説明

クロック分配システム、分配方法、それらを利用した集積回路

【課題】消費電力と劣化を低減する。
【解決手段】集積回路にクロック信号を分配する装置100、方法が提供される。低速モード動作において、周期ごと、少なくとも、異なる第1、第2オン時間を有する第1、第2オンパルスを含み、第1、第2オン時間の合計が、各周期のオフ時間の合計と略等しい第1クロック信号200が生成される。分配クロック信号204それぞれを生成する複数の最終段のバッファ回路17が終点である分配ツリー16を介して第1クロック信号200が分配される。分配クロック信号204それぞれから、集積回路の少なくとも一部に供給すべき対応する第2クロック信号202が生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロック信号の調整を利用した集積回路、特にLSIの消費電力の管理に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIとして構成されるデジタル回路が、ある論理機能を同期して実行するために、システムクロック信号が使用される。たとえば、ウルトラディープサブミクロン(UDSM)マイクロプロセッサは、論理機能の同期実行のために、システムクロック信号を用いたデジタル回路を採用する。これらのマイクロプロセッサは、1GHz、あるいはそれ以上のシステムクロック周波数で動作する。あるLSI回路のシステムクロック信号は、多くの場合、複数のパスに分岐され、デジタル回路の異なる箇所に提供される。理想的な状態において、デジタル回路の異なる箇所におけるシステムクロック信号は、完全に同一のタイミング特性を示し、その結果、デジタル回路の異なる箇所は、完全に同期して動作する。
【0003】
図1は、従来のクロック分配回路10を示す。クロック分配回路10は、クロック源12、複数のバッファ14(たとえばインバータ)、ライン18A上のクロック信号をLSIチップ上のすべての領域に転送するためのクロック分配ツリー16を備える。
【0004】
図2(a)を参照する。従来のLSIチップの消費電力を低減するための従来のアプローチは、低速モードオペレーションを利用する。低速モードオペレーションでは、LSIチップの異なる領域に対して供給されるクロック信号(出力における)を、高速モードオペレーション(短オン時間)におけるオンパルスのパルス幅を維持しながら、その周波数を著しく低減する。言い換えれば、周波数を低減するために、クロック信号のオンパルスを維持しながら、オフパルスが引き延ばされる。短いオン時間を維持する理由は、多くの論理回路(特に動的回路)は、長いオン時間を有するクロック信号が使用されると、適切に動作しないからである。
【0005】
出力において低速モードクロック信号を生成する第1の方法では、クロック分配ツリー16の端部においてオフパルスを引き延ばすためにクロック信号18Eをゲーティングする。これはクロックゲート信号2Aおよび複数のゲート回路(不図示)を用いることで実現される。制御信号2Aはライン18E上のクロック信号の連続する期間中のいくつかのオンパルスをゲーティング(すなわち除去し、あるいはマスクする)するために用いられる。この方法の欠点は、バッファ14およびクロック分配ツリー16が高周波クロックをクロック源12からクロック分配ツリー16の端部に伝搬させる必要があることである。これは不都合にも、クロック分配回路10の消費電力が、低速モードと高速モードにおいて同じになってしまうという結果をもたらす。
【0006】
出力において低速モードクロック信号を生成する第2の方法では、クロック源12においてクロック信号18Aのオフパルスを引き延ばす。これはクロックゲート信号2B(これはクロックゲート信号2Aと同様である)を利用して実現され、クロック源12において単一のゲート回路(不図示)が用いられる。制御信号2Bはライン18A上のクロック信号の連続する期間中のいくつかのオンパルスをゲーティング(すなわち除去し、あるいはマスクする)するために用いられ、その結果、クロック分配回路10の出力における波形は、図2(b)に示すものと実質的に同じとなる。この第2の方法は、分配回路の消費電力を低減するものであるが、分配回路においてバイアス温度不安定性とも称されるPBTI(Positive Bias Temperature Instability)およびNBTI(Negative Bias Temperature Instability)劣化を引き起こす(PBTIおよびNBTIは長期的な劣化の問題である)。これらの回路劣化は、LSIのゲートのある部分が、他のゲートに比べて、負または正のバイアス状態を著しく長い時間受けることにより引き起こされる。