説明

シュリンクラベルの製袋方法

【課題】本発明は、フィルムを筒状に貼り合わせるためにエージングの必要のないレーザー溶接技術を適用するに際して、レーザー光線を当てながらその照射箇所におけるフィルムの接合部をしっかりと接し合わせながらシュリンクフィルムを製袋しうる方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るシュリンクラベルの製袋方法は、シュリンクフィルム1の厚さとほぼ同じ高さの段差3を有する柱状部材2に、シュリンクフィルムを、その一辺5aが段差に引っ掛かった状態で巻きつけ、段差の低面6側に配置されたシュリンクフィルムの一辺側の表面に、段差の高面7側に配置された他辺側5bの裏面を接面させるフィルム巻きつけ工程と、合わせ目8の領域9にレーザー光線10を照射し、合わせ目の方向18に沿って走査して合わせ目にて熱融着させることによってシュリンクラベルに製袋する熱融着工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料や食品などの容器に外嵌装着される筒状ラベルの製造方法に関し、特にシュリンクフィルムの両端部同士をレーザー光線によって熱融着して筒状に効率的に製袋する製袋方法に関する。
【背景技術】
【0002】
包材メーカーにおいて、フィルム原反に印刷し、所定の幅に裁断し、両端部を互いに接着剤や溶剤を使って貼り合わせて筒状に加工したシュリンクラベルは、上底と下底とが未裁断の長尺状の筒状体のまま巻き取られ、巻き取り製品として飲料充填工場に供給される。そして、巻き取り製品は、充填ラインにあるシュリンクラベラーにて所定のピッチで上底と下底とが形成されるように裁断されて個々のシュリンクラベルとされる。その後直ちに容器に被嵌され、熱風吹き付け等の加熱手段で加熱されることによって熱収縮し、容器の外側面に装着される。
【0003】
また、シュリンクラベルのコストダウンを目的に、無延伸フィルムで形成されたラベルの両端部の貼り合わせがなされていない、印刷されたラベル原反を、ラベラー内で容器の外側面に巻き付けた後、両端部を互いに接着剤又は溶剤などを使って貼り合わせたロール状に巻かれたフィルム、すなわちロールラベルが使用されている。なお、ロールラベルは一般に熱収縮をさせない。
【0004】
さらに、シュリンクラベルのコストダウンを目的に、シュリンクフィルムで形成されたラベル両端部の貼り合わせがなされていない、印刷されたラベル原反を、ラベラー内で容器の外側面に巻き付けた後、両端部を互いに感熱接着剤とUV硬化性樹脂を使って貼り合わせ、その後、加熱することによって熱収縮させたラベラー(Roll‐on‐Shrink‐onラベラー、以下、このラベラーで装着されたラベルを「Roll‐on‐Shrink‐onラベル」と称する。)が開発されている。
【0005】
また、インラインにおいて、熱収縮性の長尺原反フィルムにて連続的にシュリンクラベルを形成すると共に、そのラベルを所定の寸法に裁断しながら容器に装着する技術の開示がある(例えば特許文献1を参照。)。
【0006】
さらに近年、両端部を互いに接着剤や溶剤を使って貼り合わせる代わりに、レーザー光線を用いて熱融着によって貼り合わせるレーザー溶接技術が開発されている(例えば、特許文献2又は3を参照。)。
【0007】
【特許文献1】特開平7‐156930号公報
【特許文献2】特開2002−248687号公報
【特許文献3】特開2000−141469号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
筒状に加工され、容器に外嵌装着されるシュリンクラベルは、ボトルにフィットするため美粧性が高いが、筒状に貼り合わせたときに接着剤の硬化の安定化のためエージングが必要であり、そのためオフラインにて製造されるためコストが高いという問題がある。
【0009】
ロールラベルは、大型容器に採用されているが、ホットグルー方式で接着すると容器に糊残りがあるため、近年、感熱接着剤を用いて貼り合わされている。しかし、感熱接着剤の使用によって、コストアップとなり、本来メリットであったコストが安いという優位性が薄らいでいる。
【0010】
また、Roll‐on‐Shrink‐onラベラーは、インライン製袋プロセスを適用するとコストダウンが可能であるが、従来とはラベリング機構が全く異なるため、ラベリング装置を全て入れ替える必要があり、高額な初期投資が必要となる。なお、同システムに供することのできるフィルム原反は縦一軸延伸フィルムのみであり、従来使用されている横一軸延伸フィルムに比べて、収縮性能、コスト面から劣っている。
【0011】
