説明

ケモカインレセプタのモジュレータとしての3−(4−ヘテロアリールシクロヘキシルアミノ)シクロペンタンカルボキサミド

【課題】ケモカインレセプタのモジュレータとしての3−[4−ヘテロアリールシクロヘキシルアミノ]シクロペンタンカルボキサミドの提供。
【解決手段】本発明は、ケモカインレセプタのモジュレータである構造式(I)の化合物に関する。本発明の化合物、その組成物は、ケモカインレセプタ発現及び/又は活性に関係する疾病の治療において有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、CCR2といったようなケモカインレセプタの活性を変調させる化合物に関する。一部の実施形態では、化合物はCCR2について選択的である。該化合物は例えば、炎症性疾患、付随する炎症特性を伴う代謝性疾患、免疫病及び癌といったようなケモカインレセプタの発現又は活性と関連づけられる疾病を治療するために使用することができる。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
血管から病変組織内への白血球の遊走及び輸送は、正常な病気治療免疫応答の開始に関わっている。白血球動員としても知られているプロセスは、同様に炎症性及び自己免疫疾患の発症及び進行にも関係づけられている。これらの疾病の結果として発生する病状は、見かけ上正常である組織に対する体の免疫系防御の攻撃に由来する。従って、炎症性疾患、代謝性疾患、自己免疫疾患及び癌における標的組織への白血球の動員を防止し遮断することは、治療的介入に対するきわめて効果的なアプローチとなるであろう。
【0003】
細胞免疫応答に関与する異なる種類の細胞としては、単球、リンパ球、好中球、好酸球、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞及び好塩基球が含まれる。大部分のケースにおいて、単球及びリンパ球は、慢性炎症性応答を開始させ、調和させ維持する白血球の種類であり、これらの細胞を炎症性部位から遮断することが望ましい。リンパ球は、組織部位に対して単球をひきつけ、これはリンパ球と共同して、炎症性疾患において発生する実際の組織損傷の大部分の原因となる。リンパ球及び/又は単球の浸潤は、広範囲の慢性、自己免疫疾患と同様臓器移植拒絶をも導くものとして知られている。これらの疾患には、関節リウマチ、慢性接触性皮膚炎、ぜんそく、高アレルギー状態、炎症性腸疾患、狼瘡、全身性紅斑性狼瘡、多発性硬化症、アテローム性動脈硬化症、乾癬、サルコイドーシス、特発性肺線維症、皮膚筋炎、皮膚類天疱瘡及び関連疾患(例えばPempbigus vulgaris, P. foliacious, P. erythematosis)、糸球体腎炎、脈管炎、糖尿病、同種移植の拒絶反応及び移植片対宿主病が含まれるが、これらに制限されるわけではない。
【0004】
白血球が血流から離れ、炎症性部位に蓄積し疾病を開始するプロセスは、(1)ローリング、(2)活性化/強力な粘着及び(3)経内皮遊走として記述されてきた少なくとも3つの段階を有すると考えられている[Springer, T. A., Nature 346:425-433 (1990); Lawrence and Springer, Cell 65:859-873 (1991); Butcher, E. C., Cell 67:1033-1036 (1991)]。第2の段階は、化学誘引性レセプタにより分子レベルで媒介される。白血球の表面上の化学誘引性レセプタは、見かけの損傷又は感染の部位で細胞により分泌される化学誘引性サイトカインを結合させる。レセプタ結合は白血球を活性化し、経内皮遊走を媒介する粘着分子の粘着性を増大させ、化学誘引性サイトカインの供給源に向かっての細胞の有向遊走を誘発する。
【0005】
インタクリン及びSISサイトカインとしても知られ、ケモカインとしても知られている化学走化性サイトカイン(白血球化学誘引性/活性化因子)は、炎症性部位において、マクロファージ、単球、好酸球、好中球、線維芽細胞、血管内皮細胞、上皮細胞、平滑筋細胞及び肥満細胞といったような広範な細胞により放出される分子量6〜15kDaの炎症性/免疫変調性ポリペプチド因子の一群である(Luster, New Eng. J Med., 338, 436-445 (1998)及びRollins, Blood, 90, 909-928 (1997)中で再考されている)。同様に、ケモカインはJ. J. et al., Annu. Rev. Immunol., 9: 617-648 (1991); Schall and Bacon, Curr. Opin. Immunol., 6: 865-873 (1994); Baggiolini, M., et al., and Adv. Immunol., 55: 97-179 (1994)の中でも記述されてきた。ケモカインは、走化性と呼ばれるプロセスである有向細胞遊走を刺激する能力を有する。ケモカインは、2つのアミノ末端システイン残基が直接隣接しているか(CCファミリー)又は1つのアミノ酸によって分離されているか(CXCファミリー)に基づいて2つの主要なサブファミリーにグループ分けされ得る。これらの差異は別々の遺伝子クラスタへの2つのサブファミリーの組織と相関関係をもつ。各々の遺伝子クラスタの内部で、ケモカインは標準的に25〜60%の間の配列類似性を示す。インターロイキン−8(IL−8)、好中球活性化タンパク質−2(NAP−2)及び黒色腫成長刺激活性タンパク質(MGSA)といったようなCXCケモカインが主として好中球及びTリンパ球について化学走化性をもつのに対し、RANTES、MIP−1α、MIP−1β、単球化学走化性タンパク質(MCP−1、MCP−2、MCP−3、MCP−4及びMCP−5)及びエオタキシン(−1及び−2)といったようなCCケモカインは、他の細胞型の中でも、マクロファージ、Tリンパ球、好酸球、樹状細胞及び好塩基球について化学走化性をもつ。同様に、主要ケモカインサブファミリーのいずれにも入らないケモカインリンホタクチン−1、リンホタクチン−2(共にCケモカイン)及びフラクタルカイン(CXXXCケモカイン)も存在する。
【0006】
MCP−1(MCAF(マクロファージ化学走化性及び活性化因子の略号)又はJEとしても知られている)は、単球/マクロファージ、平滑筋細胞、繊維芽細胞及び血管内皮細胞によって産生されるCCケモカインであり、単球(例えばValente, A. J., et al., Biochemistry, 1988, 27, 4162; Matsushima, K., et al., J Exp. Med., 1989, 169, 1485; Yoshimura, T., et al., J Immunol., 1989, 142, 1956; Rollins, B. J., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1988, 85, 3738; Rollins, B. J., et al., Blood, 1991, 78, 1112; Jiang, Y., et al., J. Immunol., 1992, 148, 2423; Vaddi, K., et al., J. Immunol., 1994, 153, 4721を参照のこと)、記憶Tリンパ球(例えばCarr, M. W., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1994, 91,3652を参照のこと)、Tリンパ球(例えばLoetscher, P., et al., FASEB J., 1994, 8, 1055を参照のこと)及びナチュラルキラー細胞(例えばLoetscher, P., et al., J. Immunol., 1996, 156, 322; Allavena, P., et al., Eur. J. Immunol, 1994, 24, 3233を参照のこと)の細胞遊走及び細胞粘着ならびに好塩基球による媒介ヒスタミン放出(例えばAlam, R., et al., J. Clin. Invest., 1992, 89, 723; Bischoff, S. C., et al., J. Exp. Med., 1992, 175, 1271; Kuna, P., et al., J. Exp. Med., 1992, 175, 489を参照のこと)をひき起こす。さらに、アテローム性動脈硬化症(例えばHayes, I. M., et al., Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol., 1998, 18,397; Takeya, M., et al., Hum. Pathol., 1993, 24, 534; Yla-Herttuala, S., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1991, 88, 5252; Nelken, N. A., J. Clin. Invest, 1991, 88, 1121を参照のこと)、
【0007】
関節リウマチ(例えばKoch, A. E., et al., J. Clin. Invest, 1992, 90, 772; Akahoshi, T., et al., Artritis Rheum., 1993, 36, 762; Robinson, E., et al., Clin. Exp. Immunol., 101, 398を参照のこと)、腎炎(例えばNoris, M., wt al., Lab. Invest., 1995, 73, 804; Wada, T., at al., Kidney Int, 1996, 49, 761; Gesualdo, L., et al., Kidney Int., 1997, 51, 155を参照のこと)、ネフロパシー(例えばSaitoh, A., wt al., J. Clin. Lab. Anal., 1998, 12, 1; Yokohama, H., et al., J. Leukoc. Biol., 1998, 63, 493を参照のこと)、肺線維症、肺サルコイド−シス(例えばSugiyama, Y., et al., Internal Medicine, 1997, 36, 856を参照のこと)、ぜんそく(例えばKarina, M., et al., J. Invest. Allergol. Clin. Immunol., 1997, 7, 254; Stephene, T. H., Am. J. Respir. Crit. Care Med., 1997, 156, 1377; Sousa, A. R., et al., Am J. Respir. Cell Mol. Biol., 1994,10,142を参照のこと)、多発性硬化症(例えばMcManus, C., et al., J. Neuroimmunol., 1998, 86, 20を参照のこと)、乾癬(例えばGillitzer, R., et al., J. Invest. Dermatol., 1993, 101, 127を参照のこと)、炎症性腸疾患(例えばGrimm, M. C., et al., J. Leukoc. Biol., 1996, 59, 804; Reinecker, H. C., et al., Gastroenterology, 1995, 106, 40を参照のこと)、心筋炎(例えばSeino, Y., et al., Cytokine, 1995, 7, 301を参照のこと)、子宮内膜症(例えばJolicoeur, C., et al., Am. J. Pathol., 1998, 152, 125を参照のこと)、腹腔内ゆ着(例えばZeyneloglu, H. B., et al., Human Reproduction, 1998, 13, 1194を参照のこと)、うっ血性心不全(例えばAurust, P., et al., Circulation, 1998, 97, 1138を参照のこと)、慢性肝疾患(例えばMarra, F., et al., Am. J. Pathol., 1998, 152, 423を参照のこと)、ウイルス性髄膜炎(例えばLahrtz, F., et al., Eur. J. Immunol., 1997, 27, 2484を参照のこと)、川崎病(例えばWong, M.; et al., J. Rheumatol., 1997, 24, 1179を参照のこと)及び敗血症(例えばSalkowski, C. A.; et al., Infect. Immun., 1998, 66, 3569を参照のこと)といったような、疾病の開始又は進行において単球/マクロファージ及び/又はT細胞が重要であると思われる疾患において、MCP−1の高い発現が報告されてきた。
【0008】
さらに、抗MCP−1抗体が、関節リウマチ(例えばSchimmer, R. C., et al., J. Immunol., 1998, 160, 1466; Schrier, D. J., J. Leukoc. Biol., 1998, 63, 359; Ogata, H., et al., J. Pathol., 1997, 182, 106を参照のこと)、多発性硬化症(例えばKarpus, W. J., et al., J. Leukoc. Biol., 1997, 62, 681)、腎炎(例えばLloyd, C. M., et al., J. Exp., 1997, 185, 1371; Wada, T., et al., Faseb J., 1996, 10, 1418を参照のこと)、ぜんそく(例えばGonzalo, J.-A., et al., Exp. Med., 1998, 188, 157; Lukacs, N. W., J. Immunol., 1997, 158, 4398を参照のこと)、アテローム性動脈硬化症(例えばGuzman, L. A., et al., Circulation, 1993, 88 (suppl.), I-371を参照のこと)、遅延型過敏症(例えばRand, M. L., et al., Am. J. Pathol., 1996, 148, 855を参照のこと)、肺高血圧症(例えばKimura, H., et al., Lab. Invest., 1998, 78, 571を参照のこと)、腹腔内ゆ着(例えばZeyneloglu, H. B., et al., Am. J. Obstet. Gynecol., 1998, 179, 438を参照のこと)の動物モデルにおいて阻害効果又は治療効果を示すことが報告されてきた。MCP−1、MCP−1(9−76)のペプチドアンタゴニストも同様に、マウスモデルにおける関節炎を阻害することが報告されており(Gong, J.-H., J. Exp., 4ed., 1997, 186, 131を参照のこと)、MCP−1欠損マウスにおける研究は、MCP−1がインビボでの単球動員にとって不可欠であることを示した(Lu, B., et al., J. Exp. Med., 1998, 187, 601; Gu, L., et al., Moll. Cell, 1998, 2, 275を参照のこと)。
【0009】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、西欧諸国における最も一般的な死因のグループに入るものである。これは、気管支拡張薬によっても部分的にしか改善可能ではない。COPDは、気道壁、肺胞コンパートメント及び血管平滑筋の中の好中球、マクロファージ、CD8+T細胞及び/又は肥満細胞の数の増大が関与する、ぜんそくにおいて見られるものとは異なる気道又は肺胞内の慢性的炎症によって特徴づけされる。COPDと結びつけられたサイトカインは、腫瘍壊死因子(TNF)−アルファ、インタフェロン(INF)−ガンマ、インターロイキン(IL)−1ベータ、IL−6、IL−8及びMCP−1を含むと考えられている。CCR2はMCP−1に対するレセプタとして知られており、最近のデータは、直接又はマクロファージを介して気道内のMCP−1及びCCR2についての役割を裏づけている。かくしてCCR2のアンタゴニストはCORDの治療的処置に対する魅力的なアプローチである(De Boer, W. I., Chest, 2002, 121, 209S-218S)。
【0010】
文献では、MCP−1及びMIP−1αといったようなケモカインが単球及びリンパ球を疾患部位をひきつけ、それらの活性化を媒介しかくしてアテローム性動脈硬化症、糖尿病、再狭窄、関節リウマチ、乾癬、ぜんそく、潰瘍性結腸炎、腎炎(腎症)、多発性硬化症、肺線維症、心筋炎、肝炎、膵炎、サルコイド−シス、クローン病、子宮内膜症、うっ血性心不全、ウイルス性骨髄炎、脳梗塞、ニューロパシー、川崎病及び敗血症といったような単球及びリンパ球が深く関与する病気の開始、進行及び維持に密に関与するものと思われている(例えば、Rovin, B. H., et al., Am. J. Kidney. Dis., 1998, 31, 1065; Lloyd, C., et al., Curr. Opin, Nephrol. Hypertens., 1998, 7, 281; Conti, P., et al., Allergy and Asthma Proc., 1998, 19, 121; Ransohoff, R. M., et al., Trends Neurosci., 1998, 21, 154; MacDermott, R. P., et al., Inflammatory Bowel Diseases, 1998, 4, 54を参照のこと)。
【0011】
ケモカインは、「ケモカインレセプタ」と呼ばれるG−タンパク質共役型7回膜貫通ドメインタンパク質(Horuk, Trends Pharm. Sci, 15, 159-165 (1994)中で再考)のファミリーに属する特異的細胞表面レセプタに結合する。その同族リガンドと結合した時点で、ケモカインレセプタは、会合した三量体Gタンパク質を通して細胞内シグナルを形態導入し、その結果、その他の応答の中でも細胞内カルシウム濃度の急速な増加、細胞形状の変化、細胞接着分子の発現の増加、脱顆粒及び細胞遊走の促進をもたらす。
【0012】
特異的ケモカインのレセプタをコードする遺伝子がクローニングされてきており、これらのレセプタはさまざまなリンパ球集団上に存在するGタンパク質共役型7回膜貫通レセプタであることがわかっている。これまでに少なくとも6つのCXCケモカインレセプタ(CXCR1−CXCR6)及び9つのCCケモカインレセプタ(CCR1−CCR8及びCCR10)が同定された。例えばIL−8はCXCR−1及びCXCR2のためのリガンドであり、MIP−1αは、CCR1及びCCR5のためのリガンドであり、MCP−1はCCR2A及びCCR2Bのためのリガンドである(例えばHolmes, W. E., et al., Science 1991, 253, 1278-1280; Murphy P. M., et al., Science, 253, 1280-1283; Neote, K. et al., Cell, 1993, 72, 415-425; Charo, I. F., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1994, 91, 2752-2756; Yamagami, S., et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 1994, 202, 1156-1162; Combadier, C., et al., The Journal of Biological Chemistry, 1995, 270, 16491-16494, Power, C. A., et al., J. Biol. Chem., 1995, 270, 19495-19500; Samson, M., et al., Biochemistry, 1996, 35, 3362-3367; Murphy, P. M., Annual Review of Immunology, 1994, 12, 592-633を参照のこと。肺炎症及び肉芽腫形成がCCR1−欠損マウスにおいて抑制されること(Gao, J.-L., et al., J. Exp. Med., 1997, 185, 1959; Gerard, C., et al., J. Clin. Invest., 1997, 100, 2022を参照のこと)及びマクロファージの動員及びアテローム性動脈硬化症病巣の形成がCCR2−欠損マウスにおいて減少したこと(Boring, L., et al., Nature, 1998, 394, 894; Kuziel, W. A., et al., Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 1997, 94, 12053; Kurihara, T., et al., J. Exp. Med., 1997, 186, 1757; Boring, L., et al., J. Clin. Invest., 1997, 100, 2552を参照のこと)が報告されてきた。
【0013】
ケモカインレセプタは同様に、例えばHIV感染といったようなウイルス感染に導くウイルス進入のためのコレセプタとしても知られている。逆転写及びタンパク質プロセシングは、抗レトロウイルス治療薬が遮断するように設計されているウイルスライフサイクルの古典的段階である。ウイルスの進入を遮断すると考えられている数多くの新しい薬物が期待できるものの、現在、HIV−1が耐性を獲得できなかった作用物質は現在のところ全くない。耐性の基礎を形成する遺伝子多様性を生成するためには数多くのウイルス複製ラウンドが必要である。複製が最大限に抑制される組合せ療法は、その他の作用物質の場合と同様に、進入阻害物質での治療の基軸でありつづけている。ウイルス進入プロセス内での多数の段階のターゲティングは、相乗効果の潜在性を有すると考えられている(Starr-Spires et al., Clin. Lab. Med., 2002, 22(3), 681を参照のこと)。
【0014】
CD4(+)細胞内へのHIV−1の進入には、ケモカインレセプタCCR5及びCXCR4といったようなコレセプタ及びCD4とのウイルス外皮糖タンパク質の逐次的相互作用が必要である。このプロセスを遮断するための説得力あるアプローチは、コレセプタ機能の小分子アンタゴニストを使用することである。TAK−779分子は、HIV−1感染を防止するように作用するCCR5のこのようなアンタゴニストの1つである。TAK−779は、CCR5とウイルス表面糖タンパク質gp120の相互作用を遮断することにより膜融合段階においてHIV−1複製を阻害する。CCR5上のTAK−779のための結合部位は、膜貫通らせん1、2、3及び7の間に形成されたキャビティ内部で、レセプタの細胞外表面の近くに位置設定される(Dragic et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 2000, 97(10), 5639)。
【0015】
ケモカインレセプタCXCR4及びCCR5は、それぞれT細胞指向性(X4)及びマクロファージ指向性(R5)HIV−1菌株により、その宿主細胞に進入するためのコレセプタとして使用されると考えられている。CD4リンパ球及びマクロファージに対するHIV−1のR5菌株の伝播には、細胞表面上のCCR5コレセプタの発現が必要である。CCR5(CCR5デルタ32同型接合遺伝子型)が欠如している個体は表現型正常であり、HIV−1での感染に対する耐性を有する。ウイルス進入は、CXCR4(CXCケモカインSDF−1)及びCCR5(CCケモカインRANTES、MIP−1アルファ及びMIP−1ベータ)のための天然リガンドによって阻害され得る。CCR5と相互作用するもののCXCR4とは相互作用しない最初の非ペプチド化合物は、同じく強力ではあるものの可変的である抗HIV活性を有するTAK−779と呼ばれる第4級アンモニウム誘導体である(De Clercq et al., Antivir. Chem. Chemother. 2001, 12 Suppl. 1, 19)。
【0016】
SCH−C(SCH351125)は、CCR5コレセプタを介したHIV−1進入のもう1つの小分子阻害物質である。オキシム−ピペリジン化合物であるSCH−Cは、多重レセプタ結合及びシグナル形質導入検定において決定されるような特異的CCR5アンタゴニストである。この化合物は、U−87星状膠細胞内でCCR5により媒介されるHIV−1感染を特異的に阻害するが、CXCR4発現細胞の感染に対しては全く効果をもたない(Strizki et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 2001, 98(22), 12718又はTremblay et al., 「抗菌薬と化学療法」2002, 46(5), 1336)。
【0017】
SCH−Cに化学的に関係づけされるAD101は同様に、ヒトCCR5を介してヒト免疫不全ウイルス1型(HIV−1)の進入を阻害する。AD101はマカク属アカゲザルCCRを介してHIV−1進入を阻害するが一方SCH−Cは阻害しないということが発見された。コレセプタのヒト及びマカクバージョンの間で異なる8つの残基のうち、1つのみつまりメチオニン−198のみがSCH−Cによる阻害に対するマカクCCR5の不応性を説明する。198位はCCR5膜貫通(TM)らせん5の中にあり、TMらせん1、2、3及び7が関与するAD101及びSCH−Cのための以前に定義された結合部位の中にはない。CCR5のアミノ酸置換の研究に基づいて、残基198の近くのCCR5の領域がこのレセプタの立体配座状態に影響を及ぼしうるということが示唆されてきた(Billick et al., 2004, J. Virol., 78(8), 4134)。
【0018】
ケモカインレセプタの活性を変調させる化合物の同定は、ケモカインレセプタ活性に結びつけられる疾患の治療のため必要とされる薬理学的作用物質の開発にとって望ましい創薬アプローチである。本発明の化合物は、これらの及びその他のニーズを達成する一助となる。
【発明の概要】
【0019】
本発明の要約
本発明は、構成成員が本書で提供されている、
【化1】

