説明

コネクタの接続構造

【課題】 コネクタ同士を低嵌合力で確実に嵌合させることができ、かつ嵌合後にコネクタ被取付部とコネクタ取付部との振動差をコネクタの端子部が直接受けることのないコネクタ接続構造を提供する。
【解決手段】 ホルダ30と、ホルダ内に離脱可能に収容された第1のコネクタ10と、第1のコネクタに対して嵌合可能な第2のコネクタ20とを備え、ホルダは第1のコネクタを当該ホルダ内に仮止め固定するための第1ストッパ31,33と第2ストッパ32,34とを備え、第1ストッパによる仮止め固定を第1のコネクタと第2のコネクタとの半嵌合とともに解除し、第2ストッパによる仮止め固定を第1のコネクタと第2のコネクタとの全嵌合ととも解除することで第1のコネクタをホルダから離脱させる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は雄コネクタと雌コネクタとの接続構造に関し、より詳細には低嵌合力・耐振動性に優れたコネクタの接続構造に関する。
【従来の技術】接続端子数の多いコネクタ間の接続を低嵌合力で行うようにしたコネクタは従来から知られている。このようなコネクタの接続構造の一例として、特開平8−315927号公報に記載された構造のものがある。このコネクタ接続構造は、二以上のコネクタ部を連結部材で連結して相手コネクタに対して嵌合タイミングをずらして段階的に嵌合させることで低挿入力でコネクタ接続を可能にしたものである。
【0002】また、特開平6−140098号公報にも低挿入力をもって嵌合可能なコネクタの接続構造が開示されている。このコネクタの接続構造は、駆動部材を介して複数のコネクタを対向するコネクタに対して順次駆動することで、複数のコネクタを低挿入力で嵌合し得るようにしたものである。
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来のコネクタ接続構造はコネクタ接続後に例えば車体のパネル等にコネクタ自体が直接取り付けられる構造となっている。そのため、コネクタ同士を低挿入力で嵌合する(低嵌合する)ことができても耐振動上の問題点がある。具体的には、例えば、一方のコネクタが例えば車両のメータに取り付けられ、他方のコネクタが車体のインストパネルに取り付けられていた場合、コネクタ嵌合後にメータとパネルとの間に相対的な振動(両者の振動差)が発生した際、この振動が直接コネクタ接続部に伝わってしまう。その結果、両コネクタの端子嵌合部に微摺動が生じこの嵌合部が磨耗して接触不良等が生じる恐れがある。
【0003】本発明の目的は、コネクタ同士を低嵌合力で完全に嵌合させることができ、かつ嵌合後に上述の相対的な振動による悪影響をコネクタの端子部が直接受けることのないコネクタ接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するために本発明にかかるコネクタの接続構造は、ホルダと、ホルダ内に離脱可能に収容された第1のコネクタと、第1のコネクタに対して嵌合可能な第2のコネクタとを備え、ホルダは第1のコネクタを当該ホルダ内に仮止め固定するための第1ストッパと第2ストッパとを備え、第1ストッパによる仮止め固定を第1のコネクタと第2のコネクタとの半嵌合とともに解除し、第2ストッパによる仮止め固定を第1のコネクタと第2のコネクタとの全嵌合ととも解除することで第1のコネクタをホルダから離脱させる。
【0004】第1のコネクタと第2のコネクタとの半嵌合が第1ストッパによる仮止め固定の解除とともに行われ、第1のコネクタと第2のコネクタとの全嵌合が第2ストッパによる仮止め固定の解除とともに行われる。これによってコネクタ間の完全な嵌合を保障する。また、コネクタをホルダから離脱させることで、被取付部に取り付けられたホルダと第1コネクタとの相対的な振動(両者の振動差)を直接コネクタ接続部に伝えることがなく、コネクタの信頼性を高める。
【0005】また、本発明の請求項2に記載のコネクタの接続構造は、請求項1に記載のコネクタの接続構造において、第2のコネクタが第1ストッパ解除手段と第2ストッパ規制手段を備え、第1のコネクタと第2のコネクタとの半嵌合時に第1ストッパ解除手段が第1ストッパによる仮止め固定を解除する。一方、第2ストッパ規制手段は第1のコネクタと第2のコネクタとが全嵌合するまで第2ストッパによる第1コネクタの仮止め固定の解除を規制する。
