サッシュモール端部の保持構造
【課題】自動車用ドアのドアサッシュ上縁に沿って取付けられるサッシュモールの端部を保持し、かつその保持をウェザストリップ取付け後でも取付け前でも順序不同で行えるようにする。
【解決手段】ドアサッシュ32に沿ってウェザストリップとサッシュモール3が取付けられ、ウェザストリップの端部の型成形部31には、硬質材よりなるクリップ33がインサート成形されている。クリップ33は型成形部31より下向きに突出する部分に斜め上向きに突出する引掛部37が形成されている。サッシュモール端に型成形された硬質材よりなるエンドキャップ39にはフランジ41に突き当たって位置決めされる位置決め突起42と、その上方に係止部43が形成され、フランジ41との間の隙間にクリップ33の引掛部37が押し込んで強制挿入される。
【解決手段】ドアサッシュ32に沿ってウェザストリップとサッシュモール3が取付けられ、ウェザストリップの端部の型成形部31には、硬質材よりなるクリップ33がインサート成形されている。クリップ33は型成形部31より下向きに突出する部分に斜め上向きに突出する引掛部37が形成されている。サッシュモール端に型成形された硬質材よりなるエンドキャップ39にはフランジ41に突き当たって位置決めされる位置決め突起42と、その上方に係止部43が形成され、フランジ41との間の隙間にクリップ33の引掛部37が押し込んで強制挿入される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用ドアのドアサッシュに沿って取付けられるサッシュモールにおけるサッシュモール端の保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用ドアのドアサッシュには、ドア閉時にボデーとの間をシールするゴム様弾性体によるウェザストリップと、ドアサッシュ車外側面に樹脂製の装飾用サッシュモールが取付けられている。図1に示す自動車を例にとっていえば、サッシュモール3はフロントドア1及びリヤドア2のドアサッシュに取付けられ、ウェザストリップ8はフロントドア1において図2に示すように、車内側のドア周りに取付けられ、押出し部8aと、図1のコーナ部のa及びbにおいて押出し部8aを連結する型成形部8bよりなっている。図2中、三角印は黒く塗り潰した部分の側が型成形部であり、非塗り潰し部分の側が押出し部である。
【0003】
上述のサッシュモールは、ドアサッシュに取付けられて保持されるが、サッシュモール端には通常ドアサッシュが設けられておらず、型成形されたエンドキャップ4が、ドアサッシュ端から挿入されているのみで、ドアに保持されるようになっていない。また、前記サッシュモール端に位置するウェザストリップに関しては、図1のa部における従来構造を示す図3及び図4で説明すると、ウェザストリップの型成形部8bに一体形成のヒレ5によって形成される差込み溝をドアピラー上端のフランジ6に差し込んで、上記ヒレ5を挟むようにエンドキャップ4が取り付けられたサッシュモール端部を車外側から取付け、ウェザストリップ端をフランジ6に保持させている。
【0004】
下記特許文献1には、図1のC−C線断面に相当するベルトモール端の保持構造に関するものであるが、図5に示すように窓ガラスに弾接するシールリップ10を備えたベルトモール11とエンドキャップ12を金型にセットしてポリマー材料を射出して両者を連結した成形品組立体13のエンドキャップ12をアウタードアパネル14に差込み、エンドキャップ12に一体形成される係合片15をアウタードアパネル14に係止させて保持させるようにしたものが開示され、また特許文献2には、車体のフロントピラーの下部にダッシュサイドトリムを取付ける構造に関するものであるが、図6に示すようにフロントピラー21のフランジ22に嵌着されたウェザストリップ23の基部24と、ダッシュサイドトリム25のリブ26をクリップ27により連結してダッシュサイドトリム25の側縁部がフロントロアピラー21から浮き上がらないように保持させるものが開示されている。
【特許文献1】特開2005−212219号
【特許文献2】実願平3−88981号(実開平5−32154号)のCD−ROM
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図3及び図4に示す従来構造においては、型成形されたウェザストリップのヒレ5に剛性がないためフランジ6に差込みにくいし、フランジ6への保持力も弱いためサッシュモール3を引張ると外れ易く、外れてしまうと元に戻すことが困難であり、また型成形時にゴムや樹脂材料が厚みの薄いヒレを形成するキャビティの隅まで行き渡りにくく、ヒレに材料が十分に行き渡らないことによって窪みや、ウェルド状のガス傷が形成されること、型抜き時にヒレが破れ易いことなどの問題があった。
