説明

カラオケ装置

【課題】演奏中に変化する各カラオケ楽曲の内容にも合致したムード映像を表示することができるカラオケ装置を提供する。
【解決手段】長時間分の映像を格納した映像データベースと、複数系統の映像データベースアクセス手段と、複数系統の映像再生手段と、映像効果処理手段とを備え、カラオケ楽曲の演奏期間に複数の映像切り替えポイントを指定するポイント時間データと、前記各ポイント間で使用する素材映像の格納位置と、前記各ポイントで使用する映像効果とを記述した台本情報を対応づけ、あるカラオケ楽曲を演奏するとき、前記映像データベースアクセス手段は、処理系統を交代しながら該当の前記台本情報に従った素材映像データを順次取り出し、前記映像再生手段は、処理系統を順番に受け持ちながら順次素材映像を再生し、前記映像効果処理手段は、該当の前記台本情報に従った映像効果処理によって素材映像を順次切り替えていくカラオケ装置とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカラオケ装置に関するものであり、より具体的にはカラオケ楽曲の伴奏音楽の演奏時にムード映像をディスプレイに表示するカラオケ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カラオケ装置において、カラオケ伴奏音楽の演奏時にディスプレイに表示されるムード映像は、カラオケ用パッケージソフトなどのように各カラオケ楽曲毎に1つずつ専用に作成されていた。このパッケージソフトは、CDなどの記録メディアに伴奏音楽と歌詞入りのムード映像が一体的に収録されて提供される。そのため、カラオケ楽曲の曲風に合致するとともに歌詞に込められている首尾一貫したストーリー性を備えたムード映像を表示することができる。しかし、各カラオケ楽曲毎に専用のムード映像を制作しているため、膨大な制作時間と制作コストを要する。また、絶え間なくリリースされる新曲に対応して素早くその楽曲のカラオケソフト(伴奏音楽と歌詞入りムード映像)を提供することも困難である。さらに、多数のカラオケ楽曲に対応するためには、多数のカラオケ用パッケージソフトを用意する必要があり、記録メディアの数など記録容量やその設置場所に要するスペースが膨大なものとなる。
【0003】
上述した方式に対し、長時間分の映像を映像データベースに格納しておき、このデータベース中の任意の格納位置から素材映像(長時間分の映像の一部分)を適当に選んで取り出し、その素材映像を演奏期間中に順次切り替えてつなぎ合わせながら再生することで一連のムード映像とする方式がある。新曲のリリースに素早く対応できるとともに、少ない記憶容量で膨大な楽曲数を収容できる通信カラオケシステムの普及に伴って、この方式を採用するカラオケ装置が現在主流となりつつある。この共有の素材映像を各カラオケ楽曲で使い回す共用映像データベース方式の採用によって、ムード映像の制作時間や制作コストあるいは記録容量や記録メディアの設置場所を大幅に削減することが可能となった。しかし、多数の素材映像を無作為に各カラオケ楽曲で使い回していたのでは、カラオケ楽曲の曲風とムード映像とが全く合わなくなる。そこで、特許2550423号公報(従来例)に開示されている技術では、共用映像データベース方式を採用しつつ、楽曲の曲風とムード映像を合致させようとしている。この技術の詳細は以下の通りである。
【0004】
各カラオケ楽曲にはその楽曲の演奏中に使用する素材映像を指定するためのインデックス情報が付帯している。インデックス情報は「演奏楽曲に関連した」情報である。この演奏楽曲に関連した情報は、具体的にはジャンルであり膨大なカラオケ楽曲を複数に分類するためのものである。
【0005】
映像データベースに格納されている長時間分の映像は、素材映像を単位として処理される。この素材映像は1シーンなど適宜な映像表現毎に区切られている。この素材映像もジャンルによって複数のグループに分類される。従って、各カラオケ楽曲と所定の素材映像群とが、ジャンルを仲介にして対応付けされることになる。
【0006】
また、インデックス情報にはパラメータが付帯している。パラメータは、そのカラオケ楽曲の演奏期間中における映像切り替えポイントを複数設定するポイント時間データと、映像切り替え時における映像効果を記述している。なお映像効果は各楽曲毎にそれぞれ1つずつ指定されている。
【0007】
そして、あるカラオケ楽曲がリクエストされると、その楽曲に付帯したジャンルに対応する素材映像群から、映像切り替えポイントの数に応じた数の素材映像がランダムに選択される。さらに、この複数の素材映像を再生する時の順番もランダムに設定される。
