説明

カラーフィルタ基板及びそれを備えた液晶表示装置

【課題】タッチパネル電極とIPS方式カラーフィルタを同一の透明基板の表裏に形成した場合、画素開口部にレジスト残渣が残らずパネル透過率低下がなく、静電気障害・外部電界影響によるパネルの表示品位低下が軽減されたIPS方式液晶パネル用のカラーフィルタ基板とそれを備えた液晶表示装置とを提供する。
【解決手段】同一の透明基板の、表面に静電容量型のタッチパネル電極と、裏面にカラーフィルタ層と、が形成されたカラーフィルタ基板において、前記裏面の膜面の一層目に導電膜が形成されており、前記導電膜は樹脂ブラックマトリックスの下側にパターン形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル式液晶ディスプレイ等に用いられる、タッチパネル機能を有するカラーフィルタ基板に関し、タッチパネル電極とカラーフィルタを同一のガラス基板の表裏に形成したカラーフィルタ基板及びそれを備えた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタは、カラー液晶表示装置等に不可欠な部材で、液晶表示装置の画質を向上させたり、各画素にそれぞれの原色の色彩を与えたりする役割を有している。このカラーフィルタを構成するフィルタセグメントまたはブラックマトリックス(BM)は、ガラス基板などに感光性材料を塗布し、余剰の溶剤を乾燥除去したあと、画素形成のためのフォトマスクを介し、プロキシミティ露光(近接露光)などで超高圧水銀灯を使用して活性エネルギー線を照射し、硬化(ネガ型)またはアルカリ溶解度を高め(ポジ型)、アルカリ溶液などで溶解する部分を除去し、さらにポストベーキングすることにより形成されている。これを各色について繰り返すことにより、カラーフィルタが作製される。
【0003】
アクティブマトリックス方式の液晶表示装置では、一般に、ガラス基板上に各画素ごとにアクティブ素子(薄膜トランジスタ、TFT)を形成したアレイ基板と、ガラス基板上にカラーフィルタと一様な透明電極を形成したカラーフィルタ基板とが、間に液晶を挟んで対向して配置されている。なお、アレイ基板の各TFT素子のスイッチング作用によって各画素の液晶のシャッター作用を制御している。
【0004】
近時、液晶表示装置の大型化、高精細化、広い視野角や高コントラスト化などの高画質化にあわせて、垂直配向と呼称されるVA(Vertical Allignment)型液晶表示装置や、液晶の配向を制御する配向制御用突起を形成したMVA(Multi−domain Vertical Allignment)型液晶表示装置が広く利用されている。また、VA方式と共に、視野角を改善し高画質化を実現する技術として、画素の横方向に液晶駆動用の電界が印加されるIPS(In Plane Switching)方式の液晶表示装置が多く採用されるようになってきている。
【0005】
このIPS方式の液晶表示装置では、アレイ基板とカラーフィルタ基板の2枚の透明基板間で液晶が平行に配向しており、基板の平行方向に印加される電界によりスイッチングする。そのため、カラーフィルタ基板の液晶と接する側の表面には、前記した一様な透明電極は形成されていない。また、電界の乱れを抑制するために、高絶縁性の樹脂BMが採用されている。
【0006】
このように、IPS方式の液晶表示装置ではカラーフィルタ基板に導電性が付与されていないため、液晶表示装置のパネル化工程で静電気障害が発生して、製品の品質や製造の歩留まりに悪影響する問題があった。また、液晶表示装置使用時での、外部電界による表示特性低下の問題があった。そこで、図1に示すように、通常、IPS方式の液晶表示装置向けのカラーフィルタ基板には、透明基板1のカラーフィルタ層反対面に「裏面ITO」6と呼ばれる、ITO(錫ドープ酸化インジウム)層を形成し、パネル化工程での静電気障害を抑制し、液晶表示装置使用時での外部電界による表示特性低下を防止している。このIPS方式用のカラーフィルタ基板では、透明基板1の裏面には、樹脂ブラックマトリックス2で画定された赤(R)、緑(G)、青(B)等複数色の着色層3、一様なオーバーコート層4が形成されている。樹脂ブラックマトリックス2上の所定の位置には、オーバーコート層4を介して、図示しないアレイ基板との中間に液晶層を挟持する間隙を規定するフォトスペーサー5が設けられている。そして、透明基板1の表面側には、静電気除去、および液晶配向の乱れを防ぐために、「裏面ITO」6が形成されている。
【0007】
