反応性の金属をカソードとしてなど、それ自体知られている材料からなる、の間のいわゆる小分子からなる。複数の層をまた、しばしば電極間で用い、これは、正孔輸送層として作用するか、または小分子の領域においてはまた電子輸送層として作用する。用いる発光ポリマーは、例えばポリフルオレン類またはポリスピロ材料である。
【0089】
【図12】図12は、WO 2005/061659と同様にインジウム充填および緩衝ガスを含む、水銀非含有ガスフィリング21を有する低圧ランプ20を示し(図式的)、ここで本発明の蛍光体の層22が適用されている。
【0090】
【図13】図13は、1=炭酸水素塩沈殿により調製した本発明の蛍光体Ba0.345Sr1.6Eu0.055SiO4;2=従来の固体反応法(比較例6を参照)により調製した、1と同一の組成を有する蛍光体の、励起スペクトルの比較を示す。
【0091】
【図14】図14は、1=炭酸水素塩沈殿により調製した本発明の蛍光体Ba0.345Sr1.6Eu0.055SiO4;2=従来の固体反応法により調製した、1の下と同一の組成を有する蛍光体の、発光スペクトルの比較を示す。蛍光体2は、蛍光体1よりも高い光強度または光収率を有する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユウロピウム(II)がドープされたオルトケイ酸塩、好ましくはアルカリ土類金属オルトケイ酸塩からなる蛍光体を製造するための湿式化学的方法、および白色LEDまたはいわゆるカラーオンデマンド(colour-on-demand)用途のためのLED変換蛍光体としてのこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーオンデマンドの概念は、1種または2種以上の蛍光体を用いるpcLEDによる、ある種の色位置(colour location)の光の発生を意味するものと解釈される。この概念は、例えば、例えば照明された企業ロゴ、商標などのためのある種の企業デザインを作成するために用いられる。
【0003】
近年では、光学スペクトルのUV光領域または青色光領域における励起に基づく青緑色光、黄緑色ないしオレンジ色光を発する蛍光体は、かつてない重要なものになった。これは、蛍光体を、白色光を発する機材用に用いることができるという事実のためである。特に、セリウムがドープされたガーネット蛍光体(YAG:Ce)が、種々の方向で用いられている(例えばEP 862794、WO 98/12757を参照)。しかし、これらは、これらが560nmより低い発光極大にて十分に高い効率を有するに過ぎないという欠点を有する。
【0004】
この理由のために、青色ダイオード(450〜490nm)と組み合わせた純粋なYAG:Ce蛍光体を、6000〜8000Kの間の色温度を有し、比較的低い色再現(色再現指数Raについての典型的な値は70〜75である)を有する低温白色光色を発生させるために用いることができるに過ぎない。これにより、応用可能性が大いに限定されることとなる。一方では、一般的に、白色光源を一般的な照明において用いる際のランプの色再現品質についてより高い要求がなされており、他方では、2700〜5000Kの色温度を有するより温暖な色の光が、特にヨーロッパおよび北アメリカにおいて、消費者によって好まれている。
【0005】
WO 00/33389にはさらに、青色LEDからの光を変換するための発光団として、とりわけ、Ba2SiO4:Eu2+を用いることが開示されている。しかし、蛍光体発光の極大は505nmにおいてであり、これは、このタイプの組み合わせを用いる白色光を発生させることが確実には可能ではないことを意味する。
【0006】
ケイ酸塩蛍光体は、白色LED用に、先の数年において開発された(WO 02/11214、WO 02/054502を参照)。さらに、これらの蛍光体をガス放電ランプ用に用いることができることが知られている(K.H. Butler "Fluorescent Lamp Phosphors" Pennsylvania Univ. Press, 1980を参照)。加えて、T.L. Barry, J. Electrochem. Soc. 1968, 1181には、(Ca,Sr)2SiO4:Euの均一であり、固体の二元混合物が体系的に研究されていることが記載されている。これらの蛍光体は、粉末としての酸化物出発物質を混合し、混合物を粉砕し、次に任意に還元雰囲気中で、1500℃までの温度で数日までにわたり炉中で粉砕した粉末をか焼することによって、固体拡散方法(混合して焼く方法)によって調製された。
【0007】
この結果、形態、粒度分布および基質量中の発光性活性化イオンの分布に関して不均等性を有する蛍光体粉末が生成する。さらに、伝統的な方法により作成されるこれらの蛍光体の形態、粒度分布および他の特性を困難を伴って調節することができるに過ぎず、再現するのは難しい。したがって、これらの粒子は、例えば特に、最適ではなく不均等な形態および粒度分布を有する当該蛍光体によってLEDチップが不均等にコーティングされ、この結果散乱により高度な損失プロセスが発生することなど、多数の欠点を有する。LEDチップの蛍光体コーティングが不均等であるのみならず、LEDからLEDへと再現可能でもないという事実により、これらのLEDを製造する際にさらなる損失が発生する。これにより、バッチ内でも発生するpcLEDsから発光された光の色位置の変動が生じる。
【0008】
LEDケイ酸塩蛍光体は、YAG:Ce系より高いCRIを得るために、単独で、または青色もしくはUV LED基質用の混合物中に用いられる。しかし、実際には、従来のケイ酸塩蛍光体は、YAG:Ce蛍光体より高い効率性および照度を示さない。加えて、高いバリウム濃度を有するいくつかの蛍光体は、使用中の加水分解感受性についての問題を有することが、報告されている(T.L. Barry, J. Electrochem. Soc. 1968, 1181を参照)。これらの欠陥により、ケイ酸塩蛍光体の効率性が低下する結果となる。
【0009】
DE 10 2005051063 A1には、精製プロセスにおいて残留した水の大部分を回収するために、非水性有機溶媒、例えばエタノールを用いる湿式化学的方法(湿式粉砕および湿式ふるい分け方法)によって調製された、発光効率が改善されたケイ酸塩をベースとする蛍光体が開示されている。
【発明の概要】
【0010】
したがって、本発明の目的は、1つまたは2つ以上の上記の欠点を有せず、暖かい白色光を生じる、白色LED用またはカラーオンデマンドアプリケーション用のアルカリ土類金属オルトケイ酸塩蛍光体を提供することにある。
【0011】
驚異的なことに、アルカリ土類金属オルトケイ酸塩蛍光体を湿式化学的方法により調製することによってこの目的が達成され、ここで複数の方法の変法が可能である。
【0012】
したがって、本発明は、式I
BawSrxCayEuzSiO4 (I)
式中、
w+x+y+z=2および
0.005<z<0.5である、
で表される蛍光体の製造方法であって、
a)塩類、硝酸塩、シュウ酸塩、水酸化物またはこれらの混合物の形態の、少なくとも2種のアルカリ土類金属およびユウロピウム含有ドーパントおよびケイ素含有化合物を、水、酸または塩基に溶解、分散または懸濁させ、
b)ケイ素含有化合物を加え、
c)無機または有機沈殿試薬をこの混合物に加え、
d)生成する蛍光体前駆体を、熱後処理によって完成した蛍光体に変換する
ことを特徴とする、前記方法に関する。
【0013】
