説明

カメラ付き携帯電話機による情報漏洩防止システム

【課題】 カメラ付き携帯電話機によりPCのディスプレイに表示された情報が盗撮されることを防止するシステムを提供する。
【解決手段】 ユーザが所有するカメラ付き携帯電話機を収納するロッカーと、ユーザが所有するカメラ付き携帯電話機番号と収納すべきロッカー番号の情報がユーザ毎に登録されたテーブルと、ユーザが使用する情報端末の起動要求に対し、前記テーブルを参照し、当該ユーザが自身が所有する携帯電話機を予め定めたロッカー内に収納しているかを確認し、収納していたならば当該ユーザが使用する情報端末の起動を許可する手段とを有する管理装置とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルコンピュータ等の情報端末のディスプレイに表示された顧客情報や社外秘情報がカメラ付き携帯電話機のカメラ機能により盗撮され、外部へ漏洩することを防止するカメラ付き携帯電話機による情報漏洩防止システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、カメラ付き携帯電話機が広く普及し、今後ますます使用者の増加が予想される状況にある。ところが、これに相応して、好ましくない場所、禁止されている場所での撮影及び撮影データの送信等が行われたり、盗撮等の犯罪も増加してきている。
このような行為の防止策として、例えば、カメラ機能付き携帯電話機に撮影時の撮影表示用のLED等の点灯や、撮影時の撮影音の鳴動等を行うように構成し、周囲に撮影動作を表示することが携帯電話機の機能に搭載されている。
また、下記特許文献1に記載のものは、例えば、屋外コンサート、屋内コンサート、記者発表、ディナーショウ、モータースポーツ、プロスポーツなどの各種の場所において、マネイジメント事務所、プロダクション、主催者や本人などの了解なしに勝手にカメラ付き携帯電話機を使用して盗撮するのを防ぐカメラ付き携帯電話防止カバーに関するものものであり、カバーをかける事により一時的にカメラ機能を使用不能にすることが可能である。
また、下記特許文献2に記載のものは、レベル設定によってカメラ付き携帯電話機の撮影機能等を規制することにより、違法な盗撮を防止するものであり、カメラ機能付き携帯電話機の撮影等の機能を停止させる制御信号を送信する信号送信装置と、前記制御信号に基づいて表示又は撮影動作が制御されるカメラ機能付き携帯電話機とからなり、前記信号送信装置は、規制レベルに応じた撮影、保存、送信、表示等を規制するそれぞれに対応する制御信号を送信可能であり、前記カメラ機能付き携帯電話機は、前記複数の制御信号のそれぞれの受信により、それぞれに応じて撮影、保存、送信、表示等の動作が規制される。
【特許文献1】特開2004−275434号公報
【特許文献2】特開2004−153324号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、現在、携帯電話機に搭載されている撮影時の撮影表示用のLED等の点灯や、撮影時の撮影音の鳴動等はあくまでも周囲に監視する人間が存在する場合の対応策であり、パーソナルコンピュータ等のディスプレイに表示された情報の盗撮を防止することを想定した場合にはその役割を果たさない。
また、前記特許文献1にあっても、カバーを掛けたカメラ付き携帯電話のユーザがカバーを外さないように常に誰かが監視することが必要であり、周りに監視者がいなくなればカバーを外して撮影を行うことは容易であり、盗撮を防止する能力は乏しいという問題がある。
また、前記特許文献2に記載のものは現時点で撮影禁止電波を受信する機能を装備していない携帯電話機には適用できないこと、携帯電話機に複雑な装置を組み込む必要があること、撮影禁止電波を発信する装置を取り付けなければならないという問題点が残されている。
【0004】
本発明は、上記のような課題に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、カメラ付き携帯電話機による情報端末画面上の盗撮を完全に防止し、かつ現在存在する比較的安価な装置構成で盗撮を防止することができるカメラ付き携帯電話機による情報漏洩防止システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、ユーザが所有するカメラ付き携帯電話機を収納するロッカーと、ユーザが所有するカメラ付き携帯電話機番号と収納すべきロッカー番号の情報がユーザ毎に登録されたテーブルと、ユーザが使用する情報端末の起動要求に対し、前記テーブルを参照し、当該ユーザが自身が所有する携帯電話機を予め定めたロッカー内に収納しているかを確認し、収納していたならば当該ユーザが使用する情報端末の起動を許可する手段とを有する管理装置とを備えることを特徴とする。