具体的にいえば、ライン18A、18B、18C等上のクロック信号は、その各周期において、周期の1/10のオン時間と、9/10のオフ時間を有する。ライン18A、18B、18C等の間の、中間のクロック信号は、その周期の9/10のオン時間と、1/10のオフ時間を有する。したがって不都合にも、PBTIおよび/またはNBTIを考慮するために、設計マージンが必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この観点から、低速モード動作を利用して消費電力を低減する従来の方式は、不十分であるといえる。したがって、この問題を解決する新たな、そしてよりよい解決手段、つまり低速モードと高速モードにおいて、同程度のクロック分配回路の消費電力を必要とせず、PBTIおよび/またはNBTIを引き起こさない手段が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様によれば、クロック分配ツリーを介して分配されるクロック信号は、比較的低い周波数(低速モードの間)を有しつつ、各周期において50%のオン時間、50%のオフ時間を有する。これらのクロック信号の双対な特性はオフパルスを引き延ばすとともに、比較的広い”ダミーオンパルス”を挿入して各周期のオン時間を長くすることにより実現される。ダミーオンパルスは分配ツリーの端部で取り除かれ、低い周波数(短いオン時間)のクロック信号がLSIの各領域で受信される。その結果、クロック分配回路の消費電力が低減され、PBTI劣化およびNBTI劣化を低減できる。
【0009】
本発明のある態様によれば、クロック信号を集積回路に分配する方法および装置が提供される。この方法、装置は以下を特徴とする。
低速モード動作において、周期ごとに少なくとも、異なる第1、第2オン時間を有する第1、第2オンパルスを含み、第1、第2オン時間の合計が、各周期のオフ時間の合計と略等しい第1クロック信号を生成する。
分配クロック信号それぞれを生成する複数の最終段のバッファ回路が終点となるように、分配ツリーを介して第1クロック信号を分配する。
分配クロック信号それぞれから集積回路の少なくとも一部に供給すべき対応する第2クロック信号を生成する。
【0010】
ある態様の方法、装置は、さらに以下を特徴としてもよい。
分配クロック信号それぞれから、第2オンパルスを周期ごとに除去し、第2クロック信号を生成する。第2クロック信号はそれぞれ、各周期において第1オンパルスの一部を含み、第2オンパルスを含まない。
【0011】
ノーマルモード動作中、第1クロック信号は、それぞれのオン時間とオフ時間が実質的に等しい、ひとつのオンパルスとひとつのオフパルスを含んでもよい。
【0012】
本発明のある態様において、集積回路のクロック分配システムが提供される。このクロック分配システムは、低速モード動作において、周期ごと、少なくとも、異なる第1、第2オン時間を有する第1、第2オンパルスを含み、第1、第2オン時間の合計が、各周期のオフ時間の合計と略等しい第1クロック信号を生成するクロック回路と、第1クロック信号を分配する複数のバッファ回路であり、分配クロック信号それぞれを生成する複数の最終段のバッファ回路が終点であるクロック分配ツリーを含んでいる複数のバッファ回路と、分配クロック信号を受け、集積回路の少なくともひとつの箇所に対応する第2クロック信号を生成するクロックゲーティング回路と、を備える。第2クロック信号はそれぞれ、各周期において第1オンパルスの一部を含み、第2オンパルスを含まない。
【0013】
クロック回路は、ノーマルモード動作において、それぞれのオン時間とオフ時間が実質的に等しい、ひとつのオンパルスとひとつのオフパルスを含む第1クロック信号を生成してもよい。
【0014】
クロック回路は、低速モード動作に応じてゲート制御信号を生成してもよい。クロックゲーティング回路は、クロック回路が低速モード動作中、ゲート制御信号に応じて、分配クロック信号それぞれから、第2オンパルスを周期ごとに除去してもよい。
クロックゲーティング回路は、分配クロック信号それぞれに対して設けられ、対応する分配クロック信号のエッジのタイミングで、ゲート制御信号から得られる値をラッチし、マスク信号を生成するラッチ回路を含んでもよい。マスク信号は対応する分配クロック信号のひとつとゲーティングされ、分配クロック信号それぞれから第2オンパルスが除去されてもよい。
【0015】
なお、以上の構成要素の任意の組合せや、本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、低消費電力、低劣化が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来の分配ツリーを介してクロック信号が分配される回路の図であり、低速モード動作をインプリメントする他の従来の手法を示す図である。
