キノリン誘導体
本発明は、活性CLK-1阻害剤である新規なキノリン誘導体に関する。より具体的には、本発明のCLK-1阻害剤は、式(A)の化合物である。本発明はまた、そのような化合物を含む薬学的組成物と、CLK-1の阻害が有益である障害またはそれに伴う症候の予防および/または処置のための方法とに関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、CLK-1阻害剤としての新規なキノリン誘導体に関する。より具体的には、本発明は、CLK-1阻害剤としての新規なキノリン誘導体またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグならびにそれらを含む薬学的組成物ならびにCLK-1の阻害が有益である障害またはその関連症候の予防および/または処置の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
clk-1およびCLK-1の役割
clk-1遺伝子は、真核生物の中で保存される21kDaミトコンドリアタンパク質をコードし、マウス配列とヒト配列との間で配列同一性が85%であり、線虫 (Caenorhabditis elegans)の相同配列とでは50%である。CLK-1は、ユビキノン生合成の最後の工程の一つに参与し、デメトキシユビキノン(DMQ)ヒドロキシル化を担う。CLK-1が不活性である突然変異体は、検出可能な量のユビキノン(Q)を合成せず、むしろ、DMQを蓄積する(Miyadera et al. 2001)。
【0003】
Qは、細胞中で数多くの機能を有する。Qは、内部ミトコンドリア膜、血漿膜およびリソソーム膜中の電子輸送に関与する。また、いくつかの細胞酵素(たとえば、核酸生合成に必要であるジヒドロオロテートデヒドロゲナーゼ)ならびに他のタンパク質および複合体、たとえば代謝熱発生を制御するミトコンドリア脱共役性タンパク質(UCP)およびプログラム細胞死を制御するミトコンドリア透過性移動孔(MPTP)の補因子である。
【0004】
DMQは、ユビキノンよりも非効率的ではあるが、電子を輸送することができるキノンである。clk-1相同体(mclk-1)がノックアウトされているマウス胚もまたDMQを蓄積し、生存可能ではないが(Levavasseur et al. 2001)、mclk-1に対してヘテロ接合性のマウスは、増大した寿命表現型を示す。マウスノックアウト中のCLK-1のトランスジェニック発現は致死性表現型を救出し、ユビキノン合成を可能にする(Nakai et al. 2004)。興味深いことに、成長が遅いcoq7(酵母clk-1)酵母突然変異体中の線虫CLK-1の非相同的発現は機能的であり、酵素緩徐成長表現型を救出する(Ewbank et al. 1997)。総じて、これらの観測は、CLK-1が、研究された生物体中の唯一のDMQヒドロキシラーゼであり、CLK-1活性のための機能代償的機構がないということを示す。
【0005】
線虫では、CLK-1活性の減少はまた、寿命の延長と解釈される。寿命は、蠕中生理学における変動を積算し、環境の合図および遺伝子突然変異に高感度である蓄積表現型である。そのようなものとして、寿命を延ばす条件は、多くの場合、有益であるとみなされる。たとえば、好ましい修復対損傷の均衡は、寿命の延びによって顕著に表れる(Hekimi et al. 2001)。
【0006】
年齢関連の障害
年齢関連の疾病とは、発症率および/または罹患率が年齢とともに増大する疾病をいう。これらの疾病は、たとえば、癌、脳血管疾患(脳卒中)、神経変性疾患、肺炎、呼吸器疾患、関節炎、心臓病、糖尿病、聴覚障害、視覚障害および腎臓病を含む。
【0007】
CLK-1活性および年齢関連の障害
CLK-1活性の阻害は、マウスおよび線虫において同様な寿命延長効果を有する。これは、CLK-1生物学的活性と生理学的加齢プロセスとの因果関係を強く示す。生理学的加齢が数多くの疾病、いわゆる年齢依存性疾患にとって危険因子であるということが一般に認められている。このような疾病の多くは致命的であり、寿命を制限する。mclk1+/-ヘテロ接合体中でマウスCLK1 (mCLK1)タンパク質のレベルが半分に減ると(Levavasseur et al., 2001)、それらのマウスの平均、中央値および最大寿命が延びるということが三つの異なる実験で示されている。各実験は、異なる遺伝子的背景(129SV/j、C57BL/6および129SV/j×Balb/c)で実施されている(Liu et al., 2005)。これらの背景のマウスは、背景ごとにパターンが異なる多様な年齢依存性疾病で死亡することが知られている(Blackwell et al., 1995; Cosgrove et al., 1978、Frith et al., 1983; Smith et al., 1973)。三つの実験すべてで、野生型マウスおよび突然変異体マウスの大部分が、遺伝子型(mclk1+/+またはmclk1+/-)に典型的な比較的短い期間内に死亡する(Liu et al., 2005)。mclk1減少が異なる遺伝子的背景で作用し、最大および中央値寿命が延びるという事実は、致死のすべてまたは大部分の原因がこの減少によって部分的に抑制されたということを示す。実際、寿命の単一の原因が遺伝子操作、たとえば癌によって影響される場合、寿命はごくわずかしか延びないか、全く延びない(Matheu et al., 2004; Miller, 2005)。対照的に、生理学的加齢を減速させることが知られている操作、たとえばカロリー制限および成長ホルモンシグナル伝達の減少は、年齢依存性疾患の発症率を下げる(Bartke, 2005; Berrigan et al., 2002; Hursting et al., 2004)。そのうえ、加齢プロセスが加速された動物は、疾病の罹患率増大および早期発症を示す(Fenton et al., 2004; Takeda et al., 1997)。これらの観測が、寿命に対するclk-1/mclk1の影響の進化的保存と相まって(Liu et al., 2005)、mCLK1活性の減少が生理学的加齢を減速させること、ひいては、CLK-1の阻害が年齢依存性疾病の発症および重篤度を遅らせることができることを示す。生理学的加齢を減速させることが、多様な疾病の発症率および重篤度を下げるのに最良の方法であるということが十分に認識されている(Finkel, 2005; Miller, 2005)。
【0008】
したがって、CLK-1阻害剤として有用である薬品を使用することによるCLK-1の阻害が、年齢関連の疾病の予防または減少につながる。
【0009】
キノリン誘導体
キノリン誘導体のタイプの化合物は、神経変性病状、特に酸化性ストレスに関連するまたはそれによって促進される病状の処置、軽減および/または予防に使用するためにCA2.493.536 A1、US2006/0074104 A1およびWO2004/087160 A1に開示されている。考えられる神経学的障害は、認知障害、たとえば認知症前状態もしくは軽度認知障害または記憶損失につながる病状を含む。
【0010】
上述のキノリン誘導体は、有用な酸化性ストレス制御因子であることが示されているが、それらは、主に金属キレート化を介してそれらの治療効果を発揮するものと記載されている。類似した化合物を使用して、CLK-の阻害が有益である年齢関連の障害を予防および/または処置することができることを示す従来技術参考文献は今日まで知られていない。
【0011】
これに関連して、本発明者らは、CLK-1を阻害するのに有効である新たなファミリーの化合物を開発した。このような化合物は、年齢関連の障害ならびに虚血・再灌流傷害および炎症性障害に対して有効である。
【発明の概要】
【0012】
概要
したがって、本発明の目的は、CLK-1阻害活性を有する式Aの新規なキノリン誘導体を提供することである。
【0013】
より具体的には、本発明は、以下に定義する式Aの化合物またはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグに関する:
式中、
X=H、メチルまたはハロゲンであり、置換基R1およびR2は、以下のように定義される:
a) R2が水素である場合、R1は、Hもしくはハロゲンであるか、またはR1は、アミノ(3,4-ジメトキシフェニル)メチル、2-ヒドロキシフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、4-ジメチルアミノフェニル、ピリジン-4-イル、2-メトキシピリジン-3-イルおよび2-アセトアミドフェニルからなる群より選択され;または、
R1は、-CH(R3)NR4R5であり、その場合、
・R4=HもしくはC1〜C4アルキルであり;
・R5=Hもしくは
であり;かつR6は、C1〜C6アルキル、C5〜C6アリール、ベンジル、ジメチルアミノメチル、フェニルエチルおよびジフェニルメチルからなる群より選択され;ならびに
・R3は、H、メチル、フェニル、ベンジル、2-クロロフェニル、2-メトキシフェニル、4-クロロフェニル、4-メチルフェニル、4-イソプロピルフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、4-メトキシフェニル、4-シアノフェニル、4-ジメチルアミノ-フェニル、4-ジエチルアミノ-フェニル、2,4-ジクロロフェニル、3,4-ジメトキシフェニル、4-メトキシカルボニルフェニル、3-メトキシカルボニルフェニル、N-メチルベンズアミド、N-(3-メトキシプロピル)ベンズアミド、N,N-ジメチルベンズアミド、4-(モルホリン-4-イルカルボニル)フェニル、4-(ピリジン-2-イル)フェニル、4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、6-(モルホリン-4-イル)ピリジン-3-イル、2-フリル、3-フリル、2-(モルホリン-4-イル)ピリジン-3-イル、2-メトキシピリジン-3-イル、4-メトキシピリジン-3-イル、2-チエニル、2-ブチル-1H-イミダゾール-4-イル、キノリン-3-イル、キノリン-4-イル、8-ヒドロキシキノリン-2-イル、1H-インドール-3-イル、1H-インドール-4-イルおよび1H-インドール-7-イルからなる群より選択され;または、
R1は、
であり、R7は、-(CH2)n-R8であり、ここで、R8は、一つまたは二つのメトキシル基によって置換されてもよいC5〜C6アリールであり、n=0または1であり;あるいは
b) XおよびR1がいずれも水素原子を表す場合、R2は、ピリジン-2-イルカルボキサミド、ピリジン-2-イルアセトアミド、3-ヒドロキシフェニルアセトアミド、4-ヒドロキシフェニルアセトアミド、((2-メトキシフェニル)アミノ)メチル、((3-メトキシフェニル)アミノ)メチル、((3-メトキシベンジル)アミノ)メチル、2-チエニルアセトアミドおよび((2-チエニルメチル)アミノ)メチルからなる群より選択され;
ただし、式Aの化合物それぞれは、添付1で同定された化合物の一つではない。
【0014】
本発明の式Aの化合物は、少なくとも一つの不斉中心を含む場合、鏡像異性体のようなそれらの光学活性異性体の一つまたはそれらの混合物、たとえばラセミ化合物の形態にある。
【0015】
本発明はまた、以下の段階を含む、細胞におけるCLK-1活性を阻害するための方法に関する:
a) CLK-1活性を阻害する必要のある細胞を提供する段階、
b) 該細胞を、以下に定義する式(B):
の化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグと接触させる段階であって、
式中、X、R1およびR2は、先に述べたものと同じ定義を有し、
式(B)の化合物が、少なくとも一つの不斉中心を含む場合、その光学活性異性体の一つまたはそれらの混合物の形態にある、段階、ならびに
c) 該細胞におけるCLK-1活性を測定する段階。
【0016】
本発明はまた、以下の段階を含む、動物における、CLK-1の阻害が有益である障害またはそれに伴う症候の予防および/または処置のための方法に関する:
a) CLK-1の阻害が有益である障害を有する動物を特定する段階、および
b) 該動物に、式(B)の化合物、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグを投与する段階。
【0017】
本発明はまた、本発明の式Aの化合物、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグおよび少なくとも一つの薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物に関する。
【0018】
本発明はさらに、CLK-1活性を完全または部分的に効果的に減少および/または阻害するための、薬学的有効量の先に定義した式AまたはBの化合物、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグおよび少なくとも一つの薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】CLK-1阻害剤による処理後のキノンプロフィールにおけるDMQの誘発を示すHPLCプロフィール。マウスマクロファージ(RAW264.7)を、a)不活性化合物またはb)活性化合物135 (1μM)で24時間処理した後、続いて細胞溶解およびキノンのヘキサン/エタノール抽出を実施した。UV検出を有するHPLCでメタノール/エタノール勾配を用いて試料を流し、ユビキノン(Q)およびその前駆体デメトキシユビキノン(DMQ)のレベルを測定した。
【図2】a) DMSOまたはb)化合物7 10μMで処理されたRAW264.7細胞中の相対的キノンピークを示すHPLCプロフィール(Q:ユビキノン、DMQ:デメトキシユビキノン)。
【図3】a) 1μMまたはb) 3μMの化合物23で処理されたRAW264.7細胞中の相対的キノンピークを示すHPLCプロフィール(Q:ユビキノン、DMQ:デメトキシユビキノン)。
【図4】a) 5μMまたはb) 10μMの化合物69で処理されたRAW264.7細胞中の相対的キノンピークを示すHPLCプロフィール(Q:ユビキノン、DMQ:デメトキシユビキノン)。
【図5】a) 5μMまたはb) 10μMの化合物47で処理されたRAW264.7細胞中の相対的キノンピークを示すHPLCプロフィール(Q:ユビキノン、DMQ:デメトキシユビキノン)。
【図6】a) 5μMまたはb) 10μMの化合物53で処理されたRAW264.7細胞中の相対的キノンピークを示すHPLCプロフィール(Q:ユビキノン、DMQ:デメトキシユビキノン)。
【図7】CLK-1阻害剤の特異性。a)マウスCLK-1 (JF496-mclk1試験システム)およびb)バクテリアDMQヒドロキシラーゼUbiF (JF496-ubiF試験システム)に対する化合物7の効果。a)マウスCLK-1およびb)バクテリアDMQヒドロキシラーゼUbiFを発現するJF496バクテリアを、化合物7で5時間処理した。HPLCを使用してキノンを抽出し、分析した。HPLCトレースは、ユビキノン(Q)合成が低下するのに伴ってデメトキシユビキノン(DMQ)が増大しているように、CLK-1活性が7によって阻害されることを示す。それとは対照的に、UbiF活性は影響を受けず、Qは、検出される主要なキノン種である。これは、化合物7が特異的CLK-1阻害活性を有することを示す。
【図8】CLK-1阻害剤の特異性。a)マウスCLK-1 (JF496-mclk1試験システム)およびb)バクテリアDMQヒドロキシラーゼUbiF (JF496-ubiF試験システム)に対する化合物52の効果。a)マウスCLK-1およびb)バクテリアDMQヒドロキシラーゼUbiFを発現するJF496バクテリアを化合物52で5時間処理した。HPLCを使用してキノンを抽出し、分析した。HPLCトレースは、ユビキノン(Q)合成が低下するのに伴ってデメトキシユビキノン(DMQ)が増大しているように、CLK-1活性が52によって阻害されることを示す。それとは対照的に、UbiF活性は影響を受けず、Qは、検出される主要なキノン種である。これは、化合物52がCLK-1特異的阻害活性を有することを示す。
【図9】CLK-1阻害剤(7および135)のROS低下効果。(A)マウスマクロファージ細胞中のCLK-1阻害剤のキノンプロフィールを示す表、(B) CLK-1阻害剤とでプレインキュベートした細胞を、細胞ROSによって酸化されると緑の蛍光を発する蛍光マーカDCFで処理した。細胞中にROSを誘発するためにH2O2が使用され、CLK-1阻害剤によって観測された減少が対照に対する割合として示され、(C)細胞核から漏れるDNAの蛍光テールを使用して、ROSによって誘発されたDNA損傷を計測するCOMETアッセイ。ここでもまた、ROSを誘発するためにH2O2が使用され、データは、テールを有する細胞の、対照に比較した場合の割合として表されている。CLK-1阻害剤の存在でコメットを示す細胞の減少率(全細胞の%)が示されている。
【図10】虚血・再灌流のラットモデルにおける血清クレアチニンレベルに対する化合物7または52の効果。
【図11】虚血・再灌流のラットモデルにおける血中尿素窒素(BUN)レベルに対する化合物7または52の効果。
【図12】虚血・再灌流のラットモデルにおけるクレアチニンクリアランスに対する化合物7または52の効果。
【図13】虚血・再灌流のラットモデルにおける尿タンパク質濃度(g/L)に対する化合物7または52の効果。
【図14】リポ多糖(LPS)誘発肺傷害のあるラットにおけるリポキシゲナーゼ(LPO)レベルに対する化合物7の効果。
【図15】LPS誘発肺傷害のあるラットにおけるタンパク質含量に対する化合物7の効果。
【図16】LPS誘発肺傷害のあるラットにおける全細胞および好中球レベルに対する化合物7の効果。
【図17】LPS誘発肺傷害のあるラットにおけるTNF-αレベルに対する化合物7の効果。
【図18】TBS分画中、hAPP751SLトランスジェニックマウスにおけるELISAによって測定された可溶性Aβ1-40に対する様々な投与量の化合物138による処置の効果。
【図19】TBS分画中、hAPP751SLトランスジェニックマウスにおけるELISAによって測定された可溶性Aβ1-42に対する様々な投与量の化合物138による処置の効果。
【図20】Triton X-100分画中、hAPP751SLトランスジェニックマウスにおけるELISAによって測定された可溶性Aβ1-40に対する様々な投与量の化合物138による処置の効果。
【図21】Triton X-100分画中、hAPP751SLトランスジェニックマウスにおけるELISAによって測定された可溶性Aβ1-42に対する様々な投与量の化合物138による処置の効果。
【図22】FA分画中、hAPP751SLトランスジェニックマウスにおけるELISAによって測定された結合Aβ1-40に対する様々な投与量の化合物138による処置の効果。
【図23】FA分画中、hAPP751SLトランスジェニックマウスにおけるELISAによって測定された結合Aβ1-42に対する様々な投与量の化合物138による処置の効果。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明の詳細な説明
本発明は、CLK-1阻害活性を提示する、以下に定義する式Aのキノリン誘導体からなる新たなクラスの化合物の予想外の発見を生み出した。
【0021】
定義
本明細書で使用する「薬学的に許容される塩」とは、過度な毒性、刺激またはアレルギー反応を生じさせることなくヒトおよび下等動物の組織と接触させて使用するのに適し、妥当な危険/利益比に見合う本発明の化合物の任意の塩を含むことを意味する。薬学的に許容される塩は当技術分野で周知である(Pharmaceutical Salts Properties, Selection, and Use, Stahl, P. Heinrich / Wermuth, Camille G. (eds.), 2002. Monograph −ISBN3-906390-26-8− Verlag Helvetica Chimica Acta, Zurich)。塩は、本発明の化合物の最終的な単離および精製中インサイチューで調製することもできるし、本発明の化合物の遊離塩基官能基を適当な酸と反応させることにより、または、本発明の化合物の遊離酸官能基を適当な塩基、たとえば薬理的に許容可能な金属カチオンの水酸化物、カーボネートまたはバイカーボネートと反応させることにより、別々に調製することもできるが、これらに限定されない。薬学的に許容される酸付加塩は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、ジグルコン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミスルホン酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、プラモエート、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、グルタミン酸塩、炭酸水素塩、p-トルエンスルホン酸塩およびウンデカン酸塩を含むが、これらに限定されない。また、塩基性窒素含有基は、ハロゲン化アルキル、たとえば塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、プロピル;およびブチル、硫酸ジアルキル、たとえば硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチルおよびジアミル;長鎖ハロゲン化物、たとえば塩化、臭化およびヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル;ならびにハロゲン化アリールアルキル、たとえば臭化ベンジルおよびフェニルエチルのような薬剤で第四級化することができる。薬学的に許容される塩はまた、アルカリ金属またはアルカリ土類金属系のカチオン、たとえばアルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム塩等を含むが、これらに限定されない。
【0022】
本明細書で使用する「プロドラッグ」とは、インビボに投与されると、代謝または他の方法によって、たとえば血液中での加水分解によって生物学的、薬学的または治療的に活性な親化合物形態に転換される化合物である。プロドラッグを製造するためには、薬学的に活性な化合物を、代謝プロセスによって活性化合物が再生されるように改質する。プロドラッグは、薬の代謝安定性または輸送特性を変化させる(バイオアベイラビリティの改善を含む)、副作用または毒性を隠蔽する、薬の味を改良する、または薬の他の特徴もしくは性質を変化させるように設計することもできる。インビボでの薬力学的プロセスおよび薬物代謝の知識のおかげで、当業者は、ひとたび薬学的に活性な化合物が知られるならば、該化合物のプロドラッグを設計することができる。
【0023】
本発明はまた、式AまたはBを有する化合物のインビボ転換によって形成される代謝産物を考慮する。用語「代謝産物」とは、酸化、還元、加水分解または接合による、式AまたはBを有する化合物のインビボ生体内変換によって形成される化合物をいう。
【0024】
本明細書で使用する用語「アルキル」とは、直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基およびシクロアルキル(脂環式)基を含む、飽和脂肪族基をいう。
【0025】
本明細書で使用する用語「アリール」は、0〜4個のヘテロ原子(S、N、O)を含むことができる5員および6員の単環芳香族基、たとえば非置換または置換されたベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジン等を含む。
【0026】
本明細書で使用する用語「ハロゲン」は、F、Cl、BrまたはIを指す。
【0027】
本明細書で使用する用語「光学活性異性体」は、請求項に係わる化合物の、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、ラセミ化合物またはそれらの混合物をはじめとし、それらに限定されない任意の異性形態を指す。
【0028】
「薬学的に許容される担体」とは、組成物、すなわち式Aの化合物の有効成分の生物学的活性の有効性を妨害せず、ホストまたは患者に対して毒性ではない担体をいう。さらには、担体は、有利には、処置対象の免疫システムによって拒絶される可能性がきわめて低い化合物である。適当な担体は、当業者には一般的な知識であり、さらに詳細には説明しない。
【0029】
本発明で使用する用語「処置」とは、CLK-1の阻害が有益である障害またはそれに伴う症候が軽減または完全に解消されるプロセスをいう。たとえば、本発明の化合物を適当な剤形および適当な用量で疾病の高い危険性または早期段階にある患者に与えることにより、障害またはそれに伴う症候のそのような処置を軽減または完全に解消することができることを理解することができる。
【0030】
本明細書で使用する用語「予防」は、年齢関連の障害をはじめとし、それに限定されない障害またはそれに伴う症候が妨害、遅延または阻止されるプロセスをいう。
【0031】
本明細書で使用する語句「CLK-1の阻害が有益である障害」とは、CLK-1の阻害が有益であることが知られている、または予測される障害またはそれに伴う症候をいう。より具体的には、この語句は、CLK-1の阻害によって軽減または解消される障害またはそれに伴う症候をいう。さらに具体的には、この語句は、非限定的に、炎症性障害、酸化ストレスおよび/またはフリーラジカル誘発損傷によって発生または増悪する障害、たとえばROS媒介疾病、たとえば低酸素/再酸素化傷害および虚血/再灌流傷害をいう。この語句はまた、年齢関連の傷害を包含する。
【0032】
本明細書で使用する語句「年齢関連の障害」とは、発症率および/または罹患率が年齢とともに増大する障害、たとえば、非限定的に、心臓血管病、たとえばアテローム硬化症、冠状動脈疾患および脳卒中;末梢血管疾患;代謝障害、たとえばII型糖尿病、異脂肪血症および高トリグリセリド血症;癌、たとえば皮膚癌、乳頭腫および年齢依存性癌;虚血/再灌流傷害、たとえば腎、心、脳虚血および放射性造影剤誘発腎障害;炎症;神経変性障害および認知症、たとえばアルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、記憶障害および精神病;膀胱および腎障害、たとえば腎炎、腎障害、末期腎疾患(ESRD)、糖尿病合併症、たとえば腎障害、創傷治癒障害および網膜疾患;眼の障害、年齢関連の黄斑変性症、ドライアイ、緑内障、色素性網膜炎および白内障、肺および呼吸障害、たとえば慢性閉塞性肺疾患(COPD)および突発性肺繊維症(IPF);筋骨格障害、たとえば炎症性関節炎、痛風および骨粗しょう症;ならびに皮膚症状、たとえば皮膚癌および皮膚老化、たとえばフォトエージングをいう。
【0033】
本発明で使用する用語「炎症」とは、組織の傷害または破壊によって誘発されて、傷害性因子および傷害組織を共に破壊、希釈または隔離するように作用する局所的防護反応であって、急性の形態では、一般的な一連の痛み、熱、赤み、腫れおよび機能損失を特徴とし、組織学的には、複雑な一連の事象、たとえば、透過性および血流の増大、血漿タンパクを含む流体の滲出ならびに炎症点への白血球の移動を伴う細動脈、毛細血管および細静脈の拡張を含む局所的防護反応を意味する。また、TNF-αの大量放出をも特徴とする。
【0034】
本明細書で使用する語句「虚血/再灌流傷害」とは、たいていは不十分な栄養および酸素の影響のせいで血流を奪われた場合に組織および臓器がこうむる症状をいう。再灌流傷害とは、一般には約10分を超える虚血期間後に血流が回復したときにこうむる組織損傷をいう。虚血および再灌流は、罹患組織に深刻な損傷または致命的な損傷を生じさせるおそれがある。
【0035】
本発明のキノリン誘導体は、以下の一般式(A)を有する化合物または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグである:
式中、
X=H、メチルまたはハロゲンであり、置換基R1およびR2は、以下のように定義される:
a) R2が水素である場合、R1は、Hもしくはハロゲンであるか、またはR1は、アミノ(3,4-ジメトキシフェニル)メチル、2-ヒドロキシフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、4-ジメチルアミノフェニル、ピリジン-4-イル、2-メトキシピリジン-3-イルおよび2-アセトアミドフェニルからなる群より選択され;または、
R1は、-CH(R3)NR4R5であり、その場合、
・R4=HもしくはC1〜C4アルキルであり;
・R5=Hもしくは
であり;かつR6は、C1〜C6アルキル、C5〜C6アリール、ベンジル、ジメチルアミノメチル、フェニルエチルおよびジフェニルメチルからなる群より選択され;ならびに
・R3は、H、メチル、フェニル、ベンジル、2-クロロフェニル、2-メトキシフェニル、4-クロロフェニル、4-メチルフェニル、4-イソプロピルフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、4-メトキシフェニル、4-シアノフェニル、4-ジメチルアミノ-フェニル、4-ジエチルアミノ-フェニル、2,4-ジクロロフェニル、3,4-ジメトキシフェニル、4-メトキシカルボニルフェニル、3-メトキシカルボニルフェニル、N-メチルベンズアミド、N-(3-メトキシプロピル)ベンズアミド、N,N-ジメチルベンズアミド、4-(モルホリン-4-イルカルボニル)フェニル、4-(ピリジン-2-イル)フェニル、4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、6-(モルホリン-4-イル)ピリジン-3-イル、2-フリル、3-フリル、2-(モルホリン-4-イル)ピリジン-3-イル、2-メトキシピリジン-3-イル、4-メトキシピリジン-3-イル、2-チエニル、2-ブチル-1H-イミダゾール-4-イル、キノリン-3-イル、キノリン-4-イル、8-ヒドロキシキノリン-2-イル、1H-インドール-3-イル、1H-インドール-4-イルおよび1H-インドール-7-イルからなる群より選択され;または、
R1は、
であり、R7は、-(CH2)n-R8であり、ここで、R8は、一つまたは二つのメトキシル基によって置換されてもよいC5〜C6アリールであり、n=0または1であり;あるいは
b) XおよびR1がいずれも水素原子を表す場合、R2は、ピリジン-2-イルカルボキサミド、ピリジン-2-イルアセトアミド、3-ヒドロキシフェニルアセトアミド、4-ヒドロキシフェニルアセトアミド、((2-メトキシフェニル)アミノ)メチル、((3-メトキシフェニル)アミノ)メチル、((3-メトキシベンジル)アミノ)メチル、2-チエニルアセトアミドおよび((2-チエニルメチル)アミノ)メチルからなる群より選択され;
ただし、式(A)の化合物それぞれは、添付1で同定された化合物の一つではない。
【0036】
少なくとも一つの不斉中心を含む本発明の式(A)の化合物は、それらの鏡像異性体の一つまたはそれらの混合物のいずれかの形態にある。
【0037】
さらに好ましくは、式(A)の化合物は、R4が、Hまたはメチルであり、R6が、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、ter-ブチル、フェニル、ベンジル、ジメチルアミノメチル、フェニルエチル、シクロヘキシル、ジフェニルメチル、ピリジン-2-イルおよびピリジン-3-イルより選択され、他の置換基が先に定義と同じ意味を有している化合物である。
【0038】
もう一つの好ましい態様にしたがって、式(A)の化合物は下記からなる群より選択される:
N-((3,4-ジメトキシフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)アセトアミド 2、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)ベンズアミド 3、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-N-メチルアセトアミド 8、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-2,2-ジフェニルアセトアミド 11、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-2-フェニルアセトアミド 12、
7-(アミノ(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-オール 13、
N-(1-(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)-2-フェニルエチル)アセトアミド 14、
N-((2-ブチル-1H-イミダゾール-4-イル)(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)アセトアミド 15、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(2-メトキシピリジン-3-イル)メチル)アセトアミド 16、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(キノリン-4-イル)メチル)アセトアミド 17、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(2-モルホリン-4-イルピリジン-3-イル)メチル)-アセトアミド 18、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(キノリン-3-イル)メチル)アセトアミド 19、
4-((アセチルアミノ)(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)安息香酸メチル 21、
3-((アセチルアミノ)(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)安息香酸メチル 22、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-シアノフェニル)メチル)アセトアミド 23、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-ピリジン-2-イルフェニル)メチル)アセトアミド 24、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニル)メチル)アセトアミド 25、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-ヒドロキシフェニル)メチル)アセトアミド 26、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3-ヒドロキシフェニル)メチル)アセトアミド 27、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(6-メトキシピリジン-3-イル)メチル)アセトアミド 28、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(ピリジン-2-イル)メチル)アセトアミド 29、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(ピリジン-4-イル)メチル)アセトアミド 30、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(ピリジン-4-イル)メチル)アセトアミド塩酸塩 31、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(ピリジン-3-イル)メチル)アセトアミド 32、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(ピリジン-3-イル)メチル)アセトアミド塩酸塩 33、
