説明

ケイ素含有膜形成用組成物、ケイ素含有膜形成基板及びこれを用いたパターン形成方法

【課題】多層レジスト法において、良好なドライエッチングマスクとして使用できるケイ素含有膜を形成でき、特に上層のフォトレジストとのエッチング選択性が良好な熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物の提供。
【解決手段】(A)下記一般式(1)で表される1種又は2種以上の加水分解性ケイ素化合物と、下記一般式(2−1)で表される加水分解性ケイ素化合物及び下記一般式(2−2)で表される反応性化合物からなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物とを加水分解縮合することにより得られるケイ素含有化合物、Rm1Si(OR(4−m1)(1)Rm3Si(OR(4−m3)(2−1)U(ORm5(ORm6(O)m7/2(2−2)(B)特定の1種又は2種以上の熱架橋促進剤(C)炭素数が1〜30の1価又は2価以上の有機酸(D)有機溶剤を含むことを特徴とする熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子等の製造工程における微細加工に用いられる多層レジスト法の中間層として使用されるケイ素含有膜、特に回転塗布で中間層を形成するのに好適なケイ素含有膜形成用組成物、ケイ素含有膜形成基板、及びこれを用いたパターン形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターン寸法の微細化が急速に進んでいる。リソグラフィー技術は、この微細化に併せ、光源の短波長化とそれに対するレジスト組成物の適切な選択により、微細パターンの形成を達成してきた。その中心となったのは単層で使用するポジ型フォトレジスト組成物である。この単層ポジ型フォトレジスト組成物は、塩素系あるいはフッ素系のガスプラズマによるドライエッチングに対しエッチング耐性を持つ骨格をレジスト樹脂中に持たせ、かつ露光部が溶解するようなレジスト機構を持たせることによって、露光部を溶解させてパターンを形成し、残存したレジストパターンをエッチングマスクとしてレジスト組成物を塗布した被加工基板をドライエッチング加工するものである。
【0003】
ところが、使用するフォトレジスト膜の膜厚をそのままで微細化、即ちパターン幅をより小さくした場合、フォトレジスト膜の解像性能が低下し、また現像液によりフォトレジスト膜をパターン現像しようとすると、いわゆるアスペクト比が大きくなりすぎ、結果としてパターン崩壊が起こってしまう。このため微細化に伴いフォトレジスト膜厚は薄膜化されてきた。
【0004】
一方、被加工基板の加工には、通常パターン形成されたフォトレジスト膜をエッチングマスクとして、ドライエッチングにより基板を加工する方法が用いられるが、現実的にはフォトレジスト膜と被加工基板の間に完全なエッチング選択性を取ることのできるドライエッチング方法がないため、基板を加工中にレジスト膜もダメージを受け、基板加工中にレジスト膜が崩壊し、レジストパターンを正確に被加工基板に転写できなくなる。そこで、パターンの微細化に伴い、レジスト組成物により高いドライエッチング耐性が求められてきた。
【0005】
また、露光波長の短波長化によりフォトレジスト組成物に使用する樹脂は、露光波長における光吸収の小さな樹脂が求められたため、i線、KrF、ArFへの変化に対し、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、脂肪族多環状骨格を持った樹脂へと変化してきているが、現実的には上記ドライエッチング条件におけるエッチング速度は速いものになってきてしまっており、解像性の高い最近のフォトレジスト組成物は、むしろエッチング耐性が低くなる傾向がある。
このことから、より薄くよりエッチング耐性の弱いフォトレジスト膜で被加工基板をドライエッチング加工しなければならないことになり、この加工工程における材料及びプロセスの確保は急務になってきている。
【0006】
このような問題点を解決する方法の一つとして、多層レジスト法がある。この方法は、フォトレジスト膜、即ちレジスト上層膜とエッチング選択性が異なる中間膜をレジスト上層膜と被加工基板の間に介在させ、レジスト上層膜にパターンを得た後、上層レジストパターンをドライエッチングマスクとして、ドライエッチングにより中間膜にパターンを転写し、更に中間膜をドライエッチングマスクとして、ドライエッチングにより被加工基板にパターンを転写する方法である。
【0007】
多層レジスト法の一つである2層レジスト法では、例えば、上層レジスト組成物にケイ素を含有する樹脂を使用し、中間膜としてノボラック樹脂を使用する方法がある(例えば、特許文献1等)。ケイ素樹脂は、酸素プラズマによる反応性ドライエッチングに対してはよいエッチング耐性を示すが、フッ素系ガスプラズマを用いると容易にエッチング除去される。一方、ノボラック樹脂は酸素ガスプラズマによる反応性ドライエッチングでは容易にエッチング除去されるが、フッ素系ガスプラズマや塩素系ガスプラズマによるドライエッチングに対しては良好なエッチング耐性を示す。そこで、被加工基板上にノボラック樹脂膜をレジスト中間膜として成膜し、その上にケイ素含有樹脂を用いたレジスト上層膜を形成する。続いて、ケイ素含有レジスト膜にエネルギー線の照射及び現像等の後処理によりパターン形成を行い、それをドライエッチングマスクとして酸素プラズマによる反応性ドライエッチングでレジストパターンが除去されている部分のノボラック樹脂をドライエッチング除去することでノボラック膜にパターンを転写し、このノボラック膜に転写されたパターンをドライエッチングマスクとして、被加工基板にフッ素系ガスプラズマや塩素系ガスプラズマによるエッチングを用いてパターン転写をすることができる。
【0008】
このようなドライエッチングによるパターン転写は、エッチングマスクのエッチング耐性が十分である場合、比較的良好な形状で転写パターンが得られるため、レジスト現像時の現像液による摩擦等を原因としたパターン倒れのような問題が起き難く、比較的高いアスペクト比のパターンを得ることができる。従って、例えばノボラック樹脂を用いたレジスト膜を中間膜の膜厚に相当する厚さにした場合には、アスペクト比の問題から現像時のパターン倒れ等により直接形成できなかったような微細パターンに対しても、上記の2層レジスト法によれば、被加工基板のドライエッチングマスクとして十分な厚さのノボラック樹脂パターンが得られるようになる。
【0009】
更に多層レジスト法として、単層レジスト法で使用されている一般的なレジスト組成物を用いて行うことができる3層レジスト法がある。例えば、被加工基板上にノボラック等による有機膜をレジスト下層膜として成膜し、その上にケイ素含有膜をレジスト中間膜として成膜し、その上に通常の有機系フォトレジスト膜をレジスト上層膜として形成する。フッ素系ガスプラズマによるドライエッチングに対しては、有機系のレジスト上層膜は、ケイ素含有レジスト中間膜に対して良好なエッチング選択比が取れるため、レジストパターンはフッ素系ガスプラズマによるドライエッチングを用いることでケイ素含有レジスト中間膜に転写される。この方法によれば、直接被加工基板を加工するための十分な膜厚を持ったパターンは形成することが難しいレジスト組成物や、基板を加工するためにはドライエッチング耐性が十分でないレジスト組成物を用いても、ケイ素含有膜にパターンを転写することができれば、2層レジスト法と同様に、加工に十分なドライエッチング耐性を持つノボラック膜のパターンを得ることができる。
【0010】
上記の様な3層レジスト法で使用されるケイ素含有レジスト中間膜としては、CVDによるケイ素含有無機膜、例えばSiO膜(例えば、特許文献2等)やSiON膜(例えば、特許文献3等)、回転塗布により膜を得られるものとしては、SOG(スピンオンガラス)膜(例えば、特許文献4等)や架橋性シルセスキオキサン膜(例えば、特許文献5等)等が使用されており、ポリシラン膜(例えば、特許文献6等)も使用できるであろう。これらの中で、SiO膜やSiON膜は下層の有機膜をドライエッチングする際のドライエッチングマスクとしての高い性能を持つものの、成膜に特別の装置を必要とする。それに対し、SOG膜や架橋性シルセスキオキサン膜、ポリシラン膜は、回転塗布と加熱のみで成膜でき、プロセス効率が高いと考えられている。
【0011】
多層レジスト法の適用範囲は、レジスト膜の解像限界を上げるという試みだけに留まらない。基板加工の一つの方法であるビアファースト法のように、加工中間体基板が大きな段差を持つ場合、単一レジスト膜でパターン形成を行おうとすると、レジスト膜厚に大きな差があることから、レジスト露光時に焦点を正確に合わせることができなくなる等の問題が生じる。このようなケースでは、段差を犠牲膜により埋めて平坦化した後に、その上にレジスト膜を成膜し、レジストパターンの形成を行うが、この場合には必然的に上記のような多層レジスト法を用いることになる(例えば、特許文献7等)。
【0012】
このような多層レジスト法で従来使用されてきたケイ素含有膜には幾つかの問題がある。例えば、光リソグラフィーによりレジストパターンを形成しようとした場合、露光光が基板で反射し、入射光と干渉して、所謂定在波の問題を引き起こすことはよく知られており、レジスト膜のエッジラフネスのない微細パターンを得るためには、中間膜として反射防止膜を入れてやる必要がある。特に最先端の高NA露光条件では反射制御は必須条件である。
【0013】
そこで、反射制御をするために、多層レジスト法、特にCVDでケイ素含有膜を中間層として形成するプロセスでは、レジスト上層膜とケイ素含有中間膜の間に有機反射防止膜を入れてやる必要があることになる。しかしながら、有機反射防止膜を入れた場合、レジスト上層膜をドライエッチングマスクとして有機反射防止膜をパターン加工する必要が生じ、ドライエッチング時にレジスト上層膜をマスクとして反射防止膜をドライエッチング加工した後、ケイ素含有中間層の加工に移行することになる。そのため、反射防止膜を加工する分だけ上層のフォトレジストに対してドライエッチング工程の工程時間が長くなる。特に、最先端のフォトレジスト膜では膜厚が薄くなってきており、このドライエッチング工程の長時間化を見逃すことはできない。そこで、このようなエッチング工程における負荷が少ない光吸収性ケイ素含有膜を中間膜として適用する3層レジスト法が注目を集めるようになってきた。
【0014】
このような光吸収性ケイ素含有中間膜として、回転塗布型の光吸収性ケイ素含有中間膜が知られている。例えば、芳香族構造を光吸収構造として持たせる手法が開示されている(特許文献8)。しかし、光を効率よく吸収する芳香環構造は、フッ素系ガスプラズマによるドライエッチング加工では、ドライエッチング速度を低下させる働きがあるため、フォトレジスト膜に負荷をかけないで中間膜のドライエッチングを行うためには不利な方向である。従って、このような光吸収置換基を加える際には、適当なドライエッチング加工工程を優先して、光吸収置換基の量を制限するかまたは中間膜の膜厚を薄くする事等、光吸収効率を下げる方向で対応することになり、反射防止機能が低下し、リソグラフィー工程に悪影響を与えてしまう。
【0015】
そこで、十分な反射防止機能を持ちながらも、更にドライエッチング工程で、特に上層のフォトレジスト膜への負荷の少ない材料が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平6−95385号公報
【特許文献2】特開平7−183194号公報
【特許文献3】特開平7−181688号公報
【特許文献4】特開平5−291208号公報
【特許文献5】特表2005−520354号公報
【特許文献6】特開平11−60735号公報
【特許文献7】特開2004−349572号公報
【特許文献8】特開2005−15779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、リソグラフィーで用いられる多層レジスト法において、
(1)有機膜上に形成されたケイ素含有膜の上にフォトレジスト膜を形成し、続いてレジストパターンを形成した際、高NA露光条件においても、反射を抑えて良好なパターン形成が可能であり、
(2)ケイ素含有膜の上層であるフォトレジスト膜、下層である有機膜との間で良好なドライエッチングマスクとして使用できるケイ素含有膜を形成でき、
(3)特に上層のフォトレジストとのエッチング選択性が良好な
熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するため、本発明は、リソグラフィーで用いられる多層レジスト法において成膜されるケイ素含有膜を形成するための熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物であって、少なくとも、
(A)下記一般式(1)で表される1種又は2種以上の加水分解性ケイ素化合物と、下記一般式(2−1)で表される加水分解性ケイ素化合物及び下記一般式(2−2)で表される反応性化合物からなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物とを加水分解縮合することにより得られるケイ素含有化合物、
m1Si(OR(4−m1) (1)
m3Si(OR(4−m3) (2−1)
U(ORm5(ORm6(O)m7/2 (2−2)
(式中、Rは1個以上のフッ素原子で置換されている炭素数1〜30の1価の有機基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜30の1価の有機基である。R、Rはそれぞれ同じでも異なっても良い。R、Rは炭素数1〜6のアルキル基であり、m1は1≦m1≦3を、m3は0≦m3≦3を満たす整数である。R、Rは炭素数1〜30の有機基である。m5+m6+m7/2はUの種類により決まる価数であり、m5、m6、m7はそれぞれ0以上の整数、Uは炭素とケイ素を除く周期律表のIII族、IV族、及びV族のいずれかの元素である。)
(B)下記一般式(3)又は(4)で表される1種又は2種以上の熱架橋促進剤、
X (3)
(式中、Lはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、及びセシウムのいずれか、Xは水酸基又は炭素数1〜30の1価又は2価以上の有機酸基であり、aは1以上の整数、bは0又は1以上の整数で、a+bは水酸基又は有機酸基の価数である。)
a’b’A (4)
(式中、Mはスルホニウム、ヨードニウム、及びアンモニウムのいずれかであり、Aは水酸基、炭素数1〜30の1価若しくは2価以上の有機酸基、又は非求核性対向イオンであり、a’は1以上の整数、b’は0又は1以上の整数で、a’+b’は水酸基、有機酸基、又は非求核性対向イオンの価数である。)
(C)炭素数が1〜30の1価又は2価以上の有機酸、
(D)有機溶剤
を含むことを特徴とする熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物を提供する。
【0019】
このように、リソグラフィーで用いられる多層レジスト法において、本発明の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物を用いることにより、有機膜上に形成されたケイ素含有膜の上にフォトレジスト膜を形成し、続いてレジストパターンを形成した際、ドライ、液浸いずれの高NA露光条件下でも反射を抑えることができるため、良好なパターン形成が可能となる。また、ケイ素含有膜の上層であるフォトレジスト膜、下層である有機膜との間で良好なドライエッチングマスクとして使用できるケイ素含有膜を形成でき、特に上層のフォトレジストとのエッチング選択性が良好であるため、ケイ素含有膜をドライエッチングしている最中の上層レジストの変形を抑えることができる。
【0020】
また、前記(A)成分のケイ素含有化合物が、酸を触媒とした加水分解縮合により得られるものとすることができる。
【0021】
このように、ケイ素含有化合物(A)を得るための加水分解縮合触媒として酸を用いることで、保存安定性がよく、通常の有機反射防止膜と同程度のリソグラフィー特性を有するケイ素含有膜形成用組成物を得ることができる。
【0022】
また、前記酸触媒が、無機酸及びスルホン酸誘導体から選ばれる1種以上の化合物であることが好ましい。
【0023】
このように、加水分解縮合する際の酸触媒として無機酸及びスルホン酸誘導体から選ばれる1種以上の化合物を用いることで、保存安定性がより良好なものとなる。
【0024】
また、前記一般式(4)中のMが、三級スルホニウム、二級ヨードニウム、及び四級アンモニウムのいずれかであることが好ましい。
【0025】
このように、前記一般式(4)中のMが、三級スルホニウム、二級ヨードニウム、及び四級アンモニウムのいずれかを(B)成分の熱架橋促進剤として用いて硬化膜を形成すると、架橋の進行した膜を提供することができる。そのため、レジスト膜中の有効成分のケイ素含有膜への移動が抑制され、通常の有機反射防止膜と同程度のリソグラフィー特性を得ることができ、良好なレジスト膜パターンを得ることができる。
【0026】
また、前記一般式(2−2)中のUが、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ゲルマニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ビスマス、スズ、リン、バナジウム、ヒ素、アンチモン、ニオブ、及びタンタルのいずれかであることが好ましい。
【0027】
上記のUとして示されている金属が含まれているケイ素含有膜は、Uとして示されている金属が含まれていないケイ素含有膜に比べてエッチング速度が速く、薄膜化されたフォトレジストをエッチングマスクとして用いても、パターン転写が可能な中間膜を形成することができる。
【0028】
また本発明は、少なくとも、被加工基板上に形成された有機膜と、該有機膜上に前記熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物から形成されたケイ素含有膜と、該ケイ素含有膜上にフォトレジスト膜とが順次形成されたものであることを特徴とする基板を提供する。
【0029】
このように、有機膜、本発明の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物から形成されたケイ素含有膜、フォトレジスト膜の3層レジスト膜が形成された基板を用いてリソグラフィーにより基板にパターンを形成すれば、基板に微細なパターンを高精度で形成することができる。
【0030】
更に本発明は、基板にパターンを形成する方法であって、少なくとも、被加工基板上に有機膜を形成し、該有機膜上に前記熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物を用いてケイ素含有膜を形成し、更に該ケイ素含有膜上にケイ素を含まない化学増幅型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成し、該レジスト膜を露光、アルカリ現像した後、得られたレジスト膜パターンをエッチングマスクとして前記ケイ素含有膜をドライエッチングでパターン加工し、該加工されたケイ素含有膜パターンをエッチングマスクとして下層の前記有機膜をパターン加工し、更に該加工された有機膜をエッチングマスクとして前記被加工基板をエッチング加工して基板にパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法を提供する。
【0031】
このような多層レジスト法により、基板にパターンを形成すれば、基板に微細なパターンを高精度で形成することができる。
【0032】
前記レジスト膜パターンの形成において、波長が300nm以下の光若しくはEUV光を用いたフォトリソグラフィー法、又は電子線描画を用いることができる。
【0033】
このように、本発明では、波長が300nm以下の光、特にArFエキシマレーザー、液浸ArFエキシマレーザー、EUVを用いるリソグラフィーや、電子線描画によりパターンを形成すると、微細なパターンを高精度で形成することができる。
【発明の効果】
【0034】
以上説明したように、本発明の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物を用いて形成されたケイ素含有膜を用いることで、その上に形成したフォトレジスト膜の良好なパターン形成が可能である。また、有機材料との間で高いエッチング選択性が得られることから、形成されたフォトレジストパターンを、ケイ素含有中間膜、有機下層膜と順にドライエッチングプロセスを用いて転写可能である。特に、半導体プロセスの微細化が進んでいくと、フォトレジストの膜厚が薄くなるので、従来のケイ素含有膜へのパターン転写が困難になるが、本発明の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物を用いると薄膜化されたフォトレジストでもエッチングマスクとして使用しても、ドライエッチング中のフォトレジストパターンの変形を抑え、このパターンを基板に高い精度で転写することができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明について詳細に説明する。
前述のように、多層レジスト法で使用されるケイ素含有膜には、十分な反射防止機能及びドライエッチング工程で特に上層のフォトレジスト膜への負荷の少ないことが求められており、そのようなケイ素含有膜を形成できる材料(ケイ素含有膜形成用組成物)が求められていた。
【0036】
そこで、本発明者らは、ケイ素含有膜形成用組成物のリソグラフィー特性や安定性について鋭意検討したところ、加水分解性ケイ素化合物を加水分解縮合することにより得られる下記のケイ素含有化合物(A)に、下記(B)成分、(C)成分、及び(D)成分を添加することにより、
(1)ドライ、液浸いずれの高NA露光条件下でも反射を抑えることができるケイ素含有膜が得られること、
(2)ドライエッチングマスクとして十分なエッチング選択比が得られるケイ素含有膜が得られること、
(3)特に上層レジストと中間膜のエッチング選択比が改善できること
を見出し、本発明を完成するに至った。
【0037】
即ち、本発明の熱硬化性ケイ素含有中間膜形成用組成物は、リソグラフィーで用いられる多層レジスト法において成膜されるケイ素含有膜を形成するための熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物であって、少なくとも、
(A)下記一般式(1)で表される1種又は2種以上の加水分解性ケイ素化合物と、下記一般式(2−1)で表される加水分解性ケイ素化合物及び下記一般式(2−2)で表される反応性化合物からなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物とを加水分解縮合することにより得られるケイ素含有化合物、
m1Si(OR(4−m1) (1)
m3Si(OR(4−m3) (2−1)
U(ORm5(ORm6(O)m7/2 (2−2)
(式中、Rは1個以上のフッ素原子で置換されている炭素数1〜30の1価の有機基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜30の1価の有機基である。R、Rはそれぞれ同じでも異なっても良い。R、Rは炭素数1〜6のアルキル基であり、m1は1≦m1≦3を、m3は0≦m3≦3を満たす整数である。R、Rは炭素数1〜30の有機基である。m5+m6+m7/2はUの種類により決まる価数であり、m5、m6、m7はそれぞれ0以上の整数、Uは炭素とケイ素を除く周期律表のIII族、IV族、及びV族のいずれかの元素である。)
(B)下記一般式(3)又は(4)で表される1種又は2種以上の熱架橋促進剤、
X (3)
(式中、Lはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、及びセシウムのいずれか、Xは水酸基又は炭素数1〜30の1価又は2価以上の有機酸基であり、aは1以上の整数、bは0又は1以上の整数で、a+bは水酸基又は有機酸基の価数である。)
a’b’A (4)
(式中、Mはスルホニウム、ヨードニウム、及びアンモニウムのいずれかであり、Aは水酸基、炭素数1〜30の1価若しくは2価以上の有機酸基、又は非求核性対向イオンであり、a’は1以上の整数、b’は0又は1以上の整数で、a’+b’は水酸基、有機酸基、又は非求核性対向イオンの価数である。)
(C)炭素数が1〜30の1価又は2価以上の有機酸、
(D)有機溶剤
を含むことを特徴とする熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物である。
【0038】
このように、本発明の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物は、屈折率を高める働きのあるフッ素原子を含有しているので、本発明の組成物により形成されるケイ素含有膜に反射防止機能を付与することができる。
【0039】
また、ドライエッチング加工中にケイ素含有膜中のフッ素原子がラジカルやイオン等の活性種としてケイ素含有膜に作用し、ドライエッチングガスによる加工が加速されるため、従来知られている材料より、特に上層フォトレジストに対しても高いエッチング選択比を得ることができる。
【0040】
以下、本発明の実施形態について、より具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物において、本発明で使用されるケイ素含有化合物(A)は、下記一般式で表される加水分解性化合物を加水分解縮合して得られる。
【0041】
m1Si(OR(4−m1) (1)
m3Si(OR(4−m3) (2−1)
U(ORm5(ORm6(O)m7/2 (2−2)
(式中、Rは1個以上のフッ素原子で置換されている炭素数1〜30の1価の有機基であり、Rは水素原子、又は炭素数1〜30の1価の有機基であり、R、Rはそれぞれ同じでも異なっても良い。R、Rは炭素数1〜6のアルキル基であり、m1は1≦m1≦3を、m3は0≦m3≦3を満たす整数である。R、Rは炭素数1〜30の有機基であり、m5+m6+m7/2はUの種類により決まる価数であり、m5、m6、m7は0以上の整数、Uは炭素とケイ素を除く周期律表のIII族、IV族、又はV族の元素である。)
【0042】
ここで、有機基は炭素を含む基の意味であり、更に水素を含み、また、窒素、酸素、硫黄、ケイ素等を含んでもよい。
【0043】
、Rの炭素数1〜30の1価の有機基としては、直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はアラルキル基等の1価炭化水素基等を挙げることができる。
尚、Rはこれら例に挙げた有機基の水素原子の1個以上がフッ素原子で置換されているものとする(以下同様)。
【0044】
また、上記R、Rで表される有機基の別の例として、−O−,−CO−,−OCO−,−COO−,−OCOO−等が介在された基、即ち、炭素−酸素単結合又は炭素−酸素二重結合を1以上有する有機基を挙げることができる。具体的には、エポキシ基、エステル基、アルコキシル基、ヒドロキシル基等からなる群から選択される1以上の基を有する有機基である。このような炭素−酸素単結合、炭素−酸素二重結合の1以上を有する有機基は、例として下記一般式(6)で示されるものを挙げることができる。
【0045】
(P−Q−(Sv1−Q−)−(T)v2−Q−(Sv3−Q− (6)
(式中、Pは水素原子、ヒドロキシル基、
【化1】

