説明

クリーニングユニット、及び画像形成装置

【課題】 温度変化時のクリーニング容器とクリーニング部材の支持部材間の熱膨張量の差に起因した変形を抑制することが求められる。
【解決手段】 クリーニング容器の座面とクリーニング部材の支持部材との間に、潤滑剤を有する状態で、クリーニング部材がネジ締結によってクリーニング容器に支持されるように構成した。これにより、温度変化時に生じるクリーニング容器と支持部材の熱膨張量の差を、座面と支持部材の滑りによって吸収することできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニングユニット、及びこれを用いた画像形成装置に関するものである。
【0002】
クリーニングユニットとは、クリーニング部材とクリーニング容器を有し、像担持体に付着した現像剤をクリーニング部材によって除去し、クリーニング容器に回収するものである。
【0003】
画像形成装置とは、例えば電子写真画像形成方式を用いて記録媒体に画像を形成するものである。
【0004】
画像形成装置の例としては、電子写真複写機、電子写真プリンタ(LEDプリンタ、レーザビームプリンタ等)、ファクシミリ装置及びワードプロセッサ等があげられる。
【背景技術】
【0005】
画像形成装置に用いられるクリーニングユニットでは、金属からなる支持部材と弾性部材からなる弾性部材が一体になったクリーニング部材と、樹脂製のクリーニング容器を用いるのが一般的である。このクリーニング部材は、支持部材がクリーニング容器に長手複数箇所で支持され、弾性部材が変形して像担持体に当接することで、像担持体に付着した現像剤を除去する。
【0006】
このような金属が樹脂製の容器に長手複数箇所で支持される構成では、金属と樹脂の熱膨張係数が異なるため、温度変化時の支持部間の熱膨張量の差を吸収するような構成が望ましい。
【0007】
ここで、金属が樹脂製の容器に対して、長手一端が移動不可能に支持され、他端が遊嵌支持される構成がある(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
また、金属が樹脂製の容器に締結部材の締結によって支持される構成において、少なくとも金属の1箇所は、金属を押圧する弾性部材を介して締結されるものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平08−006385号公報
【特許文献2】特開平11−282251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
像担持体軸線と垂直方向において、像担持体とクリーニング部材の相対位置は、画像形成装置使用時に想定される温度範囲を通じて、高精度かつ強固に保持されていることが求められる。
【0011】
相対位置がずれて組み立てられていたり、温度変化に起因する変形等によって、相対位置が変化してしまうと、クリーニング不良が発生してしまう恐れがある。
【0012】
そのため、像担持体軸線と垂直方向において、クリーニング容器とクリーニング部材の相対位置も同様に、画像形成装置使用時に想定される温度範囲を通じて、高精度かつ強固に保持されていることが要求される。
【0013】
しかし、クリーニング部材の支持部材がクリーニング容器に長手複数箇所のネジの締結によって支持される構成では、クリーニング部材の支持部材とクリーニング容器間に滑りが生じにくい。そのため温度変化時に、支持部間の熱膨張量の差によって変形が生じ、クリーニング容器とクリーニング部材の像担持体軸線と垂直方向の相対位置が変化する恐れがある、という課題があった。
【0014】
またクリーニング部材の支持部材がクリーニング容器に対して、長手一端が移動不可能に支持され、他端が遊嵌支持される構成では、他端側の像担持体軸線と垂直方向において、クリーニング容器とクリーニング部材の相対位置が、遊嵌支持部の微小ガタ分変化する恐れがある、という課題があった。
【0015】
またクリーニング部材の支持部材がクリーニング容器に弾性部材等の押圧によって支持される構成では、ネジによる支持構成に比べ支持強度が低い場合があるという課題があった。
【0016】
