説明

カーナビゲーション装置

【課題】 雑誌等の対象物に記載された文字情報を、目的地の指定やメモリ地点の登録のための地点情報として簡易に入力することを可能とする。
【解決手段】 カーナビゲーション装置1においては、ユーザによる目的地の指定(あるいはメモリ地点の登録)の方法の一つとして、ユーザが入力した画像からの文字認識に基づいて、指定したい施設や店舗の名称、住所、電話番号といった地点情報を入力する方法がある。この場合、ユーザは、地点情報が掲載された雑誌等の書面の画像を、車載カメラ2により撮影して入力する。制御回路5は、車載カメラ2から画像データを取込んで、表示部7の画面に表示させ、ユーザのタッチパネルの操作による範囲指定を受付け、その範囲に含まれる画像データを画像認識部10によって処理させてその範囲内に含まれる文字情報を認識させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地の指定やメモリ地点の登録のための地点情報をユーザにより入力可能なカーナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載されるカーナビゲーション装置は、マイコンを備える本体、表示装置、GPS受信機、地図データベース(道路地図データ等を記憶したDVD等のメディア及びそのドライブ装置)等から構成されている。そして、自己の現在位置を検出し表示装置に道路地図と重ね合わせて表示するロケーション機能や、ユーザが指定した目的地までの推奨する経路を計算により探索し、案内するルートガイダンス機能などを備えている。
【0003】
このとき、上記地図データベースには、道路地図データに付随して各種の施設,店舗等の目的地データ(名称、住所、電話番号等からなる索引データ)が記憶されている。また、ユーザが、目的地として良く使用する地点(例えば自宅や知人の家等)をメモリ地点として登録しておくこともできるようになっている。そして、ルートガイダンスの機能を実行させるべく、ユーザが目的地を指定するにあたっては、ユーザのタッチパネル等の操作により、施設の名称や住所などを入力することにより、前記目的地データから該当する施設を検索させ、場所を特定することができるようになっている。
【0004】
ところで、ユーザが、例えば雑誌などで紹介されている施設や店舗に行きたいと思う場合があり、この場合、車内にその雑誌を持込んでそれを見ながら名称や住所を入力することにより、目的地として指定することができる。ところが、特に名称を直接的に指定する場合、ユーザはひらがなを一文字ずつ入力する必要があり、ユーザの操作にかなり手間がかかる不具合がある。
【0005】
この場合、スキャナなどを用いて書面から画像データを取込み、その画像データから文字認識を行う技術(OCR)は従来から知られている(例えば特許文献1参照)。しかし、自動車の車内に、スキャナを持込んで書面から画像データを取込むといったことは簡易に行えるものではない。
【特許文献1】特開2001−157876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、雑誌などに掲載された施設や店舗などの名称や住所といった情報を、簡易に文字情報(地点情報)としてカーナビゲーション装置に入力することができれば、ユーザの手間を軽減してより使いやすいものとすることができる。そこで、持運び可能な簡易な画像入力装置として、例えば近年普及が著しいカメラ付き携帯電話を用い、そのカメラによって雑誌の掲載情報を撮影し、その画像データをカーナビゲーション装置に転送し、そこで文字認識を行わせるといったことも考えられる。
【0007】
但し、この場合、雑誌等には1ページに多量の文字情報が記載されていることが一般的であり、また、ユーザが必要とする施設や店舗の情報が、複数行にまたがって掲載されていたり、リスト状に掲載されていたりする等その掲載形態は様々であるため、取込んだ画像データを単純に文字情報化するだけでは、無駄に認識処理を行なってしまったり、必要な情報(例えば住所の情報等)が一連の文字情報として認識できなかったりすることが予測され、文字認識の効率面あるいは精度面での工夫が必要となる。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、対象物に記載された文字情報を、目的地の指定やメモリ地点の登録のための地点情報として簡易に入力することが可能なカーナビゲーション装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のカーナビゲーション装置は、目的地の指定やメモリ地点の登録のための地点情報をユーザにより入力可能なものであって、前記地点情報が記載された対象物の画像を入力するための画像データ入力手段と、この画像データ入力手段により入力された画像を表示する入力画像表示手段と、この入力画像表示手段に表示された画像中の範囲を指定するための範囲指定手段と、前記画像中の前記範囲指定手段により指定された範囲内に含まれる文字情報を地点情報として認識する認識手段とを具備するところに特徴を有する(請求項1の発明)。