そこで、既存のシュリンクラベラーにて、インライン製袋することによって、Roll‐on‐Shrink‐onラベラーシステムよりも品質的に優れ、ライントラブルの発生を抑制し、初期投資を抑制してラベリングコストの低減に寄与することができるラベリング方法が望まれる。
【0012】
インライン製袋する特許文献1に関する技術は、インライン製袋しうる技術であるが、フィルムの両端を接合するために感熱接着剤(ホットメルト接着剤)を使用する。しかし、感熱接着剤の管理と感熱接着剤のコスト高の面で必ずしも使いやすいとは言いがたい。また、接着部が安定するまでに、エージングの必要がある。
【0013】
特許文献2又は3に記載のレーザー溶接技術は、フィルムの両端部を互いに接着剤や溶剤を使って貼り合わせるのではなく、レーザー光線をフィルムに吸収させ熱融着によって瞬時に接合する技術であるからエージングの必要がない。しかし、レーザー光線を照射するときにフィルムの接合部がしっかりと接し合っていないと、熱融着が困難又は融着不良となりやすい。
【0014】
そこで、本発明の目的は、フィルムを筒状に貼り合わせるためにエージングの必要のないレーザー溶接技術を適用するに際して、レーザー光線を当てながらその照射箇所におけるフィルムの接合部をしっかりと接し合わせながらシュリンクフィルムを製袋しうる方法を提供することである。さらにインライン製袋とオフライン製袋のいずれにも対応できる製袋方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、シュリンクフィルムの両端部を、合わせ目を持たせて重ねてレーザー溶接によって熱融着をするに際して、シュリンクフィルムを巻きつけるための柱状部材にシュリンクフィルムのほぼ1枚分の厚さの段差を設け、その段差に合わせ目がくるようにフィルムを巻きつけることによって、レーザー光線の照射スペースを確保し、かつ、その照射箇所におけるフィルムの接合部をしっかりと接し合わせることができることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明に係るシュリンクラベルの製袋方法は、柱状体の外側面に軸方向に沿ってシュリンクフィルムの厚さとほぼ同じ高さの段差を有する柱状部材に、前記シュリンクフィルムを、その一辺が前記段差に引っ掛かった状態で巻きつけ、前記段差の低面側に配置された前記シュリンクフィルムの一辺側の表面に、前記段差の高面側に配置された他辺側の裏面を接面させるフィルム巻きつけ工程と、前記シュリンクフィルムの一辺側の表面と他辺側の裏面とが重なった合わせ目の領域にレーザー光線を照射し、前記合わせ目の方向に沿って走査して前記合わせ目にて熱融着させることによってシュリンクラベルに製袋する熱融着工程と、を有することを特徴とする。
【0016】
本発明に係るシュリンクラベルの製袋方法では、前記フィルム巻きつけ工程と前記熱融着工程とを、中身を容器に充填するインラインにて行なうことが好ましい。本発明はインラインとオフラインのいずれにおいても対応可能であるが、レーザー溶接技術では、フィルムの合わせ目における接着のエージングの問題がないため、インライン製袋に特に適している。
【0017】
本発明に係るシュリンクラベルの製袋方法では、前記シュリンクフィルムは、長尺状の巻き取り製品から供給され、かつ、幅方向に延伸されたフィルムであり、前記シュリンクフィルムの長尺方向と前記柱状部材の軸方向とを揃えた状態で、前記シュリンクフィルムを前記柱状部材に巻きつけ、前記シュリンクフィルムの幅方向の両縁部を重ね合わせて前記合わせ目を形成し、該合わせ目にレーザー光線を照射して熱融着させることによってシュリンクラベルに製袋することが好ましい。コストの安い横一軸延伸フィルムを使用し、高額な設備投資をする必要がない。
【0018】
本発明に係るシュリンクラベルの製袋方法では、前記シュリンクフィルムは、長尺状の巻き取り製品から供給され、かつ、長尺方向に延伸されたフィルムであり、前記シュリンクフィルムの幅方向と前記柱状部材の軸方向とを揃えた状態で、前記シュリンクフィルムを前記柱状部材に巻きつけ、前記シュリンクフィルムを幅方向に裁断して、裁断された両縁部を重ね合わせて前記合わせ目を形成し、該合わせ目にレーザー光線を照射して熱融着させることによってシュリンクラベルに製袋することが好ましい。縦一軸延伸フィルムを使用することとなるが、Roll‐on‐Shrink‐onラベラーシステムよりも初期の設備投資を抑えることができる。
【0019】