【図2】図2(a)、(b)は、図1の回路におけるある信号の関係を示すタイミングチャートである。
【図3】図3(a)、(b)はそれぞれ、本発明の実施の形態に係る低速モード動作が可能なクロック信号分配回路の回路図、およびゲート制御信号を複数のクロックゲーティング回路に対して伝搬させる代替的なフリップフロップ回路の回路図である。
【図4】図3(a)の回路におけるある信号の関係を示すタイミングチャートである。
【図5】図3(a)のクロックゲーティング回路の一部のインプリメントに利用可能な論理回路図である。
【図6】図3(a)のクロック回路の一部のインプリメントに利用可能な論理回路図である。
【図7】図3(a)のクロック回路の別の一部のインプリメントに利用可能な論理回路図である。
【図8】図3(a)のクロック回路の一部のインプリメントに利用可能な論理回路図である。
【図9】図5、図6および図7を組み合わせた回路の信号間の関係を示すタイミングチャートである。
【図10】図5、図6および図8を組み合わせた回路の信号間の関係を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0019】
図3(a)は、第1クロック信号200をその発生源において分配および分割し、LSIデジタル回路をはじめとする回路の異なる箇所に、対応する第2クロック信号202を供給するクロック分配システム100の構成を示す図である。クロック分配回路100はノーマルモード動作中、比較的高い周波数でかつおおよそ50%のデューティサイクルを有する第1クロック信号200を生成する。このモードでは、デジタル回路は第2クロック信号202が供給されて、高いスループットで動作するが、このような高い動作周波数によって、顕著な消費電力が発生する。クロック分配回路100は、低速モード動作時において、第2クロック信号202を比較的低い周波数でかつ、低いデューティサイクルで提供する。低速動作モードによって、消費電力が著しく減少する。
【0020】
具体的には、クロック分配回路100は、クロック回路102、分配回路104、クロックゲーティング回路106を含む。クロック回路102は第1クロック信号200を生成し、それを分配回路104に供給する。分配回路104は第1クロック信号200をデジタル回路のさまざまな箇所に伝送、展開(ファンアウト)する。分配回路104は、第1クロック信号200を分配する複数のバッファ回路を含む。複数のバッファ回路は、複数の最終バッファ回路17が終点となる直列に接続された複数のバッファ14と並列に接続された複数のバッファ(すなわち分配ツリー)16を含む。分配回路104の終点において、最終段のバッファ回路17から出力されるクロック信号は分配クロック信号204となる。クロックゲーティング回路106は、複数のゲート回路106A、106B、・・・、106Hを含み、それぞれのゲート回路106iは、対応する分配クロック信号204の特性を操作する。
【0021】
ノーマルモード動作中、分配クロック信号204は、デジタル回路に送出するために所望の特性(たとえば高い周波数、50%のデューティサイクル)を予め有しており、したがってクロックゲーティング回路106は分配クロック信号204の特性を操作することはしない。
【0022】
低速モード動作中、分配クロック信号204は分配および展開のためには望ましいが、デジタル回路への送出という観点からは望ましくない特性を有する。したがって、クロックゲーティング回路106は、デジタル回路への送出に先立ち、分配クロック信号204の特性を操作する。クロックゲーティング回路106のこの機能は、以下に詳細に説明される。
【0023】
クロック回路102は、クロック源回路110、クロック制御回路112を含む。この回路の区分けは一例にすぎず、本発明を逸脱しない範囲において、多くの変形例がありえることが理解される。クロック源回路110は、動作モード(ノーマルモードまたは低速モード)に応じて変化する特性を有する第1クロック信号200を生成する。ノーマルモード、低速モードはモード制御信号210のレベルによって制御される。クロック回路102(より具体的にはそのクロック源回路110)は、ノーマルモード動作中、それぞれのオン時間とオフ時間が実質的に等しい、ひとつのオンパルスとひとつのオフパルスを含む第1クロック信号200を生成する。
【0024】