という構造式の化合物又はその薬学的に許容される塩又はプロドラッグを提供する。
【0020】
本発明は、構造式Iの化合物及び薬学的に許容される担体を含む組成物をさらに提供する。
【0021】
本発明はさらに、構造式Iの化合物と前記レセプタを接触させるステップを含む、ケモカインレセプタの活性の調節方法をも提供する。
【0022】
本発明はさらに、構造式Iの治療上有効な量の化合物を患者に投与するステップを含む、患者の体内でのケモカインレセプタの発現又は活性に関連した疾患の治療方法をも提供している。
【0023】
本発明は、療法における構造式Iの化合物の使用をさらに提供している。
【0024】
本発明は、療法における使用のための薬剤の調製を目的とする構造式Iの化合物の使用をさらに提供している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
詳細な説明
化合物
本発明は、
【化2】

という構造式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩又はプロドラッグにおいて、式中、
− 破線は任意の結合を表わし、
− XはN、NO又はCR3であり;
− R1は、C1-6アルキル、(C0-6アルキル)−O−(C1-6アルキル)、(C0-6アルキル)−S−(C1-6アルキル)、(C0-6アルキル)−(C3-7シクロアルキル)−(C0-6アルキル)、OH、CO210、ヘテロシクリル、CN、NR1012、NSO210、NCOR10、NCO210、NCOR10、CR11CO210、CR11OCOR10又はフェニルであり;
【0026】
− R2は、H、OH、ハロ、C1-3アルキル、NR1012、CO210、CONR1012、NR10COR11;OCONR1012、NR10CONR1012、ヘテロシクリル、CN、NR10−SO2−NR1012、NR10−SO2−R12、SO2−NR1012又はオキソであり;前記C1-3アルキルは、任意にはF及びOHから選択された1〜6個の置換基で置換されており;
− R3は、H、OH、ハロ、C1-6アルキル、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、NR1011、NR10CO211;NR10CONR1011、NR10SO2NR1011、NR10−SO2−R11、ヘテロシクリル、CN、CONR1012、CO210、NO2、SR10、SOR10、SO210;又はSO2−NR1011であり;
【0027】
− R4は、H、C1-6アルキル、CF3、OCF3、Cl、F、Br又はフェニルであり;
− R5は、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、CO−(C1-6アルキル)、C1-6チオアルコキシ、ピリジル、F、Cl、Br、C4-6シクロアルキル、C4-6シクロアルキルオキシ、フェニル、フェニルオキシ、C3-6シクロアルキル、C3-6シクロアルキルオキシ、ヘテロシクリル、CN又はCO210であり、ここで前記C1-6アルキルは任意には、単数又は複数のOH又はFで置換されており;前記C1-6アルコキシ、CO−(C1-6アルキル)又はC1-6チオアルコキシが任意には単数又は複数のFで置換されており;前記ピリジル、フェニル又はフェニルオキシが任意にはハロ、CF3、C1-4アルキル及びCO210から選択された単数又は複数の置換基で置換されており;前記C3-6シクロアルキル又はC3-6シクロアルキルオキシが任意には単数又は複数のFで置換されており;
− R6は、H、CF3、C1-6アルキル、F、Cl又はBrであり;
【0028】
− R7は、任意にはハロ、OH、CO2H、CO2−(C1-6アルキル)又はC1-3アルコキシの中から選択された1〜3個の置換基により置換されたH又はC1-6アルキルであり;
− R8は、H、C1-6アルキル、F、C1-3アルコキシ、C1-3ハロアルコキシ、C3-6シクロアルキル、C3-6シクロアルキルオキシ、OH、CO210、OCOR10であり、ここで前記C1-6アルキルは任意には、F、C1-3アルコキシ、OH又はCO210の中から選択された単数又は複数の置換基で置換されているか;
− 又はR7及びR8が合わさって、橋かけC2-4アルキレン又は−(C0-2アルキル)−O−(C1-3アルキル)−基を形成して5〜7員の環を形成し;
【0029】
− R9は、任意にはC1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、ハロ、C1-4ハロアルキル、CN、NO2、OR13、SR13、C(O)R14、C(O)OR13、C(O)NR1516、NR1516、NR15CONHR16、NR15C(O)R14、NR15C(O)OR13、S(O)R14、S(O)214、S(O)NR1516又はSO2NR1516の中から選択された1〜4個の置換基で置換されたヘテロシクリルであり;
− R10は、H、C1-6アルキル、ベンジル、フェニル又はC3-6シクロアルキルであり、ここで前記C1-6アルキル、ベンジル、フェニル又はC3-6−シクロアルキルは任意にはハロ、OH、C1-3アルキル、C1-3アルコキシ、CO2H、CO2−(C1-6アルキル)及びCF3の中から選択された1〜3個で置換されており;
− R11は、H、OH、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ベンジル、フェニル、又はC3-6シクロアルキルであり、前記C1-6アルキル、ベンジル、フェニル又はC3-6シクロアルキルは任意にはハロ、OH、C1-3アルキル、C1-3アルコキシ、CO2H、CO2−(C1-6アルキル)及びCF3の中から選択された1〜3個の置換基で置換されており;
− R12は、H、C1-6アルキル、ベンジル、フェニル、又はC3-6シクロアルキルであり、ここで前記C1-6アルキル、ベンジル、フェニル又はC3-6シクロアルキルは任意にはハロ、OH、C1-3アルキル、C1-3アルコキシ、CO2H、CO2−(C1-6アルキル)及びCF3の中から選択された1〜3個の置換基で置換され;
【0030】
− R13及びR14は、各々独立してH、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、アリール、シクロアルキル、アリールアルキル又はシクロアルキルアルキルであり;
− R15及びR16は、各々独立してH、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、アリール、シクロアルキル、アリールアルキル又はシクロアルキルアルキルであり;
− そうでなければ、R15及びR16は、それらが付着されているN原子と共に、4〜6員のヘテロシクリル基を形成する、
化合物又はその薬学的に許容される塩又はプロドラッグを提供する。
【0031】
一部の実施形態においては、XはN又はNOである。
【0032】
一部の実施形態においては、XはCR3である。
【0033】
一部の実施形態においては、R1はC1-6アルキルである。
【0034】
一部の実施形態においては、R1はメチル、エチル又はプロピルである。
【0035】
一部の実施形態においては、R1はプロプ−2−イルである。
【0036】
一部の実施形態においては、R2はH、OH、ハロ又はC1-3アルキルである。
【0037】
一部の実施形態においては、R2はHである。
【0038】
一部の実施形態においては、R3はH、OH、ハロ又はC1-6アルキルである。
【0039】
一部の実施形態においては、R3はHである。
【0040】
一部の実施形態においては、R4はHである。
【0041】
一部の実施形態においては、R5は1〜4個のFで置換されている。
【0042】
一部の実施形態においては、R5はCF3である。
【0043】
一部の実施形態においては、R6はHである。
【0044】
一部の実施形態においては、R7はHである。
【0045】
一部の実施形態においては、R8はHである。
【0046】
一部の実施形態においては、R9は任意にはC1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、ハロ、C1-4ハロアルキル、CN、NO2、OR13、SR13、C(O)R14、C(O)OR13、C(O)NR1516、NR1516、NR15CONHR16、NR15C(O)R14、NR15C(O)OR13、S(O)R14、S(O)214、S(O)NR1516又はSO2NR1516の中から選択された1〜4個の置換基で置換されたヘテロアリールである。
【0047】
一部の実施形態においては、R9はヘテロアリールであり、該ヘテロアリールは任意にはC1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、ハロ、C1-4ハロアルキル、CN、NO2、OR13、SR13、C(O)R14、C(O)OR13、C(O)NR1516、NR1516、NR15CONHR16、NR15C(O)R14、NR15C(O)OR13、S(O)R14、S(O)214、S(O)NR1516又はSO2NR1516の中から選択された1〜4個の置換基で置換された5員又は6員のヘテロアリールである。
【0048】
一部の実施形態においては、R9はヘテロアリールであり、該ヘテロアリールは、各々任意にはC1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、ハロ、C1-4ハロアルキル、CN、NO2、OR13、SR13、C(O)R14、C(O)OR13、C(O)NR1516、NR1516、NR15CONHR16、NR15C(O)R14、NR15C(O)OR13、S(O)R14、S(O)214、S(O)NR1516又はSO2NR1516の中から選択1〜4個の置換基で置換されたピリジル、ピイミジニル、ピラジニル、ピリダジニル又はトリアジニルである。
【0049】
一部の実施形態においては、R9はヘテロアリールであり、該ヘテロアリールは、各々任意にはC1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、ハロ、C1-4ハロアルキル、CN、NO2、OR13、SR13、C(O)R14、C(O)OR13、C(O)NR1516、NR1516、NR15CONHR16、NR15C(O)R14、NR15C(O)OR13、S(O)R14、S(O)214、S(O)NR1516又はSO2NR1516の中から選択された1〜4個の置換基で置換されたチエニル、フラニル、チアゾイル、オキサゾリル、又はイミダゾリルである。
【0050】
一部の実施形態においては、R9はヘテロアリールであり、該ヘテロアリールは、各々任意には1〜3個のF、Cl、Br、I、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ又はトリフルオロメチルで置換されたチアゾリル、オキサゾリル、ピリミジニル又はピリジルである。
【0051】
一部の実施形態においては、該化合物は、
【化3】