【0010】
これによれば、ユーザは、地点情報が記載された対象物(例えば雑誌等の書面)の画像を画像データ入力手段により入力することができ、その入力画像が入力画像表示手段に表示されるようになる。そして、ユーザが、範囲指定手段により、表示画像中の範囲を指定すると、認識手段により、画像中の指定された範囲内に含まれる文字情報が地点情報として認識されるようになる。従って、雑誌等の対象物に掲載された施設や店舗などの名称や住所といった情報を、簡易に文字情報(地点情報)として入力することができ、ユーザの手間を軽減してより使いやすいものとすることができる。しかも、文字認識の処理は、ユーザが範囲指定手段により指定した範囲内について行われるので、必要な文字情報部分のみを効率良く確実に認識することができるようになる。
【0011】
ところで、近年、自動車などの車両においては、車両の前方や周囲を撮影するための車載カメラを設けることが考えられている。そこで、上記構成において、車内に設けられる車載カメラを、画像データ入力手段として使用することができ(請求項2の発明)、これにより、画像データ入力手段を別途設ける必要がなくなり、構成を簡単に済ませることができる。
【0012】
また、上記範囲指定手段を、入力画像表示手段の表面に設けられたタッチパネルを含んで構成することができる(請求項3の発明)。これによれば、ユーザは、入力画像表示手段の画面を直接的に触れるようにしながら、文字認識の範囲の指定を行うことが可能となり、範囲指定の操作を、判り易く簡単に行うことができる。
【0013】
そして、前記範囲指定手段による範囲の指定の手法としては、次のような形態が考えられる。即ち、まず、ユーザが範囲の始端部及び終端部を指示操作することによって行うように構成することができる(請求項4の発明)。あるいは、ユーザが必要な文字情報部分をドラッグ操作することによって行うように構成することができる(請求項5の発明)。次に、ユーザが該範囲を示す枠を設定操作することによって行うように構成することができる(請求項6の発明)。さらには、ユーザが範囲の中心を指示すると共にその広がりを指定することによって行うように構成することができる(請求項7の発明)。いずれの手法によっても、ユーザは範囲の指定を容易且つ確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
<第1の実施例>
以下、本発明の第1の実施例について、図1ないし図3を参照しながら説明する。まず、図1は、車両(自動車)に組込まれた本実施例に係るカーナビゲーション装置1の全体構成を概略的に示しており、また、本実施例では、画像データ入力手段として車両に搭載された車載カメラ2を利用できるように構成されている。ここで、前記カーナビゲーション装置1は、自車位置検出器3、画像入力部4、これらに接続された制御回路5、この制御回路5に接続された地図データベース6、表示部7、入力装置部8、音声出力装置9、画像認識部10等を備えて構成されている。
【0015】
そのうち自車位置検出器3は、GPS用の人工衛星からの送信電波に基づいて自車両の位置を検出(測位)するGPS(Global Positioning System )のためのGPS受信機11、自車両の回転角速度を検出するジャイロスコープ12、自車両の走行速度を検出する車速センサ13、周知構成の地磁気センサ14を有している。前記制御回路5は、位置検出器3の各センサ11〜14が性質の異なる誤差を有しているため、各々補間しながら使用するように構成されており、それらからの入力に基づいて、自車両の現在位置、進行方向、速度や走行距離、現在時刻等を高精度で検出するようになっている。尚、精度によっては、上記したセンサ11〜14のうちの一部を省略して構成しても良く、上記以外に、ステアリングの回転センサや、距離センサ等を採用することも可能である。
