説明

サンドイッチパネル製造方法およびサンドイッチパネル製造設備

【課題】サンドイッチパネルの厚みを確実に制御し、不良品率の低減が可能なサンドイッチパネル製造方法を提供する。
【解決手段】帯状のサンドイッチパネルPの製造方法であって、下面材供給装置2Lから供給された帯状の下面材1L上に発泡原液組成物Aをミキシングヘッド7から供給する工程と、上面材供給装置2Uからニップローラ8を介して上面材1Uを供給する工程と、発泡原液組成物Aの発泡処理を第1成型ロール11および第2成型ロール12で押えながら行う工程と、この発泡処理の工程の初期、中期、および後期においてサンドイッチ状構造体Bの厚みを厚みセンサー13により検出する工程と、サンドイッチパネルPの最終的な厚みが一定となるように、初期の厚みセンサー13aによる検出結果に基づいてニップローラ8の位置を変更する工程と、中期の厚みセンサー13bによる検出結果に基づいて第1成型ロール11の位置を変更する工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下両面に対向配置された面材間に発泡性樹脂芯材が発泡成形されてなる帯状のサンドイッチパネルを製造するためのサンドイッチパネル製造方法およびサンドイッチパネル製造設備に関する。
【背景技術】
【0002】
帯状のサンドイッチパネルを製造する工程の一例は、下記特許文献1,2などに開示されている。サンドイッチパネルは、例えば、硬質ポリウレタンフォームをクラフト紙などの紙材や鋼板により形成された上面材と下面材によりサンドイッチした構造を有しており、建築用の断熱パネルなどとして利用されている。このサンドイッチパネルの製造工程においては、上面材を巻き付けたロールと、下面材を巻き付けたロールから、夫々ロールを引き出していき、これら面材間に硬質ポリウレタンフォーム(発泡性樹脂芯材に相当)を発泡させて成形することで製品としての硬質ポリウレタンフォームが得られる。
【0003】
また、搬送される帯状の下面材の上方に配置されたミキシングヘッド(原液供給装置)から発泡原液組成物を下面材の面上に吐出させ、その後、上面材を発泡原液組成物が塗布された面上にニップローラを介して供給する。そして、ダブルコンベアにより帯状サンドイッチパネルの形態で上下面材を搬送させながら硬質ポリウレタンフォームの発泡処理が行われる。かかるサンドイッチパネルは、帯状の形態で連続的に製造されていき、裁断装置により所定サイズのパネルとなるように裁断される。
【0004】
【特許文献1】特開2002−363236号公報
【特許文献2】特開2005−178136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる帯状のサンドイッチパネルの最終的な厚みを所定の厚さに制御するため、硬質ポリウレタンフォームの発泡処理が完了した後に、サンドイッチパネルの厚みをセンサーにより検出する方法がある。しかしながら、発泡処理が完了した時点での厚みを検出する場合、仮に検出結果が所定の厚みから外れており、供給する発泡原液組成物の供給量などを調整しても、発泡原液組成物の供給位置から発泡完了位置までのサンドイッチパネルはすべてが不良品となってしまう。特に、厚さの厚いサンドイッチパネルや、発泡速度が遅く、発泡完了まで長時間を要するサンドイッチパネルなどの場合には、不良品となる長さが長くなり無駄が多くなってしまう。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、サンドイッチパネルの厚みを確実に制御し、不良品率の低減が可能なサンドイッチパネル製造方法およびサンドイッチパネル製造設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明に係るサンドイッチパネル製造方法は、
上下両面に対向配置された面材間に発泡性樹脂芯材が発泡成形されてなる帯状のサンドイッチパネルを製造するためのサンドイッチパネル製造方法であって、
下面材供給装置から供給された帯状の下面材上に、発泡性樹脂芯材の発泡原液組成物を原液供給部から供給する工程と、
発泡原液組成物が供給された上面に対して上面材供給装置からニップローラを介して上面材を供給する工程と、
下面材と上面材の間に供給された発泡原液組成物の発泡処理を上面材の上方から第1成型ロールおよび第2成型ロールで押えながら行う工程と、
