説明

サーバー装置、クライアント装置、サーバークライアントシステムおよびプログラム

【課題】クライアント装置の電池残量が少なくなった場合に、サーバー装置とクライアント装置間の通信のデータ量を低減させると共にクライアント装置の処理の負荷を軽減し、モバイル性を有しているクライアント装置の消費電力を低減させること。
【解決手段】クライアント装置の電池残量をサーバー装置へ送信し、サーバー装置がその電池残量に基づいてコンテンツのデータ量を低減させるように加工し、低減されたコンテンツデータをクライアント装置へ送信することにより、電池残量の減少したクライアント装置は、コンテンツの再生負荷を減少させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クライアント装置からの要求に基づいてサーバー装置から送信されたコンテンツデータをクライアント装置で再生するサーバークライアントシステムに関し、特に、電池によって駆動するモバイル性を有したクライアント装置の電池残量に従って、サーバー装置に送信するコンテンツデータのデータ量を調整するクライアント装置を備えたサーバークライアントシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動画像、静止画像、音声等のコンテンツを有するクライアント装置と、前記クライアント装置に対して前記コンテンツの配信を要求し送信されてきたコンテンツを再生するサーバー装置とから構成されるサーバークライアントシステムが存在する。
【0003】
このようなサーバークライアントシステムにおいて、クライアント装置がサーバー装置に対するコンテンツ要求に変速再生要求を設定して送信することで、サーバー装置が変速再生コンテンツデータを生成してクライアント装置に送信し、クライアント装置は、サーバー装置からの受信した変速再生コンテンツデータに対して、通常のコンテンツ再生と同様の処理を実行するのみで、コンテンツの変速再生を行うことができるものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−350043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のようなサーバークライアントシステムにおいては、クライアント装置の処理負荷を軽減するために、クライアント装置からサーバー装置側へコンテンツを要求する際に、負荷を軽減するように設定した要求をしなければならず、クライアント装置側の電池残量を考慮していないという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、動画像、静止画像、音声等のコンテンツを有するクライアント装置と、前記クライアント装置に対して前記コンテンツの配信を要求し送信されてきたコンテンツを再生するサーバー装置とから構成されるサーバークライアントシステムにおいて、クライアント装置の電池残量が少なくなった場合に、サーバー装置とクライアント装置間の通信のデータ量を低減させると共にクライアント装置の処理の負荷を軽減し、モバイル性を有しているクライアント装置の消費電力を低減させることが可能なサーバー装置、クライアント装置、サーバークライアントシステムおよびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、下記のような構成を採用した。
すなわち、本発明の一態様によれば、本発明のクライアント装置は、サーバー装置から送信されてきたコンテンツデータを再生するクライアント装置であって、前記サーバー装置に対して前記コンテンツデータを送信するように要求する要求情報を送信するコンテンツ要求送信手段と、前記サーバー装置から送信してきた前記コンテンツデータを受信するコンテンツ受信手段と、前記クライアント装置を駆動するための電池の容量を計測する電池容量計測手段と、前記電池容量計測手段によって計測した前記電池の容量を示す電池容量情報を前記サーバー装置に対して送信する電池容量送信手段と、前記コンテンツ受信手段によって受信したコンテンツデータのデータ形式を判断するデータ形式判断手段と、前記データ形式判断手段によって判断されたデータ形式に従って、前記コンテンツ受信手段によって受信したコンテンツデータを再生するコンテンツ再生手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明のクライアント装置は、前記電池容量送信手段が、前記クライアント装置においてイベントが発生すると前記電池容量情報を送信することが望ましい。
