説明

カラー電子写真画像形成装置

【課題】複数のカートリッジPk・Py・Pm・Pcを支持させた引出し部材13を装置本体100Aの内側位置Aと引き出し位置Bとの間で移動可能に配設した画像形成装置において、引き出し部材を装置本体から引き出した際に、カートリッジの重量によって引き出し部材自体が傾きにくい画像形成装置を提供する。
【解決手段】
カートリッジの長手方向が、引出し部材13を内側位置から引き出し位置に移動する引き出し方向と交差する方向となるように、複数個のカートリッジを引出し部材13に並べて支持し、かつ、引き出し方向において最も上流側に最も重いカートリッジを支持するように構成したこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のカートリッジを装置本体に取り外し可能に装着して、記録媒体に画像を形成するカラー電子写真画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ここで、カラー電子写真画像形成装置とは、電子写真画像形成プロセスを用いて、記録媒体にカラー画像を形成するものである。そして、カラー電子写真画像形成装置の例としては、例えばカラー電子写真複写機、カラー電子写真プリンタ(例えばカラーレーザビームプリンタ、カラーLEDプリンタ等)、カラーファクシミリ装置及びカラーワードプロセッサ等が含まれる。
【0003】
また、記録媒体とは、電子写真画像形成装置によって画像が形成されるものであって、例えば、紙、OHPシート等が含まれる。
【0004】
また、カートリッジとは、例えば、プロセスカートリッジ或いは現像カートリッジであって、電子写真画像形成装置の本体に取り外し可能に装着された状態で、記録媒体に画像を形成する画像形成プロセスに寄与するものである。ここで、前記プロセスカートリッジとは、プロセス手段としての、帯電手段、現像手段、クリーニング手段の少なくとも一つと電子写真感光体ドラムとを一体的にカートリッジ化して、前記本体に取り外し可能に装着されるものである。従って、プロセスカートリッジとは、プロセス手段としての現像手段と、前記電子写真感光体ドラムとを一体的にカートリッジ化して、電子写真画像形成装置の本体に取り外し可能に装着されるものも含まれる。また、プロセスカートリッジとは、プロセス手段としての、帯電手段、現像手段またはクリーニング手段と、前記電子写真感光体ドラムとを一体的にカートリッジ化して、前記本体に取り外し可能に装着されるものも含まれる。尚、電子写真感光体ドラムと現像手段とを一体的に有するプロセスカートリッジを所謂一体型と称する。また、電子写真感光体ドラムと現像手段以外のプロセス手段とを一体的に有するプロセスカートリッジを所謂分離型と称する。即ち、現像手段はプロセスカートリッジとは別の現像ユニットに設けて、この現像ユニットと対になって画像を形成するプロセスカートリッジを所謂分離型と称する。
【0005】
ここで前記プロセスカートリッジは、使用者自身によって本体に対する着脱を行うことができる。そのため、装置本体のメンテナンスを容易に行うことができる。尚、前記プロセス手段は、前記電子写真感光体ドラムに作用するものである。
【0006】
また、現像カートリッジとは、現像ローラを有し、前記現像ローラによって、前記電子写真感光体ドラムに形成された静電潜像を現像するのに用いられる現像剤(トナー)を収容しており、前記本体に取り外し可能に装着されるものである。尚、前記現像カートリッジの場合には、前記電子写真感光体ドラムは前記装置本体或いは後述するカートリッジ支持部材に取り付けられている。或いは、前記電子写真感光体ドラムは、前記所謂分離型プロセスカートリッジに設けられている(この場合には、プロセスカートリッジは、現像手段を有してはいない)。尚、前記現像カートリッジも、使用者自身によって前記本体に対する着脱を行うことができる。そのため、装置本体のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0007】
そこで、カートリッジとしては、前記所謂一体型又は所謂分離型のプロセスカートリッジが含まれる。また、カートリッジとしては、所謂分離型のプロセスカートリッジと前記現像カートリッジが対になって用いられる場合が含まれる。また、カートリッジとしては、前記電子写真感光体ドラムが前記装置本体或いは後述するカートリッジ支持部材に固定して取り付けられており、前記電子写真感光体ドラムに作用可能に前記現像カートリッジが着脱可能に用いられる場合が含まれる。また、カートリッジとしては、前記プロセスカートリッジ、或いは、前記現像カートリッジ等に補給する現像剤(トナー)を収容している現像剤カートリッジが含まれる。
【0008】
前述したとおり、従来、電子写真画像形成プロセスを用いて、記録媒体に画像を形成する電子写真画像形成装置が知られている。この電子写真画像形成装置においては、前述したプロセスカートリッジ方式が知られている。或いは、感光体ドラムとは別体で、前述した現像ユニットのみで構成される現像カートリッジ方式が知られている。また、前述した、現像剤を収容した現像剤カートリッジ方式などが知られている。前述した、プロセスカートリッジ方式、現像カートリッジ方式、及び、現像剤カートリッジを含めてカートリッジ方式とする。
【0009】
尚、前述したプロセスカートリッジ及び現像カートリッジは、前記静電潜像を現像するのに用いられる現像剤(トナー)を収容する現像剤収容部を有している。
【0010】
一方、使用者によるカートリッジの交換を容易にする目的で、複数のカートリッジを支持させた引き出し(カートリッジ支持部材)を設ける。そして、この引き出しを本体装置内から所定位置まで引き出すことで個々のカートリッジの交換を行うように構成したものが知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2007−213025号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は前述した従来の構成を更に発展させたものである。
本発明の目的は、カートリッジを装置本体に着脱する操作性を向上させたカラー電子写真画像形成装置を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、初期設定時に、複数のカートリッジを支持したカートリッジ支持部材を装置本体から引き出した際に、カートリッジの重量によって前記支持部材自体が傾きにくいカラー電子写真画像形成装置を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、前記支持部材を装置本体から引き出した際に、引き出した状態で前記支持部材が重力方向へ傾かないように、装置本体の剛性を高めるに当たって、その程度を軽減することのできるカラー電子写真画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、複数のカートリッジを装置本体に取り外し可能に装着して、記録媒体に画像を形成するカラー電子写真画像形成装置において、前記複数のカートリッジを取り外し可能に支持して、前記装置本体の内側に位置する内側位置と、前記内側位置から前記装置本体の外側へ引き出された引き出し位置と、の間を移動するカートリッジ支持部材を有し、前記カートリッジの長手方向が、前記カートリッジ支持部材を前記内側位置から前記引き出し位置に移動する引き出し方向と交差する方向となるように、前記複数個のカートリッジを前記カートリッジ支持部材に並べて支持し、かつ、前記引き出し方向において最も上流側に最も重いカートリッジを支持するように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、カートリッジを装置本体に着脱する操作性を向上させたカラー電子写真画像形成装置を提供することができる。
【0016】
本発明によれば、複数のカートリッジを支持したカートリッジ支持部材を装置本体から引き出した際に、カートリッジの重量によって前記支持部材自体が傾きにくいカラー電子写真画像形成装置を提供することができる。
【0017】
本発明によれば、前記支持部材を装置本体から引き出した際に、引き出した状態で前記支持部材が重力方向へ傾かないように、装置本体の剛性を高めるに当たって、その程度を軽減することのできるカラー電子写真画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特定的な記載がないかぎりは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0019】
[実施例1]
(カラー電子写真画像形成装置の全体構成)
