説明

オーディオ信号処理回路および電子機器

【課題】アンプに対する電源電圧を好適に制御する。
【解決手段】メインアンプ4は、オーディオ信号S1を増幅する。電源回路2は、アンプの上側電源ラインに正の電源電圧CPVDDを、下側電源ラインに負の電源電圧CPVSSを供給する。電圧検出部32は、アンプにより増幅されたオーディオ信号S2の振幅が所定のしきい値より大きいときアサートされる電圧検出信号S21を生成する。電流検出部34は、メインアンプ4の出力段に流れる負荷電流ILが所定のしきい値電流ITHより大きいときアサートされる電流検出信号S22を生成する。電圧制御部30は、電圧検出信号S21がネゲートされると、電源回路2が生成する正および負の電源電圧の絶対値を低下させる。また電圧検出信号S21がアサートされ、または電流検出信号S22がアサートされると、電源回路2が生成する正および負の電源電圧の絶対値を増大させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーディオ信号を増幅するオーディオ信号処理回路に関する。
【背景技術】
【0002】
図1(a)は、正負電源を利用したオーディオシステムの構成を示す回路図である。オーディオシステムは、電源回路2、メインアンプ4、電圧制御部5、ヘッドホン6を備える。メインアンプ4は、入力されたオーディオ信号S1を増幅し、ヘッドホン6を駆動する。電源回路2は、スイッチングレギュレータ2aと、スイッチングレギュレータ2aが生成した直流電圧VDDを受け、正の電源電圧CPVDDと、負の電源電圧CPVSSを生成する。正の電源電圧CPVDD、負の電源電圧CPVSSはそれぞれ、メインアンプ4の上側電源ライン、下側電源ラインに供給される。
【0003】
オーディオシステムが電池駆動型の電子機器1に搭載される場合、低消費電力化を目的として、オーディオ信号S2の振幅に応じて、メインアンプ4に供給する電源電圧を切りかえる技術が採用される。この技術は、G級アンプやH級アンプとも称される。
【0004】
具体的には、オーディオ信号S2の振幅に応じて、チャージポンプ回路2bの昇圧率を切りかえ、メインアンプ4の電源電圧CPVDD、CPVSSを変化させる。すなわち、オーディオ信号S2の振幅が大きいときには、オーディオ信号S2が歪まないように、電源電圧CPVDD、CPVSSの絶対値を大きくし、オーディオ信号S2の振幅が小さくヘッドルームに余裕があるときには、電源電圧CPVDD、CPVSSの絶対値を小さくして消費電力を低減する。
あるいは、オーディオ信号S2の振幅に応じて、スイッチングレギュレータ2aの出力電圧、すなわちチャージポンプ回路2bの入力電圧VDDを変化させ、結果として電源電圧CPVDD、CPVSSを変化させる。図1(b)は、図1(a)のオーディオシステムの動作波形図である。
【0005】
たとえばチャージポンプ回路2bは、その昇圧率が1倍と1/2倍で切りかえ可能に構成される。電圧制御部5は、オーディオ信号S2の振幅に応じて、チャージポンプ回路2bの昇圧率を切りかえる。昇圧率が1倍のとき、CPVDD=VDD、CPVSS=−VDDがメインアンプ4に供給され、昇圧率が1/2倍のとき、CPVDD=VDD/2、CPVSS=−VDD/2が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−286815号公報
【特許文献2】特開平11−103216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は、図1(a)のオーディオシステムについて検討した結果、以下の課題を認識するに至った。
【0008】
いま、出力オーディオ信号S2の振幅が小さく、チャージポンプ回路2bの昇圧率が1/2倍に設定される状況を考える。上述のように、チャージポンプ回路2bの昇圧率は、オーディオ信号S2の振幅に応じて切りかえられ、オーディオ信号S2の振幅が所定のしきい値より大きくなると、昇圧率が1倍に切りかえられる。
【0009】
電源回路8およびチャージポンプ回路2bそれぞれが理想電源であり、かつメインアンプ4が、その負荷駆動能力(電流供給能力ともいう)が十分に大きい理想アンプである場合、メインアンプ4の出力オーディオ信号S2の振幅は、入力オーディオ信号S1の振幅にメインアンプ4の利得を乗じたものとなる。したがって、かかる理想的な状態では、入力オーディオ信号S1の振幅が大きくなると、出力オーディオ信号S2の振幅がしきい値を超え、昇圧率が直ちに1倍に切りかえられる。
【0010】
ところが、実際のオーディオシステムにおいては、電源回路8もしくはチャージポンプ回路2bは、有限の出力インピーダンスを有しており、負荷電流に応じてそれらの出力電圧は低下し、これにより出力オーディオ信号S2の振幅が制限される。またメインアンプ4の負荷駆動能力も有限であるため、オーディオ信号S2の振幅が制限される場合がある。これらの要因により、入力オーディオ信号S1の振幅が増大しても、オーディオ信号S2の振幅がしきい値を超えず、昇圧率を1倍に戻すことができない状況が発生しうる。これは、オーディオ信号S2が歪んだ状態を持続することを意味するため好ましくない。
