サスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンション、ハードディスクドライブおよびサスペンション用基板の製造方法
【課題】本発明は、伝送信号強度の損失を抑制しつつ、反りの発生抑制および低剛性化を図ることができるサスペンション用基板を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、ライト側配線構造およびリード側配線構造を有し、上記ライト側配線構造は、ライト側凹部を有する第一絶縁層と、上記ライト側凹部に形成されたライト側第一配線層と、上記ライト側第一配線層を覆う第二絶縁層と、上記第二絶縁層上であり、かつ、上記ライト側第一配線層に厚さ方向において重複するライト側第二配線層とを有し、上記リード側配線構造は、リード側凹部を有する上記第一絶縁層と、上記リード側凹部に形成されたリード側第一配線層と、上記リード側第一配線層を覆う上記第二絶縁層と、上記第二絶縁層上であり、かつ、上記リード側第一配線層に厚さ方向において重複するリード側第二配線層とを有することを特徴とするサスペンション用基板を提供することにより、上記課題を解決する。
【解決手段】本発明は、ライト側配線構造およびリード側配線構造を有し、上記ライト側配線構造は、ライト側凹部を有する第一絶縁層と、上記ライト側凹部に形成されたライト側第一配線層と、上記ライト側第一配線層を覆う第二絶縁層と、上記第二絶縁層上であり、かつ、上記ライト側第一配線層に厚さ方向において重複するライト側第二配線層とを有し、上記リード側配線構造は、リード側凹部を有する上記第一絶縁層と、上記リード側凹部に形成されたリード側第一配線層と、上記リード側第一配線層を覆う上記第二絶縁層と、上記第二絶縁層上であり、かつ、上記リード側第一配線層に厚さ方向において重複するリード側第二配線層とを有することを特徴とするサスペンション用基板を提供することにより、上記課題を解決する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばハードディスクドライブ(HDD)に用いられるサスペンション用基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの普及等によりパーソナルコンピュータの情報処理量の増大や情報処理速度の高速化が要求されてきており、それに伴って、パーソナルコンピュータに組み込まれているハードディスクドライブ(HDD)も大容量化や情報伝達速度の高速化が必要となってきている。そのため、HDDに用いられるサスペンション用基板(フレキシャー)にも高機能化が求められている。
【0003】
サスペンション用基板は、通常、一対の配線からなるライト側配線と、同じく一対の配線からなるリード側配線を有する。このような一対の配線は、従来、絶縁層の同一表面上に形成されていた。これに対して、一対の配線における一方の配線層と他方の配線層とを、絶縁層を介して積層したサスペンション用基板が知られている(特許文献1、特許文献2)。また、低インピーダンスの差動配線を得るためには、配線の幅を広くすることが好ましく、図16に示すように、金属基板101、第一絶縁層102、第一配線層103、第二絶縁層104、第二配線層105およびカバー層106をこの順に積層する積層構造が好ましいことが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−022570号公報
【特許文献2】特開平10−003632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の積層構造は配線の低インピーダンス化に効果的であるが、最近では、さらに伝送信号強度の損失が少ないサスペンション用基板が求められている。本発明者等は、これまでの研究で、伝送信号強度の損失を少なくするためには、第一配線層103の頂部から第二配線層105の底部までに位置する第二絶縁層104の厚さ(配線間厚さ)を大きくすることが有効であるとの知見を得ている。しかしながら、第二絶縁層104の配線間厚さを大きくすると、反りが発生しやすくなるという問題、サスペンション用基板の剛性が高くなるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、伝送信号強度の損失を抑制しつつ、反りの発生抑制および低剛性化を図ることができるサスペンション用基板を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明においては、ライト側配線構造およびリード側配線構造を有し、上記ライト側配線構造は、ライト側凹部を有する第一絶縁層と、上記ライト側凹部に形成されたライト側第一配線層と、上記ライト側第一配線層を覆う第二絶縁層と、上記第二絶縁層上であり、かつ、上記ライト側第一配線層に厚さ方向において重複するライト側第二配線層とを有し、上記リード側配線構造は、リード側凹部を有する上記第一絶縁層と、上記リード側凹部に形成されたリード側第一配線層と、上記リード側第一配線層を覆う上記第二絶縁層と、上記第二絶縁層上であり、かつ、上記リード側第一配線層に厚さ方向において重複するリード側第二配線層とを有することを特徴とするサスペンション用基板を提供する。
【0008】
本発明によれば、第一絶縁層にライト側凹部およびリード側凹部を設けることで、第二絶縁層の配線間厚さを所定の大きさに保ちつつ、第二絶縁層の厚さを小さくすることができる。すなわち、第二絶縁層の配線間厚さを所定の大きさに保つことで、Sパラメータ(散乱パラメータ)の低下が抑制され、伝送信号強度の損失が抑制できる。一方、第二絶縁層の厚さを小さくすることで、反りの発生抑制および低剛性化を図ることができる。このように、本発明によれば、第一絶縁層にライト側凹部およびリード側凹部を設けることで、伝送信号強度の損失抑制と、反りの発生抑制および低剛性化とを両立させることができる。また、本発明によれば、配線幅を広く設計することができるので、低インピーダンス化を図ることができる。
【0009】
上記発明においては、上記ライト側第一配線層および上記リード側第一配線層の頂部の少なくとも一方の位置が、上記第一絶縁層の頂部の位置と同一であることが好ましい。第二絶縁層の厚さを小さくすることができるからである。
【0010】
上記発明においては、上記ライト側第一配線層および上記リード側第一配線層の頂部の少なくとも一方の位置が、上記第一絶縁層の頂部の位置よりも低いことが好ましい。第二絶縁層の厚さをさらに小さくすることができるからである。
【0011】
上記発明においては、上記ライト側第一配線層および上記リード側第一配線層の少なくとも一方が、スパッタリング法により形成されたスパッタリング層であることが好ましい。緻密な第一配線層を得ることができるからである。
【0012】
上記発明においては、上記ライト側第一配線層および上記リード側第一配線層の少なくとも一方が、スパッタリング法により形成されたスパッタリング層と、上記スパッタリング層の表面上に、めっき法により形成されためっき層とを有することが好ましい。めっき層をさらに設けることで、第一配線層の厚さの調整が容易になるからである。
【0013】
上記発明においては、上記ライト側第一配線層および上記ライト側第二配線層の幅が、上記リード側第一配線層および上記リード側第二配線層の幅よりも大きいことが好ましい。ライト側配線およびリード側配線において、所望の差動インピーダンスを得ることができるからである。
【0014】
また、本発明においては、上述したサスペンション用基板を含むことを特徴とするサスペンションを提供する。
【0015】
本発明によれば、上述したサスペンション用基板を用いることで、電気特性および機械特性に優れたサスペンションとすることができる。
【0016】
また、本発明においては、上述したサスペンションと、上記サスペンションに実装された磁気ヘッドスライダとを有することを特徴とするヘッド付サスペンションを提供する。
【0017】
本発明によれば、上述したサスペンションを用いることで、電気特性および機械特性に優れたヘッド付サスペンションとすることができる。
【0018】
また、本発明においては、上述したヘッド付サスペンションを含むことを特徴とするハードディスクドライブを提供する。
【0019】
本発明によれば、上述したヘッド付サスペンションを用いることで、高機能なハードディスクドライブとすることができる。
【0020】
また、本発明においては、第一絶縁層に、ライト側凹部およびリード側凹部を形成する凹部形成工程と、上記ライト側凹部および上記リード側凹部に、それぞれ、ライト側第一配線層およびリード側第一配線層を形成する第一配線層形成工程と、上記ライト側第一配線層および上記リード側第一配線層を覆う第二絶縁層を形成する第二絶縁層形成工程と、上記第二絶縁層上であり、かつ、上記ライト側第一配線層に厚さ方向において重複するライト側第二配線層、および、上記第二絶縁層上であり、かつ、上記リード側第一配線層に厚さ方向において重複するリード側第二配線層を形成する第二配線層形成工程とを有することを特徴とするサスペンション用基板の製造方法を提供する。
【0021】
本発明によれば、第一絶縁層にライト側凹部およびリード側凹部を形成し、これらの凹部に第一配線層を形成することで、第二絶縁層の配線間厚さを所定の大きさに保ちつつ、第二絶縁層の厚さを小さくしたサスペンション用基板を得ることができる。
【0022】
上記発明において、上記凹部形成工程は、上記第一絶縁層の表面上に、上記ライト側凹部および上記リード側凹部を形成する部分が露出するレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、上記レジストパターンから露出する上記第一絶縁層をエッチングし、上記ライト側凹部および上記リード側凹部を形成するエッチング工程とを有し、上記第一配線層形成工程は、上記レジストパターンを剥離する前に、スパッタリング法により上記ライト側第一配線層および上記リード側第一配線層を形成するスパッタリング工程と、上記スパッタリング工程後に、上記レジストパターンを剥離する剥離工程とを有することが好ましい。第一配線層のパターニングが容易だからである。
【0023】
上記発明において、上記凹部形成工程は、上記第一絶縁層の表面上に、上記ライト側凹部および上記リード側凹部を形成する部分が露出する第一レジストパターンを形成する第一レジストパターン形成工程と、上記第一レジストパターンから露出する上記第一絶縁層をエッチングし、上記ライト側凹部および上記リード側凹部を形成するエッチング工程と、上記エッチング工程後に、上記第一レジストパターンを剥離する第一レジストパターン剥離工程とを有し、上記第一配線層形成工程は、上記ライト側凹部および上記リード側凹部を形成した上記第一絶縁層の表面上に、スパッタリング法により第一配線層形成用膜を形成するスパッタリング工程と、上記第一配線層形成用膜の表面上に、上記ライト側第一配線層および上記リード側第一配線層を形成する部分を被覆する第二レジストパターンを形成する第二レジストパターン形成工程と、上記第二レジストパターンから露出する上記第一配線層形成用膜を除去し、上記ライト側第一配線層および上記リード側第一配線層を形成する除去工程と、上記除去工程の後に、上記第二レジストパターンを剥離する第二レジストパターン剥離工程とを有することが好ましい。所定の第二レジストパターンを形成することにより、第一配線層がエッチングされることを防止でき、劣化の少ない第一配線層を得ることができるからである。
【0024】
上記発明において、上記凹部形成工程は、上記第一絶縁層の表面上に、上記ライト側凹部および上記リード側凹部を形成する部分が露出する第一レジストパターンを形成する第一レジストパターン形成工程と、上記第一レジストパターンから露出する上記第一絶縁層をエッチングし、上記ライト側凹部および上記リード側凹部を形成するエッチング工程と、上記エッチング工程後に、上記第一レジストパターンを剥離する第一レジストパターン剥離工程とを有し、上記第一配線層形成工程は、上記ライト側凹部および上記リード側凹部を形成した上記第一絶縁層の表面上に、スパッタリング法により第一配線層形成用膜を形成するスパッタリング工程と、上記第一配線層形成用膜の表面上に、上記ライト側第一配線層および上記リード側第一配線層を形成する部分が露出する第二レジストパターンを形成する第二レジストパターン形成工程と、上記第二レジストパターンから露出する上記第一配線層形成用膜の表面上に、めっき法により上記ライト側第一配線層および上記リード側第一配線層を構成するめっき層を形成するめっき工程と、上記めっき工程後に、上記第二レジストパターンを剥離する第二レジストパターン剥離工程と、上記めっき層が形成されていない部分の上記第一配線層形成用膜を除去する除去工程とを有することが好ましい。スパッタリング層にさらにめっき層を形成することで、第一配線層の厚さの調整が容易になるからである。
【発明の効果】
【0025】
本発明においては、伝送信号強度の損失を抑制しつつ、反りの発生抑制および低剛性化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明のサスペンション用基板の一例を示す概略平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】本発明のサスペンション用基板と、従来のサスペンション用基板とを比較する概略断面図である。
【図4】本発明のサスペンション用基板と、従来のサスペンション用基板とを比較する概略断面図である。
【図5】本発明における第一絶縁層を説明する概略断面図である。
【図6】本発明におけるライト側第一配線層を説明する概略断面図である。
【図7】ライト側第一配線層3aの頂部の位置と、第一絶縁層2aの頂部の位置との位置関係を説明する概略断面図である。
【図8】ライト側配線構造およびリード側配線構造の位置関係を説明する概略断面図である。
【図9】本発明のサスペンションの一例を示す概略平面図である。
【図10】本発明のヘッド付サスペンションの一例を示す概略平面図である。
【図11】本発明のハードディスクドライブの一例を示す概略平面図である。
【図12】本発明のサスペンション用基板の製造方法の一例を説明する概略断面図である。
【図13】本発明のサスペンション用基板の製造方法の一例を説明する概略断面図である。
【図14】本発明における第一配線層の形成方法を例示する概略断面図である。
【図15】本発明における第一配線層の形成方法を例示する概略断面図である。
【図16】従来のサスペンション用基板を説明する概略断面図である。
【図17】シミュレーションに用いたサスペンション用基板を説明する概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明のサスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンション、ハードディスクドライブおよびサスペンション用基板の製造方法について詳細に説明する。
【0028】
A.サスペンション用基板
まず、本発明のサスペンション用基板について説明する。本発明のサスペンション用基板は、ライト側配線構造およびリード側配線構造を有し、上記ライト側配線構造は、ライト側凹部を有する第一絶縁層と、上記ライト側凹部に形成されたライト側第一配線層と、上記ライト側第一配線層を覆う第二絶縁層と、上記第二絶縁層上であり、かつ、上記ライト側第一配線層に厚さ方向において重複するライト側第二配線層とを有し、上記リード側配線構造は、リード側凹部を有する上記第一絶縁層と、上記リード側凹部に形成されたリード側第一配線層と、上記リード側第一配線層を覆う上記第二絶縁層と、上記第二絶縁層上であり、かつ、上記リード側第一配線層に厚さ方向において重複するリード側第二配線層とを有することを特徴とするものである。