この発泡処理の工程の初期、前記第1成型ロールと前記第2成型ロールとの間の中期、および前記第2成型ロールより下流側の後期においてサンドイッチパネルの厚みをセンサーにより検出する工程と、
サンドイッチパネルの最終的な厚みが一定となるように、前記初期のセンサーによる検出結果に基づいて前記ニップローラの位置を変更する工程と、
サンドイッチパネルの最終的な厚みが一定となるように、前記中期のセンサーによる検出結果に基づいて前記第1成型ロールの位置を変更する工程とを有することを特徴とする。
【0008】
かかる構成によるサンドイッチパネル製造方法の作用・効果を説明する。帯状の下面材と帯状の上面材は、それぞれ下面材供給装置および上面材供給装置により供給される。供給された帯状の下面材上に、原液供給部により発泡原液組成物を供給する。下面材の上に発泡原液組成物を供給した後に、上面材がニップローラを介して供給される。ニップローラを介して供給することで、発泡原液組成物が幅方向にわたって均一に塗布できるようにならされる。上下面材の間に発泡原液組成物が挟持された状態(帯状のサンドイッチパネルの状態)で、コンベア装置を備えた発泡室において上面材の上方から第1成型ロールおよび第2成型ロールで押えながら加熱・発泡され、発泡処理が徐々に進行して行く。
【0009】
一方、発泡処理の工程の初期、前記第1成型ロールと前記第2成型ロールとの間の中期、および第2成型ロールより下流側の後期において、帯状のサンドイッチパネルの厚みをセンサーにより検出する。このうち初期のセンサーによる検出結果に基づいて、サンドイッチパネルの最終的な厚みが一定となるように、ニップローラの位置を変更する。また、中期のセンサーによる検出結果に基づいて、サンドイッチパネルの最終的な厚みが一定となるように、第1成型ロールの位置を変更する。このように発泡処理の工程の初期および中期の厚みの検出結果をフィードバックして最終的な厚みを調整するので、サンドイッチパネルの厚みを確実に制御し、発泡原液組成物の供給位置から発泡完了位置までのサンドイッチパネルのすべてが不良品となることを防ぐことができ、不良品率を低減することができる。
【0010】
本発明において、サンドイッチパネルの最終的な厚みが一定となるように、前記後期のセンサーによる検出結果に基づいて前記第2成型ロールの位置を変更する工程を有することが好ましい。
【0011】
この構成によれば、発泡工程の後期の厚みの検出結果をフィードバックして最終的な厚みを調整するので、サンドイッチパネルの厚みをより確実に制御することができる。
【0012】
本発明において、サンドイッチパネルの最終的な厚みが一定となるように、前記初期、中期、および後期のセンサーによる検出結果に基づいて、前記原液供給部から供給される発泡原液組成物の供給量を調整する工程を有することが好ましい。
【0013】
発泡処理の工程の初期、中期、および後期のセンサーによる検出結果に基づいて、原液供給部から供給される発泡原液組成物の供給量を調整することで、サンドイッチパネルの最終的な厚みをより確実に制御することができる。
【0014】
本発明において、前記サンドイッチパネルは、前記発泡性樹脂芯材にガラス繊維マットを含むことが好ましい。
【0015】
下面材上に載置された複数枚のガラス繊維マットの上から発泡原液組成物を供給して含浸し、発泡原液組成物を発泡・硬化させることにより、発泡性樹脂芯材にガラス繊維マットを含むサンドイッチパネルが製造される。このようなサンドイッチパネルは、ガラス繊維マットの含浸及び密度の一定化のために、ゆっくりと発泡・硬化させる必要がある。したがって、発泡原液組成物の供給位置から発泡完了位置までの長さが長くなるので、上記のように発泡処理の工程の初期、中期、および後期の厚みの検出結果をフィードバックして最終的な厚みを調整することにより、サンドイッチパネルの厚みを確実に制御し、不良品率を低減することができる。
【0016】
上記課題を解決するため本発明に係るサンドイッチパネル製造設備は、
上下両面に対向配置された面材間に発泡性樹脂芯材が発泡成形されてなる帯状のサンドイッチパネルを製造するためのサンドイッチパネル製造設備であって、
下面材を供給するための下面材供給装置と、
