説明

クリック構造、ヒンジ構造及び折り畳み式携帯電話端末

【課題】所望の開き角において十分なクリック音及びクリック感が得られるとともに、クリック音及びクリック感を発生させるか否かをユーザが切り替えることが可能なクリック機構及びこれを用いたヒンジ構造並びに折り畳み式携帯端末を提供する。
【解決手段】シャフト25にトルクを発生させるヒンジユニット16の部品である凹カム22と第2のヒンジ筒11との間のクリアランスを利用してヒンジユニット16の部品とヒンジ筒11とを衝突させることでクリック音及びクリック感を発生させるクリック構造であって、凹カム22と第2のヒンジ筒11との間に所定のクリアランスが存在する第1の状態と、凹カム22と第2のヒンジ筒11との間に所定のクリアランスが存在しない第2の状態とを切り替えるプッシュ−プッシュスイッチ26を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリック音及びクリック感を生じさせるためのクリック構造及びこれを用いたヒンジ構造並びに折り畳み式携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
折り畳み式携帯端末機は、開閉時に「カチッ」というクリック音及びクリック感を発生させ、ユーザに小気味の良い操作感を提供するものが少なくない。
【0003】
現代において携帯電話機を始めとする折り畳み式携帯端末は、無くてはならないものとなっているため、静かな場所で端末を開閉させる機会も少なくない。このように、TPOによっては、クリック音を発生させない方が好ましい状況もあり得る。
【0004】
一方で、クリック音が邪魔になる場合があることを想定して、クリック音及びクリック感を生じさせないようにした折り畳み式携帯端末もあるが、ユーザが開閉時に小気味の良さを得られない。
【0005】
このように、「クリック音及びクリック感のある小気味の良い操作感」及び「クリック音が発生せず周囲を気にせずいつでも開閉できること」のどちらに対してもニーズがある。しかし、クリック音及びクリック感のON/OFFを切り替えられる折り畳み式携帯端末は提供されていない。
【0006】
折り畳み式携帯端末のクリック音及びクリック感に関連する技術として、特許文献1に開示される「折り畳み式携帯端末機」がある。
特許文献1に開示される発明は、ユーザの操作によりクリック音を小さくする構造に関するものであり、クリック音を発生させるために、凸カムの先端面と凹カムの底面とを衝突させており、衝突による衝撃でクリック音を発生させている。
【特許文献1】特開2005−61470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に開示される発明は、凸カム及び凹カムが共に筐体と回転固定されているため、両カムの回転と操作筐体及び表示筐体の開閉動作とが完全に一致する。換言すると、凸カムと凹カムとの位置関係は開閉動作に伴って変化することがない。よって、勢いよく携帯端末を開閉させない限り、カムが勢い良く回転しカム同士が衝突することはない。従って、この構造では、クリック音及びクリック感が十分に得られない。
【0008】
また、凸カムと凹カムとを完全に噛み合わせる構造であるため、必然的に操作筐体と表示筐体との開き角は180度に限定されてしまう。一般的な折り畳み式携帯電話端末の開き角度は160〜170度であるため、特許文献1に開示される発明は、折り畳み式携帯端末に適用するのに適さない。
【0009】
加えて、特許文献1に開示される構造では、凸カムと凹カムとを完全に噛み合わせるため、全閉状態ではさらに閉じようとするトルクは発生しない。同様に、全開状態ではさらに開こうとするトルクは発生しない。したがって、全閉状態及び全開状態では表示筐体ががたついてしまう。
【0010】
このように、所望の開き角において十分なクリック音及びクリック感が得られるとともに、クリック音及びクリック感を発生させるか否かをユーザが切り替えることが可能なクリック機構は実現されていなかった。
【0011】