本出願に係る発明の目的は、像担持体軸線と垂直方向において、クリーニング容器とクリーニング部材の相対位置を、画像形成装置使用時に想定される温度範囲を通じて、高精度かつ強固に保持することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、本出願に係る第1の発明は、画像形成装置に用いられるクリーニングユニットにおいて、現像剤像を担持するための像担持体に付着した現像剤を除去するためクリーニング部材であって、前記像担持体の長手方向に沿って接触するように設けられた弾性部材と、前記弾性部材を支持する支持部材と、を有するクリーニング部材と、前記支持部材とは異なる熱膨張係数であり、前記クリーニング部材により除去された現像剤を回収するクリーニング容器と、を備え、前記クリーニング容器は、前記クリーニング容器の長手方向の両端部に前記支持部材を取り付けるための座面と、前記座面に交差する方向に設けられたネジ取付穴を有すること、前記ネジ取付穴にネジを取り付けることで前記支持部材は前記クリーニング容器に取り付けられること、前記支持部材と前記クリーニング容器が熱膨張した際に、前記長手方向に前記支持部材と前記クリーニング容器とが相対的に移動可能なように前記支持部材と前記クリーニング容器とが取り付けられること、
前記座面と前記支持部材との間に潤滑剤を有すること、を特徴とするクリーニングユニットである。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明によれば、温度変化時に生じるクリーニング容器とクリーニング部材の支持部材との熱膨張量の差を、クリーニング容器の座面とクリーニング部材の支持部材との滑りによって吸収することできる。
【0019】
よって、クリーニング容器とクリーニング部材の像担持体軸線と垂直方向の相対位置を、画像形成装置使用時に想定される温度範囲を通じて、高精度かつ強固に保持することが可能となる。
つまり、簡単な構成でクリーニング不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を適用可能な第3の実施例に係るクリーニング容器のクリーニング部材支持構成説明図である。
【図2】本発明を適用可能な第1の実施例に係る画像形成装置の画像形成装置本体及びプロセスカートリッジの断面図である。
【図3】本発明を適用可能な第1の実施例に係るプロセスカートリッジの断面図である。
【図4】本発明を適用可能な第1の実施例に係る開閉扉を開いた画像形成装置本体、プロセスカートリッジの斜視図である。
【図5】本発明を適用可能な第1の実施例に係るプロセスカートリッジの構成を説明する斜視図である。
【図6】本発明を適用可能な第1の実施例に係るクリーニングユニットの構成を説明する斜視図である。
【図7】本発明を適用可能な第1の実施例に係る現像装置ユニットの構成を説明する斜視図である。
【図8】本発明を適用可能な第1の実施例に係るクリーニング容器のクリーニング部材支持構成説明図である。
【図9】本発明を適用可能な第1の実施例に係る温度変化時のクリーニング容器とクリーニング部材の状態説明図である。
【図10】本発明を適用可能な第2の実施例に係るクリーニング容器のクリーニング部材支持構成説明図である。
【図11】本発明を適用可能な第2の実施例に係るクリーニング容器のクリーニング部材支持構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施例1)
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
なお、像担持体の回転軸線方向を長手方向とする。
また、長手方向において、画像形成装置本体から像担持体が駆動力を受ける側を駆動側(図6において駆動力受け部63a側)とし、その反対側を非駆動側とする。
【0022】
図2および図3を用いて全体構成および画像形成プロセスについて説明する。
図2は、本発明の一実施の形態である画像形成装置の画像形成装置本体(以下、装置本体Aと記載する)及びプロセスカートリッジ(以下、カートリッジBと記載する)の断面図である。
【0023】
図3は、カートリッジBの断面図である。
ここで、画像形成装置の装置本体Aとは、カートリッジBを除いた画像形成装置部分である。
【0024】
○画像形成装置全体構成
図2において、画像形成装置は、カートリッジBを装置本体Aに着脱自在とした電子写真技術を利用したレーザビームプリンタである。カートリッジBが装置本体Aに装着されたとき、カートリッジBの上側に露光装置3(レーザスキャナユニット)が配置される。
【0025】
また、カートリッジBの下側に画像形成対象となる記録媒体(以下、シート材Pと記載する)を収容したシートトレイ4が配置されている。
【0026】
更に、装置本体Aには、シート材Pの搬送方向Dに沿って、ピックアップローラ5a、給送ローラ対5b、搬送ローラ対5c、転写ガイド6、転写ローラ7、搬送ガイド8、定着装置9、排出ローラ対10、排出トレイ11等が順次配置されている。なお、定着装置9は、加熱ローラ9a及び加圧ローラ9bにより構成されている。
