説明

カーボンファイバー製造法、カーボンファイバー電子源およびフィールドエミッションディスプレイ装置

【課題】簡易かつ安価な方法で、カーボンナノチューブを高密度かつ均一に形成可能なカーボンファイバー製造法、高出力電流密度のカーボンファイバー電子源、高電流密度で高輝度、大容量を有するFED装置を提供する。
【解決手段】
基板上に配置されたカソード電極10と、カソード電極10上に配置された絶縁膜12と、絶縁膜12上に配置され,カソード電極10と直交するゲート電極14と、絶縁膜12中にカソード電極10表面まで形成されたホール(11)からなる電界放出マトリックス電極構造をメッキ槽(34)内に配置する工程と、カーボンナノチューブ4の成長の核となる触媒微結晶核29を電着させる際、ホール(11)内への触媒電着は、ホール底のカソード電極10を陰極、ゲート電極14を陽極として電着させる工程とを有するカーボンファイバー製造法、カーボンファイバー電子源、およびFED装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界放出マトリックス電極を利用した選択的超音波触媒メッキ法を用いるカーボンファイバー製造法に関し、さらに当該カーボンファイバー製造法により製造されたカーボンファイバーを適用するカーボンファイバー電子源およびフィールドエミッションディスプレイ(FED:Field Emission Display)装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のカーボンナノチューブの製造方法においては、レジストをマスクにしてホール内にスパッタリングによって、触媒が形成されている(例えば、特許文献1参照。)。さらに、触媒スパッタ後レジストをリフトオフする必要がある(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
しかし、ホール径の微細化に伴うドライホール形成プロセスにおいてレジストが変性し、触媒スパッタ後レジストがリフトオフ出来ないという問題点がある。
【0004】
ウェットホール形成ではレジストの変性は無いが、等方的にホールエッチングされ、1ドット内への詰め込みに限界がある。
【0005】
又、微細な垂直ホールが形成されても、ホールのアスペクト比が大きくなり、触媒スパッタ時、ホール内壁への触媒付着がなされ、成長プロセスにて壁面からのカーボンファイバーの異常成長が生じるという問題点がある。
【0006】
図22は、従来例として、ウェットホール形成によるカーボンファイバー製造法の一工程を示す模式的断面構造図であって、図22(a)は、レジストパターニング工程図、図22(b)は、ウェットエッチングによるホール形成工程図、図22(c)は、触媒スパッタリング工程図、図22(d)は、リフトオフ工程図、図22(e)は、図22(d)の拡大図において、CNF成長工程図をそれぞれ示す。
【0007】
(a)まず、図22(a)に示すように、基板(図示省略)上に配置されたカソード電極10上に絶縁膜12を形成し、さらにゲート電極14およびレジスト16を形成後、パターニングによって、ゲート電極14をストライプ状に加工する。カソード電極10およびゲート電極14の電極材料としては、例えばCrなどを用いることができる。
【0008】
(b)次に、図22(b)に示すように、ウェットエッチングによって、絶縁膜12をエッチングして、複数のホール11を形成し、カソード電極10の表面を露出する。
【0009】
(c)次に、図22(c)に示すように、スパッタリング技術によって、カソード電極10の表面およびレジスト16の表面上に触媒金属層28を形成する。触媒金属層28の材料としては、例えばFeなどを用いる。
【0010】
(d)次に、図22(d)に示すように、リフトオフ工程によって、レジスト16の表面上の触媒金属層28をレジスト16と共に除去する。
【0011】
(e)次に、図22(e)に示すように、触媒金属層28からCNF成長工程によって、触媒金属層28からカーボンナノチューブ4を成長させる。
【0012】
ウェットホール形成によるカーボンファイバー製造法の場合、ウェットエッチングによって、ホール11が図22(b)に示すように、横方向に広がるため、電界放出マトリックス電極を構成するカソード電極10とゲート電極14の交差部(1ドット)において、ウェットエッチングによる横方向に広がりによって、ホール11の配置密度が制限されている。
【0013】
図23は、従来例として、ドライホール形成によるカーボンファイバー製造法の一工程を示す模式的断面構造図であって、図23(a)は、レジストパターニング工程図、図23(b)は、ドライエッチングによるホール形成工程図、図23(c)は、触媒スパッタリング工程図、図23(d)は、リフトオフ工程図をそれぞれ示す。
【0014】
(a)まず、図23(a)に示すように、基板(図示省略)上に配置されたカソード電極10上に絶縁膜12を形成し、さらにゲート電極14およびレジスト16を形成後、パターニングによって、ゲート電極14をストライプ状に加工する。カソード電極10およびゲート電極14の電極材料としては、例えばCrなどを用いることができる。
【0015】
(b)次に、図23(b)に示すように、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)などのドライエッチングによって、絶縁膜12をエッチングして、複数のホール11を形成し、カソード電極10の表面を露出する。
【0016】
(c)次に、図23(c)に示すように、スパッタリング技術によって、カソード電極10の表面およびレジスト16の表面上に触媒金属層28を形成する。触媒金属層28の材料としては、例えばFeなどを用いる。このとき、触媒金属層28は、ドライエッチングされた絶縁膜12の側壁部の付着する可能性がある。
【0017】
(d)次に、図23(d)に示すように、リフトオフ工程によって、レジスト16の表面上の触媒金属層28をレジスト16と共に除去する場合、レジスト16が変性して、リフトオフが困難となることがある。これは、O2プラズマによりアッシングする際に、触媒金属層28のFe成分と反応してFeO2が形成され、レジスト16が硬化するためである。
【0018】
一方、触媒スパッタリング法以外にも、触媒メッキという手段は以前から存在する。図24は、従来例に係る電界放出マトリックス電極を利用したメッキ法の説明図を示す。
【0019】
しかしながら、対向電極31とカソード電極10間に単に電圧を印加しただけでは均一な触媒電着は困難である。例えば、普通にメッキしただけでは異常結晶核成長が起こる。また、ゲート電極14もゲート電位を固定しなければ、ゲート電極14にもメッキされる恐れがある。さらに、微細ホールであるため、ホール内にメッキ液が入りにくいという問題点もある。
【特許文献1】特開2005−72171号公報
【特許文献5】特開2006−40723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、電界放出マトリックス電極を利用した選択的超音波触媒メッキ法を用いて、簡易かつ安価な方法で、異常触媒核成長を防止し、触媒微結晶核に基づくカーボンナノチューブを高密度かつ均一に形成可能なカーボンファイバー製造法を提供することにある。
【0021】
さらに本発明の目的は、カーボンファイバー製造法により製造されたカーボンファイバーを適用し、高出力電流密度のカーボンファイバー電子源を提供することにある。
【0022】