炭素数1〜4のアルコキシル基、炭素数1〜6のアルキルカルボニルオキシ基、又は炭素数1〜6のアルキルカルボニル基であり、QとQとQとQは各々独立して−C(2q−p)−(式中、Pは上記と同様であり、pは0〜3の整数であり、qは0〜10の整数(但し、q=0は単結合であることを示す。)である。)、uは0〜3の整数であり、SとSは各々独立して−O−、−CO−、−OCO−、−COO−又は−OCOO−を表す。v1、v2、v3は、各々独立して0又は1を表す。これらとともに、Tはヘテロ原子を含んでもよい脂環又は芳香環からなる2価の基であり、Tの酸素原子等のヘテロ原子を含んでもよい脂環又は芳香環の例を以下に示す。TにおいてQとQと結合する位置は、特に限定されないが、立体的な要因による反応性や反応に用いる市販試薬の入手性等を考慮して適宜選択できる。)
【0046】
【化2】

【0047】
炭素−酸素単結合又は炭素−酸素二重結合を1以上有する有機基の好ましい例としては、以下のものが挙げられる。尚、下記式中において、(Si)はSiとの結合箇所を示すために記載した。
【0048】
【化3】

【0049】
【化4】

【0050】
【化5】

【0051】
更に、上記R、Rの有機基の例として、ケイ素−ケイ素結合を含む有機基を用いることもでき、具体的には下記のものを挙げることができる。
【0052】
【化6】

【0053】
これらのうち、R、Rとして好ましいものは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、2−エチルブチル基、3−エチルブチル基、2,2−ジエチルプロピル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、エチニル基等のアルキニル基等が挙げられ、Rとしては水素原子も好ましく挙げられる。
【0054】
また、本発明の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物により形成されるケイ素含有膜の反射防止機能を高めたい場合には、光吸収性基としての、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基や、ケイ素−ケイ素結合を含む有機基等が、R、Rとして好ましく挙げられる。
【0055】
、Rの炭素数1〜6のアルキル基としては、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基等を例示できる。
【0056】
、Rとしては、直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基等の非置換の一価炭化水素基、及びこれらの基の水素原子の1個又はそれ以上がエポキシ基、アルコキシル基、ヒドロキシル基等で置換された基や、−O−、−CO−、OCO−、−COO−、−OCOO−が介在された基等を例示できる。
【0057】
Uは、周期律表のIII族、IV族、及びV族の元素のうち、炭素とケイ素を除くものを表すが、本発明では特に、Uが、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ゲルマニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ビスマス、スズ、リン、バナジウム、ヒ素、アンチモン、ニオブ、及びタンタルのいずれかであることが好ましい。
【0058】
上記一般式(1)で表される化合物として、以下のような化合物を例示できるが、これに限られるものではない。尚、Rは上記と同様である。
【0059】
【化7】