【0011】
同様の問題は、スイッチングレギュレータの出力電圧、すなわちチャージポンプ回路への入力電圧を制御した場合にも発生しうる。特に、チャージポンプ回路の出力インピーダンスは、その入力電圧VDDが低下したときに顕著に増大する。
【0012】
本発明は係る課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、アンプに対する電源電圧を好適に制御可能なオーディオ信号処理回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のある態様は、オーディオ信号処理回路に関する。オーディオ信号処理回路は、オーディオ信号を増幅するアンプと、アンプの上側電源ラインに正の電源電圧を、下側電源ラインに負の電源電圧を供給する電源回路と、アンプにより増幅されたオーディオ信号の振幅にもとづき、電源回路が生成する正の電源電圧および負の電源電圧を制御する電圧制御部と、を備える。
電圧制御部は、アンプにより増幅されたオーディオ信号の振幅が所定のしきい値より大きいときアサートされる電圧検出信号を生成する電圧検出部と、アンプの出力段に流れる負荷電流の振幅が所定のしきい値電流より大きいときアサートされる電流検出信号を生成する電流検出部と、を含む。電圧制御部は、(1)電圧検出信号がネゲートされると、電源回路が生成する正および負の電源電圧の絶対値を低下せしめ、(2)電圧検出信号がアサートされ、または電流検出信号がアサートされると、電源回路が生成する正および負の電源電圧の絶対値を増大せしめる。
【0014】
しきい値電流は、アンプが供給しうる負荷電流の最大値よりも低く設定される。この態様によれば、電流検出部によって、負荷電流をしきい値電流と比較することにより、アンプ自体の電流供給能力の不足(マージンの低下)、もしくはアンプに電力を供給する電源の電流供給能力の不足を検知することができ、アンプに供給される電源電圧の絶対値を増大させることで、オーディオ信号を適切に増幅できる。
【0015】
アンプの出力段は、上側電源ラインと下側電源ラインの間に直列に設けられたハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタを含んでもよい。
電流検出部は、ハイサイドトランジスタに流れる電流が所定のしきい値電流より大きいときにアサートされる第1検出信号を生成する第1検出部を含んでもよい。
電流検出部は、ローサイドトランジスタに流れる電流が所定のしきい値電流より大きいときにアサートされる第2検出信号を生成する第2検出部を含んでもよい。
電流検出部は、ハイサイドトランジスタに流れる電流が所定のしきい値電流より大きいときにアサートされる第1検出信号を生成する第1検出部と、ローサイドトランジスタに流れる電流が所定のしきい値電流より大きいときにアサートされる第2検出信号を生成する第2検出部と、を含んでもよい。
ハイサイドトランジスタもしくはローサイドトランジスタに流れる電流を監視することにより、負荷電流を監視することができる。
【0016】
第1検出部は、その第1端子が上側電源ラインに接続された第1抵抗と、その第1端子が上側電源ラインに接続され、第1抵抗のm倍の抵抗値を有する第2抵抗と、ハイサイドトランジスタと同型でハイサイドトランジスタの1/n倍のサイズを有し、かつその第1端子が第1抵抗の第2端子と接続され、その第2端子がアンプの出力端子と接続され、その制御端子がハイサイドトランジスタの制御端子と接続された第1トランジスタと、ハイサイドトランジスタと同型で、かつその第1端子が第1抵抗の第2端子と接続された第2トランジスタと、ハイサイドトランジスタと同型で、かつその第1端子が第2抵抗の第2端子と接続され、その制御端子が第2トランジスタの制御端子と接続された第3トランジスタと、第2トランジスタの第2端子と下側電源ラインの間に設けられ、しきい値電流の1/(n×m)倍の電流を生成する第1電流源と、第3トランジスタの第2端子と下側電源ラインの間に設けられ、しきい値電流の1/(n×m)倍の電流を生成する第2電流源と、を含み、第1トランジスタと第1電流源の接続点の電位に応じて、第1検出信号を生成してもよい。
この構成によれば、ハイサイドトランジスタに流れる電流としきい値電流を高精度で比較することができる。
【0017】
第2検出部は、その第1端子が下側電源ラインに接続された第3抵抗と、その第1端子が下側電源ラインに接続され、第3抵抗のm倍の抵抗値を有する第4抵抗と、ローサイドトランジスタと同型でローサイドトランジスタの1/n倍のサイズを有し、かつその第1端子が第3抵抗の第2端子と接続され、その第2端子がアンプの出力端子と接続され、その制御端子がローサイドトランジスタの制御端子と接続された第4トランジスタと、ローサイドトランジスタと同型で、かつその第1端子が第3抵抗の第2端子と接続された第5トランジスタと、ローサイドトランジスタと同型で、かつその第1端子が第4抵抗の第2端子と接続され、その制御端子が第5トランジスタの制御端子と接続され、その第2端子がその制御端子と接続された第6トランジスタと、第5トランジスタの第2端子と上側電源ラインの間に設けられ、しきい値電流の1/(n×m)倍の電流を生成する第3電流源と、第6トランジスタの第2端子と上側電源ラインの間に設けられ、しきい値電流の1/(n×m)倍の電流を生成する第4電流源と、を含み、第5トランジスタと第3電流源の接続点の電位に応じて、第2検出信号を生成してもよい。
