説明

コラム周辺部品離脱構造

【課題】メータ等のコラプス領域の確保を阻害する要因(阻害要因)をステアリングコラムから脱落させる構造を採用するものにおいては、脱落する阻害要因(メータ等)がステアリングメンバと収縮時のコラム稼働部位に挟まれてしまう可能性があり、所望のコラプス領域を十分に確保することができない虞があった。
【解決手段】コラム軸方向に収縮可能に形成されたステアリングコラム10と、ステアリングコラム10に離脱可能に装着されたメータユニット15と、ステアリングコラム10の収縮に際しステアリングコラム10から離脱するメータユニット15の離脱後移動方向を、ステアリングコラム10の上方へと規制する方向規制部22とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ステアリングコラムの周辺に設置されたメータ等のコラム周辺部品がコラム収縮時に離脱して、コラム収縮領域を確保することができるコラム周辺部品離脱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、車両の衝突時、操舵装置を構成するステアリングコラムに装着されているステアリングホイールによって生じる衝撃を、ステアリングコラムが収縮(コラプス)することにより緩和することが知られている。
操舵装置の一般的なレイアウトでは、ステアリングコラムだけがコラプスする領域を確保するように設計するが、チルト機能により上下移動するステアリングホイールに連動するチルトメータを採用している場合は、メータがステアリングコラムに固定されているため、メータを含めた広範囲においてコラプス可能領域を確保しなければならない。
【0003】
ところが、ステアリングコラムに固定されているメータの前方(車体前方)には、ステアリングメンバ(STRG MBR)が配置されており、このステアリングメンバがメータ移動の邪魔になってコラプス可能領域を確保することが難しいため、ステアリングコラムへの衝撃力入力時に、メータ等のコラプス領域の確保を阻害する要因をステアリングコラムから脱落させる構造を採用することで、コラプス可能領域を確保している。このような構造を有するものとして、例えば、「自動車のチルトメーター装置」(特許文献1参照)がある。
【特許文献1】特開昭61−105232号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の、メータ等のコラプス領域の確保を阻害する要因(阻害要因)をステアリングコラムから脱落させる構造を採用するものにおいては、脱落する阻害要因がステアリングメンバと収縮時のコラム稼働部位に挟まれてしまう可能性が有り、所望のコラプス領域を十分に確保することができない虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明のコラム周辺部品離脱構造は、ステアリングコラムに離脱可能に装着されたコラム周辺部品がステアリングコラムの収縮により離脱するとき、離脱後のコラム周辺部品を、ステアリングコラムの上方へと規制することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、ステアリングコラムの収縮により離脱したコラム周辺部品は、離脱後、ステアリングコラムの上方へと移動するように規制されるので、ステアリングコラムから脱落した、メータ等のコラプス領域の確保を阻害する要因(阻害要因)が、ステアリングメンバと収縮時のコラム稼働部位に挟まれてしまうのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、この発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
(第1実施の形態)
図1は、この発明の第1実施の形態に係るコラム周辺部品離脱構造を示す説明図である。図2は、図1のステアリングコラムとステアリングメンバの装着状態を示す斜視説明図である。
【0008】
図1に示すように、ステアリングコラム10は、車両の操舵装置を構成しており、ステアリングシャフト11を内包すると共に、ステアリングメンバ12に保持されて、突出端側を運転席に位置させている。ステアリングコラム10の突出端には、ステアリングホイール13が装着されており、ステアリングホイール13に押圧力が作用した場合、ステアリングコラム10は、ステアリングシャフト11と共にコラム縦軸方向に潰れて収縮(コラプス)することができる。このステアリングホイール13は、チルトステアリング機能により、チルトレバー13aを操作することで上下に移動し運転者に対する傾きを変化させることができる。