本発明は係る問題に鑑みてなされたものであり、所望の開き角において十分なクリック音及びクリック感が得られるとともに、クリック音及びクリック感を発生させるか否かをユーザが切り替えることが可能なクリック機構及びこれを用いたヒンジ構造並びに折り畳み式携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明は、第1の態様として、軸にトルクを発生させるトルク発生手段の部品と該トルク発生手段を収容する筐体との間のクリアランスを利用してトルク発生手段の部品と筐体とを衝突させることでクリック音及びクリック感を発生させるクリック構造であって、トルク発生手段の部品と筐体との間に所定のクリアランスが存在する第1の状態と、トルク発生手段の部品と筐体との間に所定のクリアランスが存在しない第2の状態とを切り替える切替手段を有することを特徴とするクリック構造を提供するものである。
【0013】
本発明の第1の態様においては、切替手段は、トルク発生手段の部品の位置を、第1の状態に対応する第1の位置と、第2の状態に対応する第2の位置とに軸に沿って変化させることが好ましい。
これに加えて、トルク発生手段の部品及び筐体の一方に溝が、他方にリブが設けられており、第1の位置と第2の位置とでは、筐体に設けられている溝又はリブの幅が異なることがより好ましく、さらに加えて、第2の位置においては、トルク発生手段の部品又は筐体に設けられているリブの片側にのみ、クリアランスが存在することがより好ましい。又は、トルク発生手段は軸に垂直な断面の形状が異なる第1の形状部と第2の形状部とを有しており、第1の位置では、第1の形状部と筐体との間にクリアランスが生じ、第2の位置では第2の形状部と筐体との間にクリアランスが生じないことがより好ましい。
【0014】
本発明の第1の態様の上記のいずれの構成においても、切替手段は、プッシュ−プッシュスイッチであることが好ましい。
【0015】
本発明の第1の態様の上記のいずれの構成においても、トルク発生手段は、凸部を備えた凸カムと凹部を備えた凹カムとが、凸部及び凹部が設けられた面を向かい合わせて押し付け合わされており、凹部の傾斜部分に凸部が圧接することにより、軸にトルクを発生させることが好ましい。又は、トルク発生手段は、板バネに設けられた凸部がシャフトに設けられた凹部の傾斜部分に圧接することにより、軸にトルクを発生させることが好ましい。
【0016】
また、上記目的を達成するため、本発明は、第2の態様として、折り畳み式機器の二つの筐体を連結するためのヒンジ構造であって、上記本発明の第1の態様のいずれかの構成に係るクリック構造を備えたことを特徴とするヒンジ構造を提供するものである。
【0017】
また、上記目的を達成するため、本発明は、第3の態様として、上記本発明の第2の態様に係るヒンジ構造を備えた折り畳み式携帯端末を提供するものである。
【0018】
また、上記目的を達成するため、本発明は、第4の態様として、二つの筐体がヒンジを介して開閉自在に連結された折り畳み式携帯端末であって、ヒンジの軸にトルクを発生させるトルク発生手段の部品と該トルク発生手段を収容するヒンジ筐体との間のクリアランスを利用してトルク発生手段の部品とヒンジ筐体とを衝突させることでクリック音及びクリック感を発生させるクリック構造と、トルク発生手段の部品とヒンジ筐体との間に所定のクリアランスが存在する第1の状態と、トルク発生手段の部品とヒンジ筐体との間に所定のクリアランスが存在しない第2の状態とを切り替える切り替え手段とを有することを特徴とする折り畳み式携帯端末を提供するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、所望の開き角において十分なクリック音及びクリック感が得られるとともに、クリック音及びクリック感を発生させるか否かをユーザが切り替えることが可能なクリック機構及びこれを用いたヒンジ構造並びに折り畳み式携帯端末を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
〔第1の実施形態〕