下面材供給装置から供給された帯状の下面材上に、発泡性樹脂芯材の発泡原液組成物を供給するためのノズルと、
上面材をニップローラを介して供給するための上面材供給装置と、
下面材と上面材の間に供給された発泡原液組成物の発泡処理を上面材の上方から第1成型ロールおよび第2成型ロールで押えながら行う発泡処理部と、
この発泡処理部の初期、前記第1成型ロールと前記第2成型ロールとの間の中期、および前記第2成型ロールより下流側の後期の位置においてサンドイッチパネルの厚みを検出するためのセンサーと、
サンドイッチパネルの最終的な厚みが一定となるように、前記初期のセンサーによる検出結果に基づいて前記ニップローラの位置を変更するニップローラ位置変更手段と、
サンドイッチパネルの最終的な厚みが一定となるように、前記中期のセンサーによる検出結果に基づいて前記第1成型ロールの位置を変更する第1成型ロール位置変更手段とを有することを特徴とする。
【0017】
かかる構成を有するサンドイッチパネル製造設備の作用・効果は、既に述べた通りである。すなわち、発泡処理の工程の初期および中期の厚みの検出結果をフィードバックして最終的な厚みを調整するので、サンドイッチパネルの厚みを確実に制御し、発泡原液組成物の供給位置から発泡完了位置までのサンドイッチパネルのすべてが不良品となることを防ぐことができ、不良品率を低減することが可能なサンドイッチパネル製造設備を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係るサンドイッチパネル製造設備の好適な実施形態を図面を用いて説明する。図1は、サンドイッチパネル製造設備を模式的に示す側面図である。
【0019】
下面材1Lを、下面材供給装置2Lからコンベア3上に供給し、その上に補強用のガラス繊維材料として3層のガラス繊維マット6(6a,6b,6c)をそれぞれ原反から連続的に巻き戻して供給、載置し、発泡機のミキシングヘッド7(原液供給部に相当)から供給される硬質ポリウレタンフォーム発泡原液組成物(以下、単に発泡原液組成物と称する)Aを供給した後、上部より上面材1Uを上面材供給装置2Uからニップローラ8を介して連続的に供給してサンドイッチ状構造体Bとする。このサンドイッチ状構造体Bを、上面材1Uの上方からニップローラ8により押圧力を付与させつつ、下面材支持台4上を搬送し、コンベア9を備えた加熱オーブン10に送り、発泡・硬化させる(発泡処理工程)。この発泡処理工程は、上面材1Uの上方に配置された第1成型ロール11と第2成型ロール12によってサンドイッチ状構造体Bを押えながら行われ、最終的に上下面材間に硬質ポリウレタンフォーム(発泡性樹脂芯材に相当)が発泡成形されてなる所定の厚みを有する帯状のサンドイッチパネルPを製造する。第1成型ロール11と第2成型ロール12は、図のようにそれぞれ多数のローラ群から構成され、全体が一体となって位置の調整を行うことができる。
【0020】
硬質ポリウレタンフォームは、公知の低温断熱性能に優れた硬質ポリウレタンフォーム原液を使用して形成される。硬質ポリウレタンフォーム原液は、活性水素含有化合物、発泡剤、触媒等を含有する成分(ポリオール成分)と、ポリイソシアネート化合物を主成分とする成分(イソシアネート成分)を使用し、発泡機を使用してポリオール成分とイソシアネート成分とを混合して発泡原液組成物Aとして硬質ポリウレタンフォームの成形に供される。
【0021】
ガラス繊維マット6(6a,6b,6c)は、原反から巻き戻して供給する際に、ほぐしローラ5(5a,5b,5c)にてほぐしが行われる。なお、図1ではガラス繊維マット6は3層供給されているが、これに限られるものではない。使用するガラス繊維マット6の層数は、製造するフォームの厚さ、要求される強度、使用するガラス繊維マット6の厚さや目付量等を考慮して適宜設定されるが、一般には2〜7層程度である。
【0022】
使用されるガラス繊維材料としては、アスペクト比の大きいガラス繊維が好ましく、好適な材料としてガラス長繊維のマット状の製品、具体的にはチョップストランドマット、コンティニュアスストランドマット等が例示される。発泡原液組成物Aの含浸性、フォームの補強性に優れていることから、コンティニュアスストランドマットの使用が最も好ましい。
【0023】