図1は本実施例におけるカラー電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置と称する)100の外観斜視図、図2は画像形成装置100の縦断右側面図、図3は図2の部分的な拡大図である。画像形成装置100は、電子写真プロセスを用いた、4色フルカラーのレーザープリンタである。即ち、画像形成装置100は、パソコン・イメージリーダ・相手方ファクシミリ装置等のホスト装置(不図示)から制御回路部200へ入力する電気的画像信号に基づいて、記録媒体Sにフルカラーの画像形成を行う。
【0020】
以下の説明において、画像形成装置100に関して、前側又は正面側とは装置開閉用のドア10を配設した側である。後側とはそれとは反対側である。前後方向とは、画像形成装置の後側から前側に向かう方向(前方向)と、その逆の方向(後方向)である。左右とは画像形成装置を前側から見て左又は右である。左右方向とは、右から左に向かう方向(左方向)と、その逆の方向(右方向)である。また、装置本体100Aとは、カートリッジを除いた画像形成装置部分である。
【0021】
本実施例の画像形成装置100は、ブラック(k)、イエロー(y)、マゼンタ(m)、シアン(c)の各色の現像剤像(トナー像)を形成する4つのプロセスカートリッジP(Pk・Py・Pm・Pc)を横方向に配列した、所謂横タンデム型である。画像形成装置100は、複数のカートリッジPを装置本体100Aに取り外し可能に装着して、記録媒体Sにカラー画像を形成する。
【0022】
即ち、装置本体100Aの内部には、後側から前側にかけて順にほぼ水平方向に第1乃至第4の4個のプロセスカートリッジP(Pk・Py・Pm・Pc)が並設されている。各プロセスカートリッジ(以下、カートリッジと記す)Pは、それぞれ、静電潜像が形成される電子写真感光体ドラム1(以下、ドラムと記す)を備えている。ドラム1は矢印の時計回りに回転駆動される。このドラム1の周囲には、ドラム回転方向に従って順に、ドラムに作用するプロセス手段としての、帯電手段2、現像手段4(4k・4y・4m・4c)、ドラムクリーニング手段6が配置されている。
【0023】
尚、本実施例では、カートリッジの一例として前述した所謂一体型のプロセスカートリッジを例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0024】
ドラム1は、例えばアルミシリンダの外周面に有機光導電体層(OPC感光体)を塗布したものである。
【0025】
帯電手段(プロセス手段)2は帯電部材として帯電ローラ(ローラ状に形成された導電性ローラ)を用いた接触帯電方式を用いている。帯電ローラ2はドラム1に対してほぼ並行にかつ当接して配設されており、ドラム1の回転に従動して回転する。そして、この帯電ローラ2に電源部(不図示)から所定の帯電バイアス電圧が印加されることで、ドラム1の表面が所定の極性・電位を一様に帯電される。
【0026】
現像手段(プロセス手段)4は、ドラム1に形成された静電潜像を現像剤(トナー)を用いて現像する現像ユニットである。各カートリッジPの有する現像ユニット4(4k・4y・4m・4c)は、現像剤T(Tk・Ty・Tm・Tc)を収容した現像剤収容部41(41k・41y・41m・41c)と、ドラム1に対する現像部材としての現像ローラ40と、を有する。また、現像ローラ40に対する現像剤塗布部材としての現像剤供給ローラ43と、現像ローラ40の外周に圧接された現像剤規制部材としての現像ブレード44を有する。
【0027】
ドラムクリーニング手段(プロセス手段)6は、ドラム1の周面に形成された現像剤像をシート状の記録媒体Sに転写した後、ドラム1の表面から転写残現像剤を除去する手段である。本実施例ではクリーニング部材としてクリーニングブレードを用いている。ドラム表面から除去された現像剤は除去現像剤収容部30に収容される。
【0028】
各カートリッジPは、上記のドラム1・帯電ローラ2・ドラムクリーニング手段6を有する感光体ユニット8と、現像ユニット4(4k・4y・4m・4c)とが結合されて構成されている。そして、各カートリッジPは、装置本体100Aに対して引き出し方式にて着脱交換可能である。カートリッジPの更なる詳細な構成及び引き出し方式については後述する。
【0029】
第1のカートリッジPkは、現像ユニット4kの有する現像剤収容部41kにブラック色(k色)の現像剤Tkを収容したものであり、ドラム1の面にブラック色の現像剤像を形成する。第2のカートリッジPyは、現像ユニット4yの有する現像剤収容部41yにイエロー色(y色)の現像剤Tyを収容したものであり、ドラム1の面にイエロー色の現像剤像を形成する。第3のカートリッジPmは、現像ユニット4mの有する現像剤収容部41mにマゼンタ色(m色)の現像剤Tmを収容したものであり、ドラム1の面にマゼンタ色の現像剤像を形成する。第4のカートリッジPcは、現像ユニット4cの有する現像剤収容部41cにシアン色(c色)の現像剤Tcを収容したものであり、ドラム1の面にシアン色の現像剤像を形成する。
【0030】
装置本体100Aの内部に装着されたカートリッジP(Pk・Py・Pm・Pc)の上側には、画像露光手段としてのレーザースキャナユニット3が配置されている。また、下側には、転写手段としての静電転写ベルトユニット5が配置されている。
【0031】
スキャナユニット3は、レーザーダイオード、ポリゴンミラー、Fθレンズ、反射ミラー等を有し、ホスト装置から制御回路部200へ入力する各色の画像情報に対応して変調したレーザービームLを出力してドラム1の帯電処理面を走査露光する。これによって、ドラム1面に走査露光パターンに対応した静電潜像が形成される。
【0032】
ベルトユニット5は、誘電体製で可撓性を有するエンドレスの静電転写ベルト(以下、ベルトと記す)11を有する。また、ベルト11を懸回張設している、後側の第1ローラ11a及び前側の第2ローラ11bを有する。また、ベルト11の内側で、第1ローラ11aと第2ローラ11bの間に配置されていて、ベルト11を挟んで各カートリッジPのドラム1に圧接している4つの転写ローラ12を有する。各カートリッジPにおいてドラム1とベルト11の接触部が転写ニップ部である。ベルト11は第1ローラ11aが駆動されると、反時計方向(図2、図3の矢印方向)にドラム1の回転速度に対応した速度で回転する。ベルト11の下面側にはベルトの汚れを除去するベルトクリーニング手段7が配設されている。
【0033】
フルカラー画像を形成するための動作は次の通りである。各カートリッジPが所定の制御タイミングにて順次に駆動される。即ち、各ドラム1が時計方向(図2、図3の矢印方向)に回転駆動する。ベルトユニット5のベルト11も回転駆動される。スキャナユニット3も駆動される。この駆動に同期して各カートリッジPにおいて帯電ローラ2がドラム1の表面を所定の極性・電位に一様に帯電する。スキャナユニット3は各ドラム1の表面に対応の画像信号に応じたレーザービーム走査露光を行なう。これによって各ドラム1の表面に対応の画像信号に応じた静電潜像が形成される。形成された静電潜像を現像ユニット4(4k・4y・4m・4c)(現像ローラ40)によって現像する。即ち、現像剤像を形成する。
【0034】
上記のような電子写真プロセス動作により、カートリッジPkのドラム1には、フルカラー画像のブラック成分像に対応するk色の現像剤像が形成される。カートリッジPyのドラム1には、フルカラー画像のイエロー成分像に対応するy色の現像剤像が形成される。カートリッジPmのドラム1には、フルカラー画像のm成分像に対応するマゼンタ色の現像剤像が形成される。カートリッジPcのドラム1には、フルカラー画像のシアン成分像に対応するc色の現像剤像が形成される。
【0035】
一方、所定の制御タイミングで給送部16の給送ローラ18が回転して、記録媒体Sが収容されている給送カセット17から記録媒体Sが1枚分離されて給送される。カセット17は装置本体100Aの前側から出し入れ自由である(フロントローデング)。17aは給送カセット17の前面に設けられた指掛け部である。給送された記録媒体Sは、レジストローラ対19によって所定の制御タイミングにて、ベルトユニット5のベルト11上に前側から供給される。ベルト11上に供給された記録媒体Sは、ベルト11に静電吸着される。そして、ベルト11の回転に伴い、カートリッジPc、カートリッジPm、カートリッジPy、及び、カートリッジPk、の各転写ニップ部に順次に送られる。転写ローラ12には電源部(不図示)から現像剤の帯電極性(トナーの帯電極性)とは逆極性で且つ所定電位の転写バイアスが印加される。これにより、記録媒体S上にc色+m色+y色+k色の4色の現像剤像が重畳して転写される。これによって、記録媒体S上に未定着のフルカラー現像剤像が形成される。
【0036】