さらに本発明の目的は、カーボンファイバー製造法により製造されたカーボンファイバーを適用し、高電流密度で高輝度、大容量かつ大画面を有するFED装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を達成するための本発明の一態様によれば、カーボンファイバー成長の核となる触媒を電着させる際、ファイバーを成長させたい金属や半導体基板をメッキ槽内にて陰極として電着させる工程と、超音波を印加する工程と、前記金属や前記半導体基板面にナノオーダの触媒微結晶を付着させる工程と、当該ナノオーダ触媒微結晶を核にカーボンファイバーを成長する工程とを有するカーボンファイバー製造法が提供される。
【0024】
本発明の他の態様によれば、基板上に配置されたカソード電極と、前記カソード電極上に配置された絶縁膜と、前記絶縁膜上に配置され,前記カソード電極と直交するゲート電極と、前記絶縁膜中に前記カソード電極表面まで形成されたホールからなる電界放出マトリックス電極構造をメッキ槽内に配置する工程と、カーボンファイバー成長の核となる触媒を電着させる際、前記ホール内への触媒電着は、前記ホール底の前記カソード電極を陰極、前記ゲート電極を陽極として電着させる工程とを有するカーボンファイバー製造法が提供される。
【0025】
本発明の他の態様によれば、基板上に配置されたカソード電極と、前記カソード電極上に配置された絶縁膜と、前記絶縁膜上に配置され,前記カソード電極と直交するゲート電極と、前記絶縁膜中に前記カソード電極表面まで形成されたホールからなる電界放出マトリックス電極構造をメッキ槽内に配置する工程と、前記ゲート電極を中心に、前記カソード電極に対向させて、前記メッキ槽内に対向陰極を配置し、かつ前記対向陰極の電位を前記ゲート電極よりも低電位にする工程と、カーボンファイバー成長の核となる触媒を電着させる際、前記ホール内への触媒電着は、前記ホール底の前記カソード電極を陰極、前記ゲート電極を陽極として電着させる工程とを有するカーボンファイバー製造法が提供される。
【0026】
本発明の他の態様によれば、基板上に配置されたカソード電極と、前記カソード電極上に配置された絶縁膜と、前記絶縁膜上に配置されたゲート電極と、前記絶縁膜中に前記カソード電極表面まで形成されたホールの底面に形成された触媒微結晶核と、前記触媒微結晶核上に形成されたカーボンナノチューブとを備えるカーボンファイバー電子源が提供される。
【0027】
本発明の他の態様によれば、基板上に配置されたカソード電極と、前記カソード電極上に配置された絶縁膜と、前記絶縁膜上に配置されたゲート電極と、前記ゲート電極を中間にして前記カソード電極と反対側の前記ゲート電極の上方に配置されたアノード電極と、前記絶縁膜中に前記カソード電極表面まで形成されたホールの底面に形成された触媒微結晶核と、前記触媒微結晶核上に形成されたカーボンナノチューブと、前記アノード電極の前記カソード電極に対向する裏面上に配置された蛍光体とを備えるフィールドエミッションディスプレイ装置が提供される。
【発明の効果】
【0028】
本発明のカーボンファイバー製造法によれば、電界放出マトリックス電極を利用した選択的超音波触媒メッキ法を用いて、簡易かつ安価な方法で、異常触媒核成長を防止し、ナノオーダの触媒微結晶核に基づくナノオーダのカーボンナノチューブを高密度かつ均一に形成することができる。
【0029】
さらに本発明のカーボンファイバー電子源によれば、上記カーボンファイバー製造法により製造されたカーボンファイバーを適用し、高出力電流密度を実現することができる。
【0030】
さらに本発明のFED装置によれば、上記カーボンファイバー製造法により製造されたカーボンファイバーを適用し、高電流密度で高輝度、大容量かつ大画面を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0032】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置などを下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0033】
なお、以下の説明において、カーボンナノチューブ(CNT:Carbon Nano-Tube)は、カーボンナノファイバー(CNF:Carbon Nano-Fiber)と同義のものであるとして用いている。微細構造上は、カーボンナノチューブ(CNT)であっても、巨視的にはカーボンナノファイバー(CNF)形状を有するからである。
【0034】
また、以下の説明において、カーボンナノチューブ(CNT)は、グラファイトナノチューブ(GNT:Graphite Nano-Tube)で置換されていても良い。すなわち、カーボンナノチューブ(CNT)の代わりに、グラファイトナノシートの形状を備えていても良い。
【0035】
また、同様に、以下の説明において、グラファイトナノチューブ(GNT:Graphite Nano-Tube)は、グラファイトナノファイバー(GNF:Graphite Nano-Fiber)と同義のものであるとして用いている。微細構造上は、グラファイトナノチューブ(GNT)であっても、巨視的にはグラファイトナノファイバー(GNF)形状を有するからである。
【0036】
[第1の実施の形態]
(カーボンファイバー製造法)
本発明の第1の実施の形態に係るカーボンファイバー製造法は、ドライエッチングによる微細ホールの形成工程と、超音波触媒メッキ工程と、カーボンナノチューブの成長工程とを有する。ドライエッチングによる微細ホールの形成工程は、図2乃至図4に示され、超音波触媒メッキ工程は、図5乃至図9に示され、カーボンファイバー成長工程は、図9乃至図10に示される通りである。
【0037】
本発明の第1の実施の形態に係るカーボンファイバー製造法による実験結果は、図11乃至図21に示す通りである。
【0038】
本発明の第1の実施の形態に係るカーボンファイバー製造法は、CNT,GNFなどのカーボンファイバー成長の核となる触媒微結晶核29を電着させる際、カーボンナノチューブ4を成長させたい金属や半導体基板をメッキ槽34内にて陰極として電着させる工程を有することを特徴とする。
【0039】
また、電着させる工程において、超音波を印加する工程と、金属や前記半導体基板面にナノオーダの触媒微結晶核29を付着させる工程と、当該ナノオーダ触媒微結晶核29を核にカーボンナノチューブ4を成長する工程とを有する。すなわち、電着時、超音波を印加しながら行うことで、電着基板面への異常触媒核成長を防ぎ、ナノオーダ微結晶のみを付着させ、それを核に径の細いカーボンナノチューブ4の成長が可能となる。例えば、1×1011cm-2の密度で約10nmφのカーボンナノチューブ4の成長が可能となる。
【0040】
本発明の第1の実施の形態に係るカーボンファイバー製造法に適用する触媒メッキ法は、基板18上に均一な膜ではなく、触媒微結晶核29が付着する形態を取る。したがって、カーボンナノチューブ4の成長時、点としての触媒微結晶核29のみからのカーボンナノチューブ4の成長が可能となり、スパッタ膜で見られる面としてのアモルファスカーボン析出をも防止することができる。
【0041】
また、電着させる工程において、超音波の印加後にメッキ通電を開始する工程と、メッキ通電の終了後に超音波の印加を終了させる工程とを有する。
【0042】
また、メッキ槽34内に溶かし込む触媒金属塩のイオンは、例えば、Feイオン、Coイオン、若しくはNiイオンのいずれかであっても良い。すなわち、メッキ槽34に溶かし込むイオンは安価な触媒を含む塩を溶媒に溶かして得ることができる。
【0043】
