シリンダ錠の保護装置
【課題】付勢手段の付勢力でシャッターの閉塞動作を行わせて操作性を向上させ得るとともに、不正行為を抑制しつつ閉塞位置にあるシャッターのロック解除を容易に行わせて解錠時の操作性を向上させることができるシリンダ錠の保護装置を提供する。
【解決手段】捩りバネ4の付勢力でシャッター3の閉塞動作を行わせるとともに、解錠手段5は、車両固有の認証コードを送信可能なトランスポンダ14と、トランスポンダ14が近接されることにより認証コードを非接触にて受信可能なアンテナ15と、アンテナ15にて受信した認証コードが正規のものであるか否かを認証する認証手段16とを具備し、当該認証手段16により正規の認証コードが受信されたと認証された場合に限り、ソレノイド9によるロックを解除し、閉塞位置にあるシャッター3を開放位置まで移動可能な状態とするものである。
【解決手段】捩りバネ4の付勢力でシャッター3の閉塞動作を行わせるとともに、解錠手段5は、車両固有の認証コードを送信可能なトランスポンダ14と、トランスポンダ14が近接されることにより認証コードを非接触にて受信可能なアンテナ15と、アンテナ15にて受信した認証コードが正規のものであるか否かを認証する認証手段16とを具備し、当該認証手段16により正規の認証コードが受信されたと認証された場合に限り、ソレノイド9によるロックを解除し、閉塞位置にあるシャッター3を開放位置まで移動可能な状態とするものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二輪車などが具備するシリンダ錠の破壊等を防止し得るシリンダ錠の保護装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二輪車のシリンダ錠は、通常、イグニッションキーを挿抜可能なキー孔が形成されたロータを具備しており、従来、第三者によるはさみやドライバ等の当該キー孔への差し込みでシリンダ錠がいたずらされて破壊されるのを防止するために、例えば特許文献1で開示されたようなシリンダ錠の保護装置が提案されている。かかる保護装置は、キー孔を閉状態とする閉塞位置から当該キー孔を開状態とする開放位置まで摺動可能なシャッターと、該シャッターを開放位置と閉塞位置との間で摺動自在に保持するハウジングと、シャッターを閉塞位置に保持することによりキー孔を閉塞して施錠するマグネット錠と、磁石の磁気によりマグネット錠を解錠するマグネットキーを具備していた。
【0003】
上記シリンダ錠の保護装置によれば、ハウジングから突出したシャッターの一部を当該ハウジング内に押し込む操作を行うことによりキー孔を閉塞しつつ、その位置でマグネット錠にて施錠することができる。即ち、シャッターを閉塞位置とするための操作部が形成されており、運転者が当該操作部を操作することによってシャッターを閉塞位置とし、キー孔を覆ってシリンダ錠を保護し得る構成とされているのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−44132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のシリンダ錠の保護装置においては、運転者が操作部を操作することによりシャッターを閉塞位置とするため、その操作が面倒であり、シャッターを閉塞位置にしない状態(保護装置を機能させない状態)で駐車することが頻繁に生じてしまうという問題があった。即ち、シャッターを閉塞位置とするには、イグニッションキーを抜く動作と、その後の操作部の操作との2つの動作が必要となるため、操作部の操作が面倒であると感じるユーザが多く、保護装置を機能させない状態で駐車してしまう不具合が生じてしまうのである。
【0006】
かかる不具合を回避すべく、本出願人は、シャッターを常時閉塞位置に付勢する付勢手段と、該付勢手段で付勢されたシャッターを開放位置で係止する係止手段と、係止手段による係止を解く解除手段とを具備させ、解除手段にて係止手段による係止を解くことによりシャッターを付勢手段の付勢力で閉塞位置まで移動させてロックさせることを検討するに至った。これにより、シャッターの閉塞動作を付勢手段の付勢力で行わせることが可能となり、操作性をより向上させることが期待された。
【0007】