そして、記録媒体Sはベルト11の面から分離されて定着部20へ導入される。定着部20は、記録媒体Sに転写された複数色の現像剤像を定着させるものである。定着部20は、回転する加熱ローラ20aと、これに圧接して記録媒体Sに熱及び圧力を与える加圧ローラ20bを有する。現像剤像が形成された記録媒体Sは、定着部20を通過する際に、定着ローラ対20a・20bで挟持搬送される。そして、定着ローラ対20a・20bによって熱及び圧力を与えられる。これによって複数色の現像剤像が記録媒体Sの表面に定着される。そして、記録媒体Sは定着部20を出て、フルカラー画像形成物として排出ローラ対23を含む搬送路を通って排出部24から装置本体外の排出トレイ25に排出される。
【0037】
尚、モノクロ画像形成モードの場合は、カートリッジPkを用いた画像形成だけが行われる。
【0038】
(カートリッジ交換方式)
各カートリッジPは、現像剤が消費され寿命となった際には、使用者が交換することができるようになっている。本実施例の画像形成装置において、カートリッジの交換は、カートリッジを引き出し式の枠型部材であるカートリッジ支持部材としての引き出し部材13に乗せて、フロントアクセスにより交換することができる。カートリッジPを装置本体100Aに対して着脱するに当たって、装置本体100Aの外側に引き出した状態の引き出し部材13に対してカートリッジPを着脱する。そして、カートリッジPを支持した引き出し部材13を、装置本体100A内に押し込む。これによって、カートリッジPを装置本体100A内の所定の位置に装着することができる。したがって、装置本体100Aに対するカートリッジPの着脱操作性を向上させることが出来た。
【0039】
装置本体100Aの前側には前面開口部(第1開口部)100aが設けられている。この開口部100aは、装置本体100Aの内側へカートリッジを押し込む、又は、装置本体100Aからカートリッジを引き出す際に、カートリッジを支持させた引き出し部材(カートリッジ支持部材)13が通過する開口部である。尚、引き出し部材13は、金属製である。また、装置本体100Aの前側上部には、前面開口部100aに連ならせて上面開口部(第2開口部)100bが設けられている。装置本体100Aの前側には、回動可能なドア10が配設されている。ドア10は、開口部100aを閉じる閉鎖位置と開口部100aを開放する開放位置とを取り得る開閉部材である。本実施例においては、ドア(開閉部材)10は、ドアの下側に位置するヒンジ部10bを中心に装置本体100Aに対して開閉回動可能である。即ち、ドア10は、ヒンジ部10bを中心に立て起こすように回動して開口部100aを図1・図2に示すように閉じ状態にすることができる。また、ヒンジ部10bを中心に装置本体100Aの前側に倒すように回動して開口部100aを図4・図5に示すように開き状態にすることができる。10aはドア10の前面に設けられた指掛け部である。ドア10の上側は、開口部100bに対する上面ドア部10cとして、内向きにほぼ直角に折り曲げられている。ドア10が開口部100aに対する閉鎖位置に移動すると、ドア部10cも開口部100bに対する閉鎖位置に位置して、開口部100bがドア部10cで閉じられる。また、ドア10が開口部100aを開放する開放位置に移動すると、ドア部10cも開口部100bを開放する開放位置に移動する。これによって、開口部100bが開放される。
【0040】
即ち、引き出し部材(カートリッジ支持部材)13は、複数のカートリッジPを取り外し可能に支持して、装置本体100Aの内側に位置する内側位置Aと、内側位置Aから装置本体100Aの外側へ引き出された引き出し位置Bと、の間を移動する。
【0041】
引き出し部材13は、ドア10が開かれた図4・図5に示す状態において、開口部100aを通過して前後方向に、装置本体100Aに対して後述するガイド手段にガイドされて移動する。即ち、引き出し部材13は、装置本体100Aに対して、実質的に水平方向である矢印D1方向(押し込み方向:後方向)とその逆のD2方向(引き出し方向:前方向)とに移動可能に設けられている。そして、各カートリッジPは、その長手方向(ドラム1の軸線方向、現像ローラ40の軸線方向)が引き出し部材13の移動方向(矢印D1,D2と同方向)に隣接した状態で配列されて、引き出し部材13に支持されている。即ち、引き出し部材13は、複数のカートリッジP(Pk・Py・Pm・Pc)を一方向に隣接して配列した状態で支持している。前述したとおり、引き出し部材13は、複数のカートリッジP(Pk・Py・Pm・Pc)をその長手方向がD1方向(D2方向)と交差する方向(略直交方向)に配列した状態で支持している。そして、引き出し部材13は、ドア10が開かれている状態において、カートリッジPを装置本体100Aの内側に位置させるための内側位置Aと、内側位置Aから引き出されて各カートリッジを着脱できる引き出し位置(外側位置)Bと、の間を移動可能である。内側位置Aは例えば図2、図3に示す状態である。引き出し位置Bは、例えば図6・図7・図8に示す状態である。本実施例によれば、引き出し部材13が内側位置Aに位置した状態で、カートリッジPは画像形成を行う。引き出し部材13が装置本体100Aから引き出された引き出し位置Bに位置した状態で、引き出し部材13に対してカートリッジPを着脱することができる。
【0042】
ドア10が閉じられている状態(図1・図2)において、引き出し部材13はカートリッジPを装置本体100Aの内側に位置させるための内側位置Aに位置している。内側位置Aとは、引き出し部材13が開口部100aよりも装置本体100Aの内側に位置する位置である。本実施例によれば、この内側位置Aは、引き出し部材13が各カートリッジPを支持し、装置本体100Aの内側において、ドラム1に静電潜像を形成できる潜像形成位置(画像形成位置)である。即ち、各カートリッジPが装置本体100Aに対する装着位置に位置している。そして、各ドラム1がベルト11に接触しており、ドラム1から、ベルト11により搬送される記録媒体Sへ現像剤像の転写が可能な状態である。内側位置Aにおいて、各カートリッジPは、押圧部材に押されて所定の位置決め部(不図示)に固定された状態にされている。この状態で、各カートリッジの有する駆動入力部(カップリング部材45、47:図12)に対して装置本体100Aに設けられた駆動出力部(ドラムカップリング部材27及び現像カップリング部材26:図9)が結合している。各カートリッジの電気接点(不図示)に対して装置本体側の給電系統(不図示)が導通している。引き出し部材13は、装置本体100Aに対して位置決め固定手段(不図示)により位置決め固定されている。この状態において、画像形成装置100は画像形成動作が可能である。
【0043】
ドア10が図4・図5に示すように開かれると、装置本体100Aの開口部100a、開口部100bが開放される。そして、開口部100aに引き出し部材13の前枠の前面に配設された把手部28が露呈する。また、ドア10の開き回動動作に連動する連動機構(不図示)により、ベルトユニット5の第2ローラ11b側が第1ローラ11aの回転中心軸線を中心に所定の位置まで下降する。これにより、各カートリッジPのドラム1の下面からベルト11が離隔する。即ち、ドラム1に対するベルト11の接触が解除される。また、各カートリッジPの駆動入力部に対する装置本体側の駆動出力部の結合が解除される(駆動解除)。また、各カートリッジPを位置決め固定している押圧部材の押圧が解除される(押圧解除)。また、各カートリッジPの電気接点に対する装置本体側の給電系統の導通が解除される(給電解除)。また、引き出し部材13の装置本体100Aに対する位置決め固定手段による位置決め固定が解除される。
【0044】
前述したとおり、装置本体100Aには、引き出し部材13が通過するための開口部(第1開口部)100aが設けられている。また、引き出し部材13が引き出し位置Bに位置した状態で、装置本体100A内に位置している最も重いカートリッジPkの上方に位置するように開口部(第2開口部)100bが設けられている。開口部100bを設けたことによって、装置本体100A内に位置しているカートリッジPkの引き出し部材13に対する着脱をより容易に行うことができる。但し、開口部100aの開口領域が大きければ、開口部100bは無くても、カートリッジPkの引き出し部材13に対する着脱を行うことができる。しかしながら、開口部100bが設けられていることによって、カートリッジPkの引き出し部材13に対する着脱をより一層容易に行うことができる。開口部100a、100bは、共通のドア(開閉部材)10によって、開閉される。
【0045】
そこで、使用者は、把手部28をつかんで引き出し部材13を装置本体100Aに対して引き出し方向D2である前方向に水平にスライド移動させる。そして、引き出し部材13を開口部100aから装置本体100Aの外側の所定の引出し位置Bまで十分に引き出す(図6、図7)。即ち、引き出し部材13を装置本体100A内から外側へ最大限に突出させた所定の引出し位置Bまで十分に引き出す。引き出し部材13は所定の引出し位置Bまで十分に引き出されると、ストッパ部材(不図示)によりそれ以上の引き出し移動が阻止される。この引き出し部材13の引出し移動時には、各カートリッジPのドラム1とベルト11とが離隔している。したがって、両者間での擦れは生じない。