【0006】
図5に示される保持構造は、ベルトモール端の保持構造であってサッシュモール端の保持構造ではない。しかし、ポリマー成型されたクリップ12がベルトモール端に射出成形により固着される内容が示されている。しかし組付けに当たってはクリップに対応するドアパネルが存在し、クリップは直接ドアパネルに組付けられている。したがって後述する本願のようにドア側に組付け箇所が存在しない部位への対応とは異なる。
【0007】
図6に示す保持構造は、ダッシュサイドトリムの保持構造で、ダッシュサイドトリムの側縁部がウェザストリップと共にフロントピラーのフランジに取付けられるようになっているが、その取付けはウェザストリップをクリップと共に先にフランジに取付けてからダッシュサイドトリムのリブをクリップに差込むことによって行われ、先にダッシュサイドトリムを取付けてからウェザストリップを取り付けることはできない。
【0008】
本発明は、従来保持されていなかったサッシュモール端をドアへ保持できるようにすると共に、サッシュモール端の保持をウェザストリップ取付後でも、また取付前でも行って順序不同にできるようにすることにより、サッシュモール端の保持作業が容易に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、自動車用ドアの上縁に沿って取付けられるサッシュモールの端部の保持構造であって、ドアに取付けられ、ドア閉時にボデーとの間をシールするウェザストリップのサッシュモール端部に対応する箇所にインサート成形され、引掛部をウェザストリップより側方に突出させた硬質材よりなるクリップと、サッシュモールの端部に型成形され、上記引掛け部に係止する係止部を備えたエンドキャップよりなることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記サッシュモールがドアサッシュのフランジに沿って取付けられ、エンドキャップには係止部より一定間隔離れた下方にドアパネルのフランジに突き当たってサッシュモール端の位置決めを行う位置決め突起が形成され、上記係止部は上記ドアパネルのフランジとの間に斜め上向きに突出する引掛部が強制挿入可能な隙間sを存することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によると、サッシュモール端はウェザストリップを取付けたのちエンドキャップの係止部をクリップの引掛部に引掛けることにより保持させることができるし、サッシュモールを取付けたのち、ウェザストリップを取付け、クリップの引掛部をサッシュモール端のエンドキャップの係止部に係止させて保持させることもでき、サッシュモールとウェザストリップは順序不同に取付けることができること、インサート成形されるクリップは剛性の大なる任意の材質のもの、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド等の樹脂や、鋼、ステンレス、アルミ等の金属を選択することができ、図3及び図4に示すようなヒレ5を形成するときのようなガス傷の問題を生ずることがないこと等の効果を奏する。
【0012】
請求項2記載の発明によると、ウェザストリップはサッシュモールを取付けたのち取付けられ、取付け時には引掛部をエンドキャップの係止部とドアサッシュのフランジとの間の隙間に強制的に挿入する。挿入時には引掛部が押込められるか、或いはサッシュモール端が車外側に押込められ、引掛部が係止部通過後、復元するか、或いはサッシュモール端が復元して引掛け部がエンドキャップの係止部に係止する。強制挿入時には、パチンという音ないし感触が得られ、節度感のある挿入が行えること、クリップは硬質材よりなり、引掛け部は剛性が高いため挿入性がよく、長く形成しても挿入に支障がなく、長く形成して係止部との係合長さを延ばすことにより保持を確実に行うことができる、ことなどの効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面により説明する。
図7は、図1に示すフロントドア1におけるベルトライン前端付近のb部でのB-B線断面、図8は図1のD−D線断面を示すもので、ウェザストリップ28は、押出し部29及び型成形部31共、ゴム又は熱可塑性エラストマーよりなり、押出し部29は基底部30をドアサッシュ32に嵌合して取付けられ、ドアサッシュ32のフランジ41(車外側側面)にはサッシュモール3が取付けられている。
【0014】
型成形部31にはサッシュモール端が対応する箇所にサッシュモールより硬度の大なる材質、例えばポリプロピレンのような硬質材よりなるクリップ33がインサート成形されている。このクリップ33は図9に示すように、断面が略J形状をなし、型成形部31との一体感を増すため、成形材料が充填される多数の孔34と突起35が形成され、また型成形部31より下向きに突出するクリップ33の窓36下縁には斜め上向きに外側に突出する引掛部37が形成されている。
