説明

ガスセンサ

【課題】ガス検知層が剥離することを防止するとともに、ガス感度に影響を与えずに特定ガスの濃度変化を良好に検知するガスセンサを提供する。
【解決手段】基体15上に形成され、環境雰囲気中の特定ガスの濃度変化に応じて電気的特性が変化する金属酸化物半導体を主成分とするガス検知層4を有するガスセンサ1において、ガス検知層4は、複数の粒子が結合しつつ、複数の粒子間に存在する空隙を通じてガス検知層4の厚み方向にガス透過性を有するように構成され、かつ金属酸化物半導体とは異なる無機酸化物を含み、基体15上に、ガス検知層4と接触しつつガス検知層4における電気的特性の変化を検出するための一対の検知電極6と、ガス検知層4と接触する密着層7とを備え、ガス検知層4と密着層7との界面の少なくとも一部には、ガス検知層4の最外側粒子4aよりも内側の粒子4bと密着層7との間を接続するようにして、無機酸化物を含む中間領域部22が存在している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属酸化物半導体を主成分とするガス検知層を有するガスセンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、酸化スズ(SnO)等の金属酸化物半導体に、プラチナ等の貴金属を触媒として担持させ、環境雰囲気中の特定ガスの濃度変化によって電気的特性(例えば、抵抗値)が変化することを利用して、特定ガスの濃度変化を検知するガスセンサが知られている。このようなガスセンサのガス検知層は、その製造工程において、貴金属元素を含む溶液中に金属酸化物半導体粉末を含浸させた後、焼成することにより、貴金属を金属酸化物半導体表面上に分散させた状態で担持させている(例えば特許文献1参照)。
又、金属酸化物半導体に、触媒として塩基性金属酸化物を担持させたガス検知層を用いると、硫化水素やメルカプタン類などに起因すると思われる各種の臭い(特に悪臭)に対して高いガス感度を示すことが知られている(例えば特許文献2参照)。
【0003】
一方、このようなガスセンサのガス検知層は、常温では特定ガスと反応せず、例えば200〜400℃に加熱されることで活性化されて特定ガスに反応する。このようなことから、ガス検知層が形成される半導体基板等の基体内に発熱抵抗体が設けられるのが一般的である。しかしながら、発熱抵抗体を用いてガスセンサを高温で駆動した場合、ガス検知層と基体との熱膨張差に起因して界面での剥離が生ずるおそれがある。また、このようなガスセンサでは、高信頼性を得るために、ガス検知層と基体との機械的な密着強度を高めることも当然に求められる。
【0004】
そこで、ガス検知層と基体との間の密着性を向上させるため、これらの間に凹凸を有する密着層を介装させる技術が提案されている(例えば特許文献3参照)。この密着層は、凹凸によるアンカー効果により密着性を確保している。又、密着層がガス検知層の主成分をなす金属元素からなる薄膜を酸化処理して形成されるため、ガス検知層と熱膨張係数がほぼ等しく、熱膨張係数の差に起因してガス検知層から剥離するのを防ぐことができる。
又、シリコン基板上にガス検知体と選択燃焼膜とを順に形成する際、選択燃焼膜にシリカを含有させ、選択燃焼膜と基体との間の密着性を向上させる技術が提案されている(例えば特許文献4参照)。この技術によれば、選択燃焼膜中のシリカが焼結時にシリコン基板上のシリコン酸化膜と結合し、密着強度が増加する。
さらに、基体上に検知電極と、該検知電極間に設けた凹凸状の密着層とを有し、これら検知電極及び密着層をガス検知層で覆ったガスセンサが提案されている(例えば特許文献5参照)。
【0005】
【特許文献1】特開昭63−279150号公報
【特許文献2】特公平6−27719号公報
【特許文献3】特開2007−333676号公報
【特許文献4】特開2002−5865号公報
【特許文献5】欧州特許公開番号 EP1953539
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献3記載の技術の場合、密着性は改善されるものの、ガス検知層と基体(具体的には基体側の検知電極)との間に密着層が介在するため、ガス検知層と検知電極とを直接接触させた構造に比べ、ガス感度が低くなる傾向にある。
又、上記特許文献4記載の技術の場合、シリコン基板が滑らかな鏡面であるため、密着性の改善効果が十分とはいえない。さらに、上記特許文献5記載の技術の場合においても、密着性の改善効果が十分に得られないことがあった。
そこで、本発明は、ガス検知層が基体から剥離することを防止するとともに、ガス感度に影響を与えずに特定ガスの濃度変化を良好に検知するガスセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のガスセンサは、基体上に形成されるとともに、環境雰囲気中の特定ガスの濃度変化に応じて電気的特性が変化する金属酸化物半導体を主成分とするガス検知層を有するガスセンサにおいて、前記ガス検知層は、複数の粒子が結合しつつ、前記複数の粒子間に存在する空隙を通じて当該ガス検知層の厚み方向におけるガス透過性を有するように構成されてなり、かつ前記金属酸化物半導体とは異なる無機酸化物を含み、前記基体上に、前記ガス検知層と接触しつつ当該ガス検知層における電気的特性の変化を検出するための一対の検知電極と、前記ガス検知層と接触する密着層とを備え、前記ガス検知層と前記密着層との界面の少なくとも一部には、前記ガス検知層の最外側粒子よりも内側の粒子と前記密着層との間を接続するようにして、前記無機酸化物を含む中間領域部が存在している。