【0016】
前記地図データベース6は、道路地図データやそれに付随する目的地データ(索引データ)などの各種データを記憶したメディア及びそのメディアからデータを入力するためのドライブ装置からなり、前記メディアとしては、例えばCD−ROMやDVD、ハードディスク等の大容量記憶媒体が用いられる。尚、前記道路地図データは、道路形状、道路名、建造物、各種施設、それらの電話番号、地名、地形等のデータを含むと共に、その道路地図を前記表示部7の画面上に再生するためのデータを含んで構成されている。
【0017】
また、前記目的地データは、交通機関、レジャー施設、宿泊施設、公共施設等の施設や、小売店、デパート、レストラン等の各種の店舗などに関する情報からなり、それら施設を示すランドマークを、表示部7の画面上に道路地図に重ね合せて表示するためのデータを含んで構成されている。このとき、この目的地データは、各施設、店舗等の位置データを、その種類や、名称、住所、電話番号等から検索できるように構成されている。尚、ユーザが、目的地として良く使用する地点(例えば自宅や知人の家等)をメモリ地点として登録し、メモリ(図示省略)に記憶させておくことができるようになっている。
【0018】
前記表示部7は、例えば液晶ディスプレイからなり、その画面には、各種縮尺の道路地図が表示されると共に、その表示に重ね合わせて、車両の現在位置及び進行方向を示すポインタが表示されるようになっている。また、ユーザが目的地などを入力するための各種の入力用画面や、各種のメッセージ等も表示されるようになっている。さらには、目的地までの案内を行なうルートガイダンス機能の実行時には、道路地図に重ね合わせて進むべき経路等が表示されるようになっている。このとき、後述するように、画像データから目的地を指定する(あるいはメモリ地点を登録する)際には、表示部7の画面に入力された画像が表示されるようになっている(図3参照)。
【0019】
前記入力装置部8は、詳しく図示はしないが、表示部7の画面の近傍に設けられたメカニカルスイッチや、表示部7の画面上に設けられるタッチパネルを含んでなり、ユーザ(ドライバ)は、それら入力装置部8を用いて、目的地の指定や、表示部7に表示される道路地図の縮尺の選択等の各種のコマンドを入力することができるようになっている。また、ユーザが音声によりコマンドを入力するためのマイク(音声入力装置)や、リモコンなども設けられている。前記音声出力装置9は、ルートガイダンス時等において、スピーカから合成音声による必要な各種メッセージを出力するように構成されている。
【0020】
前記制御回路5は、CPU,ROM,RAMなどからなる周知のマイクロコンピュータを主体として構成されており、カーナビゲーション装置1の全体を制御するようになっている。このとき、この制御回路5は、そのソフトウエア的構成により、自車両の現在位置を知るロケーション機能を実現すると共に、前記地図データベース6の地図データに基づいて指定された目的地までの推奨する経路を探索し案内するルートガイダンス機能を実現するようになっている。
【0021】
そのうちロケーション機能は、上述のように、地図データベース6からの地図データに基づいて表示部7の画面に道路地図を表示させると共に、自車位置検出器3の検出に基づいて車両の現在位置及び進行方向を示す現在地マークを表示させるものである。この場合、車両の走行に伴って現在位置の表示は地図上を移動すると共に、地図は車両の位置に応じてスクロール表示されるようになる。また、このとき、車両の現在位置を道路上にのせるマップマッチングが行なわれるようになっている。
【0022】
また、ルートガイダンス機能は、ユーザの入力装置部8の入力操作に基づいて、車両の出発点(現在位置)から、ユーザにより指定された目的地までの推奨する走行経路を、ユーザにより指定された条件(例えば有料道優先、一般道優先、距離優先、推奨等)に従って周知のダイクストラ法を用いて自動的に計算し、これと共に、表示部7の画面にその走行経路を他の道路とは色を変えて表示して目的地まで案内し、さらに音声出力装置9から、例えば「200m先の交差点を左です」といった案内音声を所要のタイミングで出力させることにより行われるものである。
【0023】
そして、前記画像入力部4は、ユーザの所持する小型機器例えばカメラ付き携帯電話機やデジタルカメラが接続可能とされ、それらによって撮影された画像データを、カーナビゲーション装置1に取込むように構成されている。前記画像認識部10は、前記画像入力部4あるいは車載カメラ2から入力された画像データの処理を行ない、文字情報として認識するOCR機能を備えたものである。