【0060】
【化8】

【0061】
【化9】

【0062】
【化10】

【0063】
【化11】

【0064】
【化12】

【0065】
【化13】

【0066】
上記一般式(2−1)で表される化合物として、以下のような化合物を例示できるが、これに限られるものではない。
【0067】
テトラアルコキシシランとして、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン等を例示できる。
【0068】
トリアルコキシシランとして、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリ−n−プロポキシシラン、トリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−プロポキシシラン、ビニルトリ−iso−プロポキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、i−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−nプロポキシシラン、n−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチル−トリエトキシシラン、sec−ブチル−トリ−n−プロポキシシラン、sec−ブチル−トリ−iso−プロポキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリ−nプロポキシシラン、t−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、シクロプロピルトリメトキシシラン、シクロプロピルトリエトキシシラン、シクロプロピル−トリ−n−プロポキシシラン、シクロプロピル−トリ−iso−プロポキシシラン、シクロブチルトリメトキシシラン、シクロブチルトリエトキシシラン、シクロブチル−トリ−n−プロポキシシラン、シクロブチル−トリ−iso−プロポキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、シクロペンチル−トリ−n−プロポキシシラン、シクロペンチル−トリ−iso−プロポキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシル−トリ−n−プロポキシシラン、シクロヘキシル−トリ−iso−プロポキシシラン、シクロヘキセニルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルトリエトキシシラン、シクロヘキセニル−トリ−n−プロポキシシラン、シクロヘキセニル−トリ−iso−プロポキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリエトキシシラン、シクロヘキセニルエチル−トリ−n−プロポキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリ−iso−プロポキシシラン、シクロオクタニルトリメトキシシラン、シクロオクタニルトリエトキシシラン、シクロオクタニル−トリ−n−プロポキシシラン、シクロオクタニル−トリ−iso−プロポキシシラン、シクロペンタジエニルプロピルトリメトキシシラン、シクロペンタジエニルプロピルトリエトキシシラン、シクロペンタジエニルプロピル−トリ−n−プロポキシシラン、シクロペンタジエニルプロピル−トリ−iso−プロポキシシラン、ビシクロヘプテニルトリメトキシシラン、ビシクロヘプテニルトリエトキシシラン、ビシクロヘプテニル−トリ−n−プロポキシシラン、ビシクロヘプテニル−トリ−iso−プロポキシシラン、ビシクロヘプチルトリメトキシシラン、ビシクロヘプチルトリエトキシシラン、ビシクロヘプチル−トリ−n−プロポキシシラン、ビシクロヘプチル−トリ−iso−プロポキシシラン、アダマンチルトリメトキシシラン、アダマンチルトリエトキシシラン、アダマンチル−トリ−n−プロポキシシラン、アダマンチル−トリ−iso−プロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリ−iso−プロポキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ベンジルトリ−n−プロポキシシラン、ベンジルトリ−iso−プロポキシシラン、トリルトリメトキシシラン、トリルトリエトキシシラン、トリルトリ−n−プロポキシシラン、トリルトリ−iso−プロポキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン、フェネチルトリ−n−プロポキシシラン、フェネチルトリ−iso−プロポキシシラン、ナフチルトリメトキシシラン、ナフチルトリエトキシシラン、ナフチルトリ−n−プロポキシシラン、ナフチルトリ−iso−プロポキシシラン等を例示できる。
【0069】
ジアルコキシシランとして、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、ジメチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジメチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジエチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジエトキシシラン、ジiso−プロピル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジエトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−t−ブチルジメトキシシラン、ジ−t−ブチルジエトキシシラン、ジt−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−t−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−シクロプロピルジメトキシシラン、ジ−シクロプロピルジエトキシシラン、ジ−シクロプロピル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−シクロプロピル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−シクロブチルジメトキシシラン、ジ−シクロブチルジエトキシシラン、ジ−シクロブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−シクロブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−シクロペンチルジメトキシシラン、ジ−シクロペンチルジエトキシシラン、ジ−シクロペンチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−シクロペンチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジ−シクロヘキシル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−シクロヘキシル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−シクロヘキセニルジメトキシシラン、ジ−シクロヘキセニルジエトキシシラン、ジシクロヘキセニル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−シクロヘキセニル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−シクロヘキセニルエチルジメトキシシラン、ジ−シクロヘキセニルエチルジエトキシシラン、ジ−シクロヘキセニルエチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−シクロヘキセニルエチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−シクロオクタニルジメトキシシラン、ジ−シクロオクタニルジエトキシシラン、ジシクロオクタニル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−シクロオクタニル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−シクロペンタジエニルプロピルジメトキシシラン、ジ−シクロペンタジエニルプロピルジエトキシシラン、ジ−シクロペンタジエニルプロピル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−シクロペンタジエニルプロピル−ジ−iso−プロポキシシラン、ビス−ビシクロヘプテニルジメトキシシラン、ビス−ビシクロヘプテニルジエトキシシラン、ビス−ビシクロヘプテニル−ジ−n−プロポキシシラン、ビス−ビシクロヘプテニル−ジ−iso−プロポキシシラン、ビス−ビシクロヘプチルジメトキシシラン、ビス−ビシクロヘプチルジエトキシシラン、ビス−ビシクロヘプチル−ジ−n−プロポキシシラン、ビス−ビシクロヘプチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ビス−アダマンチルジメトキシシラン、ビス−アダマンチルジエトキシシラン、ビス−アダマンチル−ジ−n−プロポキシシラン、ビス−アダマンチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニル−ジ−エトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、ジフェニル−ジ−nプロポキシシラン、ジフェニル−ジ−iso−プロポキシシラン等を例示できる。
【0070】
モノアルコキシシランとして、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルエチルメトキシシラン、ジメチルエチルエトキシシラン、ジメチルフェニルメトキシシラン、ジメチルフェニルエトキシシラン、ジメチルベンジルメトキシシラン、ジメチルベンジルエトキシシラン、ジメチルフェネチルメトキシシラン、ジメチルフェネチルエトキシシラン等を例示できる。
【0071】
好ましくは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、iso−ブチルトリメトキシシラン、iso−ブチルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキセニルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−メトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−メトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルエチルメトキシシラン、ジメチルフェニルメトキシシラン、ジメチルベンジルメトキシシラン、ジメチルフェネチルメトキシシラン等を例示できる。
【0072】
上記一般式(2−2)で表される反応性化合物として、以下のような化合物を例示できるが、これに限られるものではない。
例えば、Uがホウ素の場合、上記一般式(2−2)で示される化合物として、ボロンメトキシド、ボロンエトキシド、ボロンプロポキシド、ボロンブトキシド、ボロンアミロキシド、ボロンヘキシロキシド、ボロンシクロペントキシド、ボロンシクロヘキシロキシド、ボロンアリロキシド、ボロンフェノキシド、ボロンメトキシエトキシド、ホウ酸、酸化ホウ素等をモノマーとして例示できる。
【0073】
Uがアルミニウムの場合、上記一般式(2−2)で示される化合物として、アルミニウムメトキシド、アルミニウムエトキシド、アルミニウムプロポキシド、アルミニウムブトキシド、アルミニウムアミロキシド、アルミニウムヘキシロキシド、アルミニウムシクロペントキシド、アルミニウムシクロヘキシロキシド、アルミニウムアリロキシド、アルミニウムフェノキシド、アルミニウムメトキシエトキシド、アルミニウムエトキシエトキシド、アルミニウムジプロポキシエチルアセトアセテート、アルミニウムジブトキシエチルアセトアセテート、アルミニウムプロポキシビスエチルアセトアセテート、アルミニウムブトキシビスエチルアセトアセテート、アルミニウム2,4−ペンタンジオネート、アルミニウム2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート等をモノマーとして例示できる。
【0074】
Uがガリウムの場合、上記一般式(2−2)で示される化合物として、ガリウムメトキシド、ガリウムエトキシド、ガリウムプロポキシド、ガリウムブトキシド、ガリウムアミロキシド、ガリウムヘキシロキシド、ガリウムシクロペントキシド、ガリウムシクロヘキシロキシド、ガリウムアリロキシド、ガリウムフェノキシド、ガリウムメトキシエトキシド、ガリウムエトキシエトキシド、ガリウムジプロポキシエチルアセトアセテート、ガリウムジブトキシエチルアセトアセテート、ガリウムプロポキシビスエチルアセトアセテート、ガリウムブトキシビスエチルアセトアセテート、ガリウム2、4−ペンタンジオネート、ガリウム2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート等をモノマーとして例示できる。
【0075】
Uがイットリウムの場合、上記一般式(2−2)で示される化合物として、イットリウムメトキシド、イットリウムエトキシド、イットリウムプロポキシド、イットリウムブトキシド、イットリウムアミロキシド、イットリウムヘキシロキシド、イットリウムシクロペントキシド、イットリウムシクロヘキシロキシド、イットリウムアリロキシド、イットリウムフェノキシド、イットリウムメトキシエトキシド、イットリウムエトキシエトキシド、イットリウムジプロポキシエチルアセトアセテート、イットリウムジブトキシエチルアセトアセテート、イットリウムプロポキシビスエチルアセトアセテート、イットリウムブトキシビスエチルアセトアセテート、イットリウム2、4−ペンタンジオネート、イットリウム2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート等をモノマーとして例示できる。
【0076】
Uがゲルマニウムの場合、上記一般式(2−2)で示される化合物として、ゲルマニウムメトキシド、ゲルマニウムエトキシド、ゲルマニウムプロポキシド、ゲルマニウムブトキシド、ゲルマニウムアミロキシド、ゲルマニウムヘキシロキシド、ゲルマニウムシクロペントキシド、ゲルマニウムシクロヘキシロキシド、ゲルマニウムアリロキシド、ゲルマニウムフェノキシド、ゲルマニウムメトキシエトキシド、ゲルマニウムエトキシエトキシド等をモノマーとして例示できる。
【0077】
Uがチタンの場合、上記一般式(2−2)で示される化合物として、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンプロポキシド、チタンブトキシド、チタンアミロキシド、チタンヘキシロキシド、チタンシクロペントキシド、チタンシクロヘキシロキシド、チタンアリロキシド、チタンフェノキシド、チタンメトキシエトキシド、チタンエトキシエトキシド、チタンジプロポキシビスエチルアセトアセテート、チタンジブトキシビスエチルアセトアセテート、チタンジプロポキシビス2、4−ペンタンジオネート、チタンジブトキシビス2、4−ペンタンジオネート等をモノマーとして例示できる。
【0078】
Uがジルコニウムの場合、上記一般式(2−2)で示される化合物として、メトキシジルコニウム、エトキシジルコニウム、プロポキシジルコニウム、ブトキシジルコニウム、フェノキシジルコニウム、ジルコニウムジブトキシドビス(2,4−ペンタンジオネート)、ジルコニウムジプロポキシドビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)等をモノマーとして例示できる。
【0079】
Uがハフニウムの場合、上記一般式(2−2)で示される化合物として、ハフニウムメトキシド、ハフニウムエトキシド、ハフニウムプロポキシド、ハフニウムブトキシド、ハフニウムアミロキシド、ハフニウムヘキシロキシド、ハフニウムシクロペントキシド、ハフニウムシクロヘキシロキシド、ハフニウムアリロキシド、ハフニウムフェノキシド、ハフニウムメトキシエトキシド、ハフニウムエトキシエトキシド、ハフニウムジプロポキシビスエチルアセトアセテート、ハフニウムジブトキシビスエチルアセトアセテート、ハフニウムジプロポキシビス2、4−ペンタンジオネート、ハフニウムジブトキシビス2、4−ペンタンジオネート等をモノマーとして例示できる。
【0080】
Uがビスマスの場合、上記一般式(2−2)で示される化合物として、メトキシビスマス、エトキシビスマス、プロポキシビスマス、ブトキシビスマス、フェノキシビスマス等をモノマーとして例示できる。
【0081】
Uがスズの場合、上記一般式(2−2)で示される化合物として、メトキシスズ、エトキシスズ、プロポキシスズ、ブトキシスズ、フェノキシスズ、メトキシエトキシスズ、エトキシエトキシスズ、スズ2、4−ペンタンジオネート、スズ2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート等をモノマーとして例示できる。
【0082】
Uがリンの場合、上記一般式(2−2)で示される化合物として、トリメチルフォスファイト、トリエチルフォスファイト、トリプロピルフォスファイト、トリメチルフォスフェイト、トリエチルフォスフェイト、トリプロピルフォスフェイト、五酸化二リン等をモノマーとして例示できる。
【0083】
Uがバナジウムの場合、上記一般式(2−2)で示される化合物として、バナジウムオキシドビス(2,4−ペンタンジオネート)、バナジウム2,4−ペンタンジオネート、バナジウムトリブトキシドオキシド、バナジウムトリプロポキシドオキシド等をモノマーとして例示できる。
【0084】
Uがヒ素の場合、上記一般式(2−2)で示される化合物として、メトキシヒ素、エトキシヒ素、プロポキシヒ素、ブトキシヒ素、フェノキシヒ素等をモノマーとして例示できる。
【0085】
Uがアンチモンの場合、上記一般式(2−2)で示される化合物として、メトキシアンチモン、エトキシアンチモン、プロポキシアンチモン、ブトキシアンチモン、フェノキシアンチモン、酢酸アンチモン、プロピオン酸アンチモン等をモノマーとして例示できる。
【0086】
Uがニオブの場合、上記一般式(2−2)で示される化合物として、メトキシニオブ、エトキシニオブ、プロポキシニオブ、ブトキシニオブ、フェノキシニオブ等をモノマーとして例示できる。
【0087】
Uがタンタルの場合、上記一般式(2−2)で示される化合物として、メトキシタンタル、エトキシタンタル、プロポキシタンタル、ブトキシタンタル、フェノキシタンタル等をモノマーとして例示できる。
【0088】
このような上記一般式(1)で表される加水分解性ケイ素化合物を1種又は2種以上と、上記一般式(2−1)で表される加水分解性ケイ素化合物及び上記一般式(2−2)で表される反応性化合物の群から選ばれる化合物を1種又は2種以上とを選択して、反応前又は反応中に混合してケイ素含有化合物(A)を形成する反応原料とすることができる。
【0089】
好ましい製造方法として以下の方法が例示できるが、この方法に限られるものではない。
ケイ素含有化合物(A)は、上記一般式(1)で表される加水分解性ケイ素化合物と、(2−1)で表される加水分解性ケイ素化合物及び/又は式(2−2)で表される反応性化合物とを(以下「モノマー」と呼ぶ)、酸、好ましくは無機酸、スルホン酸誘導体(脂肪族スルホン酸及び芳香族スルホン酸)から選ばれる一種以上の化合物を触媒として用いて、加水分解縮合を行うことで製造することができる。
【0090】
このとき使用される酸触媒は、具体的にはフッ酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等を挙げることができる。触媒の使用量は、モノマー1モルに対して10−6〜10モル、好ましくは10−5〜5モル、より好ましくは10−4〜1モルである。
【0091】
