説明

カードエッジコネクタ

【課題】カードの無理抜きを抑制し得る構造を有するカードエッジコネクタを提供すること。
【解決手段】カードエッジコネクタ10は、保持部材200に保持された一対のアーム部材300を備えている。各アーム部材300は、取付対象に固定される固定部500と、弾性を有するバネ部600とを有している。固定部500には、被当接部525が設けられている。バネ部600には、カード50とカードエッジコネクタ10との接続状態においてカード50のサイドエッジ64に係止するラッチ620と、カードエッジコネクタ10と接続したカード50が+Z方向にラッチ620を押圧して移動させようとしたときに+Z方向において被当接部525に当接してラッチ620の移動を抑制する当接部640とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリモジュールのようなエッジ近傍に端子の設けられたカードと接続するためのカードエッジコネクタ又はソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のコネクタとしては、例えば、特許文献1に開示されたものがある。特許文献1のコネクタは、図12に示されるように、印刷配線板(カード)から離れる向きに撓み片(バネ部)を撓ませたときに保持爪(ラッチ)の一部に当接して撓み片の撓み量を規制する係止片(ストッパ)が固定片(固定部)に設けられていることから、撓み片が過度に撓むのを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−16646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のコネクタでは、接続状態にあるカードを無理に抜こうとした場合、ラッチが破損してしまったり、ラッチが破損しない場合であってもカードから外れてしまったりする可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、カードの無理抜きを抑制し得る構造を有するカードエッジコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1のカードエッジコネクタとして、
複数のコンタクトと、前記コンタクトを第1方向に並べて保持する保持部材と、前記第1方向において互いに離間するように前記保持部材に保持された一対のアーム部材とを備えたカードエッジコネクタであって、
前記アーム部材の夫々は、前記第1方向と直交する第2方向に延びており、且つ、前記カードエッジコネクタの取付対象に固定される固定部と、前記固定部と連続し且つ弾性を有するバネ部とを備えており、
前記固定部には、被当接部が設けられており、
前記バネ部は、前記第1方向外側に向かって開くことのできるように形成されており、
前記バネ部には、カードと前記カードエッジコネクタとの接続状態において前記カードのサイドエッジに係止するラッチと、前記カードエッジコネクタと接続した前記カードが前記第1方向及び前記第2方向の双方に直交する第3方向に前記ラッチを押圧して移動させようとしたときに前記第3方向において前記被当接部に当接して前記ラッチの移動を抑制する当接部とが設けられている
カードエッジコネクタを提供する。
【0007】
また、本発明は、第2のカードエッジコネクタとして、第1のカードエッジコネクタであって、
前記固定部は、前記バネ部よりも短く、
前記被当接部は、前記固定部の前記第2方向における端部に位置している
カードエッジコネクタを提供する。
【0008】
また、本発明は、第3のカードエッジコネクタとして、第2のカードエッジコネクタであって、
前記被当接部は前記固定部の前記第3方向における端部に位置している
カードエッジコネクタを提供する。
【0009】
また、本発明は、第4のカードエッジコネクタとして、第1乃至第3のいずれかのカードエッジコネクタであって、
前記バネ部は、前記固定部と連続するバネ主部を有しており、
前記バネ主部は、前記第3方向において二つの縁部を有しており、
前記ラッチは、前記バネ部の前記縁部の一方から前記第1方向内側に張り出すように設けられており、前記第1方向と前記第3方向とで規定される面内においてJ字状の断面を有している
カードエッジコネクタを提供する。
【0010】
また、本発明は、第5のカードエッジコネクタとして、第4のカードエッジコネクタであって、
前記当接部は、前記バネ部の前記縁部の他方から前記第1方向内側に張り出すように設けられている
カードエッジコネクタを提供する。
【0011】
また、本発明は、第6のカードエッジコネクタとして、第1乃至第5のいずれかのカードエッジコネクタであって、
前記バネ部には、当該バネ部の前記第1方向外側への撓みを所定範囲内に止めるストッパが設けられており、
