説明

コネクタ接続用配線基板、コネクタ接続用配線基板の製造方法、及び基板/配線基板の接続構造

【課題】基板上に回路部品及び電子部品を実装して電子機器の高性能化及び小型化を図るという要請に反することなく、回路基板などの所定の基板と配線基板とを簡易に接続する技術を提供する。
【解決方法】互いに離隔して配設された複数の配線層と、各層が、前記複数の配線層間に配設された複数の絶縁層とを有し、コネクタを有する所定の基板を、前記コネクタを介して接続するための配線基板であって、前記複数の絶縁層の少なくとも一つにおいて、前記配線基板の側面に開口し、前記配線基板の側面から内側に向けて前記コネクタを接続するための凹部が形成され、前記凹部の内壁面において、前記複数の配線層の少なくとも一つと電気的に接続された金属膜が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ接続用配線基板、コネクタ接続用配線基板の製造方法、及び基板/配線基板の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2つの基板、例えば回路基板と配線基板とを接合するに際しては、はんだや接着剤、コネクタなどを用いて行っていた。しかしながら、近年の電子機器の高性能化・小型化の流れの中、回路部品及び電子部品を高密度に配設して電子機器の機能を向上させることが求められており、基板上に回路部品及び電子部品を実装して電子機器を構成する場合においても、当該回路部品等を基板上に高密度に実装することによって、電子機器の機能を向上させることが要求されている。
【0003】
しかしながら、上述のようにして回路部品等を実装すると、基板同士を接合する際に、はんだや接着剤を塗布する領域及びコネクタを形成する領域が極端に狭くなる、あるいは当該領域を確保することができなくなってしまい、基板同士をはんだや接着剤、コネクタを用いて接合することが事実上不可能になってしまうという問題があった。
【0004】
このような問題に鑑みて、特許文献1では、リジッド基板の側面に複数の端面接点を設けるとともに、フレキシブル基板の一方の主面にも複数の端面接点を設け、フレキシブル基板を、異方性導電性フィルムを介してリジッド基板の側面に接合する技術が開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、リジッド基板の側面に設けた端面接点とフレキシブル基板の主面に設けた端面接点との位置合わせを正確に行う必要があるため、リジッド基板及びフレキシブル基板を仮止めした後に固定するなどの煩雑な操作が要求されるため、最終的に得たリジッド基板及びフレキシブル基板の接合構造を得るために必要なコストが増大してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−84952号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、基板上に回路部品及び電子部品を実装して電子機器の高性能化及び小型化を図るという要請に反することなく、回路基板などの所定の基板と配線基板とを簡易に接続する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく、本発明は、
互いに離隔して配設された複数の配線層と、各層が、前記複数の配線層間に配設された複数の絶縁層とを有し、コネクタを有する所定の基板を、前記コネクタを介して接続するための配線基板であって、
前記複数の絶縁層の少なくとも一つにおいて、前記配線基板の側面に開口し、前記配線基板の側面から内側に向けて前記コネクタを接続するための凹部が形成され、前記凹部の内壁面において、前記複数の配線層の少なくとも一つと電気的に接続された金属膜が形成されていることを特徴とする、コネクタ接続用配線基板に関する。
【0009】
また、本発明は、
コネクタを有する所定の基板と、
互いに離隔して配設された複数の配線層と、各層が、前記複数の配線層間に配設された複数の絶縁層とを有する配線基板とを具え、
前記基板と前記配線基板とは、前記基板の前記コネクタが、前記配線基板の側面から内側に向けて、前記複数の絶縁層の少なくとも一つにおいて形成され、内壁面に金属膜が形成された凹部と係合することによって接続されたことを特徴とする、基板/配線基板の接続構造に関する。
【0010】
本発明によれば、配線基板の側面から内側に向けて、当該配線基板を構成する複数の絶縁層の少なくとも一つにおいて、内壁面に金属膜が形成された凹部を形成し、金属膜を、配線基板を構成する複数の配線層の少なくとも一つと電気的に接続するようにしている。したがって、内壁面に金属膜が形成された上記凹部は、コネクタに対するソケットとして機能するようになる。この場合、ソケットは配線基板の側面に形成されているので、コネクタを有する所定の基板の、当該コネクタをソケットに挿入することによって、上記基板と上記配線基板とを、当該配線基板の側面で接合することができる。
