説明

ガラス板光学検査システム及び方法

【課題】特定の製造条件に対して柔軟に適応できる簡単な方法を用いて、製造後のガラス板の光学特性及び品質の全体的評価を行うことが可能な、ガラス板光学検査システム及び方法を提供する。
【解決手段】ガラス板(2)の光学検査システムは、ガラス板(2)を移動する搬送装置(3)と、ガラス板(2)を照光し、撮像する照明装置及びカメラを有する第1検査モジュール(5、6、7)と、ガラス板(2)の画像を評価する第1評価モジュール(8、9、10、11)とを備える。さらに、ガラス板(2)の画像を照光する照明装置又はカメラを有する第2検査モジュール(5、6、7)が設けられる。第2検査モジュール(5、6、7)は、ガラス板の画像を評価する第2評価モジュール(8、9、10、11)に接続される。第1検査モジュール(5、6、7)と第2検査モジュール(5、6、7)の照明装置及び/又はカメラは異なる設計であり、及び/又は、ガラス板(2)に対して異なる場所に配置され、ガラス板(2)は、搬送装置によって、検査モジュール(5、6、7)を通過する。本発明は、また、該システム(1)を用いて行われる方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板光学検査システム及び方法に関する。ガラス板を移動する搬送装置及び検査モジュールが、この目的のために供される。該検査モジュールは、ガラス板を照光して撮像するための照明装置及びカメラを有する。該検査モジュールは、ガラス板の画像を評価する評価モジュールに接続される。本発明は、例えば車両に取り付けられる屈曲又は湾曲したガラス板を検査する際の使用に、特に適している。
【背景技術】
【0002】
ガラス板、例えばフロントガラスやその他の種類の車両用窓に関連する生産工程において、製造後及び車体取り付け前に、ガラス板の品質を検査する必要がある。この目的に合わせて設計された種々の方法やシステムが知られており、例えば、大表面ガラス板における光学的欠陥の検知、ガラス板の画像特性の確認、ガラス板厚の測定、或いは、ガラス板における傷やその他の欠陥の検知を行うことができる。これらのシステム及び方法では、一般に、特定の照明システム及び撮像システムを必要とし、それによって所望の決められた検知タスクが最適な方法で行われるようになっている。しかしながら、ある特定の欠陥を検知するための最適な撮像条件は、通常、他の種類の欠陥やガラス板の特性を確認するためには適していない。そのため、1つのシステムで、ガラス板の光学特性及び製造品質を判断して表示することは不可能であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、特定の製造条件に対して柔軟に適応できる簡単な方法を用いて、製造後のガラス板の光学特性及び品質の全体的評価を行うことが可能なガラス板の光学検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、独立請求項1及び12の特徴によって実現される。
【0005】
ガラス板光学検査システムにおいて、第2検査モジュールと同様に、第1検査モジュールには、ガラス板を照光して撮像する照明装置及びカメラが設けられる。該第1検査モジュールと同様に、第2検査モジュールは、ガラス板の画像を評価する第2評価モジュールと接続される。第1検査モジュール及び第2検査モジュールの照明装置及び/又はカメラは、異なる設計であり、及び/又は、それらは、ガラス板に対して異なる場所に配置され、該ガラス板は、搬送装置によって検査モジュールを通過する。
【0006】
本発明によれば、ガラス板を移動する搬送装置に複数の異なる検査モジュールを配置することによって、単一で小型のシステムを用いて、ガラス板に対する種々の測定を協調的に行ってもよい。それぞれが単一の評価結果を送信する独立したモニタリングシステム又は制御システムを複数配置する場合と対比すると、本発明に係るシステムでは、1つのシステムに種々の検査モジュールを組み合わせることによって、種々の検査モジュールからの測定結果を互いに組合せ、また個々の評価結果を組み合わせて、検査結果が、被検査体全体に対する完全な検査報告書として自動的に作成されることが可能となる。個々の検査モジュールからの結果を蓄積収集することに加えて、複数の検査モジュールが本発明において相互に結合することによって、検査結果が全体にわたって改善される。