前記ストッパは、前記当接部の前記第1方向内側から前記第2方向に沿って突出した部位からなり、前記バネ部が前記第1方向外側へ撓んだ際に前記固定部に受け止められ、それによって前記バネ部の前記所定範囲を超える撓みを防止する
カードエッジコネクタを提供する。
【0012】
また、本発明は、第7のカードエッジコネクタとして、第1乃至第6のいずれかのカードエッジコネクタであって、
前記当接部は、前記第1方向及び前記第3方向の双方に斜交しており、前記第3方向において前記被当接部に当接した際に前記第1方向内側に向かう力と前記第3方向において前記被当接部から離れる方へ向かう力との合力を前記被当接部からの反力として受ける
カードエッジコネクタを提供する。
【0013】
また、本発明は、第8のカードエッジコネクタとして、第1乃至第7のいずれかのカードエッジコネクタであって、
前記固定部は、前記第1方向において前記バネ部の内側に位置している
カードエッジコネクタを提供する。
【0014】
また、本発明は、第9のカードエッジコネクタとして、第1乃至第8のいずれかのカードエッジコネクタであって、
前記固定部は、前記取付対象に取り付けられる被取付部と、前記バネ部と連続する固定主部と、前記被取付部と前記固定主部とを連結すると共に前記第3方向において前記固定主部を前記取付対象から所定距離だけ離すようにして支持する支持部とを備えている
カードエッジコネクタを提供する。
【0015】
また、本発明は、第10のカードエッジコネクタとして、第9のカードエッジコネクタであって、
前記被当接部は、前記固定主部に設けられている
カードエッジコネクタを提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、カードを無理に抜こうとしてカードがラッチを第3方向(垂直方向、特に上方)に移動させようとしたときに被当接部が当接部に当接してラッチの移動を抑制することとしているため、カードの無理抜きを抑制しうる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態によるカードエッジコネクタを示す斜視図である。
【図2】図1のカードエッジコネクタを示す分解斜視図である。
【図3】図1のカードエッジコネクタ及びメモリモジュールを示す斜視図である。ここで、カードエッジコネクタとメモリモジュールとは接続状態にある。
【図4】図3のカードエッジコネクタ及びメモリモジュールを示す上面図である。
【図5】図1のカードエッジコネクタに含まれるアーム部材を示す斜視図である。
【図6】図5のアーム部材の変形例を示す斜視図である。
【図7】図6のアーム部材を示す内側面図である。
【図8】図6のアーム部材を示す上面図である。
【図9】図6のアーム部材を示す正面図である。
【図10】図4のカードエッジコネクタにおけるラッチとその近傍を示す拡大上面図である。
【図11】図10のカードエッジコネクタをXI--XI線に沿って示す断面図である。
【図12】特許文献1のコネクタの要部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1乃至図4を参照すると、本発明の実施の形態によるカードエッジコネクタ10は、相対的に大きな回路基板(マザーボード:取付対象)上に取り付け固定され、相対的に小さな回路基板60上に複数の半導体パッケージ70を搭載してなるカード50と接続されるものである。より具体的には、カードエッジコネクタ10は、ノートパソコンのように限られたスペース内においてカード50をマザーボード(取付対象:図示せず)に多段接続する場合における外側(上段側)のカードエッジコネクタである。
【0019】
図3及び図4に示されるように、本実施の形態によるカード50は、具体的には、回路基板60上に半導体パッケージ70としてDRAMパッケージを搭載したメモリモジュールである。回路基板60の先端のエッジ(接続エッジ)にはカードエッジコネクタ10との接続用の複数の端子62が設けられている。また、図3、図4及び図9に示されるように、回路基板60のサイドエッジ64には半円状の凹部66が形成されている。なお、以下においては、説明を図面に即して行うため、Z方向(第3方向)を垂直方向、+Z側を上側、−Z側を下側ともいう。
【0020】
図1及び図2に示されるように、カードエッジコネクタ10は、金属製の複数の上段コンタクト100及び下段コンタクト110と、絶縁体からなる保持部材200と、金属製の一対のアーム部材300とを備えている。保持部材200は、X方向(第1方向)に長手を有するものであり、その上部にはX方向に長手を有し且つY方向(第2方向)において接続エッジを収容可能な開口部210が形成されており、更に、X方向における開口部210の両隣には圧入溝220が形成されている。保持部材200は、複数の上段コンタクト100をX方向(第1方向)に列設するように保持すると共に複数の下段コンタクト110をX方向に列設するように保持している。この保持により、上段コンタクト100及び下段コンタクト110は、部分的に開口部210内に露出している。カードエッジコネクタ10とカード50との接続時においては、カード50の接続エッジを開口部210に対して斜め上方から挿入した後、カード50を水平位置まで回動させる。これにより、カード50の端子62とカードエッジコネクタ10の上段コンタクト100及び下段コンタクト110とを接続させることができる。アーム部材300は、この接続状態を維持するためのものであり、以下に詳述するような構造を備えている。