このようにすると、ガス検知層と検知電極とが接触しているので、ガス検知層と検知電極との界面におけるガス反応が、密着層を含めた他部材によって阻害されることがない。尚、検知電極及び密着層は、それぞれ基体の表面に直接形成され、かつ検知電極と密着層と非接触となるように基体上に設けられることが好ましい。これにより、検知電極の側周面を含めた表面とガス検知層とが略全面で接触し、接触面積が良好に確保されるので、ガス検知層と検知電極との界面におけるガス反応が良好にもたらされることになる。
又、本発明のガスセンサによれば、密着層とガス検知層とが表面での結合(アンカー効果等)だけでなく、ガス検知層中の無機酸化物からなる中間領域部が、ガス検知層を構成する複数の粒子間に存在する空隙に入り込む形態で、ガス検知層の最外側粒子よりも内側の粒子と密着層との間を接続しているため、ガス検知層の内部と密着層とが強固に接続され、密着層とガス検知層との密着性がさらに向上する。
【0008】
前記密着層は前記無機酸化物と同一元素を含んでいるとよい。
このようにすると、ガス検知層中の無機酸化物と、密着層とが同一元素を含むので、両者の結合力がさらに向上する。又、密着層がガス検知層中の無機酸化物と同一元素を含むことにより、ガス検知層と密着層との間の熱膨張率差が中間領域部によって緩和されるため、この効果によっても両者の間の剥離が生じ難くなる。
【0009】
前記検知電極は櫛歯状に形成され、一方の電極の櫛歯の間に、他方の電極の櫛歯が挿入され、少なくとも前記一方の電極の櫛歯と前記他方の電極の櫛歯との間に、前記密着層が設けられていてもよい。
このようにすると、一方の電極の櫛歯の間に、他方の電極の櫛歯が挿入され、一方の電極の櫛歯と他方の電極の櫛歯との間に密着層が設けられるので、検知電極とガス検知層との接触面積を増すことができ、一対の検知電極間に位置する基体の表面とガス検知層との密着性をより効果的に高めることができる。
【0010】
前記基体は、板厚方向に開口部が形成された半導体基板と、前記半導体基板上に形成され、前記開口部に対応する部位に隔壁部を有する絶縁層と、前記隔壁部上に形成される発熱抵抗体と、前記発熱抵抗体を覆うように前記絶縁層上に形成される保護層とを備え、前記検知電極、前記密着層、及び前記ガス検知層は、前記基体の前記保護層上に形成されていてもよい。
このようにすると、ガス検知層が発熱抵抗体により速やか且つ良好に加熱され、活性化するので、ガスセンサのガス感度を高めることができる。
【0011】
又、少なくとも前記ガス検知層の表面を覆う多孔質状の被覆層が形成されていてもよい。
このようにすると、金属酸化物半導体を主成分とするガス検知層が有機シリコン等の被毒物質から保護され、ガス検知層の劣化を防止でき、ひいてはガスセンサの耐久性が向上する。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、ガス検知層が基体から剥離することを防止するとともに、ガス感度に影響を与えずに特定ガスの濃度変化を良好に検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るガスセンサの平面図を示す。
ガスセンサ1は、縦が2.6mm、横が2mmの平面視矩形状をなし、基体15中央の上面に密着層7が形成されている。また、基体15中の上面には、密着層7と接触しないようにして一対の検知電極6が形成されている。さらに、検知電極6を覆うとともに、検知電極6周縁の密着層7を覆うようにして、ガス検知層4が形成されている。そして、ガス検知層4を完全に覆うとともに、ガス検知層4周縁の密着層7を覆うようにして、多孔質状の被覆層20が形成されている。
又、詳しくは後述するが、ほぼガス検知層4の直下に位置する基体15内部に、発熱抵抗体5が埋設されている。
【0014】
そして、発熱抵抗体5から2本のリード部12がガスセンサ1を平面視したときに密着層7の外側に引き出され、各リード部12はさらに基体15の一辺側(図1の下辺)まで延び、各リード部12の末端にコンタクトパッド9が形成されている。
又、検知電極6から2本の電極リード部10がガスセンサ1を平面視したときに密着層7の外側に引き出され、各電極リード部10はさらに基体15の上記一辺側まで延び、各電極リード部10の末端に酸化物半導体用コンタクト部8が形成されている。
ここで、各リード部12は発熱抵抗体5に通電するためのものである。各電極リード部10は、櫛歯状の検知電極6にそれぞれ通電するためのものである。
又、この実施形態では、2個の酸化物半導体用コンタクト部8が上記一辺の中央側に隣接して並び、2個のコンタクトパッド9は酸化物半導体用コンタクト部8を挟むようにして上記一辺の外側にそれぞれ配置されている。酸化物半導体用コンタクト部8及びコンタクトパッド9は、ガスセンサ1の外部回路に接続される。
