説明

サーモビフィダ・フスカのリパーゼを含む洗剤組成物、及びその使用方法

本発明の組成物及び方法は、サーモビフィダ・フスカからクローニングされたリパーゼ、そのリパーゼをコードするポリヌクレオチド、及びそれらの使用方法に関する。本組成物及び方法は、洗剤洗浄用組成物及び方法において特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年12月21日出願の米国特許仮出願第61/288,666号、及び2010年6月2日出願の同第61/350,747号に基づく優先権を主張するものであり、これらの出願をいずれもその全容にわたって本出願に援用するものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明の組成物及び方法は、サーモビフィダ・フスカ(Thermobifida fusca)からクローニングされたリパーゼ、そのリパーゼをコードしたポリヌクレオチド、及びそれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
現在の洗濯洗剤及び/又は衣類ケア組成物は、界面活性剤、酵素(プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、及び/又はセルラーゼ)、漂白剤、ビルダーシステム、泡抑制剤、汚れ懸濁剤、汚れ放出剤、蛍光増白剤、柔軟剤、分散剤、移染防止化合物、研磨剤、殺菌剤、及び香料などの複雑な有効成分の組み合わせを含んでいる。
【0004】
トリグリセリドを加水分解して脂肪酸を生成することによって油性の染みを除去するため、リパーゼ及びクチナーゼなどの脂肪分解酵素が洗剤洗浄組成物中に使用されてきた。しかしながら、これらの酵素は、洗浄組成物中に存在する界面活性剤及び他の成分によってしばしば阻害され、油性の染みを除去する性能が妨げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、洗浄組成物の過酷な環境中で機能しうるリパーゼ及びクチナーゼが求められている。
【0006】
また、バイオ燃料、潤滑剤、及び他の合成及び半合成炭化水素の製造におけるエステル交換反応を行ううえで、よりロバストかつ効果的なリパーゼ及びクチナーゼが求められている。こうした酵素は、天然又は一般的に入手可能な開始物質を用いるものであることが好ましく、また、合成を複雑なものとし、毒性廃棄物質の生成につながる合成反応における保護及び脱保護工程を必要としないものであることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の組成物及び方法は、サーモビフィダ・フスカからクローニングされたリパーゼ2(TfuLip2)に関する。いくつかの実施形態では、TfuLip2は3残基(AGK)のアミノ末端延長部を有する。
【0008】
本開示の一態様では、組換えTfuLip2ポリペプチドが提供される。いくつかの実施形態では、組換えTfuLip2ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列と80%〜99%同一(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一)である。更なる実施形態では、組換えTfuLip2ポリペプチドは所定のアミノ末端延長部を有する。いくつかの実施形態では、組換えTfuLip2融合タンパク質は、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも80%同一(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一)である。いくつかの実施形態では、TfuLip2ポリペプチドは、B.サブチリス(B. subtilis)内で発現させられる。本開示は更に、TfuLip2ポリペプチドを、プロモーターと協働可能な組み合わせでコードしたポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。
【0009】
本開示の好ましい一態様では、組換えTfuLip2ポリペプチドを含む洗剤組成物が提供される。いくつかの実施形態では、組換えTfuLip2ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも80%同一(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一)である。更なる実施形態では、組換えTfuLip2ポリペプチドは、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも80%同一(例えば80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一)である。いくつかの好ましい実施形態では、組成物は界面活性剤(イオン性又は非イオン性)を含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、水添ヤシ脂肪酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、C12〜14パレス−7、C12〜15パレス−7、C12〜15パレス硫酸ナトリウム、C14〜15パレス−4からなる群の1以上のものを含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤はイオン性界面活性剤を含む。いくつかの好ましい実施形態では、イオン性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、洗剤は8.0〜10.0のpHで配合される。いくつかの実施形態では、洗剤は、洗濯洗い用洗剤、食器用洗剤、及び硬質表面洗浄用洗剤からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、洗剤は、液体、粉末、粒状固形物、及び錠剤からなる群から選択される形態である。特定の好ましい実施形態では、TfuLip2ポリペプチドは、30℃〜40℃の温度で洗剤中で酵素活性を有する。
【0010】
別の態様では、サーモビフィダ・フスカから得られるリパーゼと、界面活性剤とを含む洗剤組成物であって、洗浄しようとする表面から油性の染みを除去するうえで、そのリパーゼを含まない同等の洗剤組成物よりも効果的である洗剤組成物が提供される。
【0011】
いくつかの実施形態では、リパーゼはTfuLip2リパーゼである。いくつかの実施形態では、リパーゼは、配列番号2又は配列番号3と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、リパーゼは、配列番号2又は配列番号3と少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、リパーゼは組換えリパーゼである。いくつかの実施形態では、リパーゼはバチルス内で発現される組換えリパーゼである。いくつかの実施形態では、リパーゼはバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)内で発現される組換えリパーゼである。
【0013】
いくつかの実施形態では、界面活性剤はイオン性又は非イオン性界面活性剤である。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1以上の界面活性剤である。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、水添ヤシ脂肪酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、C12〜14パレス−7、C12〜15パレス−7、C12〜15パレス硫酸ナトリウム、及びC14〜15パレス−4からなる群から選択される1以上の界面活性剤を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、洗剤組成物は、約8.0〜約10.0のpHで配合される。いくつかの実施形態では、洗剤組成物は、約8.2〜約10.0のpHで配合される。
【0015】
いくつかの実施形態では、洗剤組成物は、洗濯洗剤、食器洗い用洗剤、及び硬質表面洗浄用洗剤からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、洗剤組成物の形態は、液体、粉末、粒状固形物、及び錠剤からなる群から選択される。
【0016】
いくつかの実施形態では、洗剤組成物は、約30℃〜約40℃の温度で脂質を加水分解するうえで効果的である。
【0017】
いくつかの実施形態では、洗剤組成物は、サーモビフィダ・フスカのリパーゼの代わりにシュードモナス・シュードアルカリゲネス(Pseudomonas pseudoalcaligenes)のリパーゼ変異体M21L(LIPOMAX(商標))を含む同等の洗剤組成物と比較して、C4〜C16の基質を加水分解するうえでより効果的である。いくつかの実施形態では、洗剤組成物は、特定の鎖長を有する基質に対する選択性がより低いことから、C4〜C16の範囲の基質を加水分解するうえでより効果的である。
【0018】
いくつかの実施形態では、洗剤組成物は更にプロテアーゼを含む。いくつかの実施形態では、洗剤組成物は更にサブチリシンプロテアーゼを含む。いくつかの実施形態では、サーモビフィダ・フスカリパーゼの安定性は、サーモビフィダ・フスカリパーゼの代わりにサーモマイセス・ラヌギノーサ(Thermomyces lanuginosus)のLip3リパーゼ(LIPEX(登録商標))を含む同等の洗剤組成物中におけるサーモマイセス・ラヌギノーサLip3リパーゼの安定性よりも高い。いくつかの実施形態では、リパーゼの安定性は最終的な洗浄媒質中で測定される。
【0019】
別の態様では、表面の汚れ又は染み中に存在する脂質を加水分解する方法であって、前記表面を、組換えTfuLip2ポリペプチド及び界面活性剤を含む洗剤組成物と接触させる工程を含む方法が提供される。上記の段落、説明文、及び実施例の洗剤組成物はこの目的に適している。
【0020】
更なる態様では、エステル交換反応を行うための方法であって、ドナー分子を、組換えTfuLip2ポリペプチドを含む組成物と接触させる工程を含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、ドナー分子はC4〜16の炭素鎖を有する。好ましい一実施形態では、ドナー分子はC8の炭素鎖を有する。
【0021】
TfuLip2組成物及び方法のこれらの態様並びに他の態様は、以下の説明より明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0022】
I.序論
以下に、サーモビフィダ・フスカよりクローニングされたリパーゼ(TfuLip2)に関連する組成物及び方法について述べる。当該組成物及び方法は、クローニング及び発現されたTfuLip2が、洗剤組成物の存在下でカルボン酸エステル加水分解酵素の活性を有するという観察に一部基づいたものである。TfuLip2はまた、洗剤組成物中でプロテアーゼが存在する場合であっても優れた安定性を示す。これらの特徴のため、TfuLip2は様々な洗浄用途における使用に極めて適したものであり、この酵素は、洗剤組成物中に見出される界面活性剤及び他の成分の存在下で脂質を加水分解することができる。
【0023】
TfuLip2は様々な天然及び合成基質に対して活性を示すが、この酵素はC4〜C16の基質に対して選択性を示し、C8の基質に対してピーク活性を示すことが分かっている。この特異性のため、TfuLip2は、短鎖トリグリセリドの加水分解、及び短鎖脂肪酸が関与するエステル交換反応を行ううえで極めて適したものである。
【0024】
II.用語の定義
本発明の組成物及び方法を詳細に述べるのに先立って、理解を助けるため、以下の用語を定義する。定義されない用語及び略語は、当該技術分野において用いられるそれらの通常の意味を有するものとする。
【0025】
本明細書において使用するところの「カルボン酸エステル加水分解酵素」(E.C.3.1.1)とは、カルボン酸エステルに作用する酵素のことを指す。
【0026】
本明細書において使用するところの「リパーゼ」、「リパーゼ酵素」、「脂肪分解酵素」、「脂肪分解ポリペプチド」、又は「脂肪分解タンパク質」とは、トリグリセリド又はリン脂質の分解能などの脂質分解能を示す酵素、ポリペプチド、又はタンパク質のことを指す。脂肪分解酵素は、例えばリパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ又はクチナーゼであってよい。本明細書において使用するところの脂肪分解活性とは、当該技術分野では周知の任意の方法によって測定することができる(例えば、Guptaら、Biotechnol.Appl.Biochem.,37:63〜71,2003、米国特許第5,990,069号、及び国際特許出願公開第96/18729A1号を参照)。
【0027】
本明細書において使用するところの「脂肪酸」なる用語は、動物性又は植物性の油脂から誘導されるか、又は油脂中に含有されるカルボン酸のことを指す。脂肪酸は、一般的に4〜22個の炭素原子を有し、末端のカルボキシル基(−COOH)によって特徴づけられるアルキル基の鎖で構成される。脂肪酸は、飽和又は不飽和であってよく、固体、半固体、又は液体であってよい。
【0028】
本明細書において使用するところの「トリグリセリド」なる用語は、脂肪酸とグリセロールとの天然に存在する任意のエステルのことを指す。トリグリセリドは油脂の主成分である。トリグリセリドは、CH(OOCR)CH(OOCR)CH(OOCR)の一般式を有し、ただしR、R、及びRは異なる鎖長であってよい。
【0029】
本明細書において使用するところの「アシル」とは、カルボン酸から−OH基を除くことによって一般的に得られる有機酸基(RCO−)の一般的名称である。
【0030】
本明細書において使用するところの「アシル化」なる用語は、通常は分子の−OH基の側にアシル基を置換/付加する化学変換のことを指す。
【0031】
本明細書において使用するところの「アシル鎖基質」とは、カルボン酸エステル加水分解酵素(例えば、クチナーゼ、リパーゼ、アシルトランスフェラーゼ、トランスフェラーゼなど)に対するドナー分子である。基質はその炭素鎖長によって記述することができる。例えば、C4基質/ドナーは炭素4個の鎖長を有し、C8基質/ドナーは炭素8個の鎖長を有する、といった具合である。
【0032】
本明細書において使用するところの「トランスフェラーゼ」なる用語は、基質への分子又は基(例えばアシル基)の転移を触媒する酵素のことを指す。
【0033】
本明細書において使用するところの「脱離基」とは、別の求核物質による置換によってアシルドナーから開裂する求核物質のことを指す。
【0034】
本明細書において使用するところの「洗剤安定性」なる語句は、洗剤組成物混合物中の特定の洗剤組成物成分(加水分解酵素など)の安定性のことを指す。代表的な加水分解酵素はプロテアーゼであり、安定性は、プロテアーゼによる加水分解に対するリパーゼの耐性のことを指しうる。本発明のリパーゼの安定性は、本明細書において述べる標準的な、例えばLIPOMAX(商標)又はLIPEX(商標)などの市販のリパーゼの安定性と比較することができる。
【0035】
本明細書において使用するところの「ペルヒドロラーゼ」とは、洗浄、漂白、及び消毒などの用途に適した過酸を生成する反応を触媒する能力を有する酵素である。
【0036】
本明細書において使用するところの、「水性組成物」及び「水性環境」といった語句で用いられる「水性」なる用語は、少なくとも50%が水で構成された組成物のことを指す。水性組成物は、少なくとも50%の水、少なくとも60%の水、少なくとも70%の水、少なくとも80%の水、少なくとも90%の水、少なくとも95%の水、少なくとも97%の水、少なくとも99%の水、又は更には少なくとも99%の水を含みうる。
【0037】
本明細書において使用するところの「界面活性剤」なる用語は、当該技術分野において、界面活性作用を有するものとして一般的に認識されている任意の化合物のことを指す。界面活性剤には一般的に、アニオン性、カチオン性、非イオン性、及び両性イオン性化合物が含まれるが、これらについては更に後述する。
【0038】
本明細書において使用するところの「表面特性」とは、静電荷に関連して、また、タンパク質の表面が示す疎水性及び親水性のような性質に関連して用いられる。
【0039】
「酸化安定性」なる用語は、例えば漂白剤又は酸化合物剤に曝露又は接触させられる際に、脂肪分解プロセス、加水分解プロセス、洗浄プロセス又は本明細書において開示される他のプロセスにおいて、優勢な条件下で一定の時間にわたって所定量の酵素活性を維持する本開示のリパーゼのことを指す。いくつかの実施形態では、当該リパーゼは、所定の時間、例えば少なくとも約1分、約3分、約5分、約8分、約12分、約16分、約20分といった時間にわたって漂白剤又は酸化剤に接触させられた後に、少なくとも約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約92%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%の脂肪分解活性を維持する。
【0040】
「キレート化剤安定性」なる用語は、例えばキレート化剤に曝露又は接触させられる際に、脂肪分解プロセス、加水分解プロセス、洗浄プロセス又は本明細書において開示される他のプロセスにおいて、優勢な条件下で一定の時間にわたって所定量の酵素活性を維持する本開示のリパーゼのことを指す。いくつかの実施形態では、当該リパーゼは、所定の時間、例えば少なくとも約10分、約20分、約40分、約60分、約100分といった時間にわたってキレート化剤に接触させられた後に、少なくとも約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約92%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%の脂肪分解活性を維持する。
【0041】
「熱安定性」及び「熱安定的」なる用語は、例えば温度変化に曝される際に、脂肪分解プロセス、加水分解プロセス、洗浄プロセス又は本明細書において開示される他のプロセスにおいて優勢な条件下で一定の時間にわたって特定の温度に曝された後、所定量の酵素活性を維持する本開示のリパーゼのことを指す。温度変化には、温度の上昇、又は低下が含まれる。いくつかの実施形態では、当該リパーゼは、所定の時間、例えば少なくとも約60分、約120分、約180分、約240分、約300分といった時間にわたって温度変化に曝された後に、少なくとも約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約92%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%の脂肪分解活性を維持する。
【0042】
「洗浄活性」なる用語は、脂肪分解プロセス、加水分解プロセス、洗浄プロセス又は本明細書において開示される他のプロセスにおいて、優勢な条件下で当該リパーゼによって得られる洗浄性能のことを指す。いくつかの実施形態では、洗浄性能は、例えば、草、血液、ミルク、又は卵のタンパク質などの酵素感受性の染みを標準的な洗浄条件に供した後、各種のクロマトグラフィー、分光光度法又は他の定量的方法によって測定されるように、こうした染みについて各種の洗浄アッセイを適用することによって測定される。代表的なアッセイには、これらに限定されるものではないが、国際特許出願公開第99/34011号及び米国特許第6,605,458号(これらをいずれも本願に援用する)に述べられるもの、並びに実施例に含まれる方法がある。
【0043】
リパーゼの「洗浄有効量」なる用語は、特定の洗浄組成物中の所望の酵素活性のレベルを実現する上記に述べたリパーゼの量のことを指す。このような有効量は当業者によって容易に求められるものであり、使用される特定のリパーゼ、洗浄用途、洗浄組成物の特定の組成、及び、液体又は乾燥(例えば、粒状、バー)組成物のいずれが必要とされるか、といった多くの因子に基づいている。