【0021】
図1及び図2にから理解されるように、アーム部材300は、保持部材200のX方向両端に位置する圧入溝220に圧入され、Y方向に延びるように保持されている。特に、図2に示されるように、2つのアーム部材300は、互いに鏡像関係となるように配置されている。即ち、2つのアーム部材300は、X方向に直交するYZ面に対して対称となるように配置されている。
【0022】
図5には、本実施の形態によるアーム部材300が示されている。一方、図6乃至図9には、図5のアーム部材300の変形例によるアーム部材300′が示されている。図5のアーム部材300と図6乃至図9のアーム部材300′とで主に構造の相違するところは、後述する干渉部630,630′と当接部640,640′である。換言すると、変形例によるアーム部材300′は、図5のアーム部材300とほぼ同じ構造を有している。そこで、変形例によるアーム部材300′と実施の形態によるアーム部材300とに共通する要素については同じ参照符号を付すこととし、以下にまとめて説明することとする。
【0023】
図5乃至図9を参照すると、アーム部材300,300′は、一枚の金属板を打ち抜き、且つ、打ち抜かれた金属板を曲げ加工して得られるものであり、保持部材200の圧入溝220に圧入される圧入部400と、マザーボード(取付対象:図示せず)に固定される固定部500と、固定部500と連続するバネ部600とを有している。特に、本実施の形態のアーム部材300及び変形例のアーム部材300′においては、圧入部400とバネ部600とが連続している。また、バネ部600は、弾性を有しており、X方向外側に向かって開くことのできるように形成されている。更に、本実施の形態のアーム部材300及び変形例のアーム部材300′が一枚の金属板を加工して形成したものであり、バネ部600の先端には後述するようなラッチ620を設けなければならないことから、本実施の形態及び変形例による固定部500は、図7から最も良く理解されるように、Y方向においてバネ部600よりも短い。
【0024】
詳しくは、図5乃至図9に示されるように、固定部500は、カードエッジコネクタ10が搭載されるマザーボードに取り付けられる被取付部510と、バネ部600と連続する固定主部520と、被取付部510と固定主部520とを連結する支持部530と、圧入部400を圧入溝220に圧入する際に押圧する(力を加える)押圧部540とを有している。
【0025】
図5、図6及び図8に示されるように、被取付部510はタブ状に形成されており、被取付部510には孔512が形成されている。この被取付部510は、マザーボードのパッド(取付対象:図示せず)にハンダ接続され、アーム部材300,300′をマザーボードに固定するためのものである。なお、被取付部510の孔512に固定用のネジを通してマザーボードにアーム部材300,300′を更に強固に固定することとしても良い。
【0026】
カードエッジコネクタ10は、前述のように、カード50をマザーボード(取付対象:図示せず)に多段接続する場合における外側(上段側)のカードエッジコネクタであり(例えば、図3参照)、実使用時においては、カードエッジコネクタ10に保持されたカード50の下に他のカードを保持した他のカードエッジコネクタ(下段側のカードエッジコネクタ)が設けられることになる。そのため、本実施の形態及び変形例における固定部500は、図5乃至図7及び図9に示されるように、固定主部520をマザーボードから所定距離だけ離すようにして支持する支持部530を有している。特に、図示された支持部530は、下段側のカードエッジコネクタとの干渉を避けるため、固定主部520の下縁520bからX方向外側に延びた後、被取付部510まで下側(−Z側)に延びている。即ち、図9から最も良く理解されるように、本実施の形態及び変形例による支持部530は、XZ平面内において逆L字状の断面を有している。但し、本発明はこのような固定部500を有するカードエッジコネクタ10に限定されるものではない。例えば、本発明を下段側のカードエッジコネクタに適用することもでき、その場合、支持部530は有しなくともよい。但し、本実施の形態や変形例のように支持部530を有しているカードエッジコネクタ10の場合には、固定部500の固定主部520が変位しやすく(ぐらつきやすく)なることから、本発明の概念を適用しないと、特許文献1の有する問題と同様の問題がより生じ易くなる。換言すると、本実施の形態や変形例のように支持部530を有しているカードエッジコネクタ10に本発明の概念を適用すると、より本発明の効果を享受しやすい。
