説明

カラー画像形成装置の色ずれ補正タイミング制御装置

【課題】2パス構成の電子写真プリンタで、色ずれ補正動作に要する時間を短縮し、ダウンタイムの低減を最小限にすることを目的とする。
【解決手段】光学部と潜像形成媒体と、潜像形成媒体の周囲に複数個配置され互いに異なる色のトナーを現像できる現像手段を有する第1と第2の画像形成手段と、第1と第2の画像形成手段を順次複数回通過し、異なる色のトナーを転写する中間転写手段と、中間転写手段に色ずれ検出パターンを形成する手段と、検出する手段と、検出値に基づき色ずれ量を算出する手段と、算出した色ずれ量に基づいて各色の色ずれ量を補正する手段を、有するカラー画像形成装置において、色ずれ補正手段は、中間転写手段が第1と第2の画像形成手段を順次1回通過するモードと、複数回通過するモードを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラープリンタ、カラー複写機等の、特に、各々、複数個の現像手段を有する、第1と第2の画像形成手段を有する電子写真方式の画像形成装置の色ずれ補正タイミング制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のカラー画像形成装置においては、種々の方式を用いた装置がある。
【0003】
4個の感光ドラム、4個の光学部、イエロー(以下Y)、マゼンタ(以下M)、シアン(以下C)、ブラック(以下K)の現像器、1個の搬送ベルトで構成された、いわゆる1パスの構成がある。これは、Y、M、C、Kの現像器毎に、別々に感光ドラムと光学部を有し、搬送ベルトに保持された用紙が、順次、Y、M、C、Kの感光体を通過し、用紙上に画像を転写するものである。これは、Y、M、C、Kの画像形成を同時並行的に実行できるので、高速化できる長所がある。一方、感光ドラムや、レーザスキャナ等の光学部が4個必要なため、装置が小型化し難いことと、用紙上に画像を転写するまでは、各色が異なる位置に画像を形成するため、色ずれを低減し難いという短所がある。
【0004】
1個の感光ドラム、1個の光学部、Y、M、C、Kの現像器、1個の中間転写ベルトで構成された、いわゆる4パスの構成がある。これは、Y、M、C、Kの現像器が順次1個の感光ドラムに当接し、各色のトナー像を一旦中間転写体に転写し、4色を中間転写体上で重ねた後、一括して用紙上にトナー像を転写するものである。これは、感光ドラムや、レーザスキャナ等の光学部が1個で良いため、装置を小型化できることと、感光ドラムや中間転写体に対し、各色が同じ位置に画像を形成するため、色ずれが発生し難いという長所がある。一方、同様の動作を4回繰り返すため、プリント速度を高速化し難いという短所がある。
【0005】
そこで、これらの中間的な構成として、2個の感光ドラム、2個の光学部、Y、M、C、Kの現像器、1個の中間転写体で構成された、いわゆる2パスの構成がある。これは、例えば、一方の感光ドラムの周囲にYとCの現像器を、他方の感光ドラムの周囲にMとKの現像器を配設し、中間転写体の1周目には、YとMを当接し、中間転写体上に、YとMのトナー像を転写し、中間転写体の2周目には、CとKを当接し、中間転写体上のYとMのトナー像に重ねて、CとKのトナー像を転写し、その後、一括して用紙上にトナー像を転写するものである。これは、1パスと4パスの中間的な特徴を有する。
【0006】