なお、作製されたガスセンサ1の平面形状は矩形に限らず、多角形や円形であってもよく、その大きさ、厚み、各部材の配置も限定されるものではない。
【0015】
図2は、図1のA−A線に沿う断面図である。図2において、基体15は、シリコン基板2と、シリコン基板2表面に形成された絶縁被膜層3とから構成されている。又、シリコン基板2の下面の中央部がシリコン基板2の厚み方向に沿った断面で見たときに台形状に除去されて開口部21が形成され、開口部21から絶縁被膜層3が露出している。即ち、基体15は、開口部21を有するシリコン基板2と絶縁被膜層3とにより、ダイヤフラム構造をなすものである。ここで、開口部21は、発熱抵抗体5が配置される位置に重なるように位置している。
なお、シリコン基板2及び絶縁被膜層3が本発明における「基体」に相当し、シリコン基板2が本発明における「半導体基板」に相当する。また、絶縁被膜層3が本発明における「絶縁層」に相当する。
さらに、シリコン基板2の下面(絶縁被膜層3が形成された側と反対面)には、基板用絶縁層232が形成されている。
なお、基体15は、シリコン基板2を用いた本実施形態のものに限られず、アルミナ(Al)や半導体材料から作製してもよい。
【0016】
絶縁被膜層3は、絶縁層32,33及び保護層35をこの順に積層して構成され、絶縁層32がシリコン基板2側に位置している。絶縁層33の内部には、発熱抵抗体5及び各リード部12が形成され、保護層35が絶縁層33を覆っている。なお、シリコン基板2側の絶縁層32のうち、開口部21から露出した部分を隔壁部39と称する。
絶縁層32、保護層35は、所定の厚みを有する窒化ケイ素(Si)膜であり、絶縁層33は所定の厚みを有する酸化ケイ素(SiO)膜である。
【0017】
絶縁被膜層3の上面には、検知電極6、密着層7及びガス検知層4が形成されている。
ガス検知層4は複数の粒子が結合してなり、被検知ガス中の特定ガスによって自身の抵抗値が変化する性質を有する。また、ガスセンサ検知層4は、複数の粒子間に存在する空隙を通じて当該ガス検知層4の厚み方向におけるガス透過性を有するようにも構成されている。ここで、ガスセンサ1では、酸化スズ(SnO)に0.2重量%の酸化カルシウムを触媒として含有させてガス検知層4が設けられている。酸化カルシウムを含む酸化スズが、ガス検知能を発揮する金属酸化物半導体である。そして、このガス検知層4を用いて、被検知ガス中のアンモニア(NH)、硫化水素(HS)、二硫化メチル((CH)、メチルメルカプタン(CHSH)、トリメチルアミン((CH)N)などの特定ガスを検知するように構成されている。なお、本発明における「検知」とは、被検知ガスに含まれる特定ガスの有無を検知するのみならず、当該特定ガスの濃度変化を検知することも含む。
【0018】
上記金属酸化物半導体の他の例としては、酸化スズのガス検知層4に対する含有量を90質量%以上とした上で、Ir、P、Ptを含有させた構成を採ることもできる。より具体的には、Ir換算で0.50質量%のIrと、P換算で0.01質量%のPと、Pt換算で0.05質量%のPtとを含みつつ、残部が酸化スズからなる金属酸化物半導体を用いることもできる。
【0019】
さらに、ガス検知層4は、上記金属酸化物半導体とは異なる無機酸化物を含む。後述するように、この無機酸化物は、密着層7との密着性を向上させる中間領域部を形成する。無機酸化物としては、例えば、アルミナ(Al)やシリカ(SiO)等の絶縁性の酸化物が例示され、密着層7と同一の元素であってもよい。
無機酸化物の配合割合は、ガス検知層4全体に対して0.2〜5.0質量%とするとよい。無機酸化物の配合割合が少な過ぎると後述する密着効果が少なく、配合割合が多過ぎるとガス検知能が低下するおそれがある。
なお、この無機酸化物は、ガス検知層4を形成する際に用いる上記金属酸化物半導体のペースト中に、無機酸化物のゾル(アルミナゾルやシリカゾル等)の形態で配合することができ、ガス検知層4焼成後に無機酸化物となる。
【0020】
又、ガス検知層4を覆う多孔質状の被覆層20は本発明の必須の構成ではないが、被覆層20を設けることにより、ガス検知層4が有機シリコン等によって被毒されるのを抑制でき、耐久性が向上する。被覆層20としては、アルミナ等のセラミックの多孔質層や酸化チタンからなる多孔質層等を用いることができる。
【0021】
図3に示すように、発熱抵抗体5は平面視渦巻き状に形成され、シリコン基板2の開口部21の上部に対応する位置に配置されている。発熱抵抗体5は、白金(Pt)層とタンタル(Ta)層とから構成された2層構造を有する。
【0022】
図4は、図1のB−B線に沿う断面図である。図4において、保護層35上に各電極リード部10が設けられている。また、各電極リード部10末端の表面にコンタクトパッド11が形成され、全体として酸化物半導体用コンタクト部8を構成している。
一方、絶縁層33中にリード部12が埋設され、リード部12末端の表面にコンタクトパッド9が形成されている。このコンタクトパッド9は保護層35に露出するように形成される。