これは、1つの検査モジュールからの結果が、他の検査モジュールからの結果において、考慮されるからである。さらに、単一のシステムにおいて種々の検査モジュールが相互に結合することによって、必要とされるシステム構成部品の個数が減少する。これは、個々の検査システム及び/又は検査方法において特定の副次的な測定を行う必要があるが、本発明のシステムでは、1回測定を行うだけでよいからである。上述の結果に伴ってコストを抑えることに加えて、本発明に係るシステムは、ガラス板の完全な検査結果を迅速に作成することが可能である。従って、本発明に係るシステムを、生産工程に特に近い場所で用いてもよい。検査を行うために、生産を停止したり、ペースを落としたりすることなく、生産ラインに容易に組み込むことができる。
【0007】
システム全体において個々の検査結果を組み合わせて評価するため、中央評価ユニットを、各検査モジュールに割り当てられた評価モジュールの下流側に配置することは、特に好適である。好ましくは各評価モジュールを各検査モジュールに割り当てれば、検査モジュールによって撮像された画像の評価を、撮像と同時に開始することが可能となり、これによってこの工程における遅延を防止することが可能となる。同時に、順に並べて配置された検査モジュールは、搬送装置によって該検査モジュールを通過するガラス板の検査を平行して行える。本発明において、検査モジュールによって特定された欠陥の位置を容易に相互参照するため、参照トリガ(reference trigger)が搬送装置に配置される。さらに、別の方法として、システムに蓄積されたガラス板の設計データ及び各検査モジュールにおけるガラス板の2次元及び3次元位置の測定によって、欠陥の位置を決めることも可能である。後者の方法では、欠陥の位置は、ガラス板の外側に配置された搬送装置に対しては把握されないが、ガラス自身の座標系内では把握されるという利点がある。したがって、検査を異なるコンベアベルトで行うこともできる。しかしながら、評価にかかる手間が大きくなってしまう。
【0008】
本発明によれば、少なくとも1つの割り当てられた評価モジュールを有する少なくとも3つの検査モジュールを設けることによって、ガラス板の光学特性及び典型的な欠陥に関して有効な情報において、最適で完全な検査が行われる。
【0009】
該システムが有する3つの検査モジュールのうち、1つのモジュールは、ラスタ光源と透過システム(transmission system)を有することが好ましい。このタイプのモジュールでは、照明装置の光源は、ガラス板を通ってカメラ上に、規則的な配列からなる規定のパターンを投射する。この配列は、少なくとも2つの異なる光強度を有しており、投射された像のラスタ境界は、カメラの画素のうち、ある特定の数の画素上に描写されることが好ましい。ガラス板の光学像特性が最適でない場合、或いは、該特性に欠陥がある場合、カメラ像において、最適ではない投射パターンが形成される。パターン描写のタイプに応じて、光学像特性にどのような欠陥があるかを推定することができる。また、この方法によれば、モアレパターンをカメラの画素上に形成することが可能であり、該モアレパターンは、カメラの画素の出力における位相シフトとして検出可能である。該光線の屈折角度は、容易に決定することができる。ガラス板の屈折力は、例えば、上記のような方法で決定することができる。従って、この検査モジュールでは、透過光学系におけるガラス板の欠陥の検査が行われる。
【0010】
本発明によれば、3つのモジュールのうちの他の1つとして、透過光システムを有するモジュールを設けることは、特に好適である。該モジュールは、特に吸収欠陥検査に用いられる。この構成によれば、ガラス板は、特に、可能な限り均一な光源によって照光され、透過率差が、カメラを用いて決定される。透過光システムを有する該モジュールはまた、カメラを用いることによって、プリント部分の欠陥を特定することに、特に適している。すなわち、ガラス板は、照光されると明るくなるが、プリント処理が行われた領域では暗くなるからである。プリント部分によって暗くなるべき領域に、光点が現れる場合、プリント部分は最適ではなく、又は、該領域には欠陥がある。また、この方法は、例えば、貼付されたプリント層の厚み決定時の使用、及び強度測定によってプリント部分の層厚におけるばらつきの決定に適している。
【0011】