【0046】
本実施例においては、内側位置Aから引き出し位置Bに向かう引き出し方向D2において、引き出し部材13の最上流側に位置するカートリッジPkは、引き出し部材13の引き出し位置Bにおいて、装置本体100Aの内側に位置している(図6・図7)。他のカートリッジPy・Pm・Pcは装置本体100Aの外側に位置している。そして、引き出し部材13は個々のカートリッジP(Pk・Py・Pm・Pc)をそれぞれ上方に取り出し可能であり、及び、それぞれ下方に向かって移動させることによって支持する構成である。そこで、使用者が、交換すべき使用済みのカートリッジを引き出し部材13から持ち上げて外す(図8の上向き矢印C1)。そして、新しいカートリッジを、引き出し部材13に対して、その上方から実質的に重力方向である下向きに落とし込む(下向き矢印C2)。これによって、カートリッジは引き出し部材13に支持される。
【0047】
装置本体100Aの外側に位置しているカートリッジPy・Pm・Pcは装置本体100Aの外側において、引き出し部材13に対して持ち上げて外す、及び、上から嵌め入れてのせる。装置本体の内側に位置しているカートリッジPkは、開口部100bを通過させることによって、装置本体100Aの内側に位置する状態で引き出し部材13から取り外すことができる、及び、引き出し部材13に上から嵌め入れてのせることができる。
【0048】
前述したとおり、引き出し部材13が引き出し位置Bに位置した状態で、最も重いカートリッジPkは装置本体100A内に位置している。そして、最も重いカートリッジPk以外のカートリッジPy・Pm・Pcは装置本体100A外に位置している。即ち、カートリッジ支持部材が引き出し位置に位置した状態で、最も重いカートリッジは装置本体の内側に位置しており、最も重いカートリッジ以外のカートリッジは装置本体の外側に位置している。これによって、引き出し部材13が重力方向へ傾こうとするモーメントを減少させることができる(この点については、後に詳述する)。
【0049】
引き出し部材13に対するカートリッジの交換作業を終えたら、使用者は引き出し部材13を装置本体100Aに対して引き出し方向D2とは逆の押し込み方向D1である後方向に水平にスライド移動させる。そして、引き出し位置Bから内側へ十分に押し込み移動させる。引き出し部材13は内側へ十分に押し込まれると、ストッパ部材(不図示)によりそれ以上の押し込み移動が阻止される(図4・図5)。この引き出し部材13の押し込み移動時には、各カートリッジPのドラム1とベルト11とは離隔しているので両者間での擦れは生じない。
【0050】
引き出し部材13を内側へ十分に押し込んだら、ドア10を閉じる(図1・図2)。ドア10の閉じ動作により、装置本体100Aの開口部100a及び開口部100bが閉鎖される。また、ドア(開閉部材)10の閉じ動作に連動する連動機構により、引き出し部材13が下降して装置本体100Aに対して位置決め固定手段にて位置決め固定される。また、各カートリッジPは、押圧部材(不図示)に押されて所定の位置決め部に固定された状態になる。また、各カートリッジPの駆動入力部に対して装置本体側の駆動出力部が結合する。また、各カートリッジPの電気接点に対して装置本体側の給電系統が導通する。そして、ベルトユニット5の第2ローラ11b側が第1ローラ11aの回転中心軸線を中心にして所定の位置まで上昇する。これにより、各カートリッジPのドラム1の下面に対してベルト11が接触した状態になる。本実施例によれば、この状態において、画像形成装置100は画像形成動作が可能な状態となる。即ち、引き出し部材13は、内側位置Aに位置する。内側位置Aとは、引き出し部材13が開口部100aよりも装置本体100Aの内側に位置する位置である。
【0051】
上記のように、複数のカートリッジPは引き出し部材13に支持された状態で、引き出し部材13と共に装置本体100内へ進入する。従って、使用者は、引き出し部材13を装置本体100A内の内側に進入させ、ドア10を閉じる。これにより、複数のカートリッジPを装置本体100Aに対して確実に装着できる。このため、各カートリッジPを個別に使用者が装置本体100A内へ装着する構成と比較して、着脱操作性が向上する。
【0052】
前述したとおり、引き出し部材(カートリッジ支持部材)13は、複数のカートリッジPを取り外し可能に支持して、装置本体100Aの内側に位置する内側位置Aと、内側位置Aから装置本体100Aの外側へ引き出された引き出し位置Bと、の間を移動する。そして、引き出し部材13は、カートリッジPの長手方向が、引き出し部材13を内側位置Aから引き出し位置Bに移動する引き出し方向D2と交差する方向となるように、複数個のカートリッジPを引き出し部材13に並べて支持する。かつ、引き出し部材13は、引き出し方向D2において、最も上流側に最も重いカートリッジを支持するように構成した。尚、前述した実施例にいて、最も重いカートリッジPは、ブラックカートリッジPkである。
【0053】
後述する各実施例においても同様である。
【0054】
(装置本体の引き出し部材装着部)
装置本体100Aに設けられた引き出し部材の装着部に関して図9で説明する。装置本体100Aの骨格をなすメインフレームの右側壁100Rの内側と左側壁100Lの内側には対向させてガイド溝部14R・14Lが設けられている。ガイド溝部14R・14Lは、前後方向に略水平に設けられており、前記略水平と直交する横断面が矩形状(C−shaped、コの字状)である。このガイド溝部14R・14Lは開口部100aから装置本体100Aの奥側まで延在している。この左右のガイド溝部14R・14Lに対して引き出し部材13が有する後述する被ガイド部が係合される。これにより、引き出し部材13は上記のガイド溝部14R・14Lと被ガイド部をガイド手段として実質的に水平方向である矢印D1方向(押し込み方向)及びその逆のD2方向(引き出し方向)とに移動可能に装置本体100Aに対して装着されている。尚、前記略水平とは、画像形成装置100の設置面Fに対して略水平である。但し、引き出し部材13は、前記設置面Fに対して直線的に水平移動するのに限定されずに、例えば、前記設置面Fに対して直線的に斜め上方或いは斜め下方に移動するようにしても良い。
【0055】
本実施例では、メインフレームの左側壁100L側が、カートリッジPに本体100Aから駆動力を伝達する側である。そして、図9の(b)のように、左側壁内側のガイド溝部14Lの下方には、各カートリッジPのドラム1へ駆動力を伝達する為の装置本体側の駆動出力部として4つのドラムカップリング部材27が等間隔にて水平方向に配置されている。また、各カートリッジPの現像ローラ40に駆動力を伝達する為の装置本体側の駆動出力部として4つの現像カップリング部材26が所定の等間隔にて水平方向に配置されている。
【0056】
上記のドラムカップリング部材27及び現像カップリング部材26は、駆動源(不図示)からの駆動力をカートリッジPに伝達する。ドラムカップリング部材27及び現像カップリング部材26は、ドア10が開かれている状態では左側壁内に退避した状態となっていて、ドア10の閉める動作に連動してカートリッジP側に進入する。
【0057】
(引き出し部材)
引き出し部材(カートリッジ支持部材、引き出しユニット)13について図10を用いて詳細に説明する。(a)は引き出し部材13を駆動側(左側)において斜め上方より見た斜視図、(b)は非駆動側(右側)において斜め上方より見た斜視図である。
【0058】
引き出し部材13は枠型部材であり、その四隅部には、装置本体100Aの左右のガイド溝部材14Lと14Rに係合してガイドされる被ガイド部13a乃至13dが設けられている。被ガイド部(第1被ガイド部)13aと被ガイド部(第3被ガイド部)13cは右側ガイド溝部(第1本体側支持部材)14Rに各々係合してガイドされる。また、被ガイド部(第2被ガイド部)13bと被ガイド部(第4被ガイド部)13dは左側ガイド溝部(第2本体側支持部材)14Lに各々係合してガイドされる。ガイド溝部14R、14Lは、装置本体100Aに向い合って設けられている。
【0059】
引き出し方向D2において、上流側に設けられた被ガイド部13a(第1被ガイド部)と13b(第2被ガイド部)は、引き出し部材13が引き出し位置Bにおいて装置本体100Aに対して傾かないように、引き出し方向に延びた形状となっている。更に、被ガイド部13aと13bは、右側と左側のガイド部材14Rと14Lに係合してガイドされるように、ガイド溝部14Rと14Lの設けられた方向へ各々外側に突出した形状となっている。図10に示すとおり、被ガイド部13aと13bは被ガイド部材13sの長手方向一端と他端である。被ガイド部材13s、引き出し部材13の幅方向(引き出し方向D2と直交する方向)全幅にわたって、かつ、引き出し方向D2に対して、最上流に位置する装着部(支持部)13fからさらに上流側に突出して設けられている。
