説明

クロロゲン酸類組成物の製造方法

【課題】 血圧降下作用を有するクロロゲン酸類を高濃度で含有し、風味上もしくは生理学上好ましくないカフェインを低減させたクロロゲン酸類を高収率で得ること。
【解決手段】 コーヒー生豆又は焙煎コーヒー豆から水又は水/エタノール混合溶媒を用いて抽出した水溶性組成物を、表面積が700m2/g以下の細孔を有するスチレン・ジビ
ニルベンゼン系合成吸着剤に接触させ、未吸着分を採取するクロロゲン酸類組成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高度に精製されたクロロゲン酸類組成物の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
狭心症、心筋梗塞、心不全などの心疾患あるいは脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血などの脳血管疾患は、高血圧と非常に深い関係があり、日本人の死因のそれぞれ第二位と第三位を占める。また、厚生省国民生活基礎調査(平成10年度)によれば、高血圧症で通院する患者数は我が国で千人あたり64人であり、病因の第一位を占めている。高血圧の対策としては、利尿薬、交感神経抑制薬、血管拡張薬、アンジオテンシン交換酵素阻害薬などの血圧降下医薬品が挙げられ、これらは主として重症高血圧患者に適用される。それに対して、食事療法、運動療法、飲酒・喫煙の制限などの生活習慣改善を目的とした一般療法は、軽症者から重症者までの高血圧者に広く適用されることから、一般療法の重要性が認識されている。なかでも食習慣の改善は重要であるといわれ、伝承として血圧降下作用を有すると言われる食品は数多く存在する。また従来から食品由来の血圧降下素材の探索が盛んに行われ、血圧降下作用を有する有効成分の分離・同定が数多くなされている。
【0003】
特にコーヒー生豆中に約6〜9%含まれるクロロゲン酸類は優れた血圧降下作用を有する(特許文献1、2)。しかし、コーヒー生豆中にはカフェイン成分も通常1〜4%含まれており、過剰摂取による神経過敏、吐き気、不眠などの有害作用を引き起こす原因にもなるといわれている。このため、カフェインを含有するクロロゲン酸類組成物から、カフェインのみを選択的に除去する方法が検討されてきた。
【0004】
例えば、コーヒーの脱カフェイン方法として、120〜250気圧下において、コーヒーを活性炭等のカフェイン吸着剤と接触させる方法(特許文献3)や、カフェインを含有する水溶液を活性白土または酸性白土と接触させることにより選択的にカフェインを除去する方法(特許文献4)が提案されている。
【0005】
しかしながら、前者は超臨界抽出技術に関するものであり、プロセス上の設備負荷が過大で工業レベルでの実施において簡易性に欠ける。また、この方法はカフェインのみを選択的に除去するのではなく、有効成分であるクロロゲン酸類組成も変化させてしまうという問題がある。一方、後者の方法は、活性白土または酸性白土を使用するだけで選択的にカフェインを除去できるが、色相が悪化する場合があるなどの問題もあった。
【0006】
また、コーヒー生豆から水性溶媒により抽出を行い、合成吸着剤を用いてクロロゲン酸類を吸着させ希アルカリで処理し、クロロゲン酸類を選択的に得る方法(特許文献5)や、強酸性陽イオン交換樹脂と接触処理してクロロゲン酸類を選択的に得る方法(特許文献6)があげられるが、処理後に煩雑なイオン交換を行う必要があった。
【特許文献1】特開2002−53464号公報
【特許文献2】特開2002−87977号公報
【特許文献3】特開昭53−18772号公報
【特許文献4】特開平6−142405号公報
【特許文献5】特開平4−145049号公報