【0029】
図1は、本発明のサスペンション用基板の一例を示す概略平面図である。なお、便宜上、カバー層の記載は省略している。図1に示されるサスペンション用基板20は、一方の先端部分に形成されたジンバル部11と、他方の先端部分に形成され、外部回路基板(例えばメインフレキ基板)に接続するための外部回路基板接続部12と、ジンバル部11および外部回路基板接続部12を接続する配線部13(ライト側配線13xおよびリード側配線13y)とを有する。
【0030】
図2は、図1のA−A断面図である。図2に示されるサスペンション用基板20は、ライト側配線構造Xおよびリード側配線構造Yを有する。さらに、ライト側配線構造Xは、ライト側凹部21yを有する第一絶縁層2aと、ライト側凹部21yに形成されたライト側第一配線層3aと、ライト側第一配線層3aを覆う第二絶縁層2bと、第二絶縁層2b上であり、かつ、ライト側第一配線層3aに厚さ方向において重複するライト側第二配線層3bとを有する。なお、図2におけるライト側第一配線層3aは、スパッタリング法により形成されたスパッタリング層31aである。また、図2におけるライト側第二配線層3bは、スパッタリング層31bと、めっき法により形成されためっき層32bとを有するものである。
【0031】
一方、リード側配線構造13yは、リード側凹部21yを有する第一絶縁層2aと、リード側凹部21yに形成されたリード側第一配線層4aと、リード側第一配線層4aを覆う第二絶縁層2bと、第二絶縁層2b上であり、かつ、リード側第一配線層4aに厚さ方向において重複するリード側第二配線層4bとを有する。なお、図2におけるリード側第一配線層4aは、スパッタリング法により形成されたスパッタリング層41aである。また、図2におけるリード側第二配線層4bは、スパッタリング層41bと、めっき法により形成されためっき層42bとを有するものである。
【0032】
また、図2に示されるサスペンション用基板20は、ライト側凹部21xおよびリード側凹部21yが形成されている表面とは反対側の第一絶縁層2aの表面に、金属基板1を有する。また、本発明においては、ライト側第一配線層3aおよびリード側第一配線層4aを「第一配線層」と総称する場合があり、ライト側第二配線層3bおよびリード側第二配線層4bを「第二配線層」と総称する場合がある。
【0033】
本発明によれば、第一絶縁層にライト側凹部およびリード側凹部を設けることで、第二絶縁層の配線間厚さを所定の大きさに保ちつつ、第二絶縁層の厚さを小さくすることができる。すなわち、第二絶縁層の配線間厚さを所定の大きさに保つことで、Sパラメータ(散乱パラメータ)の低下が抑制され、伝送信号強度の損失が抑制できる。一方、第二絶縁層の厚さを小さくすることで、反りの発生抑制および低剛性化を図ることができる。このように、本発明によれば、第一絶縁層にライト側凹部およびリード側凹部を設けることで、伝送信号強度の損失抑制と、反りの発生抑制および低剛性化とを両立させることができる。また、本発明によれば、配線幅を広く設計することができるので、低インピーダンス化を図ることができる。
【0034】
さらに、本発明の効果について、図3および図4を用いて詳細に説明する。本発明のサスペンション用基板においては、図3(a)、図4(a)に示すように、第一絶縁層2aがライト側凹部21xおよびリード側凹部21yを有し、これらの凹部に、ライト側第一配線層3aおよびリード側第一配線層4aが形成されている。また、ライト側第二配線層3bおよびリード側第二配線層4bは、共にカバー層5で覆われている。一方、図3(b)、図4(b)に示すように、従来のサスペンション用基板においては、第一絶縁層2aがライト側凹部およびリード側凹部を有しない。
【0035】
図3(a)と図3(b)と比較すると、サスペンション用基板全体の厚さが同一であるため、反りの発生抑制および低剛性化の観点(機械特性の観点)では差異はないものの、図3(b)は、図3(a)に比べて第二絶縁層2bの配線間厚さT1が小さくなるため、伝送信号強度の損失の観点(電気特性の観点)では大幅に劣ってしまう。一方、図4(a)と図4(b)と比較すると、第二絶縁層2bの配線間厚さが同一であるため、電気特性の観点では差異はないものの、図4(b)は、図4(a)に比べてサスペンション用基板全体の厚さT2が大きくなり、機械特性の観点では劣ってしまう。これに対して、本発明においては、図3(a)、図4(a)に示すように、第二絶縁層の配線間厚さを所定の大きさに保ちつつ、第二絶縁層の厚さを小さくすることができるという利点を有する。
以下、本発明のサスペンション用基板について、さらに詳細に説明する。
【0036】
1.ライト側配線構造
まず、本発明におけるライト側配線構造について説明する。上記の図2に示すように、本発明におけるライト側配線構造Xは、ライト側凹部21xを有する第一絶縁層2a、ライト側第一配線層3a、第二絶縁層2b、ライト側第二配線層3bをこの順に積層した構造を有する。
【0037】
(1)第一絶縁層
本発明における第一絶縁層2aについて説明する(図2参照)。第一絶縁層2aは、ライト側凹部21xを有する層である。ライト側凹部21xは、例えば、第一絶縁層2aをエッチングすることにより形成することができる。また、ライト側凹部21xを設けることにより、第二絶縁層2bの配線間厚さを所定の大きさに保ちつつ、第二絶縁層2bの厚さを小さくすることができる。これにより、伝送信号強度の損失を抑制しつつ、反りの発生抑制および低剛性化を図ることができる。
【0038】
第一絶縁層2aの材料としては、所望の絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばポリイミド(PI)等を挙げることができる。また、第一絶縁層2aの材料は、感光性材料であっても良く、非感光性材料であっても良い。
【0039】
また、図5に示すように、第一絶縁層2aの厚さをTとし、ライト側凹部21xの深さをDとする。ここで、第一絶縁層2aの厚さTに対するライト側凹部21xの深さDの割合(D/T)は、例えば5%以上であり、10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。D/Tの値が小さすぎると、第二絶縁層2bの厚さを小さくする効果が現れず、反りの発生抑制および低剛性化を充分に図ることができないからである。一方、D/Tは、例えば60%以下であり、50%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましい。D/Tの値が大きすぎると、第一絶縁層2aにピンホールが生じやすくなり、ライト側第1配線層3aが露出し劣化しやすくなるためである。
【0040】
ライト側凹部21xの深さDは、例えば0.5μm以上であり、1μm〜6μmの範囲内であることが好ましく、2μm〜5μmの範囲内であることがより好ましい。また、ピンホールの発生を防止するという観点からは、第一絶縁層2aの厚さTと、ライト側凹部21xの深さDとの差(T−D)が、4μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましい。一方、第一絶縁層2aの厚さTは、特に限定されるものではないが、例えば4μm〜25μmの範囲内、中でも5μm〜20μmの範囲内、特に9μm〜16μmの範囲内であることが好ましい。第一絶縁層2aの厚さが大きすぎると、反りが発生しやすくなり、第一絶縁層2aの厚さが小さすぎると、充分な深さを有するライト側凹部21xを形成しにくくなるからである。なお、ライト側凹部21xの幅は、目的とするライト側第一配線層3aの幅に応じて、適宜選択することが好ましい。
【0041】
(2)ライト側第一配線層
次に、本発明におけるライト側第一配線層3aについて説明する(図2参照)。ライト側第一配線層3aは、通常、ライト側凹部21xの底面に形成される層である。ライト側第一配線層3aの材料としては、所望の導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば銅(Cu)等を挙げることができる。
【0042】
また、本発明においては、図6(a)に示すように、ライト側第一配線層3aが、スパッタリング法により形成されたスパッタリング層31aであることが好ましい。緻密なライト側第一配線層を得ることができるからである。また、通常、スパッタリング層31aは薄膜状であることから、第二絶縁層2bの厚さを小さくしやすいという利点がある。また、本発明においては、図6(b)に示すように、ライト側第一配線層3aが、スパッタリング法により形成されたスパッタリング層31aと、スパッタリング層31aの表面上に、めっき法により形成されためっき層32aとを有するものであっても良い。めっき層32aをさらに設けることで、ライト側第一配線層3aの厚さの調整が容易になるからである。
【0043】
本発明におけるライト側第一配線層3aの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば0.5μm以上であることが好ましく、1μm〜6μmの範囲内であることが好ましい。また、ライト側第一配線層3aの幅としては、例えば10μm〜300μmの範囲内であることが好ましい。ライト側第一配線層3aの幅が小さすぎると、充分な低インピーダンス化を図ることができない可能性があり、ライト側第一配線層3aの幅が大きすぎると、サスペンション用基板の充分な高密度化を図ることができない可能性があるからである。
【0044】
また、本発明において、ライト側第一配線層3aの頂部の位置と、第一絶縁層2aの頂部の位置との位置関係は特に限定されるものではない。両層の頂部の位置関係としては、例えば図7(a)に示すように、ライト側第一配線層3aの頂部の位置が、第一絶縁層2aの頂部の位置と同一である場合を挙げることができる。
【0045】
さらに、本発明においては、図7(b)に示すように、ライト側第一配線層3aの頂部の位置が、第一絶縁層2aの頂部の位置よりも低いことが好ましい。図7(a)の場合に比べて、第二絶縁層2bの厚さをさらに小さくすることができるからである。これにより、反りの発生抑制および低剛性化を充分に図ることができる。また、この場合、第一絶縁層2aの頂部の位置と、ライト側第一配線層3aの頂部の位置との差(H1)は、特に限定されるものではないが、例えば0.1μm以上であり、0.5μm〜5μmの範囲内であることが好ましい。
【0046】
なお、本発明においては、図7(c)に示すように、ライト側第一配線層3aの頂部の位置が、第一絶縁層2aの頂部の位置よりも高くても良い。ライト側凹部21xを有しない場合と比較して、第二絶縁層2bの厚さを小さくすることができるからである。また、この場合、ライト側第一配線層3aの頂部の位置と、第一絶縁層2aの頂部の位置との差(H2)は、特に限定されるものではないが、例えば3μm以下であり、0.1μm〜2μmの範囲内であることが好ましい。
【0047】
(3)第二絶縁層
次に、本発明における第二絶縁層2bについて説明する(図2参照)。第二絶縁層2bは、ライト側第一配線層3aを覆う層である。第二絶縁層2bの材料および厚さについては、上述した第一絶縁層2aと同様である。また、ライト側第一配線層3aの頂部からライト側第二配線層3bの底部までに位置する第二絶縁層2bの配線間厚さ(例えば図3における配線間厚さT1)は、例えば4μm以上であり、5μm〜25μmの範囲内であることが好ましく、9μm〜16μmの範囲内であることがより好ましい。
【0048】
(4)ライト側第二配線層
次に、本発明におけるライト側第二配線層3bについて説明する(図2参照)。ライト側第二配線層3bは、通常、第二絶縁層2bの表面上に形成される層である。また、ライト側第二配線層3bおよびライト側第一配線層3aは、厚さ方向において、少なくとも一部で重複しており、完全に重複していることが好ましい。インピーダンスの制御が容易だからである。また、ライト側第二配線層3bの材料、厚さおよび幅については、上述したライト側第一配線層3aと同様である。また、ライト側第二配線層3bは、上述したスパッタリング層であっても良く、スパッタリング層と、上記スパッタリング層の表面上に形成されためっき層とを有するものであっても良い。また、ライト側第二配線層3bは、その表面にニッケル(Ni)、金(Au)による配線めっき層を有していても良い。
【0049】
(5)カバー層
次に、本発明におけるカバー層5について説明する(図3参照)。カバー層5は、通常、ライト側第二配線層3bを覆う層である。カバー層5を設けることにより、ライト側第二配線層3bの劣化を防止することができる。カバー層5の材料としては、例えばポリイミド(PI)等を挙げることができる。また、カバー層5の材料は、感光性材料であっても良く、非感光性材料であっても良い。なお、カバー層5の材料は、上述した第一絶縁層2aおよび第二絶縁層2bと同じであっても良く、異なっていても良い。カバー層5の厚さは、例えば3μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。また、カバー層5は、反りの発生や剛性の増加を抑制するために、より少ない領域で形成されていることが好ましい。
【0050】
(6)金属基板
次に、本発明における金属基板1について説明する(図2参照)。金属基板1は、ライト側凹部21xおよびリード側凹部21yが形成されている表面とは反対側の第一絶縁層2aの表面に、形成されるものである。金属基板1の材料としては、所望の導電性およびばね性を有することが好ましく、例えばステンレススティール等を挙げることができる。金属基板1の厚さは、例えば10μm〜30μmの範囲内、中でも15μm〜25μmの範囲内であることが好ましい。また、本発明においては、図2に示すように、金属基板1が、ライト側第一配線層3aと厚さ方向において重複しないように形成されていることが好ましい。金属基板1が、ライト側第一配線層3aの電気特性に悪影響を与えることを抑制できるからである。ライト側第一配線層3aの端部と、金属基板1の端部とは、厚さ方向と直交する断面方向において、例えば10μm以上離れていることが好ましい。
【0051】
2.リード側配線構造
次に、本発明におけるリード側配線構造について説明する。本発明におけるリード側配線構造は、上記の図2に示すように、リード側凹部21yを有する第一絶縁層2a、リード側第一配線層4a、第二絶縁層2b、リード側第二配線層4bをこの順に積層した構造を有する。なお、各層の好ましい材料や範囲等については、上記「1.ライト側配線構造」に記載した内容と同様である。また、リード側配線構造を構成する各層の具体的な構成は、ライト側配線構造を構成する各層の構成と、互いに同じであっても良く、異なっていても良い。
【0052】
また、本発明においては、ライト側第一配線層およびライト側第二配線層の幅が、リード側第一配線層およびリード側第二配線層の幅よりも大きいことが好ましい。ライト側配線およびリード側配線において、所望の差動インピーダンスを得ることができるからである。所望の差動インピーダンスは、磁気ヘッド、プレアンプ等とのインピーダンスマッチングの観点から決定される。
【0053】
ここで、ライト側配線の差動インピーダンスは、例えば10Ω〜60Ωの範囲内にあることが好ましく、10Ω〜25Ωの範囲内にあることがより好ましい。また、このような差動インピーダンスを得るという観点から、ライト側第一配線層およびライト側第二配線層の幅は、それぞれ、20μm〜300μmの範囲内であることが好ましく、35μm〜275μmの範囲内であることがより好ましく、65μm〜250μmの範囲内であることが特に好ましい。また、ライト側第一配線層およびライト側第二配線層の幅は、同じであることが好ましい。