【0006】第1ストッパ解除手段によって第1のコネクタと第2のコネクタとの半嵌合時に第1ストッパによる第1のコネクタの仮止め固定を確実に解除する。また、第2ストッパ規制手段によって第1のコネクタと第2のコネクタとが全嵌合しないうちに第2ストッパによる第1コネクタの仮止め固定が解除されるのを防止する。
【0007】また、本発明の請求項3に記載のコネクタの接続構造は、請求項2に記載のコネクタの接続構造において、第2ストッパによる仮止め固定を解除するのに必要な力が第1コネクタと第2コネクタとを全嵌合させる力より小さいことを特徴としている。
【0008】これによって低挿入力によってホルダから第1コネクタを完全に離脱させる。
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかるコネクタの接続構造の一実施形態について説明する。
【0009】このコネクタの接続構造は、図1に示すように、第1のコネクタ10と、この第1のコネクタ10を離脱可能に収容するホルダ30と、当該ホルダ30に挿入され第1のコネクタ10と嵌合可能な第2のコネクタ20とを備えている。そして、第1のコネクタ10と第2のコネクタ20とが完全に嵌合された後に第1のコネクタ10がホルダ30から離脱する(ホルダ内での仮止め固定が解除される)ようになっている。
【0010】ホルダ30は、樹脂製であり四角筒型の形状を有している。そして、一側開口面に車体のインストパネルP(図3参照)等との接続のためのフランジ部30a,30bが二重に形成されている。また、一側開口面の上下部にはそれぞれ第1のコネクタ10を仮止め固定するための2つのストッパが他側開口面に向かって片持ち梁状に延在している(図1参照)。このストッパは片持ち梁状の第1ストッパ31,33及びこの周囲に形成され片持ち梁状かつ角型C字状を有する第2ストッパ32,34からなる。ホルダの第1ストッパ31,33にはそれぞれ、中央部に後述する第1のコネクタの仮止め用突起部と係合するための、テーパ部分がない段差部31z,33zが形成されるとともに、両端部に後述する第2のコネクタの仮止め解除爪と干渉する凸部31a,33aが形成されている(図1及び図5参照)。
【0011】また、ホルダの第2ストッパ32,34は図2に一部を詳細に示すように基端側が幅広部32m,34mとなり自由端側が幅狭部32n,34nとなっている。そして、第2のコネクタ20をホルダ30に挿入したとき、後述する第2のコネクタ20のストッパ規制爪が第2ストッパの幅広部32m,34mと上面視で重なり合うが幅狭部32n,34nとは重なり合わないようになっている。即ち、第2ストッパの幅広部32m,34mにストッパ規制爪が重なり合ったときにのみ第2ストッパ32,34の撓みを規制するようになっている。
【0012】また、第2ストッパ32,34の自由端部には第1コネクタ10と第2コネクタ20の全嵌合後に後述する第1のコネクタ10の仮止め用突起と干渉し合う凸部32a(図2),34a(図1)が形成されている。なお、ホルダの第2ストッパ32,34は第1ストッパ31,33よりも板圧が薄くできており、撓み易くなっている。
【0013】一方、ホルダ30の内壁両側面には第1のコネクタ10を摺動可能に挿入するガイド溝35,36が形成されている。このガイド溝35,36はホルダ30の他側開口部から一定距離だけ幅狭に形成されている。また、ガイド溝35,36の、ホルダ一側開口部側には段部35a,36a(図1では一方の段部35aのみ図示)が形成されている。この段部は、後述する第1コネクタ10の突起部15,16が当接して第1コネクタ10がホルダ一側開口部側へ移動するのを制限するためのものである。尚、ガイド溝の段部35a,36aと第1ストッパ31,33との拘束によって第1のコネクタ10をホルダ30内に仮止め固定するようになっている。
【0014】続いて、第1のコネクタ10について説明する。第1のコネクタ10も樹脂製であり略直方体形状を有し、両端部には上述したようにホルダ30のガイド溝35,36に進入するとともに後述する第2コネクタ20のクランプ部(25)26と係合する突起部15,16を備えている。また、第1のコネクタ10は複数の雌端子19a,19b(図5)を内蔵している。