【0024】
一方、前記車載カメラ2は、例えばCCDカメラからなり、例えば車内に設けられている。この場合、この車載カメラ2は、通常時においては、例えば車両の前方あるいは周辺を撮影するようになっており、その際の撮影画像データが、例えばドライバに向けての周囲情報として図示しない表示装置に表示されたり、あるいは、先行車との車間距離の自動検出等に用いられる。このとき、本実施例では、この車載カメラ2は、その向きを任意に変更する(あるいはユーザが取外して自在に移動させる)ことが可能に設けられており、この車載カメラ2により撮影された画像データを、前記制御回路5に入力できるように構成されている。
【0025】
さて、後の作用説明でも述べるように、本実施例のカーナビゲーション装置1においては、ユーザによる上記目的地の指定(あるいはメモリ地点の登録)の方法の一つとして、ユーザが入力した画像からの文字認識に基づいて、指定したい施設や店舗の名称あるいは住所あるいは電話番号といった地点情報を入力する方法がある。この場合、ユーザは、地点情報が掲載された対象物(例えば雑誌等の書面)の画像を、上記した車載カメラ2により直接撮影する、あるいは、携帯電話機のカメラやデジカメで撮影して画像入力部4を介して入力することができる。
【0026】
この方法では、ユーザが、表示部7に目的地指定の初期画面を表示させた状態で、「画像入力」を選択することにより、制御回路5は、まず、前記車載カメラ2あるいは画像入力部4から画像データを取込んで、表示部7の画面に表示させるようになっている(図3参照)。従って、車載カメラ2及び画像入力部4が画像データ入力手段として機能し、表示部7(及び制御回路5)が入力画像表示手段として機能するようになっている。
【0027】
そして、制御回路5は、取込んだ画像を表示部7の画面に表示した状態で、ユーザによる範囲指定を受付け、その範囲に含まれる画像データを画像認識部10によって処理させてその範囲内に含まれる文字情報を認識させるようになっている。このとき、ユーザは、入力装置部8のうちのタッチパネルを用い、表示部7の画面を直接タッチすることにより文字情報として入力したい(読取らせたい)範囲の指定を行うことが可能とされている。従って、タッチパネル等が範囲指定手段として機能し、画像認識部10等が認識手段として機能するようになっている。
【0028】
また、これも後の作用説明にて詳述するように、本実施例では、ユーザによるタッチパネルを用いた範囲の指定の手法としては、範囲の始端部及び終端部を指示操作する、必要な文字情報部分をドラッグ操作する、範囲を示す枠を設定操作する、範囲の中心を指示すると共にその広がりを指定する、といった4つの形態のいずれかを用いることができるようになっている。
【0029】
次に、上記構成の作用について、図2及び図3も参照しながら説明する。今、ユーザが、例えば雑誌に掲載されている店舗等を、カーナビゲーション装置1のルートガイダンスの目的地として指定(あるいはメモリ地点として登録)したいと考えた場合、その雑誌を車内に持ち込む。そして、上述のように、表示部7の目的地指定の初期画面において「画像入力」を選択した上で、例えば車載カメラ2により、その雑誌における該当する店舗の住所などが記載されている部分(ページ)を撮影する。すると、撮影した画像データがカーナビゲーション装置1に取込まれて、表示部7の画面に表示されるようになる。
【0030】
図2のフローチャートは、車載カメラ2から入力された画像データから、文字情報を地点情報として認識する際に、制御回路5が実行する処理手順を示している。即ち、まずステップS1では、表示部7の画面に表示されている入力画像中の認識する範囲をユーザが指定する処理が実行される。ここでは、ユーザは、タッチパネルの操作により、必要な情報(例えば目的地の住所情報の文字列)が含まれる範囲を指定するのであるが、その手法については後述する。
【0031】
このとき、ユーザの指定した範囲は、表示部7の画面上で分るように例えば白黒反転して表示されるようになり、ステップS2では、ユーザの確認を得る処理が行われる。確認が得られない場合には(ステップS2にてNo)、ステップS1に戻って再度範囲の指定が行われる。確認が得られた場合には(ステップS2にてYes)、ステップS3にて、ユーザにより指定された範囲内の画像データが画像認識部10に送られ、その範囲内における文字認識の処理が行われる。そして、次のステップS4では、その認識結果が表示部7に表示され、ステップS5では、認識結果が地点情報(例えば目的地の住所)として取込まれ、目的地の検索等の処理が行われるのである。