【0011】
一般に、回路部品や電子部品は配線基板の主面に実装し、配線基板の側面に実装することはないので、上記のようなソケットは、回路部品や電子部品の実装面積を削減することなく、配線基板の側面において所望する数だけ形成することができる。また、基板と配線基板とは基板のコネクタを配線基板のソケット中に挿入し、係合させるのみで接合することができるので、仮止めなどの特殊な操作を必要としない。
【0012】
結果として、基板上に回路部品及び電子部品を実装して電子機器の高性能化及び小型化を図るという要請に反することなく、回路基板などの所定の基板と配線基板とを簡易に接続することができるようになる。
【0013】
なお、上記凹部は配線基板の側面に開口していることが要求されるが、配線基板の主面に開口していてもよい。但し、この場合は、配線基板の実装面積が若干減少することになるので、配線基板の主面には開口していないことが好ましい。
【0014】
上述したコネクタ接続用配線基板の凹部及び金属膜からなるソケットは、配線基板内に金属膜が形成されたスルーホールを配線基板の厚さ方向に切断して開口することによって形成することができる。
【0015】
具体的には、上記凹部が配線基板の主面に開口している場合は、
互いに離隔して配設された複数の配線層と、各層が、前記複数の配線層間に配設された複数の絶縁層とを有し、コネクタを有する所定の基板を、前記コネクタを介して接続するための配線基板の製造方法であって、
前記配線基板に、前記複数の配線層の少なくとも一つの先端が露出するようにしてスルーホールを形成する工程と、
前記スルーホールの内壁面に金属膜を形成する工程と、
前記配線基板及び前記スルーホールを、前記配線基板の厚さ方向に切断して、前記スルーホールを開口させる工程と、
を具えることを特徴とする、コネクタ接続用配線基板の製造方法によって形成することができる。
【0016】
また、上記凹部が配線基板の主面に開口していない場合は、
互いに離隔して配設された複数の配線層と、各層が、前記複数の配線層間に配設された複数の絶縁層とを有し、コネクタを有する所定の基板を、前記コネクタを介して接続するための配線基板の製造方法であって、
複数の第1の絶縁層それぞれによって互いに離隔された複数の第1の配線層を有する第1の配線基板に、スルーホールを形成する工程と、
前記スルーホールの内壁面に金属膜を形成する工程と、
前記スルーホールの上下開口部を非熱流動性の樹脂によって閉塞する工程と、
前記第1の配線基板の上下から、複数の第2の絶縁層によって互いに離隔された複数の第2の配線層を有する第2の配線基板、及び複数の第3の絶縁層によって互いに離隔された複数の第3の配線層を有する第3の配線基板を積層して接合する工程と、
前記第1の配線基板、前記第2の配線基板、前記第3の配線基板及び前記スルーホールを、前記第1の配線基板、前記第2の配線基板及び前記第3の配線基板の積層方向に切断して、前記スルーホールを開口させる工程と、
を具えることを特徴とする、コネクタ接続用配線基板の製造方法によって製造することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上、本発明によれば、基板上に回路部品及び電子部品を実装して電子機器の高性能化及び小型化を図るという要請に反することなく、回路基板などの所定の基板と配線基板とを簡易に接続する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態のコネクタ接続用配線基板の概略構成を示す上平面図である。
【図2】図1に示すコネクタ接続用配線基板のI-I線に沿って切った場合の断面図である。
【図3】図1及び図2に示すコネクタ接続用配線基板とコネクタとの接続状態を示す図である。
【図4】第1の実施形態におけるコネクタを有する回路基板の構成の一例を示す図である。
【図5】第1の実施形態のコネクタ接続用配線基板の変形例を示す断面図である。
【図6】第1の実施形態のコネクタ接続用配線基板の変形例を示す断面図である。
【図7】第1の実施形態のコネクタ接続用配線基板に対するコネクタの接続状態を示す図である。
【図8】第1の実施形態のコネクタ接続用配線基板に対するコネクタの接続状態を示す図である。
【図9】第1の実施形態のコネクタ接続用配線基板に対するコネクタの接続状態を示す図である。
【図10】第1の実施形態のコネクタ接続用配線基板に対するコネクタの接続状態を示す図である。
【図11】第1の実施形態のコネクタ接続用配線基板の変形例を示す断面図である。
【図12】第1の実施形態のコネクタ接続用配線基板の変形例を示す断面図である。
【図13】第1の実施形態のコネクタ接続用配線基板の変形例を示す断面図である。