この構成によれば、ローサイドに流れる電流としきい値電流を高精度で比較することができる。
【0018】
第1検出部は、ハイサイドトランジスタとカレントミラー回路を形成するように接続された第7トランジスタと、第7トランジスタと下側電源ラインの間に設けられ、しきい値電流に応じた電流を生成する第5電流源と、を含み、第7トランジスタと第5電流源の接続点の電位に応じて、第1検出信号を生成してもよい。
この構成によれば、簡易な構成でハイサイドトランジスタに流れる電流としきい値電流を比較することができる。
【0019】
第2検出部は、ローサイドトランジスタとカレントミラー回路を形成するように接続された第8トランジスタと、第8トランジスタと上側電源ラインの間に設けられ、しきい値電流に応じた電流を生成する第6電流源と、を含み、第8トランジスタと第6電流源の接続点の電位に応じて、第2検出信号を生成してもよい。
この構成によれば、簡易な構成でハイサイドトランジスタに流れる電流としきい値電流を比較することができる。
【0020】
電圧検出部は、上側電源ラインに供給される正の電圧を分圧する第1分圧回路と、当該第1分圧回路の出力電圧を、アンプにより増幅されたオーディオ信号に応じた電圧と比較する第1コンパレータと、を含んでもよい。
電圧検出部は、下側電源ラインに供給される負の電圧を分圧する第2分圧回路と、当該第2分圧回路の出力電圧を、アンプにより増幅されたオーディオ信号に応じた電圧と比較する第2コンパレータと、を含んでもよい。
チャージポンプ回路の出力インピーダンスが高い場合、負荷電流によってチャージポンプ回路の正の出力電圧は降下し、負の出力電圧は上昇する。この態様では、電圧検出部におけるしきい値は、チャージポンプ回路の入力電圧ではなく、チャージポンプ回路の出力電圧と連動する。負荷電流の増大にともないオーディオ信号と比較されるしきい値の絶対値が小さくなるため、オーディオ信号の振幅が相対的にしきい値より小さくなり、昇圧率を1倍に切りかえることができる。
【0021】
電源回路は、昇圧率が少なくとも1/2倍と1倍で切りかえ可能に構成され、アンプの上側電源ラインに正の電圧を、アンプの前記下側電源ラインに負の電圧を供給するチャージポンプ回路を含んでもよい。電圧制御部は、チャージポンプ回路の昇圧率を制御してもよい。
【0022】
電源回路は、その出力電圧を変更可能なスイッチングレギュレータと、スイッチングレギュレータの出力電圧を受け、アンプの前記上側電源ラインに正の電圧を、アンプの下側電源ラインに負の電圧を供給するチャージポンプ回路と、を含んでもよい。電圧制御部は、スイッチングレギュレータの出力電圧を制御してもよい。
【0023】
オーディオ信号処理回路は、ひとつの半導体基板上に一体集積化されてもよい。
「一体集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。
【0024】
本発明の別の態様は、電子機器に関する。電子機器は、上述の何れかの態様のオーディオ信号処理回路を備えてもよい。
【0025】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0026】
本発明のある態様によれば、アンプに対する電源電圧を好適に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1(a)は、正負電源を利用したオーディオシステムの構成を示す回路図であり、図1(b)は、図1(a)のオーディオシステムの動作波形図である。
【図2】第1の実施の形態に係るオーディオ信号処理回路を備える電子機器の構成を示す回路図である。
【図3】図3(a)、(b)は、図2の電流検出部の構成例を示す回路図である。
【図4】図4(a)〜(c)は、図2のオーディオ信号処理回路の動作を示す波形図である。
【図5】第2の実施の形態に係る電圧検出部の構成を示す回路図である。
【図6】図6(a)は、第2の実施の形態に係るオーディオ信号処理回路の動作を示す波形図であり、図6(b)は、従来の電圧検出部を備えるオーディオ信号処理回路の動作を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0029】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0030】
(第1の実施の形態)
図2は、第1の実施の形態に係るオーディオ信号処理回路200を備える電子機器1の構成を示す回路図である。電子機器1は、電源回路2、メインアンプ4、電圧制御部30、電気音響変換素子6を備える。
