説明

サスペンション装置

【課題】悪路走行時であっても中間部材の慣性の影響を良好に低減して乗り心地を向上させる。
【解決手段】目標荷重設定ブロック110は、バネ上速度x2’とバネ下速度x1’とに基づいて車両を制振するために必要とされる減衰力を計算し、その減衰力を直列サブアブソーバで発生させる目標荷重freqに設定する。実荷重検出ブロック120は、直列サブアブソーバの変位量と変位速度から、直列サブアブソーバで発生した実荷重frealを演算により推定する。フィードバック制御ブロック130は、実荷重frealが目標荷重freqに追従するようにフィードバック演算式によりモータ制御量fmotorを計算する。これにより、悪路走行時であっても中間部材の慣性力の影響を良好に補償することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のサスペンション装置に係り、特に、バネ上部材とバネ下部材との間の相対移動に対する推進力および減衰力を発生する電磁アクチュエータを備えたサスペンション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電磁アクチュエータを備えたサスペンション装置が知られている。このサスペンション装置では、電磁アクチュエータの通電制御によって、バネ上部材とバネ下部材との間の相対移動に対する減衰力だけでなく、サスペンションストロークを積極的に変化させる推進力をも発生させることができる。電磁アクチュエータは、例えば、電動モータと、電動モータの出力軸に連結されバネ上部材とバネ下部材との相対移動により伸縮するボールネジ機構とを備えている。従って、電動モータの通電量を制御することにより、上記減衰力および推進力を制御することができる。
【0003】
特許文献1には、電磁アクチュエータとバネ下部材との間に、液圧式ダンパおよび圧縮バネからなる連結機構(以下、これらをまとめて直列サブアブソーバと呼ぶ)を介装したサスペンション装置が提案されている。このサスペンション装置では、直列サブアブソーバを設けたことにより、路面から10Hzを超えるような高周波振動が入力した場合であっても、その高周波振動のバネ下部材からバネ上部材への伝達を効果的に抑制することができる。
【0004】
また、特許文献1のサスペンション装置では、バネ上部材とバネ下部材との間に、バネ上部材あるいはバネ下部材に固定されていない部材(中間部材と呼ぶ)が存在する。この中間部材としては、電動モータのロータ、ロータに連結されるボールネジ機構、ボールネジ機構に連結される液圧ダンパのピストンおよびピストンロッドなどが該当する。こうした中間部材は、電磁アクチュエータが伸縮したときに慣性力を発生し、その慣性力が車両の制振制御に悪影響を与える。
【0005】
そこで、特許文献1のサスペンション装置では、中間部材の慣性力を考慮して、電磁アクチュエータの電動モータにより発生させる力の目標制御量を演算する。具体的には、バネ下部材とバネ上部材とを制振するためにバネ下部材とバネ上部材との間に作用させるべき力と、電動モータにより発生した力が直列サブアブソーバを介してバネ下部材に伝達される際における伝達特性(伝達関数)とに基づいて制振制御量を決定し、更に、その制振制御量に、バネ下部材の変位によって中間部材が持つことになる慣性力を補償する慣性補償制御量を加算することにより目標制御量を求める。
【0006】
慣性補償制御量は、中間部材の質量にバネ下部材の上下加速度を乗じることにより算出される。このため、このサスペンション装置では、バネ下加速度センサを設け、バネ下上下加速度を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−255805号公報
【発明の概要】
【0008】
しかしながら、悪路走行時のように急激な路面変化が生じると、バネ下部材の上下運動が激しくなり、バネ下上下加速度に基づいて求められる慣性補償制御量の演算がバネ下上下加速度の変化に追従できなくなる。このため、慣性補償制御量に位相遅れが発生しやすい。
【0009】
また、電磁アクチュエータによる制振制御は、フィードフォワード制御であるため、制御遅れが発生しても、それを補正することができない。これらの結果、慣性の影響を適切に補償することができず、乗り心地が低下する。また、位相遅れにより電動モータの動きが遅れて、直列サブアブソーバのストロークを規制するストッパ当たりの頻度が増すとともに、ストッパ当たりの衝撃の大きさも増加する。これに伴って、ボールネジ機構のボールネジに働く軸力が増加し、ボールネジ機構の信頼性が低下してしまう。このため、ボールネジの強度を増加させる必要が生じる。
【0010】
本発明は、上記問題を解決するためになされるものであり、悪路走行時であっても慣性の影響を良好に低減して乗り心地を向上させるとともに、サスペンション装置の信頼性を向上させることを目的とする。
【0011】