【0015】そして、第1のコネクタ10の上下部にはホルダの第1ストッパ31,33と係合する第1突起部11(13)(図1では一方のみ図示)及び第2ストッパ32,34と係合する2つの第2突起部12(14)(図1では一方のみ図示)が形成されている。尚、これらの突起部11〜14には第1のコネクタ10をホルダ30に収容し易くするためのテーパ部11t〜14tがそれぞれ形成されている。
【0016】次に、第2のコネクタ20について説明する。第2のコネクタ20も樹脂製であり、たとえば車体の計器盤M(図3参照)に取り付けられる取付部20aとコネクタハウジング20bとを備え、複数の雄端子29a,29b(図5)を内蔵している。
【0017】また、第2のコネクタ20のコネクタ嵌合側開口部には、図1に示すように、上下に幅広の切欠き部20c,20dがそれぞれ形成されている。そして、各切欠き部20c,20dの略中央にはホルダの第1ストッパ31,33と第1のコネクタ10との係合を解除するための2つの係合解除爪21a,21b,23a,23bがそれぞれ形成されている。なお、これらの係合解除爪は、第1のコネクタ10と第2のコネクタ20とが嵌合する際、第1のコネクタ10に備わった突起部11〜14の間隙に入り込みこれらの突起部11〜14と干渉し合わないようになっている。
【0018】さらに、各切欠き部20c,20dの両側には開口部側から見て逆L字形形状を有する第2ストッパの移動規制爪22a,22b,24a,24bがそれぞれ突出形成している。なお、第2のコネクタ20をホルダ10に挿入した時、これらの移動規制爪は上述したように第2ストッパの幅広部32m,34mと重なり合った際にのみ第2ストッパ20の撓みを規制するが、幅狭部32n,34nとは干渉し合わない寸法関係を有している(図2参照)。
【0019】また、コネクタ20の両側面にはクランプ部25,26(図1ではクランプ部26のみ図示)が形成されている。このクランプ部25,26はコネクタ同士が嵌合したとき、第1のコネクタの突起部15,16を挟持してコネクタ10とコネクタ20との嵌合状態を維持するためのものである。尚、クランプ部25,26は突起部15,16ほどコネクタ20の両側面から突出しておらず、第2のコネクタ20をホルダ30に挿入したときクランプ部25,26がガイド溝の段部35a,36aと干渉しないようになっている。
【0020】次に、これらのコネクタ接続構造の作用について各図面に基づいて説明する(なお、図4以降の側面断面図については説明の明確化上ハッチングを適宜省略する。)。
【0021】図4に示すように、まず最初にホルダ30内に第1のコネクタ10を仮止め状態で固定させる。なお、ホルダ30は図3に示すようにたとえば車体のインストパネルPに取り付けられている。そして、たとえば車両のメータMに取り付けられた第2のコネクタ20をホルダ30の一側開口部に近づけていく。図4はこの状態における側面断面図を示す(なお、図4以降、インストパネルP及びメータMの図示を省略する。)。
【0022】続いて、図5に示すように、第2のコネクタ20をホルダ30内に押し込んでいくと、第2のコネクタ20の係合解除爪21b(21a),23b(23a)がホルダ30の第1ストッパ31,33に接近する。なお、この状態ではいまだ第1のコネクタ10の第1突起部11,13とホルダ30の第1ストッパ31,33とは係合した状態にある。また、第2のコネクタ20の雄端子29a,29bと第1のコネクタ10の雌端子19a,19bとはいまだ嵌合接続されていない。
【0023】続いて、図6に示すように第2のコネクタ20をホルダ30内に更に押し込んでいくと、第2のコネクタ20の係合解除爪21b(21a),23b(23a)が第1のコネクタ10の3つの突起部11(12),13(14)間に進入する。しかしながら、この状態においても第2のコネクタ20の係合解除爪21b(21a),23b(23a)はホルダ30の第1ストッパ31,33と干渉していない。尚、図6の状態では、第1コネクタの突起部15,16が第2コネクタのクランプ部25,26に当接している。
【0024】次いで、図7に示すように、第2のコネクタ20をホルダ内に押し込んでいくと、第2のコネクタ20の係合解除爪21b(21a),23b(23a)とホルダの第1ストッパ先端凸部31a,33aの双方が干渉する。なお、この際、コネクタに内蔵された端子に関しては、図中下側の端子と19aと端子29aが上側の端子19bと端子29bよりも僅かに早く結合する。すなわち、上下端子部の結合の時間差をもって端子挿入力の低減を図っている。尚、図7の状態では、第1コネクタの突起部15,16が第2コネクタのクランプ部25,26を拡開している。