本発明を好適に実施した第1の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係る折り畳み式携帯電話端末の構成を示す。本実施形態に係る折り畳み式携帯電話端末は、操作筐体1と表示筐体2とがヒンジ部3を介して連結された構成である。
操作筐体1は、ボタン14が設けられた操作部を備えており、表示筐体2は、画面15が設けられた表示部を備えている。操作筐体1と表示筐体2とを連結するヒンジ部3には、ヒンジユニット16が内蔵されており、ヒンジユニット16の回転軸を中心として開閉動作が可能となっている。ヒンジユニット16は、トルク発生機構を有しており、操作筐体1と表示筐体とを所望の開き角で保持する。
【0021】
図2に示すように、操作筐体1は、浅底の箱状に形成された第1のアッパーケース4と第1のロアーケース6とからなり、第1のプリント配線基板8を収容している。同様に、表示筐体2は、第2のアッパーケース5と第2のロアーケース7とからなり、第2のプリント配線基板9を収容している。
【0022】
ヒンジ部3は、第1のアッパーケース4に設けられた第1のヒンジ筒10と、第2のアッパーケース5に設けられた第2のヒンジ筒11及び半ヒンジ筒12と、第2のロアーケース7に設けられた半ヒンジ筒13とによって構成されるヒンジ筒に、ヒンジユニット16とアルファベットのC状断面の筒部品17が組み込まれることによって構成される。
【0023】
フレキシブル配線基板18は、筒部品17の内部を通り、第1のプリント配線板8と第2のプリント配線板9とを接続する。
【0024】
次に、ヒンジユニット16について説明する。一般に、折り畳み式携帯電話機に使用されているヒンジユニットは、バネの力をカム形状によって回転方向の力、すなわちトルクに変換する構造のものが多い。
図3に示すように、ヒンジユニット16は、キャップ19、ケース20、凸カム21、凹カム22、フック23、バネ24、シャフト25及びプッシュ−プッシュスイッチ26を有する。凸カム21とケース20とは回転固定されている。
【0025】
図4、図5に示すように、ケース20には溝27が、第1のヒンジ筒10にはリブ30がそれぞれ設けられている。また、凹カム22には溝28が、第2のヒンジ筒11にはリブ31がそれぞれ設けられている。ヒンジユニット16とヒンジ筒とが嵌合した状態では、図6に示すように、ケース20と第1のヒンジ筒10とは、ケース20に設けられた溝27と第1のヒンジ筒10に設けられたリブ30とによって回転固定されている。また、凹カム22と第2のヒンジ筒11とは、凹カム22に設けられた溝28と第2のヒンジ筒11に設けられたリブ31とによって回転固定されている。なお、溝28の幅はリブ31の幅よりも広くなっており、数度分のクリアランスを有している。
プッシュ−プッシュスイッチ26は、ノック式ボールペンや電化製品の電源ボタンなどに広く用いられている公知の構成を適用可能であり、軸方向に押すと数mm押し込まれた状態で止まり、再度押すと元の位置まで復帰する機能を有する。
【0026】
クリック音及びクリック感の発生のメカニズムについて説明する。
クリック音及びクリック感は、凹カム22がトルクによって第2のヒンジ筒11に衝突することで発生する。図7(a)に示すように、凸カム21は矢印Aで示すバネ24の力で凹カム22に押し付けられており、回転時にはカム同士に摩擦力が発生する。この摩擦力が表示筐体2を操作筐体1に対して任意の開き角で保持するトルクとなる。
また、図7(b)に示すように、カムの凹部33と凸部32とが噛み合う位置ではカムの傾斜によって、矢印Aで示すバネ24の力が凹カム22を矢印Bで示す方向に回転させる力に変わる。矢印Bで示す回転する方向の力は、例えば、折り畳み式携帯電話端末を閉じる動作をしていく時に、途中で(ある程度まで閉じた時に)自ら閉じようとする力となって現れる。さらに、全閉状態、すなわち完全に閉じた状態でも、図7(b)に示すように、凸カム21と凹カム22とが斜面の途中に位置するようにしておくことにより、さらに閉じようとするトルクが発生し続け、全閉状態でも表示筐体2ががたつかないように作用する。全開状態、すなわち完全に開いている状態であっても同様である。