【0054】
一方、リード側配線の差動インピーダンスは、例えば40Ω〜100Ωの範囲内にあることが好ましく、50Ω〜90Ωの範囲内にあることがより好ましい。また、このような差動インピーダンスを得るという観点からは、リード側第一配線層およびリード側第二配線層の幅は、それぞれ、10μm〜50μmの範囲内であることが好ましく、12.5μm〜45μmの範囲内であることがより好ましく、15μm〜40μmの範囲内であることが特に好ましい。また、リード側第一配線層およびリード側第二配線層の幅は、同じであることが好ましい。
【0055】
3.サスペンション用基板
本発明のサスペンション用基板は、上述したライト側配線構造およびリード側配線構造を有するものであれば特に限定されるものではない。中でも、本発明においては、ライト側配線構造およびリード側配線構造が、ジンバル部に近い領域で形成されていることが好ましい。磁気ヘッドスライダが搭載される位置の近傍では、反りの発生抑制および低剛性化の効果が顕著に現れるからである。ここで、図1に示すように、サスペンション用基板20の長手方向の長さをLとした場合、ライト側配線構造およびリード側配線構造は、ジンバル部11側の先端から0.5Lまでの領域において形成されていることが好ましく、ジンバル部11側の先端から0.3Lまでの領域において形成されていることが好ましい。
【0056】
また、本発明のサスペンション用基板は、ライト側配線構造およびリード側配線構造がクロストークの影響がない間隔を設けて形成された配線領域を有することが好ましい。具体的には、図8に示すように、ライト側配線構造Xにおけるライト側第一配線層3aおよびライト側第二配線層3bの端部と、リード側配線構造Yにおけるリード側第一配線層4aおよびリード側第二配線層4bの端部との距離(厚さ方向に直交する断面方向における距離)をL1とすると、本発明のサスペンション用基板は、L1が200μm以上である配線領域を有することが好ましく、750μm以上である配線領域を有することがより好ましい。なお、ライト側第一配線層3aおよびライト側第二配線層3bの幅が異なる場合、並びに、リード側第一配線層4aおよびリード側第二配線層4bの幅が異なる場合、L1には、最も短い距離を採用するものとする。また、本発明のサスペンション用基板の製造方法の一例については、後述する「E.サスペンション用基板の製造方法」で説明する。
【0057】
B.サスペンション
次に、本発明のサスペンションについて説明する。本発明のサスペンションは、上述したサスペンション用基板を含むことを特徴とするものである。
【0058】
図9は、本発明のサスペンションの一例を示す概略平面図である。図9に示されるサスペンション70は、上述したサスペンション用基板20と、ジンバル部11が形成されている表面とは反対側のサスペンション用基板20の表面に備え付けられたロードビーム50とを有するものである。
【0059】
本発明によれば、上述したサスペンション用基板を用いることで、電気特性および機械特性に優れたサスペンションとすることができる。
【0060】
本発明のサスペンションは、少なくともサスペンション用基板を有し、通常は、さらにロードビームを有する。サスペンション用基板については、上記「A.サスペンション用基板」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、ロードビームは、一般的なサスペンションに用いられるロードビームと同様のものを用いることができる。
【0061】
C.ヘッド付サスペンション
次に、本発明のヘッド付サスペンションについて説明する。本発明のヘッド付サスペンションは、上述したサスペンションと、上記サスペンションに実装された磁気ヘッドスライダとを有するものである。
【0062】
図10は、本発明のヘッド付サスペンションの一例を示す概略平面図である。図10に示されるヘッド付サスペンション70は、上述したサスペンション60と、サスペンション60のジンバル部11に実装された磁気ヘッドスライダ61とを有するものである。
【0063】
本発明によれば、上述したサスペンションを用いることで、電気特性および機械特性に優れたヘッド付サスペンションとすることができる。
【0064】
本発明のヘッド付サスペンションは、少なくともサスペンションおよび磁気ヘッドスライダを有するものである。サスペンションについては、上記「B.サスペンション」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、磁気ヘッドスライダは、一般的なヘッド付サスペンションに用いられる磁気ヘッドスライダと同様のものを用いることができる。
【0065】
D.ハードディスクドライブ
次に、本発明のハードディスクドライブについて説明する。本発明のハードディスクドライブは、上述したヘッド付サスペンションを含むことを特徴とするものである。
【0066】
図11は、本発明のハードディスクドライブの一例を示す概略平面図である。図11に示されるハードディスクドライブ80は、上述したヘッド付サスペンション70と、ヘッド付サスペンション70がデータの書き込みおよび読み込みを行うディスク71と、ディスク71を回転させるスピンドルモータ72と、ヘッド付サスペンション70に接続されたアーム73およびボイスコイルモータ74と、上記の部材を密閉するケース75とを有するものである。
【0067】
本発明によれば、上述したヘッド付サスペンションを用いることで、高機能なハードディスクドライブとすることができる。
【0068】
本発明のハードディスクドライブは、少なくともヘッド付サスペンションを有し、通常は、さらにディスク、スピンドルモータ、アームおよびボイスコイルモータを有する。ヘッド付サスペンションについては、上記「C.ヘッド付サスペンション」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、その他の部材についても、一般的なハードディスクドライブに用いられる部材と同様のものを用いることができる。
【0069】
E.サスペンション用基板の製造方法
次に、本発明のサスペンション用基板の製造方法について説明する。本発明のサスペンション用基板の製造方法は、第一絶縁層に、ライト側凹部およびリード側凹部を形成する凹部形成工程と、上記ライト側凹部および上記リード側凹部に、それぞれ、ライト側第一配線層およびリード側第一配線層を形成する第一配線層形成工程と、上記ライト側第一配線層および上記リード側第一配線層を覆う第二絶縁層を形成する第二絶縁層形成工程と、上記第二絶縁層上であり、かつ、上記ライト側第一配線層に厚さ方向において重複するライト側第二配線層、および、上記第二絶縁層上であり、かつ、上記リード側第一配線層に厚さ方向において重複するリード側第二配線層を形成する第二配線層形成工程とを有することを特徴とするものである。
【0070】
図12および図13は、本発明のサスペンション用基板の製造方法の一例を説明する概略断面図である。このサスペンション用基板の製造方法においては、まず、ステンレススティールからなる金属基板1Aを用意する(図12(a))。次に、金属基板1Aの表面上に、ポリイミドを塗布することによって第一絶縁層2Aを形成する(図12(b))。次に、第一絶縁層2Aの表面上に、所定のレジストパターン51を形成する(図12(c))。次に、レジストパターン51から露出する第一絶縁層2Aをドライエッチングし、ライト側凹部21xおよびリード側凹部21yを形成する(図12(d))。
【0071】
その後、レジストパターン51を剥離する前に、レジストパターン51側からCrスパッタリングを行い、拡散防止層(図示せず)を形成する。さらに、その拡散防止層の表面上に、Cuスパッタリングによりライト側第一配線層3a(スパッタリング層31a)およびリード側第一配線層4a(スパッタリング層41a)を形成し(図12(e))、レジストパターン51を剥離する(図12(f))。次に、ポリイミドを塗布することにより、ライト側第一配線層3aおよびリード側第一配線層4aを覆う第二絶縁層2bを形成する(図12(g))。
【0072】
その後、第二絶縁層2bの表面上に、Crスパッタリングにより拡散防止層(図示せず)を形成する。さらに、その拡散防止層の表面上に、Cuスパッタリングにより第二配線層を形成するための第二配線層形成用膜6を形成する(図12(h))。次に、第二配線層形成用膜6の表面上に、所定のレジストパターン52を形成する(図12(i))。次に、レジストパターン52から露出する第二配線層形成用膜6の表面上に、電解Cuめっきを行うことにより、めっき層32b、42bを形成し(図12(j))、レジストパターン52を剥離する(図12(k))。
【0073】
その後、不要な第二配線層形成用膜6および拡散防止層(図示せず)をウェットエッチングより除去することで、スパッタリング層31bおよびめっき層32bを有するライト側第二配線層3bと、スパッタリング層41bおよびめっき層42bを有するリード側第二配線層4bとを形成する(図13(a))。次に、ポリイミドを塗布することにより、ライト側第二配線層3bおよびリード側第二配線層4bを覆うカバー層5を形成する(図13(b))。次に、第一絶縁層2Aを加工するためのレジストパターン53を形成し(図13(c))、レジストパターン53から露出する第一絶縁層2Aを除去し、第一絶縁層2aを形成し(図13(d))、レジストパターン53を剥離する(図13(e))。次に、金属基板1Aを加工するためのレジストパターン54を形成し(図13(f))、レジストパターン54から露出する金属基板1Aを除去し、金属基板1を形成し(図13(g))、最後にレジストパターン54を剥離する(図13(h))。これにより、サスペンション用基板を得ることができる。
【0074】
このように、本発明によれば、第一絶縁層にライト側凹部およびリード側凹部を形成し、これらの凹部に第一配線層を形成することで、第二絶縁層の配線間厚さを所定の大きさに保ちつつ、第二絶縁層の厚さを小さくしたサスペンション用基板を得ることができる。なお、本発明により得られるサスペンション用基板については、上記「A.サスペンション用基板」に記載した内容と同様である。
以下、本発明のサスペンション用基板の製造方法について、工程ごとに説明する。
【0075】
1.凹部形成工程
本発明における凹部形成工程は、第一絶縁層に、ライト側凹部およびリード側凹部を形成する工程である。ライト側凹部およびリード側凹部の形成方法としては、例えば、レジストパターンから露出する第一絶縁層をエッチングする方法を挙げることができる。第一絶縁層をエッチングする方法は、ドライエッチングであっても良く、ウェットエッチングであっても良い。また、所望のレジストパターンは、例えば、ドライフィルムレジスト(DFR)を用いることで形成することができる。
【0076】
2.第一配線層形成工程
次に、本発明における第一配線層形成工程について説明する。本工程は、ライト側凹部およびリード側凹部に、それぞれ、ライト側第一配線層およびリード側第一配線層を形成する工程である。以下、第一配線層の形成方法について、第一実施態様〜第三実施態様に分けて例示する。
【0077】
(1)第一実施態様
第一配線層の形成方法の第一実施態様は、凹部形成工程が、第一絶縁層の表面上に、ライト側凹部およびリード側凹部を形成する部分が露出するレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、レジストパターンから露出する第一絶縁層をエッチングし、ライト側凹部およびリード側凹部を形成するエッチング工程とを有し、第一配線層形成工程が、レジストパターンを剥離する前に、スパッタリング法によりライト側第一配線層およびリード側第一配線層を形成するスパッタリング工程と、スパッタリング工程後に、レジストパターンを剥離する剥離工程とを有するものである。
【0078】
第一実施態様の具体例としては、上記の図12(a)〜(f)で説明した方法を挙げることができる。第一実施態様によれば、図12(e)、(f)に示すように、ライト側凹部21xおよびリード側凹部21yを形成するために使用したレジストパターン51を残留させた状態で、Cuスパッタリングを行う。その後、レジストパターン51を剥離することで、ライト側第一配線層4aおよびリード側第一配線層4bを形成することができる。このように、第一実施態様によれば、第一配線層のパターニングが容易であるという利点を有する。
【0079】
(2)第二実施態様
第一配線層の形成方法の第二実施態様は、凹部形成工程が、第一絶縁層の表面上に、ライト側凹部およびリード側凹部を形成する部分が露出する第一レジストパターンを形成する第一レジストパターン形成工程と、第一レジストパターンから露出する第一絶縁層をエッチングし、ライト側凹部およびリード側凹部を形成するエッチング工程と、エッチング工程後に、第一レジストパターンを剥離する第一レジストパターン剥離工程とを有し、第一配線層形成工程が、ライト側凹部およびリード側凹部を形成した第一絶縁層の表面上に、スパッタリング法により第一配線層形成用膜を形成するスパッタリング工程と、第一配線層形成用膜の表面上に、ライト側第一配線層およびリード側第一配線層を形成する部分を被覆する第二レジストパターンを形成する第二レジストパターン形成工程と、第二レジストパターンから露出する第一配線層形成用膜を除去し、ライト側第一配線層およびリード側第一配線層を形成する除去工程と、除去工程の後に、第二レジストパターンを剥離する第二レジストパターン剥離工程とを有するものである。
【0080】
図14は、第一配線層の形成方法の第二実施態様の一例を示す概略断面図である。図14に示される第一配線層の形成方法においては、上記の図12(a)〜(c)と同様に、第一絶縁層2Aの表面上に、所定のレジストパターン(第一レジストパターン)を形成する。次に、第一レジストパターン51から露出する露出する第一絶縁層2Aをウェットエッチングし、ライト側凹部21xおよびリード側凹部21yを形成し(図14(a))、レジストパターン51を剥離する(図14(b))。
【0081】
その後、ライト側凹部21xおよびリード側凹部21yを形成した第一絶縁層2Aの表面上に、Crスパッタリングにより、拡散防止層(図示せず)を形成する。さらに、その拡散防止層の表面上に、Cuスパッタリングにより第一配線層を形成するための第一配線層形成用膜7を形成する(図14(c))。次に、第一配線層形成用膜7の表面上に、所定の第二レジストパターン52を形成する(図14(d))。なお、第二レジストパターン52は、ライト側第一配線層およびリード側第一配線層を形成する部分を被覆するものである。次に、レジストパターン52から露出する第一配線層形成用膜7および拡散防止層(図示せず)をウェットエッチングにより除去し(図14(e))、最後にレジストパターン52を剥離する(図14(f))。これにより、スパッタリング層31aからなるライト側第一配線層3aと、スパッタリング層41aからなるリード側第一配線層4aとが形成される。
【0082】
第二実施態様によれば、所定の第二レジストパターンを形成することにより、第一配線層がエッチングされることを防止でき、劣化の少ない第一配線層を得ることができるという利点を有する。
【0083】
(3)第三実施態様