【0027】
○画像形成プロセス
次に、画像形成プロセスの概略を説明する。プリントスタート信号に基づいて、像担持体(以下、ドラム62と記載する)は矢印R方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。像担持体であるドラム62は、トナー像(現像剤像)を担持するためのものである。
【0028】
バイアス電圧が印加された帯電ローラ66は、ドラム62の外周面に接触し、ドラム62の外周面を一様均一に帯電する。
【0029】
露光装置3は、画像情報に応じたレーザ光Lを出力する。そのレーザ光LはカートリッジBの上面の露光窓部74を通り、ドラム62の外周面を走査露光する。
【0030】
これにより、ドラム62の外周面には画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0031】
一方、図3に示すように、現像装置としての現像装置ユニット20において、トナー室29内のトナーTは、搬送部材43の回転によって撹拌、搬送され、トナー供給室28に送り出される。
【0032】
トナーTは、マグネットローラ34(固定磁石)の磁力により、現像ローラ32の表面に担持される。
トナーTは、現像ブレード42によって、摩擦帯電されつつ現像ローラ32周面の層厚が規制される。
そのトナーTは、静電潜像に応じてドラム62へ転移され、トナー像として可視像化される。
【0033】
また、図2に示すように、レーザ光Lの出力タイミングとあわせて、ピックアップローラ5a、給送ローラ対5b、搬送ローラ対5cによって、装置本体Aの下部に収納されたシート材Pがシートトレイ4から給送される。
【0034】
そして、そのシート材Pが転写ガイド6を経由して、ドラム62と転写ローラ7との間の転写位置へ供給される。この転写位置において、トナー像はドラム62からシート材Pに順次転写されていく。
【0035】
トナー像が転写されたシート材Pは、ドラム62から分離されて搬送ガイド8に沿って定着装置9に搬送される。そしてシート材Pは、定着装置9を構成する加熱ローラ9aと加圧ローラ9bとのニップ部を通過する。
【0036】
このニップ部で加圧・加熱定着処理が行われてトナー像はシート材Pに定着される。トナー像の定着処理を受けたシート材Pは、排出ローラ対10まで搬送され、排出トレイ11に排出される。
【0037】
一方、図3に示すように、転写後のドラム62は、クリーニング部材(以下、クリーニングブレード77と記載する)により外周面上の残留トナーが除去されて、再び、画像形成プロセスに使用される。ドラム62から除去されたトナーはクリーニング容器71の廃トナー室71bに回収される。
【0038】
上記において、帯電ローラ66、現像ローラ32、クリーニングブレード77がドラム62に作用するプロセス手段である。
【0039】
○カートリッジ着脱
次に、装置本体Aに対するカートリッジBの着脱について、図4を用いて説明する。
図4は、カートリッジBを着脱するために開閉扉13を開いた装置本体A、カートリッジBの斜視図である。
【0040】
装置本体Aには開閉扉13が回動可能に取付けられている。この開閉扉13を開くとガイドレール12が備えてあり、カートリッジBはガイドレール12に沿って装置本体1内に装着される。
【0041】
そして、装置本体Aのモータ(不図示)により駆動される駆動軸14が、カートリッジBに設けられた駆動力受け部63a(図6)と係合する。
これにより、駆動力受け部63aと結合しているドラム62が装置本体Aから駆動力を受けて回転する。
【0042】
さらに、帯電ローラ66、現像ローラ32は、装置本体Aの給電部(不図示)より給電される。
【0043】
○カートリッジ全体の構成
次にカートリッジBの全体構成について図3、図5を用いて説明する。
図5は、カートリッジBの構成を説明する斜視図である。
カートリッジBはクリーニングユニット60と現像装置ユニット20を合体して構成される。
【0044】
クリーニングユニット60は、クリーニング容器71、ドラム62、帯電ローラ66及びクリーニングブレード77等からなる。
一方、現像装置ユニット20は、トナー収納容器21、蓋22、現像容器23、第1サイド部材26L、第2サイド部材26R、現像ブレード42、現像ローラ32、マグネットローラ34、搬送部材43、トナーT、付勢部材46等からなる。
【0045】
これらクリーニングユニット60と現像装置ユニット20を、結合部材75によって互いに回動可能に結合することによってカートリッジBを構成する。