【0008】
カラオケ楽曲が演奏されると、最初の素材映像の収録先頭位置を再生開始位置として連続した映像が次の映像切り替え時間まで再生され続ける。最初の映像切り替えポイントの時間が来ると、指定された映像効果によって次の素材映像に切り替わる。このようにして、楽曲の演奏期間中に順次素材映像を切り替えてムード映像としている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
現在でも、各カラオケ楽曲専用に制作されたムード映像とともに歌唱する醍醐味に大きな魅力を感じているカラオケ愛好家はかなり多いはずである。しかし、1万曲以上のカラオケ楽曲が存在する現在においては、上述した理由からこの方式よりもムード映像をカラオケ楽曲数よりはるかに数が少ない素材映像を各楽曲で使い回す方式を選択せざるを得ないのが現状であろう。
【0010】
確かに、上記従来例に開示された技術では、各カラオケ楽曲をジャンル毎に素材映像を振り分けることで各カラオケ楽曲の曲風とムード映像を合致させようとしている。しかし、楽曲の演奏とともに時々刻々と変化する情景や歌詞に込められたストーリーの起承転結などは、各楽曲毎に全く異なっている。そして、ムード映像は、演奏中のその時々で想起される「イメージに合った映像」がストーリー性と合致した「特定の順番」で展開されるものである。にもかかわらず、従来例では、1万曲以上という膨大な数のカラオケ楽曲と、数十時間以上ある長時間分の映像を極めて数が少ないジャンルによって分類してしまっている。すなわち、各ジャンルに属する膨大な数の楽曲の中の1つに対し、各ジャンルに属する多数の素材映像からランダムに選択されたほんの数シーンの素材映像を適当に演奏時間内に割り当てて使用している。
【0011】
多数の素材映像のそれぞれが全く異なる内容を有しているにもかかわらず、表面的な関連性のみで分類された素材映像をすべて同等に扱い、その中から適当に選んで適当につなぎ合わせている。すなわち、全く関連性のない複数の素材映像を前後の脈絡を無視した順番で編集したものをムード映像としている。従って、従来例による技術では、演奏中の情景変化やストーリー展開などにムード映像を追従させることなど完全に不可能であると結論づけられる。場合によっては、演奏中の楽曲のイメージとムード映像とが全く合致しないこともあり得る。
【0012】
また、素材映像をジャンルで分類することは、楽曲毎に使用できる素材映像の数を自ら限定してしまうことも意味する。すなわち、あるジャンルの楽曲が選択されると他のジャンルに属する素材映像がすべて無駄となる。また、新規な映像を追加してもこの映像が使用される確率も低く、データ量を増加するだけの結果となる。これでは、共有映像データベースによって収録映像を有効利用するという本来の目的を十分に達成しているとは言い難い。
【0013】
さらに、選択される各素材映像はその収録開始位置を再生開始位置として次の映像切り替えポイントまで再生され続けることになる。各映像切り替えポイント間の時間間隔と、各素材映像の収録時間を同程度にしたとしても、各楽曲ごとに演奏時間が異なるため、最後に再生される素材映像は、どうしても中途半端で終わってしまう。楽曲の終了という「余韻」に浸ることなく突然ムード映像が途切れてしまっては、歌唱者にとって大いに不満が残る。
【0014】
加えて、楽曲毎に映像効果が一律であることも問題である。ストーリーに追従した素材映像がその時々で最適な映像効果で切り替わりながらムード映像が展開されることによって楽曲の歌詞に込められたストーリーの起承転結をより際だたせる効果を生む。たとえ、それぞれの映像切り替わりポイントで映像効果を変えたとしても、「前後の脈絡が全くない映像」を安易な映像効果でごまかしていると言わざるを得ない。
【0015】
結局のところ、この従来例は、新曲の追加など楽曲の増加に対し、素材映像をいかにして簡単に割り当てるかを目的とした技術であり、ジャンルなど楽曲における表面的なイメージとムード映像とが全くかけ離れないようにするだけの効果しか得られない。
【0016】
そこで本発明は、使い回しの素材映像を使用しながらも、演奏中に変化する楽曲の内容に合致したムード映像を表示できるカラオケ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
以上の目的を達成するために、この発明によるカラオケ装置では、以下の要件(1)〜(4)を備えることとした。
(1)ムード映像用の長時間分の映像が映像データベースに格納されている。