【0009】
図1及び図2に示すように、円筒(チューブ)形状のステアリングメンバ12は、車体幅方向に沿って車体に固定されており、ステアリングメンバ12のコラム取付部材12aに、ステアリングコラム10のメンバ取付部10aをボルト14により取付固定することで、ステアリングコラム10は、ステアリングメンバ12の下方に配置される。
ステアリングコラム10上面のステアリングメンバ12とステアリングホイール13の間には、メータユニット15等の、ステアリングコラム10の周辺に配置される各種部品からなるコラム周辺部品が装着されている。以降の説明においては、コラム周辺部品としてメータユニット15を例示する。
【0010】
メータユニット15は、スピードメータ等の各種メータ類(図示しない)が一体的に組み込まれて形成されており、メータユニット15の底部には、メータブラケット16が装着されている。
図3は、ステアリングコラムとメータユニットの装着状態を分解して示す構成説明図である。図3に示すように、メータブラケット16は、薄肉長板状に形成されて、長手方向中央部に、ステアリングコラム10上面に跨るように取り付けることができる下向き半円形の鞍部16aを有しており、メータユニット15の底面に位置させた状態で、ボルト17によりメータユニット15に固定される。
【0011】
このメータブラケット16は、ステアリングコラム10に取り付けたスライドプレートホルダ18に、メータブラケット16に取り付けたスライドプレート19を嵌合状態に挿入係止することで、ステアリングコラム10に組み付けられる。
スライドプレートホルダ18は、長板状板体を、スライドプレート19を挿入することができるように断面コの字形状に折り曲げて形成されており、2枚のプレートの長方形状平面の略中央部を貫通する取付孔18aを有している。このスライドプレートホルダ18は、両開放端による開口部側をメータユニット15側(車両後方側)に向けて、取付孔18aを通してステアリングコラム10のブラケット取付部10bに固着したボルト20により、ステアリングコラム10に取付固定される。
【0012】
スライドプレート19は、板体を、メータブラケット16の前端縁部(車両前方側の端縁部)を上下から挟み込むことができる断面コの字形状に折り曲げて形成されており、2枚のプレートの長方形状平面の略中央部を貫通すると共に折り曲げ部側に開口するスライド孔19aを有している。スライド孔19aは、スライドプレート19がスライドプレートホルダ18に挟み込まれた状態でボルト20が自由に通り抜けることができると共に、スライドプレート19をスライドプレートホルダ18から引き抜く際に邪魔にならない、形状及び大きさを有している。
【0013】
スライド孔19aに対応して、スライドプレート19が取り付けられるメータブラケット16にも、スライドプレート19が取り付けられた状態でスライド孔19aと連通一体化するように、スライド孔19aと同様の形状及び大きさを有するブラケットスライド孔16bが切り欠かれている。
このスライドプレート19は、折り曲げ部側をスライドプレートホルダ18側(車両前方側)に向けた状態で、両開放端による開口部側によりメータブラケット16の前端側(車両前方側)を上下から挟みこむようにして、メータブラケット16に装着される。
【0014】
メータブラケット16が、両スライドプレート18,19を介して、ステアリングコラム10に組み付けられることにより、メータユニット15は、メータブラケット16を介してステアリングコラム10と一体化し、ステアリングホイール13、即ち、ステアリングコラム10に連動して、上下移動する。
このように、メータユニット15は、チルトメータとして機能し、チルトメータとしてのメータユニット15は、ステアリングコラム10のコラプス時、ステアリングコラム10から離脱する。
【0015】
また、メータブラケット16には、メータブラケット16がスライドプレートホルダ18から抜け出るときに抜け出る方向を規制する案内(ガイド)部が設けられている。
図4は、図3のメータブラケットを拡大して示し、(a)は斜視説明図、(b)は車両後方側から見た説明図である。図4に示すように、メータブラケット16は、鞍部16aの両側、即ち、スライドプレート19装着部分の両側に、鞍部16aとは逆方向に凸となる、一段下がりの段差部16cを有している。段差部16cは、段差面(段差部底面)の両側に段差面と略直交する壁部16dを有しており、両壁部16d,16d間には、スライドプレート19を挟み込んだ状態のスライドプレートホルダ18を位置させることができる((a),(b)参照)。