上記課題を解決する本発明の特徴は、車両のバネ上部材とバネ下部材との間に配設されたサスペンションバネ(20)と並列に設けられ、バネ上部材とバネ下部材との間の相対移動に対する推進力および減衰力を発生する電動モータ(31)および減速機(32)を有する電磁アクチュエータ(30)と、前記電磁アクチュエータと前記バネ下部材との間に配設され、前記電磁アクチュエータと直列に設けられる直列バネ(40b)と直列ダンパ(40a)とを並列に備えた直列サブアブソーバ(40)と、前記直列サブアブソーバの上下方向の運動に関連する物理量を検出する直列サブアブソーバ運動量検出手段(62,63)と、前記直列サブアブソーバ運動量検出手段により検出した前記直列サブアブソーバの運動に関連する物理量と前記直列サブアブソーバの荷重特性とに基づいて前記直列サブアブソーバで発生している実荷重を演算する実荷重演算手段(120)と、車両の上下方向の運動に関連する物理量を検出する上下運動量検出手段(61,62)と、前記上下運動量検出手段により検出した前記車両の上下方向の運動に関連する物理量に基づいて、前記直列サブアブソーバで発生させる目標荷重を演算する目標荷重演算手段(110)と、前記実荷重演算手段により演算した実荷重が前記目標荷重演算手段により演算した目標荷重に追従するように、前記実荷重と前記目標荷重との偏差に基づいて、前記電磁アクチュエータの電動モータを駆動制御するフィードバック制御手段(130)とを備えたことにある。
【0012】
この場合、前記直列サブアブソーバ運動量検出手段は、前記直列サブアブソーバの上下方向の変位量および変位速度を検出し、前記実荷重演算手段は、前記直列サブアブソーバの上下方向の変位量および変位速度と、前記直列バネのバネ定数と前記直列ダンパの減衰係数とに基づいて前記直列サブアブソーバで発生している実荷重を演算するとよい。
【0013】
本発明においては、電動モータおよび減速機を有する電磁アクチュエータを備え、電動モータの通電を制御することによりバネ上部材とバネ下部材との間の相対移動に対する推進力および減衰力を発生させる。この電磁アクチュエータとバネ下部材との間には、直列バネと直列ダンパとを並列に備えた直列サブアブソーバが配設される。このため、高周波の路面入力がバネ下部材に加えられた場合、直列サブアブソーバの直列バネが路面入力から受ける衝撃をやわらげるとともに、直列ダンパが減衰力を発生する。これにより路面入力の電磁アクチュエータ側への伝達を抑制する。従って、直列サブアブソーバは、高周波振動のフィルタとして機能する。
【0014】
こうした構成においては、バネ上部材とバネ下部材との間に、バネ上部材とバネ下部材とのいずれにも固定されていない中間部材が存在するため、中間部材の慣性力が乗り心地を低下させてしまう。慣性力の影響を補償するためにバネ下部材の上下加速度に比例した慣性補償制御量を演算して目標制御量に加味すれば乗り心地を改善できるが、悪路走行時においては演算遅れが生じやすく、しかも、慣性補償はフィードフォワード制御のため、演算遅れを取り戻すことができない。
【0015】
そこで本発明においては、慣性補償制御量を演算しなくても中間部材の慣性力が補償されるように、直列サブアブソーバで発生する実荷重が目標荷重と等しくなるようにフィードバック制御にて電磁アクチュエータの電動モータを駆動する構成を採用している。そのために、本発明では、直列サブアブソーバ運動量検出手段が、直列サブアブソーバの上下方向の運動に関連する物理量を検出し、実荷重演算手段が、直列サブアブソーバの上下方向の運動に関連する物理量と直列サブアブソーバの荷重特性とに基づいて直列サブアブソーバで発生している実荷重を演算する。この場合、例えば、直列サブアブソーバの上下方向の変位量および変位速度(例えば、直列サブアブソーバのストローク量およびストローク速度)を直列サブアブソーバの上下方向の運動に関連する物理量として検出する。また、実荷重演算手段は、直列サブアブソーバの荷重特性として直列バネのバネ定数と直列ダンパの減衰係数とを用いて、直列バネのバネ定数と変位量との積、および、直列ダンパの減衰係数と変位速度の積から直列サブアブソーバで発生している実荷重を演算するとよい。
【0016】
また、上下運動量検出手段が、車両の上下方向の運動に関連する物理量を検出する。つまり、車両の上下方向の振動状態を検出する。例えば、バネ上部材の上下速度、バネ下部材の上下速度、バネ上部材とバネ下部材との相対速度など、任意の車両の上下振動を表す物理量を検出する。そして、目標荷重演算手段が、車両の上下方向の運動に関連する物理量に基づいて、直列サブアブソーバで発生させる目標荷重を演算する。つまり、車両の上下方向の運動を制振するために設定する目標制御量を、直列サブアブソーバで発生させる目標荷重として演算する。
【0017】
こうして、直列サブアブソーバで発生させる目標荷重と、直列サブアブソーバで発生している実荷重とが演算されると、フィードバック制御手段が、実荷重が目標荷重に追従するように、実荷重と目標荷重との偏差に基づいて電磁アクチュエータの電動モータを駆動制御する。これにより、直列サブアブソーバが目標荷重を発生するように、電磁アクチュエータの電動モータの通電が制御される。この結果、車両の上下方向の運動、つまり、上下振動が抑制される。この場合、中間部材の慣性力が発生しても、その慣性力は、直列サブアブソーバの実荷重の一部として表れる(検出される)ため、フィードバック制御により慣性補償を行うことができる。
【0018】
この結果、悪路走行時であっても中間部材の慣性の影響を良好に低減することができる。これにより、直列ダンパのストッパ当たりの頻度、および、ストッパ当たりの衝撃の大きさを低減することができ、直列サブアブソーバおよび電磁アクチュエータの信頼性をさらに向上させることができる。