しかし、反対面に形成された導電性薄膜の剥がれによる歩留まり低下などの問題があり、例えば、特許文献1(第2−3頁、第2図)では、このカラーフィルタ層反対面のITO層をパターン形成して、液晶表示素子の製造工程で搬送用アーム、治具などと接触する部分から導電性膜を取り除く技術が開示されている。
【0008】
近年、カラー液晶表示装置は、液晶カラーテレビや液晶表示装置一体型のノートパソコンとして大きな市場を形成するに至っている。また、携帯電話機や、携帯情報端末、カーナビゲーションシステムを始め、タッチパネルを液晶表示パネルと一体型で構成した、タッチパネル式液晶ディスプレイが市場に普及してきた。タッチパネルは、その構造及び検出方式の違いにより、抵抗膜型や静電容量型等の様々なタイプがある。このうち、静電容量型タッチパネルは、1枚の基板上に透光性導電膜(透光性電極)を有し、指またはペン等が接触(タッチ)することによって形成される静電容量を介して流れる微弱電流量の変化を検出する事によって被接触位置を特定するもので、指示される内容を入力信号として受け取り液晶表示装置を駆動する。静電容量型タッチパネルは、抵抗膜型タッチパネルと比べて、より高い透過率が得られる利点がある。
【0009】
静電容量型のタッチパネル電極を形成する場合、XY電極の重なり部分に金属でのジャンパーを形成し、XYを認識可能な電極形成を行なう。例えば、特許文献2及び特許文献3には、基板上に透明導電性薄膜からなる、X軸方向に等間隔に配置し相互に平行配列する複数のX軸トレース、及び、Y軸方向に等間隔に配置し相互に平行配列する複数のY軸トレースを備え、並びに、X軸トレース及びY軸トレースは、同一平面上において行列式に交差配置されており、個別のX軸トレース上の各センサユニットは相互連結し、個別のY軸トレース上の各センサユニットは連結せず間隔を空けて配列し、導電性の材料よりなるジャンパーを介して電気的に接続している、コンデンサ式タッチパッド(静電容量型タッチパネル電極)が開示されている。
【0010】
従来は、タッチパネル式液晶ディスプレイ作製時には、タッチパネル電極とカラーフィルタとを別々の基板で作成し、モジュールにする時に貼り合わせる技術が主流であった。しかしながら、タッチパネルのストライプとカラーフィルタのストライプの微妙なズレによる干渉縞の発生や、タッチパネル表面とカラーフィルタ表面との距離により斜め表示で視差が発生する等表示性能面での問題点があった。
【0011】
そこで、タッチパネル電極とカラーフィルタの貼り合わせの工程削減目的と、貼りあわせた時に発生する空隙による光学特性低下防止の為に、例えば特許文献4に開示されているように、タッチパネル電極とカラーフィルタを同一のガラス基板の表裏に形成する技術が各社で検討されている。また、特許文献5には、タッチパネル電極とカラーフィルタを同一のガラス基板の同一の裏面に形成する技術が開示されているが、タッチパネルの信号解像度を考えると、タッチパネル電極が視認側表面となる、タッチパネル電極とカラーフィルタを同一のガラス基板の表裏に形成する前者の構成が主流である。
【0012】
また、図2は、従来の、タッチパネル/IPS方式用のカラーフィルタ基板の一例を断面で示した模式図である。透明基板1の表面側にタッチパネル電極10を作製するために、その反対面(裏面)に膜面最下層ITO7を形成・配置して、前述した「裏面ITO」の役目を持たせようとしている。そして、その上にカラーフィルタ層を形成することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2000−39509号公報
【特許文献2】登録実用新案第3144563号公報
【特許文献3】登録実用新案第3144241号公報
【特許文献4】特開2008−9750号公報
【特許文献5】特開2010−72581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
図3は、上記した図2に示すカラーフィルタ基板で、樹脂ブラックマトリックス形成時の状態を説明する模式図である。静電容量型のタッチパネル電極を有するIPS方式のカラーフィルタ基板を作製する時、通常、先に透明基板1の片面(表面)にタッチパネル電極10を作製した後、その反対面(裏面)の膜面最下層にITO7を形成・配置し、その上にカラーフィルタ層を形成することになる。しかしながら、図3に模式的に示すように、カラーフィルタ層の第一層目にITO7を設けると、その後のフォトリソグラフィー工程で、樹脂ブラックマトリックス2やRGB着色層3を形成する際に、静電作用によって、ITO7上にレジストに含まれる樹脂成分が残渣8として開口部内に残こる問題が発生する場合がある。この残渣8については、液晶駆動としての問題にはならないが、パネル透過率を低下させる原因となり、製品の品位が低下してしまう問題があった。