ここで、w、x、yまたはzは、0〜2の値を採ることができる。
【0014】
本発明はさらに、上述の式Iで表される蛍光体を調製するための方法であって、
a)塩類、硝酸塩、シュウ酸塩、水酸化物またはこれらの混合物の形態の少なくとも2種のアルカリ土類金属およびユウロピウム含有ドーパントを、水、酸または塩基に溶解、分散または懸濁させ、
b)この溶液、分散体または懸濁液をケイ素含有混合物に加え、高温にて蛍光体前駆体に変換し、
c)その後、乾燥した蛍光体前駆体を熱後処理により完成した蛍光体に変換する
ことを特徴とする、前記方法に関する。
【0015】
用いるアルカリ土類金属出発物質は、所望の化学量論的比率のバリウム、ストロンチウムおよび/またはカルシウムのハロゲン化物、水酸化物または硝酸塩である。好ましいのは、対応する水酸化物または塩化物を用いることである。
【0016】
最初のプロセスにおける好適なケイ素含有化合物は、一般的に無機または有機ケイ素化合物である。用いる無機ケイ素化合物は、好ましくは微細に分散したSiO2ソルまたはゲルである。
【0017】
用いる有機ケイ素化合物は、好ましくは、式Si(OR)4で表され、式中R=メチル、エチル、プロピル、ブチルである予め濃縮した(precondensed)ケイ酸エステル類、例えばTES-28(登録商標)またはTES-40(登録商標)(Wacker)である。特に好ましいのは、Si(OEt)4を用いることである。
【0018】
用語「ケイ素含有混合物」は、上記で定義したように、ジカルボン酸、好ましくはシュウ酸および無機または有機ケイ素化合物の混合物を意味するものと解釈される。
【0019】
用いることができるドーパントは、一般的にすべての所望の水溶性ユウロピウム塩類であり、硝酸ユウロピウムおよび塩化ユウロピウムが好ましい。ユウロピウムのドーピング濃度が0.5〜50mol%であるのが、さらに好ましい。特に好ましくは2.0〜20mol%である。一般的に、10〜15mol%のユウロピウム濃度において、蛍光体の増大した吸収および結果として増大した光収率またはより大きい明度が生じる。より高いユウロピウム濃度は量子収量を低減し、したがって同様に低下した光収率がもたらされる。
【0020】
湿式化学的プロセスにより、蛍光体前駆体が得られ、これは熱後処理(か焼プロセス)により完成した蛍光体に変換される。
【0021】
以下の方法は、例えばハロゲン化または水酸化バリウム、ストロンチウムおよびユウロピウムとケイ素含有化合物との混合物からなる蛍光体の水性前駆体(「蛍光体前駆体」)の湿式化学前処理に好ましい:
・出発物質、好ましくはアルカリ土類金属水酸化物の有機ケイ素化合物、好ましくは有機ケイ酸テトラエチルとの反応
【0022】
・無機または有機ケイ素化合物、例えばSiO2またはSi(OEt)4を用いるシュウ酸塩沈殿
・無機または有機ケイ素化合物、例えばSiO2またはSi(OEt)4を用いる炭酸水素塩沈殿
【0023】
第1のプロセスの変法において、有機ケイ素化合物、好ましくはSi(OEt)4を、例えば対応する蛍光体出発物質およびユウロピウム含有ドーパントの水酸化物溶液に、上昇した温度にて加え、蛍光体前駆体の生成をもたらす。
【0024】
第2のプロセスの変法、いわゆるシュウ酸エステル沈殿において、先ずアルカリ土類金属ハロゲン化物をハロゲン化ユウロピウムと共に水に溶解し、ジカルボン酸および無機または有機ケイ素化合物からなるケイ素含有混合物に加える。粘性を増大させることにより、蛍光体前駆体の形成がもたらされる。
【0025】
第3のプロセスの変法、いわゆる炭酸水素塩沈殿において、先ずアルカリ土類金属出発物質、好ましくはアルカリ土類金属ハロゲン化物を、ユウロピウム含有ドーパントと共に水に溶解し、その後無機または有機ケイ素含有化合物を加える。沈殿を、炭酸水素塩溶液を用いて行い、蛍光体前駆体のゆっくりとした生成がもたらされる。
【0026】
完成した蛍光体を得るための蛍光体前駆体の熱後処理を、高温炉中で、コランダムるつぼ内温度1000〜1400℃にて何時間にもわたり所定量の前駆体をか焼することにより行う。粗製の蛍光体ケークを粉末状にし、洗浄し、ふるい分けする。ここで、高温炉を、回転管状炉、チャンバー炉、管状炉または流動層反応器とすることができ、ここでチャンバー炉を好ましくは用いる。
【0027】
前述の熱後処理において、か焼を少なくとも部分的に還元条件下(例えば一酸化炭素、フォーミングガスもしくは水素を用いて、または少なくとも真空もしくは酸素欠乏雰囲気で)で行うのが好ましい。
本発明の蛍光体の粒径は、50nm〜50μm、好ましくは1μm〜25μmである。
【0028】
無機塩を、熱後処理の前または間に融点を降下させるためのフラクシング剤(fluxing agent)として加えるのが、さらに好ましい場合がある。用いることができる無機塩類は、用いる出発物質の量を基準として0.5〜80%、好ましくは1〜5%の量での塩化物、好ましくは塩化アンモニウム、または硝酸塩もしくは塩素酸塩である。
【0029】
他の好ましい態様において、蛍光体は、LEDチップの反対側上に、構造化された(例えばピラミッド状)表面を有する(DE 102006054330.0、Merckを参照。これを、この全範囲において本出願の文脈中に参照により導入する)。これにより、蛍光体からの可能な限り多大な光を組み合わせる(coupled)ことが可能になる。
【0030】
蛍光体上の構造化された表面は、すでに構造化された好適な材料でその後コーティングすることによって、または、(フォト)リソグラフィープロセス、エッチングプロセスによる、またはエネルギーもしくは材料ビーム(material beam)もしくは機械力の作用を用いる書き込みプロセス(writing process)による以降の段階において、作成される。
【0031】
他の好ましい態様において、本発明の蛍光体は、LEDチップの反対側に、SiO2、TiO2、Al2O3、ZnO2、ZrO2および/またはY2O3またはこれらの物質の組み合わせのナノ粒子、あるいは蛍光体組成物を含む粒子のナノ粒子を担持する粗面を有する。ここで、粗面は、数百nmまでの粗さを有する。被覆表面は、全反射を低減または防止することができ、本発明の蛍光体からの光をより良好に組み合わせることができるという利点を有する(DE 102006054330.0(Merck)を参照。これを、この全範囲において本出願の文脈中に参照により導入する)。
【0032】
さらに、本発明の蛍光体が、チップに向いていない表面において屈折率が適合された層を有するのが好ましく、これにより、一次放射線および/または蛍光体素子により発せられる放射線の組み合わせが単純化される。
【0033】
他の好ましい態様において、蛍光体は、SiO2、TiO2、Al2O3、ZnO、ZrO2および/またはY2O3またはこれらの混合酸化物からなる密閉コーティング(closed coating)を有する。この表面コーティングは、コーティング材料の屈折率の好適な目盛り付けにより、周囲(environment)への屈折率の適合を達成することができるという利点を有する。この場合において、蛍光体の表面における光の散乱は低減され、より大きい比率の光が蛍光体中に差し込み、吸収され、変換され得る。加えて、全体的な内面反射が低減するため、屈折率が適合された表面コーティングは、蛍光体からのより多くの光を組み合わせるのを可能にする。
【0034】