N-((5-クロロ-8 ヒドロキシキノリン-7-イル)(8-ヒドロキシキノリン-2-イル)メチル)アセトアミド 34、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(6-モルホリン-4-イルピリジン-3-イル)メチル)-アセトアミド 35、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(1H-インドール-3-イル)メチル)アセトアミド 36、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(1H-インドール-4-イル)メチル)アセトアミド 37、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(1H-インドール-7-イル)メチル)アセトアミド 38、
4-((アセチルアミノ)(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)-N,N-ジメチル-ベンズアミド 39、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-(モルホリン-4-イルカルボニル)フェニル)メチル)-アセトアミド 40、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-カルボキサミド 41、
4-((アセチルアミノ)(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)-N-(3-メトキシプロピル)-ベンズアミド 44、
4-((アセチルアミノ)(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)-N-メチルベンズアミド 45、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-N,N-ジメチル-グリシンアミド 46、
N-(1-(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)エチル)アセトアミド 47、
N-((8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)アセトアミド 48、
N-(2-フリルメチル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 53、
N-(2-チエニルメチル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 54、
N-(2-メトキシベンジル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 55、
5-クロロ-7-(3-ヒドロキシフェニル)キノリン-8-オール 57、
5-クロロ-7-(4-ヒドロキシフェニル)キノリン-8-オール 58、
N-(2-(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)フェニル)アセトアミド 59、
5-クロロ-7-(2-メトキシピリジン-3-イル)キノリン-8-オール 61、
5-クロロ-7-ピリジン-4-イルキノリン-8-オール塩酸塩 62、
N-(3,4-ジメトキシフェニル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 63、
N-(3-メトキシフェニル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 64、
N-(3-メトキシベンジル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 65、
N-(3,4-ジメトキシベンジル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 66、
N-(2-メトキシフェニル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 67、
N-(ピリジン-3-イルメチル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 68、
N-(8-ヒドロキシキノリン-2-イル)ピリジン-2-イルカルボキサミド 69、
N-(8-ヒドロキシキノリン-2-イル)-2-ピリジン-2-イル アセトアミド 70、
2-(3-ヒドロキシフェニル)-N-(8-ヒドロキシキノリン-2-イル)アセトアミド 71、
2-(4-ヒドロキシフェニル)-N-(8-ヒドロキシキノリン-2-イル)アセトアミド 72、
N-(8-ヒドロキシキノリン-2-イル)-2-(2-チエニル)アセトアミド 73、
2-(((3-メトキシベンジル)アミノ)メチル)キノリン-8-オール 74、
2-(((3-メトキシフェニル)アミノ)メチル)キノリン-8-オール 75、
2-(((2-チエニルメチル)アミノ)メチル)キノリン-8-オール 76、
2-(((2-メトキシフェニル)アミノ)メチル)キノリン-8-オール 77、
N-[(2,4-ジクロロフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]アセトアミド 78、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(2-チエニル)メチル]アセトアミド 79、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-イソプロピルフェニル)メチル]アセトアミド 80、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(2-チエニル)メチル]ブタンアミド 81、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-イソプロピルフェニル)メチル]ブタンアミド 82、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-メチルフェニル)メチル]-3-フェニルプロパンアミド 92、
N-[(2-クロロフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]-3-フェニルプロパンアミド 93、
N-[(2,4-ジクロロフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]-3-メチルブタンアミド 94、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(フェニル)メチル]-3-メチルブタンアミド 110、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-メトキシフェニル)メチル]-3-フェニルプロパンアミド 111、
N-[(3,4-ジメトキシフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]-3-メチルブタンアミド 112、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(2-チエニル)メチル]-3-メチルブタンアミド 113、
N-[(4-クロロフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]シクロヘキサンカルボキシアミド 121、
N-[(2,4-ジクロロフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]プロパンアミド 122、
N-[(3,4-ジメトキシフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]-3-フェニルプロパンアミド 124、
N-[(2,4-ジクロロフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]ペンタンアミド 125、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-イソプロピルフェニル)メチル]ペンタンアミド 126、
N-[[4-(ジエチルアミノ)フェニル](8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]ペンタンアミド 127、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-メトキシフェニル)メチル]シクロヘキサンカルボキシアミド 128、
N-[(2,4-ジクロロフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]ブタンアミド 129、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-メチルフェニル)メチル]シクロヘキサンカルボキシアミド 130、および
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(2-チエニル)メチル]シクロヘキサンカルボキシアミド 131。
【0039】
好ましい態様にしたがって、本発明の式(A)の化合物のプロドラッグは、キノリン部分の8位のヒドロキシル基が下記の基の一つで置き換えられている化合物に対応している:
式中、MはLi、Na、CaおよびKから選択される。
【0040】
もう一つの好ましい態様にしたがって、上記に定義されたリン酸二水素プロドラッグは、それらの塩酸塩または二塩酸塩の形態にある。
【0041】
本発明の好ましいプロドラッグは下記である:
リン酸二水素((7-((アセチルアミノ)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル 5、
リン酸二ナトリウム((7-((アセチルアミノ)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル 6、
リン酸二水素((7-((アセチルアミノ)(2-フリル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル 136、
リン酸二ナトリウム((7-((アセチルアミノ)(2-フリル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル 137、
リン酸二水素((7-((アセチルアミノ)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル二塩酸塩 138、および
リン酸二水素((7-((アセチルアミノ)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル塩酸塩 139。
【0042】
先に述べたように、本発明の化合物中には不斉またはキラル中心が存在することができる。本発明は、式(A)の化合物の様々な光学活性異性体およびそれらの混合物を考慮する。一例として、本発明の化合物の個別の鏡像異性体は、不斉またはキラル中心を含有する市販の出発原料から合成的に調製されるか、または鏡像異性化合物の混合物を調製した後、当業者に周知の分割によって調製される。これらの分割方法は、下記の方法によって例示される:a)鏡像異性体のラセミ混合物をキラルな助剤に付着させ、得られたジアステレオ異性体を再結晶またはクロマトグラフィーによって分離し、光学的に純粋な生成物を助剤から遊離させる方法またはb)光学鏡像異性体の混合物をキラルクロマトグラフィーカラムで直接分離する。
【0043】
本発明はまた、以下の段階を含む、細胞におけるCLK-1活性を阻害するための方法に関する:
a) CLK-1活性を阻害する必要のある細胞を提供する段階、
b) 該細胞を、式(B):
の化合物と接触させる段階であって、
式中、X=H、メチルまたはハロゲンであり、置換基R1およびR2は、以下のように定義され:
i) R2が水素である場合、R1は、Hもしくはハロゲンであるか、またはR1は、アミノ(3,4-ジメトキシフェニル)メチル、2-ヒドロキシフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、4-ジメチルアミノフェニル、ピリジン-4-イル、2-メトキシピリジン-3-イルおよび2-アセトアミドフェニルからなる群より選択され;または、
R1は、-CH(R3)NR4R5であり、その場合、
・R4=HもしくはC1〜C4アルキルであり;
・R5=Hもしくは
であり;かつR6は、C1〜C6アルキル、C5〜C6アリール、ベンジル、ジメチルアミノメチル、フェニルエチルおよびジフェニルメチルからなる群より選択され;ならびに
・R3は、H、メチル、フェニル、ベンジル、2-クロロフェニル、2-メトキシフェニル、4-クロロフェニル、4-メチルフェニル、4-イソプロピルフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、4-メトキシフェニル、4-シアノフェニル、4-ジメチルアミノ-フェニル、4-ジエチルアミノ-フェニル、2,4-ジクロロフェニル、3,4-ジメトキシフェニル、4-メトキシカルボニルフェニル、3-メトキシカルボニルフェニル、N-メチルベンズアミド、N-(3-メトキシプロピル)ベンズアミド、N,N-ジメチルベンズアミド、4-(モルホリン-4-イルカルボニル)フェニル、4-(ピリジン-2-イル)フェニル、4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、6-(モルホリン-4-イル)ピリジン-3-イル、2-フリル、3-フリル、2-(モルホリン-4-イル)ピリジン-3-イル、2-メトキシピリジン-3-イル、4-メトキシピリジン-3-イル、2-チエニル、2-ブチル-1H-イミダゾール-4-イル、キノリン-3-イル、キノリン-4-イル、8-ヒドロキシキノリン-2-イル、1H-インドール-3-イル、1H-インドール-4-イルおよび1H-インドール-7-イルからなる群より選択され;または、
R1は、
であり、R7は、-(CH2)n-R8であり、ここで、R8は、一つまたは二つのメトキシル基によって置換されてもよいC5〜C6アリールであり、n=0または1であり;あるいは
ii) XおよびR1がいずれも水素原子を表す場合、R2は、ピリジン-2-イルカルボキサミド、ピリジン-2-イルアセトアミド、3-ヒドロキシフェニルアセトアミド、4-ヒドロキシフェニルアセトアミド、((2-メトキシフェニル)アミノ)メチル、((3-メトキシフェニル)アミノ)メチル、((3-メトキシベンジル)アミノ)メチル、2-チエニルアセトアミドおよび((2-チエニルメチル)アミノ)メチルからなる群より選択され、
式(B)の化合物が、少なくとも一つの不斉中心を含む場合、その鏡像異性体の一つまたはそれらの混合物の形態にある、段階、ならびに
c) 該細胞におけるCLK-1活性を測定する段階。
【0044】
有利には、細胞においてCLK-1活性を阻害するために使用する式(B)の化合物は、表1で同定された化合物の群より選択される。
【0045】
さらにより有利には、細胞においてCLK-1活性を阻害のために使用する式(B)の化合物は、下記の群より選択される:
N-[(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル]アセトアミド 7、
5-クロロ-7-ヨードキノリン-8-オール 52、
5-クロロ-7-(2-ヒドロキシフェニル)キノリン-8-オール 56、
5-クロロ-7-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)キノリン-8-オール 60、および
N-[(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(2-フリル)メチル]アセトアミド 135。
【0046】
本発明はさらに、以下の段階を含む、動物における、CLK-1の阻害が有益である障害またはそれに伴う症候の予防および/または処置のための方法に関する:
a) CLK-1の阻害が有益である障害を有する動物を特定する段階、および
b) 該動物に、先に定義した式(B)の化合物、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグを投与する段階。
【0047】
有利には、動物における、CLK-1の阻害が有益である障害またはそれに伴う症候の予防および/または処置のために使用される式(B)の化合物、その塩もしくはそのプロドラッグまたは光学的に活性な異性体は、表1で同定された化合物の群から選択される。
【0048】
より有利には、動物における、CLK-1の阻害が有益である障害またはそれに伴う症候の予防および/または処置のために使用される式(B)の化合物、その塩またはそのプロドラッグは、下記の群より選択される::
リン酸二水素((7-((アセチルアミノ)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル 5、
リン酸二ナトリウム((7-((アセチルアミノ)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル 6、
N-[(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル]アセトアミド 7、
N-[(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(2-フリル)メチル]アセトアミド 135、
リン酸二水素((7-((アセチルアミノ)(2-フリル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル136、
リン酸二ナトリウム((7-((アセチルアミノ)(2-フリル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル 137、
リン酸二水素((7-((アセチルアミノ)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル二塩酸塩 138、および
リン酸二水素((7-((アセチルアミノ)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル塩酸塩 139。
【0049】
好ましい態様にしたがって、CLK-1の阻害が有益である障害は、虚血/再灌流傷害、炎症または神経変性障害もしくは認知症である。
【0050】
より好ましくは、非限定的に、虚血/再灌流傷害は、腎、心、心筋、肺、脳または脊髄の虚血/再灌流傷害である。
【0051】
好ましい態様にしたがって、炎症は、肺の炎症、肝臓の炎症または任意の他の臓器の炎症およびそのような炎症が促進される臨床的徴候である。
【0052】
もう一つの態様にしたがって、神経変性障害はアルツハイマー病である。
【0053】
マウスにおけるCLK-1活性の阻害が生理学的老化を減速させるということが以前に示されているため(Liu et al., 2005)、これは、動物におけるCLK-1活性の阻害が年齢依存性疾患の発症および重篤度を遅らせることができることを示す。
【0054】
これに関連して、本発明者らは、今回本発明の式(B)の化合物が同じく年齢関連の障害またはそれに伴う症候を処置または予防するのに有効であることを見いだした。
【0055】
したがって、より好ましくは、本発明は、動物における、年齢関連の障害またはそれに伴う症候の予防および/または処置のための、
a)年齢関連の障害を有する動物を特定する段階、および
b)該動物に、式(B)の化合物、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグを投与する段階
を含む方法に関し、ただし、該式(B)の化合物は、下記の化合物、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグのいずれでもない:
5-クロロ-7-ヨードキノリン-8-オール 52、
5-クロロ-7-(2-ヒドロキシフェニル)キノリン-8-オール 56、または
5-クロロ-7-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)キノリン-8-オール 60。
【0056】
好ましい態様にしたがって、上記方法は、下記からなる群より選択される年齢関連の障害またはそれに伴う症候の予防および/または処置のために使用される:心臓血管病、たとえばアテローム硬化症、冠状動脈疾患および脳卒中;末梢血管疾患;代謝障害、たとえばII型糖尿病、異脂肪血症および高トリグリセリド血症;癌、たとえば皮膚癌、乳頭腫および年齢依存性癌;虚血/再灌流傷害、たとえば腎、心、脳虚血および放射性造影剤誘発腎障害;炎症;神経変性障害および認知症、たとえばアルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、記憶障害および精神病;膀胱および腎障害、たとえば腎炎、腎障害、末期腎疾患(ESRD);糖尿病合併症、たとえば腎障害、創傷治癒障害および網膜疾患;眼の障害、たとえば年齢関連の黄斑変性症、ドライアイ、緑内障、色素性網膜炎および白内障;肺および呼吸障害、たとえば慢性閉塞性肺疾患(COPD)および突発性肺繊維症(IPF);筋骨格障害、たとえば炎症性関節炎、痛風および骨粗しょう症;ならびに化粧品性および皮膚科的皮膚症状、たとえばフォトエージングのような皮膚老化および皮膚癌。
【0057】
本発明の式(B)の化合物で処置される動物は、ヒトまたは、ウシ、ウマ、ブタ、モルモット、ハムスター、ヤギ、ウサギ、ニワトリ、イヌ、ネコおよびトリをはじめとし、それらに限定されない商業的もしくは家畜的価値のある任意の動物であることができる。よりさらに好ましい処置される動物は、ヒトである。
【0058】
本発明はまた、本明細書で先に定義した式(A)の化合物、薬学的に許容されるその塩もしくはプロドラッグまたは先に定義したプロドラッグ5、6、136、137、138および139のいずれかを一つまたは複数の非毒性の薬学的に許容される担体とともに調合して含む薬学的組成物に関する。
【0059】
また、本発明者らは、本発明の式(A)または(B)の化合物がCLK-1阻害活性を有するということを示した。
【0060】
したがって、本発明はまた、CLK-1活性を効果的に低下および/または阻害するための、薬学的有効量の式(A)または(B)の化合物、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグを含む薬学的組成物に関する。
【0061】
本発明はまた、CLK-1活性を効果的に低下および/または阻害するための、薬学的に許容される量のプロドラッグ5、6、136、137、138および139のいずれか一つを含む薬学的組成物に関する。
【0062】
好ましい態様にしたがって、本発明の化合物は、年齢関連の障害またはそれに伴う症候を処置するのに有効であることが知られる別の薬物と併用する、たとえば異脂肪血症の処置のためのスタチンと併用することができる。
【0063】
本発明の薬学的組成物は、固体または液体形態における経口投与、非経口的注射、直腸投与または局所投与のために特別に製剤化することができる。本発明の薬学的組成物は、ヒトまたは他の動物に対し、経口的、直腸的、非経口的、大槽内的、膣内的、腹腔内的、局所的(散剤、クリーム剤、軟膏剤またはドロップによって)、口腔内的に、または経口もしくは鼻内噴霧として投与することができる。これらの組成物はまた、補助物質、たとえば保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤を含有することができる。微生物活動の阻止は、種々の抗微生物剤および抗真菌剤、たとえばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸等の包含によって保証することができる。注射用剤形の吸収の延長は、吸収を遅らせる薬剤、たとえばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの包含によって生じさせることができる。
【0064】
場合によっては、薬物の効果を延長させるために、皮下または筋内注射からの薬物の吸収を遅らせることが望ましい。これは、水溶性が低い結晶質または非晶質の物質の懸濁液の使用によって達成することができる。したがって、薬物の吸収速度はその溶解速度に依存し、溶解速度は他方で結晶サイズおよび結晶形態に依存することができる。または、非経口投与剤形の吸収の遅延は、薬を油性媒体に溶解または懸濁させることによって達成される。
【0065】
経口投与のための固体剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤および顆粒剤を含む。このような固体剤形の場合、活性化合物は、少なくとも一つの不活性の薬剤的に許容可能な賦形剤もしくは担体、たとえばクエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムおよび/または充填剤もしくは増量剤、たとえばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールと混合される。
【0066】
経口投与のための液体剤形は、薬学的に許容される乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤を含む。液体投与剤形は、活性化合物に加えて、当技術分野で一般に使用される不活性希釈剤、たとえば水または他の溶剤、可溶化剤および乳化剤、たとえばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタン脂肪酸エステルならびにそれらの混合物を含有することができる。
【0067】
本発明の化合物はまた、リン脂質または他の脂質に由来するリポソームの形態で投与することもできる。リポソームは、水性媒体中に分散した単層または多層状の水和液晶から形成される。リポソームを形成することができる任意の非毒性の生理学的に許容可能かつ代謝可能な液体を使用することができる。好ましい液体は、天然および合成のリン脂質およびホスファチジルコリンである。
【0068】
本発明の化合物の局所投与のための剤形は、散剤、スプレー剤、軟膏剤および吸入剤を含む。活性化合物は、無菌条件下、薬学的に許容される担体および必要になるかもしれない保存剤、緩衝剤または推進剤と混合される。
【0069】
本発明の薬学的組成物の有効成分の実際の用量レベルは、特定の患者、組成および投与形態に関して所望の治療応答を達成するのに有効である量の活性化合物を得るように変化させることができる。選択される用量レベルは、特定の化合物の活性、投与形態、処置される病状の重篤度ならびに処置される患者の状態および病歴に依存する。しかし、所望の治療効果を達成するために必要なレベルよりも低いレベルで化合物の投与を開始し、所望の効果が達成されるまで投与量を徐々に増してゆくことは、当業者の技能の範囲内である。
【0070】
添付の図面を参照しながら以下の実施例を参照することによって本発明がさらに容易に理解されよう。これらの実施例は、本発明の広い応用範囲を例示するものであり、その範囲を限定することを意図したものではない。本発明の本質および範囲を逸することなく本発明に改変および変形を加えることができる。本明細書に記載するものと同様または同等な任意の方法および材料を本発明の実施で使用することができるが、好ましい方法および材料を記載する。
【0071】
実施例
実施例1:CLK-1阻害剤の特異性
デメトキシユビキノン(DMQ)ヒドロキシル化を、真核生物中でCLK-1によって実施し、また、真生細菌中でUbiFによって実施する。ubiF遺伝子中に突然変異を有し、DMQヒドロキシル化活性を欠く変性JF496大腸菌株中でCLK-1阻害剤分子を試験した。この株を、マウスclk-1遺伝子または大腸菌ubiF遺伝子のいずれかで相補する。この相補は機能的であり、DMQヒドロキシル化を回復させる。結果として、救出された株は、DMQを蓄積することはできないが、ユビキノン(Q)を合成することができる。Q合成阻害に関する特異性に関して、二つの変性株を使用して試験分子を評価する。
【0072】
材料および方法
バクテリア株および培地
大腸菌株JF496 (ubiF-)を、マウスclk-1遺伝子または大腸菌ubiF遺伝子を含有するプラスミドでトランスフェクトした。一般増殖のために、各株のクローンを、アンピシリン(50μg/ml)で補足したLB培地5ml中、37℃で夜通し増殖させる。培養物を1/10に希釈し、OD600を計測する。培養物を、M9-LB (0.5/0.5:v/v)中、0.03のOD60Oまで希釈した。このミックスは、(1mM MgSO4、20μM CaCl2、0.5μg/mLチアミン、0.12%カザミノ酸、40μg/mL D-L-メチオニン、100μg/mL L-アスパラギン、微量金属、0.5%グルコース)で補足されたM9培地およびLB培地からなる。培地は、プラスミド選択のためのアンピシリン(50μg/mL)を含有する。HPLCキノン分析のために、JF496-ubiFおよびJF496-mclk-1株を、夜通しの前培養物からM9-LB (0.5/0.5:v/v)中に0.03のOD60Oまで希釈する。バクテリア750μlを15ml管に移す。バクテリア培養物を37℃で5時間、撹拌しながらインキュベートする。
【0073】
キノン抽出
細胞を遠心分離によって採取し、蒸留水で洗浄し、再び遠心分離する。ペレットを-80℃で夜通し凍結する。その後、細胞を解凍し、リン酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH7.0)1ml中に再懸濁させ、Q6 50ngをキノン抽出対照として加える。キノンを抽出するために、エタノール1mlを加え、細胞を30秒間ボルテックスする。次いでヘキサン1mlを加える。その後、細胞を2分間ボルテックスし、遠心分離する。上相(ヘキサン)を捕集する。下相を再び抽出し、遠心分離する。その後、上相を捕集し、先の抽出物に加える。上相を約1時間凍結乾燥させ、ペレットを-80℃で保持する。ペレットを移動相300μl中に再懸濁させた後、HPLC分析を実施する。
【0074】
HPLC法
Beckman System Gold HPLCを、フォトダイオードアレイ検出器およびBeckman Ultrasphere ODS (4.6mm×25cm)カラムとともに使用して試料を分析する。32 Karatソフトウェア(Beckman)を使用してデータを分析する。メタノール−エタノールの移動相勾配(70%メタノール−30%エタノールから出発し、6分後、30%メタノール−70%エタノールで終了)を使用して、1ml/分の流量で20分間キノンを分離する。デメトキシユビキノン(DMQ)およびユビキノン(Q)ピークが275nmで検出される。
【0075】
薬物特異性試験に関する結果および簡単な論考
マウスCLK-1およびバクテリアDMQヒドロキシラーゼUbiFを発現するJF496バクテリアを化合物7(図1)および化合物52 (図2)で処理した。これらの処理から得られたキノン分布をHPLCによって分析した。DMQ前駆体の蓄積によって示されるように、7および52は、CLK-1 DMQヒドロキシラーゼ活性を阻害することができると思われる。それとは対照的に、DMQが処理細胞中に蓄積していないため、UbiF活性は、化合物のいずれによっても挑戦されない。この示差的効果は、二つの酵素CLK-1およびUbiFが、DMQヒドロキシル化である同一の機能を有するにもかかわらず、UbiFに比べた場合のCLK-1に対する作用の特異性を示す。CLK-1およびUbiFはいずれも同じバクテリア遺伝子バックグラウンドで発現するため、CLK-1で見られた効果は大腸菌中の化合物の非特異的活性のせいではない。
【0076】
実施例2:CLK-1阻害の計測
バクテリアスクリーニングで同定された肯定的化合物がCLK-1の真の阻害剤であることを確認するため、HPLCベースの二次アッセイを使用して哺乳動物細胞のキノン含量を計測した。CLK-1は、Q生合成の最後から二番目の工程を触媒するデメトキシキノン(DMQ)ヒドロキシラーゼである。CLK-1の阻害は反応前駆体DMQの蓄積につながる。このアッセイは、Qおよびその前駆体DMQの内因性細胞レベルを計測する。試験した全細胞中、通常に存在するDMQのレベルは無視しうる程度であるため、CLK-1のロバストな阻害は、処理細胞のHPLCキノンプロフィールにおける甚大な変化につながる。
【0077】
材料および方法
バクテリアスクリーンから同定される化合物の新鮮な希釈物をジメチルスルホキシド(DMSO)中に10mMの濃度で夜通し溶解した。化合物の希釈物(DMSO中)を、RAW264.7細胞、アベルソンネズミ白血病ウイルス形質転換ネズミマクロファージ細胞株のウェルに加えた。化合物処理の前日に細胞をダルベッコ修飾イーグル培地(10%ウシ胎児血清、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、100μMピルビン酸ナトリウムで補足)にプレーティングし(ウェル1個あたり1×105個)、加湿CO2インキュベータ(5% CO2、37℃)に入れて夜通し放置した。化合物の添加の後、プレートを加湿CO2 (5% CO2、37℃)中で24時間インキュベートした。
【0078】
24時間後、培地をウェルから吸引した。細胞をPBSで洗浄した後、やさしく振りながらRIPA緩衝液500μlを各ウェルに加えた(15分、室温)。その後、試料を1.5mlマイクロ遠心分離管に移した。HPLCグレードエタノール500μl、次いでHPLCグレードヘキサン500μlを各管に加え、その管を1分間激しくボルテックスした後、遠心分離した(3000×g、室温で15分間)。遠心分離後、各管中に二つの別個の層を見ることができた。上相を入念に除去して新しいマイクロ遠心分離管に移し、針穿刺ふたでキャップした後、凍結乾燥に付した。
【0079】
ひとたび試料が乾燥すると、70% HPLCグレードメタノール:30%エタノール(v/v)320μlを各管に加えた。その後、管を20秒間激しくボルテックスし、10秒間遠心分離した後(14000×g)、試料をキャップ付きHPLCバイアルに移した。その後、各試料をHPLC分析に付した。分析は、エタノール:メタノール勾配を使用して試料を250mm C18 ODSカラムに通すことによって実施し、フォトダイオードアレイ検出器を使用して275nmでキノンを検出した。クロマトグラムの目視検査を使用して様々な用量の各対象化合物の活性を測定した。