【図14】第2の実施形態のコネクタ接続用配線基板の概略構成を示す上平面図である。
【図15】図14に示すコネクタ接続用配線基板のIII-III線に沿って切った場合の断面図である。
【図16】第1の実施形態のコネクタ接続用配線基板の製造方法における工程図である。
【図17】第1の実施形態のコネクタ接続用配線基板の製造方法における工程図である。
【図18】第1の実施形態のコネクタ接続用配線基板の製造方法における工程図である。
【図19】第2の実施形態のコネクタ接続用配線基板の製造方法における工程図である。
【図20】第2の実施形態のコネクタ接続用配線基板の製造方法における工程図である。
【図21】第2の実施形態のコネクタ接続用配線基板の製造方法における工程図である。
【図22】第2の実施形態のコネクタ接続用配線基板の製造方法における工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のその他の特徴及び利点について、発明を実施するための形態に基づいて説明する。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態のコネクタ接続用配線基板の概略構成を示す上平面図であり、図2は、図1に示すコネクタ接続用配線基板のI-I線に沿って切った場合の断面図である。
【0021】
図1に示すように、本実施形態のコネクタ接続用配線基板10は、下から順に、第1の配線層11、第2の配線層12、第3の配線層13、第4の配線層14、第5の配線層15及び第6の配線層16が、互いに離隔するようにして積層されている。
【0022】
また、隣接する各配線層間には、第1の絶縁層21〜第5の絶縁層25が配設されている。具体的には、第1の配線層11及び第2の配線層12間には第1の絶縁層21が配設されており、第2の配線層12及び第3の配線層13間には第2の絶縁層22が配設されており、第3の配線層13及び第4の配線層14間には第3の絶縁層23が配設されている。また、第4の配線層14及び第5の配線層15間には第4の絶縁層24が配設されており、第5の絶縁層15及び第6の配線層16間には第5の絶縁層25が配設されている。
【0023】
換言すれば、第1の配線層11から第6の配線層16は、隣接する配線層間に配設された第1の絶縁層21から第5の絶縁層25によって互いに離隔するようにして積層されている。
【0024】
また、第1の配線層11及び第2の配線層12は第1の層間接続体31によって電気的に接続されており、第2の配線層12及び第3の配線層13は第2の層間接続体32によって電気的に接続されており、第3の配線層13及び第4の配線層14は第3の層間接続体33によって電気的に接続されている。また、第4の配線層14及び第5の配線層15は第4の層間接続体34によって電気的に接続されており、第5の配線層15及び第6の配線層16は第5の層間接続体35によって電気的に接続されている。したがって、本実施形態のコネクタ接続用配線基板10は、いわゆる多層配線基板を構成する。
【0025】
第1の配線層11から第6の配線層16は、必要に応じて所定のパターニングが施されることによる配線パターンや電極パッドとして構成されてもよいし、ベタのパターンとして構成されていてもよい。なお、本実施形態では、第6の配線層16は電極パッドして構成されている。
【0026】
また、本実施形態のコネクタ接続用配線基板10は、その側面10Cから内側に向けて、コネクタを接続するための凹部41が、幅方向に複数形成されており(本実施形態では合計9個)、その内壁面には金属膜42が形成されている。また、金属膜42は、第4の配線層14と電気的に接続されている。なお、本実施形態においては、以下に説明する製造方法に起因して、凹部41はコネクタ接続用配線基板10の主面10A及び10Bに開口している。
【0027】
本実施形態では、金属膜42は第4の配線層14と電気的に接続しているが、配線基板10を構成するいずれの配線層と接続していてもよい。さらに、接続する配線層は単一であっても複数であってもよい。
【0028】
金属膜42は、金、銀、銅、アルミニウムなどの高い導電性を有する金属材料から構成することができる。
【0029】
本実施形態のコネクタ接続用配線基板10は、その側面10Cから内側に向けて凹部41が形成されており、その内壁面には金属膜42が第4の配線層14と電気的に接続するようにして形成されている。したがって、凹部41及び金属膜42は、コネクタに対するソケットとして機能するようになる。この場合、ソケットはコネクタ接続用配線基板10の側面10Cに形成されているので、コネクタを有する所定の基板の、当該コネクタをソケットに挿入することによって、上記基板とコネクタ接続用配線基板10とを、コネクタ接続用配線基板10の側面10Cで接合することができる。
