説明

シャフトドライブ装置

【課題】音や振動を低減する。
【解決手段】パワーユニットから車輪への動力伝達系に設けられるファイナルギァケース内でリングギアに噛合うピニオンギア66の軸部67を前方へ延ばして軸部67の外周にスプライン67aを設け,パワーユニットの動力をピニオンギア66へ伝達するドライブシャフトの後端に設けた継手の受部を構成するピニオンジョイント56bの円筒部内周にスプライン56cを設け,スプライン56cとピニオンギア66のスプライン67aとを係合させ,ピニオンギア66の軸部67に軸線方向の穴67bを設けて穴67bの底部にねじ部67cを設け,ねじ部67cに螺合するボルト58でピニオンジョイント56bをピニオンギア66に固定し,ボルトの頭部とねじ部との間に撓み部58cを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,シャフトドライブ装置に関する。例えば自動二輪車等自動車の車輪を駆動するのに適したシャフトドライブ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来,例えば特許文献1に見られるように,シャフトドライブ装置として,パワーユニットとしてのエンジンから後輪への動力伝達系に設けられるファイナルギァケース(10)内でリングギア(15)に噛合うピニオンギア(12)の軸部を前記パワーユニット側へ延ばして,その軸部の外周にスプラインを設け,前記パワーユニットからの動力をピニオンギア(12)へ伝達するプロペラシャフト(8)の後端に設けた継手の受部を構成するピニオンジョイントの円筒部内周にスプラインを設け,このピニオンジョイントのスプラインと前記ピニオンギア(12)のスプラインとを係合させてピニオンギアとピニオンジョイント(11)とをスプライン結合したものが知られている。
【特許文献1】特開昭62−18383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来のシャフトドライブ装置では,ピニオンギアとピニオンジョイントがスプライン結合されているだけであるため,ピニオンギアとピニオンジョイントはその軸線方向において相対的にスライド可能であった。
このため,従来の装置では,上記スライド動作に起因する音や振動が発生するという課題があった。
本発明の目的は,上記課題を解決し,音や振動を低減できるシャフトドライブ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために本発明のシャフトドライブ装置は,パワーユニットから車輪への動力伝達系に設けられるファイナルギァケース内でリングギアに噛合うピニオンギアの軸部を前記パワーユニット側へ延ばして,その軸部の外周にスプラインを設け,前記パワーユニットからの動力を前記ピニオンギアへ伝達するドライブシャフトの後端に設けた継手の受部を構成するピニオンジョイントの円筒部内周にスプラインを設け,このピニオンジョイントのスプラインと前記ピニオンギアのスプラインとを係合させて前記ピニオンギアと前記ピニオンジョイントとをスプライン結合したものにおいて,
前記ピニオンギアの軸部にその軸線方向に穴を設けてその穴の底部にねじ部を設け,その穴のねじ部に螺合するボルトで前記ピニオンジョイントをピニオンギアに固定するとともに,前記ボルトの頭部とねじ部との間に撓み部を設けたことを特徴とする。
このようなシャフトドライブ装置によれば,ピニオンギアとピニオンジョイントが,ボルトで固定されているので軸線方向において相対的にスライド不能となる。
したがって,ピニオンギアとピニオンジョイントのスライド動作に起因する音や振動が発生しなくなる。
しかも,ピニオンジョイントとピニオンギアの固定は,ピニオンギアの軸部に,その軸線方向に穴を設けてその穴の底部にねじ部を設け,その穴のねじ部にボルトを螺合させることによって行い,その際,ボルトの頭部とねじ部との間に撓み部を設けてあるので,ピニオンジョイントに首振り方向の力が加わることで,ボルト頭部の座面に緩まし方向の力が加わったとしても,その力はボルトの頭部からねじ部に到るまでの間で,前記撓み部によって吸収されることとなる。このため,座面の面圧が維持され,ボルトが緩みにくくなる。結果として,確実に,音や振動が発生しなくなる。
前記車輪が,車体に揺動可能に設けられたリヤフォークに車軸で支持される後輪であり,前記ファイナルギアケースが,前記車軸により支持されるものの場合,望ましくは,前記ファイナルギアケースの外周部とリアフォークとを連結するトルクロッドにて前記ファイナルギアケースの回り止めを行う。