(2)複数系統の映像データベースアクセス手段と、複数系統の映像再生手段と、映像効果処理手段とを備える。前記映像データベースアクセス手段は、前記映像データベース中の所望の格納位置から任意の時間長さの素材映像に相当する映像データを読み出す。前記映像再生手段は、前記映像データから素材映像の映像信号を再生する。前記映像効果処理手段は、複数系統の映像信号を入力し、その映像信号に適宜な映像効果処理を施しながらある系統の映像信号から他の系統の映像信号へ切り替えて出力する。
(3)カラオケ楽曲毎に台本情報が対応づけられている。この台本情報は、1つのカラオケ楽曲の演奏期間中に複数の映像切り替えポイントを指定するポイント時間データと、前記各映像切り替えポイント間でそれぞれ使用する素材映像のそれぞれの格納位置と、前記各映像切り替えポイントで使用するそれぞれの映像効果とを記述している。
(4)あるカラオケ楽曲の伴奏音楽を再生するとき、前記複数系統の映像データベースアクセス手段は、適宜にその処理系統を交代しながら該当の前記台本情報に従った各ポイント間で使用する素材映像データを順次取り出し、前記複数系統の映像再生手段は、この素材映像データの処理を順番に受け持ちながら順次素材映像の映像信号を再生し、前記映像効果処理手段は、この素材映像信号に該当の前記台本情報に従った映像効果処理を施しながら順次切り替えていく。
【0018】
さらに、長時間分の映像を圧縮符号化したデジタル動画データとして光ディスクに格納することで、前記データベースアクセス手段が、光ディスクのタイムコードに従って1秒以下の時間単位で任意の動画データ格納位置にアクセスし、任意の再生時間分の動画データを取り出すようにしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
各カラオケ楽曲に対応した台本情報に従って映像データベースに収録されている映像から取り出される素材映像は、ジャンルなど楽曲に関連した情報を介さずに任意の再生開始位置で直接指定されるとともに、指定された再生時間長さと指定された順番によって再生される。そのため、すべてのカラオケ楽曲において、その演奏期間中にその時々で変化する内容に合致した部分だけを素材映像としてタイミング良く再生することができる。その結果、楽曲の時系列的な変化にも十分に追従した内容のムード映像を表示することができる。加えて、映像データベース中のすべての収録映像を無駄なく使用することができる。翻って、少ない映像データ量でも多彩なムード映像に編集することができる。そのため、共用映像データベースに格納する映像データの容量を従来よりさらに削減することも可能となる。
【0020】
もちろん、演奏期間における最後の素材映像をその楽曲の演奏時間や演奏終了の雰囲気に合わせて自在に指定できる。そのため、中途半端な映像のまま楽曲の演奏が終了してしまうことがない。
【0021】
また、並列動作可能な複数系統の映像データベースアクセス手段と、並列動作可能な複数系統の映像再生手段とを備えることによって、素材映像の再生切り替え時に発生するタイムラグを回避することができる。また、複数系統の映像再生手段からの映像信号を並列に入力して適宜な映像効果処理を行う映像効果処理手段を備えているため、素材映像の切り替わり時をよりスムースに、より自然に楽曲の内容に合致させて映像移行することが可能となる。
【0022】
さらに、長時間分の映像を圧縮符号化したデジタル動画データとして光ディスクに格納することで、光ディスクのタイムコードに基づいて1秒以下の単位で動画データの任意の格納位置にアクセスし、任意の再生時間分の動画データを取り出すことができる。そのため、微妙なストーリー展開にもきめ細かく追従した素材映像をより的確なタイミングで再生するできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
===カラオケ装置の構成と基本動作===
図1は、本発明のカラオケ装置における実施例の構成図である。カラオケ装置1は、通信カラオケシステムにおける演奏端末とほぼ同じ構成をとり、その基本動作もほぼ同様である。内部にCPU、RAM、ROMを含む中央制御部11がホスト装置60より電話回線50を通じて配信されるカラオケデータをモデム23を介して受け取りハードディスク装置24に蓄積していく。そして、リモコン送信器12や操作パネル13から入力された選曲情報を操作制御部15を介して受け取ると、ハードディスク装置24より該当するカラオケデータを取り出す。カラオケデータ中のMIDIデータなど伴奏音楽生成データはシンセサイザ16に順次転送され、ここで生成された伴奏音楽はミキシングアンプ18でマイクロホン17からの歌唱者の音声信号と混合されてスピーカ19に出力される。また中央制御部11はカラオケデータ中の歌詞描出データを処理することで、伴奏音楽に同期した歌詞画像をビデオRAM20内に順次ビットマップ展開させていく。