また、前記テーブルに、ユーザが使用する情報端末のIPアドレスがさらに登録され、前記管理装置が、前記ロッカーに収納したカメラ付き携帯電話機への着信時に、前記IPアドレスを参照してユーザの情報端末に対してIP電話通信により着信を転送する手段をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ユーザは予め定めたロッカー内に自身が所有するカメラ付き携帯電話機を正しく収納していなければ、自身が使用する情報端末を起動できなくなる。
これによって、情報端末のディスプレイの表示内容を盗撮不可能になり、情報漏洩を防止することができる。
また、情報端末を起動できた場合、着信に対しては、IP電話通信により着信が転送されるため、通話やデータ通信が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明のカメラ付き携帯電話機を使用した盗撮による情報漏洩防止システムについて図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態の外観を表すものである。
本発明では、使用するユーザ1人に1つのロッカー11が与えられ、それぞれのロッカー11には番号が割り付けられている。
点線(a)はロッカー11が他の装置や機器とは隔離されていることを示している。
12は盗撮の原因となるカメラ付き携帯電話機である。カメラ付き携帯電話機12は通話機能、カメラ機能を搭載している一般のカメラ付き携帯電話機であり、カメラ付き携帯電話機11のデータ出力部分にケーブル13を接続することにより携帯電話番号、及び音声データを外部に入出力できるタイプのものであれば特に制限はない。
各ロッカー11内には図1のように、カメラ付き携帯電話機12と携帯電話管理サーバ14間で通信ができるようにケーブル13が備えられている。
ケーブル13は、隔離された場所間でデータを送受信することが可能であれば必ずしもケーブルに限らない。例えば、Bluetoothを搭載する携帯電話機であればBluetoothによる手段を使用してもかまわない。
携帯電話管理サーバ14は、カメラ付き携帯電話機12とパーソナルコンピュータ(以下、PC)15との間で通信を行う際の中継を担う装置であり、ユーザが使用するカメラ付き携帯電話機12の番号とPC15のIPアドレスを元にして通信を中継する機能と、カメラ付き携帯電話機12がロッカー11内に格納されていることを確認する機能と、PC15を遠隔操作により起動させることができる機能を備えている。
各ユーザが使用するPC15には、それぞれにIPアドレスが割り振られていてIP電話により通話を行える環境が整っている。
16は携帯電話管理サーバ14とPC15をつなぐLANケーブルである。
なお、図1には携帯電話管理サーバ14とPC15間の通信手段として、LANケーブル16を使用した例を示しているが、データ通信可能なものであれば、必ずしもここに示す方法に限らない。また、図1では本発明と直接関係がある機器のみを記載しているために、特に必須の機器以外は図示していない。
【0008】
図2は、携帯電話管理サーバ14内に設けられる携帯電話管理テーブルの例を示す図であり、例示する携帯電話管理テーブル20は、ロッカー番号毎に、ユーザが使用するロッカー番号21と、携帯電話番号23と、PC15のIPアドレス22と、接続の有無24の情報を格納するようになっている。
携帯電話管理テーブル20は、図3の携帯電話管理サーバ14の補助記憶装置37に格納されて、ロッカー番号21、IPアドレス22、携帯電話番号23は事前に登録さるユーザ固有の値である。例えば、ロッカー番号0001はAさんが専用に使用するように予め決められており、そのロッカー番号0001に対応するIPアドレス22にはAさんが専用に使用するPC15のIPアドレスが、また携帯電話番号23にはAさんが専用に使用する携帯電話番号がそれぞれ予め登録される。
なお、来客については、専用のロッカーが設けられ、同様にしてロッカー番号21、IPアドレス22、携帯電話番号23が一時的に登録される。
接続の有無24はユーザのカメラ付き携帯電話機12がロッカー11内に格納されているかどうかを表した項目であり、ユーザがカメラ付き携帯電話機12を決められた番号のロッカーに正しく格納してケーブル13に接続した場合には“真”の値を、ケーブル13から取り外した場合や、間違った携帯電話機をケーブル13に接続してしまった場合や、決められたロッカー11内のケーブル13に携帯電話機12を接続してない場合には“偽”の値が登録される。