【0027】
次に、凹カム22が第2のヒンジ筒11に衝突する過程について説明する。
まず、操作筐体1と表示筐体2とが、図8(a)に示す位置関係で閉じる操作をしていく場合、凹カム22とリブ31とは図8(b)に示す位置関係にあり、リブ31によって凹カム22は矢印の方向へ押されていく。この時、凸カム21の凸部32と凹カム22の凹部32とは、図9(a)に示す位置関係にあり、凹部33は矢印の方向へ移動していく。そのまま閉じる動作を続けていくと、図7(b)で示したように、凸カム21と凹カム22が噛み合う位置となり、バネ24の力によって凹カム22が矢印Bの方向に急速に移動する。
この時、図9(b)に示すように、凹カム22は矢印の方向に急速に回転し、リブ31の反対面に衝突する。この衝突時に発生する衝撃音がクリック音であり、衝撃がクリック感である。クリック音及びクリック感を十分に発生させるためには(換言すると、凹カム22が急速に回転するためには)、凹カム22単体で自由に急速回転可能な空間が必要である。凹カム22に設けられた溝28と第2のヒンジ筒11に設けられたリブ31との間のクリアランスがこの空間に相当する。
【0028】
次に、クリック音及びクリック感のON/OFFを切り替える動作について説明する。
ユーザがヒンジユニットを押すと、図10に示すようにプッシュ−プッシュスイッチ26が縮んでヒンジユニット16が図中の矢印の方向にスライドする。この時、凹カム22に設けられた溝28は、第2のヒンジ筒11に設けられたリブ31の幅広の部分に移動するため、溝28とリブ31との間のクリアランスが無くなる。この状態では、図7(b)に示す凸カム21と凹カム22とが噛み合う位置になった場合でも、凹カム22は単体では急速に回転できない。従って、凹カム22はリブ31に衝撃を与えることがないため、クリック音はほとんど発生しない。
【0029】
クリック音及びクリック感を発生させたい場合には、再度ヒンジユニットを押すと、プッシュ−プッシュスイッチ26が伸びた状態に戻って凹カム22が元の位置に復帰し、図6に示したように溝28とリブ31との間に再びクリアランスが生じ、クリック音及びクリック感が十分に発生しうる状態となる。
【0030】
このように、本実施形態に係る折り畳み式携帯電話端末は、クリック音及びクリック感を発生させるか否かを切り替えられるため、ユーザの嗜好や使用環境に応じて、適切な状態で使用できる。
すなわち、普段はクリック音及びクリック感を伴う小気味良い開閉操作を行えるようにし、公共施設内や睡眠中の人の側ではクリック音を生じさせないようにすることで、TPOに合わせてクリック音及びクリック感のON/OFFを選択できる。
しかも、クリック音及びクリック感のON/OFFの切り替えは、プッシュ−プッシュスイッチ26という公知の構成を追加することで実現できるため、製造時の組立作業が繁雑となることは無く、製造コストが大幅に上昇することもない。
【0031】
ここでは凸カム21をバネ24で凹カム22に押し付ける構成を挙げたが、凸カム21と凹カム22とを入れ替えて凹カム22をバネ24で凸カム21に押し付けるように構成しても同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0032】
〔第2の実施形態〕
本発明を好適に実施した第2の実施形態について説明する。
図11に、本実施形態に係る折り畳み式携帯電話端末の構成を示す。
第1の実施形態においてはカムを用いてヒンジ軸にトルクを発生させたが、本実施形態においては、図11(a)に示すように、板バネを用いてヒンジ軸にトルクを発生させる。
【0033】
本実施形態に係る折り畳み式携帯電話端末のヒンジユニットは、キャップ19、ケース20、カムシャフト34、フック23、板バネ35、プッシュ−プッシュスイッチ26を有する。
【0034】