【0046】
具体的には、現像装置ユニット20の長手方向(現像ローラ32の軸線方向)両端の現像容器23に形成したアーム部23aL、23aRの先端に、現像ローラ32と平行な回動穴23bL、23bRが設けられている。
【0047】
また、クリーニング容器71の長手両端部には、結合部材75を嵌入するための嵌入穴71aが形成されている。
【0048】
そして、アーム部23aL、23aRをクリーニング容器71の所定の位置に合わせて、結合部材75を回動穴23bL、23bRと嵌入穴71aに挿入することで、クリーニングユニット60と現像装置ユニット20が結合部材75を中心に回動可能に結合される。
【0049】
このとき、アーム部23aL、23aRの根元に取付けられた付勢部材46がクリーニング容器71に当たり、結合部材75を回動中心として現像装置ユニット20をクリーニングユニット60へ付勢している。
【0050】
これにより、現像ローラ32はドラム62の方向へ確実に押し付けられる。
そして、現像ローラ32の両端部に取付けられた間隔保持部材38(図7)によって、現像ローラ32はドラム62から所定の間隔をもって保持される。
【0051】
○クリーニングユニットの構成
次にクリーニングユニット60の構成について図6を用いて説明する。
図6は、クリーニングユニット60の構成を説明する斜視図である。
金属からなる支持部材77bとウレタンゴム等の弾性材料からなる弾性部材77aが一体となったクリーニングブレード77は、樹脂製のクリーニング容器71に対して所定の位置に配置される。
【0052】
弾性部材77aがドラム62と当接し、ドラム62の外周面上から残留トナーを除去する。
除去されたトナーはクリーニングユニット60の廃トナー室71b(図3)に貯蔵される。
【0053】
第1シール部材82、第2シール部材83、第3シール部材84及び、第4シール部材85は、クリーニング容器71の所定の位置に両面テープ等で固定されている。
【0054】
第1シール部材82は、長手方向に渡って設けられ、クリーニングブレード77の支持部材77bの裏側から廃トナーが漏出するのを防ぐ。
第2シール部材83は、クリーニングブレード77の弾性部材77a長手両端から廃トナーが漏出するのを防ぐ。
第3シール部材84は、クリーニングブレード77の弾性部材77a長手両端からの廃トナーが漏出するのを防止しつつ、ドラム62上のトナー等の付着物を拭き取る。
第4シール部材85は、長手方向に渡ってドラム62に接して設けられ、クリーニングブレード77に対してドラム62回転方向上流側から廃トナーが漏出するのを防ぐ。
【0055】
電極板81、付勢部材68、帯電ローラ軸受67L、67Rは、クリーニング容器71に取付けられる。
帯電ローラ66の軸部66aは、帯電ローラ軸受67L、67Rにはめ込まれる。
【0056】
帯電ローラ66は付勢部材68によって、ドラム62に対して付勢されるとともに、帯電ローラ軸受67L、67Rによって回転可能に支持される。そして、ドラム62の回転に伴って従動回転を行う。
【0057】
なお、電極板81、付勢部材68、帯電ローラ軸受67L、軸部66aは導電性を有する。電極板81は、装置本体Aの給電部(不図示)に接触している。これらを給電経路として帯電ローラ66に給電する。
【0058】
ドラム62はフランジ64、フランジ63と一体的に結合され、像担持体ユニット(以下、ドラムユニット61と記載する)となる。この結合方法は、カシメ、接着、溶着等を用いる。
【0059】
フランジ64には、アース接点等(不図示)が結合されている。また、フランジ63には、装置本体Aから駆動力を受ける駆動力受け部63aと現像ローラ32に駆動を伝えるフランジギア部63bを有している。
【0060】
軸受部材76がネジ90によりクリーニング容器71の駆動側に一体的に固定され、ドラム軸78がクリーニング容器71の非駆動側に圧入固定される。
そして、軸受部材76は、フランジ63と嵌合し、ドラム軸78は、フランジ64の穴64aと嵌合する。
これにより、ドラムユニット61はクリーニング容器71に回転可能に支持される。
【0061】
保護部材79は、ドラム62の保護(遮光)及び露出が可能となるように、クリーニング容器71に回動可能に支持される。
付勢部材80は、保護部材79の駆動側の軸部79aRに取付けられ、保護部材79をドラム62を保護する向きに付勢する。
【0062】
保護部材79の非駆動側の軸部79aLと駆動側の軸部79aRは、クリーニング容器71の軸受部71cL、71cRに嵌合される。