また、本発明の一態様によれば、本発明のサーバー装置は、クライアント装置からの要求に従ってコンテンツデータを前記クライアント装置へ送信するサーバー装置であって、前記クライアント装置から送信されてきた、前記コンテンツデータを前記クライアント装置へ送信するように要求する要求情報を受信するコンテンツ要求受信手段と、前記クライアント装置から送信されてきた、前記クライアント装置を駆動するための電池の容量を示す電池容量情報を受信する電池容量受信手段と、前記電池容量受信手段によって受信した電池容量情報に基づいて、前記コンテンツを加工して加工済コンテンツを作成するコンテンツ加工手段と、前記電池容量受信手段によって受信した電池容量情報に基づいて、前記加工済コンテンツを前記クライアント装置へ送信するコンテンツ送信手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明のサーバー装置は、前記コンテンツ加工手段が、前記コンテンツが動画像である場合、前記動画像を構成するフレームを間引いて間引動画像へ加工することが望ましい。
【0009】
また、本発明のサーバー装置は、前記コンテンツ加工手段が、前記コンテンツがカラー画像である場合、前記カラー画像を白黒画像へ加工することを特徴とすることが望ましい。
【0010】
また、本発明のサーバー装置は、前記コンテンツ加工手段が、前記コンテンツが高画質画像である場合、前記高画質画像を低画質画像へ加工することを特徴とすることが望ましい。
【0011】
また、本発明のサーバー装置は、前記コンテンツ加工手段が、前記コンテンツを圧縮して圧縮コンテンツへ加工することを特徴とすることが望ましい。
また、本発明の一態様によれば、本発明のプログラムは、サーバー装置から送信されてきたコンテンツデータを再生するクライアント装置のコンピュータを、前記サーバー装置に対して前記コンテンツデータを送信するように要求する要求情報を送信するコンテンツ要求送信手段、前記サーバー装置から送信してきた前記コンテンツデータを受信するコンテンツ受信手段、前記クライアント装置を駆動するための電池の容量を計測する電池容量計測手段、前記電池容量計測手段によって計測した前記電池の容量を示す電池容量情報を前記サーバー装置に対して送信する電池容量送信手段、前記コンテンツ受信手段によって受信したコンテンツデータのデータ形式を判断するデータ形式判断手段、前記データ形式判断手段によって判断されたデータ形式に従って、前記コンテンツ受信手段によって受信したコンテンツデータを再生するコンテンツ再生手段として機能させるためのプログラムである。
【0012】
また、本発明の一態様によれば、本発明のプログラムは、クライアント装置からの要求に従ってコンテンツデータを前記クライアント装置へ送信するサーバー装置のコンピュータを、前記クライアント装置から送信されてきた、前記コンテンツデータを前記クライアント装置へ送信するように要求する要求情報を受信するコンテンツ要求受信手段、前記クライアント装置から送信されてきた、前記クライアント装置を駆動するための電池の容量を示す電池容量情報を受信する電池容量受信手段、前記電池容量受信手段によって受信した電池容量情報に基づいて、前記コンテンツを加工して加工済コンテンツを作成するコンテンツ加工手段、前記電池容量受信手段によって受信した電池容量情報に基づいて、前記加工済コンテンツを前記クライアント装置へ送信するコンテンツ送信手段して機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電池駆動のクライアント装置とサーバー装置とからなるサーバークライアントシステムにおいて、クライアント装置の電池の残量を示す電池残量情報をサーバー装置に送信し、これを受信したサーバー装置が電池残量情報を判別して電池残量に応じて送信するコンテンツデータの種類を切替えることができる。
【0014】
また、本発明によれば、クライアント装置の電池残量が少ない場合に、クライアント装置での処理が軽減されるようなコンテンツデータに変換して送信することにより、クライアント装置の消費電力を軽減することができる。
【0015】
また、本発明によれば、電池残量の少ないクライアント装置に対して処理負荷の少ないコンテンツデータを送信するので、クライアント装置の駆動時間を延ばすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、サーバークライアントシステム1のネットワーク構成の概略を示す図である。
図1において、サーバー装置101は、動画像データ、静止画像データ、音声データ、テキストデータ等の様々なデータ形式のコンテンツデータを有している。
【0017】
クライアント端末装置102は、ネットワーク109を介してサーバー装置101に接続されている。無線アクセスポイント103も、ネットワーク109を介してサーバー装置101に接続されている。また、モバイル端末装置104、スマートフォン105等の移動端末装置は、アクセスポイント103と無線通信を行うことにより、ネットワーク9を介してサーバー装置101と接続されている。なお、以下の説明においては、クライアント端末装置102、モバイル端末装置104およびスマートフォン105を総称してクライアント装置という。