【0015】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、静電容量型のタッチパネル電極とIPS方式のカラーフィルタを同一の透明基板の表裏にこの順で形成した場合においても、基板の裏面にブラックマトリックス、及び着色層を形成した際に、画素開口部にレジスト樹脂成分が残らずパネル透過率低下や、静電気障害・外部電界影響による製品の表示品位低下の問題を軽減したIPS方式液晶パネル用のカラーフィルタ基板とそれを備えた液晶表示装置とを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の請求項1に係る発明は、同一の透明基板の、表面に静電容量型のタッチパネル電極と、裏面にカラーフィルタ層と、が形成されたカラーフィルタ基板において、前記カラーフィルタ層の膜面の一層目に導電膜が形成されており、前記導電膜は樹脂ブラックマトリックスの下側にパターン形成されていることを特徴とするカラーフィルタ基板である。
【0017】
透明基板の裏面に樹脂ブラックマトリックス、及び着色層を形成する際に、画素開口部にITOが存在せずに表面がガラス基板の表面が露出している場合には、フォトリソ工程でレジスト樹脂成分が画素開口部に残らないことは、従来からのカラーフィルタ製造の中で技術的に確立されていた。そこで、本発明では、開口部となる部分のITO等の導電膜をエッチングでパターニング除去して、少なくともブラックマトリックスと同様のパターンにしてガラス基板の表面を開口部に露出させることで、ブラックマトリックス形成時および着色層形成時に、残渣が開口部に残ることなく、パネル透過率の低下を防ぐことが出来るようにしたものである。
【0018】
また、本発明の請求項2に係る発明は、前記導電膜は前記樹脂ブラックマトリックスで画定された開口部以外にパターン形成されていることを特徴とする請求項1に記載するカ
ラーフィルタ基板である。
【0019】
また、本発明の請求項3に係る発明は、前記導電膜が、金属、金属酸化物、導電性高分子から選ばれる一種以上の導電性材料を膜形成しパターン化したものであることを特徴とする請求項1または2に記載するカラーフィルタ基板である。
【0020】
また、本発明の請求項4に係る発明は、前記導電膜が、少なくともスズドープ酸化インジウムを含む透明導電膜であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載するカラーフィルタ基板である。
【0021】
次に、本発明の請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載するカラーフィルタ基板を備えることを特徴とする液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0022】
本発明のカラーフィルタ基板は、上記したように、静電容量型のタッチパネル電極とカラーフィルタとが同一の透明基板の表裏に形成され、そのカラーフィルタ層の膜面一層目に導電膜が形成されており、この導電膜は樹脂ブラックマトリックスの下側にパターン形成されている。そのため、この導電膜は必ずしも透明性を必要としない。また、透明基板の裏面に樹脂ブラックマトリックス、及び着色層を形成した際に、静電気障害により画素開口部にレジスト残渣が残ることなく、光線透過率に優れ、かつ、外部電界影響によるパネル品位低下の問題が軽減したIPS方式液晶表示装置用のカラーフィルタ基板とそれを備えた液晶表示装置とを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】従来の、IPS方式用のカラーフィルタ基板の一例を断面で示した模式図である。
【図2】従来の、タッチパネル/IPS方式用のカラーフィルタ基板の一例を断面で示した模式図である。
【図3】図2に示すカラーフィルタ基板で、樹脂ブラックマトリックス形成時の状態を説明する模式図である。
【図4】本発明のカラーフィルタ基板の、一実施形態での一部の構成例を断面で示す模式図である。