【0060】
前述したとおり、本実施例は、装置本体100Aに向い合って設けられた、引き出し部材13を移動可能に支持するガイド溝部(第1本体側支持部材)14Rとガイド溝部(第2本体側支持部材)14Lとを有する。また、引き出し部材13は、引き出し方向D2において最も上流側に、引き出し方向D2と直交する方向の全幅にわたって、かつ、引き出し方向D2の上流側に向かって突出して設けられている被ガイド部材13sを有する。そして、引き出し方向D2と直交する方向において、被ガイド部材13sの一端側に被ガイド部(第1被ガイド部)13aと他端側に被ガイド部(第2被ガイド部)13bを有している。そして、ガイド溝部14Rは被ガイド部13aを支持した状態で、また、ガイド溝部14Lは被ガイド部13bを支持した状態で、引き出し部材13を移動可能に支持している。また、被ガイド部13a、13bは、被ガイド部材13sの一端と他端とに設けられており、一体である。そこで、被ガイド部13a、13bの強度(剛性)を高めることができる。また、これに加えて、被ガイド部材13sは、上方から見て略長方形の金属製の平板であって、被ガイド部13a、13bは、被ガイド部材13sの長手方向の一端と他端とに設けられている。したがって、被ガイド部13a、13bは、引き出し方向D2に沿って延出している。これによって、被ガイド部13a、13bは、ガイド溝部14R、14Lに確実に、かつ、強度(剛性)を高めるように支持されている。尚、被ガイド部材13sの材質及び形状は前述したものに限定されるものではないが、前述した材質及び形状によって、前述した効果をより良く得ることができる。
【0061】
尚、本実施例において、最上流に位置するカートリッジ支持部13fとは、他のカートリッジと比較して最も重いカートリッジPkを支持する部分である。このように被ガイド部13a、13bを構成することによって、被ガイド部13a、13bの強度(剛性)を高めることができる。加えて、カートリッジPkを装着するカートリッジ装着部(支持部)13fの強度(剛性)を高めることができる。したがって、引出し位置Bに位置した引き出し部材13が下方へ傾斜するのを軽減することができる。
【0062】
また、被ガイド部13c(第3被ガイド部)と13d(第4被ガイド部)は円柱形状(突出部)で、同様に水平方向でかつ引き出し方向D2と直交する方向において外側に突出した形状となっている。
【0063】
前述したとおり、引き出し部材13は、引き出し方向D2の下流側に、引き出し方向D2と直交する方向において、その一端端に前記直交する方向に突出した被ガイド部(第3被ガイド部)13cを有している。また、その他端側に前記直交する方向に突出した被ガイド部(第4被ガイド部)13dを有している。そして、ガイド溝部14Rは被ガイド部13cを支持した状態で、また、ガイド溝部14Lは被ガイド部13dを支持した状態で、引き出し部材13を移動可能に支持している。
【0064】
したがって、本実施例においては、強度(剛性)が必要な引き出し方向D2の上流側の被ガイド部13a、13b(第1被ガイド部、第2被ガイド部)は、前述した通りの構成を有する被ガイド部13sとした。そのうえで、それと比較して強度(剛性)を必要としない引き出し方向D2の下流側の被ガイド部13c、13d(第3被ガイド部、第4被ガイド部)は円柱形状(突出部)とした。これによって、コストの低減を図っている。
【0065】
また、引き出し部材13の前枠の前面部には、引き出し部材13を使用者が操作する為の把手部28が設けられている。
【0066】
引き出し部材13には、後述するカートリッジPを装着するための4つの装着部13fが前後方向に一列に設けられている。各装着部13fの間には仕切り板13gが設けられていて、カートリッジPを装着する際の目安(目印)になっている。各装着部13fの下部には、開口部13eが設けられている。開口部13eを通して、カートリッジPに設けられたドラム1はベルト11に対して接触する。
【0067】
各装着部13fの駆動側端部には、カートリッジPを引き出し部材13内に装着するためのガイド部13hと13iが設けられている。同様に、各装着部13fの非駆動側端部にも、カートリッジPを引き出し部材13内に装着するためのガイド部13jと13kが設けられている。
【0068】
ガイド部13hと13jの下方には、カートリッジPを引き出し部材13に対して位置決めするための位置決め部13h1と13j1が設けられている。
【0069】
また、引き出し部材13の駆動側には、先述のドラムカップリング部材27が進入する為の開口部13l、及び現像カップリング部材26が進入する為の開口部13mが設けられている。カップリング部材27、26は、ドア10を閉める動作に連動して開口部13m及び開口部13lに進入する。その後、後述するカートリッジPのカップリング部材と係合してカートリッジPに駆動力を伝達する。
【0070】
前述したとおり、引き出し部材13は、引き出し部材13に設けられた被ガイド部13a乃至13dをガイド溝部14R・14Lに合せて矢印D1方向に移動することで装置本体100A内へ移動する。引き出し部材13はカートリッジPが配列されている方向である、前記一方向(矢印D1・D2方向)と同方向に移動可能である。即ち、引き出し部材13は、支持しているカートリッジPの長手方向と直交する方向に移動可能である。
【0071】
(カートリッジ)
引き出し部材13に装着される(支持される)カートリッジについて図11乃至13を用いて説明する。図11はカートリッジPの拡大横断面図であり、代表としてブラックカートリッジPkを例にとって説明する。他の色のカートリッジPy・Pm・Pcに関しては、収容している現像剤の量、及び色が異なる以外の構成は一緒である。図12はカートリッジPkを駆動側において斜め上方より見た斜視図である。図13はカートリッジPkを非駆動側において斜め上方より見た斜視図である。
【0072】
カートリッジPkは、感光体ユニット8と現像ユニット4kとが一体化されて構成される。ユニット8は、ドラム1と、帯電ローラ2と、クリーニング手段6及び、クリーニング手段6により除去された現像剤を収容する除去現像剤収容部30を有する。また、現像ユニット4kは、現像ローラ40と、現像剤供給ローラ43と、現像ブレード44、及び、画像形成に使用される現像剤Tkを収容する現像剤収容部1kと、を有する。
【0073】
ドラム1、現像ローラ40、現像剤供給ローラ43は破線矢印の方向に回転駆動される。帯電ローラ2はドラム1の回転に従動して回転する。帯電ローラ2には、所定の帯電バイアスが印加される。現像ローラ40には、所定の現像バイアスが印加される。
【0074】
現像剤収容部41k内の現像剤Tkは、現像剤供給ローラ43へ送り込まれる。そして、供給ローラ43と、現像ローラ40の外周に圧接された現像ブレード44とによって、現像剤Tkが現像ローラ40の外周に塗布される。かつ現像剤Tkには、ブレード44によって所定の極性の電荷が付与される。そして、装置本体100A側から所定の現像バイアスが現像ローラ40に印加される。これにより、ドラム1に形成された静電潜像が現像剤像として現像される。ドラム1上に形成された現像剤像が、記録媒体Sに転写された後、ドラム表面に残った現像剤はクリーニング手段6によって除去され、除去現像剤収容部30内に収容される。
【0075】
収容部41k内の現像剤Tkが消費された時には、使用者はカートリッジPkを交換する。これによって、再度画像形成を行うことができる。
【0076】
カートリッジPkの駆動側端部には、装置本体側のドラムカップリング部材27より駆動力を受ける為のカップリング部材47が回転可能に設けられている。また現像カップリング部材26から駆動力を受ける為のカップリング部材45が回転可能に設けられている。
【0077】
カップリング部材47は、ドラム1の駆動側端部に設けられている。そして、装置本体100Aからカップリング部材47が受けた駆動力はドラム1を回転させる。また、カップリング部材45が受けた駆動力は中間ギア(不図示)を介して現像ローラ40及び供給ローラ43に伝達される。
【0078】
カップリング部材45は円筒状のリブ45aによって囲まれている(図12)。円リブ45aは、係合部71aを形成している。係合部71aは、現像剤収容部41kの外側に固定されるサイドカバー71に設けられている。カップリング部材45は係合部71aに対して回動可能である。また、係合部71aの対向側には、係合部70aが設けられている。係合部70aも同様に、サイドカバー70に設けられている。係合部71aと70aは共に現像ユニット4kに設けられている。
【0079】