【0018】
そして、クライアント端末装置102、モバイル端末装置104あるいはスマートフォン105は、サーバー装置101との間でサーバークライアントシステム1を構築している。
【0019】
モバイル端末装置104あるいはスマートフォン105のようなモバイル性を有するクライアント装置は、着脱可能な2次電池等の電池によって駆動し、無線ネットワーク(例えばWiFi)、アクセスポイント103を介して、サーバー装置101と接続されることにより、サーバークライアントシステム1を構成している。そして、このようなサーバークライアントシステム1において、サーバー装置101は、クライアント装置からの要求に従ってコンテンツデータを前記クライアント装置へ送信し、これを受信したクライアント装置は、受信した動画像データ、静止画像データ、音声データ、テキストデータ等のコンテンツデータを再生する。
【0020】
図2は、本発明の処理シーケンスを示す図である。
まず、ステップS21において、電池駆動のクライアント装置、例えばモバイル端末装置104がサーバー装置101に対してターミナルサービス接続要求を送信すると、これを受信したサーバー装置101は、ステップS22において、ターミナルサービスを起動し、モバイル端末装置104に対して認証のための識別情報(ID)およびパスワードの入力を要求する。
【0021】
その後、ステップS23において、モバイル端末装置104が識別情報およびパスワードを入力し、これらをサーバー装置101に送信して、ステップS24において、これらの識別情報およびパスワードを受信したサーバー装置101が認証処理を実行してモバイル端末装置104の認証をOKすれば、サーバー装置101は、ステップS25において、切断プロセスの確認後にモバイル端末装置104に対して端末情報を要求する。
【0022】
すると、ステップS26において、モバイル端末装置104は、画面の表示サイズ等の生成した端末情報とともに現時点での電池の容量(電池残量)をサーバー装置101へ送信する。
【0023】
そして、ステップS27において、サーバー装置101は、受信した画面の表示サイズ等の端末情報に基づいてディスプレイ番号を生成する。さらに、受信した電池の容量に基づいてモバイル端末装置104側で表示可能な表示データを生成する。すなわちアプリケーション情報を取得しこのアプリケーション情報から取得した動画像データ、静止画像データ、文字データ等を電池の容量に応じて画像処理した後の表示データを生成し、これをモバイル端末装置104へ送信する。
【0024】
これを受信したモバイル端末装置104は、ステップS28において、サーバー装置101から送信されてきた表示データを受信して表示し、次のイベントの入力が発生するとその際の電池の容量をイベント情報ともにサーバー装置101へ送信する。
【0025】
すると、これらの電池の容量およびイベント情報を受信したサーバー装置101は、ステップS29において、アプリケーション情報を取得しこのアプリケーション情報から取得した動画像データ、静止画像データ、文字データ等を電池の容量に応じて画像処理した後の表示データを生成し、これをモバイル端末装置104へ送信する。
【0026】
その後もモバイル端末装置104は、イベント送信ごとに電池の容量をサーバー装置101へ送信し(ステップS30)、サーバー装置101は、電池の容量に基づいて表示データを作成してモバイル端末装置104へ送信する(ステップS31)。
【0027】
このように、サーバー装置101が、モバイル端末装置104側の処理が軽減されるような表示データに変換して送信することにより、電池残量が充分にある場合に比べて、表示品質は低下するが通信処理に関わるメモリアクセス量と、表示処理に関わるCPU処理およびメモリアクセス量とが削減されるので低消費電力になる。
【0028】
図3は、サーバー装置101の構成の概略を示す図である。
図3において、サーバー装置101は、CPU(中央処理装置:Central Processing Unit)301、サーバー装置101において実行する処理を実行するプログラムの他、サーバー装置101の各機能を制御し実行するための制御プログラムが収納されたROMやRAM等のメモリ302、各種のデータや信号等を入力するための入力部303、画像やその他の情報を表示するための表示部304、画像を始め様々な情報を記録するための記憶部305、動画像データ、静止画像データ、音声データ、テキストデータ等の様々なデータ形式のコンテンツデータが格納されたコンテンツデータベース308を制御するデータベース制御部306、LAN等のネットワーク109に接続するためのネットワーク接続部307、モバイル端末装置104等のような電池駆動のクライアント装置から送信された電池の残量に基づいてコンテンツデータベース308に格納されたコンテンツデータの加工を行うコンテンツ処理部309がバス300に接続されて構成され、CPU301がこれらの各部を制御している。