一方、シャッターが閉塞位置にあるときに係合してロックするための磁石を有したマグネット錠を具備させ、当該マグネット錠にて閉塞位置にあるシャッターをロックさせることも検討するに至った。しかし、マグネット錠によってロックさせる構成のものでは、閉塞位置のシャッターをロック解除して開放位置まで操作するのが面倒であるという不具合が生じる。また、マグネット錠は、そのキー種類に限界があり、不正行為を更に抑制するための手段が求められることとなった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、付勢手段の付勢力でシャッターの閉塞動作を行わせて操作性を向上させ得るとともに、不正行為を抑制しつつ閉塞位置にあるシャッターのロック解除を容易に行わせて解錠時の操作性を向上させることができるシリンダ錠の保護装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、イグニッションキーを挿抜するためのキー孔が形成されたロータの上方に設けられたハウジングと、該ハウジング内で閉塞位置と開放位置との間で移動可能とされ、閉塞位置で前記キー孔を塞ぐとともに開放位置で当該キー孔を開放するシャッターと、閉塞位置にある前記シャッターをロックする施錠手段と、該施錠手段によるロックを解除し、前記シャッターを閉塞位置から開放位置まで移動可能な状態とし得る解錠手段と、前記シャッターを常時閉塞位置に付勢する付勢手段と、該付勢手段で付勢された前記シャッターを開放位置で係止する係止手段と、該係止手段による係止を解く解除手段とを具備し、前記ロータからイグニッションキーを抜き取ると前記付勢手段による付勢力にて前記シャッターが閉塞位置まで移動してシリンダ錠を保護し得るシリンダ錠の保護装置であって、前記解錠手段は、前記イグニッションキーの把持部に形成され、車両固有の認証コードを送信可能な送信手段と、該送信手段が近接されることにより当該送信手段からの認証コードを非接触にて受信可能な受信手段と、該受信手段にて受信した認証コードが正規のものであるか否かを認証する認証手段とを具備し、当該認証手段により正規の認証コードが受信されたと認証された場合に限り、前記施錠手段によるロックを解除し、閉塞位置にある前記シャッターを開放位置まで移動可能な状態とすることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のシリンダ錠の保護装置において、前記認証手段による認証を開始させる認証開始スイッチと、該認証開始スイッチをオン、オフさせる操作ノブとを具備するとともに、前記操作ノブは、前記認証開始スイッチをオフさせるオフ位置、当該認証開始スイッチをオンさせる第2位置、及び前記施錠手段によるロックが解除された前記シャッターを開放位置まで移動させる第3位置の間で操作可能とされたことを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のシリンダ錠の保護装置において、前記操作ノブは、前記イグニッションキーの把持部と係合可能とされ、当該イグニッションキーの把持部を前記操作ノブに係合させつつ移動させることにより前記第1位置、第2位置及び第3位置の間で操作可能とされたことを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項3記載のシリンダ錠の保護装置において、前記受信手段は、前記操作ノブの近傍に配設されたことを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れか1つに記載のシリンダ錠の保護装置において、前記施錠手段は、通電によりプランジャを移動可能なソレノイドから成るとともに、当該プランジャにて閉塞位置にある前記シャッターをロックし得ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、付勢手段の付勢力でシャッターの閉塞動作を行わせて操作性を向上させ得るとともに、認証手段により正規の認証コードが受信されたと認証された場合に限り、施錠手段によるロックを解除し、閉塞位置にあるシャッターを開放位置まで移動可能な状態とするので、不正行為を抑制しつつ閉塞位置にあるシャッターのロック解除を容易に行わせて解錠時の操作性を向上させることができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、操作ノブは、認証開始スイッチをオフさせるオフ位置、当該認証開始スイッチをオンさせる第2位置、及び施錠手段によるロックが解除されたシャッターを開放位置まで移動させる第3位置の間で操作可能とされたので、第1位置から第2位置までの操作によって閉塞位置にあるシャッターのロック解除を行わせ、それに続いて第3位置までの操作によりシャッターを開放位置とすることができ、解錠動作及び開放位置までの移動動作をよりスムーズ且つ容易に行わせることができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、操作ノブは、イグニッションキーの把持部と係合可能とされ、当該イグニッションキーの把持部を操作ノブに係合させつつ移動させることにより第1位置、第2位置及び第3位置の間で操作可能とされたので、シャッターの解錠動作及び開放位置までの移動動作と並行して受信手段による受信及び認証手段による認証を行わせることができ、操作性をより向上させることができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、受信手段は、操作ノブの近傍に配設されたので、操作ノブの操作時において、受信手段による送信手段からの認証コードの受信をより確実に行わせることができる。
【0018】
請求項5の発明によれば、施錠手段は、通電によりプランジャを移動可能なソレノイドから成るとともに、当該プランジャにて閉塞位置にあるシャッターをロックし得るので、当該シャッターの施錠をより確実に行わせることができるとともに、シリンダ錠の保護装置全体を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るシリンダ錠の保護装置を示す外観斜視図
【図2】同シリンダ錠の保護装置を示す平面図及び正面図
【図3】同シリンダ錠の保護装置における内部構成を示す平面図
【図4】同シリンダ錠の保護装置を示す裏面図
【図5】図4におけるV−V線断面図
【図6】同シリンダ錠の保護装置におけるイグニッションキーを示す平面図及び正面図
【図7】同シリンダ錠の保護装置におけるイグニッションキーの把持部を操作ノブに係合させた状態を示す模式図
【図8】同シリンダ錠の保護装置における解錠手段及びその周辺構成要素を示すブロック図
【図9】同シリンダ錠の保護装置における内部構造を示す平面図(シャッターが開放位置から閉塞位置に至る途中)
【図10】同シリンダ錠の保護装置における内部構造を示す平面図(シャッターが開放位置から閉塞位置に至る途中)
【図11】同シリンダ錠の保護装置における内部構造を示す平面図(シャッターが閉塞位置にある状態)
【図12】同シリンダ錠の保護装置における内部構造を示す平面図(操作子による操作にてシャッターが閉塞位置とされる状態)
【図13】同シリンダ錠の保護装置における内部構造を示す平面図(認証開始状態)
【図14】同シリンダ錠の保護装置における内部構造を示す平面図(シャッターの開放動作における操作過程)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るシリンダ錠の保護装置は、二輪車が具備するシリンダ錠のキー孔上方に設けられ、当該キー孔を外側から開閉可能とすることによりシリンダ錠を保護し得るもので、図1〜図8で示すように、ハウジング1と、シャッター3と、施錠手段としてのソレノイド9(図5参照)と、解錠手段5(図8参照)と、付勢手段としての捩りバネ4と、係止手段としての係合凸部6aと、連動部2b及び左右スライダ6を有して成る解除手段と、操作子10と、認証開始スイッチ11と、操作ノブ12とから主に構成されている。
【0021】
ハウジング1は、ロータ2の上方に設けられ、後述するトランスポンダ(送信手段)を除く各種構成要素を内部に収容するとともに、シリンダ錠を構成するシリンダボディ(不図示)の上端部を収容し得るようになっている。かかるシリンダボディ内には、複数のタンブラを具備したロータ2が配設されるとともに、当該ロータ2には、キー孔2aが形成されてイグニッションキーIKを挿抜(抜き差し)し得るよう構成されている。
【0022】
また、ロータ2は、キー孔2aにイグニッションキーIKを挿入した状態にて回動操作可能とされており、二輪車が具備するエンジンを始動させるオン位置、当該エンジンを停止させるオフ位置、及び車両が具備するハンドルバーをロックするロック位置の間を回動可能とされている。尚、ロータ2がオフ位置にあるとき、キー孔2aに挿入したイグニッションキーIKを押圧して押し込み、その状態で図中左側へ回動させることにより、ロック位置までの回動操作が可能とされている。
【0023】
このロック位置にロータ2が移動すると、シリンダボディ内のロックバー(不図示)が突出するよう構成されており、当該ロックバーがハンドルバーの回動軸に形成されたロック孔(不図示)内に挿入して係止することにより、当該ハンドルバーに対するロックがなされるようになっている。また、図中符号Sは、ロータ2の回転操作に伴う節度を付与するための節度付与バネを示しており、当該節度付与バネSの先端部がロータ2に形成された凹部に入り込んで構成されている。