【0030】
一般に、回路部品や電子部品は配線基板の主面10A及び10Bに実装し、配線基板の側面10Cに実装することはないので、上記のようなソケットは、回路部品や電子部品の実装面積を削減することなく、コネクタ接続用配線基板10の側面において所望の数だけ形成することができる。また、基板とコネクタ接続用配線基板10とは基板のコネクタをコネクタ接続用配線基板10のソケット中に挿入し、係合させるのみで接合することができるので、仮止めなどの特殊な操作を必要としない。
【0031】
結果として、基板上に回路部品及び電子部品を実装して電子機器の高性能化及び小型化を図るという要請に反することなく、回路基板などの所定の基板とコネクタ接続用配線基板10とを簡易に接続することができるようになる。
【0032】
なお、特に図示していないが、金属膜42上にはクロムめっき層などのハードコート層を形成することができる。これによって、上述のようにソケットの一部として機能する凹部41内にコネクタを挿入して係合した場合においても、コネクタによる金属膜42の摩耗を抑制し、コネクタのソケットに対する係合を長期に亘って安定して保持することができる。
【0033】
また、凹部41と、この凹部41内に挿入し係合させたコネクタとの接続をより強固とすべく、これらの空隙中にはんだや樹脂等を充填させることもできる。
【0034】
図3は、図1及び図2に示すコネクタ接続用配線基板10とコネクタとの接続状態を示す図である。なお、図3においては、本変形例の特徴を明確にすべく、図2に示すコネクタ接続用配線基板10の第4の配線層14を含むII-II線に沿って切った場合であって、さらに1つの凹部41に着目した断面を示している。
【0035】
図3に示すように、例えば先端部51Aが基部51Bに比較して太くなったピンコネクタ51を用いた場合においては、ピンコネクタ51の先端部51Aが凹部41の側面41C、すなわち金属膜42の表面と係合し、ピンコネクタ51が凹部41に係合して固定されるようになる。
【0036】
但し、本実施形態の凹部41は、配線基板の主面10A及び10Bに開口しているので、ピンコネクタ51は主面10A及び10Bに露出しないようにして凹部41と係合させることが好ましい。ピンコネクタ51が主面10A及び10Bに露出すると、これら主面上に実装した電子部品の配線等と電気的に接触してしまい、電子部品、すなわちコネクタ接続用配線基板10及びコネクタ51を有する基板と配線基板10との接続構造における電気的不良を引き起こし、これら配線基板10及び接続構造の誤作動を生じる場合がある。
【0037】
図4は、上述したコネクタ51を有する回路基板50の構成の一例を示すものである。図3に示すようなコネクタ51と凹部41との係合によって、図1及び図2に示すコネクタ接続用配線基板10と、図4に示す基板50とが接合し、これら両基板による接合構造を得ることができる。
【0038】
但し、図4に示す基板構成はあくまでも例示であって、本実施形態のコネクタ接続用配線基板10に接続すべくコネクタ51を有する基板は、必要に応じて任意の構成とすることができる。
【0039】
図5及び図6は、本実施形態のコネクタ接続用配線基板10の変形例である。なお、図5及び図6においては、本変形例の特徴を明確にすべく、図3と同様に、図2に示すコネクタ接続用配線基板10の第4の配線層14を含むII-II線に沿って切った場合であって、さらに1つの凹部41に着目した断面を示している。
【0040】
図5に示すコネクタ接続用配線基板10においては、凹部41の開口部41Aが内部41Bの大きさよりも狭小化している。具体的には、内部41Bは開口部41Aに対して、凹部41の中心軸Xから一方向にその幅が拡大したような形状を呈している。一方、図6に示すコネクタ接続用配線基板10においては、凹部41の内部41Bが開口部41Aに対して、凹部41の中心軸Xから両方向にその幅が均一に拡大したような形状を呈している。
【0041】
いずれの場合においても、例えば、開口部41Aの直径(開口幅)をd1とし、内部41Bの直径(幅)をd2とした場合において、d1/d2が0.99〜0.8となるようにしている。d1/d2が0.8に近い場合はコネクタの剛性が比較的大きいと挿入する際に開口部が破壊される、または、挿入できない場合があるため、コネクタの剛性を比較的小さくするとよい。反対にd1/d2が0.99に近い場合は、コネクタを挿入する際に、コネクタ先端の変形量が比較的小さいため、コネクタの剛性が小さいと、コネクタが抜けやすくなるため、コネクタの剛性を比較的大きしコネクタが抜けにくい状態にするとよい。コネクタの剛性は、コネクタの材料によるため一概には言えないが、例えばコネクタの主材料を銅合金とした場合は、剛性を示すヤング率が110〜180GPaであり、この範囲で合金の組成やめっき組成を変更することで、適宜剛性を調整するとよい。これによって、コネクタを凹部41内に挿入して係合させた場合において、その係合状態を堅固に保持することができ、コネクタの凹部41からの抜けを効果的に防止することができる。