これらのモノマーから加水分解縮合によりケイ素含有化合物を得るときの水の量は、モノマーに結合している加水分解性置換基1モル当たり0.01〜100モル、より好ましくは0.05〜50モル、更に好ましくは0.1〜30モルを添加することが好ましい。100モル以下の添加であれば、反応に使用する装置が過大になることもなく、経済的である。
【0092】
操作方法として、触媒水溶液にモノマーを添加して加水分解縮合反応を開始させる。このとき、触媒水溶液に有機溶剤を加えてもよいし、モノマーを有機溶剤で希釈しておいてもよいし、両方行ってもよい。反応温度は0〜100℃、好ましくは5〜80℃である。
特に、モノマーの滴下時に5〜80℃に温度を保ち、その後20〜80℃で熟成させる方法が好ましい。
【0093】
触媒水溶液に加えることのできる、又はモノマーを希釈することのできる有機溶剤としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート、γ−ブチルラクトン及びこれらの混合物等が好ましい。
【0094】
これらの溶剤の中で好ましいものは水可溶性のものである。例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール縮合物誘導体、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。この中で特に好ましいのは、沸点が100℃以下のものである。
【0095】
尚、有機溶剤の使用量は、モノマー1モルに対して0〜1,000ml、特に0〜500mlが好ましい。有機溶剤の使用量がこの範囲であれば、過大な反応容器を用いる必要がなく、経済的に反応を行える。
【0096】
その後、必要であれば触媒の中和反応を行い、加水分解縮合反応で生成したアルコールを減圧除去し、反応混合物水溶液を得る。このとき、中和に使用することのできるアルカリ性物質の量は、触媒で使用された酸に対して0.1〜2当量が好ましい。このアルカリ性物質は水中でアルカリ性を示すものであれば、任意の物質でよい。
【0097】
続いて、反応混合物から加水分解縮合反応で生成したアルコール等の副生物を取り除くことが好ましい。このとき反応混合物を加熱する温度は、添加した有機溶剤と反応で発生したアルコール等の種類によるが、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜90℃、更に好ましくは15〜80℃である。またこのときの減圧度は、除去すべき有機溶剤及びアルコール等の種類、排気装置、凝縮装置及び加熱温度により異なるが、好ましくは大気圧以下、より好ましくは絶対圧で80kPa以下、更に好ましくは絶対圧で50kPa以下である。この際除去されるアルコール量を正確に知ることは難しいが、生成したアルコール等のおよそ80質量%以上が除かれることが望ましい。
【0098】
次に、反応混合物から加水分解縮合に使用した酸触媒を除去してもよい。酸触媒を除去する方法として、水とケイ素含有化合物を混合し、ケイ素含有化合物を有機溶剤で抽出する。このとき使用する有機溶剤としては、ケイ素含有化合物を溶解でき、水と混合させると2層分離するものが好ましい。例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート、γ−ブチルラクトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンチルメチルエーテル等及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0099】
更に、水溶性有機溶剤と水難溶性有機溶剤の混合物を使用することも可能である。例えばメタノール+酢酸エチル、エタノール+酢酸エチル、1−プロパノール+酢酸エチル、2−プロパノール+酢酸エチル、ブタンジオールモノメチルエーテル+酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル+酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル+酢酸エチル、ブタンジオールモノエチルエーテル+酢酸エチル、プロピレングリコールモノエチルエーテル+酢酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテル+酢酸エチル、ブタンジオールモノプロピルエーテル+酢酸エチル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル+酢酸エチル、エチレングリコールモノプロピルエーテル+酢酸エチル、メタノール+メチルイソブチルケトン、エタノール+メチルイソブチルケトン、1−プロパノール+メチルイソブチルケトン、2−プロパノール+メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル+メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル+メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノエチルエーテル+メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノエチルエーテル+メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノプロピルエーテル+メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノプロピルエーテル+メチルイソブチルケトン、メタノール+シクロペンチルメチルエーテル、エタノール+シクロペンチルメチルエーテル、1−プロパノール+シクロペンチルメチルエーテル、2−プロパノール+シクロペンチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、メタノール+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エタノール+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1−プロパノール+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、2−プロパノール+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等組み合わせが好ましいが、組み合わせはこれらに限定されることはない。
【0100】
尚、水溶性有機溶剤と水難溶性有機溶剤との混合割合は、適宜選定されるが、水難溶性有機溶剤100質量部に対して、水溶性有機溶剤0.1〜1,000質量部、好ましくは1〜500質量部、更に好ましくは2〜100質量部である。
【0101】
続いて、中性水で洗浄する。この水は、通常脱イオン水や超純水と呼ばれているものを使用すればよい。この水の量は、ケイ素含有化合物溶液1Lに対して、0.01〜100L、好ましくは0.05〜50L、より好ましくは0.1〜5Lである。この洗浄の方法は、両方を同一の容器にいれ掻き混ぜ後、静置して水層を分離すればよい。洗浄回数は、1回以上あればよいが、10回以上洗浄しても洗浄しただけの効果は得られるとは限らないため、好ましくは1〜5回程度である。
【0102】
その他に酸触媒を除去する方法として、イオン交換樹脂による方法や、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のエポキシ化合物で中和したのち除去する方法を挙げることができる。これらの方法は、反応に使用された酸触媒に合わせて適宜選択することができる。
【0103】
尚、上記の触媒除去操作において、酸触媒が実質的に除去されたとは、反応に使用された酸触媒がケイ素含有化合物中反応開始時に添加した量に対して10質量%以下、好ましくは5質量%以下程度残存しているものは許容されることを意味する。
【0104】
このときの水洗操作により、ケイ素含有化合物の一部が水層に逃げ、実質的に分画操作と同等の効果が得られている場合があるため、水洗回数や洗浄水の量は触媒除去効果と分画効果を鑑みて適宜選択すればよい。
【0105】
酸触媒が残留しているケイ素含有化合物及び酸触媒が除去されたケイ素含有化合物溶液、いずれの場合においても、最終的な溶剤を加え、減圧で溶剤交換することでケイ素含有化合物溶液を得る。このときの溶剤交換の温度は、除去すべき反応溶剤や抽出溶剤の種類によるが、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜90℃、更に好ましくは15〜80℃である。またこのときの減圧度は、除去すべき抽出溶剤の種類、排気装置、凝縮装置及び加熱温度により異なるが、好ましくは大気圧以下、より好ましくは絶対圧で80kPa以下、更に好ましくは絶対圧で50kPa以下である。
【0106】
このとき、溶剤が変わることによりケイ素含有化合物が不安定になる場合がある。これは最終的な溶剤とケイ素含有化合物との相性により発生するが、これを防止するため、安定剤として後述する(C)成分を加えてもよい。加える量としては溶剤交換前の溶液中のケイ素含有化合物100質量部に対して0〜25質量部、好ましくは0〜15質量部、より好ましくは0〜5質量部であるが、添加する場合は0.5質量部以上が好ましい。溶剤交換前の溶液に必要であれば、(C)成分を添加して溶剤交換操作を行えばよい。
【0107】
ケイ素含有化合物は、ある濃度以上に濃縮すると縮合反応が進行し、有機溶剤に対して再溶解不可能な状態に変化してしまう恐れがある。そのため、適度な濃度の溶液状態にしておくことが好ましい。また、あまり薄すぎると、溶剤の量が過大となるため不経済となる恐れがある。そのためこのときの濃度としては、0.1〜20質量%が好ましい。
【0108】
ケイ素含有化合物溶液に加える最終的な溶剤として好ましいものはアルコール系溶剤であり、特に好ましいものはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール等のモノアルキルエーテル誘導体である。具体的には、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル等が好ましい。
【0109】
これらの溶剤が主成分であれば、補助溶剤として、非アルコール系溶剤を添加する事も可能である。この補助溶剤としては、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート、γ−ブチルラクトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンチルメチルエーテル等を例示できる。
【0110】
また、別の反応操作としては、モノマー又はモノマーの有機溶液に、水又は含水有機溶剤を添加し、加水分解反応を開始させる。このとき触媒はモノマー又はモノマーの有機溶液に添加してもよいし、水又は含水有機溶剤に添加しておいてもよい。反応温度は0〜100℃、好ましくは10〜80℃である。水の滴下時に10〜50℃に加熱し、その後20〜80℃に昇温させて熟成させる方法が好ましい。
【0111】
有機溶剤を使用する場合は、水溶性のものが好ましく、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール縮合物誘導体及びこれらの混合物等を挙げることができる。
【0112】
有機溶剤の使用量は、前記の量と同様でよい。得られた反応混合物の後処理は、前記の方法と同様で後処理し、ケイ素含有化合物を得る。
【0113】
得られるケイ素含有化合物の分子量は、モノマーの選択だけでなく、重合時の反応条件制御により調整することができるが、重量平均分子量が100,000を超えるものを用いると、ケースによっては異物の発生や塗布斑が生じることがあり、100,000以下、より好ましくは200〜50,000、更には300〜30,000のものを用いることが好ましい。
【0114】
尚、上記重量平均分子量に関するデータは、検出器としてRIを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準物質としてポリスチレンを用いて、ポリスチレン換算で分子量を表したものである。
【0115】
本発明のケイ素含有膜形成用組成物は、酸性条件下で製造されたものであれば、組成及び/又は反応条件が異なる2種以上のケイ素含有化合物を含んでいてもよい。
【0116】
本発明においては、上記ケイ素含有化合物(A)に、更に、熱架橋促進剤(B)、有機酸(C)及び有機溶剤(D)を配合してケイ素含有膜形成用組成物を得る。
【0117】
本発明ではケイ素含有膜形成時の架橋反応を更に促進させるため、(B)成分として熱架橋促進剤を含有させる。このようなものとして、下記一般式(3)又は(4)で示される化合物を挙げることができる。
X (3)
(式中、Lはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム又はセシウム、Xは水酸基、又は炭素数1〜30の1価又は2価以上の有機酸基であり、aは1以上の整数、bは0又は1以上の整数で、a+bは水酸基又は有機酸基の価数である。)
a’b’A (4)
(式中、Mはスルホニウム、ヨードニウム又はアンモニウムであり、好ましくは三級スルホニウム、二級ヨードニウム又は四級アンモニウムであり、特に光分解性のもの、即ちトリアリールスルホニウム化合物、ジアリールヨードニウム化合物が好ましい。Aは水酸基、炭素数1〜30の1価若しくは2価以上の有機酸基、又は非求核性対向イオンであり、a’は1以上の整数、b’は0又は1以上の整数で、a’+b’は水酸基、有機酸基、又は非求核性対向イオンの価数である。)
【0118】
上記一般式(3)で示される化合物として、アルカリ金属有機酸塩を例示できる。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムの水酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、ブタン酸塩、ペンタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヘプタン酸塩、オクタン酸塩、ノナン酸塩、デカン酸塩、オレイン酸塩、ステアリン酸塩、リノール酸塩、リノレン酸塩、安息香酸塩、フタル酸塩、イソフタル酸塩、テレフタル酸塩、サリチル酸塩、トリフルオロ酢酸塩、モノクロロ酢酸塩、ジクロロ酢酸塩、トリクロロ酢酸塩等の1価の塩、1価又は2価のシュウ酸塩、マロン酸塩、メチルマロン酸塩、エチルマロン酸塩、プロピルマロン酸塩、ブチルマロン酸塩、ジメチルマロン酸塩、ジエチルマロン酸塩、コハク酸塩、メチルコハク酸塩、グルタル酸塩、アジピン酸塩、イタコン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、シトラコン酸塩、クエン酸塩、炭酸塩等が挙げられる。
【0119】
具体的には、ギ酸リチウム、酢酸リチウム、プロピオン酸リチウム、ブタン酸リチウム、ペンタン酸リチウム、ヘキサン酸リチウム、ヘプタン酸リチウム、オクタン酸リチウム、ノナン酸リチウム、デカン酸リチウム、オレイン酸リチウム、ステアリン酸リチウム、リノール酸リチウム、リノレン酸リチウム、安息香酸リチウム、フタル酸リチウム、イソフタル酸リチウム、テレフタル酸リチウム、サリチル酸リチウム、トリフルオロ酢酸リチウム、モノクロロ酢酸リチウム、ジクロロ酢酸リチウム、トリクロロ酢酸リチウム、水酸化リチウム、シュウ酸水素リチウム、マロン酸水素リチウム、メチルマロン酸水素リチウム、エチルマロン酸水素リチウム、プロピルマロン酸水素リチウム、ブチルマロン酸水素リチウム、ジメチルマロン酸水素リチウム、ジエチルマロン酸水素リチウム、コハク酸水素リチウム、メチルコハク酸水素リチウム、グルタル酸水素リチウム、アジピン酸水素リチウム、イタコン酸水素リチウム、マレイン酸水素リチウム、フマル酸水素リチウム、シトラコン酸水素リチウム、クエン酸水素リチウム、炭酸水素リチウム、シュウ酸リチウム、マロン酸リチウム、メチルマロン酸リチウム、エチルマロン酸リチウム、プロピルマロン酸リチウム、ブチルマロン酸リチウム、ジメチルマロン酸リチウム、ジエチルマロン酸リチウム、コハク酸リチウム、メチルコハク酸リチウム、グルタル酸リチウム、アジピン酸リチウム、イタコン酸リチウム、マレイン酸リチウム、フマル酸リチウム、シトラコン酸リチウム、クエン酸リチウム、炭酸リチウム、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ブタン酸ナトリウム、ペンタン酸ナトリウム、ヘキサン酸ナトリウム、ヘプタン酸ナトリウム、オクタン酸ナトリウム、ノナン酸ナトリウム、デカン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、リノール酸ナトリウム、リノレン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、イソフタル酸ナトリウム、テレフタル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、トリフルオロ酢酸ナトリウム、モノクロロ酢酸ナトリウム、ジクロロ酢酸ナトリウム、トリクロロ酢酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、シュウ酸水素ナトリウム、マロン酸水素ナトリウム、メチルマロン酸水素ナトリウム、エチルマロン酸水素ナトリウム、プロピルマロン酸水素ナトリウム、ブチルマロン酸水素ナトリウム、ジメチルマロン酸水素ナトリウム、ジエチルマロン酸水素ナトリウム、コハク酸水素ナトリウム、メチルコハク酸水素ナトリウム、グルタル酸水素ナトリウム、アジピン酸水素ナトリウム、イタコン酸水素ナトリウム、マレイン酸水素ナトリウム、フマル酸水素ナトリウム、シトラコン酸水素ナトリウム、クエン酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、マロン酸ナトリウム、メチルマロン酸ナトリウム、エチルマロン酸ナトリウム、プロピルマロン酸ナトリウム、ブチルマロン酸ナトリウム、ジメチルマロン酸ナトリウム、ジエチルマロン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、メチルコハク酸ナトリウム、グルタル酸ナトリウム、アジピン酸ナトリウム、イタコン酸ナトリウム、マレイン酸ナトリウム、フマル酸ナトリウム、シトラコン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ギ酸カリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸カリウム、ブタン酸カリウム、ペンタン酸カリウム、ヘキサン酸カリウム、ヘプタン酸カリウム、オクタン酸カリウム、ノナン酸カリウム、デカン酸カリウム、オレイン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、リノール酸カリウム、リノレン酸カリウム、安息香酸カリウム、フタル酸カリウム、イソフタル酸カリウム、テレフタル酸カリウム、サリチル酸カリウム、トリフルオロ酢酸カリウム、モノクロロ酢酸カリウム、ジクロロ酢酸カリウム、トリクロロ酢酸カリウム、水酸化カリウム、シュウ酸水素カリウム、マロン酸水素カリウム、メチルマロン酸水素カリウム、エチルマロン酸水素カリウム、プロピルマロン酸水素カリウム、ブチルマロン酸水素カリウム、ジメチルマロン酸水素カリウム、ジエチルマロン酸水素カリウム、コハク酸水素カリウム、メチルコハク酸水素カリウム、グルタル酸水素カリウム、アジピン酸水素カリウム、イタコン酸水素カリウム、マレイン酸水素カリウム、フマル酸水素カリウム、シトラコン酸水素カリウム、クエン酸水素カリウム、炭酸水素カリウム、シュウ酸カリウム、マロン酸カリウム、メチルマロン酸カリウム、エチルマロン酸カリウム、プロピルマロン酸カリウム、ブチルマロン酸カリウム、ジメチルマロン酸カリウム、ジエチルマロン酸カリウム、コハク酸カリウム、メチルコハク酸カリウム、グルタル酸カリウム、アジピン酸カリウム、イタコン酸カリウム、マレイン酸カリウム、フマル酸カリウム、シトラコン酸カリウム、クエン酸カリウム、炭酸カリウム等を例示できる。
【0120】
上記一般式(4)で示される化合物としては、例えば、下記一般式(Q−1)、(Q−2)及び(Q−3)で示されるスルホニウム化合物、ヨードニウム化合物、及びアンモニウム化合物を挙げることができる。
【化14】