【0044】
本明細書において使用するところの「洗浄添加物質」なる用語は、所望の洗浄組成物の具体的な種類、及び製品の形態(例えば、液体、顆粒、粉末、バー、ペースト、スプレー、錠剤、ゲル、又はフォーム組成物)に対して選択される任意の液体、固体又は気体状物質を意味し、これらの物質はまた、組成物中に用いられるリパーゼ酵素と適合性を有することが好ましい。いくつかの実施形態では、粒状組成物は「圧縮」形態であり、他の実施形態では、液体組成物は「濃縮」形態である。
【0045】
本明細書において使用するところの「洗浄組成物」及び「洗浄配合物」とは、衣類、食器、コンタクトレンズ、他の固体表面、毛髪、皮膚、歯などの洗浄しようとする物品からの望ましくない化合物(例えば、汚れ又は染み)の除去において有用な化学成分の混合物のことを指す。当該組成物又は配合物は、洗浄しようとする表面、物品又は衣類、及び組成物又は配合物の所望の形態に応じて、液体、ゲル、顆粒、粉末、又はスプレーの形態であってよい。
【0046】
本明細書において使用するところの「洗剤組成物」及び「洗剤配合物」なる用語は、汚れた対象物の洗浄用の洗浄媒質中での使用を目的とした化学成分の混合物のことを指す。洗剤組成物/配合物は一般的に少なくとも1種類の界面活性剤を含み、更に必要に応じて、加水分解酵素、酸化還元酵素、ビルダー、漂白剤、漂白活性化剤、青味剤及び蛍光染料、凝固防止剤、マスキング剤、酵素活性化剤、酸化防止剤、及び可溶化剤が含まれる。
【0047】
本明細書において使用するところの「食器洗い用組成物」とは、粒子及び液体状形態を含むがこれらに限定されない、カトラリー類を含む食器を洗浄するための組成物のあらゆる形態のことを指す。いくつかの実施形態では、食器洗い用組成物は、自動食器洗い機において有用な「自動食器洗い用」組成物である。本開示が任意の特定の種類又は食器用組成物に限定されることは意図するところではない。実際、本開示は、セラミック、プラスチック、金属、陶磁器、ガラス、アクリルなどを含むがこれらに限定されない任意の材料の食器(例えば、プレート、カップ、グラス、ボールなどを含むがこれらに限定されない皿類)及びカトラリー(例えば、スプーン、ナイフ、フォーク、給仕器具などの器具)の洗浄において有用なものである。「食器」なる用語は、本明細書においては皿類及びカトラリー類の両方を指して用いられる。
【0048】
本明細書において使用するところの「漂白」なる用語は、材料(例えば、衣類、洗濯物、パルプなど)の光沢化(すなわち増白)及び/又は洗浄を行ううえで充分な長さの時間、かつ適当なpH及び温度条件下で行われる材料又は表面の処理のことを指す。漂白に適した化学物質の例としては、これらに限定されるものではないが、ClO、H、過酸、NOなどが挙げられる。
【0049】
本明細書において使用するところの変異型リパーゼの「洗浄性能」とは、組成物に変異型リパーゼを加えることなく洗剤に更なる洗浄性能を与える、洗浄に対する変異型リパーゼの寄与のことを指す。洗浄性能は、関連する洗浄条件下で比較される。
【0050】
「関連する洗浄条件」なる用語は、本明細書においては、特に、食器又は洗濯洗剤市場区分において家庭で実際に使用される洗浄温度、時間、洗浄力学、泡濃度(sud concentration)、洗剤の種類及び水の硬度といった条件を示す。
【0051】
本明細書において使用するところの「消毒」なる用語は、物品の表面上の微生物の阻害又は殺滅のことを指す。本開示が、特定の表面、物品、又は除去しようとする汚染物質若しくは微生物に限定されることは意図するところではない。
【0052】
本明細書における洗浄組成物の「圧縮」形態とは、密度に最もよく反映され、組成物の観点からは無機充填剤塩の量に反映される。無機充填剤塩は、粉末形態の洗剤組成物の従来の成分である。従来の洗剤組成物では、充填剤塩は、相当量、通常は全組成物の約17〜約35重量%の量で存在する。これに対して圧縮組成物では、充填剤塩は全組成物の約15%以下の量で存在する。いくつかの実施形態では、充填剤塩は、組成物の約10重量%以下、又はより好ましくは約5重量%以下の量で存在する。いくつかの実施形態では、無機充填剤塩は、硫酸塩及び塩酸塩のアルカリ及びアルカリ土類金属塩から選択される。いくつかの実施形態では、好ましい充填剤塩は硫酸ナトリウムである。
【0053】
本明細書において使用するところの「織物」又は「織物材料」なる用語は、織布、並びに紡糸、織物、編物、及び不織布への転換又はそれらとしての使用に適したステープルファイバー及びフィラメントのことを指す。この用語には、天然及び合成(例えば製造された)繊維から製造される紡糸が含まれる。
【0054】
本明細書において使用するところの「精製された」又は「単離された」なる用語は、タンパク質、核酸、脂質、媒質成分などの他の分子からTfuLip2などの対象とする分子を物理的に分離することを指す。対象とする分子は、精製又は単離後には、試料中の物質の全体量の少なくとも50%、及び更には少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又はそれ以上を占めうる(重量/重量)。
【0055】
本明細書において使用するところの「ポリペプチド」とは、ペプチド結合を介して連結された複数の連続したアミノ酸残基を有する分子のことを指す。「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、互換可能に用いられる。タンパク質は必要に応じて修飾される(例えば、グリコシル化、リン酸化、アシル化、ファルネシル化、プレニル化、スルホン化など)ことによって、官能基が付加されてもよい。このようなアミノ酸配列が活性を示す場合、これらのアミノ酸配列を「酵素」と呼ぶことができる。アミノ酸配列は標準的なアミノ末端からカルボキシ末端に向かう方向で示し(すなわちN→C)、従来のアミノ酸残基の1文字又は3文字の略号を使用する。
【0056】
「ポリヌクレオチド」なる用語には、DNA、RNA、ヘテロ2本鎖、及びポリペプチドをコードすることが可能な合成分子が含まれる。核酸は1本鎖又は2本鎖であってよく、化学修飾されてもよい。「核酸」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、互換可能に用いられる。遺伝子コードは縮重性であるため、特定のアミノ酸をコードするのに複数のコドンが用いられうるものであり、本発明の組成物及び方法には、特定のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列が含まれる。特に断らないかぎり、核酸配列は5’から3’末端に向かう方向で示される。
【0057】
本明細書において使用するところの「野生型」及び「天然型」なる用語は、自然界で見出されるポリペプチド又はポリヌクレオチドのことを指す。
【0058】
ポリペプチドに関し、「野生型」、「親の」、又は「参照」なる用語は、1以上のアミノ酸位置において人工的な置換、挿入、又は欠失を有さない、天然型ポリペプチドのことを指す。同様に、ポリヌクレオチドに関し、「野生型」、「親の」、又は「参照」なる用語は、人工的なヌクレオシドの変化を有さない、天然型ポリヌクレオチドのことを指す。しかしながら、野生型、親の又は参照ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは天然型ポリヌクレオチドに限定されるわけではなく、野生型、親の又は参照ポリペプチドをコードするあらゆるポリヌクレオチドが含まれる。
【0059】
本明細書において使用するところの「変異型ポリペプチド」とは、通常は組換えDNA技術によって、1以上のアミノ酸の置換、付加、又は欠失により親(又は参照)ポリペプチドから誘導されるポリペプチドのことを指す。変異型ポリペプチドは、親ポリペプチドと小数のアミノ酸残基だけ異なりうるものであり、親ポリペプチドとの一次アミノ酸配列の相同性/同一性のレベルによって定義される。好ましくは、変異型ポリペプチドは、親ポリペプチドと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は更には少なくとも99%のアミノ酸配列の同一性を有する。
【0060】
配列同一性は、標準的なパラメータを用いてBLAST、ALIGN、及びCLUSTALなどの既知のプログラムによって求めることができる。(例えば、Altschulら(1990)J.Mol.Biol.215:403〜410;Henikoffら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915;Karinら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci USA 90:5873;及び、Higginsら(1988)Gene 73:237〜244を参照)。BLAST解析を行うためのソフトウェアは、米国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)より公的に入手可能である。更に、FASTAを用いてデータベースを検索することが可能である(Pearsonら(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444〜2448)。2つのポリペプチドがほぼ一致することを示すものとして、第1のポリペプチドは第2のポリペプチドとの免疫交差反応性を示すことがある。一般的に、保存的なアミノ酸置換において異なるポリペプチド同士は、免疫交差反応性を示す。したがって、あるポリペプチドは第2のポリペプチドと、例えば2つのペプチド同士が保存的置換のみにおいて異なる場合にほぼ同一である。
【0061】
本明細書において使用するところの「変異型ポリヌクレオチド」とは、変異型ポリペプチドをコードするか、親ポリヌクレオチドと特定の程度の相同性/同一性を有するか、あるいは、親ポリヌクレオチド又はその相補体とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするものである。好ましくは、変異型ポリヌクレオチドは、親ポリヌクレオチドと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は更には少なくとも99%のヌクレオチド配列の同一性を有する。一致率(%)を求めるための方法は当該技術分野では周知のものであり、直前に述べたとおりである。
【0062】
「〜から誘導される」なる用語は、「〜を由来とする」、「〜から得られる」、「〜から得ることが可能な」、「〜から単離される」、及び「〜から生成される」という用語を含み、ある特定の物質の起源が別の特定の物質にあるか、又はある特定の物質が別の特定の物質に関連して述べられる特徴を有することを一般的に示す。
【0063】
本明細書において使用するところの「ハイブリダイゼーション」なる用語は、当該技術分野では周知のように、核酸の鎖が塩基の対合を介して相補鎖と結合するプロセスのことを指す。
【0064】
本明細書において使用するところの「ハイブリダイゼーション条件」なる語句とは、ハイブリダイゼーション反応が行われる条件のことを指す。これらの条件は、ハイブリダイゼーションが測定される条件の「ストリンジェンシー」の程度によって一般的に分類される。ストリンジェンシーの程度は、例えば、核酸結合複合体又はプローブの融解温度(Tm)に基づいたものでありうる。例えば一般的に、「最大のストリンジェンシー」は約Tm−5℃(プローブのTmよりも5°低い温度)で、「高ストリンジェンシー」はTmよりも約5〜10°低い温度で、「中間ストリンジェンシー」はプローブのTmよりも約10〜20°低い温度で、「低ストリンジェンシー」はTmよりも約20〜25°低い温度で起こる。これに代えるかあるいはこれに加えて、ハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーション及び/又は1回以上のストリンジェンシー洗浄の塩又はイオン強度条件に基づいたものであってもよく、例えば、6×SSC=極めて低いストリンジェンシー、3×SSC=低〜中度のストリンジェンシー、1×SSC=中度のストリンジェンシー、及び0.5×SSC=高ストリンジェンシーである。機能的には、ハイブリダイゼーションプローブと厳密な同一性又はほぼ厳密な同一性を有する核酸配列を特定するためには最大のストリンジェンシー条件を用いることが可能であるのに対して、プローブと約80%以上の配列同一性を有する核酸配列を特定するためには高ストリンジェンシー条件が用いられる。高い選択性が求められる用途では、比較的ストリンジェントな条件を用いてハイブリッドを形成させることが一般的に望ましい(例えば、比較的低い塩濃度及び/又は高い温度条件が用いられる)。本明細書において使用するところのストリンジェントな条件とは、50℃で0.2×SSCとして定義される(1×SSC=0.15MのNaCl、0.015Mのクエン酸ナトリウム、pH 7.0)。
【0065】
少なくとも2個の核酸又はポリペプチドとの関連で「ほぼ同様」及び「ほぼ同一」なる語句は、ポリヌクレオチド又はポリペプチドが、親配列又は参照配列と少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は更には少なくとも約99%の同一性を有する配列を含むか、官能性を付与することなく本開示の記載を回避する目的のみで行われるアミノ酸の置換、挿入、欠失、又は修飾を有さないことを意味する。
【0066】
本明細書において使用するところの「発現ベクター」とは、特定のポリペプチドをコードし、適当なホスト内でそのポリペプチドを発現させることが可能な適当な調節配列に機能的に連結された、DNA配列を含むDNAコンストラクトのことを指す。このような調節配列としては、転写を引き起こすプロモーター、こうした転写を調節する、場合により存在するオペレーター配列、適当なmRNAのリボソーム結合部位をコードする配列、及び転写及び翻訳の停止を調節する配列がある。ベクターは、プラスミド、ファージ粒子、又は単純に潜在的なゲノムインサートであってよい。適当なホスト内に形質転換されると、ベクターは複製され、ホストのゲノムとは独立して機能するか、場合によってはゲノム自体に組み込まれうる。
【0067】
「組換え」なる用語は、例えば、コード配列に突然変異を導入することで変化したポリペプチドを生成すること、コード配列を別の遺伝子のコード配列と融合させること、遺伝子を異なるプロモーターの制御下に置くこと、遺伝子を異種生物内で発現させること、遺伝子の発現レベルを低下又は上昇させること、遺伝子をその自然の発現プロファイルとは異なる発現プロファイルで条件的又は構成的に発現させることなどにより、配列又は発現特性を変化させるように改変された遺伝物質(すなわち、核酸、核酸がコードするポリペプチド、並びにこうしたポリヌクレオチドを含むベクター及び細胞)のことを指す。一般的に組換え核酸、ポリペプチド、及びこれらに基づく細胞は、関連する核酸、ポリペプチド、及び自然に見られる細胞とは同一ではなくなるように人為的に操作されている。
【0068】
「シグナル配列」とは、ポリペプチドのN末端部分に結合したアミノ酸の配列のことを指し、タンパク質の成熟型の細胞からの分泌を促進するものである。細胞外タンパク質の成熟型は、分泌プロセスの際に切断されるシグナル配列は有していない。
【0069】
「選択的マーカー」又は「選択可能なマーカー」なる用語は、導入された核酸又はベクターを含むホストの選択を容易にする、ホスト細胞において発現させることが可能な遺伝子のことを指す。選択可能なマーカーの例としては、これらに限定されるものではないが、抗微生物物質(例えば、ヒグロマイシン、ブレオマイシン、又はクロラムフェニコール)及び/又は、ホスト細胞に栄養的優位性のような代謝的優位性を与える遺伝子が挙げられる。
【0070】
本明細書において使用するところの「調節要素」なる用語は、核酸配列の発現の特定の側面を調節する遺伝子要素のことを指す。例えばプロモーターは、機能的に連結されたコード領域の転写の開始を促進する調節要素である。更なる調節要素としては、スプライシングシグナル、ポリアデニル化シグナル、及び停止シグナルが挙げられる。
【0071】
本明細書において使用するところの「ホスト細胞」とは、当該技術分野では周知の組換えDNA技術を用いて構築されたベクターを形質転換又はトランスフェクトした原核生物又は真核生物のホストである。形質転換されたホスト細胞は、タンパク質変異体をコードするベクターを複製するか、あるいは所望のタンパク質変異体を発現することが可能である。タンパク質変異体の前駆体、又はプレプロ体をコードするベクターの場合、一般的にこうした変異体は、発現されるとホスト細胞からホスト細胞の培地中へと分泌される。
【0072】
細胞に核酸配列を挿入することに関連して「導入された」なる用語は、形質転換、形質導入、又はトランスフェクションを意味する。形質転換の手段としては、当該技術分野では周知のプロトプラスト形質転換、塩化カルシウム沈降法、電気穿孔法、ネイキッドDNA法などが挙げられる(Chang and Cohen(1979)Mol.Gen.Genet.,168:111〜115;Smithら(1986)Appl.Env.Microbiol.,51:634;及びFerrariらによるHarwood,Bacillus,Plenum Publishing Corporation,pp.57〜72,1989の総説を参照)。
【0073】
本明細書において使用するところの「選択可能なマーカー」又は「選択可能な遺伝子産物」なる用語は、選択可能なマーカーが発現される細胞に抗生物質又は薬剤に対する耐性を与える酵素活性をコードする遺伝子の使用のことを指す。
【0074】
他の技術的及び科学的用語は、本開示が関連する技術分野における当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する(例えば、Singleton and Sainsbury,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology,2d Ed.,John Wiley and Sons,NY(1994);及びHale and Marham,The Harper Collins Dictionary of Biology,Harper Perennial,NY(1991)を参照)。
【0075】
単数形「a」、「an」、及び「the」には、内容的に明らかに示されていないかぎり、複数の対象物が含まれる。
【0076】
各見出しは、便宜上示されるものであって、限定的に解釈されるべきではない。1つの見出しの下に含まれる説明は、明細書全体に適用されうるものである。
【0077】
III.TfuLip2ポリペプチド及びポリヌクレオチド
A.TfuLip2ポリペプチド
一態様では、本発明の組成物及び方法は、組換えTfuLip2ポリペプチド又はその変異体を提供する。代表的なTfuLip2ポリペプチドとしては、サーモビフィダ・フスカ(GENBANKアクセッション番号YP_288944)から単離されたものがある。成熟したTfuLip2ポリペプチドは、配列番号3のアミノ酸配列を有する。同様のほぼ同一のTfuLip2ポリペプチドが、例えばT.フスカの他の株又は単離物など、自然に存在しうる。本発明の組成物及び方法には、これら及び他の組換えTfuLip2ポリペプチドが含まれる。
【0078】
いくつかの実施形態では、組換えTfuLip2ポリペプチドは、上記の代表的なTfuLip2ポリペプチドと特定のアミノ酸配列の相同性、例えば配列番号2(下記)又は配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は更には少なくとも99%の配列相同性を有する変異型TfuLip2ポリペプチドである。相同性は、例えば本明細書において述べるBLAST、ALIGN、又はCLUSTALなどのプログラムを使用して、アミノ酸配列を整合することにより決定することができる。
【0079】
いくつかの実施形態では、組換えTfuLip2ポリペプチドは、ポリヌクレオチドの構造及び/又は機能に大きく影響しない置換を有する。代表的な置換は、表Iにまとめたような保存的突然変異である。