2パス構成の電子写真プリンタでは以下の様な色ずれが発生する。上流側と下流側の画像形成部の2色間では異なる位置に画像を形成するため、1パスの構成と同様の色ずれが発生する。中間転写体の1周目と2周目の同じ画像形成部の2色間では、4パスの構成と同様に色ずれが発生し難い。しかしながら、感光ドラムの周囲に配設した現像器が感光ドラムに当接する位置や角度が、中間転写体の1周目と2周目で異なると、光学部と感光ドラムと転写位置が、中間転写体の1周目と2周目で異なり、色ずれが発生することがある。これら色ずれを低減するために、1パス構成と同様に、中間転写体上に色ずれ検出パターンを形成し、形成した色ずれ検出パターンをセンサで検出し、検出した色ずれ量に基づき、各種色ずれを補正している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来例では、以下の様な欠点があった。
【0008】
2パス構成の電子写真プリンタでは、中間転写体が2周することにより画像形成が完了するので、色ずれ検出パターンを形成時にも、中間転写体は2周する必要があり、色ずれ検出パターンを形成し、検出し、さらに中間転写体上から色ずれ検出パターンをクリーニングするには、通常の1枚プリントと同様の時間がかり、この時間を短縮することは困難である。一方、1パス構成の電子写真プリンタでは、色ずれ検出パターンは必要最小限として、通常の用紙長さより短くして、色ずれ補正に必要な時間を短縮することが出来る。
【0009】
本発明は上記のような課題を解消するためになされたもので、2パス構成の電子写真プリンタで、色ずれ補正動作に要する時間を短縮し、ダウンタイムの低減を最小限にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本出願に係る第1の発明は、各々、光学部と潜像形成媒体と、前記潜像形成媒体の周囲に複数個配置され互いに異なる色のトナーを現像できる現像手段を有する、第1と第2の画像形成手段と、前記第1と第2の画像形成手段を順次複数回通過し、前記潜像形成媒体上の異なる色のトナーを転写する無端状ベルトよりなる中間転写手段と、前記中間転写手段から記録材上に転写する転写手段と、前記中間転写手段に色ずれ検出パターンを形成する手段と、前記色ずれ検出パターンを検出する手段と、前記色ずれ検出パターンの検出値に基づき色ずれ量を算出する手段と、前記算出した色ずれ量に基づいて各色の色ずれを補正する手段を、有するカラー画像形成装置において、前記色ずれ補正手段は、前記中間転写手段が前記第1と第2の画像形成手段を順次1回通過するモードと、複数回通過するモードを有することを特徴とする。
【0011】
本出願に係る第2の発明は、第1の発明に加え、前記色ずれ補正手段は、各色の書き出しタイミングを決定する手段を有することを特徴とする。
【0012】
本出願に係る第3の発明は、第2の発明に加え、前記中間転写手段上には予め形成されたマーク手段を有し、前記各色の書き出しタイミング決定手段は、前記色ずれ量と、前記マーク手段の検出タイミングとに基づいて決定することを特徴とする。
【0013】
本出願に係る第4の発明は、第2と第3の発明に加え、前記各色の書き出しタイミング決定手段は、前記第1と第2の画像形成手段間の書き出しタイミング相対値を、前記1回通過するモードに基づき、可変制御することを特徴とする。
【0014】
本出願に係る第5の発明は、第2の発明に加え、前記各色の書き出しタイミング決定手段は、前記第1と第1の画像形成手段間の書き出しタイミング相対値を、前記1回通過するモードに基づき、可変制御することを特徴とする。
【0015】
本出願に係る第6の発明は、第1の発明に加え、前記第1と第2の画像形成手段と中間転写手段の交換を検知する手段を有し、少なくとも一つが交換された時は、前記複数回通過するモードを実行し、交換時以外では、前記1回通過モードを実行することを特徴とする。
【0016】
本出願に係る第7の発明は、第1の発明に加え、前記第1と第2の画像形成手段と中間転写手段の脱着を検知する手段を有し、少なくとも一つが脱着された時は、前記複数回通過するモードを実行し、脱着時以外では、前記1回通過モードを実行することを特徴とする。
【0017】