という構造式IIを有する。
【0052】
一部の実施形態においては、該化合物は、
【化4】

という構造式IIIa、IIIb又はIIIcを有する請求項1に記載の化合物。
【0053】
本明細書のさまざまな箇所において、該発明の化合物の置換基が、群又は範囲の形で開示されている。該発明はかかる群及び範囲の成員の各々の及び全ての個々の下位組合せを含むものとして、特定的に意図されている。例えば、「C1-6アルキル」という用語は、メチル、エチル、C3アルキル、C4アルキル、C5アルキル及びC6アルキルを個々に開示するように特異的に意図されている。
【0054】
一変数が2回以上現われる該発明の化合物については、各変数は、その変数を定義するマルクーシュ群の中から選択された異なる部分であり得る。例えば、同じ化合物上に同時に存在する2つのR基を有する構造が記述されている場合、2つのR基は、Rについて定義されたMarkush群から選択された異なる部分を表わすことができる。
【0055】
明確さを期して別々の実施形態に関して記述されている該発明のいくつかの特長を単一の実施形態の中で組合せた形で提供することも可能であるということが認識される。換言すると、簡略さを期して単一の実施形態に関して記述される該発明のさまざまな特長は、別々に又はいずれかの適切な下位組合せの形ででも提供され得る。
【0056】
本書で使用されているように、「アルキル」という用語は、直鎖又は有枝である飽和した炭化水素基を意味する。アルキルの例としてはメチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(例えばn−プロピル及びイソプロピル)、ブチル(例えばn−ブチル、イソブチル、t−ブチル)、ペンチル(例えばn−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル)などが含まれる。アルキル基は、1〜約20、2〜約20、1〜約10、1〜約8、1〜約6、1〜約4又は1から約3個の炭素原子を含有し得る。
【0057】
本書で使用する「アルケニル」という用語は、単数又は複数の2重炭素−炭素結合を有するアルキル基を意味する。アルケニル基の例としてはエチニル、プロペニル、シクロヘキセニル、などが含まれる。
【0058】
本書で使用される「アルキニル」というのは、単数又は複数の3重炭素−炭素結合をもつアルキル基を意味する。アルキニル基の例としては、エチニル、プロピニルなどが含まれる。
【0059】
本書で使用される「ハロアルキル」というのは、単数又は複数のハロゲン置換基を有するアルキル基を意味する。ハロアルキル基の例としては、CF3、C25、CHF2、CCl3、CHCl2、C2Cl5などが含まれる。
【0060】
本書で使用される、「アリール」という用語は、例えばフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、インダニル、インデニル、などといったような単環又は多環式(例えば2、3又は4個の融合環を有する)芳香族炭化水素を意味する。一部の実施形態においては、アリール基は6個〜約20個の炭素原子を有する。
【0061】
本書で使用されている「シクロアルキル」という用語は、環化されたアルキル、アルケニル、及びアルキニル基を含む非芳香族炭素環を意味する。シクロアルキル基には、単環式又は多環式(例えば2、3、又は4個の融合環をもつ)環系ならびにスピロ環系が含まれ得る。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタトリエニル、ノルボルニル、ノルピニル、ノルカルニル、アダマンチルなどが含まれる。同じくシクロアルキルの定義の中に含まれるのは、例えば、ペンタン、ペンテン、ヘキサンなどのベンゾ誘導体といったようなシクロアルキル環に融合された(すなわちこれと共通の結合をもつ)単数又は複数の芳香族環を有する部分である。一部の実施形態においては、シクロアルキル基は約3〜約10個又は約3〜約7個の環形成炭素原子を有することができる。
【0062】
本書で使用されている「ヘテロシクリル」又は「複素環」という用語は、環式炭化水素の環形成炭素原子のうちの単数又は複数のものがO、S又はNといったヘテロ原子によって交換されている飽和した又は不飽和の環式炭化水素を意味する。ヘテロシクリル基は芳香族(例えば「ヘテロアリール」)又は非芳香族(例えば「ヘテロシクロアルキル」)であり得る。ヘテロシクリル基は同様に、水素化及び部分水素化ヘテロアリール基にも対応し得る。ヘテロシクリル基は、単環又は多環(例えば2、3又は4融合環を有する)環系を内含し得る。ヘテロシクリル基は、3〜14個又は3〜7個の環形成原子を有するものとして特徴づけされ得る。一部の実施形態においては、ヘテロシクリル基は、少なくとも1つのヘテロ原子に加え約1〜約13個、約2〜約10個又は約2〜約7個の炭素原子を含有することができ、又炭素原子又はヘテロ原子を通して付着され得る。さらなる実施形態においては、ヘテロ原子は酸化され得(例えば、オキソ又はスルフィド置換基を有することができる)、そうでなければ、窒素原子を四級化することもできる。
【0063】
ヘテロシクリル基の例としては、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、2,3−ジヒドロベンゾフリル、1,3−ベンゾジオキソール、ベンゾ−l,4−ジオキサン、ピペリジニル、ピロリジニル、イソキサゾリジニル、イソチアゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニルなどならびに「ヘテロアリール」及び「ヘテロシクロアルキル」について以下で列挙されている基のうちのいずれかが含まれる。さらなる複素環例としては、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、3,6−ジヒドロピリジル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジル、1,2,5,6−テトラヒドロピリジル、ピペリドニル、4−ピペリドニル、ピペロニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H−ピロリル、ピロリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾリル、6H−l,2,5−チア−ジアジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、トリアジニル、
【0064】
1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,5−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、キサンテニル、オクタヒドロ−イソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、アクリジニル、アゾシニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾ−チオフェニル、ベンズオキサゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズトリアゾリル、ベンズテトラゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイミダゾリニル、メチレンジオキシフェニル、モルホリニル、ナフチリジニル、デカ−ヒドロキノリニル、2H,6H−l,5,2ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3−b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、カルバゾリル、4aH−カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、lH−インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H−インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル及びイソキサゾリルが含まれる。複素環のさらなる例には、アゼチジン−1−イル、2,5−ジヒドロ−lH−ピロール−l−イル、ピペリジン−lイル、ピペラジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、イソキノール−2−イル、ピリジン−1−イル、3,6−ジヒドロピリジン−l−イル、2,3−ジヒドロインドール−l−イル、l,3,4,9−テトラヒドロカルボリン−2−イル、チエノ[2,3−c]ピリジン−6−イル、3,4,10,10a−テトラヒドロ−lH−ピラジノ[l,2−a]インドール−2−イル、l,2,4,4a,5,6−ヘキサヒドロ−ピラジノ[l,2−a]キノリン−3−イル、ピラジノ[l,2−a]キノリン−3−イル、ジアゼパン−1−イル、1,4,5,6−テトラヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソキノリン−3−イル、1,4,4a,5,6、10b−ヘキサヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソキノリン−3−イル、3,3a,8,8a−テトラヒドロ−1H−2−アザ−シクロペンタ[a]インデン−2−イル及び2,3,4,7−テトラヒドロ−1H−アゼピン−1−イル、アゼパン−1−イルが含まれる。
【0065】
本書で使用される「ヘテロアリール」基は、硫黄、酸素又は窒素といったような少なくとも1つのヘテロ原子環成員を有する芳香族複素環を意味する。ヘテロアリール基には、単環及び多環式(例えば2、3又は4個の融合環を有する)系が含まれる。ヘテロアリール基の例としては、制限的な意味なく、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、フリル(フラニル)、キノリル、イソキノリル、チエニル、イミダゾリル、チアゾリル、インドリル、ピリル、オキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンズチアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インダゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、イソチアゾリル、ベンゾチエニル、プリニル、カルバゾリル、ベンズイミダゾリル、インドリニルなどが含まれる。一部の実施形態においては、ヘテロアリール基は、1〜約20個の炭素原子を有し、さらなる実施形態においては約3〜約20個の炭素原子を有する。一部の実施形態では、ヘテロアリール基は3〜約14個、3〜約7個又は5〜6個の環形成原子を含有する。一部の実施形態においては、ヘテロアリール基は、1〜約4個、1〜約3個又は1〜2個のヘテロ原子を有する。
【0066】
本書で使用されている「ヘテロシクロアルキル」というのは、環形成炭素原子のうちの単数又は複数のものがO、N又はS原子といったようなヘテロ原子により交換されている、環化アルキル、アルケニル及びアルキニル基を含めた非芳香族複素環を意味する。例えば、「ヘテロシクロアルキル」基の例としては、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、2,3−ジヒドロベンゾフリル、1,3−ベンゾジオキソール、ベンゾ−l,4−ジオキサン、ピペリジニル、ピロリジニル、イソキサゾリジニル、イソチアゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニルなどが含まれる。同じくヘテロシクロアルキルの定義に含まれるのは、例えばフタルイミジル、ナフタルイミジル及びインドレン及びイソインドレン基といった複素環のベンゾ誘導体などの非芳香族複素環に融合させられた(すなわちそれと共通の結合を有する)単数又は複数の芳香族環を有する部分が含まれる。一部の実施形態においては、ヘテロシクロアルキル基は約1〜約20個の炭素原子を有し、さらなる実施形態においては約3〜約20の炭素原子を有する。一部の実施形態においては、ヘテロシクロアルキル基は3〜約14、3〜約7又は5〜6個の環形成原子を含有する。一部の実施形態においては、ヘテロシクロアルキル基は1〜約4個、1〜約3個又は1〜2個のヘテロ原子を有する。一部の実施形態では、ヘテロシクロアルキル基は0〜3個の2重結合を含む。一部の実施形態では、ヘテロシクロアルキル基は0〜2個の3重結合を含む。
【0067】
本書で使用される「ハロ」又は「ハロゲン」はフルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを内含する。
【0068】
本書で使用される「アルコキシ」という用語は、−O−アルキル基を意味する。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えばn−プロポキシ及びイソプロポキシ)、t−ブトキシなどが含まれる。
【0069】
本書で使用されている「チオアルコキシ」という用語は、−S−アルキル基を意味する。
【0070】
本書で使用されている「ハロアルコキシ」は、−O−ハロアルキル基を意味する。ハロアルコキシ基の例としてはOCF3がある。
【0071】
本書で使用されている「シクロアルキルオキシ」は−O−シクロアルキルを意味する。
【0072】
本書で使用されている「アラルキル」という用語は、アリール基で置換されたアルキル基を意味する。
【0073】
本書で使用されている「シクロアルキルアルキル」という用語は、シクロアルキル基で置換されたアルキル基を意味する。
【0074】
本書で使用されている通り、「ヘテロシクリルアルキル」というのは、ヘテロカルボンシクリル基により置換されたアルキル部分を意味する。ヘテロシクリルアルキル基の例としては、「ヘテロアリールアルキル」(ヘテロアリールによって置換されたアルキル)及び「ヘテロシクロアルキルアルキル」(ヘテロシクロアルキルにより置換されたアルキル)が含まれる。一部の実施形態においては、ヘテロシクリルアルキル基は、少なくとも1つの環形成ヘテロ原子に加えて3〜24個の炭素原子を有する。
【0075】
本書で使用されている「オキソ」は=Oを意味する。
【0076】
本書に記述されている化合物は、非対称(例えば単数又は複数の立体中心を有する)であり得る。特に指定のないかぎり、鏡像異性体及びジアステレオマーといったような全ての立体異性体が意図される。非対称に置換された炭素原子を含有する本発明の化合物は、光学活性形態又はラセミ形態に単離され得る。光学的に活性な出発材料から光学活性形態をいかに調製するかについての方法は、ラセミ混合物の分割又は立体選択的合成などによる当該技術分野で既知のものである。オレフィン、C=N2重結合などの数多くの幾何異性体も同様に、本書に記述された化合物内に存在し得、かかる安定した異性体全てが本発明において考慮されている。本発明の化合物のシス及びトランス幾何異性体が記述されており、異性体の混合物としてか又は分離した異性体形態として単離され得る。
【0077】
化合物のラセミ混合物の分割は当該技術分野において既知の数多くの方法のいずれかにより実施可能であり得る。1つの方法例としては、光学的に活性な塩形成性有機酸である「キラル分割酸」を用いた分別再結晶化がある。分別再結晶化方法のための適切な分割剤は、例えば光学活性酸、例えば酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸又はさまざまな光学活性カンファースルホン酸例えばβ−カンファースルホン酸のD及びL形態といったような光学活性酸である。分別結晶化方法に適したその他の分割剤としては、立体異性体的に純粋な形態のα−メチルベンジルアミン(例えばS及びR形態、又はジアステレオマー的に純粋な形態)、2−フェニルグリシノール、ノルエフェドリン、エフェドリン、N−メチルエフェドリン、シクロヘキシルエチルアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサンなどが含まれる。
【0078】
ラセミ混合物の分割は、光学活性分割剤(例えばジニトロベンゾイルフェニルグリシン)が詰め込まれたカラム上での溶出により実施することもできる。適切な溶出溶媒組成物は、当業者によって決定され得る。
【0079】
該発明の化合物は同様に、ケトーエノール互変異性体といったような互変異性体形態をも内含する。
【0080】
該発明の化合物は又、中間体または最終化合物の中に発生する原子の全ての同位体をも内含し得る。同位体は、原子番号が同じであるものの質量数が異なるような原子を内含する。例えば、水素の同位体は、三重水素及び重水素を含む。
【0081】
「薬学的に受容可能な」という語句は本書では、健全な医学的判断の範囲内で、適正な損益比と釣り合った、過度の毒性、刺激、アレルギー応答又はその他の問題又は合併症無く人間及び動物の組織と接触した状態で使用するのに適したものである化合物、材料、組成物及び/又は剤形を意味するように用いられている。
【0082】
本発明は同様に、本書に記述されている化合物の薬学的に許容される塩をも内含している。本書に記述されるように、「薬学的に許容される塩」というのは、既存の酸又は塩基部分をその塩形態に転換することによって親化合物が修飾される、開示された化合物の誘導体を意味する。薬学的に許容される塩の例としては、アミンといった塩基性残基の鉱酸又は有機酸塩;カルボン酸といったような酸性残基のアルカリ又は有機塩;などが含まれるがこれらに制限されるわけではない。本発明の薬学的に許容される塩には、例えば無毒性の無機又は有機酸から形成された親化合物の第4アンモニウム塩又は従来の無毒性塩が含まれる。本発明の薬学的に許容される塩は、従来の化学的方法により、塩基性又は酸性部分を含有する親化合物から合成され得る。一般に、かかる塩は、水又は有機溶媒の中又はこれら2つの混合物の中で化学量論量の適切な塩基又は酸とこれらの化合物の遊離酸又は塩基形態を反応させることにより調製可能である。一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール又はアセトニトリルといったような非水性媒質が好ましい。適切な塩のリストは、各々その全体が本書に参考として内含されているRemington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985, p. 1418及びJournal of Pharmaceutical Science, 66, 2(1977)の中に見い出される。
【0083】
本発明は同様に、本書で記述される化合物のプロドラッグをも内含する。本書で使用する「プロドラッグ」というのは、哺乳動物の対象に投与された時点で活性親薬物を放出する共有結合されたあらゆる担体を意味している。プロドラッグは、修飾が日常的操作によってか又はインビボで親化合物に開裂されるような形で化合物の中に存在する官能基を修飾することによって調製可能である。プロドラッグは、哺乳動物の対象に投与された時点で開裂して遊離ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル又はカルボキシ基をそれぞれに形成するあらゆる基に対しヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル又はカルボキシル基が結合されている化合物を内含する。プロドラッグの例としては、該発明の化合物内のアルコール及びアミン官能基の酢酸塩、蟻酸塩及び安息香酸塩誘導体が含まれるがこれらに制限されるわけではない。プロドラッグの調製及び使用については、共に全体が本書に参考として内含されている、A.C.Sシンポジウムシリーズの第14巻T. Higuchi及びV. Stella「新規送達系としてのプロドラッグ」内及び「創薬における生物改善可能な担体」、ed. Edward B. Roche, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987内で論述されている。
【0084】
合成
その塩、水和物及び溶媒和物を含む該発明の化合物は、既知の有機合成技術を用いて調製でき、考えられる数多くの合成経路のいずれかに従って合成可能である。
【0085】
該発明の化合物を調製するための反応は、有機合成技術における当業者によって容易に選択され得る適切な溶媒の中で実施可能である。適切な溶媒は、反応が実施される温度例えば溶媒の凍結温度から溶媒の沸とう温度までの範囲内にあり得る温度で、出発材料(反応物質)、中間体、又は生成物と実質的に無反応性であり得る。1つの溶媒中又は2つ以上の溶媒の混合物の中で、既定の反応を実施することができる。特定の反応段階に応じて、特定の反応段階のための適切な溶媒を選択することができる。
【0086】
該発明の化合物の調製には、さまざまな化学基の保護及び脱保護が関与し得る。保護及び脱保護の必要性及び適切な保護基の選択は、当業者により容易に決定され得る。保護基の化学的性質は例えば全体が本書に参考として内含されているT. W. Green及びP. G. M. Wuts,「有機合成における保護基」、第3版、Wiley & Sons, Inc., New York (1999)の中に見い出すことができる。
【0087】
当該技術分野において既知のあらゆる適切な方法に従って反応を監視することが可能である。例えば、分光的手段例えば核磁気共鳴分光法(例えば1H又は13C)、赤外線分光法、分光測光法(例えばUV−可視光)又は質量分光分析によってか又はクロマトグラフィー例えば高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)又は薄層クロマトグラフィーにより、生成物形成を監視することができる。
【0088】
記された構造式の構成成員が本書に定義されている場合の該発明の化合物に到達する合成経路の例が以下のスキーム1〜6に提示されている。
【0089】
構造式1〜5の中間体はスキーム1の中で描かれているプロトコルを用いて調製可能である。市販のカルボン酸1−1を、DMF中のヨードメタン/炭酸カリウムでの処置によりメチルエステルといったようなエステルに転換させることができる。結果としてのエステル1−2を、シス及びトランスジアステレオマーの混合物(4:1比)としてアルキル化生成物1〜3を提供するべくリチウムヘキサメチルジシラジド(LHMDS)といった塩基を用いてヨウ化物(R11)といったハロゲン化物とのアルキル化に付すことができる。わずかなトランスジアステレオマーを、エステルから酸への加水分解の後の結晶化により除去することができる。結果としてのエナンチオピュアな酸1〜4を、Pd−Cといった触媒を用いた水素化に付して、飽和カルボン酸1−5を得る。
【0090】
【化5】

【0091】
スキーム2に概略的に示された手順を用いて、構造式2−5の中間体を調製することができる。ラネーニッケルといったような触媒を用いた水素化による市販の2−1(例えば4−トリフルオロメチルフェニルアセトニトリル)からアミンへの還元の後、トリフルオロ酢酸無水物でのアミンのアシル化によりアミド2−3を発生させることができる。結果としてのアミドを、硫酸といったような強酸の存在下でホルムアルデヒドで処理して環化テトラヒドロイソキノン誘導体2−4を得ることができる。水及びエタノール中の炭酸カリウムでの処理によるトリフルオロアセチル基の除去によって、中間体2〜5が提供される。
【0092】
【化6】

【0093】
構造式3−9の化合物(例えば5−アザーテトラヒドロイソキノリン)をスキーム3に従って調製することができる。構造式3−1の市販の中間体(例えば5−トリフルオロメチルピリジン−2−オール)を、酢酸中の臭素での処理により臭素化して構造式3−2の中間体を形成させることができる。n−ブチルリチウム又はtert−ブチルリチウムといったようなアルキルリチウムを用いた構造式3−2の中間体のリチウム化とそれに続くDMFでの急冷は、アルデヒド3−3を発生させることができる。アルデヒドは、蟻酸ナトリウム/蟻酸の存在下でのヒドロキシルアミンでの処理によりシアノ基に転換され得、中間体3−4を生成する。ヒドロキシルからクロロへの転換(3−5)の後、クロロをtertブチルメチルマロナートで移動させることでジエステル3−6が生成される。ラネーニッケルといったような触媒の存在下での水素化は、シアノ基をアミンに還元し、これはメチルエステルで環化されてラクタムを形成する。TFAといったような強酸でラクタムを処理すると、tert−ブトキシカルボニル部分が除去される。結果として得られたラクタム3−8は、ボランを用いてアミンへと還元され、これはBocでのアミンの保護を通して精製される。ジオキサン中のHClといったような酸を用いたBocの除去により、生成物3−9が得られる。
【0094】
【化7】

【0095】
構造式1−5のカルボン酸中間体をPyBrop又はBOPといったような標準アミド形成剤を用いて構造式4−1のアミンとカップリングさせることができる。X=Nである場合、結果として得られるアミド4−2をmCPBAといったような酸化剤を用いて酸化させてN−酸化物4−4を得ることができる。ジオキサン中のHClといったような酸を用いた4−2及び4−4のBoc基の除去は、それぞれ遊離アミン4−3及び4−5を発生させる。
【0096】
【化8】

【0097】
構造式5−5のシクロヘキサノン誘導体は、スキーム5に記された配列を用いて調製可能である。ブチルリチウムでの処理によって1つの複素環(R9−X;なおここでXはH又はハロである)をリチウム化し、結果としてのアニオンを1.4−シクロヘキサノンモノ−エチレンケタール(5−2)で急冷してアルコール5−3を得ることができる。水中のHClといったような水性酸での5−3の処理は、ケタールをケトンに転換させる。LDAでの処理による結果としてのケトン5−4のアルキル化とそれに続くR8Iといったようなアルキルハロゲン化物での急冷は、構造式5−5のシクロヘキサノン誘導体を提供する。複素環上の置換基は、リチウム化に先立って存在することができ、そうでなければ該発明の化合物を形成するべく付加的なリチウム化反応といったような日常的な方法に従って後の段階で複素化を誘導体化することもできる。
【0098】
【化9】

【0099】
該発明の化合物をスキーム6に示した通りに組立てることができる。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムといったような還元剤を用いた構造式4−3のアミンでの構造式5−5のケトンの還元性アミノ化は、構造式6−1の化合物を生成する。6−1の連結アミンは任意には、日常的な方法に従ってアルキル化、アシル化、保護などを受けて構造式6−2の誘導体を形成することができる。
【0100】
【化10】