【0016】
このため、スライドプレートホルダ18に挟み込まれた、メータブラケット16に装着されたスライドプレート19が、スライドプレートホルダ18から抜け出るとき、メータブラケット16は、凹部状に形成された段差部16cの両壁部16d,16d間に、スライドプレートホルダ18のコラム収縮方向に沿う面を挟み込んだ状態になる。
つまり、メータユニット(コラム周辺部品)15に装着されたメータブラケット16は、メータユニット15のステアリングコラム10からの離脱時に、保持されていたスライドプレートホルダ18から抜け出るスライドプレート19を、両側の壁部16d,16dにより挟み込んだ状態に位置させる凹部状に形成され、スライドプレート19の抜け出る方向をコラム軸方向に沿う方向に規制する段差部(抜け出し方向案内部)16cを有する。
【0017】
この結果、抜け出る方向を規制する段差部16cが設けられていないと、スライドプレートホルダ18からメータブラケット16が抜け出る際に、コラム収縮方向に沿って真っ直ぐ抜け出ない場合もあったのが、抜け出る方向を規制する案内(ガイド)として、メータブラケット16に両壁部16d,16dを有する段差部16cを設けたことにより、メータユニット15をステアリングコラム10から離脱させる際のメータブラケット16の抜け出る方向を、確実に、コラム収縮方向に沿う車両後方側として、ステアリングコラム10に対しメータユニット15を後退させることができる。
【0018】
次に、メータユニット15がステアリングコラム10から離脱する状況について説明する。
図5は、メータユニットがステアリングコラムから離脱する状況を示し、(a)は通常状態の説明図、(b)はコラム収縮開始状態の説明図、(c)はメータユニット離脱状態の説明図である。
【0019】
図5に示すように、ステアリングコラム10、メータユニット15、ステアリングメンバ12、ステアリングホイール13は、通常、それぞれの間に所定の間隔を確保して配置されている((a)参照)。そして、前面衝突等により前方側から車両に衝撃が加わってエアバックが展開(図示しない)した後、乗員がエアバックを介してステアリングホイール12にぶつかった場合、ステアリングコラム10全体が潰れて収縮(コラプス)を開始する((b)参照)。
【0020】
このときのコラム収縮量は、上記各部で確保されていた間隔により決められるが、チルトメータの場合、ステアリングコラム10がコラム軸方向に収縮する途中、メータユニット15がステアリングメンバ12に衝突することをきっかけに、メータブラケット16がスライドプレートホルダ18から抜け出てメータユニット15がステアリングコラム10から離脱する((c)参照)ため、ステアリングコラム10がコラム軸方向へ確保されていた間隔分ストロークすることになり、ステアリングコラム10の収縮において荷重(コラプス荷重)増加が生じることを防止する。
【0021】
このように、ステアリングコラム10に離脱可能に装着されたメータユニット(コラム周辺部品)15が、ステアリングコラム10から離脱する際に、スライドプレートホルダ18からメータブラケット16が抜け出るが、このとき、メータブラケット16に設けた段差部16cが、抜け出る方向を規制する案内(ガイド)として機能し、抜け出る方向を、確実に、コラム収縮方向とすることができる。そして、離脱後のメータユニット15は、メータユニット15が衝突するステアリングメンバ12のコラム取付部材12aに設置された上方案内部(方向規制部)22により、衝突したメータユニット15が上方案内部22に触れてその移動方向が上方となるように規制される。
【0022】
図6は、図1の上方案内部を示す斜視説明図である。図6に示すように、上方案内部22は、メータユニット15に対向する平坦面22aを有する長板状に形成されており、平坦面22aが、ステアリングコラム10のコラム軸方向と直交する方向に対し車両前方に傾斜して上向きとなるように、コラム取付部材12aに取り付けられている。
平坦面22aが、上向きに配置されていることにより、平坦面22aは、メータブラケット16がスライドプレートホルダ18から抜け出るきっかけとして作用すると共に、ステアリングコラム10から離脱したメータユニット15の離脱時の勢いを受け止めて、メータユニット15を上向きに滑り出させる(図5(c)参照)ガイドとして機能する。
【0023】