また、除去現像剤収容部30には、係合部71aと70aを支持する穴部30aと30bが設けられている。収容部30に設けられた穴部30aと30bが、現像ユニット4kに設けられた係合部71aと70aとに係合する。これによって、感光体ユニット8と現像ユニット4とは結合している。感光体ユニット8と現像ユニット4との間にはバネ(付勢部材)9が縮設されている。このバネ9の突っ張り力により、感光体ユニット8と現像ユニット4とが結合部を中心に回動付勢されている。これによって、ドラム1と現像ローラ40の当接が確保されている。
【0080】
カップリング部材47は円筒状のリブ47aによって囲まれている(図12)。リブ47aは、被ガイド部30cを形成している。また、長手方向対向側には、円筒状の突起が突出していて、被ガイド部30dを形成している。また、被ガイド部30cの上方には、被ガイド部30eが設けられている。同様に、被ガイド部30dの上方には、被ガイド部30fが設けられている。各被ガイド部30c・30d・30e・30f、カートリッジPkを引き出し部材13内に装着し、かつ、引き出し部材13内に位置決めするための機能を有している。
【0081】
ここで、感光体ユニット8は、少なくともドラム1を有する構成にすることともできる。また、帯電ローラ2と、ドラムクリーニング手段6と、クリーニング手段6により除去された現像剤を収納する収容部30の少なくとも1つと、ドラム1と、を有する構成にすることともできる。
【0082】
(引き出し部材へのカートリッジの装着(支持))
引き出し部材13への各カートリッジP(Pk・Py・Pm・Pc)の装着(支持)について、図14乃至17を使用して説明する。図14は引き出し部材13へカートリッジPを装着する様子を示す図であり、非駆動側において斜め上方より見た斜視図である。装置本体100Aのその他の部位は省略している。図15は図14の状態を駆動側において斜め上方より見た斜視図である。図16は引き出し部材13への全てのカートリッジPの装着が完了した状態を、駆動側において斜め上方より見た斜視図である。図17は図16の状態の引き出し部材13の縦断右側面図である。
【0083】
各カートリッジPは、引き出し部材13に設けられた対応の装着部13fに各々装着される。使用者は、引き出し部材13における対応の装着部13fに対してカートリッジPを実質的に重力方向である矢印C2方向に下して装着を行う。また、各カートリッジPは、引き出し部材13における対応の装着部13fに対して一方向(矢印D1・D2と同方向)に隣接して配列した状態で装着される。
【0084】
各カートリッジPは、カートリッジPの駆動側端部と非駆動側端部とに設けられた被ガイド部30cと被ガイド部30dを、引き出し部材13の対応の装着部13fのガイド部13hと13jに対応するように装着する。また、被ガイド部30eと30fを、ガイド13iと13kに対応するように装着する。カートリッジPは、各ガイド部13h・13i・13j・13kにガイドされて、装着部13f内に装着される。
【0085】
ここで、本実施例においては、引き出し部材13の、引き出し方向(矢印D2)において最上流側には、ブラック色の現像剤Tkを収容したブラックカートリッジPkが装着している。即ち、引き出し部材13は、前記最上流側に、カートリッジPkを支持している。図17に示すように、カートリッジPkの有する現像剤収容部41kに収容されている現像剤Tkの量は、他のカートリッジPy・Pm・Pcの有する現像剤収容部41y・41m・41cに収容されている現像剤Ty・Tm・Tc)の量と比較して多い。これは、ブラック色の現像剤の使用量が他の色の現像剤の使用量よりも多い。そのため、より多くの現像剤量を収容する必要があるからである。このような構成により、使用者は使用頻度の高いカートリッジPkを頻繁に交換するといった煩わしさが解消される。また、本実施例では、現像剤を収納している現像剤収納容41(41k・41y・41m・41c)の現像剤を収容している部分の容積(現像剤収容容積)は、各カートリッジP(Pk・Py・Pm・Pc)間において全て同一となっている。即ち、現像剤収容部の現像剤収容容積は、複数のカートリッジの相互において同一である。全て同一の容積の中で、ブラックカートリッジPkのみ、現像剤の収容量を多くしている。従って、現像剤収容部41を各色のカートリッジ41k・41y・41m・41c間において共通化することが可能である。
【0086】
ここで、本実施例においては、各カートリッジPの有する部品(例えば、ドラム1、帯電ローラ2、クリーニング手段6、クリーニング手段6、現像ローラ40、現像剤供給ローラ43、フレーム等)は共通である。また、現像剤の単位容積当たりの重量は、現像剤の色が異なったとしても、略同じである。したがって、本実施例においては、現像剤の収容量が他のカートリッジと比較して多いブラックカートリッジPkが、他のカートリッジと比較して一番重い。
【0087】
(引き出し部材の傾き防止)
上述したように、引き出し部材13の、引き出し方向(矢印D2)において最上流側にはブラック色の現像剤を収容したブラックカートリッジPkが装着されている。更に、ブラックカートリッジPkの有する現像剤収容部41kに収容されている現像剤の重量は、他のカートリッジの現像剤収容部41y・41m・41cに収容されている現像剤の重量と比較して重い。
【0088】
図18に示すように、仮に全てのカートリッジPk・Py・Pm・Pcに収容されている現像剤の量が等しく、かつ、部品が共通で、各カートリッジPの重量が等しいと仮定した場合を考える。この場合は、引き出し位置Bにおける引き出し部材13の重心G1は、引き出し部材13のほぼ中心である位置P1に位置する。
【0089】
これに対して、本実施例によれば、引き出し部材13の重心G2を、重心G1が位置していた位置P1よりも、引き出し方向D2方向において上流側の位置P2にシフトさせることができる。
【0090】
これは、引き出し方向最上流側に位置するブラックカートリッジPkの重量が、他のカートリッジの重量よりも重いためである。つまり重心G2を、より装置本体100Aに近い方向に移動させることができる。これによって、引き出し部材13が傾こうとするモーメントを減少させることができる。
【0091】
本実施例によれば、引き出し部材13は、図18に示す引き出し位置Bにおいて、その重量を被ガイド部13aと13bとを介して、ガイド溝部14Rと14Lとに支えられている構造である。つまり、被ガイド部13aと13bを支点とした片持ち梁状態となっている。前述したとおり、被ガイド部13aと13bは引き出し方向に延びた形状となっている。そこで、引き出し部材13は、ガイド溝部14Rと14Lに対して傾かない。その為、引き出し部材13とその収容物(カートリッジP)の重量が、装置本体100が設置される支持部位100cを支点として、重心G2を作用点とするモーメントM2を発生することとなる。モーメントM2は支点100cからの距離L2がより短ければ小さくなる。そこで、上述のように重心G1よりも重心G2の方が引き出し部材13を傾けようとするモーメントを小さくすることができる。
【0092】
ここで、支持部位100cの例として、図示のような鉛直方向下側に延びる脚部としたが、装置本体100Aの底面が平面形状で、底面全体で設置面とする場合には、底面の中で最も引き出し部材13に近い部分が支持部位となる。
【0093】
以上のように、本実施例においては、引き出し部材13の、引き出し方向最上流側に位置するカートリッジPkの重量を、他のカートリッジPy・Pm・Pcの重量よりも重くした。これにより、引き出し部材13を引き出し位置Bに引き出した際に、引き出し部材13が下方(重量方向)に傾きにくい構成を実現できた。
【0094】
また、引き出し部材13が引き出し位置Bで重力方向へ傾かないように、装置本体の剛性を高めるに当たって、その程度を軽減することができる。従って、剛性を上げる為に、装置本体100A内の部材を大きくする、或はより強度の出る高価な部材を採用する、または、強度確保の為の部材を追加する必要性を軽減できる。つまり、装置本体100Aを設計する際に、引き出し部材13内部に装着されるカートリッジPの重量が最も重いとき、つまり新品状態の時を想定して、引き出し位置におけるモーメントを計算する。そのモーメントに応じて、装置本体内の引き出し部材13を支える箇所(例えばガイド部材14R、14L)を設計する。従って、引き出し方向最上流側に位置するカートリッジの重量を、他のカートリッジの重量よりも大きくすることによって、引き出し部材13に生じる初期のモーメントを小さくすることができる。従って、上述したように装置本体100Aを補強する、或は装置本体100Aの剛性を上げる等の必要性を軽減することができる。その為、装置本体100Aの小型化、低コスト化を実現できる。
【0095】
(ブラックカートリッジPkの着脱)