【0027】
図5乃至図7に示されるように、固定主部520は、YZ平面と平行でY方向に細長く延びた平板状の形状を有しており、その上縁520aにおいてバネ部600とつながっている。詳しくは、バネ部600の弾性を確保するため、バネ部600と固定主部520とは保持部材200側でつながっている。固定部500の固定主部520は、バネ部600のX方向内側に位置している。そのため、本実施の形態によるカードエッジコネクタ10とカード50との接続状態において、バネ部600とカード50との間には固定主部520が位置しており、カード50がバネ部600に当たってしまうことがない。そのため、固定主部520がバネ部600よりもX方向外側に位置する場合と比較して、誤って外れてしまうことが抑制されている。
【0028】
図5乃至図7及び図9に示されているように、固定主部520のY方向先端の下縁520b近傍には、被当接部525が設けられている。詳しくは、図7から最も良く理解されるように、本実施の形態及び変形例における被当接部525は、固定主部520のY方向先端の下縁520b近傍の角部をL字状に切り欠くことで形成された切り欠きの上側の縁である。
【0029】
図5、図6及び図8に示されるように、バネ部600は、固定主部520と連続するバネ主部610と、ラッチ620、干渉部630,630′、当接部640,640′及びストッパ650とを有している。バネ主部610のYZ平面と平行でY方向に細長く延びた平板状の部位に対して屈曲部616を設けることにより、即ち、バネ主部610の全体長を長くしてバネ性を良くするようにしても、バネ部600のY方向における長さを屈曲部616がない場合と比較してほぼ同じ長さにするようにしたものである。詳しくは、バネ主部610は、固定部500(固定主部520)と連続する平板状の第1バネ部612と、ラッチ620を支持する平板状の第2バネ部614と、第1バネ部612と第2バネ部614とを連結する屈曲部616とを有している。屈曲部616は、X方向及びY方向の双方と斜交している。本実施の形態及び変形例における第1バネ部612と第2バネ部614とは互いに平行となるように屈曲部616により連結されている。ラッチ620及び干渉部630,630′は、バネ主部610のY方向先端近傍に設けられており、概略、固定主部520のY方向先端を越えた位置に位置している。当接部640,640′及びストッパ650は、概略、ラッチ620及び干渉部630,630′よりも保持部材200よりであって固定主部520のY方向先端近傍に位置している。
【0030】
図5乃至図11に示されるように、ラッチ620は、カード50とカードエッジコネクタ10との接続状態においてカード50の回路基板60のサイドエッジ64に係止するものである。ラッチ620がサイドエッジ64に係止すると、カード50とカードエッジコネクタ10との接続状態が維持される。本実施の形態及び変形例によるラッチ620は、バネ主部610の上縁(縁部)610aから延びる部分をX方向内側に張り出すように折り曲げて形成されたものであり、XZ平面内においてJ字状の断面を有している。かかる断面を有するラッチ620は、特許文献1のラッチのように縁でカードに接触するものと異なり、カード50を無理に抜こうとした際に破損しにくい。
【0031】
図5、図6及び図10を参照すると、干渉部630,630′は、カード50がカードエッジコネクタ10と適切に接続していない場合にラッチ620がサイドエッジ64に係止してしまうことを防ぐためのものである。図示された干渉部630,630′は、ラッチ620よりもバネ主部610の先端側に位置しており、バネ主部610の上縁610aからX方向内側に向かって張り出している。この干渉部630,630′は、カード50がカードエッジコネクタ10と適切に接続した場合にはカード50の回路基板60に形成された凹部66内に位置するが、カード50がカードエッジコネクタ10と適切に接続していない場合にはサイドエッジ64と干渉してしまうように形成されている。干渉部630,630′がサイドエッジ64と干渉してしまうと、ラッチ620がサイドエッジ64に係止できないので、不適切な接続状態の維持がなされることはない。図5及び図6を比較すると、本実施の形態の干渉部630と変形例による干渉部630′とは、形状において互いに異なっているものの、上述したようなカード50とカードエッジコネクタ10との不適切な接続状態の維持の防止という機能を有する点においては共通している。
【0032】