【0032】
次に、図3を参照しながら、上記したユーザによる範囲の指定の手法(4種類の手法)について述べる。尚、ここでは、図3に示すように、「愛知県刈谷市昭和町1−1」といった住所情報を必要な情報として入力する場合を例としてあげている。また、このとき、表示部7の画面上には、画面の横方向をX方向、縦方向をY方向としたXY座標系が設定される。
【0033】
図3(a)は、範囲の始端部及び終端部を指示操作する場合の例を示す。この場合、ユーザは、まず「愛」の文字の左側を指でタッチ操作し(1)、次いで「1−1」の右側をタッチ操作する(2)。それらのタッチ操作は同時あるいは逆の順序でも良い。制御回路5は、それらを、始点座標(Xs,Ys)及び終点座標(Xe,Ye)として夫々検出する。そして、YsとYeとの差が所定値以下であるときには、高さ方向(Y方向)を初期定数として範囲を設定する。図中破線で囲まれた四角形の領域が指定範囲とされる。また、YsとYeとの差が所定値を越えている場合には、点(Xs,Ys)、点(Xe,Ys)、点(Xs,Ye)、点(Xe,Ye)を頂点とした四角形の領域を範囲とする。
【0034】
図3(b)は、必要な文字情報部分をドラッグ操作する場合の例を示す。この場合、ユーザは、まず「愛」の文字の左側を指でタッチ操作し(1)、引続き文字をなぞるように右方に向けてドラッグ操作し、「1−1」の右側で指を離す(2)。制御回路5は、(1)を始点座標(Xs,Ys)として検出し、更にドラッグ操作を検出すると、指が離れた点(2)を終点座標(Xe,Ye)として検出する。そして、始点(Xs,Ys)と終点(Xe,Ye)とを結ぶ直線に、高さ方向(Y方向)両側に一定値を加えた領域を指定範囲(破線で示す)とする。
【0035】
図3(c)は、範囲を示す枠を設定操作する場合の例を示す。この場合、ユーザは、「愛知県刈谷市昭和町1−1」の文字が含まれる矩形の範囲(枠)を仮想し、例えば、まず「愛」の文字の下方の位置(矩形枠の左下の頂点となるべき位置)を指でタッチ操作し(1)、引続き仮想した矩形の枠に沿ってなぞるように上方、右方、下方、左方の順に一筆書きの要領でドラッグ操作を行い、元に戻ったと思われる位置で指を離す(2)。制御回路5は、(1)を始点座標(Xs,Ys)として検出し、更にドラッグ操作の軌跡となる座標を記憶しておき、指が離れた点(2)の座標を終点座標(Xe,Ye)として検出する。そして、始点座標(Xs,Ys)から終点座標(Xe,Ye)までを閉じた範囲として認識し、軌跡におけるX方向、Y方向夫々の最大座標、最小座標から矩形の領域を指定範囲(破線で示す)とする。
【0036】
図3(d)は、範囲の中心を指示すると共にその広がりを指定する場合の例を示す。この際には、表示部3の画面(左上部及び右上部)に、アップキー及びダウンキーが一対となった高さ調整キーH、及び、やはりアップキー及びダウンキーが一対となった幅調整キーWが表示されるようになる。この場合、ユーザは、まず「愛知県刈谷市昭和町1−1」の文字の中心部を指でタッチ操作する(1)。次いで、高さ調整キーHを操作して、指定したい範囲の中心からの上下(Y)方向の広がりを設定すると共に、幅調整キーWを操作して、指定したい範囲の中心からの左右(X)方向の広がりを設定する。制御回路5は、(1)を中心座標(Xc,Yc)として検出すると共に、設定された高さ及び幅に基づいて、矩形の領域を指定範囲(破線で示す)とする。
【0037】
このように本実施例によれば、次のような効果を奏する。即ち、ユーザが車載カメラ2にて撮影した画像データからの文字認識に基づいて、指定したい施設や店舗の名称、住所、電話番号といった地点情報を入力することができるようにした。従って、名称を指定するにあたってユーザがひらがなを一文字ずつ入力する必要があった従来のものと異なり、雑誌等の対象物に掲載された施設や店舗などの名称や住所といった情報を、簡易に文字情報(地点情報)として入力することができ、ユーザの手間を軽減してより使いやすいものとすることができる。
【0038】