【0015】
ベルトラインより下に取付けられるウェザストリップは図11に示されるように、押出成形され、長尺方向に一定間隔で別に成形された略円柱状のファスナー38によりドアパネル39に設けられた穿孔40を通して固定されるようになっている。
【0016】
ドアサッシュ32に沿って取付けられる装飾用のサッシュモール3の端部には、同じく硬質材よりなるエンドキャップ45が型成形されている。このエンドキャップ45は図10に示すように、下部に側方に突出し、ドアパネル39のフランジ47に突き当たってサッシュモール端の位置決めを行う位置決め突起42が形成されると共に、その上方に上記引掛部37が上下方向に収まる程の間隔を存して係止部43が形成され、位置決め突起42がフランジ47に突き当たった状態で係止部43とフランジ47との間に引掛部37の側方への突出量よりも狭い隙間sが形成されるようになっている。
【0017】
ドアサッシュはドア構造上、サッシュモール全長にわたって設定されておらず、ドアのコーナ端部まで行き届いていない。このドアサッシュが設けられていない箇所でのサッシュモール端の保持は、ウェザストリップ28の押出し部29の基底部30をドアサッシュ32に沿わせて取付けたのち、サッシュモール3をドアサッシュ32のフランジ41に取付け、サッシュモール端を押し込んでエンドキャップ45の位置決め突起42をドアパネル39のフランジ47に押し当てると共に、係止部43を引掛け部37に上方より当てがうようにして係止させるか、或いは先にドアサッシュ32にサッシュモール3を取付けたのち、ウェザストリップを取付け、型成形部31より突出するクリップ33の引掛部37をドアパネル39のフランジ47に沿わせて係止部43との間の隙間sに上方より強く押込み、強制挿入することによって行う。これにより係止部43に引掛部37が係止し、係止はクリップ33及びエンドキャップ45が硬質材よりなることによりパチンという音が発生するか、或いは感触によって容易に確認することができる。以上のようにしてドアサッシュ32が存在しない箇所でのサッシュモール端の固定とウェザストリップ28の型成形部31の固定が一度に同時に可能となる。
【0018】
上記実施形態は、図1に示す自動車のフロントドア1におけるベルトライン前端付近b部のサッシュモール端の保持構造に関するものであるが、フロントドア1のドアピラー上端のa部、リヤドア2のドアピラー上端のc部及び後端のd部のサッシュモール端についても前記と同様の構造によって保持される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】自動車の要部の側面図。
【図2】ドア周りの車内側に取付けられるウェザストリップの略図。
【図3】図1のa部におけるサッシュモール端の従来構造を示す正面図。
【図4】図3のA−A線における断面図。
【図5】ベルトモール端の従来の保持構造を示す図1のC−C線における断面図。
【図6】ダッシュサイドトリムの従来の取付構造を示す断面図。
【図7】図1のB−B線における本発明に係る保持構造の断面図。
【図8】図1のD−D線における断面図。
【図9】クリップの斜視図。
【図10】ベルトライン下に取付けられるウェザストリップの断面図。
【図11】ウェザストリップを取付ける前にサッシュモールを取付けた状態の図7相当部の断面図。
【符号の説明】
【0020】
1・・フロントドア
2・・リヤドア
3・・サッシュモール
28・・ウェザストリップ
29・・ウェザストリップの押出し部
30・・基底部
31・・ウェザストリップの型成形部
32・・ドアサッシュ
33・・クリップ
34・・孔
35・・突起
36・・窓
37・・引掛部
38・・ファスナー
39・・ドアパネル
40・・穿孔
41・・ドアサッシュのフランジ
42・・突起
43・・係止部
45・・エンドキャップ
47・・ドアパネルのフランジ
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用ドアのドアサッシュに沿って取付けられるサッシュモールにおけるサッシュモール端の保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用ドアのドアサッシュには、ドア閉時にボデーとの間をシールするゴム様弾性体によるウェザストリップと、ドアサッシュ車外側面に樹脂製の装飾用サッシュモールが取付けられている。図1に示す自動車を例にとっていえば、サッシュモール3はフロントドア1及びリヤドア2のドアサッシュに取付けられ、ウェザストリップ8はフロントドア1において図2に示すように、車内側のドア周りに取付けられ、押出し部8aと、図1のコーナ部のa及びbにおいて押出し部8aを連結する型成形部8bよりなっている。図2中、三角印は黒く塗り潰した部分の側が型成形部であり、非塗り潰し部分の側が押出し部である。