【0080】
表1は、活性なCLK-1阻害剤であることがわかった化合物の一覧を示す。
【0081】
哺乳動物細胞におけるCLK-1の阻害の結果および簡潔な論考
図3には、RAW264.7マウスマクロファージ細胞の試料のキノン抽出から得られた典型的なHPLCプロフィールが示されている。上パネル中のグラフは、未処理のマクロファージから抽出されたキノンを表し、認められる主要な種はユビキノン-9、すなわちQである。細胞をCLK-1阻害剤で処理する場合、Qの前駆体DMQの蓄積を表す第二のキニンピークの出現を観測する。このプロフィールは、化合物135で処理された細胞を表す。このように、CLK-1阻害剤は、推定される候補阻害剤で処理された細胞のHPLCプロフィールの明確かつ簡単な目視分析によって容易に同定される。多様なヒトおよびマウス細胞株を試験したが、内在性ユビキノンのレベルの変動を除き、それらの間に大きな違いはなかった。
【0082】
これは、細胞中のQの損失をそれに対応するDMQの蓄積とともに検出することができる唯一の考えられる方法が、CLK-1の阻害による方法であることを意味する。したがって、この二次アッセイは、CLK-1阻害剤を速やかに同定するその能力においてきわめて有用であり、非常にロバストである。図4〜8は、可変濃度の化合物7、23、69、47または53で処理されたマウスマクロファージのHPLCプロフィールを示す。ここで、処理細胞中のDMQ9およびQ9の分布に対する化合物濃度増大の効果を見ることができる。
【0083】
実施例3:CLK-1阻害の効果の計測
CLK-1活性は、電子輸送鎖およびROS排除を介してROS産生に寄与するQの細胞含量を制御することにより、細胞ROSレベルに影響を及ぼすことができる。したがって、CLK-1の阻害が細胞ROSレベルの変化をもたらすと予想される。さらには、細胞中のROSによって標的化される高分子の一つがDNAであり、結果としてDNA損傷を生じさせる。また、CLK-1阻害の結果としてDNA損傷が減少するということが期待されるかもしれない。したがって、本発明者らは、以下に概説するように、二つのアッセイを使用して生きた細胞中のこれらの因子を計測した。
【0084】
材料および方法
ROSアッセイ
DCF-DA (2,7-ジクロロフルオレセインジアセテート)を使用して細胞ROSレベルを評価した。親油性DCF-DAを細胞膜に透過させてサイトゾルに輸送し、サイトゾルエステラーゼによって酵素的に親水性2,7-ジクロロフルオレセイン(DCFH)に転換する。細胞ROSがDCFHを蛍光分子であるDCFへと酸化させる。ROS産生に対するCLK-1阻害の効果を評価するために、まず、96穴プレートに播種(ウェル1個あたり1×105個)したマウスマクロファージ細胞(RAW264.7)をCLK-1阻害剤で24時間処理した。その後、細胞を、ハンクス平衡塩類溶液(HBSS)中、20μM DCF-DAとともに37℃で30分間インキュベートした。その後、蛍光プレートリーダを使用して細胞DCFからの蛍光をモニタした(励起488nmおよび発光520nm)。市販のBCAタンパク質アッセイキットを使用して、試験されたウェル中のタンパク質量を測定した。次いで、細胞ROSレベルを、3回の反復試験からの平均DCF蛍光/mgタンパク質として表した。
【0085】
COMETアッセイ
CLK-1阻害化合物の存在/非存在でRAW264.7細胞を12穴プレートに播種した(ウェル1個あたり2.5×106個)。24時間後、細胞を1mM H2O2で1時間処理して、ROS媒介DNA損傷を生じさせた。その後、細胞を氷冷PBS中で2回洗浄した後、氷冷PBS575μl中にスクレーピングした。この混合物75μlを取り出し、氷冷PBS750μlに加えた。10μlアリコートを取り出し、溶融低融点アガロース90μlと混合した。この細胞−アガロースミックス75μlをピペットでガラススライドに移し、そのガラススライドを4℃で平坦に静置し、15分間遮光した。
【0086】
その後、スライドを予冷した溶菌溶液に浸漬し、遮光した状態で4℃で1時間放置した。次いで、スライドを取り出し、過剰な溶菌溶液を除去した後、新たに調製したアルカリ溶液(pH13)に浸漬した。その後、遮光した状態でスライドを室温で1時間放置した。
【0087】
過剰なアルカリ溶液を除去した後、スライドを、室温で5分間、1×トリス−ホウ酸/EDTA緩衝液(TBE)に浸漬した。同じく遮光した状態で、スライドを、1×TBEを充填した電気泳動装置に配置し、電圧を20分間印加した。20分後にスライドを取り出し、遮光した状態で70%エタノール中に5分間浸漬した後、アガロースがスライド上に薄層を形成するまで37℃で風乾した。
【0088】
この37℃のインキュベーションの後、希釈SYBRグリーン50μlを各乾燥アガロースディスクに加えて暗所で10分おき、その後、蒸留水への浸漬によって染料を洗い落とした。過剰な水を吸い取った後、再び暗所でスライドを風乾させた。ひとたび完全に乾燥したところで、スライドを蛍光顕微鏡で観察し、細胞核の後になびくDNAテール(コメット)の存在に関して試験した。データは通常、10個のフィールドを算定したときの、コメットを含有する細胞の割合として表す。
【0089】
細胞ROSレベルに対するCLK-1阻害剤の効果の結果および簡潔な論考
キノンプロファイリング、細胞ROSレベルおよびDNA損傷における原始型CLK-1阻害剤、すなわち化合物7および135の効果を示す三つのパネルが図9に提示されている。これらの分子は、マクロファージ中のH2O2によるROSの誘発を低下させ、7のほうがより強力であることがわかった(パネルB)。これらの分子は、マクロファージ中でH2O2によって誘発されるDNA損傷において非常に顕著な効果を有し(パネルC)、7がきわめて強力である。これらのデータは、本発明者らが、ROSの細胞レベルおよびそれに続いてこうむる損傷を減らすということを強調する。
【0090】
実施例4:CLK-1阻害剤はラットにおける腎虚血・再灌流傷害の治療に有用
以下の実験は、腎虚血モデルにおける再灌流傷害を阻止および/または軽減するためのCLK-1阻害剤投与の有用性を評価する。
【0091】
実験方法の簡単な説明
成体(9〜11週齢)のオスSDラットに麻酔を施し、正中線腹部切開術によって右腎摘出を実施した。左腎動脈および静脈の閉塞により、60分間、左腎動脈の一過性虚血を生じさせた。すべてのグループ(偽:虚血なし、食塩水(0.9% NaCl)投与、未処理:虚血+溶媒、処理:虚血+化合物7または52)の処理を、外科処理の3日前から連続15日間、1日1回腹腔内(i.p.)に実施した。処理グループには、化合物7を1日2.5mg/kg (1mg/ml)腹腔内投与したか、化合物52を1日20mg/kg (4mg/ml)腹腔内投与した。0、3、7、11および14日目に、血清中のクレアチニンおよび血中尿素窒素(BUN)ならびに尿中のクレアチニンおよびタンパク含量の測定によって腎機能を評価した。式:CrCl=(uCr×uV)/(sCr×1440×体重)を使用してクレアチニンクレアランス(ml/分/100g)を計算した。クーマシー法を使用して24時間尿試料中の尿タンパク濃度を測定した。Racusen(2)によって示唆されたような管状上皮細胞壊死、管状拡張、タンパク質性キャストおよび髄うっ血に関して腎組織中の組織学的変化(ヘマトキシリンおよびエオシン、H&E染色スライド)を光学顕微鏡によって分析した。一方向ANOVAを使用し、指示される場合にはその後Turkey事後試験をも使用して、収集されたデータの統計的分析を実施した。p<0.05の結果を統計学的に有意とみなした。
【0092】
虚血・再灌流傷害結果の簡単な説明
腎機能:血清クレアチニン
初期の結果は、0日目では各グループの血清クレアチニンレベルが統計学的に異ならないということを実証した。3〜14日目では、化合物7または化合物52で処理されたグループの血清クレアチニンがグループNAIVE(未処理)におけるよりも有意に低かった(図10)。
【0093】
腎機能:血中尿素窒素(BUN)
初期の結果は、0日目では各グループのBUNが統計学的に異ならないということを実証した。3、7、11および14日目では、化合物7および化合物52で処理されたグループのBUNがグループNAIVEにおけるよりも有意に低かった(図11)。
【0094】
腎機能:クレアチニンクリアランス
0日目では、各グループのクレアチニンクリアランスは統計学的に異ならなかった。3および7日目では、化合物7または化合物52で処理されたグループのクレアチニンクリアランスがグループNAIVEにおけるよりも有意に高かった。11および14日目では、化合物7または52で処理されたグループのクレアチニンクリアランスは、グループNAIVEと比べて統計学的に異ならなかったが、14日目では、グループNAIVEにおけるよりも高かった(図12)。
【0095】
腎機能:尿タンパク質
0日目では、各グループの24時間尿タンパクは統計学的に異ならなかった。3日目では、化合物7または52で処理されたグループの24時間尿タンパクがグループNAIVEにおけるよりも有意に低かった。7および14日目では、化合物7または52で処理されたグループの24時間尿タンパクは、グループNAIVEと比べて統計学的に異ならなかった。11日目では、化合物7または52で処理されたグループの24時間尿タンパクはグループNAIVEにおけるよりも有意に低かった(P=0.033)(図13)。
【0096】
腎虚血・再灌流傷害に対するCLK-1阻害剤の効果の簡単な論考
腎機能データ(血清クレアチニン、血中尿素窒素(BUN)、クレアチニンクリアランスおよび尿タンパク)は、虚血事象の3日前に開始され、連続11日間継続される化合物7 (2.5mg/kg)および化合物52 (20mg/kg)による1日1回の腹腔内処理が、虚血の60分後、未処理対照グループと比較した場合、一つの腎臓ラットモデルにおいて腎虚血/再灌流傷害を同等な程度に効果的に阻止するということを示した。すべての場合で、SHAM(偽)グループにおける腎機能は影響を受けなかった。腎機能のいくつかのパラメータに対する防護効果は、虚血/再灌流後3および7日目で特に顕著であった。
【0097】
実施例5:リポ多糖誘発急性肺傷害に対するCLK-1阻害剤の効果
以下の実験は、リポ多糖(LPS)の全身投与によって誘発される急性肺炎症のインビボ関連ラットモデルにおけるCLK-1阻害剤の有用性を評価する。
【0098】
実験方法の簡単な説明
体重225〜250gのオスSDラット(n=1グループ5〜10匹)をリポ多糖(LPS)で処理して肺傷害を誘発させた。薬物処理したラットに、化合物7または基準としてのN-アセチル-L-システイン(NAC)を腹腔内(i.p.)投与した。化合物7は、DMA/PG/Tween 80および水を含有する媒体に含めて腹腔内投与した。連続3日間1日1回投与し、最後の1回分はLPS曝露の1時間前に投与した。対照ラットには前記薬物媒体を投与した。新たに調製した薬物を5または10ml/kgまたは5ml/kgの量で投与した。腹腔内LPSまたは食塩水投与の24時間後、ラットを過量のウレタンによって殺処分し、全および鑑別血球算定、LPOおよびTNF-α測定ならびにタンパク含量のために血液肺胞液(BALF)を捕集した。
【0099】
LPS誘発肺損傷結果の簡単な説明および論考
LPS (6mg/kg、腹腔内)の前3日間に1日1回腹腔内投与された化合物7 (5mg/kgまたは10mg/kg)の、食塩水(対照)またはLPSに曝露されたラットからのBALF中の全血球および好中球算定、タンパクおよびTNF-α含量、LPOレベルに対する影響を示す結果が図14〜17に示されている。N-アセチルシステイン(NAC、LPS前3日間0.5g/kgを1日1回腹腔内投与)を基準化合物として投与した。簡潔にいうと、化合物7は、BALF全血球および好中球の増大を、NAC処理ラットで認められたレベルに匹敵しうるレベルまで効果的に低下させた。この化合物は、単独で投与された場合、BALF全血球算定に対して効果を示さなかった。同様に、化合物7は、BALFにおけるLPOの増大を、NAC処理ラットで認められたレベルに匹敵しうるレベルまで効果的に低下させた。化合物7は、BALFタンパク質の増大を減らすことができなかった。化合物7 (10mg/kg)は、BALF TNF-αレベルを有意に低下させるのに有効であった。そのうえ、組織学的分析(図示せず)が、5mg/kgで腹腔内投与される化合物7が、間質パターンの強さを減らし(処理された肺では肺胞壁が薄め)、炎症反応を減らす(炎症細胞の数の減少)のに有効であることを実証した。
【0100】
総じて、これらの実験は、LPS挑戦ラットにおけるBALF全血球および好中球算定、脂質ヒドロペルオキシドおよび組織学的肺損傷(図示せず)を減らす化合物7の有用性を実証した。TNF-αレベル低下はまた、化合物7を10mg/kgで腹腔内投与した場合でも認められた。好中球流入およびLPOは、CLK-1阻害剤が防護的である炎症の周知のマーカであるため、そのような炎症が促進される臨床徴候に対する新規なキノリン誘導体の利用は、特に有用な態様を代表するものである。
【0101】
実施例6:hAPP751SLトランスジェニックマウスの脳β-アミロイド1-40およびβ-アミロイド1-42レベルに対する化合物138による処理の効果の評価
実験動物
実験開始日で5月齢(±2週)のオスhAPPSLトランスジェニック(tg)マウス(C57BL/6バックグラウンド)。トランスジェニックhAPP751SLマウスは、ニューロン組織特異的ネズミThy-1プロモータの制御の下、ロンドン(V717I)およびスウェーデン(K670M/N671L)突然変異を有するヒトAPP751を構成的に過剰発現する。ロンドン突然変異のせいで、高レベルのβ-アミロイド1-42が脳全体で、特に皮質および海馬で発現される。高レベルのβ-アミロイド1-42は、より早期の3月齢で始まるCNS中のアミロイドプラーク形成に関連する。このマウスモデルで見られるような高められた脳Aβ1-42レベルは、より早期のプラーク形成に関連する。Aβ1-42は、アミロイド付着を加速し、より高密度の付着物の形成を促進するが、Aβ1-40は反対の効果を有するかもしれない。したがって、この致命的なアミロイドペプチドの生成に影響する潜在能力は、特にアルツハイマー病患者の可能な治療に関して有利であるかもしれない。
【0102】
処理
化合物138をカルボキシメチルセルロース(CMC)中に調合し、連続60日間1日1回および1日2回(最高用量)マウスに経口(p.o.)投与した。処置用量は、1日5、20、50および2×50mg/kg体重または溶媒(CMC)であった。
【0103】
組織標本
トランスジェニックマウスを、全血液が洗い出されるまで生理食塩水(0.9%)で経心腔的に灌流した。その後、脳を速やかに取り出し、右半球を新鮮な4%パラホルムアルデヒドに浸漬して1時間固定した。その後、冷凍保護のために半球を15%スクロース溶液に移した。翌日、脳をドライアイスで凍結させ、-80℃で保存した。左脳半球をただちにドライアイスでスナップフリーズして、四つの脳ホモジネート分画中のβ-アミロイド1-40およびβ-アミロイド1-42を測定した。
【0104】
計測
各マウスの一つの脳半球(嗅球を含むが、小脳を含まない)を使用して、TBS、Triton X-100およびFAである四つの脳分画中の脳Aβ1-40およびAβ1-42を評価した。Aβ1-40およびAβ1-42は、The GENETICS Company (スイス)製の高感度ELISAキット(TK40HS(商標)、TK42HS(商標))を使用していた。
【0105】
結果
可溶性Aβ1-40およびAβ1-42のレベル
TBS抽出分画は、脳組織の水溶性Aβ1-40およびAβ1-42分画を含有するが、Triton x-100分画中では、プロトフィブリルのような小さめのポリマーは溶解する。ギ酸(FA)分画は不溶性の重合Aβを含有する。結果が図18〜23に示されている。化合物138は、TBS中のAβ1-42レベル(5および20mg/kg、図19)およびTriton x-100分画中のAβ1-42レベル(5、20および50mg/k、図21)を有意に低下させる。TBS分画(図18および19)では、二つの化合物138グループですべての個々のデータ点が非常に近いAβ1-40に関して同様な、ただし有意ではない効果を見ることができるが、Triton分画(図20および21)ではそれを見ることはできない。
【0106】
FA分画中では、すべての投与量の平均Aβ1-42値は、5および20mg/kgの濃度で効果が有意である溶媒対照のそれ未満である(図23)。
【0107】
化合物138は、APPプロセッシングおよびAβペプチドの生成に対して有意な効果を有するが、その効果はAβ1-42の場合でより顕著であった。βアミロイドの異なる重合状態(モノマー、オリゴマー、フィブリル)を表す様々な脳分画で明らかなAβ1-42低下効果を見ることができる。
【0108】
結論
脳の中では、化合物138の明らかなAβアミロイド1-42低下効果を見ることができる。もっとも顕著かつ独特な結果は、脳の分画(モノマー、オリゴマー、フィブリル)を透過してAβ1-42レベルを下げる化合物138の能力である。結果の有意さは、このモデルでは、Tg2576マウスのような他のトランスジェニックモデルと比較した場合でさえAβ1-42レベルがきわめて高いという事実によって強調される。したがって、この攻撃的なモデルでさえ、化合物138は、脳分画の至るところでAβ1-42レベルを下げる。もっとも明確な効果はAβ1-42で見られたが、化合物138はまた、脳分画ででもAβ1-40をある程度減少させた。毒性のAβ1-42ペプチドに対する化合物138のより顕著な効果は、Aβ1-42/Aβ1-40比の低下につながり、これは治療的に有益である。
【0109】
実施例7:シリーズAからの化合物の合成
シリーズAの化合物は、以下に示すストラテジーを使用することにより調製することができる。5-Cl以外の群、たとえばFまたはMeは、この化学反応で同等に十分に許容される。
【0110】
実施例7.1:N-[(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル]アセトアミド(化合物7){方法A_1}
【0111】
5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン(1.5g、8.7mmol)、3,4-ジメトキシベンズアルデヒド(2.85g、17.4mmol)およびアセトアミド(1.03g、17.4mmol)の完全に混和した混合物を、マイクロ波反応容器に密閉した。容器をマイクロ波反応器(Biotage Initiator)に置き、180℃に1時間加熱した。冷却した反応混合物を酢酸エチルで粉砕し、得られた固体を濾別した。この固体をエタノールでさらに粉砕して、標記化合物を白色の固体(2.2g、65%)として得た。
【0112】
実施例7.2:N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(キノリン-3-イル)メチル)アセトアミド(化合物19){方法A_1}
【0113】
5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン(0.25g、1.4mmol)、キノリン-3-カルバルデヒド(0.44g、2.8mmol)およびアセトアミド(0.165g、2.8mmol)の完全に混和した混合物を、マイクロ波反応容器に密閉した。容器をマイクロ波反応器(Biotage Initiator)に置き、180℃に0.5時間加熱した。冷却した反応混合物を酢酸エチルで粉砕し、得られた固体を濾別した。この固体をエタノールでさらに粉砕して、標記化合物を白色の固体(0.236g、44%)として得た。
【0114】
実施例7.3:N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(ピリジン-3-イル)メチル)アセトアミド(化合物32){方法A_1}
【0115】
5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン(0.25g、1.4mmol)、ニコチンアルデヒド(0.299g、2.8mmol)およびアセトアミド(0.165g、2.8mmol)の完全に混和した混合物を、マイクロ波反応容器に密閉した。容器をマイクロ波反応器(Biotage Initiator)に置き、180℃に0.5時間加熱した。冷却した反応混合物を酢酸エチルで粉砕し、得られた固体を濾別した。この固体をエタノールでさらに粉砕して、標記化合物を白色の固体(0.123g、27%)として得た。
【0116】
実施例8:シリーズB1からの化合物の合成
シリーズB1での化合物は、以下に示すストラテジーを使用することにより調製することができる。シリーズA化合物のために使用するこの補体は、R1がアルキル c.f. アリールである化合物に特に適切である。5-Cl以外の群、たとえばFまたはMeは、この化学反応で同等に十分に許容される。
【0117】
方法B1_1 中間体の合成:2-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン
【0118】
2-(ヒドロキシメチル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン(14.8g、83mmol)を、0℃に冷却した濃硫酸(150ml)中の5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン(15g、83mmol)のよく撹拌した溶液に滴下した。添加が完了した後、反応物を100℃に一晩加熱した。混合物を室温に放冷し、次に砕氷(1000ml)に注ぎ、得られた黄色の沈殿物を濾過し、水で洗浄して、減圧下で一晩乾燥させた。固体をエタノールおよびヘキサンで粉砕して、オフホワイトの固体(16.7g、59%)を得た。
【0119】
方法B1_2 中間体の合成:2-((8-(ベンジルオキシ)-5-クロロキノリン-7-イル)メチル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン
2-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン(16.68g、49mmol)、臭化ベンジル(12.63g、73.5mmol)および炭酸カリウム(13.61g、98mmol)を、ジメチルホルムアミド(250ml)に溶解/懸濁し、60℃に1.5時間加熱した。反応物を冷水(1000ml)に注ぎ、オフホワイトの沈殿物を濾過し、水でよく洗浄した。固体を減圧下で乾燥させて、純粋な生成物(20.8g、98%)を得た。
【0120】
方法B1_3 中間体の合成:1-(8-(ベンジルオキシ)-5-クロロキノリン-7-イル)メタンアミン
ヒドラジン一水和物(2.28ml、46.6mmol)を、メタノール(50ml)中の2-((8-(ベンジルオキシ)-5-クロロキノリン-7-イル)メチル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン(2.0g、4.7mmol)の懸濁液に加えた。混合物を1時間還流し、次に溶媒を減圧下で除去した。残留物を高温のエタノール(約10ml)で粉砕し、熱いうちに濾過した。エタノールを濃縮して、明褐色の固体(1.1g、79%)を得、さらにいかなる精製もしないで続く反応で使用した。
【0121】
方法B1_4 中間体の合成:1-(8-(ベンジルオキシ)-5-クロロキノリン-7-イル)-N-(ジフェニルメチレン)メタンアミン
1-(8-(ベンジルオキシ)-5-クロロキノリン-7-イル)メタンアミン(407mg、1.36mmol)とベンゾフェノンイミン(247mg、1.36mmol)の混合物を、60℃で一緒に加熱した。1時間後、得られた固体をメタノールで粉砕し、濾過して、標記化合物を淡褐色の固体(480mg、76%)として得た。
【0122】
方法B1_5 中間体の合成:1-(8-(ベンジルオキシ)-5-クロロキノリン-7-イル)-N-(ジフェニルメチレン)エタンアミン
ヨウ化メチル(147mg、1.03mmol)および1-(8-(ベンジルオキシ)-5-クロロキノリン-7-イル)-N-(ジフェニルメチレン)メタンアミン(480mg、1.03mmol)を、無水テトラヒドロフラン(0.5ml)に溶解し、0℃に冷却した。この混合物にテトラヒドロフラン(0.13ml)中のカリウム tert-ブトキシド(128mg、1.16mmol)の溶液を滴下した。混合物を室温に温めるにまかせ、1時間後、反応物を濃縮した。残留物を酢酸エチルに溶解し、水およびブラインで洗浄した。有機抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で還元して、標記化合物を白色の固体(480mg、97%)として得た。
【0123】
方法B1_6 中間体の合成:1-(8-(ベンジルオキシ)-5-クロロキノリン-7-イル)エタンアミン
メタノール(5ml)中の1-(8-(ベンジルオキシ)-5-クロロキノリン-7-イル)-N-(ジフェニルメチレン)エタンアミン(550mg、1.15mmol)の溶液に、ヒドロキシルアミン塩酸塩(144mg、2.07mmol)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。反応物を濃縮し、残留物を塩酸(5ml、5%水溶液)で処理し、酢酸エチルで抽出して、ベンゾフェノンを除去した。水層を水酸化ナトリウム溶液(5M)で塩基性化し、酢酸エチル(3×5ml)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、標記化合物(230mg、64%)を得た。
【0124】
方法B1_7 中間体の合成:N-(1-(8-(ベンジルオキシ)-5-クロロキノリン-7-イル)エチル)アセトアミド
ジクロロメタン(2.5ml)中の1-(8-(ベンジルオキシ)-5-クロロキノリン-7-イル)エタンアミン(220mg、0.7mmol)およびトリエチルアミン(0.12ml、0.84mmol)の氷-冷撹拌溶液に、ジクロロメタン(0.5ml)中のアセチルクロリド(66mg、0.84mmol)の溶液を滴下した。反応物を室温で一晩撹拌し、次にジクロロメタン(5ml)で希釈した。混合物を順次、飽和炭酸ナトリウム溶液、水およびブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウム乾燥させた。溶媒を減圧下で除去して、標記化合物(240mg、96%)を得た。
【0125】
実施例8.1 合成:N-(1-(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)エチル)アセトアミド(化合物47)
ジクロロメタン(20ml)中のN-(1-(8-(ベンジルオキシ)-5-クロロキノリン-7-イル)エチル)アセトアミド(0.7g、1.97mmol)の氷-冷撹拌溶液に、ジクロロメタン(5ml)中の三塩化ホウ素(ジクロロメタン中1M、4ml、4mmol)の溶液を窒素雰囲気下で加えた。次に混合物を室温で3時間撹拌した。次に反応物を氷-冷水(100ml)に注意深く注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して、濃縮した。粗物質をシリカのクロマトグラフィー(0〜10% MeOH:100〜90% EtOAc)により精製して、標記化合物を白色の固体(0.45g、86%)として得た。
【0126】
実施例9:シリーズB2からの化合物の合成
シリーズB2での化合物は、以下に示す方法のいずれかによって調製することができる:
【0127】
実施例9.1:N-(8-ヒドロキシキノリン-2-イル)ピリジン-2-カルボキサミド(化合物69){方法B2_2}
0℃でテトラヒドロフラン中のピコリノイルクロリド塩酸塩(89mg、0.5mmol)の懸濁液に、トリエチルアミン(0.42ml、3mmol)および2-アミノ-8-ヒドロキシキノリン(160mg、1.0mmol)を加えた。混合物を室温に温めるにまかせ、一晩撹拌したままにした。溶媒を減圧下で除去し、粗物質をHPLCにより精製して、所望の生成物(15mg、11%)を得た。
【0128】
実施例9.2:N-(8-ヒドロキシキノリン-2-イル)-2-ピリジン-2-イルアセトアミド(化合物70){方法B2_1}
4-ピリジル酢酸塩酸塩(87mg、0.5mmol)を、ジメチルホルムアミド(4ml)に溶解した。この溶液に、ヒドロキシベンゾトリアゾール(68mg、0.5mmol)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド塩酸塩(96mg、0.5mmol)およびトリエチルアミン(0.28ml、2.0mmol)を加え、混合物を室温で30分間撹拌した。2-アミノ-8-ヒドロキシキノリン(80mg、0.5mmol)を反応物に加え、それを室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をジクロロメタン(2ml)に溶解し、水で洗浄した。有機相を減圧下で濃縮し、粗生成物をHPLCにより精製して、所望の生成物(11mg、8%)を得た。
【0129】
実施例9.3:2-(3-ヒドロキシフェニル)-N-(8-ヒドロキシキノリン-2-イル)アセトアミド(化合物71){方法B2_1}
標記化合物を、上記実施例9.2のように方法B2_1にしたがって、同様に調製した。収量=12mg (9%)。
【0130】
実施例10:シリーズB3からの化合物の合成
シリーズB3の化合物は、以下に例示したスキームを使用することにより調製することができる:
【0131】
方法B3_1 中間体の合成:5-クロロ-7-ヨード-8-イソプロポキシキノリン
ジメチルスルホキシド中の5-クロロ-7-ヨード-8-ヒドロキシキノリン(18g、58.9mmol)の溶液に、炭酸カリウム(32.57g、235.6mmol)および2-ブロモプロパン(10.87g、88.4mmol)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、次に飽和塩化アンモニウム溶液に注いだ。この混合物をジクロロメタン(3×300ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を連続して、水酸化ナトリウム(2M)、水およびブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、酢酸エチル;ヘキサンの混合物で溶離するシリカのクロマトグラフィーに付して、所望の化合物(11.0g、55%)を得た。
【0132】
方法B3_2 中間体の合成:3-(5-クロロ-8-イソプロポキシキノリン-7-イル)フェノール
5-クロロ-7-ヨード-8-イソプロポキシキノリン(500mg、1.7mmol)、(3-ヒドロキシフェニル)ボロン酸(238mg、1.7mmol)およびPdPCy3 (18mg、0.028mmol)を、アセトニトリル/水(それぞれ4ml:1ml)の混合物に溶解/懸濁し、炭酸ナトリウム溶液(2M、5ml)を加えた。次に混合物を、N2下で撹拌しながら1時間80℃に加熱した。Tlcは、出発ヨード化合物の完全な消費を示した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を酢酸エチルに溶解し/懸濁し、水およびブラインで洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、本質的に純粋な生成物(tlcおよびnmr)(350mg、77%)を得た。
【0133】
実施例10.1:5-クロロ-7-(3-ヒドロキシフェニル)キノリン-8-オール(化合物57){方法B3_3}
3-(5-クロロ-8-イソプロポキシキノリン-7-イル)フェノール(475mg、1.52mmol)を、ジクロロメタン(4ml)に溶解し、N2下で-78℃に冷却した。ジクロロメタン(2M、3.04ml、6.08mmol)中の三塩化ホウ素硫化ジメチル錯体の溶液を滴下し、混合物を-78℃で2時間撹拌した。メタノール(20ml)を注意深く加え、反応物を室温に温めるにまかせた。溶媒を減圧下で除去し、メタノール(20ml)のさらなるアリコートを加え、再び減圧下で濃縮した。これをさらに2回繰り返して、粗生成物を得、それをHPLCにより精製して、標記化合物(315mg、76%)を得た。
【0134】
方法B3_2 中間体の合成:5-クロロ-8-イソプロポキシ-7-(2-メトキシピリジン-3-イル)キノリン
標記化合物を、上記のように方法B3_2にしたがって、同様に調製した。
【0135】
実施例10.2:5-クロロ-7-(2-メトキシピリジン-3-イル)キノリン-8-オール(化合物61){方法B3_3}
標記化合物を、上記実施例10.1のように方法B3_3にしたがって、5-クロロ-8-イソプロポキシ-7-(2-メトキシピリジン-3-イル)キノリンから、同様に調製した。
【0136】
方法B3_2 中間体の合成:4-(5-クロロ-8-イソプロポキシキノリン-7-イル)-N,N-ジメチルアニリン
標記化合物を、上記のように方法B3_2にしたがって、同様に調製した。
【0137】
実施例10.3:5-クロロ-7-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)キノリン-8-オール(化合物60){方法B3_3}
標記化合物を、上記実施例10.1のように方法B3_3にしたがって、4-(5-クロロ-8-イソプロポキシキノリン-7-イル)-N,N-ジメチルアニリンから同様に調製した。
【0138】
実施例11:シリーズB4からの化合物の合成
シリーズB4での化合物は、以下に例示したスキームを使用することにより調製することができる:
【0139】
実施例11.1:2-(((2-メトキシフェニル)アミノ)メチル)キノリン-8-オール(化合物77){方法B4_1}
1,2-ジクロロエタン(2ml)中の8-ヒドロキシキノリン-2-カルバルデヒド(87mg、0.5mmol)の溶液に、2-メトキシアニリン(62mg、0.5mmol)を加え、混合物を30分間撹拌した後、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(95mg、45mmol)を加えた。次に反応物を室温で一晩撹拌した後、減圧下で蒸発乾固した。残留物をジクロロメタンに取り、水で洗浄した。水相をジクロロメタンで逆抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥させ、減圧下で還元して、粗生成物を得て、それをHPLC(74mg、53%)により精製した。
【0140】
実施例11.2:2-(((3-メトキシフェニル)アミノ)メチル)キノリン-8-オール(化合物75){方法B4_1}
標記化合物を、上記実施例11.1のように方法B4_1にしたがって、同様に調製した。収量=71mg (51%)。
【0141】
実施例12:ホスファートプロドラッグの合成
ホスファートプロドラッグ(化合物5)
このセクションで説明されたスキームおよびプロトコールは、一連の他の化合物に同等に十分に適用することができた。
【0142】
合成スキーム:
a) NaHCO3、n-Bu4NHSO4、H2O-CH2Cl2、0℃〜室温;
b) K2CO3、DMF、25℃;
c) 1,4-シクロヘキサンジエン、10% Pd/C、EtOH.
