説明

キャニスタ配置構造

【課題】車両後部から車両前方への外部入力によりラゲッジフロアが移動した時にキャニスタに対する衝撃荷重を低減して該キャニスタを保護する。
【解決手段】車両後方からの外部入力によりラゲッジフロア13が車両前方へ移動した時に、該ラゲッジフロア13の前面部13aがリヤサスペンションメンバ6の左右後側脚部9、10に衝突して、キャニスタ14に対する入力荷重Fを低減するように構成してある。具体的な構成としては、キャニスタ14を、リヤサスペンションメンバ6の左右後側脚部9、10と略同一位置若しくはその位置よりも車両前方位置に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャニスタ配置構造に関し、詳細には、車両後部に車両前方へ外部入力が生じた時にキャニスタを保護するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、車体両側のリヤサイドメンバ間を連結するリヤクロスメンバのほぼ中間位置にキャニスタを設けた技術が開示されている。かかる特許文献1では、リヤクロスメンバのほぼ中間位置にキャニスタを設けることで、車輪からの振動がキャニスタに伝達され難くなり、該キャニスタ内に充填された吸着剤が振動により摩耗するのが防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−142693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、リヤクロスメンバ及びリヤサブフレームの後端取付部よりも後方へ突出してキャニスタを配置しているため、車両後部から車両前方へ外部入力があった場合、車両下方へ膨出するラゲッジフロアの前面部が前方へ移動してキャニスタに接触し、該キャニスタに大きな衝撃荷重が入力される恐れがある。
【0005】
そこで、本発明は、車両後部から車両前方への外部入力によりラゲッジフロアが移動した時にキャニスタに対する衝撃荷重を低減して該キャニスタを保護することが可能なキャニスタ配置構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のキャニスタ配置構造では、車両後方からの外部入力によりラゲッジフロアが車両前方へ移動した時に、該ラゲッジフロアの前面部が前記リヤサスペンションメンバの左右後側脚部に衝突して、前記キャニスタに対する入力荷重を低減するように構成してある。
【発明の効果】
【0007】
本発明のキャニスタ配置構造によれば、車両後方からの外部入力によりラゲッジフロアの前面部がリヤサスペンションメンバの左右後側脚部に衝突することで、キャニスタに対する入力荷重が低減され、当該キャニスタを保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1はキャニスタが配置された部位を示す車両の底面図である。
【図2】図2はキャニスタが配置された部位を示す車両の断面図である。
【図3】図3は車両後部からの外部入力によりラゲッジフロアの前面部がリヤサスペンションメンバの左右後側脚部に衝突したときの車両の底面図を示す。
【図4】図4は車両後部からの外部入力によりラゲッジフロアの前面部がリヤサスペンションメンバの左右後側脚部に衝突したときの車両の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1はキャニスタが配置された部位を示す車両の底面図、図2はキャニスタが配置された部位を示す車両の断面図、図3は車両後部からの外部入力によりラゲッジフロアの前面部がリヤサスペンションメンバの左右後側脚部に衝突したときの車両の底面図、図4は車両後部からの外部入力によりラゲッジフロアの前面部がリヤサスペンションメンバの左右後側脚部に衝突したときの車両の断面図である。
【0011】
図1中、矢印Xは車両前後方向を示し、矢印Yは車幅方向を示す。図2中、矢印Zは車両高さ方向を示す。
【0012】
燃料タンク1は、車両前後方向(X方向)に延在して車幅方向(Y方向)両端に配置された一対のリヤサイドメンバ2、3間であって、これらリヤサイドメンバ2、3を車幅方向に連結する前リヤクロスメンバ4及び後リヤクロスメンバ5の車両前方に配置されている。
【0013】
リヤサスペンションメンバ6は、左右前側脚部7、8をそれぞれ対応するリヤサイドメンバ2、3にボルト及びナット等による締結手段で固定されると共に、左右後側脚部9、10を後リヤクロスメンバ5に同じくボルト及びナット等による締結手段で固定されている。
【0014】
リヤサスペンションメンバ6には、リヤサスペンションによって後輪11、12が懸架されている。この実施形態では、前記後輪11、12は、前リヤクロスメンバ4と後リヤクロスメンバ5の間に配置されている。