加えて、蛍光体をカプセル封入しなければならない場合には、密閉層は有利である。これは、周辺の水または他の物質の拡散に対する蛍光体またはその一部の感受性に対処するために必要であり得る。密閉された覆いでカプセル封入することの他の理由は、チップ中で発生する熱からの実際の蛍光体の熱的デカップリング(thermal decoupling)である。この熱により、蛍光体の蛍光収率の低下がもたらされ、また蛍光の色に影響を及ぼし得る。最後に、このタイプのコーティングは、蛍光体において発生する格子振動が周囲に伝播するのを防止することによって、蛍光体の効率の増大を可能にする。
【0035】
加えて、SiO2、TiO2、Al2O3、ZnO、ZrO2および/またはY2O3またはこれらのもしくは蛍光体組成物の混合酸化物からなる多孔性表面コーティングを有する蛍光体を当該方法により調製するのが好ましい。これらの多孔性コーティングは、単一層の屈折率をさらに低減する可能性を提供する。全範囲において本出願の文脈中に参照により導入するWO 03/027015に記載されているように、このタイプの多孔性コーティングを、3つの従来の方法により製造することができる:ガラス(例えばソーダ石灰ガラス(US 4019884を参照))のエッチング、多孔質層の適用および多孔質層とエッチングプロセスとの組み合わせ。
【0036】
他の好ましい態様において、蛍光体は、好ましくはエポキシまたはシリコーン樹脂からなる、周囲への化学結合を容易にする官能基を担持する表面を有する。これらの官能基は、例えば、オキソ基を介して結合しており、エポキシドおよび/またはシリコーンをベースとするバインダーの成分への結合を形成することができるエステル類または他の誘導体であり得る。このタイプの表面は、蛍光体のバインダー中への均一な混合が容易になるという利点を有する。さらに、したがって、蛍光体/バインダー系のレオロジー的特性およびまたポット寿命を、ある程度調節することができる。混合物の加工は、このように単純化される。
【0037】
LEDチップに適用される本発明の蛍光体層が好ましくはシリコーンおよび均一な蛍光体粒子の混合物からなり、シリコーンが表面張力を有するため、この蛍光体層は微視的なレベルにおいて不均一であるか、または層の厚さは完全に一定ではない。
【0038】
本発明はさらに、本発明の方法により調製された、式I
BawSrxCaySiO4:zEu2+ (I)
式中、
w+x+y+z=2および
0.005<z<0.5である、
で表される蛍光体に関する。この蛍光体は、好ましくは、構造化された表面あるいはSiO2、TiO2、Al2O3、ZnO、ZrO2および/もしくはY2O3またはこれらの混合酸化物のナノ粒子または蛍光体組成物を含む粒子のナノ粒子を担持する粗面を有する。
【0039】
さらに、式Iで表されるこの蛍光体がSiO2、TiO2、Al2O3、ZnO、ZrO2および/またはY2O3またはこれらの混合酸化物からなる密閉性のまたは多孔性の表面コーティングを有するのが好ましい。
さらに、蛍光体の表面が、好ましくはエポキシまたはシリコーン樹脂を含む周囲への化学結合を容易にする官能基を担持するのが好ましいだろう。
【0040】
前述のプロセスの補助により、蛍光体粒子のあらゆる所望の外形、例えば球状粒子、薄片および構造化された材料およびセラミックスを製造することができる。
【0041】
さらに好ましい態様として、薄片形態の蛍光体を、対応する金属および/または希土類金属塩類から、従来の方法により調製する。調製方法はEP 763573およびDE 102006054331.9に詳細に記載されており、これらを、これらの全範囲において本出願の文脈中に参照により導入する。極めて大きいアスペクト比、原子的に平滑な表面および調整可能な厚さを有する、例えば雲母薄片、SiO2薄片、Al2O3薄片、ZrO2薄片、ガラス薄片またはTiO2薄片の、天然の、または合成により作成された、高度に安定な支持体または基板を、水性分散体または懸濁液における沈殿反応によって蛍光体層でコーティングすることにより、これらの薄片形態の蛍光体を調製することができる。
【0042】
雲母、ZrO2、SiO2、Al2O3、ガラスもしくはTiO2またはこれらの混合物以外に、薄片はまた、蛍光体材料自体からなるかまたは材料から構築され得る。薄片自体が単に蛍光体コーティングに対する支持体として作用を奏するに過ぎない場合には、後者は、LEDから一次放射線に対して透明である材料からなるか、または一次放射線を吸収し、このエネルギーを蛍光体層に伝送しなければならない。薄片形態の蛍光体を、樹脂(例えばシリコーンまたはエポキシ樹脂)中に分散させ、この分散体をLEDチップに適用する。
【0043】
薄片形態の蛍光体を、50nm〜約20μm、好ましくは150nm〜5μmの厚さで、大きい産業的規模で製造することができる。直径はここで、50nm〜20μmである。
【0044】
これは、一般的に、1:1〜400:1、特に3:1〜100:1のアスペクト比(直径対粒子の厚さの比率)を有する。
薄片の大きさ(長さ×幅)は、配置に依存する。特にこれらが特に小さい寸法を有する場合には、薄片はまた、変換層内に散在する中心部として適する。
【0045】
LEDチップに面する本発明の薄片形態の蛍光体の表面は、LEDチップにより発せられた一次放射線に関する反射低減作用を有するコーティングを備えていることができる。この結果、一次放射線の後方散乱の低減がもたらされ、本発明の蛍光体素子中へ後者を組み合わせることを増強する。
【0046】
この目的に適するのは、例えば屈折率が適合されたコーティングであり、以下の厚さd:d=[LEDチップからの一次放射線の波長/(4×蛍光体セラミックの屈折率)]を有しなければならない(例えば、Gerthsen, Physik [Physics], Springer Verlag, 18th Edition, 1995を参照)。このコーティングはまた、フォトニック結晶からなっていてもよく、これはまた、特定の機能を達成するために薄片形態の蛍光体の表面を構造化することを含む。
【0047】
セラミックス素子の形態の本発明の蛍光体の調製を、DE 102006037730 (Merck)に記載されている方法と同様に行い、これを、参照によりこの全範囲において本出願の文脈中に包含する。蛍光体をここで、対応する出発物質とドーパントとを湿式化学的方法により混合し、その後混合物を平衡に加圧し、均一であり、薄い、無孔の薄片の形態のチップの表面に混合物を直接適用することにより、調製する。蛍光体の励起および放出の位置に依存する変化はしたがって発生せず、これにより提供されるLEDは恒常的な色の均一な光円錐(light cone)を発し、高い発光力(luminous power)を有することとなる。
【0048】
セラミックス蛍光体素子を、大産業的規模で、例えば数百nm〜約500μmの厚さの薄片として、製造することができる。薄片の大きさ(長さ×幅)は、配置に依存する。チップに直接適用する場合において、薄片の寸法は、好適なチップ配置(例えばフリップチップ配置)の場合において、チップの大きさ(約100μm×100μmないし数mm2)に従って、チップ表面より約10%〜30%過剰な大きさで、またはそれに相当するように選択しなければならない。蛍光体薄片を完成したLEDの最上部に装着する場合には、発せられた光円錐はすべて、薄片に回収される。
【0049】