【0042】
図5に示すコネクタ接続用配線基板10に対するコネクタの接続は、例えば図7及び図8に示すような形態で行うことができる。
【0043】
図7では、コネクタ51は、先端部51Aが太くなったいわゆるピンコネクタの形状を呈しており、先端部51Aが凹部41内に挿入して係合し、金属膜42を介してコネクタ接続用配線基板10と電気的かつ機械的に接合されるようになっている。図8では、コネクタ51は、先端部51Aが板バネ状となったいわゆるバネ状のコネクタの形状を呈しており、先端部51Aが凹部41内に挿入して係合し、コネクタ接続用配線基板10と電気的かつ機械的に接合されるようになっている。
【0044】
なお、コネクタ51の最先端部51Cが凹部41の開口部41Aの幅よりも小さければ、挿入時において、コネクタ51の先端部51Aが圧縮されるので、先端部51Aを凹部41内に挿入して係合させることができる。
【0045】
図6に示すコネクタ接続用配線基板10に対するコネクタの接続は、例えば図9及び図10に示すような形態で行うことができる。
【0046】
図9では、コネクタ51は、先端部51Aが太くなったいわゆるピンコネクタの形状を呈しており、先端部51Aが凹部41内に挿入して係合し、金属膜42を介してコネクタ接続用配線基板10と電気的かつ機械的に接合されるようになっている。図10では、コネクタ51は、先端部51Aが円錐状となったピンコネクタの形状を呈しており、先端部51Aが凹部41内に挿入して係合し、金属膜41を介してコネクタ接続用配線基板10と電気的かつ機械的に接合されるようになっている。
【0047】
なお、この場合においても、コネクタ51の最先端部51Cが凹部41の開口部41Aの幅よりも小さければ、コネクタ51の先端部51Aを凹部41内に挿入して係合させることができる。
【0048】
また、図7〜図10に示すいずれの接続状態においても、例えばコネクタ51を有する基板は図4に示すような基板50とすることができ、これによって、配線基板10と基板50との接続構造を形成することができる。但し、図4に示す基板構成はあくまでも例示であって、本実施形態のコネクタ接続用配線基板10に接続すべくコネクタ51を有する基板は、必要に応じて任意の構成とすることができる。
【0049】
図11及び図12は、本実施形態のコネクタ接続用配線基板10の変形例である。なお、図11及び図12においても、本変形例の特徴を明確にすべく、図3と同様に、図2に示すコネクタ接続用配線基板10の第4の配線層14を含むII-II線に沿って切った場合であって、さらに1つの凹部41に着目した断面を示している。
【0050】
図11に示すコネクタ接続用配線基板10では、その側面10Cに形成された凹部41内に図9に示すようなピンコネクタ51が挿入され係合されているが、コネクタ51の基部51Bにおいてスリット51Sが形成され、コネクタ51の基部51Bが狭小化されている。同様に、図12に示すコネクタ接続用配線基板10では、その側面10Cに形成された凹部41内に図8に示すような板バネ状のコネクタ51が挿入され係合されているが、コネクタ51の基部51Bにおいてスリット51Sが形成され、コネクタ51の基部51Bが狭小化されている。
【0051】
したがって、コネクタ51を有する所定の基板(例えば図4に示すような回路基板)をコネクタ51及び凹部41を介してコネクタ接続用配線基板10に電気的及び機械的に接続した後、上記基板をコネクタ接続用配線基板10から引き抜く際において、コネクタ51が基部51Sで折れてしまい、コネクタ51の先端部51Aが凹部41内に残留するようになる。
【0052】
この結果、コネクタ接続用配線基板10の凹部41内には最早コネクタを接続させることができないので、コネクタ接続用配線基板10がICチップ等を実装している場合において、他人が別途コネクタを有する基板を、コネクタ接続用配線基板10の凹部41内に接続して、上記ICチップ等の内部に蓄積された情報を読み取ることができない。したがって、コネクタ接続用配線基板10に対するセキリュティ性を高めることができる。
【0053】
図13は、本実施形態のコネクタ接続用配線基板10の変形例である。なお、図13においても、本変形例の特徴を明確にすべく、図3と同様に、図2に示すコネクタ接続用配線基板10の第4の配線層14を含むII-II線に沿って切った場合であって、さらに1つの凹部41に着目した断面を示している。
【0054】