【0003】
上述のサッシュモールは、ドアサッシュに取付けられて保持されるが、サッシュモール端には通常ドアサッシュが設けられておらず、型成形されたエンドキャップ4が、ドアサッシュ端から挿入されているのみで、ドアに保持されるようになっていない。また、前記サッシュモール端に位置するウェザストリップに関しては、図1のa部における従来構造を示す図3及び図4で説明すると、ウェザストリップの型成形部8bに一体形成のヒレ5によって形成される差込み溝をドアピラー上端のフランジ6に差し込んで、上記ヒレ5を挟むようにエンドキャップ4が取り付けられたサッシュモール端部を車外側から取付け、ウェザストリップ端をフランジ6に保持させている。
【0004】
下記特許文献1には、図1のC−C線断面に相当するベルトモール端の保持構造に関するものであるが、図5に示すように窓ガラスに弾接するシールリップ10を備えたベルトモール11とエンドキャップ12を金型にセットしてポリマー材料を射出して両者を連結した成形品組立体13のエンドキャップ12をアウタードアパネル14に差込み、エンドキャップ12に一体形成される係合片15をアウタードアパネル14に係止させて保持させるようにしたものが開示され、また特許文献2には、車体のフロントピラーの下部にダッシュサイドトリムを取付ける構造に関するものであるが、図6に示すようにフロントピラー21のフランジ22に嵌着されたウェザストリップ23の基部24と、ダッシュサイドトリム25のリブ26をクリップ27により連結してダッシュサイドトリム25の側縁部がフロントロアピラー21から浮き上がらないように保持させるものが開示されている。
【特許文献1】特開2005−212219号
【特許文献2】実願平3−88981号(実開平5−32154号)のCD−ROM
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図3及び図4に示す従来構造においては、型成形されたウェザストリップのヒレ5に剛性がないためフランジ6に差込みにくいし、フランジ6への保持力も弱いためサッシュモール3を引張ると外れ易く、外れてしまうと元に戻すことが困難であり、また型成形時にゴムや樹脂材料が厚みの薄いヒレを形成するキャビティの隅まで行き渡りにくく、ヒレに材料が十分に行き渡らないことによって窪みや、ウェルド状のガス傷が形成されること、型抜き時にヒレが破れ易いことなどの問題があった。
【0006】
図5に示される保持構造は、ベルトモール端の保持構造であってサッシュモール端の保持構造ではない。しかし、ポリマー成型されたクリップ12がベルトモール端に射出成形により固着される内容が示されている。しかし組付けに当たってはクリップに対応するドアパネルが存在し、クリップは直接ドアパネルに組付けられている。したがって後述する本願のようにドア側に組付け箇所が存在しない部位への対応とは異なる。
【0007】
図6に示す保持構造は、ダッシュサイドトリムの保持構造で、ダッシュサイドトリムの側縁部がウェザストリップと共にフロントピラーのフランジに取付けられるようになっているが、その取付けはウェザストリップをクリップと共に先にフランジに取付けてからダッシュサイドトリムのリブをクリップに差込むことによって行われ、先にダッシュサイドトリムを取付けてからウェザストリップを取り付けることはできない。
【0008】
本発明は、従来保持されていなかったサッシュモール端をドアへ保持できるようにすると共に、サッシュモール端の保持をウェザストリップ取付後でも、また取付前でも行って順序不同にできるようにすることにより、サッシュモール端の保持作業が容易に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、自動車用ドアの上縁に沿って取付けられるサッシュモールの端部の保持構造であって、ドアに取付けられ、ドア閉時にボデーとの間をシールするウェザストリップのサッシュモール端部に対応する箇所にインサート成形され、引掛部をウェザストリップより側方に突出させた硬質材よりなるクリップと、サッシュモールの端部に型成形され、上記引掛け部に係止する係止部を備えたエンドキャップよりなることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記サッシュモールがドアサッシュのフランジに沿って取付けられ、エンドキャップには係止部より一定間隔離れた下方にドアパネルのフランジに突き当たってサッシュモール端の位置決めを行う位置決め突起が形成され、上記係止部は上記ドアパネルのフランジとの間に斜め上向きに突出する引掛部が強制挿入可能な隙間sを存することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によると、サッシュモール端はウェザストリップを取付けたのちエンドキャップの係止部をクリップの引掛部に引掛けることにより保持させることができるし、サッシュモールを取付けたのち、ウェザストリップを取付け、クリップの引掛部をサッシュモール端のエンドキャップの係止部に係止させて保持させることもでき、サッシュモールとウェザストリップは順序不同に取付けることができること、インサート成形されるクリップは剛性の大なる任意の材質のもの、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド等の樹脂や、鋼、ステンレス、アルミ等の金属を選択することができ、図3及び図4に示すようなヒレ5を形成するときのようなガス傷の問題を生ずることがないこと等の効果を奏する。
【0012】
請求項2記載の発明によると、ウェザストリップはサッシュモールを取付けたのち取付けられ、取付け時には引掛部をエンドキャップの係止部とドアサッシュのフランジとの間の隙間に強制的に挿入する。挿入時には引掛部が押込められるか、或いはサッシュモール端が車外側に押込められ、引掛部が係止部通過後、復元するか、或いはサッシュモール端が復元して引掛け部がエンドキャップの係止部に係止する。強制挿入時には、パチンという音ないし感触が得られ、節度感のある挿入が行えること、クリップは硬質材よりなり、引掛け部は剛性が高いため挿入性がよく、長く形成しても挿入に支障がなく、長く形成して係止部との係合長さを延ばすことにより保持を確実に行うことができる、ことなどの効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面により説明する。
図7は、図1に示すフロントドア1におけるベルトライン前端付近のb部でのB-B線断面、図8は図1のD−D線断面を示すもので、ウェザストリップ28は、押出し部29及び型成形部31共、ゴム又は熱可塑性エラストマーよりなり、押出し部29は基底部30をドアサッシュ32に嵌合して取付けられ、ドアサッシュ32のフランジ41(車外側側面)にはサッシュモール3が取付けられている。
【0014】
型成形部31にはサッシュモール端が対応する箇所にサッシュモールより硬度の大なる材質、例えばポリプロピレンのような硬質材よりなるクリップ33がインサート成形されている。このクリップ33は図9に示すように、断面が略J形状をなし、型成形部31との一体感を増すため、成形材料が充填される多数の孔34と突起35が形成され、また型成形部31より下向きに突出するクリップ33の窓36下縁には斜め上向きに外側に突出する引掛部37が形成されている。
【0015】
ベルトラインより下に取付けられるウェザストリップは図11に示されるように、押出成形され、長尺方向に一定間隔で別に成形された略円柱状のファスナー38によりドアパネル39に設けられた穿孔40を通して固定されるようになっている。
【0016】
ドアサッシュ32に沿って取付けられる装飾用のサッシュモール3の端部には、同じく硬質材よりなるエンドキャップ45が型成形されている。このエンドキャップ45は図10に示すように、下部に側方に突出し、ドアパネル39のフランジ47に突き当たってサッシュモール端の位置決めを行う位置決め突起42が形成されると共に、その上方に上記引掛部37が上下方向に収まる程の間隔を存して係止部43が形成され、位置決め突起42がフランジ47に突き当たった状態で係止部43とフランジ47との間に引掛部37の側方への突出量よりも狭い隙間sが形成されるようになっている。
【0017】
ドアサッシュはドア構造上、サッシュモール全長にわたって設定されておらず、ドアのコーナ端部まで行き届いていない。このドアサッシュが設けられていない箇所でのサッシュモール端の保持は、ウェザストリップ28の押出し部29の基底部30をドアサッシュ32に沿わせて取付けたのち、サッシュモール3をドアサッシュ32のフランジ41に取付け、サッシュモール端を押し込んでエンドキャップ45の位置決め突起42をドアパネル39のフランジ47に押し当てると共に、係止部43を引掛け部37に上方より当てがうようにして係止させるか、或いは先にドアサッシュ32にサッシュモール3を取付けたのち、ウェザストリップを取付け、型成形部31より突出するクリップ33の引掛部37をドアパネル39のフランジ47に沿わせて係止部43との間の隙間sに上方より強く押込み、強制挿入することによって行う。これにより係止部43に引掛部37が係止し、係止はクリップ33及びエンドキャップ45が硬質材よりなることによりパチンという音が発生するか、或いは感触によって容易に確認することができる。以上のようにしてドアサッシュ32が存在しない箇所でのサッシュモール端の固定とウェザストリップ28の型成形部31の固定が一度に同時に可能となる。