また、本発明において使用する面材としては、公知の面材は限定なく使用可能である。具体的には、紙面材、樹脂ラミネート紙面材、アルミニウムシート、樹脂フィルム等の公知の可とう面材が例示され、限定なく使用可能である。
【0024】
図2は、サンドイッチパネル製造設備の主要部を示す斜視図である。図2に示すように、ミキシングヘッド7から下面材1L上に載置されたガラス繊維マット6の上に発泡原液組成物Aが供給される。ミキシングヘッド7は、ニップローラ8よりも上流側に配置されており、塗布された発泡原液組成物Aは、このニップローラ8によりならされて均一な厚みを実現できるようにしている。上面材1Uは、このニップローラ8によりガイドされる形で供給されており、また、ニップローラ8により上面材1Uの上方を押え付けるような構成になっている。
【0025】
ミキシングヘッド7は、下面材1Lの搬送方向に直交する搬送幅方向に沿って往復移動(トラバース)可能であり、そのためのトラバース装置が設けられている。ミキシングヘッド7には、不図示のパイプにより発泡原液組成物Aが供給される。
【0026】
また、図1および図2に示すように、サンドイッチ状構造体B(サンドイッチパネルP)の厚みを検出するための厚みセンサー13(13a,13b,13c)が、サンドイッチ状構造体Bの搬送幅方向(図1の紙面に垂直な方向)の中央部に設けられている。ただし、厚みセンサー13は、中央部のみではなく、幅方向に2つ以上設けてもよい。
【0027】
これらの厚みセンサー13は、搬送方向の上流側から13a,13b,13cとなっており、発泡処理工程の初期位置14、中期位置15、後期位置16のサンドイッチ状構造体Bの厚みt1、t2、t3をそれぞれ検出する。初期位置14はニップローラ8と第1成型ロール11との間、中期位置15は第1成型ロール11と第2成型ロール12との間、後期位置16は第2成型ロール12の下流側とする。より具体的には、サンドイッチ状構造体Bの発泡処理が進み、その厚みが、最終的なサンドイッチパネルPの厚み(最終製品の厚み)の10%、75%、100%となる位置を、発泡処理工程の初期位置14、中期位置15、後期位置16と定める。なお、ニップローラ8の設置後であって出来る限り上流側に厚みセンサー13aを設置したいこと、および発泡を開始するクリームタイムの位置を考慮して最終製品の厚みの10%を初期位置14とした。また、硬質ポリウレタンフォームが流動性を失いゲル化を開始するゲルタイムの位置を考慮して、最終製品厚みの75%を中期位置15とした。ゲルタイムまでは、硬質ポリウレタンフォームに流動性があり、第1成型ロール11によってサンドイッチ状構造体Bの上面の平滑性および最終製品厚みをコントロールすることができるからである。ただし、これらの位置は一例であり、サンドイッチパネルPの厚み、発泡原液組成物の反応性などの条件により適宜設定される。
【0028】
図3に示すように、厚みセンサー13(13a,13b,13c)による検出信号は、制御装置17に送信される。
【0029】
また、設定部18を設けており、モニター19を見ながら各位置14,15,16での許容厚みを設定する。許容厚みとは、各位置14,15,16での基準となる厚み(基準厚み)に対して、例えば、その上下に数%または数mmまで許容可能か否かにより設定される。ここで、基準厚みは、上記のように、最終的なサンドイッチパネルPの厚み(最終製品の厚み)の10%、75%、100%の厚みである。
【0030】
制御装置17は、厚みセンサー13(13a,13b,13c)からの検出結果に基づいて、警報ブザー20に対して指令を与える。すなわち、制御装置17は、各位置14,15,16での厚みt1、t2、t3がそれぞれの許容厚みの値を外れた超えた場合には、警報ブザー20が鳴るように指令を与える。オペレータは、警報ブザー20を聞いた後、初期位置14での厚みt1が許容厚みの値を外れた場合には直前のニップローラ8を即座に調整し、中期位置15で厚みt2が許容厚みの値を外れた場合には直前の第1成型ロール11を即座に調整し、後期位置16での厚みt3が許容厚みの値を外れた場合には直前の第2成型ロール12を即座に調整し、最終製品が所定の厚みとなるように調整する。ただし、これらニップローラ8、第1成型ロール11、および第2成型ロール12の調整は、図4に示すような制御プラグラム21、ニップローラ位置制御部22、第1成型ロール位置制御部23、および第2成型ロール位置制御部24などを追加することにより自動化することもできる。