【0009】
図3は、携帯電話管理サーバ14の詳細構成図である。
携帯電話管理サーバ14は、入出力インターフェース31、CPU32、主記憶装置33、補助記憶装置37を備えており、主記憶装置33には携帯電話管理テーブルモジュール34、遠隔起動モジュール35、着信通話モジュール36、また補助記憶装置37には携帯電話管理テーブル20が格納されている。各部の機能は以下の通りである。
CPU32は、各部間の信号の転送及び制御機能を有する。つまり、入出力インターフェース31、主記憶装置33、補助記憶装置37、及び主記憶装置33内に格納されている各モジュール間の信号の送受信を制御、例えば入出力インターフェース31の送受信信号の制御、主記憶装置33及び補助記憶装置37の信号制御、例えば、携帯電話管理テーブルモジュール34の携帯電話管理テーブル20の更新処理、遠隔起動モジュール35の1PC15を遠隔起動させる信号の処理、着信通話モジュール36の着信転送信号、音声信号変換の処理を行う機能を有する。
【0010】
入出力インターフェース31は、カメラ付き携帯電話機12とPC15と携帯電話管理サーバ14とのインターフェース機能を有する。例えば、PC15の遠隔起動信号の送信、携帯電話機12とPC15の間での音声データの送受信、その他制御のための信号やデータの送受信は入出力インターフェース31を通して行われる。
主記憶装置33は、各モジュールを実行するためのプログラムが格納されている。主記憶に格納されている各モジュールの機能は次に示すとおりである。
携帯電話管理テーブルモジュール34は、ケーブル13に正しくカメラ付き携帯電話機12が接続された場合に、携帯電話管理テーブル20の接続の有無24の項目を更新する機能を持ち、カメラ付き携帯電話機12が正しくケーブル13に接続された場合に接続の有無24に“真”の値を、カメラ付き携帯電話機12がケーブル13から外された場合、または正しくカメラ付き携帯電話機12が接続されていない場合、または故意にカメラ付き携帯電話機12を接続しなかった場合には、“偽”の値を登録する。
【0011】
遠隔起動モジュール35は、ユーザからPC15の起動が要求された場合、遠隔起動の承諾と却下を管理する機能を有する。例えば、ユーザーのPC15より起動要求があった際に、カメラ付き携帯電話機12がロッカー11内に正しく格納され、ケーブル13に接続されているかどうかを、携帯電話管理テーブル20の接続の有無24の項目で判定し、正しく格納(項目の値が“真”)されていれば、起動信号を入出力インターフェース31を通してPC15に送信し起動を行う。
着信通話モジュール36は、ロッカー11内のカメラ付き携帯電話機12に着信があった際、携帯電話管理テーブル20において“携帯電話番号23=着信中の携帯電話番号”となるレコードのIPアドレス22を取得し、取得したIPアドレスにIP電話を掛けて、音声データ、及び通信制御データを適切な形態に変換しつつ入出力インターフェース31を通してデータの中継を行う機能を有する。
【0012】
以下、本実施の形態の動作について図を参照して説明する。
図4は、各装置間のやりとりを示したシーケンス図である。
図4において、ユーザは自分のPC15を使用するために、(1)携帯電話機12を所定のロッカー11に入れ、そこに備え付けのケーブル13に接続してロッカー1内に格納する。
(2)携帯電話管理サーバ14はケーブル13に携帯電話機12が接続されると、携帯電話管理テーブル20の更新を行う。この処理手順を表したものが図5の携帯電話接続フローチャートである。
図5において、
携帯電話機12がケーブル13に接続され、ロッカー11内に格納されると(s51)、携帯電話管理サーバ14は携帯電話管理テーブルモジュール34を呼び出し、ケーブル13に接続された携帯電話番号を取得し(s52)、補助記憶装置37に格納されている携帯電話管理テーブル20の携帯電話番号22と照合を行い、「携帯電話番号22=ケーブル13に接続されている携帯電話の番号」となったレコードの接続の有無24の項目を”真“に更新する(s54)。
「携帯電話番号22≠ケーブル13に接続された携帯電話の番号」となったレコードの携帯電話の有無22の項目は“偽”に更新する。
(3)上記動作後、ユーザはPC15のある場所へと移動し、PC15の起動を行う。PC15より送信された起動要求の信号は携帯電話管理サーバ14に送られる。
(4)携帯電話管理サーバ14は、補助記憶装置37内の携帯電話管理テーブル20を参照して、携帯電話機が正しく格納されていればPC15へ起動信号を送信