本出願に係る第8の発明は、第1の発明に加え、前記1回通過モードは、プリント枚数に基づき実行タイミングを決定することを特徴とする。
【0018】
本出願に係る第9の発明は、第1の発明に加え、前記1回通過モードは、温度変動に基づき実行タイミングを決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本出願に係る第1〜第9の発明によれば、2パス構成の電子写真プリンタで、色ずれ補正動作に要する時間を短縮し、ダウンタイムの低減を最小限にすることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を図示の実施例に基いて詳細に説明する。
【実施例】
【0021】
(第1の実施例)
図1は本発明の実施例に係る画像形成装置の全体を説明する図である。本発明の実施例は、2個の感光ドラム、2個の光学部、イエロー(以下Y)、マゼンタ(以下M)、シアン(以下C)、ブラック(以下K)の現像器、1個の中間転写ベルトで構成された、いわゆる2パスの構成のカラー画像形成装置を示すものである。同図において、1は静電潜像を形成する感光ドラムで(a、bは各々、第1、第2の画像形成部を示す)、2は画像信号に応じて露光を行い感光ドラム1上に静電潜像を形成するレーザスキャナ(a、bは各々、第1、第2の画像形成部を示す)、3は感光ドラム1の周面に配設された現像器で(a、b、c、dは各々、Y、M、C、Kを示す)、4は現像器3で感光ドラム1上に形成された静電潜像に従って顕像化されたトナー像を順次転写し搬送する中間転写ベルト、5は現像器3で感光ドラム1上に形成された静電潜像に従って顕像化されたトナー像を中間転写ベルト4に転写する1次転写ローラ(a、bは各々、第1、第2の画像形成部を示す)、6は中間転写ベルト4を駆動するベルト駆動ローラ、7は中間転写ベルト4の移動に従って回転し且つ中間転写ベルト4に一定の張力を付与するベルト従動ローラ、8は1次転写ローラ5で中間転写ベルト4上に転写されたY、M、C、Kのトナー像を一括して用紙上に転写する2次転写ローラ、9は2次転写ローラ8にて用紙上に転写されなかった中間転写ベルト4上の転写残りトナーを回収するクリーニングローラ、10は2次転写ローラで用紙上に転写されたトナー像を熱で溶かし用紙上に定着する定着器、11は用紙カセット、12は用紙カセット11内の用紙を搬送するためにピックアップするピックアップローラ、13は定着器10でトナー像が定着された用紙を機外に排出する排紙ローラ、14は中間転写ベルト4の搬送方向に対し第2の画像形成部下流側に設けられ、中間転写ベルトの両サイド(a、b)に位置し、中間転写ベルト4上に形成された色ずれ検知パターンを検出する、発光部と受光部からなる一対の光センサである。現像器3は感光ドラム1に対し各色独立に、図示しない当接離間機構を、2次転写ローラ8とクリンーニングローラ9は中間転写ベルト4に対し、図示しない当接離間機構を、有する。中間転写ベルト4の周長は用紙カセット11にセット可能な最大用紙長さより長く設定される。また、感光ドラム1、現像器3、中間転写ベルト4は消耗品で、ユーザが交換可能な様に設置されていて、消耗品管理のために、各々、各種情報を記憶する、図示しない不揮発性メモリを保持している。
【0022】
図2は本発明の実施例に係る制御部の全体を説明する図である。101は装置全体を制御管理するCPU、102はプリンタとPCとの通信を司るホストI/F部、103はプリントデータ、各種パラメータ、各種情報等を保持するメモリ、104はPCからプリンタに送られたプリントデータをプリンタエンジンの方式に適したデータに変換する画像制御部、105はプリンタ各部の状態を検出するセンサ制御部、106はプリンタエンジンのアクチュエータ類、レーザ、高圧電源等の駆動制御を司る駆動制御部である。