電極リード部10、リード部12は、タンタル(Ta)層と、その表面上に形成された白金(Pt)層とから構成されている。コンタクトパッド9、11はAuから形成されている。
【0023】
一対の検知電極6は、一例として、平面図である図5に示すように、それぞれ櫛歯状の平面形状を有し、一方の電極の櫛歯67の間に、他方の電極の櫛歯67が挿入されている。又、一方の電極の櫛歯67と他方の電極の櫛歯67との間に、当該櫛歯67と非接触に間隔を空けて密着層7が蛇行しながら連続的に設けられている。この検知電極6は、ガス検知層4における電気的特性の変化を検出するための一対の電極である。また、密着層7は、図5に示すように、検知電極6の櫛歯67の間だけでなく、検知電極6の周囲(外周)にまで連続的に連なって形成されている。なお、密着層7は、検知電極6の外縁部に対しても、非接触に間隔を空けて形成されている。
【0024】
上記図2に示すように、この検知電極6のガス検知層4に対向する側の面61及びその両側面は、それらの全面でガス検知層4と当接し、ガス検知層4と検知電極6とが電気的に接続されている。このように、ガス検知層4と、検知電極6の面61及びその両側面とが全面で接触し、接触面積を確保しているので、ガス検知層4と検知電極6との界面におけるガス反応が、密着層7を含めた他部材によって何ら阻害されることがない。また、ガス検知層4が発熱抵抗体5により加熱され、速やか且つ良好に活性化することからもガスセンサ1(ガス検知層4)のガス感度を高めることができる。
【0025】
一方、上記図2に示すように、この検知電極6のうち、保護層35と対向する側の面62は、保護層35と当接している。そして、互いに隣接する検知電極6の間には、基体15とガス検知層4との密着性を向上させ、ガス検知層4が基体15から剥離することを防ぐための密着層7が、前記検知電極6と非接触に設けられている。即ち、検知電極6は、ガス検知層4と接触し、密着層7とは非接触となっている。
【0026】
図6に模式的に示すように、この密着層7は、基体15とガス検知層4との間の密着性を向上させるための層であって、絶縁性の金属酸化物からなる複数の粒子が凝集した構造をなしている。そのため、密着層7は、自身の表面が凹凸面71になっている。一方、ガス検知層4も上述したように、複数の粒子が結合(凝集)した構造をなしている。
そのため、密着層7の凹凸面71に、ガス検知層4を構成する物質が物理的に入り込み、このアンカー効果により、基体15と厚膜状に形成されたガス検知層4との密着性が高められている。
【0027】
密着層7は、例えば、ヒロックAl膜をスパッタリング法により成膜後、酸化させて形成することができる。ヒロックAl膜は、Alをスパッタリングして得られる略半球状の突起状の被膜である。
又、密着層7は、検知電極6とは非接触であるので、導電性の材料により構成することもできる。ただし、検知電極6とガス検知層4との界面で起こるガス反応に影響を及ぼさないよう、密着層7は、アルミナ(Al)やシリカ(SiO)等の絶縁性の酸化物により構成することが好ましい。
なお、この実施形態では、密着層7は、アルミナ(Al)により構成している。
【0028】
さらに、本発明においては、密着層7とガス検知層4との密着性をさらに向上させるため、ガス検知層4中に、そのガス検知能を発揮する金属酸化物半導体(この実施形態では、酸化スズ)と異なる無機酸化物(この実施形態ではアルミナ(Al))を含ませている。このようにすると、ガス検知層4中の無機酸化物が金属酸化物半導体からなる複数の粒子間に存在する空隙を通じて密着層7に流動し、密着層7(凹凸面71)とガス検知層4との間に中間領域部22が存在するようになる。上記アンカー効果に加え、この中間領域部22により、密着層7とガス検知層4とが強固に接続するため、本実施形態のガスセンサ1では、ガス検知層4と密着層7との密着性がさらに向上する。
特に、上記したように、基体15をダイヤフラム構造とした場合、ダイヤフラム部分で熱による撓みが生じ、ガス検知層4が密着層7から剥離し易くなるが、中間領域部22が介在することで、剥離を防止できる。
さらに、本実施形態では、ガス検知層4中の無機酸化物が、密着層7を構成する無機酸化物(金属酸化物)と同じアルミナで構成されているため、熱膨張率が非常に近いないし同一であるため、ダイヤフラム部分で熱による撓みが生じた場合に、中間領域部22によってガス検知層4と密着層7との間の熱膨張率差を緩和し、この効果によっても両者の間の剥離を防止できる。
【0029】
図7は、本発明の実施形態における密着層7とガス検知層4との界面のSTEM(走査型透過電子顕微鏡)像を示す。この図において、ガス検知層4は、複数の粒子が結合してなることがわかる。また、複数の粒子間に隙間が存在することがわかる。ガス検知層4を構成する金属酸化物半導体は、図7の濃い色で示されている(STEMに付属したEDXで得られた元素分布を、濃淡により組成の違いを表現した)。一方、密着層7も複数の粒子が凝集して凹凸面71を形成している。