【図5】本発明のカラーフィルタ基板の、一実施形態例を断面で示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明のカラーフィルタ基板を、一実施形態に基いて以下に詳細に説明する。なお、以下の説明において、従来例と本発明例で同様の機能の構成部位については同一の符号を用いる。また、タッチパネル側すなわち視認側を基板に対して表面側、液晶側を裏面側として説明を行い、「裏面ITO」のみ特別に反対に呼称する。
【0025】
一般に、タッチパネル式液晶表示装置は、表示パネル、パネル駆動部、タッチ位置検出部等から構成され、表示パネルはアレイ基板と対向基板および液晶層からなる。本発明のカラーフィルタ基板は、複数の画素部とタッチ位置を感知するための信号ラインとが形成されたタッチパネル−カラーフィルタ一体型基板(以下の説明ではTP−CF一体型基板と略称する)として、アレイ基板との中間に液晶層を挟持する形で用いられる。
【0026】
本発明のカラーフィルタ基板においては、透明基板1裏面のカラーフィルタ層の膜面の一層目に導電膜が形成されており、かつ、その導電膜は樹脂ブラックマトリックス2の下側に、開口部に露出しないようにパターン形成されていることで、上記したレジストの樹脂成分が残渣8として残る問題を解決する。本発明においては、ブラックマトリックス2に隠れる所定の位置に導電膜を配置するため、導電膜は必ずしもITO等の透明性を必要としないが、製造工程全体を考慮すると、導電膜はスズドープ酸化インジウム(ITO:Indium Tin Oxide)からなる透明導電膜をスパッタリング成膜し、公知の方法でエッチングしパターニングすることが好ましい。
【0027】
図4は、本発明のカラーフィルタ基板の、一実施形態での一部の構成例を断面で示す模式図である。透明基板1の表面に、予め静電容量型のタッチパネル電極10が形成され、その裏面側のカラーフィルタ層の膜面の一層目に導電膜9が形成されており、この導電膜9は樹脂ブラックマトリックス2の下側にパターン形成されている。この上に公知の方法を用いて、カラーフィルタ層を形成することで、図5に示すような、IPS方式液晶パネル用のTP−CF一体型基板としての本発明のカラーフィルタ基板の一実施形態例が得られる。
【0028】
以下、本発明のIPS方式液晶パネル用のTP−CF一体型基板としての本発明のカラーフィルタ基板の構成をその製造工程の順に沿いながら説明する。
【0029】
透明基板1の表面には、予め静電容量型のタッチパネル電極10が形成されている。本発明のカラーフィルタ基板は、図示しないが、透明基板1の表面の同一レイヤーに、X軸方向及びこれと直交するY軸方向に間欠的に配列される複数の第1の透光性電極とX軸方向及びY軸方向に配列されると共に各々が第1の透光性電極の行間及び列間に配置される複数の第2の透光性電極とを備え、第1の透光性電極と第2の透光性電極とは透明絶縁膜によって互いに絶縁され、X軸方向に整列する第1の透光性電極の各々は第1の透光性電極上の透明絶縁膜のコンタクトホールを通じてX軸方向及びY軸方向に配列される導電性材料からなる複数のジャンパーによって相互に電気的に接続される。また、第1の透光性電極と第2の透光性電極とのそれぞれのパネル端部には電気信号を検出するための図示しない検出器に接続されている金属電極を備える。さらに、その上に感光性透明樹脂で形成される保護膜を備える。なお、本発明のカラーフィルタ基板は、表面側のタッチパネル電極の構成に制限されるものではない。
【0030】
図5に示すように、透明基板1の裏面側のカラーフィルタ層の膜面一層目に導電膜9が形成されており、この導電膜は樹脂ブラックマトリックス2の下側にパターン形成されている。そして、樹脂ブラックマトリックス2で画定された画素開口部分に、赤(R)、緑(G)、青(B)等複数色の着色層3が形成され、樹脂ブラックマトリックス2と着色層3の上には、液晶へのイオン浸出等を防止するためのオーバーコート層4が一様に形成されている。更に、樹脂ブラックマトリックス2上の所定の位置には、オーバーコート層4を介して、図示しないアレイ基板との中間に液晶層を挟持する間隙を規定するフォトスペーサー5が設けられている。
【0031】
透明基板1は、可視光に対して80%以上の透過率を有するものを用いることができ、好ましくは95%以上の透過率を有するものを用いることができる。一般に液晶表示装置に用いられているものでよく、ガラス等の無機透明基板、またはポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、環状オレフィンコポリマー等の透明樹脂基板が使用可能である。本発明に係るタッチパネル機能は静電容量型であるため、従来のタッチスクリーン方式のように外力による歪みの必要は無く、適用する表示パネルの仕様によって材質及び厚みは適宜選択できる。