本発明に係るシュリンクラベルの製袋方法では、前記柱状部材は内部空間を有し、かつ、外側面に前記内部空間につながる開口部が複数散在されてなり、前記柱状部材に巻きつけられ、前記合わせ目にレーザー光線を照射される前記シュリンクフィルムは、前記内部空間を陰圧にすることによって吸引されて前記柱状部材の外側面に密着させられることが好ましい。柱状部材の外側面にフィルムを吸いつけて密着させることが可能となるため、フィルムの巻きつき精度が高まる。
【0020】
本発明に係るシュリンクラベルの製袋方法では、前記柱状部材に巻きつけられ、前記合わせ目にレーザー光線を照射される前記シュリンクフィルムは、ローラーで押えつけられることによって前記柱状部材の外側面に密着させられるか、或いは、エアー圧で押えつけられることによって前記柱状部材の外側面に密着させられるか、或いは、前記シュリンクフィルムに張力をかけることによって前記柱状部材の外側面に密着させられることが好ましい。これらの方法によっても柱状部材の外側面にフィルムを巻きつけ、密着させることが可能である。
【0021】
本発明に係るシュリンクラベルの製袋方法では、レーザー光線を照射しているときに、前記合わせ目をエアー圧若しくは棒状部材で押えつけることが好ましい。合わせ目の上側のフィルムは、柱状部材の開口部における吸い付きが及ばないため、補助的にエアー圧若しくは棒状部材で押えつけることで、合わせ目でのフィルム同士の接し合いを一層高めることができる。
【0022】
本発明に係るシュリンクラベルの製袋方法では、前記柱状部材は、軸の横断面が楕円形状に加工されてなり、前記段差は、外側面の曲率の小さい箇所に設けられていることが好ましい。段差付近で柱状部材の外側面の曲率が小さくなる、すなわち平坦性が高まるため、合わせ目におけるフィルム同士の重なり合いも平坦な状態で重なり合うので、フィルムの歪が少なく、フィルム同士の接し合いがより高まる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、フィルムを筒状に貼り合わせるためにエージングの必要のないレーザー溶接技術を適用するに際して、レーザー光線を当てながらその照射箇所におけるフィルムの接合部をしっかりと接し合わせながらシュリンクフィルムを製袋することができる。そして、インライン製袋とオフライン製袋のいずれにも対応できる。また、接着剤を使用しないので、接着剤のはみ出しがなく、接合部の美粧性がよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。以下に説明する実施の形態は本発明の構成の例であり、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。本発明の効果を奏する限り、種々の形態変更をしてもよい。
【0025】
本実施形態に係るシュリンクラベルの製袋方法について、図1〜図6を用いて説明する。図1は、シュリンクフィルムを製袋する工程を説明するための概略図である。図2は、シュリンクフィルムの製袋の様子を説明するための拡大概念図である。図3は、柱状部材の主軸を横断する断面における外側面付近の拡大断面概略図である。図1〜図3に示すように、本実施形態に係るシュリンクラベルの製袋方法は、次の2つの工程を有する。まず、柱状体の外側面4に軸X方向に沿ってシュリンクフィルム1の厚さとほぼ同じ高さの段差3を有する柱状部材2に、シュリンクフィルム1を、その一辺5aが段差3に引っ掛かった状態で巻きつけ、段差3の低面6側に配置されたシュリンクフィルムの一辺5a側の表面に、段差3の高面7側に配置された他辺5b側の裏面を接面させるフィルム巻きつけ工程である。次に、シュリンクフィルム1の一辺5a側の表面と他辺5b側の裏面とが重なった合わせ目8の領域9にレーザー光線10を照射し、合わせ目3の方向11に沿って走査して合わせ目3にて熱融着させることによってシュリンクラベルに製袋する熱融着工程である。
【0026】
本実施形態に係るシュリンクラベルの製袋方法では、印刷がされた原反フィルムの巻き取り製品11の長尺方向12が筒状ラベルの主軸方向と平行である形態(第1実施形態)と長尺方向12が筒状ラベルの主軸方向と直交する形態(第2実施形態)とが有る。
【0027】
(第1実施形態)
(フィルム巻きつけ工程)
シュリンクフィルム1は、印刷がされた原反フィルムの巻き取り製品11から供給される。シュリンクフィルム1には、長尺方向11が上下方向となるように印刷される。好ましくは、長尺方向11の流れ方向(供給方向)の先頭側が下側となるような文字の上下方向とする。すなわち、流れ方向の先頭側が、容器にラベルを装着したときに底側となるような印刷方向とすることが好ましい。また、シュリンクフィルム1は、フィルムの幅方向に延伸がなされている、つまり横一軸延伸フィルムであることが好ましい。円筒状のラベルとして容器に外嵌装着したときに胴体を締め付けるように熱収縮する。シュリンクフィルム1は、例えば、OPPフィルム、OPEフィルム、OPSフィルム、PLAフィルム、PET/OPSフィルム又はPETフィルムといったプラスチックフィルムである。厚さは例えば45〜60μmのフィルムが多用されている。