【0023】
PCからプリントデータがホストI/F部102を通ってプリンタに送られ、画像制御部104にてプリンタエンジンの方式に適したデータ変換が終了し、メモリ103にデータが保持されプリント可能状態となると、駆動制御部106により、図示しないモータやギア等からなる駆動手段と接続された、感光ドラム1、中間転写ベルト4、定着器10等が駆動を開始する。この時、2次転写ローラ8とクリーニングローラ9は中間転写ベルト4と離間している。中間転写ベルト4の1周目の画像形成時には、感光ドラム1aに現像器3a(Y)が、感光ドラム1bに現像器3b(M)が当接する。YとMの画像信号が適切なタイミングでレーザスキャナ2aと2bに送られ、感光ドラム1aと1b上に静電潜像が形成され、現像器3aと3bでYとMのトナー像が顕像化され、1次転写ローラ5で中間転写ベルト4上に転写される。Mのトナー像はYのトナー像に重ねて転写される。引続き、中間転写ベルトの2周目の画像形成時には、現像器3a(Y)と現像器3b(M)が各々感光ドラム1aと1bから離間し、換わりに感光ドラム1aに現像器3c(C)が、感光ドラム1bに現像器3d(K)が当接する。CとKの画像信号が適切なタイミングでレーザスキャナ2aと2bに送られ、感光ドラム1aと1b上に静電潜像が形成され、現像器3cと3dでCとKのトナー像が顕像化され、1次転写ローラ5で中間転写ベルト4上に転写される。CとKのトナー像はYとMのトナー像に重ねて転写される。2周目の画像形成時に、中間転写ベルト4上の画像位置とタイミングを合わせて、2次転写ローラ8とクリンーニングローラ9が中間転写ベルト4に当接し、用紙カセット11から用紙が2次転写ローラ8に供給され、トナー像が用紙上に転写され、定着器10で熱によってトナー像が用紙上に定着され、排紙ローラ13により用紙が外部へ排出される。中間転写ベルト4上の2次転写残りトナーはクリーニングローラ9によりクリーニングされる。2次転写ローラ8とクリーニングローラ9は、各々2次転写とトナー回収が終了後、離間される。センサ制御部105により装置内部の様子が監視され、CPU101により、全体が制御される。
【0024】
以下、本発明の実施例の動作について説明する。
【0025】
図3は本発明の実施例に係る色ずれを説明する図である。点線(Lth)は本来の画像位置を、実線(Lpt、Lpp、Lsw、Lst)は色ずれが発生している場合の画像位置を示す。又、Lst、Lswは走査方向に色ずれがある場合であり、説明のため、2つの線を搬送方向に離して描いてある。Lptは用紙搬送方向の書き出し位置誤差を示す。搬送方向の各色の画像書き出しタイミングを調整することによって補正する。Lppは走査線の傾きずれを示し、レーザスキャナ2と感光ドラム1間の傾きが各色で異なる場合に発生する。レーザスキャナ2のレンズの搬送方向の傾きを調整することによって補正する。Lstは走査方向の各色の書き出し位置誤差を示す。レーザスキャナ2の走査方向のビーム検出位置からの書き出しタイミングを調整することによって補正する。Lswは走査線幅のバラツキによる色ずれを示し、レーザスキャナ2と感光ドラム1間の距離が各色で異なる場合に発生する。走査方向の画像周波数を微調整して、走査線の長さ変えることよって補正する。
【0026】
本実施例では、説明を分かりやすくするために、搬送方向の書き出し位置の色ずれに特化して説明する。
【0027】
図4は本発明の実施例に係る色ずれ検出パターンを説明する図である。矢印は中間転写ベルト4の搬送方向を、一点鎖線は色ずれ検出パターンを検出する光センサ14の走査方向(搬送方向と直行する方向)の位置を示す。201は中間転写ベルト4の1周目の上流色であるYの横線、202は中間転写ベルト4の1周目の下流色であるMの横線、203は中間転写ベルト4の2周目の上流色であるCの横線、204は中間転写ベルト4の2周目の下流色であるKの横線を示す。中間転写ベルト4の1周目のYとMに関しては、Yを基準色として、Y、M、Yの順に横線からなる色ずれ検出パターンを形成する。YとMの間隔は、色ずれ量が増大した場合にも重ならない程度の間隔、例えば、2mm程度の理論値で形成される。中間転写ベルト1周目でYとMの色ずれ検出パターンを形成した後、2周目では、1周目のYとMと同様にして、YとC、CとKの色ずれ検出パターンを形成する。色ずれパターン形成時は、2次転写ローラ8とクリーニングローラ9は中間転写ベルト4と離間している。YとCからなる色ずれ検出パターンは1周目の色であるYを基準色に、CとKの色ずれ検出パターンは上流色であるCを基準色とする。2周目で全ての色ずれ検出パターンの形成が完了後、光センサ14にて、各色の色ずれ検出パターンを検出する。色ずれパターン検出後、クリーニングローラ9が中間転写ベルト4に当接し、色ずれ検出パターンをクリーニングする。図4のΔM1、ΔM2、ΔC1、ΔC2、ΔK1、ΔK2は、各色の色ずれ検出パターンのパターン間の検出時間を示す。YまたはCを基準として、M、C、Kの色ずれ量は以下の式で求めることができる。
【0028】
Mの色ずれ量=(ΔM1−ΔM2)/2 (式1)
Cの色ずれ量=(ΔC1−ΔC2)/2 (式2)
Kの色ずれ量=(ΔK1−ΔK2)/2 (式3)
式1、式2、式3で検出した色ずれ量に基づき、各色の画像書き出しタイミングを補正する。
【0029】
図5は本発明の実施例に係る中間転写ベルト上のマークを説明する図である。中間転写ベルト4上にはマーク15が予め形成されている。マーク15は、中間転写ベルト4の一方のサイドに設けられ、穴、または、中間転写ベルト4とは異なる表面特性を有している。色ずれ検出パターン検出用の一対の光センサ14の一方を用いて、色ずれ検出パターンとは異なるタイミングで検出する。
【0030】
図6は本発明の実施例に係る各色の画像書き出しタイミングを説明する図である。(e)TOP信号は、中間転写ベルト4上のマーク15が光センサ14で検出されたタイミングを示す。207は、画像形成中の中間転写ベルト4の1周目のTOP信号を、208は、画像形成中の中間転写ベルト4の2周目のTOP信号を示す。(a)Y−VDは、Yの画像書き出しタイミングを、(b)M−VDは、Mの画像書き出しタイミングを、(c)C−VDは、Cの画像書き出しタイミングを、(d)K−VDは、Kの画像書き出しタイミングを示す。Yの画像書き出しタイミングはTOP信号207を基準にtYの時間で制御され固定値である。Mの画像書き出しタイミングはYの画像書き出しタイミングを基準にtMの時間で制御され、tMは式1の検出結果に基づき補正される。Cの画像書き出しタイミングはTOP信号208を基準にtCの時間で制御され、tCは式2の検出結果に基づき補正される。Kの画像書き出しタイミングはCの画像書き出しタイミングを基準にtKの時間で制御される。tKは式3の検出結果に基づき補正される。tYとtC、tMとtKの理論値は同じである。しかし、画像形成中の中間転写ベルト4の1周目と2周目では、感光ドラム1には、異なる色の現像器3が異なる角度から当接しているため、必ずしも感光ドラム1の位置と中間転写ベルト4上のマーク15との検出位置の関係が、1周目と2周目で同じであるとは限らないので、tYとtC、tMとtKの値が異なる場合もある。
【0031】