そして、密着層7とガス検知層4との界面には、ガス検知層4の最外側粒子4aよりも内側の粒子4bと密着層7との間を接続するようにして、ガス検知層4より薄い色の中間領域部22が形成されている。中間領域部22と密着層7との色相は同じであり、しかも中間領域部22は密着層7表面から、ガス検知層4の最外側粒子4aの背面の空隙に延びている(つまり、最外側粒子4aよりも内側の粒子4bまで中間領域部22が形成されていることになる)。
【0030】
通常、密着層7の凹凸面71は物理的にガス検知層4の表面に当接するだけであるから、密着層7自身はガス検知層4の最表面(最外側粒子4a)と接することはあっても、最外側粒子4aの背面(粒子4b)まで密着層7が入り込むことはない。従って、中間領域部22は密着層7に由来するものではなく、ガス検知層4中の無機酸化物が焼成時に流動して形成されたものと考えられる。これは、中間領域部22と密着層7との色相が同じであり、両者がともにアルミナ(Al)で構成されていることからも上記考えが裏付けられる。
【0031】
一方、図8のSTEM像に示すように、ガス検知層4中に無機酸化物を含まない場合、密着層7の凹凸面71が物理的にガス検知層4の表面に当接するだけであり、密着層7自身はガス検知層4の最表面(最外側粒子4a)と接することはあっても、最外側粒子4aの背面(内側の粒子4b)まで密着層7が入り込んでいないことがわかる。
なお、実際のガスセンサの密着層7とガス検知層4との界面のSTEM(走査型透過電子顕微鏡)像を見たとき、ガス検知層4を構成する金属酸化物半導体と異なる濃淡の中間領域部22が、最外側粒子4aよりも内側の粒子4bまで介在し、かつ中間領域22が密着層7と接続しているように観察される。
又、密着層7が、ガス検知層4に含まれる無機酸化物を含む場合、密着層7とガス検知層4との界面のSTEM(走査型透過電子顕微鏡)像を見たとき、中間領域部22と密着層7とが一体化しているように観察される(図7参照)。
【0032】
次に、上記構造を有するガスセンサ1の製造工程の一例を、図9乃至図15を参照して説明する。図9乃至図15は、ガスセンサ1の製造工程の途中におけるガスセンサ1の縦断面図である。尚、作製途中のガスセンサ1の中間体を、基板と称する。
【0033】
(1) シリコン基板2の洗浄
まず、厚みが400μmのシリコン基板2を洗浄液中に浸し、洗浄処理を行う。
(2) 絶縁層32及び基板用絶縁層232の形成
次に、LP−CVDにてジクロルシラン(SiHCl)、アンモニア(NH)をソースガスとし、図9に示すように、シリコン基板2の上面及び下面に、厚さが200nmの窒化ケイ素膜(Si)膜からなる絶縁層32及び基板用絶縁層232を形成する。
(3) 絶縁層33の形成
次に、プラズマCVDにてテトラエトキシシラン(TEOS)、酸素(O)をソースガスとし、絶縁層32の表面上に厚さが100nmの酸化ケイ素(SiO)膜からなる絶縁層33を形成する。
【0034】
(4) 発熱抵抗体5及びリード部12の形成
その後、DCスパッタ装置を用い、絶縁層33の表面上に厚さ20nmのタンタル(Ta)層を形成し、その層上に厚さ220nmの白金(Pt)層を形成する。スパッタ後、フォトリソグラフィによりレジストのパターニングを行い、王水を用いたウエットエッチング処理にて、図10に示すように、発熱抵抗体5及びリード部12のパターンを形成する。
【0035】
(5) 絶縁層33の更なる成膜
そして、(3)と同様に、プラズマCVDにてテトラエトキシシラン(TEOS)、酸素(O)をソースガスとし、絶縁層33,発熱抵抗体5及びリード部12の表面上に厚さが100nmの酸化ケイ素(SiO)膜からなる新たな絶縁層を図11に示すように形成して絶縁層33の膜厚を厚くする。このようにして、厚さ200nmの絶縁層33内に発熱抵抗体5及びリード部12を埋設する。
(6) 保護層35の形成
さらに、(2)と同様に、LP−CVDにてジクロルシラン(SiHCl)、アンモニア(NH)をソースガスとし、絶縁層33の上面に、厚さが200nmの窒化ケイ素(Si)膜からなる保護層35を形成する。
(7) コンタクトパッド9の開口の形成
次いで、フォトリソグラフィによりレジストのパターニングを行い、ドライエッチング法で保護層35及び絶縁層33のエッチングを行い、図11に示すように、コンタクトパッド9を形成する部分にコンタクトホール13を開け、リード部12の末端の一部を露出させる。
【0036】
(8) 検知電極6及び電極リード部10の形成
次に、DCスパッタ装置を用い、保護層35の表面上に厚さ20nmのタンタル(Ta)層を形成し、さらにその表面上に厚さ40nmの白金(Pt)層を形成する。スパッタ後、フォトリソグラフィによりレジストのパターニングを行い、王水によるウエットエッチング処理にて、図12に示すように、櫛歯状の平面形状を有する検知電極6,電極リード部10等のパターンを形成する。
【0037】
(9) 密着層7の形成
検知電極6及び保護層35上に、密着層7となるヒロックAl膜をスパッタリング法により成膜する。次いで、フォトリソグラフィによるレジストパターニング後、検知電極6上及び周囲等の不要なAl膜をリン酸を主としたウエットエッチング処理により除去し、その後、陽極酸化によりAlにし、密着層7を櫛歯状の検知電極6間及びその周囲の保護層35上に形成する。