【0031】
メインアンプ4は、入力されたオーディオ信号S1を増幅し、負荷であるヘッドホンやスピーカをはじめとする電気音響変換素子(以下、ヘッドホンという)6を駆動する。
【0032】
電源回路2は、メインアンプ4の上側電源ラインに正の電源電圧CPVDDを、下側電源ラインに負の電源電圧CPVSSを供給する。電源回路2は、スイッチングレギュレータ2aおよびチャージポンプ回路2bを含む。スイッチングレギュレータ2aは直流電圧VDDを生成する。チャージポンプ回路2bは、直流電圧VDDを受け、正の電源電圧CPVDDおよび負の電源電圧CPVSSを生成する。チャージポンプ回路2bの回路トポロジーおよびスイッチングのシーケンスは特に限定されず、公知の技術を用いればよい。
【0033】
電圧制御部30は、メインアンプ4により増幅されたオーディオ信号S2の振幅にもとづき、電源回路2が生成する正の電源電圧CPVDDおよび負の電源電圧CPVSSを制御する。オーディオ信号処理回路200は、G級アンプあるいはH級アンプとして構成される。
【0034】
本実施の形態では、チャージポンプ回路2bの昇圧率を切りかえることにより、電源電圧CPVDD、CPVSSを制御する場合を説明する。チャージポンプ回路2bの昇圧率は少なくとも2値で切りかえ可能に構成される。一例では、昇圧率は1倍と1/2倍で切りかえ可能であり、1倍のときCPVDD≒VDD、CPVSS≒−VDDであり、1/2倍のとき、CPVDD≒VDD/2、CPVSS=−VDD/2である。電圧制御部30は、チャージポンプ回路2bの昇圧率を切りかえることにより、メインアンプ4に供給される電源電圧CPVDD、CPVSSを制御する。
【0035】
電圧制御部30は、電圧検出部32、電流検出部34、ロジック部36を備える。電圧検出部32は、メインアンプ4により増幅されたオーディオ信号S2の振幅VS2が所定のしきい値VTHより大きいときアサートされる電圧検出信号S21を生成する。
【0036】
電流検出部34は、メインアンプ4の出力段に流れる負荷電流ILの振幅が所定のしきい値電流ITHより大きいときアサートされる電流検出信号S22を生成する。各信号の「アサート」、「ネゲート」は、デジタル信号のハイレベル、ローレベルのいずれに割り当てられてもよい。
【0037】
ロジック部36は、電圧検出信号S21および電流検出信号S22にもとづき、電源回路2の出力電圧、すなわちチャージポンプ回路2bの昇圧率を制御する。
【0038】
ロジック部36は、チャージポンプ回路2bの昇圧率が1倍に設定された状態において、電圧検出信号S21がネゲートされると、チャージポンプ回路2bの昇圧率を1/2倍に設定することにより、電源回路2が生成する正および負の電源電圧CPVDD、CPVSSの絶対値を低下せしめる。
【0039】
また、ロジック部36は、昇圧率が1/2倍の状態において、電圧検出信号S21がアサートされ、または電流検出信号S22がアサートされると、昇圧率を1倍に戻すことにより、電源回路8が生成する正および負の電源電圧CPVDD、CPVSSの絶対値を増大せしめる。
【0040】
図3(a)、(b)は、図2の電流検出部34の構成例を示す回路図である。メインアンプ4は、増幅段4aと、出力段4bを備え、出力段4bは、上側電源ラインLVDDと下側電源ラインLVSSの間に直列に設けられたハイサイドトランジスタMHおよびローサイドトランジスタMLを含む。
【0041】
電流検出部34は、第1検出部40、第2検出部42を備える。第1検出部40は、ハイサイドトランジスタMHに流れる電流が所定のしきい値電流より大きいときにアサートされる第1検出信号S31を生成する。第2検出部42は、ローサイドトランジスタMLに流れる電流が所定のしきい値電流より大きいときにアサートされる第2検出信号S32を生成する。図2のロジック部36は、第1検出信号S31および第2検出信号S32にもとづき、電源回路2の出力電圧を制御する。
【0042】
たとえば、ロジック部36は、第1検出信号S31、第2検出信号S32の少なくとも一方がアサートされたときに、昇圧率を1倍に設定し、電源電圧CPVDD、CPVSSの絶対値を増大させてもよい。第1検出部40、第2検出部42は一方を省略してもよい。
【0043】
図3(a)の電流検出部34aは、第1検出部40a、第2検出部42aを備える。
第1検出部40aは、第1トランジスタM1〜第3トランジスタM3、第1抵抗R1、第2抵抗R2、第1電流源CS1、第2電流源CS2を含む。
【0044】
第1抵抗R1の第1端子は、上側電源ラインLVDDに接続される。第2抵抗R2の第1端子は上側電源ラインLVDDに接続される。第2抵抗R2は、第1抵抗のm倍の抵抗値を有する。
【0045】