図4を参照する。クロック源回路110は、低速モード動作中、図示の第1クロック信号200を生成する。具体的には、第1クロック信号200の特性は、周期ごと、長さの異なる第1、第2オン時間ton1、ton2をそれぞれ有する、少なくとも第1オンパルス220、第2オンパルス222を含む。したがって分配回路104の各行のクロック信号は、回路のいずれの箇所であるとを問わずに、各周期において、おおよそ50%のトータルオン時間と50%のトータルオフ時間を有する。
【0025】
以下で詳述するように、クロック回路102のインプリメント形式によって、第1オンパルス220は、第2クロック信号202に対して望ましいオン時間を有している。一方第2オンパルス222は、引き延ばされたオフパルスに挿入された”ダミー”あるいは余計なパルスと捉えることができる。余計なパルス222は、第2クロック信号202(集積回路のデジタル回路の適切な動作に必要な特性を有する)を生成するために、分配クロック信号204から取り除かれるべきものである。クロックゲーティング回路106は分配クロック信号204を受け、対応する第2クロック信号202を生成する。第2クロック信号202はそれぞれ、各周期において第1オンパルス220の一部を含み、第2オンパルス222を含まない。
【0026】
本質的には、クロックゲーティング回路106は「遅延された」ゲートクロック信号224に応じて、分配クロック信号204の各周期の第2オンパルス222を除去する。遅延ゲート制御信号224は、直列に接続された複数のフリップフロップ回路114から得られる。クロック制御回路112はゲートクロック信号226を生成し、ゲートクロック信号226は複数のフリップフロップ回路114に入力される。その代わりに、図3(b)に示すように、遅延ゲート制御信号224は、複数のステージにファンアウトされるツリー状に配置された複数のフリップフロップ回路114Aによって分配される複数の遅延ゲート制御信号224A、224B、224C、等を含んでもよい。初段のフリップフロップはクロック回路102からゲートクロック信号226を受け、最終段のフリップフロップ回路114Aは遅延ゲート制御信号224A、224B、224Cのセットを供給する。遅延ゲート制御信号224A、224B、224Cの個数は、ゲート回路106A、106B等の個数と一致してもよい。遅延ゲート制御信号224A、224B、224C等が複数のクロックゲーティング回路に供給される場合には、遅延ゲート制御信号224A、224B、224Cの個数は、ゲート回路106A、106B等の個数と一致しなくてもよい。さらに、クロックゲーティング回路106は分配クロック信号204を受け、遅延ゲート制御信号224A、224B、224C等に応じて各周期の第2オンパルス222を除去する。
【0027】
図5は、クロックゲーティング回路106のひとつのインプリメントに利用可能な論理回路図である。クロックゲーティング回路106は、分配クロック信号204の対応するひとつのエッジに応じて、遅延ゲート制御信号224の値をラッチし、マスク信号230を生成するフリップフロップのようなラッチ回路120を含む。マスク信号230は分配クロック信号204の対応するひとつとともにゲーティングされ(すなわちANDゲート122によって)、分配クロック信号204から第2オンパルス222が除去される。その結果、第2クロック信号202のひとつが生成される。
【0028】
クロック制御回路112は図6に示される論理回路を用いてインプリメントすることができる。図6に示されるクロック制御回路112の具体的なインプリメンテーションは例示であって、当業者によれば、ここでの説明に照らしてその他のさまざまな変形例が存在することが理解できよう。
【0029】
クロック制御回路112は第1の直列接続されたフリップフロップ回路130と、ラッチ回路132、および第2の直列に接続されたフリップフロップ回路134を含む。ラッチ回路132はモード制御信号210を受け、第1クロック信号200の第1オンパルス220のポジティブエッジと同期したオンパルストレインを含むゲートクロック信号226を生成する。第1の直列接続されたフリップフロップ回路130はモード制御信号210を受け、第1クロック信号200がクロック端子に供給される。モード制御信号210がローレベルのとき、クロック回路102は低速モード動作となる。第1の直列接続されたフリップフロップ回路130のフリップフロップの個数は、図3(a)のフリップフロップ回路114のフリップフロップの個数と一致することが好ましい。第2の直列接続されたフリップフロップ回路134、好ましくは50%のデューティサイクルを有する高周波クロック信号HFclockがクロック端子に供給され、クロック源回路110において第1クロック信号200の特性(ノーマルモードまたは低速モードによって)を設定するために利用されるソース制御信号228を生成する。