図5乃至図9並びに図11に示されるように、当接部640,640′は、バネ主部610の下縁(縁部)610bからX方向内側に向かって延びる板状の部位であり、被当接部525の下側に部分的にもぐりこむように設けられている。例えば、カード50を無理に抜こうとすると、カード50がラッチ620を+Z方向(上方)に押圧して移動させようとする。このとき、本実施の形態や変形例によれば、当接部640,640′が被当接部525に当接することで、ラッチ620の+Z方向への移動が抑制され、少なくともラッチ620が簡単に外れてしまうようなことがない。
【0033】
特に、本実施の形態による当接部640(図1乃至図5も参照)は、図11に示されるように、X方向及びZ方向の双方に斜交しており、Z方向において当接部640が被当接部525に当接した際にX方向内側に向かう力と−Z方向(Z方向において被当接部525から離れる方向)へ向かう力との合力を被当接部525からの反力として受けるように構成されている。具体的には、当接部640は、バネ主部610の下縁610bから斜め上方であってX方向の内側に向かって延びている。このため、本実施の形態によるカードエッジコネクタ10とカード50との接続状態において、当接部640はカード50の下側に位置しており、ラッチ620はカード50の上側に位置している。また、上述した構造のため、当接部640は、被当接部525に当接した際に斜め下方であってX方向内側に向かう力を被当接部525から反力として受ける。そのため、ラッチ620を+Z方向へ移動させようとすると、当接部640が被当接部525から受ける反力により、ラッチ620もX方向内側に引き込まれることから、ラッチ620の意図しない係止解除を更に低減することができる。
【0034】
これに対して、変形例によるアーム部材300′(図6乃至図9を参照)の当接部640′は、図9に最も良く示されるように、X方向及びZ方向の双方に斜交するようには形成されていない。このため、変形例によるアーム部材300′(図6乃至図9)と本実施の形態によるアーム部材300(図1乃至図5及び図11参照)とを比較した場合、ラッチ620の意図しない係止解除の低減の観点からは、本実施の形態によるアーム部材300の構造の方が好ましい。
【0035】
図5、図6及び図8に示されるように、ストッパ650は、当接部640,640′のX方向内側から−Y方向に沿って(即ち、Y方向において保持部材200に向かって)突出しており、バネ部600の撓みの範囲である所定範囲を規定している。バネ部600がX方向外側に過度に撓もうとしても、ストッパ650が固定部500のX方向内側の面に受け止められ、それによって所定範囲を超えるバネ部600の撓みが防止される。本実施の形態及び変形例において、ストッパ650と当接部640,640′とは非常に近接して設けられていることから、固定部500のうちストッパ650の当たる部位は、固定主部520のX方向内側の面のうち被当接部525の直ぐ下側且つ−Y方向側の部位である。本実施の形態及び変形例によるストッパ650は当接部640,640′に近接して設けられている。より具体的には、ストッパ650は当接部640,640′と同一片上に形成されている。しかしながら、本発明はこれに限定されるわけではなく、例えば、ストッパ650の機能を有する部位と当接部640,640′の機能を有する部位とを別々の片上に形成することとしてもよい。
【0036】
以上、本発明の実施の形態及び変形例について具体的に説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上述した実施の形態や変形例において被当接部525は、固定主部520の下縁520b且つY方向先端に形成されていたが、固定主部520の下縁520bから離れた位置に設けられていてもよい。即ち、被当接部525は、固定主部520の下縁520bと通じていなくともよい。また、被当接部525は、固定主部520のY方向先端に位置していなくともよく、例えば、固定主部520に対して矩形の孔を開けることとし、その上内縁を被当接部とすることとしてもよい。その場合、例えば、当接部は、バネ主部610から被当接部を構成する孔内を通るようにして形成された片であってもよい。この片は、例えば、Z方向両端に縁が位置するように(即ち、上述した実施の形態及び変形例による当接部640,640′とは略直交するように)形成されていてもよく、その場合、上縁がX方向及びZ方向の双方と斜交するように構成することとしてもよい。但し、被当接部525がラッチ620から離れると、カード50の無理抜き防止効果が得られにくくなるので、被当接部525はラッチ620にできるだけ近い位置、即ち、固定主部520のY方向先端に形成されていることが望ましい。
【符号の説明】
【0037】
10 カードエッジコネクタ
50 カード(メモリモジュール)
60 回路基板
62 端子
64 サイドエッジ
66 凹部
70 半導体パッケージ
100 上段コンタクト
110 下段コンタクト
200 保持部材
210 開口部
220 圧入溝
300,300′ アーム部材
400 圧入部
500 固定部
510 被取付部
512 孔
520 固定主部
520a 上縁
520b 下縁
525 被当接部