【0024】
一方、ムード映像は、適宜なデータ形式によって映像データベース30に格納されている。映像データ再生部40は、映像データベース30から再生時の時間にして適宜な時間長さの素材映像を順次取り出して再生するとともに、この素材映像をつなぎ合わせるように切り替えて一連のムード映像に編集する。映像データ再生部40から出力された映像信号は、映像制御部21で歌詞画像と合成されディスプレイ22に歌詞がスーパーインポーズされたムード映像として表示される。次に、本発明の要件であるこのムード映像の再生システムについて説明する。
【0025】
===ムード映像再生システム===
(I)映像データベース
本実施例において、ムード映像は、MPEG1形式によってデジタル化された映像データとしてCD−ROMに収録されている。長時間分の映像に対応するため、多数のCD−ROMが用意されている。各CD−ROMには、通常のビデオCDと同じく、再生時間にして74分の映像に相当する映像データが記録されている。所望の格納位置にある映像データは、CD−ROMのデータセクタ毎に割り当てられたセクタアドレスによって指定することができる。所望のセクタアドレスには、CD−ROMに収録されている映像を最初から再生したときの経過時間に対応したタイムコード(分/秒/フレーム<1秒=75フレーム>)を指定することによって1秒以下の時間単位でアクセスできる(この辺りの規格はビデオCDに準拠しているので詳細な説明は省略する。)。
【0026】
従って、本発明で言う素材映像は、1シーンなどの映像表現を単位として指定されるものではなく、1枚のCD−ROMに記録された収録時間分の映像から任意のセクタアドレスと、ここを再生開始位置とした任意の再生時間長さとによって指定される。これによって、素材映像は事実上無数に存在することになる。
【0027】
(II)ハードウエア構成
図2は、ムード映像再生システムにおけるハードウエアの中核である、映像データベース30および映像データ再生部40の構成をより詳細に示している。映像データベース30は、並列動作する3系統のCD―ROMチェンジャ31〜33によって構成され、長時間分の映像を収録した多数のCD−ROMがこの3系統のCD−ROMチェンジャ31〜33に分納されている。中央制御部は、任意の系統のCD−ROMチェンジャ31〜33を制御し、そこに格納されている任意のCD−ROMをその駆動装置にセットさせ、そのCD−ROMに記録されている任意の素材映像データの読み取りと出力をさせる。
また、中央制御部は、素材映像データを読み出しているCD−ROMチェンジャと次に素材映像データの読み取りを行わせるCD−ROMチェンジャが異なる場合、該当するCD−ROMを次のCD−ROMチェンジャの駆動装置に前もってセットさせておく。そうすることによって、CD−ROMが駆動装置にセットされるまでのタイムラグが吸収される。
【0028】
一方、映像データ再生部40は、2系統のMPEGデコーダ41および42と、この2系統のMPEGデコーダ41および42の出力経路に接続された映像効果処理部43を含んでいる。
2系統のMPEGデコーダ41、42は、それぞれが3系統のCD―ROMチェンジャ31〜33の出力経路に接続されている。そして、3系統のCD−ROMチェンジャ31〜33から出力されるMPEG1形式の映像データを入力し、そのうちの1つの経路からの映像データを選択して復号処理し、ムード映像を再生する。さらに、この2系統のMPEGデコーダ41、42は、並列動作も可能であり、交互に素材映像データの処理を受け持つようになっている。
【0029】
映像効果処理部43は、MPEGデコーダ41および42からの2系統の映像信号を入力し、その1系統の映像信号を出力する切り替え動作のほかに、必要に応じて、並列して入力される2系統の映像信号に各種映像効果処理(オーバーラップ合成、フェードイン/フェードアウトやワイプによる映像の切り替えなど)を加えてその映像効果処理後の映像信号を出力する動作もする。中央制御部は、これらのハードウエアを後述する台本情報に従って制御し、再生した素材映像を適宜につなぎ合わせて一連のムード映像に編集する。次に、その台本情報とそれに基づく中央制御部のムード映像編集処理について説明する。
【0030】