【特許文献6】特開平4−145048号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、血圧降下作用を有するクロロゲン酸類を高濃度で含有し、風味上もしくは生理学上好ましくないカフェインを低減させたクロロゲン酸類を高収率で得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、コーヒー生豆又は焙煎コーヒー豆から水又は水/エタノール混合溶媒を用いて抽出した水溶性組成物を、特定の表面積以下の細孔容積を有する合成吸着剤に接触させることにより、カフェインを吸着除去したクロロゲン酸類組成物を高収率で得られることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、コーヒー生豆又は焙煎コーヒー豆から水又は水/エタノール混合溶媒を用いて抽出した水溶性組成物を、表面積が700m2/g以下の細孔を有するスチレ
ン・ジビニルベンゼン系合成吸着剤に接触させ、未吸着分を採取するクロロゲン酸類組成物の製造方法を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、コーヒー生豆又は焙煎コーヒー豆から水又は水/エタノール混合溶媒を用いて抽出した水溶性組成物を、表面積が700m2/g以下の細孔を有するスチレン・
ジビニルベンゼン系合成吸着剤に接触させることを特徴とするカフェインの除去方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、従来のクロロゲン酸類組成物の製造法よりもカフェインが低減し、しかも陽イオン交換処理等を行わずにクロロゲン酸類の製造が可能となり、高収率で高純度のクロロゲン酸類組成物が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明におけるコーヒー生豆又は焙煎コーヒー豆から抽出される水溶性組成物は、クロロゲン酸類、すなわち、モノカフェオイルキナ酸成分(A)、フェルラキナ酸成分(B)及びジカフェオイルキナ酸成分(C)の三種を含有する。成分(A)としては、3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸及び5−カフェオイルキナ酸が挙げられる。成分(B)としては、3−フェルラキナ酸、4−フェルラキナ酸及び5−フェルラキナ酸が挙げられる。成分(C)としては、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸及び4,5−ジカフェオイルキナ酸が挙げられる。
【0013】
本発明おいて使用する水溶性組成物は、コーヒー生豆又は焙煎コーヒー豆から水又は水/エタノール混合溶媒で抽出することにより得られる。ここで、コーヒー生豆又は焙煎コーヒー豆としては、粉砕物を用いてもよく、水としては、冷水〜熱水のいずれであってもよい。水又は水/エタノール混合溶媒の体積比率は、100/0〜80/20の範囲が好ましく、より好ましくはエタノール濃度が7vol%以下、さらに好ましくは5vol%以下、さらに好ましくは3vol%以下、特に好ましくは水である。20vol%以上のエタノールを含有すると合成吸着剤からカフェインが脱着しやすくなるので好ましくない。また、クロロゲン酸類の回収率の点から、コーヒー生豆又は焙煎コーヒー豆抽出液に食塩などを配合しないことが好ましい。
【0014】
本発明におけるコーヒー生豆又は焙煎コーヒー豆からの抽出時の温度は、クロロゲン酸類の抽出効率を高くする観点から70℃〜沸騰、さらに好ましくは80℃〜沸騰を使っても差し支えないが、エタノールを含有する場合はエタノールが揮発しない温度内で抽出を行うことが好ましい。コーヒー生豆又は焙煎コーヒー豆から抽出する際の水の量は、生豆に対して5〜60質量倍、特に5〜40質量倍が好ましい。コーヒー生豆又は焙煎コーヒー豆からの抽出時間は10〜120分が好ましく、より好ましくは20〜90分、さらに好ましくは30〜60分である。抽出時間は、短すぎるとクロロゲン酸類の溶出が不十分であり、長すぎるとクロロゲン酸類の加水分解による劣化がおこる。
【0015】
本発明に用いるコーヒー生豆又は焙煎コーヒー豆の種類は、特に限定されないが、例えば、ブラジル、コロンビア、タンザニア、モカ等が挙げられる。豆の種類としては、アラビカ種、ロブスタ種が挙げられる。コーヒー豆は1種でもよいし、複数種をブレンドして用いてもよい。
【0016】