【0024】
一方、イグニッションキーIKは、図6に示すように、樹脂等の成形部品から成る把持部IKaと、キー山やキー溝が形成されたキー部IKbとを有して構成されており、把持部IKaには、送信手段としてのトランスポンダ14が埋設されている。また、把持部IKaの一部(キー部IKbとは略反対側の部位)には、図7に示すように、操作ノブ12の凸状の摘み部12aと係合し得る凹形状Pを有した係合部IKcが形成されている。即ち、凹形状Pを操作ノブ12の摘み部12aに嵌合させることにより、係合部IKcを操作ノブ12に係合させることができるのである。
【0025】
シャッター3は、ハウジング1内で閉塞位置と開放位置との間で移動(回動)可能とされ、閉塞位置でキー孔2aを塞ぐとともに開放位置でキー孔2aを開放し得るものである。具体的には、シャッター3の基端3bがハウジング1に形成されたボス部1aに嵌合され、該ボス部1aを中心に回動可能とされている。尚、シャッター3は、開放位置では図3で示す位置とされ、キー孔2aを開放するとともに、閉塞位置では図11で示す位置とされ、キー孔2aを覆って塞ぐようになっている。
【0026】
かかるシャッター3には、係合凸部6aと係合して当該シャッター3を開放位置で係止し得る係合部3aが形成されている。かかる係合凸部6aは、付勢手段としての捩りバネ4で付勢されたシャッター3を開放位置で係止する係止手段を構成しており、左右スライダ6に一体的に突出形成されて成る。更に、シャッター3の基端側には、ソレノイド9のプランジャ9aと当接して当該シャッター3をロックし得る被ロック部3cが一体的に形成されるととともに、操作ノブ12に向かって延設された被係合部3dが一体的に形成されている。
【0027】
付勢手段としての捩りバネ4は、一端がシャッター3に係止されるとともに他端がハウジング1に係止されることにより、当該シャッター3を常時閉塞位置に付勢するためのものである。尚、当該捩りバネ4に代えて、シャッター3を常時閉塞位置へ付勢する他の付勢手段(板バネや弾性体など)としてもよい。
【0028】
施錠手段としてのソレノイド9は、図5に示すように、通電によりプランジャ9aを移動可能なものから成り、当該プランジャ9aにて閉塞位置にあるシャッター3をロックし得るよう構成されている。即ち、シャッター3が閉塞位置にない状態では、プランジャ9aは当該シャッター3の裏面に押圧されてスプリング9bの付勢力に抗して没入状態とされており、シャッター3が閉塞位置に至ると、当該プランジャ9aはスプリング9bの付勢力にて突出状態とされ、被ロック部3cと当接して開放位置への動作を規制してシャッター3をロックし得るようになっている。
【0029】
左右スライダ6は、図3に示すように、ハウジング1に形成された凹部内に収容されて、同図中左右方向に摺動自在とされたもので、スプリング7により同図中右側に常時付勢されている。また、左右スライダ6には、同図中上下方向に摺動自在とされた上下スライダ6bが形成されており、当該上下スライダ6bは、スプリング8により同図中下方に常時付勢されており、先端側が左右スライダ6の側面から突出状態とされている。
【0030】
連動部2bは、ロータ2から一体的に延設されて当該ロータ2と共に回動可能とされた部位から成るものであり、キー孔2aにイグニッションキーIKを挿入しつつ押圧し、そのままロック位置へ回動させる過程において、図9に示すように、上下スライダ6bの先端と当接し押圧し得るよう構成されている。即ち、ロータ2がロック位置に至ると連動部2bが上下スライダ6bを押圧し、それにより左右スライダ6全体をスプリング7の付勢力に抗して同図中左側へ移動させ得るよう構成されているのである。尚、かかる連動部2b及び左右スライダ6により、係止手段による係止を解く解除手段を構成している。
【0031】
これに伴い、係合凸部6aが同図中左側へ移動して係合部3aから離間し、シャッター3の係止が解かれることとなる。係止が解かれたシャッター3は、ロータ2がロック位置に至る過程において、図9、10に示すように、閉塞位置に向かって移動し、先端がキー孔2aに挿通されたイグニッションキーIKのキー部IKbと当接することとなる。そして、イグニッションキーIKをキー孔2aから抜き取ると、図11に示すように、捩りバネ4の付勢力によりシャッター3が閉塞位置に至り、キー孔2aを覆って塞ぐとともに、ソレノイド9のプランジャ9aが突出状態となって当該シャッター3がロックされることとなる。尚、連動部2bからの押圧力が付与されなくなった左右スライダ6は、スプリング7の付勢力により初期状態まで戻ることとなる。
【0032】