【0019】
尚、上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要件を前記符号によって規定される実施形態に限定させるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係るサスペンション装置のシステム構成の概略図である。
【図2】サスペンション本体の部分断面概略図である。
【図3】サスペンション制御装置の機能ブロック図である。
【図4】サスペンション本体のモデル図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係るサスペンション装置について図面を用いて説明する。図1は、本実施形態に係るサスペンション装置のシステム構成の概略図である。
【0022】
このサスペンション装置は、各車輪WFL,WFR,WRL,WRRと車体Bとの間にそれぞれ設けられる4組のサスペンション本体10FL,10FR,10RL,10RRと、各サスペンション本体10FL,10FR,10RL,10RRの作動を制御するサスペンション制御装置100とを備える。以下、4組のサスペンション本体10FL,10FR,10RL,10RRおよび車輪WFL,WFR,WRL,WRRは、特に前後左右を区別する場合を除き、本明細書において単にサスペンション本体10および車輪Wと総称される。
【0023】
図2は、サスペンション本体10の部分断面概略図である。図示するように、サスペンション本体10は、エアバネ装置20と、電磁アクチュエータ30と、直列サブアブソーバ40とを備える。エアバネ装置20は、空気の弾性(圧縮性)を利用して路面から受ける衝撃を吸収し乗り心地を高めるとともに車両の重量を弾性支持する。このエアバネ装置20に支えられる側、つまり車体B側の部材がバネ上部材であり、エアバネ装置20を支持する側、つまり車輪W側の部材がバネ下部材である。したがって、エアバネ装置20,電磁アクチュエータ30および直列サブアブソーバ40は、車両のバネ上部材とバネ下部材との間に設けられる。
【0024】
電磁アクチュエータ30は、電動モータ31とボールネジ機構32とを備える。電動モータ31は、モータケーシング311と、中空状の回転軸312と、永久磁石313と、極体314とを備える。モータケーシング311は電動モータ31の外郭を構成するハウジングであり、図示上下方向に軸を持つ段付円筒形状とされる。回転軸312は、モータケーシング311と同軸的にモータケーシング311内に配設され、軸受331,332によりモータケーシング311に回転可能に支持される。この回転軸312の外周面に永久磁石313が固定される。回転軸312および永久磁石313により電動モータ31のロータが構成される。永久磁石313に対向するように極体314(コアにコイルが巻回されたもの)が、モータケーシング311の内周面に固定される。極体314により電動モータ31のステータが構成される。
【0025】
ボールネジ機構32は、電動モータ31に連結しており、電動モータ31の回転運動を直線運動に変換する変換機構としての機能を有する。ボールネジ機構32は、ネジ溝321aが形成されたボールネジ軸321と、このボールネジ軸321のネジ溝321aに螺合するボールネジナット322とを備える。ボールネジナット322はモータケーシング311内に配設され、回転軸312の下端部分に接続されるとともに、ボールベアリングを介して回転可能且つ軸方向移動不能にモータケーシング311に支持される。したがって、回転軸312が回転すると、それに伴いボールネジナット322も回転する。
【0026】
ボールネジ軸321は、モータケーシング311に同軸的に配置されており、モータケーシング311内にてボールネジナット322を螺合するとともに、その上方部分が回転軸312の内周側に挿入される。また、ボールネジ軸321の下方部分はモータケーシング311の下端面を突き抜けてさらに下方に延在する。
【0027】
ボールネジナット322の図示下方にスプラインナット35が配設される。このスプラインナット35はモータケーシング311の最下方部位に配置固定される。スプラインナット35にはスプラインが形成された貫通孔が設けられており、この貫通孔にボールネジ軸321が挿通される。なお、ボールネジ軸321のネジ溝321aにはスプライン溝も同時に形成されている。したがってボールネジ軸321はスプラインナット35にスプライン嵌合し、回転不能かつ軸方向移動可能にスプラインナット35に支持される。
【0028】
直列サブアブソーバ40は、電磁アクチュエータ30に直列的に連結するように、電磁アクチュエータ30とバネ下部材との間に配設されている。直列サブアブソーバ40は、液圧式ダンパ40aと、コイルスプリングユニット40bとを並列に設けて構成される。
【0029】
液圧式ダンパ40aは、内部に作動液(例えば作動油)が封入されたシリンダ41と、シリンダ41の内部に配設されシリンダ41内で相対移動するバルブピストン42とを備える。バルブピストン42によってシリンダ41の内部が上室と下室とに区画される。シリンダ41の下端はブッシュを介してバネ下部材であるロアアームに連結される。
【0030】