【0038】
(10) コンタクトパッド9,11の形成
DCスパッタ装置を用い、上記電極部分が作製された基板の電極側の表面上に、厚さ400nmの金(Au)層を形成する。スパッタ後、図13に示すように、フォトリソグラフィによりレジストのパターニングを行い、ウエットエッチング処理でコンタクトパッド9,11を形成する。
【0039】
(11) 開口部21の形成
次いで、フォトリソグラフィによりレジストのパターニングを行い、マスクとなる絶縁膜をドライエッチング処理により形成する。そして水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)溶液中に基板を浸し、シリコン基板2の異方性エッチングを行うことで、下面が開口され、図14に示すように、発熱抵抗体5の配置位置に対応する部分の絶縁層32の隔壁部39となる部分が露出されるように、開口部21を形成する。
【0040】
(12) ガス検知層4の形成
さらに、検知電極6及び密着層7の表面上に、酸化スズ(酸化スズ粒子)を主成分とし、酸化カルシウムを添加し、さらにアルミナ(無機酸化物)ゾルをアルミナ換算で全体に対して1.0質量%添加した酸化物半導体ペーストを厚膜印刷により塗布し、図15に示すように、厚さ20μmのペースト層を形成して未焼成状態のガス検知層4を形成する。
尚、酸化物半導体ペーストは、例えば以下の手順により作製することができる。まず、純水に塩化スズ(SnCl)を加え、十分に撹拌して溶解させた後、アンモニア水を滴下して、水酸化スズを析出させる。その後、沈殿粉末を純水で数回洗浄してアンモニウムイオン及び塩素イオンを除去し、乾燥させる。乾燥後、純水に沈殿粉末と水酸化カルシウム(Ca(OH))を分散させ、十分に攪拌させた後、乾燥させる。このときの水酸化カルシウムの添加量は、酸化カルシウム(CaO)換算で0.2重量%となるように添加する。乾燥後、800℃、5時間の条件で焼成し、得られた粉末4.95gと、アルミナ(無機酸化物)ゾル(20質量%溶液)の0.25gとをらいかい機で1時間粉砕後、有機溶剤を混合し、らいかい機(もしくはポットミルでもよい)で4時間粉砕する。さらにバインダー及び粘度調製剤を添加して4時間粉砕を行い、25℃にて粘度140Pa・sのペーストに調製する。
【0041】
(13) 基板の焼成
基板を熱処理炉に挿入し、例えば650℃で1時間の焼成条件にて焼成する。当該処理により、検知電極6、ガス検知層4及び密着層7が形成された基板を得ることができる。又、この処理により、ガス検知層4中の無機酸化物が流動し、中間領域部22が形成されるものと考えられる。
(14) 被覆層20の形成
次いで、焼成後の基板に対して、ガス検知層4を覆うように、酸化チタン粒子を含むペーストを厚膜印刷により塗布し、未焼成状態の被覆層20を形成する。そして、この基板を熱処理炉に挿入し、例えば500℃で1時間の焼成条件にて焼成する。当該処理により、被覆層20が形成された基板を得ることができる。
(15) 基板の切断
ダイシングソーを用いて基板を切断し、例えば平面視2.6mm×2mmの大きさのガスセンサ1を得る。
【0042】
尚、上記「(2)絶縁層32及び絶縁層232の形成」の前に、シリコン基板2に熱酸化膜を成膜しても良い。また、「(7)コンタクトパッド9の開口の形成」において、コンタクトホール13を形成したが、「(8)検知電極6及び電極リード部10の形成」後にコンタクトホール13を形成しても良い。また、「(9)密着層7の形成」を「(11)開口部21の形成」の形成後に行っても良い。
さらに、「(9)密着層7の形成」において、ヒロックAlを酸化によりAlにする工程を省略して(金属Alのままとして)も良い。又、密着層7をスクリーン印刷法、スピンコート法など、その他の方法により形成してもよい。
また、上記実施形態では、密着層7を、検知電極6及び電極リード部10の形成後に作製しているが、検知電極6及び電極リード部10の形成前に密着層7を作製してもよい。その場合には、例えば、密着層7となるゾル溶液層を保護層35上に膜状に形成した後、検知電極6及び電極リード部10の形成を形成する箇所をエッチング等により除去し、続いて当該除去部分に検知電極6及び電極リード部10を形成すればよい。
【0043】
次に、本発明の第2の実施形態に係るガスセンサについて説明する。第2の実施形態に係るガスセンサは、密着層7Bの形状が異なること以外は、上記第1の実施形態と構成が同一であるので、密着層7Bの形状のみを図16を用いて説明する。
図16は、密着層7Bの平面図である。図16に示すように、密着層7Bは、平面視、短冊状に形成され、互いに離間した複数の密着層7Bから構成されている。この複数の密着層7Bが互いに離間して、一方の検知電極6の櫛歯67と他方の検知電極6の櫛歯67との間に配列されている。尚、密着層7Bは、櫛歯67と非接触に配列されている。
【0044】
次に、本発明の第3の実施形態に係るガスセンサについて説明する。第3の実施形態に係るガスセンサは、密着層7Cの形状が異なること以外は、上記第1の実施形態と構成が同一であるので、密着層7Cの形状のみを図17を用いて説明する。