【表1】

【0080】
天然型アミノ酸が関与する置換は、組換えTfuLip2をコードする核酸に突然変異を導入し、次いでこの変異型ポリヌクレオチドを特定の生物で発現させることにより一般的に行われる。非天然型アミノ酸が関与する置換、又はアミノ酸に対する化学修飾は、組換えTfuLip2ポリペプチドが特定の生物によって合成された後に組換えTfuLip2ポリペプチドを化学的に修飾することにより一般的に行われる。
【0081】
いくつかの実施形態では、変異型組換えTfuLip2ポリペプチドは配列番号3とほぼ同一であり、これは変異型組換えTfuLip2ポリペプチドが、ポリヌクレオチドの構造、機能又は発現に大きく影響しないアミノ酸の置換、挿入、又は欠失を有さないことを意味する。このような変異型組換えTfuLip2ポリペプチドには、本発明の記載を回避する目的でのみ設計されたものが含まれる。
【0082】
いくつかの実施形態では、組換えTfuLip2ポリペプチド(その変異型を含む)は、リパーゼ、エステラーゼ、トランスエステラーゼ、及び/又はアシルトランスフェラーゼ活性を含むカルボン酸エステル加水分解酵素活性を有する。カルボン酸エステル加水分解酵素活性は、本明細書において述べるアッセイを用いるか、又は当該技術分野では周知の他のアッセイによって決定及び測定することができる。いくつかの実施形態では、組換えTfuLip2ポリペプチドは、洗剤組成物の存在下で活性を有する。
【0083】
TfuLip2ポリペプチドには、カルボン酸エステル加水分解酵素活性を維持する「完全長」のTfuLip2ポリペプチドのフラグメントが含まれる。こうしたフラグメントは、完全長ポリヌクレオチドの活性部位を保持していることが好ましいが、重要ではないアミノ酸残基の欠失を有してもよい。フラグメントの活性は、本明細書において述べるアッセイを用いるか、又は当該技術分野では周知の他のアッセイによって容易に決定することができる。いくつかの実施形態では、TfuLip2ポリペプチドのフラグメントは、洗剤組成物の存在下でカルボン酸エステル加水分解酵素活性を維持する。
【0084】
いくつかの実施形態では、TfuLip2ポリペプチドは、TfuLip2ポリペプチドの細胞外分泌を指示するシグナルペプチドと融合される。いくつかの実施形態では、TfuLip2ポリペプチドは、異種生物、すなわちバチルス・サブチリス以外の生物内で発現される。代表的な異種生物としては、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・レンタス(Bacillus lentus)、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)、ジオバチルス(Geobacillus(以前のバチルス)ステアロサーモフィラス(stearothermophilus))、バチルス・アルカロフィラス(Bacillus alkalophilus)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)、バチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)、バチルス・ロータス(Bacillus lautus)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)、又はストレプトマイセス・ムリヌス(Streptomyces murinus)などのグラム陽性菌;大腸菌などのグラム陰性菌;例えばサッカロマイセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)などのサッカロマイセス属、又はシゾサッカロマイセス属などの酵母;並びに、例えばアスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)又はアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)などのアスベルギルス属、及びトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)などの糸状菌が挙げられる。これらの生物内に核酸を形質転換するための方法は当該技術分野では周知のものである。アスペルギルス属のホスト細胞の形質転換に適した方法が、欧州特許出願公開第238 023号に述べられている。
【0085】
特定の実施形態では、TfuLip2ポリペプチドは異種生物内で分泌型ポリペプチドとして発現され、その場合、本組成物及び方法には、TfuLip2ポリペプチドを異種生物内で分泌型ポリペプチドとして発現させるための方法が含まれる。
【0086】
B.TfuLip2ポリヌクレオチド
本組成物及び方法の別の態様は、本明細書において特定されるもののような異種生物内でTfuLip2ポリペプチドを発現させるための発現ベクターとの関連で提供される、TfuLip2ポリペプチド(その変異体及びフラグメントを含む)をコードするポリヌクレオチドである。TfuLip2ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、コードされたポリペプチドの発現を助けるための調節要素(例えば、プロモーター、ターミネーター、エンハンサーなど)と機能的に連結させることができる。
【0087】
TfuLip2ポリペプチドをコードする代表的なポリヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチド配列を有する。TfuLip2ポリペプチドをコードするほぼ同一のものを含む同様のポリヌクレオチド及び変異体は、例えばT・フスカの他の株又は単離物など、自然に存在しうる。遺伝子コードの縮重性を考慮すると、異なるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドが、同じTfuLip2ポリペプチド、変異体、又はフラグメントをコードしうることを理解できよう。
【0088】
いくつかの実施形態では、TfuLip2ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、TfuLip2ポリペプチドをコードする上記の代表的なポリヌクレオチドと特定のアミノ酸配列の相同性、例えば配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は更には少なくとも99%の配列相同性を有する。相同性は、例えば本明細書において述べるBLAST、ALIGN、又はCLUSTALなどのプログラムを使用して、アミノ酸配列を整合することにより決定することができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、TfuLip2をコードするポリヌクレオチドは、TfuLip2ポリペプチドの細胞外分泌を指示するシグナルペプチドのコード配列の後ろ(すなわち、その下流)のフレームに融合される。異種シグナル配列には、細菌のセルラーゼ遺伝子から得られるものが含まれる。発現ベクターは、TfuLip2ポリペプチドを発現させるのに適した、又は適当なホスト細胞内に発現ベクターを導入するのに先立って発現ベクターを増殖させるのに適した、異種ホスト細胞中に与えることができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、TfuLip2ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、特定のハイブリダイゼーション条件下で配列番号1の代表的なポリヌクレオチド(又はその相補体)とハイブリダイズする。代表的な条件は、本明細書において述べられるストリンジェントな条件、及び高ストリンジェント条件である。
【0091】
TfuLip2ポリヌクレオチドは天然型であっても合成(すなわち、人工の)ものであってもよく、異なるホスト内での発現にコドンを最適化させるか、クローニング部位を導入するために突然変異させるか、あるいは官能性を付与するために改変することができる。
【0092】
IV.TfuLip2ポリペプチドの活性及び性質
本明細書において開示されるTfuLip2ポリペプチドは、広範なpH条件にわたって酵素活性を有しうる。特定の実施形態では、開示されるTfuLip2ポリペプチドは、約pH 4〜約pH 11.5で酵素活性を有する。好ましい実施形態では、TfuLip2は約pH 8〜約pH 10で活性である。本明細書において述べるpHの値は、±0.2だけ変化しうることに注意されたい。例えば、約8のpHの値は、pH 7.8〜pH 8.2で変化しうる。
【0093】
本明細書において開示されるTfuLip2ポリペプチドは、例えば10℃以下〜約50℃の広範な温度にわたって酵素活性を有しうる。特定の実施形態では、TfuLip2リパーゼの最適な温度範囲は、約10℃〜約20℃、約20℃〜約30℃、約30℃〜約40℃、又は約40℃〜約50℃である。本明細書において述べる温度の値は、±0.2℃だけ変化しうることに注意されたい。例えば、約10℃の温度は、9.8℃〜10.2℃で変化しうる。
【0094】
実施例3に示されるように、TfuLip2ポリペプチドの活性はC8の基質を用いた場合に最も高かったが、C4及びC16の基質を用いた場合にも活性が認められた。これに対して、商業的に製造されているリパーゼであるLIPOMAX(商標)(すなわち、シュードモナス・シュードアルカリゲネスリパーゼ変異体M21L(ダニスコ・ユー・エス社(Danisco US.Inc.)ジェネンコア(Genencor)部門、米国カリフォルニア州、パロアルト))は、C10の基質に対する選択性を有し、基質がより小さくなる(例えばC8)か又はより大きくなる(例えばC16)と、活性は急速に低下した(示さず)。したがって、TfuLip2ポリペプチドは、特定の長さの基質に対してはLIPOMAX(商標)よりも選択性が低いが、より短い鎖長の基質に対してLIPOMAX(商標)よりも選択的であるようである。実際、TfuLip2は、溶液中(実施例4)、及び染みが布地上にある場合(実施例5)のいずれにおいても、洗剤組成物の存在下で代表的な油性染み物質に対して加水分解活性を示した。
【0095】
優れた洗浄性能及び幅広い基質特異性を有すること以外に、TfuLip2リパーゼは、洗剤組成物中で、特にプロテアーゼの存在下において安定性も有する。TfuLip2リパーゼの安定性を、同等のアッセイ条件を用いて、LIPEX(商標)の安定性に対して測定することが便宜上可能である。代表的なアッセイ条件については本明細書に述べる(実施例14を含むが、これに限定されない)。安定性については、最終的な洗浄条件下、又は洗剤配合物の濃縮された保存形態中においてアッセイを行うことができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、TfuLip2リパーゼは、プロテアーゼを含まない同等の洗剤組成物中で約1週間にわたって、少なくとも約10%、少なくとも約15%、又は更には少なくとも約20%、LIPEX(商標)よりも安定的である。いくつかの実施形態では、TfuLip2リパーゼは、プロテアーゼを含まない同等の洗剤組成物中で約15日間にわたって、少なくとも約10%、少なくとも約15%、又は更には少なくとも約20%、LIPEX(商標)よりも安定的である。代表的な洗剤組成物は、OMO(商標)Small and Mighty及びARIEL(商標)である。いくつかの実施形態では、TfuLip2リパーゼは、プロテアーゼを含まない同等の洗剤組成物中で約1週間にわたって、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、又は更には少なくとも約1.5倍、LIPEX(商標)より安定的である。いくつかの実施形態では、TfuLip2リパーゼは、プロテアーゼを含まない同等の洗剤組成物中で約15日間にわたって、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、又は更には少なくとも約1.5倍、LIPEX(商標)よりも安定的である。代表的な洗剤組成物は、OMO(商標)Small and Mighty及びARIEL(商標)である。
【0097】
いくつかの実施形態では、TfuLip2リパーゼは、プロテアーゼを含む同等の洗剤組成物中で約1週間にわたって、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、少なくとも約300%、少なくとも約350%、少なくとも約400%、少なくとも約450%、又は更には少なくとも約500%、LIPEX(商標)よりも安定的である。いくつかの実施形態では、TfuLip2リパーゼは、プロテアーゼを含む同等の洗剤組成物中で約約15日間にわたって、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、少なくとも約300%、少なくとも約350%、少なくとも約350%、少なくとも約400%、少なくとも約450%、少なくとも約500%、少なくとも約550%、少なくとも約600%、少なくとも約650%、少なくとも約700%、少なくとも約750%、少なくとも約800%、少なくとも約850%、少なくとも約900%、少なくとも約950%、少なくとも約1,000%、少なくとも約1,100%、少なくとも約1,200%、少なくとも約1,300%、少なくとも約1,400%、少なくとも約1,500%、少なくとも約1,600%、少なくとも約1,700%、又は更には少なくとも約1,800%、LIPEX(商標)よりも安定的である。代表的な洗剤組成物は、OMO(商標)Small and Mighty及びARIEL(商標)である。いくつかの実施形態では、TfuLip2リパーゼは、プロテアーゼを含む同等の洗剤組成物中で約1週間にわたって、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約4.5倍、又は更には少なくとも約5倍、LIPEX(商標)よりも安定的である。いくつかの実施形態では、TfuLip2リパーゼは、プロテアーゼを含む同等の洗剤組成物中で約15日間にわたって、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なくとも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、少なくとも約15倍、少なくとも約16倍、少なくとも約17倍、又は更には少なくとも約18倍、LIPEX(商標)よりも安定的である。代表的な洗剤組成物は、OMO(商標)Small and Mighty及びARIEL(商標)である。
【0098】
TfuLip2リパーゼのこれらの、並びに他の性質及び利点について本明細書において述べる。
【0099】
V.TfuLip2ポリペプチドを含む洗剤組成物
本明細書において開示される組成物及び方法の一態様は、TfuLip2ポリペプチド(その変異体又はフラグメントを含む)を含む洗剤組成物、及び洗浄用途においてこうした組成物を使用するための方法である。洗浄用途としては、これらに限定されるものではないが、洗濯又は繊維製品のクリーニング、食器洗い(手洗い及び自動)、染みの前処理などが挙げられる。特定の用途は、脂質が除去すべき汚れ又は染みの成分であるような用途である。洗剤組成物は、通常、TfuLip2又はその変異体の有効量、例えば、少なくとも0.0001重量%、約0.0001〜約1、約0.001〜約0.5、約0.01〜約0.1重量%、又は更には約0.1〜約1重量%、又はそれよりも多い量を含む。約0.4g/L〜約2.2g/L、約0.4g/L〜約2.0g/L、約0.4g/L〜約1.7g/L、約0.4g/L〜約1.5g/L、約0.4g/L〜約1g/L、約0.4g/L〜約0.8g/L、又は約0.4g/L〜約0.5g/Lの濃度を有する洗剤組成物を、TfuLip2リパーゼの有効量と混合することができる。洗剤組成物は、約0.4mL/L〜約2.6mL/L、約0.4mL/L〜約2.0mL/L、約0.4mL/L〜約1.5m/L、約0.4mL/L〜約1mL/L、約0.4mL/L〜約0.8mL/L、又は約0.4mL/L〜約0.5mL/Lの濃度で存在してもよい。
【0100】
特に断らないかぎり、本明細書において与えられるすべての成分又は組成物の濃度は、その成分又は組成物の活性濃度に関して記載されるものであり、市販の供給源中に存在しうる例えば残留溶媒又は副生成物のような不純物は除外される。酵素成分の重量は、全活性タンパク質に基づいたものである。比率(%)及び比はすべて、特に断らないかぎりは重量で計算している。比率(%)及び比はすべて、特に断らないかぎりは全組成物を基準として計算している。代表的な洗剤組成物において、酵素濃度は全組成物中の純粋な酵素の重量によって表し、特に断らないかぎり、各洗剤成分は全組成物中の重量によって表している。
【0101】
いくつかの実施形態では、洗剤組成物は、非イオン性、半極性、アニオン性、カチオン性、双性イオン性、又はこれらの組み合わせ及び混合物でありうる、1以上の界面活性剤を含む。界面活性剤は、通常、約0.1重量%〜60重量%の濃度で存在する。代表的な界面活性剤としては、これらに限定されるものではないが、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、C12〜14パレス−7、C12〜15パレス−7、C12〜15パレス硫酸ナトリウム、C14〜15パレス−4、ラウレス硫酸ナトリウム(例えば、Steol CS−370)、水添ヤシ脂肪酸ナトリウム、C12エトキシレート(Alfonic 1012〜6、Hetoxol LA7、Hetoxol LA4)、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(例えば、Nacconol 90G)、並びにこれらの組み合わせ及び混合物が挙げられる。
【0102】
本明細書において述べる洗剤組成物とともに使用することが可能なアニオン性界面活性剤としては、これらに限定されるものではないが、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、α−オレフィンスルホン酸塩(AOS)、アルキル硫酸エステル(脂肪アルコール硫酸エステル)(AS)、アルコールエトキシ硫酸エステル(AEOS又はAES)、2級アルカンスルホン酸塩(SAS)、α−スルホ脂肪酸メチルエステル、アルキル−若しくはアルケニルコハク酸、又は石鹸が挙げられる。洗剤組成物は、アルコールエトキシレート(AEO又はAE)、カルボキシルアルコールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、アルキルポリグリコシド、アルキルジメチルアミンオキシド、エトキシル化脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸モノエタノールアミド、ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド(例えば、国際特許出願公開第92/06154号に述べられる)、並びにこれらの組み合わせ及び混合物などの0〜40%の非イオン性界面活性剤を更に含みうる。