また、陰極のメッキ電流密度を一定にするために、陰極に定電流機能を設定してもよい。すなわち、メッキ電流の導入法として一定の電流密度を得るために、電圧印加装置において、CC(コンスタントカレント)機能を設定することができる。
【0044】
本発明の第1の実施の形態に係るカーボンファイバー製造法は、図2乃至図9に示すように、基板18上に配置されたカソード電極10と、カソード電極10上に配置された絶縁膜12と、絶縁膜12上に配置され,カソード電極10と直交するゲート電極14と、絶縁膜12中にカソード電極10表面まで形成されたホール11からなる電界放出マトリックス電極構造(図4および図6)をメッキ槽34内に配置する工程と、カーボンファイバー成長の核となる触媒微結晶核29を電着させる際、ホール11内への触媒電着は、ホール11底のカソード電極10を陰極、ゲート電極14を陽極として電着させる工程とを有することを特徴とする。
【0045】
また、図5に示すように、電着させる工程において、超音波を印加する工程と、ホール11底のカソード電極10上にナノオーダの触媒微結晶核29を付着させる工程と、ナノオーダ触媒微結晶核を核にカーボンナノチューブ4を成長する工程とを有する。超音波によりホール11内の気体を脱泡し、メッキの電解液33をホール11内へ行きわたらせる効果もある。
【0046】
また、ゲート電極14は、触媒イオンよりイオン化傾向の高い金属、又はカーボン、Pt,Au,Siなどの溶解しにくい物質からなる。陽極となる引き出し電極(ゲート電極14)はエッチングされ、イオン化される。よって、カソ―ド電極(陰極)10への再析出を防ぐため、触媒イオンよりイオン化傾向の高い金属、又はカーボン、Pt,Au,Si等の溶解しにくい物質をゲート電極(陽極)14として選択すると良いからである。
【0047】
また、本発明の第1の実施の形態に係るカーボンファイバー製造法は、図2乃至図9に示すように、基板18上に配置されたカソード電極10と、カソード電極10上に配置された絶縁膜12と、絶縁膜12上に配置され,カソード電極10と直交するゲート電極14と、絶縁膜12中にカソード電極10表面まで形成されたホール11からなる電界放出マトリックス電極構造(図4および図6)をメッキ槽34内に配置する工程と、ゲート電極14を中心に、カソード電極10に対向させて、メッキ槽34内に対向陰極30を配置し、かつ対向陰極30の電位をゲート電極14の電位よりも低電位にする工程と、カーボンナノチューブ4の成長の核となる触媒微結晶核29を電着させる際、ホール11内への触媒電着は、ホール11底のカソード電極10を陰極、ゲート電極14を陽極として電着させる工程とを有することを特徴とする。
【0048】
カソード電極(陰極)10、ゲート電極(陽極)14間は本来数μmと狭く、各々の電位分離が困難である。ゲート電極(陽極)14に異状触媒付着がなされる可能性があるので、対向陰極30をゲート電極14を中心に対向させ、対向陰極30にはゲート電極14よりも低電圧を印加する。この手法でゲート電極14に異常付着した触媒を溶かし、カーボンファイバーのゲート電極14面における異常成長を防ぐことが可能となる。
【0049】
本発明の第1の実施の形態に係るカーボンファイバー製造法は、触媒スパッタリング法よりも装置面で安価であり、煩雑な触媒リフトオフ工程が無くなる。又、エミッションマトリックスの大型化、ホールの微細化によるアスベスト比の増大により、スパッタリングではホール11に対して斜角が入るなど均一な触媒成形が不可能であるのに対して、触媒メッキ法では陽極、陰極間距離と電位が固定されるため、ホール11内への均一な触媒微結晶核29が形成できる。
【0050】
本発明の第1の実施の形態に係るカーボンファイバー製造法においては、ドライエッチングによる微細ホールを形成した後に、酸素アッシングによってレジスト26(図3(i))を取り去った基板のゲート電極14を陽極、カソード電極10を陰極にして、メッキ槽34中において、ホール11底に触媒を電着させる。メッキ時、異常触媒核成長の防止と、微細ホール内へメッキ用の電解液33を導入させるために、超音波を印加しながらメッキ電着を行う。これによって、泡がみを防ぐことができる。
【0051】
メッキ時、ゲート電極14およびカソード電極10の電位固定が不完全である場合、陽極であるゲート電極14に触媒が異常電着することがある。この場合には、もう1つ対向陰極30を設けることで、三極構造として、陽極をよりエッチングすることで、陽極への触媒電着を防ぐことができる。
【0052】
メッキ時、触媒イオンよりもイオン化傾向が大きい金属をゲート電極(陽極)14の電極材料として用いることによって、陽極電極が溶出しても陰極への再付着を抑制することができる。若しくは、溶出し無い導体をゲート電極(陽極)14として利用することもできる。
【0053】
本発明の第1の実施の形態に係るカーボンファイバー製造法においては、リフトオフが困難なドライエッチングホールであっても、容易にホール底へ触媒微結晶核29を形成することができる。特に、ホールのアスペクト比が高い場合にも容易にホール底へ触媒微結晶核29を形成することができる。
【0054】
本発明の第1の実施の形態に係るカーボンファイバー製造法においては、図4に示すように、電界放出マトリックス電極構造において、ゲート電極14とカソード電極10との交差部に形成される1ドット内のホール11の成形が複数個・高密度になされ、1ドットあたりの放出電流量が上昇する。1ドットあたりの放出電流量を上昇するためには、ドライエッチングによってホール11を形成する場合の方が、ウェットエッチングによってホールを形成する場合よりも、ホール11底へ触媒微結晶核29の形成密度を高くすることができるため有利である。
【0055】
本発明の第1の実施の形態に係るカーボンファイバー製造法のように、触媒メッキ技術に超音波技術を付加することによって、例えば、約10nmφ程度の細いカーボンナノチューブ4のみが成長し、副生成物であるアモルフォスカーボンの析出は見られなくなり、ファイバーの品質(純度)が向上する。また、触媒微結晶核29の析出がなされるカソード電極(陰極)10の他に、ゲート電極(陽極)14を積極的にエッチングするための対向陰極30を配置することで、カソード電極(陰極)10のみに触媒が電着される。
【0056】
本発明の第1の実施の形態に係るカーボンファイバー製造法においては、高価な触媒スパッタ装置を利用することなく、装置構成が簡易な超音波触媒メッキ法を用いることで安価に、均一化されかつ微細なCNFを形成することができる。
【0057】
本発明の第1の実施の形態に係るカーボンファイバー製造法においては、成長させたい導体基板上において、意図する場所のみに電流が流れるように、超音波触媒メッキを行うことによって、その部分全体に電着され、その部分のみにカーボンファイバーを成長することができる。
【0058】
また、本発明の第1の実施の形態に係るカーボンファイバー製造法においては、均一な太さ、長さで、高純度のカーボンファイバーの量産方法を提供することができる。
【0059】
(カーボンファイバー電子源およびFED装置)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電界放出マトリックス電極を利用した選択的超音波触媒メッキ法によるカーボンファイバー製造法を用いて形成したカーボンファイバー電子源およびCNT−FED装置の模式的断面構造図を示す。
【0060】