(式中、R204、R205、R206はそれぞれ炭素数1〜12の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基、又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20の置換若しくは非置換のアリール基、あるいは炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシル基等によって置換されていてもよい。また、R205とR206とはこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R205、R206はそれぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示す。Aは非求核性対向イオンを表す。R207、R208、R209、R210は、R204、R205、R206と同様であるが、水素原子であってもよい。R207とR208、R207とR208とR209とはこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R207とR208及びR207とR208とR209は炭素数3〜10のアルキレン基を示す。)
【0121】
上記R204、R205、R206、R207、R208、R209、R210は互いに同一であっても異なっていてもよく、具体的にはアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロプロピルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。オキソアルキル基としては、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基等が挙げられ、2−オキソプロピル基、2−シクロペンチル−2−オキソエチル基、2−シクロヘキシル−2−オキソエチル基、2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−オキソエチル基等を挙げることができる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等や、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基等のアルキルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基等のアルコキシナフチル基、ジメチルナフチル基、ジエチルナフチル基等のジアルキルナフチル基、ジメトキシナフチル基、ジエトキシナフチル基等のジアルコキシナフチル基等が挙げられる。アラルキル基としてはベンジル基、フェニルエチル基、フェネチル基等が挙げられる。アリールオキソアルキル基としては、2−フェニル−2−オキソエチル基、2−(1−ナフチル)−2−オキソエチル基、2−(2−ナフチル)−2−オキソエチル基等の2−アリール−2−オキソエチル基等が挙げられる。
【0122】
上記Aとしては水酸イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、ブタン酸イオン、ペンタン酸イオン、ヘキサン酸イオン、ヘプタン酸イオン、オクタン酸イオン、ノナン酸イオン、デカン酸イオン、オレイン酸イオン、ステアリン酸イオン、リノール酸イオン、リノレン酸イオン、安息香酸イオン、p−メチル安息香酸イオン、p−t−ブチル安息香酸イオン、フタル酸イオン、イソフタル酸イオン、テレフタル酸イオン、サリチル酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、モノクロロ酢酸イオン、ジクロロ酢酸イオン、トリクロロ酢酸イオン、硝酸イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、臭素酸イオン、ヨウ素酸イオン、シュウ酸イオン、マロン酸イオン、メチルマロン酸イオン、エチルマロン酸イオン、プロピルマロン酸イオン、ブチルマロン酸イオン、ジメチルマロン酸イオン、ジエチルマロン酸イオン、コハク酸イオン、メチルコハク酸イオン、グルタル酸イオン、アジピン酸イオン、イタコン酸イオン、マレイン酸イオン、フマル酸イオン、シトラコン酸イオン、クエン酸イオン、炭酸イオン等が挙げられる。
【0123】
具体的には、スルホニウム化合物として、ギ酸トリフェニルスルホニウム、酢酸トリフェニルスルホニウム、プロピオン酸トリフェニルスルホニウム、ブタン酸トリフェニルスルホニウム、ペンタン酸トリフェニルスルホニウム、ヘキサン酸トリフェニルスルホニウム、ヘプタン酸トリフェニルスルホニウム、オクタン酸トリフェニルスルホニウム、ノナン酸トリフェニルスルホニウム、デカン酸トリフェニルスルホニウム、オレイン酸トリフェニルスルホニウム、ステアリン酸トリフェニルスルホニウム、リノール酸トリフェニルスルホニウム、リノレン酸トリフェニルスルホニウム、安息香酸トリフェニルスルホニウム、p−メチル安息香酸トリフェニルスルホニウム、p−t−ブチル安息香酸トリフェニルスルホニウム、フタル酸トリフェニルスルホニウム、イソフタル酸トリフェニルスルホニウム、テレフタル酸トリフェニルスルホニウム、サリチル酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロ酢酸トリフェニルスルホニウム、モノクロロ酢酸トリフェニルスルホニウム、ジクロロ酢酸トリフェニルスルホニウム、トリクロロ酢酸トリフェニルスルホニウム、水酸化トリフェニルスルホニウム、シュウ酸トリフェニルスルホニウム、マロン酸トリフェニルスルホニウム、メチルマロン酸トリフェニルスルホニウム、エチルマロン酸トリフェニルスルホニウム、プロピルマロン酸トリフェニルスルホニウム、ブチルマロン酸トリフェニルスルホニウム、ジメチルマロン酸トリフェニルスルホニウム、ジエチルマロン酸トリフェニルスルホニウム、コハク酸トリフェニルスルホニウム、メチルコハク酸トリフェニルスルホニウム、グルタル酸トリフェニルスルホニウム、アジピン酸トリフェニルスルホニウム、イタコン酸トリフェニルスルホニウム、マレイン酸トリフェニルスルホニウム、フマル酸トリフェニルスルホニウム、シトラコン酸トリフェニルスルホニウム、クエン酸トリフェニルスルホニウム、炭酸トリフェニルスルホニウム、塩化トリフェニルスルホニウム、臭化トリフェニルスルホニウム、ヨウ化トリフェニルスルホニウム、硝酸トリフェニルスルホニウム、塩素酸トリフェニルスルホニウム、過塩素酸トリフェニルスルホニウム、臭素酸トリフェニルスルホニウム、ヨウ素酸トリフェニルスルホニウム、シュウ酸ビストリフェニルスルホニウム、マロン酸ビストリフェニルスルホニウム、メチルマロン酸ビストリフェニルスルホニウム、エチルマロン酸ビストリフェニルスルホニウム、プロピルマロン酸ビストリフェニルスルホニウム、ブチルマロン酸ビストリフェニルスルホニウム、ジメチルマロン酸ビストリフェニルスルホニウム、ジエチルマロン酸ビストリフェニルスルホニウム、コハク酸ビストリフェニルスルホニウム、メチルコハク酸ビストリフェニルスルホニウム、グルタル酸ビストリフェニルスルホニウム、アジピン酸ビストリフェニルスルホニウム、イタコン酸ビストリフェニルスルホニウム、マレイン酸ビストリフェニルスルホニウム、フマル酸ビストリフェニルスルホニウム、シトラコン酸ビストリフェニルスルホニウム、クエン酸ビストリフェニルスルホニウム、炭酸ビストリフェニルスルホニウム等が挙げられる。
【0124】
また、ヨードニウム化合物として具体的には、ギ酸ジフェニルヨードニウム、酢酸ジフェニルヨードニウム、プロピオン酸ジフェニルヨードニウム、ブタン酸ジフェニルヨードニウム、ペンタン酸ジフェニルヨードニウム、ヘキサン酸ジフェニルヨードニウム、ヘプタン酸ジフェニルヨードニウム、オクタン酸ジフェニルヨードニウム、ノナン酸ジフェニルヨードニウム、デカン酸ジフェニルヨードニウム、オレイン酸ジフェニルヨードニウム、ステアリン酸ジフェニルヨードニウム、リノール酸ジフェニルヨードニウム、リノレン酸ジフェニルヨードニウム、安息香酸ジフェニルヨードニウム、p−メチル安息香酸ジフェニルヨードニウム、p−t−ブチル安息香酸ジフェニルヨードニウム、フタル酸ジフェニルヨードニウム、イソフタル酸ジフェニルヨードニウム、テレフタル酸ジフェニルヨードニウム、サリチル酸ジフェニルヨードニウム、トリフルオロ酢酸ジフェニルヨードニウム、モノクロロ酢酸ジフェニルヨードニウム、ジクロロ酢酸ジフェニルヨードニウム、トリクロロ酢酸ジフェニルヨードニウム、水酸化ジフェニルヨードニウム、シュウ酸ジフェニルヨードニウム、マロン酸ジフェニルヨードニウム、メチルマロン酸ジフェニルヨードニウム、エチルマロン酸ジフェニルヨードニウム、プロピルマロン酸ジフェニルヨードニウム、ブチルマロン酸ジフェニルヨードニウム、ジメチルマロン酸ジフェニルヨードニウム、ジエチルマロン酸ジフェニルヨードニウム、コハク酸ジフェニルヨードニウム、メチルコハク酸ジフェニルヨードニウム、グルタル酸ジフェニルヨードニウム、アジピン酸ジフェニルヨードニウム、イタコン酸ジフェニルヨードニウム、マレイン酸ジフェニルヨードニウム、フマル酸ジフェニルヨードニウム、シトラコン酸ジフェニルヨードニウム、クエン酸ジフェニルヨードニウム、炭酸ジフェニルヨードニウム、塩化ジフェニルヨードニウム、臭化ジフェニルヨードニウム、ヨウ化ジフェニルヨードニウム、硝酸ジフェニルヨードニウム、塩素酸ジフェニルヨードニウム、過塩素酸ジフェニルヨードニウム、臭素酸ジフェニルヨードニウム、ヨウ素酸ジフェニルヨードニウム、シュウ酸ビスジフェニルヨードニウム、マロン酸ビスジフェニルヨードニウム、メチルマロン酸ビスジフェニルヨードニウム、エチルマロン酸ビスジフェニルヨードニウム、プロピルマロン酸ビスジフェニルヨードニウム、ブチルマロン酸ビスジフェニルヨードニウム、ジメチルマロン酸ビスジフェニルヨードニウム、ジエチルマロン酸ビスジフェニルヨードニウム、コハク酸ビスジフェニルヨードニウム、メチルコハク酸ビスジフェニルヨードニウム、グルタル酸ビスジフェニルヨードニウム、アジピン酸ビスジフェニルヨードニウム、イタコン酸ビスジフェニルヨードニウム、マレイン酸ビスジフェニルヨードニウム、フマル酸ビスジフェニルヨードニウム、シトラコン酸ビスジフェニルヨードニウム、クエン酸ビスジフェニルヨードニウム、炭酸ビスジフェニルヨードニウム等が挙げられる。
【0125】
一方、アンモニウム化合物として具体的には、ギ酸テトラメチルアンモニウム、酢酸テトラメチルアンモニウム、プロピオン酸テトラメチルアンモニウム、ブタン酸テトラメチルアンモニウム、ペンタン酸テトラメチルアンモニウム、ヘキサン酸テトラメチルアンモニウム、ヘプタン酸テトラメチルアンモニウム、オクタン酸テトラメチルアンモニウム、ノナン酸テトラメチルアンモニウム、デカン酸テトラメチルアンモニウム、オレイン酸テトラメチルアンモニウム、ステアリン酸テトラメチルアンモニウム、リノール酸テトラメチルアンモニウム、リノレン酸テトラメチルアンモニウム、安息香酸テトラメチルアンモニウム、p−メチル安息香酸テトラメチルアンモニウム、p−t−ブチル安息香酸テトラメチルアンモニウム、フタル酸テトラメチルアンモニウム、イソフタル酸テトラメチルアンモニウム、テレフタル酸テトラメチルアンモニウム、サリチル酸テトラメチルアンモニウム、トリフルオロ酢酸テトラメチルアンモニウム、モノクロロ酢酸テトラメチルアンモニウム、ジクロロ酢酸テトラメチルアンモニウム、トリクロロ酢酸テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、シュウ酸テトラメチルアンモニウム、マロン酸テトラメチルアンモニウム、メチルマロン酸テトラメチルアンモニウム、エチルマロン酸テトラメチルアンモニウム、プロピルマロン酸テトラメチルアンモニウム、ブチルマロン酸テトラメチルアンモニウム、ジメチルマロン酸テトラメチルアンモニウム、ジエチルマロン酸テトラメチルアンモニウム、コハク酸テトラメチルアンモニウム、メチルコハク酸テトラメチルアンモニウム、グルタル酸テトラメチルアンモニウム、アジピン酸テトラメチルアンモニウム、イタコン酸テトラメチルアンモニウム、マレイン酸テトラメチルアンモニウム、フマル酸テトラメチルアンモニウム、シトラコン酸テトラメチルアンモニウム、クエン酸テトラメチルアンモニウム、炭酸テトラメチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、硝酸テトラメチルアンモニウム、塩素酸テトラメチルアンモニウム、過塩素酸テトラメチルアンモニウム、臭素酸テトラメチルアンモニウム、ヨウ素酸テトラメチルアンモニウム、シュウ酸ビステトラメチルアンモニウム、マロン酸ビステトラメチルアンモニウム、メチルマロン酸ビステトラメチルアンモニウム、エチルマロン酸ビステトラメチルアンモニウム、プロピルマロン酸ビステトラメチルアンモニウム、ブチルマロン酸ビステトラメチルアンモニウム、ジメチルマロン酸ビステトラメチルアンモニウム、ジエチルマロン酸ビステトラメチルアンモニウム、コハク酸ビステトラメチルアンモニウム、メチルコハク酸ビステトラメチルアンモニウム、グルタル酸ビステトラメチルアンモニウム、アジピン酸ビステトラメチルアンモニウム、イタコン酸ビステトラメチルアンモニウム、マレイン酸ビステトラメチルアンモニウム、フマル酸ビステトラメチルアンモニウム、シトラコン酸ビステトラメチルアンモニウム、クエン酸ビステトラメチルアンモニウム、炭酸ビステトラメチルアンモニウム、ギ酸テトラプロピルアンモニウム、酢酸テトラプロピルアンモニウム、プロピオン酸テトラプロピルアンモニウム、ブタン酸テトラプロピルアンモニウム、ペンタン酸テトラプロピルアンモニウム、ヘキサン酸テトラプロピルアンモニウム、ヘプタン酸テトラプロピルアンモニウム、オクタン酸テトラプロピルアンモニウム、ノナン酸テトラプロピルアンモニウム、デカン酸テトラプロピルアンモニウム、オレイン酸テトラプロピルアンモニウム、ステアリン酸テトラプロピルアンモニウム、リノール酸テトラプロピルアンモニウム、リノレン酸テトラプロピルアンモニウム、安息香酸テトラプロピルアンモニウム、p−メチル安息香酸テトラプロピルアンモニウム、p−t−ブチル安息香酸テトラプロピルアンモニウム、フタル酸テトラプロピルアンモニウム、イソフタル酸テトラプロピルアンモニウム、テレフタル酸テトラプロピルアンモニウム、サリチル酸テトラプロピルアンモニウム、トリフルオロ酢酸テトラプロピルアンモニウム、モノクロロ酢酸テトラプロピルアンモニウム、ジクロロ酢酸テトラプロピルアンモニウム、トリクロロ酢酸テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、シュウ酸テトラプロピルアンモニウム、マロン酸テトラプロピルアンモニウム、メチルマロン酸テトラプロピルアンモニウム、エチルマロン酸テトラプロピルアンモニウム、プロピルマロン酸テトラプロピルアンモニウム、ブチルマロン酸テトラプロピルアンモニウム、ジメチルマロン酸テトラプロピルアンモニウム、ジエチルマロン酸テトラプロピルアンモニウム、コハク酸テトラプロピルアンモニウム、メチルコハク酸テトラプロピルアンモニウム、グルタル酸テトラプロピルアンモニウム、アジピン酸テトラプロピルアンモニウム、イタコン酸テトラプロピルアンモニウム、マレイン酸テトラプロピルアンモニウム、フマル酸テトラプロピルアンモニウム、シトラコン酸テトラプロピルアンモニウム、クエン酸テトラプロピルアンモニウム、炭酸テトラプロピルアンモニウム、塩化テトラプロピルアンモニウム、臭化テトラプロピルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム、硝酸テトラプロピルアンモニウム、塩素酸テトラプロピルアンモニウム、過塩素酸テトラプロピルアンモニウム、臭素酸テトラプロピルアンモニウム、ヨウ素酸テトラプロピルアンモニウム、シュウ酸ビステトラプロピルアンモニウム、マロン酸ビステトラプロピルアンモニウム、メチルマロン酸ビステトラプロピルアンモニウム、エチルマロン酸ビステトラプロピルアンモニウム、プロピルマロン酸ビステトラプロピルアンモニウム、ブチルマロン酸ビステトラプロピルアンモニウム、ジメチルマロン酸ビステトラプロピルアンモニウム、ジエチルマロン酸ビステトラプロピルアンモニウム、コハク酸ビステトラプロピルアンモニウム、メチルコハク酸ビステトラプロピルアンモニウム、グルタル酸ビステトラプロピルアンモニウム、アジピン酸ビステトラプロピルアンモニウム、イタコン酸ビステトラプロピルアンモニウム、マレイン酸ビステトラプロピルアンモニウム、フマル酸ビステトラプロピルアンモニウム、シトラコン酸ビステトラプロピルアンモニウム、クエン酸ビステトラプロピルアンモニウム、炭酸ビステトラプロピルアンモニウム、ギ酸テトラブチルアンモニウム、酢酸テトラブチルアンモニウム、プロピオン酸テトラブチルアンモニウム、ブタン酸テトラブチルアンモニウム、ペンタン酸テトラブチルアンモニウム、ヘキサン酸テトラブチルアンモニウム、ヘプタン酸テトラブチルアンモニウム、オクタン酸テトラブチルアンモニウム、ノナン酸テトラブチルアンモニウム、デカン酸テトラブチルアンモニウム、オレイン酸テトラブチルアンモニウム、ステアリン酸テトラブチルアンモニウム、リノール酸テトラブチルアンモニウム、リノレン酸テトラブチルアンモニウム、安息香酸テトラブチルアンモニウム、p−メチル安息香酸テトラブチルアンモニウム、p−t−ブチル安息香酸テトラブチルアンモニウム、フタル酸テトラブチルアンモニウム、イソフタル酸テトラブチルアンモニウム、テレフタル酸テトラブチルアンモニウム、サリチル酸テトラブチルアンモニウム、トリフルオロ酢酸テトラブチルアンモニウム、モノクロロ酢酸テトラブチルアンモニウム、ジクロロ酢酸テトラブチルアンモニウム、トリクロロ酢酸テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、シュウ酸テトラブチルアンモニウム、マロン酸テトラブチルアンモニウム、メチルマロン酸テトラブチルアンモニウム、エチルマロン酸テトラブチルアンモニウム、プロピルマロン酸テトラブチルアンモニウム、ブチルマロン酸テトラブチルアンモニウム、ジメチルマロン酸テトラブチルアンモニウム、ジエチルマロン酸テトラブチルアンモニウム、コハク酸テトラブチルアンモニウム、メチルコハク酸テトラブチルアンモニウム、グルタル酸テトラブチルアンモニウム、アジピン酸テトラブチルアンモニウム、イタコン酸テトラブチルアンモニウム、マレイン酸テトラブチルアンモニウム、フマル酸テトラブチルアンモニウム、シトラコン酸テトラブチルアンモニウム、クエン酸テトラブチルアンモニウム、炭酸テトラブチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、硝酸テトラブチルアンモニウム、塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、臭素酸テトラブチルアンモニウム、ヨウ素酸テトラブチルアンモニウム、シュウ酸ビステトラブチルアンモニウム、マロン酸ビステトラブチルアンモニウム、メチルマロン酸ビステトラブチルアンモニウム、エチルマロン酸ビステトラブチルアンモニウム、プロピルマロン酸ビステトラブチルアンモニウム、ブチルマロン酸ビステトラブチルアンモニウム、ジメチルマロン酸ビステトラブチルアンモニウム、ジエチルマロン酸ビステトラブチルアンモニウム、コハク酸ビステトラブチルアンモニウム、メチルコハク酸ビステトラブチルアンモニウム、グルタル酸ビステトラブチルアンモニウム、アジピン酸ビステトラブチルアンモニウム、イタコン酸ビステトラブチルアンモニウム、マレイン酸ビステトラブチルアンモニウム、フマル酸ビステトラブチルアンモニウム、シトラコン酸ビステトラブチルアンモニウム、クエン酸ビステトラブチルアンモニウム、炭酸ビステトラブチルアンモニウム等を例示することができる。