【0028】
柱状部材2は、柱状体であり、好ましくは円柱体である。ここで、図2に示すように、シュリンクフィルム1がその両端を合わせ目3ができるように重ね合わせるとき、重ね合わせの途中工程で、シュリンクフィルム1がフィルム移動方向に沿って徐々に丸められる。ここで、この丸まりに沿って、柱状部材2の外側面とシュリンクフィルム1とが接するように、柱状部材2の上端側を拡径することが好ましい。シュリンクフィルム1が柱状部材2の外側面に支持されることとなり、シュリンクフィルム1の柱状部材2への巻きつきが安定する。
【0029】
柱状部材2には、柱状体の外側面4に軸X方向に沿ってシュリンクフィルム1の厚さとほぼ同じ高さの段差3を設ける。段差3の高さは例えば45〜60μmである。段差3を設けることによって、段差3の側面3aに、シュリンクフィルム1の一辺5aの端面が接面するか或いははほぼ接面状態となる。このときシュリンクフィルム1は、その一辺5aが段差3に引っ掛かった状態となって、巻きつくこととなる。そして、段差3が設けられた方向と軸X方向とが平行、つまりシュリンクフィルム1の長尺方向と柱状部材2の軸X方向とを揃えた状態であれば、シュリンクフィルム1を柱状部材2に巻きつけるに際して、段差3がシュリンクフィルム1の向きの案内の役割を果たすこととなる。そして、シュリンクフィルム1の幅方向の両縁部5a,5bを重ね合わせて合わせ目8を形成する。このとき、段差3がシュリンクフィルム1の向きの案内の役割を果たすことによって、合わせ目8の領域9の幅が一定となるように精度を向上させることができる。合わせ目8の領域9の幅は、例えば、3〜15mmである。
【0030】
図3に示すように、段差3の低面6側に配置されたシュリンクフィルム1の一辺5a側の表面に、段差3の高面7側に配置されたシュリンクフィルム1の他辺5b側の裏面を接面させることで、フィルムの巻きつけが完了する。シュリンクラベルの内径と柱状部材2の外径はほぼ同じとなる。
【0031】
このとき図3に示すように、シュリンクフィルム1の厚さと段差3の高低差をほぼ同じとしたため、シュリンクフィルム1の一辺5a側の表面と、段差3の高面7とはほぼ同一平面を形成する。この平坦性によって、シュリンクフィルム1の一辺5a側の表面に重ねられたシュリンクフィルム1の他辺5b側は、シュリンクフィルム1の一辺5a側によって歪められることはない。したがって、合わせ目8において、シュリンクフィルム1の一辺5a側の表面と他辺5b側の裏面とを精度良く接面させることができる。
【0032】
さらに柱状部材2は、図4に示すように、軸Xの横断面が楕円形状に加工されてなり、段差3は、外側面4の曲率の小さい箇所に設けられていることが好ましい。図4は、柱状部材を扁平筒としたときの主軸を横断する概略断面図である。例えば、楕円の短径軸上に段差3を設けることが好ましい。段差3付近で柱状部材2の外側面4の曲率が小さくなり、すなわち平坦性が高まり、合わせ目8におけるフィルム1同士の重なり合いも平坦な状態で重なり合うので、フィルム1の歪が少なく、フィルム1同士の接し合いがより高まる。
【0033】
本実施形態に係るシュリンクラベルの製袋方法では、柱状部材2は円筒形状とすることが好ましく、図3に示すように柱状部材2は内部空間15を有し、かつ、外側面4に内部空間15につながる開口部16が複数散在されてなることがより好ましい。このとき、排気手段17を設け、内部空間15の内部空気を排気することが好ましい。排気することによって、柱状部材2に巻きつけられ、合わせ目8にレーザー光線10を照射されるシュリンクフィルム1は、内部空間15が陰圧となり吸引されて柱状部材2の外側面4に密着させられる。柱状部材2の外側面4にシュリンクフィルム1を吸いつけて密着させることが可能となるため、フィルムの巻きつき精度が高まる。さらに、段差3を設けているため、合わせ目8において上側のフィルムと下側のフィルムとが精度良く接面してフィルム間に空間がなくなり、レーザー溶接不良のおそれが少ない。ここで、柱状部材2の開口部16の内径、開口部16の個数、開口部16の分布状態及び排気手段17による排気量は、シュリンクフィルム1を歪ませずにほぼ外側面4に沿うように適宜、設計され、調節される。開口部16の内径は、例えば0.1〜2mmである。単位面積あたりの開口部16の個数は、例えば1〜20個/cmである。開口部16の形状は、例えば加工性の観点から円形、楕円形又は矩形とする。