図11(b)に示すように、カムシャフト34には溝36が設けられており、板バネ35には突起37が設けられている。突起37は、板バネ35のバネ性によってカムシャフト34に押し当てられており、第1の実施形態での溝とカムとを組み合わせと同様の働きをするため、同じようにトルクを発生させることができる。すなわち、溝36の描く弧は突起37が描く弧よりも大きくなっており、溝36に嵌合した突起37は、溝36内を滑りながら移動するため、突起37が溝36の斜面の中腹にある時には(突起37が溝36の傾斜部分に圧接している時には)、第1の実施形態と同様にトルクが発生する。よって、全閉や全開状態において突起37が溝36の中腹に位置するように構成することにより、全閉状態や全開状態においてさらに閉じようとしたり開こうとするトルクを発生させられる。
【0035】
クリック音及びクリック感の発生を切り替える機構は、第1の実施形態と同様にプッシュ−プッシュスイッチ26を用いた構造であるため、説明は省略する。
【0036】
本実施形態に係る折り畳み式携帯電話端末によっても、上記第1の実施形態に係る折り畳み式携帯電話端末と同様に、ユーザの嗜好や使用環境に応じて、クリック音及びクリック感のON/OFFを選択できる。
【0037】
〔第3の実施形態〕
本発明を好適に実施した第3の実施形態について説明する。
上記第1、第2の実施形態では、クリック音及びクリック感を発生させるために、カムの溝と筐体のリブとを当てたが、当てる部品や形状は任意である。
図12に、本実施形態に係る折り畳み式携帯電話端末のヒンジユニットの断面を示す。本実施形態においては、凹カム22にリブ38を設け、ヒンジ筒11に溝39を設けている。
【0038】
本実施形態に係る折り畳み式携帯電話端末のヒンジユニットは、ヒンジ筒及びカムの凹凸が第1の実施形態とは逆となっている。しかし、ヒンジの回転のメカニズムやクリック音及びクリック感を発生させるか否かを切り替えるメカニズムは同様であり、カムとヒンジ筒とが急激に衝突しうる状態としない状態とを切り替えることで、クリック音及びクリック感の有無を切り替えることが可能である。
【0039】
本実施形態に係る折り畳み式携帯電話端末によっても、上記第1の実施形態に係る折り畳み式携帯電話端末と同様に、ユーザの嗜好や使用環境に応じて、クリック音及びクリック感のON/OFFを選択できる。
【0040】
〔第4の実施形態〕
本発明を好適に実施した第4の実施形態について説明する。
図13に、本実施形態に係る折り畳み式携帯電話端末のヒンジユニットの断面を示す。上記第1〜第3の実施形態とは異なり、本実施形態においては、カム及びヒンジ筒には凹凸が設けられていない。
【0041】
本実施形態において、凹カムの断面は非円形であり、ヒンジ筒の内径断面も非円形である。
【0042】
ヒンジ筒11の内径の形状は、軸方向の途中で変化しており、ヒンジ筒10寄りの部分では凹カムとのクリアランスがあり、ヒンジ筒10から離れた側では凹カムとのクリアランスが無い。
ヒンジユニットを押すことにより、プッシュ−プッシュスイッチが伸縮し、ヒンジ筒と凹カムとの間にクリアランスがある状態と無い状態とが切り替わる。これにより、クリック音及びクリック感の有無を切り替えられる。
【0043】
本実施形態に係る折り畳み式携帯電話端末によっても、上記第1の実施形態に係る折り畳み式携帯電話端末と同様に、ユーザの嗜好や使用環境に応じて、クリック音及びクリック感のON/OFFを選択できる。
【0044】
〔第5の実施形態〕
本発明を好適に実施した第5の実施形態について説明する。
図14に、本実施形態に係る折り畳み式携帯電話端末のヒンジユニットの構成を示す。
本実施形態においては、凹カム22と第2のヒンジ筒11とは回転固定されている。一方、ケース20の溝27と第1のヒンジ筒10のリブ30との間にクリアランスが設けられており、溝27とリブ30とを当てる(換言すると、ケース20とヒンジ筒10とを衝突させる)ことによってクリック音及びクリック感を発生させる。
【0045】
クリック音及びクリック感の発生を切り替える機構は、上記各実施形態と同様にプッシュ−プッシュスイッチを用いた構造であるため、説明は省略する。
【0046】