第一配線層の形成方法の第三実施態様は、凹部形成工程が、第一絶縁層の表面上に、ライト側凹部およびリード側凹部を形成する部分が露出する第一レジストパターンを形成する第一レジストパターン形成工程と、第一レジストパターンから露出する第一絶縁層をエッチングし、ライト側凹部およびリード側凹部を形成するエッチング工程と、エッチング工程後に、第一レジストパターンを剥離する第一レジストパターン剥離工程とを有し、第一配線層形成工程が、ライト側凹部およびリード側凹部を形成した第一絶縁層の表面上に、スパッタリング法により第一配線層形成用膜を形成するスパッタリング工程と、第一配線層形成用膜の表面上に、ライト側第一配線層およびリード側第一配線層を形成する部分が露出する第二レジストパターンを形成する第二レジストパターン形成工程と、第二レジストパターンから露出する第一配線層形成用膜の表面上に、めっき法によりライト側第一配線層およびリード側第一配線層を構成するめっき層を形成するめっき工程と、めっき工程後に、第二レジストパターンを剥離する第二レジストパターン剥離工程と、めっき層が形成されていない部分の第一配線層形成用膜を除去する除去工程とを有するものである。
【0084】
図15は、第一配線層の形成方法の第三実施態様の一例を示す概略断面図である。図15に示される第一配線層の形成方法においては、上記の図12(a)〜(c)と同様に、第一絶縁層2Aの表面上に、所定のレジストパターン(第一レジストパターン)を形成する。次に、第一レジストパターン51から露出する露出する第一絶縁層2Aをウェットエッチングし、ライト側凹部21xおよびリード側凹部21yを形成し(図15(a))、レジストパターン51を剥離する(図15(b))。
【0085】
その後、ライト側凹部21xおよびリード側凹部21yを形成した第一絶縁層2Aの表面上に、Crスパッタリングにより拡散防止層(図示せず)を形成する。さらに、その拡散防止層の表面上に、Cuスパッタリングにより第一配線層を形成するための第一配線層形成用膜7を形成する(図15(c))。次に、第一配線層形成用膜7の表面上に、所定の第二レジストパターン52を形成する(図15(d))。なお、第二レジストパターン52は、ライト側第一配線層およびリード側第一配線層を形成する部分が露出するものである。次に、レジストパターン52から露出する第一配線層形成用膜7の表面上に、電解Cuめっきを行うことにより、めっき層32a、42aを形成し(図15(e))、第二レジストパターン52を剥離する(図15(f))。最後に、不要な第一配線層形成用膜7および拡散防止層(図示せず)をウェットエッチングより除去する(図15(g))。なお、この場合、めっき層32a、42aの厚さは、上記のウェットエッチングにより除去されない程度の厚さであることが好ましい。これにより、スパッタリング層31aおよびめっき層32aを有するライト側第一配線層3aと、スパッタリング層41aおよびめっき層42aを有するリード側第一配線層4aとが形成される。
【0086】
第三実施態様によれば、スパッタリング層にさらにめっき層を形成することで、第一配線層3aの厚さの調整が容易になるという利点を有する。
【0087】
3.その他の工程
本発明における第二絶縁層形成工程および第二配線層形成工程については、一般的なサスペンション用基板の製造方法における工程と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、本発明においては、上記ライト側第二配線層および上記リード側第二配線層を被覆するカバー層を形成するカバー層形成工程を有していても良い。
【0088】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と、実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0089】
以下、実施例を用いて、本発明をさらに具体的に説明する。
【0090】
[実施例1]
まず、図12(a)に示す金属基板1A(SUS304、厚さ20μm)を用意した。次に、金属基板1Aの表面上に、ポリイミドを塗布し、第一絶縁層2A(厚さ10μm)を形成した(図12(b))。次に、第一絶縁層2Aの表面上に、DFRを配置し、露光・現像することで、レジストパターン51を形成した(図12(c))。次に、レジストパターン51から露出する第一絶縁層2Aを反応性ガスを用いたプラズマによりドライエッチングし、ライト側凹部21x(深さ1μm)およびリード側凹部21y(深さ1μm)を形成した(図12(d))。次に、レジストパターン51を剥離する前に、レジストパターン51側からCrスパッタリングを行い、拡散防止層(図示せず、厚さ0.06μm)を形成し、その拡散防止層の表面上に、Cuスパッタリングによりライト側第一配線層3a(厚さ1μm)およびリード側第一配線層4a(厚さ1μm)を形成した(図12(e))。次に、剥離液を用いてレジストパターン51を剥離した(図12(f))。次に、ポリイミドを塗布することにより、ライト側第一配線層3aおよびリード側第一配線層4aを覆う第二絶縁層2b(厚さ15μm)を形成した(図12(g))。
【0091】
その後、第二絶縁層2bの表面上に、Crスパッタリングにより拡散防止層(図示せず、厚さ0.06μm)を形成した。さらに、その拡散防止層の表面上に、Cuスパッタリングにより第二配線層を形成するための第二配線層形成用膜6(厚さ0.3μm)を形成した(図12(h))。次に、第二配線層形成用膜6の表面上に、DFRを配置し、露光・現像することで、所定のレジストパターン52を形成した(図12(i))。次に、レジストパターン52から露出する第二配線層形成用膜6の表面上に、電解Cuめっきを行うことにより、めっき層32b、42b(厚さはそれぞれ5μm)を形成した(図12(j))。その後、剥離液によりレジストパターン52を剥離した(図12(k))。
【0092】
その後、不要な第二配線層形成用膜6および拡散防止層(図示せず)をウェットエッチングにより除去することで、スパッタリング層31bおよびめっき層32bを有するライト側第二配線層3bと、スパッタリング層41bおよびめっき層42bを有するリード側第二配線層4bとを形成した(図13(a))。次に、ポリイミドを塗布することにより、ライト側第二配線層3bおよびリード側第二配線層4bを覆うカバー層5を形成した(図13(b))。なお、ライト側第二配線層3bおよびリード側第二配線層4bの頂部から、カバー層5の頂部までの厚さは5μmであった。その後は、図13(c)〜(h)に示す方法と同様にして、サスペンション用基板を得た。
【0093】
[実施例2]
凹部を有する第一絶縁層を備えたサスペンション用基板について、配線幅および配線間厚さが、差動インピーダンスおよびSパラメータに与える影響をシミュレーションにより評価した。シミュレーションでは、図17に示すサスペンション用基板をモデルとした。ここで、第一配線層103および第二配線層105の幅は同一であり、W1で表す。また、第二配線層105の配線間厚さは、T1で表す。
【0094】
まず、配線幅および配線間厚さが、差動インピーダンスに与える影響を評価した。シミュレーション条件および結果を以下に示す。
<シミュレーション条件>
・金属基板101 :ステンレス、厚さ20μm
・第一絶縁層102:ポリイミド(Er=3)、厚さ10μm
・凹部107 :深さ1μm
・第一配線層103:純銅、厚さ1μm
・第二絶縁層104:ポリイミド(Er=3.3)
・第二配線層105:純銅、厚さ5μm
・カバー層106 :ポリイミド(Er=3.3)
・第二配線層105の頂部からカバー層106の頂部までの高さ:5μm
・周波数:2GHz
【0095】
【表1】
【0096】
表1に示されるように、配線幅W1が増加すると、差動インピーダンスが低下することが確認された。また、配線間厚さT1が増加すると、差動インピーダンスが増加することが確認された。
【0097】
次に、配線幅および配線間厚さが、Sパラメータに与える影響を評価した。なお、シミュレーション条件は、上記と同じである。
【0098】
【表2】
【0099】
表2に示されるように、配線幅W1によらず、Sパラメータはほぼ同一の値であった。一方、配線間厚さT1が低下すると、Sパラメータの値が悪化することが分かった。すなわち、配線間厚さT1が小さくなりすぎると、伝送信号強度の損失が大きくなることが確認された。
【0100】
以上の結果から、第一配線層および第二配線層が第二絶縁層を介して積層配置された配線の電気特性は、第一配線層および第二配線層の幅と、第二絶縁層の配線間厚さとによって制御されることが確認された。特に、本発明においては、第一絶縁層にライト側凹部およびリード側凹部を設けることで、第二絶縁層の配線間厚さT1を所定の大きさに保ちつつ、第二絶縁層の厚さを小さくすることができる。これにより、伝送信号強度の損失を抑制しつつ、反りの発生抑制および低剛性化を図ることができる。
【符号の説明】
【0101】
1…金属基板、1A…(加工前の)金属基板、2a…第一絶縁層、2b…第二絶縁層、2A…(加工前の)第一絶縁層、3a…ライト側第一配線層、3b…ライト側第二配線層、4a…リード側第一配線層、4b…リード側第二配線層、5…カバー層、6…第二配線層形成用膜、7…第一配線層形成用膜、11…ジンバル部、12…外部回路基板接続部、13…配線部、13x…ライト側配線、13y…リード側配線、20…サスペンション用基板、21x…ライト側凹部、21y…リード側凹部、31a、31b…スパッタリング層、32a、32b…めっき層、41a、41b…スパッタリング層、42a、42b…めっき層、50…ロードビーム、60…サスペンション、61…磁気ヘッドスライダ、70…ヘッド付サスペンション、71…ディスク、72…スピンドルモータ、73…アーム、74…ボイスコイルモータ、75…ケース、80…ハードディスクドライブ
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばハードディスクドライブ(HDD)に用いられるサスペンション用基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの普及等によりパーソナルコンピュータの情報処理量の増大や情報処理速度の高速化が要求されてきており、それに伴って、パーソナルコンピュータに組み込まれているハードディスクドライブ(HDD)も大容量化や情報伝達速度の高速化が必要となってきている。そのため、HDDに用いられるサスペンション用基板(フレキシャー)にも高機能化が求められている。
【0003】
サスペンション用基板は、通常、一対の配線からなるライト側配線と、同じく一対の配線からなるリード側配線を有する。このような一対の配線は、従来、絶縁層の同一表面上に形成されていた。これに対して、一対の配線における一方の配線層と他方の配線層とを、絶縁層を介して積層したサスペンション用基板が知られている(特許文献1、特許文献2)。また、低インピーダンスの差動配線を得るためには、配線の幅を広くすることが好ましく、図16に示すように、金属基板101、第一絶縁層102、第一配線層103、第二絶縁層104、第二配線層105およびカバー層106をこの順に積層する積層構造が好ましいことが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−022570号公報
【特許文献2】特開平10−003632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の積層構造は配線の低インピーダンス化に効果的であるが、最近では、さらに伝送信号強度の損失が少ないサスペンション用基板が求められている。本発明者等は、これまでの研究で、伝送信号強度の損失を少なくするためには、第一配線層103の頂部から第二配線層105の底部までに位置する第二絶縁層104の厚さ(配線間厚さ)を大きくすることが有効であるとの知見を得ている。しかしながら、第二絶縁層104の配線間厚さを大きくすると、反りが発生しやすくなるという問題、サスペンション用基板の剛性が高くなるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、伝送信号強度の損失を抑制しつつ、反りの発生抑制および低剛性化を図ることができるサスペンション用基板を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明においては、ライト側配線構造およびリード側配線構造を有し、上記ライト側配線構造は、ライト側凹部を有する第一絶縁層と、上記ライト側凹部に形成されたライト側第一配線層と、上記ライト側第一配線層を覆う第二絶縁層と、上記第二絶縁層上であり、かつ、上記ライト側第一配線層に厚さ方向において重複するライト側第二配線層とを有し、上記リード側配線構造は、リード側凹部を有する上記第一絶縁層と、上記リード側凹部に形成されたリード側第一配線層と、上記リード側第一配線層を覆う上記第二絶縁層と、上記第二絶縁層上であり、かつ、上記リード側第一配線層に厚さ方向において重複するリード側第二配線層とを有することを特徴とするサスペンション用基板を提供する。
【0008】
本発明によれば、第一絶縁層にライト側凹部およびリード側凹部を設けることで、第二絶縁層の配線間厚さを所定の大きさに保ちつつ、第二絶縁層の厚さを小さくすることができる。すなわち、第二絶縁層の配線間厚さを所定の大きさに保つことで、Sパラメータ(散乱パラメータ)の低下が抑制され、伝送信号強度の損失が抑制できる。一方、第二絶縁層の厚さを小さくすることで、反りの発生抑制および低剛性化を図ることができる。このように、本発明によれば、第一絶縁層にライト側凹部およびリード側凹部を設けることで、伝送信号強度の損失抑制と、反りの発生抑制および低剛性化とを両立させることができる。また、本発明によれば、配線幅を広く設計することができるので、低インピーダンス化を図ることができる。
【0009】
上記発明においては、上記ライト側第一配線層および上記リード側第一配線層の頂部の少なくとも一方の位置が、上記第一絶縁層の頂部の位置と同一であることが好ましい。第二絶縁層の厚さを小さくすることができるからである。
【0010】
上記発明においては、上記ライト側第一配線層および上記リード側第一配線層の頂部の少なくとも一方の位置が、上記第一絶縁層の頂部の位置よりも低いことが好ましい。第二絶縁層の厚さをさらに小さくすることができるからである。
【0011】
上記発明においては、上記ライト側第一配線層および上記リード側第一配線層の少なくとも一方が、スパッタリング法により形成されたスパッタリング層であることが好ましい。緻密な第一配線層を得ることができるからである。
【0012】
上記発明においては、上記ライト側第一配線層および上記リード側第一配線層の少なくとも一方が、スパッタリング法により形成されたスパッタリング層と、上記スパッタリング層の表面上に、めっき法により形成されためっき層とを有することが好ましい。めっき層をさらに設けることで、第一配線層の厚さの調整が容易になるからである。
【0013】
上記発明においては、上記ライト側第一配線層および上記ライト側第二配線層の幅が、上記リード側第一配線層および上記リード側第二配線層の幅よりも大きいことが好ましい。ライト側配線およびリード側配線において、所望の差動インピーダンスを得ることができるからである。
【0014】
また、本発明においては、上述したサスペンション用基板を含むことを特徴とするサスペンションを提供する。
【0015】
本発明によれば、上述したサスペンション用基板を用いることで、電気特性および機械特性に優れたサスペンションとすることができる。
【0016】
また、本発明においては、上述したサスペンションと、上記サスペンションに実装された磁気ヘッドスライダとを有することを特徴とするヘッド付サスペンションを提供する。