【0103】
本明細書において述べる洗剤組成物とともに使用することが可能な非イオン性界面活性剤としては、これらに限定されるものではないが、脂肪酸のポリオキシエチレンエステル、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(例えば、TWEEN類)、ポリオキシエチレンアルコール、ポリオキシエチレンイソアルコール、ポリオキシエチレンエーテル(例えば、TRITON類及びBRIJ)、ポリオキシエチレンエステル、ポリオキシエチレン−p−tert−オクチルフェノール又はオクチルフェニル−エチレンオキシド縮合物(例えば、NONIDET P40)、エチレンオキシドと脂肪アルコールとの縮合物(例えば、LUBROL)、ポリオキシエチレンノニルフェノール、ポリアルキレングリコール(SYNPERONIC F108)、糖ベースの界面活性剤(例えば、グリコピラノシド、チオグリコピラノシド)、並びにこれらの組み合わせ及び混合物が挙げられる。
【0104】
本明細書において開示される洗剤組成物は、これらに限定されるものではないが、5〜15%のアニオン性界面活性剤、<5%の非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ホスホネート、石鹸、酵素、香料、ブチルフェニルメチルプロピオネート、ゲラニオール、ゼオライト、ポリカルボキシレート、ヘキシルシンナマル、リモネン、カチオン性界面活性剤、シトロネロール、及びベンズイソチアゾリノンを含む混合物を有しうる。
【0105】
洗剤組成物は更に、1以上の洗剤ビルダー又はビルダーシステム、錯化剤、ポリマー、漂白システム、安定化剤、起泡促進剤、泡抑制剤、腐蝕防止剤、汚れ懸濁剤、汚れ再付着防止剤、染料、殺菌剤、ヒドロトロープ、変色防止剤、蛍光増白剤、柔軟剤、及び香料を更に含んでもよい。洗剤組成物は、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、リパーゼ、又は更なるカルボン酸エステル加水分解酵素を含むがこれらに限定されない、酵素を更に含んでもよい。洗剤組成物のpHは、本明細書において述べるように中性〜塩基性でなければならない。
【0106】
少なくとも1種類のビルダーを含むいくつかの実施形態では、洗剤組成物は、洗浄組成物の少なくとも約1重量%(すなわち、wt/wt、重量パーセント)、約3重量%〜約60重量%、又は更には約5重量%〜約40重量%のビルダーを含む。ビルダーとしては、これらに限定されるものではないが、ポリリン酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩及びアルカノールアンモニウム塩、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ土類及びアルカリ金属炭酸塩、アルミノケイ酸塩、ポリカルボキシレート化合物、エーテルヒドロキシポリカルボキシレート、無水マレイン酸とエチレン又はビニルメチルエーテルとのコポリマー、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン−2,4,6−トリスルホン酸、並びにカルボキシメチルオキシコハク酸、エチレンジアミン4酢酸及びニトリロ3酢酸のようなポリ酢酸の各種のアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び置換アンモニウム塩、並びに、例えばメリト酸、コハク酸、クエン酸、オキシジコハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5−トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸のようなポリカルボキシレート、並びにこれらの可溶性塩が挙げられる。実際、任意の適当なビルダーが本開示の異なる実施形態において有用であると考えられる。
【0107】
いくつかの実施形態では、ビルダーは、クエン酸塩及びポリリン酸塩(例えば、トリポリリン酸ナトリウム及びトリポリリン酸ナトリウム六水和物、トリポリリン酸カリウム、及びトリポリリン酸ナトリウムとトリポリリン酸カリウムとの混合物など)などの水溶性の硬度イオン複合体(例えば封鎖ビルダー)を形成する。当該技術分野では周知のものを含む(例えば、欧州特許出願公開第2 100 949号を参照)任意の適当なビルダーが、本開示において有用であると考えられる。
【0108】
本明細書において示されるように、いくつかの実施形態では、本明細書において述べる洗浄組成物は、これらに限定されるものではないが、界面活性剤、ビルダー、漂白剤、漂白剤活性剤、漂白剤触媒、他の酵素、酵素安定システム、キレート剤、蛍光増白剤、汚れ放出ポリマー、移染剤、分散剤、泡抑制剤、染料、香料、着色剤、充填剤塩、ヒドロトロープ、光活性剤、蛍光剤、柔軟剤、加水分解性界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、収縮防止剤、シワ防止剤、殺菌剤、防カビ剤、カラースペックル(color speckles)、シルバーケア(silvercare)、変色防止及び/又は腐蝕防止剤、アルカリ性付与剤、可溶化剤、キャリア、加工助剤、顔料、及びpH調整剤を含む添加物質を更に含む(例えば、いずれも本明細書に援用するところの米国特許第6,610,642号、同第6,605,458号、同第5,705,464号、同第5,710,115号、同第5,698,504号、同第5,695,679号、同第5,686,014及び同第5,646,101号を参照)。特定の洗浄組成物物質の実施形態を以下に詳しく例示する。洗浄添加物質が、洗浄組成物中のTfuLip2変異体と適合性を有さないような実施形態では、洗浄添加物質とリパーゼとを、これら2つの成分を合わせることが適切となるまで分離(すなわち、互いに接触しないように)しておくのに適当な方法が用いられる。このような分離方法には、当該技術分野では周知のあらゆる適当な方法が含まれる(例えば、ジェルキャップ、カプセル化、錠剤、物理的分離など)。
【0109】
本明細書において述べる洗浄組成物は、例えば、洗濯用途、硬質表面の洗浄、食器洗い用途、並びに入れ歯、歯、毛髪及び皮膚などの美容用途において効果的に使用することができる。更に、本明細書において述べるTfuLip2酵素は、低温溶液中において高い効果を示すという特有の効果のために、洗濯用途に特に適している。更に、TfuLip2酵素は、粒状及び液体組成物中で使用することができる。
【0110】
本明細書において述べるTfuLip2ポリペプチドは、添加用製品における洗浄用途に使用することもできる。いくつかの実施形態では、低温溶液洗浄用途において有用である。いくつかの実施形態では、本開示は、更なる漂白効果が望ましい場合に、洗浄プロセスにおいて添加するのに特に適した少なくとも1種類の開示されるTfuLip2ポリペプチドを含む、洗浄添加用製品を提供する。こうした場合には、これに限定されないが、低温溶液洗浄用途が含まれる。いくつかの実施形態では、添加用製品はその最も単純な形態、すなわち1以上のリパーゼである。いくつかの実施形態では、添加用製品は洗浄プロセスに添加される剤形にパッケージングされる。いくつかの実施形態では、添加用製品は、過酸素源が使用され、高い漂白効果が望まれる場合に、洗浄プロセスに添加される剤形にパッケージングされる。これらに限定されるものではないが、ピル、錠剤、ジェルキャップ、又は予め計量された粉末若しくは液体などの他の一回用量単位を含む、任意の適当な一回容量単位の形態が、本開示とともに使用するのに有用である。いくつかの実施形態では、こうした組成物の体積を増すために充填剤又はキャリア物質が添加される。適当な充填剤又はキャリア物質としては、これらに限定されるものではないが、硫酸塩、炭酸塩及びケイ酸塩といった各種の塩、並びにタルク、粘土などが挙げられる。液体組成物に適した充填剤又はキャリア物質としては、これらに限定されるものではないが、水、又はポリオール及びジオールなどの低分子量の一級及び二級アルコールが挙げられる。このようなアルコールの例としては、これらに限定されるものではないが、メタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノールが挙げられる。いくつかの実施形態では、本組成物は、約5%〜約90%のこうした物質を含む。pHを低下させるうえで、酸性充填剤が有用である。また、いくつかの実施形態では、洗浄添加用製品は、下記により詳細に述べるような添加成分を含む。
【0111】
本発明の洗浄組成物及び洗浄添加用製品は、本明細書において述べるTfuLip2ポリペプチドの少なくとも1つのものの有効量を、単独で、又は他のリパーゼ及び/又は更なる酵素と組み合わせて必要とする。必要とされる酵素の濃度は、1以上の開示されるTfuLip2ポリペプチドを添加することによって得られる。一般的に、本発明の洗浄組成物は、少なくとも約0.0001重量%、約0.0001〜約10、約0.001〜約1、又は更には約0.01〜約0.1重量%の開示されるTfuLip2ポリペプチドの少なくとも1つのものを含む。
【0112】
本明細書における洗浄組成物は、水による洗浄動作における使用時に、洗浄水が約5.0〜約11.5、又は更には約7.5〜約10.5のpHを有するように一般的に配合される。液体製品の配合物は、約3.0〜約9.0、又は更には約3〜約5の無希釈pHを有するように一般的に配合される。粒状洗濯製品は、約9〜約11のpHを有するように一般的に配合される。推奨される使用レベルにpHを調節する技術としては、緩衝剤、アルカリ、酸などの使用が挙げられ、これらは当業者には周知のものである。
【0113】
適当な低pH洗浄組成物は、約3〜約5の無希釈pHを一般的に有し、このようなpH環境において加水分解する界面活性剤は一般的に含まない。このような界面活性剤には、少なくとも1個のエチレンオキシド部分、又は更には約1〜約16モルのエチレンオキシドを有するアルキル硫酸ナトリウム界面活性剤が含まれる。このような洗浄組成物は、洗浄組成物に約3〜約5の無希釈pHを与えるうえで充分な量の、水酸化ナトリウム、モノエタノールアミン、又は塩酸などのpH改変剤を一般的に含む。このような組成物は、少なくとも1種類の酸安定的酵素を一般的に含む。いくつかの実施形態では組成物は液体であり、他の実施形態では固体である。このような液体組成物のpHは、無希釈pHとして一般的に測定される。このような固体組成物のpHは、溶媒が蒸溜水であるような前記組成物の10%固形物溶液として測定される。これらの実施形態では、特に断らないかぎり、pHの測定はすべて20℃で行われる。
【0114】
いくつかの実施形態では、TfuLip2ポリペプチドが粒状組成物又は液体中で使用される場合、TfuLip2ポリペプチドは、保管時に粒状組成物の他の成分からTfuLip2ポリペプチドを保護するためにカプセル化された粒子の形態であることが望ましい。更にカプセル化は、洗浄プロセスの際にTfuLip2ポリペプチドの利用性を調節する手段でもある。いくつかの実施形態では、カプセル化によって、TfuLip2ポリペプチド及び/又は更なる酵素の性能が高められる。この点に関し、本開示のTfuLip2ポリペプチドは、当該技術分野では周知の任意の適当なカプセル化物質によってカプセル化される。いくつかの実施形態では、カプセル化物質は、本明細書に述べるTfuLip2ポリペプチドに対する触媒の少なくとも一部をカプセル化する。一般的には、カプセル化材料は、水溶性及び/又は水分散性である。いくつかの実施形態では、カプセル化物質は、0℃又はそれよりも高いガラス転移温度(Tg)を有する。ガラス転移温度については、国際特許出願公開第97/11151号により詳細に述べられている。カプセル化物質は、炭水化物、天然又は合成ゴム、キチン、キトサン、セルロース及びセルロース誘導体、ケイ酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、パラフィン蝋、並びにこれらの組み合わせからなる群から一般的に選択される。カプセル化物質が炭水化物である場合、カプセル化物質は、単糖類、オリゴ糖類、多糖類、及びこれらの組み合わせから一般的に選択される。いくつかの一般的な実施形態では、カプセル化物質はデンプンである(例えば、欧州特許出願公開第0 922 499号、米国特許第4,977,252号、同第5,354,559号、及び同第5,935,826号を参照)。いくつかの実施形態では、カプセル化物質は、熱可塑性物質、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、及びこれらの混合物などのプラスチックで形成されたマイクロスフェアであり、有用な市販のマイクロスフェアとしては、これらに限定されるものではないが、EXPANCEL(登録商標)(ストックビクスベルケン、スウェーデン)、及びPM 6545、PM 6550、PM 7220、PM7 228、EXTENDOSPHERES(登録商標)、LUXSIL(登録商標)、Q−CEL(登録商標)、及びSPHERICEL(登録商標)(ピー・キュー社(PQ Corp.)ペンシルベニア州バレーフォージ)により供給されるものがある。
【0115】
洗浄用途におけるTfuLip2を含む洗剤組成物の使用に際しては、衣類、繊維製品、食器、又は洗浄しようとする他の表面を、汚れ又は染み中に存在する脂質をTfuLip2が加水分解するのに充分な時間にわたってTfuLip2洗剤組成物の存在下でインキュベートした後、通常は水又は別の水性溶媒で洗い流すことによって、加水分解された脂質と一緒にTfuLip2洗剤組成物を除去する。
【0116】
本明細書において述べるように、TfuLip2ポリペプチドは、洗濯及び食器洗い用洗剤を含むが、これらに限定されない洗浄産業において特に有用である。これらの用途では、酵素は様々な環境ストレス下に置かれる。TfuLip2ポリペプチドは、異なる条件下でのその安定性のため、多くの現在使用されている酵素と比較して優れた利点を与えるものである。
【0117】
実際、洗浄に用いられるリパーゼが曝露される異なる洗剤配合、洗浄水の量、洗浄水の温度、及び洗浄時間の長さを含む様々な洗浄条件が存在する。更に、異なる地理的地域で使用される洗剤配合物は、洗浄水中に存在する関連成分の濃度が異なる。例えば、ヨーロッパの洗剤では、洗浄水中の洗剤成分は一般的に約4,500〜5,000ppmであるのに対して、日本の洗剤では、洗浄水中の洗剤成分は一般的に約667ppmである。北米、特に米国では、洗剤の洗浄水中に存在する洗剤成分は一般的に約975ppmである。
【0118】
低洗剤濃度システムでは、洗浄水中に存在する洗剤成分が約800ppm未満であるような洗剤が用いられる。日本の洗剤は、洗浄水中に存在する洗剤成分が約667ppmであることから、低洗剤濃度システムと一般的に考えられる。
【0119】
中洗剤濃度システムでは、洗浄水中に存在する洗剤成分が約800ppm〜約2,000ppmであるような洗剤が用いられる。北米の洗剤は、洗浄水中に存在する洗剤成分が約975ppmであることから、中洗剤濃度システムと一般的に考えられる。ブラジルでは、洗浄水中に存在する洗剤成分は一般的に約1,500ppmである。
【0120】
高洗剤濃度システムでは、洗浄水中に存在する洗剤成分が約2000ppmよりも高濃度であるような洗剤が用いられる。ヨーロッパの洗剤は、洗浄水中に存在する洗剤成分が約4500〜5000ppmであることから、高洗剤濃度システムと一般的に考えられる。
【0121】
南米の洗剤は、一般的に起泡力の高いリン酸塩ビルダー洗剤であり、南米において使用される洗剤の範囲は、洗浄水中の洗剤成分の範囲が1,500ppm〜6000ppmであることから中及び高洗剤濃度の両方に当てはまる。上記に述べたように、ブラジルでは、洗浄水中に存在する洗剤成分は一般的に約1,500ppmである。しかしながら、起泡力の高いリン酸塩ビルダー洗剤を使用している他の地理的地域(他の南米諸国に限定されない)では、洗浄水中に存在する洗剤成分が最大で約6,000ppmであるような高洗剤濃度システムでありうる。
【0122】
上記を考慮すると、世界全体では、一般的な洗浄液中の洗剤成分の濃度は、約800ppm未満の洗剤成分(「低洗剤濃度地域」)、例えば日本における約667ppmから、約800ppm〜約2,000ppmの間(「中洗剤濃度地域」)、例えば米国における約975ppm及びブラジルにおける約1,500ppm、約2,000ppmよりも高い濃度(「高洗剤濃度地域」)、例えばヨーロッパにおける約4,500ppm〜約5,000ppm、及び起泡力の高いリン酸塩ビルダーの使用地域における約6,000ppmまで変化することが明らかである。
【0123】
一般的な洗浄液の濃度は経験的に求められる。例えば、米国では、一般的な洗濯機には約64.4Lの体積の洗浄液が入る。したがって、洗浄液中で約975ppmの洗剤の濃度を得るには、64.4Lの洗浄液には約62.79gの洗剤組成物を加えなければならない。この量は、洗剤と一緒に提供される計量カップを用いて、消費者によって洗浄水中に計り入れられる一般的な量である。
【0124】
更なる例として、異なる地理的地域では異なる洗浄温度が用いられていることがある。日本における洗浄水の温度は、ヨーロッパで用いられるよりも一般的に低い。例えば、北米及び日本における洗浄水の温度が一般的に約10〜約30℃(例えば約20℃)であるのに対して、ヨーロッパにおける洗浄水の温度は一般的に約30〜約60℃(例えば約40℃)である。しかしながら、エネルギー節約の観点から、多くの消費者が冷水による洗浄の使用に切り換えつつある。更に、一部の更なる地域では、一般的に冷水は洗濯ばかりでなく、食器洗い用途においても使用されている。いくつかの実施形態では、本開示の「冷水洗浄」は、約10℃〜約40℃、又は約20℃〜約30℃、又は約15℃〜約25℃の温度、並びに約15℃〜約35℃の範囲内のすべての他の組み合わせ、及び10℃〜40℃内のすべての範囲の温度における洗浄を利用する。
【0125】
更なる例として、異なる地理的地域では、一般的に水の硬度が異なることがある。水の硬度は、通常、1ガロン当たりの混合Ca2+/Mg2+のグレーン数によって記述される(mg/L)。硬度は、水中のカルシウム(Ca2+)及びマグネシウム(Mg2+)の量の尺度である。米国における大部分の水は硬水であるが、硬度は異なっている。中度の硬さ(60〜120ppm)〜硬い(121〜181ppm)水は、60〜181ppmの硬度鉱物を含んでいる(ppmからグレーン/USガロンへの変換は、ppm数を17.1で割るとグレーン/ガロンとなる)。