図8は本発明の実施例に係る色ずれ補正タイミンングを説明する図である。電源ON時またはドアオープン/クローズ時に、感光ドラム1、現像器3、中間転写ベルト4のメモリを確認し、感光ドラム1、現像器3、中間転写ベルト4のいずれかが交換されていた場合は、色ずれ補正1を実行する。色ずれ補正1とは、中間転写ベルト4上に、図4の全ての色ずれ検出パターンを形成し、検出するモードを示す。すなわち、中間転写ベルト4は2周し、Y、M、C、Kの色ずれ検出パターンを形成後、光センサ14で色ずれ検出パターンを検出し、その後、中間転写ベルト4上の色ずれ検出パターンはクリーニングローラ9でクリーニングされる。検出された色ずれ量に基づき、各色の書き出しタイミングtM、tK、tCが補正される。tMは式1の検出結果に基づき補正され、tCは式2の検出結果に基づき補正され、tKは式3の検出結果に基づき補正される。tYは色ずれの検出結果によらず一定である。その後プリント動作を行い、前回の色ずれ補正1または2以降のプリント枚数が予め定められた閾値Sを越えた時、色ずれ補正2を実行する。色ずれ補正2とは、中間転写ベルト4上に、図4の色ずれ検出パターンの内、Y(201)とM(202)の組合せのみ実効するモードを示す。すなわち、中間転写ベルト4は1周し、Y、Mの色ずれ検出パターンを形成後、光センサ14で色ずれ検出パターンを検出し、その後、中間転写ベルト4上の色ずれ検出パターンはクリーニングローラ9でクリーニングされる。検出されたYとMの間の色ずれ量に基づいて、tMとtKのタイミングを同量補正する。Y基準でMが用紙上で下側に色ずれ量が発生している場合は、tMとtKを短くし、逆の場合は長くする。この色ずれ量は、主に、プリント動作による機内昇温により、ベルト駆動ローラ6の径が熱膨張し、中間転写ベルト4の搬送速度が変動し、上流側の感光ドラム1a、一次転写ローラ5aと、下流側の感光ドラム1b、一次転写ローラ5b間の移動時間が変動して、上流色と下流色の間の色ずれが悪化したことに起因する。よって、中間転写ベルト4の1周目の上流色Yと下流色Mとの間の色ずれ量と、中間転写ベルト4の2周目の上流色Cと下流色Kとの間の色ずれ量は同量となるので、YとMの間の色ずれ量のみ検出すれば良い。TOP信号検出タイミングから上流側の感光ドラム1a、一次転写ローラ5aまでの移動時間も変動している。しかし、この変動量は、中間転写ベルト4の1周目と2周目で同じであり、YとCの色ずれは発生しないので、YとCの書き出しタイミングtYとtCの補正は不要である。
色ずれ補正1は、感光ドラム1の交換、感光ドラム1に当接する、現像器3や中間転写ベルト4の交換等により、感光ドラム1の位置が変動し、全ての色の書き出し位置が変動し、全ての色の色ずれ量が変化する可能性がある時に実行される。一方、色ずれ補正2は、プリント動作による機内昇温等により、ベルト駆動ローラ6の径が熱膨張し、中間転写ベルト4の搬送速度が変動し、上流側の感光ドラム1a、一次転写ローラ5aと、下流側の感光ドラム1b、一次転写ローラ5b間の移動時間が変動して、上流色と下流色の間の色ずれのみが悪化する可能性がある時に実行される。
【0032】
(第2の実施例)
第1の実施例と異なる点のみ説明する。
【0033】
本実施例では、中間転写ベルト4上にはマークは存在しない。
【0034】
図7は本発明の実施例に係る各色の画像書き出しタイミングを説明する図である。(a)Y−VDは、Yの画像書き出しタイミングを、(b)M−VDは、Mの画像書き出しタイミングを、(c)C−VDは、Cの画像書き出しタイミングを、(d)K−VDは、Kの画像書き出しタイミングを示す。Mの画像書き出しタイミングはYの画像書き出しタイミングを基準にtMの時間で制御され、tMは式1の検出結果に基づき補正される。Cの画像書き出しタイミングはYの画像書き出しタイミングを基準にtC2の時間で制御され、tC2は式2の検出結果に基づき補正される。Kの画像書き出しタイミングはCの画像書き出しタイミングを基準にtKの時間で制御され、tKは式3の検出結果に基づき補正される。tMとtKの理論値は同じである。しかし、画像形成中の中間転写ベルト4の1周目と2周目では、感光ドラム1に、異なる色の現像器3が異なる角度から当接しているため、必ずしも感光ドラム1の位置が1周目と2周目で同じであるとは限らないので、tMとtKの値が異なる場合もある。