【0143】
ベンジルクロロメチルホスファートAの合成
ジベンジルホスファート(2.64g、9.48mmol)、重炭酸ナトリウム(3.18mL、11.97mmol)およびテトラ-n-ブチルアンモニウム硫酸水素塩(3.2g、9.48mmol)を、水(80ml)に溶解した。ジクロロメタン(DCM、90mL)を加え、混合物を0℃で10分間激しく撹拌し、続いて激しい撹拌を室温で一晩続けながら、DCM (15mL)中のクロロメチルクロロ硫酸塩(1.17mL、11.37mmol)を加えた。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥(MgSO4)させて、蒸発させた。残留物を、溶離剤として酢酸エチル/ヘキサン(1:1)を使用するシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、純粋な物質1.39g (44.8%)を得た。
【0144】
プロドラッグ誘導体の合成:
化合物5の合成:
プロトコール:
化合物7 (0.5g、1.29mmol)、炭酸カリウムの固体(0.36g、2.58mmol)を乾燥N,N-ジメチルホルムアミド(DMF、5mL)に懸濁し、次にDMF (2mL)に溶解したジベンジルクロロメチルホスファート(A、0.42g、1.29mmol)を、N2雰囲気下、0℃で撹拌しながら加えた。反応混合物をN2雰囲気下、室温で16時間撹拌した。反応混合物を水(50mL)に注ぎ、EtOAc (3×25mL)で抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、乾燥(MgSO4)させ、蒸発乾固した。粗残留物のLC-MS(液体クロマトグラフィー質量分析)は、油性残留物が254nmで純度97%であることを示した。したがってその段階で精製を試みずに、油性残留物を次の工程で使用した。
MS 677(MH+)および同位元素パターンと一致;
【0145】
化合物5の合成:
プロトコール:
EtOH中の10% Pd/Cの懸濁液に、EtOH (3mL)中のBの溶液をN2雰囲気下で滴下し、続いてシクロヘキサジエン(0.25mL;10当量、2.58mmol)を滴下した。反応混合物を室温で12時間撹拌した。触媒をセライドで濾過し、濾液を蒸発させ、ほとんど乾燥させた(蒸発後、EtOHの約10%は依然、存在した)。次に粗残留物を乾燥Et2Oで粉砕した。沈殿した固体を濾過し、Et2Oですすいで、純粋な物質0.065 g(60%)を得た。MS 497(MH+)および同位元素パターンと一致;
【0146】
ホスファートプロドラッグ(化合物138)
工程1:P(OBut)2(=O)(OCH2Cl)Iの合成
Iは下記のスキームにしたがって合成した:
【0147】
工程2:138の合成
I (8.8g)を化合物7 (実施例7.1で合成されたように)と、ジメチルホルムアミド(DMF)中のK2CO3存在下で反応させて、((7-((アセチルアミノ)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチルジ-ter-ブチルホスファートII (9.6g、HPLC 収率96%)を形成した。次にII (5.0g)を、EtOAc/Et2Oの混合物中のHClと反応させて、収率85%で138を形成した。
【0148】
(表1) CLK-1阻害の活性表
活性化合物
【0149】
参考文献
【0150】
添付1
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、CLK-1阻害剤としての新規なキノリン誘導体に関する。より具体的には、本発明は、CLK-1阻害剤としての新規なキノリン誘導体またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグならびにそれらを含む薬学的組成物ならびにCLK-1の阻害が有益である障害またはその関連症候の予防および/または処置の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
clk-1およびCLK-1の役割
clk-1遺伝子は、真核生物の中で保存される21kDaミトコンドリアタンパク質をコードし、マウス配列とヒト配列との間で配列同一性が85%であり、線虫 (Caenorhabditis elegans)の相同配列とでは50%である。CLK-1は、ユビキノン生合成の最後の工程の一つに参与し、デメトキシユビキノン(DMQ)ヒドロキシル化を担う。CLK-1が不活性である突然変異体は、検出可能な量のユビキノン(Q)を合成せず、むしろ、DMQを蓄積する(Miyadera et al. 2001)。
【0003】
Qは、細胞中で数多くの機能を有する。Qは、内部ミトコンドリア膜、血漿膜およびリソソーム膜中の電子輸送に関与する。また、いくつかの細胞酵素(たとえば、核酸生合成に必要であるジヒドロオロテートデヒドロゲナーゼ)ならびに他のタンパク質および複合体、たとえば代謝熱発生を制御するミトコンドリア脱共役性タンパク質(UCP)およびプログラム細胞死を制御するミトコンドリア透過性移動孔(MPTP)の補因子である。
【0004】
DMQは、ユビキノンよりも非効率的ではあるが、電子を輸送することができるキノンである。clk-1相同体(mclk-1)がノックアウトされているマウス胚もまたDMQを蓄積し、生存可能ではないが(Levavasseur et al. 2001)、mclk-1に対してヘテロ接合性のマウスは、増大した寿命表現型を示す。マウスノックアウト中のCLK-1のトランスジェニック発現は致死性表現型を救出し、ユビキノン合成を可能にする(Nakai et al. 2004)。興味深いことに、成長が遅いcoq7(酵母clk-1)酵母突然変異体中の線虫CLK-1の非相同的発現は機能的であり、酵素緩徐成長表現型を救出する(Ewbank et al. 1997)。総じて、これらの観測は、CLK-1が、研究された生物体中の唯一のDMQヒドロキシラーゼであり、CLK-1活性のための機能代償的機構がないということを示す。
【0005】
線虫では、CLK-1活性の減少はまた、寿命の延長と解釈される。寿命は、蠕中生理学における変動を積算し、環境の合図および遺伝子突然変異に高感度である蓄積表現型である。そのようなものとして、寿命を延ばす条件は、多くの場合、有益であるとみなされる。たとえば、好ましい修復対損傷の均衡は、寿命の延びによって顕著に表れる(Hekimi et al. 2001)。
【0006】
年齢関連の障害
年齢関連の疾病とは、発症率および/または罹患率が年齢とともに増大する疾病をいう。これらの疾病は、たとえば、癌、脳血管疾患(脳卒中)、神経変性疾患、肺炎、呼吸器疾患、関節炎、心臓病、糖尿病、聴覚障害、視覚障害および腎臓病を含む。
【0007】
CLK-1活性および年齢関連の障害
CLK-1活性の阻害は、マウスおよび線虫において同様な寿命延長効果を有する。これは、CLK-1生物学的活性と生理学的加齢プロセスとの因果関係を強く示す。生理学的加齢が数多くの疾病、いわゆる年齢依存性疾患にとって危険因子であるということが一般に認められている。このような疾病の多くは致命的であり、寿命を制限する。mclk1+/-ヘテロ接合体中でマウスCLK1 (mCLK1)タンパク質のレベルが半分に減ると(Levavasseur et al., 2001)、それらのマウスの平均、中央値および最大寿命が延びるということが三つの異なる実験で示されている。各実験は、異なる遺伝子的背景(129SV/j、C57BL/6および129SV/j×Balb/c)で実施されている(Liu et al., 2005)。これらの背景のマウスは、背景ごとにパターンが異なる多様な年齢依存性疾病で死亡することが知られている(Blackwell et al., 1995; Cosgrove et al., 1978、Frith et al., 1983; Smith et al., 1973)。三つの実験すべてで、野生型マウスおよび突然変異体マウスの大部分が、遺伝子型(mclk1+/+またはmclk1+/-)に典型的な比較的短い期間内に死亡する(Liu et al., 2005)。mclk1減少が異なる遺伝子的背景で作用し、最大および中央値寿命が延びるという事実は、致死のすべてまたは大部分の原因がこの減少によって部分的に抑制されたということを示す。実際、寿命の単一の原因が遺伝子操作、たとえば癌によって影響される場合、寿命はごくわずかしか延びないか、全く延びない(Matheu et al., 2004; Miller, 2005)。対照的に、生理学的加齢を減速させることが知られている操作、たとえばカロリー制限および成長ホルモンシグナル伝達の減少は、年齢依存性疾患の発症率を下げる(Bartke, 2005; Berrigan et al., 2002; Hursting et al., 2004)。そのうえ、加齢プロセスが加速された動物は、疾病の罹患率増大および早期発症を示す(Fenton et al., 2004; Takeda et al., 1997)。これらの観測が、寿命に対するclk-1/mclk1の影響の進化的保存と相まって(Liu et al., 2005)、mCLK1活性の減少が生理学的加齢を減速させること、ひいては、CLK-1の阻害が年齢依存性疾病の発症および重篤度を遅らせることができることを示す。生理学的加齢を減速させることが、多様な疾病の発症率および重篤度を下げるのに最良の方法であるということが十分に認識されている(Finkel, 2005; Miller, 2005)。
【0008】
したがって、CLK-1阻害剤として有用である薬品を使用することによるCLK-1の阻害が、年齢関連の疾病の予防または減少につながる。
【0009】
キノリン誘導体
キノリン誘導体のタイプの化合物は、神経変性病状、特に酸化性ストレスに関連するまたはそれによって促進される病状の処置、軽減および/または予防に使用するためにCA2.493.536 A1、US2006/0074104 A1およびWO2004/087160 A1に開示されている。考えられる神経学的障害は、認知障害、たとえば認知症前状態もしくは軽度認知障害または記憶損失につながる病状を含む。
【0010】
上述のキノリン誘導体は、有用な酸化性ストレス制御因子であることが示されているが、それらは、主に金属キレート化を介してそれらの治療効果を発揮するものと記載されている。類似した化合物を使用して、CLK-の阻害が有益である年齢関連の障害を予防および/または処置することができることを示す従来技術参考文献は今日まで知られていない。
【0011】
これに関連して、本発明者らは、CLK-1を阻害するのに有効である新たなファミリーの化合物を開発した。このような化合物は、年齢関連の障害ならびに虚血・再灌流傷害および炎症性障害に対して有効である。
【発明の概要】
【0012】
概要
したがって、本発明の目的は、CLK-1阻害活性を有する式Aの新規なキノリン誘導体を提供することである。
【0013】
より具体的には、本発明は、以下に定義する式Aの化合物またはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグに関する:
式中、
X=H、メチルまたはハロゲンであり、置換基R1およびR2は、以下のように定義される:
a) R2が水素である場合、R1は、Hもしくはハロゲンであるか、またはR1は、アミノ(3,4-ジメトキシフェニル)メチル、2-ヒドロキシフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、4-ジメチルアミノフェニル、ピリジン-4-イル、2-メトキシピリジン-3-イルおよび2-アセトアミドフェニルからなる群より選択され;または、
R1は、-CH(R3)NR4R5であり、その場合、
・R4=HもしくはC1〜C4アルキルであり;
・R5=Hもしくは
であり;かつR6は、C1〜C6アルキル、C5〜C6アリール、ベンジル、ジメチルアミノメチル、フェニルエチルおよびジフェニルメチルからなる群より選択され;ならびに
・R3は、H、メチル、フェニル、ベンジル、2-クロロフェニル、2-メトキシフェニル、4-クロロフェニル、4-メチルフェニル、4-イソプロピルフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、4-メトキシフェニル、4-シアノフェニル、4-ジメチルアミノ-フェニル、4-ジエチルアミノ-フェニル、2,4-ジクロロフェニル、3,4-ジメトキシフェニル、4-メトキシカルボニルフェニル、3-メトキシカルボニルフェニル、N-メチルベンズアミド、N-(3-メトキシプロピル)ベンズアミド、N,N-ジメチルベンズアミド、4-(モルホリン-4-イルカルボニル)フェニル、4-(ピリジン-2-イル)フェニル、4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、6-(モルホリン-4-イル)ピリジン-3-イル、2-フリル、3-フリル、2-(モルホリン-4-イル)ピリジン-3-イル、2-メトキシピリジン-3-イル、4-メトキシピリジン-3-イル、2-チエニル、2-ブチル-1H-イミダゾール-4-イル、キノリン-3-イル、キノリン-4-イル、8-ヒドロキシキノリン-2-イル、1H-インドール-3-イル、1H-インドール-4-イルおよび1H-インドール-7-イルからなる群より選択され;または、
R1は、
であり、R7は、-(CH2)n-R8であり、ここで、R8は、一つまたは二つのメトキシル基によって置換されてもよいC5〜C6アリールであり、n=0または1であり;あるいは
b) XおよびR1がいずれも水素原子を表す場合、R2は、ピリジン-2-イルカルボキサミド、ピリジン-2-イルアセトアミド、3-ヒドロキシフェニルアセトアミド、4-ヒドロキシフェニルアセトアミド、((2-メトキシフェニル)アミノ)メチル、((3-メトキシフェニル)アミノ)メチル、((3-メトキシベンジル)アミノ)メチル、2-チエニルアセトアミドおよび((2-チエニルメチル)アミノ)メチルからなる群より選択され;
ただし、式Aの化合物それぞれは、添付1で同定された化合物の一つではない。
【0014】
本発明の式Aの化合物は、少なくとも一つの不斉中心を含む場合、鏡像異性体のようなそれらの光学活性異性体の一つまたはそれらの混合物、たとえばラセミ化合物の形態にある。
【0015】
本発明はまた、以下の段階を含む、細胞におけるCLK-1活性を阻害するための方法に関する:
a) CLK-1活性を阻害する必要のある細胞を提供する段階、
b) 該細胞を、以下に定義する式(B):
の化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグと接触させる段階であって、
式中、X、R1およびR2は、先に述べたものと同じ定義を有し、
式(B)の化合物が、少なくとも一つの不斉中心を含む場合、その光学活性異性体の一つまたはそれらの混合物の形態にある、段階、ならびに
c) 該細胞におけるCLK-1活性を測定する段階。
【0016】
本発明はまた、以下の段階を含む、動物における、CLK-1の阻害が有益である障害またはそれに伴う症候の予防および/または処置のための方法に関する:
a) CLK-1の阻害が有益である障害を有する動物を特定する段階、および
b) 該動物に、式(B)の化合物、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグを投与する段階。
【0017】
本発明はまた、本発明の式Aの化合物、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグおよび少なくとも一つの薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物に関する。
【0018】
本発明はさらに、CLK-1活性を完全または部分的に効果的に減少および/または阻害するための、薬学的有効量の先に定義した式AまたはBの化合物、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグおよび少なくとも一つの薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】CLK-1阻害剤による処理後のキノンプロフィールにおけるDMQの誘発を示すHPLCプロフィール。マウスマクロファージ(RAW264.7)を、a)不活性化合物またはb)活性化合物135 (1μM)で24時間処理した後、続いて細胞溶解およびキノンのヘキサン/エタノール抽出を実施した。UV検出を有するHPLCでメタノール/エタノール勾配を用いて試料を流し、ユビキノン(Q)およびその前駆体デメトキシユビキノン(DMQ)のレベルを測定した。
【図2】a) DMSOまたはb)化合物7 10μMで処理されたRAW264.7細胞中の相対的キノンピークを示すHPLCプロフィール(Q:ユビキノン、DMQ:デメトキシユビキノン)。
【図3】a) 1μMまたはb) 3μMの化合物23で処理されたRAW264.7細胞中の相対的キノンピークを示すHPLCプロフィール(Q:ユビキノン、DMQ:デメトキシユビキノン)。
【図4】a) 5μMまたはb) 10μMの化合物69で処理されたRAW264.7細胞中の相対的キノンピークを示すHPLCプロフィール(Q:ユビキノン、DMQ:デメトキシユビキノン)。
【図5】a) 5μMまたはb) 10μMの化合物47で処理されたRAW264.7細胞中の相対的キノンピークを示すHPLCプロフィール(Q:ユビキノン、DMQ:デメトキシユビキノン)。
【図6】a) 5μMまたはb) 10μMの化合物53で処理されたRAW264.7細胞中の相対的キノンピークを示すHPLCプロフィール(Q:ユビキノン、DMQ:デメトキシユビキノン)。
【図7】CLK-1阻害剤の特異性。a)マウスCLK-1 (JF496-mclk1試験システム)およびb)バクテリアDMQヒドロキシラーゼUbiF (JF496-ubiF試験システム)に対する化合物7の効果。a)マウスCLK-1およびb)バクテリアDMQヒドロキシラーゼUbiFを発現するJF496バクテリアを、化合物7で5時間処理した。HPLCを使用してキノンを抽出し、分析した。HPLCトレースは、ユビキノン(Q)合成が低下するのに伴ってデメトキシユビキノン(DMQ)が増大しているように、CLK-1活性が7によって阻害されることを示す。それとは対照的に、UbiF活性は影響を受けず、Qは、検出される主要なキノン種である。これは、化合物7が特異的CLK-1阻害活性を有することを示す。
【図8】CLK-1阻害剤の特異性。a)マウスCLK-1 (JF496-mclk1試験システム)およびb)バクテリアDMQヒドロキシラーゼUbiF (JF496-ubiF試験システム)に対する化合物52の効果。a)マウスCLK-1およびb)バクテリアDMQヒドロキシラーゼUbiFを発現するJF496バクテリアを化合物52で5時間処理した。HPLCを使用してキノンを抽出し、分析した。HPLCトレースは、ユビキノン(Q)合成が低下するのに伴ってデメトキシユビキノン(DMQ)が増大しているように、CLK-1活性が52によって阻害されることを示す。それとは対照的に、UbiF活性は影響を受けず、Qは、検出される主要なキノン種である。これは、化合物52がCLK-1特異的阻害活性を有することを示す。
【図9】CLK-1阻害剤(7および135)のROS低下効果。(A)マウスマクロファージ細胞中のCLK-1阻害剤のキノンプロフィールを示す表、(B) CLK-1阻害剤とでプレインキュベートした細胞を、細胞ROSによって酸化されると緑の蛍光を発する蛍光マーカDCFで処理した。細胞中にROSを誘発するためにH2O2が使用され、CLK-1阻害剤によって観測された減少が対照に対する割合として示され、(C)細胞核から漏れるDNAの蛍光テールを使用して、ROSによって誘発されたDNA損傷を計測するCOMETアッセイ。ここでもまた、ROSを誘発するためにH2O2が使用され、データは、テールを有する細胞の、対照に比較した場合の割合として表されている。CLK-1阻害剤の存在でコメットを示す細胞の減少率(全細胞の%)が示されている。
【図10】虚血・再灌流のラットモデルにおける血清クレアチニンレベルに対する化合物7または52の効果。
【図11】虚血・再灌流のラットモデルにおける血中尿素窒素(BUN)レベルに対する化合物7または52の効果。
【図12】虚血・再灌流のラットモデルにおけるクレアチニンクリアランスに対する化合物7または52の効果。
【図13】虚血・再灌流のラットモデルにおける尿タンパク質濃度(g/L)に対する化合物7または52の効果。
【図14】リポ多糖(LPS)誘発肺傷害のあるラットにおけるリポキシゲナーゼ(LPO)レベルに対する化合物7の効果。
【図15】LPS誘発肺傷害のあるラットにおけるタンパク質含量に対する化合物7の効果。
【図16】LPS誘発肺傷害のあるラットにおける全細胞および好中球レベルに対する化合物7の効果。
【図17】LPS誘発肺傷害のあるラットにおけるTNF-αレベルに対する化合物7の効果。
【図18】TBS分画中、hAPP751SLトランスジェニックマウスにおけるELISAによって測定された可溶性Aβ1-40に対する様々な投与量の化合物138による処置の効果。
【図19】TBS分画中、hAPP751SLトランスジェニックマウスにおけるELISAによって測定された可溶性Aβ1-42に対する様々な投与量の化合物138による処置の効果。
【図20】Triton X-100分画中、hAPP751SLトランスジェニックマウスにおけるELISAによって測定された可溶性Aβ1-40に対する様々な投与量の化合物138による処置の効果。
【図21】Triton X-100分画中、hAPP751SLトランスジェニックマウスにおけるELISAによって測定された可溶性Aβ1-42に対する様々な投与量の化合物138による処置の効果。
【図22】FA分画中、hAPP751SLトランスジェニックマウスにおけるELISAによって測定された結合Aβ1-40に対する様々な投与量の化合物138による処置の効果。
【図23】FA分画中、hAPP751SLトランスジェニックマウスにおけるELISAによって測定された結合Aβ1-42に対する様々な投与量の化合物138による処置の効果。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明の詳細な説明
本発明は、CLK-1阻害活性を提示する、以下に定義する式Aのキノリン誘導体からなる新たなクラスの化合物の予想外の発見を生み出した。
【0021】
定義
本明細書で使用する「薬学的に許容される塩」とは、過度な毒性、刺激またはアレルギー反応を生じさせることなくヒトおよび下等動物の組織と接触させて使用するのに適し、妥当な危険/利益比に見合う本発明の化合物の任意の塩を含むことを意味する。薬学的に許容される塩は当技術分野で周知である(Pharmaceutical Salts Properties, Selection, and Use, Stahl, P. Heinrich / Wermuth, Camille G. (eds.), 2002. Monograph −ISBN3-906390-26-8− Verlag Helvetica Chimica Acta, Zurich)。塩は、本発明の化合物の最終的な単離および精製中インサイチューで調製することもできるし、本発明の化合物の遊離塩基官能基を適当な酸と反応させることにより、または、本発明の化合物の遊離酸官能基を適当な塩基、たとえば薬理的に許容可能な金属カチオンの水酸化物、カーボネートまたはバイカーボネートと反応させることにより、別々に調製することもできるが、これらに限定されない。薬学的に許容される酸付加塩は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、ジグルコン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミスルホン酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、プラモエート、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、グルタミン酸塩、炭酸水素塩、p-トルエンスルホン酸塩およびウンデカン酸塩を含むが、これらに限定されない。また、塩基性窒素含有基は、ハロゲン化アルキル、たとえば塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、プロピル;およびブチル、硫酸ジアルキル、たとえば硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチルおよびジアミル;長鎖ハロゲン化物、たとえば塩化、臭化およびヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル;ならびにハロゲン化アリールアルキル、たとえば臭化ベンジルおよびフェニルエチルのような薬剤で第四級化することができる。薬学的に許容される塩はまた、アルカリ金属またはアルカリ土類金属系のカチオン、たとえばアルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム塩等を含むが、これらに限定されない。
【0022】
本明細書で使用する「プロドラッグ」とは、インビボに投与されると、代謝または他の方法によって、たとえば血液中での加水分解によって生物学的、薬学的または治療的に活性な親化合物形態に転換される化合物である。プロドラッグを製造するためには、薬学的に活性な化合物を、代謝プロセスによって活性化合物が再生されるように改質する。プロドラッグは、薬の代謝安定性または輸送特性を変化させる(バイオアベイラビリティの改善を含む)、副作用または毒性を隠蔽する、薬の味を改良する、または薬の他の特徴もしくは性質を変化させるように設計することもできる。インビボでの薬力学的プロセスおよび薬物代謝の知識のおかげで、当業者は、ひとたび薬学的に活性な化合物が知られるならば、該化合物のプロドラッグを設計することができる。
【0023】
本発明はまた、式AまたはBを有する化合物のインビボ転換によって形成される代謝産物を考慮する。用語「代謝産物」とは、酸化、還元、加水分解または接合による、式AまたはBを有する化合物のインビボ生体内変換によって形成される化合物をいう。
【0024】
本明細書で使用する用語「アルキル」とは、直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基およびシクロアルキル(脂環式)基を含む、飽和脂肪族基をいう。
【0025】
本明細書で使用する用語「アリール」は、0〜4個のヘテロ原子(S、N、O)を含むことができる5員および6員の単環芳香族基、たとえば非置換または置換されたベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジン等を含む。
【0026】
本明細書で使用する用語「ハロゲン」は、F、Cl、BrまたはIを指す。
【0027】
本明細書で使用する用語「光学活性異性体」は、請求項に係わる化合物の、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、ラセミ化合物またはそれらの混合物をはじめとし、それらに限定されない任意の異性形態を指す。
【0028】
「薬学的に許容される担体」とは、組成物、すなわち式Aの化合物の有効成分の生物学的活性の有効性を妨害せず、ホストまたは患者に対して毒性ではない担体をいう。さらには、担体は、有利には、処置対象の免疫システムによって拒絶される可能性がきわめて低い化合物である。適当な担体は、当業者には一般的な知識であり、さらに詳細には説明しない。
【0029】
本発明で使用する用語「処置」とは、CLK-1の阻害が有益である障害またはそれに伴う症候が軽減または完全に解消されるプロセスをいう。たとえば、本発明の化合物を適当な剤形および適当な用量で疾病の高い危険性または早期段階にある患者に与えることにより、障害またはそれに伴う症候のそのような処置を軽減または完全に解消することができることを理解することができる。
【0030】
本明細書で使用する用語「予防」は、年齢関連の障害をはじめとし、それに限定されない障害またはそれに伴う症候が妨害、遅延または阻止されるプロセスをいう。
【0031】
本明細書で使用する語句「CLK-1の阻害が有益である障害」とは、CLK-1の阻害が有益であることが知られている、または予測される障害またはそれに伴う症候をいう。より具体的には、この語句は、CLK-1の阻害によって軽減または解消される障害またはそれに伴う症候をいう。さらに具体的には、この語句は、非限定的に、炎症性障害、酸化ストレスおよび/またはフリーラジカル誘発損傷によって発生または増悪する障害、たとえばROS媒介疾病、たとえば低酸素/再酸素化傷害および虚血/再灌流傷害をいう。この語句はまた、年齢関連の傷害を包含する。
【0032】
本明細書で使用する語句「年齢関連の障害」とは、発症率および/または罹患率が年齢とともに増大する障害、たとえば、非限定的に、心臓血管病、たとえばアテローム硬化症、冠状動脈疾患および脳卒中;末梢血管疾患;代謝障害、たとえばII型糖尿病、異脂肪血症および高トリグリセリド血症;癌、たとえば皮膚癌、乳頭腫および年齢依存性癌;虚血/再灌流傷害、たとえば腎、心、脳虚血および放射性造影剤誘発腎障害;炎症;神経変性障害および認知症、たとえばアルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、記憶障害および精神病;膀胱および腎障害、たとえば腎炎、腎障害、末期腎疾患(ESRD)、糖尿病合併症、たとえば腎障害、創傷治癒障害および網膜疾患;眼の障害、年齢関連の黄斑変性症、ドライアイ、緑内障、色素性網膜炎および白内障、肺および呼吸障害、たとえば慢性閉塞性肺疾患(COPD)および突発性肺繊維症(IPF);筋骨格障害、たとえば炎症性関節炎、痛風および骨粗しょう症;ならびに皮膚症状、たとえば皮膚癌および皮膚老化、たとえばフォトエージングをいう。
【0033】
本発明で使用する用語「炎症」とは、組織の傷害または破壊によって誘発されて、傷害性因子および傷害組織を共に破壊、希釈または隔離するように作用する局所的防護反応であって、急性の形態では、一般的な一連の痛み、熱、赤み、腫れおよび機能損失を特徴とし、組織学的には、複雑な一連の事象、たとえば、透過性および血流の増大、血漿タンパクを含む流体の滲出ならびに炎症点への白血球の移動を伴う細動脈、毛細血管および細静脈の拡張を含む局所的防護反応を意味する。また、TNF-αの大量放出をも特徴とする。
【0034】
本明細書で使用する語句「虚血/再灌流傷害」とは、たいていは不十分な栄養および酸素の影響のせいで血流を奪われた場合に組織および臓器がこうむる症状をいう。再灌流傷害とは、一般には約10分を超える虚血期間後に血流が回復したときにこうむる組織損傷をいう。虚血および再灌流は、罹患組織に深刻な損傷または致命的な損傷を生じさせるおそれがある。
【0035】
本発明のキノリン誘導体は、以下の一般式(A)を有する化合物または薬学的に許容されるその塩もしくはそのプロドラッグである:
式中、
X=H、メチルまたはハロゲンであり、置換基R1およびR2は、以下のように定義される:
a) R2が水素である場合、R1は、Hもしくはハロゲンであるか、またはR1は、アミノ(3,4-ジメトキシフェニル)メチル、2-ヒドロキシフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、4-ジメチルアミノフェニル、ピリジン-4-イル、2-メトキシピリジン-3-イルおよび2-アセトアミドフェニルからなる群より選択され;または、
R1は、-CH(R3)NR4R5であり、その場合、
・R4=HもしくはC1〜C4アルキルであり;
・R5=Hもしくは
であり;かつR6は、C1〜C6アルキル、C5〜C6アリール、ベンジル、ジメチルアミノメチル、フェニルエチルおよびジフェニルメチルからなる群より選択され;ならびに
・R3は、H、メチル、フェニル、ベンジル、2-クロロフェニル、2-メトキシフェニル、4-クロロフェニル、4-メチルフェニル、4-イソプロピルフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、4-メトキシフェニル、4-シアノフェニル、4-ジメチルアミノ-フェニル、4-ジエチルアミノ-フェニル、2,4-ジクロロフェニル、3,4-ジメトキシフェニル、4-メトキシカルボニルフェニル、3-メトキシカルボニルフェニル、N-メチルベンズアミド、N-(3-メトキシプロピル)ベンズアミド、N,N-ジメチルベンズアミド、4-(モルホリン-4-イルカルボニル)フェニル、4-(ピリジン-2-イル)フェニル、4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、6-(モルホリン-4-イル)ピリジン-3-イル、2-フリル、3-フリル、2-(モルホリン-4-イル)ピリジン-3-イル、2-メトキシピリジン-3-イル、4-メトキシピリジン-3-イル、2-チエニル、2-ブチル-1H-イミダゾール-4-イル、キノリン-3-イル、キノリン-4-イル、8-ヒドロキシキノリン-2-イル、1H-インドール-3-イル、1H-インドール-4-イルおよび1H-インドール-7-イルからなる群より選択され;または、
R1は、
であり、R7は、-(CH2)n-R8であり、ここで、R8は、一つまたは二つのメトキシル基によって置換されてもよいC5〜C6アリールであり、n=0または1であり;あるいは
b) XおよびR1がいずれも水素原子を表す場合、R2は、ピリジン-2-イルカルボキサミド、ピリジン-2-イルアセトアミド、3-ヒドロキシフェニルアセトアミド、4-ヒドロキシフェニルアセトアミド、((2-メトキシフェニル)アミノ)メチル、((3-メトキシフェニル)アミノ)メチル、((3-メトキシベンジル)アミノ)メチル、2-チエニルアセトアミドおよび((2-チエニルメチル)アミノ)メチルからなる群より選択され;
ただし、式(A)の化合物それぞれは、添付1で同定された化合物の一つではない。
【0036】
少なくとも一つの不斉中心を含む本発明の式(A)の化合物は、それらの鏡像異性体の一つまたはそれらの混合物のいずれかの形態にある。
【0037】
さらに好ましくは、式(A)の化合物は、R4が、Hまたはメチルであり、R6が、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、ter-ブチル、フェニル、ベンジル、ジメチルアミノメチル、フェニルエチル、シクロヘキシル、ジフェニルメチル、ピリジン-2-イルおよびピリジン-3-イルより選択され、他の置換基が先に定義と同じ意味を有している化合物である。
【0038】
もう一つの好ましい態様にしたがって、式(A)の化合物は下記からなる群より選択される:
N-((3,4-ジメトキシフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)アセトアミド 2、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)ベンズアミド 3、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-N-メチルアセトアミド 8、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-2,2-ジフェニルアセトアミド 11、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-2-フェニルアセトアミド 12、