図17は、密着層7Cの平面図である。密着層7Cは、平面視、短冊状に形成され、互いに離間した複数の密着層7Cから構成され、一方の検知電極6と他方の検知電極6との周囲を囲むように整列して配置されている。尚、密着層7Cは、検知電極6と非接触に配列されている。
【0045】
次に、本発明の第4の実施形態に係るガスセンサについて説明する。第4の実施形態に係るガスセンサは、検知電極6Dの形状が異なること以外は、上記第1の実施形態と構成が同一であるので、検知電極6Dの形状のみを平面図18を用いて説明する。尚、図18では、密着層7は省略してある。
図18に示すように、検知電極6Dは、第1の実施形態のように検知電極を櫛歯状に形成するのではなく、Tの字の根本部分を頂辺に平行に折り曲げたものを2個用意し、これらを対称形に配置して、当該Tの字の頂辺同士が互いに一定間隔開けて平行に対向するようにした平行電極である。この場合には、密着層7は、上記第1〜第3の実施形態の何れの形状でも良い。
【0046】
また、上記第1〜4の実施形態において、平面から見たとき(図1の紙面の上側から見たとき)、ガス検知層4と密着層7との接触面を投影したときの投影面積は、ガス検知層4と前記密着層7及び前記検知電極6との接触面を投影したときの投影面積の50%以上を占めるようにすることが望ましい。この構成により、基体15とガス検知層4との密着性をより確実に得ることが出来る。なお、上述した第1の実施の形態では、ガス検知層4と密着層7との接触面を投影したときの投影面積が、ガス検知層4と密着層7及び検知電極6との接触面を投影したときの投影面積の68%となるように、ガスセンサ1を構成している。
【0047】
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
【実施例】
【0048】
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0049】
図9〜図15に示した方法により、図1、図2に示したガスセンサ1を製造した。但し、ガス検知層4は以下のペーストを印刷して形成した。
このペーストは、まず、純水に塩化スズ(SnCl)を加え、十分に撹拌して溶解させた後、アンモニア水を滴下して、水酸化スズを析出させた。その後、沈殿粉末を純水で数回洗浄してアンモニウムイオン及び塩素イオンを除去し、乾燥させる。乾燥後、純水に沈殿粉末と水酸化カルシウム(Ca(OH))を分散させ、十分に攪拌させた後、乾燥させた。このときの水酸化カルシウムの添加量は、酸化カルシウム(CaO)換算で0.2重量%となるように添加した。乾燥後、800℃、5時間の条件で焼成し、得られた粉末5gをらいかい機で0.5時間粉砕後、有機溶剤を混合し、らいかい機(もしくはポットミルでもよい)で1時間粉砕した。さらに、アルミナ(無機酸化物)ゾル、バインダー及び粘度調製剤を添加して3時間粉砕を行い、25℃にて粘度140Pa・sのペーストに調製した。
【0050】
なお、アルミナゾルは、(焼成後の)アルミナ換算でガス検知層4の重量に対して1.0質量%となるようにペーストに添加した。
又、焼成後のガス検知層4上にTiOを厚膜印刷し、500℃で1時間焼成して、被覆層20を形成した。
【0051】
以上のようにして製造したガスセンサ1を、実施例とする。
比較例1として、密着層7を形成せず、ガス検知層4に無機酸化物(アルミナ)を含有させなかったこと以外は、実施例とまったく同様にしてガスセンサを製造した。
比較例2として、密着層7を形成しなかったこと以外は、実施例とまったく同様にしてガスセンサを製造した。
比較例3として、ガス検知層4に無機酸化物(アルミナ)を含有させなかったこと以外は、実施例とまったく同様にしてガスセンサを製造した。
【0052】
実施例のガスセンサの、密着層7とガス検知層4との界面のSTEM(走査型透過電子顕微鏡)像は図7に示すようになった。
又、比較例3のガスセンサの、密着層7とガス検知層4との界面のSTEM(走査型透過電子顕微鏡)像は図8に示すようになった。
【0053】
実施例及び比較例1〜3のガスセンサに対し、衝撃試験としてガス検知層4(被覆層20)の表面(上面)が下側を向く方向へ衝撃加速度Gを印加していく試験を行った。具体的には、衝撃加速度を500Gで3回印加し、さらに1000Gで3回印加した後、衝撃加速度を1000Gずつ増やして各々3回印加したとき、ガスセンサ内のガス検知層4の剥離個数(ガス検知層の一部もしくは全部が脱落した状態を剥離したと定義)を目視で確認した。(剥離発生率:剥離個数/全投入数(10個))。
【0054】
得られた結果を図19に示す。
図19から明らかなように、密着層7を形成し、ガス検知層4に無機酸化物(アルミナ)を含有させた実施例の場合、2000G以下の衝撃加速度で衝撃試験を行ってもガス検知層4の剥離が生じなかった。これは、図7に示したように、中間領域部22がガス検知層4内から密着層7とつながるように存在し、両者が強固に密着したためと考えられる。