【0035】
色ずれ補正タイミングは実施例1(図8)と同様で、色ずれ補正1実行時の、各色の書き出しタイミングtM、tK、tC2の補正も実施例1と同様である。色ずれ補正2実行時の、各色の書き出しタイミングtM、tK、tC2の補正は実施例1と異なる点がある。検出されたYとMの間の色ずれ量に基づいて、tMとtKのタイミングを同量補正する点は同様である。本実施例では、Y基準のCの書き出しタイミングtC2も、検出されたYとMの間の色ずれ量に基づいて補正する。tC2は中間転写ベルト4の略1周分の時間に相当する。検出されたYとMの間の色ずれ量をΔM3、上流色と下流色のステーション間距離の理論値をL1、中間転写ベルト4の周長の理論値をL2とする。ΔM3は、主に、プリント動作による機内昇温により、ベルト駆動ローラ6の径が熱膨張し、中間転写ベルト4の搬送速度が変動し、上流側の感光ドラム1a、一次転写ローラ5aと、下流側の感光ドラム1b、一次転写ローラ5b間の移動時間が変動して、上流色と下流色の間の色ずれが悪化したことに起因するので、YとCの間の色ずれ量ΔC3は以下の式で求めることができる。
【0036】
ΔC3=ΔM3x(L2/L1) (式4)
色ずれ補正2実行時、tC2は式4の算出結果に基づいて補正される。Y基準でMが用紙上で下側に色ずれ量が発生している場合は、tC2を短くし、逆の場合は長くする。
【0037】
(第3の実施例)
第1及び第2の実施例と異なる点のみ説明する。
【0038】
図9は本発明の実施例に係る色ずれ補正タイミンングを説明する図である。色ずれ補正1と色ずれ補正2の意味は、第1の実施例と第2の実施例と同様である。電源ON時には無条件に色ずれ補正1を実行する。また、ドアオープン中に、感光ドラム1、現像器3、中間転写ベルト4のメモリを確認し、メモリアクセスが遮断された場合は、感光ドラム1、現像器3、中間転写ベルト4のいずれかが脱着されたものと判断し、ドアクローズ時に、色ずれ補正1を実行する。その後プリント動作を行い、前回の色ずれ補正1または2以降、ベルト駆動ローラ6近傍に設置された、図示しない温度センサの温度変動が、予め定められた変動量Eを越えた時、色ずれ補正2を実行する。
【0039】
2パスの構成、各色の画像形成の順番、色ずれ検出パターン、色ずれ検出方法、色ずれ補正方法、色ずれ補正タイミングは、本実施例に限定されるものでは無い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施例に係る画像形成装置の全体を説明する図
【図2】本発明の実施例に係る制御部の全体を説明する図
【図3】本発明の実施例に係る色ずれを説明する図
【図4】本発明の実施例に係る色ずれ検出パターンを説明する図
【図5】本発明の第1の実施例に係る中間転写ベルト上のマークを説明する図
【図6】本発明の第1の実施例に係る各色の画像書き出しタイミングを説明する図
【図7】本発明の第2の実施例に係る各色の画像書き出しタイミングを説明する図
【図8】本発明の第1と第2の実施例に係る色ずれ補正タイミンングを説明する図
【図9】本発明の第3の実施例に係る色ずれ補正タイミンングを説明する図
【符号の説明】
【0041】
1 感光ドラム
2 レーザスキャナ
3 現像器
4 中間転写ベルト
5 1次転写ローラ
6 ベルト駆動ローラ
7 ベルト従動ローラ
8 2次転写ローラ
9 クリーニングローラ
10 定着器
11 用紙カセット
12 ピックアップローラ
13 排紙ローラ
14 色ずれ検出用センサ(光センサ)
15 中間転写ベルト上のマーク
101 CPU
102 ホストI/F部
103 メモリ