【0017】
本発明によれば、上述したサスペンションを用いることで、電気特性および機械特性に優れたヘッド付サスペンションとすることができる。
【0018】
また、本発明においては、上述したヘッド付サスペンションを含むことを特徴とするハードディスクドライブを提供する。
【0019】
本発明によれば、上述したヘッド付サスペンションを用いることで、高機能なハードディスクドライブとすることができる。
【0020】
また、本発明においては、第一絶縁層に、ライト側凹部およびリード側凹部を形成する凹部形成工程と、上記ライト側凹部および上記リード側凹部に、それぞれ、ライト側第一配線層およびリード側第一配線層を形成する第一配線層形成工程と、上記ライト側第一配線層および上記リード側第一配線層を覆う第二絶縁層を形成する第二絶縁層形成工程と、上記第二絶縁層上であり、かつ、上記ライト側第一配線層に厚さ方向において重複するライト側第二配線層、および、上記第二絶縁層上であり、かつ、上記リード側第一配線層に厚さ方向において重複するリード側第二配線層を形成する第二配線層形成工程とを有することを特徴とするサスペンション用基板の製造方法を提供する。
【0021】
本発明によれば、第一絶縁層にライト側凹部およびリード側凹部を形成し、これらの凹部に第一配線層を形成することで、第二絶縁層の配線間厚さを所定の大きさに保ちつつ、第二絶縁層の厚さを小さくしたサスペンション用基板を得ることができる。
【0022】
上記発明において、上記凹部形成工程は、上記第一絶縁層の表面上に、上記ライト側凹部および上記リード側凹部を形成する部分が露出するレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、上記レジストパターンから露出する上記第一絶縁層をエッチングし、上記ライト側凹部および上記リード側凹部を形成するエッチング工程とを有し、上記第一配線層形成工程は、上記レジストパターンを剥離する前に、スパッタリング法により上記ライト側第一配線層および上記リード側第一配線層を形成するスパッタリング工程と、上記スパッタリング工程後に、上記レジストパターンを剥離する剥離工程とを有することが好ましい。第一配線層のパターニングが容易だからである。
【0023】
上記発明において、上記凹部形成工程は、上記第一絶縁層の表面上に、上記ライト側凹部および上記リード側凹部を形成する部分が露出する第一レジストパターンを形成する第一レジストパターン形成工程と、上記第一レジストパターンから露出する上記第一絶縁層をエッチングし、上記ライト側凹部および上記リード側凹部を形成するエッチング工程と、上記エッチング工程後に、上記第一レジストパターンを剥離する第一レジストパターン剥離工程とを有し、上記第一配線層形成工程は、上記ライト側凹部および上記リード側凹部を形成した上記第一絶縁層の表面上に、スパッタリング法により第一配線層形成用膜を形成するスパッタリング工程と、上記第一配線層形成用膜の表面上に、上記ライト側第一配線層および上記リード側第一配線層を形成する部分を被覆する第二レジストパターンを形成する第二レジストパターン形成工程と、上記第二レジストパターンから露出する上記第一配線層形成用膜を除去し、上記ライト側第一配線層および上記リード側第一配線層を形成する除去工程と、上記除去工程の後に、上記第二レジストパターンを剥離する第二レジストパターン剥離工程とを有することが好ましい。所定の第二レジストパターンを形成することにより、第一配線層がエッチングされることを防止でき、劣化の少ない第一配線層を得ることができるからである。
【0024】
上記発明において、上記凹部形成工程は、上記第一絶縁層の表面上に、上記ライト側凹部および上記リード側凹部を形成する部分が露出する第一レジストパターンを形成する第一レジストパターン形成工程と、上記第一レジストパターンから露出する上記第一絶縁層をエッチングし、上記ライト側凹部および上記リード側凹部を形成するエッチング工程と、上記エッチング工程後に、上記第一レジストパターンを剥離する第一レジストパターン剥離工程とを有し、上記第一配線層形成工程は、上記ライト側凹部および上記リード側凹部を形成した上記第一絶縁層の表面上に、スパッタリング法により第一配線層形成用膜を形成するスパッタリング工程と、上記第一配線層形成用膜の表面上に、上記ライト側第一配線層および上記リード側第一配線層を形成する部分が露出する第二レジストパターンを形成する第二レジストパターン形成工程と、上記第二レジストパターンから露出する上記第一配線層形成用膜の表面上に、めっき法により上記ライト側第一配線層および上記リード側第一配線層を構成するめっき層を形成するめっき工程と、上記めっき工程後に、上記第二レジストパターンを剥離する第二レジストパターン剥離工程と、上記めっき層が形成されていない部分の上記第一配線層形成用膜を除去する除去工程とを有することが好ましい。スパッタリング層にさらにめっき層を形成することで、第一配線層の厚さの調整が容易になるからである。
【発明の効果】
【0025】
本発明においては、伝送信号強度の損失を抑制しつつ、反りの発生抑制および低剛性化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明のサスペンション用基板の一例を示す概略平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】本発明のサスペンション用基板と、従来のサスペンション用基板とを比較する概略断面図である。
【図4】本発明のサスペンション用基板と、従来のサスペンション用基板とを比較する概略断面図である。
【図5】本発明における第一絶縁層を説明する概略断面図である。
【図6】本発明におけるライト側第一配線層を説明する概略断面図である。
【図7】ライト側第一配線層3aの頂部の位置と、第一絶縁層2aの頂部の位置との位置関係を説明する概略断面図である。
【図8】ライト側配線構造およびリード側配線構造の位置関係を説明する概略断面図である。
【図9】本発明のサスペンションの一例を示す概略平面図である。
【図10】本発明のヘッド付サスペンションの一例を示す概略平面図である。
【図11】本発明のハードディスクドライブの一例を示す概略平面図である。
【図12】本発明のサスペンション用基板の製造方法の一例を説明する概略断面図である。
【図13】本発明のサスペンション用基板の製造方法の一例を説明する概略断面図である。
【図14】本発明における第一配線層の形成方法を例示する概略断面図である。
【図15】本発明における第一配線層の形成方法を例示する概略断面図である。
【図16】従来のサスペンション用基板を説明する概略断面図である。
【図17】シミュレーションに用いたサスペンション用基板を説明する概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明のサスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンション、ハードディスクドライブおよびサスペンション用基板の製造方法について詳細に説明する。
【0028】
A.サスペンション用基板
まず、本発明のサスペンション用基板について説明する。本発明のサスペンション用基板は、ライト側配線構造およびリード側配線構造を有し、上記ライト側配線構造は、ライト側凹部を有する第一絶縁層と、上記ライト側凹部に形成されたライト側第一配線層と、上記ライト側第一配線層を覆う第二絶縁層と、上記第二絶縁層上であり、かつ、上記ライト側第一配線層に厚さ方向において重複するライト側第二配線層とを有し、上記リード側配線構造は、リード側凹部を有する上記第一絶縁層と、上記リード側凹部に形成されたリード側第一配線層と、上記リード側第一配線層を覆う上記第二絶縁層と、上記第二絶縁層上であり、かつ、上記リード側第一配線層に厚さ方向において重複するリード側第二配線層とを有することを特徴とするものである。
【0029】
図1は、本発明のサスペンション用基板の一例を示す概略平面図である。なお、便宜上、カバー層の記載は省略している。図1に示されるサスペンション用基板20は、一方の先端部分に形成されたジンバル部11と、他方の先端部分に形成され、外部回路基板(例えばメインフレキ基板)に接続するための外部回路基板接続部12と、ジンバル部11および外部回路基板接続部12を接続する配線部13(ライト側配線13xおよびリード側配線13y)とを有する。
【0030】
図2は、図1のA−A断面図である。図2に示されるサスペンション用基板20は、ライト側配線構造Xおよびリード側配線構造Yを有する。さらに、ライト側配線構造Xは、ライト側凹部21yを有する第一絶縁層2aと、ライト側凹部21yに形成されたライト側第一配線層3aと、ライト側第一配線層3aを覆う第二絶縁層2bと、第二絶縁層2b上であり、かつ、ライト側第一配線層3aに厚さ方向において重複するライト側第二配線層3bとを有する。なお、図2におけるライト側第一配線層3aは、スパッタリング法により形成されたスパッタリング層31aである。また、図2におけるライト側第二配線層3bは、スパッタリング層31bと、めっき法により形成されためっき層32bとを有するものである。
【0031】
一方、リード側配線構造13yは、リード側凹部21yを有する第一絶縁層2aと、リード側凹部21yに形成されたリード側第一配線層4aと、リード側第一配線層4aを覆う第二絶縁層2bと、第二絶縁層2b上であり、かつ、リード側第一配線層4aに厚さ方向において重複するリード側第二配線層4bとを有する。なお、図2におけるリード側第一配線層4aは、スパッタリング法により形成されたスパッタリング層41aである。また、図2におけるリード側第二配線層4bは、スパッタリング層41bと、めっき法により形成されためっき層42bとを有するものである。
【0032】
また、図2に示されるサスペンション用基板20は、ライト側凹部21xおよびリード側凹部21yが形成されている表面とは反対側の第一絶縁層2aの表面に、金属基板1を有する。また、本発明においては、ライト側第一配線層3aおよびリード側第一配線層4aを「第一配線層」と総称する場合があり、ライト側第二配線層3bおよびリード側第二配線層4bを「第二配線層」と総称する場合がある。
【0033】
本発明によれば、第一絶縁層にライト側凹部およびリード側凹部を設けることで、第二絶縁層の配線間厚さを所定の大きさに保ちつつ、第二絶縁層の厚さを小さくすることができる。すなわち、第二絶縁層の配線間厚さを所定の大きさに保つことで、Sパラメータ(散乱パラメータ)の低下が抑制され、伝送信号強度の損失が抑制できる。一方、第二絶縁層の厚さを小さくすることで、反りの発生抑制および低剛性化を図ることができる。このように、本発明によれば、第一絶縁層にライト側凹部およびリード側凹部を設けることで、伝送信号強度の損失抑制と、反りの発生抑制および低剛性化とを両立させることができる。また、本発明によれば、配線幅を広く設計することができるので、低インピーダンス化を図ることができる。
【0034】
さらに、本発明の効果について、図3および図4を用いて詳細に説明する。本発明のサスペンション用基板においては、図3(a)、図4(a)に示すように、第一絶縁層2aがライト側凹部21xおよびリード側凹部21yを有し、これらの凹部に、ライト側第一配線層3aおよびリード側第一配線層4aが形成されている。また、ライト側第二配線層3bおよびリード側第二配線層4bは、共にカバー層5で覆われている。一方、図3(b)、図4(b)に示すように、従来のサスペンション用基板においては、第一絶縁層2aがライト側凹部およびリード側凹部を有しない。
【0035】
図3(a)と図3(b)と比較すると、サスペンション用基板全体の厚さが同一であるため、反りの発生抑制および低剛性化の観点(機械特性の観点)では差異はないものの、図3(b)は、図3(a)に比べて第二絶縁層2bの配線間厚さT1が小さくなるため、伝送信号強度の損失の観点(電気特性の観点)では大幅に劣ってしまう。一方、図4(a)と図4(b)と比較すると、第二絶縁層2bの配線間厚さが同一であるため、電気特性の観点では差異はないものの、図4(b)は、図4(a)に比べてサスペンション用基板全体の厚さT2が大きくなり、機械特性の観点では劣ってしまう。これに対して、本発明においては、図3(a)、図4(a)に示すように、第二絶縁層の配線間厚さを所定の大きさに保ちつつ、第二絶縁層の厚さを小さくすることができるという利点を有する。
以下、本発明のサスペンション用基板について、さらに詳細に説明する。
【0036】
1.ライト側配線構造
まず、本発明におけるライト側配線構造について説明する。上記の図2に示すように、本発明におけるライト側配線構造Xは、ライト側凹部21xを有する第一絶縁層2a、ライト側第一配線層3a、第二絶縁層2b、ライト側第二配線層3bをこの順に積層した構造を有する。
【0037】
(1)第一絶縁層
本発明における第一絶縁層2aについて説明する(図2参照)。第一絶縁層2aは、ライト側凹部21xを有する層である。ライト側凹部21xは、例えば、第一絶縁層2aをエッチングすることにより形成することができる。また、ライト側凹部21xを設けることにより、第二絶縁層2bの配線間厚さを所定の大きさに保ちつつ、第二絶縁層2bの厚さを小さくすることができる。これにより、伝送信号強度の損失を抑制しつつ、反りの発生抑制および低剛性化を図ることができる。
【0038】
第一絶縁層2aの材料としては、所望の絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばポリイミド(PI)等を挙げることができる。また、第一絶縁層2aの材料は、感光性材料であっても良く、非感光性材料であっても良い。
【0039】
また、図5に示すように、第一絶縁層2aの厚さをTとし、ライト側凹部21xの深さをDとする。ここで、第一絶縁層2aの厚さTに対するライト側凹部21xの深さDの割合(D/T)は、例えば5%以上であり、10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。D/Tの値が小さすぎると、第二絶縁層2bの厚さを小さくする効果が現れず、反りの発生抑制および低剛性化を充分に図ることができないからである。一方、D/Tは、例えば60%以下であり、50%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましい。D/Tの値が大きすぎると、第一絶縁層2aにピンホールが生じやすくなり、ライト側第1配線層3aが露出し劣化しやすくなるためである。
【0040】
ライト側凹部21xの深さDは、例えば0.5μm以上であり、1μm〜6μmの範囲内であることが好ましく、2μm〜5μmの範囲内であることがより好ましい。また、ピンホールの発生を防止するという観点からは、第一絶縁層2aの厚さTと、ライト側凹部21xの深さDとの差(T−D)が、4μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましい。一方、第一絶縁層2aの厚さTは、特に限定されるものではないが、例えば4μm〜25μmの範囲内、中でも5μm〜20μmの範囲内、特に9μm〜16μmの範囲内であることが好ましい。第一絶縁層2aの厚さが大きすぎると、反りが発生しやすくなり、第一絶縁層2aの厚さが小さすぎると、充分な深さを有するライト側凹部21xを形成しにくくなるからである。なお、ライト側凹部21xの幅は、目的とするライト側第一配線層3aの幅に応じて、適宜選択することが好ましい。
【0041】
(2)ライト側第一配線層