【0034】
シュリンクフィルム1を連続的に送る場合には、シュリンクフィルム1を引っ張ったときに外側面4に対してシュリンクフィルム1が滑りながら送られるように排気量を少なくして、柱状部材2への密着の力を弱めに調整する。また、シュリンクフィルム1の送りを一定時間停止し、その後、送りを開始し、その作業を繰り返す場合には、シュリンクフィルム1の送りを停止ときに排気量を多くして柱状部材2への密着の力を強めに調整し、一方、シュリンクフィルム1を送る場合には、シュリンクフィルム1を引っ張ったときに外側面4に対してシュリンクフィルム1が滑りながら送られるように排気量を少なくして柱状部材2への密着の力を弱めに調整する。或いは、シュリンクフィルム1が柱状部材2に密着されている限り、常にシュリンクフィルム1を引っ張ったときに外側面4に対してシュリンクフィルム1が滑りながら送られるように排気量を少なくして柱状部材2への密着の力を弱めに調整していてもよい。
【0035】
本実施形態に係るシュリンクラベルの製袋方法では、柱状部材2に巻きつけられ、合わせ目8にレーザー光線10を照射されるシュリンクフィルム1は、前述した吸引力を利用した密着方法の他、次に挙げる他形態の密着方法を採用してもよい。まず、柱状部材2に巻きついたシュリンクフィルム1をローラー(不図示)で押えつけられることによって柱状部材2の外側面に密着させる方法である。次に、柱状部材2に巻きついたシュリンクフィルム1を空気等のガスを吹き付け、そのエアー圧(不図示)で押えつけられることによって柱状部材2の外側面に密着させる方法である。そして、シュリンクフィルム1に張力をかけることによって柱状部材2の外側面4に密着させる方法である。シュリンクフィルム1に張力をかける方法としては、例えば、柱状部材2に巻きつく前の巻き取り製品11から供給されてくるシュリンクフィルム1の片面側に棒状部材の丸く加工された先端を当てて張力をかける方法である。その張力によって棒状部材の先端を当てた片面側が円筒内面となるように、長尺状のシュリンクフィルム1の幅方向の両端が互いに近づき合うように変形させられる。これらの方法によっても柱状部材2の外側面4にシュリンクフィルム1を巻きつけることが可能である。
【0036】
吸引力を利用した密着方法は、ローラーを用いた密着方法、エアー圧を用いた密着方法又は張力を用いた密着方法と適宜組み合わせることが可能である。例えば、柱状部材2の外側面4をすべるシュリンクフィルム1の後方側すなわち柱状部材2の図1における上底側ではローラーを用いた密着方法、エアー圧を用いた密着方法又は張力を用いた密着方法を採用し、シュリンクフィルム1の先頭側すなわち柱状部材2の図1における下底側では吸引力を利用した密着方法とする方法である。
【0037】
本実施形態に係るシュリンクラベルの製袋方法では、図5に示すように、レーザー光線10を照射しているときに、合わせ目8をエアー圧21若しくは棒状部材20で押えつけることが好ましい。図5は、合わせ目を押えつける形態を説明するための概略断面図であり、(a)は棒状部材で押える場合、(b)はエアー圧で押える場合である。図5では、柱状部材の主軸を横断する断面図である。合わせ目8において、一辺5a側の下に重ねられる部分は、例えば吸引力を利用した密着方法を利用することによって柱状部材2に密着させられることとなるが、他辺5b側の上に重なる部分(合わせ目8の上側のフィルム)には吸引力が働きにくい場合がある。そこで、合わせ目8におけるシュリンクフィルム1の両端の重なりの密着性をより一層高めるために、エアー圧20若しくは棒状部材21で補助的に押えつけることで、合わせ目8でのフィルム同士の接し合いを高める。なお、レーザー光線10を遮らないという観点から、エアー圧20で押えつける方法がより好ましい。
【0038】
(融着工程)
図1〜図3に示すように、シュリンクフィルム1の一辺5a側の表面と他辺5b側の裏面とが重なった合わせ目8の領域9にレーザー光線10を照射し、合わせ目3の方向18に沿って走査して合わせ目3にて熱融着させることによってシュリンクラベルに製袋する。フィルム巻きつけ工程において、シュリンクフィルム1の一辺5a側の表面は、他辺5b側の裏面と密着させられているため、レーザー光線10の吸収によって、照射箇所の温度が上昇し、熱融着する。
【0039】
レーザー光線10を合わせ目3の方向11に沿って走査する方法は数形態ある。例えば、図1において、シュリンクフィルム1を送りながらレーザー光線10の照射位置は一定とする形態である。次に、レーザー光線10を照射するときにはシュリンクフィルム1の送りを停止し、レーザー光線10の照射位置を移動させる形態である。或いは、シュリンクフィルム1を送りながらレーザー光線10の照射位置も移動させる形態である。レーザー光線10の出力、その発振波長におけるシュリンクフィルムの光透過率又はシュリンクフィルムの厚さ等の融着条件によって、これらの形態の中から最適な形態が選択される。