【0029】
このようなハードウェアを備えるサーバー装置101は、本発明を実現するための機能として、コンテンツ要求受信部と電池容量受信部とコンテンツ加工部とコンテンツ送信部とを有している。
【0030】
コンテンツ要求受信部は、クライアント装置、例えばモバイル端末装置104から送信されてきた要求であって、コンテンツデータベース308に格納された動画像データ、静止画像データ、音声データ、テキストデータ等の様々なデータ形式のコンテンツデータを前記モバイル端末装置104へ送信するように要求する要求情報を受信する。また、電池容量受信部は、前記モバイル端末装置104から送信されてきた、前記モバイル端末装置104を駆動するための2次電池410(図4参照)等の電池の容量を示す電池容量情報を受信する。
【0031】
そして、コンテンツ加工部は、前記電池容量受信部によって受信した電池容量情報に基づいて、前記コンテンツを加工して加工済コンテンツを作成する。コンテンツの加工とは、コンテンツが動画像である場合、前記動画像を構成するフレームを間引いて間引動画像へ加工すること、例えば30フレーム/秒の動画像を10フレーム/秒の動画像へ間引いたり、静止画像に加工したり、究極的には削除(データを有しない画像の意)したりすることを含む。また、コンテンツがカラー画像である場合、前記カラー画像を白黒画像へ加工したり、記コンテンツが高画質画像である場合、前記高画質画像を低画質画像へ加工したり、コンテンツを圧縮して圧縮コンテンツへ加工したりすることも含まれる。
【0032】
また、コンテンツ送信部は、前記電池容量受信部によって受信した電池容量情報に基づいて、前記加工済コンテンツを前記モバイル端末装置104へ送信する。
図4は、電池駆動のクライアント装置の一例であるモバイル端末装置104の構成の概略を示す図である。
【0033】
図4において、モバイル端末装置104は、CPU(中央処理装置:Central Processing Unit)401、モバイル端末装置104において実行する処理を実行するプログラムの他、モバイル端末装置104の各機能を制御し実行するための制御プログラムが収納されたROMやRAM等のメモリ402、各種のデータや信号等を入力するための入力部403、画像やその他の情報を表示するための表示部404、画像を始め様々な情報を記録するための記憶部405、外部記録媒体408を駆動する記録媒体駆動部406、LAN等のネットワーク109に接続するためのネットワーク接続部407、モバイル端末装置104を駆動するための2次電池410を制御しその容量を測定する電源制御部409がバス400に接続されて構成され、CPU401がこれらの各部を制御している。
【0034】
このようなハードウェアを備えるモバイル端末装置104は、本発明を実現するための機能として、コンテンツ要求送信部とコンテンツ受信部と電池容量計測部と電池容量送信部とデータ形式判断部とコンテンツ再生部とを有している。
【0035】
コンテンツ要求送信部は、サーバー装置101がコンテンツデータベース308に有している動画像データ、静止画像データ、音声データ、テキストデータ等の様々なデータ形式のコンテンツデータを、モバイル端末装置104に送信するように要求する要求情報をサーバー装置101に対して送信する。また、電池容量計測部は、モバイル端末装置104を駆動するための2次電池410の容量を計測する。
【0036】
そして、電池容量送信部は、前記電池容量計測部によって計測した前記電池の容量を示す電池容量情報を前記サーバー装置に対して送信する。送信のタイミングとしては、例えばモバイル端末装置104においてイベントが発生するとそのイベントに関する情報と同期して電池容量情報を送信するが、イベントに関する情報の送信とは別に電池容量情報のみを定期的(一定時間間隔ごと)に送信してもよいし、イベントに関する情報の送信とは別に電池の容量が変化するごと、例えば電池の残量が2分の1から3分の1や4分の1になった際に送信するようにしてもよい。
【0037】
また、コンテンツ受信部は、前記モバイル端末装置104から送信してきた前記コンテンツデータを受信し、データ形式判断部は、前記コンテンツ受信部によって受信したコンテンツデータのデータ形式を判断する。
【0038】
そして、コンテンツ再生部は、前記データ形式判断部によって判断されたデータ形式に従って、前記コンテンツ受信部によって受信したコンテンツデータを再生する。例えばデータ形式が動画像データであれば動画像データを再生し、静止画像データであれば静止画像データを再生する。