【表2】

【0126】
ヨーロッパの水の硬度は、通常、約10.5(例えば、約10.5〜約20.0)グレーン/ガロン(179.5(例えば、約179.5〜342.0)mg/L)の混合Ca2+/Mg2+(例えば、15グレーン/ガロン(256.5mg/L)の混合Ca2+/Mg2+)である。北米の水の硬度は一般的に日本の水の硬度よりも高いが、ヨーロッパの水の硬度よりも低い。例えば、北米の水の硬度は、約3〜約10グレーン、約3〜約8グレーン又は約6グレーンでありうる(約51.3〜約171.0mg/L、約51.3〜約136.8mg/L又は約102.6mg/L)。日本の水の硬度は一般的に北米の水の硬度よりも低く、通常は約4グレーン/ガロン未満、例えば約3グレーン/ガロン(約68.4mg/L未満、例えば約51.3mg/L)の混合Ca2+/Mg2+である。
【0127】
したがって、いくつかの実施形態において、本開示は、少なくとも1組の洗浄条件(例えば、水温、水の硬度、及び/又は洗剤濃度)において驚くべき洗浄性能を示すTfuLip2ポリペプチドを提供する。いくつかの実施形態では、本TfuLip2ポリペプチドは、洗浄性能において他のリパーゼと同等である。いくつかの実施形態では、本TfuLip2ポリペプチドは、現在市販されているリパーゼと比較して高い洗浄性能を示す。すなわち、いくつかの好ましい実施形態では、本明細書において提供される本TfuLip2ポリペプチドは、高い酸化安定性、高い熱安定性、異なる条件下での高い洗浄能力、及び/又は高いキレート剤安定性を示す。更に、本TfuLip2ポリペプチドは、やはり単独又はビルダー及び安定化剤との組み合わせで、洗剤を含まない洗浄組成物において有用でありうる。
【0128】
本開示のいくつかの実施形態では、洗浄組成物は、組成物の約0.00001重量%〜約10重量%の濃度の本開示の少なくとも1種類のTfuLip2ポリペプチドと、洗浄添加物質からなる組成物の残部(例えば、組成物の約99.999重量%〜約90.0重量%)とを含む。本開示の他の態様では、洗浄組成物は、組成物の約0.0001重量%〜約10重量%、約0.001重量%〜約5重量%、約0.001重量%〜約2重量%、約0.005重量%〜約0.5重量%の濃度の少なくとも1種類のTfuLip2ポリペプチドと、洗浄添加物質からなる洗浄組成物の残部(例えば、約99.9999重量%〜約90.0重量%、約99.999重量%〜約98重量%、約99.995重量%〜約99.5重量%)とを含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、本明細書において述べる洗浄組成物は、洗浄性能及び/又は衣類ケア及び/又は食器洗い効果を与える1以上の更なる洗剤酵素を含む。適当な酵素の例としては、これらに限定されるものではないが、ヘミセルラーゼ、セルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ペクテートリアーゼ、マンナナーゼ、ケラチナーゼ、リダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、及びアミラーゼ、又はこれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、プロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ及び/又はセルラーゼなどの従来の使用可能な酵素を、アミラーゼと組み合わせて含む酵素の組み合わせ(すなわち「カクテル」)が用いられる。
【0130】
本明細書において提供されるTfuLip2ポリペプチド以外にも、他の任意の適当なリパーゼが本開示の組成物において有用である。適当なリパーゼとしては、これらに限定されるものではないが、細菌又は真菌由来のものがある。化学的又は遺伝子的に改変された突然変異体は本開示に含まれる。有用なリパーゼの例としては、フミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)リパーゼ(例えば、欧州特許出願公開第258 068号及び同第EP 305 216号を参照)、リゾムコル・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)リパーゼ(例えば、欧州特許出願公開第238 023号を参照)、C.アンタークティカ(C.antarctica)リパーゼ(例えば、C.アンタークティカリパーゼA又はB;例えば、欧州特許出願公開第214 761号を参照)などのカンジダリパーゼ、P.アルカリゲネス(P.alcaligenes)リパーゼ及びP.シュードアルカリゲネス(P.pseudoalcaligenes)リパーゼなどのシュードモナスリパーゼ(例えば、欧州特許出願公開第218 272号を参照)、P.カパシア(P.cepacia)リパーゼ(例えば、欧州特許出願公開第331 376号を参照)、P.スツゼリ(P.stutzeri)リパーゼ(例えば、英国特許出願公開第1,372,034号を参照)、P.フルオレセンス(P.fluorescens)リパーゼ、バチルスリパーゼ(例えば、B.サブチリス(B.subtilis)リパーゼ;Dartoisら、Biochem.Biophys.Acta 1131:253〜260,1993)、B.ステアロサーモフィルス(B.stearothermophilus)リパーゼ(例えば、特開昭第64/744992号を参照)、及びB.プミルス(B.pumilus)リパーゼ(例えば、国際特許出願公開第91/16422号を参照)が挙げられる。
【0131】
更に、ペニシリウム・カメンベルディ(Penicillium camembertii)リパーゼ(Yamaguchiら、Gene 103:61〜67,1991を参照)、ゲオトリクム・カンジダム(Geotricum candidum)リパーゼ(Schimadaら、J.Biochem.,106:383〜388,1989を参照)、並びに、R.デレマー(R.delemar)リパーゼ(Hassら、Gene 109:117〜113,1991を参照)、R.ニベウス(R.niveus)リパーゼ(Kugimiyaら、Biosci.Biotech.Biochem.56:716〜719,1992)、及びR.オリザエ(R.oryzae)リパーゼなどの各種のリゾパスリパーゼを含むが、これらに限定されない多くのクローニングされたリパーゼが、本開示のいくつかの実施形態において有用である。
【0132】
これらに限定されるものではないが、シュードモナス・メンドシナ(Pseudomonas mendocina)に由来するクチナーゼ(国際特許出願公開第88/09367号を参照)、及びフザリウム・ソラニ・ピシ(Fusarium solani pisi)に由来するクチナーゼ(国際特許出願公開第90/09446号を参照)を含む、クチナーゼなどの他の種類の脂肪分解酵素も本開示のいくつかの実施形態において有用である。
【0133】
更なる適当なリパーゼとしては、M1 LIPASE(商標)、LUMA FAST(商標)、及びLIPOMAX(商標)(ジェネンコア社(Genencor));LIPOLASE(登録商標)及びLIPOLASE(登録商標)ULTRA(ノボザイムズ社(Novozymes));並びにLIPASE P(商標)「Amano」(天野エンザイム株式会社、日本)などの市販のリパーゼが挙げられる。
【0134】
本開示のいくつかの実施形態では、本開示の洗浄組成物は、組成物の約0.00001重量%〜約10重量%の濃度の更なるリパーゼと、洗浄添加物質からなる組成物の重量の残部とを含む。本開示の他の態様では、本開示の洗浄組成物は更に、組成物の約0.0001重量%〜約10重量%、約0.001重量%〜約5重量%、約0.001重量%〜約2重量%、約0.005重量%〜約0.5重量%の濃度のリパーゼを含む。
【0135】
本開示のいくつかの実施形態では、任意の適当なプロテアーゼを使用することもできる。適当なプロテアーゼとしては、動物、植物又は微生物由来のものが挙げられる。いくつかの実施形態では、化学的又は遺伝子的に改変された突然変異体が含まれる。いくつかの実施形態では、プロテアーゼは、セリンプロテアーゼ、好ましくはアルカリ性微生物プロテアーゼ又はトリプシン様プロテアーゼである。いくつかの実施形態では、プロテアーゼは、当該技術分野では周知の多数の操作されたサブチリシンプロテアーゼのすべてを含む、サブチリシンプロテアーゼである。各種のプロテアーゼについては、国際特許出願公開第95/23221号、同第92/21760号、米国特許出願公開第2008/0090747号、並びに米国特許第5,801,039号、同第5,340,735号、同第5,500,364号、同第5,855,625号、米国再発行特許第RE 34,606号、米国特許第5,955,340号、同第5,700,676号、同第6,312,936号、及び同第6,482,628号、並びに他の多くの特許に述べられている。いくつかの更なる実施形態では、国際特許出願公開第07/044993号に述べられる中性メタロプロテアーゼを含むがこれに限定されない、メタロプロテアーゼが本開示において有用である。
【0136】
本開示のいくつかの実施形態では、任意の適当なアミラーゼを使用することもできる。いくつかの実施形態では、アルカリ溶液中での使用に適した任意のアミラーゼ(例えば、α及び/又はβ)も有用である。適当なアミラーゼとしては、これらに限定されるものではないが、細菌又は真菌由来のものがある。いくつかの実施形態では、化学的又は遺伝子的に改変された突然変異体が含まれる。本開示において有用なアミラーゼとしては、これに限定されるものではないが、B.リケニフォルミスから得られるα−アミラーゼが挙げられる(例えば、英国特許出願公開第1,296,839号を参照)。本開示において有用な市販のアミラーゼとしては、これらに限定されるものではないが、DURAMYL(登録商標)、TERMAMYL(登録商標)、FUNGAMYL(登録商標)、STAINZYME(登録商標)、STAINZYME PLUS(登録商標)、STAINZYME ULTRA(登録商標)、及びBAN(商標)(ノボザイムズ社(Novozymes))、並びにPOWERASE(商標)、RAPIDASE(登録商標)、及びMAXAMYL(登録商標)P(ダニスコ・ユー・エス社ジェネンコア部門(Danisco US Inc.,Genencor Division))が挙げられる。
【0137】
本開示のいくつかの実施形態では、開示される洗浄組成物は、組成物の約0.00001重量%〜約10重量%の濃度の更なるアミラーゼと、洗浄添加物質からなる組成物の重量の残部とを含む。本開示の他の態様では、洗浄組成物は更に、組成物の約0.0001重量%〜約10重量%、約0.001重量%〜約5重量%、約0.001重量%〜約2重量%、約0.005重量%〜約0.5重量%の濃度のアミラーゼを含む。
【0138】
いくつかの更なる実施形態では、任意の適当なセルラーゼが本開示の洗浄組成物において有用である。適当なセルラーゼとしては、これらに限定されるものではないが、細菌又は真菌由来のものがある。いくつかの実施形態では、化学的又は遺伝子的に改変された突然変異体が含まれる。適当なセルラーゼとしては、これに限定されるものではないが、フミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)セルラーゼが挙げられる(例えば、米国特許第4,435,307号を参照)。特に適当なセルラーゼは、カラーケア効果を有するセルラーゼである(例えば、欧州特許出願公開第0 495 257号を参照)。本開示において有用な市販のセルラーゼとしては、これらに限定されるものではないが、CELLUZYME(登録商標)、CAREZYME(登録商標)(ノボザイムズ社(Novozymes))、及びKAC−500(B)(商標)(花王株式会社)が挙げられる。いくつかの実施形態では、セルラーゼは、N末端の一部が除去された成熟した野生型又は変異型セルラーゼの一部又はフラグメントとして添加される(例えば、米国特許第5,874,276号を参照)。いくつかの実施形態では、本開示の洗浄組成物は、組成物の約0.00001重量%〜約10重量%の濃度の更なるセルラーゼと、洗浄添加物質からなる組成物の重量の残部とを含む。本開示の他の態様では、洗浄組成物は更に、組成物の約0.0001重量%〜約10重量%、約0.001重量%〜約5重量%、約0.001重量%〜約2重量%、約0.005重量%〜約0.5重量%の濃度のセルラーゼを含む。
【0139】
洗剤組成物中での使用に適した任意のマンナナーゼも本開示において有用である。適当なマンナナーゼとしては、これらに限定されるものではないが、細菌又は真菌由来のものがある。いくつかの実施形態では、化学的又は遺伝子的に改変された突然変異体が含まれる。本開示において有用な各種のマンナナーゼが知られている(例えば、いずれも本明細書に援用するところの米国特許第6,566,114号、同第6,602,842号、及び同第6,440,991号を参照)。いくつかの実施形態では、開示される洗浄組成物は、組成物の約0.00001重量%〜約10重量%の濃度の更なるマンナナーゼと、洗浄添加物質からなる組成物の重量の残部とを含む。本開示の他の態様では、洗浄組成物は更に、組成物の約0.0001重量%〜約10重量%、約0.001重量%〜約5重量%、約0.001重量%〜約2重量%、約0.005重量%〜約0.5重量%の濃度のマンナナーゼを含む。
【0140】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物中に、ペルオキシダーゼが、過酸化水素又はその供給源(例えば、過炭酸塩、過ホウ酸塩、又は過硫酸塩)と組み合わせて使用される。いくつかの代替的実施形態では、オキシダーゼが酸素と組み合わせて使用される。いずれの種類の酵素も、「溶液漂白」(すなわち、染色衣類と別の衣類が洗浄液中で一緒に洗われる場合に、染色衣類から別の衣類への繊維染料の移行を防止する)の目的で、好ましくは増強剤と共に使用される(例えば、国際特許出願公開第94/12621号及び同第95/01426号を参照)。適当なペルオキシダーゼ/オキシダーゼとしては、これらに限定されるものではないが、植物、細菌又は真菌由来のものが挙げられる。いくつかの実施形態では、化学的又は遺伝子的に改変された突然変異体が含まれる。いくつかの実施形態では、本開示の洗浄組成物は、組成物の約0.00001重量%〜約10重量%の濃度の更なるペルオキシダーゼ及び/又はオキシダーゼ酵素と、洗浄添加物質からなる組成物の重量の残部とを含む。本開示の他の態様では、洗浄組成物は更に、組成物の約0.0001重量%〜約10重量%、約0.001重量%〜約5重量%、約0.001重量%〜約2重量%、約0.005重量%〜約0.5重量%の濃度の更なるペルオキシダーゼ及び/又はオキシダーゼ酵素を含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、ペルヒドロラーゼを含むがこれに限定されない、更なる酵素が有用である(例えば、国際特許出願公開第05/056782号を参照)。更に、いくつかの特に好ましい実施形態では、上記に述べた酵素、特に、1以上の更なるプロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、マンナナーゼ、及び/又は少なくとも1種類のセルラーゼの混合物が本明細書に含まれる。実際、これらの酵素の様々な混合物が本開示において有用であると考えられる。やはり考えられる可能性として、異なる濃度のTfuLip2ポリペプチド及び1以上の更なる酵素は、いずれも独立して約10%までの範囲であってよく、洗浄組成物の残部が洗浄添加物質であってもよい。洗浄添加物質の具体的な選択は、洗浄しようとする表面、物品、又は衣類、及び使用時(例えば、洗濯洗剤としての使用)の洗浄条件に対する望ましい組成物の形態を考慮することにより容易に行うことができる。
【0142】
適当な洗浄添加物質の例としては、これらに限定されるものではないが、界面活性剤、ビルダー、漂白剤、漂白活性化剤、漂白触媒、他の酵素、酵素安定化システム、キレート剤、蛍光増白剤、汚れ放出ポリマー、移染剤、移染防止剤、触媒物質、過酸化水素、過酸化水素の供給源、予め生成された過酸(preformed peracis)、ポリマー分散剤、粘土汚れ除去剤、構造弾性化剤、分散剤、泡抑制剤、染料、香料、着色剤、充填剤塩、ヒドロトロープ、光活性剤、蛍光剤、柔軟仕上げ剤、柔軟剤、キャリア、ヒドロトロープ、加工助剤、溶媒、顔料、加水分解性界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、収縮防止剤、シワ防止剤、殺菌剤、防カビ剤、カラースペックル(color speckles)、シルバーケア(silvercare)、変色防止及び/又は腐蝕防止剤、アルカリ性付与剤、可溶化剤、キャリア、加工助剤、顔料、及びpH調整剤が挙げられる(例えば、いずれも本明細書に援用するところの米国特許第6,610,642号、同第6,605,458号、同第5,705,464号、同第5,710,115号、同第5,698,504号、同第5,695,679号、同第5,686,014号、及び同第5,646,101号を参照)。特定の洗浄組成物物質の実施形態を以下に詳しく例示する。洗浄添加物質が、洗浄組成物中の開示されるTfuLip2ポリペプチドと適合性を有さないような実施形態では、洗浄添加物質とリパーゼとを、これら2つの成分を合わせることが適切となるまで分離(すなわち、互いに接触しないように)しておくのに適当な方法が用いられる。このような分離方法には、当該技術分野では周知のあらゆる適当な方法が含まれる(例えば、ジェルキャップ、カプセル化、錠剤、物理的分離など)。
【0143】
いくつかの好ましい実施形態では、本明細書において提供される1以上のTfuLip2ポリペプチドの有効量が、染みを除去する必要のある様々な表面を洗浄するうえで有用な組成物中に含まれる。このような洗浄組成物には、硬質表面、衣類、及び食器の洗浄などの用途のための洗浄組成物が含まれる。実際、いくつかの実施形態では、本開示は衣類洗浄用組成物を提供するものであるが、他の実施形態では、本開示は衣類以外の洗浄用組成物を提供する。特に、本開示は、口腔ケア(歯磨き剤、歯磨き粉、マウスウォッシュなど、並びに入れ歯洗浄用組成物)を含むパーソナルケアに適した洗浄組成物、皮膚及び毛髪洗浄用組成物を更に提供する。本開示は、任意の形態の洗剤組成物(すなわち、液体、粒状、バー、半固体、ジェル、エマルション、錠剤、カプセルなど)を含むものとする。
【0144】
一例として、開示されるTfuLip2ポリペプチドが有用であるようないくつかの洗浄組成物について下記により詳しく述べる。開示される洗浄組成物が、洗濯機による洗浄方法における使用に適した組成物として配合されるいくつかの実施形態では、本開示の組成物は、少なくとも1種類の界面活性剤及び少なくとも1種類のビルダー化合物、並びに、有機ポリマー化合物、漂白剤、更なる酵素、泡抑制剤、分散剤、石灰石鹸分散剤、汚れ懸濁及び再付着防止剤、及び腐蝕防止剤から好ましくは選択される1以上の洗浄添加物質を含むことが好ましい。いくつかの実施形態では、洗濯用組成物は、更に柔軟剤を含む(すなわち、更なる洗浄添加物質として)。本開示の組成物は、固体又は液体の形態の洗剤添加用製品においても有用である。このような添加用製品は、従来の洗剤組成物の性能を補い、かつ/又は高めることを目的としたものであり、洗浄プロセスのいずれの段階で添加してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書における洗濯洗剤組成物の密度は約400〜約1200g/Lの範囲であり、他の実施形態では、密度は20℃で測定した場合に組成物1L当たり約500〜約950gの範囲である。
【0145】
手による食器洗いの方法において使用するための組成物として配合された実施形態では、本開示の組成物は、少なくとも1種類の界面活性剤、並びに、好ましくは、有機ポリマー化合物、起泡促進剤、II族の金属イオン、溶媒、ヒドロトロープ、及び更なる酵素から選択される少なくとも1種類の更なる洗浄添加物質を含むことが好ましい。
【0146】
いくつかの実施形態では、米国特許第6,605,458号において提供されるような各種の洗浄組成物が、本開示のTfuLip2ポリペプチドと使用するのに有用である。すなわち、いくつかの実施形態では、本開示の少なくとも1種類のTfuLip2ポリペプチドを含む組成物は、圧縮粒状衣類洗浄用組成物であり、他の実施形態では、組成物は、着色された衣類の洗濯に有用な粒状衣類洗浄用組成物であり、更なる実施形態では、組成物は、洗浄能力を介して柔軟効果を与える粒状衣類洗浄用組成物であり、更なる実施形態では、組成物は、高負荷の衣類洗浄用組成物である。いくつかの実施形態では、本開示の少なくとも1種類のTfuLip2ポリペプチドを含む組成物は、米国特許第6,610,642号及び同第6,376,450号に述べられるような衣類洗浄用組成物である。更に、本開示のTfuLip2ポリペプチドは、ヨーロッパ又は日本の洗浄条件下において特に有用な粒状洗濯洗剤組成物(例えば、米国特許第6,610,642号を参照)において有用である。
【0147】
いくつかの代替的実施形態では、本開示は、本明細書において提供される少なくとも1種類のTfuLip2ポリペプチドを含む硬質表面洗浄用組成物を提供する。すなわち、いくつかの実施形態では、本開示の少なくとも1種類のTfuLip2ポリペプチドを含む組成物は、米国特許第6,610,642号、同第6,376,450号、及び同第6,376,450号に述べられるような硬質表面洗浄用組成物である。
【0148】
更なる実施形態では、本開示は、本明細書において提供される少なくとも1種類のTfuLip2ポリペプチドを含む食器洗い用組成物を提供する。すなわち、いくつかの実施形態では、本開示の少なくとも1種類のTfuLip2ポリペプチドを含む組成物は、米国特許第6,610,642号及び同第6,376,450号に述べられるような硬質表面洗浄用組成物である。更なるいくつかの実施形態では、本開示は、本明細書において提供される少なくとも1種類のTfuLip2ポリペプチドを含む食器洗い用組成物を提供する。いくつかの更なる実施形態では、本開示の少なくとも1種類のTfuLip2ポリペプチドを含む組成物は、米国特許第6,376,450号及び同第6,376,450号に述べられるような口腔ケア用組成物を含む。上記に述べた米国特許第6,376,450号、同第6,605,458号、同第6,605,458号、及び同第6,610,642号に含まれる化合物及び洗浄添加物質の配合及び説明は、本明細書において提供されるTfuLip2ポリペプチドと共に使用するのに有用である。
【0149】
本開示の洗浄組成物は、任意の適当な形態に配合され、配合者によって選択される任意のプロセスによって調製されるものであり、その非限定的な例が、いずれも本明細書に援用するところの米国特許第5,879,584号、同第5,691,297号、同第5,574,005号、同第5,569,645号、同第5,565,422号、同第5,516,448号、同第5,489,392、及び同第5,486,303号に述べられている。低いpHの洗浄組成物が望ましい場合、こうした組成物のpHは、モノエタノールアミンなどの物質又はHClなどの酸性物質を添加することによって調整される。
【0150】