セラミックス蛍光体素子の側面を、軽金属または貴金属、好ましくはアルミニウムまたは銀で金属化することができる。金属化は、光が蛍光体要素から側方に進出しないという効果を有する。側方に進出する光は、LEDから組み合わせて放出される光束を低減し得る。セラミックス蛍光体素子の金属化を、平衡加圧の後のプロセス段階において行い、棒状または薄片状にて得、ここで、所望により、この棒状または薄片状のものを、金属化の前に所要の大きさに切断することができる。このために、側面を、例えば硝酸銀およびグルコースの溶液で湿潤させ、その後上昇した温度にてアンモニア雰囲気に曝露する。この操作の間、例えば、銀コーティングが側面上に形成する。
【0050】
あるいはまた、無電解金属化法が、好適である。例えば、Hollemann-Wiberg, Lehrbuch der anorganischen Chemie [Textbook of Inorganic Chemistry], Walter de Gruyter VerlagまたはUllmanns Enzyklopaedie der chemischen Technologie [Ullmann's Encyclopaedia of Chemical Technology]を参照。
セラミックス蛍光体素子を、必要に応じて、水ガラス溶液を用いてLEDチップの基板に固定することができる。
【0051】
他の態様において、セラミックス蛍光体素子は、LEDチップの反対側上に構造化された(例えばピラミッド状の)表面を有する。これにより、可能な限り多量の光を蛍光体素子に組み合わせるのが可能になる。蛍光体素子上の構造化された表面を、構造化されたプレスプレートを有する型を用いて静水圧プレス成形を行い、それにより構造を表面中に浮き彫りにして作成する。目的が、可能な限り薄い蛍光体素子または薄片を作成することにある場合には、構造化された表面が所望される。押圧条件は、当業者に知られている(J. Kriegsmann, Technische keramische Werkstoffe [Industrial Ceramic Materials], 第4章、Deutscher Wirtschaftsdienst, 1998を参照)。用いる押圧温度が、押圧される物質の融点の2/3〜5/6であるのが重要である。
【0052】
加えて、本発明の蛍光体は、約120nm〜530nm、好ましくは254nm〜約480nmに及ぶ広範囲にわたって励起することができる。したがって、これらの蛍光体は、UVまたは青色発光一次光源、例えばLED、または従来の放電ランプ(例えばHgをベースとする)による励起に適するのみならず、451nmにて青色In3+線を用いるもののような光源にも適する。
【0053】
本発明はさらに、発光極大が120nm〜530nm、好ましくは254nm〜約480nmの範囲内にある少なくとも1つの一次光源を有する照明ユニットに関し、ここで一次放射線は、本発明の蛍光体により、より長い波長の放射線に部分的に、または完全に変換される。
【0054】
本発明において、用語「照明ユニット」は、以下の構成要素または成分を包含する:
・紫外線または青色光を発光するための少なくとも1つの一次光源、
・一次光源と直接的にまたは間接的に接触して位置する少なくとも1つの変換蛍光体、
・任意に、照明ユニットをカプセル封入するための透明な密封樹脂(例えばエポキシまたはシリコーン樹脂)、
・任意に、一次光源が搭載され、電気エネルギーを一次光源に供給するための少なくとも2つの電気的接続を有する、支持素子、
・任意に、二次的な光学配置、例えばレンズ、鏡、プリズムまたはフォトニック結晶。
【0055】
この照明ユニットは、好ましくは白色光を発するか、または特定の色位置(カラーオンデマンドの原理)を有する光を発する。本発明の照明ユニットの好ましい態様を、図1〜12に記載する。
【0056】
本発明の照明ユニットの好ましい態様において、光源は発光性窒化インジウムアルミニウムガリウム、特に式IniGajAlkNで表され、式中、0≦i、0≦j、0≦kおよびi+j+k=1であるものである。
このタイプの光源の可能な形態は、当業者に知られている。これらは、種々の構造を有する発光LEDチップであり得る。
【0057】
本発明の照明ユニットの他の好ましい態様において、光源は、ZnO、TCO(透明な導電性酸化物)、ZnSeもしくはSiCをベースとする発光配置または有機発光層(OLED)をベースとする配置である。
【0058】
本発明の照明ユニットの他の好ましい態様において、光源は、エレクトロルミネセンスおよび/またはフォトルミネセンスを示す源である。光源はさらに、またプラズマまたは放電源であってもよい。
【0059】
本発明の蛍光体を、樹脂(例えばエポキシもしくはシリコーン樹脂)中に分散させるか、または好適な大きさの比率を前提として、一次光源上に直接配置するか、または用途に依存して、一時光源から遠隔させて配置することができる(後者の配置はまた、「遠隔蛍光体技術」を含む)。遠隔蛍光体技術の利点は、当業者に知られており、例えば以下の刊行物中で明らかにされている:Japanese Journ. of Appl. Phys. Vol 44, No. 21 (2005). L649-L651。
【0060】
他の態様において、蛍光体と一次光源との間の照明ユニットの光学的連結が、光伝導性配置により達成されるのが好ましい。これにより、一次光源が中央位置に設置され、光伝導性装置、例えば光伝導性繊維により蛍光体に光学的に連結することが可能になる。このようにして、照明の願望と整合し、単に1種のまたは種々の蛍光体(配置して光スクリーンを形成してもよい)および、一次光源に結合する1種または2種以上の光伝導体からなるランプを達成することができる。このようにして、強力な一次光源を、電気設備に好ましい位置に配置し、任意の所望の位置において光伝導体に結合する蛍光体を含むランプを、さらに電気的配線を施さず、代わりに単に光伝導体を据えることのみにより設置することが可能である。
【0061】
さらに、真空UV(<200nm)および/またはUV領域において光を発する一次光源が、本発明の蛍光体と組み合わせて、少なくとも10nmの半値幅を有する発光帯を有するのが、本発明において好ましい。
【0062】
本発明はさらに、本発明の蛍光体を、発光ダイオードからの青色または近UV発光を部分的に、または完全に変換するために用いることに関する。
【0063】
本発明の蛍光体を、さらに好ましくは、青色または近UV発光を視覚可能な白色放射線に変換するために用いる。本発明の蛍光体を、さらに好ましくは、「カラーオンデマンド」概念に従って一次放射線を特定の色位置に変換するために用いる。
【0064】
本発明はさらに、例えば硫化亜鉛またはMn2+、Cu+もしくはAg+がドープされた硫化亜鉛をエミッタとして用いた、黄緑色領域において発光するエレクトロルミネセントフィルム(また発光フィルムまたは光フィルムとして知られている)などのエレクトロルミネセント材料において本発明の蛍光体を用いることに関する。エレクトロルミネセントフィルムの適用の領域は、例えば広告、液晶ディスプレイ画面(LCディスプレイ)および薄膜トランジスタ(TFT)ディスプレイにおけるディスプレイバックライト、字光式(self-illuminating)車両ナンバープレート、床の図形(耐圧壊性(crush-resistant)および滑り止め積層体と組み合わせて)、例えば自動車、列車、船舶および航空機におけるディスプレイおよび/または制御素子、あるいはまた屋内電気器具、園芸機材、測定器具またはスポーツおよびレジャー機材である。
【0065】