第1トランジスタM1は、ハイサイドトランジスタMHと同型、すなわちPチャンネルMOSFETであり、ハイサイドトランジスタMHの1/n倍のサイズを有する。第1トランジスタM1の第1端子(ソース)は第1抵抗R1の第2端子と接続され、その第2端子(ドレイン)は、メインアンプ4の出力端子と接続される。第1トランジスタM1の制御端子(ゲート)は、ハイサイドトランジスタMHの制御端子(ゲート)と接続される。第2トランジスタM2は、ハイサイドトランジスタMHと同型であり、かつその第1端子(ソース)は、第1抵抗R1の第2端子と接続される。第3トランジスタM3は、ハイサイドトランジスタMHと同型で、かつその第1端子(ソース)が第2抵抗R2の第2端子と接続され、その制御端子(ゲート)が第2トランジスタM2の制御端子(ゲート)と接続される。第3トランジスタM3の第2端子(ゲート)は、その制御端子(ゲート)と接続される。
【0046】
第1電流源CS1は、第2トランジスタM2の第2端子(ドレイン)と下側電源ラインLVSSの間に設けられ、しきい値電流ITHの1/(n×m)倍の電流を生成する。
第2電流源CS2は、第3トランジスタM3の第2端子(ドレイン)と下側電源ラインLVSSの間に設けられ、しきい値電流ITHの1/(n×m)倍の電流を生成する。
【0047】
この構成において、第1トランジスタM1には、ハイサイドトランジスタMHに流れる負荷電流に応じた電流が流れる。ハイサイドトランジスタMHに流れる電流が、しきい値電流ITHより小さいとき、第1トランジスタM1と第1電流源CS1の接続点の電位(第1検出信号)S31aはハイレベルである。ハイサイドトランジスタMHに流れる電流が、しきい値電流ITHより大きくなると、第1検出信号S31aはローレベルとなる。
【0048】
図3(a)の第2検出部42aは、第3抵抗R3、第4抵抗R4、第4トランジスタM4〜第6トランジスタM6、第3電流源CS3、第4電流源CS4を含み、第1検出部40aと天地対称に構成される。
【0049】
この構成において、第4トランジスタM4には、ローサイドトランジスタMLに流れる負荷電流に応じた電流が流れる。ローサイドトランジスタMLに流れる負荷電流が、しきい値電流ITHより小さいとき、第4トランジスタM4と第3電流源CS3の接続点の電位(第1検出信号)S32aはローレベルである。ハイサイドトランジスタMHに流れる電流が、しきい値電流ITHより大きくなると、第1検出信号S31aはハイレベルとなる。
【0050】
図3(b)の第1検出部40aは、第7トランジスタM7および第5電流源CS5を含む。第7トランジスタM7は、ハイサイドトランジスタMHとカレントミラー回路を形成するように接続される。第7トランジスタM7は、ハイサイドトランジスタMHの1/n倍のサイズで構成される。第5電流源CS5は、第7トランジスタM7と下側電源ラインLVSSの間に設けられ、しきい値電流ITHに応じた電流ITH/nを生成する。第1検出部40aは、第7トランジスタM7と第5電流源CS5の接続点の電位を、第1検出信号S31bとして出力する。
【0051】
第7トランジスタM7には、ハイサイドトランジスタMHに流れる負荷電流ILに応じた電流が流れる。負荷電流ILがしきい値電流ITHより小さいとき、第1検出信号S31bはローレベルである。
【0052】
図3(b)の第2検出部42bは、第8トランジスタM8および第6電流源CS6を含み、第1検出部40bと天地対称に構成される。負荷電流ILがしきい値電流ITHより小さいとき、第2検出信号S32bはハイレベルである。
【0053】
以上が第1の実施の形態に係るオーディオ信号処理回路200の構成である。続いてその動作を説明する。図4(a)〜(c)は、図2のオーディオ信号処理回路200の動作を示す波形図である。
【0054】
この実施の形態に係るオーディオ信号処理回路200の効果を理解するために、まず電流検出部34が設けられない場合の動作を説明する。
【0055】
図4(a)〜(c)は、チャージポンプ回路2bの昇圧率が1/2に設定された状態を示す。このとき、メインアンプ4の電流供給能力が小さければ、負荷電流ILは、正負の最大値ILMAXとILMAXの間に制限される。また電源回路2の出力インピーダンスが高い場合にも、結果としてメインアンプ4の電流供給能力が低下する。
【0056】
負荷電流ILに制限がなければ、メインアンプ4の入力信号S1のレベル(振幅)が大きくなると、それに応じて出力信号S2の電圧レベルVS2は、破線(ii)で示すように電圧検出部32のしきい値VTH、VTHを超える。
【0057】
ところが、図4(a)に示すように負荷電流ILに制限がある場合、入力信号S1が大きくなっても、図4(b)の実線(i)で示すように、出力信号S2の電圧レベルVS2が、電圧検出部32のしきい値VTH、VTHを超えない。つまり、昇圧率を1倍に高めることができず、メインアンプ4の電源電圧CPVDD、CPVSSの絶対値が小さい状態が持続するため、オーディオ信号S2の波形が歪んでしまう。
【0058】
図2のオーディオ信号処理回路200は、電流検出部34を設けたことにより、以下の効果を得ることができる。