本実施形態において液圧式ダンパ40aは、ツインチューブ式のショックアブソーバであり、シリンダ41が同軸配置された外筒411および内筒412を有する。外筒411と内筒412の間の空間によりリザーバ室が形成される。バルブピストン42は、内筒412内に配設される。バルブピストン42が内筒412内を軸方向に移動するときに上室と下室との間を作動液が流通することにより、上記移動に対し、作動液の粘性に依存した抵抗力(減衰力)が発生する。また、内筒412の下方端には、ベースバルブ413が取り付けられ、このベースバルブ413を介して下室とリザーバ室が連通する。バルブピストン42の移動に伴って作動液が下室とリザーバ室との間を流通することにより、上記移動に対し、作動液の粘性に依存した抵抗力(減衰力)が発生する。つまり、液圧式ダンパ40aは、作動液の粘性に基づいて減衰力を発生する。
【0031】
また、内筒412内には、ピストンロッド43が挿入される。ピストンロッド43は、その下端にてバルブピストン42に連結される。ピストンロッド43は、その上端にてボールネジ軸321の下端に連結され、その連結部分から図において下方に伸び、液圧式ダンパ40aのシリンダ41の上面側から内筒412内に挿入される。よって、バルブピストン42は、ピストンロッド43を介して電磁アクチュエータ30のボールネジ軸321に連結される。このようにして、液圧式ダンパ40aが電磁アクチュエータ30に直列的に接続される。
【0032】
コイルスプリングユニット40bは、液圧式ダンパ40aの外周に液圧式ダンパ40aと同軸状に設けられる。コイルスプリングユニット40bは、第1圧縮コイルスプリング49a、第2圧縮コイルスプリング49b、下部リテーナ44a、上部リテーナ44b、中央リテーナ44cを備えている。
【0033】
下部リテーナ44aは、液圧式ダンパ40aの外筒411の外周部分に環状に設けられる。下部リテーナ44aの外周には、第1筒部21が連結される。第1筒部21は、下部リテーナ44aに連結された部分から液圧式ダンパ40aのシリンダ41を覆うように図において上方に伸びている。第1筒部21の上端部に径内方に屈曲したフランジ部211が形成される。フランジ部211の下面側には、環状の上部リテーナ44bが設けられる。
【0034】
また、ボールネジ軸321とピストンロッド43との連結部分には、中央リテーナ44cが取り付けられる。中央リテーナ44cは、ボールネジ軸321とピストンロッド43との連結部分から水平方向に放射状に伸びた円板状の部分44c1と、円板状の部分44c1の外周から下方に伸びた円筒状の部分44c2と、円筒状の部分44c2から径外方に伸びた環状の鍔部分44c3とを備える。このような形状の中央リテーナ44cの鍔部分44c3と下部リテーナ44aとの間に第1圧縮コイルスプリング49aが、鍔部分44c3と上部リテーナ44bとの間に第2圧縮コイルスプリング49bが配設される。このようにして、コイルスプリングユニット40bは、電磁アクチュエータ30とバネ下部材との間に、液圧式ダンパ40aと並列に設けられる。
【0035】
また、ピストンロッド43の外周には、内筒412内において、径方向に延びたリング状の弾性材からなるロッド側下ストッパ45が固定して設けられている。また、内筒412の上端には、弾性材からなるシリンダ側下ストッパ46がロッド側下ストッパ45に向かい合うように固定して設けられている。従って、ピストンロッド43に対してシリンダ41が下方向に相対移動したときに、ロッド側下ストッパ45とシリンダ側下ストッパ46とが当接して、それ以上の相対移動を規制する。
【0036】
また、シリンダ側下ストッパ46の上方には、シリンダ41の上端に固定されたリング板状のシリンダ側上ストッパ47が固定して設けられている。また、中央リテーナ44cの内側には、弾性材からなるロッド側上ストッパ48がシリンダ側上ストッパ47と向かい合うように固定して設けられている。従って、ピストンロッド43に対してシリンダ41が上方向に相対移動したときに、ロッド側上ストッパ48とシリンダ側上ストッパ47とが当接して、それ以上の相対移動を規制する。
【0037】
これにより、液圧式ダンパ40aは、上下方向のストローク移動が規制されている。以下、液圧式ダンパ40aにおいて、ロッド側下ストッパ45とシリンダ側下ストッパ46とが当接する状態、あるいは、ロッド側上ストッパ48とシリンダ側上ストッパ47とが当接する状態をストッパ当たりと呼ぶ。
【0038】
エアバネ装置20は、上述の第1筒部21と、第1筒部21の外周側に配置された第2筒部22と、第2筒部22の上端部分にその下端部分が接続され、その上端部分にてブラケット25を介してモータケーシング311に接続された第3筒部23と、袋状に形成されて内周部分が第1筒部21の外周に連結され外周部分が第2筒部22の内周に連結されたダイヤフラム24とを備える。第1筒部21と、第2筒部22と、第3筒部23と、ダイヤフラム24とにより、圧力室26が区画形成される。圧力室26には、流体としての圧縮空気が封入されている。この圧縮空気の圧力によりバネ上部材が支持される。
【0039】
尚、エアバネ装置20は、車高が目標車高に追従するように圧縮空気の供給量が制御されるものであるが、車高制御については本発明の特徴部分と直接関係するものではないため、本実施形態においては、その説明を省略する。
【0040】