つまり、上方案内部22は、ステアリングコラム10の収縮に際し、収縮方向に移動するメータユニット(コラム周辺部品)15に当接するステアリングコラム110の収縮軌道上に配置され、当接してステアリングコラム10から離脱したメータユニット15の離脱後移動方向を、ステアリングコラム10の上方へと向ける平坦面22a(傾斜面)を有する。この結果、上方案内部22により、ステアリングコラム10の収縮に際しステアリングコラム10から離脱するメータユニット(コラム周辺部品)15の離脱後移動方向が、ステアリングコラム10の上方へと規制される。
【0024】
このため、ステアリングコラム10の収縮時、コラム収縮領域の確保を阻害する要因になる虞がある、ステアリングコラム10から離脱したメータユニット15は、離脱後、上方案内部22により移動方向が上方へと規制されて確実に上方へと押し出されるので、ステアリングメンバ12とステアリングコラム10稼働部位に挟まれてしまうことがない。
つまり、ステアリングコラム10から離脱直後のメータユニット15に、コラム収縮領域から上方へ容易に抜け出るきっかけを与える上方案内部22により、コラム収縮軌跡上から、ステアリングコラム10の収縮阻害要因となるメータユニット15が確実に取り除かれることになって、安定したコラム収縮特性が得られるので、コラム収縮領域が拡大し、ステアリングコラム10の周囲に、より広いコラム収縮領域を確保することができる。
【0025】
よって、上方案内部22を取り付けたことで、結果的に、コラム収縮ストロークを、メータユニット15を取り除かなかった場合に比べ約2倍に拡大することができ、更に、ステアリングコラム10取付部の剛性を高めると共にコラム収縮時に加わる荷重を安定させることができる。
【0026】
また、図1に示すように、ステアリングホイール13のステアリングメンバ12側に装着されている、背面カバー部23は、メータユニット15に対向する円形端面の周縁が、全周に渡って角を落とした斜面(方向規制部)23aにより形成されている。この斜面23aは、メータユニット(コラム周辺部品)15に対し上向き傾斜となることにより、ステアリングコラム10から離脱したメータユニット15が背面カバー部23に衝突した際、メータユニット15には上方へと押し上げる力が作用する。
なお、斜面23aは、端面全周に形成されているので、ステアリングホイール13を操作してハンドルを切った状態でも、メータユニット15には確実に斜面23aが接触することになる。この斜面23aは、凹凸のない平坦面、なだらかな凸状曲面等、メータユニット15に上方へと押し上げる力を作用させることができる面により形成されている。
【0027】
(第2実施の形態)
図7は、この発明の第2実施の形態に係るコラム周辺部品離脱構造を示す斜視説明図である。図8は、図7のスライドプレートを示し、(a)は斜視説明図、(b)は側面説明図である。
図7に示すように、第2実施の形態に係るコラム周辺部品離脱構造は、スライドプレート19、メータブラケット16、スライドプレートホルダ18、及びステアリングコラム10のブラケット取付部10bに代えて、スライドプレート30、メータブラケット31、スライドプレートホルダ32、及びステアリングコラム10のブラケット取付部33を有している他は、第1実施の形態に係るコラム周辺部品離脱構造と同様の構成及び作用を有している。
【0028】
図8に示すように、スライドプレート30は、スライド孔19aの両開放端による開口部30a側に、開口部30a側に向かって上り傾斜となる斜面部30b((a),(b)参照)を有し、プレート厚さ方向(上下方向)の間隔が、スライド孔19aが開けられたプレート中央部より開口部30a側の方が大きく(広く)形成されている((b)参照)。その他の構成及び作用は、スライドプレート19(図3参照)と同様である。
【0029】
図7に示すように、メータブラケット31は、スライドプレート30を装着した際、スライドプレート30の斜面部30bから開口部30aに位置する部分が、斜面部30bから開口部30aまでの形状に合わせた、斜面部を経て厚さ方向両側が厚肉状態となる段差部31aを有する。その他の構成及び作用は、メータブラケット16(図3参照)と同様である。
【0030】