【0101】
方法
一部の実施形態においては、該発明の化合物は単数又は複数のケモカインレセプタの活性を調節することができる。「調節する」という用語は、レセプタの活性を増大又は減少させる能力を意味する。従って、該発明の化合物は、本書に記述されている化合物又は組成物のうちの任意の単数又は複数のものとレセプタを接触させることによってケモカインレセプタを変調させる方法において使用可能である。一部の実施形態においては、本発明の化合物はケモカインレセプタの阻害物質として作用することができる。さらなる実施形態においては、該発明の化合物は、構造式Iの化合物を調節量だけ投与することによりレセプタの調節を必要とする個体の体内でケモカインレセプタの活性を調節させるために使用され得る。
【0102】
当該化合物が結合しかつ/又は調節させるケモカインレセプタには、あらゆるケモカインレセプタが含まれる。一部の実施形態においては、該ケモカインレセプタは、例えばCCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、及びCCR10を含めたケモカインレセプタのCCファミリーに属する。一部の実施形態では、ケモカインレセプタはCCR2である。
【0103】
該発明の化合物は選択的なものであり得る。「選択的」というのは、その化合物が、少なくとも1つのその他のケモカインレセプタに比べてそれぞれより大きな親和力又は効力でケモカインレセプタに結合するか又はこれを阻害するということを意味する。
【0104】
該発明の化合物は、CCR2の選択的阻害物質又は結合剤であり得、このことはすなわち、該発明の化合物がそれぞれ、CCR1、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8及びCCR10のうちの少なくとも1つといったようなもう1つのケモカインレセプタについてよりも高い親和力又は効力でそれぞれにCCR2に結合するか又はこれを阻害することができる、ということを意味している。一部の実施形態においては、該発明の化合物はCCR5よりもCCR2について結合又は阻害選択性を有する。一部の実施形態においては、該発明の化合物は、CCR1よりもCCR2について結合又は阻害選択性を有する。一部の実施形態において、該発明の化合物は、他のいずれのCCRよりもCCR2について結合又は阻害選択性を有する。選択性は少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約500倍又は少なくとも約1000倍であり得る。結合親和力及び阻害物質効力は、例えば本書で提供されている検定などといった当該技術分野における日常的方法に従って測定され得る。
【0105】
本発明はさらに、治療上有効な量又は用量の本発明の化合物又はその医薬組成物を、かかる治療を必要としている個体に投与することによって個体(例えば患者)の体内のケモカインレセプタ関連疾患又は障害を治療する方法を提供する。ケモカインレセプタ関連疾患には、ケモカイン又はケモカインレセプタの発現又は活性に直接的に又は間接的に結びつけられるあらゆる疾患、障害又は身体条件を内含し得る。ケモカイン又はケモカインレセプタ関連疾患は同様に、ケモカインレセプタ活性を変調させることにより予防、改善又は治療され得るあらゆる疾病、障害又は身体条件をも含み得る。
【0106】
ケモカイン又はケモカインレセプタ関連疾患、障害及び身体条件の例には、炎症及び炎症性疾患、代謝性疾患、免疫疾患及び癌が含まれる。一部の実施形態においては、ケモカインレセプタ関連疾患は、HIV感染といったようなウイルス感染である。炎症性疾患の例としては、ぜんそく、季節性及び通年性アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、結膜炎、加齢性黄斑変性症、食物アレルギー、サバ中毒、乾癬、蕁麻疹、掻痒症、湿疹、炎症性腸疾患、血栓症、中耳炎、肝硬変、心臓疾患、アルツハイマー病、敗血症、再狭窄、アテローム性動脈硬化症、インスリン非依存性糖尿病、メタボリック症候群、多発性硬化症、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性肺疾患、薬剤誘発性肺繊維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、関節リウマチ、腎炎、潰瘍性大腸炎、アトピー性皮膚炎、脳卒中、急性神経損傷、サルコイドーシス、肝炎、子宮内膜症、神経障害性疼痛、過敏性肺炎、好酸球性肺炎、遅延型過敏症、間質性肺疾患(ILD)(例えば、特発性肺繊維症又は関節リウマチを伴うILD、全身性紅斑性狼瘡、強直性脊椎炎、全身性硬化症、ショーグレン症候群、多発性筋炎又は皮膚筋炎)などといったような炎症性構成要素を有する疾患が含まれる。免疫障害の例としては、関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身性紅斑性狼瘡、重症筋無力症、若年型糖尿病;糸球体腎炎、自己免疫性甲状腺炎、同種移植の拒絶反応及び移植片対宿主病を含めた臓器移植拒否反応が含まれる。癌の例としては、腫瘍又は罹患組織内へのマクロファージ(例えば腫瘍関連マクロファージ、TAM)の浸潤を特徴とする乳癌、卵巣癌、多発性骨髄腫などといったような癌が含まれる。
【0107】
本書で使用される「接触させる」という用語は、インビトロ系又はインビボ系内の指示された部分を合わせることを意味する。例えば、該発明の化合物とケモカインレセプタを「接触させる」ことには、ケモカインレセプタを有するヒトなどといった個体又は患者に対して本発明の化合物を投与することならびに例えばケモカインレセプタを含有する細胞又は精製調製物を含有する試料の中に該発明の化合物を導入することが含まれる。
【0108】
互換的に使用される「個体」又は「患者」という用語は、哺乳動物を含むあらゆる動物、好ましくはマウス、ラット、その他のゲッ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ又は霊長類及び最も好ましくはヒトを意味する。
【0109】
本書で使用される「治療上有効な量」という語句は、以下のもののうちの単数又は複数のものを含む、研究者、獣医、医師又はその他の臨床医が組織、系、動物、個体又はヒトの中で意義深いとみなしている生物学的又は医薬的応答を惹起する活性化合物又は薬学的作用物質の量を意味する:
(1) 疾病を予防すること;例えば、その疾病、身体条件又は障害に対する素因を有しうるもののまだその疾病の病状又は症候を経験又は表示していない個体における疾病、身体条件又は障害を予防すること(制限的な意味のない例は、過敏性肺疾患、薬物誘発型肺線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、移植片対宿主病及び/又は移植後の同種移植拒絶反応、ウイルス感染、インシュリン耐性、アテローム性動脈硬化症の予防、又はアトピー性皮膚炎、遅延型過敏症又は季節性又は通年性アレルギー性鼻炎といったアレルギー性反応の防止である)。
(2) 疾病及びその進行を阻害すること;例えば、過敏性肺疾患、薬物誘発型肺線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、関節リウマチ、狼瘡又は乾癬における炎症性又は自己免疫応答の阻害又は動脈硬化症プラーク、アルツハイマ病、黄斑変性症の進行又は糖尿病状態へのインシュリン耐性の進行の阻害、又は腫瘍成長の阻害又はウイルス感染の場合のウイルス量の安定化、といったようなその疾病身体条件又は障害の病状又は症候を経験又は表示していない個体における疾病、身体条件又は障害を阻害すること(すなわち病状及び/又は症候のさらなる発達を阻むこと)、及び
(3) 疾病を改善すること;例えば過敏性肺疾患、薬物誘発型肺線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、関節リウマチ、狼瘡又は乾癬における自己免疫応答の低減又は癌に付随する腫瘍の収縮又はウイルス感染の場合のウイルス量の低下、といったようなその疾病身体条件又は障害の病状又は症候を経験又は表示していない個体における疾病、身体条件又は障害を改善すること(すなわち病状、及び/又は症候を改善すること)。
【0110】
ケモカインレセプタ関連疾患、障害又は身体条件の治療のために本発明の化合物と組合わせて、例えば抗ウイルス剤、抗体、抗炎症薬、インシュリン分泌促進薬及び感作物質、血清脂質及び脂質−担体変調剤及び/又は免疫抑制剤といったような単数又は複数の付加的な薬学的作用物質を使用することができる。該作用物質を、単一の又は連続した剤形で本化合物と組合わせることができ、そうでなければ、該作用物質を別々の剤形として同時に又は逐次的に投与することもできる。
【0111】
本発明の化合物と組合せて用いるために考慮されている適切な抗ウイルス剤は、ヌクレオシド及びヌクレオチド逆転写酵素阻害物質(NRTI)、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害物質(NNRTI)、プロテアーゼ阻害物質、進入阻害物質、融合阻害物質、成熟阻害物質及びその他の抗ウイルス薬を含むことができる。
【0112】
適切なNRTIの例としては、ジドブジン(AZT);ジダノシン(ddl);ザルシタビン(ddC);スタブジン(d4T);ラミブジン(3TC);アバカビル(1592U89);アデホビル・ジピボキシル[ビス(POM)−PMEA];ロブカビル(BMS−180194);BCH−10652;エミトリシタビン[(−)−FTC];ベータ−L−FD4(ベータ−L−D4Cとも呼ばれ、ベータ−L−21,3’−ジクレオキシ−5−フルオロ−シチデンと命名されている);DAPD、((−)−ベータ−D−2,6,−ジアミノ−プリンジオキソラン);及びロデノシン(FddA)が含まれる。
【0113】
標準的な適切なNNRTIにはネビラピン(BI−RG−587);デラビラジン(BHAP、U−90152);エファビレンツ(DMP−266);PNU−142721;AG−1549;MKC−442(l−(エトキシ−メチル)−5−(l−メチルエチル)−6−(フェニルメチル)−(2,4(lH,3H)−ピリミジンジオン);及び(+)−カラノリドA(NSC−675451)及びBが含まれる。
【0114】
標準的な適切なプロテアーゼ阻害物質としてはサキナビル(Ro31−8959);リトナビル(ABT−538);インジナビル(MK−639);ネルフナビル(AG−1343);アンプレナビル(141W94);ラシナビル(BMS−234475);DMP−450;BMS−2322623;ABT−378;及びAG−I549が含まれる。
【0115】
その他の抗ウイルス剤としては、ヒドロキシウレア、リバビリン、IL−2、IL−12、ペンタフシド、エンフビルチド、C−34、シクロトリアザジスルホンアミドCADA、PA−457及びイッサム(Yissum)プロジェクトNo.11607が含まれる。
【0116】
一部の実施形態においては、本発明の化合物と組合わせて使用するために考慮されている抗炎症薬又は鎮痛剤は、例えば麻薬性鎮痛薬、リポキシゲナーゼ阻害物質例えば5−リポキシゲナーゼの阻害物質、シクロオキシゲナーゼ阻害物質例えばシクロオキシゲナーゼ−2阻害物質、インターロイキン阻害物質例えばインターロイキン−1阻害物質、TNF阻害物質例えばインフリキシマブ、エタネルセプト又はアダリムマブ、NNMAアンタゴニスト、酸化窒素の阻害物質又は酸化窒素合成の阻害物質、非ステロイド系抗炎症薬、又はサイトカイン抑制抗炎症薬例えば、アセトアミノフェン、アスピリン、コデイン、フェンタニル、イブプロフェン、インドメタシン、ケトドラク、モルヒネ、ナプロキセン、フェナセチン、ピロキシカム、ステロイド系鎮痛薬、スフェタニル、スンリンダク、テニダップなどを含み得る。同様にして、当該化合物は、鎮静薬;増強薬例えばカフェイン、H2−アンタゴニスト、シメチコン、水酸化アルミニウム又はマグネシウム;充血除去剤例えばフェニルエフリン、フェニルプロパノールアミン、シュードフェドリン、オキシメタゾリン、エフィネフリン、ナファゾリン、キシロメタゾリン、プロピルヘキセドフィン又はレボーデオキシエフェドリン;鎮咳薬例えばコデイン、ヒドロコドン、カラミフェン、カルベータペンタン、又はデキストラメトルファン;利尿薬;及び鎮静性又は非鎮静性抗ヒスタミン剤と共に投与可能である。
【0117】
一部の実施形態では、本発明の化合物と組合わせた形で使用するように考慮されている薬学的作用物質は(a)米国特許第5,510,332棒明細書、国際公開第95/15973号、国際公開第96/01644号、国際公開第96/06108号、国際公開第96/20216号、国際公開第96/229661号、国際公開第96/31206号、国際公開第96/4078号、国際公開第97/030941号、国際公開第97/022897号、国際公開第98/426567号、国際公開第98/53814号、国際公開第98/53817号、国際公開第98/538185号、国際公開第98/54207号及び国際公開第98/58902号パンフレットに記述されているもののようなVLA−4アンタゴニスト;(b)ステロイド例えばベクロルネタゾン、メチルピエドニゾロン、ベータルネタゾン、プレドニゾン、デキサメタゾン及びヒドロコルチゾン;(c)免疫抑制剤例えばシクロスポリン、タクロリマス、ラパルニシン及びその他のFK506型免疫抑制剤;(d)抗ヒスタミン剤(HI−ヒスタミンアンタゴニスト)例えばブロモフェニラミン、クロルフェニラミン、デクスクロルフェニラミン、トリプロリジン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン、トリペレナミン、ヒドロキシジン、メトジラジン、プロメタジン、トリメプラジン、アザタジン、シプロヘプタジン、アンタゾリン、フェニラミン、ピリラルニン、アステルニゾール、テルフェナジン、ロラタジン、セチリジン、フェクソフェナジン、デカルボエトキシロラタジンなど;(e)非ステロイド系抗ぜんそく薬例えばテルブタリン、メタプロテレノール、フェノテロール、イソエタイイン(isoethaiine)、アルブテロール、ビトルテロール、ピルブテロール、テオロフィリン、クロモリンナトリウム、アトロピン、臭化イプラトロピウム、ロイコトレインアンタゴニスト(例えば、ザフィルルカスト、モンテルカスト、プランルカスト、イラルカスト、ポビルカスト、SKB−106,203)、ロイコトリエン生物合成阻害物質(例えば、ジロイトン、BAY−1005);
【0118】
(f)非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)例えばプロピオン酸誘導体(例えばアルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロクス酸、カルプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルプロフェン、フルビプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ミロプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン酸、及びチオキサプロフェン)、酢酸誘導体(例えば、インドメタシン、アセメタシン、アルクロフェナク、クリダナク、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、フェンクロズ酸、フェンチアザク、フロフェナク、イブフェナク、イソキセパク、オキシピナク、スリンダク、チオピナク、トルメチン、ジドメタシン及びゾメピラク)、フェナム酸誘導体(フルフェナム酸、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ニフルム酸及びトルフェナム酸)、ビフェニルカルボン酸誘導体(ジフルニサル及びフルフェニサル)、オキシカム(イソキシカム、ピロキシカム、スドキシカム及びテノキシカム)、サリチル酸塩(アセチルサリチル酸、スルファサラジン)及びピラゾロン(アパゾン、ベズピペリロン、フェプラゾン、モフェブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン);(g)シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害物質s;(h)ホスホジエステラーゼIV型の阻害物質(PDE−IV);(i)ケモカインレセプターのその他のアンタゴニスト、特にCXCR−4、CCRl、CCR2、CCR3及びCCR5;(j)高脂血症治療薬例えばHMG−CoAレダクターゼ阻害物質(ロバスタチン、シンバスタチン及びプラバスタチン、フルバスタチン、アトロバスタチン及びその他のスタチン)、コレステロール抑制薬(コレスチラミン及びコレスチポール)、ニコチン酸、フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラート及びベンザフィブラート)、及びプロブコール;(k)生物抗炎症剤例えば抗TNF療法、抗IL−1レセプター、CTLA−4Ig、抗CD20、及び抗VLA4抗体;(1)抗糖尿病薬例えばインシュリン、スルホニルウレア、ビグアニド(メトホルミン)、U−グルコシダーゼ阻害物質(アカルボーズ)及びオルリタゾン(トログリタゾン及びピオグリタゾン);(m)インターフェロンベータ調整物(インターフェロンベータ−ロー、インターフェロンベータ−1P);(n)その他の化合物例えばアミノサリチル酸、代謝拮抗剤例えばアザチオプリン及び6−メルカプトプリン及び細胞毒性癌化学療法薬を含み得るがこれらに制限されるわけではない。本発明の化合物対第2の活性成分の重量比は、変動させることができ、これは各成分の有効用量によって左右される。
【0119】
例えば、CCR2アンタゴニストは、その毒性効果が再燃することなく、治療薬単独に対する応答に比べて治療応答を改善するべく、炎症、代謝疾患、自己免疫疾患、癌又はウイルス感染の治療において抗炎症性薬学作用物質と組合わせた形で使用することができる。相加的又は相乗効果が、本発明のCCR2アンタゴニストと付加的作用物質を組合せることの望ましい成果である。
【0120】
薬学的処方及び剤形
調合薬として利用される場合、構造式Iの化合物は、医薬組成物の形で投与され得る。これらの組成物は、薬学技術分野において周知の要領で調製され得、局所的又は全身的治療のいずれが望まれるか及び治療すべき部域に応じてさまざまな経路を通って投与可能である。投与は局所施用(眼科用及び、経鼻、経膣及び直腸デリバリー(送達)を含めた粘膜に対するものを含む)、肺(例えば、ネビュライザによるものを含めた粉末又はエアゾルの吸入又は吹送によるもの;気管内、鼻腔内、表皮及び経皮)、経口又は非経口投与であり得る。非経口投与には、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、筋内又は注射又は輸液;又は頭蓋内例えばくも膜下投与又は脳室内投与が含まれる。非経口投与は、一回ボーラス用量の形をしていてもよいし、又は例えば連続注入ポンプによるものでもあり得る。局所投与のための薬学組成物及び処方物は、経皮パッチ、軟こう、ローション、クリーム、ジェル、ドロップ、座薬、スプレー、液体及び粉末を含み得る。従来の薬学的担体、水性、粉末又は油性基剤、増粘剤などが必要であるか又は望ましい可能性もある。被覆コンドーム、グローブなども同様に有用であり得る。
【0121】
本発明は同様に、活性成分として、単数又は複数の薬学的に許容される担体と組合わせた形の上述の構造式Iの化合物のうちの単数又は複数のものを含有する薬学組成物をも含んでいる。該発明の組成物を作るにあたっては、該活性成分は標準的に賦形剤と混合されるか、賦形剤により希釈されるか又はかかる担体の内部に例えばカプセル、サッシェ、紙又はその他の容器の形で封入される。賦形剤が希釈剤として役立つ場合、それは、活性成分のためのビヒクル、担体又は媒質として作用する固体、半固体又は液体材料であり得る。かくして組成物は、錠剤、丸薬、粉末、口中錠、サッシェ剤、エリキシル剤、懸濁液、エマルジョン、溶液、シロップ、エアゾル(固体として又は液体媒質内)、例えば最高10重量%の活性化合物を含有する軟こう、軟及び硬ゼラチンカプセル剤、座薬、無菌注射用溶液、及び無菌包装粉末の形をとる可能性がある。
【0122】
処方物を調製するにあたっては、活性化合物を粉砕して、その他の成分と組合わせる前に適切な粒度を提供することができる。活性化合物が実質的に不溶性である場合には、それを200メッシュ未満の粒度に粉砕することができる。活性化合物が実質的に水溶性である場合、例えば40メッシュといった処方物内の実質的に均一な分布を提供するべく粉砕により粒度を調整することができる。
【0123】
適切な賦形剤のいくつかの例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、及びメチルセルロースが含まれる。処方物にはさらに、タルク、ステアリン酸マグネシウム及び鉱油といった潤滑剤;湿潤剤;乳化剤及び懸濁化剤;メチル及びプロピルヒドロキシ−ベンゾアートといったような防腐剤;甘味剤;及び着香剤が含まれる可能性がある。該発明の組成物は、当該技術分野において既知の手順を用いることにより患者に対する投与の後、活性成分の高速、持続性又は遅延放出を提供するように処方され得る。
【0124】
組成物は、各々約15〜約1000mg(1g)、より普通には約100〜約500mgの活性成分を含有する単位剤形の形で処方され得る。「単位剤形」という用語は、適切な薬学的賦形剤と結びつけられて所望の治療的効果を生み出すように計算された活性材料の予め定められた数量を各単位が含有している、ヒトの対象及びその他の哺乳動物のための単位投薬量として適切な物理的に不連続な単位を意味する。
【0125】
一部の実施形態においては、該発明の化合物又は組成物は、約5〜約50mgの活性成分を含有している。当業者であれば、これが、約5〜約10、約10〜15、約15〜約20、約20〜約25、約25〜約30、約30〜約35、約35〜約40、約40〜約45又は約45〜約50mgの活性成分を含有する化合物又は組成物を実施しているということを認識することだろう。
【0126】