また、サスペンション本体10は、車体Bに形成される孔部から電動モータ31のモータケーシング311の上方部分が上部に突出するように配置され、且つそのような配置状態を保つように、アッパーサポート12を介して車体Bに取り付けられている。アッパーサポート12は樹脂部材12aとブラケット12bとからなり、弾性的にサスペンション本体10を車体Bに連結する。
【0041】
以上のように構成されたサスペンション本体10においては、車載バッテリ(図示略)からの電力供給により電磁アクチュエータ30の電動モータ31が回転すると、電動モータ31の回転軸312に連結したボールネジナット322が回転する。ボールネジナット322の回転によってボールネジ軸321が軸方向移動する。ボールネジ軸321の軸方向移動に伴い、このボールネジ軸321に連結されたピストンロッド43および、ピストンロッド43に連結されたバルブピストン42も軸方向移動する。このとき、シリンダ41もバルブピストン42との間の相対移動をほとんど生じることなく軸方向移動する。これによりバネ上部材とバネ下部材との間の相対距離が変化する。このようにして、電動モータ31は、バネ上部材とバネ下部材との間の相対移動に対する推進力を発生する。この推進力は、例えば乗り心地が向上するように制御される。
【0042】
また、例えば、比較的低周波の外力(路面入力など)がサスペンション本体10に加えられた場合、この外力がシリンダ41に働いて、シリンダ41の運動がバルブピストン42,ピストンロッド43を介して電磁アクチュエータ30のボールネジ軸321に伝達される。これにより、ボールネジ軸321が軸方向に移動し、ボールネジナット322が回転する。ボールネジナット322の回転により電動モータ31が回される。このとき電動モータ31は発電機として作用するので、電動モータ31は、バネ上部材とバネ下部材との間の相対移動に対する抵抗力(減衰力)を発生する。これによりバネ上部材とバネ下部材との間の相対振動が抑制される。なお、液圧式ダンパ40aのバルブピストン42とシリンダ41は低周波の外力によっては相対移動しない。
【0043】
また、20Hz程度の高周波の路面入力がサスペンション本体10に加えられた場合、第1圧縮コイルスプリング49aと第2圧縮コイルスプリング49bが伸縮してシリンダ41がバルブピストン42に対して相対移動する。これにより、バネ下部材の高周波振動は、シリンダ41に伝達されるだけで、ほとんどボールネジ機構32側に伝達されない。従って、直列サブアブソーバ40は、高周波振動のフィルタとして機能する。
【0044】
次に、サスペンション本体10の作動を制御するサスペンション制御装置100について説明する。以下、サスペンション制御装置100をサスペンションECU100と呼ぶ。サスペンションECU100は、図1に示すように、車体Bに搭載される。サスペンションECU100には、バネ上加速度センサ61と、ストロークセンサ62と、モータ回転角センサ63とが接続される。バネ上加速度センサ61は、バネ上部材の各サスペンション本体10が取り付けられている位置(各輪位置)に設けられており、バネ上部材の各輪位置における上下方向に沿った加速度(バネ上上下加速度)を検出し、バネ上上下加速度Gを表す検出信号を出力する。このバネ上加速度センサ61は、車両の上下方向の運動に関連する物理量を検出する上下運動量検出手段の一つに相当する。
【0045】
ストロークセンサ62は、各輪位置におけるバネ上部材とバネ下部材との上下方向の変位量を検出し、その変位量であるサスペンションストロークSTを表す検出信号を出力する。このストロークセンサ62は、車両の上下方向の運動に関連する物理量を検出する上下運動量検出手段の一つに相当する。
【0046】
モータ回転角センサ63は、電磁アクチュエータ30の電動モータ31のロータの回転角を検出し、その回転角であるモータ回転角を表す検出信号を出力する。このモータ回転角センサ63は、予め決められたロータの回転位置を基準位置として、その基準位置からの回転角を検出するだけでなく、ボールネジ機構32の進退方向における予め決められたストローク原点位置を中立位置として、その中立位置から現在ストローク位置までのロータの回転した回転数を回転方向に応じて加減算することにより、中立位置からの回転角を表す検出信号も出力する。モータ回転角センサ63により検出されたロータの基準位置からの回転角θm1を表す信号は、後述するモータEDU70に供給され、ボールネジ機構32の中立位置から現在ストローク位置までのロータの回転した回転数を加味した回転角θm2を表す信号はサスペンションECU100に供給される。このモータ回転角センサ63は、直列サブアブソーバの上下方向の運動に関連する物理量を検出する直列サブアブソーバ運動量検出手段の一つに相当する。
【0047】
サスペンションECU100は、マイクロコンピュータを主要部として備える。サスペンションECU100は、車両の良好な乗り心地性を得るために、バネ上部材とバネ下部材との間の相対移動に対して推進力または減衰力を発生する電磁アクチュエータ30(電動モータ31)の制御量を演算する。尚、ここでは、「推進力または減衰力」と表現しているが、これは、電磁アクチュエータ30が推進力と減衰力とを同時に発生するものではなく何れか一方を発生するから「または」と表現しているのであって、電磁アクチュエータ30の発生する力は、振動の状態に応じて推進力になったり減衰力になったりするものである。本実施形態においてこれらの推進力または減衰力は、電磁アクチュエータ30の電動モータ31により発生される。以下、サスペンションECU100が演算により求めた電動モータ31の制御量をモータ制御量fmotorと呼ぶ。