このようにすると,ファイナルギアケースの外周部に一端を連結したトルクロッドの他端を,車体に連結した場合に比べて,ピニオンジョイントの首振り動作を低減できる。したがって,ボルトが一層緩みにくくなり,結果として,より確実に,音や振動の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
以下,本発明に係るシャフトドライブ装置の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明に係るシャフトドライブ装置の一実施の形態を用いた自動車の一例である自動二輪車を示す左側面図,図2は同自動二輪車の後部左側面図,図3はシャフトドライブ装置及びその周辺部を説明する横断面図,図4は図2における4−4断面図,図5は図3における要部の拡大断面図である。
【0006】
図1に示すように,この自動二輪車10は,車体フレーム11を備えている。
車体フレーム11は,車両の前端部に設けたヘッドパイプ13と,このヘッドパイプ13から後方に延設したメインフレーム14と,このメインフレーム14の後端部から後方に延殺したシートレール15,15(以下,一対のものについては特に必要がない限り手前側のみ示す)と,ヘッドパイプ13から斜め下方に延設したダウンフレーム16,16と,これらのダウンフレーム16,16の後端とシートレール15,15の後端を連結するリヤフレーム17,17とを備えている。
【0007】
リヤフレーム17,17にピポット軸19を回動自在に取付け,このピポット軸19を中心に,リヤフォーク21を上下スイング可能に取付けてある。このリヤフォーク21の前部22とメインフレーム14の後部23とを,リヤクッションユニット25で連結してある。
【0008】
ヘッドパイプ13には,操舵自在にフロントフォーク28を取り付け,このフロントフォーク28の下端に前輪29を回転自在に取付け,フロントフォーク28の上部に操舵用ハンドル31を取付けてある。
メインフレーム14とダウンフレーム16とで囲まれた空間にパワーユニット32としてのエンジン33を配置し,リヤフォーク21の後端部21bに後輪35を回動自在に取付け,後輪35を支持する後輪車軸36とエンジン33との間にエンジン33の駆動力を後輪35に伝達するシャフトドライブ装置40を配置してある。
【0009】
エンジン33は,クランクケース41と,このクランクケース41から立ち上げた2つのシリンダ部42F,42Rを備えるV型2気筒のエンジンである。
45は燃料タンク,46は運転者シート,47はリヤフエンダ,48はヘッドライト,49はテールライト,51,51はリヤウインカー,52は車体フレーム11を補強するガセット部材である。
【0010】
図2に示すように,シャフトドライブ装置40は,後輪35の側方にギヤケース54を設け,このギヤケース54とパワーユニット32としてのエンジン33の出力軸55との間にドライブシャフト56を設け,エンジン33の出力をドライブシャフト56及びギヤケース54を介して後輪35に伝達する装置である。
ギヤケース54は,リヤフォーク21の後端部21bに設けられている後輪車軸36に支持されるとともに,ギヤケース54の外周部54gとリヤフォーク21とを連結するトルクロッド57で回り止めが施されている。
【0011】
なお,シートレール15,15から後方に後部フレーム61を延出し,この後部フレーム61にリヤフェンダ47や同乗者シート62などを取り付けてある。メインフレーム14の後部に設けられリヤクッションユニット25の上端部25tは,ブラケット63で保持されている。
【0012】
シャフトドライブ装置40は,ドライブシャフト56の駆動力の方向を変換して後輪35に伝達する役割を担う装置である。
図3に示すように,シャフトドライブ装置40は,エンジン(図2の符号33)の出力軸55に自在継手65を介して取り付けたドライブシャフト56と,このドライブシャフト56の後端部に継手56aを介して取り付けたれたドライブギヤであるピニオンギヤ66と,このピニオンギア66に噛み合い,駆動力の方向を変換するファイナルドリブンギヤであるリングギヤ68と,前記ギヤ66,68を収納するファイナルギヤケース54とを備えている。
【0013】