本発明の第1の実施の形態に係るカーボンファイバー製造法を用いて製造したカーボンファイバーを適用したカーボンファイバー電子源は、図1に示すように、基板18上に配置されたカソード電極10と、カソード電極10上に配置された絶縁膜12と、絶縁膜12上に配置されたゲート電極14と、絶縁膜12中にカソード電極10表面まで形成されたホール11の底面に形成された触媒微結晶核29と、触媒微結晶核29上に形成されたカーボンナノチューブ4とを備える。
【0061】
本発明の第1の実施の形態に係るカーボンファイバー製造法を用いて製造したカーボンファイバーを適用したCNT−FED装置は、図1に示すように、基板18上に配置されたカソード電極10と、カソード電極10上に配置された絶縁膜12と、絶縁膜12上に配置されたゲート電極14と、ゲート電極14を中間にしてカソード電極10と反対側のゲート電極14上方に配置されたアノード電極6と、絶縁膜12中にカソード電極10表面まで形成されたホールの底面(カソード電極10表面)に形成された触媒微結晶核29と、触媒微結晶核29上に形成されたカーボンナノチューブ4と、アノード電極6のカソード電極10に対向する裏面上に配置された蛍光体5と、蛍光体5と反対側のアノード電極6の表面上に配置されたガラス基板7とを備える。
【0062】
アノード電極6とカソード電極10間には、アノード電極6を正電位、カソード電極10を負電位とするアノード電源Vaが印加され、アノード電極6とカソード電極10間には電子の加速電圧が与えられている。また、ゲート電極14とカソード電極10間には、ゲート電極14を正電位、カソード電極10を負電位とするゲート電源Vgが印加され、ゲート電極14とカソード電極10間には、カーボンナノチューブ4からの電子の引出し電圧が与えられている。ゲート電極14とカソード電極10間に印加されたゲート電源Vgによってカーボンナノチューブ4から引き出された(出射された)電子は、アノード電極6とカソード電極10間の加速電圧によって、アノード電極6に到達し、アノード電極6の裏面上の蛍光体5に入射して、所望の蛍光発光を放出する。アノード電極6とカソード電極10間は、例えば約数μm以下であり、しかも真空に保たれている。
【0063】
(ドライエッチングによる微細ホールの形成工程)
図2は、本発明の第1の実施の形態として、ドライエッチングによる微細ホール形成によるカーボンファイバー製造法の一工程を示す模式的断面構造図であって、図2(a)は、基板を準備する工程図、図2(b)は、スパッタリングによるカソード電極形成工程図、図2(c)は、レジスト塗布後、カソードラインフォトリソグラフィー工程図、図2(d)は、カソード電極形成後、リフトオフ工程図、図2(e)は、絶縁膜堆積工程図、図2(f)は、スパッタリングによるゲート電極形成工程図をそれぞれ示す。
【0064】
さらに、図3は、図2(f)に引続き、カーボンファイバー製造法の一工程を示す模式的断面構造図であって、、図3(g)は、レジスト塗布後、ゲートラインフォトリソグラフィー工程図、図3(h)は、ゲート電極ラインエッチング後、リフトオフ工程図、図3(i)は、レジスト塗布後、微細ホールパターン形成工程図、図3(j)は、ホールドライエッチング後、レジストアッシング工程図をそれぞれ示す。
【0065】
以下に製造方法を説明する。
【0066】
(a)まず、図2(a)に示すように、ガラス基板、SiO2基板、シリコン基板などからなる基板18を準備する。
【0067】
(b)次に、図2(b)に示すように、カソード電極10をスパッタリング技術などを用いて形成する。カソード電極10の材料としては、例えば、Crなどを用いることができる。
【0068】
(c)次に、図2(c)に示すように、レジスト16を塗布後、カソード電極10のストライプ形状を形成するために、フォトリソグラフィー工程によって、レジスト16を、パターニングする。
【0069】
(d)次に、図2(d)に示すように、リフトオフ工程によって、カソード電極10のストライプ形状をエッチングにより形成する。
【0070】
(e)次に、図2(e)に示すように、絶縁膜12をカソード電極10のストライプパターン上および露出した基板18上に堆積する。絶縁膜12の材料としては、例えば、化学的気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法によって形成したCVDSiO2膜などを用いることができる。
【0071】
(f)次に、図2(f)に示すように、ゲート電極14を、スパッタリング技術若しくは蒸着技術などを用いて形成する。ゲート電極14の材料としては、例えばCrなどを用いることができる。
【0072】
(g)次に、図3(g)に示すように、レジスト24を塗布後、ゲート電極14のストライプ形状を形成するために、フォトリソグラフィー工程によって、レジスト24を、パターニングする。
【0073】
(h)次に、図3(h)に示すように、リフトオフ工程によって、ゲート電極14のストライプ形状をエッチングにより形成する。図3(h)中の互いに直交するXY方向は、後述する図4のXY方向に対応しており、X方向はカソード電極10が延伸する方向、Y方向はゲート電極14が延伸する方向である。
【0074】
(i)次に、図3(i)に示すように、レジスト26を塗布後、フォトリソグラフィー工程によって、レジスト26をパターニングして、ホール11を形成するためのドライエッチングパターンを形成する。
【0075】
(j)次に、図3(j)に示すように、ホール11を形成するためのドライエッチングによって、Crからなるゲート電極14およびSiO2膜からなる絶縁膜12を除去後、アッシングによって、レジスト26を除去する。図3(i)および図3(j)は、後述する図4において、I−I線に沿って切った断面構造に模式的に対応する。
【0076】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係るカーボンファイバー製造法を用いて形成したCNT−FEDの電界放出マトリックス電極であって、1ドットにホール11を多数詰め込んだ2×2マトリックスの模式的斜視図を示す。なお、図4において、絶縁膜12は図示を省略している。
【0077】
ドライエッチングによる微細ホール形成工程によるカーボンファイバー製造法の場合、ドライエッチングによって、ホール11が図3(j)に示すように、垂直方向に高アスペクト比で形成されるため、電界放出マトリックス電極を構成するカソード電極10とゲート電極14の交差部(1ドット)において、ホール11の配置密度を高密度化することができる。
【0078】
電界放出マトリックス電極構造において、ゲート電極14とカソード電極10との交差部に形成される1ドット内のホール成形が複数個・高密度になされ、1ドットあたりの放出電流量が上昇する。
【0079】
後述するように、ドライエッチングによってホールを形成する場合の方が、ウェットエッチングによってホールを形成する場合よりも、ホール底へ触媒微結晶核の形成密度を高くすることができるため、1ドットあたりの放出電流量を上昇するためには有利である。
【0080】
(超音波触媒メッキ工程)
図5は、本発明の第1の実施の形態に係るカーボンファイバー製造法に用いる超音波触媒メッキ装置の模式的構成図を示す。
【0081】
図6は、超音波触媒メッキ装置に適用するカソード電極10とゲート電極14のマトリックス構成の模式図を示す。
【0082】