【0040】
レーザー光線10の発振器は、例えば、半導体レーザー、YAGレーザー、ファイバーレーザー又は炭酸ガスレーザーである。これらのレーザー発振器は発振波長が異なる。一方、シュリンクフィルム1は波長によって光透過率が変化する。レーザー溶接法の場合、シュリンクフィルム1がレーザー光線をほぼ吸収しない場合、すなわち、レーザーの発振波長における光透過率が例えば99%以上の場合、照射箇所にレーザー光線を吸収する吸収剤を塗布しておくか、或いは、シュリンクフィルム自体に吸収剤を混入させておくことが好ましい。
【0041】
例えば、半導体レーザー、YAGレーザー又はファイバーレーザーから発振されるレーザー光線の波長は、おおよそ808〜1060nmの範囲にあり、OPPフィルム、OPEフィルム、OPSフィルム、PLAフィルム、PET/OPSフィルム又はPETフィルムに対する光透過率はほぼ99.99%である。したがって、フィルムの厚みに依存せずに常にレーザー光線を透過してしまうといえる。そこで、吸収剤を塗布又は混入する。吸収剤は染料系、顔料系のいずれでもよい。
【0042】
また、炭酸ガスレーザーは、発振波長が10600nmである。このとき、OPPフィルム、OPEフィルム、OPSフィルム、PLAフィルム、PET/OPSフィルム又はPETフィルムに対する光透過率は、フィルム厚さ50μm換算で高くて85%である。すなわち、光吸収率が15%以上ある。したがって、これらのフィルムは炭酸ガスレーザーから発振されたレーザー光線を吸収するため、照射箇所が加熱される。よって、半導体レーザー、YAGレーザー又はファイバーレーザーの場合のような吸収剤の使用は不要である。
【0043】
また、炭酸ガスレーザーを使用する場合、OPPフィルム、OPEフィルム及びOPSフィルムは光透過率が50%以上であるため、フィルムの法線方向から、すなわち、真上からの照射によって、熱融着が容易になされる。一方、PLAフィルム、PET/OPSフィルム又はPETフィルムは、光透過率が50%以下であるため、フィルムの表面において熱溶融が生じやすい。そこで、PLAフィルム、PET/OPSフィルム又はPETフィルムを使用する場合、合わせ目8の端のフィルム境界部分が露出している箇所に向けてフィルムの斜方から、すなわちフィルムの法線に対して傾けてレーザー光線を照射することが好ましい。例えば、図3の符号31で示した方向からレーザー光線を照射することが好ましい。
【0044】
オフラインで、シュリンクフィルムをシュリンクラベルに製袋した後、未裁断の筒状ラベルを巻き取り製品とする場合、筒内の空気が巻き取り不良を起こさせる場合がある。そこで、未裁断の筒状ラベルについて一定間隔を開けてレーザー光線を照射して空気抜け孔を形成しておくことが好ましい。空気抜け孔によって、筒内に空気が残留しないため、精度良く巻き上げた巻き取り製品としやすい。なお、空気抜け孔の形成は、シュリンクフィルムをシュリンクラベルに製袋する直前が好ましい。レーザー溶接用のレーザー光線が使用でき、設備の簡略化を図ることができる。
【0045】
(第2実施形態)
第1実施形態との差異点を中心に説明する。図6は、第2実施形態に係るシュリンクフィルムの製袋の様子を説明するための概念図であり、(a)はフィルムを巻きつける前の概略図、(b)はフィルムを巻きつけた後の概略図、(c)はシュリンクラベルを容器に外嵌装着したときの概略図、(d)はB−B’破断面図である。
【0046】
(フィルム巻きつけ工程)
図6(a)に示すように、シュリンクフィルム1は、印刷がされた原反フィルムの巻き取り製品11から供給される。シュリンクフィルム1には、長尺方向11と直交する幅方向が上下方向となるように印刷される。また、シュリンクフィルム1は、フィルムの長尺方向に延伸がなされている縦一軸延伸フィルムであることが好ましい。フィルムの長尺方向が容器の胴体の円周方向と一致するように巻かれるため、容器の胴体を締め付けるように熱収縮する。また、シュリンクフィルム1は、柱状部材2の円周方向と長尺方向とが一致するように柱状部材2に巻きつけられるため、幅の長さが柱状部材2の長さよりも短いか或いは同じであることが好ましい。
【0047】
柱状部材2は、柱状体であり、好ましくは円柱体である。なお、シュリンクフィルム1を横からまきつける為、第1実施形態の場合のように、柱状部材2の上端側を拡径することは必要ない。
【0048】