以下の例は、本発明を例示することを意図する。しかし、これらを、いかなる方法によっても限定的であると考慮するべきではない。組成物において用いることができるすべての化合物または構成成分は、知られており、商業的に入手できるか、または既知の方法によって合成することができる。例において示す温度は、常に℃で示す。さらに、記載およびまた例の両方において、組成物中の構成成分の添加量は、常に合計100%まで加えられる。示す百分率のデータは、常にこの所定の関係にあると見なすべきである。しかし、これらは通常常に、示す部分量または合計量の重量に関する。
【0066】
例
例1:アルカリ土類金属水酸化物のオルトケイ酸テトラエチルとの反応による蛍光体Ba0.345Sr1.6Eu0.055SiO4の調製
55.18gのBa(OH)2x8H2O(特別に純粋な等級、Merck KGaA)、212.496gのSr(OH)2x8H2O(特別に純粋な等級、Merck KGaA)および10.08gのEuCl3x6H2O(分析的等級ACS、Treibacher Industrie AG)を、120℃にて油浴(精密なガラス撹拌器)中で、500mlの3つ首フラスコ中で、20mlの脱イオン水を加えて撹拌する。ペースト状のコンシステンシーが生成する。さらに60分間の撹拌後、混合物は低い粘度を有する。
【0067】
104.164gのオルトケイ酸テトラエチル(分析的等級、Merck KGaA)を、撹拌しながら迅速に加える。そこで、懸濁液は増粘化する。さらに20mlの脱イオン水を加え、そこで再び低粘度の混合物が得られる。
60分後、加熱をスイッチオフし、混合物を撹拌しながら約50℃に冷却する。
250mlのアセトンを加え、懸濁液を室温にゆっくり冷却し、一晩撹拌する。
沈殿物を吸引により濾別し、150mlのアセトンで洗浄し、その後真空中で乾燥する。
【0068】
例2:高度に分散性の二酸化ケイ素を用いたシュウ酸塩沈殿からの蛍光体Ba0.345Sr1.6Eu0.055SiO4の調製
126.07gのシュウ酸二水和物を、1.236lの脱イオン水に溶解する。12.016gの二酸化ケイ素を加える。16.855gの塩化バリウム二水和物(分析的等級、Merck KGaA)、85.288gの塩化ストロンチウム六水和物(分析的等級、Merck KGaA)および4.030gの塩化ユウロピウム六水和物(分析的等級ACS、Treibacher Industrie AG)を、200mlの脱イオン水に溶解し、撹拌しながら30分にわたりシュウ酸二水和物/二酸化ケイ素溶液に滴加する。滴加の間、温度は15℃に降下する。次に、混合物を2時間還流させ、一晩放置して冷却し、翌日に吸引により濾過する。
生成物を、75℃にて24時間わずかな減圧下で乾燥する。
【0069】
例3:オルトケイ酸テトラエチルを用いたシュウ酸塩沈殿からの蛍光体Ba0.345Sr1.6Eu0.055SiO4の調製
126.07gのシュウ酸二水和物を、1.236lの脱イオン水に溶解する。
41.66gのオルトケイ酸テトラエチルを加える。16.855gの塩化バリウム二水和物(分析的等級ACS, ISO reag. Ph Eur, Merck KGaA)、85.288gの塩化ストロンチウム六水和物(分析的等級、Merck KGaA)および4.030gの塩化ユウロピウム六水和物(分析的等級ACS、Treibacher Industrie AG)を、200mlの脱イオン水に溶解し、撹拌しながら30分にわたりシュウ酸二水和物/二酸化ケイ素溶液に滴加する。
【0070】
滴加の開始時に、温度は16℃に降下するが、次にさらに滴加する際に上昇する。次に、混合物を3時間還流させ、室温に冷却し、吸引により濾過する。生成物を、75℃にて24時間わずかな減圧下で乾燥する。
【0071】
例4:高度に分散性の二酸化ケイ素を用いた炭酸水素塩沈殿からの蛍光体Ba0.345Sr1.6Eu0.055SiO4の調製
16.9gのBaCl2x2H2O(分析的等級、Merck KGaA)、85.3gのSrCl2x6H2O(分析的等級、Merck KGaA)および4.0gのEuCl3x6H2O(分析的等級ACS、Treibacher Industrie AG)を、1000mlの3つ首フラスコ中で360mlの脱イオン水に溶解する。12.0gのSiO2を加える。79.1gの炭酸水素アンモニウムを、18℃にて加える→激しい発泡(激しいガスの発生)および+7℃への吸熱性(endothermicity)。
得られた懸濁液を、88℃に加温し(浴温度は100℃)、2時間撹拌する。得られた懸濁液を、一晩20℃に冷却し、結晶を洗浄せずに吸引により濾別する。母液は透明であり、無色である(pH9)。
【0072】
例5:オルトケイ酸テトラエチルを用いた炭酸水素塩沈殿からの蛍光体Ba0.345Sr1.6Eu0.055SiO4の調製
16.9gのBaCl2x2H2O(分析的等級、Merck KGaA)、85.3gのSrCl2x6H2O(分析的等級、Merck KGaA)および4.0gのEuCl3x6H2O(分析的等級ACS、Treibacher Industrie AG)を、1000mlの3つ首フラスコ中で360mlの脱イオン水に溶解する。41.7gのオルトケイ酸テトラエチル(合成的等級、Merck KGaA)を加える。79.1gの炭酸水素アンモニウムを、17℃にて加える→激しい発泡(激しいガスの発生)および+7℃への吸熱性。得られた懸濁液を、88℃に加温し(浴温度は100℃)、2時間撹拌する。得られた懸濁液を、一晩20℃に冷却し、結晶を塩非含有となるまで洗浄し、吸引により濾別する。
【0073】
次に、例1および5からの前駆体を、還元フォーミングガス雰囲気中で行う1200℃でのか焼プロセスにおいて、蛍光体に変換する。このために、前駆体を、250mlのコランダムるつぼ中に導入し、5重量%の塩化アンモニウムで覆い、振盪により圧縮し、その後5時間か焼する。その後、完成した粗製の蛍光体ケークを、モルタルミル(mortar mill)中で粉砕し、次に洗浄し、乾燥し(T=120℃)、ふるい分けする。
【0074】
比較例6:従来の固体反応方法による蛍光体Ba0.345Sr1.6Eu0.055SiO4の調製
1molの蛍光体について、上記の式の組成に相当する化学量論量のBaCO3、SrCO3、Eu2O3およびSiO4を、0.2〜0.3molのNH4Clと共に、ボールミルで5時間にわたり激しく粉砕する。
均一な開始混合物を、コランダムるつぼ中に導入し、還元性雰囲気(フォーミングガスN2/H2)下で3〜10時間1200〜1400℃にて反応させる。
【0075】
得られた粗製の蛍光体を、微細に粉砕し、脱イオン水で4〜5回洗浄し、その後濾過し、数時間にわたり乾燥キャビネット中で100℃にて残留水分を除去する。乾燥した蛍光体を、目的の粒子の大きさに応じて乾式ふるい分けする(dry-sieve)。
【図面の簡単な説明】
【0076】
本発明を、多数の例示的態様を参照して以下により詳細に説明する。図1〜12は、種々の照明ユニットを記載し、これらはすべて、本発明のオルトケイ酸塩蛍光体を含む:
【0077】
【図1】図1は、蛍光体含有コーティングを有する発光ダイオードの線図を示す。構成要素は、放射線源としてのチップ状発光ダイオード(LED)1を含む。発光ダイオードは、カップ形状の反射体中に設置されており、これは、調整フレーム2により保持されている。チップ1は、フラットケーブル7を介して第1の接点6に、および第2の電気的接点6’に直接接続している。本発明の変換蛍光体を含むコーティングは、反射体カップの内側の湾曲に適用されている。蛍光体を、互いに別個に、または混合物の形態で用いる。(部品の符号のリスト:1 発光ダイオード、2 反射体、3 樹脂、4 変換蛍光体、5 ディフューザ(diffuser)、6 電極、7 フラットケーブル)