【0031】
具体的には、サンドイッチ状構造体Bの厚みは、発泡密度の変化などに応じて変化するので、厚みt1がその許容厚みの上限値を超えている場合にはニップローラ8を下方向に調整し、許容厚みの下限値を下回っている場合にはニップローラ8を上方向に調整する。また、厚みt2がその許容厚みの上限値を超えている場合には第1成型ロール11を下方向に調整し、許容厚みの下限値を下回っている場合には第1成型ロール11を上方向に調整する。また、厚みt3がその許容厚みの上限値を超えている場合には第2成型ロール12を下方向に調整し、許容厚みの下限値を下回っている場合には第2成型ロール12を上方向に調整する。なお、例えば、厚みt1とt2がそれぞれ許容厚みの値を外れた場合には、ニップローラ8の位置と第1成型ロール11の位置とを両方調整することで最終製品の厚みを調整することが可能である。
【0032】
しかし、通常であれば、各位置14,15,16での厚みt1、t2、t3は、上記のようにニップローラ8、第1成型ロール11、第2成型ロール12の位置を調整することで調整可能であるが、温度などの発泡条件によっては調整しきれない場合がある。このような場合、オペレータは、警報ブザー20を聞いた後、ミキシングヘッド7から供給される発泡原液組成物Aの供給量を即座に調整することにより、各位置14,15,16での厚みt1、t2、t3を調整し、最終製品の厚みが所定の厚みとなるように調整することができる。
【0033】
具体的には、各位置14,15,16での厚みt1、t2、t3は、ミキシングヘッド7から供給される発泡原液組成物Aの供給量に応じて変化するので、厚みt1、t2、t3が、それぞれの許容厚みの上限値を超えている場合には発泡原液組成物Aの供給量を減少させ、許容厚みの下限値を下回っている場合には発泡原液組成物Aの供給量を増大させる。ただし、これらの発泡原液組成物Aの供給量の調整も、不図示の制御プログラムや供給量調整部などを追加することにより自動化することができる。
【0034】
したがって、厚みセンサー13(13a,13b,13c)は、サンドイッチ状構造体Bの厚みが、最終的なサンドイッチパネルPの厚み(最終製品の厚み)の10%、75%、100%となる位置14,15,16に設けられており、特に、発泡処理工程の初期(位置14)と中期(位置15)の厚みセンサー13a,13bによる検出結果に基づいてニップローラ8と第1成型ロール11の位置を調整することで、サンドイッチパネルPの厚みを確実に制御し、不良品率を低減することができる。また、発泡処理工程の後期(位置16)の厚みセンサー13cによる検出結果に基づいて第2成型ロール12の位置を調整することで、サンドイッチパネルPの最終的な厚みをより確実に制御することができる。さらには、発泡処理の工程の初期(位置14)、中期(位置15)、および後期(位置16)の厚みセンサー13a,13b、および13cによる検出結果に基づいて、ミキシングヘッド7から供給される発泡原液組成物Aの供給量を調整することで、サンドイッチパネルPの最終的な厚みをより確実に制御することができる。
【0035】
<別実施形態>
上記実施形態では、ガラス繊維マット6を使用して強化した硬質ポリウレタンフォームが発泡成形されてなる帯状のサンドイッチパネルPの製造方法について説明を行った。このようなガラス繊維マット6を使用したサンドイッチパネルP、特に厚みのあるサンドイッチパネルPは、発泡完了まで長時間を要し、不良品となる長さが長くなり無駄が多くなってしまう。そのため、ガラス繊維マット6を使用したサンドイッチパネルPや厚みのあるサンドイッチパネルPの製造には、本発明に係るサンドイッチパネル製造方法が特に効果的である。
【0036】
しかし、本発明に係るサンドイッチパネル製造方法は、これに限られるものではなく、ガラス繊維マット6を使用せず上下面材間に発泡性樹脂芯材が発泡成形されてなる帯状のサンドイッチパネルPに広く適用可能である。なお、ガラス繊維マット6のような含浸させる必要のある繊維等を使用しない場合には、ニップローラ8の位置を適切に調整するのみで、最終製品の厚みを許容厚みの範囲に制御することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】サンドイッチパネル製造設備を模式的に示す側面図