一部の実施形態においては、該発明の化合物又は組成物は、約50〜約500mgの活性成分を含有する。当業者であれば、これが、約50〜約75、約75〜約100、約100〜約125、約125〜約150、約150〜約175、約175〜約200、約200〜約225、約225〜約250、約250〜約275、約275〜約300、約300〜約325、約325〜約350、約350〜約375、約375〜約400、約400〜約425、約425〜約450、約450〜約475、又は約475〜約500mgの活性成分を実施していることを認識するであろう。
【0127】
一部の実施形態においては、該発明の化合物及び組成物は、約500〜約1000mgの活性成分を含有する。当業者であれば、約500〜約550、約550〜約600、約600〜約650、約650〜約700、約700〜約750、約750〜約800、約800〜約850、約850〜約900、約900〜約950、又は約950〜約1000mgの活性成分を含有する化合物又は組成物を実施していることを認識するであろう。
【0128】
活性化合物は広い投薬量範囲にわたり有効であり得、一般に薬学的に有効な量で投与される。しかしながら、実際に投与される化合物の量は当然通常、治療すべき身体条件、選択された投与経路、投与される実際の化合物、個々の患者の年令、体重及び応答、患者の症候の重症度を含めた関係する状況に従って医師によって決定されることになる。
【0129】
錠剤といったような固体組成物を調製するため、本発明の化合物の均質な混合物を含有する固体予備処方組成物を形成させるべく主要活性成分を薬学賦形剤と混合させる。これらの固体予備処方組成物が均質であると称される場合、該活性成分は、組成物が錠剤、丸薬及びカプセルといったような同等に有効な単位剤形に容易に細分され得るような形で組成物全体を通して均等に分散させられている。この固体予備処方物は次に本発明の活性成分を例えば0.1〜約1000mg含む上述のタイプの単位剤形に細分される。
【0130】
本発明の錠剤又は丸薬は、長時間作用の利点を付与する剤形を提供するべくコーティングされるか又はその他の形で配合され得る。例えば、錠剤又は丸薬は、内部投薬量及び外部投薬量構成要素を含むことができ、外部投薬量構成要素は、内部投薬量構成要素全体にわたる外皮の形をしている。2つの構成要素は、胃の中での崩壊に耐え内部構成要素が十二指腸内に無傷で通過し放出が遅延され得るようにするのに役立つ腸溶性層によって分離され得る。このような腸溶性層又はコーティングのためにはさまざまな材料を使用することができ、かかる材料には、数多くの重合体酸及びシェラック、セチルアルコール及び酢酸セルロースなどの材料と重合体酸の混合物が含まれる。
【0131】
本発明の化合物及び組成物を経口投与又は注射による投与のために取込むことのできる液体形態には、水溶液、適切に着香されたシロップ、水性又は油性懸濁液及び、綿実油、ゴマ油、ココナツ油又はピーナツ油といった食用油との着香されたエマルジョンならびにエリキシル剤及び類似の薬用ビヒクルが含まれる。
【0132】
吸入又は吹送用組成物には、薬学的に許容される水性又は有機溶媒中の溶液及び懸濁液又はその混合物及び粉末が含まれる。液体又は固体組成物は、上述のような適切な薬学的に受容可能な賦形剤を含有し得る。一部の実施形態においては、組成物は、局所的又は全身的効果のため経口又は経鼻呼吸経路によって投与される。組成物は、不活性ガスを用いて噴霧可能である。噴霧される溶液は、直接噴霧装置から呼吸してもよいし、又は、顔面マスクテント又は間欠的陽圧呼吸機に噴霧装置をとりつけることもできる。適切な要領で処方を送達する装置から経口又は経鼻的に溶液、懸濁液又は粉末組成物を投与することができる。
【0133】
患者に対し投与される化合物又は組成物の量は、何が投与されているか、予防又は療法といったその投与の目的、患者の状態、投与の要領、などに応じて変動する。治療的利用分野では、疾病及びその合併症の症候を治ゆさせるか又は少なくとも部分的に阻むのに充分な量で、該疾病をすでに患う患者に対し組成物を投与することができる。有効用量は、治療中の疾病の条件によって、ならびに疾病の重症度、患者の年令、体重及び全身状態などといった要因に応じた担当医の判断によって左右されることになる。
【0134】
患者に投与される組成物は、上述の医薬組成物の形態をとり得る。これらの組成物は、従来の滅菌技術により滅菌され得、そうでなければ除菌してもよい。水溶液は、そのままの状態での使用のために包装され得、そうでなければ凍結乾燥でき、凍結乾燥された調製物は投与前に滅菌した水性担体と組合わされる。化合物調製物のpHは、3〜11の間、より好ましくは5〜9、最も好ましくは7〜8の間となる。上述の賦形剤、担体又は安定化剤のいくつかの使用は薬学的塩の形成を結果としてもたらすということがわかるだろう。
【0135】
本発明の化合物の治療的投薬量は、例えば、その治療が行なわれる特定の用途、化合物の投与要領、患者の健康及び身体条件及び処方する医師の判断に従って変動し得る。薬学組成物中の該発明の化合物の割合又は濃度は、投薬量、化学的特性(例えば疎水性)、及び投与経路を含めた一定数の要因に応じて変動し得る。例えば、該発明の化合物は、非経口投与のための化合物を約0.1〜約10%w/vを含有する生理緩衝水溶液の形で提供され得る。いくつかの標準的用量範囲は一日体重1kgあたり約1μg〜約1gである。一部の実施形態では、用量範囲は1日体重1kgにつき約0.01mg〜約100mgである。投薬量は、疾病又は障害のタイプ及び進行程度、特定の患者の全体的健康状態、選択された化合物の相対的生物学的効果、賦形剤の処方及びその投与経路といったような変数により左右される確率が高い。有効用量は、インビトロ又は動物モデル試験系から導出された用量−応答曲線から外挿することができる。
【0136】
該発明の化合物を同様に、抗体、免疫抑制剤、抗炎症剤、化学療法薬、高脂血症治療薬、HDL上昇剤、インシュリン分泌促進薬又は増感剤、関節リウマチの治療用薬物などといったあらゆる薬学的作用物質を内含し得る単数又は複数の付加的な活性成分と組合わせて処方することもできる。
【0137】
関節リウマチ(RA)治療用投薬計画
疾患修飾薬(メトトレキサート、抗マラリア薬、金、ペニシラミン、スルファサラジン、ダプソーン、レフルナミド、又は生物製剤)で攻撃的な治療を受けたRHM(RA)患者は、完全な寛解を含めたさまざまな疾病制御度を達成することができる。これらの臨床応答は、疾病活性の標準化された評点、特定的には、疼痛、機能、疼痛関節数、腫脹関節数、患者の包括的査定、医師の包括的査定、炎症の検査室措置(CRP及びESR)及び関節構造損傷の放射線査定を含めたACR基準の改善と結びつけられる。現行の疾患修飾薬(DMARD)は、最適な恩恵を維持するのに連続的投与を必要とする。これらの作用物質の慢性的投薬は、有意な毒性と宿主防御の妥協と結びつけられる。さらに、患者は特定の療法に対し治療抵抗性をもつようになり、代替的な投薬計画を必要とすることが多い。これらの理由から、標準的なDMARDの使用中止を可能にする新規の有効な療法があれば、それは1つの臨床的に重要な進歩となると思われる。
【0138】
抗TNE療法(インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブ)、抗−IL−1−療法(キナレット)又は;メトトレキサート、シクロスポリン、金塩、抗マラリア薬、ペニシラミン又はレフルナミドを含めた(ただしこれらに制限されるわけではない)その他の疾患修飾抗リウマチ薬(DMARD)に対し有意な応答を有し、疾病の臨床的寛解を達成した患者は、例えば核酸(例えばアンチセンス又はsiRNA分子)、タンパク質(例えば抗−CCR2抗体)、小分子阻害物質(例えば本書中に開示された化合物及びその他の当該技術分野において既知のケモカインレセプタ阻害物質)を含めた、CCR2の発現及び/又は活性を阻害する物質での治療を受けることができる。
【0139】
一部の実施形態においては、CCR2の発現及び/又は活性を阻害する物質は小分子CCR2阻害物質(又はアンタゴニスト)である。CCR2アンタゴニストは、一日約500mgsを上回らない用量でq.d(毎日一回)又はb.i.d(1日2回)経口投薬され得る。患者の現行の療法を中止させることもでき、そうでなければその投薬量を減少させることもでき、CCR2アンタゴニストでの治療を維持することになる。DMARDを中断するか又はその用量を減少させCCR2アンタゴニストを続行する前に、CCRアンタゴニストとその現行の療法の組合せを用いた患者の治療を、例えば1、2日の間実施することができる。
【0140】
従来のDMARDSをCCR2アンタゴニストと置換することの利点は、数多くある。従来のDMARDは、重大な累積的用量制限的副作用を有し、最も一般的なのは肝臓に対する損傷ならびに免疫抑制作用である。CCR2拮抗作用は、改善された長期安全性プロフィールを有するものと予想され、従来のDMARDに付随する類似の免疫抑制という不利益を有することはないと思われる。さらに生物製剤の半減期は標準的に日又は週単位であり、これは有害な反応に対処するときに1つの問題点となる。経口的に生体利用できるCCR2アンタゴニストの半減期は時間単位であると予想され、そのため有害事象の後の薬物に対する曝露の続行のリスクは生物剤に比べきわめてわずかである。同様に、現行の生物剤(インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブ、キナレット)は、標準的にi.v(静脈内)又はsc(皮下)で与えられ、医者による投与又は患者による自己注射を必要とする。このことは、輸液反応又は注射部位反応の可能性をもたらす。これらは、経口投与されるCCR2アンタゴニストを用いると回避可能である。
【0141】
糖尿病及びインシュリン耐性治療投薬計画
2型糖尿病は、西欧社会における疾病率及び死亡率の主要な原因の1つである。大部分の患者において、該疾病は、肝臓及び末梢組織におけるインシュリン耐性が随伴する膵臓ベータ細胞機能不全をその特徴としている。疾病と結びつけられる一次機序に基づいて、2型糖尿病を治療するには2種の一般的経口療法すなわちインシュリン分泌促進薬(グリブリドといったスルホニル尿素)及びインシュリン増感薬(メトホルミン及びテアゾリジンジオン例えばロリグリタゾン)が利用可能である。両方の機序に対処する組合せ療法は、この疾病の代謝不良を管理することが示されてきており、数多くのケースにおいて、外因性インシュリン投与の必要性を改良するものとして示すことができる。しかしながら、経時的にインシュリン耐性が往々にして進行し、さらなるインシュリン補足の必要性が出てくる。さらに、メタボリックシンドロームと呼ばれる前糖尿病状態は、特に肥満に付随する耐糖能機能障害により特徴づけされることが実証されてきた。2型糖尿病を発生させる患者の大部分はインシュリン耐性の発生で始まり、これらの患者がグルコース恒常性の喪失を防ぐのに必要な高インシュリン血の度合にもはや耐えることができない場合に高血糖症が発生する。インシュリン耐性構成要素の発現は、疾病の発症をきわめて強く予測させるものであり、2型糖尿病、高血圧及び冠状動脈性心臓病を発生させるリスクの増大と結びつけられる。
【0142】
耐糖能機能障害及びインシュリン耐性状態から2型糖尿病への進行に最も強く相関しているのは中心性肥満の存在である。2型糖尿病患者の大部分は、肥満であり、肥満そのものがインシュリン耐性と結びつけられている。中心性脂肪過多症で2型糖尿病に導くインシュリン耐性の発生の主要なリスク要因であることは明らかであり、これは、内臓脂肪からのシグナルがインシュリン耐性の発生及び疾病への進行に寄与することを示唆している。分泌タンパク質の因子に加えて、肥満は、骨髄由来のマクロファージが貯蔵脂肪内に蓄積して脂肪組織マクロファージとなる細胞炎症性応答を誘発する。脂肪組織マクロファージは、脂肪過多症の尺度に正比例して脂肪組織内で蓄積する。組織浸潤性マクロファージは、含脂肪細胞内でインシュリン耐性を誘発することが実証されてきた数多くの炎症性サイトカインの供給源である。
【0143】
脂肪組織は脂肪過多症に比例してMCP−1を産生し、CCR2を通してのシグナリングによるその活性が同じく脂肪組織内のマクロファージの蓄積においても重要な役割を果たしうるということを示唆している。MCP−1/CCR2の相互作用が脂肪組織に対する単球の動員の直接的原因であるか否か、ヒトにおける脂肪組織へのマクロファージの動員の減少が前炎症性分子の産生の減少を直接導くことになるか否か、そして前炎症性分子の産生がインシュリン耐性と直接関連するか否かは、まだわかっていない。
【0144】
前糖尿病(正常血糖)又は糖尿病(高血糖)のいずれかのインシュリン耐性をはっきりと示している患者は、例えば核酸(例えばアンチセンス又はsiRNA分子)、タンパク質(例えば抗−CCR2抗体)、小分子阻害物質(例えば本書に開示されている化合物及び当該技術分野において既知のその他のケモカインレセプタ阻害物質)を含めたCCR2の発現及び/又は活性を阻害する物質で治療することができる。一部の実施形態では、CCR2の発現及び/又は活性を阻害する物質は小分子CCR2阻害物質(又はアンタゴニスト)である。CCR2アンタゴニストは、一日あたり約500mgsを上回らない用量でq.d.又はb.i.d.で経口にて投薬され得る。患者の現行の療法を中止することもできるし、その投薬量を減少させることもでき、CCR2アンタゴニストでの治療を維持することになる。代替的には、患者の現行の療法を補足してその有効性を増強させるか又はさらなるインシュリン依存性へと進行するのを防止するために、CCR2アンタゴニスト治療を使用することもできる。
【0145】
CCR2アンタゴニストで従来の作用物質を置換又は補足することの利点は数多くある。かかる作用物質は、例えば、前糖尿病性インシュリン耐性状態から糖尿病状態への進行を妨げるために有用であり得る。かかる作用物質は、その付随する毒性でインシュリン感作薬の使用の必要性を削減又は置換することができる。かかる作用物質は同様に、外因性インシュリン補足が必要になるまでの期間を延長させるか、又はそれに対する必要性を低減させることができる。
【0146】
アテローム性動脈硬化症治療投薬計画
アテローム性動脈硬化症は、動脈壁への脂肪質の物質の被着を特徴とする身体条件である。プラークは動脈の内部表層に蓄積する、脂肪質の物質、コレステロール、細胞廃棄物、カルシウムその他の物質の被着物を包含する。プラークは、動脈を通る血管の流量を著しく減少させるのに充分なほど大きく成長し得る。しかしながら、より重大な損傷は、プラークが不安定となり破断するときに発生する。破断したプラークは、血塊形成の原因となり、これは血流を遮断するか又は破裂して体の他の部分まで移動する可能性がある。血塊が心臓に供給を行なう血管を遮断した場合、それは心臓麻痺をひき起こす。それが脳に供給を行なう血管を遮断すると、卒中をひき起こす。アテローム性動脈硬化症は、標準的に小児期に始まり往々にして年をとるにつれて進行する緩慢で複雑な疾患である。
【0147】
血中のコレステロールレベルが高いことは、冠状動脈性心臓病の主要なリスク因子である。プラークの主要な組成物としてのコレステロールに基づき、循環コレステロールの削減又はコレステロール担持高密度リポタンパク質(HDL)の上昇によりプラーク形成の進展が管理されてきた。循環コレステロールは例えば、食物を用いた肝臓内のその合成を阻害することによって、又は食物からの更新を削減することによって、削減可能である。これらの機序を通して作用するこのような薬剤には、高コレステロールレベルを低下させるのに用いられる薬すなわち、胆汁酸吸収物質、リポタンパク質合成阻害物質、コレステロール合成阻害物質及びフィブリン酸誘導体が含まれ得る。循環HDLは付加的には、例えばプロブコール又は高用量のナイアシンの投与によって上昇させることができる。多数の機序に向けた療法が、疾病の進行そしてプラーク破断への進行の速度を低下させることが示されてきた。
【0148】
アテローム性動脈硬化症には標準的に、血管壁に沿って骨髄由来のマクロファージが脂肪質の筋の中に蓄積して泡沫細胞となる細胞炎症性応答が随伴する。泡沫細胞は、プラークの進行を誘発することが実証されてきた数多くの炎症性サイトカイン、及びプラーク不安定化を促進し得る数多くの酵素の供給源である。アテローム性動脈硬化症組織は同じくMCP−1を産生し、CCR2を通したシグナリングによるその活性も又プラーク内の泡沫細胞としてマクロファージの蓄積において重要な役割を果たす可能性があるということを示唆している。CCR2−/−マウスは、脂質代謝における遺伝子改変又は高脂肪食の結果として生成される脂肪質の筋の中に著しく減少したマクロファージしか有していないことが実証されてきた。
【0149】
高い循環コレステロール、低いHDL又は高い循環CRPを明らかに示すか又は画像形成により血管壁にプラークがあるか又はアテローム性動脈硬化症が存在することのその他の何らかの証拠を呈す患者は、例えば核酸(例えばアンチセンス又はsiRNA分子)、タンパク質(例えば抗−CCR2抗体)、小分子阻害物質(例えば本書に開示されている化合物及び当該技術分野において既知のその他のケモカインレセプタ阻害物質)を含めたCCR2の発現及び/又は活性を阻害する物質で治療することができる。一部の実施形態では、CCR2の発現及び/又は活性を阻害する物質は該発明の化合物といったような小分子CCR2阻害物質(又はアンタゴニスト)である。CCR2アンタゴニストは、一日あたり約500mgsを上回らない用量でq.d.又はb.i.d.で経口にて投薬され得る。患者の現行の療法を中止することもできるし、その投薬量を減少させることもでき、CCR2アンタゴニストでの治療を維持することになる。代替的には、患者の現行の療法を補足して、例えばプラークの進行を防止するか又はすでに形成されたプラークを安定化するか又はプラークの退行を誘発する上でのその有効性を増強させるために、CCR2アンタゴニスト治療を使用することもできる。
【0150】
CCR2アンタゴニストで従来の作用物質を置換又は補足することの利点は数多くある。かかる作用物質は、例えば、それに付随するプラーク破断のリスクを伴ってプラークが不安的期に進行するのを妨げるために有用であり得る。かかる作用物質は、顔面紅潮、肝臓損傷及び筋障害といったような筋肉の損傷を含めた(ただしこれらに制限されるわけではない)その付随する毒性で、コレステロール修飾薬又はHDL上昇薬の使用に対する必要性を削減又は置換することができる。かかる作用物質は、同様に、血管を開放するために外科手術が必要とされるまで又は潜在的プラーク破断に起因する損傷を制限するために抗凝血剤の使用が必要とされるまでの期間を延長するか、又はそれに対する必要性を削減することができる。
【0151】
標識化合物及び検定方法
本発明のもう1つの態様は、ヒトを含めた組織試料中のケモカインレセプタを位置特定し定量するため及び標識化合物の阻害結合によりケモカインレセプタリガンドを同定するために、画像形成においてのみならずインビトロ及びインビボの両方の検定においても有用となる、構造式Iの螢光染料、スピン標識、重金属又は放射線標識化合物に関係する。従って、本発明は、かかる標識化合物を含有するケモカインレセプタ検定を内含する。
【0152】
本発明はさらに、構造式Iの同位体標識化合物を内含する。「同位体標識」又は「放射性標識」化合物は、自然の中で標準的に見られる(すなわち天然に発生する)原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数をもつ原子により単数又は複数の原子が交換又は置換される該発明の化合物である。本発明の化合物の中に取込むことのできる適切な放射性核種には、2H(重水素(deuterium)のDとも記される)、3H(三重水素(tritium)のTとも記される)、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、18F、35S、36Cl、82Br、75Br、76Br、77Br、123I、124I、125I及び131Iが含まれるが、これらに制限されるわけではない。当該放射性標識化合物の中に取込まれる放射性核種は、その放射性標識化合物の特定の利用分野により左右されることになる。例えば、インビトロケモカインレセプタ標識及び競合検定のためには、3H、14C、82Br、125I、131I、35S又は を取込む化合物が一般に最も有用となる。放射線画像形成の利用分野では、11C、18F、115I、123I、124I、131I、75Br、76Br又は77Brが一般に最も有用となる。
【0153】
「放射性標識」又は「標識化合物」というのは、少なくとも1つの放射性核種を取込んだ化合物であると理解される。一部の実施形態においては、放射性核種は、3H、14C、125I、35S及び82Brから成る群の中から選択される。
【0154】
有機化合物内に放射性同位体を取込むための合成方法は、該発明の化合物に対し利用可能であり、当該技術分野において周知である。
【0155】
該発明の放射性標識化合物は、化合物を同定し/評価するためのスクリーニング検定において使用可能である。大まかに言うと、新たに合成された又は同定された化合物(すなわちテスト化合物)は、ケモカインレセプタに対する該発明の放射性標識化合物の結合を削減するその能力について評価され得る。従って、ケモカインレセプタに対する結合のため放射性標識化合物と競合するテスト化合物の能力は、直接その結合親和力と相関関係をもつ。
【0156】
キット
本発明は同様に、治療上有効な量の構造式Iの化合物を含む医薬組成物の入った単数又は複数の容器を内含する、例えばケモカイン関連疾患の治療又は予防において有用な薬学的キットをも内含する。かかるキットはさらに、望まれる場合、例えば当業者にとっては容易に明らかとなるように単数又は複数の薬学的に許容される担体を伴う容器といったような単数又は複数のさまざまな従来の薬学的キット構成要素を内含する。投与されるべき構成要素の数量、投与指針及び/又は構成要素の混合指針を標示するインサート又は標識としての指示事項をキット内に入れることもできる。
【0157】
該発明について以下で特定の例を用いてさらに詳細に記述する。以下の例は、例示を目的として提示されているものであり、いかなる形であれ該発明を制限するべく意図されたものではない。当業者であれば、基本的に同じ結果を生み出すべく変更又は修正できるさまざまな非臨界パラメータを容易に認識することだろう。
【実施例】
【0158】
実施例
【化11】