本変形例では、凹部41の開口部41Aの大きさが、外側から内側へ向けて狭小化するように、開口部41Aをテーパー状に形成している。したがって、凹部41に対するコネクタ51の係合をより簡易に行うことができる。特に、図7及び図9に示すように、先端部51Aが基部51Bに比較して太くなっているようなピンコネクタ51を凹部41内に係合する場合においては、ピンコネクタ51の凹部41内への係合をより簡易に行うことができる。
【0055】
(第2の実施形態)
図14は、本実施形態のコネクタ接続用配線基板の概略構成を示す上平面図であり、図15は、図14に示すコネクタ接続用配線基板のIII-III線に沿って切った場合の断面図である。なお、図1及び図2に示す構成要素と類似あるいは同一の構成要素に関しては、同一の符号を用いている。
【0056】
本実施形態のコネクタ接続用配線基板10−1は、その側面10−1Cから内側に向けて、コネクタを接続するための凹部41が、幅方向に複数形成されており(本実施形態では合計9個)、その内壁面には金属膜42が形成されている。また、金属膜42は、第4の配線層14と電気的に接続されている。但し、本実施形態においては、以下に説明する製造方法に起因して、凹部41は第2の絶縁層22、第3の絶縁層23及び第4の絶縁層24に形成され、コネクタ接続用配線基板10−1の主面10−1A及び10−1Bには開口していない。
【0057】
なお、その他の構成及び特徴については、第1の実施形態におけるコネクタ接続用配線基板10と同様であるので、説明を省略する。
【0058】
本実施形態のコネクタ接続用配線基板10−1は、その側面10−1Cから内側に向けて凹部41が形成されており、その内壁面には金属膜42が第4の配線層14と電気的に接続するようにして形成されている。したがって、凹部41及び金属膜42は、コネクタに対するソケットとして機能するようになる。この場合、ソケットはコネクタ接続用配線基板10−1の側面10−1Cに形成されているので、コネクタを有する所定の基板の、当該コネクタをソケットに挿入することによって、上記基板とコネクタ接続用配線基板10−1とを、コネクタ接続用配線基板10−1の側面10−1Cで接合することができる。
【0059】
一般に、回路部品や電子部品は配線基板の主面10−1A及び10−1Bに実装し、配線基板の側面10−1Cに実装することはないので、上記のようなソケットは、回路部品や電子部品の実装面積を削減することなく、コネクタ接続用配線基板10−1の側面10−1Cにおいて所望の数だけ形成することができる。また、基板とコネクタ接続用配線基板10−1とは、基板のコネクタをコネクタ接続用配線基板10−1のソケット中に挿入し、係合させるのみで接合することができるので、仮止めなどの特殊な操作を必要としない。
【0060】
結果として、基板上に回路部品及び電子部品を実装して電子機器の高性能化及び小型化を図るという要請に反することなく、回路基板などの所定の基板とコネクタ接続用配線基板10−1とを簡易に接続することができるようになる。
【0061】
また、本実施形態では、凹部41はコネクタ接続用配線基板10−1の主面10−1A及び10−1Bに開口していないので、凹部41の開口部によって配線基板10−1の実装面積が減少することがない。したがって、第1の実施形態のコネクタ接続用配線基板10に比較して、実装面積を増大させることができるので、本実施形態のコネクタ接続用配線基板10−1は、凹部41の開口部が存在しない分だけ、その大きさを狭小化することができ、あるいは高密度実装を可能とすることができる。
【0062】
なお、本実施形態のコネクタ接続用配線基板10−1の凹部41の形状は、第1の実施形態における図5及び図6に示すような態様とすることができ、コネクタの接続は、図7〜図13に示すような態様とすることができる。
【0063】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態のコネクタ接続用配線基板10の製造方法について説明する。図16〜図18は、本実施形態の製造方法における工程図を示す図である。なお、これらの図面は、第1の実施形態の図2に相当する断面図として表している。
【0064】
最初に、図16に示すように、例えば、Bit(ビースクエアイット)法によって、下から順に、第1の配線層11、第2の配線層12、第3の配線層13、第4の配線層14、第5の配線層15及び第6の配線層16が、互いに離隔するようにして積層され、隣接する各配線層間には、それぞれ第1の絶縁層21〜第5の絶縁層25が配設され、さらに隣接する各配線層間を、それぞれ第1の層間接続体31〜第5の層間接続体35によって電気的に接続されてなる多層配線基板10Xを作製する。
【0065】
なお、第4の配線層14は、後に形成する凹部41内の金属膜42と電気的に接続するため、他の配線層よりも凹部41を形成すべき多層配線基板10Xの左端に向けて延在するようにして形成する。
【0066】