本発明に係るシステムでは、3つのモジュールを有するように構成されることが好ましく、さらに他のモジュールは、傷を検知するシステムを有するモジュールである。このタイプのシステムは、ガラス板の材料表面上において走査線を撮像する。好ましくは、照明装置は、走査線を横切る平行光線又は走査線方向において拡散又は擬似拡散する平行光線を生成する。走査線を横切る拡散光又は擬似拡散光を生成する照明装置をさらに設けることが好ましい。走査線を撮像するカメラは、カメラの記録領域が光トラップを向くように方向付けられることが好ましい。光の散乱により、ガラス板における傷、気泡、その他の欠陥によって、光トラップの暗画像には欠陥のコントラスト像が生成され、容易に測定、分類される。
【0012】
3つの検査モジュールを有するシステムの構成において、被検査体に関する可能な限り総合的な情報を得るため、上記3つの検査モジュールを設けることは特に好適である。しかしながら、本発明によれば、欠陥検査に用いられるシステムにおいて、常にこれら3つのモジュールを設ける必要はない。検査の目的に応じて、例えば、モジュールの省略、及び/又は、他のモジュールとの交換を行ってもよい。
【0013】
本発明と組み合わせて使用するのに適したさらに別のモジュールは、ラスタ光源と反射システムを有するモジュールである。このモジュールによって、ガラス板に投射されたラスタ光は、反射構成において測定される。反射光学系におけるガラスの欠陥は、このようにして特定してもよい。さらに、ガラス板の形状を測定するモジュールを設けてもよい。該モジュールは、例えば、カメラを有しており、特に画像のガラス板のエッジを検知し、ガラス板のエッジを評価することによってガラス板の形状を決定する。このタイプのモジュールは、エッジ上の欠陥の検査に用いてもよい。透過光システムを有するモジュールはまた、ガラス板エッジの画像を独立して評価することによってエッジの欠陥評価を行う際の使用に適している。ガラス板エッジの経路(course)の測定に対しても同様である。ガラス板の形状を測定するため、例えば、屈曲したガラス板の曲率又は厚みを決定してもよい。この目的を達成するため、検査モジュールは、照明装置として少なくとも1つのレーザ光を有するとよい。該レーザ光は、適当なレーザ光学系によって、全体として2つ又は3つのレーザ光に分けられ、そのうちの2つのレーザ光は、異なる入射角で且つ隣接してガラス板に照射される。第3のレーザ光は、上述の2つのレーザ光のうちの1つから、平行にずらして生成される。ガラスのフロント境界面及びリア境界面におけるレーザ光の反射が、適当なカメラによって検知される。異なる角度でガラス表面に入射したレーザ光によって、被検査体の厚みを決定し、また、傾斜角又はくさび角の補正を行うことができる。曲率は、第1又は第2のレーザ光に平行な第3のレーザ光に基づいて補正してもよい。ガラス板形状を測定する他の方法としては、ガラス板を反射した後か、或いはガラス板を通過した後、カメラ上に基本正弦曲線パターンを形成し、画像面におけるこのパターンの局部位相を測定するという方法がある。この方法はまた、ガラス板の形状を推測するために用いてもよい。この場合、ガラス板形状を測定するモジュールは、照明装置として、適当なパターン形成装置を有する。
【0014】
本発明によれば、1つのモジュール、特に透過光システムを有する検査モジュールにおいて、検査モジュールの照明装置の光が届かない暗視野に、少なくとも1つの他のカメラを設けるとよい。この検査モジュールは、特に、エッジにおける欠陥の検査、及び/又はガラス板形状の測定に用いてもよい。
【0015】
特に、ガラス板形状の測定に関して、例えば、ガラス板エッジの3次元測定を行うために、透過光システムを有するモジュール、或いはガラス板形状を測定するモジュールにおいて、複数のカメラをステレオ配置に取り付けてもよい。このように検査モジュールにおいてステレオカメラを用いることにより、エッジの位置及び形状を、高い精度で3次元測定することが可能となる。
【0016】
本発明の方法における特に好ましい形態によれば、本システムの1つの検査モジュール、複数の検査モジュール或いは全ての検査モジュールは、ガラス板が通過する際(例えばガラス板が移動する際)、ガラス板を測定するように設定される。これにより、生産中に連続して検査工程を行うことが可能となる。これは、例えば、カメラにおいて大きなコントラスト且つそれに対応した短い発光時間を使用することで達成できる。
【0017】