図6・図7・図8・図18に示すように、カートリッジPkは、引き出し部材13の引き出し位置Bにおいて、装置本体100A内に位置する状態となっている。つまり、引き出し部材13の引き出し位置Bにおいて、カートリッジPkが、装置本体100Aの支持部位100cよりも装置本体内部側に位置している。一方、装置本体100AのブラックカートリッジPkの上部には、このブラックカートリッジPkが着脱可能なように上面開口部100bが設けられている。つまり、カートリッジPkは、装置本体100A内に位置する状態で、開口部100bよりも上方向に取り外すことができる。
【0096】
ここで、上方向とは、鉛直方向上側のみではなく、斜め上方向からの取り外しも含む。また、開口部100bとは、カートリッジPkの上方向に設けられた空間であり、かつ支持部100cよりも装置本体内部側の空間を指している。つまり、カートリッジPkが装置本体100A内に位置する状態で、カートリッジPkを上方向に着脱するのを遮断する空間が無ければ良い。
【0097】
以上より、引き出し部材13をそれほど引き出さなくても、カートリッジPkの着脱を行うことができる構成となっている。従って、引き出し部材13に発生するモーメントを小さくすることができるので、引き出し部材13はより傾きにくい。
【0098】
[実施例2]
次に、第2の実施例について説明する。尚、本実施例では、前述した実施例1と異なる構成、動作について説明し、同様の構成、機能を有する部材については同一の参照番号を付して先の実施例1の説明を援用する。
【0099】
本実施例2が実施例1と大きく異なる点を説明する。実施例1では、各カートリッジP(Pk・Py・Pm・Pc)間で、現像剤T(Tk・Ty・Tm・Tc)を収容している現像剤収容部41(41k・41y・41m・41c)の現像剤収容容積を全て同一とする方式に関して説明した。本実施例2では、引き出し部材13の、引き出し方向最上流側のカートリッジPkの現像剤収容ぶ41kのみを、他のカートリッジTy・Tm・Tcの現像剤収容部41y・41m・41cと異なる形状とした例に関して説明する。
【0100】
図19は、引き出し位置Bにおける引き出し部材13と、そこに装着されているカートリッジP(Pk・Py・Pm・Pc)を示している。各カートリッジPは、その現像剤収容部41(41k・41y・41m・41c)に各色の現像剤を収容している。
【0101】
引き出し部材13の、引き出し方向(矢印D2)において最上流側には、カートリッジPkが装着されている。更にカートリッジPkの有する現像剤収容部41kに収容されている現像剤の重量は、他のカートリッジPy・Pm・Pcの現像剤収容部41y・41m・41cに収容されている現像剤の重量と比較して重い。
【0102】
従って、実施例1と同様に、引き出し部材13を引き出し位置Bに引き出した際に、引き出し部材13が下方へ傾きにくい構成を実現できた。
【0103】
また、現像剤収容部41kは、他のカートリッジPy・Pm・Pcの現像剤収容部41y・41m・41cと異なる形状となっている。つまり図示したように、現像剤収容部41kは、現像剤収容部41y・41m・41cよりも鉛直方向上側(引き出し方向と直交する方向)に延びている(突出している)。そのため、現像剤収容部41kは、内部に現像剤をより多く収容できる構成となっている。即ち、現像剤収容部41y・41m・41cは、カートリッジPkよりも内部に収容する現像剤の量が少ない。そこで、その分収容部を小さく構成している。前述したとおり、前記最も上流側に位置するカートリッジPkの有する現像剤収容部41kは、他のカートリッジPy・Pm・Pcの有する現像剤収容部41y・41m・41cよりも、引き出し方向D2と直交し、かつ、上方へ突出した形状である。
【0104】
このように、現像剤収容部41y・41m・41cを、現像剤収容部41kよりも小さく構成する。これにより、現像剤収容部を無駄に大きくする必要が無く、コストを低減することができる。また、現像剤収容部41y・41m・41cが無駄に大きくならないので、現像剤収容部41y・41m・41c自身の重量を小さくできる。即ち、引き出し部材13を引き出し位置Bに引き出した際の、引き出し部材13を下方へ(重力方向)傾けようとするモーメントを小さくできる。
【0105】
[実施例3]
次に、第3の実施例について説明する。尚、本実施例では、前述した実施例1・2と異なる構成、動作について説明し、同様の構成、機能を有する部材については同一の参照番号を付して先の実施例1・2の説明を援用する。
【0106】
本実施例が実施例2と異なる点を説明する。実施例2は、引き出し部材13の、引き出し方向最上流側に支持されている(装着されている)のカートリッジPkの現像剤収容部41kを、鉛直方向上側に延ばした例を示した。本実施例3では、引き出し部材13の、引き出し方向最上流側に支持されているカートリッジPkの現像剤収容部41kを水平方向(引き出し方向と平行な方向)に延ばした例に関して説明する。
【0107】
図20は、引き出し位置Bにおける引き出し部材13と、そこに装着されているカートリッジP(Pk・Py・Pm・Pc)を示している。各カートリッジPは、その現像剤収容部41(41k・41y・41m・41c)に各色の現像剤を収容している。
【0108】
引き出し部材13の、引き出し方向(矢印D2)において最上流側には、ブラック色の現像剤を収容したブラックカートリッジPkが装着されている。更にカートリッジPkの有する現像剤収容部41kに収容されている現像剤の重量は、他のカートリッジPy・Pm・Pcの現像剤収容部41y・41m・41cに収容されている現像剤の重量に比べて重い。カートリッジPkの有する現像剤収容部41kは、他のカートリッジPy・Pm・Pcの有する現像剤収容部41y・41m・41cよりも、引き出し方向D2に沿って大きい形状である。
【0109】
従って、実施例1や2と同様に、引き出し部材13を引き出し位置Bに引き出した際に、下方へ傾きにくい構成を実現できた。
【0110】
実施例2と同様に、現像剤収容部41kは、現像剤収容部41y・41m・41cと異なる形状となっている。つまり図示したように、現像剤収容部41kは、現像剤収容部41y・41m・41cよりも水平方向(カートリッジの隣接方向)に延びている。したがって、現像剤収容部41kは現像剤収容部41y・41m・41cよりも内部に現像剤をより多く収容できる。
【0111】
実施例2と同様に、現像剤収容部41kのみを現像剤収容部41y・41m・41cと異なる形状とする。これにより、現像剤収容部41y・41m・41cを無駄に大きくする必要が無く、コストを軽減できるメリットがある。また、現像剤収容部41y・41m・41cが無駄に大きくならない。よって、現像剤収容部41y・41m・41c自身の重量を小さくすることができる。即ち、引き出し部材13を引き出し位置Bに引き出した際の、引き出し部材13を傾けようとするモーメントを小さくすることができる。
【0112】
更に実施例2に対して、本実施例3では引き出し方向D2と平行な方向に、現像剤収容部41kを延ばしている。実施例2では、現像剤収容部41kが鉛直方向上側に延びている分、他のカートリッジPy・Pm・Pcの鉛直方向上側に余分なスペース(デッドスペース)が生じていたのに対し、本実施例3ではそういったスペースを生じさせることがない。従って、本実施例3では鉛直方向のスペースを有効に活用することができる。
【0113】
前述した各実施例において、最も重いカートリッジPkは、他のカートリッジPy・Pm・Pcと比較して収納している現像剤量が多い。しかしながら、本発明はこのような構成に限定されるものではない。例えば、最も重いカートリッジPが有する部品が、他のカートリッジの有する部品よりも重くても良い。
【0114】
[その他]
一方向に隣接して配列した状態で、かつ引き出し部材13に支持される複数のカートリッジの数は実施例の4つに限られるものではない。本発明は、カートリッジの数を2つ或いは3つ若しくは5つ以上とした場合であって適用することができる。
【0115】
前述した実施例におけるドラム1とベルト11との接離は、ベルトユニット5に対して、複数のカートリッジを支持した引き出し部材13を移動させて行う方式にすることもできる。或いは、ベルトユニット5と引き出し部材13の両者を移動させて行う方式にすることもできる。
【0116】
また、前述した各実施例は、ベルトユニット5を中間転写ベルトユニットにする。そのうえで、中間転写ベルトに対して重畳転写させた各色の現像剤像を記録媒体Sに再転写(二次転写)する画像形成装置の構成にすることもできる。
【0117】
また、前述した各実施例では、各カートリッジPの部品を共通として、現像剤量の違いによって、カートリッジPの重量が異なる場合を例にあげて説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。各カートリッジPの現像剤量が等しい場合であって、各カートリッジPによって部品の重量が異なるような場合にも本発明は適用できる。また、単位容積当たりの現像剤の重量が異なる場合であっても、本発明は適用できる。即ち、本発明によれば、最も重いカートリッジをカートリッジ支持部材(引き出し部材13)の引き出し方向の最上流に支持させるようにすれば良い。本発明によれば、前述した効果を実現することができた。