本実施形態に係る折り畳み式携帯電話端末によっても、上記第1の実施形態に係る折り畳み式携帯電話端末と同様に、ユーザの嗜好や使用環境に応じて、クリック音及びクリック感のON/OFFを選択できる。
【0047】
〔第6の実施形態〕
本発明を好適に実施した第6の実施形態について説明する。
図15に、本実施形態に係る折り畳み式携帯電話端末のヒンジユニットの構成を示す。
本実施形態においては、第2のヒンジ筒11のリブ31の幅広の部分が片側に寄った構造である。すなわち、リブ31の側面は、一方は平坦であるが他方はクランク状に折れ曲がっている。
【0048】
ヒンジユニットは全閉状態でもさらに閉じようとするトルクを発生し続けているため、凹カム22は全閉状態においてリブ31に衝突した状態となっている。このため、本実施形態のようにリブ31の幅広部分を片側に寄せることにより、全閉状態においてクリアランスが片側に寄った状態となり、ヒンジユニット16がリブの段差の部分に引っかからず障害なく押し込めるようになる。すなわち、本実施形態に係る折り畳み式携帯電話端末のヒンジユニットは、プッシュ操作をスムーズに行えるため、クリック音及びクリック感を発生させるか否かを切り替えやすい。
【0049】
本実施形態に係る折り畳み式携帯電話端末によっても、上記第1の実施形態に係る折り畳み式携帯電話端末と同様に、ユーザの嗜好や使用環境に応じて、クリック音及びクリック感のON/OFFを選択できる。
【0050】
なお、上記各実施形態は本発明の好適な実施の一例であり、本発明はこれに限定されることはない。
例えば、上記各実施形態においては、折り畳み式の携帯電話端末を例としたが、本発明はこれに限定されず、折り畳み式情報端末、ヒンジ部を有するアーム類、回転式のスイッチ類等に適用可能である。
このように、本発明は様々な変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明を好適に実施した第1の実施形態に係る折り畳み式携帯電話端末の斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係る折り畳み式携帯電話端末の分解斜視図である。
【図3】第1の実施形態に係る折り畳み式携帯電話端末のヒンジユニットの断面図である。
【図4】ヒンジユニット及びヒンジ筒の分解斜視図である。
【図5】ヒンジユニット及びヒンジ筒の組立前の断面図である。
【図6】ヒンジユニット及びヒンジ筒の組立後の断面図である。
【図7】ヒンジユニットがトルクを発生させるメカニズムを示す図である。
【図8】折り畳み式携帯電話端末を閉じようとする時のヒンジの状態を示す図である。
【図9】クリック音及びクリック感が発生するメカニズムを示す図である。
【図10】クリック音及びクリック感が発生しない状態を示す図である。
【図11】本発明を好適に実施した第2の実施形態に係る折り畳み式携帯電話端末のヒンジユニットの構成を示す図である。
【図12】本発明を好適に実施した第3の実施形態に係る折り畳み式携帯電話端末のヒンジユニットの断面を示す図である。
【図13】本発明を好適に実施した第4の実施形態に係る折り畳み式携帯電話端末のヒンジユニットの断面を示す図である。
【図14】本発明を好適に実施した第5の実施形態に係る折り畳み式携帯電話端末のヒンジユニットの構成を示す図である。
【図15】本発明を好適に実施した第6の実施形態に係る折り畳み式携帯電話端末の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1 操作筐体
2 表示筐体
3 ヒンジ部
4 第1のアッパーケース
5 第2のアッパーケース
6 第1のロアーケース
7 第2のロアーケース
8 第1のプリント配線基板
9 第2のプリント配線基板
10 第1のヒンジ筒
11 第2のヒンジ筒
12、13 半ヒンジ筒
14 ボタン
15 画面
16 ヒンジユニット
17 筒部品
18 フレキシブル配線基板
19 キャップ
20 ケース
21 凸カム
22 凹カム
23 フック
24 バネ
25 シャフト
26 プッシュ−プッシュスイッチ
27、28、29、36、39 溝
30、31、38 リブ