7-(アミノ(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-オール 13、
N-(1-(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)-2-フェニルエチル)アセトアミド 14、
N-((2-ブチル-1H-イミダゾール-4-イル)(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)アセトアミド 15、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(2-メトキシピリジン-3-イル)メチル)アセトアミド 16、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(キノリン-4-イル)メチル)アセトアミド 17、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(2-モルホリン-4-イルピリジン-3-イル)メチル)-アセトアミド 18、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(キノリン-3-イル)メチル)アセトアミド 19、
4-((アセチルアミノ)(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)安息香酸メチル 21、
3-((アセチルアミノ)(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)安息香酸メチル 22、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-シアノフェニル)メチル)アセトアミド 23、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-ピリジン-2-イルフェニル)メチル)アセトアミド 24、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニル)メチル)アセトアミド 25、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-ヒドロキシフェニル)メチル)アセトアミド 26、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3-ヒドロキシフェニル)メチル)アセトアミド 27、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(6-メトキシピリジン-3-イル)メチル)アセトアミド 28、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(ピリジン-2-イル)メチル)アセトアミド 29、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(ピリジン-4-イル)メチル)アセトアミド 30、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(ピリジン-4-イル)メチル)アセトアミド塩酸塩 31、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(ピリジン-3-イル)メチル)アセトアミド 32、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(ピリジン-3-イル)メチル)アセトアミド塩酸塩 33、
N-((5-クロロ-8 ヒドロキシキノリン-7-イル)(8-ヒドロキシキノリン-2-イル)メチル)アセトアミド 34、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(6-モルホリン-4-イルピリジン-3-イル)メチル)-アセトアミド 35、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(1H-インドール-3-イル)メチル)アセトアミド 36、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(1H-インドール-4-イル)メチル)アセトアミド 37、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(1H-インドール-7-イル)メチル)アセトアミド 38、
4-((アセチルアミノ)(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)-N,N-ジメチル-ベンズアミド 39、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-(モルホリン-4-イルカルボニル)フェニル)メチル)-アセトアミド 40、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-カルボキサミド 41、
4-((アセチルアミノ)(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)-N-(3-メトキシプロピル)-ベンズアミド 44、
4-((アセチルアミノ)(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)-N-メチルベンズアミド 45、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-N,N-ジメチル-グリシンアミド 46、
N-(1-(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)エチル)アセトアミド 47、
N-((8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)アセトアミド 48、
N-(2-フリルメチル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 53、
N-(2-チエニルメチル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 54、
N-(2-メトキシベンジル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 55、
5-クロロ-7-(3-ヒドロキシフェニル)キノリン-8-オール 57、
5-クロロ-7-(4-ヒドロキシフェニル)キノリン-8-オール 58、
N-(2-(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)フェニル)アセトアミド 59、
5-クロロ-7-(2-メトキシピリジン-3-イル)キノリン-8-オール 61、
5-クロロ-7-ピリジン-4-イルキノリン-8-オール塩酸塩 62、
N-(3,4-ジメトキシフェニル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 63、
N-(3-メトキシフェニル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 64、
N-(3-メトキシベンジル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 65、
N-(3,4-ジメトキシベンジル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 66、
N-(2-メトキシフェニル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 67、
N-(ピリジン-3-イルメチル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 68、
N-(8-ヒドロキシキノリン-2-イル)ピリジン-2-イルカルボキサミド 69、
N-(8-ヒドロキシキノリン-2-イル)-2-ピリジン-2-イル アセトアミド 70、
2-(3-ヒドロキシフェニル)-N-(8-ヒドロキシキノリン-2-イル)アセトアミド 71、
2-(4-ヒドロキシフェニル)-N-(8-ヒドロキシキノリン-2-イル)アセトアミド 72、
N-(8-ヒドロキシキノリン-2-イル)-2-(2-チエニル)アセトアミド 73、
2-(((3-メトキシベンジル)アミノ)メチル)キノリン-8-オール 74、
2-(((3-メトキシフェニル)アミノ)メチル)キノリン-8-オール 75、
2-(((2-チエニルメチル)アミノ)メチル)キノリン-8-オール 76、
2-(((2-メトキシフェニル)アミノ)メチル)キノリン-8-オール 77、
N-[(2,4-ジクロロフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]アセトアミド 78、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(2-チエニル)メチル]アセトアミド 79、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-イソプロピルフェニル)メチル]アセトアミド 80、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(2-チエニル)メチル]ブタンアミド 81、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-イソプロピルフェニル)メチル]ブタンアミド 82、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-メチルフェニル)メチル]-3-フェニルプロパンアミド 92、
N-[(2-クロロフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]-3-フェニルプロパンアミド 93、
N-[(2,4-ジクロロフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]-3-メチルブタンアミド 94、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(フェニル)メチル]-3-メチルブタンアミド 110、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-メトキシフェニル)メチル]-3-フェニルプロパンアミド 111、
N-[(3,4-ジメトキシフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]-3-メチルブタンアミド 112、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(2-チエニル)メチル]-3-メチルブタンアミド 113、
N-[(4-クロロフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]シクロヘキサンカルボキシアミド 121、
N-[(2,4-ジクロロフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]プロパンアミド 122、
N-[(3,4-ジメトキシフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]-3-フェニルプロパンアミド 124、
N-[(2,4-ジクロロフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]ペンタンアミド 125、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-イソプロピルフェニル)メチル]ペンタンアミド 126、
N-[[4-(ジエチルアミノ)フェニル](8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]ペンタンアミド 127、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-メトキシフェニル)メチル]シクロヘキサンカルボキシアミド 128、
N-[(2,4-ジクロロフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]ブタンアミド 129、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-メチルフェニル)メチル]シクロヘキサンカルボキシアミド 130、および
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(2-チエニル)メチル]シクロヘキサンカルボキシアミド 131。
【0039】
好ましい態様にしたがって、本発明の式(A)の化合物のプロドラッグは、キノリン部分の8位のヒドロキシル基が下記の基の一つで置き換えられている化合物に対応している:
式中、MはLi、Na、CaおよびKから選択される。
【0040】
もう一つの好ましい態様にしたがって、上記に定義されたリン酸二水素プロドラッグは、それらの塩酸塩または二塩酸塩の形態にある。
【0041】
本発明の好ましいプロドラッグは下記である:
リン酸二水素((7-((アセチルアミノ)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル 5、
リン酸二ナトリウム((7-((アセチルアミノ)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル 6、
リン酸二水素((7-((アセチルアミノ)(2-フリル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル 136、
リン酸二ナトリウム((7-((アセチルアミノ)(2-フリル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル 137、
リン酸二水素((7-((アセチルアミノ)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル二塩酸塩 138、および
リン酸二水素((7-((アセチルアミノ)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル塩酸塩 139。
【0042】
先に述べたように、本発明の化合物中には不斉またはキラル中心が存在することができる。本発明は、式(A)の化合物の様々な光学活性異性体およびそれらの混合物を考慮する。一例として、本発明の化合物の個別の鏡像異性体は、不斉またはキラル中心を含有する市販の出発原料から合成的に調製されるか、または鏡像異性化合物の混合物を調製した後、当業者に周知の分割によって調製される。これらの分割方法は、下記の方法によって例示される:a)鏡像異性体のラセミ混合物をキラルな助剤に付着させ、得られたジアステレオ異性体を再結晶またはクロマトグラフィーによって分離し、光学的に純粋な生成物を助剤から遊離させる方法またはb)光学鏡像異性体の混合物をキラルクロマトグラフィーカラムで直接分離する。
【0043】
本発明はまた、以下の段階を含む、細胞におけるCLK-1活性を阻害するための方法に関する:
a) CLK-1活性を阻害する必要のある細胞を提供する段階、
b) 該細胞を、式(B):
の化合物と接触させる段階であって、
式中、X=H、メチルまたはハロゲンであり、置換基R1およびR2は、以下のように定義され:
i) R2が水素である場合、R1は、Hもしくはハロゲンであるか、またはR1は、アミノ(3,4-ジメトキシフェニル)メチル、2-ヒドロキシフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、4-ジメチルアミノフェニル、ピリジン-4-イル、2-メトキシピリジン-3-イルおよび2-アセトアミドフェニルからなる群より選択され;または、
R1は、-CH(R3)NR4R5であり、その場合、
・R4=HもしくはC1〜C4アルキルであり;
・R5=Hもしくは
であり;かつR6は、C1〜C6アルキル、C5〜C6アリール、ベンジル、ジメチルアミノメチル、フェニルエチルおよびジフェニルメチルからなる群より選択され;ならびに
・R3は、H、メチル、フェニル、ベンジル、2-クロロフェニル、2-メトキシフェニル、4-クロロフェニル、4-メチルフェニル、4-イソプロピルフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、4-メトキシフェニル、4-シアノフェニル、4-ジメチルアミノ-フェニル、4-ジエチルアミノ-フェニル、2,4-ジクロロフェニル、3,4-ジメトキシフェニル、4-メトキシカルボニルフェニル、3-メトキシカルボニルフェニル、N-メチルベンズアミド、N-(3-メトキシプロピル)ベンズアミド、N,N-ジメチルベンズアミド、4-(モルホリン-4-イルカルボニル)フェニル、4-(ピリジン-2-イル)フェニル、4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、6-(モルホリン-4-イル)ピリジン-3-イル、2-フリル、3-フリル、2-(モルホリン-4-イル)ピリジン-3-イル、2-メトキシピリジン-3-イル、4-メトキシピリジン-3-イル、2-チエニル、2-ブチル-1H-イミダゾール-4-イル、キノリン-3-イル、キノリン-4-イル、8-ヒドロキシキノリン-2-イル、1H-インドール-3-イル、1H-インドール-4-イルおよび1H-インドール-7-イルからなる群より選択され;または、
R1は、
であり、R7は、-(CH2)n-R8であり、ここで、R8は、一つまたは二つのメトキシル基によって置換されてもよいC5〜C6アリールであり、n=0または1であり;あるいは
ii) XおよびR1がいずれも水素原子を表す場合、R2は、ピリジン-2-イルカルボキサミド、ピリジン-2-イルアセトアミド、3-ヒドロキシフェニルアセトアミド、4-ヒドロキシフェニルアセトアミド、((2-メトキシフェニル)アミノ)メチル、((3-メトキシフェニル)アミノ)メチル、((3-メトキシベンジル)アミノ)メチル、2-チエニルアセトアミドおよび((2-チエニルメチル)アミノ)メチルからなる群より選択され、
式(B)の化合物が、少なくとも一つの不斉中心を含む場合、その鏡像異性体の一つまたはそれらの混合物の形態にある、段階、ならびに
c) 該細胞におけるCLK-1活性を測定する段階。
【0044】
有利には、細胞においてCLK-1活性を阻害するために使用する式(B)の化合物は、表1で同定された化合物の群より選択される。
【0045】
さらにより有利には、細胞においてCLK-1活性を阻害のために使用する式(B)の化合物は、下記の群より選択される:
N-[(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル]アセトアミド 7、
5-クロロ-7-ヨードキノリン-8-オール 52、
5-クロロ-7-(2-ヒドロキシフェニル)キノリン-8-オール 56、
5-クロロ-7-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)キノリン-8-オール 60、および
N-[(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(2-フリル)メチル]アセトアミド 135。
【0046】
本発明はさらに、以下の段階を含む、動物における、CLK-1の阻害が有益である障害またはそれに伴う症候の予防および/または処置のための方法に関する:
a) CLK-1の阻害が有益である障害を有する動物を特定する段階、および
b) 該動物に、先に定義した式(B)の化合物、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグを投与する段階。
【0047】
有利には、動物における、CLK-1の阻害が有益である障害またはそれに伴う症候の予防および/または処置のために使用される式(B)の化合物、その塩もしくはそのプロドラッグまたは光学的に活性な異性体は、表1で同定された化合物の群から選択される。
【0048】
より有利には、動物における、CLK-1の阻害が有益である障害またはそれに伴う症候の予防および/または処置のために使用される式(B)の化合物、その塩またはそのプロドラッグは、下記の群より選択される::
リン酸二水素((7-((アセチルアミノ)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル 5、
リン酸二ナトリウム((7-((アセチルアミノ)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル 6、
N-[(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル]アセトアミド 7、
N-[(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(2-フリル)メチル]アセトアミド 135、
リン酸二水素((7-((アセチルアミノ)(2-フリル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル136、
リン酸二ナトリウム((7-((アセチルアミノ)(2-フリル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル 137、
リン酸二水素((7-((アセチルアミノ)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル二塩酸塩 138、および
リン酸二水素((7-((アセチルアミノ)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル塩酸塩 139。
【0049】
好ましい態様にしたがって、CLK-1の阻害が有益である障害は、虚血/再灌流傷害、炎症または神経変性障害もしくは認知症である。
【0050】
より好ましくは、非限定的に、虚血/再灌流傷害は、腎、心、心筋、肺、脳または脊髄の虚血/再灌流傷害である。
【0051】
好ましい態様にしたがって、炎症は、肺の炎症、肝臓の炎症または任意の他の臓器の炎症およびそのような炎症が促進される臨床的徴候である。
【0052】
もう一つの態様にしたがって、神経変性障害はアルツハイマー病である。
【0053】
マウスにおけるCLK-1活性の阻害が生理学的老化を減速させるということが以前に示されているため(Liu et al., 2005)、これは、動物におけるCLK-1活性の阻害が年齢依存性疾患の発症および重篤度を遅らせることができることを示す。
【0054】
これに関連して、本発明者らは、今回本発明の式(B)の化合物が同じく年齢関連の障害またはそれに伴う症候を処置または予防するのに有効であることを見いだした。
【0055】
したがって、より好ましくは、本発明は、動物における、年齢関連の障害またはそれに伴う症候の予防および/または処置のための、
a)年齢関連の障害を有する動物を特定する段階、および
b)該動物に、式(B)の化合物、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグを投与する段階
を含む方法に関し、ただし、該式(B)の化合物は、下記の化合物、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグのいずれでもない:
5-クロロ-7-ヨードキノリン-8-オール 52、
5-クロロ-7-(2-ヒドロキシフェニル)キノリン-8-オール 56、または
5-クロロ-7-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)キノリン-8-オール 60。
【0056】
好ましい態様にしたがって、上記方法は、下記からなる群より選択される年齢関連の障害またはそれに伴う症候の予防および/または処置のために使用される:心臓血管病、たとえばアテローム硬化症、冠状動脈疾患および脳卒中;末梢血管疾患;代謝障害、たとえばII型糖尿病、異脂肪血症および高トリグリセリド血症;癌、たとえば皮膚癌、乳頭腫および年齢依存性癌;虚血/再灌流傷害、たとえば腎、心、脳虚血および放射性造影剤誘発腎障害;炎症;神経変性障害および認知症、たとえばアルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、記憶障害および精神病;膀胱および腎障害、たとえば腎炎、腎障害、末期腎疾患(ESRD);糖尿病合併症、たとえば腎障害、創傷治癒障害および網膜疾患;眼の障害、たとえば年齢関連の黄斑変性症、ドライアイ、緑内障、色素性網膜炎および白内障;肺および呼吸障害、たとえば慢性閉塞性肺疾患(COPD)および突発性肺繊維症(IPF);筋骨格障害、たとえば炎症性関節炎、痛風および骨粗しょう症;ならびに化粧品性および皮膚科的皮膚症状、たとえばフォトエージングのような皮膚老化および皮膚癌。
【0057】
本発明の式(B)の化合物で処置される動物は、ヒトまたは、ウシ、ウマ、ブタ、モルモット、ハムスター、ヤギ、ウサギ、ニワトリ、イヌ、ネコおよびトリをはじめとし、それらに限定されない商業的もしくは家畜的価値のある任意の動物であることができる。よりさらに好ましい処置される動物は、ヒトである。
【0058】
本発明はまた、本明細書で先に定義した式(A)の化合物、薬学的に許容されるその塩もしくはプロドラッグまたは先に定義したプロドラッグ5、6、136、137、138および139のいずれかを一つまたは複数の非毒性の薬学的に許容される担体とともに調合して含む薬学的組成物に関する。
【0059】
また、本発明者らは、本発明の式(A)または(B)の化合物がCLK-1阻害活性を有するということを示した。
【0060】
したがって、本発明はまた、CLK-1活性を効果的に低下および/または阻害するための、薬学的有効量の式(A)または(B)の化合物、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグを含む薬学的組成物に関する。
【0061】
本発明はまた、CLK-1活性を効果的に低下および/または阻害するための、薬学的に許容される量のプロドラッグ5、6、136、137、138および139のいずれか一つを含む薬学的組成物に関する。
【0062】
好ましい態様にしたがって、本発明の化合物は、年齢関連の障害またはそれに伴う症候を処置するのに有効であることが知られる別の薬物と併用する、たとえば異脂肪血症の処置のためのスタチンと併用することができる。
【0063】
本発明の薬学的組成物は、固体または液体形態における経口投与、非経口的注射、直腸投与または局所投与のために特別に製剤化することができる。本発明の薬学的組成物は、ヒトまたは他の動物に対し、経口的、直腸的、非経口的、大槽内的、膣内的、腹腔内的、局所的(散剤、クリーム剤、軟膏剤またはドロップによって)、口腔内的に、または経口もしくは鼻内噴霧として投与することができる。これらの組成物はまた、補助物質、たとえば保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤を含有することができる。微生物活動の阻止は、種々の抗微生物剤および抗真菌剤、たとえばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸等の包含によって保証することができる。注射用剤形の吸収の延長は、吸収を遅らせる薬剤、たとえばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの包含によって生じさせることができる。
【0064】
場合によっては、薬物の効果を延長させるために、皮下または筋内注射からの薬物の吸収を遅らせることが望ましい。これは、水溶性が低い結晶質または非晶質の物質の懸濁液の使用によって達成することができる。したがって、薬物の吸収速度はその溶解速度に依存し、溶解速度は他方で結晶サイズおよび結晶形態に依存することができる。または、非経口投与剤形の吸収の遅延は、薬を油性媒体に溶解または懸濁させることによって達成される。
【0065】
経口投与のための固体剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤および顆粒剤を含む。このような固体剤形の場合、活性化合物は、少なくとも一つの不活性の薬剤的に許容可能な賦形剤もしくは担体、たとえばクエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムおよび/または充填剤もしくは増量剤、たとえばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールと混合される。
【0066】
経口投与のための液体剤形は、薬学的に許容される乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤を含む。液体投与剤形は、活性化合物に加えて、当技術分野で一般に使用される不活性希釈剤、たとえば水または他の溶剤、可溶化剤および乳化剤、たとえばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタン脂肪酸エステルならびにそれらの混合物を含有することができる。
【0067】
本発明の化合物はまた、リン脂質または他の脂質に由来するリポソームの形態で投与することもできる。リポソームは、水性媒体中に分散した単層または多層状の水和液晶から形成される。リポソームを形成することができる任意の非毒性の生理学的に許容可能かつ代謝可能な液体を使用することができる。好ましい液体は、天然および合成のリン脂質およびホスファチジルコリンである。
【0068】
本発明の化合物の局所投与のための剤形は、散剤、スプレー剤、軟膏剤および吸入剤を含む。活性化合物は、無菌条件下、薬学的に許容される担体および必要になるかもしれない保存剤、緩衝剤または推進剤と混合される。
【0069】
本発明の薬学的組成物の有効成分の実際の用量レベルは、特定の患者、組成および投与形態に関して所望の治療応答を達成するのに有効である量の活性化合物を得るように変化させることができる。選択される用量レベルは、特定の化合物の活性、投与形態、処置される病状の重篤度ならびに処置される患者の状態および病歴に依存する。しかし、所望の治療効果を達成するために必要なレベルよりも低いレベルで化合物の投与を開始し、所望の効果が達成されるまで投与量を徐々に増してゆくことは、当業者の技能の範囲内である。
【0070】
添付の図面を参照しながら以下の実施例を参照することによって本発明がさらに容易に理解されよう。これらの実施例は、本発明の広い応用範囲を例示するものであり、その範囲を限定することを意図したものではない。本発明の本質および範囲を逸することなく本発明に改変および変形を加えることができる。本明細書に記載するものと同様または同等な任意の方法および材料を本発明の実施で使用することができるが、好ましい方法および材料を記載する。
【0071】
実施例
実施例1:CLK-1阻害剤の特異性
デメトキシユビキノン(DMQ)ヒドロキシル化を、真核生物中でCLK-1によって実施し、また、真生細菌中でUbiFによって実施する。ubiF遺伝子中に突然変異を有し、DMQヒドロキシル化活性を欠く変性JF496大腸菌株中でCLK-1阻害剤分子を試験した。この株を、マウスclk-1遺伝子または大腸菌ubiF遺伝子のいずれかで相補する。この相補は機能的であり、DMQヒドロキシル化を回復させる。結果として、救出された株は、DMQを蓄積することはできないが、ユビキノン(Q)を合成することができる。Q合成阻害に関する特異性に関して、二つの変性株を使用して試験分子を評価する。
【0072】
材料および方法
バクテリア株および培地
大腸菌株JF496 (ubiF-)を、マウスclk-1遺伝子または大腸菌ubiF遺伝子を含有するプラスミドでトランスフェクトした。一般増殖のために、各株のクローンを、アンピシリン(50μg/ml)で補足したLB培地5ml中、37℃で夜通し増殖させる。培養物を1/10に希釈し、OD600を計測する。培養物を、M9-LB (0.5/0.5:v/v)中、0.03のOD60Oまで希釈した。このミックスは、(1mM MgSO4、20μM CaCl2、0.5μg/mLチアミン、0.12%カザミノ酸、40μg/mL D-L-メチオニン、100μg/mL L-アスパラギン、微量金属、0.5%グルコース)で補足されたM9培地およびLB培地からなる。培地は、プラスミド選択のためのアンピシリン(50μg/mL)を含有する。HPLCキノン分析のために、JF496-ubiFおよびJF496-mclk-1株を、夜通しの前培養物からM9-LB (0.5/0.5:v/v)中に0.03のOD60Oまで希釈する。バクテリア750μlを15ml管に移す。バクテリア培養物を37℃で5時間、撹拌しながらインキュベートする。
【0073】
キノン抽出
細胞を遠心分離によって採取し、蒸留水で洗浄し、再び遠心分離する。ペレットを-80℃で夜通し凍結する。その後、細胞を解凍し、リン酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH7.0)1ml中に再懸濁させ、Q6 50ngをキノン抽出対照として加える。キノンを抽出するために、エタノール1mlを加え、細胞を30秒間ボルテックスする。次いでヘキサン1mlを加える。その後、細胞を2分間ボルテックスし、遠心分離する。上相(ヘキサン)を捕集する。下相を再び抽出し、遠心分離する。その後、上相を捕集し、先の抽出物に加える。上相を約1時間凍結乾燥させ、ペレットを-80℃で保持する。ペレットを移動相300μl中に再懸濁させた後、HPLC分析を実施する。
【0074】
HPLC法
Beckman System Gold HPLCを、フォトダイオードアレイ検出器およびBeckman Ultrasphere ODS (4.6mm×25cm)カラムとともに使用して試料を分析する。32 Karatソフトウェア(Beckman)を使用してデータを分析する。メタノール−エタノールの移動相勾配(70%メタノール−30%エタノールから出発し、6分後、30%メタノール−70%エタノールで終了)を使用して、1ml/分の流量で20分間キノンを分離する。デメトキシユビキノン(DMQ)およびユビキノン(Q)ピークが275nmで検出される。
【0075】
薬物特異性試験に関する結果および簡単な論考
マウスCLK-1およびバクテリアDMQヒドロキシラーゼUbiFを発現するJF496バクテリアを化合物7(図1)および化合物52 (図2)で処理した。これらの処理から得られたキノン分布をHPLCによって分析した。DMQ前駆体の蓄積によって示されるように、7および52は、CLK-1 DMQヒドロキシラーゼ活性を阻害することができると思われる。それとは対照的に、DMQが処理細胞中に蓄積していないため、UbiF活性は、化合物のいずれによっても挑戦されない。この示差的効果は、二つの酵素CLK-1およびUbiFが、DMQヒドロキシル化である同一の機能を有するにもかかわらず、UbiFに比べた場合のCLK-1に対する作用の特異性を示す。CLK-1およびUbiFはいずれも同じバクテリア遺伝子バックグラウンドで発現するため、CLK-1で見られた効果は大腸菌中の化合物の非特異的活性のせいではない。
【0076】
実施例2:CLK-1阻害の計測