104 画像制御部
105 センサ制御部
106 駆動制御部
201 色ずれ検出用パターンY
202 色ずれ検出用パターンM
203 色ずれ検出用パターンC
204 色ずれ検出用パターンK
207、208 中間転写ベルト上のマーク検出信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々、光学部と潜像形成媒体と、前記潜像形成媒体の周囲に複数個配置され互いに異なる色のトナーを現像できる現像手段を有する、第1と第2の画像形成手段と、前記第1と第2の画像形成手段を順次複数回通過し、前記潜像形成媒体上の異なる色のトナーを転写する無端状ベルトよりなる中間転写手段と、前記中間転写手段から記録材上に転写する転写手段と、前記中間転写手段に色ずれ検出パターンを形成する手段と、前記色ずれ検出パターンを検出する手段と、前記色ずれ検出パターンの検出値に基づき色ずれ量を算出する手段と、前記算出した色ずれ量に基づいて各色の色ずれを補正する手段を、有するカラー画像形成装置において、
前記色ずれ補正手段は、前記中間転写手段が前記第1と第2の画像形成手段を順次1回通過するモードと、複数回通過するモードを有することを特徴とする、カラー画像形成装置の色ずれ補正タイミング制御装置。
【請求項2】
前記色ずれ補正手段は、各色の書き出しタイミングを決定する手段を有することを特徴とする、請求項1に記載のカラー画像形成装置の色ずれ補正タイミング制御装置。
【請求項3】
前記中間転写手段上には予め形成されたマーク手段を有し、前記各色の書き出しタイミング決定手段は、前記色ずれ量と、前記マーク手段の検出タイミングとに基づいて決定することを特徴とする、請求項2に記載のカラー画像形成装置の色ずれ補正タイミング制御装置。
【請求項4】
前記各色の書き出しタイミング決定手段は、前記第1と第2の画像形成手段間の書き出しタイミング相対値を、前記1回通過するモードに基づき、可変制御することを特徴とする、請求項2または3に記載のカラー画像形成装置の色ずれ補正タイミング制御装置。
【請求項5】
前記各色の書き出しタイミング決定手段は、前記第1と第1の画像形成手段間の書き出しタイミング相対値を、前記1回通過するモードに基づき、可変制御することを特徴とする、請求項2に記載のカラー画像形成装置の色ずれ補正タイミング制御装置。
【請求項6】
前記第1と第2の画像形成手段と中間転写手段の交換を検知する手段を有し、少なくとも一つが交換された時に、前記複数回通過するモードを実行し、交換時以外では、前記1回通過モードを実行することを特徴とする、請求項1に記載のカラー画像形成装置の色ずれ補正タイミング制御装置。
【請求項7】
前記第1と第2の画像形成手段と中間転写手段の脱着を検知する手段を有し、少なくとも一つが脱着された時に、前記複数回通過するモードを実行し、脱着時以外では、前記1回通過モードを実行することを特徴とする、請求項1に記載のカラー画像形成装置の色ずれ補正タイミング制御装置。
【請求項8】
前記1回通過モードは、プリント枚数に基づき実行タイミングを決定することを特徴とする、請求項1に記載のカラー画像形成装置の色ずれ補正タイミング制御装置。
【請求項9】
前記1回通過モードは、温度変動に基づき実行タイミングを決定することを特徴とする、請求項1に記載のカラー画像形成装置の色ずれ補正タイミング制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−47547(P2006−47547A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−226638(P2004−226638)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】