【0032】
ジャンパーは、導電性材料から形成され、透明基板1の表面にX軸方向及びY軸方向に行列状に配列されている。ジャンパーの各々は、X軸方向に整列する第1の透光性電極をX軸方向に接続するためのものであり、両端部がX軸方向に隣接する1対の第1の透光性電極の各々と重なり合うような位置及び寸法で、且つ、本発明のカラーフィルタ基板表示面を垂直方向から見たときに透明基板裏面のカラーフィルタ層のブラックマトリックス2と重なる所定の位置に形成されることが好ましい。ジャンパーは、例えば、メタル(MAM、APCその他)やITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムすず)、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)等の導電性高分子で形成することができる。ここで、MAMは、Mo(モリブデン)/Al(アルミニウム)/Moの略称で3層構造の導電材料である。また、APCは銀/パラジウム/銅の合金である。
【0033】
絶縁膜は、透光性の絶縁材料をジャンパー及び透明基板1の表面全体を覆うように積層することにより形成される。第1の透光性電極とジャンパーとが重なり合う部分の絶縁膜には、ジャンパーの表面にまで達するスルーホールが設けられる
次に、ITO等インジウム、スズ、ガリウム、亜鉛などの金属酸化物の複合酸化物の透光性導電材料を用いて、蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等の真空成膜手法を用いた同一工程で、上記した絶縁膜とジャンパーを有する透明基板1の上全面に透明導電膜を形成する。その後、この透明導電膜を公知の手法でパターニングして、所定形状の第1の透光性電極と第2の透光性電極を形成する。
【0034】
X軸方向に整列する第1の透光性電極の各々は、絶縁膜上においてはX軸方向及びY軸方向のいずれにも相互に接続されていないが、スルーホールを介して透明基板上のジャンパーに電気的に接続された状態となる。一方、第2の透光性電極の各々は、X軸方向及びY軸方向に配列されると共に各々が第1の透光性電極の行間及び列間に配置され、ジャンパー部の絶縁膜上において、第2の透光性電極と同時にパターニングされる接続部を介してY軸方向に相互に連結されている。
【0035】
上記したタッチパネル電極の最表面には、感光性樹脂で形成される保護膜を備える。保護膜の形成に用いて好適な、感光性樹脂は、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上である透明樹脂である。この透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が含まれる。透明樹脂には、必要に応じて、その前駆体である、放射線照射により硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーを単独で、または2種以上混合して用いることができる。
【0036】
タッチパネル電極の最表面に、上記した感光性樹脂で形成される保護膜を形成する方法としては、まず透明樹脂組成物を必要に応じて有機溶剤を含有するワニスとして塗布し、その後溶剤を乾燥する。塗布する手段はスピンコート、ダイコートなどが通常用いられるが、タッチパネル電極が形成された透明基板上に均一な膜厚で塗布可能な方法ならばこれらに限定されるものではない。感光性組成物を塗布し透明樹脂層を形成した基板に露光を行う。光源には通常の高圧水銀灯などを用いればよい。また、必要に応じて、ポストベークを行ってもよい。
【0037】
次に、予めその表面にタッチパネル電極10が形成された透明基板1の裏面に、金属、金属酸化物、導電性高分子から選ばれる一種以上の導電性材料からなる導電膜を形成する。この導電膜は、後述する樹脂ブラックマトリックスの下側となるように、かつ、樹脂ブラックマトリックスで画定された開口部に露出しないようにパターン形成する。
【0038】
前記した、タッチパネル電極製造工程との連動性を考慮して、ITO等インジウム、スズ、ガリウム、亜鉛などの金属酸化物の複合酸化物の透光性導電材料を用いて、蒸着、イ
オンプレーティング、スパッタリング等の真空成膜手法を用いて、透明基板1の上全面に透明導電膜を形成する。その後、この透明導電膜を公知の手法でパターニングすることで画素開口部分には露出しないパーンで所定形状の導電膜を形成する。
【0039】