【0025】続いて、図8に示すように、第2のコネクタ20をホルダ30内に更に挿入すると、第2のコネクタ20の係合解除爪21b(21a),23b(23a)がホルダ30の第1ストッパの先端凸部31a,33aを押し上げて第1ストッパ31,33を撓ませる。なお、第2のコネクタの雄端子29a,29bと第1のコネクタの雌端子19a,19bとの嵌合は図8に示す状態ではかなり進んでいる。また、図8の状態では第1コネクタの突起部15,16が第2コネクタのクランプ部25,26に進入し始めている。
【0026】次いで、図9に示すように、第2のコネクタ20を更にホルダ30内に押し込むと、ホルダの第1ストッパ31,33がさらに撓み、ホルダの第1ストッパ段差部31z,33zと第1のコネクタの第1突起部11,13との係合が完全に解除される。
【0027】続いて、図10の直前に示す段階として、第2のコネクタ20をホルダ30内に更に押し込むと、図2に示すように、ホルダの第2ストッパの幅広部32m(34m)と第2のコネクタのストッパ規制爪22a,22b(24a,24b)とが重なり合い、第2ストッパ32(34)の撓みが規制される。その結果、図1010に再び示すように、第2ストッパ先端の凸部32a,34aが第1のコネクタの第2突起部12,14(図10では、第1突起部11,13と重複して図示)と当接して第1のコネクタ10の移動が規制される。即ち、第1コネクタ10の移動が規制されかつ第2コネクタ20は第1コネクタ10に向かって移動するので、この段階(図10の段階)で第1のコネクタ10と第2のコネクタ20との完全な嵌合(全嵌合)が達成される。そして、これと同時に、第2コネクタのクランプ部25,26が第1コネクタの突起部15,16をしっかりと挟持し、両コネクタの嵌合状態を維持する。
【0028】続いて、第2のコネクタ20をホルダ30内に更に挿入すると、ストッパ規制爪(22a)22b,(24a)24b全体がホルダの第2ストッパの幅広部32m,34mから幅狭部32n,34nへと移動し、第2のコネクタのストッパ規制爪(22a)22b,(24a)24bとホルダの第2ストッパ32,34とが干渉し合わなくなる。即ち、ホルダの第2ストッパ32,34の撓みがストッパ規制爪(22a)22b,(24a)24bによって規制されなくなる。これと同時に第1のコネクタ10の第2突起部12,14がホルダの第2ストッパ先端凸部32a,34aのテーパ部に押し付けられ、ストッパ規制爪(22a)22b,(24a)24bによる拘束から解放されたホルダの第2ストッパ32,34が撓み始める(図10の直後に示す段階)。
【0029】次いで、第2のコネクタ20をホルダ30にさらに押し付けると、図11に示すように、ホルダの第2ストッパ32,34が更に撓んで図中上下方向に拡開し、ホルダの第2ストッパ先端凸部32a,34aは第1のコネクタの第2突起部12,14に完全に乗り上げた状態となる。
【0030】続いて、第2のコネクタ20をホルダ30にさらに押し込むと、図12に示すように、ホルダの第2ストッパ先端凸部32a,34aを第1のコネクタの第2突起部12,14が完全に通過し第1のコネクタ10とホルダ30との係合が解除する(即ち、縁切りが完了する)。
【0031】また、図12の状態においては、第2コネクタのクランプ部25,26は、ホルダの他側開口部から一定距離だけ形成された幅狭部と対峙することになり、クランプ部25,26が拡開することが規制される。従って、万が一第1コネクタ(もしくは端子に接続した電線)に、図12で右側に引張負荷が加わった場合にも、前述のホルダによる規制により、第2コネクタのクランプ部25,26が拡開されないため、第1コネクタの突起部15,16がクランプ部25,26から外れることがない。そのため、外力が加わった場合にもコネクタの嵌合を保障することができる。
【0032】以上の作用によって、第1コネクタ10と第2コネクタ20とを確実に嵌合させるとともに車体インストパネルなどの被取付部に取り付けられるホルダ30から第1コネクタ10と第2コネクタ20とを離脱させることができるようになる。これによって、たとえば第1のコネクタ10が車両のメータ等に取り付けられていた場合、車体のインストパネルなどからホルダ30を介して伝えられる振動とメータからの振動との相対的な振動(両者の振動差)が第1のコネクタ10と第2のコネクタ20との接続部に直接伝わることがなく、コネクタ端子間の微摺動磨耗に起因するコネクタの接続不良を回避できるようになる。