ガラス板の光学検査システム及び方法は、例えば、フロントガラス、リアウィンドウ、サイドウィンドウのような自動車用ガラス板に適用することが好ましい。本発明は、特に、屈曲及び/又は湾曲したガラス板に対して使用されることに、同様に適している。
【0018】
本発明によれば、1つの検査モジュールにおいて、カメラを、ガラス板に対して傾斜して配置し、他の検査モジュールにおいて、カメラを、ガラス板に対して垂直に配置してもよい。これにより、ガラス板の配置に応じて、同様のシステムを用いて、ガラス板に対して特定の重要な視野方向を自動で検査することが可能となる。
【0019】
好ましくは、全ての検査モジュールは、独立したユニットとして構成され、そのいくつかは搬送方向に対して、順に並べて配置される。このようなモジュール構成により、本発明に係るシステムは、例えば、多品種生産のように異なる検査タスクに対して、システム全体の取り外し、再調整を行うことなく、容易に適合させることが可能となる。この検査モジュールに割り当てられた評価モジュールは、各検査モジュールに統合してもよい。この評価モジュールの結果は、さらに高次の評価を行うため、標準的な方法で、中央評価ユニットに送られてもよい。
【0020】
検査モジュールによる測定の際に起こる外乱を最小限にするため、検査モジュールは、入射光及び/又は通気用気流に対して保護されてもよい。
【0021】
特に上述のシステムを用いて実行される、本発明に係るガラス板の光学検査方法では、ガラス板は、第1検査モジュールを通過し、照射され、撮像される。これら画像は、第1評価モジュールにおいて、第1評価方法を用いて評価される。本発明によれば、次に、ガラス板は、少なくとも第2評価モジュールを通過する。ガラス板は、照射され、カメラによって、撮像される。これら画像は、第2評価モジュールにおいて、第1評価方法とは異なる第2評価方法を用いて評価される。本発明によれば、複数の異なる評価方法及び構成を組み合わせることにより、検査されるガラス板の全て或いは多くの特性に対して総合的な検査が行われる。
【0022】
ガラス板に対する略完全な検査は、ガラス板を、少なくとも3つの検査モジュール中を通過させ、少なくとも3つの評価方法を用いることで、実現することができる。これら検査モジュールは、ラスタ光源を有するモジュール、透過光システムを有するモジュール、傷検知用システムを有するモジュールであることが好ましい。各モジュールにおいて、光学系におけるガラス板の欠陥検査、吸収欠陥検査、傷検査が行われる。ガラス板に対してプリント処理が行われた場合、プリントエラーを検査するようにしてもよい。
【0023】
所望の要求に応じて、本発明に係る方法、及び/又は上述の評価方法を用いることにより、エッジ欠陥の検査、及び/又は、ガラス板形状やガラス板形状の経路の測定を行うことができる。
【0024】
本発明の好適な実施形態において、ある評価方法にて画像処理が行われる際、特定の基準に基づいて、ガラス板の非検査領域が認識される。これにより、発生したであろうエラーメッセージが回避される。
【0025】
本発明によれば、ガラス板が検査モジュールを通過する際、すなわち、移動中に、ガラス板は撮像される。
【0026】
総合的且つ全体的な評価結果を得るため、種々の評価方法の結果を、1つの中央評価ユニットにおいて組み合わせるとよい。
【0027】
本発明によれば、種々の評価方法の結果を互いに関連付けて、複数の検査ユニットからの結果を用いて、高次の評価を行うとよい。これにより、特に、種々の検査モジュールからの種々の結果を互いに関連付けて、より正確な検査結果を全体にわたって得ることが可能となる。
【0028】
本発明によれば、全ての検査モジュールからの結果に基づいて、ガラス板の完全で全体的な評価を得ることができ、また、報告書或いは画像表示の形態で評価を示すことができる。
【0029】
本発明のさらなる特徴、効果、用途は、例示する実施形態の以下の説明及び添付図面によって、明白になるであろう。ここで記載され、及び/又は図示される全ての構成要件は、各々単独で又は組合せにおいて本発明の一部であり、請求項又は参照文献の文言とは独立したものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1に示すガラス板2の光学検査システム1は、コンベアベルト3に配置されている。システム1は、搬送装置として設計され、ガラス板2は、システム1において、適当なホルダ4によって保持される。システム1は、複数の検査モジュール5、6、7を有する。検査モジュール5、6、7は、ガラス板2が、コンベアベルト3上の光学検査システム1を矢印Pの方向に通過すると、検査モジュール5、6、7が被検査ガラス板2を囲むように、コンベアベルト3に配置される。