【0126】
尚、上記熱架橋促進剤(B)は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。熱架橋促進剤の添加量は、ベースポリマー(上記方法で得られた(A)成分のケイ素含有化合物)100質量部に対して、好ましくは0.01〜50質量部、より好ましくは0.1〜40質量部である。
【0127】
本発明の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物の安定性を確保するため、(C)成分として炭素数が1〜30の1価又は2価以上の有機酸を添加しなくてはいけない。このとき添加する有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、トリフルオロ酢酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、シュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、プロピルマロン酸、ブチルマロン酸、ジメチルマロン酸、ジエチルマロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、クエン酸等を例示することができる。特にシュウ酸、マレイン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸等が好ましい。また、安定性を保つため、2種以上の酸を混合して使用してもよい。
【0128】
有機酸の添加量は、組成物に含まれるケイ素含有化合物100質量部に対して0.001〜25質量部、好ましくは0.01〜15質量部、より好ましくは0.1〜5質量部である。
あるいは、上記有機酸を組成物のpHに換算して、好ましくは0≦pH≦7、より好ましくは0.3≦pH≦6.5、更に好ましくは0.5≦pH≦6となるように配合することがよい。
【0129】
本発明の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物には、(D)成分として、前記ケイ素含有化合物(A)の製造時に使用したものと同様の有機溶剤、好ましくは水溶性有機溶剤、特にエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のモノアルキルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール等のモノアルキルエーテルを使用する。具体的には、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテルなどから選ばれる有機溶剤を使用する。
【0130】
本発明の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物には、水を添加してもよい。水を添加すると、ケイ素含有化合物が水和されるため、リソグラフィー性能が向上する。水を添加する場合の組成物の溶剤成分における好ましい水の含有率は、0質量%を超え50質量%未満であり、特に好ましくは0.3〜30質量%、更に好ましくは0.5〜20質量%である。
このような添加量であれば、塗布膜の均一性及びリソグラフィー性能が良好となる。
【0131】
水を含む全溶剤の使用量は、(A)成分であるベースポリマー100質量部に対して500〜100,000質量部、特に400〜50,000質量部が好適である。
【0132】
また、本発明では光酸発生剤を使用してもよい。本発明で使用される光酸発生剤として、具体的には、特開2009−126940号公報の(0160)から(0179)段落に記載されている材料を添加することができる。
【0133】
更に、本発明の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物に安定剤として環状エーテルを置換基として有する1価又は2価以上のアルコール、特に特開2009−126940号公報の(0181)〜(0184)段落に記載されているような材料を添加すると、ケイ素含有膜形成用組成物の安定性を向上させることができる。
【0134】
更に、本発明では必要に応じて界面活性剤を配合することが可能である。このようなものとして、具体的には、特開2009−126940号公報の(0185)段落に記載されている材料を添加することができる。
【0135】
本発明の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物から得られる、エッチングマスク用として有効なケイ素含有膜は、フォトレジスト膜と同様にスピンコート法等で基板上に作製することが可能である。スピンコート後、溶剤を蒸発させ、上層レジスト膜とのミキシング防止のため、架橋反応を促進させるためにベークをすることが望ましい。ベーク温度は50〜500℃の範囲内で、10〜300秒の範囲内が好ましく用いられる。特に好ましい温度範囲は、製造されるデバイスの構造にもよるが、デバイスへの熱ダメージを少なくするため、400℃以下が好ましい。
【0136】
ここで、本発明においては、被加工基板の被加工部分の上に下層膜を介して上記本発明の組成物を用いてケイ素含有膜を形成し、その上にフォトレジスト膜を形成して得た基板を用いて、基板にパターン形成を行うことができる。
この場合、被加工基板の被加工部分としては、k値が3以下の低誘電率絶縁膜、一次加工された低誘電率絶縁膜、窒素及び/又は酸素含有無機膜、金属膜等を挙げることができる。尚、下層膜は有機膜であることが好ましく、またフォトレジスト膜を形成するレジスト組成物はケイ素を含まない化学増幅型レジスト組成物が好ましい。
【0137】
更に詳しくは、被加工基板は、ベース基板上に被加工層(被加工部分)を形成したものとすることができる。ベース基板としては、特に限定されるものではなく、Si、アモルファスシリコン(α−Si)、p−Si、SiO、SiN、SiON、W、TiN、Al等で被加工層と異なる材質のものが用いられてもよい。被加工層としては、Si、SiO、SiN、SiON、p−Si、α−Si、W、W−Si、Al、Cu、Al−Si等及び種々の低誘電膜及びそのエッチングストッパー膜が用いられ、通常50〜10,000nm、特に100〜5,000nmの厚さに形成し得る。
【0138】
本発明の組成物によるケイ素含有膜をArFエキシマレーザー光による露光プロセスに使用する場合、上層のレジスト膜としては、通常のArFエキシマレーザー光用レジスト組成物はいずれも使用可能である。ArFエキシマレーザー光用レジスト組成物は多数の候補がすでに公知であり、ポジ型であれば、酸の作用により酸不安定基が分解してアルカリ水溶液に可溶性となる樹脂と光酸発生剤及び酸の拡散を制御するための塩基性物質が、ネガ型であれば、酸の作用により架橋剤と反応してアルカリ水溶液に不溶性になる樹脂と光酸発生剤、架橋剤及び酸の拡散を制御するための塩基性物質が主要成分であるが、どのような樹脂を使用するかにより特性に差がある。すでに公知の樹脂を大別すると、ポリ(メタ)アクリル系、COMA(Cyclo Olefin Maleic Anhydride)系、COMA−(メタ)アクリルハイブリッド系、ROMP(Ring Opening Methathesis Polymerization)系、ポリノルボルネン系等があるが、このうち、ポリ(メタ)アクリル系樹脂を使用したレジスト組成物は、側鎖に脂環式骨格を導入することでエッチング耐性を確保しているため、解像性能は、他の樹脂系に比較して優れる。
【0139】
ポリ(メタ)アクリル系樹脂を使用したArFエキシマレーザー用レジスト組成物は多数のものが公知になっている(例えば、特開2003−84438号公報等)が、ポジ型用としては、いずれも主要機能としてエッチング耐性を確保するためのユニット、酸の作用により分解してアルカリ可溶性に変化するユニット、密着性を確保するためのユニット等の組み合わせ、あるいは場合により1つのユニットが上記の機能の2以上を兼ねるユニットを含む組み合わせによりポリマーが構成される。このうち、酸によりアルカリ溶解性が変化するユニットとしては、アダマンタン骨格を持つ酸不安定基を持つ(メタ)アクリル酸エステルや、ノルボルナンやテトラシクロドデカン骨格を持つ酸不安定基を有する(メタ)アクリル酸エステルは高い解像性とエッチング耐性を与え、特に好ましく使用される。また、密着性を確保するためのユニットとしては、ラクトン環を持つノルボルナン側鎖を有する(メタ)アクリル酸エステル、オキサノルボルナン側鎖を有する(メタ)アクリル酸エステルや、ヒドロキシアダマンチル側鎖を有する(メタ)アクリル酸エステルが良好なエッチング耐性と高い解像性を与えることから特に好ましく使用できる。また、更に隣接位がフッ素置換されることにより酸性を示すアルコールを官能基として持つユニットをポリマーが含有するものは、ポリマーに膨潤を抑制する物性を与え、高い解像性を与えることから、特に近年注目されているイマージョン法に対応するレジストポリマーとして注目されているが、ポリマー中にフッ素が含有されることにより、エッチング耐性が低下することが問題になっている。本発明のケイ素含有膜は、このようなエッチング耐性が確保しにくい有機レジスト組成物に対して特に有効に使用することができる。
【0140】
本発明の組成物により形成されるケイ素含有膜の使用例として、ケイ素含有膜層を作製した後、その上にフォトレジスト組成物溶液を用いてフォトレジスト層を作製するが、ケイ素含有膜層と同様にスピンコート法が好ましく用いられる。レジスト組成物をスピンコート後、プリベークを行うが、80〜180℃で10〜300秒の範囲が好ましい。その後露光を行い、ポストエクスポジュアーベーク(PEB)、現像を行い、レジストパターンを得る。
【0141】
このようなケイ素含有膜にパターンを形成する場合、フロン系ガス等のフッ素を含有したガスを主成分としたガスを使ってエッチングを行う。本発明のケイ素含有膜は前記ガスに対するエッチング速度が速く、上層のレジスト膜の膜減りが小さいという特徴がある。
【0142】
また、本発明の組成物により形成されるケイ素含有膜を用いる多層レジスト法では、ケイ素含有膜と被加工基板の間に下層膜を設ける。下層膜を被加工基板のエッチングマスクとする場合には、下層膜は芳香族骨格を有する有機膜であることが好ましいが、下層膜が犠牲膜である場合等は、有機膜だけではなく、ケイ素含量が15質量%以下のものであればケイ素含有材料であってもよい。
【0143】
本発明で示されているケイ素含有膜の別の使用例として、下層膜を被加工基板のエッチングマスクとなる有機膜を使用した多層レジスト法がある。この有機膜は、パターン形成されたレジストパターンをケイ素含有膜に転写した後、更にそのパターンをもう一度転写させる膜であり、ケイ素含有膜が高いエッチング耐性を示すエッチング条件でエッチング加工できるという特性を持つと共に、被加工基板をエッチング加工する条件に対しては高いエッチング耐性を持つという特性が要求される。
【0144】
そのような下層膜としての有機膜は既に3層レジスト法用、あるいはシリコンレジスト組成物を使用した2層レジスト法用の下層膜として多数公知であり(例えば、特開2005−128509号公報記載の4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノールノボラック樹脂(分子量11,000)の他、ノボラック樹脂をはじめとする多数の樹脂)、それらをいずれも使用することができる。また、通常のノボラックよりも耐熱性を上げたい場合には、4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノールノボラック樹脂のような多環式骨格を入れることもでき、更にポリイミド系樹脂を選択することもできる(例えば、特開2004−153125号公報)。
【0145】
このように、下層膜として芳香族骨格を有する有機膜を用いると、リソグラフィー工程における反射防止効果があるだけでなく、基板をエッチング加工するときに十分なエッチング耐性を持つ膜となり、エッチング加工が可能となる。
【0146】
上記有機膜は、組成物溶液を用い、フォトレジスト組成物と同様にスピンコート法等で基板上に形成することが可能である。スピンコート法等でレジスト下層膜を形成した後、有機溶剤を蒸発させるためベークをすることが望ましい。ベーク温度は80〜300℃の範囲内で、10〜300秒の範囲内が好ましく用いられる。
【0147】
尚、特に限定されるものではないが、エッチング加工条件により異なるが下層膜の厚さは5nm以上、特に20nm以上であり、50,000nm以下であることが好ましく、本発明に係るケイ素含有膜の厚さは1nm以上100nm以下であり、好ましくは80nm以下、更に好ましくは70nm以下である。また、フォトレジスト膜の厚さは1nm以上150nm以下であることが好ましい。
【0148】
本発明の組成物により形成されるケイ素含有膜を用いた3層レジスト法を適用した本発明のパターン形成方法は、例えば次の通りである。
このプロセスにおいては、まず被加工基板上に有機膜をスピンコート法等で作製する。この有機膜は、被加工基板をエッチングするときのマスクとして作用するので、エッチング耐性が高いことが望ましく、上層のケイ素含有膜とミキシングしないことが求められるので、スピンコートした後に熱あるいは酸によって架橋することが望ましい。
【0149】
その上に本発明の組成物から得られたケイ素含有膜、フォトレジスト膜を前記方法で成膜する。レジスト膜は、定法に従い、レジスト膜に応じた光源、例えばKrFエキシマレーザー光や、ArFエキシマレーザー光、Fレーザー光、あるいはEUV光を用いて、パターン露光し、個々のレジスト膜に合わせた条件による加熱処理の後、現像液による現像操作を行うことでレジストパターンを得ることができる。
【0150】
次にこのレジストパターンをエッチングマスクとして、レジスト膜に対し、ケイ素含有膜のエッチング速度が優位に高いドライエッチング条件、例えばフッ素系ガスプラズマによるドライエッチングでのエッチングを行う。結果としてレジスト膜のサイドエッチングによるパターン変化の影響を殆ど受けずに、ケイ素含有膜パターンを得ることができる。
【0151】
次に、上記で得たレジストパターンが転写されたケイ素含有膜パターンを持つ基板に対し、下層有機膜のエッチング速度が優位に高いドライエッチング条件、例えば酸素を含有するガスプラズマによる反応性ドライエッチングや、水素−窒素を含有するガスプラズマによる反応性ドライエッチングを行い、下層有機膜をエッチング加工する。このエッチング工程により下層有機膜のパターンが得られるが、同時に最上層のレジスト層は、通常失われる。
【0152】
更に、ここで得られた下層有機膜をエッチングマスクとして、被加工基板のドライエッチング、例えば、フッ素系ドライエッチングや塩素系ドライエッチングを使用することで、被加工基板を精度よくエッチング加工することができる。
【実施例】
【0153】
以下、合成例、比較合成例、実施例と比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの記載によって限定されるものではない。尚、下記例で%は質量%を示し、分子量測定はGPCによった。
【0154】
[合成例1]
エタノール40g、メタンスルホン酸1g及び脱イオン水50gの混合物にフェニルトリメトキシシラン2g、3、3、3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン2g、ホウ酸トリプロピル2g及びテトラエトキシシラン35gの混合物を添加し、そのまま、12時間、40℃に保持し、加水分解縮合させた。反応終了後、プロピレングリコールメチルエーテル100gを加え、副生アルコールを減圧で留去した。そこに、酢酸エチル1000ml及びプロピレングリコールメチルエーテル300gを加え、水層を分液した。残った有機層に、イオン交換水100mlを加えて撹拌、静置、分液した。これを3回繰り返した。残った有機層を減圧で濃縮してケイ素含有化合物1のプロピレングリコールメチルエーテル溶液100g(ポリマー濃度10%)を得た。得られた溶液をイオンクロマトグラフでメタンスルホン酸イオンを分析したが、検出されなかった。このもののポリスチレン換算分子量を測定したところMw=2,500であった。
【0155】
[合成例2〜6、比較合成例1]
合成例1と同様の条件で、表1に示してあるモノマーを使用してそれぞれ目的のケイ素含有化合物を得た。
【表1】