本開示の目的において不可欠ではないが、以下に示す添加物質の非限定的な一覧は、本発明の洗浄組成物における使用に適したものである。いくつかの実施形態では、これらの添加物質は、例えば、洗浄能力を補助又は高める目的、洗浄しようとする基材を処理する目的、又は香料、着色剤、染料などと同様に、洗浄組成物の美観を改変する目的で添加される。こうした添加物質は、本開示のTfuLip2ポリペプチドに追加されるものであることは理解される。このような追加的成分の正確な性質及びその添加濃度は、組成物の物理的形態、及び組成物が使用される洗浄操作の性質によって決まる。適当な補助剤物質としては、これらに限定されるものではないが、界面活性剤、ビルダー、キレート剤、移染防止剤、付着補助剤、分散剤、更なる酵素及び酵素安定化剤、触媒物質、漂白活性化剤、漂白促進剤、過酸化水素、過酸化水素の供給源、予め生成された過酸、ポリマー分散剤、粘土汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、香料、構造弾性化剤、柔軟剤、キャリア、ヒドロトロープ、加工助剤、及び/又は顔料が挙げられる。下記の開示以外に、こうした他の添加物質及び使用濃度の適当な例が、援用される米国特許第5,576,282号、同第6,306,812号、及び同第6,326,348号に見られる。上記の添加成分は、本開示の洗浄組成物の残部を構成してよい。
【0151】
いくつかの実施形態では、本開示に基づく洗浄組成物は、少なくとも1種類の界面活性剤及び/又は界面活性剤システムを含み、その場合、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、半極性非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物から選択される。いくつかの低いpHの洗浄組成物の実施形態(例えば、約3〜約5の無希釈pHを有する組成物)では、組成物はアルキルエトキシル化硫酸塩を一般的に含まないが、これはこうした界面活性剤はこのような組成物酸性成分によって加水分解されうるためである。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、洗浄組成物の約0.1重量%〜約60重量%の濃度で存在し、代替的な実施形態では、濃度は約1重量%〜約50重量%であり、更なる実施形態では、濃度は約5重量%〜約40重量%である。
【0152】
いくつかの実施形態では、本開示の洗浄組成物は少なくとも1種類のキレート剤を含む。適当なキレート剤としては、これらに限定されるものではないが、銅、鉄及び/又はマンガンキレート剤、並びにこれらの混合物が挙げられる。少なくとも1種類のキレート剤が用いられる実施形態では、本開示の洗浄組成物は、本発明の洗浄組成物の約0.1重量%〜約15重量%、又は更には約3.0重量%〜約10重量%のキレート剤を含む。
【0153】
いくつかの更なる実施形態では、本明細書において提供される洗浄組成物は、少なくとも1種類の付着補助剤を含む。適当な付着補助剤としては、これらに限定されるものではないが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカルボキシレート、ポリテレフタル酸などの汚れ放出ポリマー、カオリナイト、モンモリロナイト、アタパルガイト、イライト、ベントナイト、ハロイサイトなどの粘土、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0154】
本明細書において示されるように、いくつかの実施形態では、再付着防止剤が本開示のいくつかの実施形態において有用である。いくつかの好ましい実施形態では、非イオン性界面活性剤が有用である。例えば、自動食器洗いの実施形態では、非イオン性界面活性剤が表面改質の目的、特にフィルム形成及びスポット形成を避け、ツヤを改善するためのシート化効果の目的で有用である。これらの非イオン性界面活性剤は、汚れの再付着を防止するうえでも有用である。いくつかの好ましい実施形態では、再付着防止剤は、当該技術分野では周知の非イオン性界面活性剤である(例えば、欧州特許出願公開第2 100 949号を参照)。
【0155】
いくつかの実施形態では、本開示の洗浄組成物は、1以上の移染防止剤を含む。適当なポリマー移染防止剤としては、これらに限定されるものではないが、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN−オキシドポリマー、N−ビニルピロリドンとN−ビニルイミダゾールとのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン及びポリビニルイミダゾール又はこれらの混合物が挙げられる。少なくとも1種類の移染防止剤が用いられる実施形態では、本開示の洗浄組成物は、洗浄組成物の約0.0001重量%〜約10重量%、約0.01重量%〜約5重量%、又は更には約0.1重量%〜約3重量%を含む。
【0156】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物にはケイ酸塩が含まれる。いくつかのこうした実施形態では、ケイ酸ナトリウム(例えば、二ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、及び結晶性フィロケイ酸塩)が有用である。いくつかの実施形態では、ケイ酸塩は約1%〜約20%の濃度で存在する。いくつかの好ましい実施形態では、ケイ酸塩は、組成物の約5重量%〜約15重量%の濃度で存在する。
【0157】
いくつかの更なる実施形態では、本開示の洗浄組成物は更に分散剤を含む。適当な水溶性有機物質としては、これらに限定されるものではないが、ホモポリマー若しくはコポリマーである酸又はそれらの塩が挙げられ、その場合、ポリカルボン酸は、炭素原子2個以下分だけ互いに離れた少なくとも2個のカルボキシルラジカルを有する。
【0158】
いくつかの更なる実施形態では、洗浄組成物中に使用される酵素は、任意の適当な方法によって安定化される。いくつかの実施形態では、本明細書において用いられる酵素は、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンの水溶性の供給源が最終組成物中に存在し、こうした供給源が酵素に上記のイオンを与えることによって安定化される。いくつかの実施形態では、酵素安定化剤として、オリゴ糖類、多糖類、及び、カルシウム塩などの、アルカリ土類金属を含む無機の2価金属塩が挙げられる。酵素安定化のための様々な技術が本開示において有用であるものと考えられる。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書において用いられる酵素は、亜鉛(II)、カルシウム(II)イオン及び/又はマグネシウム(II)イオン、並びに他の金属イオン(例えば、バリウム(II)、スカンジウム(II)、鉄(II)、マンガン(II)、アルミニウム(III)、スズ(II)、コバルト(II)、銅(II)、ニッケル(II)、及びオキソバナジウム(IV))の水溶性の供給源が最終組成物中に存在し、こうした供給源が酵素に上記のイオンを与えることによって安定化される。塩酸塩及び硫酸塩も本開示のいくつかの実施形態において有用である。適当なオリゴ糖類及び多糖類(例えばデキストリン)の例は、当該技術分野では周知である(例えば、国際特許出願公開第07/145964号を参照)。いくつかの実施形態では、ホウ素含有化合物(例えば、ホウ酸塩、4−ホルミルフェニルボロン酸)及び/又はトリペプチドアルデヒドなどの可逆的プロテアーゼ阻害剤が、必要に応じて更に安定性を高めるうえで有用である。
【0159】
いくつかの実施形態では、漂白剤、漂白活性化剤、及び/又は漂白触媒が、本開示の組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、本開示の洗浄組成物は無機及び/又は有機漂白化合物を含む。無機漂白剤としては、これらに限定されるものではないが、過水和物塩(例えば、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩、及び過ケイ酸塩)が挙げられる。いくつかの実施形態では、無機過水和物塩はアルカリ金属塩である。いくつかの実施形態では、無機過水和物塩は更なる保護はされずに結晶固体として含まれるが、いくつかの他の実施形態では塩はコーティングされる。当該技術分野では周知の任意の適当な塩が、本開示において有用である(例えば、欧州特許出願公開第2 100 949号を参照)。
【0160】
いくつかの実施形態では、漂白活性化剤が本開示の組成物中に使用される。漂白活性化剤は、一般的に、60℃以下の温度での洗浄過程において漂白作用を高める有機過酸前駆物質である。本明細書における使用に適した漂白活性化剤としては、過加水分解条件下において、好ましくは約1個〜約10個の炭素原子、特に約2個〜約4個の炭素原子を有する脂肪族ペルオキシカルボン酸、及び/又は場合により置換された過安息香酸を与える化合物が挙げられる。更なる漂白活性化剤は当該技術分野では周知のものであり、本開示において有用である(例えば、欧州特許出願公開第2 100 949号を参照)。
【0161】
更に、いくつかの実施形態では、また、本明細書において更に述べるように、本開示の洗浄組成物は少なくとも1種類の漂白触媒を更に含む。いくつかの実施形態では、マンガントリアザシクロノナン及び関連する錯体、並びにコバルト、銅、マンガン、及び鉄の錯体が有用である。更なる漂白触媒も本開示において有用である(例えば、米国特許第4,246,612号、同第5,227,084号、同第4,810410号、国際特許出願公開第99/06521号、及び欧州特許出願公開第2 100 949号を参照)。
【0162】
いくつかの実施形態では、本開示の洗浄組成物は1以上の触媒金属錯体を含む。いくつかの実施形態では、金属含有漂白触媒が有用である。いくつかの好ましい実施形態では、規定の漂白触媒活性を有する遷移金属カチオン(例えば、銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデン、又はマンガンのカチオン)、漂白触媒活性をほとんどあるいはまったく有さない補助金属カチオン(例えば、亜鉛又はアルミニウムのカチオン)、並びに触媒金属及び補助金属のカチオンに対して規定の安定度定数を有する金属イオン封鎖剤、特にエチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)及びこれらの水溶性の塩を含む触媒システムを含む金属漂白触媒が用いられる(例えば、米国特許第4,430,243号を参照)。いくつかの実施形態では、本開示の洗浄組成物はマンガン化合物によって触媒される。こうした化合物及び使用濃度は、当該技術分野では周知のものである(例えば、米国特許第5,576,282号を参照)。更なる実施形態では、コバルト漂白触媒が本開示の洗浄組成物において有用である。各種のコバルト漂白触媒が当該技術分野で知られており(例えば、米国特許第5,597,936号及び同第5,595,967号を参照)、公知の方法によって容易に調製される。
【0163】
いくつかの更なる実施形態では、本開示の洗浄組成物は、巨大多環式剛性配位子(macropolycyclic rigid ligand)(MRL)の遷移金属錯体を含む。実用上の問題として、限定するものではないが、いくつかの実施形態において、本開示により提供される組成物及び洗浄プロセスは、水性洗浄媒質中に少なくとも約1億分の1のオーダーの活性MRL種を与えるように調整され、いくつかの好ましい実施形態では、約0.005ppm〜約25ppm、より好ましくは約0.05ppm〜約10ppm、最も好ましくは約0.1ppm〜約5ppmのMRLを洗浄液中に与えるように調整される。
【0164】
いくつかの実施形態では、本発明の遷移金属漂白触媒中の好ましい遷移金属としては、これらに限定されるものではないが、マンガン、鉄及びクロムが挙げられる。好ましいMRLとしては、これらに限定されるものではないが、架橋された特殊な超剛性配位子が挙げられる(例えば、5,12−ジエチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカン)。適当な遷移金属MRLは、公知の方法によって容易に調製される(例えば、国際特許出願公開第2000/32601号、及び米国特許第6,225,464号を参照)。
【0165】
いくつかの実施形態では、本開示の洗浄組成物は金属ケア剤を含む。金属ケア剤は、アルミニウム、ステンレス鋼、及び非鉄金属(例えば、銀及び銅)などの金属の変色、腐蝕、及び/又は酸化を防止及び/又は低減するうえで有用である。適当な金属ケア剤としては、欧州特許出願公開第2 100 949号、国際特許出願公開第9426860号及び同第94/26859号に述べられるものがある。いくつかの実施形態では、金属ケア剤は亜鉛塩である。更なるいくつかの実施形態では、本開示の洗浄組成物は、約0.1重量%〜約5重量%の1以上の金属ケア剤を含む。
【0166】
上記に述べたように、本開示の洗浄組成物は、任意の適当な形態に配合され、配合者によって選択される任意のプロセスによって調製されるものであり、その非限定的な例が、いずれも本明細書に援用するところの米国特許第5,879,584号、同第5,691,297号、同第5,574,005号、同第5,569,645号、同第5,516,448号、同第5,489,392、及び同第5,486,303号に述べられている。低いpHの洗浄組成物が望ましいいくつかの実施形態では、こうした組成物のpHは、HClなどの酸性物質を添加することによって調整される。
【0167】
本明細書において開示される洗浄組成物は、所定の場所(例えば、表面、食器、又は衣類)を洗浄するうえで有用である。通常は、その場所の少なくとも一部を、無希釈の形態、又は洗浄液で希釈された本発明の洗浄組成物の特定の実施形態と接触させ、次いで必要に応じてその場所を洗い、かつ/又は濯ぐ。本開示の目的において、「洗浄」には、これらに限定されるものではないが、こすり洗い、及び機械的な攪拌が含まれる。いくつかの実施形態では、洗浄組成物は一般的に、溶液中で約500ppm〜約15,000ppmの濃度で使用される。洗浄溶媒が水である場合、水の温度は、通常約5℃〜約90℃の範囲であり、場所が衣類を含む場合、衣類に対する水の質量比は、通常約1:1〜約30:1である。
【0168】
VI.化学試薬としてのTfuLip2ポリペプチド
短鎖の脂質に対するTfuLip2の選択性のために、本発明のポリペプチドは、C4〜C16の基質が関与するエステル交換反応を行ううえで特に有用である。代表的な用途としては、ミルク脂肪の加水分解、構造化トリグリセリドの合成、ポリマーの合成及び分解、乳化剤及び界面活性剤の生成、香料及び芳香剤として使用されるエステルを製造する目的、バイオ燃料及び合成潤滑剤を製造する目的、過酸を生成する目的、並びに油脂化学産業における他の用途での、パーソナルケア製品、医薬品及び農薬の成分の合成がある。上記に述べた酵素の更なる使用については、米国特許出願公開第20070026106号、同第20060078648号、及び同第20050196766号、並びに国際特許出願公開第2005/066347号に述べられており、これらの文書を援用するものである。
【0169】
大まかに言えば、基質と受容分子を、TfuLip2ポリペプチド又はその変異体の存在下、エステル交換反応を行うのに適した条件下でインキュベートした後、必要に応じて反応から生成物を単離する。あるいは、条件は、食品に関連したものである場合もあり、生成物は単離されずに食品の成分となりうる。
【0170】
本発明の組成物及び方法の他の態様並びに実施形態は、上記の説明及び以下の実施例より明らかとなるであろう。
【実施例】
【0171】
以下の実施例は、本開示の特定の好ましい実施形態及び態様を実証及び例示する目的で示されるものであって、限定的に解釈されるべきものではない。
【0172】
以下の実験の開示では以下の略語を用いる。M(モル(濃度));mM(ミリモル(濃度));μM(マイクロモル(濃度));nM(ナノモル(濃度));mol(モル);mmol(ミリモル);μmol(マイクロモル);nmol(ナノモル);gm(グラム);mg(ミリグラム);μg(マイクログラム);pg(ピコグラム);L(リットル);ml及びmL(ミリリットル);μl及びμL(マイクロリットル);cm(センチメートル);mm(ミリメートル);μm(マイクロメートル);nm(ナノメートル);U(単位);MW(分子量);sec(秒);min(分);h及びhr(時間);℃(摂氏);QS(適量);ND(行わず);rpm(回転/分);HO(水);dHO(脱イオン水);(HCl(塩酸);aa(アミノ酸);bp(塩基対);kb(キロ塩基対);kD(キロダルトン);MgCl(塩化マグネシウム);NaCl(塩化ナトリウム);w/v(重量−体積比);v/v(体積−体積比);g(重力加速度);OD(光学密度);ppm(100万分の1);m−(メタ−);o−(オルト−);p−(パラ−);BCE(BCE103セルラーゼ);Glu−BL(バチルス・リケニフォルミスグルタミルエンドペプチダーゼI);TfuLip2(サーモビフィダ・フスカリパーゼ2);NEFA(非エステル化脂肪酸);p−NP(p−ニトロフェニル);SRI(染み除去指数)。
【0173】
(実施例1)
サーモビフィダ・フスカリパーゼ2(TfuLip2)のクローニング及び発現
サーモビフィダ・フスカリパーゼ2(又はBTA加水分解酵素2)の遺伝子はこれまでに同定されており(Lykidisら、J.Bacteriol,189:2477〜2486,2007)、その配列は、GENBANKアクセッション番号YP_288944として公開されている。B.サブチリス発現ベクターp2JM103BBI(Vogtentanz,Protein Expr Purif,55:40〜52,2007)を制限酵素BssHII及びHindIIIで消化した。BCE103−BBI融合遺伝子配列を含まないDNAフラグメントを単離して、発現用のバックボーンとして使用した。このフラグメントを、TfuLip2酵素をコードした合成遺伝子にライゲートすることにより、TfuLip2ポリペプチドのN末端を、p2JM103BBIによってコードされるバチルス・サブチリスのAprEプロペプチドの3番目のアミノ酸に融合させた。ホスト内での天然のシグナルペプチダーゼによる切断後、このようにして生成された組換えTfuLip2タンパク質は、アミノ末端に3個の更なるアミノ酸(Ala−Gly−Lys)を有していた。
【0174】
サーモビフィダ・フスカリパーゼ2(TfuLip2)の合成遺伝子のヌクレオチド配列を、配列番号1に示す。
【0175】
GCGCGCAGGCTGCTGGAAAAGCTAATCCTTACGAAAGAGGACCGAATCCTACAGACGCGCTTCTGGAGGCTTCAAGCGGACCTTTTTCTGTTTCTGAAGAAAACGTTTCTAGACTTAGCGCGTCTGGCTTTGGTGGCGGGACAATTTATTACCCGAGAGAGAATAACACATACGGGGCGGTGGCAATCTCTCCGGGGTACACGGGCACAGAAGCATCTATTGCTTGGCTTGGTGAAAGAATTGCTTCTCATGGCTTTGTTGTAATCACAATTGACACAATTACGACACTTGATCAACCGGATTCAAGAGCTGAACAATTGAATGCAGCCCTGAATCATATGATCAACAGAGCTTCAAGCACGGTAAGAAGCAGAATTGATAGCTCAAGACTGGCGGTGATGGGACATAGCATGGGAGGCGGAGGCACACTTAGATTAGCCTCACAGAGACCTGATTTAAAGGCAGCGATTCCGTTGACGCCTTGGCATCTGAACAAAAATTGGTCTAGCGTGACAGTCCCGACGCTCATTATCGGAGCAGATCTCGATACGATTGCACCGGTCGCGACACATGCCAAACCGTTCTATAACTCATTGCCGAGCTCAATCTCAAAAGCCTATTTAGAACTGGATGGCGCCACACATTTTGCGCCGAATATTCCGAACAAGATTATCGGTAAATATTCAGTCGCATGGTTAAAAAGATTTGTAGATAATGACACGAGATATACGCAGTTCCTGTGTCCTGGGCCTAGAGACGGTTTGTTCGGAGAGGTTGAAGAGTATAGAAGCACGTGCCCGTTTTAAAAGCTT
成熟したTfuLip2酵素のアミノ酸配列を配列番号2に示す。
【0176】
ANPYERGPNPTDALLEASSGPFSVSEENVSRLSASGFGGGTIYYPRENNTYGAVAISPGYTGTEASIAWLGERIASHGFVVITIDTITTLDQPDSRAEQLNAALNHMINRASSTVRSRIDSSRLAVMGHSMGGGGTLRLASQRPDLKAAIPLTPWHLNKNWSSVTVPTLIIGADLDTIAPVATHAKPFYNSLPSSISKAYLELDGATHFAPNIPNKIIGKYSVAWLKRFVDNDTRYTQFLCPGPRDGLFGEVEEYRSTCPF
3個のアミノ酸からなるアミノ末端の延長部分を有するTfuLip2酵素のアミノ酸配列を、配列番号3に示す。
【0177】
AGKANPYERGPNPTDALLEASSGPFSVSEENVSRLSASGFGGGTIYYPRENNTYGAVAISPGYTGTEASIAWLGERIASHGFVVITIDTITTLDQPDSRAEQLNAALNHMINRASSTVRSRIDSSRLAVMGHSMGGGGTLRLASQRPDLKAAIPLTPWHLNKNWSSVTVPTLIIGADLDTIAPVATHAKPFYNSLPSSISKAYLELDGATHFAPNIPNKIIGKYSVAWLKRFVDNDTRYTQFLCPGPRDGLFGEVEEYRSTCPF
TfuLip2タンパク質を、これまでに述べられている方法(Vogtentanz,Protein Expr Purif,55:40〜52,2007)を用いて、バチルス・サブチリス細胞(degUHy32,oppA,ΔspoIIE,ΔaprE,ΔnprE,Δepr,ΔispA,Δbpr,Δvpr,ΔwprA,Δmpr−ybfJ,ΔnprB,amyE::xylRPxylAcomK−ermC)内で産生させた。
【0178】
(実施例2)
TfuLip2の単離及び特性決定
限外濾過濃縮物を、発現用のバチルス・サブチリス株の14Lスケールの回分発酵より得た。清澄化したブロスを、組換えTfuLip2ポリペプチドの特性決定に用いた。
【0179】
TfuLip2を精製するには、限外濾過濃縮物を14Lスケールの回分発酵より得て、50mMのTris−HCl、pH 8.0バッファーで5倍に希釈し、硫酸アンモニウムを最終濃度が1Mとなるように加える。硫酸アンモニウム沈殿により得られたペレットを回収し、更なる精製に供する。50mMのTris−HCl、pH 8.0バッファー中の1M硫酸アンモニウムで平衡化したFastFlowフェニルセファロースカラムを使用する。試料を平衡化流速(12mL/分)の半分の速度でロードし、ローディング後に平衡化バッファーで洗う。勾配を用いて、バッファー中の濃度を1Mの硫酸アンモニウムから0Mにまで低下させる。50mMのTris、pH 8.0バッファーで、カラムから夾雑タンパク質を洗い流す。50mMのTris、pH 8.0、及び40%プロピレングリコールを含むバッファーで、TfuLip2タンパク質を溶出させる。各分画を、下記に述べる酪酸p−ニトロフェニル(pNP)アッセイを用いてアッセイする。リパーゼ活性を有する分画をプールし、5Kのメンブレンを備える攪拌式セルを用いて濃縮し、後の使用に備える。
【0180】
(実施例3)
TfuLip2によるp−ニトロフェニルエステルの加水分解
エステル鎖の長さが異なる3種類の異なるp−ニトロフェニル(pNP)エステル基質に対してリパーゼ活性についてTfuLip2タンパク質をアッセイし、LipAの鎖長選択性を調べた。表3−1に、pNPエステル基質の詳細を示す。
【表3】