そして、ユーザがタッチパネルの操作により指定した範囲内についてのみ文字認識の処理が行われるので、必要な文字情報部分のみを効率良く確実に認識することができるようになる。この場合、ユーザは、表示部7の画面を直接的に触れるようにしながら、文字認識の範囲の指定を行うことが可能となり、範囲指定の操作を、判り易く簡単に行うことができる。更に、特に本実施例では、画像データの入力手段として、車載カメラ2を利用するようにしたので、画像データ入力手段を別途設ける必要がなくなり、構成を簡単に済ませることができるといったメリットも得ることができる。
【0039】
<第2〜第4の実施例、他の実施例>
図4〜図6は、夫々本発明の第2〜第4の実施例を示している。以下、これら各実施例について、上記第1の実施例と異なる点についてのみ順に述べる。ここで、上記した第1の実施例では、図3に示したように、入力したい地点情報(住所情報)が1行にまとまって記載されている場合を例としたが、実際には、雑誌等には、必要とする情報が複数行にまたがって掲載、例えばある行の最後と次の行の初めの2箇所に分離した形態で掲載されているといったことも考えられる。
【0040】
図4は、本発明の第2の実施例を示すもので、範囲の指定が複数回に渡って行われる場合の制御回路5が実行する処理手順を示すフローチャートである。この場合も、ユーザは表示部7の目的地指定の初期画面において「画像入力」を選択した上で、例えば車載カメラ2により、入力したい店舗の住所などが掲載されている雑誌の部分(ページ)を撮影する。すると、撮影した画像データがカーナビゲーション装置1に取込まれて、表示部7の画面に表示されるようになる。またこのときには、表示部7の画面に「次の範囲指定」や「範囲指定完了」のキーが表示(タッチパネル上に設定)されるようになっている。
【0041】
まずステップS11では、表示部7の画面に表示されている入力画像中の認識する範囲をユーザが指定する処理が実行される。ここで、入力したい文字情報が複数の範囲に渡る場合には、ユーザは、まず1番目の範囲を指定する。範囲の指定は、上記第1の実施例と同様にして行うことができる。そして、ユーザは、複数の範囲を指定したい場合には、「次の範囲指定」のキーを操作する(ステップS12にてYes)。すると、ステップS13にて、前回に指定した範囲が記憶された上で、ステップS11に戻り次の範囲を指定することができる。
【0042】
このようにして全ての範囲の指定が完了した場合には、ユーザが「範囲指定完了」のキーを操作すると(ステップS14にてYes)、ステップS15にて、ユーザにより指定された複数の範囲内の画像データが画像認識部10に送られ、それら各範囲内における文字認識の処理が行われる。次のステップS16では、その認識結果が表示部7に表示される。このときには、複数の範囲における認識結果が一連の文字列として表示されるようになる。図示はしないが、この後、認識結果が地点情報(例えば目的地の住所)として取込まれ、目的地の検索等の処理が行われるのである。
【0043】
図5のフローチャートは、本発明の第3の実施例を示すものであり、範囲の指定が複数回に渡って行われる場合における、図4とは異なる処理の例を示している。即ち、ステップS21では、表示部7の画面に表示されている入力画像中の認識する範囲をユーザが指定する処理が実行される。ここで、入力したい文字情報が複数の範囲に渡る場合には、ユーザは、まず1番目の範囲を指定する。次のステップS22では、ユーザにより指定された範囲内の画像データが画像認識部10に送られ、その範囲内における文字認識の処理が行われ、ステップS23にて、その認識結果が表示部7に表示される。
【0044】
そして、ユーザは、複数の範囲を指定したい場合には、「連続認識」のキーを操作する(ステップS24にてYes)。すると、ステップS21に戻り、次の範囲を指定することができるようになる。このようにして、複数の範囲の指定及びそれら範囲内の文字情報の認識が終了すると(ステップS24にてNo)、ステップS25にて、複数の範囲における認識結果が一連の文字列として表示されるようになる。この後、認識結果が地点情報(例えば目的地の住所)として取込まれ、目的地の検索等の処理が行われる。
【0045】
図6は、本発明の第4の実施例を示すものである。この第4の実施例では、入力させたい地点情報が、複数行(上下2段)にわたって掲載されているような場合、ユーザによりその全体を矩形の枠で囲むように範囲(破線で示す)が設定される。この範囲の設定は上記第1の実施例と同様の手法で行うことができる。そして、ユーザにより指定された範囲内の画像データが画像認識部10に送られ、その範囲内における文字認識の処理が行われる。ここでは、その範囲内の2行に渡る文字列を一連の文字列として認識するようになっている。