スライドプレートホルダ32は、メータブラケット31に装着したスライドプレート30の斜面部30bから開口部30aに位置する部分の外形形状に対応した形状を有しており、取付孔18aの開口部32a側に、開口部32aに向かって拡径する斜面部32bを有し、開口部32aが一段下がった段差面に位置するように、プレート厚さ方向(上下方向)の間隔が取付孔18aが開けられたプレート中央部より開口部32a側の方が大きく(広く)形成されている。また、スライドプレートホルダ32の、ブラケット取付部33への取り付け時にブラケット取付部33に接する面には、ブラケット取付部33側に開口する凹部32cが形成されている。その他の構成及び作用は、スライドプレート19(図3参照)と同様である。
【0031】
ステアリングコラム10のブラケット取付部33は、スライドプレート30が装着されたメータブラケット31がスライドプレートホルダ32から抜け出る方向(図中、白抜き矢印参照)に突出する案内爪部(方向規制部)33a、及びスライドプレートホルダ32の凹部32cに入り込むボス部33bを有している。その他の構成及び作用は、ステアリングコラム10のブラケット取付部10b(図3参照)と同様である。
【0032】
案内爪部33aは、メータブラケット31がスライドプレートホルダ32から抜け出る方向、即ち、車両後方側に、スライドプレートホルダ32の開口部32a側のブラケット取付部33接触面と角度αを成す上向きに傾斜して、形成されている。ボス部33bは、スライドプレートホルダ32をブラケット取付部33に取り付けたとき、ボルト20を貫通させて凹部32cに入り込み密着状態となる、凹部32c形状に対応する台形状断面を有している。
【0033】
つまり、ステアリングコラム10のブラケット取付部33は、メータユニット(コラム周辺部品)15のステアリングコラム10からの離脱時に、保持されていたスライドプレートホルダ32から抜け出るスライドプレート30の抜け出し方向(図中、白抜き矢印参照)に設置され、抜け出して当接したスライドプレート30をステアリングコラム10の上方へ向けて傾斜させる傾斜面からなる案内爪部33aを有する。
次に、スライドプレート30、メータブラケット31、スライドプレートホルダ32、及びブラケット取付部33を有するコラム周辺部品離脱構造による、コラム周辺部品の離脱について説明する。
【0034】
図9は、第2実施の形態に係るコラム周辺部品離脱構造によるコラム周辺部品の離脱状況を示し、(a)はスライドプレートホルダからのメータブラケット離脱時の説明図、(b)はメータブラケット離脱後のガイド爪部によるガイド状態の説明図である。図9に示すように、メータブラケット31が、メータブラケット31を挟み込んだスライドプレート30と共に、スライドプレートホルダ32から、コラム軸方向に沿って車両後方側へと抜け出る(図中、白抜き矢印参照)とき、スライドプレート30は、ボス部33bに位置する凹部32c底面、即ち、ステアリングコラム10との締結面の内側を摺動し((a)参照)、スライドプレート30の折り曲げ部30cを、斜面部32bでブラケット取付部33側へと落下させる((b)参照)。
【0035】
スライドプレート30の折り曲げ部30cが落下するとき、スライドプレート30の開口部30a側は、案内爪部33aにかかっており、折り曲げ部30cが落下することで、スライドプレート30は、案内爪部33aに沿って、開口部30a側を上に向けた傾斜状態((b)参照)となる。
従って、スライドプレートホルダ32から車両後方側へと抜け出すスライドプレート30は、案内爪部33aに保持されることで確実に上向き傾斜状態になって滑り易くなり、スライドプレートホルダ32から抜け出した後のスライドプレート30、即ち、メータブラケット31が装着されたメータユニット15は、容易に収縮(コラプス)領域から抜け出すことができる。
【0036】
このように、スライドプレート30は、プレート厚さ方向(上下方向)間隔を開口部30a側の方が大きく(広く)なるように形成したことで、スライドプレートホルダ32から抜け出した後のメータユニット15が、ステアリングコラム10の収縮領域から離脱するきっかけとなると共に、メータブラケット31に取り付けられるスライドプレート30の取付部剛性が向上し、それによりコラム収縮時に加わる荷重(コラプス荷重)も安定する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明の第1実施の形態に係るコラム周辺部品離脱構造を示す説明図である。
【図2】図1のステアリングコラムとステアリングメンバの装着状態を示す斜視説明図である。
【図3】ステアリングコラムとメータユニットの装着状態を分解して示す構成説明図である。
【図4】図3のメータブラケットを拡大して示し、(a)は斜視説明図、(b)は車両後方側から見た説明図である。