【0033】なお、図13は、ホルダ30内への第2のコネクタ20の挿入量とこれに応じた挿入力を示したものである。この図から明らかなように、まず最初に第1コネクタ10と第2コネクタ20との半嵌合状態で第1のコネクタ10を第1ストッパ31,33から係合解除させる。(このときの挿入力は図中■に相当する挿入力である。)続いて、第1コネクタ10と第2コネクタ20とを完全に嵌合させた(このときの挿入力は図中■に相当する挿入力である。)後に、第1のコネクタ10を第2ストッパ32,34から係合解除させる。
【0034】このようにまず最初に第1ストッパ31,33と第1のコネクタ10との係合を解除し、次いで第2ストッパ32,34と第1のコネクタ10との係合を解除する二段階の構成となっているので、第1のコネクタ10と第2のコネクタ20とを低嵌合させながら第1のコネクタ10をホルダ30から容易に係合解除させることができる。
【0035】続いて、かかる第2のコネクタ20を第1のコネクタ10から取り外す方法について説明する。
【0036】これは上述した工程を逆に行うことによって達成される。具体的には、図12に示す第2のコネクタ20をホルダ30から徐々に引き離すと、第1のコネクタ10も第2のコネクタ20と共に移動する。これによって、図11に示すように、第1のコネクタの第2突起部12,14が第2ストッパ32,34を撓ませてこの先端凸部32a,34aを通過する。そして、図10に示すように、第1のコネクタ10が第2ストッパ32,34によってホルダ30内に再び保持される。
【0037】これと同時に、第2コネクタの係合解除爪21b(21a),23b(23a)がホルダ30の第1ストッパ31,33を撓ませる。これによって、第1コネクタの第1突起部11,13が第1ストッパの先端凸部31a,33aを通過する(図9参照)。又、第1コネクタの突起部15,16が第2コネクタのクランプ部25,26を拡開し始める。その後、第1ストッパ31,33と第2コネクタの係合解除爪21b(21a),23b(23a)との係合が解除され、第1ストッパがもとの状態に戻る(図7参照)。又、第1コネクタの突起部15,16が第2コネクタのクランプ部25,26を更に拡開する。以上の動作によって、第1コネクタ10はホルダ30内に再び仮止め固定される。
【0038】次いで、第2のコネクタ20をホルダ30から更に引き離すと、第1コネクタ10はホルダのガイド溝の段部35a,36aによって移動が規制されているので、第2のコネクタ20と第1のコネクタ10とが半嵌合状態になる。その後、第2コネクタのクランプ部25,26による第1コネクタの突起部15,16の挟持状態が解除され(図6)、やがてはコネクタ間の嵌合が解除される。これによって、第2のコネクタ20を第1のコネクタ10及びホルダ30から完全に離脱させ、第1のコネクタと第2のコネクタとの脱抜動作を完了する。
【発明の効果】以上説明したように、本発明にかかるコネクタの接続構造は、第1のコネクタと第2のコネクタとの半嵌合が第1ストッパによる仮止め固定の解除とともに行われ、第1のコネクタと第2のコネクタとの全嵌合が第2ストッパによる仮止め固定の解除とともに行われる。そのためコネクタ間の完全な嵌合を保障する。また、コネクタがホルダから離脱することで、被取り付け部に取り付けられたホルダに伝わる振動とコネクタに伝わる振動の振動差を直接コネクタ接続部に伝えることがなく、コネクタの信頼性を高めることが可能となる。
【0039】また、本発明の請求項2に記載のコネクタの接続構造は、第1ストッパ解除手段によって第1のコネクタと第2のコネクタとの半嵌合時に第1ストッパによる第1のコネクタの仮止め固定を確実に解除する。また、第2ストッパ規制手段によって第1のコネクタと第2のコネクタとが全嵌合しないうちに第2ストッパによる第1コネクタの仮止め固定が解除されるのを防止することができる。
【0040】また、本発明の請求項3に記載のコネクタの接続構造は、第2ストッパによる仮止め固定を解除するのに必要な力が第1コネクタと第2コネクタとを全嵌合させる力より小さいので、低挿入力によってホルダから第1コネクタを完全に離脱させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるコネクタの接続構造を示した分解斜視図。