【0181】
予めエタノール(5%)に懸濁した0.8mMのpNPエステルを以下の2種類のバッファーの一方に加えて、pNPエステル基質を含む反応エマルションを調製した。すなわち、0.05M HEPES、6mM CaCl(pH 8.2に調整)、又は0.05M CAPS、6mM CaCl(pH 10に調整)。pNPエステルの乳化を促進するため、0.5%アラビアゴムを両方のバッファーに加えた。
【0182】
このpNPエステル/バッファー懸濁液を混合し、2分間超音波処理してから、それぞれ100μLを、20μLの酵素試料が入った96穴マイクロタイタープレートの各ウェルに移した。遊離したpNPの生成を、ブランク値(酵素なしの値)を用いてOD405nmで15分間にわたって測定及び修正した。1分当たりに生成されるpNP生成物を記録し、ウェル中の加えた酵素試料に対して正規化した(加えた酵素1mg当たりのΔ OD/分)。異なる基質に対する相対的な酵素活性を計算し、各基質を用いて得られた生成物の放出速度を最も高い活性に対して正規化した(例えば、カプリル酸pNP基質に対する活性を100とした)。
【表4】

【0183】
表3−2に示されるように、TfuLip2はpH 8.2及びpH 10の両方において、炭素4〜16個の長さのpNPエステル基質に対して活性を示した。
【0184】
(実施例4)
洗剤の存在下及び非存在下でのTfuLip2によるトリグリセリドの加水分解
TfuLip2ポリペプチドを、洗剤の存在下及び非存在下でトリオクタン酸エステル及びトリオレイン酸エステル基質の加水分解についてアッセイした。トリオクタン酸グリセロール(CAS 538−23−8)及びトリオレイン酸グリセロール(CAS 122−32−7)基質をシグマ社(Sigma)より購入した。この実験では以下の市販の洗剤を使用した。(1)ユニリーバ社(Unilever)より販売されるOMO色物用液体洗剤、(2)プロクター・アンド・ギャンブル社(Procter & Gamble)より販売されるAriel色物用液体洗剤、(3)ブルモラー社(Blumoller)より販売されるBiotex色物用粉末洗剤、及び(4)プロクター・アンド・ギャンブル社より販売されるAriel色物用粉末洗剤。
【0185】
OMO色物用液体洗剤
OMO色物用液体洗剤組成物は、5〜15%のアニオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤、<5%石鹸、カチオン性界面活性剤、ホスホン酸塩、香料、ブチルフェニルメチルプロピオネート、シトロネロール、酵素、及びベンゾイソチアゾリノンを含む。OMO色物用液体洗剤は、以下の界面活性剤を含んでいる。すなわち、C12〜C15パレス−7、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、及び水添ヤシ脂肪酸ナトリウム。
【0186】
OMO色物用液体洗剤の成分は以下の通りである。水、C12〜C15パレス−7、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、プロピレングリコール、水添ヤシ脂肪酸ナトリウム、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸ナトリウム、香料、硫酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、ブチルフェニルメチルプロピオナール、ソルビトール、シトロネロール、プロテアーゼ、ベンゾイソチアゾリノン、ボロン酸、(4−ホルミルフェニル)、アミラーゼ、CI−45100、及びCI−42051。
【0187】
Ariel色物用液体洗剤
Ariel色物用液体洗剤組成物は、5〜15%のアニオン性界面活性剤、<5%非イオン性界面活性剤、ホスホン酸塩、石鹸、酵素、香料、ブチルフェニルメチルプロピオネート、及びゲラニオールを含む。Ariel色物用液体洗剤は、以下の界面活性剤を含んでいる。すなわち、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、C12〜C14パレス−7、ラウレス硫酸ナトリウム、及びC12〜C14パレス−4。
【0188】
Ariel色物用液体洗剤の成分は以下の通りである。ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、パーム核脂肪酸ナトリウム、C12〜C14パレス−7、ラウレス硫酸ナトリウム、変性アルコール、C14〜C15パレス−4、meaホウ酸エステル、硫酸化エトキシル化ヘキサメチレンジアミン四級化プロピレングリコール、水、水添ヒマシ油、香料、プロテアーゼ、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸ナトリウム、C12〜C15アルコール、グリコシダーゼ、ポリビニルピリジン−n−オキシド、ポリエチレングリコール、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ジメチコン、着色剤、シリカ、ブチルフェニルメチルプロピオナール、及びゲラニオール。
【0189】
Biotex色物用粉末洗剤
Biotex色物用粉末洗剤組成物は、15〜30%のゼオライト、5〜15%のアニオン性界面活性剤、<5%石鹸、ポリカルボキシレート、ホスホン酸塩、酵素、及び香料を含む。Biotex色物用粉末洗剤は、C12〜C15パレス−7界面活性剤を含んでいる。
【0190】
Biotex色物用液体洗剤の成分は以下の通りである。ゼオライト、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、水、C12〜C15パレス−7、牛脂脂肪酸ナトリウム、マレイン酸−アクリル酸コポリマーナトリウム塩、クエン酸ナトリウム、ラウレス−7、セルロースガム、ラウレス−5、ナトリウムEDTMP、香料、エチドロン酸4ナトリウム、サブチリシン、アミラーゼ、トリアシルグリセロールリパーゼ、及びセルロース。
【0191】
Ariel色物用粉末洗剤
Ariel色物用粉末洗剤組成物は、5〜15%のアニオン性界面活性剤、ゼオライト、<5%非イオン性界面活性剤、ポリカルボキシレート、ホスホン酸塩、酵素、香料、ヘキシルシンナマル、リモネン、及びブチルフェニルメチルプロピオネートを含む。Ariel色物用粉末洗剤は、以下の界面活性剤を含んでいる。すなわち、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、C12〜C15パレス硫酸ナトリウム、及びC12〜C15パレス−7。
【0192】
Ariel色物用粉末洗剤の成分は以下の通りである。硫酸ナトリウム,炭酸ナトリウム、ベントナイト、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、シリコアルミン酸ナトリウム、C12〜C15パレス硫酸ナトリウム、ナトリウムアクリル酸/MAコポリマー、水、クエン酸、ジメチコン、C12〜C15パレス−7、硫酸マグネシウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、香料、セルロースガム、塩化ナトリウム、エチドロン酸4ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、デンプン、オクテニルコハク酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、グリコシダーゼ、エチレンジアミンジコハク酸3ナトリウム、硫酸、グリコール酸ナトリウム、フェニルプロピルエーテルメチコン、ポリアクリル酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸、シリカを含むジクロロジメチルシランRX、着色剤、グリセリン、ラウレス硫酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、C10〜16アルキルベンゼンスルホン酸、ブチルフェニルメチルプロピオナール、ヘキシルシンナマル、及びリナロール。
【0193】
各洗剤を以下のようにして加熱により不活性化した。すなわち、各液体洗剤は95℃の水浴中に2時間置き、各粉末洗剤はこれを水に加えた0.1g/mL調合液をホットプレート上で1時間沸騰させた。熱処理により、市販の洗剤配合物中のすべてのタンパク質成分の酵素活性は失活するが、酵素以外の洗剤成分の性質は維持される。加熱処理の後、各洗剤を希釈し、リパーゼ酵素活性についてアッセイした。
【0194】
トリオクタン酸エステル及びトリオレイン酸エステルの反応エマルションを、エタノール(5%)に予め懸濁した0.4%トリオクタン酸エステル又はトリオレイン酸エステルを以下の2種類のバッファーの一方に加えることにより調製した。すなわち、pH 8.2に調整した0.05M HEPES、又はpH 10に調整した0.05M CAPSである。バッファーは液体洗剤と使用するものはpH 8.2に、粉末洗剤と使用するものはpH 10に調整した。いずれのバッファーも、水の硬度を6mM CaClに調整した。トリグリセリドの乳化を促進するため、2%アラビアゴムを両方のバッファーに加えた。
【0195】
各洗剤にトリオクタン酸エステルを加えた反応エマルションを、エタノール(5%)に予め懸濁した0.4%トリオクタン酸エステルを以下の2種類のバッファーの一方に加えることにより調製した。すなわち、pH 8.2に調整した0.05M HEPES、又はpH 10に調整した0.05M CAPSである。いずれのバッファーも、水の硬度を240ppmに調整した。最終的なアッセイ混合物は、トリグリセリドの乳化を促進するために異なる量の洗剤を含んでいた。
【0196】
各反応エマルションは、高剪断混合を2分間行い(24,000m−1,Ultra Turrax T25、ジャンケ・クンケル社(Janke Kunkel))、次いで150μLを、30μLの酵素試料が予め入れられた96穴マイクロタイタープレートのウェルに移すことによって調製した。遊離脂肪酸の生成を、非エステル化脂肪酸(NEFA)の定量的測定のためのインビトロ酵素比色分析アッセイを用いて測定した。この方法は遊離脂肪酸に対する特異性を有するものであり、添加されたアシルCoAシンテターゼの存在下で、脂肪酸によって補酵素A(CoA)がアシル化されることに基づいたものである。このようにして生成したアシルCoAは、添加されたアシルCoAオキシダーゼによって酸化され、ペルオキシダーゼの存在下で過酸化水素が生成する。これにより、3−メチル−N−エチル−N(β−ヒドロキシエチル)−アニリンが4−アミノアンチピリンと酸化的に縮合して紫色の付加物を生成し、これを比色分析によって測定することができる。30℃で6分間のインキュベーション後に生成した遊離アミノ酸の量を、NEFA HR(2)キット(和光純薬工業株式会社(Wako Chemicals GmbH)、ドイツ)の材料を使用し、30μLの加水分解溶液を、120μLのNEFA A溶液が予め入れられた96穴マイクロタイタープレートのウェルに移すことによって測定した。30℃で3分間インキュベートした後、60μLのNEFA B溶液を加えた。30℃で4.5分間インキュベートした後、520nmにおけるODを測定した。
【0197】
表4−1は、TfuLip2によるトリオレイン酸エステル及びトリオクタン酸エステルの加水分解を示す。トリグリセリドの加水分解のデータは、遊離脂肪酸のμmolとして求めた。結果は、バッファー中でのトリオクタン酸エステル(C8)に対する活性を100としてこの活性に対して示す。
【表5】