【0159】
実施例1
4−[((lR,3S)−3−イソプロピル−3−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(lH)−イル]カルボニル}シクロペンチル)アミノ]−l−ピリジン−2−イルシクロヘキサノールステップA−1
【化12】

【0160】
メチル(lR,4S)−4−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]シクロペント−2−エン−l−カルボキシラート
DMF(25mL)中の(1R,45)−4−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]シクロペント−2−エン−1−カルボン酸(10.0g、44mmol)の溶液に対して、炭酸カリウム(6.33g、45.8mmol)とそれに続くヨウ化メチル(4.0mL、64mmol)を加えた。一晩室温で撹拌した後、反応混合物をEtOAcで希釈した。該溶液を水で4回及び塩水で1回洗浄し、乾燥させ(MgSO4)かつ濃縮させた。残渣を一晩高真空下で乾燥させ、表題化合物を得た(11g、99%)。C1219NO4についてのMS計算値:(M+H)+242;実際値142.1(M−Boc+H)+
【化13】

【0161】
ステップA−2
【化14】

【0162】
メチル(lS,4S)−4−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−l−イソプロピルシクロペント−2−エン−l−カルボキシラート
−78℃で、THF(202mL)中のリチウムヘキサメチルジシラジドの1.00M溶液中に、10分間にわたりTHF(36.2mL)中のメチル(1R,4S)−4−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]シクロペント−2−エン−l−カルボキシラート(22.10g、91.59mmol)の溶液を加えた。30分間−78℃で該溶液を撹拌し、その後ヨウ化イソプロピル(10.0mL、100mmol)を一分量で加えた。次に混合物を読取値−24℃の冷凍庫へ移動させ、一晩保持した。反応を塩化アンモニウム水で急冷し、結果として得た溶液をエーテルで3回抽出した。エーテル層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ真空下で蒸発させた。残渣を10%の酢酸エチル/ヘキサンで溶離するシリカ上のフラッシュクロマトグラフィで精製して表題化合物を得た(20.2g)。C1525NO4についてのMS計算値:(M+H)+284;実際値184.2(M−Boc+H)+
【0163】
ステップA−3
【化15】

【0164】
(lS,4S)−4−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−l−イソプロピルシクロペント−2−エン−l−カルボン酸
THF(500mL)、メタノール(500mL)及び水(100mL)中のメチル(1S,4S)−4−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−l−イソプロピルシクロペント−2−エン−l−カルボキシラート(18.42g、65mmol)の溶液に対して、水酸化リチウム一水和物(5.00g、119mmol)を加えた。混合物を一晩加熱還流した。18時間後、TLCは極めて微量の出発材料を示していた。有機溶媒を真空下で除去し、水性層をエーテル(200mL)で抽出して未反応の出発材料を除去した。水性層を氷浴中で冷却しながら濃HClでpH=4まで酸性化させた。結果として得た溶液を塩化メチレンで3回抽出した。抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濃縮させて固体(17g)を得た。該固体を高温の酢酸エチル(22mL)中に溶解させ、溶液にヘキサン(550mL)を加えた。該溶液を室温までゆっくりと冷却させ、その後−22〜−24℃の読取値の冷凍庫に入れた。2日後、結晶を除去し、液体を真空中で蒸発させて、白色発泡性固体として所望の生成物を得た(9.78g、56%)。C1423NO4についてのMS計算値:(M+H)+270;実際値170.1(M−Boc+H)+。
【0165】
ステップA−4
【化16】

【0166】
(lS,3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−l−イソプロピルシクロペンタンカルボン酸
エタノール(250mL)中の(1S,4S)−4−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−l−イソプロピルシクロペント−2−エン−1−カルボン酸(9.78g、36.3mmol)の溶液に対して、10%の炭素上のパラジウム(550mg)を加えた。混合物を一晩55psiにて水素下で振とうし、セライトを通して濾過した。ろ液を真空内で蒸発させ表題化合物を得た(9.45g、96%)。C1425NO4についてのMS計算値:(M+H)+272;実際値172.1(M−Boc+H)+
【0167】
ステップB−1
【化17】

【0168】
2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エタンアミン
パールフラスコ中でメタノール(100mL)中のアンモニアの2.00M溶液中に[4−(トリフルオロメチル)フェニル]アセトニトリル(10.0g、54mmol)を溶解させた。それに対してレニーニッケル(約1g)を加えた。混合物を、20時間水素下で振とうし(50psi)、セライトを通して濾過し、次にそれを数回にわたり塩化メチレンで洗浄した。ろ液を濃縮させて表題化合物を固体として得た。C9103NについてのMS計算値(M+H)+190;実際値173.1(M+H−NH3)+
【0169】
ステップB−2
【化18】

【0170】
2,2,2−トリフルオロ−N−{2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}アセトアミド
氷浴中で冷却した塩化メチレン(80mL)中の2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エタンアミン(9.7g、44mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(13mL、77mmol)の溶液に対してシリンジを介してトリフルオロ酢酸無水物(9.05mL、64mmol)をゆっくりと加えた。10分間氷浴中で撹拌した後、氷浴を取り除き、さらに30分間撹拌を継続した。水を添加することにより反応を急冷し、結果として得た溶液を塩化メチレンで2回抽出した。組み合わせた抽出物を1NのHCl及び塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過しかつ濃縮させて粗製生成物を得た(14.2g)。EtOAc及びヘキサンからの結晶化により、白色の針状物として表題化合物を得た(8.5g、68%)。C1196NOについてのMS計算値:(M+H)+286;実際値286.0.
【0171】
ステップB−3
【化19】

【0172】
2−(トリフルオロアセチル)−7−(トリフルオロメチル)−l,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン
2,2,2−トリフルオロ−N−{2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}アセトアミド(4.00g、14mmol)及びパラホルムアルデヒド(0.63g)をフラスコ中で組合せ、酢酸(11mL)中に溶解させた。硫酸(11mL)をゆっくりと加えた。混合物は濁った溶液は透明な溶液へと変化し、発熱反応が観察された。40分後、該フラスコを氷浴中に降ろした。反応を冷水で急冷し、結果として得た溶液をEtOAcで3回抽出した。組み合わせた抽出物を水、飽和重炭酸ナトリウム及び塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過しかつ濃縮させ黄色の油(4.1g、83%)を得た。C1296NOについてのMS計算値:(M+H)+298;実際値298.0。
【0173】
ステップB−4
【化20】

【0174】
7−(トリフルオロメチル)−l,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン
エタノール(16.0mL)中に2−(トリフルオロアセチル)−7−(トリフルオロメチル)−l,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(4.1g、12mmol)を溶解させた。炭酸カリウム(4.0g、29mmol)及び水(4mL)加え、混合物を2時間還流した。冷却後、該溶液を水で希釈し、ジクロロメタンで4回抽出した。組み合わせた抽出物を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、濃縮させた。100%A〜20%B(A=1%NH4OH/5%MeOH/EtOAc;B=l%NH4OH/MeOH)の勾配で溶離するシリカゲル上の高圧クロマトグラフィーによる13分間にわたる精製により表題化合物を得た(1.4g、59%)。C10103NについてのMS計算値:(M+H)+202;実際値202.0。
【0175】
ステップC−1
【化21】

【0176】
tert−ブチル((1R、3S)−3−イソプロピル−3−{[7−(トリフルオロメチル)−3、4−ジヒドロイソキノリン−2(lH)−イル]カルボニル}シクロペンチル)カルバマート
塩化メチレン(30.0mL)中のステップB−4の7−(トリフルオロメチル)−1,2,3、4−テトラヒドロイソキノリン(1.7g、8.45mmol)、ステップA−4の(1S,3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−l−イソプロピルシクロペンタンカルボン酸(2.75g、10.14mmol)、4−ジ−メチルアミノピリジン(0.70g、5.73mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(7.0mL、40.2mmol)の溶液に対してブロモトリス(ピロリドノ)ホホニウムヘキサフルオロホスファート(5.119g、10.98mmol)を加えた。室温で36時間撹拌した後、溶液を真空内で濃縮させた。残渣を20%酢酸エチル/ヘキサンで溶離するシリカ上のカラムクロマトグラフィにより精製し2.1g(55%)の所望の生成物を得た。C2433323についてのMS計算値:(M+H)+455;実際値355(M−Boc+H)+
【0177】
ステップC−2
【化22】

【0178】
(lR,3S)−3−イソプロピル−3−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル]カルボニル}シクロペンタンアミン
tert−ブチル((1R,3S)−3−イソプロピル−3−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(lH)−イル]カルボニル}シクロペンチル)カルバマート(0.80g、1.76mmol)を1,4−ジオキサン中のHClの4M溶液(10mL)中に溶解させた。2時間撹拌した後、該溶液を真空中で蒸発させてHCl塩として所望の生成物を得た(0.64g、94%)。C192532OについてのMS計算値:(M+H)+355;実際値355.2.
【0179】
ステップD−1
【化23】

8−ピリジン−2−イル−l、4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール
−78℃に冷却された無水エーテル(300mL)中の2−ブロモピリジン(14g、88.6mmol)の溶液に対して2.5Mのn−ブチルリチウム溶液(36mL)をゆっくりと加えた。添加の後、1時間−78℃で撹拌を継続した。これに対して、無水エーテル(300mL)中の1,4−シクロヘキサンジオンモノ−エチレンケタール(15g、96mmol)の溶液をゆっくりと加えた。添加が完了した時点で、混合物を0℃になるまで暖まらせ1時間撹拌を継続した。塩化アンモニウム(4.5g)水溶液(100mL)の添加によって反応を急冷させた。有機相を分離し、水性相を塩化メチレンで4回抽出した。組み合わせた有機相をMgSO4上で乾燥させ、濃縮させた。EtOAcからの結晶化により7gの所望の生成物を得た。母液を10%MeOH/EtOAcで溶離するシリカゲル上で精製し、さらに3gの所望の生成物を得た。C1317NO3についてのMS計算値:(M+H)+236;実際値236.0.
【0180】
ステップD−2
【化24】

【0181】
4−ヒドロキシ−4−(ピリジン−2−イル)シクロヘキサノン
上記の生成物をTHF(30mL)及びHClの3N水溶液(30mL)中に溶解させた。混合物を3時間50℃で撹拌した。室温まで冷却した後に、泡が発生しなくなるまで撹拌しながら該溶液に対してNaHCO3を加えた。有機相を分離し、水性層をEtOAcで3回抽出した。組み合わせた有機層をMgSO4上で乾燥させ、濃縮させた。残渣をEtOAcで錬和させて5.5gの表題化合物を得た。(M+H)+192についてのMS計算値;実際値192.0。
【0182】
ステップD−3
【化25】

【0183】
4−[((lR,3S)−3−イソプロピル−3−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(lH)−イル]カルボニル}シクロペンチル)アミノ]−1−ピリジン−2−イルシクロヘキサノール
CH2Cl2(8mL)中のステップD−2の4−ヒドロキシ−4−ピリジン−2−イル−シクロヘキサノン(42.3mg、0.221mmol)及びステップC−2の(lR,3)−3−イソプロピル−3−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(lH)−イル]カルボニル}シクロペンタンアミン(103mg、0.221mmol)の溶液に対してナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(200mg、1.0mmol)を加えた。一晩室温で撹拌した後、反応を水性NaOHで急冷させた。溶液をCH2Cl2で抽出した。有機層を真空中で濃縮させた。残渣をHPLCを介して精製し、2つのジアステレオマーを得た。異性体1:C3038332について計算されたLCMS:(M+H)+530;実際値530.1。異性体2:MS実際値530.1。
【0184】
【化26】

実施例2
4−[((lR,3S)−3−イソプロピル−3−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(lH)−イル]カルボニル}シクロペンチル)アミノ]−l−(l,3−オキサゾール−2−イル)シクロヘキサノール
【0185】
ステップA
【化27】

4−ヒドロキシ−4−(l,3−オキサゾール−2−イル)シクロヘキサノン
THF(20mL)中の1,3−オキサゾール(2.0mL、30.41mmol)の溶液に対して、室温でTHF中のボランの1.0M溶液(30.4mL)を加えた。混合物を1時間撹拌した後、−78℃まで冷却した。上記の溶液に対して、ヘキサン中のn−ブチルリチウムの1.6M溶液(19mL)を加えた。1時間−78℃で撹拌した後、THF(10mL)中の1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカン−8−オン(5.22g、33.45mmol)の溶液を加えた。5時間−78℃で撹拌した後、3MのHCl水溶液(40mL)の添加によって反応を急冷させた。結果として得た溶液を室温で一晩を撹拌し、炭酸カリウムで中和しEtOAcで3回抽出した。組み合わせた抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濃縮させた。EtOAcで溶離するシリカ上のフラッシュクロマトグラフィによる精製で所望の生成物(3.9g、70%)を得た。C911NO3についてのLC−MS計算値:(M+H)+182;実際値182.0。
【0186】
ステップB
【化28】

【0187】
4−[((lR,3S)−3−イソプロピル−3−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(lH)−イル]カルボニル}シクロペンチル)アミノ]−1−(1,3−オキサゾール−2−イル)シクロヘキサノール
THF中の実施例1ステップC−2の(1R,3R)−3−イソプロピル−3−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(lH)−イル]カルボニル}シクロペンタンアミン(113.0mg、0.3188mmol)の溶液(1mL)に対して4−ヒドロキシ−4−(l,3−オキサゾール−2−イル)シクロヘキサノン(80.3mg、0.443mmol)、と続くトリエチルアミン(0.5mL、3.6mmol)そして最後にナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(135mg、0.638mmol)を加えた。一晩撹拌した後、NaOH溶液の添加によって反応を急冷させた。結果として得た溶液を塩化メチレンで抽出した。抽出物をMgSO4上で乾燥させかつ真空中で蒸発させた。残渣をEtOAc/l%NH4OHで溶離するフラッシュクロマトグラフィにより精製して2つの異性体を得た。異性体1:73mg。C2836333についてのMS計算値:(M+H)+520;実際値520.1。異性体2:56mg、MS実際値520.1。
【0188】
【化29】

実施例3
4−[((lR,3S)−3−イソプロピル−3−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(lH)−イル]カルボニル}シクロペンチル)アミノ]−l−ピリミジン−2−イルシクロヘキサノール
【0189】
ステップA
【化30】

【0190】
8−ピリミジン−2−イル−l,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカン−8−オール
乾燥塩化メチレン(3.0mL)中の2−ブロモピリミジン(0.20g、1.258mmol)の溶液に対して−78℃でヘキサン中の1.6Mのn−ブチルリチウム(0.86mL)を滴下により加えた。反応混合物を−78℃で29分間撹拌し、CH2Cl2(3mL)中のl,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカン−8−オン(0.196g、1.26mmol)を滴下により加えた。50分間−78℃で反応を撹拌し、NH4Cl水溶液で急冷させた。室温まで暖めた後、混合物をCH2Cl2で3回抽出した。組み合わせた抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濾過しかつ真空中で濃縮させて、0.50gの粗製生成物を得た。ヘキサン中の0→50%EtOAcで溶離するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィ精製によりの明黄褐色の固体として所望の生成物0.159g(54%)を得た。MS(M+H)+237.2。
【0191】
ステップB
【化31】

【0192】
4−ヒドロキシ−4−ピリミジン−2−イルシクロヘキサノン
THF(200mL)中のステップAからの生成物(190mmol、44g)に対して、HCl水溶液(300mmol、100mL)を加えた。反応を2日間にわたり撹拌し、ジメチルエーテルを用いて抽出した。次に、抽出した水性層を水性NaOH(50%)を用いて中和させて11のpHを得、EtOAc(6×300mL)を用いてこれを「抽出した。有機層を組み合わせてMgSO4上で乾燥させ、真空中で濃縮させた。残渣をシリカ上のフラッシュクロマトグラフィを介して精製し、所望のケトン(18g、49%)を得た。MS(M+H)+193.1。
【0193】
ステップC
【化32】

【0194】
4−[((lR,3S)−3−イソプロピル−3−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(lH)−イル]カルボニル}シクロペンチル)アミノ]−1−ピリミジン−2−イルシクロヘキサノール
CH2Cl2(10mL)中の4−ヒドロキシ−4−ピリミジン−2−イル−シクロヘキサノン(59.8mg、0.31mmol)及び実施例1のステップC−2の(1R,3S)−3−イソプロピル−3−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)カルボニル]シクロペンタンアミン(110mg、0.31mmol)の溶液に対してナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(131mg、0.62mmol)を加えた。一晩撹拌した後、さらなるナトリウムトリアセトキシボロヒドリドを加え、還元剤の当量を5当量にした。さらに5時間撹拌した後、反応を水性NaOHで急冷させた。結果として得た溶液をEtOAcで3回抽出した。組み合わせた抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濃縮させた。フラッシュクロマトグラフィとその後に続くHPLCによる精製から2つの異性体を得た。異性体1及び異性体2:C2937342についてのMS計算値:(M+H)+531;実際値531.1。
【0195】
【化33】

実施例4
4−[((1R、3S)−3−イソプロピル−3−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(lH)−イル]カルボニル}シクロペンチル)アミノ]−l−(l,3−チアゾール−2−イル)シクロヘキサノール
【0196】
ステップA
【化34】

8−(l,3−チアゾール−2−イル)−l,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール
ヘキサン(8.1mL、12.92mmol)中のn−ブチルリチウムの1.6M溶液を、N2下で撹拌しながら−78℃のTHF(10mL)中のチアゾール(1.0g、11.75mmol)の溶液に対して加えた。1時間−78℃で撹拌した後、THF(10mL)中の1,4−シクロヘキサンジオンモノ−エチレンケタール(1.84g、11.75mmol)の溶液をシリンジを介して該溶液に加え、撹拌を−78℃で3時間継続した。水(5mL)を加え、反応混合物を室温まで暖めて、EtOAcを用いて3回抽出した。組み合わせた有機層を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、真空中で濃縮させクロマトグラフィーに付して2.53g(89%)の所望の化合物を得た。MS(M+H)+=242.2。
【0197】
ステップB
【化35】

【0198】
4−ヒドロキシ−4−(l,3−チアゾール−2−イル)シクロヘキサノン
20mLのTHF/3N HCl(1:1)中の8−(l,3−チアゾール−2−イル)−l,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール(1.0g、4.14mmol)の溶液を50℃で1時間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物をNa2CO3でpH8に至るまで処理し、EtOAcで3回抽出した。組み合わせた有機層を飽和NaCl溶液で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)かつ濃縮させて0.80g(98%)の表題化合物を得た。MS(M+H)+=198.2。
【0199】
ステップC
【化36】

【0200】
4−[((1R、3S)−3−イソプロピル−3−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(lH)−イル]カルボニル}シクロペンチル)アミノ]−1−(1,3−チアゾール−2−イル)シクロヘキサノール
ジクロロメタン(10mL)中の(1R,3S)−3−イソプロピル−3−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(lH)−イル]カルボニル}シクロペンタンアミンTFA塩(46.8mg、0.132mmol)及び4−ヒドロキシ−4−(l,3−チアゾール−2−イル)シクロヘキサノン(30.4mg、0.154mmol)の溶液に対して、室温でトリエチルアミン(23.6uL、0.169mmol)とそれとそれに続くナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(56mg、0.26mmol)を加えた。一晩撹拌した後、混合物をジクロロメタンで希釈し、NaHCO3で中和した。有機層を塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮させた。残渣をシリカ上のフラッシュクロマトグラフィにより精製し、2つの異性体を得た。異性体1及び異性体2:C2836332SについてのLC−MS計算値:(M+H)+536;実際値536.2。
【0201】
【化37】

【0202】
実施例5
4−[((lR,3S)−3−イソプロピル−3−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−l,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペンチル)アミノ]−l−(l,3−チアゾール−2−イル)シクロヘキサノール
【0203】
ステップA−1
【化38】

【0204】
3−ブロモ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−オール
氷酢酸(38mL)中の5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−オール(10.52g、62mmol)及び酢酸ナトリウム(5.29g、64mmol)の溶液に対して室温で臭素(3.36mL、65mmol)を加えた。白濁色の溶液はゆっくりと透明な褐色の溶液になり、これを2.5時間80℃で加熱した。混合物を室温まで冷却させ、次に減圧下で蒸発させた。残渣をpH=8まで飽和NaHCO3溶液を用いて中和させた。結果として得た溶液をEtOAcで3回抽出した。組み合わせた抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濾過しかつ真空中で蒸発させて15.1g(99.8%)の粗製生成物(15.1g、98.8%)を白色の固体として得た。C63BrF3NOについてのLC−MS計算値:(M+H)+241.9;実際値241.9/243.9。
【0205】
ステップA−2
【化39】