【図2】サンドイッチパネル製造設備の主要部を示す斜視図
【図3】サンドイッチパネル製造設備の制御機構の一構成例を示した機能ブロック図
【図4】サンドイッチパネル製造設備の制御機構の別の構成例を示した機能ブロック図
【符号の説明】
【0038】
1L 下面材
1U 上面材
2L 下面材供給装置
2U 上面材供給装置
6 ガラス繊維マット
7 ミキシングヘッド
8 ニップローラ
11 第1成型ロール
12 第2成型ロール
13 厚みセンサー
14 初期位置
15 中期位置
16 後期位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下両面に対向配置された面材間に発泡性樹脂芯材が発泡成形されてなる帯状のサンドイッチパネルを製造するためのサンドイッチパネル製造方法であって、
下面材供給装置から供給された帯状の下面材上に、発泡性樹脂芯材の発泡原液組成物を原液供給部から供給する工程と、
発泡原液組成物が供給された上面に対して上面材供給装置からニップローラを介して上面材を供給する工程と、
下面材と上面材の間に供給された発泡原液組成物の発泡処理を上面材の上方から第1成型ロールおよび第2成型ロールで押えながら行う工程と、
この発泡処理の工程の初期、前記第1成型ロールと前記第2成型ロールとの間の中期、および前記第2成型ロールより下流側の後期においてサンドイッチパネルの厚みをセンサーにより検出する工程と、
サンドイッチパネルの最終的な厚みが一定となるように、前記初期のセンサーによる検出結果に基づいて前記ニップローラの位置を変更する工程と、
サンドイッチパネルの最終的な厚みが一定となるように、前記中期のセンサーによる検出結果に基づいて前記第1成型ロールの位置を変更する工程とを有するサンドイッチパネル製造方法。
【請求項2】
サンドイッチパネルの最終的な厚みが一定となるように、前記後期のセンサーによる検出結果に基づいて前記第2成型ロールの位置を変更する工程を有する請求項1に記載のサンドイッチパネル製造方法。
【請求項3】
サンドイッチパネルの最終的な厚みが一定となるように、前記初期、中期、および後期のセンサーによる検出結果に基づいて、前記原液供給部から供給される発泡原液組成物の供給量を調整する工程を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のサンドイッチパネル製造方法。
【請求項4】
前記サンドイッチパネルは、前記発泡性樹脂芯材にガラス繊維マットを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のサンドイッチパネル製造方法。
【請求項5】
上下両面に対向配置された面材間に発泡性樹脂芯材が発泡成形されてなる帯状のサンドイッチパネルを製造するためのサンドイッチパネル製造設備であって、
下面材を供給するための下面材供給装置と、
下面材供給装置から供給された帯状の下面材上に、発泡性樹脂芯材の発泡原液組成物を供給するためのノズルと、
上面材をニップローラを介して供給するための上面材供給装置と、
下面材と上面材の間に供給された発泡原液組成物の発泡処理を上面材の上方から第1成型ロールおよび第2成型ロールで押えながら行う発泡処理部と、
この発泡処理部の初期、前記第1成型ロールと前記第2成型ロールとの間の中期、および前記第2成型ロールより下流側の後期の位置においてサンドイッチパネルの厚みを検出するためのセンサーと、
サンドイッチパネルの最終的な厚みが一定となるように、前記初期のセンサーによる検出結果に基づいて前記ニップローラの位置を変更するニップローラ位置変更手段と、
サンドイッチパネルの最終的な厚みが一定となるように、前記中期のセンサーによる検出結果に基づいて前記第1成型ロールの位置を変更する第1成型ロール位置変更手段とを有するサンドイッチパネル製造設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−36521(P2010−36521A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−204325(P2008−204325)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】