【0063】
○現像装置ユニット
次に現像装置ユニット20の構成について、図7を用いて説明する。
図7は現像装置ユニット20の構成を説明する斜視図である。
トナー収納容器21と蓋22及び現像容器23からなる現像枠体は、トナーを収納するトナー室29やトナー供給室28(図3)を形成する。トナー収納容器21と蓋22及び現像容器23は、溶着等の手段により、一体に結合されている。
【0064】
搬送部材43は、非駆動側をトナー収納容器21に支持され、駆動側をトナー収納容器21に取付けられた搬送ギア50によって支持される。これにより、搬送部材43はトナー室29内で搬送ギア50に従い回転を行う。
【0065】
トナーシール部材45はトナー収納容器21に熱溶着されており、トナー室29とトナー供給室28を仕切っている。これにより、カートリッジBの輸送中にトナー室29からトナーTが漏出するのを防止する。
【0066】
使用者がトナーシール部材45を開封することによって、トナーTがトナー供給室28へ供給される。
【0067】
第1シール部材55、第2シール部材56、第3シール部材57、及び第4シール部材58は、現像容器23の所定の位置に両面テープ等で固定されている。
【0068】
第1シール部材55は、現像ブレード42の弾性部材42bの長手両端からトナーTが漏出するのを防ぐ。
第2シール部材56は、現像ローラ32の長手両端からトナーTが漏出するのを防ぐ。
第3シール部材57は、長手方向に渡って設けられ、現像ブレード42の支持部材42aの裏側からトナーTが漏出するのを防ぐ。
第4シール部材58は、長手方向に渡って現像ローラ32に接して設けられ、現像ローラ32下側からトナーTが漏出するのを防ぐ。
【0069】
現像ブレード42は、金属からなる支持部材42aとウレタンゴム等の弾性材料からなる弾性部材42bで構成され、清掃部材47と共に支持部材42aの両端をネジ93で現像容器23に対して所定の位置に固定される。
弾性部材42bは現像ローラ32と当接し、現像ローラ32の周面のトナー量を規定すると共に摩擦帯電電荷を付与する。
【0070】
清掃部材47は、現像ローラ32の端部表面と当接して、トナー等の付着物を清掃する。
【0071】
現像ローラユニット31は、現像ローラ32、マグネットローラ34、フランジ35、間隔保持部材38、軸受部材37及び現像ローラギア39等によって構成される。
【0072】
現像ローラ32の非駆動側端部からマグネットローラ34が挿入され、端部にはフランジ35が圧入固定されている。
フランジ35には導電性の電極線(不図示)が組み込まれており、電極線は現像ローラ32及び電極板27に当接している。
導電性の電極板27は、第1サイド部材26Lに固定される。
【0073】
電極板27は、装置本体Aの給電部(不図示)に接触しており、電極板27、電極線を給電経路として現像ローラ32に給電する。
間隔保持部材38は、現像ローラ32の両端部に取付けられる。その外側に軸受部材37が配置され、駆動側においては、その外側に現像ローラギア39が組み込まれる。
【0074】
両端に配置された、軸受部材37によって現像ローラ32は回転可能に支持される。
駆動伝達部材である第1ギア48と第2ギア49は、現像枠体に回転可能に取付けられている。
これにより、装置本体Aから受けた駆動力は、フランジギア部63b(図6)、現像ローラギア39、第1ギア48、第2ギア49及び、搬送ギア50が順次噛み合い、回転することにより、現像ローラ32、搬送部材43へ伝達される。
【0075】
第1サイド部材26L、第2サイド部材26Rは、長手方向の両端にネジ92を用いて現像枠体に固定される。
【0076】
その際、現像ローラユニット31の軸受部材37は、第1サイド部材26L、第2サイド部材26Rによって保持される。
【0077】
○クリーニング容器のクリーニングブレード支持構成
ドラム62軸線の垂直方向である矢印E方向(図3)、及び矢印F方向(図3)において、ドラム62とクリーニングブレード77の相対位置は、画像形成装置使用時に想定される温度範囲を通じて、高精度かつ強固に保持されていることが求められる。
【0078】
前記相対位置がずれて組み立てられていたり、温度変化に起因する変形等によって、前記相対位置が変化してしまうと、クリーニング不良が発生してしまう恐れがある。
【0079】
そのため、ドラム62軸線の垂直方向である矢印E方向(図3)、及び矢印F方向(図3)において、クリーニング容器71とクリーニングブレード77の相対位置も同様に、画像形成装置使用時に想定される温度範囲を通じて、高精度かつ強固に保持されていることが要求される。