バクテリアスクリーニングで同定された肯定的化合物がCLK-1の真の阻害剤であることを確認するため、HPLCベースの二次アッセイを使用して哺乳動物細胞のキノン含量を計測した。CLK-1は、Q生合成の最後から二番目の工程を触媒するデメトキシキノン(DMQ)ヒドロキシラーゼである。CLK-1の阻害は反応前駆体DMQの蓄積につながる。このアッセイは、Qおよびその前駆体DMQの内因性細胞レベルを計測する。試験した全細胞中、通常に存在するDMQのレベルは無視しうる程度であるため、CLK-1のロバストな阻害は、処理細胞のHPLCキノンプロフィールにおける甚大な変化につながる。
【0077】
材料および方法
バクテリアスクリーンから同定される化合物の新鮮な希釈物をジメチルスルホキシド(DMSO)中に10mMの濃度で夜通し溶解した。化合物の希釈物(DMSO中)を、RAW264.7細胞、アベルソンネズミ白血病ウイルス形質転換ネズミマクロファージ細胞株のウェルに加えた。化合物処理の前日に細胞をダルベッコ修飾イーグル培地(10%ウシ胎児血清、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、100μMピルビン酸ナトリウムで補足)にプレーティングし(ウェル1個あたり1×105個)、加湿CO2インキュベータ(5% CO2、37℃)に入れて夜通し放置した。化合物の添加の後、プレートを加湿CO2 (5% CO2、37℃)中で24時間インキュベートした。
【0078】
24時間後、培地をウェルから吸引した。細胞をPBSで洗浄した後、やさしく振りながらRIPA緩衝液500μlを各ウェルに加えた(15分、室温)。その後、試料を1.5mlマイクロ遠心分離管に移した。HPLCグレードエタノール500μl、次いでHPLCグレードヘキサン500μlを各管に加え、その管を1分間激しくボルテックスした後、遠心分離した(3000×g、室温で15分間)。遠心分離後、各管中に二つの別個の層を見ることができた。上相を入念に除去して新しいマイクロ遠心分離管に移し、針穿刺ふたでキャップした後、凍結乾燥に付した。
【0079】
ひとたび試料が乾燥すると、70% HPLCグレードメタノール:30%エタノール(v/v)320μlを各管に加えた。その後、管を20秒間激しくボルテックスし、10秒間遠心分離した後(14000×g)、試料をキャップ付きHPLCバイアルに移した。その後、各試料をHPLC分析に付した。分析は、エタノール:メタノール勾配を使用して試料を250mm C18 ODSカラムに通すことによって実施し、フォトダイオードアレイ検出器を使用して275nmでキノンを検出した。クロマトグラムの目視検査を使用して様々な用量の各対象化合物の活性を測定した。
【0080】
表1は、活性なCLK-1阻害剤であることがわかった化合物の一覧を示す。
【0081】
哺乳動物細胞におけるCLK-1の阻害の結果および簡潔な論考
図3には、RAW264.7マウスマクロファージ細胞の試料のキノン抽出から得られた典型的なHPLCプロフィールが示されている。上パネル中のグラフは、未処理のマクロファージから抽出されたキノンを表し、認められる主要な種はユビキノン-9、すなわちQである。細胞をCLK-1阻害剤で処理する場合、Qの前駆体DMQの蓄積を表す第二のキニンピークの出現を観測する。このプロフィールは、化合物135で処理された細胞を表す。このように、CLK-1阻害剤は、推定される候補阻害剤で処理された細胞のHPLCプロフィールの明確かつ簡単な目視分析によって容易に同定される。多様なヒトおよびマウス細胞株を試験したが、内在性ユビキノンのレベルの変動を除き、それらの間に大きな違いはなかった。
【0082】
これは、細胞中のQの損失をそれに対応するDMQの蓄積とともに検出することができる唯一の考えられる方法が、CLK-1の阻害による方法であることを意味する。したがって、この二次アッセイは、CLK-1阻害剤を速やかに同定するその能力においてきわめて有用であり、非常にロバストである。図4〜8は、可変濃度の化合物7、23、69、47または53で処理されたマウスマクロファージのHPLCプロフィールを示す。ここで、処理細胞中のDMQ9およびQ9の分布に対する化合物濃度増大の効果を見ることができる。
【0083】
実施例3:CLK-1阻害の効果の計測
CLK-1活性は、電子輸送鎖およびROS排除を介してROS産生に寄与するQの細胞含量を制御することにより、細胞ROSレベルに影響を及ぼすことができる。したがって、CLK-1の阻害が細胞ROSレベルの変化をもたらすと予想される。さらには、細胞中のROSによって標的化される高分子の一つがDNAであり、結果としてDNA損傷を生じさせる。また、CLK-1阻害の結果としてDNA損傷が減少するということが期待されるかもしれない。したがって、本発明者らは、以下に概説するように、二つのアッセイを使用して生きた細胞中のこれらの因子を計測した。
【0084】
材料および方法
ROSアッセイ
DCF-DA (2,7-ジクロロフルオレセインジアセテート)を使用して細胞ROSレベルを評価した。親油性DCF-DAを細胞膜に透過させてサイトゾルに輸送し、サイトゾルエステラーゼによって酵素的に親水性2,7-ジクロロフルオレセイン(DCFH)に転換する。細胞ROSがDCFHを蛍光分子であるDCFへと酸化させる。ROS産生に対するCLK-1阻害の効果を評価するために、まず、96穴プレートに播種(ウェル1個あたり1×105個)したマウスマクロファージ細胞(RAW264.7)をCLK-1阻害剤で24時間処理した。その後、細胞を、ハンクス平衡塩類溶液(HBSS)中、20μM DCF-DAとともに37℃で30分間インキュベートした。その後、蛍光プレートリーダを使用して細胞DCFからの蛍光をモニタした(励起488nmおよび発光520nm)。市販のBCAタンパク質アッセイキットを使用して、試験されたウェル中のタンパク質量を測定した。次いで、細胞ROSレベルを、3回の反復試験からの平均DCF蛍光/mgタンパク質として表した。
【0085】
COMETアッセイ
CLK-1阻害化合物の存在/非存在でRAW264.7細胞を12穴プレートに播種した(ウェル1個あたり2.5×106個)。24時間後、細胞を1mM H2O2で1時間処理して、ROS媒介DNA損傷を生じさせた。その後、細胞を氷冷PBS中で2回洗浄した後、氷冷PBS575μl中にスクレーピングした。この混合物75μlを取り出し、氷冷PBS750μlに加えた。10μlアリコートを取り出し、溶融低融点アガロース90μlと混合した。この細胞−アガロースミックス75μlをピペットでガラススライドに移し、そのガラススライドを4℃で平坦に静置し、15分間遮光した。
【0086】
その後、スライドを予冷した溶菌溶液に浸漬し、遮光した状態で4℃で1時間放置した。次いで、スライドを取り出し、過剰な溶菌溶液を除去した後、新たに調製したアルカリ溶液(pH13)に浸漬した。その後、遮光した状態でスライドを室温で1時間放置した。
【0087】
過剰なアルカリ溶液を除去した後、スライドを、室温で5分間、1×トリス−ホウ酸/EDTA緩衝液(TBE)に浸漬した。同じく遮光した状態で、スライドを、1×TBEを充填した電気泳動装置に配置し、電圧を20分間印加した。20分後にスライドを取り出し、遮光した状態で70%エタノール中に5分間浸漬した後、アガロースがスライド上に薄層を形成するまで37℃で風乾した。
【0088】
この37℃のインキュベーションの後、希釈SYBRグリーン50μlを各乾燥アガロースディスクに加えて暗所で10分おき、その後、蒸留水への浸漬によって染料を洗い落とした。過剰な水を吸い取った後、再び暗所でスライドを風乾させた。ひとたび完全に乾燥したところで、スライドを蛍光顕微鏡で観察し、細胞核の後になびくDNAテール(コメット)の存在に関して試験した。データは通常、10個のフィールドを算定したときの、コメットを含有する細胞の割合として表す。
【0089】
細胞ROSレベルに対するCLK-1阻害剤の効果の結果および簡潔な論考
キノンプロファイリング、細胞ROSレベルおよびDNA損傷における原始型CLK-1阻害剤、すなわち化合物7および135の効果を示す三つのパネルが図9に提示されている。これらの分子は、マクロファージ中のH2O2によるROSの誘発を低下させ、7のほうがより強力であることがわかった(パネルB)。これらの分子は、マクロファージ中でH2O2によって誘発されるDNA損傷において非常に顕著な効果を有し(パネルC)、7がきわめて強力である。これらのデータは、本発明者らが、ROSの細胞レベルおよびそれに続いてこうむる損傷を減らすということを強調する。
【0090】
実施例4:CLK-1阻害剤はラットにおける腎虚血・再灌流傷害の治療に有用
以下の実験は、腎虚血モデルにおける再灌流傷害を阻止および/または軽減するためのCLK-1阻害剤投与の有用性を評価する。
【0091】
実験方法の簡単な説明
成体(9〜11週齢)のオスSDラットに麻酔を施し、正中線腹部切開術によって右腎摘出を実施した。左腎動脈および静脈の閉塞により、60分間、左腎動脈の一過性虚血を生じさせた。すべてのグループ(偽:虚血なし、食塩水(0.9% NaCl)投与、未処理:虚血+溶媒、処理:虚血+化合物7または52)の処理を、外科処理の3日前から連続15日間、1日1回腹腔内(i.p.)に実施した。処理グループには、化合物7を1日2.5mg/kg (1mg/ml)腹腔内投与したか、化合物52を1日20mg/kg (4mg/ml)腹腔内投与した。0、3、7、11および14日目に、血清中のクレアチニンおよび血中尿素窒素(BUN)ならびに尿中のクレアチニンおよびタンパク含量の測定によって腎機能を評価した。式:CrCl=(uCr×uV)/(sCr×1440×体重)を使用してクレアチニンクレアランス(ml/分/100g)を計算した。クーマシー法を使用して24時間尿試料中の尿タンパク濃度を測定した。Racusen(2)によって示唆されたような管状上皮細胞壊死、管状拡張、タンパク質性キャストおよび髄うっ血に関して腎組織中の組織学的変化(ヘマトキシリンおよびエオシン、H&E染色スライド)を光学顕微鏡によって分析した。一方向ANOVAを使用し、指示される場合にはその後Turkey事後試験をも使用して、収集されたデータの統計的分析を実施した。p<0.05の結果を統計学的に有意とみなした。
【0092】
虚血・再灌流傷害結果の簡単な説明
腎機能:血清クレアチニン
初期の結果は、0日目では各グループの血清クレアチニンレベルが統計学的に異ならないということを実証した。3〜14日目では、化合物7または化合物52で処理されたグループの血清クレアチニンがグループNAIVE(未処理)におけるよりも有意に低かった(図10)。
【0093】
腎機能:血中尿素窒素(BUN)
初期の結果は、0日目では各グループのBUNが統計学的に異ならないということを実証した。3、7、11および14日目では、化合物7および化合物52で処理されたグループのBUNがグループNAIVEにおけるよりも有意に低かった(図11)。
【0094】
腎機能:クレアチニンクリアランス
0日目では、各グループのクレアチニンクリアランスは統計学的に異ならなかった。3および7日目では、化合物7または化合物52で処理されたグループのクレアチニンクリアランスがグループNAIVEにおけるよりも有意に高かった。11および14日目では、化合物7または52で処理されたグループのクレアチニンクリアランスは、グループNAIVEと比べて統計学的に異ならなかったが、14日目では、グループNAIVEにおけるよりも高かった(図12)。
【0095】
腎機能:尿タンパク質
0日目では、各グループの24時間尿タンパクは統計学的に異ならなかった。3日目では、化合物7または52で処理されたグループの24時間尿タンパクがグループNAIVEにおけるよりも有意に低かった。7および14日目では、化合物7または52で処理されたグループの24時間尿タンパクは、グループNAIVEと比べて統計学的に異ならなかった。11日目では、化合物7または52で処理されたグループの24時間尿タンパクはグループNAIVEにおけるよりも有意に低かった(P=0.033)(図13)。
【0096】
腎虚血・再灌流傷害に対するCLK-1阻害剤の効果の簡単な論考
腎機能データ(血清クレアチニン、血中尿素窒素(BUN)、クレアチニンクリアランスおよび尿タンパク)は、虚血事象の3日前に開始され、連続11日間継続される化合物7 (2.5mg/kg)および化合物52 (20mg/kg)による1日1回の腹腔内処理が、虚血の60分後、未処理対照グループと比較した場合、一つの腎臓ラットモデルにおいて腎虚血/再灌流傷害を同等な程度に効果的に阻止するということを示した。すべての場合で、SHAM(偽)グループにおける腎機能は影響を受けなかった。腎機能のいくつかのパラメータに対する防護効果は、虚血/再灌流後3および7日目で特に顕著であった。
【0097】
実施例5:リポ多糖誘発急性肺傷害に対するCLK-1阻害剤の効果
以下の実験は、リポ多糖(LPS)の全身投与によって誘発される急性肺炎症のインビボ関連ラットモデルにおけるCLK-1阻害剤の有用性を評価する。
【0098】
実験方法の簡単な説明
体重225〜250gのオスSDラット(n=1グループ5〜10匹)をリポ多糖(LPS)で処理して肺傷害を誘発させた。薬物処理したラットに、化合物7または基準としてのN-アセチル-L-システイン(NAC)を腹腔内(i.p.)投与した。化合物7は、DMA/PG/Tween 80および水を含有する媒体に含めて腹腔内投与した。連続3日間1日1回投与し、最後の1回分はLPS曝露の1時間前に投与した。対照ラットには前記薬物媒体を投与した。新たに調製した薬物を5または10ml/kgまたは5ml/kgの量で投与した。腹腔内LPSまたは食塩水投与の24時間後、ラットを過量のウレタンによって殺処分し、全および鑑別血球算定、LPOおよびTNF-α測定ならびにタンパク含量のために血液肺胞液(BALF)を捕集した。
【0099】
LPS誘発肺損傷結果の簡単な説明および論考
LPS (6mg/kg、腹腔内)の前3日間に1日1回腹腔内投与された化合物7 (5mg/kgまたは10mg/kg)の、食塩水(対照)またはLPSに曝露されたラットからのBALF中の全血球および好中球算定、タンパクおよびTNF-α含量、LPOレベルに対する影響を示す結果が図14〜17に示されている。N-アセチルシステイン(NAC、LPS前3日間0.5g/kgを1日1回腹腔内投与)を基準化合物として投与した。簡潔にいうと、化合物7は、BALF全血球および好中球の増大を、NAC処理ラットで認められたレベルに匹敵しうるレベルまで効果的に低下させた。この化合物は、単独で投与された場合、BALF全血球算定に対して効果を示さなかった。同様に、化合物7は、BALFにおけるLPOの増大を、NAC処理ラットで認められたレベルに匹敵しうるレベルまで効果的に低下させた。化合物7は、BALFタンパク質の増大を減らすことができなかった。化合物7 (10mg/kg)は、BALF TNF-αレベルを有意に低下させるのに有効であった。そのうえ、組織学的分析(図示せず)が、5mg/kgで腹腔内投与される化合物7が、間質パターンの強さを減らし(処理された肺では肺胞壁が薄め)、炎症反応を減らす(炎症細胞の数の減少)のに有効であることを実証した。
【0100】
総じて、これらの実験は、LPS挑戦ラットにおけるBALF全血球および好中球算定、脂質ヒドロペルオキシドおよび組織学的肺損傷(図示せず)を減らす化合物7の有用性を実証した。TNF-αレベル低下はまた、化合物7を10mg/kgで腹腔内投与した場合でも認められた。好中球流入およびLPOは、CLK-1阻害剤が防護的である炎症の周知のマーカであるため、そのような炎症が促進される臨床徴候に対する新規なキノリン誘導体の利用は、特に有用な態様を代表するものである。
【0101】
実施例6:hAPP751SLトランスジェニックマウスの脳β-アミロイド1-40およびβ-アミロイド1-42レベルに対する化合物138による処理の効果の評価
実験動物
実験開始日で5月齢(±2週)のオスhAPPSLトランスジェニック(tg)マウス(C57BL/6バックグラウンド)。トランスジェニックhAPP751SLマウスは、ニューロン組織特異的ネズミThy-1プロモータの制御の下、ロンドン(V717I)およびスウェーデン(K670M/N671L)突然変異を有するヒトAPP751を構成的に過剰発現する。ロンドン突然変異のせいで、高レベルのβ-アミロイド1-42が脳全体で、特に皮質および海馬で発現される。高レベルのβ-アミロイド1-42は、より早期の3月齢で始まるCNS中のアミロイドプラーク形成に関連する。このマウスモデルで見られるような高められた脳Aβ1-42レベルは、より早期のプラーク形成に関連する。Aβ1-42は、アミロイド付着を加速し、より高密度の付着物の形成を促進するが、Aβ1-40は反対の効果を有するかもしれない。したがって、この致命的なアミロイドペプチドの生成に影響する潜在能力は、特にアルツハイマー病患者の可能な治療に関して有利であるかもしれない。
【0102】
処理
化合物138をカルボキシメチルセルロース(CMC)中に調合し、連続60日間1日1回および1日2回(最高用量)マウスに経口(p.o.)投与した。処置用量は、1日5、20、50および2×50mg/kg体重または溶媒(CMC)であった。
【0103】
組織標本
トランスジェニックマウスを、全血液が洗い出されるまで生理食塩水(0.9%)で経心腔的に灌流した。その後、脳を速やかに取り出し、右半球を新鮮な4%パラホルムアルデヒドに浸漬して1時間固定した。その後、冷凍保護のために半球を15%スクロース溶液に移した。翌日、脳をドライアイスで凍結させ、-80℃で保存した。左脳半球をただちにドライアイスでスナップフリーズして、四つの脳ホモジネート分画中のβ-アミロイド1-40およびβ-アミロイド1-42を測定した。
【0104】
計測
各マウスの一つの脳半球(嗅球を含むが、小脳を含まない)を使用して、TBS、Triton X-100およびFAである四つの脳分画中の脳Aβ1-40およびAβ1-42を評価した。Aβ1-40およびAβ1-42は、The GENETICS Company (スイス)製の高感度ELISAキット(TK40HS(商標)、TK42HS(商標))を使用していた。
【0105】
結果
可溶性Aβ1-40およびAβ1-42のレベル
TBS抽出分画は、脳組織の水溶性Aβ1-40およびAβ1-42分画を含有するが、Triton x-100分画中では、プロトフィブリルのような小さめのポリマーは溶解する。ギ酸(FA)分画は不溶性の重合Aβを含有する。結果が図18〜23に示されている。化合物138は、TBS中のAβ1-42レベル(5および20mg/kg、図19)およびTriton x-100分画中のAβ1-42レベル(5、20および50mg/k、図21)を有意に低下させる。TBS分画(図18および19)では、二つの化合物138グループですべての個々のデータ点が非常に近いAβ1-40に関して同様な、ただし有意ではない効果を見ることができるが、Triton分画(図20および21)ではそれを見ることはできない。
【0106】
FA分画中では、すべての投与量の平均Aβ1-42値は、5および20mg/kgの濃度で効果が有意である溶媒対照のそれ未満である(図23)。
【0107】
化合物138は、APPプロセッシングおよびAβペプチドの生成に対して有意な効果を有するが、その効果はAβ1-42の場合でより顕著であった。βアミロイドの異なる重合状態(モノマー、オリゴマー、フィブリル)を表す様々な脳分画で明らかなAβ1-42低下効果を見ることができる。
【0108】
結論
脳の中では、化合物138の明らかなAβアミロイド1-42低下効果を見ることができる。もっとも顕著かつ独特な結果は、脳の分画(モノマー、オリゴマー、フィブリル)を透過してAβ1-42レベルを下げる化合物138の能力である。結果の有意さは、このモデルでは、Tg2576マウスのような他のトランスジェニックモデルと比較した場合でさえAβ1-42レベルがきわめて高いという事実によって強調される。したがって、この攻撃的なモデルでさえ、化合物138は、脳分画の至るところでAβ1-42レベルを下げる。もっとも明確な効果はAβ1-42で見られたが、化合物138はまた、脳分画ででもAβ1-40をある程度減少させた。毒性のAβ1-42ペプチドに対する化合物138のより顕著な効果は、Aβ1-42/Aβ1-40比の低下につながり、これは治療的に有益である。
【0109】
実施例7:シリーズAからの化合物の合成
シリーズAの化合物は、以下に示すストラテジーを使用することにより調製することができる。5-Cl以外の群、たとえばFまたはMeは、この化学反応で同等に十分に許容される。
【0110】
実施例7.1:N-[(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル]アセトアミド(化合物7){方法A_1}
【0111】
5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン(1.5g、8.7mmol)、3,4-ジメトキシベンズアルデヒド(2.85g、17.4mmol)およびアセトアミド(1.03g、17.4mmol)の完全に混和した混合物を、マイクロ波反応容器に密閉した。容器をマイクロ波反応器(Biotage Initiator)に置き、180℃に1時間加熱した。冷却した反応混合物を酢酸エチルで粉砕し、得られた固体を濾別した。この固体をエタノールでさらに粉砕して、標記化合物を白色の固体(2.2g、65%)として得た。
【0112】
実施例7.2:N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(キノリン-3-イル)メチル)アセトアミド(化合物19){方法A_1}
【0113】
5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン(0.25g、1.4mmol)、キノリン-3-カルバルデヒド(0.44g、2.8mmol)およびアセトアミド(0.165g、2.8mmol)の完全に混和した混合物を、マイクロ波反応容器に密閉した。容器をマイクロ波反応器(Biotage Initiator)に置き、180℃に0.5時間加熱した。冷却した反応混合物を酢酸エチルで粉砕し、得られた固体を濾別した。この固体をエタノールでさらに粉砕して、標記化合物を白色の固体(0.236g、44%)として得た。
【0114】
実施例7.3:N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(ピリジン-3-イル)メチル)アセトアミド(化合物32){方法A_1}
【0115】
5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン(0.25g、1.4mmol)、ニコチンアルデヒド(0.299g、2.8mmol)およびアセトアミド(0.165g、2.8mmol)の完全に混和した混合物を、マイクロ波反応容器に密閉した。容器をマイクロ波反応器(Biotage Initiator)に置き、180℃に0.5時間加熱した。冷却した反応混合物を酢酸エチルで粉砕し、得られた固体を濾別した。この固体をエタノールでさらに粉砕して、標記化合物を白色の固体(0.123g、27%)として得た。
【0116】
実施例8:シリーズB1からの化合物の合成
シリーズB1での化合物は、以下に示すストラテジーを使用することにより調製することができる。シリーズA化合物のために使用するこの補体は、R1がアルキル c.f. アリールである化合物に特に適切である。5-Cl以外の群、たとえばFまたはMeは、この化学反応で同等に十分に許容される。
【0117】
方法B1_1 中間体の合成:2-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン
【0118】
2-(ヒドロキシメチル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン(14.8g、83mmol)を、0℃に冷却した濃硫酸(150ml)中の5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン(15g、83mmol)のよく撹拌した溶液に滴下した。添加が完了した後、反応物を100℃に一晩加熱した。混合物を室温に放冷し、次に砕氷(1000ml)に注ぎ、得られた黄色の沈殿物を濾過し、水で洗浄して、減圧下で一晩乾燥させた。固体をエタノールおよびヘキサンで粉砕して、オフホワイトの固体(16.7g、59%)を得た。
【0119】
方法B1_2 中間体の合成:2-((8-(ベンジルオキシ)-5-クロロキノリン-7-イル)メチル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン
2-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン(16.68g、49mmol)、臭化ベンジル(12.63g、73.5mmol)および炭酸カリウム(13.61g、98mmol)を、ジメチルホルムアミド(250ml)に溶解/懸濁し、60℃に1.5時間加熱した。反応物を冷水(1000ml)に注ぎ、オフホワイトの沈殿物を濾過し、水でよく洗浄した。固体を減圧下で乾燥させて、純粋な生成物(20.8g、98%)を得た。
【0120】
方法B1_3 中間体の合成:1-(8-(ベンジルオキシ)-5-クロロキノリン-7-イル)メタンアミン
ヒドラジン一水和物(2.28ml、46.6mmol)を、メタノール(50ml)中の2-((8-(ベンジルオキシ)-5-クロロキノリン-7-イル)メチル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン(2.0g、4.7mmol)の懸濁液に加えた。混合物を1時間還流し、次に溶媒を減圧下で除去した。残留物を高温のエタノール(約10ml)で粉砕し、熱いうちに濾過した。エタノールを濃縮して、明褐色の固体(1.1g、79%)を得、さらにいかなる精製もしないで続く反応で使用した。
【0121】
方法B1_4 中間体の合成:1-(8-(ベンジルオキシ)-5-クロロキノリン-7-イル)-N-(ジフェニルメチレン)メタンアミン
1-(8-(ベンジルオキシ)-5-クロロキノリン-7-イル)メタンアミン(407mg、1.36mmol)とベンゾフェノンイミン(247mg、1.36mmol)の混合物を、60℃で一緒に加熱した。1時間後、得られた固体をメタノールで粉砕し、濾過して、標記化合物を淡褐色の固体(480mg、76%)として得た。
【0122】
方法B1_5 中間体の合成:1-(8-(ベンジルオキシ)-5-クロロキノリン-7-イル)-N-(ジフェニルメチレン)エタンアミン
ヨウ化メチル(147mg、1.03mmol)および1-(8-(ベンジルオキシ)-5-クロロキノリン-7-イル)-N-(ジフェニルメチレン)メタンアミン(480mg、1.03mmol)を、無水テトラヒドロフラン(0.5ml)に溶解し、0℃に冷却した。この混合物にテトラヒドロフラン(0.13ml)中のカリウム tert-ブトキシド(128mg、1.16mmol)の溶液を滴下した。混合物を室温に温めるにまかせ、1時間後、反応物を濃縮した。残留物を酢酸エチルに溶解し、水およびブラインで洗浄した。有機抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で還元して、標記化合物を白色の固体(480mg、97%)として得た。
【0123】
方法B1_6 中間体の合成:1-(8-(ベンジルオキシ)-5-クロロキノリン-7-イル)エタンアミン
メタノール(5ml)中の1-(8-(ベンジルオキシ)-5-クロロキノリン-7-イル)-N-(ジフェニルメチレン)エタンアミン(550mg、1.15mmol)の溶液に、ヒドロキシルアミン塩酸塩(144mg、2.07mmol)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。反応物を濃縮し、残留物を塩酸(5ml、5%水溶液)で処理し、酢酸エチルで抽出して、ベンゾフェノンを除去した。水層を水酸化ナトリウム溶液(5M)で塩基性化し、酢酸エチル(3×5ml)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、標記化合物(230mg、64%)を得た。
【0124】
方法B1_7 中間体の合成:N-(1-(8-(ベンジルオキシ)-5-クロロキノリン-7-イル)エチル)アセトアミド
ジクロロメタン(2.5ml)中の1-(8-(ベンジルオキシ)-5-クロロキノリン-7-イル)エタンアミン(220mg、0.7mmol)およびトリエチルアミン(0.12ml、0.84mmol)の氷-冷撹拌溶液に、ジクロロメタン(0.5ml)中のアセチルクロリド(66mg、0.84mmol)の溶液を滴下した。反応物を室温で一晩撹拌し、次にジクロロメタン(5ml)で希釈した。混合物を順次、飽和炭酸ナトリウム溶液、水およびブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウム乾燥させた。溶媒を減圧下で除去して、標記化合物(240mg、96%)を得た。
【0125】
実施例8.1 合成:N-(1-(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)エチル)アセトアミド(化合物47)
ジクロロメタン(20ml)中のN-(1-(8-(ベンジルオキシ)-5-クロロキノリン-7-イル)エチル)アセトアミド(0.7g、1.97mmol)の氷-冷撹拌溶液に、ジクロロメタン(5ml)中の三塩化ホウ素(ジクロロメタン中1M、4ml、4mmol)の溶液を窒素雰囲気下で加えた。次に混合物を室温で3時間撹拌した。次に反応物を氷-冷水(100ml)に注意深く注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して、濃縮した。粗物質をシリカのクロマトグラフィー(0〜10% MeOH:100〜90% EtOAc)により精製して、標記化合物を白色の固体(0.45g、86%)として得た。
【0126】
実施例9:シリーズB2からの化合物の合成
シリーズB2での化合物は、以下に示す方法のいずれかによって調製することができる:
【0127】
実施例9.1:N-(8-ヒドロキシキノリン-2-イル)ピリジン-2-カルボキサミド(化合物69){方法B2_2}
0℃でテトラヒドロフラン中のピコリノイルクロリド塩酸塩(89mg、0.5mmol)の懸濁液に、トリエチルアミン(0.42ml、3mmol)および2-アミノ-8-ヒドロキシキノリン(160mg、1.0mmol)を加えた。混合物を室温に温めるにまかせ、一晩撹拌したままにした。溶媒を減圧下で除去し、粗物質をHPLCにより精製して、所望の生成物(15mg、11%)を得た。
【0128】
実施例9.2:N-(8-ヒドロキシキノリン-2-イル)-2-ピリジン-2-イルアセトアミド(化合物70){方法B2_1}
4-ピリジル酢酸塩酸塩(87mg、0.5mmol)を、ジメチルホルムアミド(4ml)に溶解した。この溶液に、ヒドロキシベンゾトリアゾール(68mg、0.5mmol)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド塩酸塩(96mg、0.5mmol)およびトリエチルアミン(0.28ml、2.0mmol)を加え、混合物を室温で30分間撹拌した。2-アミノ-8-ヒドロキシキノリン(80mg、0.5mmol)を反応物に加え、それを室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をジクロロメタン(2ml)に溶解し、水で洗浄した。有機相を減圧下で濃縮し、粗生成物をHPLCにより精製して、所望の生成物(11mg、8%)を得た。
【0129】
実施例9.3:2-(3-ヒドロキシフェニル)-N-(8-ヒドロキシキノリン-2-イル)アセトアミド(化合物71){方法B2_1}
標記化合物を、上記実施例9.2のように方法B2_1にしたがって、同様に調製した。収量=12mg (9%)。
【0130】
実施例10:シリーズB3からの化合物の合成
シリーズB3の化合物は、以下に例示したスキームを使用することにより調製することができる:
【0131】
方法B3_1 中間体の合成:5-クロロ-7-ヨード-8-イソプロポキシキノリン
ジメチルスルホキシド中の5-クロロ-7-ヨード-8-ヒドロキシキノリン(18g、58.9mmol)の溶液に、炭酸カリウム(32.57g、235.6mmol)および2-ブロモプロパン(10.87g、88.4mmol)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、次に飽和塩化アンモニウム溶液に注いだ。この混合物をジクロロメタン(3×300ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を連続して、水酸化ナトリウム(2M)、水およびブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、酢酸エチル;ヘキサンの混合物で溶離するシリカのクロマトグラフィーに付して、所望の化合物(11.0g、55%)を得た。
【0132】
方法B3_2 中間体の合成:3-(5-クロロ-8-イソプロポキシキノリン-7-イル)フェノール
5-クロロ-7-ヨード-8-イソプロポキシキノリン(500mg、1.7mmol)、(3-ヒドロキシフェニル)ボロン酸(238mg、1.7mmol)およびPdPCy3 (18mg、0.028mmol)を、アセトニトリル/水(それぞれ4ml:1ml)の混合物に溶解/懸濁し、炭酸ナトリウム溶液(2M、5ml)を加えた。次に混合物を、N2下で撹拌しながら1時間80℃に加熱した。Tlcは、出発ヨード化合物の完全な消費を示した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を酢酸エチルに溶解し/懸濁し、水およびブラインで洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、本質的に純粋な生成物(tlcおよびnmr)(350mg、77%)を得た。
【0133】
実施例10.1:5-クロロ-7-(3-ヒドロキシフェニル)キノリン-8-オール(化合物57){方法B3_3}
3-(5-クロロ-8-イソプロポキシキノリン-7-イル)フェノール(475mg、1.52mmol)を、ジクロロメタン(4ml)に溶解し、N2下で-78℃に冷却した。ジクロロメタン(2M、3.04ml、6.08mmol)中の三塩化ホウ素硫化ジメチル錯体の溶液を滴下し、混合物を-78℃で2時間撹拌した。メタノール(20ml)を注意深く加え、反応物を室温に温めるにまかせた。溶媒を減圧下で除去し、メタノール(20ml)のさらなるアリコートを加え、再び減圧下で濃縮した。これをさらに2回繰り返して、粗生成物を得、それをHPLCにより精製して、標記化合物(315mg、76%)を得た。
【0134】
方法B3_2 中間体の合成:5-クロロ-8-イソプロポキシ-7-(2-メトキシピリジン-3-イル)キノリン
標記化合物を、上記のように方法B3_2にしたがって、同様に調製した。
【0135】
実施例10.2:5-クロロ-7-(2-メトキシピリジン-3-イル)キノリン-8-オール(化合物61){方法B3_3}
標記化合物を、上記実施例10.1のように方法B3_3にしたがって、5-クロロ-8-イソプロポキシ-7-(2-メトキシピリジン-3-イル)キノリンから、同様に調製した。
【0136】
方法B3_2 中間体の合成:4-(5-クロロ-8-イソプロポキシキノリン-7-イル)-N,N-ジメチルアニリン