次に、本発明におけるライト側第一配線層3aについて説明する(図2参照)。ライト側第一配線層3aは、通常、ライト側凹部21xの底面に形成される層である。ライト側第一配線層3aの材料としては、所望の導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば銅(Cu)等を挙げることができる。
【0042】
また、本発明においては、図6(a)に示すように、ライト側第一配線層3aが、スパッタリング法により形成されたスパッタリング層31aであることが好ましい。緻密なライト側第一配線層を得ることができるからである。また、通常、スパッタリング層31aは薄膜状であることから、第二絶縁層2bの厚さを小さくしやすいという利点がある。また、本発明においては、図6(b)に示すように、ライト側第一配線層3aが、スパッタリング法により形成されたスパッタリング層31aと、スパッタリング層31aの表面上に、めっき法により形成されためっき層32aとを有するものであっても良い。めっき層32aをさらに設けることで、ライト側第一配線層3aの厚さの調整が容易になるからである。
【0043】
本発明におけるライト側第一配線層3aの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば0.5μm以上であることが好ましく、1μm〜6μmの範囲内であることが好ましい。また、ライト側第一配線層3aの幅としては、例えば10μm〜300μmの範囲内であることが好ましい。ライト側第一配線層3aの幅が小さすぎると、充分な低インピーダンス化を図ることができない可能性があり、ライト側第一配線層3aの幅が大きすぎると、サスペンション用基板の充分な高密度化を図ることができない可能性があるからである。
【0044】
また、本発明において、ライト側第一配線層3aの頂部の位置と、第一絶縁層2aの頂部の位置との位置関係は特に限定されるものではない。両層の頂部の位置関係としては、例えば図7(a)に示すように、ライト側第一配線層3aの頂部の位置が、第一絶縁層2aの頂部の位置と同一である場合を挙げることができる。
【0045】
さらに、本発明においては、図7(b)に示すように、ライト側第一配線層3aの頂部の位置が、第一絶縁層2aの頂部の位置よりも低いことが好ましい。図7(a)の場合に比べて、第二絶縁層2bの厚さをさらに小さくすることができるからである。これにより、反りの発生抑制および低剛性化を充分に図ることができる。また、この場合、第一絶縁層2aの頂部の位置と、ライト側第一配線層3aの頂部の位置との差(H1)は、特に限定されるものではないが、例えば0.1μm以上であり、0.5μm〜5μmの範囲内であることが好ましい。
【0046】
なお、本発明においては、図7(c)に示すように、ライト側第一配線層3aの頂部の位置が、第一絶縁層2aの頂部の位置よりも高くても良い。ライト側凹部21xを有しない場合と比較して、第二絶縁層2bの厚さを小さくすることができるからである。また、この場合、ライト側第一配線層3aの頂部の位置と、第一絶縁層2aの頂部の位置との差(H2)は、特に限定されるものではないが、例えば3μm以下であり、0.1μm〜2μmの範囲内であることが好ましい。
【0047】
(3)第二絶縁層
次に、本発明における第二絶縁層2bについて説明する(図2参照)。第二絶縁層2bは、ライト側第一配線層3aを覆う層である。第二絶縁層2bの材料および厚さについては、上述した第一絶縁層2aと同様である。また、ライト側第一配線層3aの頂部からライト側第二配線層3bの底部までに位置する第二絶縁層2bの配線間厚さ(例えば図3における配線間厚さT1)は、例えば4μm以上であり、5μm〜25μmの範囲内であることが好ましく、9μm〜16μmの範囲内であることがより好ましい。
【0048】
(4)ライト側第二配線層
次に、本発明におけるライト側第二配線層3bについて説明する(図2参照)。ライト側第二配線層3bは、通常、第二絶縁層2bの表面上に形成される層である。また、ライト側第二配線層3bおよびライト側第一配線層3aは、厚さ方向において、少なくとも一部で重複しており、完全に重複していることが好ましい。インピーダンスの制御が容易だからである。また、ライト側第二配線層3bの材料、厚さおよび幅については、上述したライト側第一配線層3aと同様である。また、ライト側第二配線層3bは、上述したスパッタリング層であっても良く、スパッタリング層と、上記スパッタリング層の表面上に形成されためっき層とを有するものであっても良い。また、ライト側第二配線層3bは、その表面にニッケル(Ni)、金(Au)による配線めっき層を有していても良い。
【0049】
(5)カバー層
次に、本発明におけるカバー層5について説明する(図3参照)。カバー層5は、通常、ライト側第二配線層3bを覆う層である。カバー層5を設けることにより、ライト側第二配線層3bの劣化を防止することができる。カバー層5の材料としては、例えばポリイミド(PI)等を挙げることができる。また、カバー層5の材料は、感光性材料であっても良く、非感光性材料であっても良い。なお、カバー層5の材料は、上述した第一絶縁層2aおよび第二絶縁層2bと同じであっても良く、異なっていても良い。カバー層5の厚さは、例えば3μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。また、カバー層5は、反りの発生や剛性の増加を抑制するために、より少ない領域で形成されていることが好ましい。
【0050】
(6)金属基板
次に、本発明における金属基板1について説明する(図2参照)。金属基板1は、ライト側凹部21xおよびリード側凹部21yが形成されている表面とは反対側の第一絶縁層2aの表面に、形成されるものである。金属基板1の材料としては、所望の導電性およびばね性を有することが好ましく、例えばステンレススティール等を挙げることができる。金属基板1の厚さは、例えば10μm〜30μmの範囲内、中でも15μm〜25μmの範囲内であることが好ましい。また、本発明においては、図2に示すように、金属基板1が、ライト側第一配線層3aと厚さ方向において重複しないように形成されていることが好ましい。金属基板1が、ライト側第一配線層3aの電気特性に悪影響を与えることを抑制できるからである。ライト側第一配線層3aの端部と、金属基板1の端部とは、厚さ方向と直交する断面方向において、例えば10μm以上離れていることが好ましい。
【0051】
2.リード側配線構造
次に、本発明におけるリード側配線構造について説明する。本発明におけるリード側配線構造は、上記の図2に示すように、リード側凹部21yを有する第一絶縁層2a、リード側第一配線層4a、第二絶縁層2b、リード側第二配線層4bをこの順に積層した構造を有する。なお、各層の好ましい材料や範囲等については、上記「1.ライト側配線構造」に記載した内容と同様である。また、リード側配線構造を構成する各層の具体的な構成は、ライト側配線構造を構成する各層の構成と、互いに同じであっても良く、異なっていても良い。
【0052】
また、本発明においては、ライト側第一配線層およびライト側第二配線層の幅が、リード側第一配線層およびリード側第二配線層の幅よりも大きいことが好ましい。ライト側配線およびリード側配線において、所望の差動インピーダンスを得ることができるからである。所望の差動インピーダンスは、磁気ヘッド、プレアンプ等とのインピーダンスマッチングの観点から決定される。
【0053】
ここで、ライト側配線の差動インピーダンスは、例えば10Ω〜60Ωの範囲内にあることが好ましく、10Ω〜25Ωの範囲内にあることがより好ましい。また、このような差動インピーダンスを得るという観点から、ライト側第一配線層およびライト側第二配線層の幅は、それぞれ、20μm〜300μmの範囲内であることが好ましく、35μm〜275μmの範囲内であることがより好ましく、65μm〜250μmの範囲内であることが特に好ましい。また、ライト側第一配線層およびライト側第二配線層の幅は、同じであることが好ましい。
【0054】
一方、リード側配線の差動インピーダンスは、例えば40Ω〜100Ωの範囲内にあることが好ましく、50Ω〜90Ωの範囲内にあることがより好ましい。また、このような差動インピーダンスを得るという観点からは、リード側第一配線層およびリード側第二配線層の幅は、それぞれ、10μm〜50μmの範囲内であることが好ましく、12.5μm〜45μmの範囲内であることがより好ましく、15μm〜40μmの範囲内であることが特に好ましい。また、リード側第一配線層およびリード側第二配線層の幅は、同じであることが好ましい。
【0055】
3.サスペンション用基板
本発明のサスペンション用基板は、上述したライト側配線構造およびリード側配線構造を有するものであれば特に限定されるものではない。中でも、本発明においては、ライト側配線構造およびリード側配線構造が、ジンバル部に近い領域で形成されていることが好ましい。磁気ヘッドスライダが搭載される位置の近傍では、反りの発生抑制および低剛性化の効果が顕著に現れるからである。ここで、図1に示すように、サスペンション用基板20の長手方向の長さをLとした場合、ライト側配線構造およびリード側配線構造は、ジンバル部11側の先端から0.5Lまでの領域において形成されていることが好ましく、ジンバル部11側の先端から0.3Lまでの領域において形成されていることが好ましい。
【0056】
また、本発明のサスペンション用基板は、ライト側配線構造およびリード側配線構造がクロストークの影響がない間隔を設けて形成された配線領域を有することが好ましい。具体的には、図8に示すように、ライト側配線構造Xにおけるライト側第一配線層3aおよびライト側第二配線層3bの端部と、リード側配線構造Yにおけるリード側第一配線層4aおよびリード側第二配線層4bの端部との距離(厚さ方向に直交する断面方向における距離)をL1とすると、本発明のサスペンション用基板は、L1が200μm以上である配線領域を有することが好ましく、750μm以上である配線領域を有することがより好ましい。なお、ライト側第一配線層3aおよびライト側第二配線層3bの幅が異なる場合、並びに、リード側第一配線層4aおよびリード側第二配線層4bの幅が異なる場合、L1には、最も短い距離を採用するものとする。また、本発明のサスペンション用基板の製造方法の一例については、後述する「E.サスペンション用基板の製造方法」で説明する。
【0057】
B.サスペンション
次に、本発明のサスペンションについて説明する。本発明のサスペンションは、上述したサスペンション用基板を含むことを特徴とするものである。
【0058】
図9は、本発明のサスペンションの一例を示す概略平面図である。図9に示されるサスペンション70は、上述したサスペンション用基板20と、ジンバル部11が形成されている表面とは反対側のサスペンション用基板20の表面に備え付けられたロードビーム50とを有するものである。
【0059】
本発明によれば、上述したサスペンション用基板を用いることで、電気特性および機械特性に優れたサスペンションとすることができる。
【0060】
本発明のサスペンションは、少なくともサスペンション用基板を有し、通常は、さらにロードビームを有する。サスペンション用基板については、上記「A.サスペンション用基板」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、ロードビームは、一般的なサスペンションに用いられるロードビームと同様のものを用いることができる。
【0061】
C.ヘッド付サスペンション
次に、本発明のヘッド付サスペンションについて説明する。本発明のヘッド付サスペンションは、上述したサスペンションと、上記サスペンションに実装された磁気ヘッドスライダとを有するものである。
【0062】
図10は、本発明のヘッド付サスペンションの一例を示す概略平面図である。図10に示されるヘッド付サスペンション70は、上述したサスペンション60と、サスペンション60のジンバル部11に実装された磁気ヘッドスライダ61とを有するものである。
【0063】
本発明によれば、上述したサスペンションを用いることで、電気特性および機械特性に優れたヘッド付サスペンションとすることができる。
【0064】
本発明のヘッド付サスペンションは、少なくともサスペンションおよび磁気ヘッドスライダを有するものである。サスペンションについては、上記「B.サスペンション」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、磁気ヘッドスライダは、一般的なヘッド付サスペンションに用いられる磁気ヘッドスライダと同様のものを用いることができる。
【0065】
D.ハードディスクドライブ
次に、本発明のハードディスクドライブについて説明する。本発明のハードディスクドライブは、上述したヘッド付サスペンションを含むことを特徴とするものである。
【0066】
図11は、本発明のハードディスクドライブの一例を示す概略平面図である。図11に示されるハードディスクドライブ80は、上述したヘッド付サスペンション70と、ヘッド付サスペンション70がデータの書き込みおよび読み込みを行うディスク71と、ディスク71を回転させるスピンドルモータ72と、ヘッド付サスペンション70に接続されたアーム73およびボイスコイルモータ74と、上記の部材を密閉するケース75とを有するものである。
【0067】
本発明によれば、上述したヘッド付サスペンションを用いることで、高機能なハードディスクドライブとすることができる。
【0068】
本発明のハードディスクドライブは、少なくともヘッド付サスペンションを有し、通常は、さらにディスク、スピンドルモータ、アームおよびボイスコイルモータを有する。ヘッド付サスペンションについては、上記「C.ヘッド付サスペンション」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、その他の部材についても、一般的なハードディスクドライブに用いられる部材と同様のものを用いることができる。
【0069】
E.サスペンション用基板の製造方法
次に、本発明のサスペンション用基板の製造方法について説明する。本発明のサスペンション用基板の製造方法は、第一絶縁層に、ライト側凹部およびリード側凹部を形成する凹部形成工程と、上記ライト側凹部および上記リード側凹部に、それぞれ、ライト側第一配線層およびリード側第一配線層を形成する第一配線層形成工程と、上記ライト側第一配線層および上記リード側第一配線層を覆う第二絶縁層を形成する第二絶縁層形成工程と、上記第二絶縁層上であり、かつ、上記ライト側第一配線層に厚さ方向において重複するライト側第二配線層、および、上記第二絶縁層上であり、かつ、上記リード側第一配線層に厚さ方向において重複するリード側第二配線層を形成する第二配線層形成工程とを有することを特徴とするものである。
【0070】
図12および図13は、本発明のサスペンション用基板の製造方法の一例を説明する概略断面図である。このサスペンション用基板の製造方法においては、まず、ステンレススティールからなる金属基板1Aを用意する(図12(a))。次に、金属基板1Aの表面上に、ポリイミドを塗布することによって第一絶縁層2Aを形成する(図12(b))。次に、第一絶縁層2Aの表面上に、所定のレジストパターン51を形成する(図12(c))。次に、レジストパターン51から露出する第一絶縁層2Aをドライエッチングし、ライト側凹部21xおよびリード側凹部21yを形成する(図12(d))。
【0071】