図4(c)に示すように、電流検出部34には、負荷電流ILの最大値ILMAX、ILMAXより絶対値が小さいしきい値ITH、ITHが設定される。そして、電圧VS2がしきい値VTH、VTHを超えていなくても、負荷電流ILの振幅がしきい値ITH、ITHを超えると、チャージポンプ回路2bの昇圧率が1倍に設定され、電源回路2の出力電圧CPVDD、CPVSSの絶対値を増大することができる。電源回路2の出力電圧CPVDD、CPVSSの絶対値が大きくなると、メインアンプ4の電流能力が増大し、および/または電源回路2の出力インピーダンスが低下するため、波形歪みを解消することができる。
【0059】
このように、本実施の形態に係る制御回路100によれば、電流検出部34を設けたことにより、負荷電流ILがクリップされる前に昇圧率を高めることができる。
【0060】
また図3(a)、(b)の電流検出部34a、34bによれば、負荷電流ILを、しきい値電流ITH、ITHと好適に比較することができる。特に図3(a)の電流検出部34aは、図3(b)に比べて高精度で電流比較を行うことができる。
【0061】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では、電圧検出部32について説明する。この電圧検出部32は、第1の実施の形態のように、電流検出部34と組み合わせてもよいし、電流検出部34を省略して単独で用いることもできる。
【0062】
図5は、第2の実施の形態に係る電圧検出部32の構成を示す回路図である。上述のように電圧検出部32は、オーディオ信号S2の電圧VS2を、しきい値VTH、VTHと比較し、電圧検出信号を生成する。
【0063】
電圧検出部32は、第1検出部50および第2検出部56を含む。第1検出部50は、第1分圧回路52、第1コンパレータ54を含む。第1分圧回路52は、上側電源ラインLVDDに供給される正の電圧CPVDDを分圧し、しきい値電圧VTHを生成する。第1コンパレータ54は、しきい値電圧VTH+とオーディオ信号S2の電圧VS2を比較し、検出信号S41を生成する。
【0064】
同様に、第2検出部56は、第2分圧回路58、第2コンパレータ60を含む。第2分圧回路58は、下側電源ラインLVSSに供給される負の電圧CPVSSを分圧し、しきい値電圧VTHを生成する。第2コンパレータ60は、しきい値電圧VTH−とオーディオ信号S2の電圧VS2を比較し、検出信号S42を生成する。電圧検出部32は、第1検出部50および第2検出部56のいずれか一方のみを備えてもよい。
【0065】
続いて、図5の電圧検出部32を備えるオーディオ信号処理回路200の動作を説明する。図6(a)は、第2の実施の形態に係るオーディオ信号処理回路200の動作を示す波形図であり、図6(b)は、従来の電圧検出部を備えるオーディオ信号処理回路の動作を示す波形図である。
【0066】
はじめに、図6(b)を参照し、従来の電圧検出部の動作を説明する。従来の電圧検出部は、しきい値電圧VTH、VTHが変動しないように、チャージポンプ回路2bの入力電圧VDDを分圧することによりしきい値電圧VTH、VTHを生成したり、あるいはレギュレータによって所定値に安定化されたしきい値電圧VTH、VTHを生成していた。上述のように、チャージポンプ回路2bの出力インピーダンスが大きいと、その出力電圧CPVDD、CPVSSは、負荷電流ILに応じてドロップする。これにより、オーディオ信号S2の電圧VS2の波形(i)が、破線で示す理想波形(ii)と比較して歪む。このとき、しきい値電圧VTH+、VTHは一定値に保たれるため、電圧VS2がしきい値VTH、VTHを超えず、オーディオ信号S2の波形は歪み続ける。
【0067】
これに対して、図5の電圧検出部32によれば、しきい値VTH、VTHは、チャージポンプ回路2bの出力電圧CPVDD、CPVSSに応じて変動する。すなわち正側のしきい値VTHは、負荷電流ILが大きくなるに従って低下し、負側のしきい値VTHは、負荷電流ILが大きくなると上昇する。
【0068】
その結果、スイッチングレギュレータ2aやチャージポンプ回路2bの出力インピーダンスに起因した電源電圧CPVDD、CPVSSの電圧降下によって、オーディオ信号S2がクリップされる場合でも、オーディオ信号S2の振幅は、しきい値VTH、VHTを超える。したがって、直ちにチャージポンプ回路2bの昇圧率を高め、電圧CPVDD、CPVSSの絶対値を増大することができる。
【0069】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0070】
第1、第2実施の形態では、チャージポンプ回路2bの昇圧率を切りかえる場合を説明したが、電圧制御部30は、チャージポンプ回路2bの昇圧率に代えて、スイッチングレギュレータ2aの出力電圧VDDを変化させてもよい。あるいは、チャージポンプ回路2bの昇圧率と、スイッチングレギュレータ2aの出力電圧の制御を組み合わせてもよい。
【0071】
実施の形態では、オーディオ信号処理回路200が一体集積化される場合を説明したが、機能ブロックごとに別々のICとして構成されてもよい。
【0072】
実施の形態にもとづき、具体的な用語を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0073】