図3,図5に示すように,この実施の形態のシャフトドライブ装置40は,パワーユニットから車輪(この場合,後輪35)への動力伝達系に設けられるファイナルギァケース54内でリングギア68に噛合うピニオンギア66の軸部67をパワーユニット32側である前方へ延ばして,その軸部67の外周にスプライン67aを設け,パワーユニットからの動力をピニオンギア66へ伝達するドライブシャフト56の後端に設けた継手56aの受部を構成するピニオンジョイント56bの円筒部内周にスプライン56cを設け,このピニオンジョイント56bのスプライン56cと前記ピニオンギア66のスプライン67aとを係合させてピニオンギア66とピニオンジョイント56bとをスプライン結合したものであり,ピニオンギア66の軸部67にその軸線方向に穴67bを設けてその穴の底部にねじ部67cを設け,その穴67bのねじ部67cに螺合するボルト58でピニオンジョイント56bをピニオンギア66に固定するとともに,ボルト58の頭部58aとボルト58のねじ部58bとの間に撓み部58cを設けてある。
【0014】
ピニオンジョイント56bは,大筒部56b1と小筒部56b2とを有し,小筒部56b2に上記スプライン56cが設けてある。大筒部56b1の円筒部内周にはスプライン56dが設けてあり,このスプライン56dに対して,ドライブシャフト56の後端に設けたスプライン(図3)が係合している。
【0015】
ピニオンギア66の穴67bは,その先端67b1が,ギヤ66の歯66aが形成される肉厚部(大径部)66b内に入り込むように形成され,かつ,ねじ部67cも,少なくともその先端部分67c1が前記肉厚部66b内に入り込むように設けられている。これによって,ピニオンギア66とボルト58との螺合強度が確保されると同時に,撓み部58cの長さLが十分に確保される。
また,撓み部58cの外周面と,ピニオンギア66の穴67bの内周面との間には隙間Cが設けられており,この隙間Cの存在によって,撓み部58cが弾性変形できるスペースが確保されている。
【0016】
ピニオンギア66の前記肉厚部66bと軸部67との間には,段部66eが形成されており,この段部66eにシム66fを介してベアリング97が装着されている。ピニオンギア66は,ベアリング97およびピニオンギア66の先端に設けられたニードルベアリング97bを介してギヤケース54に回転可能に支持されている(図3参照)。
【0017】
ボルト58は,その頭部58aと,ピニオンジョイント56bの大筒部56b1の底部56b3との間にワッシャ59を介してピニオンギア66に螺合され,頭部58aの座面58a1とピニオンギア66の前記段部66eとで,ピニオンジョイント56bの小筒部56b2とベアリング97とを締め付けている。これにより,ボルト58と,ピニオンジョイント56bと,ピニオンギア66と,ベアリング97とが強固に結合されている。
これらの強固な結合,特に,ピニオンジョイント56bの小筒部56b2がボルト58の頭部58aとベアリング97とで挟圧されることにより,後述するピニオンジョイント56bの首振り動作自体が抑制される。
【0018】
図3に示すように,ファイナルドリブンギヤ(リングギヤ)68は,スリーブ73に圧入されている。このスリーブ73は,ベアリング94,96によって支持されている。スリーブ73には,第1ダンパ押さえ74が取り付けられてスリーブ73と一体で回転する。この第1ダンパ押さえ74には,ボルト77で第2ダンパ押さえ75が固定され,この第2ダンパ押さえ75と後輪35のハブ76との間にダンパ部材78が取り付けられている。
また,後輪車軸36の外周には,スペーサ71を介して軸受72が配置されており,この軸受72と別の軸受95によって,ギヤケース54を含むファイナルギヤユニットが支持されている。
【0019】
リングギヤ68と後輪35の間には緩衝装置を設ける。本実施例において,緩衝装置は,ダンパ部材78である。このダンパ部材78をリングギヤ68と後輪35のハブ76との間に介在させ,ドライブシャフト56のトルクを後輪35に伝達するとともに,トルクの変動によるショックを和らげる。
【0020】
ギヤケース54は本体部81とこの本体部81を車両の内方から外方に向けて覆う蓋部82とを有している。そして,本体部81に蓋部82を合わせ,締結部材83で固定する。ギヤケース54の内部にギヤ室84が形成され,このギヤ室84にピニオンギア66とこのピニオンギア66に噛み合うリングギヤ68が配置される。ギヤ室84は,オイル注入穴85を備え,このオイル注入穴85からオイルが注入される。なお,オイル注入穴85は,通常,キャップ86で塞がれている。
【0021】
蓋部82には,内方からリング部材88としてのダス卜ガードプレートが取り付けられ,このリング部材88にギヤ室84と大気を連通するブリーザチューブ89が取り付けられている。