柱状部材2には、第1実施形態と同様に、柱状体の外側面4に軸X方向に沿ってシュリンクフィルム1の厚さとほぼ同じ高さの段差3を設ける。シュリンクフィルム1は幅方向に裁断される。段差3の側面3aに、シュリンクフィルム1の裁断面である一辺5aの端面が接面する。このときシュリンクフィルム1は、その一辺5aが段差3に引っ掛かった状態となって、巻きつくこととなる。そして、段差3が設けられた方向と軸X方向とが平行、つまりシュリンクフィルム1の幅方向と柱状部材2の軸X方向とを揃えた状態であれば、シュリンクフィルム1を柱状部材2に巻きつけるに際して、段差3がシュリンクフィルム1の向きの位置決めの役割を果たすこととなる。そして、シュリンクフィルム1の裁断された両縁部5a,5bを重ね合わせて合わせ目8を形成する。裁断のタイミングは、巻きつけ前又は巻きつけ後のいずれでも対応可能であるが、精度良く巻きつけるために巻きつけ後、製袋する前後にて裁断することが好ましい。そして、段差3がシュリンクフィルム1の向きの位置決めの役割を果たすことによって、合わせ目8の領域9の幅が一定となるように精度を向上させることができる。合わせ目8の領域9の幅は、例えば、3〜15mmである。
【0049】
第1実施形態と同様に、図3に示すように段差3の低面6側に配置されたシュリンクフィルム1の一辺5a側の表面に、段差3の高面7側に配置されたシュリンクフィルム1の他辺5b側の裏面を接面させることで、図6(b)に示すようにフィルムの巻きつけが完了する。このとき、段差を設けたので第1実施形態と同様に、合わせ目8において、シュリンクフィルム1の一辺5a側の表面と他辺5b側の裏面とを精度良く接面させることができる。シュリンクラベルの内径と柱状部材2の外径はほぼ同じとなる。
【0050】
第2実施形態においても図4に示すように、軸Xの横断面が楕円形状に加工されてなり、段差3は、外側面4の曲率の小さい箇所に設けられていることが好ましい。
【0051】
また、シュリンクフィルム1は、図6(d)に示した柱状部材を用いることで吸引力による密着方法によって、柱状部材2に密着させられることが好ましい。さらにシュリンクフィルム1は、ローラーを用いた密着方法、エアー圧を用いた密着方法又は張力を用いた密着方法によって、柱状部材2に密着させられてもよい。
【0052】
また、第1実施形態と同様に、図5に示すように、レーザー光線10を照射しているときに、合わせ目8をエアー圧21若しくは棒状部材20で押えつけることが好ましい。
【0053】
(融着工程)
第1実施形態と同様である。ただし、第2実施形態では、シュリンクフィルムを柱状部材の外側面で滑らせながらフィルム送りを行ない、フィルムを動かした状態でレーザー光線の照射を行なう必要はない。したがって、レーザー光線の照射は合わせ目方向18に沿って走査することが好ましい。融着を終了したシュリンクラベル22は、例えば、図6(c)に示すように、下方に配置された容器32に外嵌装着される。
【0054】
第1実施形態及び第2実施形態のいずれの形態においても、本実施形態に係るシュリンクラベルの製袋方法では、フィルム巻きつけ工程と熱融着工程とを、中身を容器に充填するインラインにて行なうことが好ましい。本実施形態はインラインとオフラインのいずれにおいても対応可能であるが、レーザー溶接技術では、フィルムの合わせ目における接着のエージングの問題がないため、インライン製袋に特に適している。
【0055】
第1実施形態及び第2実施形態のいずれの形態においても、シュリンクラベル、ロールラベル及びRoll‐on‐Shrink‐onラベルのいずれについても製袋することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】シュリンクフィルムを製袋する工程を説明するための概略図である。
【図2】シュリンクフィルムの製袋の様子を説明するための拡大概念図である。
【図3】柱状部材の主軸を横断する断面における外側面付近の拡大断面概略図である。
【図4】柱状部材を扁平筒としたときの主軸を横断する概略断面図である。
【図5】合わせ目を押えつける形態を説明するための概略断面図であり、(a)は棒状部材で押える場合、(b)はエアー圧で押える場合である。
【図6】第2実施形態に係るシュリンクフィルムの製袋の様子を説明するための概念図であり、(a)はフィルムを巻きつける前の概略図、(b)はフィルムを巻きつけた後の概略図、(c)はシュリンクラベルを容器に外嵌したときの概略図、(d)はB−B’破断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 シュリンクフィルム
2 柱状部材
3 段差
3a 段差の側面
4 柱状部材の外側面