一方、ガス検知層4に無機酸化物(アルミナ)を含有させなかった比較例1、3の場合、及びガス検知層4に無機酸化物(アルミナ)を含有させたが密着層7を形成なかった比較例2の場合、いずれも最初の衝撃加速度(500G)で衝撃試験を行った際にガス検知層4の剥離が(%の割合で生じた。これは、図8に示すように、上記した中間領域部22が存在しないか(比較例1、3)、中間領域部22が介在しても相手方が凹凸のない基体15であったため(比較例2)と考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るガスセンサの平面図である。
【図2】図1に示すA−A線における矢視方向断面図である。
【図3】ガスセンサが備える発熱抵抗体の平面図である。
【図4】図1に示すB−B線における矢視方向断面図である。
【図5】ガスセンサの平面方向から見たときの、検知電極と密着層を示す平面図である。
【図6】図1に示すA−A線におけるガス検知層近傍の矢視方向断面の部分拡大図である。
【図7】本発明の第1の実施形態における密着層とガス検知層との界面のSTEM(走査型透過電子顕微鏡)像を示す図である。
【図8】ガス検知層中に無機酸化物を含まない場合の、密着層とガス検知層との界面のSTEM(走査型透過電子顕微鏡)像を示す図である。
【図9】ガスセンサの製造工程の途中に於けるガスセンサの縦断面である。
【図10】図9に続く、ガスセンサの製造工程の途中に於けるガスセンサの縦断面である。
【図11】図10に続く、ガスセンサの製造工程の途中に於けるガスセンサの縦断面である。
【図12】図11に続く、ガスセンサの製造工程の途中に於けるガスセンサの縦断面である。
【図13】図12に続く、ガスセンサの製造工程の途中に於けるガスセンサの縦断面である。
【図14】図13に続く、ガスセンサの製造工程の途中に於けるガスセンサの縦断面である。
【図15】図14に続く、ガスセンサの製造工程の途中に於けるガスセンサの縦断面である。
【図16】本発明の第2の実施形態に係るガスセンサが有する密着層を示す平面図である。
【図17】本発明の第3の実施形態に係るガスセンサが有する密着層を示す平面図である。
【図18】本発明の第4の実施形態に係るガスセンサが有する検知電極を示す平面図である。
【図19】ガスセンサに衝撃試験を施したときの、ガス検知層の剥離発生率を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1 ガスセンサ
2 シリコン基板(半導体基板)
3 絶縁被膜層
4 ガス検知層
4a ガス検知層の最外側粒子
4b 最外側粒子よりも内側の粒子
5 発熱抵抗体
6、6D 検知電極
7、7B、7C 密着層
15 基体
20 被覆層
21 開口部
22 中間領域部
32、33 絶縁層
35 保護層
39 隔壁部
67 櫛歯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体上に形成されるとともに、環境雰囲気中の特定ガスの濃度変化に応じて電気的特性が変化する金属酸化物半導体を主成分とするガス検知層を有するガスセンサにおいて、
前記ガス検知層は、複数の粒子が結合しつつ、前記複数の粒子間に存在する空隙を通じて当該ガス検知層の厚み方向におけるガス透過性を有するように構成されてなり、かつ前記金属酸化物半導体とは異なる無機酸化物を含み、 前記基体上に、前記ガス検知層と接触しつつ当該ガス検知層における電気的特性の変化を検出するための一対の検知電極と、前記ガス検知層と接触する密着層とを備え、
前記ガス検知層と前記密着層との界面の少なくとも一部には、前記ガス検知層の最外側粒子よりも内側の粒子と前記密着層との間を接続するようにして、前記無機酸化物を含む中間領域部が存在しているガスセンサ。
【請求項2】
前記密着層は前記無機酸化物と同一元素を含んでいる請求項1記載のガスセンサ。
【請求項3】
前記検知電極は櫛歯状に形成され、一方の電極の櫛歯の間に、他方の電極の櫛歯が挿入され、
少なくとも前記一方の電極の櫛歯と前記他方の電極の櫛歯との間に、前記密着層が設けられている請求項1又は2記載のガスセンサ。
【請求項4】
前記基体は、板厚方向に開口部が形成された半導体基板と、
前記半導体基板上に形成され、前記開口部に対応する部位に隔壁部を有する絶縁層と、
前記絶縁層のうちで前記隔壁部上に形成される発熱抵抗体と、
前記発熱抵抗体を覆うように前記絶縁層上に形成される保護層とを備え、
前記検知電極、前記密着層、及び前記ガス検知層は、前記基体の前記保護層上に形成されている請求項1〜3のいずれかに記載のガスセンサ。
【請求項5】
少なくとも前記ガス検知層の表面を覆う多孔質状の被覆層が形成されている請求項1〜4のいずれかに記載のガスセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−91501(P2010−91501A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−263616(P2008−263616)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】