【0039】
サーバー装置101およびモバイル端末装置104がこのような機能を有することにより、サーバー装置101は、通信処理に関わるメモリアクセス量の削減、表示処理に関わるメモリアクセス量の削減によって2次電池410の消費を低減することができる。
【0040】
次に、サーバー装置101およびモバイル端末装置104において実行される処理の流れを、フローチャートを用いて説明する。
図5は、モバイル端末装置104において実行される処理の流れを示すフローチャートであり、図6は、サーバー装置101において実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【0041】
まず、図5のステップS51において、モバイル端末装置104は、キー操作やタッチパネル操作等による何らかのイベントが発生したか否かを判断し、イベントが発生したと判断した場合(ステップS51:Yes)は、ステップS52において、電池の容量を測定する。ここで電池の容量とは、モバイル端末装置104を駆動するための2次電池410の現時点での容量、すなわち残量であり、例えばフル充電状態との比率、2分の1(1/2)、3分の1、4分の1、5分の1等を用いることができる。
【0042】
次に、ステップS53において、ステップS52で計測した電池の残量とステップS51で発生したと判断したイベントに関するデータとを、モバイル端末装置104に関する情報と共にサーバー装置101へ送信する。
【0043】
すると、図6のステップS61において、サーバー装置101は、モバイル端末装置104から電池の残量を示す情報とともに送信されてきたイベントに関するデータを受信したか否かを判断し、ステップS62において、イベントを発生したモバイル端末装置104に関する情報を確認し実行中のアプリケーションへ通知する。
【0044】
そして、ステップS63において、ステップS61で受信したイベントによって再生するコンテンツ(例えば表示する画像)の書き換えが行われたか否かを判断する。書き換えが行われていなければ(ステップS63:No)、本処理を終了し、書き換えが行われていれば(ステップS63:Yes)、ステップS64において、書き換える画像を構成する各コンテンツ(表示データ)を取得する。
【0045】
次に、ステップS65において、ステップS61で受信した電池の残量が5分の1以下であるか否かを判断し、5分の1以下であれば(ステップS65:Yes)、ステップS66において、図7に示したように、動画像であるコンテンツおよび静止画像であるコンテンツを削除し、テキストデータのみを残す。他方、5分の1以下でなければ(ステップS65:No)、ステップS67へ進む。
【0046】
次に、ステップS67において、ステップS61で受信した電池の残量が4分の1以下であるか否かを判断し、4分の1以下であれば(ステップS67:Yes)、ステップS68において、図7に示したように、動画像であるコンテンツを削除し静止画像であるコンテンツを2色(白黒)へ減色処理する。他方、4分の1以下でなければ(ステップS67:No)、ステップS69へ進む。
【0047】
次に、ステップS69において、ステップS61で受信した電池の残量が3分の1以下であるか否かを判断し、3分の1以下であれば(ステップS69:Yes)、ステップS70において、図7に示したように、動画像であるコンテンツを削除し静止画像であるコンテンツを256色(8bpp:Bits Per Pixel)へ減色処理する。他方、4分の1以下でなければ(ステップS67:No)、ステップS71へ進む。
【0048】
次に、ステップS71において、ステップS61で受信した電池の残量が2分の1以下であるか否かを判断し、2分の1以下であれば(ステップS71:Yes)、ステップS72において、図7に示したように、動画像であるコンテンツを静止画像へ変換処理し、静止画像であるコンテンツは静止画像のまま(16bpp)にする。他方、2分の1以下でなければ(ステップS71:No)、ステップS73において、動画像であるコンテンツは動画像のまま、静止画像であるコンテンツは静止画像のまま通常の画像処理のみを実行する。
【0049】
そして、サーバー装置101は、ステップS66、ステップS68、ステップS70、ステップS72あるいはステップS73での各処理の後、ステップS74において、モバイル端末装置104で再生(表示)する表示データ(図8参照)を生成し、ステップS75において、ステップS74で生成した表示データをモバイル端末装置104へ送信する。
【0050】
図5の説明に戻り、ステップS54において、モバイル端末装置104は、サーバー装置101から送信された表示データを受信したか否かを判断する。表示データを受信したと判断した場合(ステップS54:Yes)は、ステップS55において、表示データの種類(データ型)を解析する。