530 支持部
540 押圧部
600 バネ部
610 バネ主部
610a 上縁(縁部)
610b 下縁(縁部)
612 第1バネ部
614 第2バネ部
616 屈曲部
620 ラッチ
630,630′ 干渉部
640,640′ 当接部
650 ストッパ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンタクトと、前記コンタクトを第1方向に並べて保持する保持部材と、前記第1方向において互いに離間するように前記保持部材に保持された一対のアーム部材とを備えたカードエッジコネクタであって、
前記アーム部材の夫々は、前記第1方向と直交する第2方向に延びており、且つ、前記カードエッジコネクタの取付対象に固定される固定部と、前記固定部と連続し且つ弾性を有するバネ部とを備えており、
前記固定部には、被当接部が設けられており、
前記バネ部は、前記第1方向外側に向かって開くことのできるように形成されており、
前記バネ部には、カードと前記カードエッジコネクタとの接続状態において前記カードのサイドエッジに係止するラッチと、前記カードエッジコネクタと接続した前記カードが前記第1方向及び前記第2方向の双方に直交する第3方向に前記ラッチを押圧して移動させようとしたときに前記第3方向において前記被当接部に当接して前記ラッチの移動を抑制する当接部とが設けられている
カードエッジコネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のカードエッジコネクタであって、
前記固定部は、前記バネ部よりも短く、
前記被当接部は、前記固定部の前記第2方向における端部に位置している
カードエッジコネクタ。
【請求項3】
請求項2記載のカードエッジコネクタであって、
前記被当接部は前記固定部の前記第3方向における端部に位置している
カードエッジコネクタ。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のカードエッジコネクタであって、
前記バネ部は、前記固定部と連続するバネ主部を有しており、
前記バネ主部は、前記第3方向において二つの縁部を有しており、
前記ラッチは、前記バネ部の前記縁部の一方から前記第1方向内側に張り出すように設けられており、前記第1方向と前記第3方向とで規定される面内においてJ字状の断面を有している
カードエッジコネクタ。
【請求項5】
請求項4記載のカードエッジコネクタであって、
前記当接部は、前記バネ部の前記縁部の他方から前記第1方向内側に張り出すように設けられている
カードエッジコネクタ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のカードエッジコネクタであって、
前記バネ部には、当該バネ部の前記第1方向外側への撓みを所定範囲内に止めるストッパが設けられており、
前記ストッパは、前記当接部の前記第1方向内側から前記第2方向に沿って突出した部位からなり、前記バネ部が前記第1方向外側へ撓んだ際に前記固定部に受け止められ、それによって前記バネ部の前記所定範囲を超える撓みを防止する
カードエッジコネクタ。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のカードエッジコネクタであって、
前記当接部は、前記第1方向及び前記第3方向の双方に斜交しており、前記第3方向において前記被当接部に当接した際に前記第1方向内側に向かう力と前記第3方向において前記被当接部から離れる方へ向かう力との合力を前記被当接部からの反力として受ける
カードエッジコネクタ。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のカードエッジコネクタであって、
前記固定部は、前記第1方向において前記バネ部の内側に位置している
カードエッジコネクタ。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のカードエッジコネクタであって、
前記固定部は、前記取付対象に取り付けられる被取付部と、前記バネ部と連続する固定主部と、前記被取付部と前記固定主部とを連結すると共に前記第3方向において前記固定主部を前記取付対象から所定距離だけ離すようにして支持する支持部とを備えている
カードエッジコネクタ。
【請求項10】
請求項9記載のカードエッジコネクタであって、
前記被当接部は、前記固定主部に設けられている
カードエッジコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−142146(P2012−142146A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293082(P2010−293082)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】