【0080】
図8を用いてクリーニング容器71のクリーニングブレード77支持構成について説明する。
クリーニング容器71には座面71d、軸71eと、凸部71fL、凸部71fRが設けられ、支持部材77bには穴77cと凹部77dL、凹部77dRが設けられている。座面71dとは、支持部材77bと接触する部分を指す。
【0081】
軸71eと穴77cの嵌合によって、クリーニング容器71に対するクリーニングブレード77の長手方向の位置が決まる。
なおこのように、長手一か所の軸71eと穴77cの嵌合でのみ位置決めしている。そのため、樹脂製のクリーニング容器71と金属からなる支持部材77bに、熱膨張係数の違いによる熱膨張量差が生じても、長手位置決め以外の接触箇所に滑りが生じる(詳細は後述する)。つまり、熱膨張が発生しても、クリーニング容器71と支持部材77bとは長手方向に相対的に移動可能なように、クリーニング容器71と支持部材77bとがとりつけられている。
【0082】
また、座面71dと支持部材77bの当接、凸部71fLと凹部77dLの嵌合、凸部71fRと凹部77dRの嵌合によって、クリーニング容器71に対するクリーニングブレード77のドラム62軸線と垂直方向の位置が決まる。
【0083】
さらに、長手両端のネジ91を、クリーニングブレード77の穴77eを通し、クリーニング容器71のネジ取付穴71gに締結することによって、クリーニングブレード77はクリーニング容器71に支持される。ネジ取付穴71gは、座面71dに交差する方向に設けられている。
【0084】
その際、座面71dにグリス等の潤滑剤Gを塗布しておく。また座面71dの位置において、長手方向に延伸し、座面71dよりも凹んだ複数の溝71hを設け、座面71dと支持部材77bの接触面積を小さくした。これらにより、座面71dと支持部材77b間の静止摩擦係数を小さくした。
【0085】
尚、本実施例では、クリーニングブレード77をクリーニング容器71に締結にする際に、座面71dに潤滑剤Gを塗布しておく場合について説明したが、支持部材77bに潤滑剤Gを塗布しておいても良い。
【0086】
次いで、本支持構成による作用と効果について、従来の一般的な構成である潤滑剤を塗布しない、溝71hを有さない構成と比較しながら説明する。
【0087】
まず組立時点での、ドラム62軸線と垂直方向(図3矢印E方向、及び矢印F方向)における、クリーニング容器71とクリーニングブレード77の相対位置精度について説明する。
【0088】
クリーニング容器71とクリーニングブレード77の位置決め構成は従来構成と同様である。よって、組立時点では従来構成と同等の相対位置精度を有する。
【0089】
次に温度変化時の、ドラム62軸線と垂直方向(図3矢印E方向、及び矢印F方向)における、クリーニング容器71とクリーニングブレード77の相対位置精度について、温度上昇時を例に、図9で説明する。
【0090】
樹脂製のクリーニング容器71と、金属からなる支持部材77bは熱膨張係数が異なるため、温度が上昇すると支持部材77bは、両端のネジ91締結部間の熱膨張量の差によって力Fを受ける(図9(a))。
【0091】
ネジ91が支持部材77bを押す力をFb、クリーニング容器71から受ける反力をFc、ネジ91と支持部材77b間の静止摩擦係数をμ1、座面71dと支持部材77b間の静止摩擦係数をμ2と定義する。そして、静止摩擦力をf1=μ1×Fb、静止摩擦力f2=μ2×Fcと定義する。
【0092】
従来構成ではF<f1+f2であり、座面71dと支持部材77b間に滑りが生じず、熱膨張量の差によって図9(b)のようにクリーニング容器71と支持部材77bはそれぞれ変形する。
【0093】
しかし本構成では、潤滑剤Gの塗布や、溝71hを設けたことによってμ2が低下し、F>f1+f2となることや、長手一か所でのみ位置決めしていることによって、図9(c)のように座面71dと支持部材77b間に熱膨張量差L1分の滑りが生じる。よって温度変化が生じても、ドラム62軸線と垂直方向(図3矢印E方向、及び矢印F方向)において、クリーニング容器71とクリーニングブレード77の相対位置を、高精度に保持できる。
【0094】
また、潤滑剤Gの塗布や溝71hといった簡単な構成でμ2を低下することができるので、高いコストをかけて座面71dや支持部材77bに表面処理等を施す必要がない。
なお、潤滑剤Gを塗布した箇所はドラム62に対向する部分に露出していないので、潤滑剤Gがドラム62に付着するおそれがすくない。
【0095】