【図5】メータユニットがステアリングコラムから離脱する状況を示し、(a)は通常状態の説明図、(b)は収縮(コラプス)開始状態の説明図、(c)はメータユニット離脱状態の説明図である。
【図6】図1の方向規制部を示す斜視説明図である。
【図7】この発明の第2実施の形態に係るコラム周辺部品離脱構造を示す斜視説明図である。
【図8】図7のスライドプレートを示し、(a)は斜視説明図、(b)は側面説明図である。
【図9】第2実施の形態に係るコラム周辺部品離脱構造によるコラム周辺部品の離脱状況を示し、(a)はスライドプレートホルダからのメータブラケット離脱時の説明図、(b)はメータブラケット離脱後のガイド爪部によるガイド状態の説明図である。
【符号の説明】
【0038】
10 ステアリングコラム
10a メンバ取付部
10b,33 ブラケット取付部
11 ステアリングシャフト
12 ステアリングメンバ
12a コラム取付部材
13 ステアリングホイール
13a チルトレバー
14,17,20 ボルト
15 メータユニット
16,31 メータブラケット
16a 鞍部
16b ブラケットスライド孔
16c,31a 段差部
16d 壁部
18,32 スライドプレートホルダ18
18a 取付孔
19,30 スライドプレート19
19a スライド孔
22 上方案内部
22a 平坦面
23 背面カバー部
23a 斜面
30a,32a 開口部
30b,32b 斜面部
30c 折り曲げ部
32c 凹部
33a 案内爪部
33b ボス部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングコラムに離脱可能に装着され、前記ステアリングコラムの収縮時に該ステアリングコラムから離脱して移動するコラム周辺部品の、前記ステアリングコラムの収縮時に前記コラム周辺部品の移動方向を、前記ステアリングコラムの上方へと規制することを特徴とするコラム周辺部品離脱構造。
【請求項2】
コラム軸方向に収縮可能に形成されたステアリングコラムと、
前記ステアリングコラムに離脱可能に装着されたコラム周辺部品と、
前記ステアリングコラムの収縮に際し前記ステアリングコラムから離脱して移動する前記コラム周辺部品の離脱後移動方向を、前記ステアリングコラムの上方へと規制する方向規制部と
を有することを特徴するコラム周辺部品離脱構造。
【請求項3】
前記方向規制部は、
前記ステアリングコラムの収縮に際し、収縮方向に移動する前記コラム周辺部品に当接する前記ステアリングコラムの収縮軌道上に配置され、当接して前記ステアリングコラムから離脱した前記コラム周辺部品の離脱後移動方向を、前記ステアリングコラムの上方へと向ける傾斜面であることを特徴とする請求項2に記載のコラム周辺部品離脱構造。
【請求項4】
前記方向規制部は、
前記コラム周辺部品の前記ステアリングコラムからの離脱時に、保持されていたスライドプレートホルダから抜け出るスライドプレートの抜け出し方向に設置され、抜け出して当接した前記スライドプレートを前記ステアリングコラムの上方へ向けて傾斜させる傾斜面からなる案内爪部であることを特徴とする請求項2または3に記載のコラム周辺部品離脱構造。
【請求項5】
前記方向規制部は、
前記ステアリングコラムに装着されたステアリングホイールの背面カバー部の、前記コラム周辺部品に対向する端面の周縁全周に渡って形成された、前記コラム周辺部品に対し上向き傾斜となる斜面であることを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載のコラム周辺部品離脱構造。
【請求項6】
前記コラム周辺部品に装着されたメータブラケットは、
前記コラム周辺部品の前記ステアリングコラムからの離脱時に、保持されていたスライドプレートホルダから抜け出るスライドプレートを、両側の壁部により挟み込んだ状態に位置させる凹部状に形成され、前記スライドプレートの抜け出る方向をコラム軸方向に沿う方向に規制する抜け出し方向案内部を有することを特徴とする請求項2から5のいずれか一項に記載のコラム周辺部品離脱構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−149744(P2010−149744A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331073(P2008−331073)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】