【0046】
尚、上記した各実施例では、画像データの入力に車載カメラ2を用いるようにしたが、デジカメやカメラ付き携帯電話機等の他の画像データ入力手段を用いて画像を入力するようにしても良い。また、上記各実施例では、ユーザの範囲指定にタッチパネルを用いるようにしたが、他のメカ的なスイッチを用いたりそれらをタッチパネルと併用したりしても良く、更にリモコンを用いるようにしても良い。
【0047】
その他、本発明は上記し且つ図面に示した実施例に限定されるものではなく、例えば、範囲指定の手法としても、上記した4種類に限らず、例えば枠の4つの頂点を指定するなどの変形が可能であり、また、画像を入力させる対象物としては、雑誌に限らず、広告のちらし、名刺、カタログ、伝票などであっても良く、更にはカーナビゲーション装置の全体構成としても様々な変形が可能である等、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施例を示すもので、カーナビゲーション装置の全体構成を概略的に示すブロック図
【図2】画像データから文字情報を地点情報として認識する際の処理手順を示すフローチャート
【図3】範囲の指定の手法を4種類について説明するための図
【図4】本発明の第2の実施例を示す図2相当図
【図5】本発明の第3の実施例を示す図2相当図
【図6】本発明の第4の実施例を示す図3(a)相当図
【符号の説明】
【0049】
図面中、1はカーナビゲーション装置、2は車載カメラ(画像データ入力手段)、4は画像入力部(画像データ入力手段)、5は制御回路、7は表示部(入力画像表示手段)、8は入力装置部、10は画像認識部(認識手段)を示す。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地の指定やメモリ地点の登録のための地点情報をユーザにより入力可能なカーナビゲーション装置において、
前記地点情報が記載された対象物の画像を入力するための画像データ入力手段と、
この画像データ入力手段により入力された画像を表示する入力画像表示手段と、
この入力画像表示手段に表示された画像中の範囲を指定するための範囲指定手段と、
前記画像中の前記範囲指定手段により指定された範囲内に含まれる文字情報を地点情報として認識する認識手段とを具備することを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項2】
前記画像データ入力手段は、車内に設けられる車載カメラからなることを特徴とする請求項1記載のカーナビゲーション装置。
【請求項3】
前記範囲指定手段は、前記入力画像表示手段の表面に設けられたタッチパネルから構成されることを特徴とする請求項1または2記載のカーナビゲーション装置。
【請求項4】
前記範囲指定手段による範囲の指定は、ユーザが該範囲の始端部及び終端部を指示操作することによって行われるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のカーナビゲーション装置。
【請求項5】
前記範囲指定手段による範囲の指定は、ユーザが必要な文字情報部分をドラッグ操作することによって行われるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のカーナビゲーション装置。
【請求項6】
前記範囲指定手段による範囲の指定は、ユーザが該範囲を示す枠を設定操作することによって行われるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のカーナビゲーション装置。
【請求項7】
前記範囲指定手段による範囲の指定は、ユーザが該範囲の中心を指示すると共にその広がりを指定することによって行われることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のカーナビゲーション装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−38556(P2006−38556A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−217145(P2004−217145)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】