【0030】
クロック源回路110Aは図7に示される論理回路を用いてインプリメントすることができる。図7に示されるクロック源回路110Aの具体的なインプリメンテーションは例示であって、当業者によれば、ここでの説明に照らしてその他のさまざまな変形例が存在することが理解できよう。図示されるクロック源回路110Aは、ソース制御信号228を受ける直列接続されたフリップフロップ回路140と、高周波クロック信号HFclockおよびフリップフロップ回路140の対応するフリップフロップそれぞれの出力から得られる入力を受けるゲートの組み合わせと、含む。結果として得られる信号は第1クロック信号200である。
【0031】
クロック制御回路112(図6)、クロック源回路110A(図7)、クロックゲーティング回路106(図5)の組み合わせによって形成されるクロック分配回路100内の各信号の同期(もしくは非同期)関係が図9に示される。
【0032】
第2の実施の形態に係るクロック源回路110Bは図8に示される論理回路を用いてインプリメントすることができる。図8に示されるクロック源回路110Bの具体的なインプリメンテーションは例示であって、当業者によれば、ここでの説明に照らしてその他のさまざまな変形例が存在することが理解できよう。図示されるクロック源回路110Bは、それぞれがソース制御信号228を受ける直列接続された第1、第2のフリップフロップ回路を含む。ゲートの組み合わせは、高周波クロック信号HFclockおよび第1、第2のフリップフロップ回路の対応するフリップフロップそれぞれの出力から得られる入力を受ける。結果として得られる信号は第1クロック信号200である。
【0033】
クロック制御回路112(図6)からわずかに変形した回路、クロック源回路110B(図8)、クロックゲーティング回路106(図5)の組み合わせによって形成されるクロック分配回路100内の各信号の同期(もしくは非同期)関係が図10に示される。
【0034】
本明細書において説明した方法あるいは装置はたとえば、現在において利用可能であり、あるいは将来において開発される標準的なデジタル回路、アナログ回路、マイクロプロセッサ、デジタル信号処理回路、ソフトウェアやファームウェアを実行可能なプロセッサ、プログラム可能なデジタル機器やシステム、プログラム可能なアレイ論理デバイス、あるいはこれらの組み合わせなどの公知の技術を利用することにより実現される。本発明のある実施の形態はLSI回路内のデジタル回路として具現化されてもよい。
【0035】
実施の形態にもとづき、本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を離脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が可能である。
【符号の説明】
【0036】
10…クロック分配回路、12…クロック源、14…バッファ、16…クロック分配ツリー、17…バッファ回路、100…クロック分配回路、102…クロック回路、104…分配回路、106…クロックゲーティング回路、110…クロック源回路、112…クロック制御回路、114…フリップフロップ回路、120…ラッチ回路、130…フリップフロップ回路、132…ラッチ回路、134…フリップフロップ回路、140…フリップフロップ回路、200…第1クロック信号、202…第2クロック信号、204…分配クロック信号、210…モード制御信号、220…第1オンパルス、222…第2オンパルス、224…遅延ゲート制御信号、226…ゲートクロック信号、228…ソース制御信号、230…マスク信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低速モード動作において、周期ごとに少なくとも、異なる第1、第2オン時間を有する第1、第2オンパルスを含み、前記第1、第2オン時間の合計が、各周期のオフ時間の合計と略等しい第1クロック信号を生成するクロック回路と、
前記第1クロック信号を分配する複数のバッファ回路であり、分配クロック信号それぞれを生成する複数の最終段のバッファ回路が終点であるクロック分配ツリーを含んでいる複数のバッファ回路と、
前記分配クロック信号を受け、本集積回路の少なくともひとつの箇所に対応する第2クロック信号を生成するクロックゲーティング回路と、
を備え、
前記第2クロック信号はそれぞれ、各周期において前記第1オンパルスの一部を含み、前記第2オンパルスを含まないことを特徴とする集積回路。
【請求項2】
集積回路のクロック分配システムであり、