本発明の第1の実施の形態に係るカーボンファイバー製造法に用いる超音波触媒メッキ装置は、図5に示すように、水を収納した超音波槽36と、超音波槽36内に収容され,電解液33を収納したメッキ槽34と、超音波槽36の内壁とメッキ槽の外壁間を接続し,超音波槽36内においてメッキ槽34を保持する保持台38と、メッキ槽34内の電解液33に浸漬され,互いに交差する複数のゲート電極14と複数のカソード電極10からなる電界放出マトリックス電極構造および対向陰極30と、複数のゲート電極14を接続するゲート電極用のクリップ40と、複数のカソード電極10を接続するカソード電極用のクリップ32とを備える。
【0083】
図7は、本発明の第1の実施の形態に係るカーボンファイバー製造法に用いる超音波触媒メッキ法の動作原理を説明する模式的回路構成図を示す。また、図8は、図9の等価回路図を示す。
【0084】
本発明の第1の実施の形態に係るカーボンファイバー製造法に用いる超音波触媒メッキ法においては、ゲート電極(陽極)14の溶解を抑えるために、対向陰極30を備え、対向陰極30とゲート電極14間には、ゲート電極14を正の電位、対向陰極30を負の電位とする電圧が印加されている。また、カソード電極(陰極)10とゲート電極14間には、ゲート電極14を正の電位、カソード電極(陰極)10を負の電位とする電圧が印加されている。
【0085】
本発明の第1の実施の形態に係るカーボンファイバー製造法に用いる超音波触媒メッキ法においては、ゲート電極(陽極)14は溶ける恐れがあるため、クリップ40は触媒金属と同金属を用いることが望ましい。若しくは、溶けない導体からなるクリップ40などで複数のゲート電極(陽極)14の導通をとることが望ましい。ホール11以外のカソード電極10の部分は絶縁膜12で覆われているためメッキされることはない。ホール11内のカソード電極10のみが、メッキされる。
【0086】
―メッキの原理―
対向陰極30には触媒金属が析出され、ゲート電極14は、エッチングにより溶解されやすく、カソード電極10には、触媒金属が析出される。
【0087】
カソード電極10には電子eが供給され、触媒金属の析出が生じる。ゲート電極14は溶解する。ゲート電極14においては、酸素の放出が電子が奪われるために起こる。しかし、カソード電極10とゲート電極14との間が近いため、ゲート電極14の電位の固定ができず、ゲート電極14にも析出する恐れがある。
【0088】
したがって、対向陰極30を設けることで、ゲート電極14を流れる電流をI3、対向陰極30を流れる電流をI2、カソード電極10を流れる電流をI1とすると、ゲート電極14には、I3=(I1+I2)の電流が流れ、ゲート電極14のエッチングが促進される。よってホール11の底面(カソード電極10の表面)のみに触媒金属が電着される。図8の等価回路上、R1>R2若しくはR1R2であることから、I1>I2若しくはI1≫I2が成立し、対向陰極30よりもむしろ、カソード電極10のみに触媒金属が電着される。
【0089】
―電流密度(メッキ時)―
電流密度(メッキ時)の値として、メッキしたいカソード電極10の表面に、例えば、約10-6〜10-3A/cm2程度の電流密度(メッキ時)が供給されるのであれば、緻密な触媒微結晶核29が形成できる。触媒微結晶核29は、例えば、約10nmオーダー程度である。
【0090】
又、カソード電極10に供給される電流I1を一定値に固定するために、外部回路として、定電流(CC:Constant Current)回路などを用いることができる。このような定電流回路の例としては、バイポーラトランジスタ、接合型電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)、若しくはMOSFETなどを用いたエミッタホロワなどを適用することができる。
【0091】
電圧を印加する手順としては、以下の手順に留意する必要がある。
【0092】
超音波電圧を印加してから、メッキ通電を開始し、メッキ通電が終了してから、超音波電圧の印加を終了させる。メッキ通電後、超音波電圧を印加すると、異常触媒核成長が生じるからである。また、超音波電圧の印加を終了させてから、メッキ通電を終了させても、異常触媒核成長が生じるからである。
【0093】
触媒微結晶核の析出量、若しくは析出される触媒金属の膜厚tを計算する。
【0094】
必要電荷量Q(C)を求める。
【0095】
触媒密度をd(g/cm3)、メッキ面積をS(cm2)、膜厚をT(cm)、触媒イオンの価数をN、触媒金属の原子量をW(g/mol)とすると、必要電荷量Q(C)は、
Q(C)=96500(C/mol)×[d(g/cm3)・S(cm2)・T(cm)・N]/W(g/mol)=96500d・S・T・N/W(C) …(1)
で表される。
【0096】
Q(C)=I(A)×t(sec) …(2)
の関係から電流I(A)とメッキ時間t(sec)を決めることができる。
【0097】
ここで、緻密な触媒微結晶核29若しくは触媒金属の膜を得るために、前述の如く、電流密度の値としては、例えば、約10-6〜10-3A/cm2程度の範囲内に収まるようにする必要がある。
【0098】
―イオン化傾向―
ここで、ゲート電極(陽極)14に使用する電極材料としては、もしも、触媒金属として、Feを利用するならば、Feよりもイオン化傾向の大きいCrなどの金属を使用する。電解液33中に溶けた金属イオンが、カソード電極(陰極)10に優先的に析出されないようにするためである。
【0099】
イオン化傾向は、K>Na>Sr>Ca>Mg>Al>Ce>Cr>Mn>Zn>Cd>Fe>Co>Ni>Sn>Pb>(H)>Ge>In>Sb>Bi>Cu>Hg>Ag>Pt>Au>Si>Ti>C>W>Mo>Seで表される。
【0100】
したがって、ゲート電極(陽極)14に使用する電極材料としては、もしも、触媒金属として、Feを利用するならば、Feよりもイオン化傾向の大きい、例えば、Mg、Al、Ce、Cr、Mn、Zn、Cdなどの金属材料を適用する。
【0101】
電解液33に溶かし込む触媒金属塩としては、例えば、Feイオンであるならば、FeCl2・4H2O,FeCl3・6H2O,Fe(SO4)・7H2O,Fe(NH4)2(SO4)・6H2Oなどを用いることができる。
【0102】
Coイオンであるならば、CoSO4・7H2O,CuSO4(NH)2 ・6H2O,CoCl2 ・6H2Oなどを用いることができる。
【0103】
Niイオンあるならば、NiO,NiSO4・7H2O,NiCl2・6H2O,NiSO4(NH4) SO4・6H2Oなどを用いることができる。
【0104】
なお、塩化物を含むものはゲート電極(陽極)14において塩素ガスを放出する点に留意する必要がある。
【0105】
(カーボンナノチューブの成長工程)
メッキ後の基板18に対してはアセトン、アルコール洗浄を行い、残留メッキイオン成分を取り除く。カーボンファイバーの成長装置としては、例えば、熱CVD装置、プラズマCVD装置を使用することができる。成長ガスとしては、例えば、CH4,C22,CO,メタノール,エタノールなどを適用することができる。担持ガスとしては、例えば、Ar, H2,Heなどを適用することができる。成長温度は、例えば、約450℃〜800℃程度の広い範囲を用いることができる。基板18として、ガラス基板を使用する場合には、成長温度は、例えば、約650℃程度以下とする。成長時間は、例えば、約5分〜120分程度である。成長時間は、成長温度、ガス種、触媒によって多種多様である。
【0106】
図9は、本発明の第1の実施の形態に係るカーボンファイバー製造法に用いる超音波触媒メッキ法において、メッキによって被膜された触媒微結晶核29の様子の模式的説明図を示す。メッキによって被膜された触媒微結晶核29が、カソード電極10上に成長している。
【0107】