その後、レジストパターン51を剥離する前に、レジストパターン51側からCrスパッタリングを行い、拡散防止層(図示せず)を形成する。さらに、その拡散防止層の表面上に、Cuスパッタリングによりライト側第一配線層3a(スパッタリング層31a)およびリード側第一配線層4a(スパッタリング層41a)を形成し(図12(e))、レジストパターン51を剥離する(図12(f))。次に、ポリイミドを塗布することにより、ライト側第一配線層3aおよびリード側第一配線層4aを覆う第二絶縁層2bを形成する(図12(g))。
【0072】
その後、第二絶縁層2bの表面上に、Crスパッタリングにより拡散防止層(図示せず)を形成する。さらに、その拡散防止層の表面上に、Cuスパッタリングにより第二配線層を形成するための第二配線層形成用膜6を形成する(図12(h))。次に、第二配線層形成用膜6の表面上に、所定のレジストパターン52を形成する(図12(i))。次に、レジストパターン52から露出する第二配線層形成用膜6の表面上に、電解Cuめっきを行うことにより、めっき層32b、42bを形成し(図12(j))、レジストパターン52を剥離する(図12(k))。
【0073】
その後、不要な第二配線層形成用膜6および拡散防止層(図示せず)をウェットエッチングより除去することで、スパッタリング層31bおよびめっき層32bを有するライト側第二配線層3bと、スパッタリング層41bおよびめっき層42bを有するリード側第二配線層4bとを形成する(図13(a))。次に、ポリイミドを塗布することにより、ライト側第二配線層3bおよびリード側第二配線層4bを覆うカバー層5を形成する(図13(b))。次に、第一絶縁層2Aを加工するためのレジストパターン53を形成し(図13(c))、レジストパターン53から露出する第一絶縁層2Aを除去し、第一絶縁層2aを形成し(図13(d))、レジストパターン53を剥離する(図13(e))。次に、金属基板1Aを加工するためのレジストパターン54を形成し(図13(f))、レジストパターン54から露出する金属基板1Aを除去し、金属基板1を形成し(図13(g))、最後にレジストパターン54を剥離する(図13(h))。これにより、サスペンション用基板を得ることができる。
【0074】
このように、本発明によれば、第一絶縁層にライト側凹部およびリード側凹部を形成し、これらの凹部に第一配線層を形成することで、第二絶縁層の配線間厚さを所定の大きさに保ちつつ、第二絶縁層の厚さを小さくしたサスペンション用基板を得ることができる。なお、本発明により得られるサスペンション用基板については、上記「A.サスペンション用基板」に記載した内容と同様である。
以下、本発明のサスペンション用基板の製造方法について、工程ごとに説明する。
【0075】
1.凹部形成工程
本発明における凹部形成工程は、第一絶縁層に、ライト側凹部およびリード側凹部を形成する工程である。ライト側凹部およびリード側凹部の形成方法としては、例えば、レジストパターンから露出する第一絶縁層をエッチングする方法を挙げることができる。第一絶縁層をエッチングする方法は、ドライエッチングであっても良く、ウェットエッチングであっても良い。また、所望のレジストパターンは、例えば、ドライフィルムレジスト(DFR)を用いることで形成することができる。
【0076】
2.第一配線層形成工程
次に、本発明における第一配線層形成工程について説明する。本工程は、ライト側凹部およびリード側凹部に、それぞれ、ライト側第一配線層およびリード側第一配線層を形成する工程である。以下、第一配線層の形成方法について、第一実施態様〜第三実施態様に分けて例示する。
【0077】
(1)第一実施態様
第一配線層の形成方法の第一実施態様は、凹部形成工程が、第一絶縁層の表面上に、ライト側凹部およびリード側凹部を形成する部分が露出するレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、レジストパターンから露出する第一絶縁層をエッチングし、ライト側凹部およびリード側凹部を形成するエッチング工程とを有し、第一配線層形成工程が、レジストパターンを剥離する前に、スパッタリング法によりライト側第一配線層およびリード側第一配線層を形成するスパッタリング工程と、スパッタリング工程後に、レジストパターンを剥離する剥離工程とを有するものである。
【0078】
第一実施態様の具体例としては、上記の図12(a)〜(f)で説明した方法を挙げることができる。第一実施態様によれば、図12(e)、(f)に示すように、ライト側凹部21xおよびリード側凹部21yを形成するために使用したレジストパターン51を残留させた状態で、Cuスパッタリングを行う。その後、レジストパターン51を剥離することで、ライト側第一配線層4aおよびリード側第一配線層4bを形成することができる。このように、第一実施態様によれば、第一配線層のパターニングが容易であるという利点を有する。
【0079】
(2)第二実施態様
第一配線層の形成方法の第二実施態様は、凹部形成工程が、第一絶縁層の表面上に、ライト側凹部およびリード側凹部を形成する部分が露出する第一レジストパターンを形成する第一レジストパターン形成工程と、第一レジストパターンから露出する第一絶縁層をエッチングし、ライト側凹部およびリード側凹部を形成するエッチング工程と、エッチング工程後に、第一レジストパターンを剥離する第一レジストパターン剥離工程とを有し、第一配線層形成工程が、ライト側凹部およびリード側凹部を形成した第一絶縁層の表面上に、スパッタリング法により第一配線層形成用膜を形成するスパッタリング工程と、第一配線層形成用膜の表面上に、ライト側第一配線層およびリード側第一配線層を形成する部分を被覆する第二レジストパターンを形成する第二レジストパターン形成工程と、第二レジストパターンから露出する第一配線層形成用膜を除去し、ライト側第一配線層およびリード側第一配線層を形成する除去工程と、除去工程の後に、第二レジストパターンを剥離する第二レジストパターン剥離工程とを有するものである。
【0080】
図14は、第一配線層の形成方法の第二実施態様の一例を示す概略断面図である。図14に示される第一配線層の形成方法においては、上記の図12(a)〜(c)と同様に、第一絶縁層2Aの表面上に、所定のレジストパターン(第一レジストパターン)を形成する。次に、第一レジストパターン51から露出する露出する第一絶縁層2Aをウェットエッチングし、ライト側凹部21xおよびリード側凹部21yを形成し(図14(a))、レジストパターン51を剥離する(図14(b))。
【0081】
その後、ライト側凹部21xおよびリード側凹部21yを形成した第一絶縁層2Aの表面上に、Crスパッタリングにより、拡散防止層(図示せず)を形成する。さらに、その拡散防止層の表面上に、Cuスパッタリングにより第一配線層を形成するための第一配線層形成用膜7を形成する(図14(c))。次に、第一配線層形成用膜7の表面上に、所定の第二レジストパターン52を形成する(図14(d))。なお、第二レジストパターン52は、ライト側第一配線層およびリード側第一配線層を形成する部分を被覆するものである。次に、レジストパターン52から露出する第一配線層形成用膜7および拡散防止層(図示せず)をウェットエッチングにより除去し(図14(e))、最後にレジストパターン52を剥離する(図14(f))。これにより、スパッタリング層31aからなるライト側第一配線層3aと、スパッタリング層41aからなるリード側第一配線層4aとが形成される。
【0082】
第二実施態様によれば、所定の第二レジストパターンを形成することにより、第一配線層がエッチングされることを防止でき、劣化の少ない第一配線層を得ることができるという利点を有する。
【0083】
(3)第三実施態様
第一配線層の形成方法の第三実施態様は、凹部形成工程が、第一絶縁層の表面上に、ライト側凹部およびリード側凹部を形成する部分が露出する第一レジストパターンを形成する第一レジストパターン形成工程と、第一レジストパターンから露出する第一絶縁層をエッチングし、ライト側凹部およびリード側凹部を形成するエッチング工程と、エッチング工程後に、第一レジストパターンを剥離する第一レジストパターン剥離工程とを有し、第一配線層形成工程が、ライト側凹部およびリード側凹部を形成した第一絶縁層の表面上に、スパッタリング法により第一配線層形成用膜を形成するスパッタリング工程と、第一配線層形成用膜の表面上に、ライト側第一配線層およびリード側第一配線層を形成する部分が露出する第二レジストパターンを形成する第二レジストパターン形成工程と、第二レジストパターンから露出する第一配線層形成用膜の表面上に、めっき法によりライト側第一配線層およびリード側第一配線層を構成するめっき層を形成するめっき工程と、めっき工程後に、第二レジストパターンを剥離する第二レジストパターン剥離工程と、めっき層が形成されていない部分の第一配線層形成用膜を除去する除去工程とを有するものである。
【0084】
図15は、第一配線層の形成方法の第三実施態様の一例を示す概略断面図である。図15に示される第一配線層の形成方法においては、上記の図12(a)〜(c)と同様に、第一絶縁層2Aの表面上に、所定のレジストパターン(第一レジストパターン)を形成する。次に、第一レジストパターン51から露出する露出する第一絶縁層2Aをウェットエッチングし、ライト側凹部21xおよびリード側凹部21yを形成し(図15(a))、レジストパターン51を剥離する(図15(b))。
【0085】
その後、ライト側凹部21xおよびリード側凹部21yを形成した第一絶縁層2Aの表面上に、Crスパッタリングにより拡散防止層(図示せず)を形成する。さらに、その拡散防止層の表面上に、Cuスパッタリングにより第一配線層を形成するための第一配線層形成用膜7を形成する(図15(c))。次に、第一配線層形成用膜7の表面上に、所定の第二レジストパターン52を形成する(図15(d))。なお、第二レジストパターン52は、ライト側第一配線層およびリード側第一配線層を形成する部分が露出するものである。次に、レジストパターン52から露出する第一配線層形成用膜7の表面上に、電解Cuめっきを行うことにより、めっき層32a、42aを形成し(図15(e))、第二レジストパターン52を剥離する(図15(f))。最後に、不要な第一配線層形成用膜7および拡散防止層(図示せず)をウェットエッチングより除去する(図15(g))。なお、この場合、めっき層32a、42aの厚さは、上記のウェットエッチングにより除去されない程度の厚さであることが好ましい。これにより、スパッタリング層31aおよびめっき層32aを有するライト側第一配線層3aと、スパッタリング層41aおよびめっき層42aを有するリード側第一配線層4aとが形成される。
【0086】
第三実施態様によれば、スパッタリング層にさらにめっき層を形成することで、第一配線層3aの厚さの調整が容易になるという利点を有する。
【0087】
3.その他の工程
本発明における第二絶縁層形成工程および第二配線層形成工程については、一般的なサスペンション用基板の製造方法における工程と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、本発明においては、上記ライト側第二配線層および上記リード側第二配線層を被覆するカバー層を形成するカバー層形成工程を有していても良い。
【0088】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と、実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0089】
以下、実施例を用いて、本発明をさらに具体的に説明する。
【0090】
[実施例1]
まず、図12(a)に示す金属基板1A(SUS304、厚さ20μm)を用意した。次に、金属基板1Aの表面上に、ポリイミドを塗布し、第一絶縁層2A(厚さ10μm)を形成した(図12(b))。次に、第一絶縁層2Aの表面上に、DFRを配置し、露光・現像することで、レジストパターン51を形成した(図12(c))。次に、レジストパターン51から露出する第一絶縁層2Aを反応性ガスを用いたプラズマによりドライエッチングし、ライト側凹部21x(深さ1μm)およびリード側凹部21y(深さ1μm)を形成した(図12(d))。次に、レジストパターン51を剥離する前に、レジストパターン51側からCrスパッタリングを行い、拡散防止層(図示せず、厚さ0.06μm)を形成し、その拡散防止層の表面上に、Cuスパッタリングによりライト側第一配線層3a(厚さ1μm)およびリード側第一配線層4a(厚さ1μm)を形成した(図12(e))。次に、剥離液を用いてレジストパターン51を剥離した(図12(f))。次に、ポリイミドを塗布することにより、ライト側第一配線層3aおよびリード側第一配線層4aを覆う第二絶縁層2b(厚さ15μm)を形成した(図12(g))。
【0091】
その後、第二絶縁層2bの表面上に、Crスパッタリングにより拡散防止層(図示せず、厚さ0.06μm)を形成した。さらに、その拡散防止層の表面上に、Cuスパッタリングにより第二配線層を形成するための第二配線層形成用膜6(厚さ0.3μm)を形成した(図12(h))。次に、第二配線層形成用膜6の表面上に、DFRを配置し、露光・現像することで、所定のレジストパターン52を形成した(図12(i))。次に、レジストパターン52から露出する第二配線層形成用膜6の表面上に、電解Cuめっきを行うことにより、めっき層32b、42b(厚さはそれぞれ5μm)を形成した(図12(j))。その後、剥離液によりレジストパターン52を剥離した(図12(k))。
【0092】
その後、不要な第二配線層形成用膜6および拡散防止層(図示せず)をウェットエッチングにより除去することで、スパッタリング層31bおよびめっき層32bを有するライト側第二配線層3bと、スパッタリング層41bおよびめっき層42bを有するリード側第二配線層4bとを形成した(図13(a))。次に、ポリイミドを塗布することにより、ライト側第二配線層3bおよびリード側第二配線層4bを覆うカバー層5を形成した(図13(b))。なお、ライト側第二配線層3bおよびリード側第二配線層4bの頂部から、カバー層5の頂部までの厚さは5μmであった。その後は、図13(c)〜(h)に示す方法と同様にして、サスペンション用基板を得た。
【0093】
[実施例2]
凹部を有する第一絶縁層を備えたサスペンション用基板について、配線幅および配線間厚さが、差動インピーダンスおよびSパラメータに与える影響をシミュレーションにより評価した。シミュレーションでは、図17に示すサスペンション用基板をモデルとした。ここで、第一配線層103および第二配線層105の幅は同一であり、W1で表す。また、第二配線層105の配線間厚さは、T1で表す。
【0094】
まず、配線幅および配線間厚さが、差動インピーダンスに与える影響を評価した。シミュレーション条件および結果を以下に示す。
<シミュレーション条件>
・金属基板101 :ステンレス、厚さ20μm
・第一絶縁層102:ポリイミド(Er=3)、厚さ10μm
・凹部107 :深さ1μm
・第一配線層103:純銅、厚さ1μm
・第二絶縁層104:ポリイミド(Er=3.3)
・第二配線層105:純銅、厚さ5μm
・カバー層106 :ポリイミド(Er=3.3)
・第二配線層105の頂部からカバー層106の頂部までの高さ:5μm
・周波数:2GHz
【0095】
【表1】
【0096】
表1に示されるように、配線幅W1が増加すると、差動インピーダンスが低下することが確認された。また、配線間厚さT1が増加すると、差動インピーダンスが増加することが確認された。
【0097】
次に、配線幅および配線間厚さが、Sパラメータに与える影響を評価した。なお、シミュレーション条件は、上記と同じである。
【0098】