本発明に用いるコーヒー生豆は乾燥物を使用するが、焙煎コーヒー豆は通常の焙煎方法で得られたものを使用する。通常、豆の焙煎度が高くなる程クロロゲン酸量が減少するため、L値25以上の軽度の焙煎が好ましく、さらに好ましくはL値30以上、特に好ましくはL値35以上である。
なお、焙煎コーヒー豆のL値測定は、測色色差計ZE−2000(日本電色工業(株))にて行うことができる。焙煎したコーヒー豆をハイカットコーヒーミル(カリタ製、目盛り:1)にて粒径500μm以下になるよう粉砕し、測定用セルを満たすよう粉砕豆を入れ、セル底部に隙間が空かないように、粉砕豆を上から軽く押さえ、標準白板の反射率を100とした時の試料の反射率をL値とする。
【0017】
本発明に用いる合成吸着剤は、スチレン−ジビニルベンゼン系合成吸着剤である。メタクリル系等の他の合成吸着剤はカフェインの吸着能が弱いため好ましくない。
また、カフェインを選択的に吸着し、クロロゲン酸類組成物を吸着させないためには、表面積が700m2/g以下であることが必要である。合成吸着剤の表面積が700m2/g
を超えると、カフェインとともにクロロゲン酸類組成物が合成吸着剤に吸着されるため、クロロゲン酸類の回収率が低下する。合成吸着剤の好ましい表面積は、100〜600m2
/gであり、さらに好ましくは400〜600m2/gである。
本発明に用いる合成吸着剤としては、三菱化学社製の商品名ダイヤイオンHP−20、HP−21、SP−70やオルガノ社の商品名アンバーライトXAD4、XAD7HP、XAD16HP、XAD1180等が挙げられる。
【0018】
本発明に用いる合成吸着剤の添加量は、例えばコーヒー生豆又は焙煎コーヒー豆抽出液中のクロロゲン酸類の濃度が300mg/100mLの場合、コーヒー生豆又は焙煎コーヒー豆抽出液に対して5〜30質量%の添加量が好ましい。合成吸着剤が5質量%以下の添加量の場合は、カフェインを低減する点から好ましくなく、30質量%以上の添加量の場合は、クロロゲン酸類が合成吸着剤に吸着されるため回収率の点で好ましくない。
【0019】
本発明で使用される合成吸着剤は精製処理後に所定の方法を用いることにより再使用できる。具体的には、90〜99.5vol%エタノール水溶液に浸漬し、吸着剤上に残存するカフェインを主成分とする水溶液組成物成分をすべて脱着させる。
【0020】
本発明により得られるクロロゲン酸類組成物は、(A)モノカフェオイルキナ酸、(B)フェルラキナ酸、(C)ジカフェオイルキナ酸を含有し、(D)カフェインとの質量比率(D)/((A)+(B)+(C))が1/10未満であることを特徴とし、カフェインが十分低減されていることを特徴とする。また、本発明におけるクロロゲン酸類組成物は、コーヒー生豆又は焙煎コーヒー豆抽出液中のクロロゲン酸類に対して80質量%以上の高い回収率を得ることができる。
【0021】
本発明で得られたクロロゲン酸類組成物はそのままで使用しても良く、減圧濃縮、薄膜濃縮などの方法により水又は水/エタノールの混合溶媒を除去しても構わない。通常飲料への配合に使用する場合、エタノールを完全に除去した方が好ましい。またクロロゲン酸類組成物の製品形態として粉体が望ましい場合は、噴霧乾燥や凍結乾燥等の方法により粉体化できる。この場合、コーヒー生豆又は焙煎コーヒー豆由来の異臭も同時に除去できる。
【0022】
また、本発明で得られたクロロゲン酸類組成物は、活性炭に接触させることによりコーヒー生豆又は焙煎コーヒー豆由来の異臭を除去することができる。用いる活性炭としては特に制限されず、例えば、ZN−50(北越炭素社製)、クラレコールGLC、クラレコールPK−D、クラレコールPW−D(クラレケミカル社製)、白鷲AW50、白鷲A、白鷲M、白鷲C(武田薬品工業社製)などの市販品を用いることができる。活性炭の細孔容積は0.01〜0.8mL/gが好ましく、特に0.1〜0.7mL/gが好ましい。また、比表面積は800〜1300m2/g、特に900〜1200m2/gの範囲のものが好ましい。なお、これらの物性値は窒素吸着法に基づく値である。
【0023】