【0051】
図8は、サーバー装置101が生成しモバイル端末装置104へ送信される表示データのデータ構造の例を示す図である。
図8に示したように、表示データは、その送信先であるモバイル端末装置104のアドレス、データ型、表示する位置を示す表示アドレスとともにモバイル端末装置104へ送信される。なおデータ型とは、データ型「0」が1画素あたりのビット数が16である16bppの静止画像、データ型「1」が8bppの静止画像、データ型「2」が1bppの静止画像、データ型「3」が1秒間に30フレームの動画像、データ型「4」が1秒間に10フレームの動画像、データ型「5」が1秒間に1フレームの動画像である。
【0052】
図5の説明に戻り、モバイル端末装置104は、ステップS56において、ステップS55で解析した表示データの種類が「1bppの静止画像」であるか否か、すなわちデータ型が「2」であるか否か判断し、「1bppの静止画像」であれば(ステップS56:Yes)、ステップS57において、ステップS54で受信した「1bppの静止画像」の表示データを表示し、他方「1bppの静止画像」でなければ(ステップS56:No)、ステップS58へ進む。
【0053】
次に、モバイル端末装置104は、ステップS58において、ステップS55で解析した表示データの種類が「8bppの静止画像」であるか否か、すなわちデータ型が「1」であるか否か判断し、「8bppの静止画像」であれば(ステップS58:Yes)、ステップS59において、ステップS54で受信した「8bppの静止画像」の表示データを表示し、他方「8bppの静止画像」でなければ(ステップS58:No)、ステップS60において、ステップS54で受信した「16bppの静止画像」の表示データを表示する。なお、ここではステップS54で受信した表示データが、「1bppの静止画像」「8bppの静止画像」「16bppの静止画像」の何れかであることを前提としており、動画像(データ型が3乃至5)が含まれていれば同様に動画像データの判断および表示を行う。なお、色の分解能は、例えば24bpp、あるいはそれ以上であってよい。
【0054】
このような処理を実行することにより、モバイル端末装置104のような電池駆動のクライアント装置は、電池残量が少ないために、たとえば動画像の様に処理負荷の大きいコンテンツを再生するのは困難であるが、動画像の一部である静止画像の再生は行える。
【0055】
図9は、16bppの静止画像のデータ構造を示す図であり、図10は、8bppの静止画像のデータ構造を示す図である。
図9に示した16bppの静止画像から図10に示したような8bppの静止画像に加工(減色処理)することにより、画像データのデータ量は2分の1に削減することができ、また、同様に8bppから1bppにすることにより、8分の1に削減することができる。
【0056】
また、動画像の場合は、通常10または30フレーム/秒で表示が更新されているので、それを1フレーム/秒にするだけで1/10または1/30に表示データのデータ量を削減することができる。
【0057】
また、色の分解能を変える代わりに、画像データの圧縮率を変えるようにしてもよい。静止画像等を転送する場合は、通常データの圧縮を行うことによりデータ量を削減するが、写真画像のような静止画像の場合は、極端に圧縮率が低い。そこで、写真画像等は、単色で塗りつぶしてしまうことにより、すなわち写真画像としての静止画像を削除することにより、圧縮効率を上げてデータ量を削減することができる。
【0058】
また、例えばクライアント装置で使用するブラウザの処理において、通常はクライアント装置がHTML形式のデータを解析して処理し、電池残量が少ない場合(例えば30%〜50%)は、サーバー装置101側でHTML形式のデータをクライアント装置の表示画面サイズの表示データに変換して送信し、さらに電池残量が少ない場合(例えば30%以下)は、テキストデータに変換して送信するようにしてもよい。
【0059】
これにより、50%以下であれば、クライアント装置によるブラウザの処理を緩和することでクライアント装置側の消費電力を抑えることが可能になる。30%以下になると表示画像のデータ量の削減となり、消費電力を抑えることが可能になる。
【0060】
なお、電池容量情報には、電池残量だけでなく電池が残りどれくらいの時間使用可能かを示す使用可能時間、電圧値の降下特性を把握している場合の電圧値等も含む。
なお、上述してきた本発明の実施の形態は、サーバー装置またはクライアント装置の一機能としてハードウェアまたはDSP(Digital Signal Processor)ボードやCPUボードでのファームウェアもしくはソフトウェアにより実現することができる。
【0061】