【表2】
【0099】
表2に示されるように、配線幅W1によらず、Sパラメータはほぼ同一の値であった。一方、配線間厚さT1が低下すると、Sパラメータの値が悪化することが分かった。すなわち、配線間厚さT1が小さくなりすぎると、伝送信号強度の損失が大きくなることが確認された。
【0100】
以上の結果から、第一配線層および第二配線層が第二絶縁層を介して積層配置された配線の電気特性は、第一配線層および第二配線層の幅と、第二絶縁層の配線間厚さとによって制御されることが確認された。特に、本発明においては、第一絶縁層にライト側凹部およびリード側凹部を設けることで、第二絶縁層の配線間厚さT1を所定の大きさに保ちつつ、第二絶縁層の厚さを小さくすることができる。これにより、伝送信号強度の損失を抑制しつつ、反りの発生抑制および低剛性化を図ることができる。
【符号の説明】
【0101】
1…金属基板、1A…(加工前の)金属基板、2a…第一絶縁層、2b…第二絶縁層、2A…(加工前の)第一絶縁層、3a…ライト側第一配線層、3b…ライト側第二配線層、4a…リード側第一配線層、4b…リード側第二配線層、5…カバー層、6…第二配線層形成用膜、7…第一配線層形成用膜、11…ジンバル部、12…外部回路基板接続部、13…配線部、13x…ライト側配線、13y…リード側配線、20…サスペンション用基板、21x…ライト側凹部、21y…リード側凹部、31a、31b…スパッタリング層、32a、32b…めっき層、41a、41b…スパッタリング層、42a、42b…めっき層、50…ロードビーム、60…サスペンション、61…磁気ヘッドスライダ、70…ヘッド付サスペンション、71…ディスク、72…スピンドルモータ、73…アーム、74…ボイスコイルモータ、75…ケース、80…ハードディスクドライブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライト側配線構造およびリード側配線構造を有し、
前記ライト側配線構造は、ライト側凹部を有する第一絶縁層と、前記ライト側凹部に形成されたライト側第一配線層と、前記ライト側第一配線層を覆う第二絶縁層と、前記第二絶縁層上であり、かつ、前記ライト側第一配線層に厚さ方向において重複するライト側第二配線層とを有し、
前記リード側配線構造は、リード側凹部を有する前記第一絶縁層と、前記リード側凹部に形成されたリード側第一配線層と、前記リード側第一配線層を覆う前記第二絶縁層と、前記第二絶縁層上であり、かつ、前記リード側第一配線層に厚さ方向において重複するリード側第二配線層とを有することを特徴とするサスペンション用基板。
【請求項2】
前記ライト側第一配線層および前記リード側第一配線層の頂部の少なくとも一方の位置が、前記第一絶縁層の頂部の位置と同一であることを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用基板。
【請求項3】
前記ライト側第一配線層および前記リード側第一配線層の頂部の少なくとも一方の位置が、前記第一絶縁層の頂部の位置よりも低いことを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用基板。
【請求項4】
前記ライト側第一配線層および前記リード側第一配線層の少なくとも一方が、スパッタリング法により形成されたスパッタリング層であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板。
【請求項5】
前記ライト側第一配線層および前記リード側第一配線層の少なくとも一方が、スパッタリング法により形成されたスパッタリング層と、前記スパッタリング層の表面上に、めっき法により形成されためっき層とを有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板。
【請求項6】
前記ライト側第一配線層および前記ライト側第二配線層の幅が、前記リード側第一配線層および前記リード側第二配線層の幅よりも大きいことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板を含むことを特徴とするサスペンション。
【請求項8】
請求項7に記載のサスペンションと、前記サスペンションに実装された磁気ヘッドスライダとを有することを特徴とするヘッド付サスペンション。
【請求項9】
請求項8に記載のヘッド付サスペンションを含むことを特徴とするハードディスクドライブ。
【請求項10】
第一絶縁層に、ライト側凹部およびリード側凹部を形成する凹部形成工程と、
前記ライト側凹部および前記リード側凹部に、それぞれ、ライト側第一配線層およびリード側第一配線層を形成する第一配線層形成工程と、
前記ライト側第一配線層および前記リード側第一配線層を覆う第二絶縁層を形成する第二絶縁層形成工程と、
前記第二絶縁層上であり、かつ、前記ライト側第一配線層に厚さ方向において重複するライト側第二配線層、および、前記第二絶縁層上であり、かつ、前記リード側第一配線層に厚さ方向において重複するリード側第二配線層を形成する第二配線層形成工程と、
を有することを特徴とするサスペンション用基板の製造方法。
【請求項11】
前記凹部形成工程は、
前記第一絶縁層の表面上に、前記ライト側凹部および前記リード側凹部を形成する部分が露出するレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、
前記レジストパターンから露出する前記第一絶縁層をエッチングし、前記ライト側凹部および前記リード側凹部を形成するエッチング工程とを有し、
前記第一配線層形成工程は、
前記レジストパターンを剥離する前に、スパッタリング法により前記ライト側第一配線層および前記リード側第一配線層を形成するスパッタリング工程と、
前記スパッタリング工程後に、前記レジストパターンを剥離する剥離工程とを有することを特徴とする請求項10に記載のサスペンション用基板の製造方法。
【請求項12】
前記凹部形成工程は、
前記第一絶縁層の表面上に、前記ライト側凹部および前記リード側凹部を形成する部分が露出する第一レジストパターンを形成する第一レジストパターン形成工程と、
前記第一レジストパターンから露出する前記第一絶縁層をエッチングし、前記ライト側凹部および前記リード側凹部を形成するエッチング工程と、
前記エッチング工程後に、前記第一レジストパターンを剥離する第一レジストパターン剥離工程とを有し、
前記第一配線層形成工程は、
前記ライト側凹部および前記リード側凹部を形成した前記第一絶縁層の表面上に、スパッタリング法により第一配線層形成用膜を形成するスパッタリング工程と、
前記第一配線層形成用膜の表面上に、前記ライト側第一配線層および前記リード側第一配線層を形成する部分を被覆する第二レジストパターンを形成する第二レジストパターン形成工程と、
前記第二レジストパターンから露出する前記第一配線層形成用膜を除去し、前記ライト側第一配線層および前記リード側第一配線層を形成する除去工程と、
前記除去工程の後に、前記第二レジストパターンを剥離する第二レジストパターン剥離工程とを有することを特徴とする請求項10に記載のサスペンション用基板の製造方法。
【請求項13】
前記凹部形成工程は、
前記第一絶縁層の表面上に、前記ライト側凹部および前記リード側凹部を形成する部分が露出する第一レジストパターンを形成する第一レジストパターン形成工程と、
前記第一レジストパターンから露出する前記第一絶縁層をエッチングし、前記ライト側凹部および前記リード側凹部を形成するエッチング工程と、
前記エッチング工程後に、前記第一レジストパターンを剥離する第一レジストパターン剥離工程とを有し、
前記第一配線層形成工程は、
前記ライト側凹部および前記リード側凹部を形成した前記第一絶縁層の表面上に、スパッタリング法により第一配線層形成用膜を形成するスパッタリング工程と、
前記第一配線層形成用膜の表面上に、前記ライト側第一配線層および前記リード側第一配線層を形成する部分が露出する第二レジストパターンを形成する第二レジストパターン形成工程と、
前記第二レジストパターンから露出する前記第一配線層形成用膜の表面上に、めっき法により前記ライト側第一配線層および前記リード側第一配線層を構成するめっき層を形成するめっき工程と、
前記めっき工程後に、前記第二レジストパターンを剥離する第二レジストパターン剥離工程と、
前記めっき層が形成されていない部分の前記第一配線層形成用膜を除去する除去工程とを有することを特徴とする請求項10に記載のサスペンション用基板の製造方法。
【請求項1】
ライト側配線構造およびリード側配線構造を有し、
前記ライト側配線構造は、ライト側凹部を有する第一絶縁層と、前記ライト側凹部に形成されたライト側第一配線層と、前記ライト側第一配線層を覆う第二絶縁層と、前記第二絶縁層上であり、かつ、前記ライト側第一配線層に厚さ方向において重複するライト側第二配線層とを有し、
前記リード側配線構造は、リード側凹部を有する前記第一絶縁層と、前記リード側凹部に形成されたリード側第一配線層と、前記リード側第一配線層を覆う前記第二絶縁層と、前記第二絶縁層上であり、かつ、前記リード側第一配線層に厚さ方向において重複するリード側第二配線層とを有することを特徴とするサスペンション用基板。
【請求項2】
前記ライト側第一配線層および前記リード側第一配線層の頂部の少なくとも一方の位置が、前記第一絶縁層の頂部の位置と同一であることを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用基板。
【請求項3】
前記ライト側第一配線層および前記リード側第一配線層の頂部の少なくとも一方の位置が、前記第一絶縁層の頂部の位置よりも低いことを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用基板。
【請求項4】
前記ライト側第一配線層および前記リード側第一配線層の少なくとも一方が、スパッタリング法により形成されたスパッタリング層であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板。
【請求項5】
前記ライト側第一配線層および前記リード側第一配線層の少なくとも一方が、スパッタリング法により形成されたスパッタリング層と、前記スパッタリング層の表面上に、めっき法により形成されためっき層とを有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板。
【請求項6】
前記ライト側第一配線層および前記ライト側第二配線層の幅が、前記リード側第一配線層および前記リード側第二配線層の幅よりも大きいことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板を含むことを特徴とするサスペンション。
【請求項8】
請求項7に記載のサスペンションと、前記サスペンションに実装された磁気ヘッドスライダとを有することを特徴とするヘッド付サスペンション。
【請求項9】
請求項8に記載のヘッド付サスペンションを含むことを特徴とするハードディスクドライブ。
【請求項10】
第一絶縁層に、ライト側凹部およびリード側凹部を形成する凹部形成工程と、
前記ライト側凹部および前記リード側凹部に、それぞれ、ライト側第一配線層およびリード側第一配線層を形成する第一配線層形成工程と、
前記ライト側第一配線層および前記リード側第一配線層を覆う第二絶縁層を形成する第二絶縁層形成工程と、
前記第二絶縁層上であり、かつ、前記ライト側第一配線層に厚さ方向において重複するライト側第二配線層、および、前記第二絶縁層上であり、かつ、前記リード側第一配線層に厚さ方向において重複するリード側第二配線層を形成する第二配線層形成工程と、
を有することを特徴とするサスペンション用基板の製造方法。
【請求項11】
前記凹部形成工程は、
前記第一絶縁層の表面上に、前記ライト側凹部および前記リード側凹部を形成する部分が露出するレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、
前記レジストパターンから露出する前記第一絶縁層をエッチングし、前記ライト側凹部および前記リード側凹部を形成するエッチング工程とを有し、
前記第一配線層形成工程は、
前記レジストパターンを剥離する前に、スパッタリング法により前記ライト側第一配線層および前記リード側第一配線層を形成するスパッタリング工程と、
前記スパッタリング工程後に、前記レジストパターンを剥離する剥離工程とを有することを特徴とする請求項10に記載のサスペンション用基板の製造方法。
【請求項12】
前記凹部形成工程は、
前記第一絶縁層の表面上に、前記ライト側凹部および前記リード側凹部を形成する部分が露出する第一レジストパターンを形成する第一レジストパターン形成工程と、
前記第一レジストパターンから露出する前記第一絶縁層をエッチングし、前記ライト側凹部および前記リード側凹部を形成するエッチング工程と、
前記エッチング工程後に、前記第一レジストパターンを剥離する第一レジストパターン剥離工程とを有し、
前記第一配線層形成工程は、
前記ライト側凹部および前記リード側凹部を形成した前記第一絶縁層の表面上に、スパッタリング法により第一配線層形成用膜を形成するスパッタリング工程と、
前記第一配線層形成用膜の表面上に、前記ライト側第一配線層および前記リード側第一配線層を形成する部分を被覆する第二レジストパターンを形成する第二レジストパターン形成工程と、
前記第二レジストパターンから露出する前記第一配線層形成用膜を除去し、前記ライト側第一配線層および前記リード側第一配線層を形成する除去工程と、
前記除去工程の後に、前記第二レジストパターンを剥離する第二レジストパターン剥離工程とを有することを特徴とする請求項10に記載のサスペンション用基板の製造方法。
【請求項13】
前記凹部形成工程は、
前記第一絶縁層の表面上に、前記ライト側凹部および前記リード側凹部を形成する部分が露出する第一レジストパターンを形成する第一レジストパターン形成工程と、
前記第一レジストパターンから露出する前記第一絶縁層をエッチングし、前記ライト側凹部および前記リード側凹部を形成するエッチング工程と、
前記エッチング工程後に、前記第一レジストパターンを剥離する第一レジストパターン剥離工程とを有し、
前記第一配線層形成工程は、
前記ライト側凹部および前記リード側凹部を形成した前記第一絶縁層の表面上に、スパッタリング法により第一配線層形成用膜を形成するスパッタリング工程と、
前記第一配線層形成用膜の表面上に、前記ライト側第一配線層および前記リード側第一配線層を形成する部分が露出する第二レジストパターンを形成する第二レジストパターン形成工程と、
前記第二レジストパターンから露出する前記第一配線層形成用膜の表面上に、めっき法により前記ライト側第一配線層および前記リード側第一配線層を構成するめっき層を形成するめっき工程と、
前記めっき工程後に、前記第二レジストパターンを剥離する第二レジストパターン剥離工程と、
前記めっき層が形成されていない部分の前記第一配線層形成用膜を除去する除去工程とを有することを特徴とする請求項10に記載のサスペンション用基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−258265(P2011−258265A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131197(P2010−131197)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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