標記化合物を、上記のように方法B3_2にしたがって、同様に調製した。
【0137】
実施例10.3:5-クロロ-7-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)キノリン-8-オール(化合物60){方法B3_3}
標記化合物を、上記実施例10.1のように方法B3_3にしたがって、4-(5-クロロ-8-イソプロポキシキノリン-7-イル)-N,N-ジメチルアニリンから同様に調製した。
【0138】
実施例11:シリーズB4からの化合物の合成
シリーズB4での化合物は、以下に例示したスキームを使用することにより調製することができる:
【0139】
実施例11.1:2-(((2-メトキシフェニル)アミノ)メチル)キノリン-8-オール(化合物77){方法B4_1}
1,2-ジクロロエタン(2ml)中の8-ヒドロキシキノリン-2-カルバルデヒド(87mg、0.5mmol)の溶液に、2-メトキシアニリン(62mg、0.5mmol)を加え、混合物を30分間撹拌した後、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(95mg、45mmol)を加えた。次に反応物を室温で一晩撹拌した後、減圧下で蒸発乾固した。残留物をジクロロメタンに取り、水で洗浄した。水相をジクロロメタンで逆抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥させ、減圧下で還元して、粗生成物を得て、それをHPLC(74mg、53%)により精製した。
【0140】
実施例11.2:2-(((3-メトキシフェニル)アミノ)メチル)キノリン-8-オール(化合物75){方法B4_1}
標記化合物を、上記実施例11.1のように方法B4_1にしたがって、同様に調製した。収量=71mg (51%)。
【0141】
実施例12:ホスファートプロドラッグの合成
ホスファートプロドラッグ(化合物5)
このセクションで説明されたスキームおよびプロトコールは、一連の他の化合物に同等に十分に適用することができた。
【0142】
合成スキーム:
a) NaHCO3、n-Bu4NHSO4、H2O-CH2Cl2、0℃〜室温;
b) K2CO3、DMF、25℃;
c) 1,4-シクロヘキサンジエン、10% Pd/C、EtOH.
【0143】
ベンジルクロロメチルホスファートAの合成
ジベンジルホスファート(2.64g、9.48mmol)、重炭酸ナトリウム(3.18mL、11.97mmol)およびテトラ-n-ブチルアンモニウム硫酸水素塩(3.2g、9.48mmol)を、水(80ml)に溶解した。ジクロロメタン(DCM、90mL)を加え、混合物を0℃で10分間激しく撹拌し、続いて激しい撹拌を室温で一晩続けながら、DCM (15mL)中のクロロメチルクロロ硫酸塩(1.17mL、11.37mmol)を加えた。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥(MgSO4)させて、蒸発させた。残留物を、溶離剤として酢酸エチル/ヘキサン(1:1)を使用するシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、純粋な物質1.39g (44.8%)を得た。
【0144】
プロドラッグ誘導体の合成:
化合物5の合成:
プロトコール:
化合物7 (0.5g、1.29mmol)、炭酸カリウムの固体(0.36g、2.58mmol)を乾燥N,N-ジメチルホルムアミド(DMF、5mL)に懸濁し、次にDMF (2mL)に溶解したジベンジルクロロメチルホスファート(A、0.42g、1.29mmol)を、N2雰囲気下、0℃で撹拌しながら加えた。反応混合物をN2雰囲気下、室温で16時間撹拌した。反応混合物を水(50mL)に注ぎ、EtOAc (3×25mL)で抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、乾燥(MgSO4)させ、蒸発乾固した。粗残留物のLC-MS(液体クロマトグラフィー質量分析)は、油性残留物が254nmで純度97%であることを示した。したがってその段階で精製を試みずに、油性残留物を次の工程で使用した。
MS 677(MH+)および同位元素パターンと一致;
【0145】
化合物5の合成:
プロトコール:
EtOH中の10% Pd/Cの懸濁液に、EtOH (3mL)中のBの溶液をN2雰囲気下で滴下し、続いてシクロヘキサジエン(0.25mL;10当量、2.58mmol)を滴下した。反応混合物を室温で12時間撹拌した。触媒をセライドで濾過し、濾液を蒸発させ、ほとんど乾燥させた(蒸発後、EtOHの約10%は依然、存在した)。次に粗残留物を乾燥Et2Oで粉砕した。沈殿した固体を濾過し、Et2Oですすいで、純粋な物質0.065 g(60%)を得た。MS 497(MH+)および同位元素パターンと一致;
【0146】
ホスファートプロドラッグ(化合物138)
工程1:P(OBut)2(=O)(OCH2Cl)Iの合成
Iは下記のスキームにしたがって合成した:
【0147】
工程2:138の合成
I (8.8g)を化合物7 (実施例7.1で合成されたように)と、ジメチルホルムアミド(DMF)中のK2CO3存在下で反応させて、((7-((アセチルアミノ)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチルジ-ter-ブチルホスファートII (9.6g、HPLC 収率96%)を形成した。次にII (5.0g)を、EtOAc/Et2Oの混合物中のHClと反応させて、収率85%で138を形成した。
【0148】
(表1) CLK-1阻害の活性表
活性化合物
【0149】
参考文献
【0150】
添付1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(A):
を有する化合物、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグであって、
式中、X=H、メチルまたはハロゲンであり、置換基R1およびR2は、以下のように定義され:
a) R2が水素である場合、R1は、Hもしくはハロゲンであるか、またはR1は、アミノ(3,4-ジメトキシフェニル)メチル、2-ヒドロキシフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、4-ジメチルアミノフェニル、ピリジン-4-イル、2-メトキシピリジン-3-イル、および2-アセトアミドフェニルからなる群より選択され;または、
R1は、-CH(R3)NR4R5であり、その場合、
・R4=HもしくはC1〜C4アルキルであり;
・R5=Hもしくは
であり;かつR6は、C1〜C6アルキル、C5〜C6アリール、ベンジル、ジメチルアミノメチル、フェニルエチルおよびジフェニルメチルからなる群より選択され;かつ
・R3は、H、メチル、フェニル、ベンジル、2-クロロフェニル、2-メトキシフェニル、4-クロロフェニル、4-メチルフェニル、4-イソプロピルフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、4-メトキシフェニル、4-シアノフェニル、4-ジメチルアミノ-フェニル、4-ジエチルアミノ-フェニル、2,4-ジクロロフェニル、3,4-ジメトキシフェニル、4-メトキシカルボニルフェニル、3-メトキシカルボニルフェニル、N-メチルベンズアミド、N-(3-メトキシプロピル)ベンズアミド、N,N-ジメチルベンズアミド、4-(モルホリン-4-イルカルボニル)フェニル、4-(ピリジン-2-イル)フェニル、4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、6-(モルホリン-4-イル)ピリジン-3-イル、2-フリル、3-フリル、2-(モルホリン-4-イル)ピリジン-3-イル、2-メトキシピリジン-3-イル、4-メトキシピリジン-3-イル、2-チエニル、2-ブチル-1H-イミダゾール-4-イル、キノリン-3-イル、キノリン-4-イル、8-ヒドロキシキノリン-2-イル、1H-インドール-3-イル、1H-インドール-4-イル、および1H-インドール-7-イルからなる群より選択され;または、
R1は、
であり、R7は、-(CH2)n-R8であり、ここで、R8は、一つまたは二つのメトキシル基によって置換されてもよいC5〜C6アリールであり、n=0または1であり;あるいは
b) XおよびR1がいずれも水素原子を表す場合、R2は、ピリジン-2-イルカルボキサミド、ピリジン-2-イルアセトアミド、3-ヒドロキシフェニルアセトアミド、4-ヒドロキシフェニルアセトアミド、((2-メトキシフェニル)アミノ)メチル、((3-メトキシフェニル)アミノ)メチル、((3-メトキシベンジル)アミノ)メチル、2-チエニルアセトアミド、および((2-チエニルメチル)アミノ)メチルからなる群より選択され、
ただし、該式(A)の化合物が、添付1で同定された化合物の一つではなく、
該式(A)の化合物が、少なくとも一つの不斉中心を含む場合、その鏡像異性体の一つまたはそれらの混合物の形態にある、
式(A)を有する化合物、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグ。
【請求項2】
R4が、Hまたはメチルであり、かつR6が、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、ter-ブチル、フェニル、ベンジル、ジメチルアミノメチル、フェニルエチル、シクロヘキシル、ジフェニルメチル、ピリジン-2-イル、およびピリジン-3-イルからなる群より選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
下記からなる群より選択される、請求項2記載の化合物:
N-((3,4-ジメトキシフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)アセトアミド 2、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)ベンズアミド 3、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-N-メチルアセトアミド 8、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-2,2-ジフェニルアセトアミド 11、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-2-フェニルアセトアミド 12、
7-(アミノ(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-オール 13、
N-(1-(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)-2-フェニルエチル)アセトアミド 14、
N-((2-ブチル-1H-イミダゾール-4-イル)(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)アセトアミド 15、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(2-メトキシピリジン-3-イル)メチル)アセトアミド 16、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(キノリン-4-イル)メチル)アセトアミド 17、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(2-モルホリン-4-イルピリジン-3-イル)メチル)-アセトアミド 18、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(キノリン-3-イル)メチル)アセトアミド 19、
4-((アセチルアミノ)(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)安息香酸メチル 21、
3-((アセチルアミノ)(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)安息香酸メチル 22、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-シアノフェニル)メチル)アセトアミド 23、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-ピリジン-2-イルフェニル)メチル)アセトアミド 24、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニル)メチル)アセトアミド 25、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-ヒドロキシフェニル)メチル)アセトアミド 26、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3-ヒドロキシフェニル)メチル)アセトアミド 27、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(6-メトキシピリジン-3-イル)メチル)アセトアミド 28、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(ピリジン-2-イル)メチル)アセトアミド 29、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(ピリジン-4-イル)メチル)アセトアミド 30、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(ピリジン-4-イル)メチル)アセトアミド塩酸塩 31、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(ピリジン-3-イル)メチル)アセトアミド 32、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(ピリジン-3-イル)メチル)アセトアミド塩酸塩 33、
N-((5-クロロ-8 ヒドロキシキノリン-7-イル)(8-ヒドロキシキノリン-2-イル)メチル)アセトアミド 34、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(6-モルホリン-4-イルピリジン-3-イル)メチル)-アセトアミド 35、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(1H-インドール-3-イル)メチル)アセトアミド 36、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(1H-インドール-4-イル)メチル)アセトアミド 37、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(1H-インドール-7-イル)メチル)アセトアミド 38、
4-((アセチルアミノ)(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)-N,N-ジメチル-ベンズアミド 39、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-(モルホリン-4-イルカルボニル)フェニル)メチル)-アセトアミド 40、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-カルボキサミド 41、
4-((アセチルアミノ)(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)-N-(3-メトキシプロピル)-ベンズアミド 44、
4-((アセチルアミノ)(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)-N-メチルベンズアミド 45、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-N,N-ジメチル-グリシンアミド 46、
N-(1-(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)エチル)アセトアミド 47、
N-((8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)アセトアミド 48、
N-(2-フリルメチル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 53、
N-(2-チエニルメチル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 54、
N-(2-メトキシベンジル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 55、
5-クロロ-7-(3-ヒドロキシフェニル)キノリン-8-オール 57、
5-クロロ-7-(4-ヒドロキシフェニル)キノリン-8-オール 58、
N-(2-(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)フェニル)アセトアミド 59、
5-クロロ-7-(2-メトキシピリジン-3-イル)キノリン-8-オール 61、
5-クロロ-7-ピリジン-4-イルキノリン-8-オール塩酸塩 62、
N-(3,4-ジメトキシフェニル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 63、
N-(3-メトキシフェニル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 64、
N-(3-メトキシベンジル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 65、
N-(3,4-ジメトキシベンジル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 66、
N-(2-メトキシフェニル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 67、
N-(ピリジン-3-イルメチル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 68、
N-(8-ヒドロキシキノリン-2-イル)ピリジン-2-イルカルボキサミド 69、
N-(8-ヒドロキシキノリン-2-イル)-2-ピリジン-2-イル アセトアミド 70、
2-(3-ヒドロキシフェニル)-N-(8-ヒドロキシキノリン-2-イル)アセトアミド 71、
2-(4-ヒドロキシフェニル)-N-(8-ヒドロキシキノリン-2-イル)アセトアミド 72、
N-(8-ヒドロキシキノリン-2-イル)-2-(2-チエニル)アセトアミド 73、
2-(((3-メトキシベンジル)アミノ)メチル)キノリン-8-オール 74、
2-(((3-メトキシフェニル)アミノ)メチル)キノリン-8-オール 75、
2-(((2-チエニルメチル)アミノ)メチル)キノリン-8-オール 76、
2-(((2-メトキシフェニル)アミノ)メチル)キノリン-8-オール 77、
N-[(2,4-ジクロロフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]アセトアミド 78、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(2-チエニル)メチル]アセトアミド 79、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-イソプロピルフェニル)メチル]アセトアミド 80、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(2-チエニル)メチル]ブタンアミド 81、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-イソプロピルフェニル)メチル]ブタンアミド 82、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-メチルフェニル)メチル]-3-フェニルプロパンアミド 92、
N-[(2-クロロフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]-3-フェニルプロパンアミド 93、
N-[(2,4-ジクロロフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]-3-メチルブタンアミド 94、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(フェニル)メチル]-3-メチルブタンアミド 110、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-メトキシフェニル)メチル]-3-フェニルプロパンアミド 111、
N-[(3,4-ジメトキシフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]-3-メチルブタンアミド 112、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(2-チエニル)メチル]-3-メチルブタンアミド 113、
N-[(4-クロロフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]シクロヘキサンカルボキシアミド 121、
N-[(2,4-ジクロロフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]プロパンアミド 122、
N-[(3,4-ジメトキシフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]-3-フェニルプロパンアミド 124、
N-[(2,4-ジクロロフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]ペンタンアミド 125、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-イソプロピルフェニル)メチル]ペンタンアミド 126、
N-[[4-(ジエチルアミノ)フェニル](8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]ペンタンアミド 127、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-メトキシフェニル)メチル]シクロヘキサンカルボキシアミド 128、
N-[(2,4-ジクロロフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]ブタンアミド 129、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-メチルフェニル)メチル]シクロヘキサンカルボキシアミド 130、および
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(2-チエニル)メチル]シクロヘキサンカルボキシアミド 131。
【請求項4】
下記からなる群より選択されるプロドラッグ:
リン酸二水素((7-((アセチルアミノ)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル 5、
リン酸二ナトリウム((7-((アセチルアミノ)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル 6、
リン酸二水素((7-((アセチルアミノ)(2-フリル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル 136、
リン酸二ナトリウム((7-((アセチルアミノ)(2-フリル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル 137、
リン酸二水素((7-((アセチルアミノ)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル二塩酸塩 138、および
リン酸二水素((7-((アセチルアミノ)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル塩酸塩 139。
【請求項5】
以下の段階を含む、細胞におけるCLK-1活性を阻害するための方法:
a) CLK-1活性を阻害する必要のある細胞を提供する段階、
b) 該細胞を、式(B):
の化合物と接触させる段階であって、
式中、X=H、メチルまたはハロゲンであり、置換基R1およびR2は、以下のように定義され:
i) R2が水素である場合、R1は、Hもしくはハロゲンであるか、またはR1は、アミノ(3,4-ジメトキシフェニル)メチル、2-ヒドロキシフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、4-ジメチルアミノフェニル、ピリジン-4-イル、2-メトキシピリジン-3-イル、および2-アセトアミドフェニルからなる群より選択され;または、
R1は、-CH(R3)NR4R5であり、その場合、
・R4=HもしくはC1〜C4アルキルであり;
・R5=Hもしくは
であり;かつR6は、C1〜C6アルキル、C5〜C6アリール、ベンジル、ジメチルアミノメチル、フェニルエチルおよびジフェニルメチルからなる群より選択され;かつ
・R3は、H、メチル、フェニル、ベンジル、2-クロロフェニル、2-メトキシフェニル、4-クロロフェニル、4-メチルフェニル、4-イソプロピルフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、4-メトキシフェニル、4-シアノフェニル、4-ジメチルアミノ-フェニル、4-ジエチルアミノ-フェニル、2,4-ジクロロフェニル、3,4-ジメトキシフェニル、4-メトキシカルボニルフェニル、3-メトキシカルボニルフェニル、N-メチルベンズアミド、N-(3-メトキシプロピル)ベンズアミド、N,N-ジメチルベンズアミド、4-(モルホリン-4-イルカルボニル)フェニル、4-(ピリジン-2-イル)フェニル、4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、6-(モルホリン-4-イル)ピリジン-3-イル、2-フリル、3-フリル、2-(モルホリン-4-イル)ピリジン-3-イル、2-メトキシピリジン-3-イル、4-メトキシピリジン-3-イル、2-チエニル、2-ブチル-1H-イミダゾール-4-イル、キノリン-3-イル、キノリン-4-イル、8-ヒドロキシキノリン-2-イル、1H-インドール-3-イル、1H-インドール-4-イル、および1H-インドール-7-イルからなる群より選択され;または、
R1は、
であり、R7は、-(CH2)n-R8であり、ここで、R8は、一つまたは二つのメトキシル基によって置換されてもよいC5〜C6アリールであり、n=0または1であり;あるいは
ii) XおよびR1がいずれも水素原子を表す場合、R2は、ピリジン-2-イルカルボキサミド、ピリジン-2-イルアセトアミド、3-ヒドロキシフェニルアセトアミド、4-ヒドロキシフェニルアセトアミド、((2-メトキシフェニル)アミノ)メチル、((3-メトキシフェニル)アミノ)メチル、((3-メトキシベンジル)アミノ)メチル、2-チエニルアセトアミド、および((2-チエニルメチル)アミノ)メチルからなる群より選択され、
式(B)の化合物が、少なくとも一つの不斉中心を含む場合、その鏡像異性体の一つまたはそれらの混合物の形態にある、段階、ならびに
c) 該細胞のCLK-1活性を測定する段階。
【請求項6】
式(B)の化合物が、表1で同定された化合物の群より選択される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
式(B)の化合物が下記からなる群より選択される、請求項6記載の方法:
N-[(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル]アセトアミド 7、
5-クロロ-7-ヨードキノリン-8-オール 52、
5-クロロ-7-(2-ヒドロキシフェニル)キノリン-8-オール 56、
5-クロロ-7-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)キノリン-8-オール 60、および
N-[(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(2-フリル)メチル]アセトアミド 135。
【請求項8】
以下の段階を含む、動物における、CLK-1の阻害が有益である障害またはそれに伴う症候の予防および/または処置のための方法:
a) CLK-1の阻害が有益である障害を有する動物を特定する段階、および
b) 該動物に、式(B):
の化合物、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグを投与する段階であって、
式中、X=H、メチルまたはハロゲンであり、置換基R1およびRは、以下のように定義され:
i) R2が水素である場合、R1は、Hもしくはハロゲンであるか、またはR1は、アミノ(3,4-ジメトキシフェニル)メチル、2-ヒドロキシフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、4-ジメチルアミノフェニル、ピリジン-4-イル、2-メトキシピリジン-3-イル、および2-アセトアミドフェニルからなる群より選択され;または、
R1は、-CH(R3)NR4R5であり、その場合、
・R4=HもしくはC1〜C4アルキルであり;
・R5=Hもしくは
であり;かつR6は、C1〜C6アルキル、C5〜C6アリール、ベンジル、ジメチルアミノメチル、フェニルエチルおよびジフェニルメチルからなる群より選択され;かつ
・R3は、H、メチル、フェニル、ベンジル、2-クロロフェニル、2-メトキシフェニル、4-クロロフェニル、4-メチルフェニル、4-イソプロピルフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、4-メトキシフェニル、4-シアノフェニル、4-ジメチルアミノ-フェニル、4-ジエチルアミノ-フェニル、2,4-ジクロロフェニル、3,4-ジメトキシフェニル、4-メトキシカルボニルフェニル、3-メトキシカルボニルフェニル、N-メチルベンズアミド、N-(3-メトキシプロピル)ベンズアミド、N,N-ジメチルベンズアミド、4-(モルホリン-4-イルカルボニル)フェニル、4-(ピリジン-2-イル)フェニル、4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、6-(モルホリン-4-イル)ピリジン-3-イル、2-フリル、3-フリル、2-(モルホリン-4-イル)ピリジン-3-イル、2-メトキシピリジン-3-イル、4-メトキシピリジン-3-イル、2-チエニル、2-ブチル-1H-イミダゾール-4-イル、キノリン-3-イル、キノリン-4-イル、8-ヒドロキシキノリン-2-イル、1H-インドール-3-イル、1H-インドール-4-イル、および1H-インドール-7-イルからなる群より選択され;または、
R1は、
であり、R7は、-(CH2)n-R8であり、ここで、R8は、一つまたは二つのメトキシル基によって置換されてもよいC5〜C6アリールであり、n=0または1であり;あるいは
ii) XおよびR1がいずれも水素原子を表す場合、R2は、ピリジン-2-イルカルボキサミド、ピリジン-2-イルアセトアミド、3-ヒドロキシフェニルアセトアミド、4-ヒドロキシフェニルアセトアミド、((2-メトキシフェニル)アミノ)メチル、((3-メトキシフェニル)アミノ)メチル、((3-メトキシベンジル)アミノ)メチル、2-チエニルアセトアミドおよび((2-チエニルメチル)アミノ)メチルからなる群より選択され、
式(B)の化合物が、少なくとも一つの不斉中心を含む場合、その鏡像異性体の一つまたはそれらの混合物の形態にある、段階。
【請求項9】
式(B)の化合物が、表1で同定された化合物の群より選択される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
式(B)の化合物が、下記からなる群より選択される、請求項8記載の方法:
リン酸二水素((7-((アセチルアミノ)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル 5、
リン酸二ナトリウム((7-((アセチルアミノ)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル 6、
N-[(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル]アセトアミド 7、
リン酸二水素((7-((アセチルアミノ)(2-フリル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル 136、
リン酸二ナトリウム((7-((アセチルアミノ)(2-フリル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル 137、
リン酸二水素((7-((アセチルアミノ)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル二塩酸塩 138、および
リン酸二水素((7-((アセチルアミノ)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル塩酸塩 139。
【請求項11】
障害が、虚血/再灌流傷害、または炎症である、請求項8記載の方法。
【請求項12】
a)年齢関連の障害を有する動物を特定する段階、および
b)該動物に、請求項8で定義された式(B)の化合物、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグを投与する段階
を含む、動物における、年齢関連の障害またはそれに伴う症候の予防および/または処置のための方法であって、
ただし、該式(B)の化合物が、
5-クロロ-7-ヨードキノリン-8-オール 52、
5-クロロ-7-(2-ヒドロキシフェニル)キノリン-8-オール 56、または
5-クロロ-7-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)キノリン-8-オール 60
の化合物のうちの1つ、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグではない、方法。
【請求項13】
年齢関連の障害が、心臓血管病、抹消血管疾患、代謝障害、癌、神経変性障害、認知症、膀胱および腎障害、糖尿病合併症、眼の障害、肺および呼吸障害、筋骨格障害、および皮膚疾患からなる群より選択される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
神経変性障害がアルツハイマー病である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
虚血/再灌流傷害が、腎、心、心筋、肺、脳、または脊髄の虚血/再潅流傷害である、請求項11記載の方法。
【請求項16】