さらに図9(a)を用いて、ネジ91の締結によるクリーニング容器71のクリーニングブレード77支持強度について説明する。
前記支持強度は、力Fb、静止摩擦係数μ1、ネジ91のネジ部(不図示)とクリーニング容器71間の静止摩擦係数によって定まるが、これらは本支持構成と従来構成で同じである。よって、支持強度は従来構成と同等である。
【0096】
つまり、少なくともクリーニングブレード77の1箇所を、クリーニングブレード77を押圧する弾性部材を介してクリーニング容器に締結される構成のように、支持強度が低下するおそれがない。以上まとめると、画像形成装置に用いられるクリーニングユニット60において、座面71dと支持部材77bの間に潤滑剤Gを有する状態で、クリーニングブレード77がクリーニング容器71にネジ91の締結によって支持されるよう構成した。
【0097】
また座面71dに、長手方向に延伸した複数の溝71hを設けた。
これにより、温度変化時に生じるクリーニング容器71と支持部材77bの熱膨張量の差を、座面71dと支持部材77bの滑りによって吸収することできる。
【0098】
つまり簡単な構成で、ドラム62軸線と垂直方向(図3矢印E方向、及び矢印F方向)における、クリーニング容器71とクリーニングブレード77の相対位置を、画像形成装置使用時に想定される温度範囲を通じて、高精度かつ強固に保持することが可能となる。
これにより、クリーニング不良を防止することができる。
【0099】
なお、本実施例に記載されている構成部品の機能、材質、形状その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0100】
(実施例2)
図10、図11を用いて本発明の第2の実施例について説明する。
なお、本実施例においては、前述した実施例と異なる部分について詳細に説明する。特に改めて記載しない限りは、材質、形状などは前述の実施例と同様である。そのような部分については、同一の番号を付与し、詳細な説明は省略する。
【0101】
実施例1は、座面71dと支持部材77bの間に潤滑剤Gを有する状態で、クリーニングブレード77がクリーニング容器71にネジ91の締結によって支持されるよう構成した。
また座面71dに、長手方向に延伸した複数の溝71hを設けた。
これらに加え、本実施例は図10のように、ネジ取付穴71gと座面71dの間に、ネジ取付穴71gが設けられた面及び座面71dよりも凹んだ凹部71iをクリーニング容器71に設けた。
【0102】
これにより実施例1と同様に、温度変化時に生じるクリーニング容器71と支持部材77bの熱膨張量の差を、座面71dと支持部材77bの滑りによって吸収することできる。
【0103】
更に本実施例では、組立時に潤滑剤Gが座面71dと支持部材77bに挟まれて周囲に広がっても、凹部71iでせき止められ、ネジ取付穴71gに侵入しない。よって、ネジ91の締結による支持強度が低下することを防止できる。
【0104】
なお本実施例は凹部71iをクリーニング容器71に設けたが、図11のように、ネジ取付穴71gを座面71dよりも支持部材77bの方向に突出した面71kに設けても良い。この場合も、組立時に潤滑剤Gが座面71dと支持部材77bに挟まれて周囲に広がっても、面71mでせき止められ、ネジ取付穴71gに侵入しない。よって同様に、ネジ91の締結による支持強度が低下することを防止できる。
【0105】
なお、本実施例に記載されている構成部品の機能、材質、形状その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0106】
(実施例3)
図1を用いて本発明の第3の実施例について説明する。
なお、本実施例においては、前述した実施例と異なる部分について詳細に説明する。特に改めて記載しない限りは、材質、形状などは前述の実施例と同様である。そのような部分については、同一の番号を付与し、詳細な説明は省略する。
【0107】
実施例1は、座面71dと支持部材77bの間にグリス等の潤滑剤Gを有する状態で、クリーニングブレード77がクリーニング容器71にネジ91の締結によって支持されるよう構成した。
【0108】
また座面71dに、長手方向に延伸した複数の溝71hを設けた。
実施例2は、本実施例はネジ取付穴71gと座面71dの間に、座面71dよりも凹んだ凹部71iをクリーニング容器71に設けた。
これらに加え、本実施例は図1のように、支持部材77bの長手端部が、座面71dに接しないように、座面71dに凹部71nを設けた。
これにより実施例1と同様に、温度変化時に生じるクリーニング容器71と支持部材77bの熱膨張量の差を、座面71dと支持部材77bの滑りによって吸収することできる。