【0206】
2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチル)ニコチンアルデヒド
3−ブロモ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−オール(8.20g、31.2mmol)を、室温で無水THF(76mL)中の水素化ナトリウム懸濁液(0.8575g、33.94mmol)に対して小分量で加えた。完全に添加した後、反応混合物を−78℃まで冷却し、ペンタン(40.0mL)中のtert−ブチルリチウムの1.7M溶液を15分間にわたりシリンジを介して滴下により加えて処理した。5分間撹拌した後、温度を−50℃以下に維持しながら無水DMF(8.16mL、105mmol)をゆっくりと加えた。次に反応混合物を一晩撹拌しながら室温まで温めた。結果として得た明褐色の混合物を飽和NH4Cl溶液の添加によって急冷させた。該溶液のpHを水性NaHCO3の添加によって9〜10に調節した。結果として得た溶液をEtOAcで4回抽出した。組み合わせた抽出物を乾燥させ(MgSO4)、濾過しかつ濃縮させて、褐色固体の粗製生成物(7.33g、粗収量100%未満)を得た。C743NO2についてのMS計算値:(M+H)+192;実際値192.1。
【0207】
ステップA−3
【化40】

【0208】
2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチル)ニコチノニトリル
ギ酸(36.6mL)中の2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチル)ニコチンアルデヒド(3.80g、17.9mmol)(純度約90%)、ギ酸ナトリウム(1.46g、20.8mmol)、ヒドロキシルアミンヒドロクロリド(1.47g、20.8mmol)の混合物を2時間室温で撹拌し(濁った褐色溶液)、次に一晩加熱還流した(最初は透明な褐色溶液、その後再度濁る)。室温まで冷却させた後、反応混合物を水で急冷しEtOAcで3回抽出した。組み合わせた有機層を水で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過しかつ真空中で濃縮させて3.03グラム(90%)の所望の粗製生成物(純度約75%)を褐色の固体として得た。C7332OについてのMS計算値:(M+H)+189;実際値189.0。
【0209】
ステップA−4
【化41】

【0210】
2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ニコチノニトリル
塩化ホスホリル(1.28mL、13.6mmol)及びキノリン(0.834mL、6.92mmol)の混合物に対して2−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチル)ニコチノニトリル(2.93g、11.7mmol)(粗製、純度75%)を加えた。結果として得た混合物を4時間加熱還流した。100℃まで冷却した後、水(7.0mL)をゆっくりと加えた。該混合物をさらに室温まで冷却し、飽和NaHCO3で慎重に中和させた。結果として得た溶液をEtOAcで3回抽出し、有機層を組合せ、MgSO4上で乾燥させ、濾過しかつ真空中で蒸発させた。粗製生成物(2.35g)をフラッシュクロマトグラフィ(15:85 EtOAc/ヘキサン)により精製して1.81g(75%)の所望の化合物を暗褐色の固体として得た(>純度85%未満)。
【0211】
ステップA−5
【化42】

【0212】
tert−ブチルメチル[3−シアノ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]マロナート
窒素下でTHF(18mL)中の水素化ナトリウム(0.752g、29.8mmol)の懸濁液に対して、15分間にわたりシリンジを介して乾燥THF(15mL)中のtert−ブチル−メチルマロナート(3.18mL、17.9mmol)の溶液を滴下により加えた。反応混合物を30分間撹拌した後、THF(30mL)中の2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ニコチノニトリル(4.0g、14.5mmol)の溶液をゆっくりと加えた。一晩室温で撹拌した後、反応混合物を水性NH4Clで急冷させた。THFを真空下で除去し、水溶液をEtOAcで3回抽出した。組み合わせた有機層をMgSO4上で乾燥させ、濾過しかつ真空中で蒸発させた。粗製の褐色生成物(7.1g)をフラッシュクロマトグラフィ(10:90 EtOAc/ヘキサン)により精製し、4.20g(84%)の所望の生成物を黄色の油として得た。C1515324についてのLC−MS計算値:(M+H)+345;実際値245.0(M−CO2tBu+H+l)+
【0213】
ステップA−6
【化43】

【0214】
tert−ブチル7−オキソ−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−l,6−ナフチリジン−8−カルボキシラート
エタノール(60mL)中のtert−ブチル−メチル[3−シアノ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]マロナート(4.02g、11.7mmol)の溶液に対してレニー・ニッケル(0.60g、10mmol)のスラリーを加えた。混合物をパールの器具上に置き、水素下で一晩40psiで水素化した。懸濁液をセライトを通して濾過し、ろ液を真空中で蒸発させて、3.68g(99.6%)の所望の生成物を黄色の油として得た。C1415323についてのLC−MS計算値:(M+H)+317;実際値217.1(M−CO2tBu+H+l)+
【0215】
ステップA−7
【化44】

【0216】
3−(トリフルオロメチル)−5,8−ジヒドロ−l,6−ナフチリジン−7(6H)−オン
塩化メチレン(14mL)中のtert−ブチル7−オキソ−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−l,6−ナフチリジン−8−カルボキシラート(3.60g、11.4mmol)の溶液に対して、トリフルオロ酢酸(6.75mL)を加え、結果として得た混合物を0.5時間室温で撹拌した。溶液を減圧下で蒸発させ、残渣をCH2Cl2中で溶解させた。飽和NaHCO3の溶液をゆっくり加えることにより混合物を中和させ、有機層を除去した。水性層をCH2Cl2で4回抽出し、組み合わせた有機層をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、真空中で蒸発させて2.45g(100%)の所望の生成物を黄色の固体として得た。C9732OについてのLC−MS計算値:(M+H)+217;実際値217.0。
【0217】
ステップA−8
【化45】

【0218】
3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−l,6−ナフチリジン
THF(14mL)中の3−(トリフルオロメチル)−5,8−ジヒドロ−l,6−ナフチリジン−7(6H)−オン(2.08g、9.62mmol)の黄色の懸濁液に対してTHF(48.5mL)中のボランの1.0M溶液をゆっくりと加え、結果として得た透明な黄色溶液を一晩N2下で室温にて撹拌した。一晩反応させた後、2つのピークが検出された。大ピーク(>80%)はボラン錯体であり、小ピークは所望の生成物のピーク(<15%)であった。ボラン錯体を分解するために、6MのHCl(12mL)を滴下にて加えることにより、濁った反応混合物を処理した。大量の泡と熱が発生した。結果として得た僅かに濁った黄色の溶液を一晩室温で撹拌した。溶剤を蒸発させた後、黄色の粗製生成物を、25mLのDMSO中で溶解させ、TFA(4mL)でゆっくりと処理して黄褐色の透明な溶液を得、これを分取−HPLCにより精製してジ−TFA塩として約2.60g(63%)の所望の明黄色の粘着性生成物を得た。LC−MS203.0(M+H)+
【0219】
生成物をさらに精製するために、以上で得られたTFA塩をNaOH溶液での処理により中和した。結果として得たジクロロメタン(10mL)中の遊離塩基(270mg、1.3mmol)に対して、ジ−tert−ブチルジカルボナート(580mg、2.7mmol)とそれに続いてジイソプロピルメチルアミン(520mg、4.0mmol)を加えた。一晩室温で撹拌した後、溶液をジクロロメタンで希釈し、飽和NaHCO3、水及び塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過しかつ濃縮させた。残渣をヘキサン中の50%酢酸エチルで溶離するシリカ上のフラッシュクロマトグラフィにより精製し、Boc−保護された生成物を得た。生成物を1,4−ジオキサン(10mL)中のHClの4M溶液で処理した。2時間室温で撹拌した後、溶液を真空中で蒸発させた。残渣をエーテルで処理し白色の固体(159mg)として所望の生成物を得た。C9932についてのMS計算値:(M+H)+203;実際値203.0。
【0220】
ステップB−1
【化46】

【0221】
tert−ブチル((1R,3S)−3−イソプロピル−3−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−l,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル)シクロペンチル)カルバマート
ジクロロメタン(10mL)中の実施例1のステップA−1の3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−l,6−ナフチリジンジヒドロクロリド(159mg、0.574mmol)、ステップA−4の(1S,3R)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−l−イソプロピルシクロペンタンカルボン酸(0.21g、0.79mmol)の溶液に対して、4−ジメチルアミノピリジン(38mg、0.32mmol)及びジイソプロピルメチルアミン(180mg、1.4mmol)とそれに続くブロモトリス(ピロリジノ)ホホニウムヘキサフルオロホスファート(270mg、0.57mmol)を加えた。室温で一晩撹拌した後、溶液をジクロロメタンで希釈し、飽和NaHCO3、水及び塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過しかつ真空中で蒸発させた。残渣をヘキサン中の30%酢酸エチルで溶離するシリカ上のフラッシュクロマトグラフィにより精製して300mgの所望の生成物を得た。C2332333についてのMS計算値:(M+H)+456;実際値356.2(M−Boc+H)+
【0222】
ステップB−2
【化47】

【0223】
(IR,3S)−3−イソプロピル−3−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−l,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペンタンアミン
tert−ブチル((1R,3S)−3−イソプロピル−3−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−l,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペンチル)カルバマート(300mg、0.6mmol)を1,4−ジオキサン(20mL)中のHClの4M溶液中に溶解させた。2時間室温で撹拌した後、溶液を濃縮させた。残渣をエーテルで処理して250mgの黄色固体を得た。C182433OについてのMS計算値:(M+H)+356;実際値356.1。
【0224】
ステップC
【化48】

【0225】
4−[((1R,3S)−3−イソプロピル−3−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−l,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペンチル)アミノ]−l−(l,3−チアゾール−2−イル)シクロヘキサノール
塩化メチレン(10mL)中のステップB−2の(1R,3S)−3−イソプロピル−3−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−l,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペンタンアミン(41mg、0.12mmol)、実施例4の4−ヒドロキシ−4−(l,3−チアゾール−2−イル)シクロヘキサノン(46mg、0.23mmol)、及びトリエチルアミン(0.064mL、0.46mmol)の溶液に対して室温でナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(73mg、0.35mmol)を加えた。一晩室温で撹拌した後、混合物を塩化メチレンで希釈させ、NaHCO3で中和させた。有機層を水及び塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過しかつ真空中で蒸発させた。残渣を酢酸エチル中の0%〜5%トリエチルアミンで溶離するシリカ上のフラッシュクロマトグラフィにより精製し、2つの異性体(15mg及び13mg)を得た。C2735342SについてのMS計算値:(M+H)+537;実際値537.2。
【0226】
【化49】

【0227】
実施例6
4−[((lR、3S)−3−イソプロピル−3−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(lH)−イル]カルボニル}シクロペンチル)アミノ]−l−(4−メチル−l,3−チアゾール−2−イル)シクロヘキサノール
表題化合物を、4−メチル−l,3−チアゾールから出発して実施例4について記述されたものと類似の要領で調製した。C2938332SについてのMS計算値:(M+H)+550;実際値550.2。
【化50】

【0228】
実施例7
4−[((lR,3S)−3−イソプロピル−3−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−l,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペンチル)アミノ]−l−(4−メチル−l,3−チアゾール−2−イル)シクロヘキサノール
表題化合物を、4−メチル−l,3−チアゾールから出発して実施例5について記述されたものと同様の要領で調製した。C2837342SについてのMS計算値:(M+H)+551;実際値551.3.
【化51】

【0229】
実施例8
4−[((1R,3S)−3−イソプロピル−3−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(lH)−イル]カルボニル}シクロペンチル)アミノ]−l−(5−メチル−l,3−チアゾール−2−イル)シクロヘキサノール
【0230】
ステップA
【化52】

【0231】
8−(5−メチル−l,3−チアゾール−2−イル)−l,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール
ヘキサン(5.70mL、9.12mmol)中のn−ブチルリチウム1.6M溶液を、N2下において撹拌しながら−78℃でTHF(10mL)中の8−(l,3−チアゾール−2−イル)−l,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール(1.00g、4.14mmol)に加えた。1時間−78℃で撹拌した後、溶液に対して−78℃でシリンジを介してヨウ化メチル(0.71mL、9.12mmol)を加えた。反応混合物をゆっくりと室温になるまで暖まらせ、一晩撹拌した。水及びEtOAcを加えた。水性層をEtOAcで3回抽出した。組み合わせた有機層を飽和NaClで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濃縮させ、20%EtOAc/ヘキサンを用いたフラッシュクロマトグラフィに付して0.77g(71%)の表題化合物を得た。MS(M+H)+=256.1。
【0232】
ステップB
【化53】

【0233】
4−ヒドロキシ−4−(5−メチル−l,3−チアゾール−2−イル)シクロヘキサノン
20mLのTHF/3NのHCl(1:1)中の8−(5−メチル−l,3−チアゾール−2−イル)−l,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール(1.0g、4.14mmol)の溶液を50℃で1時間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物をpH8までNa2CO3で処理し、EtOAcで3回抽出した。組み合わせた有機層を飽和NaCl溶液で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)かつ濃縮させて0.82g(99%)の所望の生成物を得た。MS(M+H)+=212.2。
【0234】
ステップC
【化54】

【0235】
4−[((lR,3S)−3−イソプロピル−3−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(lH)−イル]カルボニル}シクロペンチル)アミノ]−1−(5−メチル−1,3−チアゾール−2−イル)シクロヘキサノール
ジクロロメタン(10mL)中の実施例1からのステップC−2の(IR,3S)−3−イソプロピル−3−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(lH)−イル]カルボニル}シクロペンタンアミンTFA塩(40mg、0.1mmol)及び4−ヒドロキシ−4−(5−メチル−l,3−チアゾール−2−イル)シクロヘキサノン(32.6mg、0.15mmol)の溶液に対して、室温でトリエチルアミン(31μL、0.22mmol)とそれに続いてナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(56mg、0.26mmol)を加えた。一晩撹拌した後、混合物を塩化メチレンで希釈し、NaHCO3で中和した。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、濃縮させた。残渣を5%MeOH/CH2Cl2で溶離するシリカ上のフラッシュクロマトグラフィにより精製し2つの異性体を得た(13mg及び10mg)。C2938332SについてのLC−MS計算値:M+H)+550;実際値550.2.
【0236】
【化55】

実施例9
4−[((1R,3S)−3−イソプロピル−3−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(lH)−イル]カルボニル}シクロペンチル)アミノ]−l−(l,3−チアゾール−5−イル)シクロヘキサノール
【0237】
ステップA
【化56】

【0238】
8−(l,3−チアゾール−5−イル)−l,4−ジオキサスピロ[4,5]デカン−8−オール
THF(20mL)中の2−トリメチルシリル−チアゾール(2.5g、15.89mmol)の溶液を、N2下で撹拌しながら−78℃でヘキサン中のn−ブチルリチウムの1.6M溶液(11.9mL、19.07mmol)に加えた。0.5時間−78℃で撹拌した後、シリンジを介して該溶液に対しTHF(20mL)中の1,4−シクロヘキサンジオンモノ−エチレンケタール(2.48g、15.89mmol)の溶液を加え、−78℃で1時間撹拌を継続した。水(5mL)及びEtOAcを加え、反応混合物を室温まで暖めてEtOAcで3回抽出した。組み合わせた有機層を乾燥させ(MgSO4)、濾過しEtOAcから結晶化させて3.4g(90%)の所望の生成物を得た。MS(M+H)+=242.1。
【0239】
ステップB
【化57】

【0240】
4−ヒドロキシ−4−(l,3−チアゾール−5−イル)シクロヘキサノン
THF(20mL)中の8−(l,3−チアゾール−5−イル)−l,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール(0.95g、4.14mmol)の溶液に対して3NのHCl水溶液(10mL)を加えた。混合物を50℃で1時間撹拌した。室温まで冷却させた後、溶液をpH8までNa2CO3で処理し、EtOAcで3回抽出した。組み合わせた有機層を飽和NaCl溶液で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)かつ濃縮させて、0.78g(98%)の所望の生成物を得た。MS(M+H)+=198.2。
【0241】
ステップC
【化58】

【0242】
4−[((1R,3S)−3−イソプロピル−3−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(lH)−イル]カルボニル}シクロペンチル)アミノ]−l−(l,3−チアゾール−5−イル)シクロヘキサノール
ジクロロメタン(8mL)中の実施例1のステップC−2からの(1R,3S)−3−イソプロピル−3−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(lH)−イル]カルボニル}シクロペンタンアミンTFA塩(30.0mg、0.0846mmol)及び4−ヒドロキシ−4−(l,3−チアゾール−5−イル)シクロヘキサノン(23.4mg、0.119mmol)の溶液に対して、室温でトリエチルアミン(0.0236mL、0.169mmol)とそれに続いてナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(42mg、0.20mmol)を加えた。一晩撹拌した後、混合物をジクロロメタンで希釈し、飽和NaHCO3で中和させた。有機層を塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させかつ濃縮させた。5%MeOH/CH2Cl2で溶離するシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィにより残渣を精製し2つの異性体を得た。両方の異性体についてのLC−MS:C2836332Sについての計算値:(M+H)+536;実際値536.2。
【0243】
【化59】

【0244】
実施例10
4−[((lR,3S)−3−イソプロピル−3−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−l,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペンチル)アミノ]−l−(l,3−チアゾール−5−イル)シクロヘキサノール
塩化メチレン(10mL)中の実施例5のステップB−2の(1R,35)−3−イソプロピル−3−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−l,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペンタンアミン(41mg、0.12mmol)、4−ヒドロキシ−4−(l,3−チアゾール−5−イル)シクロヘキサノン(46mg、0.23mmol)及びトリエチルアミン(0.064mL、0.46mmol)の溶液に対して、室温でナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(73mg、0.35mmol)を加えた。混合物を一晩撹拌し、CH2Cl2で希釈しかつ飽和NaHCO3で中和させた。有機層を水及び塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過しかつ濃縮させた。酢酸エチル中の0%〜5%トリエチルアミンで溶離するシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィにより残渣を精製し2つの異性体を得た。両方の異性体についてのLC−MS:C2735342Sについての計算値:(M+H)+537;実際値537.1。
【0245】
【化60】

実施例11
4−[((lR,3S)−3−イソプロピル−3−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(lH)−イル]カルボニル}シクロペンチル)アミノ]−l−(2−メチル−l,3−チアゾール−5−イル)シクロヘキサノール
【0246】
ステップA
【化61】

【0247】
4−ヒドロキシ−(2−メチル−l,3−チアゾール−5−イル)シクロヘキサノン
−78℃でTHF(20mL)中の1,3−チアゾール(1g、11.76mmol)の溶液に対して−78℃でn−ブチルリチウムの1.6M溶液(9mL)を加えた。1時間−78℃で撹拌した後、ヨードメタン(1.7g、11.76mmol)を加えた。撹拌を3時間継続した後、n−ブチルリチウムの1.6M溶液(9mL)を加えた。さらに1時間−78℃で撹拌した後、THF(5mL)中の1,4−シクロヘキサンジオンモノ−エチレンケタール(1.8g、11.76mmol)を加えた。反応をさらに3時間撹拌し、EtOAc及び塩水の添加によって急冷させた。有機相を分離し、塩水で洗浄し、MgSO4上で乾燥させかつ濃縮させた。20%〜50%のEtOAc/ヘキサンで溶離するシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィにより、油としてケタールを得た。この油をTHF(5mL)及び5%のHCl水(10mL)中に溶解させた。一晩室温で撹拌した後、溶液をNa2CO3で中和させ、EtOAcで3回抽出した。抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濃縮させて所望の生成物を得た(0.8g、30%)。C1013NO2SについてのMS計算値:(M+H)+212;実際値212.0。
【0248】
ステップB
【化62】