(III)台本情報
前出の台本情報は、ハードディスク装置に楽曲番号に対応させて格納されている。従って、各カラオケ楽曲と台本情報とは1対1の関係で対応づけられている。なお、カラオケ楽曲ID―台本ID対照表などを用意することで、各楽曲と台本情報とを対応づけてもよい。図3に台本情報の概略を示した。この台本情報には、楽曲番号と、映像切り替えポイントと、映像効果、および素材映像格納位置が記述されている。1つのカラオケ楽曲の演奏期間中に複数設定される映像切り替えポイントは、ポイント時間データによって指定されている。このポイント時間データはこの楽曲における演奏開始時点からの経過時間を記述している。映像効果は、各映像切り替えポイントにおいて素材映像が切り替わるときの映像効果のタイプと、その効果をどの位の時間をかけて行うかを示す所要時間とを指定している。なお、本実施例において、前述の映像切り替えポイント時間は、この所要時間を考慮して映像効果処理を開始する時間としてある。
【0031】
素材映像格納位置は、ディスクの格納場所と、そのディスク内での時間的位置によって指定されている。ディスクの格納場所は、CD−ROMチェンジャのIDとそのチェンジャ内でのディスク番号で指定し、時間的位置は、前述した分/秒/フレームによって指定している。また、素材映像の格納位置は、連続した映像切り替えポイント間で同じCD−ROMチェンジャが指定されないようにも配慮されており、ここでも、上述したタイムラグの発生を回避している。
なお、ディスクの格納場所は、各CD−ROMに付帯したディスクIDと映像データベース内での格納場所を対応づけた対照表などを用意することによって、直接ディスクIDで指定してもよい。
【0032】
上述した台本情報を用意することによって、各映像切り替えポイント間で使用される素材映像は、ジャンルなど楽曲に関連させた中間媒体的な情報を介さずに直接的に一意的に指定されている。しかも、1フレーム時間である1/75秒単位で再生開始位置を指定することができる。そのため1シーンはおろか、1カット中のさらに一部分の映像さえも素材映像として自在に指定することもできる。
【0033】
(IV)ムード映像編集処理
中央制御部は、台本情報に従って各映像切り替えポイント間で使用する素材映像を適宜に編集して一連のムード映像に編集する。図4にその編集処理におけるフローチャートを示した。カラオケ楽曲がリクエストされると、そのカラオケ楽曲に対応する台本情報がハードディスク装置より読み出される。楽曲の演奏が開始されると、演奏経過時間の計測も開始する。そして、映像切り替えポイントに該当する時間と比較する。さらに、最初の映像切り替えポイント(演奏開始時点)に記述されている素材映像格納位置に従って、適宜なCD−ROMチェンジャを制御し適宜なCD−ROMをその駆動装置にセットさせ、記述された時間位置を先頭としてデータを出力させる。そして、適宜な系統のMPEGデコーダにこの映像データの復号処理をリアルタイムで行わせることで、その映像信号を出力させる。出力された映像信号は、映像効果処理部、映像制御部を経由してディスプレイに出力される(101〜103)。
【0034】
次の映像切り替えポイント時間になると、それまでの素材映像を復号した系統とは別の系統のMPEGデコーダに、次の素材映像データの復号処理を行わせる。このとき、映像効果処理部を制御して、指定された映像効果処理を行いながら映像の切り替え制御を行う(105、106)。以後、同様にして、指定されたポイント時間に指定されたCD−ROMの指定された時間位置からの映像を再生させて順々に切り替えていく(107→103)。
【0035】
===その他の実施例など===
台本情報は、カラオケデータとは独立したデータとしてハードディスクに格納されているが、各カラオケ楽曲のカラオケデータに付帯させることも可能である。また、台本情報をハードディスクに格納せず、台本情報用のCD−ROMを用意してもよい。この場合は楽曲の演奏に先だって、このCD−ROMから該当する台本情報を読み出し、中央制御部内のRAMなどに一時格納することでムード映像の編集処理が行える。
また、新曲を追加したり台本情報を更新する場合は、ホスト装置から新規な台本情報が適時に配信されるようにしてもよい。
【0036】