【0048】
サスペンションECU100は、モータ制御量fmotorに対応する制御信号をモータドライブ制御装置(以下、モータEDUと呼ぶ)70に出力する。モータEDU70は、各サスペンション本体10FL,10FR,10RL,10RRの近傍に設けられ、サスペンションECU100とワイヤハーネスにて接続されており、サスペンションECU100から出力された制御信号を入力し、その制御信号に従って電動モータ31を駆動制御する。モータEDU70も、各種の演算処理を行うためのマイクロコンピュータを備えている。
【0049】
図3は、サスペンションECU100におけるマイクロコンピュータが行う制御処理を表す機能ブロック図である。各機能部は、マイクロコンピュータのROMに記憶された制御プログラムを所定の演算周期で繰り返し実行することにより実現されるものである。サスペンションECU100は、目標荷重設定ブロック110と、実荷重検出ブロック120と、フィードバック制御ブロック130とを備えている。
【0050】
ここで、各ブロックを説明する前に、サスペンション本体10の運動状態を表すために必要なパラメータについて説明する。図4は、本実施形態におけるサスペンション本体10のモデル図である。図において、Cは液圧式ダンパ40aの減衰係数、Kはコイルスプリングユニット40bの第1圧縮コイルスプリング49aと第2圧縮コイルスプリング49bを一つのバネと仮定した場合のバネ定数である。xは時間tをパラメータとしたバネ下部材の基準位置からの上下変位量であり、xは時間tをパラメータとしたバネ上部材の基準位置からの上下変位量である。また、mは、中間部材の質量(等価慣性質量)を表す。xは時間tをパラメータとした中間部材の基準位置からの上下変位量を表す。
【0051】
中間部材とは、バネ上部材とバネ下部材との間に設けられバネ上部材にもバネ下部材にも固定されていない部材を表す。例えば、電動モータ31のロータ(回転軸312,永久磁石313)、ボールネジ機構32、液圧式ダンパ40aにおけるバルブピストン42,ピストンロッド43などが中間部材に相当する。中間部材には、バネ下部材の上下方向の変位に対して回転する部材(例えば、電動モータ31のロータ、ボールネジ機構32のボールネジナット322)が存在するため、その回転部材に関する質量は、回転部材の慣性モーメントを慣性質量に換算した値としている。
【0052】
図3に示すように、目標荷重設定ブロック110は、バネ上速度演算部111と、ストローク速度演算部112と、バネ下速度演算部113と、目標荷重演算部114とから構成される。
【0053】
バネ上速度演算部111は、バネ上加速度センサ61の出力するバネ上上下加速度G(=x”)を表す検出信号を入力し、バネ上上下加速度G(=x”)を時間で積分することによりバネ上部材の上下方向の速度であるバネ上速度x’を計算する。ストローク速度演算部112は、ストロークセンサ62の出力するサスペンションストロークST(=x−x)を表す検出信号を入力し、サスペンションストロークST(=x−x)を時間で微分することによりストローク速度(x’−x’)を計算する。バネ下速度演算部113は、バネ上速度x’からストローク速度(x’−x’)を減算することによりバネ下部材の上下方向の速度であるバネ下速度x’を計算する。
【0054】
目標荷重演算部114は、直列サブアブソーバ40で発生させる目標荷重を演算する機能部であり、次式(1)により目標荷重freqを計算する。
freq=C・x’−C・x’ ・・・(1)
ここで、CおよびCは、予め設定されたゲインである。
【0055】
この目標荷重freqは、スカイフックダンパ理論に基づく制御と、擬似的なグランドフック理論に基づく制御とにより、バネ上部材およびバネ下部材の振動を減衰させるために必要とされる減衰力を計算したものであり、右辺第1項(C・x’)が、バネ上部材の振動を減衰するように働くバネ上減衰制御力を表し、右辺第2項(C・x’)が、バネ下部材の振動を減衰するように働くバネ下減衰制御力を表す。つまり、目標荷重freqは、車両を制振するために必要とされる減衰力を、直列サブアブソーバ40で発生させる荷重の目標値として設定したものである。
【0056】
本実施形態においては、この目標荷重freqを直列サブアブソーバ40で発生するように電磁アクチュエータ30を駆動制御することで、車両の上下振動を抑制する。
【0057】
次に、実荷重検出ブロック120について説明する。実荷重検出ブロック120は、電磁アクチュエータストローク演算部121と、直列サブアブソーバストローク演算部122と、直列サブアブソーバストローク速度演算部123と、実荷重演算部124とから構成される。
【0058】
電磁アクチュエータストローク演算部121は、モータ回転角センサ63の出力するモータ回転角θm2を表す検出信号を入力し、モータ回転角θm2にボールネジ機構のネジリードLを乗じることにより電磁アクチュエータ30の中立位置からのストローク(x−x)を計算する。
【0059】