5a シュリンクフィルムの一辺(一端部)
5b シュリンクフィルムの他辺(他端部)
6 段差の低面
7 段差の高面
8 合わせ目
9 合わせ目の領域
10 レーザー光線
11 印刷がされた原反フィルムの巻き取り製品
12 長尺方向
15 柱状部材の内部空間
16 開口部
17 排気手段
18 合わせ目の方向
20 棒状部材
21 エアー圧
22 シュリンクラベル
31 レーザー照射方向(他形態)
32 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状体の外側面に軸方向に沿ってシュリンクフィルムの厚さとほぼ同じ高さの段差を有する柱状部材に、前記シュリンクフィルムを、その一辺が前記段差に引っ掛かった状態で巻きつけ、前記段差の低面側に配置された前記シュリンクフィルムの一辺側の表面に、前記段差の高面側に配置された他辺側の裏面を接面させるフィルム巻きつけ工程と、
前記シュリンクフィルムの一辺側の表面と他辺側の裏面とが重なった合わせ目の領域にレーザー光線を照射し、前記合わせ目の方向に沿って走査して前記合わせ目にて熱融着させることによってシュリンクラベルに製袋する熱融着工程と、を有することを特徴とするシュリンクラベルの製袋方法。
【請求項2】
前記フィルム巻きつけ工程と前記熱融着工程とを、中身を容器に充填するインラインにて行なうことを特徴とする請求項1に記載のシュリンクラベルの製袋方法。
【請求項3】
前記シュリンクフィルムは、長尺状の巻き取り製品から供給され、かつ、幅方向に延伸されたフィルムであり、
前記シュリンクフィルムの長尺方向と前記柱状部材の軸方向とを揃えた状態で、前記シュリンクフィルムを前記柱状部材に巻きつけ、前記シュリンクフィルムの幅方向の両縁部を重ね合わせて前記合わせ目を形成し、
該合わせ目にレーザー光線を照射して熱融着させることによってシュリンクラベルに製袋することを特徴とする請求項1又は2に記載のシュリンクラベルの製袋方法。
【請求項4】
前記シュリンクフィルムは、長尺状の巻き取り製品から供給され、かつ、長尺方向に延伸されたフィルムであり、
前記シュリンクフィルムの幅方向と前記柱状部材の軸方向とを揃えた状態で、前記シュリンクフィルムを前記柱状部材に巻きつけ、
前記シュリンクフィルムを幅方向に裁断して、裁断された両縁部を重ね合わせて前記合わせ目を形成し、
該合わせ目にレーザー光線を照射して熱融着させることによってシュリンクラベルに製袋することを特徴とする請求項1又は2に記載のシュリンクラベルの製袋方法。
【請求項5】
前記柱状部材は内部空間を有し、かつ、外側面に前記内部空間につながる開口部が複数散在されてなり、
前記柱状部材に巻きつけられ、前記合わせ目にレーザー光線を照射される前記シュリンクフィルムは、前記内部空間を陰圧にすることによって吸引されて前記柱状部材の外側面に密着させられることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載のシュリンクラベルの製袋方法。
【請求項6】
前記柱状部材に巻きつけられ、前記合わせ目にレーザー光線を照射される前記シュリンクフィルムは、ローラーで押えつけられることによって前記柱状部材の外側面に密着させられるか、或いは、エアー圧で押えつけられることによって前記柱状部材の外側面に密着させられるか、或いは、前記シュリンクフィルムに張力をかけることによって前記柱状部材の外側面に密着させられることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載のシュリンクラベルの製袋方法。
【請求項7】
レーザー光線を照射しているときに、前記合わせ目をエアー圧若しくは棒状部材で押えつけることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6に記載のシュリンクラベルの製袋方法。
【請求項8】
前記柱状部材は、軸の横断面が楕円形状に加工されてなり、前記段差は、外側面の曲率の小さい箇所に設けられていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7に記載のシュリンクラベルの製袋方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−12354(P2009−12354A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−177805(P2007−177805)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(307027577)麒麟麦酒株式会社 (350)
【Fターム(参考)】