1…電子機器、2…電源回路、2a…スイッチングレギュレータ、2b…チャージポンプ回路、4…メインアンプ、5…電圧制御部、6…ヘッドホン、200…オーディオ信号処理回路、CF…フライングキャパシタ、CH1…第1ホールドキャパシタ、CH2…第2ホールドキャパシタ、100…制御回路、30…電圧制御部、32…電圧検出部、34…電流検出部、36…ロジック部、40…第1検出部、42…第2検出部、S21…電圧検出信号、S22…電流検出信号、S31…第1検出信号、S32…第2検出信号、R1…第1抵抗、R2…第2抵抗、R3…第3抵抗、R4…第4抵抗、MH…ハイサイドトランジスタ、ML…ローサイドトランジスタ、M1…第1トランジスタ、M2…第2トランジスタ、M3…第3トランジスタ、M4…第4トランジスタ、M5…第5トランジスタ、M6…第6トランジスタ、M7…第7トランジスタ、M8…第8トランジスタ、CS1…第1電流源、CS2…第2電流源、CS3…第3電流源、CS4…第4電流源、CS5…第5電流源、CS6…第6電流源、50…第1検出部、52…第1分圧回路、54…第1コンパレータ、56…第2検出部、58…第2分圧回路、60…第2コンパレータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオ信号を増幅するアンプと、
前記アンプの上側電源ラインに正の電源電圧を、下側電源ラインに負の電源電圧を供給する電源回路と、
前記アンプにより増幅されたオーディオ信号の振幅にもとづき、前記電源回路が生成する正の電源電圧および負の電源電圧を制御する電圧制御部と、
を備え、
前記電圧制御部は、
前記アンプにより増幅されたオーディオ信号の振幅が所定のしきい値より大きいときアサートされる電圧検出信号を生成する電圧検出部と、
前記アンプの出力段に流れる負荷電流の振幅が所定のしきい値電流より大きいときアサートされる電流検出信号を生成する電流検出部と、
を含み、(1)前記電圧検出信号がネゲートされると、前記電源回路が生成する正および負の電源電圧の絶対値を低下せしめ、(2)前記電圧検出信号がアサートされ、または前記電流検出信号がアサートされると、前記電源回路が生成する正および負の電源電圧の絶対値を増大せしめることを特徴とするオーディオ信号処理回路。
【請求項2】
前記アンプの出力段は、前記上側電源ラインと前記下側電源ラインの間に直列に設けられたハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタを含み、
前記電流検出部は、
前記ハイサイドトランジスタに流れる電流が所定のしきい値電流より大きいときにアサートされる第1検出信号を生成する第1検出部を含むことを特徴とする請求項1に記載のオーディオ信号処理回路。
【請求項3】
前記アンプの出力段は、前記上側電源ラインと前記下側電源ラインの間に直列に設けられたハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタを含み、
前記電流検出部は、
前記ローサイドトランジスタに流れる電流が所定のしきい値電流より大きいときにアサートされる第2検出信号を生成する第2検出部を含むことを特徴とする請求項1に記載のオーディオ信号処理回路。
【請求項4】
前記アンプの出力段は、前記上側電源ラインと前記下側電源ラインの間に直列に設けられたハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタを含み、
前記電流検出部は、
前記ハイサイドトランジスタに流れる電流が所定のしきい値電流より大きいときにアサートされる第1検出信号を生成する第1検出部と、
前記ローサイドトランジスタに流れる電流が所定のしきい値電流より大きいときにアサートされる第2検出信号を生成する第2検出部と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のオーディオ信号処理回路。
【請求項5】
前記第1検出部は、
その第1端子が前記上側電源ラインに接続された第1抵抗と、
その第1端子が前記上側電源ラインに接続され、前記第1抵抗のm倍の抵抗値を有する第2抵抗と、
前記ハイサイドトランジスタと同型で前記ハイサイドトランジスタの1/n倍のサイズを有し、かつその第1端子が前記第1抵抗の第2端子と接続され、その第2端子が前記アンプの出力端子と接続され、その制御端子が前記ハイサイドトランジスタの制御端子と接続された第1トランジスタと、
前記ハイサイドトランジスタと同型で、かつその第1端子が前記第1抵抗の第2端子と接続された第2トランジスタと、
前記ハイサイドトランジスタと同型で、かつその第1端子が前記第2抵抗の第2端子と接続され、その制御端子が前記第2トランジスタの制御端子と接続された第3トランジスタと、
前記第2トランジスタの第2端子と前記下側電源ラインの間に設けられ、前記しきい値電流の1/(n×m)倍の電流を生成する第1電流源と、
前記第3トランジスタの第2端子と前記下側電源ラインの間に設けられ、前記しきい値電流の1/(n×m)倍の電流を生成する第2電流源と、