炎症が、肺炎症または任意の他の器官の炎症である、請求項11記載の方法。
【請求項17】
動物がヒトである、請求項8記載の方法。
【請求項18】
動物がヒトである、請求項12記載の方法。
【請求項19】
請求項1に定義の式(A)の化合物と、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグと、少なくとも一つの薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物。
【請求項20】
請求項2に定義の式(A)の化合物と、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグと、少なくとも一つの薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物。
【請求項21】
請求項3に定義の式(A)の化合物と、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグと、少なくとも一つの薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物。
【請求項22】
請求項4記載のプロドラッグと、少なくとも一つの薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物。
【請求項23】
CLK-1活性を効果的に低減および/または阻害するための、請求項1で定義された薬学的有効量の式(A)の化合物と、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグとを含む、薬学的組成物。
【請求項24】
CLK-1活性を効果的に低減および/または阻害するための、請求項8で定義された薬学的有効量の式(B)の化合物と、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグとを含む、薬学的組成物。
【請求項25】
CLK-1活性を効果的に低減および/または阻害するための、薬学的有効量のプロドラッグを含む、請求項22記載の薬学的組成物。
【請求項1】
式(A):
を有する化合物、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグであって、
式中、X=H、メチルまたはハロゲンであり、置換基R1およびR2は、以下のように定義され:
a) R2が水素である場合、R1は、Hもしくはハロゲンであるか、またはR1は、アミノ(3,4-ジメトキシフェニル)メチル、2-ヒドロキシフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、4-ジメチルアミノフェニル、ピリジン-4-イル、2-メトキシピリジン-3-イル、および2-アセトアミドフェニルからなる群より選択され;または、
R1は、-CH(R3)NR4R5であり、その場合、
・R4=HもしくはC1〜C4アルキルであり;
・R5=Hもしくは
であり;かつR6は、C1〜C6アルキル、C5〜C6アリール、ベンジル、ジメチルアミノメチル、フェニルエチルおよびジフェニルメチルからなる群より選択され;かつ
・R3は、H、メチル、フェニル、ベンジル、2-クロロフェニル、2-メトキシフェニル、4-クロロフェニル、4-メチルフェニル、4-イソプロピルフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、4-メトキシフェニル、4-シアノフェニル、4-ジメチルアミノ-フェニル、4-ジエチルアミノ-フェニル、2,4-ジクロロフェニル、3,4-ジメトキシフェニル、4-メトキシカルボニルフェニル、3-メトキシカルボニルフェニル、N-メチルベンズアミド、N-(3-メトキシプロピル)ベンズアミド、N,N-ジメチルベンズアミド、4-(モルホリン-4-イルカルボニル)フェニル、4-(ピリジン-2-イル)フェニル、4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、6-(モルホリン-4-イル)ピリジン-3-イル、2-フリル、3-フリル、2-(モルホリン-4-イル)ピリジン-3-イル、2-メトキシピリジン-3-イル、4-メトキシピリジン-3-イル、2-チエニル、2-ブチル-1H-イミダゾール-4-イル、キノリン-3-イル、キノリン-4-イル、8-ヒドロキシキノリン-2-イル、1H-インドール-3-イル、1H-インドール-4-イル、および1H-インドール-7-イルからなる群より選択され;または、
R1は、
であり、R7は、-(CH2)n-R8であり、ここで、R8は、一つまたは二つのメトキシル基によって置換されてもよいC5〜C6アリールであり、n=0または1であり;あるいは
b) XおよびR1がいずれも水素原子を表す場合、R2は、ピリジン-2-イルカルボキサミド、ピリジン-2-イルアセトアミド、3-ヒドロキシフェニルアセトアミド、4-ヒドロキシフェニルアセトアミド、((2-メトキシフェニル)アミノ)メチル、((3-メトキシフェニル)アミノ)メチル、((3-メトキシベンジル)アミノ)メチル、2-チエニルアセトアミド、および((2-チエニルメチル)アミノ)メチルからなる群より選択され、
ただし、該式(A)の化合物が、添付1で同定された化合物の一つではなく、
該式(A)の化合物が、少なくとも一つの不斉中心を含む場合、その鏡像異性体の一つまたはそれらの混合物の形態にある、
式(A)を有する化合物、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグ。
【請求項2】
R4が、Hまたはメチルであり、かつR6が、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、ter-ブチル、フェニル、ベンジル、ジメチルアミノメチル、フェニルエチル、シクロヘキシル、ジフェニルメチル、ピリジン-2-イル、およびピリジン-3-イルからなる群より選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
下記からなる群より選択される、請求項2記載の化合物:
N-((3,4-ジメトキシフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)アセトアミド 2、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)ベンズアミド 3、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-N-メチルアセトアミド 8、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-2,2-ジフェニルアセトアミド 11、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-2-フェニルアセトアミド 12、
7-(アミノ(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-オール 13、
N-(1-(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)-2-フェニルエチル)アセトアミド 14、
N-((2-ブチル-1H-イミダゾール-4-イル)(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)アセトアミド 15、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(2-メトキシピリジン-3-イル)メチル)アセトアミド 16、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(キノリン-4-イル)メチル)アセトアミド 17、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(2-モルホリン-4-イルピリジン-3-イル)メチル)-アセトアミド 18、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(キノリン-3-イル)メチル)アセトアミド 19、
4-((アセチルアミノ)(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)安息香酸メチル 21、
3-((アセチルアミノ)(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)安息香酸メチル 22、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-シアノフェニル)メチル)アセトアミド 23、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-ピリジン-2-イルフェニル)メチル)アセトアミド 24、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニル)メチル)アセトアミド 25、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-ヒドロキシフェニル)メチル)アセトアミド 26、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3-ヒドロキシフェニル)メチル)アセトアミド 27、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(6-メトキシピリジン-3-イル)メチル)アセトアミド 28、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(ピリジン-2-イル)メチル)アセトアミド 29、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(ピリジン-4-イル)メチル)アセトアミド 30、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(ピリジン-4-イル)メチル)アセトアミド塩酸塩 31、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(ピリジン-3-イル)メチル)アセトアミド 32、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(ピリジン-3-イル)メチル)アセトアミド塩酸塩 33、
N-((5-クロロ-8 ヒドロキシキノリン-7-イル)(8-ヒドロキシキノリン-2-イル)メチル)アセトアミド 34、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(6-モルホリン-4-イルピリジン-3-イル)メチル)-アセトアミド 35、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(1H-インドール-3-イル)メチル)アセトアミド 36、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(1H-インドール-4-イル)メチル)アセトアミド 37、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(1H-インドール-7-イル)メチル)アセトアミド 38、
4-((アセチルアミノ)(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)-N,N-ジメチル-ベンズアミド 39、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-(モルホリン-4-イルカルボニル)フェニル)メチル)-アセトアミド 40、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-カルボキサミド 41、
4-((アセチルアミノ)(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)-N-(3-メトキシプロピル)-ベンズアミド 44、
4-((アセチルアミノ)(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)-N-メチルベンズアミド 45、
N-((5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-N,N-ジメチル-グリシンアミド 46、
N-(1-(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)エチル)アセトアミド 47、
N-((8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル)アセトアミド 48、
N-(2-フリルメチル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 53、
N-(2-チエニルメチル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 54、
N-(2-メトキシベンジル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 55、
5-クロロ-7-(3-ヒドロキシフェニル)キノリン-8-オール 57、
5-クロロ-7-(4-ヒドロキシフェニル)キノリン-8-オール 58、
N-(2-(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)フェニル)アセトアミド 59、
5-クロロ-7-(2-メトキシピリジン-3-イル)キノリン-8-オール 61、
5-クロロ-7-ピリジン-4-イルキノリン-8-オール塩酸塩 62、
N-(3,4-ジメトキシフェニル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 63、
N-(3-メトキシフェニル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 64、
N-(3-メトキシベンジル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 65、
N-(3,4-ジメトキシベンジル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 66、
N-(2-メトキシフェニル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 67、
N-(ピリジン-3-イルメチル)-8-ヒドロキシキノリン-7-イルカルボキサミド 68、
N-(8-ヒドロキシキノリン-2-イル)ピリジン-2-イルカルボキサミド 69、
N-(8-ヒドロキシキノリン-2-イル)-2-ピリジン-2-イル アセトアミド 70、
2-(3-ヒドロキシフェニル)-N-(8-ヒドロキシキノリン-2-イル)アセトアミド 71、
2-(4-ヒドロキシフェニル)-N-(8-ヒドロキシキノリン-2-イル)アセトアミド 72、
N-(8-ヒドロキシキノリン-2-イル)-2-(2-チエニル)アセトアミド 73、
2-(((3-メトキシベンジル)アミノ)メチル)キノリン-8-オール 74、
2-(((3-メトキシフェニル)アミノ)メチル)キノリン-8-オール 75、
2-(((2-チエニルメチル)アミノ)メチル)キノリン-8-オール 76、
2-(((2-メトキシフェニル)アミノ)メチル)キノリン-8-オール 77、
N-[(2,4-ジクロロフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]アセトアミド 78、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(2-チエニル)メチル]アセトアミド 79、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-イソプロピルフェニル)メチル]アセトアミド 80、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(2-チエニル)メチル]ブタンアミド 81、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-イソプロピルフェニル)メチル]ブタンアミド 82、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-メチルフェニル)メチル]-3-フェニルプロパンアミド 92、
N-[(2-クロロフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]-3-フェニルプロパンアミド 93、
N-[(2,4-ジクロロフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]-3-メチルブタンアミド 94、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(フェニル)メチル]-3-メチルブタンアミド 110、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-メトキシフェニル)メチル]-3-フェニルプロパンアミド 111、
N-[(3,4-ジメトキシフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]-3-メチルブタンアミド 112、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(2-チエニル)メチル]-3-メチルブタンアミド 113、
N-[(4-クロロフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]シクロヘキサンカルボキシアミド 121、
N-[(2,4-ジクロロフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]プロパンアミド 122、
N-[(3,4-ジメトキシフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]-3-フェニルプロパンアミド 124、
N-[(2,4-ジクロロフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]ペンタンアミド 125、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-イソプロピルフェニル)メチル]ペンタンアミド 126、
N-[[4-(ジエチルアミノ)フェニル](8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]ペンタンアミド 127、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-メトキシフェニル)メチル]シクロヘキサンカルボキシアミド 128、
N-[(2,4-ジクロロフェニル)(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)メチル]ブタンアミド 129、
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(4-メチルフェニル)メチル]シクロヘキサンカルボキシアミド 130、および
N-[(8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(2-チエニル)メチル]シクロヘキサンカルボキシアミド 131。
【請求項4】
下記からなる群より選択されるプロドラッグ:
リン酸二水素((7-((アセチルアミノ)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル 5、
リン酸二ナトリウム((7-((アセチルアミノ)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル 6、
リン酸二水素((7-((アセチルアミノ)(2-フリル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル 136、
リン酸二ナトリウム((7-((アセチルアミノ)(2-フリル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル 137、
リン酸二水素((7-((アセチルアミノ)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル二塩酸塩 138、および
リン酸二水素((7-((アセチルアミノ)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル塩酸塩 139。
【請求項5】
以下の段階を含む、細胞におけるCLK-1活性を阻害するための方法:
a) CLK-1活性を阻害する必要のある細胞を提供する段階、
b) 該細胞を、式(B):
の化合物と接触させる段階であって、
式中、X=H、メチルまたはハロゲンであり、置換基R1およびR2は、以下のように定義され:
i) R2が水素である場合、R1は、Hもしくはハロゲンであるか、またはR1は、アミノ(3,4-ジメトキシフェニル)メチル、2-ヒドロキシフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、4-ジメチルアミノフェニル、ピリジン-4-イル、2-メトキシピリジン-3-イル、および2-アセトアミドフェニルからなる群より選択され;または、
R1は、-CH(R3)NR4R5であり、その場合、
・R4=HもしくはC1〜C4アルキルであり;
・R5=Hもしくは
であり;かつR6は、C1〜C6アルキル、C5〜C6アリール、ベンジル、ジメチルアミノメチル、フェニルエチルおよびジフェニルメチルからなる群より選択され;かつ
・R3は、H、メチル、フェニル、ベンジル、2-クロロフェニル、2-メトキシフェニル、4-クロロフェニル、4-メチルフェニル、4-イソプロピルフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、4-メトキシフェニル、4-シアノフェニル、4-ジメチルアミノ-フェニル、4-ジエチルアミノ-フェニル、2,4-ジクロロフェニル、3,4-ジメトキシフェニル、4-メトキシカルボニルフェニル、3-メトキシカルボニルフェニル、N-メチルベンズアミド、N-(3-メトキシプロピル)ベンズアミド、N,N-ジメチルベンズアミド、4-(モルホリン-4-イルカルボニル)フェニル、4-(ピリジン-2-イル)フェニル、4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、6-(モルホリン-4-イル)ピリジン-3-イル、2-フリル、3-フリル、2-(モルホリン-4-イル)ピリジン-3-イル、2-メトキシピリジン-3-イル、4-メトキシピリジン-3-イル、2-チエニル、2-ブチル-1H-イミダゾール-4-イル、キノリン-3-イル、キノリン-4-イル、8-ヒドロキシキノリン-2-イル、1H-インドール-3-イル、1H-インドール-4-イル、および1H-インドール-7-イルからなる群より選択され;または、
R1は、
であり、R7は、-(CH2)n-R8であり、ここで、R8は、一つまたは二つのメトキシル基によって置換されてもよいC5〜C6アリールであり、n=0または1であり;あるいは
ii) XおよびR1がいずれも水素原子を表す場合、R2は、ピリジン-2-イルカルボキサミド、ピリジン-2-イルアセトアミド、3-ヒドロキシフェニルアセトアミド、4-ヒドロキシフェニルアセトアミド、((2-メトキシフェニル)アミノ)メチル、((3-メトキシフェニル)アミノ)メチル、((3-メトキシベンジル)アミノ)メチル、2-チエニルアセトアミド、および((2-チエニルメチル)アミノ)メチルからなる群より選択され、
式(B)の化合物が、少なくとも一つの不斉中心を含む場合、その鏡像異性体の一つまたはそれらの混合物の形態にある、段階、ならびに
c) 該細胞のCLK-1活性を測定する段階。
【請求項6】
式(B)の化合物が、表1で同定された化合物の群より選択される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
式(B)の化合物が下記からなる群より選択される、請求項6記載の方法:
N-[(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル]アセトアミド 7、
5-クロロ-7-ヨードキノリン-8-オール 52、
5-クロロ-7-(2-ヒドロキシフェニル)キノリン-8-オール 56、
5-クロロ-7-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)キノリン-8-オール 60、および
N-[(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(2-フリル)メチル]アセトアミド 135。
【請求項8】
以下の段階を含む、動物における、CLK-1の阻害が有益である障害またはそれに伴う症候の予防および/または処置のための方法:
a) CLK-1の阻害が有益である障害を有する動物を特定する段階、および
b) 該動物に、式(B):
の化合物、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグを投与する段階であって、
式中、X=H、メチルまたはハロゲンであり、置換基R1およびRは、以下のように定義され:
i) R2が水素である場合、R1は、Hもしくはハロゲンであるか、またはR1は、アミノ(3,4-ジメトキシフェニル)メチル、2-ヒドロキシフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、4-ジメチルアミノフェニル、ピリジン-4-イル、2-メトキシピリジン-3-イル、および2-アセトアミドフェニルからなる群より選択され;または、
R1は、-CH(R3)NR4R5であり、その場合、
・R4=HもしくはC1〜C4アルキルであり;
・R5=Hもしくは
であり;かつR6は、C1〜C6アルキル、C5〜C6アリール、ベンジル、ジメチルアミノメチル、フェニルエチルおよびジフェニルメチルからなる群より選択され;かつ
・R3は、H、メチル、フェニル、ベンジル、2-クロロフェニル、2-メトキシフェニル、4-クロロフェニル、4-メチルフェニル、4-イソプロピルフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、4-メトキシフェニル、4-シアノフェニル、4-ジメチルアミノ-フェニル、4-ジエチルアミノ-フェニル、2,4-ジクロロフェニル、3,4-ジメトキシフェニル、4-メトキシカルボニルフェニル、3-メトキシカルボニルフェニル、N-メチルベンズアミド、N-(3-メトキシプロピル)ベンズアミド、N,N-ジメチルベンズアミド、4-(モルホリン-4-イルカルボニル)フェニル、4-(ピリジン-2-イル)フェニル、4-(1H-ピラゾール-1-イル)フェニル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、6-(モルホリン-4-イル)ピリジン-3-イル、2-フリル、3-フリル、2-(モルホリン-4-イル)ピリジン-3-イル、2-メトキシピリジン-3-イル、4-メトキシピリジン-3-イル、2-チエニル、2-ブチル-1H-イミダゾール-4-イル、キノリン-3-イル、キノリン-4-イル、8-ヒドロキシキノリン-2-イル、1H-インドール-3-イル、1H-インドール-4-イル、および1H-インドール-7-イルからなる群より選択され;または、
R1は、
であり、R7は、-(CH2)n-R8であり、ここで、R8は、一つまたは二つのメトキシル基によって置換されてもよいC5〜C6アリールであり、n=0または1であり;あるいは
ii) XおよびR1がいずれも水素原子を表す場合、R2は、ピリジン-2-イルカルボキサミド、ピリジン-2-イルアセトアミド、3-ヒドロキシフェニルアセトアミド、4-ヒドロキシフェニルアセトアミド、((2-メトキシフェニル)アミノ)メチル、((3-メトキシフェニル)アミノ)メチル、((3-メトキシベンジル)アミノ)メチル、2-チエニルアセトアミドおよび((2-チエニルメチル)アミノ)メチルからなる群より選択され、
式(B)の化合物が、少なくとも一つの不斉中心を含む場合、その鏡像異性体の一つまたはそれらの混合物の形態にある、段階。
【請求項9】
式(B)の化合物が、表1で同定された化合物の群より選択される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
式(B)の化合物が、下記からなる群より選択される、請求項8記載の方法:
リン酸二水素((7-((アセチルアミノ)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル 5、
リン酸二ナトリウム((7-((アセチルアミノ)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル 6、
N-[(5-クロロ-8-ヒドロキシキノリン-7-イル)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル]アセトアミド 7、
リン酸二水素((7-((アセチルアミノ)(2-フリル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル 136、
リン酸二ナトリウム((7-((アセチルアミノ)(2-フリル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル 137、
リン酸二水素((7-((アセチルアミノ)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル二塩酸塩 138、および
リン酸二水素((7-((アセチルアミノ)(3,4-ジメトキシフェニル)メチル)-5-クロロキノリン-8-イル)オキシ)メチル塩酸塩 139。
【請求項11】
障害が、虚血/再灌流傷害、または炎症である、請求項8記載の方法。
【請求項12】
a)年齢関連の障害を有する動物を特定する段階、および
b)該動物に、請求項8で定義された式(B)の化合物、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグを投与する段階
を含む、動物における、年齢関連の障害またはそれに伴う症候の予防および/または処置のための方法であって、
ただし、該式(B)の化合物が、
5-クロロ-7-ヨードキノリン-8-オール 52、
5-クロロ-7-(2-ヒドロキシフェニル)キノリン-8-オール 56、または
5-クロロ-7-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)キノリン-8-オール 60
の化合物のうちの1つ、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグではない、方法。
【請求項13】
年齢関連の障害が、心臓血管病、抹消血管疾患、代謝障害、癌、神経変性障害、認知症、膀胱および腎障害、糖尿病合併症、眼の障害、肺および呼吸障害、筋骨格障害、および皮膚疾患からなる群より選択される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
神経変性障害がアルツハイマー病である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
虚血/再灌流傷害が、腎、心、心筋、肺、脳、または脊髄の虚血/再潅流傷害である、請求項11記載の方法。
【請求項16】
炎症が、肺炎症または任意の他の器官の炎症である、請求項11記載の方法。
【請求項17】
動物がヒトである、請求項8記載の方法。
【請求項18】
動物がヒトである、請求項12記載の方法。
【請求項19】
請求項1に定義の式(A)の化合物と、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグと、少なくとも一つの薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物。
【請求項20】
請求項2に定義の式(A)の化合物と、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグと、少なくとも一つの薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物。
【請求項21】
請求項3に定義の式(A)の化合物と、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグと、少なくとも一つの薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物。
【請求項22】
請求項4記載のプロドラッグと、少なくとも一つの薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物。
【請求項23】
CLK-1活性を効果的に低減および/または阻害するための、請求項1で定義された薬学的有効量の式(A)の化合物と、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグとを含む、薬学的組成物。
【請求項24】
CLK-1活性を効果的に低減および/または阻害するための、請求項8で定義された薬学的有効量の式(B)の化合物と、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグとを含む、薬学的組成物。
【請求項25】
CLK-1活性を効果的に低減および/または阻害するための、薬学的有効量のプロドラッグを含む、請求項22記載の薬学的組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公表番号】特表2009−544631(P2009−544631A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521076(P2009−521076)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【国際出願番号】PCT/CA2007/001324
【国際公開番号】WO2008/014602
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(507184074)エンビボ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (11)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【国際出願番号】PCT/CA2007/001324
【国際公開番号】WO2008/014602
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(507184074)エンビボ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (11)
【Fターム(参考)】
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