操作子10は、ロータ2がオフ位置にあるとき、操作により作動部としての左右スライダ6を動作させて係止手段係としての係合凸部6aによるシャッター3の係止を解くことが可能とされたものである。具体的には、操作子10をスプリング(操作子10を常時初期位置に付勢する付勢手段)の付勢力に抗して図中左側へ移動させて操作すると、図12に示すように、当該操作子10の先端部が左右スライダ6を同方向へ移動させるので、これにより係合凸部6aが係合部3aから離間して係合が解かれ、同図に示すように、シャッター3が閉塞位置に移動するのである。これにより、ロータ2の位置に関わらず操作子10を操作することにより任意のタイミングでシャッター3を閉塞位置とすることができる。
【0033】
尚、本実施形態においては、ロータ2がオン位置にあるとき、操作子10の操作による係合凸部6a(係止手段)の係止の解除操作がなされてもシャッター3を係止して閉塞位置に至るのを規制する規制手段を具備している。この規制手段は、ロータ2に一体的に形成された突起部2cから成り、図14、15に示すように、当該ロータ2がオン位置にあるとき、シャッター3と当接することにより、係合凸部6aによる係合が解かれた際も当該シャッター3が開放位置で係止されるようになっている。これにより、ロータ2がオン位置にあるときに操作子10を誤って操作してもシャッター3が開放位置から閉塞位置に向かって移動してイグニッションキーIKと干渉してしまうのを防止することができる。
【0034】
更に、本実施形態においては、ソレノイド9のプランジャ9a(施錠手段)によるロックを解除してシャッター3を閉塞位置から開放位置まで移動可能な状態とすべく、解錠手段5は、図8に示すように、送信手段としてのトランスポンダ14と、受信手段としてのアンテナ15と、認証手段16とを有している。トランスポンダ14は、既述の如く、イグニッションキーIKの把持部IKaに埋設されていることから、運転者が携帯可能とされるとともに、車両固有の認証コードを送信可能とされている。より詳しくは、イグニッションキーIKの把持部IKaに内蔵したトランスポンダ14は、アンテナ15から送信される無線信号に基づいて動作し、その無線信号に対して回答となる信号(認証コード及び車両固有のIDコード)を送信するものである。
【0035】
然るに、かかるトランスポンダ14には、アンテナ15側から送られる無線信号を受信し及び当該トランスポンダ14側で生成した情報を送信するためのアンテナ、受信した無線信号を復調するための高周波回路、トランスポンダ14の制御を行う認証コード生成IC、イグニッションキーIK固有(即ち、車両固有)の情報を格納すべく不揮発性記憶手段から成るEEPROM及びコンデンサ等(何れも不図示)が配設されており、アンテナ15側からの電波にて励磁されて電力供給がなされるよう構成されている。即ち、乾電池やバッテリ等の電源を具備していないのである。
【0036】
アンテナ15は、図4に示すように、ハウジング1に形成された制御ユニットY内の基板18上に形成されたチップ状の素子から成るものであり、トランスポンダ14(送信手段)が近接されることにより当該トランスポンダ14からの認証コードを非接触にて受信可能なものである。かかるアンテナ15は、操作ノブ12の近傍に配設されており、本実施形態の如くチップ状の素子から成るものの他、コイル状のアンテナから成るものであってもよい。
【0037】
然るに、本実施形態においては、上述したように、アンテナ15側からの電波にて励磁されてトランスポンダ14の電力供給がなされるので、アンテナ15とトランスポンダ14とを極めて近い位置まで近接させた状態にてアンテナ15が認証コードを受信し得るようになっている。アンテナ15は、認証手段16と電気的に接続されており、アンテナ15で受信した認証コード(IDコード)を認証手段16に送信し得るよう構成されている。
【0038】
認証手段16は、アンテナ15(受信手段)にて受信した認証コードが正規のものであるか否かを認証するためのものであり、制御ユニットY内の基板18に搭載されたマイコン等から成る。而して、認証手段16と施錠手段としてのソレノイド9とは、電気的に接続されており、当該認証手段16により正規の認証コードが受信されたと認証された場合に限り、ソレノイド9に通電してプランジャ9aを没入状態とさせることによりシャッター3に対するロックを解除し、閉塞位置にあるシャッター3を開放位置まで移動可能な状態とするようになっている。
【0039】