次に、画素部に対応する開口領域を画定する樹脂ブラックマトリックス2を形成する。この場合、前記したタッチパネル電極10のジャンパーが、基板表示面を垂直方向から見たときに、この樹脂ブラックマトリックス2と重なる所定の位置となるようにブラックマトリックスのピッチ及び形状を設計する。本実施形態においては、このジャンパーと樹脂ブラックマトリックス2及び導電膜9の位置の条件を満たす範囲であれば、第1の透光性電極と第2の透光性電極のそれぞれのピッチは、例えば、赤色画素(R)、緑色画素(G)、青色画素(B)で構成される単位画素毎にも、あるいは、所定個数の単位画素毎にも形成することができ、その形状も矩形以外の各種形状を選択することが可能である。なお、本実施形態では、樹脂ブラックマトリックスの幅は3〜30μmの範囲が好ましい。
【0040】
樹脂ブラックマトリックス2は、液晶表示装置のコントラストアップのために各画素間に形成する細い遮光パターンである。本発明のカラーフィルタ基板では、IPS方式の液晶表示装置での電界の乱れを抑制するために、高絶縁性の樹脂ブラックマトリックスが採用され、黒色樹脂を用いて形成される。樹脂ブラックマトリックスを形成する方法としては、黒色感光性樹脂を用いフォトリソグラフィー法によってマトリックス状に形成する。黒色の色材としては、カーボンブラックや複数の有機顔料を用いることができる。導電膜9が形成された透明基板1の上に、黒色顔料を分散した感光性樹脂組成物を塗布・乾燥して黒色感光性樹脂層を形成する。次に、導電膜9を覆う所定のパターンを有するマスクを用いて、黒色感光性樹脂層を超高圧水銀光灯ランプ等を用いて露光する。次に、炭酸ナトリウム水溶液等の現像液で現像し、現像後よく水洗し、さらに乾燥後、加熱処理して樹脂ブラックマトリックスパターンを硬化させる。
【0041】
上記した、導電膜9及び樹脂ブラックマトリックス2の形成について、透明基板1の裏面全面に導電膜9を形成し、更にその上に黒色顔料を分散した感光性樹脂組成物を塗布・乾燥露光・現像・硬膜して樹脂ブラックマトリックスを形成し、この樹脂ブラックマトリックスパターンをそのままエッチングマスクとして下層の導電膜をパターニングする方法も考えられるが、導電膜上に樹脂残渣が残り、エッチングの安定性が得られない問題がある。そこで、本発明においては、予め開口部となる部分のITOをエッチングでパターニング除去して、少なくとも樹脂ブラックマトリックスと同様のパターンにしてガラス基板の表面を露出させることで、樹脂ブラックマトリックス形成時および着色層形成時に、残渣が開口部に残ることなく、パネル透過率の低下を防ぐことが出来る。
【0042】
次に、上記した遮光パターンの開口領域に赤色(R)、緑色(G)、青色(B)等複数色の着色画素3を形成する。そしてさらに、この上全面にオーバーコート層4を形成する。
【0043】
着色画素を形成する方法としては顔料分散法が主流となっている。顔料分散法は、有機顔料などの色材を分散した着色感光性樹脂の塗布層を公知のフォトリソグラフィー法によってパターニングすることにより、カラーフィルタを複数の着色層(赤色、緑色、青色など)の画素に形成する方法である。複数の着色層の入色順を限定するものではなく、アライメントの都合から樹脂ブラックマトリックスのパターン形成後に着色層の塗布、露光、現像等により着色画素(赤色画素、緑色画素、青色画素など)を順次形成する。樹脂ブラックマトリックス及び着色画素の形成に用いる黒色感光性樹脂及び着色感光性樹脂は、例えば、樹脂バインダに顔料を、分散剤を用いて分散させ、この分散液にモノマー、開始剤、増感剤、溶剤などを添加して調製される。
【0044】
次に、この上全面にオーバーコート層4を形成する。このオーバーコート層は、平坦化
膜としてカラーフィルタの表面段差を低減するとともに、着色層の保護膜として耐薬品性、耐熱性などの諸耐性を向上させる機能を持つものである。このようなオーバーコート膜は感光性樹脂または熱硬化性樹脂を用い、これらいずれかの樹脂を含有する塗工液を塗布し、乾燥、UV照射または加熱することにより形成することができる。また、オーバーコート層を形成する場合の膜厚としては、1.0μm以上5.0μm以下の範囲の膜厚が最適に使用することができる。1.0μm以下では、ブラックマトリックスと着色層で出来ているカラーフィルタの段差を十分に低減させることが出来ない。また、膜厚が5.0μm以上では、均一性良く塗膜を塗布することが難しくなる。
【0045】
次に、本実施形態例では、オーバーコート層4を介して、フォトスペーサー5を形成する。
【0046】