【0078】
【図2】図2は、白色光用光源(LED)として作用するInGaNタイプのCOB(チップオンボード)パッケージを示す(1=半導体チップ;2,3=電気的接続;4=変換蛍光体;7=ボード)。蛍光体はバインダーレンズ中で分配され、これは同時に二次的な光学素子を表し、レンズとして発光特徴に影響する。
【0079】
【図3】図3は、白色光用光源(LED)として作用するInGaNタイプのCOB(チップオンボード)パッケージを示す(1=半導体チップ;2,3=電気的接続;4=変換蛍光体;7=ボード)。蛍光体は、LEDチップ上に直接分布する薄いバインダー層中に位置する。透明な材料からなる二次的光学素子を、この上に配置することができる。
【0080】
【図4】図4は、白色光用光源(LED)として作用するパッケージの1つのタイプを示す(1=半導体チップ;2,3=電気的接続;4=反射体を有する空洞中の変換蛍光体)。変換蛍光体はバインダー中に分散し、この混合物は空洞を充填する。
【0081】
【図5】図5は、第2のタイプのパッケージを示し、ここで、1=ハウジングプレート;2=電気的接続;3=レンズ;4=半導体チップである。この設計は、フリップチップ設計であるという利点を有し、ここでより大きい比率のチップからの光を、ベース上の透明な基板および反射体によって光源の目的のために用いることができる。加えて、この設計では熱消散が好ましい。
【0082】
【図6】図6は、パッケージを示し、ここで1=ハウジングプレート;2=電気的接続;4=半導体チップであり、レンズの下の空洞は、本発明の変換蛍光体で完全に充填されている。このパッケージは、より多量の変換蛍光体を用いることができるという利点を有する。後者はまた、遠隔の蛍光体として作用することができる。
【0083】
【図7】図7は、SMDパッケージ(表面実装したパッケージ)を示し、ここで1=ハウジング;2,3=電気的接続;4=変換層である。半導体チップは、本発明の蛍光体により完全に覆われている。SMD設計は、小さい物理的形状を有し、したがって従来の光源に収まるという利点を有する。
【0084】
【図8】図8は、T5パッケージを示し、ここで1=変換蛍光体;2=チップ;3,4=電気的接続;5=透明な樹脂を有するレンズである。変換蛍光体は、LEDチップの背面に位置し、これは、蛍光体が金属的接続を介して冷却されるという利点を有する。
【0085】
【図9】図9は、発光ダイオードの線図を示し、ここで1=半導体チップ;2,3=電気的接続;4=変換蛍光体;5=ボンドワイヤであり、ここで蛍光体は、最上部の球体としてバインダー中に適用される。蛍光体/バインダー層のこの形状は、二次的光学素子として作用し、例えば光伝播に影響し得る。
【0086】
【図10】図10は、発光ダイオードの線図を示し、ここで1=半導体チップ;2,3=電気的接続;4=変換蛍光体;5=ボンドワイヤであり、ここで蛍光体を、バインダー中に分散した薄層として適用する。二次的光学素子として作用する他の構成要素、例えばレンズ、をこの層に容易に適用することができる。
【0087】
【図11】図11は、すでにUS-B 6,700,322から原理上知られている他の用途の例を示す。本発明の蛍光体を、ここでOLEDと共に用いる。光源は、実在の有機フィルム30および透明な基材32からなる有機発光ダイオード31である。フィルム30は、特に、例えばPVK:PBD:クマリン(PVK、ポリ(n−ビニルカルバゾール)の略語;PBD、2-(4−ビフェニル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールの略語)により発生した、青色の一次光を発する。発光は、本発明の蛍光体の層33により形成される被覆層によって、黄色の、二次的に発せられた光に部分的に変換され、一次的におよび二次的に発せられた光の色混合により、全体で白色の発光を生じる。
【0088】
OLEDは本質的に、発光ポリマーの少なくとも1つの層または2つの電極、これは、例えばITO(酸化スズインジウムの略語)をアノードとしておよび例えばBaまたはCaなどの高度に反応性の金属をカソードとしてなど、それ自体知られている材料からなる、の間のいわゆる小分子からなる。複数の層をまた、しばしば電極間で用い、これは、正孔輸送層として作用するか、または小分子の領域においてはまた電子輸送層として作用する。用いる発光ポリマーは、例えばポリフルオレン類またはポリスピロ材料である。
【0089】
【図12】図12は、WO 2005/061659と同様にインジウム充填および緩衝ガスを含む、水銀非含有ガスフィリング21を有する低圧ランプ20を示し(図式的)、ここで本発明の蛍光体の層22が適用されている。
【0090】
【図13】図13は、1=炭酸水素塩沈殿により調製した本発明の蛍光体Ba0.345Sr1.6Eu0.055SiO4;2=従来の固体反応法(比較例6を参照)により調製した、1と同一の組成を有する蛍光体の、励起スペクトルの比較を示す。
【0091】
【図14】図14は、1=炭酸水素塩沈殿により調製した本発明の蛍光体Ba0.345Sr1.6Eu0.055SiO4;2=従来の固体反応法により調製した、1の下と同一の組成を有する蛍光体の、発光スペクトルの比較を示す。蛍光体2は、蛍光体1よりも高い光強度または光収率を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
BawSrxCaySiO4:zEu2+ (I)
式中、
w+x+y+z=2、
0.005<z<0.5である、
で表される蛍光体の製造方法であって、
a)塩類、硝酸塩、シュウ酸塩、水酸化物またはこれらの混合物の形態の、少なくとも2種のアルカリ土類金属およびユウロピウム含有ドーパントを、水、酸または塩基に溶解または懸濁させ、
b)ケイ素含有化合物を加え、
c)無機または有機沈殿試薬をこの混合物に加え、
d)生成する蛍光体前駆体を、熱後処理によって完成した蛍光体に変換する
ことを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
式I
BawSrxCaySiO4:zEu2+ (I)
式中、
w+x+y+z=2、
0.005<z<0.5である、
で表される蛍光体の製造方法であって、
a)塩類、硝酸塩、シュウ酸塩、水酸化物またはこれらの混合物の形態の少なくとも2種のアルカリ土類金属およびユウロピウム含有ドーパントを、水、酸または塩基に溶解、分散または懸濁させ、
b)この溶液、分散体または懸濁液をケイ素含有混合物に加え、高温にて蛍光体前駆体に変換し、
c)その後、乾燥した蛍光体前駆体を熱後処理により完成した蛍光体に変換する
ことを特徴とする、前記方法。
【請求項3】
無機塩を熱後処理の前またはこの間に流動化剤として加えることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ケイ素含有化合物が、有機ケイ素化合物、好ましくはケイ酸エステルであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ケイ素含有化合物が、無機ケイ素化合物、好ましくは微細に分散したSiO2ゾルまたはゲルであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ケイ素含有混合物が、ジカルボン酸、好ましくはシュウ酸および無機ケイ素化合物、好ましくは二酸化ケイ素からなることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