を含み、前記第1トランジスタと前記第1電流源の接続点の電位に応じて、前記第1検出信号を生成することを特徴とする請求項2または4に記載のオーディオ信号処理回路。
【請求項6】
前記第2検出部は、
その第1端子が前記下側電源ラインに接続された第3抵抗と、
その第1端子が前記下側電源ラインに接続され、前記第3抵抗のm倍の抵抗値を有する第4抵抗と、
前記ローサイドトランジスタと同型で前記ローサイドトランジスタの1/n倍のサイズを有し、かつその第1端子が前記第3抵抗の第2端子と接続され、その第2端子が前記アンプの出力端子と接続され、その制御端子が前記ローサイドトランジスタの制御端子と接続された第4トランジスタと、
前記ローサイドトランジスタと同型で、かつその第1端子が前記第3抵抗の第2端子と接続された第5トランジスタと、
前記ローサイドトランジスタと同型で、かつその第1端子が前記第4抵抗の第2端子と接続され、その制御端子が前記第5トランジスタの制御端子と接続され、その第2端子がその制御端子と接続された第6トランジスタと、
前記第5トランジスタの第2端子と前記上側電源ラインの間に設けられ、前記しきい値電流の1/(n×m)倍の電流を生成する第3電流源と、
前記第6トランジスタの第2端子と前記上側電源ラインの間に設けられ、前記しきい値電流の1/(n×m)倍の電流を生成する第4電流源と、
を含み、前記第5トランジスタと前記第3電流源の接続点の電位に応じて、前記第2検出信号を生成することを特徴とする請求項3または4に記載のオーディオ信号処理回路。
【請求項7】
前記第1検出部は、
前記ハイサイドトランジスタとカレントミラー回路を形成するように接続された第7トランジスタと、
前記第7トランジスタと前記下側電源ラインの間に設けられ、前記しきい値電流に応じた電流を生成する第5電流源と、
を含み、前記第7トランジスタと前記第5電流源の接続点の電位に応じて、前記第1検出信号を生成することを特徴とする請求項2または4に記載のオーディオ信号処理回路。
【請求項8】
前記第2検出部は、
前記ローサイドトランジスタとカレントミラー回路を形成するように接続された第8トランジスタと、
前記第8トランジスタと前記上側電源ラインの間に設けられ、前記しきい値電流に応じた電流を生成する第6電流源と、
を含み、前記第8トランジスタと前記第6電流源の接続点の電位に応じて、前記第2検出信号を生成することを特徴とする請求項3または4に記載のオーディオ信号処理回路。
【請求項9】
前記電圧検出部は、
前記上側電源ラインに供給される正の電圧を分圧する第1分圧回路と、
当該第1分圧回路の出力電圧を、前記アンプにより増幅されたオーディオ信号に応じた電圧と比較する第1コンパレータと、
を含むことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のオーディオ信号処理回路。
【請求項10】
前記電圧検出部は、
前記下側電源ラインに供給される負の電圧を分圧する第2分圧回路と、
当該第2分圧回路の出力電圧を、前記アンプにより増幅されたオーディオ信号に応じた電圧と比較する第2コンパレータと、
を含むことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のオーディオ信号処理回路。
【請求項11】
前記電源回路は、
昇圧率が少なくとも1/2倍と1倍で切りかえ可能に構成され、前記アンプの前記上側電源ラインに正の電圧を、前記アンプの前記下側電源ラインに負の電圧を供給するチャージポンプ回路を含み、
前記電圧制御部は、前記チャージポンプ回路の昇圧率を制御することを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のオーディオ信号処理回路。
【請求項12】
前記電源回路は、
その出力電圧を変更可能なスイッチングレギュレータと、
前記スイッチングレギュレータの出力電圧を受け、前記アンプの前記上側電源ラインに正の電圧を、前記アンプの前記下側電源ラインに負の電圧を供給するチャージポンプ回路と、
を含み、
前記電圧制御部は、前記スイッチングレギュレータの出力電圧を制御することを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のオーディオ信号処理回路。
【請求項13】
ひとつの半導体基板上に一体集積化されることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載のオーディオ信号処理回路。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載のオーディオ信号処理回路を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−58993(P2013−58993A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197476(P2011−197476)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】