以上、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明してきたが、本発明が適用されるサーバー装置およびクライアント装置は、その機能が実行されるのであれば、上述の実施の形態に限定されることなく、単体の装置であっても、複数の装置からなるシステムあるいは統合装置であっても、LAN、WAN等のネットワークを介して処理が行なわれるシステムであってもよいことは言うまでもない。
【0062】
また、バスに接続されたCPU、ROMやRAMのメモリ、入力装置、出力装置、外部記録装置、媒体駆動装置、ネットワーク接続装置で構成されるシステムでも実現できる。すなわち、前述してきた実施の形態のシステムを実現するソフトェアのプログラムを記録したROMやRAMのメモリ、外部記録装置、可搬記録媒体を、サーバー装置およびクライアント装置に供給し、それらのサーバー装置およびクライアント装置のコンピュータがプログラムを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0063】
この場合、可搬記録媒体等から読み出されたプログラム自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムを記録した可搬記録媒体等は本発明を構成することになる。
【0064】
プログラムを供給するための可搬記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、DVD−ROM、DVD−RAM、磁気テープ、不揮発性のメモリーカード、ROMカード、電子メールやパソコン通信等のネットワーク接続装置(言い換えれば、通信回線)を介して記録した種々の記録媒体などを用いることができる。
【0065】
また、コンピュータ(情報処理装置)がメモリ上に読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施の形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施の形態の機能が実現される。
【0066】
さらに、可搬型記録媒体から読み出されたプログラムやプログラム(データ)提供者から提供されたプログラム(データ)が、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施の形態の機能が実現され得る。
【0067】
すなわち、本発明は、以上に述べた実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成または形状を取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】サーバークライアントシステム1のネットワーク構成の概略を示す図である。
【図2】本発明の処理シーケンスを示す図である。
【図3】サーバー装置101の構成の概略を示す図である。
【図4】電池駆動のクライアント装置の一例であるモバイル端末装置104の構成の概略を示す図である。
【図5】モバイル端末装置104において実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】サーバー装置101において実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】電池残量と表示色および表示データのデータフォーマットとの対応関係を示した図である。
【図8】サーバー装置101が生成しモバイル端末装置104へ送信される表示データのデータ構造の例を示す図である。
【図9】16bppの静止画像のデータ構造を示す図である。
【図10】8bppの静止画像のデータ構造を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
1 サーバークライアントシステム
101 サーバー装置
102 クライアント端末装置
103 無線アクセスポイント
104 モバイル端末装置
105 スマートフォン
109 ネットワーク
300 バス
301 CPU
302 メモリ
303 入力部
304 表示部
305 記憶部
306 データベース制御部
307 ネットワーク接続部
308 コンテンツデータベース
400 バス
401 CPU
402 メモリ
403 入力部
404 表示部
405 記憶部
406 記録媒体駆動部
407 ネットワーク接続部
408 記録媒体
409 電源制御部
410 2次電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバー装置から送信されてきたコンテンツデータを再生するクライアント装置において、
前記サーバー装置に対して前記コンテンツデータを送信するように要求する要求情報を送信するコンテンツ要求送信手段と、