【0031】
本発明によれば、第1検査モジュール5は、ラスタ光源(raster illumination)及び透過システム(transmission system)を有するモジュールである。このモジュールにおいて、光学的ひずみを判定するため、透過光学系(transmission optics)においてガラス板2の欠陥の検査が行われる。システム1によって自動車用フロントガラスの好ましい検査を行う場合、ガラス板2は、通常、ガラス板2を取り付けた際に運転者が該ガラス板2を通じて見る視野方向において検査が行われる。フロントガラスの場合、これはガラス板の法線に対して約60°の角度である。モアレ技術を用いて、垂直及び水平方向の結像誤差(imaging error)が検査モジュール5によって検知される。
【0032】
被検査ガラス2が通過する第2検査モジュール6は、傷検知のためのモジュールである。ここでは、ガラスの傷、空気含有物(air inclusions)、欠けのような欠陥を光散乱によって検知する。この目的のため、被検査ガラス板2の表面によって散乱された光が検知されて、分析される。物理的な欠陥の大きさ、光散乱への影響、及び欠陥の位置が検知される。この情報は、欠陥の分類及び欠陥の位置の特定に用いられる。この検査において、ガラス板2は、カメラの走査線に対して平行及び垂直に生成される光で照射されることが好ましい。カメラは、ガラス板2上の走査線を通って、光トラップへ向いている。ガラス板2に欠陥がない場合、暗画像が記録される。相互に直交した方向に向いている光によって、ガラス板2に傷や欠陥がある場合、散乱が発生する。この散乱は、光トラップの暗背景の前に配置されたカメラによって容易に検知される。さらに、検査モジュール6は、ガラス板の端部の傷を検査する。
【0033】
3つの検査モジュールのうち最後のモジュールは、透過光システムを有するモジュール7である。これは、吸収欠陥の検査に用いられる。適切な透過測定を行うことによって、ガラス内の含有物による欠陥及びプリントエラー(printing error)が特定される。
【0034】
散乱光及び通風から測定システムを保護し、信頼性を確保するため、検査モジュール5、6、7は、覆われている。
【0035】
各検査モジュール5、6、7で行われる検査は、図1には示されていない独立した評価モジュール8、9、10、11において評価される。評価モジュール8、9、10、11は、検査モジュール5、6、7のハウジングに統合されていてもよいし、例えば、PCとして、独立に設計されていてもよい。
【0036】
システム1において、検査は、順に並べて取り付けられた複数の独立した検査モジュール5、6、7で行われる。各モジュール5、6、7は、検査方法に適合するようになされた被検査ガラス板2の配置を認識し、さらに検査モジュールに設けられたカメラ及び照明を認識する。モジュール5、6、7は、コンベアベルト3上のガラス板2をコンベアベルト3から離間させずに、またコンベアベルト3を停止することなく、コンベアベルト3上のガラス板2が、各モジュール5、6、7を順に通過するように、設計される。
【0037】
以下では、上記の検査を行う方法が、図2のブロック図を参照にして、詳細に説明される。
【0038】
検査の起点は、ラスタ光源及び透過システムを有する検査モジュール5、傷検知のための検査モジュール6、及び透過光システムを有する検査モジュール7における測定であり、それらの目的のために、ガラス板2の画像がカメラによって撮像される。これらの画像は、各検査モジュール5、6、7に対する1以上の独立した評価モジュール8、9、10、11に送られ、該画像は、適当な評価方法によって評価される。
【0039】
検査モジュール5からの画像は、透過光学系における欠陥の検査のための評価モジュール8に送られる。検査モジュール6からの画像は、傷を検査するため評価モジュール9において評価される。
【0040】
透過光システムを有する検査モジュール7の画像は、吸収欠陥の検査のための評価モジュール10及びプリントエラーの検査のための評価モジュール11に同時に送られる。プリントエラー及び他の吸収エラーを特定するために実行される画像評価は異なる評価方法に基づいているので、迅速に検査を行うため、上述の評価を同時に行うことは意味のあることである。これらは、生産工程の一部として、オンラインで実行されてもよい。