活性炭は、本発明のクロロゲン酸類組成物の溶液100質量部に対して0.5〜5質量部、特に0.5〜3質量部添加するのが好ましい。活性炭の添加量が少なすぎると脱臭効果が十分でなく、多すぎるとクロロゲン酸類組成物が活性炭に吸着されて好ましくない。
【0024】
本発明で得られたクロロゲン酸類組成物は容器詰飲料に配合できる。例えばコーヒー飲料に配合する場合は、所望により、ショ糖、グルコース、フルクトース、キシロース、果糖ブドウ糖液、糖アルコール等の糖分、乳成分、抗酸化剤、pH調整剤、乳化剤、香料等を添加することができる。乳成分としては、生乳、牛乳、全粉乳、脱脂粉乳、生クリーム、濃縮乳、脱脂乳、部分脱脂乳、れん乳等が挙げられる。コーヒー飲料に配合する場合のpHとしては、3〜7、さらに4〜7、特に5〜7がクロロゲン酸類の安定性の面で好ましい。
【0025】
本発明で得られたクロロゲン酸類組成物は容器詰飲料に配合する場合、使用される容器は一般の飲料と同様にポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶などの通常の形態で提供することができる。ここでいう容器詰飲料とは希釈せずに飲用できるものをいう。
【0026】
また上記の容器詰飲料は、例えば、金属缶のように容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては食品衛生法に定められた殺菌条件で製造される。PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器などで高温短時間殺菌後、一定の温度まで冷却して容器に充填する等の方法が採用される。また無菌下で、充填された容器に別の成分を配合して充填してもよい。
【0027】
本発明で得られるクロロゲン酸類組成物を配合した容器詰飲料としては、コーヒー飲料、茶系飲料、果汁又は野菜汁添加のジュース飲料、炭酸入り清涼飲料等が挙げられる。
【実施例】
【0028】
(クロロゲン酸類、カフェインの測定法)
フィルター(0.8μm)で濾過し、次いで蒸留水で希釈した容器詰めされた飲料を、島津製作所製、高速液体クロマトグラフ(型式SCL-10AVP)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム L−カラムTM ODS(4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃、グラジエント法で行った。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有の蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有のアセトニトリル溶液とし、試料注入量は20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。
【0029】
(合成吸着剤の比表面積の測定法)
気体吸着法(BET法)により測定した。具体的には、カルロエルバ/ファイソンズ社製ソープトマチック1900型を使用し、N2吸着法でBETプロットにより表面積を求めた。
【0030】
実施例1
インドネシア産ロブスタ種生豆200gを粉砕し、95℃の脱イオン水4,000gで30分間抽出、冷却、搾汁、遠心分離後、金網及び2号濾紙により濾過し、抽出液3,076gを得た。抽出液中のクロロゲン酸類の濃度は289.7mg/100mLであり、8.97gのクロロゲン酸類が含まれていた。また、カフェイン濃度は91.7mg/100mLであり、2.82gのカフェインが含まれ、カフェイン/クロロゲン酸類比は、0.316(−)であった。
【0031】
得られた生豆抽出液にスチレン・ジビニルベンゼン系合成吸着剤セパビーズHP−20(三菱化学(株)製、表面積511m2/g)384.5gを投入し、30分間攪拌した後
濾過を行った。さらに減圧濃縮を行い本発明のクロロゲン酸類組成物を得た。
【0032】
この濃縮液中にはクロロゲン酸類8.72gが含まれており、生豆抽出液からのクロロゲン酸類の回収率は97.3質量%であった。さらにカフェインは0.31g含まれており、カフェイン/クロロゲン酸類比は、0.035(−)であった。