図10は、本発明の第1の実施の形態に係るカーボンファイバー製造法において、カーボンナノチューブ4の成長後、ゲート電源Vgにより、ゲート・カソード間に電圧を印加することでカーボンナノチューブ4の先端から電子放出がなされる様子の模式的説明図を示す。カーボンナノチューブ4の成長後、ゲート・カソード間およびアノード・カソード間に電圧を印加することで電子放出がなされる。
【0108】
(実験結果)
図11は、本発明の第1の実施の形態に係るカーボンファイバー製造法において、超音波印加無しでのメッキ触媒とファイバー成長の説明図であって、図11(a)は、超音波を印加しない場合のメッキ触媒核の状態を表す表面写真、図11(b)は、図11(a)のSEM写真、図11(c)は、図11(b)の突起部近傍の拡大されたSEM写真を示す。図11において、メッキ条件は、以下の通りである。すなわち、電解液として、2価のFeイオンのモール塩(Fe(SO4)2(NH4)2) を1g/水100mlの濃度で作成し、析出面はCr電極であり、面積は約0.5×0.5cm2 である。メッキ通電条件は、約1mAで約1secであり、触媒微結晶核29のサイズは例えば、約5nm程度を目標としている。図11(c)において、AはFeの触媒微結晶核29であり、Bは、Cr表面を示している。
【0109】
図12は、本発明の第1の実施の形態に係るカーボンファイバー製造法において、超音波を印加しない場合のメッキ触媒核の状態を表す表面SEM写真であって、図12(a)は、非メッキ部(Cr表面)の状態、図12(b)は、メッキ部(Cr表面)の状態をそれぞれ示す。図12(b)より、全体的に約10nm程度の触媒微結晶核29が析出していることが観察されている。
【0110】
図13は、本発明の第1の実施の形態に係るカーボンファイバー製造法において、超音波を印加しない場合のメッキ触媒核の成長状態を表す表面SEM写真であって、図13(a)は、超音波を印加しない場合のメッキ触媒核からのGNF成長の様子を示すSEM写真、図13(b)は、カソード電極(Cr)10上の拡大写真、図13(c)は、直径約14nmのGNFのSEM写真を示す。図13から明らかなように、細いGNFが得られたが、太いGNFも同時に成長していることが観測されている。
【0111】
図14は、本発明の第1の実施の形態の比較例として、ガラス基板18上のカソード電極(Cr)10上に触媒金属をスパッタ膜として形成後、GNF成長した場合のGNFの様子を示すSEM写真を示す。GNFファイバーではないアモルファスカーボンも同時に析出し、ファイバーの本数も少ないことが観測されている。GNFファイバーの本数が少ないことから、電子源として適用しても、電子の放出確率が低く、放出電流密度も低い。
【0112】
図15は、本発明の第1の実施の形態に係るカーボンファイバー製造法において、カーボンファイバーの成長条件を、成長温度約580℃、成長時間を約30分とし、成長ガス/担持ガス=CO/H2を適用し、CO/H2=20/20sccmの流量でカーボンファイバーの成長した結果を示し、図15(a)は、メッキ時電流密度2.20×10-4A/cm2の場合のGNF成長の全体像、図15(b)は、図15(a)の根元の状態の拡大写真、図15(c)は、メッキ時電流密度4.05×10-4A/cm2の場合のGNF成長の全体像、図15(d)は、図15(c)の根元の状態の拡大写真、図15(e)は、メッキ時電流密度1.04×10-3A/cm2の場合のGNF成長の全体像、図15(f)は、図15(e)の根元の状態の拡大写真をそれぞれ示している。
【0113】
図15(a)および図15(b)より、アモルファスカーボン層がスパッタ膜での成長に比べ、ほぼ無くなっていることが観測されている。また、図15(c)および図17(d)より、図15(a)および図15(b)のほぼ倍のFe析出量が得られており、触媒微結晶核29の量が増えたため、GNFの本数も増えていることが観測されている。
【0114】
また、図15(e)および図15(f)より、径の太いGNF(Φ60nm以上)も成長し始めていることが観測されている。触媒微結晶核29のサイズが大きくなったためである。
【0115】
図16は、本発明の第1の実施の形態に係るカーボンファイバー製造法において、メッキ時電流密度を変化させた場合のGNF成長の変化を示しており、図16(a)は、メッキ時電流密度2.20×10-4A/cm2の場合のGNF成長の拡大写真、図16(b)は、図16(a)の斜めからの像、図16(c)は、メッキ時電流密度4.05×10-4A/cm2の場合のGNF成長の拡大写真、図16(d)は、図16(c)の斜めからの像、図16(e)は、メッキ時電流密度1.04×10-3A/cm2の場合のGNF成長の拡大写真、図16(f)は、図16(e)の斜めからの像をそれぞれ示す。図16(a)においては、直径約15nm程度のGNF、図16(b)においては、直径約9nm程度のGNF、図16(c)においては、直径約10nm程度のGNFがそれぞれ観測されている。
【0116】
―メッキ電流密度依存性―
カーボンファイバーの成長条件を、成長温度約580℃、成長時間を約30分とし、成長ガス/担持ガス=CO/H2を適用し、CO/H2=50/50sccmの流量でカーボンファイバーの成長した。また、メッキ時電流密度を10-2 A/cm2 から10-3 A/cm2 に下げた。その結果、メッキ触媒核からの成長は確認されたが、約300nm程度に異常成長したFe触媒核からの成長も確認されている。そこで、モール塩溶液を超音波分散させることで、微結晶析出と均一性を狙った。結果、異常な成長を抑え、GNF成長も一様になった。
【0117】
図17は、本発明の第1の実施の形態に係るカーボンファイバー製造法において、超音波印加でのメッキ触媒とファイバー成長との関係が示されており、図17(a)には、メッキ時電流密度2.20×10-4A/cm2の場合のカソード電極(Cr)10上の触媒微結晶核29の様子を示すSEM写真、図17(b)には、メッキ時電流密度4.05×10-4A/cm2の場合のカソード電極(Cr)10上の触媒微結晶核29の様子を示すSEM写真、図17(c)には、メッキ時電流密度1.04×10-3A/cm2の場合のカソード電極(Cr)10上の触媒微結晶核29の様子を示すSEM写真がそれぞれ示されている。
【0118】
図17(a)より、メッキ時電流密度2.20×10-4A/cm2の場合、約10nm程度の触媒微結晶核29が存在していることが観測され、図17(b)より、メッキ時電流密度4.05×10-4 A/cm2の場合、約20nm程度の触媒微結晶核29が存在していることが観測され、図17(a)に比べて触媒微結晶核が大きく析出していることが観測された。一方、図17(c)より、メッキ時電流密度1.04×10-3 A/cm2 の場合には、粒子が確認できない。
【0119】
図18は、メッキ時電流密度4.05×10-4A/cm2の場合の超音波印加時のGNF成長の時間依存性の様子を示すSEM写真であって、GNFの成長条件を、図17(b)のメッキ条件と同じ条件で成長した。すなわち、超音波印加において、メッキ時電流密度を4.0×10-4 A/cm2 とした。成長温度約580℃、成長時間を約30分とし、成長ガス/担持ガス=CO/H2を適用し、CO/H2=20/20sccmの流量でGNFを成長した。
【0120】