直列サブアブソーバストローク演算部122は、ストロークセンサ62の出力するサスペンションストロークST(=x−x)と、電磁アクチュエータストローク演算部121により計算された電磁アクチュエータ30のストローク(x−x)とを入力し、サスペンションストロークST(=x−x)から電磁アクチュエータ30のストローク(x−x)を減算することにより、直列サブアブソーバ40のストローク(x―x)、つまり、中立位置からの変位量を計算する。
【0060】
直列サブアブソーバストローク速度演算部123は、直列サブアブソーバストローク演算部122により計算された直列サブアブソーバ40のストローク(x―x)を入力し、そのストローク(x―x)を時間で微分することにより、直列サブアブソーバ40のストローク速度(x’−x’)、つまり、変位速度を計算する。
【0061】
実荷重演算部124は、直列サブアブソーバ40で発生した実際の荷重を演算により検出する機能部であり、直列サブアブソーバ40のストローク(x―x)とストローク速度(x’−x’)とを入力して、次式(2)により実荷重frealを計算する。
freal=K(x―x)+C(x’−x’) ・・・(2)
【0062】
目標荷重演算部114で計算された目標荷重freqと、実荷重演算部124で計算された実荷重frealとは、フィードバック制御ブロック130に供給される。フィードバック制御ブロック130は、偏差演算部131と、モータ制御量演算部132とから構成される。偏差演算部131は、目標荷重freqから実荷重frealを減算することにより偏差Δf(=freq−freal)を求め、その偏差Δfをモータ制御量演算部132に供給する。
【0063】
モータ制御量演算部132は、その偏差Δfを用いて実荷重frealが目標荷重freqに追従するようにフィードバック演算式を使ってモータ制御量fmotorを計算する。モータ制御量fmotorは、次式(3)により計算される。
【数1】

ここで、Kは比例項のゲインであり、Kは積分項のゲインである。
【0064】
モータ制御量演算部132は、(3)式に基づいて演算したモータ制御量fmotorに対応する制御信号をモータEDU70に出力する。
【0065】
モータEDU70は、PWM制御信号出力部71と3相インバータ72とを備えている。PWM制御信号出力部71は、モータ制御量演算部132から出力されたモータ制御量fmotorに対応する制御信号に基づいてPWM制御信号を生成し、そのPWM制御信号を3相インバータ72のスイッチング素子に出力する。このPWM制御信号は、モータ制御量fmotorを電動モータ31で発生するように3相インバータ72の各スイッチング素子のデューティ比が設定された制御信号である。PWM制御信号出力部71は、モータ回転角センサ63にて検出されたモータ回転角θm1を読み込み、モータ回転角θm1に同期したPWM制御信号を生成する。
【0066】
3相インバータ72には、図示しない車載バッテリから電源が供給されている。従って、3相インバータ72のスイッチング素子のデューティ比が制御されることにより、モータ制御量fmotorに応じた電流が車載バッテリから電動モータ31に流れて、電動モータ31がモータ制御量fmotorに対応したトルクを発生する。このとき電動モータ31からの回生電流が目標通電量よりも多ければ、その差分だけ車載バッテリ側に回生電流が流れ、逆に、電動モータ31からの回生電流が目標通電量よりも少なければ、その差分だけ車載バッテリから電動モータ31に通電される。この結果、直列サブアブソーバ40で目標荷重freqが発生するように電磁アクチュエータ30が作動することになる。
【0067】
以上説明した本実施形態のサスペンション装置によれば、車両の上下方向の運動を制振するために設定する目標制御量を、直列サブアブソーバ40で発生させる目標荷重freqとして設定する。そして、実際に直列サブアブソーバ40で発生する実荷重frealを演算により推定し、この実荷重frealをフィードバックして、両者の偏差Δfに基づいたフィードバック演算式によりモータ制御量fmotorを計算する。従って、中間部材の慣性力が発生しても、その慣性力は、直列サブアブソーバ40の実荷重の一部として表れるため、フィードバック制御により慣性力の影響を直接検出して低減することができる。これにより、慣性補償も合わせた車両の制振制御を行うことができる。
【0068】
特許文献1で提案された従来装置においては、中間部材の慣性力の影響を補償する慣性補償制御量の演算を行い、車両の制振制御量に慣性補償制御量を加算したモータ制御量でフィードフォワード制御している。このため、悪路走行時に、バネ下上下加速度に基づいて求められる慣性補償制御量の演算がバネ下上下加速度の変化に追従できなくなり、モータ制御量に位相遅れが生じていた。これに対して、本実施形態のサスペンション装置では、バネ下上下加速度に比例する慣性補償制御量を演算する必要が無いため、悪路走行時であってもモータ制御量の位相遅れが抑制される。また、位相遅れが発生しても、フィードバック制御により、適正に補正することができる。このため、位相遅れに対処するためにマイクロコンピュータの高スペック化を図る必要がなく低コストにて実施することができる。
【0069】