32 凸部
33 凹部
34 カムシャフト
35 板バネ
37 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸にトルクを発生させるトルク発生手段の部品と該トルク発生手段を収容する筐体との間のクリアランスを利用して前記トルク発生手段の部品と前記筐体とを衝突させることでクリック音及びクリック感を発生させるクリック構造であって、
前記トルク発生手段の部品と前記筐体との間に所定のクリアランスが存在する第1の状態と、前記トルク発生手段の部品と前記筐体との間に所定のクリアランスが存在しない第2の状態とを切り替える切替手段を有することを特徴とするクリック構造。
【請求項2】
前記切替手段は、前記トルク発生手段の部品の位置を、前記第1の状態に対応する第1の位置と、前記第2の状態に対応する第2の位置とに前記軸に沿って変化させることを特徴とする請求項1記載のクリック構造。
【請求項3】
前記トルク発生手段の部品及び前記筐体の一方に溝が、他方にリブが設けられており、前記第1の位置と前記第2の位置とでは、前記筐体に設けられている前記溝又は前記リブの幅が異なることを特徴とする請求項2記載のクリック構造。
【請求項4】
前記第2の位置においては、前記トルク発生手段の部品又は前記筐体に設けられている前記リブの片側にのみ、前記クリアランスが存在することを特徴とする請求項3記載のクリック構造。
【請求項5】
前記トルク発生手段は前記軸に垂直な断面の形状が異なる第1の形状部と第2の形状部とを有しており、
前記第1の位置では、前記第1の形状部と前記筐体との間にクリアランスが生じ、前記第2の位置では前記第2の形状部と前記筐体との間にクリアランスが生じないことを特徴とする請求項2記載のクリック構造。
【請求項6】
前記切替手段は、プッシュ−プッシュスイッチであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載のクリック構造。
【請求項7】
前記トルク発生手段は、凸部を備えた凸カムと凹部を備えた凹カムとが、前記凸部及び前記凹部が設けられた面を向かい合わせて押し付け合わされており、前記凹部の傾斜部分に前記凸部が圧接することにより、前記軸にトルクを発生させることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載のクリック構造。
【請求項8】
前記トルク発生手段は、板バネに設けられた凸部がシャフトに設けられた凹部の傾斜部分に圧接することにより、前記軸にトルクを発生させることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載のクリック構造。
【請求項9】
折り畳み式機器の二つの筐体を連結するためのヒンジ構造であって、請求項1から8のいずれか1項記載のクリック構造を備えたことを特徴とするヒンジ構造。
【請求項10】
請求項9記載のヒンジ構造を備えた折り畳み式携帯端末。
【請求項11】
二つの筐体がヒンジを介して開閉自在に連結された折り畳み式携帯端末であって、
前記ヒンジの軸にトルクを発生させるトルク発生手段の部品と該トルク発生手段を収容するヒンジ筐体との間のクリアランスを利用して前記トルク発生手段の部品と前記ヒンジ筐体とを衝突させることでクリック音及びクリック感を発生させるクリック構造と、
前記トルク発生手段の部品と前記ヒンジ筐体との間に所定のクリアランスが存在する第1の状態と、前記トルク発生手段の部品と前記ヒンジ筐体との間に所定のクリアランスが存在しない第2の状態とを切り替える切り替え手段とを有することを特徴とする折り畳み式携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−43001(P2009−43001A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−206922(P2007−206922)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】