次いで、図17に示すように、多層配線基板10Xの上方からドリル加工、または、レーザ光線の照射によって、多層配線基板10Xを貫通するようにしてスルーホール10Oを形成する。なお、ドリル径又はレーザ光線のビーム径に比してスルーホール10Oの開口部面積は十分に大きいので、通常は、多層配線基板10Xに対してドリル加工やレーザ光線の照射を複数回行い、照射毎に形成される比較的小さい複数のスルーホールを合体させることによって上記スルーホール10Oを形成する。
【0067】
次いで、スルーホール10Oの内壁面に、例えばめっき法によって金属膜42Xを形成する。
【0068】
次いで、図18に示すように、多層配線基板10X及びスルーホール10Oを多層配線基板10Xの厚さ方向に切断し、スルーホール10Oの側端面(本実施形態では左側端面)を開放する。これによって、開放されたスルーホール10Oは、多層配線基板10Xに側面に開口した凹部41として機能し、金属膜42Xは凹部41の内壁面に形成された金属膜42として機能し、結果として図1及び図2に示すようなコネクタ接続用配線基板10を得ることができる。
【0069】
なお、金属膜42Xは、後に金属膜42として機能するので、金属膜42と同じ金、銀、銅、アルミニウムなどの高い導電性を有する金属材料から構成する。
【0070】
(第4の実施形態)
次に、第2の実施形態のコネクタ接続用配線基板10−1の製造方法について説明する。図19〜図22は、本実施形態の製造方法における工程図を示す図である。なお、これらの図面は、第1の実施形態の図2に相当する断面図として表している。なお、図16〜図18に示す構成要素と類似あるいは同一の構成要素に関しては、同じ符号を用いている。
【0071】
最初に、第3の実施形態における図16及び図17に示す工程にしたがって、下から順に、第2の配線層12、第3の配線層13、第4の配線層14、及び第5の配線層15が、互いに離隔するようにして積層され、隣接する各配線層間には、それぞれ第2の絶縁層22〜第4の絶縁層24が配設され、さらに隣接する各配線層間を、それぞれ第2の層間接続体32〜第4の層間接続体34によって電気的に接続されてなり、内壁面に金属膜42Pを有するスルーホール10Oが形成された多層配線基板10P(第1の配線基板)を作製する(図19)。
【0072】
次いで、図20に示すように、例えば高粘度のエポキシ樹脂やNCFフィルム等の、後に示す加熱工程において流動化しないような非熱流動性の樹脂21X及び25Xによって、スルーホール10Oの上下の開口部を閉塞する。また、銀バンプあるいは銅バンプ31Qが貫通し、裏面上に第1の配線層11が形成されたプリプレグ21Qを含む第2の配線基板10Qを形成するとともに、銀バンプあるいは銅バンプ35Rが貫通し、裏面上に第6の配線層16が形成されたプリプレグ25Rを含む第3の配線基板10Rを形成する。
【0073】
次いで、第2の配線基板10Q、第1の配線基板10P及び第3の配線基板10Rをこの順に積層し、加圧下加熱することにより、第2の配線基板10Qのプリプレグ21Qを第1の配線基板10Pに対して融着させるとともに、第3の配線基板10Rのプリプレグ25Rを第1の配線基板10Pに対して融着させ、図21に示すような多層配線基板10Xを作製する。すなわち、下から順に、第1の配線層11、第2の配線層12、第3の配線層13、第4の配線層14、第5の配線層15及び第6の配線層16が、互いに離隔するようにして積層され、隣接する各配線層間には、それぞれ第1の絶縁層21〜第5の絶縁層25が配設され、さらに隣接する各配線層間を、それぞれ第1の層間接続体31〜第5の層間接続体35によって電気的に接続されてなる多層配線基板10Xを作製する。
【0074】
なお、上述した加熱工程により、スルーホール10Oを閉塞していた樹脂21X及び25Xは、それぞれ第1の絶縁層21及び第5の絶縁層25と一体化し、見かけ上識別が困難となる。
【0075】
次いで、図22に示すように、多層配線基板10X(すなわち第1の配線基板10P,第2の配線基板10Q、及び第3の配線基板10R)及びスルーホール10Oを多層配線基板10Xの厚さ方向(すなわち第1の配線基板10P,第2の配線基板10Q、及び第3の配線基板10Rの積層方向)に切断し、スルーホール10Oの側端面(本実施形態では左側端面)を開放する。これによって、開放されたスルーホール10Oは、多層配線基板10Xに側面に開口した凹部41として機能し、金属膜42Pは凹部41の内壁面に形成された金属膜42として機能し、結果として図14及び図15に示すようなコネクタ接続用配線基板10−1を得ることができる。
【0076】
以上、本発明を上記具体例に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記具体例に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいて、あらゆる変形や変更が可能である。