【0118】
ここで、第1実施例を援用して、この実施例について図1乃至図17を用いて説明する。
この実施例は、引き出し方向D2において最も上流側に最も重いカートリッジPkを支
持するように構成した点は、前述した第1実施例乃至第3実施例と同様である。しかしながら、この実施例は、カートリッジPkは、有している部品が他のカートリッジPy・Pm・Pcが有している部品よりも重い。尚、カートリッジPkが収納している現像剤の量は、他のカートリッジが収納している現像剤の量と同じである。したがって、カートリッジPkは、他のカートリッジPy・Pm・Pcよりも重い。前記部品とは、前記カートリッジが有する、電子写真感光体ドラム1、帯電ローラ2、クリーニングブレード6、現像ローラ40、現像剤供給ローラ43、カートリッジフレーム300(例えば、図11)の少なくとも一つ、或いは、前記複数の組み合わせである。そして、カートリッジPkの総重量が、他のカートリッジPy・Pm・Pcの総重量よりも重い。この実施例によっても、前述した効果を実現することができた。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】実施例1の画像形成装置の外観斜視図である。
【図2】その画像形成装置の概略の縦断右側面図である。
【図3】図2の部分的な拡大図である。
【図4】ドアを開いた状態の画像形成装置の外観斜視図である。
【図5】ドアを開いた状態の画像形成装置の概略の縦断右側面図である。
【図6】引き出し部材を引き出し位置に引き出した状態の画像形成装置の概略の縦断右側面図である。
【図7】引き出し部材を引き出し位置に引き出した状態の画像形成装置の外観斜視図である。
【図8】カートリッジの交換要領の説明図である。
【図9】装置本体内の引き出し部材装着部の説明図である。
【図10】引き出し部材の構造説明図である。
【図11】ブラックカートリッジの概略の拡大横断面図である。
【図12】ブラックカートリッジを駆動側から見た外観斜視図である。
【図13】ブラックカートリッジを非駆動側から見た外観斜視図である。
【図14】引き出し部材へカートリッジPを装着する様子を示す図であり、非駆動側において斜め上方より見た斜視図である。
【図15】図14の状態を駆動側において斜め上方より見た斜視図である。
【図16】引き出し部材への全てのカートリッジの装着が完了した状態を、駆動側において斜め上方より見た斜視図である。
【図17】図16の状態の引き出し部材の縦断右側面図である。
【図18】引き出し位置に引き出された引き出し部材を傾けようとするモーメントの説明図である。
【図19】実施例2の画像形成装置の説明図である。
【図20】実施例3の画像形成装置の説明図である。
【符号の説明】
【0120】
100・・画像形成装置、100A・・装置本体、P(Pk・Py・Pm・Pc)・・カートリッジ、1・・像担持体、13・・引き出し部材、41(41k・41y・41m・41c)・・現像剤収容容器、T(Tk・Ty・Tm・Tc)・・現像剤、A・・内側位置、B・・引き出し位置、D1・・押し込み方向、D2・・引き出し方向、100a・・前面開口部、100b・・上面開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカートリッジを装置本体に取り外し可能に装着して、記録媒体に画像を形成するカラー電子写真画像形成装置において、
前記複数のカートリッジを取り外し可能に支持して、前記装置本体の内側に位置する内側位置と、前記内側位置から前記装置本体の外側へ引き出された引き出し位置と、の間を移動するカートリッジ支持部材を有し、
前記カートリッジの長手方向が、前記カートリッジ支持部材を前記内側位置から前記引き出し位置に移動する引き出し方向と交差する方向となるように、前記複数個のカートリッジを前記カートリッジ支持部材に並べて支持し、かつ、前記引き出し方向において最も上流側に最も重いカートリッジを支持するように構成したことを特徴とするカラー電子写真画像形成装置。
【請求項2】
前記カートリッジ支持部材が前記引き出し位置に位置した状態で、前記最も重いカートリッジは前記装置本体の内側に位置しており、前記最も重いカートリッジ以外のカートリッジは前記装置本体の外側に位置していることを特徴とする請求項1に記載のカラー電子写真画像形成装置。
【請求項3】
更に、前記装置本体には、前記カートリッジ支持部材が通過するための第1開口部と、前記カートリッジ支持部材が前記引き出し位置に位置した状態で、前記装置本体の内側に位置している前記最も重いカートリッジの上方に位置するように第2開口部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のカラー電子写真画像形成装置。
【請求項4】
更に、前記装置本体に向い合って設けられた、前記カートリッジ支持部材を移動可能に支持する第1本体側支持部材と第2本体側支持部材とを有し、前記カートリッジ支持部材は、前記引き出し方向において最も上流側に、前記引き出し方向と直交する方向の全幅にわたって、かつ、前記引き出し方向の上流側に向かって突出して設けられている被ガイド部材を有し、前記引き出し方向と直交する方向において前記被ガイド部材の一端側に第1被ガイド部と他端側に第2被ガイド部を有しており、前記第1本体側支持部材は前記第1被ガイド部を支持した状態で、また、前記第2本体側支持部材は前記第2被ガイド部を支持した状態で、前記カートリッジ支持部材を移動可能に支持することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のカラー電子写真画像形成装置。
【請求項5】
前記第1被ガイド部及び前記第2被ガイド部は、前記引き出し方向に沿って延出していることを特徴とする請求項4に記載のカラー電子写真画像形成装置。
【請求項6】
更に、前記カートリッジ支持部材は、前記引き出し方向の下流側に、前記引き出し方向と直交する方向において、その一端端に前記直交する方向に突出した第3被ガイド部を有し、また、その他端側に前記直交する方向に突出した第4被ガイド部を有しており、前記第1本体側支持部材は前記第3被ガイド部を支持した状態で、また、前記第2本体側支持部材は前記第4被ガイド部を支持した状態で、前記カートリッジ支持部材を移動可能に支持することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のカラー電子写真画像形成装置。
【請求項7】
前記最も重いカートリッジは、他のカートリッジと比較して収納している現像剤量が多いことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のカラー電子写真画像形成装置。
【請求項8】
前記最も上流側に位置するカートリッジの有する現像剤収容部が、他のカートリッジの有する現像剤収容部と異なる形状であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のカラー電子写真画像形成装置。
【請求項9】
前記最も上流側に位置するカートリッジの有する現像剤収容部は、他のカートリッジの有する現像剤収容部よりも、前記引き出し方向と直交し、かつ、上方へ突出した形状であることを特徴とする請求項8に記載のカラー電子写真画像形成装置。
【請求項10】
前記最も上流側に位置するカートリッジの有する現像剤収容部は、他のカートリッジの有する現像剤収容部よりも、前記引き出し方向に沿って大きい形状であることを特徴とする請求項8に記載のカラー電子写真画像形成装置。
【請求項11】
前記最も重いカートリッジは、有している部品が他のカートリッジが有している部品よりも重いことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のカラー電子写真画像形成装置。
【請求項12】
前記部品は、前記カートリッジが有する、電子写真感光体ドラム、帯電ローラ、クリーニングブレード、現像ローラ、現像剤供給ローラ、カートリッジフレームの少なくとも一つ、或いは、前記複数の組み合わせであることを特徴とする請求項11に記載のカラー電子写真画像形成装置。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−145681(P2010−145681A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−322012(P2008−322012)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【特許番号】特許第4334014号(P4334014)
【特許公報発行日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】