低速モード動作において、周期ごとに少なくとも、異なる第1、第2オン時間を有する第1、第2オンパルスを含み、前記第1、第2オン時間の合計が、各周期のオフ時間の合計と略等しい第1クロック信号を生成するクロック回路と、
前記第1クロック信号を分配する複数のバッファ回路であり、分配クロック信号それぞれを生成する複数の最終段のバッファ回路が終点であるクロック分配ツリーを含んでいる複数のバッファ回路と、
前記分配クロック信号を受け、前記集積回路の少なくともひとつの箇所に対応する第2クロック信号を生成するクロックゲーティング回路と、
を備え、
前記第2クロック信号はそれぞれ、各周期において前記第1オンパルスの一部を含み、前記第2オンパルスを含まないことを特徴とするシステム。
【請求項3】
前記クロック回路は、ノーマルモード動作において、それぞれのオン時間とオフ時間が実質的に等しい、ひとつのオンパルスとひとつのオフパルスを含む前記第1クロック信号を生成することを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記クロック回路は、低速モード動作に応じてゲート制御信号を生成し、
前記クロックゲーティング回路は、前記クロック回路が低速モード動作中、前記ゲート制御信号に応じて、前記分配クロック信号それぞれから、前記第2オンパルスを周期ごとに除去することを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記クロックゲーティング回路は、前記分配クロック信号それぞれに対して設けられ、対応する前記分配クロック信号のエッジのタイミングで、前記ゲート制御信号から得られる値をラッチし、マスク信号を生成するラッチ回路を含み、
前記分配クロック信号それぞれは、前記マスク信号によってゲーティングされ、それぞれから前記第2オンパルスが除去されることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
直列に接続された複数のフリップフロップをさらに備え、初段のフリップフロップは前記クロック回路から前記ゲート制御信号を受け、最終段のフリップフロップは遅延された前記ゲート制御信号を生成し、前記ラッチ回路は、遅延された前記ゲート制御信号の値をラッチすることを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
複数のステージを有するツリー状に接続された複数のフリップフロップをさらに備え、初段のフリップフロップは前記クロック回路から前記ゲート制御信号を受け、最終段のフリップフロップは遅延された前記ゲート制御信号の組を生成し、前記ラッチ回路は、遅延された前記ゲート制御信号の値をラッチすることを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記クロック回路は、前記ゲート制御信号に加えてソース制御信号を生成するよう構成され、
直列に接続された複数の第1フリップフロップであり、初段の前記第1フリップフロップにモード制御信号が入力され、2段目以降の前記第1フリップフロップはそれぞれ、前段からの信号を前記第1クロック信号のエッジのタイミングでラッチする複数の第1フリップフロップと、
前記ゲート制御信号を反転する第1インバータと、
前記第1インバータの出力信号と前記モード制御信号との論理和を生成する第1ORゲートと、
前記第1ORゲートの出力信号を、前記第1クロック信号のエッジのタイミングでラッチし、前記ゲート制御信号として出力する第2フリップフロップと、
複数の第1フリップフロップの最終段の出力信号を反転する第2インバータと、
交互に直列に接続された複数の第1ANDゲートおよび第3フリップフロップのペア含み、前記第3フリップフロップはそれぞれ、前段の前記第1ANDゲートからの信号を、高周波クロックのエッジのタイミングでラッチし、前記第1ANDゲートはそれぞれ、前段の第3フリップフロップからの信号と前記第2インバータの出力信号の論理積を生成する複数の第3フリップフロップおよび第1ANDゲートのペアと、
前記ソース制御信号と最終段の前記第1フリップフロップの出力信号の論理積を生成する第2ANDゲートと、
前記第2ANDゲートの出力信号と、最終段の前記第3フリップフロップの出力信号の論理和を生成する第2ORゲートと、
前記第2ORゲートの出力信号を高周波クロック信号のエッジのタイミングでラッチし、前記ソース制御信号を生成するとともに、初段の前記第1ANDゲートに供給する第4フリップフロップと、
を含み、