【0077】
例えば、上記実施形態では、配線層の数が6個の多層配線基板としてコネクタ接続用配線基板を構成しているが、配線層の数は必要に応じて任意の数とすることができる。
【符号の説明】
【0078】
10、10−1 コネクタ接続用配線基板
11 第1の配線層
12 第2の配線層
13 第3の配線層
14 第4の配線層
15 第5の配線層
16 第6の配線層
21 第1の絶縁層
22 第2の絶縁層
23 第3の絶縁層
24 第4の絶縁層
25 第5の絶縁層
31 第1の層間接続体
32 第2の層間接続体
33 第3の層間接続体
34 第4の層間接続体
35 第5の層間接続体
41 凹部
42 金属膜
50 回路基板
51 (回路基板の)コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに離隔して配設された複数の配線層と、各層が、前記複数の配線層間に配設された複数の絶縁層とを有し、コネクタを有する所定の基板を、前記コネクタを介して接続するための配線基板であって、
前記複数の絶縁層の少なくとも一つにおいて、前記配線基板の側面に開口し、前記配線基板の側面から内側に向けて前記コネクタを接続するための凹部が形成され、前記凹部の内壁面において、前記複数の配線層の少なくとも一つと電気的に接続された金属膜が形成されていることを特徴とする、コネクタ接続用配線基板。
【請求項2】
前記凹部の開口部の大きさが、前記凹部の内部の大きさよりも狭小化していることを特徴とする、請求項1に記載のコネクタ接続用配線基板。
【請求項3】
前記凹部の開口部の大きさが、外側から内側へ向けて狭小化するように、前記開口部をテーパー状に形成したことを特徴とする、請求項2に記載のコネクタ接続用配線基板。
【請求項4】
前記凹部は、前記配線基板の内部に形成され、前記配線基板の主面に開口していないことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載のコネクタ接続用配線基板。
【請求項5】
互いに離隔して配設された複数の配線層と、各層が、前記複数の配線層間に配設された複数の絶縁層とを有し、コネクタを有する所定の基板を、前記コネクタを介して接続するための配線基板の製造方法であって、
前記配線基板に、前記複数の配線層の少なくとも一つの先端が露出するようにしてスルーホールを形成する工程と、
前記スルーホールの内壁面に金属膜を形成する工程と、
前記配線基板及び前記スルーホールを、前記配線基板の厚さ方向に切断して、前記スルーホールを開口させる工程と、
を具えることを特徴とする、コネクタ接続用配線基板の製造方法。
【請求項6】
互いに離隔して配設された複数の配線層と、各層が、前記複数の配線層間に配設された複数の絶縁層とを有し、コネクタを有する所定の基板を、前記コネクタを介して接続するための配線基板の製造方法であって、
複数の第1の絶縁層それぞれによって互いに離隔された複数の第1の配線層を有する第1の配線基板に、スルーホールを形成する工程と、
前記スルーホールの内壁面に金属膜を形成する工程と、
前記スルーホールの上下開口部を非熱流動性の樹脂によって閉塞する工程と、
前記第1の配線基板の上下から、複数の第2の絶縁層によって互いに離隔された複数の第2の配線層を有する第2の配線基板、及び複数の第3の絶縁層によって互いに離隔された複数の第3の配線層を有する第3の配線基板を積層して接合する工程と、
前記第1の配線基板、前記第2の配線基板、前記第3の配線基板及び前記スルーホールを、前記第1の配線基板、前記第2の配線基板及び前記第3の配線基板の積層方向に切断して、前記スルーホールを開口させる工程と、
を具えることを特徴とする、コネクタ接続用配線基板の製造方法。
【請求項7】
コネクタを有する所定の基板と、
互いに離隔して配設された複数の配線層と、各層が、前記複数の配線層間に配設された複数の絶縁層とを有する配線基板とを具え、
前記基板と前記配線基板とは、前記基板の前記コネクタが、前記配線基板の側面から内側に向けて、前記複数の絶縁層の少なくとも一つにおいて形成され、内壁面に金属膜が形成された凹部と係合することによって接続されたことを特徴とする、基板/配線基板の接続構造。
【請求項8】
前記コネクタの基部においてスリットが形成されたことを特徴とする、請求項6に記載の基板/配線基板の接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−77751(P2013−77751A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217664(P2011−217664)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】