【0041】
第1の工程では、まず、ガラス板2の欠陥は、各検査モジュール5、8、7において独立に特定され、それらの特徴(欠陥の種類、位置等)が決定及び/又は測定される。これら各情報は、中央評価ユニット12において蓄積収集される。全ての評価モジュール8〜11からの情報を用いることにより、欠陥の分類を確実に行える。これは、検査モジュール5、6、8を並べて接続しているということによって、各欠陥に対して幅広い種類の情報が利用可能となり、これら情報が評価モジュール8、9、10、11における評価結果と組み合わされるためである。
【0042】
ラスタ光源と透過システムを有する検査モジュール5、傷検知の検査モジュール6及び透過光学系における欠陥の検査を評価する透過光システムを有する検査モジュール7を使用することは、すなわち、傷、吸収欠陥及び可能性の有るプリントエラーを特定するために検査モジュール5、6、7を使用することは、検査方法において合理的な組合せとなる。すなわち、重要となる欠陥の影響及び大きさが、板形状以外、全て決定されるので、ガラス板の製造工程において対象となる全ての変数が確実に決定され、また最も重要な欠陥を確実に見つけられるからである。ガラス板の形状を決定することは、通常、より複雑であり、多くの場合、生産工程の他の段階で測定される。しかしながら、本発明によれば、該システムにおいて、ガラス板形状を測定するモジュールをさらに統合することが速やかに行える。
【0043】
透過光学系における欠陥及び吸収欠陥の検査を行うための関連する評価方法を用いる、ラスタ光源及び透過光システムを有する検査モジュール5、7は理想的な組合せである。すなわち、透過光学系を測定するカメラ及び照明ユニットで構成されるシステムを用いた検査モジュール5において吸収欠陥を特定することは難しく、また透過光システムのための検査モジュール7においてカメラ及び照明ユニットによる構成を用いて、光学特性を決定することはできないからである。同じことが、傷を検知するために用いられるモジュール6についても言える。すなわち、傷が、1による上述の構成を用いても検知されるとは限らない場合でも、そのような傷は、光学特性の測定に影響を与える可能性があるからである。検査モジュール5、6、7を順に並べて接続することによって、重要な情報を全てリンクさせて、高次の評価を行うことが可能となる。この場合、各検査モジュール5、6、7からの情報は、技術的に適当な方法でリンクさせることができる。
【0044】
評価モジュール8、9、10、11は、評価コンピュータシステムの第1段として機能する。この評価コンピュータシステムは、検査モジュール5、6、7と評価モジュール8、9、10、11の検査評価とを、可能な限りの方法で組み合わせるように設計されている。本発明は、特定の検査モジュール5、6、7及び評価モジュール8、9、10、11を有する、ここで示される実施形態に限定されない。可能な限りの方法で異なる検査タスクに適合させることができる。
【0045】
最後の工程では、ガラス板2の全体的な評価13が行われる。この場合、異なる検査モジュール5、6、7からの情報全てが用いられる。この情報としては、欠陥に関する結果及びガラス板2の光学特性に関する完全な情報等が挙げられる。小型システム1において、ガラス板の製造者が注目する変数及び欠陥の全てが得られ、表示可能となる。全体的な評価の好ましい形態では、ガラス板の画像は、ディスプレイに表示され、ガラス板2の光学特性が、例えば、疑似カラー画像によって、示される。また、検知された欠陥は、異なる欠陥分類に対して用いられる、異なる記号によって示される。
【0046】
本発明に係るシステム1及び/又は該システムで実行される方法では、単一のシステムを用いて、ガラス板2の完全な検査を行うことが可能であり、ガラス板2の生産及び品質に関する重要なデータを全て表示可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は、3つの検査モジュールを有する本発明に係るガラス板光学検査システムの全体概略図である。
【図2】図2は、本発明の方法がどのように実行されるかを示すブロック図である。
【符号の説明】
【0048】
1…ガラス板光学検査システム 2…ガラス板
3…搬送装置、コンベアベルト 4…ホルダ