ケイ素含有混合物が、ジカルボン酸、好ましくはシュウ酸および有機ケイ素化合物、好ましくはケイ酸エステルからなることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
熱後処理を、還元フォーミングガス雰囲気中で行うことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
熱後処理を、熱反応器、例えば回転管状炉、チャンバ炉もしくは管状炉中で、または流動層反応器中で行うことを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
蛍光体の表面をさらに構造化することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
蛍光体がさらに、SiO2、TiO2、Al2O3、ZnO、ZrO2および/またはY2O3またはこれらの混合酸化物のナノ粒子、あるいは蛍光体組成物のナノ粒子を担持する粗面を備えていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
蛍光体の表面に、さらにSiO2、TiO2、Al2O3、ZnO、ZrO2および/またはY2O3またはこれらの混合酸化物の密閉コーティングを施すことを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
蛍光体の表面に、SiO2、TiO2、Al2O3、ZnO、ZrO2および/またはY2O3またはこれらの混合酸化物あるいは蛍光体組成物の多孔質コーティングを施すことを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
蛍光体の表面にさらに、好ましくはエポキシまたはシリコーン樹脂を含む、周囲への化学結合を容易にする官能基を提供することを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに従って調製された、式I
BawSrxCaySiO4:zEu2+ (I)
式中、
w+x+y+z=2、
0.005<z<0.5である、
で表される蛍光体であって、
構造化された表面を有することを特徴とする、前記蛍光体。
【請求項16】
SiO2、TiO2、Al2O3、ZnO、ZrO2および/またはY2O3またはこれらの混合酸化物のナノ粒子、あるいは蛍光体組成物を含む粒子のナノ粒子を担持する粗面を有することを特徴とする、請求項15に記載の蛍光体。
【請求項17】
SiO2、TiO2、Al2O3、ZnO、ZrO2および/またはY2O3またはこれらの混合酸化物からなる密閉表面コーティングを有することを特徴とする、請求項15に記載の蛍光体。
【請求項18】
SiO2、TiO2、Al2O3、ZnO、ZrO2および/またはY2O3またはこれらの混合酸化物からなる多孔質表面コーティングを有することを特徴とする、請求項15に記載の蛍光体。
【請求項19】
表面が、好ましくはエポキシまたはシリコーン樹脂からなる、周囲への化学結合を容易にする官能基を担持することを特徴とする、請求項10〜13のいずれかに記載の蛍光体。
【請求項20】
発光極大が120〜530nm、好ましくは254nm〜480nmの範囲内にある少なくとも1つの一次光源を有し、ここでこの放射線が、請求項15〜19のいずれかに記載の蛍光体により、より長い波長の放射線に部分的に、または完全に変換される、照明ユニット。
【請求項21】
光源が、特に式IniGajAlkNで表され、式中、0≦i、0≦j、0≦kおよびi+j+k=1である発光性窒化インジウムアルミニウムガリウムであることを特徴とする、請求項20に記載の照明ユニット。
【請求項22】
光源が、ZnO、TCO(透明な導電性酸化物)、ZnSeまたはSiCをベースとする発光化合物であることを特徴とする、請求項20に記載の照明ユニット。
【請求項23】
光源が、有機発光層をベースとする材料であることを特徴とする、請求項20に記載の照明ユニット。
【請求項24】
光源が、エレクトロルミネセンスおよび/またはフォトルミネセンスを示す源であることを特徴とする、請求項20〜23のいずれかに記載の照明ユニット。
【請求項25】
光源がプラズマまたは放電源であることを特徴とする、請求項20に記載の照明ユニット。
【請求項26】
蛍光体が、一次光源上に直接配置されており、かつ/またはそこから離間していることを特徴とする、請求項20〜25のいずれかに記載の照明ユニット。
【請求項27】
蛍光体と一次光源との間の光学的カップリングを光伝導性配置により達成することを特徴とする、請求項20〜26のいずれかに記載の照明ユニット。
【請求項28】
真空UVおよび/またはUVにおける光および/または可視スペクトルの青色および/または緑色領域を発する一次光源が、請求項15〜19のいずれかに記載の蛍光体と組み合わせて、少なくとも10nmの半値幅を有する発光帯を有することを特徴とする、請求項20〜27のいずれかに記載の照明ユニット。
【請求項29】
請求項15〜19のいずれかに記載の式Iで表される少なくとも1種の蛍光体の、発光ダイオードからの青色または近UV発光を部分的に、または完全に変換するための変換蛍光体としての使用。
【請求項30】
請求項15〜19のいずれかに記載の式Iで表される少なくとも1種の蛍光体の、カラーオンデマンド概念にしたがって特定の色点に一次放射線を変換するための変換蛍光体としての使用。
【請求項31】
請求項15〜19のいずれかに記載の式Iで表される少なくとも1種の蛍光体の、青色または近UV発光を可視白色放射線に変換するための使用。
【請求項1】
式I
BawSrxCaySiO4:zEu2+ (I)
式中、
w+x+y+z=2、
0.005<z<0.5である、
で表される蛍光体の製造方法であって、
a)塩類、硝酸塩、シュウ酸塩、水酸化物またはこれらの混合物の形態の、少なくとも2種のアルカリ土類金属およびユウロピウム含有ドーパントを、水、酸または塩基に溶解または懸濁させ、
b)ケイ素含有化合物を加え、
c)無機または有機沈殿試薬をこの混合物に加え、
d)生成する蛍光体前駆体を、熱後処理によって完成した蛍光体に変換する
ことを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
式I
BawSrxCaySiO4:zEu2+ (I)
式中、
w+x+y+z=2、
0.005<z<0.5である、
で表される蛍光体の製造方法であって、
a)塩類、硝酸塩、シュウ酸塩、水酸化物またはこれらの混合物の形態の少なくとも2種のアルカリ土類金属およびユウロピウム含有ドーパントを、水、酸または塩基に溶解、分散または懸濁させ、
b)この溶液、分散体または懸濁液をケイ素含有混合物に加え、高温にて蛍光体前駆体に変換し、
c)その後、乾燥した蛍光体前駆体を熱後処理により完成した蛍光体に変換する
ことを特徴とする、前記方法。
【請求項3】
無機塩を熱後処理の前またはこの間に流動化剤として加えることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ケイ素含有化合物が、有機ケイ素化合物、好ましくはケイ酸エステルであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ケイ素含有化合物が、無機ケイ素化合物、好ましくは微細に分散したSiO2ゾルまたはゲルであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ケイ素含有混合物が、ジカルボン酸、好ましくはシュウ酸および無機ケイ素化合物、好ましくは二酸化ケイ素からなることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