【0018】
上記実施形態は、図1に示す自動車のフロントドア1におけるベルトライン前端付近b部のサッシュモール端の保持構造に関するものであるが、フロントドア1のドアピラー上端のa部、リヤドア2のドアピラー上端のc部及び後端のd部のサッシュモール端についても前記と同様の構造によって保持される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】自動車の要部の側面図。
【図2】ドア周りの車内側に取付けられるウェザストリップの略図。
【図3】図1のa部におけるサッシュモール端の従来構造を示す正面図。
【図4】図3のA−A線における断面図。
【図5】ベルトモール端の従来の保持構造を示す図1のC−C線における断面図。
【図6】ダッシュサイドトリムの従来の取付構造を示す断面図。
【図7】図1のB−B線における本発明に係る保持構造の断面図。
【図8】図1のD−D線における断面図。
【図9】クリップの斜視図。
【図10】ベルトライン下に取付けられるウェザストリップの断面図。
【図11】ウェザストリップを取付ける前にサッシュモールを取付けた状態の図7相当部の断面図。
【符号の説明】
【0020】
1・・フロントドア
2・・リヤドア
3・・サッシュモール
28・・ウェザストリップ
29・・ウェザストリップの押出し部
30・・基底部
31・・ウェザストリップの型成形部
32・・ドアサッシュ
33・・クリップ
34・・孔
35・・突起
36・・窓
37・・引掛部
38・・ファスナー
39・・ドアパネル
40・・穿孔
41・・ドアサッシュのフランジ
42・・突起
43・・係止部
45・・エンドキャップ
47・・ドアパネルのフランジ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用ドアの上縁に沿って取付けられるサッシュモール3の端部の保持構造であって、ドアに取付けられ、ドア閉時にボデーとの間をシールするウェザストリップ31のサッシュモール端部に対応する箇所にインサート成形され、引掛部37をウェザストリップ31より側方に突出させた硬質材よりなるクリップ33と、サッシュモール3の端部に型成形され、上記引掛部37に係止する係止部43を備えたエンドキャップ45よりなることを特徴とするサッシュモール端部の保持構造。
【請求項2】
上記サッシュモール3がドアサッシュ32のフランジ41に沿って取付けられ、エンドキャップ45には係止部43より一定間隔離れた下方にドアパネル39のフランジ47に突き当たってサッシュモール端の位置決めを行う位置決め突起42が形成され、上記係止部43は上記ドアパネル39のフランジ47との間に斜め上向きに突出する引掛部37が強制挿入可能な隙間sを存することを特徴とする請求項1記載のサッシュモール端部の保持構造。
【請求項1】
自動車用ドアの上縁に沿って取付けられるサッシュモール3の端部の保持構造であって、ドアに取付けられ、ドア閉時にボデーとの間をシールするウェザストリップ31のサッシュモール端部に対応する箇所にインサート成形され、引掛部37をウェザストリップ31より側方に突出させた硬質材よりなるクリップ33と、サッシュモール3の端部に型成形され、上記引掛部37に係止する係止部43を備えたエンドキャップ45よりなることを特徴とするサッシュモール端部の保持構造。
【請求項2】
上記サッシュモール3がドアサッシュ32のフランジ41に沿って取付けられ、エンドキャップ45には係止部43より一定間隔離れた下方にドアパネル39のフランジ47に突き当たってサッシュモール端の位置決めを行う位置決め突起42が形成され、上記係止部43は上記ドアパネル39のフランジ47との間に斜め上向きに突出する引掛部37が強制挿入可能な隙間sを存することを特徴とする請求項1記載のサッシュモール端部の保持構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−173065(P2009−173065A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−11041(P2008−11041)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(000196107)西川ゴム工業株式会社 (454)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(000196107)西川ゴム工業株式会社 (454)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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