【0033】
実施例2
5%(v/v)エタノール水で抽出を行った以外は、実施例1と同様に抽出を行った。抽出液中のクロロゲン酸類の濃度は371.4mg/100mLであり、12.0gのクロロゲン酸類が含まれていた。また、カフェイン濃度は107.5mg/100mLであり、3.45gのカフェインが含まれ、カフェイン/クロロゲン酸類比は、0.288(−)であった。本発明の吸着処理後のクロロゲン酸類組成物中にはクロロゲン酸類9.62gが含まれており、生豆抽出液からのクロロゲン酸類の回収率は80.2質量%であった。また、カフェインを0.56g含んでおりカフェイン/クロロゲン酸類比は0.058(−)であった。
【0034】
実施例3
インドネシア産ロブスタ種をL値35に焙煎した豆を使用した以外は、実施例1と同様の抽出操作を行った。抽出液中のクロロゲン酸類の濃度は344.0mg/100mLであり、8.04gのクロロゲン酸類が含まれていた。また、カフェイン濃度は118.0mg/100mLであり、2.63gのカフェインが含まれ、カフェイン/クロロゲン酸類比は、0.327(−)であった。さらに、実施例1と全く同様の操作を行い、本発明のクロロゲン酸類組成物を得た。濃縮液中にはクロロゲン酸類6.81gが含まれていた。また、焙煎豆抽出液からのクロロゲン酸類の回収率は84.7%であり、カフェイン量は0.14gであり、カフェイン/クロロゲン酸類は0.02(−)であった。
【0035】
比較例1
実施例1と同様の抽出操作を行い、スチレン・ジビニルベンゼン系合成吸着剤セパビーズSP−850(三菱化学(株)製、表面積995m2/g)を用いた以外は同様の操作を
行い、クロロゲン酸類組成物を得た。濃縮液中にはクロロゲン酸類6.22gが含まれており、生豆抽出液からのクロロゲン酸類の回収率は69.3質量%であった。さらにカフェインは0.1g含まれており、カフェイン/クロロゲン酸類比は、0.016(−)であった。
【0036】
比較例2
実施例1と同様の抽出操作を行い、メタクリル系合成吸着剤セパビーズHP2MG(三菱化学(株)製、表面積473m2/g)用いた以外は同様の操作を行い、クロロゲン酸類
組成物を得た。濃縮液中にはクロロゲン酸類8.65gが含まれており、生豆抽出液からのクロロゲン酸類の回収率は96.4質量%であった。さらにカフェインは1.39g含まれており、カフェイン/クロロゲン酸類比は、0.161(−)であった。
【0037】
表1及び表2に分析結果を示す。
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
本発明方法の処理により、カフェイン含有量が低く純度の高いクロロゲン酸組成物を高回収率で得ることができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒー生豆又は焙煎コーヒー豆から水又は水/エタノール混合溶媒を用いて抽出した水溶性組成物を、表面積が700m2/g以下の細孔を有するスチレン・ジビニルベンゼン
系合成吸着剤に接触させ、未吸着分を採取するクロロゲン酸類組成物の製造方法。
【請求項2】
クロロゲン酸類の回収率がコーヒー生豆又は焙煎コーヒー豆抽出液中のクロロゲン酸類に対して80質量%以上である請求項1記載のクロロゲン酸類組成物の製造方法。
【請求項3】
さらに活性炭に接触させることを特徴とする請求項1又は2記載のクロロゲン酸類組成物の製造方法。
【請求項4】
コーヒー生豆又は焙煎コーヒー豆から水又は水/エタノール混合溶媒を用いて抽出した水溶性組成物を、表面積が700m2/g以下の細孔を有するスチレン・ジビニルベンゼン
系合成吸着剤に接触させることを特徴とするカフェインの除去方法。

【公開番号】特開2006−306799(P2006−306799A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−132682(P2005−132682)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】