【0198】
表4−2は、pH 8.2及びpH 10.0における異なる洗剤の存在下又は非存在下でのTfuLip2によるトリオクタン酸エステルの加水分解を示す。洗剤の存在下でのトリオクタン酸エステルの加水分解のデータは、試験を行った両方のpH値における洗剤の非存在下でのトリオクタン酸エステルの加水分解に対する、洗剤の存在下でのトリオクタン酸エステルの加水分解の比率(%)として示す。
【表6】

【0199】
TfuLip2は、異なる液体及び粉末洗剤中で洗剤濃度の関数としてリパーゼ活性を示した。
【0200】
(実施例5)
TfuLip2の洗浄性能
染みが付いた衣類に対するTfuLip2の洗浄性能について、微小布片アッセイ方式で試験を行った。24穴プレート方式(ヌンク社(Nunc)、デンマーク)で設定された脂質含有実験用染み(オランダの試験材料センター(Center for Testmaterials)より購入したCS−61布片)を使用して、染みの除去実験を行った。各アッセイウェルに、予め切断したCS−61布片の13mmの小片が入るように設定した。各布片は、リフレクトメータ(CR−400、コニカ・ミノルタ社)を使用して予め読み取ってから、24穴プレートに置いた。
【0201】
使用したバッファーは、液体洗剤の試験用には20mM HEPES(最終濃度)、pH 8.2、粉末洗剤の試験用には20mM CAPS(最終濃度)、pH 10.0とした。水の硬度を、両方のバッファーについて240ppmに調整した。使用した加熱不活性化した市販の洗剤は、実施例4のトリグリセリド加水分解アッセイにおいて述べたものと同じものを使用した。
【0202】
簡単に述べると、900μLの適当なバッファーを、布片が入った24穴プレートの各ウェルに加えた。反応を開始するため、各ウェルに100μLの体積の酵素試料を加えた。各プレートを、37℃で200rpmで30分間振盪した。インキュベーション後、反応バッファーを除去し、各ウェル内の布地を1mLの蒸溜水で3回洗い流した。洗い流した布片を取り出した後、各布片を50℃で4時間乾燥してから反射率を測定した。洗浄性能を、各布片の洗浄の前後の反射率測定値の差として計算した。反射率の測定は、分光光度計(CR−400、コニカ・ミノルタ社)によりCIE L測定値を取ることによって行った。洗浄された布地の染み除去指数(ΔSRI)の値の差は、下式を用いて洗浄しない布地に対して計算した。
【数1】

【0203】
この式では、ΔL、Δa、Δbはそれぞれ、洗浄の前後におけるCIE L、CIE a、及びCIE b値の差であり、ただし、Lは明度を規定し、a及びbは、色度を規定する(例えば、Precise Color Communication:Color Control From Perception to Instrumentation,Konica Minolta Sensing,Inc.,Osaka,Japan,pp.32〜59,1998)を参照。
【表7】

【0204】
TfuLip2は、ユニリーバ社(Unilever)より販売されるOMO色物用液体洗剤中では洗浄性能をまったく示していない。しかしながら、TfuLip2は、プロクター・アンド・ギャンブル社(Procter & Gamble)より販売されるAriel色物用液体洗剤及びブルモラー社(Blumoller)より販売されるBiotex色物用粉末洗剤中では顕著な洗浄性能を示し、プロクター・アンド・ギャンブル社より販売されるAriel色物用粉末洗剤では更に高い性能を示した。
【0205】
(実施例6)
TfuLip2を含む液体洗濯洗剤組成物
この実施例では、液体洗濯洗剤組成物の異なる配合を提供する。これらの配合のそれぞれにおいて、TfuLip2は約0.0001〜約10重量%の濃度で含まれる。いくつかの代替的な実施形態では、配合者によってニーズに応じて決定される他の濃度も有用であろう。
【表8】

【0206】
#1:1N HCl水溶液を加えることにより、配合の無希釈pHを約3〜約5の範囲に調整する。上記の実施例6(I)〜(II)のpHは約5〜約7であり、実施例6(III)〜(V)のpHは約7.5〜約8.5である。
【0207】
(実施例7)
TfuLip2を含む液体食器手洗い用洗剤組成物
この実施例では、異なる食器手洗い用液体洗剤の配合を提供する。これらの配合のそれぞれにおいて、TfuLip2は約0.0001〜約10重量%の濃度で含まれる。いくつかの代替的な実施形態では、配合者によってニーズに応じて決定される他の濃度も有用であろう。
【表9】

【0208】
実施例7(I)〜(VI)のpHは約8〜約11である。
【0209】
(実施例8)
TfuLip2を含む液体自動食器洗い用洗剤組成物
この実施例では、異なる液体自動食器洗い用洗剤の配合を提供する。これらの配合のそれぞれにおいて、TfuLip2ポリペプチドは約0.0001〜約10重量%の濃度で含まれる。いくつかの代替的な実施形態では、配合者によってニーズに応じて決定される他の濃度も有用であろう。
【表10】

【0210】
(実施例9)
TfuLip2を含む粒状及び/又は錠剤洗濯組成物
この実施例では、粒状及び/又は錠剤洗濯洗剤の異なる配合を提供する。これらの配合のそれぞれにおいて、TfuLip2は約0.0001〜約10重量%の濃度で含まれる。いくつかの代替的な実施形態では、配合者によってニーズに応じて決定される他の濃度も有用であろう。
【表11】

【0211】
香料、染料、増白剤/SRP1/カルボキシメチルセルロースナトリウム/光漂白剤/MgSO/PVPVI/泡抑制剤/高分子量PEG/粘土。
【0212】
(実施例10)
TfuLip2を含む更なる液体洗濯洗剤
この実施例では、液体洗濯洗剤の更なる配合を提供する。これらの配合のそれぞれにおいて、TfuLip2は約0.0001〜約10重量%の濃度で含まれる。いくつかの代替的な実施形態では、配合者によってニーズに応じて決定される他の濃度も有用であろう。
【表12】

【0213】
(実施例11)
TfuLip2を含む高密度食器洗い用洗剤
この実施例では、高密度食器洗い用洗剤の異なる配合を提供する。これらの圧縮型配合のそれぞれにおいて、TfuLip2は約0.0001〜約10重量%の濃度で含まれる。いくつかの代替的な実施形態では、配合者によってニーズに応じて決定される他の濃度も有用であろう。
【表13】

【0214】
増白剤/染料/SRP1/カルボキシメチルセルロースナトリウム/光漂白剤/MgSO/PVPVI/泡抑制剤/高分子量PEG/粘土。実施例11(I)〜(VI)のpHは、約9.6〜約11.3である。
【0215】
(実施例12)
TfuLip2を含む錠剤食器洗い用洗剤組成物
この実施例は、異なる錠剤食器洗い用洗剤の配合を提供する。以下の本開示の錠剤洗剤組成物は、12個のヘッドを有する標準的なロータリープレスを使用して、13KN/cm(130MPa)の圧力で粒状食器洗い用洗剤組成物を圧縮することによって調製される。これらの配合のそれぞれにおいて、TfuLip2は約0.0001〜約10重量%の濃度で含まれる。いくつかの代替的な実施形態では、配合者によってニーズに応じて決定される他の濃度も有用であろう。
【表14】

【0216】
増白剤/SRP1/カルボキシメチルセルロースナトリウム/光漂白剤/MgSO/PVPVI/泡抑制剤/高分子量PEG/粘土。実施例12(I)〜12(VII)のpHは約10〜約11.5であり、実施例12(VIII)のpHは8〜10である。実施例12(I)〜12(VIII)の錠剤重量は約20g〜約30gである。
【0217】
(実施例13)
TfuLip2を含む液体硬質表面洗浄用洗剤
この実施例では、液体硬質表面洗浄用洗剤の異なる配合を提供する。これらの配合のそれぞれにおいて、TfuLip2は約0.0001〜約10重量%の濃度で含まれる。いくつかの代替的な実施形態では、配合者によってニーズに応じて決定される他の濃度も有用であろう。
【表15】

【0218】
実施例13(I)〜(VII)のpHは、約7.4〜約9.5である。
【0219】
(実施例14)
プロテアーゼの存在下及び非存在下での洗剤中のTfuLip2の安定性
洗剤中のTfuLip2の安定性を、市販の洗剤においてプロテアーゼの存在下又は非存在下で調べ、同様の条件下における市販の基準酵素Lipex(登録商標)(サーモマイセス・ラヌギノーサスLip3リパーゼ(ノボザイムズ社(Novozymes)、コペンハーゲン、デンマーク))の安定性と比較した。
【0220】
OMO(商標)Small and Mighty液体洗剤(ユニリーバ社(Unilever))及びAriel色物用液体洗剤(プロクター・アンド・ギャンブル社((Procter & Gamble))を、使用に先立って95℃の水浴中に2時間入れることにより加熱不活性化した。加熱による不活性化の後、各洗剤をプロテアーゼ及びリパーゼ活性について試験したところ、すべてについて陰性であった。
【0221】
TfuLip2及びLIPEX(登録商標)リパーゼを、各洗剤に0.2ppmの最終濃度で加えた。サブチリシンプロテアーゼ(Purafect 4000L;ダニスコ・ユー・エス社ジェネンコア部門(Danisco US Inc.,Genencor Division))を、1.0ppmの最終濃度で添加した。リパーゼ及びプロテアーゼのこれらの濃度は、洗剤の洗浄媒質において典型的なものであり、洗浄条件における酵素の実際の使用条件を反映している。リパーゼ又はリパーゼ/プロテアーゼを加えた洗剤混合物を37℃に28日間置いた。0、2、7、及び15日目に試料を抜き取り、トリブチリン(CAS 60−01−5)を基質として使用して、リパーゼ活性についてアッセイした。この方法は、酵素がトリブチリンを加水分解する速度に基づいたものである。リパーゼの作用によって生成した酪酸を水酸化ナトリウムで滴定し、NaOHの消費量を時間の関数として記録した。
【0222】
0.05M NaCl、0.5mM KHPO、0.1%アラビアゴム、及び9%グリセロール中に5%トリブチリン(v/v)を含むエマルションを、T25 Ultra TURRAX(登録商標)分散装置(IKA(登録商標)、ドイツ)を使用して、試料を20秒間高剪断混合することによって調製した。洗剤試料に加えた2MLの酵素を、25MLのホモジナイズした基質に加え、試料を30℃で6分間インキュベートした。反応混合物のPHを8.0に維持するのに必要とされる0.05MのNAOHの量を求め、NAOH塩基の消費量に基づいて酵素活性を計算した。表14−1に示されるデータは、プロテアーゼを加えていない0日目の活性と比較した残留リパーゼ活性の比率(%)を表している(それぞれの洗剤について)。TfuLip2リパーゼは、特にプロテアーゼの存在下で、LIPEX(登録商標)リパーゼよりも優れた安定性を明らかに示した。
【表16】

【0223】
(実施例15)
異なる温度におけるTfuLip2の洗浄性能
染み付きの布地に対するTfuLip2の洗浄性能を、市販の加熱不活性化したAriel色物用液体洗剤及びAriel色物用粉末洗剤中で、微小布片アッセイ方式で15℃、20℃、30℃、及び40℃で試験した。アッセイは、プレートを37℃ではなく、それぞれ15、20、30、及び40℃で振盪する変更を行った以外は実施例5で述べたのと同様にして行った。0.2又は0.7U/mLのTfuLip2を添加し、トリオレイン酸エステル(pH 8.2)から放出される遊離脂肪酸(μmol/分)を実施例4で述べたのと同様にして測定した。結果を表15−1、15−2、及び15−3に示す。
【表17】

【0224】
表15−1の結果は、TfuLip2が、洗剤の非存在下で15℃〜40℃の範囲のすべての温度において用量反応的な洗浄性能を示すことを示している。最も高い性能は、40℃で高用量の酵素を用いた場合に得られている。
【表18】

【0225】
表15−2の結果は、TfuLip2が、0.6g/LのAriel色物用液体洗剤中で15℃〜40℃の範囲のすべての温度において用量反応的な洗浄性能を示すことを示している。最も高い性能は、40℃で高用量の酵素を用いた場合に得られている。30℃及び40℃では、0.6g/LのAriel色物用液体洗剤の存在下でTfuLip2によって得られる洗浄性能は、洗剤の非存在下でTfuLip2によって得られる洗浄性能よりも大幅に優れている。
【表19】

【0226】
表15−3の結果は、TfuLip2が、0.6g/LのAriel色物用粉末洗剤中において20℃〜40℃で用量反応的な洗浄性能を示すことを示している。最も高い性能は、40℃で高用量の酵素を用いた場合に得られている。30℃及び40℃では、0.6g/LのAriel色物用粉末洗剤の存在下でTfuLip2によって得られる洗浄性能は、洗剤の非存在下でTfuLip2によって得られる洗浄性能よりも大幅に優れている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーモビフィダ・フスカから得られるリパーゼと、
界面活性剤と、を含む洗剤組成物であって、
洗浄しようとする表面から油性の染みを除去するうえで、前記リパーゼを含まない同等の洗剤組成物よりも効果的である、洗剤組成物。
【請求項2】
前記リパーゼが、TfuLip2リパーゼである、請求項1に記載の洗剤組成物。
【請求項3】
前記リパーゼが、配列番号2又は配列番号3と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1又は2に記載の洗剤組成物。
【請求項4】
前記リパーゼが、配列番号2又は配列番号3と少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項3に記載の洗剤組成物。
【請求項5】
前記リパーゼが、組換えリパーゼである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項6】
前記リパーゼが、バチルス内で発現される組換えリパーゼである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項7】
前記界面活性剤が、イオン性又は非イオン性界面活性剤である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項8】
前記界面活性剤が、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1以上の界面活性剤である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項9】
前記界面活性剤が、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、水添ヤシ脂肪酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、C12〜14パレス−7、C12〜15パレス−7、C12〜15パレス硫酸ナトリウム、及びC14〜15パレス−4からなる群から選択される1以上の界面活性剤を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項10】
約8.0〜約10.0のpHで配合される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項11】
約8.2〜約10.0のpHで配合される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項12】
前記洗剤組成物が、洗濯洗剤、食器洗い用洗剤、及び硬質表面洗浄用洗剤からなる群から選択される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項13】
前記組成物の形態が、液体、粉末、粒状固形物、及び錠剤からなる群から選択される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項14】
前記洗剤組成物が、約30℃〜約40℃の温度で効果的に脂質を加水分解する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項15】
前記洗剤組成物が、サーモビフィダ・フスカのリパーゼの代わりにシュードモナス・シュードアルカリゲネスのリパーゼ変異体M21L(LIPOMAX(商標))を含む同等の洗剤組成物と比較して、C4〜C16の基質をより効果的に加水分解する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項16】
プロテアーゼを更に含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項17】
サブチリシンプロテアーゼを更に含む、請求項16に記載の洗剤組成物。
【請求項18】
サーモビフィダ・フスカリパーゼの安定性が、サーモビフィダ・フスカリパーゼの代わりにサーモマイセス・ラヌギノーサのLip3リパーゼ(LIPEX(登録商標))を含む同等の洗剤組成物中におけるサーモマイセス・ラヌギノーサLip3リパーゼの安定性よりも高い、請求項16又は17に記載の洗剤組成物。
【請求項19】
安定性が、最終的な洗浄媒質中で測定される、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
表面の汚れ又は染みに存在する脂質を加水分解するための方法であって、前記表面を、請求項1〜19のいずれか一項に記載の洗剤組成物と接触させる工程を含む、方法。
【請求項21】
エステル交換反応を行うための方法であって、ドナー分子を、請求項1〜19のいずれか一項に記載の洗剤組成物と接触させる工程を含む、方法。
【請求項22】
前記ドナー分子が、C4〜C16の炭素鎖を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ドナー分子が、C8の炭素鎖を含む、請求項22に記載の方法。

【公表番号】特表2013−515139(P2013−515139A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546029(P2012−546029)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/060253
【国際公開番号】WO2011/084412
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(509240479)ダニスコ・ユーエス・インク (81)
【Fターム(参考)】