【図2】第1のコネクタをホルダに仮止め収容し、第2のコネクタをホルダに挿入し始めた状態を部分的に示す斜視図。
【図3】図1に示す第2のコネクタをホルダに挿入する前の状態を示す平面図。
【図4】図3の状態に対応する側面断面図。
【図5】図1に示す第2のコネクタをホルダに挿入し始めた状態を示す側面断面図。
【図6】図5に続いて第2のコネクタをホルダに挿入した状態を示す側面断面図。
【図7】図6に続いて第2のコネクタをホルダに挿入した状態を示す側面断面図。
【図8】第1のコネクタと第2のコネクタが半嵌合すると共に第1のストッパが解除し始めた状態を示す側面断面図。
【図9】図8に続いて第2のコネクタをホルダに挿入した状態を示す側面断面図。
【図10】第1のコネクタと第2のコネクタが全嵌合した状態を示す側面断面図。
【図11】図10に続いて第2のコネクタをホルダに挿入して第2のストッパが解除し始めた状態を示す側面断面図。
【図12】図11に続いて第2のコネクタをホルダに挿入して第2のストッパが完全に解除した状態を示す側面断面図。
【図13】第2のコネクタのホルダへの挿入量と挿入力とを示す図。
【符号の説明】
10 第1のコネクタ
11,13 第1突起部
12,14 第2突起部
12t〜14t テーパ部
15,16 突起部
19a,19b 雌端子
20 第2のコネクタ
25,26 クランプ部
30 ホルダ
20c,20d 切欠き部
21a,21b 係合解除爪
22a,22b 移動規制爪
23a,23b 係合解除爪
24a,24b 移動規制爪
29a,29b 雄端子
31,33 第1ストッパ
32,34 第2ストッパ
31a〜34a 凸部
32m,34m 幅広部
32n,34n 幅狭部
35,36 ガイド溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ホルダと、前記ホルダ内に離脱可能に収容された第1のコネクタと、前記第1のコネクタに対して嵌合可能な第2のコネクタとを備え、前記ホルダは前記第1のコネクタを当該ホルダ内に仮止め固定するための第1ストッパと第2ストッパとを備え、前記第1ストッパによる前記仮止め固定を前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとの半嵌合とともに解除し、前記第2ストッパによる前記仮止め固定を前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとの全嵌合ととも解除することで前記第1のコネクタを前記ホルダから離脱させることを特徴とするコネクタの接続構造。
【請求項2】 前記第2のコネクタは第1ストッパ解除手段と第2ストッパ規制手段を備え、前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとの半嵌合時に前記第1ストッパ解除手段が前記第1ストッパによる前記仮止め固定を解除し、前記第2ストッパ規制手段は前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとが全嵌合するまで前記第2ストッパによる前記第1コネクタの仮止め固定の解除を規制することを特徴とする、請求項1に記載のコネクタの接続構造。
【請求項3】前記第2ストッパによる前記仮止め固定を解除するのに必要な力は前記第1コネクタと前記第2コネクタとを全嵌合させる力より小さいことを特徴とする、請求項2に記載のコネクタの接続構造。

【図2】
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【図6】
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【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2003−297488(P2003−297488A)
【公開日】平成15年10月17日(2003.10.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−98249(P2002−98249)
【出願日】平成14年4月1日(2002.4.1)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】