5…ラスタ光源及び透過システムを有する検査モジュール
6…傷検知用検査モジュール
7…透過光システムを有する検査モジュール
8…透過光学系における欠陥検査用評価モジュール
9…傷検査用評価モジュール
10…吸収欠陥検査用評価モジュール
11…プリントエラー検査用評価モジュール
12…中央評価ユニット 13…全体評価
P:搬送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス板(2)を移動する搬送装置(3)と、
前記ガラス板(2)を照光して撮像する照明装置及びカメラを有する第1検査モジュール(5、6、7)と、
前記第1検査モジュール(5、6、7)と接続され、前記ガラス板(2)の画像を評価する第1評価モジュール(8、9、10、11)と、
を備えたガラス板(2)の光学検査システムであって、
前記光学検査システムは、さらに、前記ガラス板(2)を照光して撮像する照明装置及びカメラを有する第2検査モジュール(5、6、7)と、前記第2検査モジュール(5、6、7)と接続され、前記ガラス板(2)の画像を評価する第2評価モジュール(8、9、10、11)と、を少なくとも備え、
前記第1検査モジュール(5、6、7)及び前記第2検査モジュール(5、6、7)の前記照明装置及び/又は前記カメラは、異なる設計であり、及び/又は前記ガラス板(2)に対して異なる場所に配置され、前記ガラス板(2)は、前記搬送装置によって前記検査モジュール(5、6、7)を通過することを特徴とするガラス板光学検査システム。
【請求項2】
請求項1記載のガラス板光学検査システムにおいて、前記評価モジュール(8、9、10、11)の下流側に接続された中央評価ユニット(12)をさらに備えたことを特徴とするガラス板光学検査システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載のガラス板光学検査システムにおいて、少なくとも3つの検査モジュール(5、6、7)が設けられ、各検査モジュール(5、6、7)は、割り当てられた評価モジュール(8、9、10、11)を有することを特徴とするガラス板光学検査システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス板光学検査システムにおいて、前記検査モジュールは、ラスタ光源及び透過システムを有するモジュール(5)、ラスタ光源及び反射システムを有するモジュール、透過光システムを有するモジュール(7)、傷検知用システムを有するモジュール(6)、及び/又は、ガラス板形状を測定するモジュールであることを特徴とするガラス板光学検査システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラス板光学検査システムにおいて、1つの検査モジュール(5、6、7)において、少なくとも1つのカメラが、前記検査モジュールの前記照明装置の光が届かない暗視野に設けられることを特徴とするガラス板光学検査システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラス板光学検査システムにおいて、1つの検査モジュール(5、6、7)において、カメラは、ステレオ配置で取り付けられていることを特徴とするガラス板光学検査システム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のガラス板光学検査システムにおいて、1以上又は全ての検査モジュール(5、6、7)は、前記ガラス板(2)が該検査モジュール(5、6、7)を通過する際、前記ガラス板(2)を測定するように設定されていることを特徴とするガラス板光学検査システム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のガラス板光学検査システムにおいて、前記ガラス板は、自動車用ガラス板(2)であることを特徴とするガラス板光学検査システム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のガラス板光学検査システムにおいて、1つの検査モジュール(5)において、前記カメラは、前記ガラス板(2)に対して傾斜して配置され、他の検査モジュール(6、7)において、前記カメラは、前記ガラス板(2)に対して垂直に配置されることを特徴とするガラス板光学検査システム。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のガラス板光学検査システムにおいて、前記検査モジュール(5、6、7)は、独立したユニットとして設計され、前記搬送装置(3)に沿って順に配置されることを特徴とするガラス板光学検査システム。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のガラス板光学検査システムにおいて、1つの検査モジュール(5、6、7)は、入射光及び/又は通気用空気流から保護されていることを特徴とするガラス板光学検査システム。