ケイ素含有混合物が、ジカルボン酸、好ましくはシュウ酸および有機ケイ素化合物、好ましくはケイ酸エステルからなることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
熱後処理を、還元フォーミングガス雰囲気中で行うことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
熱後処理を、熱反応器、例えば回転管状炉、チャンバ炉もしくは管状炉中で、または流動層反応器中で行うことを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
蛍光体の表面をさらに構造化することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
蛍光体がさらに、SiO2、TiO2、Al2O3、ZnO、ZrO2および/またはY2O3またはこれらの混合酸化物のナノ粒子、あるいは蛍光体組成物のナノ粒子を担持する粗面を備えていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
蛍光体の表面に、さらにSiO2、TiO2、Al2O3、ZnO、ZrO2および/またはY2O3またはこれらの混合酸化物の密閉コーティングを施すことを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
蛍光体の表面に、SiO2、TiO2、Al2O3、ZnO、ZrO2および/またはY2O3またはこれらの混合酸化物あるいは蛍光体組成物の多孔質コーティングを施すことを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
蛍光体の表面にさらに、好ましくはエポキシまたはシリコーン樹脂を含む、周囲への化学結合を容易にする官能基を提供することを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに従って調製された、式I
BawSrxCaySiO4:zEu2+ (I)
式中、
w+x+y+z=2、
0.005<z<0.5である、
で表される蛍光体であって、
構造化された表面を有することを特徴とする、前記蛍光体。
【請求項16】
SiO2、TiO2、Al2O3、ZnO、ZrO2および/またはY2O3またはこれらの混合酸化物のナノ粒子、あるいは蛍光体組成物を含む粒子のナノ粒子を担持する粗面を有することを特徴とする、請求項15に記載の蛍光体。
【請求項17】
SiO2、TiO2、Al2O3、ZnO、ZrO2および/またはY2O3またはこれらの混合酸化物からなる密閉表面コーティングを有することを特徴とする、請求項15に記載の蛍光体。
【請求項18】
SiO2、TiO2、Al2O3、ZnO、ZrO2および/またはY2O3またはこれらの混合酸化物からなる多孔質表面コーティングを有することを特徴とする、請求項15に記載の蛍光体。
【請求項19】
表面が、好ましくはエポキシまたはシリコーン樹脂からなる、周囲への化学結合を容易にする官能基を担持することを特徴とする、請求項10〜13のいずれかに記載の蛍光体。
【請求項20】
発光極大が120〜530nm、好ましくは254nm〜480nmの範囲内にある少なくとも1つの一次光源を有し、ここでこの放射線が、請求項15〜19のいずれかに記載の蛍光体により、より長い波長の放射線に部分的に、または完全に変換される、照明ユニット。
【請求項21】
光源が、特に式IniGajAlkNで表され、式中、0≦i、0≦j、0≦kおよびi+j+k=1である発光性窒化インジウムアルミニウムガリウムであることを特徴とする、請求項20に記載の照明ユニット。
【請求項22】
光源が、ZnO、TCO(透明な導電性酸化物)、ZnSeまたはSiCをベースとする発光化合物であることを特徴とする、請求項20に記載の照明ユニット。
【請求項23】
光源が、有機発光層をベースとする材料であることを特徴とする、請求項20に記載の照明ユニット。
【請求項24】
光源が、エレクトロルミネセンスおよび/またはフォトルミネセンスを示す源であることを特徴とする、請求項20〜23のいずれかに記載の照明ユニット。
【請求項25】
光源がプラズマまたは放電源であることを特徴とする、請求項20に記載の照明ユニット。
【請求項26】
蛍光体が、一次光源上に直接配置されており、かつ/またはそこから離間していることを特徴とする、請求項20〜25のいずれかに記載の照明ユニット。
【請求項27】
蛍光体と一次光源との間の光学的カップリングを光伝導性配置により達成することを特徴とする、請求項20〜26のいずれかに記載の照明ユニット。
【請求項28】
真空UVおよび/またはUVにおける光および/または可視スペクトルの青色および/または緑色領域を発する一次光源が、請求項15〜19のいずれかに記載の蛍光体と組み合わせて、少なくとも10nmの半値幅を有する発光帯を有することを特徴とする、請求項20〜27のいずれかに記載の照明ユニット。
【請求項29】
請求項15〜19のいずれかに記載の式Iで表される少なくとも1種の蛍光体の、発光ダイオードからの青色または近UV発光を部分的に、または完全に変換するための変換蛍光体としての使用。
【請求項30】
請求項15〜19のいずれかに記載の式Iで表される少なくとも1種の蛍光体の、カラーオンデマンド概念にしたがって特定の色点に一次放射線を変換するための変換蛍光体としての使用。
【請求項31】
請求項15〜19のいずれかに記載の式Iで表される少なくとも1種の蛍光体の、青色または近UV発光を可視白色放射線に変換するための使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2010−523739(P2010−523739A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501390(P2010−501390)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【国際出願番号】PCT/EP2008/001742
【国際公開番号】WO2008/122331
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【出願人】(509275747)リテック エルエルエル ゲーエムベーハー (2)
【氏名又は名称原語表記】Litec LLL GmbH
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【国際出願番号】PCT/EP2008/001742
【国際公開番号】WO2008/122331
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【出願人】(509275747)リテック エルエルエル ゲーエムベーハー (2)
【氏名又は名称原語表記】Litec LLL GmbH
【Fターム(参考)】
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