前記モード制御信号は前記クロック回路が低速モード動作すべきときローレベルをとり、前記ソース制御信号は前記第1クロック信号を生成するために利用されることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項9】
前記クロック回路は、
前記高周波クロック信号を反転する第3インバータと、
直列に接続された複数の第5フリップフロップであり、初段の前記第5フリップフロップに前記ソース制御信号が入力され、2段目以降の前記第5フリップフロップはそれぞれ、前段からの信号を前記第3インバータからの反転された前記高周波クロック信号のエッジのタイミングでラッチする複数の第5フリップフロップと、
初段の前記第5フリップフロップの出力と前記高周波クロック信号の論理積を生成する第3ANDゲートと、
2段目の前記第5フリップフロップの出力を反転する第4インバータと、
最終段を含む連続する複数の前記第5フリップフロップの出力の論理和を生成する第3ORゲートと、
前記第3ORゲートの出力と前記第4インバータの出力の論理積を生成する第4ANDゲートと、
前記第3ANDゲートの出力と前記第4ANDゲートの出力の論理和を前記第1クロック信号として出力する第4ORゲートと、
を含むことを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記クロック回路は、
前記高周波クロック信号を反転する第5インバータと、
直列に接続された複数の第6フリップフロップであり、初段の前記第6フリップフロップに前記ソース制御信号が入力され、2段目以降の前記第6フリップフロップはそれぞれ、前段からの信号を前記第5インバータからの反転された前記高周波クロック信号のエッジのタイミングでラッチする複数の第6フリップフロップと、
前記複数の第6フリップフロップのいくつかからの出力の論理和を生成する第4ORゲートと、
前記第4ORゲートの出力と前記高周波クロック信号の論理積を生成する第5ANDゲートと、
前記ソース制御信号を反転する第6インバータと、
前記ソース制御信号を前記高周波クロック信号のエッジのタイミングでラッチする第7フリップフロップと、
前記第7フリップフロップの出力と前記第6インバータの出力の論理積を生成する第6ANDゲートと、
直列に接続された複数の第8フリップフロップであり、初段の前記第8フリップフロップに前記第6ANDゲートの出力が入力され、2段目以降の前記第8フリップフロップはそれぞれ、前段からの信号を前記高周波クロック信号のエッジのタイミングでラッチする複数の第8フリップフロップと、
最終段を含む連続する複数の前記第8フリップフロップの出力の論理和を生成する第5ORゲートと、
前記第5ANDゲートの出力と前記第5ORゲートの出力の論理和を前記第1クロック信号として出力する第6ORゲートと、
を含むことを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
集積回路にクロック信号を分配する方法であり、
低速モード動作において、周期ごとに少なくとも、異なる第1、第2オン時間を有する第1、第2オンパルスを含み、前記第1、第2オン時間の合計が、各周期のオフ時間の合計と略等しい第1クロック信号を生成するステップと、
複数の最終段のバッファ回路が終点となる分配ツリーを介して前記第1クロック信号を分配し、複数の最終段のバッファ回路により分配クロック信号それぞれを生成するステップと、
を備え、
前記分配クロック信号それぞれから前記集積回路の少なくとも一部に供給すべき対応する第2クロック信号が生成されることを特徴とする方法。
【請求項12】
前記分配クロック信号それぞれから、前記第2オンパルスを周期ごとに除去するステップをさらに備え、
前記第2クロック信号はそれぞれ、各周期において前記第1オンパルスの一部を含み、前記第2オンパルスを含まないことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ノーマルモード動作において、それぞれのオン時間とオフ時間が実質的に等しい、ひとつのオンパルスとひとつのオフパルスを含む前記第1クロック信号を生成するステップをさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−194905(P2009−194905A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14546(P2009−14546)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(395015319)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (871)
【Fターム(参考)】