図18(a)は、5分間で約0.5μm成長した場合の全体像の様子を示すSEM写真、図18(b)は、図18(a)の根元の成長状態のSEM写真、図18(c)は、10分間で約1.8μm成長した場合の全体像の様子を示すSEM写真、図18(d)は、図18(c)の根元の成長状態のSEM写真、図18(e)は、20分間で約3.6μm成長した場合の全体像の様子を示すSEM写真、図18(f)は、図18(e)の根元の成長状態のSEM写真、図18(g)は、30分間で約3.5μm成長した場合の全体像の様子を示すSEM写真、図18(h)は、図18(g)の根元の成長状態のSEM写真をそれぞれ示す。
【0121】
さらに、図19は、メッキ触媒によるGNF成長の時間依存性の様子を示すSEM拡大写真であって、図19(a)は、図18(a)に対応する5分間成長時のSEM拡大写真、図19(b)は、図18(b)に対応する10分間成長時のSEM拡大写真、図19(c)は、図18(c)に対応する20分間成長時のSEM拡大写真をそれぞれ示している。
【0122】
図17乃至図19から明らかなように、GNF成長が均一化されていることが観測された。これは、モール塩溶液を超音波分散させることで、超音波により、カソード電極(Cr)10表面上の研磨効果があることから、触媒微結晶核29が均一化され、かつGNF成長も一様になったものである。
【0123】
―ホール内メッキ―
図5に示した超音波槽36内のメッキ槽34において、以下の条件でメッキを行なう。カソード電極10に、例えば、約100μA程度に設定した定電流にて通電した。また、超音波を印加しながら通電を実行した。ゲート電極(陽極:Cr)14からのCrの溶出が若干あるが、イオン化傾向がCr3+:−0.67V,Cr2+:−0.79V>Fe2+:−0.44Vであるため、ゲート電極(陽極)14へのCrの析出は無い。ゲート電極14とカソード電極10間の距離が一定であるため、カソード電極10上には、比較的均一な電着が可能となる。
【0124】
ゲート電極14とカソード電極10間の距離は、絶縁膜の厚さに等しく、例えば、約3μm程度である。
【0125】
図20は、ホール11内におけるGNF成長の様子を示す写真であって、図20(a)は、GNF成長前の表面写真、図20(b)は、GNF成長後の表面写真をそれぞれ示す。
【0126】
GNF成長条件は、成長温度約580℃、成長時間を約20分とし、成長ガス/担持ガス=CO/H2を適用し、CO/H2=20/20sccmの流量でGNFを成長した。図20(a)と図20(b)では、ホール11の形成密度は異なるがホール11の径は同じものである。
【0127】
図20(b)から明らかなように、ゲート電極14上にも若干成長が見られるが、GNFは、ホール11内の全体に成長している。
【0128】
図21は、本発明の第1の実施の形態に係るカーボンファイバー製造法を用いて形成したCNT−FEDの電子放出の評価結果であって、電流密度(A/cm2)と電界強度(V/μm)の関係を示す。図21中には、比較例として、金属触媒をスパッタ膜で形成した場合も示されている。触媒金属の条件は、超音波触媒メッキによる触媒微結晶核29の大きさは約3nm程度であり、スパッタ膜で形成した金属触媒膜の厚さも約3nm程度である。
【0129】
図21から明らかなように、電界強度が約4(V/μm)程度以上になると、本発明の第1の実施の形態に係る超音波触媒メッキによるカーボンファイバー製造法を用いて形成したCNT−FEDの方が、比較例による金属触媒をスパッタ膜で形成したCNT−FEDよりも電流密度を高く設定することができる。
【0130】
本発明のカーボンファイバー製造法によれば、電界放出マトリックス電極を利用した選択的超音波触媒メッキ法を用いて、簡易かつ安価な方法で、異常触媒核成長を防止し、ナノオーダの触媒微結晶核に基づくナノオーダのカーボンナノチューブを高密度かつ均一に形成することができる。
【0131】
さらに本発明のカーボンファイバー電子源によれば、上記カーボンファイバー製造法により製造されたカーボンファイバーを適用し、高出力電流密度を実現することができる。
【0132】
さらに本発明のFED装置によれば、上記カーボンファイバー製造法により製造されたカーボンファイバーを適用し、高電流密度で高輝度、大容量かつ大画面を実現することができる。
【0133】
[その他の実施の形態]
上記のように、本発明は第1の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0134】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明の実施の形態に係る電界放出マトリックス電極を利用した選択的超音波触媒メッキ法および当該メッキ法を用いるカーボンファイバー製造法によれば、製造されたカーボンファイバーを適用する電子源、電子銃およびFED装置に適用することができ、さらに電気2重層キャパシターのカーボン電極部、燃料電池用カーボン電極部およびガスセンサの気体吸着用カーボンなど幅広い分野において適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電界放出マトリックス電極を利用した選択的超音波触媒メッキ法によるカーボンファイバー製造法を用いて形成したカーボンファイバー電子源およびCNT−FED装置の模式的断面構造図。
【図2】本発明の第1の実施の形態として、ドライエッチングによる微細ホール形成によるカーボンファイバー製造法の一工程を示す模式的断面構造図であって、(a)基板を準備する工程図、(b)スパッタリングによるカソード電極形成工程図、(c)レジスト塗布後、カソードラインフォトリソグラフィー工程図、(d)カソード電極形成後、リフトオフ工程図、(e)絶縁膜堆積工程図、(f)スパッタリングによるゲート電極形成工程図。
【図3】本発明の第1の実施の形態として、ドライエッチングによる微細ホール形成によるカーボンファイバー製造法の一工程を示す模式的断面構造図であって、(g)レジスト塗布後、ゲートラインフォトリソグラフィー工程図、(h)ゲート電極ラインエッチング後、リフトオフ工程図、(i)レジスト塗布後、微細ホールパターン形成工程図、(j)ホールドライエッチング後、レジストアッシング工程図。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るカーボンファイバー製造法を用いて形成したCNT−FEDの電界放出マトリックス電極であって、1ドットにホールを複数個詰め込んだ2×2マトリックスの模式的斜視図。
【図5】選択的超音波触媒メッキ法によるカーボンファイバー製造装置の模式的構成図。
【図6】選択的超音波触媒メッキ法によるカーボンファイバー製造装置に適用するカソード電極10とゲート電極14のマトリックス構成図。
【図7】選択的超音波触媒メッキ法によるカーボンファイバー製造法の動作原理を説明する模式的回路構成図。
【図8】図9の等価回路図。
【図9】選択的超音波触媒メッキ法によるカーボンファイバー製造法において、メッキによって被覆された触媒微結晶核の説明図。
【図10】選択的超音波触媒メッキ法によるカーボンファイバー製造法において、カーボンナノチューブの成長後、電圧を印加することでカーボンナノチューブの先端から電子放出がなされる様子を説明する構成図。
【図11】(a)超音波を印加しない場合のメッキ触媒核の状態を表す表面写真、(b)SEM写真、(c)拡大されたSEM写真。
【図12】超音波を印加しない場合のメッキ触媒核の状態を表す表面SEM写真であって、(a)非メッキ部(Cr表面)の状態、(b)メッキ部(Cr表面)の状態。
【図13】(a)超音波を印加しない場合のメッキ触媒からのGNF成長の様子を示すSEM写真、(b)拡大写真、(c)直径約14nmのGNFのSEM写真。
【図14】スパッタ膜でのGNF成長の様子を示すSEM写真。