図中,91~94,96,97はベアリング,101~105はシール部材,107はディスクブレーキユニット,108はディスクブレーキ板,109は後輪車軸36をリヤフォーク21に固定するナットである。
【0022】
リヤフォーク21は,一方の延出部111と,他方の延出部112と,これら一方の延出部111と他方の延出部112とを連結するク口ス部113とを有している。
一方の延出部111とクロス部113とは,鋳造にて一体に形成されている。他方の延出部112は,パイプ部材131に中実部材132を連結させたものである。
つまり,リヤフォーク21は,複数の部材が連結されたものであり,これら複数の部材の連結方法は,溶接による。リヤフォーク21を分割構成とすることで,一方の延出部111とクロス部113の鋳造を容易に行うことができる。
【0023】
図4は図2の4−4線断面図であり,ギヤケース54にトルクロッド57を取り付ける構造を説明する図である。
ギヤケース54の外周部54gから下方にフランジ部115を延設し,このフランジ部115に開けた穴部116に,パイプ120と弾性部材119とパイプ部材118とをこの順に嵌め,先端部を二股状に形成したトルクロッド57の先端部に設けられる孔117,117を前記穴部116の中心に合わせ,ボルト121及びナット122によって,トルクロッド57をギヤケース54に止めた。
【0024】
つまり,トルクロッド57は,弾性部材119を介してギヤケース54に連結されている。トルクロッド57は,弾性部材119を介してギヤケース54に連結されているので,駆動系で発生するショックを弾性部材119で吸収することができる。発生するショックは弾性部材119で吸収可能となるため,他の部分に設けられている,例えぱ,後輪のハブ76内に設けられるダンパ部材(図3の符号78)などの緩衝装置を小型化することができる。あるいは,他の部分に設けられる緩衝装置を省くことが可能となる。
本実施形態において,弾性部材119は,トルクロッド57とギヤケース54との間に取り付けたが,弾性部材119をトルクロッド57とリヤフォーク21との間に取り付けることは差し支えない。
【0025】
以上のようなシャフトドライブ装置40によれば次のような作用効果が得られる。
(a)このシャフトドライブ装置40は,ピニオンギア66の軸部67にその軸線方向に穴67bを設けてその穴の底部にねじ部67cを設け,その穴67bのねじ部67cに螺合するボルト58でピニオンジョイント56bをピニオンギア66に固定してあるので,このシャフトドライブ装置40によれば,ピニオンギア66とピニオンジョイント56bは,軸線方向において相対的にスライド不能となる。
したがって,ピニオンギア66とピニオンジョイント56bのスライド動作に起因する音や振動が発生しなくなる。
【0026】
上記のように,ピニオンギア66とピニオンジョイント56bは,軸線方向において相対的なスライドは不能となるが,ピニオンギア66のスプライン67aとピニオンジョイント56bのスプライン56cとの間には,半径方向および円周方向においてごく僅かな隙間がある。このため,シャフトドライブ装置40が作動してピニオンジョイント56bからピニオンギア66へと動力が伝達されて車両が走行する際,ピニオンジョイント56bは上記スプライン係合部を中心としてピニオンギア66の軸線に対し僅かとはいえ揺動しようとする。このピニオンジョイント56bの揺動動作を首振り動作と称す。
【0027】
図6は比較例を示す図である。
図6に示す構造は,ピニオンギア66の軸部67に雄ネジ部67dを一体的に設け,この雄ネジ部67dにナット69を螺合させて,ナット69でピニオンジョイント56bをピニオンギア66に固定した構造である。
このような構造によっても,初期的には,ピニオンギア66とピニオンジョイント56bは,軸線方向において相対的にスライド不能となるから,ピニオンギア66とピニオンジョイント56bのスライド動作に起因する音や振動は発生しなくなる。
【0028】
しかし,図6に示す構造の場合,上述したピニオンジョイント56bに首振り方向の力が加わることで,ピニオンジョイント56bの大筒部56b1の底部56b3から,ナット69に対し,雄ネジ部67dとの螺合の緩まし方向の力が作用すると,その力はナット69から直接的に螺合部(67d)に作用することとなる。
このため,図6に示す構造の場合,初期的には,ピニオンギア66とピニオンジョイント56bとが強固に結合されていたとしても,車両が走行してピニオンジョイント56bの首振りしようとする動作が繰り返されるにつれ,ナット69が緩んで,ピニオンギア66とピニオンジョイント56bとが軸線方向において相対的にスライド可能な状態となりやすい。結果として,ピニオンギア66とピニオンジョイント56bのスライド動作に起因する音や振動が発生しやすくなる。