する。
【0013】
図6は、PC15の起動手順に関するフローチャートである。
ユーザがPC15を起動すると、起動要求の信号がLANケーブル16を介して携帯電話管理サーバ14に送信される(s61)。
携帯電話管理サーバ14内では遠隔起動モジュール35が呼び出され、起動要求信号の送信元のIPアドレスをキー値として携帯電話管理テーブル20のIPアドレス20の項目と照合を行い、IPアドレス20が一致するレコードの接続の有無24の値を取得し(s62)、“接続の有無24=真”ならば起動要求を受諾し、遠隔操作により起動要求があったPC15の起動を行う(s64)。
“接続の有無24=偽”だった場合には、携帯電話機管理サーバ14は正しく携帯電話機12をロッカー11内に格納するようにユーザに促すためにPC15へ命令を送り、起動要求を却下する(s65)。結果として、PC15が起動した場合には隔離された場所には携帯電話機12が正しく格納されていることとなり、カメラ付き携帯電話機12のカメラ機能を使用してディスプレイ画像の盗撮を行うことはできなくなる。
(6)PC15の起動中に、ロッカー11の中のカメラ付き携帯電話機12に着信があった場合、携帯電話管理サーバ14はユーザが使用中のPC15に着信信号の転送を行い、PC15へIP電話を掛けることにより、通話を可能とする。
【0014】
図7は、ユーザがPC15の起動が成功した後、携帯電話機12に着信があった場合の着信通話のフローチャートを示している。
携帯電話機12に着信があった場合(s71)、着信通話モジュール36は着信があった携帯電話機の番号と携帯電話管理テーブル20の携帯電話番号23の項目と照合を行い、“着信があった携帯電話の番号=携帯電話番号23の項目”となるレコードのIPアドレス22を取得し(s72)、取得されたIPアドレスを使用して、PC15にIP電話をかけることにより(s73)、通話を可能とする(s74)。
着信の転送時、及び通話時には着信通話モジュール36は、音声データや通信制御信号を適切な形に変換してデータの送受信を行う。これにより、隔離された場所にある携帯電話機12に着信があった際にも通話を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態を示すシステム構成図である。
【図2】携帯電話管理テーブルの構成図である。
【図3】携帯電話管理サーバの詳細構成図である。
【図4】各装置間のやりとりを示すシーケンス図である。
【図5】ロッカー内に携帯電話機が格納された場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】PC起動手順を示すフローチャートである。
【図7】着信転送通話を行う場合の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0016】
11 ロッカー
12 カメラ付き携帯電話機
13 ケーブル
14 携帯電話管理サーバ
15 PC
16 LANケーブル
20 携帯電話管理テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが所有するカメラ付き携帯電話機を収納するロッカーと、
ユーザが所有するカメラ付き携帯電話機番号と収納すべきロッカー番号の情報がユーザ毎に登録されたテーブルと、ユーザが使用する情報端末の起動要求に対し、前記テーブルを参照し、当該ユーザが自身が所有する携帯電話機を予め定めたロッカー内に収納しているかを確認し、収納していたならば当該ユーザが使用する情報端末の起動を許可する手段とを有する管理装置と
を備えることを特徴とするカメラ付き携帯電話機による情報漏洩防止システム。
【請求項2】
前記テーブルに、ユーザが使用する情報端末のIPアドレスがさらに登録され、前記管理装置が、前記ロッカーに収納したカメラ付き携帯電話機への着信時に、前記IPアドレスを参照してユーザの情報端末に対してIP電話通信により着信を転送する手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のカメラ付き携帯電話機による情報漏洩防止システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−235819(P2006−235819A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−47170(P2005−47170)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)
【Fターム(参考)】