複数のCD−ROMチェンジャの代わりに、多数のCD−ROMを格納する1台のディスクトレイと、複数のCD−ROM駆動装置からなる構成とし、搬送装置によって、ディスクトレイから任意のCD−ROMを取り出して所定のCD−ROM駆動装置にセットする方式を採用してもよい。図5にその1例を示した。中央制御部の制御の下、搬送装置45がディスクトレイ34よりCD−ROMを取り出し、3系統のCD−ROM駆動装置31b〜33bのいずれかにセットする。そして、搬送装置45が次にデータが読み出されるCD−ROMを別系統のCD−ROM駆動装置に予めセットしておくことで、素材映像の切り替わり時に発生するタイムラグをなくすようにしている。
【0037】
なお、映像データはMPEG1形式に限らずMPEG2や他のデジタルデータ、あるいは光学式アナログビデオディスクなどのようなアナログの映像信号としてもよい。そして、それぞれのデータ形式の信号を格納する適宜な記録媒体による映像データベースと、それぞれの形式の映像データを処理してムード映像を再生するための映像再生手段を備えるようにすることも可能である。
もちろん、カラオケ装置本体も通信カラオケシステム用の演奏端末である必要はなく、ムード映像を共用映像データベース方式によって編集するタイプのカラオケ装置ならいかなるものでもよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施例によるカラオケ装置の構成図である。
【図2】上記実施例におけるムード映像再生システムにおける主要部分の構成図である。
【図3】上記実施例において処理される台本情報の概略構造図である。
【図4】上記実施例において中央制御部が行うムード映像編集処理を示したフローチャートである。
【図5】上記ムード映像再生システムにおけるその他の実施例の構成図である。
【符号の説明】
【0039】
1 カラオケ装置
11 中央制御部
22 ディスプレイ
30 映像データベース
40 映像データ再生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の要件(1)〜(4)を備えることを特徴とするカラオケ装置。
(1)カラオケ楽曲の伴奏音楽の演奏時にムード映像としてディスプレイに表示するために用意された長時間分の映像が映像データベースに格納されている。
(2)並列的に動作可能な複数系統の映像データベースアクセス手段と、並列的に動作可能な複数系統の映像再生手段と、映像効果処理手段とを備える。前記映像データベースアクセス手段は、前記映像データベース中の所望の格納位置にランダムアクセスして前記長時間分の映像から任意の時間長さの素材映像に相当する映像データを読み出す。前記映像再生手段は、前記映像データから素材映像の映像信号を再生する。前記映像効果処理手段は、複数系統の映像信号を入力し、その映像信号に適宜な映像効果処理を施しながらある系統の映像信号から他の系統の映像信号へ切り替えて出力する。
(3)カラオケ楽曲毎にムード映像編集用の台本情報が予め作成されて対応づけられている。この台本情報は、1つのカラオケ楽曲の演奏期間中に複数の映像切り替えポイントを指定するポイント時間データと、前記各映像切り替えポイント間でそれぞれ使用する素材映像のそれぞれの格納位置と、前記各映像切り替えポイントで使用するそれぞれの映像効果とを記述している。
(4)あるカラオケ楽曲の伴奏音楽を再生するとき、前記複数系統の映像データベースアクセス手段は、適宜にその処理系統を交代しながら該当の前記台本情報に従った各ポイント間で使用する素材映像データを順次取り出し、前記複数系統の映像再生手段は、この素材映像データの処理を順番に受け持ちながら順次素材映像の映像信号を再生し、前記映像効果処理手段は、この素材映像信号に該当の前記台本情報に従った映像効果処理を施しながら順次切り替えていく。
【請求項2】
請求項1において、前記長時間分の映像は圧縮符号化されたデジタル動画データとして適宜な光ディスク記録媒体に格納され、前記データベースアクセス手段は、この光ディスクに記録されたタイムコードに基づいて、前記動画データの任意の格納位置に1秒以下の時間単位でアクセスするとともに任意の再生時間分の前記動画データを取りだすことを特徴とするカラオケ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2004−163975(P2004−163975A)
【公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−14003(P2004−14003)
【出願日】平成16年1月22日(2004.1.22)
【分割の表示】特願平9−206045の分割
【原出願日】平成9年7月31日(1997.7.31)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】