【0156】
[実施例1〜6、比較例1]
上記合成例及び比較合成例で得られたケイ素含有化合物1〜7、有機酸、熱架橋促進剤、溶剤、添加剤を表2に示す割合で混合し、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって、ケイ素含有膜形成用組成物溶液をそれぞれ調製し、それぞれSol.1〜7とした。
【0157】
【表2】

【0158】
TPSOAc:酢酸トリフェニルスルホニウム
TPSMA:マレイン酸モノ(トリフェニルスルホニウム)
【0159】
次に、上記組成物Sol.1〜7を回転塗布し、200℃で1分間加熱成膜して、膜厚35nmのケイ素含有膜Film1〜7を作製した。これらの膜と、後述する有機下層膜及びフォトレジスト膜を下記のエッチング条件(1)及び(2)でエッチング試験を実施した。その結果を表3及び表4に示す。
【0160】
(1)CHF/CF系ガスでのエッチング試験
装置:東京エレクトロン(株)製ドライエッチング装置Telius SP
エッチング条件(1):
チャンバー圧力 10Pa
Upper/Lower RFパワー 500W/300W
CHFガス流量 50ml/min
CFガス流量 150ml/min
Arガス流量 100ml/min
処理時間 10sec
【0161】
(2)CO/N系ガスでのエッチング試験
装置:東京エレクトロン(株)製ドライエッチング装置Telius SP
エッチング条件(2):
チャンバー圧力 2Pa
Upper/Lower RFパワー 1000W/300W
COガス流量 300ml/min
ガス流量 100ml/min
Arガス流量 100ml/min
処理時間 15sec
【0162】
【表3】