【図15】(a)メッキ時電流密度2.20×10-4A/cm2の場合のGNF成長の全体像、(b)(a)の根元の状態の拡大写真、(c)メッキ時電流密度4.05×10-4A/cm2の場合のGNF成長の全体像、(d)(c)の根元の状態の拡大写真、(e)メッキ時電流密度1.04×10-3A/cm2の場合のGNF成長の全体像、(f)(e)の根元の状態の拡大写真。
【図16】(a)メッキ時電流密度2.20×10-4A/cm2の場合のGNF成長の拡大写真、(b)(a)の斜めからの像、(c)メッキ時電流密度4.05×10-4A/cm2の場合のGNF成長の拡大写真、(d)(c)の斜めからの像、(e)メッキ時電流密度1.04×10-3A/cm2の場合のGNF成長の拡大写真、(f)(e)の斜めからの像。
【図17】(a)メッキ時電流密度2.20×10-4A/cm2の場合のクロム(Cr)上触媒核の様子を示すSEM写真、(b)メッキ時電流密度4.05×10-4A/cm2の場合のクロム(Cr)上触媒核の様子を示すSEM写真、(c)メッキ時電流密度1.04×10-3A/cm2の場合のクロム(Cr)上触媒核の様子を示すSEM写真。
【図18】メッキ時電流密度4.05×10-4A/cm2の場合の超音波印加時のGNF成長の様子を示すSEM写真であって、(a)5分間で約0.5μm成長した場合の全体像の様子を示すSEM写真、(b)(a)の根元の成長状態のSEM写真、(c)10分間で約1.8μm成長した場合の全体像の様子を示すSEM写真、(d)(c)の根元の成長状態のSEM写真、(e)20分間で約3.6μm成長した場合の全体像の様子を示すSEM写真、(f)(e)の根元の成長状態のSEM写真、(g)30分間で約5.4μm成長した場合の全体像の様子を示すSEM写真、(h)(g)の根元の成長状態のSEM写真。
【図19】メッキ触媒によるGNF成長の時間依存性の様子を示すSEM写真であって、(a)5分間成長時のSEM写真、(b)10分間成長時のSEM写真、(c)20分間成長時のSEM写真。
【図20】ホール内GNF成長の様子を示す写真であって、(a)GNF成長前の写真、(b)GNF成長後の写真。
【図21】本発明の第1の実施の形態に係る電界放出マトリックス電極を利用した選択的超音波触媒メッキ法及びカーボンファイバー製造法を用いて形成したCNT−FEDの評価結果であって、電流密度(A/cm2)と電界強度(V/μm)の関係。
【図22】本発明の第1の実施の形態の比較例として、ウェットホール形成によるカーボンファイバー製造法の一工程を示す模式的断面構造図であって、(a)レジストパターニング工程図、(b)ウェットエッチングによるホール形成工程図、(c)触媒スパッタリング工程図、(d)リフトオフ工程図、(e)(d)の拡大図においてCNF成長工程図。
【図23】本発明の第1の実施の形態の比較例として、ドライホール形成によるカーボンファイバー製造法の一工程を示す模式的断面構造図であって、(a)レジストパターニング工程図、(b)ドライエッチングによるホール形成工程図、(c)触媒スパッタリング工程図、(d)リフトオフ工程図。
【図24】本発明の第1の実施の形態の比較例に係る電界放出マトリックス電極を利用したメッキ法の説明図。
【符号の説明】
【0137】
4…カーボンナノチューブ
5…蛍光体
6…アノード電極
7…ガラス基板
8…アノード電源(Va
9…ゲート電源(Vg
10…カソード電極
11…ホール
12…絶縁膜
14…ゲート電極(Cr層)
16、24、26…レジスト
18…基板
28…触媒金属層
29…触媒微結晶核
30…対向陰極
31…対向電極
32、40…クリップ
33…電解液
34…メッキ槽
36…超音波槽
38…保持台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンファイバー成長の核となる触媒を電着させる際、ファイバーを成長させたい金属や半導体基板をメッキ槽内にて陰極として電着させる工程と、
超音波を印加する工程と、
前記金属や前記半導体基板面にナノオーダの触媒微結晶を付着させる工程と、
当該ナノオーダ触媒微結晶を核にカーボンファイバーを成長する工程と
を有することを特徴とするカーボンファイバー製造法。
【請求項2】
基板上に配置されたカソード電極と、前記カソード電極上に配置された絶縁膜と、前記絶縁膜上に配置され,前記カソード電極と直交するゲート電極と、前記絶縁膜中に前記カソード電極表面まで形成されたホールからなる電界放出マトリックス電極構造をメッキ槽内に配置する工程と、
カーボンファイバー成長の核となる触媒を電着させる際、前記ホール内への触媒電着は、前記ホール底の前記カソード電極を陰極、前記ゲート電極を陽極として電着させる工程と
を有することを特徴とするカーボンファイバー製造法。
【請求項3】
前記電着させる工程において、
超音波を印加する工程と、
前記ホール底の前記カソード電極上にナノオーダの触媒微結晶を付着させる工程と、
当該ナノオーダ触媒微結晶を核にカーボンファイバーを成長する工程と
を有することを特徴とする請求項2に記載のカーボンファイバー製造法。
【請求項4】
基板上に配置されたカソード電極と、前記カソード電極上に配置された絶縁膜と、前記絶縁膜上に配置され,前記カソード電極と直交するゲート電極と、前記絶縁膜中に前記カソード電極表面まで形成されたホールからなる電界放出マトリックス電極構造をメッキ槽内に配置する工程と、
前記ゲート電極を中心に、前記カソード電極に対向させて、前記メッキ槽内に対向陰極を配置し、かつ前記対向陰極の電位を前記ゲート電極よりも低電位にする工程と、
カーボンファイバー成長の核となる触媒を電着させる際、前記ホール内への触媒電着は、前記ホール底の前記カソード電極を陰極、前記ゲート電極を陽極として電着させる工程と
を有することを特徴とするカーボンファイバー製造法。
【請求項5】
前記電着させる工程において、
超音波を印加する工程と、
前記ホール底の前記カソード電極上にナノオーダの触媒微結晶を付着させる工程と、
当該ナノオーダ触媒微結晶を核にカーボンファイバーを成長する工程と
を有することを特徴とする請求項4に記載のカーボンファイバー製造法。
【請求項6】
基板上に配置されたカソード電極と、
前記カソード電極上に配置された絶縁膜と、
前記絶縁膜上に配置されたゲート電極と、
前記絶縁膜中に前記カソード電極表面まで形成されたホールの底面に形成された触媒微結晶核と、
前記触媒微結晶核上に形成されたカーボンナノチューブ
とを備えることを特徴とするカーボンファイバー電子源。
【請求項7】
基板上に配置されたカソード電極と、
前記カソード電極上に配置された絶縁膜と、
前記絶縁膜上に配置されたゲート電極と、
前記ゲート電極を中間にして前記カソード電極と反対側の前記ゲート電極の上方に配置されたアノード電極と、
前記絶縁膜中に前記カソード電極表面まで形成されたホールの底面に形成された触媒微結晶核と、
前記触媒微結晶核上に形成されたカーボンナノチューブと、
前記アノード電極の前記カソード電極に対向する裏面上に配置された蛍光体
とを備えることを特徴とするフィールドエミッションディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−48781(P2009−48781A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−210879(P2007−210879)
【出願日】平成19年8月13日(2007.8.13)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】