前記サーバー装置から送信してきた前記コンテンツデータを受信するコンテンツ受信手段と、
前記クライアント装置を駆動するための電池の容量を計測する電池容量計測手段と、
前記電池容量計測手段によって計測した前記電池の容量を示す電池容量情報を前記サーバー装置に対して送信する電池容量送信手段と、
前記コンテンツ受信手段によって受信したコンテンツデータのデータ形式を判断するデータ形式判断手段と、
前記データ形式判断手段によって判断されたデータ形式に従って、前記コンテンツ受信手段によって受信したコンテンツデータを再生するコンテンツ再生手段と、
を備えることを特徴とするクライアント装置。
【請求項2】
前記電池容量送信手段は、前記クライアント装置においてイベントが発生すると前記電池容量情報を送信することを特徴とする請求項1に記載のクライアント装置。
【請求項3】
クライアント装置からの要求に従ってコンテンツデータを前記クライアント装置へ送信するサーバー装置において、
前記クライアント装置から送信されてきた、前記コンテンツデータを前記クライアント装置へ送信するように要求する要求情報を受信するコンテンツ要求受信手段と、
前記クライアント装置から送信されてきた、前記クライアント装置を駆動するための電池の容量を示す電池容量情報を受信する電池容量受信手段と、
前記電池容量受信手段によって受信した電池容量情報に基づいて、前記コンテンツを加工して加工済コンテンツを作成するコンテンツ加工手段と、
前記電池容量受信手段によって受信した電池容量情報に基づいて、前記加工済コンテンツを前記クライアント装置へ送信するコンテンツ送信手段と、
を備えることを特徴とするサーバー装置。
【請求項4】
前記コンテンツ加工手段は、前記コンテンツが動画像である場合、前記動画像を構成するフレームを間引いて間引動画像へ加工することを特徴とすることを特徴とする請求項3に記載のサーバー装置。
【請求項5】
前記コンテンツ加工手段は、前記コンテンツがカラー画像である場合、前記カラー画像を白黒画像へ加工することを特徴とすることを特徴とする請求項3または4に記載のサーバー装置。
【請求項6】
前記コンテンツ加工手段は、前記コンテンツが高画質画像である場合、前記高画質画像を低画質画像へ加工することを特徴とすることを特徴とする請求項3乃至5の何れか1項に記載のサーバー装置。
【請求項7】
前記コンテンツ加工手段は、前記コンテンツを圧縮して圧縮コンテンツへ加工することを特徴とすることを特徴とする請求項3乃至6の何れか1項に記載のサーバー装置。
【請求項8】
サーバー装置から送信されてきたコンテンツデータを再生するクライアント装置のコンピュータを、
前記サーバー装置に対して前記コンテンツデータを送信するように要求する要求情報を送信するコンテンツ要求送信手段、
前記サーバー装置から送信してきた前記コンテンツデータを受信するコンテンツ受信手段、
前記クライアント装置を駆動するための電池の容量を計測する電池容量計測手段、
前記電池容量計測手段によって計測した前記電池の容量を示す電池容量情報を前記サーバー装置に対して送信する電池容量送信手段、
前記コンテンツ受信手段によって受信したコンテンツデータのデータ形式を判断するデータ形式判断手段、
前記データ形式判断手段によって判断されたデータ形式に従って、前記コンテンツ受信手段によって受信したコンテンツデータを再生するコンテンツ再生手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項9】
クライアント装置からの要求に従ってコンテンツデータを前記クライアント装置へ送信するサーバー装置のコンピュータを、
前記クライアント装置から送信されてきた、前記コンテンツデータを前記クライアント装置へ送信するように要求する要求情報を受信するコンテンツ要求受信手段、
前記クライアント装置から送信されてきた、前記クライアント装置を駆動するための電池の容量を示す電池容量情報を受信する電池容量受信手段、
前記電池容量受信手段によって受信した電池容量情報に基づいて、前記コンテンツを加工して加工済コンテンツを作成するコンテンツ加工手段、
前記電池容量受信手段によって受信した電池容量情報に基づいて、前記加工済コンテンツを前記クライアント装置へ送信するコンテンツ送信手段、
として機能させるためのプログラム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図1】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−267335(P2007−267335A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−93292(P2006−93292)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】