【0109】
また実施例2と同様に、組立時に潤滑剤Gが座面71dと支持部材77bに挟まれて周囲に広がっても、凹部71iでせき止められ、ネジ取付穴71gに侵入しないので、ネジ91の締結による支持強度が低下することを防止できる。
【0110】
更に本実施例では、温度変化時に座面71dと支持部材77bが滑る際、支持部材77bの長手端部のエッジ77fが座面71dに引っかかり滑りに対する抵抗となることを防止できる。
【0111】
なお、本実施例に記載されている構成部品の機能、材質、形状その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0112】
上記実施例1乃至3では、潤滑剤Gとしてグリスを用いたが、それ以外にもオイルのような液状潤滑油等も適用可能である。
【0113】
また、実施例1乃至3は、座面等に表面処理を行わない構成で、弾性部材を介さずにクリーニングブレードをクリーニング容器に締結する構成で説明したが他の構成でも良い。例えば、座面等に表面処理を行う構成や弾性部材を介してクリーニングブレードをクリーニング容器に締結する構成と、本願発明のような潤滑剤を用いる構成と兼用させてもよい。なお、潤滑剤を用いて、表面処理や弾性部材が必要とならないような構成とすれば、当該表面処理や弾性部材をなくすことによりコストを安くすることができる。
また、このような潤滑剤を用いることにより、支持強度の設計自由度を損なうことがない。
【符号の説明】
【0114】
G 潤滑剤
60 クリーニングユニット
71 クリーニング容器
71d 座面
71g ネジ取付穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に用いられるクリーニングユニットにおいて、
現像剤像を担持するための像担持体に付着した現像剤を除去するためクリーニング部材であって、前記像担持体の長手方向に沿って接触するように設けられた弾性部材と、前記弾性部材を支持する支持部材と、を有するクリーニング部材と、
前記支持部材とは異なる熱膨張係数であり、前記クリーニング部材により除去された現像剤を回収するクリーニング容器と、
を備え、
前記クリーニング容器は、前記クリーニング容器の長手方向の両端部に前記支持部材を取り付けるための座面と、前記座面に交差する方向に設けられたネジ取付穴を有すること、
前記ネジ取付穴にネジを取り付けることで前記支持部材は前記クリーニング容器に取り付けられること、
前記座面と前記支持部材との間に潤滑剤を有すること、
を特徴とするクリーニングユニット。
【請求項2】
前記ネジ取付穴と前記座面の間に、前記ネジ取付穴が設けられた面及び前記座面よりも凹んだ凹部を前記クリーニング容器に設けたことを特徴とする請求項1に記載のクリーニングユニット。
【請求項3】
前記ネジ取付穴は、前記座面よりも前記支持部材の方向に突出した面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のクリーニングユニット。
【請求項4】
前記支持部材の長手の端部は、前記座面に接していないことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のクリーニングユニット。
【請求項5】
前記支持部材の熱膨張係数は、前記クリーニング容器の熱膨張係数よりも小さいことを特徴とする1乃至4のいずれかに記載のクリーニングユニット。
【請求項6】
前記支持部材は金属であり、前記クリーニング容器は樹脂であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のクリーニングユニット。
【請求項7】
前記クリーニング容器を設けた枠体に、前記像担持体が支持されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のクリーニングユニット。
【請求項8】
現像剤像を担持するための像担持体と、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のクリーニングユニットとを備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−123197(P2012−123197A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273910(P2010−273910)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】