また、本実施形態のサスペンション装置では、慣性補償制御量を演算するためにバネ下上下加速度を検出する必要がない。一般に、バネ下上下加速度は、バネ下部材に設けたバネ下加速度センサにより検出されるが、バネ下加速度センサの出力は、高周波ノイズを除去するためにローパスフィルタ処理を行った後に慣性補償制御量の演算に利用される。しかし、悪路走行時のように急激な路面変化が生じると、ローパスフィルタ処理されたバネ下上下加速度に位相遅れが生じてしまい、従来装置においては、慣性補償制御量の位相遅れを助長させていた。これに対して、本実施形態のサスペンション装置では、バネ下上下加速度を検出する必要もないため、ローパスフィルタ処理による制御量の位相遅れという問題が存在しない。
【0070】
これらの結果、本実施形態のサスペンション装置によれば、中間部材の慣性力の影響を補償するように電磁アクチュエータ30を駆動制御することができるため乗り心地が向上する。また、これに伴って、直列サブアブソーバ40のストッパ当たりが抑制されるため、ボールネジ機構32に加わる軸力を低減することができる。これにより、ボールネジ機構32の強度を増加させなくても所望の耐久性能を確保することができ、高い信頼性を得ることができる。
【0071】
以上、本実施形態のサスペンション装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0072】
例えば、本実施形態においては、車両の上下振動を抑制するように、バネ上減衰制御力とバネ下減衰制御力とに基づいて目標荷重freqを演算しているが、何れか一方の減衰制御力に基づいて目標荷重freqを演算してもよいし、車両姿勢変化を抑制するように働く制御量(ロール抑制制御量、ピッチ抑制制御量)を加味するようにしてもよい。
【0073】
また、本実施形態においては、モータ制御量fmotorを演算するにあたって、PI演算式を用いているが、偏差Δfの微分項も含めたPID演算式を用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0074】
10…サスペンション本体、20…エアバネ装置、30…電磁アクチュエータ、31…電動モータ、32…ボールネジ機構、321…ボールネジ軸、322…ボールネジナット、40…直列サブアブソーバ、40a…液圧式ダンパ、40b…コイルスプリングユニット、41…シリンダ、42…バルブピストン、43…ピストンロッド、61…バネ上加速度センサ、62…ストロークセンサ、63…モータ回転角センサ、70…モータEDU、71…PWM制御信号出力部、72…3相インバータ、100…サスペンションECU、110…目標荷重設定ブロック、111…バネ上速度演算部、112…ストローク速度演算部、113…バネ下速度演算部、114…目標荷重演算部、120…実荷重検出ブロック、121…電磁アクチュエータストローク演算部、122…直列サブアブソーバストローク演算部、123…直列サブアブソーバストローク速度演算部、124…実荷重演算部、130…フィードバック制御ブロック、131…偏差演算部、132…モータ制御量演算部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のバネ上部材とバネ下部材との間に配設されたサスペンションバネと並列に設けられ、バネ上部材とバネ下部材との間の相対移動に対する推進力および減衰力を発生する電動モータおよび減速機を有する電磁アクチュエータと、
前記電磁アクチュエータと前記バネ下部材との間に配設され、前記電磁アクチュエータと直列に設けられる直列バネと直列ダンパとを並列に備えた直列サブアブソーバと、
前記直列サブアブソーバの上下方向の運動に関連する物理量を検出する直列サブアブソーバ運動量検出手段と、
前記直列サブアブソーバ運動量検出手段により検出した前記直列サブアブソーバの運動に関連する物理量と前記直列サブアブソーバの荷重特性とに基づいて前記直列サブアブソーバで発生している実荷重を演算する実荷重演算手段と、
車両の上下方向の運動に関連する物理量を検出する上下運動量検出手段と、
前記上下運動量検出手段により検出した前記車両の上下方向の運動に関連する物理量に基づいて、前記直列サブアブソーバで発生させる目標荷重を演算する目標荷重演算手段と、
前記実荷重演算手段により演算した実荷重が前記目標荷重演算手段により演算した目標荷重に追従するように、前記実荷重と前記目標荷重との偏差に基づいて、前記電磁アクチュエータの電動モータを駆動制御するフィードバック制御手段と
を備えたサスペンション装置。
【請求項2】
前記直列サブアブソーバ運動量検出手段は、前記直列サブアブソーバの上下方向の変位量および変位速度を検出し、
前記実荷重演算手段は、前記直列サブアブソーバの上下方向の変位量および変位速度と、前記直列バネのバネ定数と前記直列ダンパの減衰係数とに基づいて前記直列サブアブソーバで発生している実荷重を演算することを特徴とする請求項1記載のサスペンション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−76682(P2012−76682A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225737(P2010−225737)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】