【0249】
4−[((1R,3S)−3−イソプロピル−3−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(lH)−イル]カルボニル}シクロペンチル)アミノ]−l−(2−メチル−l,3−チアゾール−5−イル)シクロヘキサノール
ジクロロメタン(8mL)中の実施例1のステップC−2からの(IR,3S)−3−イソプロピル−3−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(lH)−イル]カルボニル}シクロペンタンアミンTFA塩(30.0mg、0.0846mmol)及び4−ヒドロキシ−4−(2−メチル−l,3−チアゾール−5−イル)シクロヘキサノン(25.1mg、0.119mmol)の溶液に対して、室温でトリエチルアミン(0.0236mL、0.169mmol)とそれに続いてナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(42mg、0.20mmol)を加えた。一晩撹拌した後、飽和NaHCO3の添加によって混合物を急冷させた。結果として得た溶液をCH2Cl2で3回抽出した。組み合わせた抽出物を塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させかつ濃縮させた。5%MeOH/CH2Cl2で溶離するシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィにより残渣を精製し、2つの異性体を得た(15及び12mg)。両方の異性体についてのLC−MS:C2938332Sについての計算値(M+H)+550;実際値550.2。
【0250】
【化63】

実施例12
4−[((1R,3S)−3−イソプロピル−3−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−l,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペンチル)アミノ]−l−(2−メチル−l,3−チアゾール−5−イル)シクロヘキサノール
塩化メチレン(10mL)中の実施例5のステップB−2の(1R,3S)−3−イソプロピル−3−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−l,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペンタンアミン(41mg、0.12mmol)、4−ヒドロキシ−4−(2−メチル−l,3−チアゾール−5−イル)シクロヘキサノン(49mg、0.23mmol)及びトリエチルアミン(0.064mL、0.46mmol)の溶液に対して、室温でナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(73mg、0.35mmol)を加えた。混合物を一晩室温で撹拌し、飽和NaHCO3の添加によって急冷させた。結果として得た溶液をCH2Cl2で3回抽出した。組み合わせた抽出物を水及び塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過しかつ真空中で蒸発させた。酢酸エチル中の0%〜5%トリエチルアミンで溶離するシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィにより残渣を精製して、2つの異性体を得た。両方の異性体についてのLC−MSs:C2837342Sについての計算値:(M+H)+551;実際値551.3。
【0251】
例A
CCR2インビトロ検定
該発明の新規化合物のケモカインレセプタ(例えばCCR2)機能を拮抗する能力は、適切なスクリーン(例えば高処理能力検定)を用いて決定可能である。例えば、1つの作用物質を細胞外酸性化検定、カルシウムフラックス検定、リガンド結合検定、リン酸化反応検定、レセプタ内在化検定又は化学走化性検定においてテストすることができる(例えばHesselgesser et al., J. Biol. Chem. 273(25): 15687-15692(1998); 国際公開第00/05265号及び第98/02151号パンフレットを参照のこと)。
【0252】
適切な検定においては、哺乳動物CCR2タンパク質の少なくとも1つの特性、活性又は機能的特性を有する、単離可能又は組換え誘導可能なCCR2タンパク質が使用される。特定の特性は、(例えばリガンド又は阻害物質に対する)結合特性、シグナリング活性(例えば、哺乳動物Gタンパク質の活性化、シトゾル遊離カルシウム[Ca++]iの濃度の急速な及び過渡的な増大の誘発、特異的タンパク質リン酸化反応の誘発)、細胞応答機能(例えば化学走化性の刺激又は白血球による炎症性メディエータ放出)などであり得る。
【0253】
結合検定の例においては、CCR2タンパク質又はその変異体を含有する組成物が、結合に適した条件下に維持される。CCR2レセプタはテストすべき化合物と接触させられ、結合は検出されるか又は測定される。
【0254】
細胞ベースの検定の例においては、ヒト末梢血から単離されCCR2タンパク質を構成的に発現する細胞が使用される。代替的には、CCRレセプタをコードする核酸配列を有するベクター又は発現カセットで安定した形で又は過渡的にトランスフェクトされた細胞を、CCR2タンパク質の供給源として考慮することができる。細胞はレセプタの発現に適した条件下に維持され、結合が発生するのに適した条件下で作用物質と接触させられる。結合は標準的な技術を用いて検出され得る。例えば、結合の範囲は適切な対照との関係において決定することができる。同様に、レセプタを含有する膜画分といったような細胞画分を全細胞に代わって使用することもできる。
【0255】
検定における結合又は錯体形成は直接的又は間接的に検出することができる。例えば、作用物質を適切な標識(例えば螢光標識、標識、同位体標識、酵素標識など)で標識することができ、標識の検出により結合を判定することができる。競合物質としてリガンド又は未標識作用物質を用いて、競合又は移動研究により特異的及び/又は競合的結合を査定することができる。
【0256】
該発明の化合物のCCR2アンタゴニスト活性は、密度勾配遠心分離を介して正常なヒト全血から調製された末梢血単核細胞(PBMC)及びリガンドとしての125I−標識されたMCP−1を用いた、レセプタ結合検定において特異的結合の50%阻害(IC50値)に必要とされる阻害物質濃度として報告され得る。特異的結合は好ましくは、合計結合(例えばフィルタ上の合計cpm)から非特異的結合を差し引いたものである。非特異的結合は、余剰の未標識競合物質(例えばMCP−1)の存在下でなお検出されるcpmの量として定義される。
【0257】
実施例B
結合検定
結合検定において該発明の化合物をテストするためにヒトPBMCが使用された。例えば、さまざまな濃度のテスト対象化合物又は未標識競合物質(10nMのMCP−1)を伴う、又は伴わない0.1〜0.2nMの125Iで標識されたMCP−1を用いて200,000〜500,000細胞をインキュベートした。125Iで標識されたMCP−1は適切な方法によって調製するか、又は商業的供給メーカー(Perkin Elmer, Boston MA)から購入した。結合反応を、室温で30分間、1MのHEPESpH7.2及び0.1%のBSA(ウシ血清アルブミン)から成る50〜250μLの結合緩衝液の中で実施した。0.3%のポリエチレンイミン又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で予備浸漬されたグラスファイバフィルタ(Perkin Elmer)を通した高速ろ過によって膜を収獲することによって、結合反応を終結させた。フィルタを、0.5MのNaCl又はPBSを含有する約600μLの結合緩衝液で洗い流し、次に乾燥させ、結合した放射活性の量を、ガンマ計数器(Perkin Elmer)上での計数により決定した。
この結合検定プロトコルに従うと、本発明の化合物は、約3000nM未満のIC50値を有する。
【0258】
実施例C
化学走化性検定
CCR2機能を拮抗する該発明の化合物の能力を、修正されたBoyden Chamber(Neuro Probe)の中でのヒト末梢血単核細胞を用いた白血球化学走化性検定において決定した。阻害物質を伴って又は伴わないで無血清DMEM培地(In Vitrogen)中の500000個の細胞をインキュベートし、37℃まで暖めた。化学走化性チャンバ(Neuro Probe)も予め暖めた。DMEMを添加した負の対照を除いて、全てのウェルの中で底部チャンバに対し、暖めた10nMのMCP−1を400μL加えた。上面に8ミクロンの膜フィルタ(Neuro Probe)を設置し、チャンバのフタを閉めた。その後、フィルター膜より下でチャンバの壁と結びつけられたチャンバのフタの中の穴に細胞を加えた。チャンバ全体を30分間37℃、CO25%でインキュベートした。その後細胞を吸引して除去し、チャンバのフタを開き、フィルタを穏やかにとり出した。フィルタの上面をPBSで3回洗浄し、底面を触れずに放置した。フィルタを空気乾燥させ、Wright Geimsa染色液(Sigma)で染色した。フィルタを顕微鏡検査により計数した。負の対照ウェルは背景として役立ち、全ての値から減算された。アンタゴニストの入っていたウェルの中で底面チャンバまで遊走した細胞の数をMCP−1対照ウェル内で底面チャンバまで遊走した細胞の数と比較することにより、アンタゴニストの効力を決定した。
この化学走化性検定に従うと、該発明の化合物は、約3000nMより低いIC50値を有する。
【0259】
該発明のさまざまな修正は、本書に記述されているものに加え、上述の記述から当業者にとっては明らかとなるであろう。かかる修正も同様に、添付のクレームの範囲内に入るよう意図されている。本出願に引用されている特許、特許出願及び刊行物を含む各参照文献は、本書にその全体が参考として内含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I):
【化1】

{式中、
− 破線は任意の結合を表わし、
− XはN、NO又はCR3であり;
− R1は、C1-6アルキル、(C0-6アルキル)−O−(C1-6アルキル)、(C0-6アルキル)−S−(C1-6アルキル)、(C0-6アルキル)−(C3-7シクロアルキル)−(C0-6アルキル)、OH、CO210、ヘテロシクリル、CN、NR1012、NSO210、NCOR10、NCO210、NCOR10、CR11CO210、CR11OCOR10又はフェニルであり;
− R2は、H、OH、ハロ、C1-3アルキル、NR1012、CO210、CONR1012、NR10COR11;OCONR1012、NR10CONR1012、ヘテロシクリル、CN、NR10−SO2−NR1012、NR10−SO2−R12、SO2−NR1012又はオキソであり;前記C1-3アルキルは、任意にはF及びOHから選択された1〜6個の置換基と置換されており;
− R3は、H、OH、ハロ、C1-6アルキル、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、NR1011、NR10CO211;NR10CONR1011、NR10SO2NR1011、NR10−SO2−R11、ヘテロシクリル、CN、CONR1012、CO210、NO2、SR10、SOR10、SO210;又はSO2−NR1011であり;
− R4は、H、C1-6アルキル、CF3、OCF3、Cl、F、Br又はフェニルであり;− R5は、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、CO−(C1-6アルキル)、C1-6チオアルコキシ、ピリジル、F、Cl、Br、C4-6シクロアルキル、C4-6シクロアルキルオキシ、フェニル、フェニルオキシ、C3-6シクロアルキル、C3-6シクロアルキルオキシ、ヘテロシクリル、CN又はCO210であり、ここで前記C1-6アルキルは任意には、単数又は複数のOH又はFと置換されており;前記C1-6アルコキシ、CO−(C1-6アルキル)又はC1-6チオアルコキシが任意には単数又は複数のFと置換されており;前記ピリジル、フェニル又はフェニルオキシが任意にはハロ、CF3、C1-4アルキル及びCO210から選択された単数又は複数の置換基と置換されており;前記C3-6シクロアルキル又はC3-6シクロアルキルオキシが任意には単数又は複数のFと置換されており;
− R6は、H、CF3、C1-6アルキル、F、Cl又はBrであり;
− R7は、任意にはハロ、OH、CO2H、CO2−(C1-6アルキル)又はC1-3アルコキシの中から選択された1〜3個の置換基により置換されたH又はC1-6アルキルであり;
− R8は、H、C1-6アルキル、F、C1-3アルコキシ、C1-3ハロアルコキシ、C3-6シクロアルキル、C3-6シクロアルキルオキシ、OH、CO210、OCOR10であり、ここで前記C1-6アルキルは任意には、F、C1-3アルコキシ、OH又はCO210の中から選択された単数又は複数の置換基と置換されているか;
− 又はR7及びR8が合わさって、橋かけC2-4アルキレン又は−(C0-2アルキル)−O−(C1-3アルキル)−基を形成して5〜7員の環を形成し;
− R9は、任意にはC1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、ハロ、C1-4ハロアルキル、CN、NO2、OR13、SR13、C(O)R14、C(O)OR13、C(O)NR1516、NR1516、NR15CONHR16、NR15C(O)R14、NR15C(O)OR13、S(O)R14、S(O)214、S(O)NR1516又はSO2NR1516の中から選択された1〜4個の置換基と置換されたヘテロシクリルであり;
− R10は、H、C1-6アルキル、ベンジル、フェニル又はC3-6シクロアルキルであり、ここで前記C1-6アルキル、ベンジル、フェニル又はC3-6−シクロアルキルは任意にはハロ、OH、C1-3アルキル、C1-3アルコキシ、CO2H、CO2−(C1-6アルキル)及びCF3の中から選択された1〜3個と置換されており;
− R11は、H、OH、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ベンジル、フェニル、又はC3-6シクロアルキルであり、前記C1-6アルキル、ベンジル、フェニル又はC3-6シクロアルキルは任意にはハロ、OH、C1-3アルキル、C1-3アルコキシ、CO2H、CO2−(C1-6アルキル)及びCF3の中から選択された1〜3個の置換基と置換されており;
− R12は、H、C1-6アルキル、ベンジル、フェニル、又はC3-6シクロアルキルであり、ここで前記C1-6アルキル、ベンジル、フェニル又はC3-6シクロアルキルは任意にはハロ、OH、C1-3アルキル、C1-3アルコキシ、CO2H、CO2−(C1-6アルキル)及びCF3の中から選択された1〜3個の置換基と置換され;
− R13及びR14は、各々独立してH、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、アリール、シクロアルキル、アリールアルキル又はシクロアルキルアルキルであり;
− R15及びR16は、各々独立してH、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、アリール、シクロアルキル、アリールアルキル又はシクロアルキルアルキルであり;
− そうでなければ、R15及びR16は、それらが付着されているN原子と共に、4〜6員のヘテロシクリル基を形成する。}で表される化合物又はその薬学的に許容される塩又はプロドラッグ。
【請求項2】
XがN又はNOである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
XがCR3である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
1がC1-6アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
1がプロプ−2−イルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
2がH、OH、ハロ又はC1-3アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
2がHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
3がH、OH、ハロ又はC1-6アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
3がHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
4がHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
5が1〜4個のFと置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
5がCF3である、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
6がHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
7がHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
8がHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
9がC1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、ハロ、C1-4ハロアルキル、CN、NO2、OR13、SR13、C(O)R14、C(O)OR13、C(O)NR1516、NR1516、NR15CONHR16、NR15C(O)R14、NR15C(O)OR13、S(O)R14、S(O)214、S(O)NR1516又はSO2NR1516の中から選択された1〜4個の置換基で場合により置換されたヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
前記ヘテロアリールがC1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、ハロ、C1-4ハロアルキル、CN、NO2、OR13、SR13、C(O)R14、C(O)OR13、C(O)NR1516、NR1516、NR15CONHR16、NR15C(O)R14、NR15C(O)OR13、S(O)R14、S(O)214、S(O)NR1516又はSO2NR1516の中から選択された1〜4個の置換基で場合により置換された5員又は6員のヘテロアリールである、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
前記ヘテロアリールが、各々C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、ハロ、C1-4ハロアルキル、CN、NO2、OR13、SR13、C(O)R14、C(O)OR13、C(O)NR1516、NR1516、NR15CONHR16、NR15C(O)R14、NR15C(O)OR13、S(O)R14、S(O)214、S(O)NR1516又はSO2NR1516の中から選択1〜4個の置換基で場合により置換されたピリジル、ピイミジニル、ピラジニル、ピリダジニル又はトリアジニルである、請求項16に記載の化合物。
【請求項19】
前記ヘテロアリールが、各々C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、ハロ、C1-4ハロアルキル、CN、NO2、OR13、SR13、C(O)R14、C(O)OR13、C(O)NR1516、NR1516、NR15CONHR16、NR15C(O)R14、NR15C(O)OR13、S(O)R14、S(O)214、S(O)NR1516又はSO2NR1516の中から選択された1〜4個の置換基で場合により置換されたチエニル、フラニル、チアゾイル、オキサゾリル又はイミダゾリルである、請求項16に記載の化合物。
【請求項20】
前記ヘテロアリールが、各々1〜3個のF、Cl、Br、I、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ又はトリフルオロメチルで場合により置換されたチアゾリル、オキサゾリル、ピリミジニル又はピリジルである、請求項16に記載の化合物。
【請求項21】
以下の式(II):
【化2】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
以下の式(IIIa)、(IIIb)又は(IIIc):
【化3】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
4−[((1R,3S)−3−イソプロピル−3−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル]カルボニル}シクロペンチル)アミノ]−1−ピリジン−2−イルシクロヘキサノール;
4−[((lR,3S)−3−イソプロピル−3−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(lH)−イル]カルボニル}シクロペンチル)アミノ]−l−(l,3−オキサゾール−2−イル)シクロヘキサノール;
4−[((1R,3S)−3−イソプロピル−3−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル]カルボニル}シクロペンチル)アミノ]−1−ピリミジン−2−イルシクロヘキサノール;
4−[((1R,3S)−3−イソプロピル−3−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル]カルボニル}シクロペンチル)アミノ]−l−(l,3−チアゾール−2−イル)シクロヘキサノール;
4−[((lR,3S)−3−イソプロピル−3−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−l,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペンチル)アミノ]−l−(l,3−チアゾール−2−イル)シクロヘキサノール;
4−[((lR,3S)−3−イソプロピル−3−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(lH)−イル]カルボニル}シクロペンチル)アミノ]−l−(4−メチル−l,3−チアゾール−2−イル)シクロヘキサノール;
4−[((lR,3S)−3−イソプロピル−3−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−l,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペンチル)アミノ]−l−(4−メチル−l,3−チアゾール−2−イル)シクロヘキサノール;
4−[((1R,3S)−3−イソプロピル−3−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(lH)−イル]カルボニル}シクロペンチル)アミノ]−l−(5−メチル−l,3−チアゾール−2−イル)シクロヘキサノール;
4−[((1R,3S)−3−イソプロピル−3−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル]カルボニル}シクロペンチル)アミノ]−l−(l,3−チアゾール−5−イル)シクロヘキサノール;
4−[((lR,3S)−3−イソプロピル−3−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−l,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペンチル)アミノ]−1−(1,3−チアゾール−5−イル)シクロヘキサノール;
4−[((1R,3S)−3−イソプロピル−3−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル]カルボニル}シクロペンチル)アミノ]−l−(2−メチル−l,3−チアゾール−5−イル)シクロヘキサノール;及び
4−[((1R,3S)−3−イソプロピル−3−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−l,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペンチル)アミノ]−l−(2−メチル−l,3−チアゾール−5−イル)シクロヘキサノール;の中から選択される、請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれか1項に記載の化合物及び薬学的に許容される塩を含む組成物。
【請求項25】
請求項1〜23のいずれか1項に記載の化合物とレセプタを接触させるステップを含む、ケモカインレセプタの活性を調節する方法。
【請求項26】
前記レセプタがCCR2である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記調節が阻害に対応する、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
患者に請求項1〜23のいずれか1項に記載の化合物を治療上有効な量投与するステップを含む、患者の体内のケモカインレセプタの発現又は活性に関連する疾病を治療する方法。
【請求項29】
前記疾病が炎症性疾患又は免疫障害である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記疾病が関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、狼瘡、多発性硬化症、神経因性疼痛、移植片拒絶反応、糖尿病又は肥満である、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記疾病が癌である、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
抗炎症薬を投与するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。

【公開番号】特開2010−254715(P2010−254715A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180039(P2010−180039)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【分割の表示】特願2007−513278(P2007−513278)の分割
【原出願日】平成17年5月10日(2005.5.10)
【出願人】(506207196)インサイト コーポレイション (10)
【Fターム(参考)】