【0015】
ラゲッジフロア13は、後リヤクロスメンバ5の車両後方に設けられ、車両下方へ膨出して形成されている。このラゲッジフロア13は、リヤサスペンションメンバ6の左右にそれぞれ車両後方へ延在して形成された後側脚部9、10間の距離L1よりもその前面部13aの車幅方向距離L2が幅広くされている。また、ラゲッジフロア13の前面部13aは、前記した左右後側脚部9、10に近接した位置とされている。
【0016】
キャニスタ14は、燃料タンク1とラゲッジフロア13間に配置され、前記後リヤクロスメンバ5に固定されている。キャニスタ14は、燃料タンク1内で蒸発した蒸発燃料(ベーパ燃料)を回収し、ベーパ燃料が大気中に放出されることを防止する。かかるキャニスタ14は、左右の後側脚部9、10間であってリヤサスペンションメンバ6とラゲッジフロア13とで囲まれる空間部15に設けられている。
【0017】
前記キャニスタ14は、車両後方からの外部入力によりラゲッジフロア13が車両前方へ移動した時に、該ラゲッジフロア13の前面部13aがリヤサスペンションメンバ6の左右後側脚部9、10に衝突して該キャニスタ14に対する入力荷重が低減されるように配置されている。具体的には、前記キャニスタ14の後面が、左右後側脚部9、10の後端部9a、10aと略同一位置若しくはその位置よりも車両前方位置となるように、前記キャニスタ14を設置している。つまり、キャニスタ14の車両後方に向く後面14aは、左右後側脚部9、10の後端部9a、10aの位置と車両前後方向で同一位置か或いはそれよりも車両前方の位置としている。なお、ラゲッジフロア13の前面部13aが本実施形態のように底面視で直線状で無い場合は、キャニスタ14と対向する部位のラゲッジフロア13の前面部13aとキャニスタ14の後面14aとの距離S1を、左右後側脚部9、10と対向する部位のラゲッジフロア13の前面部13aと左右後側脚部9、10の後端部9a、10aとの距離S2と、略同一か或いは大きくすることで、車両後方からの外部入力によりラゲッジフロア13が車両前方へ移動した際の、キャニスタ14に対する入力荷重がより低減されるので好ましい。
【0018】
以上のような位置関係にキャニスタ14を配置した場合においては、車両後方から車両前方に向けて入力荷重Fが作用した場合、図3及び図4に示すように、ラゲッジフロア13が車両前方へ押され、その前面部13aがキャニスタ14よりも先に或いはほぼ同時に左右後側脚部9、10と接触することになる。
【0019】
そのため、ラゲッジフロア13が更に車両前方へ移動しても車幅方向で2箇所設けられた左右後側脚部9、10によってラゲッジフロア13がそれ以上前方に移動するのが抑制される。これにより、前記空間部15に配置されたキャニスタ14への入力荷重を低減させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、キャニスタの配置技術に利用することができる。
【符号の説明】
【0021】
1…燃料タンク
2、3…リヤサイドメンバ
4…前リヤクロスメンバ
5…後リヤクロスメンバ
6…リヤサスペンションメンバ
7、8…左右前側脚部
9、10…左右後側脚部
11、12…後輪
13…ラゲッジフロア
14…キャニスタ
15…空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に固定されたリヤサスペンションメンバの後方にラゲッジフロアが車両下方へ膨出して形成され、そのラゲッジフロアの前面部が、リヤサスペンションメンバの左右にそれぞれ車両後方へ延在して形成された後側脚部間の距離よりも幅広とされており、これら左右後側脚部間と前記ラゲッジフロアの前面部とで囲まれた空間部にキャニスタを配置したキャニスタ配置構造であって、
車両後方からの外部入力により前記ラゲッジフロアが車両前方へ移動した時に、該ラゲッジフロアの前面部が前記リヤサスペンションメンバの左右後側脚部に衝突し、前記キャニスタ対する入力荷重を低減する構造である
ことを特徴とするキャニスタ配置構造。
【請求項2】
請求項1に記載のキャニスタ配置構造であって、
前記キャニスタ後面が、前記左右後側脚部の後端部と略同一位置若しくはその位置よりも車両前方位置となるように前記キャニスタを設置した
ことを特徴とするキャニスタ配置構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−274709(P2009−274709A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8495(P2009−8495)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】