【請求項12】
ガラス板(2)を移動して、第1検査モジュール(5、6、7)を通過させる工程と、通過させている間に、前記ガラス板(2)を照光し、カメラを用いて撮像する工程と、これら画像を、第1評価モジュール(8、9、10、11)において、第1評価方法を用いて評価する工程と、を備えた特に請求項1〜9のいずれか1項に記載のシステム(1)を用いたガラス板(2)光学検査方法であって、
前記ガラス板光学検査方法は、前記ガラス板(2)を移動して、少なくとも第2検査モジュール(5、6、7)を通過させる工程と、通過させている間に、前記ガラス板(2)を照光し、カメラを用いて撮像する工程と、これら画像を、第2評価モジュール(8、9、10、11)において、前記第1評価方法と異なる第2評価方法を用いて評価する工程とを、さらに備えたことを特徴とするガラス板光学検査方法。
【請求項13】
請求項12記載のガラス板光学検査方法において、前記ガラス板(2)を移動させて、少なくとも3つの検査モジュール(5、6、7)を通過させ、少なくとも3つの評価方法を用いることを特徴とするガラス板光学検査方法。
【請求項14】
請求項12又は13記載のガラス板光学検査方法において、1つの検査ユニット(7)によって撮像された画像は、複数の評価方法で評価されることを特徴とするガラス板光学検査方法。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれか1項に記載のガラス板光学検査方法において、用いられる前記評価方法は、透過及び/又は反射光学系における前記ガラス板(2)の光学欠陥の検査、吸収欠陥の検査、傷の検査、エッジ欠陥の検査、及び/又は前記ガラス板形状及び/又は前記ガラス板形状の経路(course)の測定、であることを特徴とするガラス板光学検査方法。
【請求項16】
請求項12〜15のいずれか1項に記載のガラス板光学検査方法において、ある評価方法において画像処理を行う際、特定の規準に基づいて、前記ガラス板(2)の非検査領域が認識されることを特徴とするガラス板光学検査方法。
【請求項17】
請求項12〜16のいずれか1項に記載のガラス板光学検査方法において、前記ガラス板(2)は、前記検査モジュール(5、6、7)を通過する際、撮像されることを特徴とするガラス板光学検査方法。
【請求項18】
請求項12〜17のいずれか1項に記載のガラス板光学検査方法において、複数の前記評価方法の結果は、中央評価ユニット(12)において蓄積収集されることを特徴とするガラス板光学検査方法。
【請求項19】
請求項18記載のガラス板光学検査方法において、複数の前記評価方法の結果は、関連付けられ、複数の検査モジュール(5、6、7)によって得られた結果に基づいて、高次の評価が行われることを特徴とするガラス板光学検査方法。
【請求項20】
請求項18又は19記載のガラス板光学検査方法において、前記ガラス板(2)の完全で全体的な評価(13)は、全ての検査モジュール(5、6、7)からの結果に基づいて決定され、該評価(13)は、表示されることを特徴とするガラス板光学検査方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−512839(P2009−512839A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535956(P2008−535956)
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【国際出願番号】PCT/EP2006/010007
【国際公開番号】WO2007/045437
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(506280948)イスラ ヴィズィオーン アーゲー (5)
【Fターム(参考)】