以上説明したように、同一の透明基板1に、表面加工工程でタッチパネル電極10を形成し、続いて裏面加工工程でカラ−フィルタを形成することで本発明のカラーフィルタ基板、TP−CF一体型基板が得られた。対向基板としての本発明のカラーフィルタ基板とアレイ基板とに、必要な配向処理をおこなって、中間に液晶層を挟持することでパネルとして組み立て、偏光板や、駆動電極、バックライト等と組み合わせることでタッチパネル機能を有する液晶表示装置が得られる。本発明のカラーフィルタ基板はIPS方式液晶パネル用として好適に用いることが出来る。
【0047】
次に、本発明の表示装置に係るアレイ基板は、別の透明基板上に、モリブデンやタングステンもしくはその合金等の金属からなるゲート線およびゲート電極を配置し、これらを覆うように酸化ケイ素・窒化ケイ素等からなるゲート絶縁膜が配置されている。また、ゲート絶縁膜上にはアモルファス・シリコンなどの半導体層が配置され、更にモリブデンやアルミニウムからなるソース線、ソース電極、ドレイン電極が配置されスイッチング素子を形成している。スイッチング素子の上には、酸化ケイ素・窒化ケイ素等からなる保護層が配置される。スイッチング素子は、表示装置の表面側のタッチパネル電極の操作によっても駆動可能に配線される。
【0048】
対向基板としての本発明のカラーフィルタ基板とアレイ基板とに、液晶を所定の方向ダイレクターに配向させる性質をもつ配向膜を塗布する。所定の液晶モードに合せて配向膜を選定する必要があり、配向膜の材料としては、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂などの感光性または非感光性のものが好ましく用いられるが、これらに限られるものではない。ただし、配向膜の耐熱性・信頼性の点からポリイミド系樹脂が好ましい。
【0049】
液晶表示装置に使用される液晶材料としては、表示モード、駆動方式に応じて適宜選択することができる。例えば、ネマティック液晶やスメクチック液晶が良好な表示を得るために用いられる。スメクチック液晶には強誘電性液晶や反強誘電性液晶などが含まれる。ネマティック液晶としては、表示方式に応じて誘電異方性の正のもの、負のものを適宜用いることができる。前述したように、本発明のカラーフィルタ基板はIPS方式液晶パネル用として好適に用いることが出来る。
【0050】
以上述べたように、本発明のカラーフィルタ基板は、光線透過率に優れ、また、製造時の歩留まりも高いものとなった。また、それを備えた本発明の液晶表示装置は電界の乱れが抑制され、優れた表示品位を有したものであった。
【符号の説明】
【0051】
1・・・透明基板 2・・・樹脂ブラックマトリックス 3・・・着色層
4・・・オーバーコート層 5・・・フォトスペーサー 6・・・「裏面ITO

7・・・(膜面最下層)ITO 8・・・残渣 9・・・導電膜
10・・・タッチパネル電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の透明基板の、表面に静電容量型のタッチパネル電極と、裏面にカラーフィルタ層と、が形成されたカラーフィルタ基板において、
前記裏面の膜面の一層目に導電膜が形成されており、前記導電膜は樹脂ブラックマトリックスの下側にパターン形成されていることを特徴とするカラーフィルタ基板。
【請求項2】
前記導電膜は前記樹脂ブラックマトリックスで画定された開口部以外にパターン形成されていることを特徴とする請求項1に記載するカラーフィルタ基板。
【請求項3】
前記導電膜が、金属、金属酸化物、導電性高分子から選ばれる一種以上の導電性材料を膜形成しパターン化したものであることを特徴とする請求項1または2に記載するカラーフィルタ基板。
【請求項4】
前記導電膜が、少なくともスズドープ酸化インジウムを含む透明導電膜であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載するカラーフィルタ基板。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載するカラーフィルタ基板を備えることを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−215764(P2012−215764A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81781(P2011−81781)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】