尚、認証手段16による正規の認証コードの認証がないと、プランジャ9aの突出状態(シャッター3のロック状態)が維持されてロックは解除されない。また、認証手段16は、車両(二輪車)のエンジンを制御するためのECU17と電気的に接続されており、認証手段16により正規の認証コードが受信されたと認証された場合に限り、エンジン始動が許可されるようになっている。
【0040】
ここで、本実施形態においては、認証手段16による認証を開始させる認証開始スイッチ11と、該認証開始スイッチ11をオン、オフさせる操作ノブ12とがハウジング1に配設されている。認証開始スイッチ11は、マイクロスイッチ等の汎用スイッチから成るもので、認証手段16と電気的に接続されているとともに、操作ノブ12の右端から延設された延設部12bにて押圧された状態でオフ、当該操作ノブ12に対する操作によって当該延設部12bが離間した状態でオンするよう構成されている。
【0041】
操作ノブ12は、認証開始スイッチ11をオン、オフさせるためのもので、認証開始スイッチ11をオフさせる第1位置(図3の状態)、当該認証開始スイッチ11をオンさせる第2位置(図13の状態)、及び施錠手段5(ソレノイド9のプランジャ9a)によるロックが解除されたシャッター3を開放位置まで移動させる第3位置(図14の状態)の間で操作可能とされている。
【0042】
より具体的には、操作ノブ12は、図中左右方向に摺動自在とされつつスプリング13にて図中右側に常時付勢されてハウジング1に組み付けられており、凸形状から成る摘み部12aと、右側に延設された延設部12bと、シャッター3側に突起した係合部12cとを有している。摘み部12aは、運転者が摘んで操作ノブ12を操作するためのもので、当該操作ノブ12の略中央に形成されている。
【0043】
延設部12bは、既述の如く、操作ノブ12が第1位置にあるとき認証開始スイッチ11と当接してオフとし、当該操作ノブ12が第2位置乃至第3位置にあるとき認証開始スイッチ11から離間してオンとさせるもので、認証開始スイッチ11がオンしたことを条件として認証手段16による認証を開始させるようになっている。即ち、操作ノブ12を第1位置から第2位置まで摺動操作することにより、トランスポンダ14からアンテナ15にて受信した認証コードが正規のものであるか否かの認証が開始されるのである。
【0044】
係合部12cは、図13に示すように、操作ノブ12が第2位置にあるとき閉塞位置にあるシャッター3の被係合部3dと係合するとともに、当該操作ノブ12を更に左側へ摺動操作して第3位置に至らせる過程で被係合部3dを同方向に押圧し、図14に示すように、シャッター3全体を開放位置まで移動させるためのものである。これにより、認証開始スイッチ11をオフさせるオフ位置、当該認証開始スイッチ11をオンさせる第2位置、及び施錠手段5(ソレノイド9のプランジャ9a)によるロックが解除されたシャッター3を開放位置まで移動させる第3位置の間で操作可能とされたので、第1位置から第2位置までの操作によって閉塞位置にあるシャッター3のロック解除を行わせ、それに続いて第3位置までの操作によりシャッター3を開放位置とすることができ、解錠動作及び開放位置までの移動動作をよりスムーズ且つ容易に行わせることができる。
【0045】
更に、本実施形態においては、操作ノブ12は、イグニッションキーIKの把持部IKa(具体的には把持部IKaに形成された係合部IKcの凹形状P)と係合可能とされ、当該イグニッションキーIKの把持部IKaを操作ノブ12に係合させつつ(図7参照)左側へ移動させることにより第1位置、第2位置及び第3位置の順で操作可能とされている。尚、把持部IKaを操作ノブ12から離間させて係合を解けば、スプリング13による付勢力にて自然と第1位置まで戻るようになっている。
【0046】
而して、第1位置から第2位置まで操作した状態で把持部IKa内のトランスポンダ14とアンテナ15との間で認証コードの送受信を行わせ、施錠手段5(ソレノイド9のプランジャ9a)によるロックが解除された後、第3位置まで操作すれば、シャッター3を開放位置まで移動させることができる。従って、シャッター3の解錠動作及び開放位置までの移動動作と並行してアンテナ15(受信手段)による受信及び認証手段16による認証を行わせることができ、操作性をより向上させることができる。特に、本実施形態においては、アンテナ15(受信手段)は、操作ノブ12の近傍に配設されたので、操作ノブ12の操作時において、アンテナ15(受信手段)によるトランスポンダ14(送信手段)からの認証コードの受信をより確実に行わせることができる。
【0047】