【0163】
【表4】

【0164】
パターンエッチング試験
まず、Siウエハー上に9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、ホルムアルデヒド縮合樹脂(分子量11,000)含有組成物(樹脂28質量部、溶剤(PGMEA)100質量部)を回転塗布し、250℃で1分間加熱成膜して、膜厚200nmの有機下層膜を形成した。
【0165】
その上にケイ素含有膜形成用組成物溶液Sol.1〜7を塗布して200℃で60秒間ベークして膜厚35nmの中間層を形成した。更にその上に表5記載のArFレジスト溶液を塗布し、110℃で60秒間ベークして膜厚100nmのフォトレジスト層を形成した。
次いで、ArF液浸露光装置((株)ニコン製;NSR−S610C,NA1.30、σ0.98/0.65、35度ダイポールs偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)で露光し、100℃で60秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間現像し、43nm1:1のポジ型のラインアンドスペースパターンを得た。
【0166】
【表5】

【化15】

【0167】
次いで、レジストパターンをマスクにしてケイ素含有膜の加工を下記のエッチング条件(3)でドライエッチングし、パターンの断面形状を(株)日立製作所製電子顕微鏡(S−4700)で、エッチング加工後のパターンラフネスを(株)日立ハイテクノロジーズ製電子顕微鏡(CG4000)でそれぞれ形状を比較し、表6にまとめた。
【0168】
(3)CHF/CF系ガスでのパターンエッチング試験
装置:東京エレクトロン(株)製ドライエッチング装置Telius SP
エッチング条件(3):
チャンバー圧力 10Pa
Upper/Lower RFパワー 500W/300W
CHFガス流量 50ml/min
CFガス流量 150ml/min
Arガス流量 100ml/min
処理時間 40sec
【0169】
【表6】

【0170】
表3に示すように、本発明の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物により形成されたケイ素含有膜のCF/CHFガスエッチングの速度は、ArFレジストよりもエッチング速度は十分に速く、表4に示すようにCO/Nガスエッチング速度は、下層膜より十分に遅く、F原子を導入しても影響はない。表6に示すように現像後のレジスト形状、ケイ素含有膜加工エッチング後の断面形状及びパターンラフネスも本発明の組成物によるものは良好であることが認められ、本発明の組成物により得られたケイ素含有膜が十分な反射防止機能を有していることが判った。
【0171】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィーで用いられる多層レジスト法において成膜されるケイ素含有膜を形成するための熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物であって、少なくとも、
(A)下記一般式(1)で表される1種又は2種以上の加水分解性ケイ素化合物と、下記一般式(2−1)で表される加水分解性ケイ素化合物及び下記一般式(2−2)で表される反応性化合物からなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物とを加水分解縮合することにより得られるケイ素含有化合物、
m1Si(OR(4−m1) (1)
m3Si(OR(4−m3) (2−1)
U(ORm5(ORm6(O)m7/2 (2−2)
(式中、Rは1個以上のフッ素原子で置換されている炭素数1〜30の1価の有機基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜30の1価の有機基である。R、Rはそれぞれ同じでも異なっても良い。R、Rは炭素数1〜6のアルキル基であり、m1は1≦m1≦3を、m3は0≦m3≦3を満たす整数である。R、Rは炭素数1〜30の有機基である。m5+m6+m7/2はUの種類により決まる価数であり、m5、m6、m7はそれぞれ0以上の整数、Uは炭素とケイ素を除く周期律表のIII族、IV族、及びV族のいずれかの元素である。)
(B)下記一般式(3)又は(4)で表される1種又は2種以上の熱架橋促進剤、
X (3)
(式中、Lはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、及びセシウムのいずれか、Xは水酸基又は炭素数1〜30の1価又は2価以上の有機酸基であり、aは1以上の整数、bは0又は1以上の整数で、a+bは水酸基又は有機酸基の価数である。)
a’b’A (4)
(式中、Mはスルホニウム、ヨードニウム、及びアンモニウムのいずれかであり、Aは水酸基、炭素数1〜30の1価若しくは2価以上の有機酸基、又は非求核性対向イオンであり、a’は1以上の整数、b’は0又は1以上の整数で、a’+b’は水酸基、有機酸基、又は非求核性対向イオンの価数である。)
(C)炭素数が1〜30の1価又は2価以上の有機酸、
(D)有機溶剤
を含むことを特徴とする熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物。
【請求項2】
前記(A)成分のケイ素含有化合物が、酸を触媒とした加水分解縮合により得られるものであることを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物。
【請求項3】
前記酸触媒が、無機酸及びスルホン酸誘導体から選ばれる1種以上の化合物であることを特徴とする請求項2に記載の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物。
【請求項4】
前記一般式(4)中のMが、三級スルホニウム、二級ヨードニウム、及び四級アンモニウムのいずれかであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物。
【請求項5】
前記一般式(2−2)中のUが、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ゲルマニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ビスマス、スズ、リン、バナジウム、ヒ素、アンチモン、ニオブ、及びタンタルのいずれかであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物。
【請求項6】
少なくとも、被加工基板上に形成された有機膜と、該有機膜上に請求項1乃至5のいずれか1項に記載の組成物から形成されたケイ素含有膜と、該ケイ素含有膜上にフォトレジスト膜とが順次形成されたものであることを特徴とする基板。
【請求項7】
基板にパターンを形成する方法であって、少なくとも、被加工基板上に有機膜を形成し、該有機膜上に請求項1乃至5のいずれか1項に記載の熱硬化性ケイ素含有膜形成用組成物を用いてケイ素含有膜を形成し、更に該ケイ素含有膜上にケイ素を含まない化学増幅型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成し、該レジスト膜を露光、アルカリ現像した後、得られたレジスト膜パターンをエッチングマスクとして前記ケイ素含有膜をドライエッチングでパターン加工し、該加工されたケイ素含有膜パターンをエッチングマスクとして下層の前記有機膜をパターン加工し、更に該加工された有機膜をエッチングマスクとして前記被加工基板をエッチング加工して基板にパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項8】
前記レジスト膜パターンの形成において、波長が300nm以下の光若しくはEUV光を用いたフォトリソグラフィー法、又は電子線描画を用いることを特徴とする請求項7に記載のパターン形成方法。

【公開番号】特開2012−53253(P2012−53253A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195379(P2010−195379)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】