【0029】
これに対し,この実施の形態の構造によれば,ピニオンジョイント56bとピニオンギア66の固定は,ピニオンギア66の軸部67にその軸線方向に穴67bを設けてその穴67bの底部にねじ部67cを設け,その穴のねじ部67cにボルト58を螺合させることによって行い,その際,ボルト58の頭部58aとボルト58のねじ部58bとの間に撓み部58cを設けてあるので,ピニオンジョイント56bに首振り方向の力が加わることで,ボルト頭部58aの座面58a1に螺合部(67c,58b)に対する緩まし方向の力が加わったとしても,その力はボルトの頭部58aからねじ部58bに到るまでの間で,ボルト58の前記撓み部58cによって吸収されることとなる。このため,座面58a1の面圧が維持され,ボルト58が緩みにくくなる。結果として,確実に,音や振動が発生しなくなる。
【0030】
(b)車軸36により支持されるファイナルギアケース54の外周部54gとリアフォーク21とを連結するトルクロッド57にて前記ファイナルギアケース54の回り止めを行っているので,ファイナルギアケース54の外周部54gに一端を連結したトルクロッドの他端を,車体(例えばフレーム17)に連結した場合に比べて,ファイナルギアケース54(したがってピニオンギア66)とピニオンジョイント56bとの相対的回動動作を低減することができ,ピニオンジョイント56bの首振り動作を低減できる。したがって,ボルトが一層緩みにくくなり,結果として,より確実に,音や振動の発生を防止することができる。
【0031】
以上,本発明の実施の形態について説明したが,本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく,本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係るシャフトドライブ装置の一実施の形態を用いた自動車の一例である自動二輪車を示す左側面図。
【図2】同自動二輪車の後部左側面図。
【図3】シャフトドライブ装置及びその周辺部を説明する横断面図。
【図4】図2における4−4断面図。
【図5】図3における要部の拡大断面図。
【図6】比較例を示す断面図。
【符号の説明】
【0033】
21 リヤフォーク
32 パワーユニット
35 車輪
40 シャフトドライブ装置
54 ファイナルギァケース
56 ドライブシャフト
56a 継手
56b ピニオンジョイント
56c スプライン
57 トルクロッド
58 ボルト
58a 頭部
58b ねじ部
58c 撓み部
66 ピニオンギア
67 軸部
67a スプライン
67b 穴
67c ねじ部
68 リングギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーユニットから車輪への動力伝達系に設けられるファイナルギァケース内でリングギアに噛合うピニオンギアの軸部を前記パワーユニット側へ延ばして,その軸部の外周にスプラインを設け,前記パワーユニットからの動力を前記ピニオンギアへ伝達するドライブシャフトの後端に設けた継手の受部を構成するピニオンジョイントの円筒部内周にスプラインを設け,このピニオンジョイントのスプラインと前記ピニオンギアのスプラインとを係合させて前記ピニオンギアと前記ピニオンジョイントとをスプライン結合したものにおいて,
前記ピニオンギアの軸部にその軸線方向に穴を設けてその穴の底部にねじ部を設け,その穴のねじ部に螺合するボルトで前記ピニオンジョイントをピニオンギアに固定するとともに,前記ボルトの頭部とねじ部との間に撓み部を設けたことを特徴とするシャフトドライブ装置。
【請求項2】
前記車輪は,車体に揺動可能に設けられたリヤフォークに車軸で支持される後輪であり,前記ファイナルギアケースは,前記車軸により支持されるとともに,前記ファイナルギアケースの外周部とリアフォークとを連結するトルクロッドにて前記ファイナルギアケースの回り止めが施されていることを特徴とする請求項1記載のシャフトドライブ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−228852(P2009−228852A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−77299(P2008−77299)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】