シャッター3が開放位置に至ると、キー孔2aが外部に臨むこととなる。而して、キー孔2aにイグニッションキーIKのキー部IKbを挿入しつつ回動操作すれば、ロータ2と共に連動部2bを初期位置まで移動させることができるとともに、当該ロータ2をロック位置からオフ位置(更にはオン位置)まで回動させることができる。尚、ロータ2をロック位置からオフ位置に回動する過程においては、シャッター3の一部が係合凸部6aを左側へ押圧して左右スライダ6を同方向へ移動させ、オフ位置に至ると、係合部3aが係合凸部6aと係合するようになっている。
【0048】
上記実施形態によれば、捩りバネ4(付勢手段)の付勢力でシャッター3の閉塞動作を行わせて操作性を向上させ得るとともに、認証手段16により正規の認証コードが受信されたと認証された場合に限り、施錠手段5(ソレノイド9のプランジャ9a)によるロックを解除し、閉塞位置にあるシャッター3を開放位置まで移動可能な状態とするので、不正行為を抑制しつつ閉塞位置にあるシャッター3のロック解除を容易に行わせて解錠時の操作性を向上させることができる。
【0049】
また、本実施形態に係る施錠手段5は、通電によりプランジャ9aを移動可能なソレノイド9から成るとともに、当該プランジャ9aにて閉塞位置にあるシャッター3をロックし得るので、当該シャッター3の施錠をより確実に行わせることができるとともに、他の汎用的なアクチュエータを用いたものに比べて、シリンダ錠の保護装置全体を小型化することができる。
【0050】
尚、本実施形態においては、図9、10に示すように、イグニッションキーIKのキー部IKbにおける側面(キー山やキー溝が形成されていない面)に対して、シャッター3が当接するよう設定されているため、当該シャッター3のキー部IKbに対する当接によって傷等が生じてしまうのも抑制することができる。更に、シャッター3におけるキー部IKbとの当接部及びその近傍を耐摩耗処理等施すよう構成してもよい。
【0051】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、直線状に摺動操作可能な操作ノブ12に代えて、揺動操作等他の操作形態とされるものとしてもよい。また、本実施形態においては、シャッター3が閉塞位置と開放位置との間を回動するものとされているが、当該閉塞位置と開放位置との間を直線状にスライド(摺動)するものであってもよい。尚、二輪車のシリンダ錠の保護装置の他、四輪車やバギー、雪上車等他の車両におけるシリンダ錠の保護装置に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
付勢手段の付勢力でシャッターの閉塞動作を行わせて操作性を向上させ得るとともに、認証手段により正規の認証コードが受信されたと認証された場合に限り、施錠手段によるロックを解除し、閉塞位置にあるシャッターを開放位置まで移動可能な状態とするシリンダ錠の保護装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 ハウジング
2 ロータ
2a キー孔
2b 連動部(解除手段)
3 シャッター
3a 係合部
4 捩りバネ(付勢手段)
5 解錠手段
6 左右スライダ(解除手段)
6a 係合凸部(係止手段)
7 スプリング
8 スプリング
9 ソレノイド(施錠手段)
9a プランジャ
10 操作子
11 認証開始スイッチ
12 操作ノブ
13 スプリング
14 トランスポンダ(送信手段)
15 アンテナ(受信手段)
16 認証手段
17 ECU
IK イグニッションキー
IKa 把持部
【技術分野】
【0001】
本発明は、二輪車などが具備するシリンダ錠の破壊等を防止し得るシリンダ錠の保護装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二輪車のシリンダ錠は、通常、イグニッションキーを挿抜可能なキー孔が形成されたロータを具備しており、従来、第三者によるはさみやドライバ等の当該キー孔への差し込みでシリンダ錠がいたずらされて破壊されるのを防止するために、例えば特許文献1で開示されたようなシリンダ錠の保護装置が提案されている。かかる保護装置は、キー孔を閉状態とする閉塞位置から当該キー孔を開状態とする開放位置まで摺動可能なシャッターと、該シャッターを開放位置と閉塞位置との間で摺動自在に保持するハウジングと、シャッターを閉塞位置に保持することによりキー孔を閉塞して施錠するマグネット錠と、磁石の磁気によりマグネット錠を解錠するマグネットキーを具備していた。
【0003】
上記シリンダ錠の保護装置によれば、ハウジングから突出したシャッターの一部を当該ハウジング内に押し込む操作を行うことによりキー孔を閉塞しつつ、その位置でマグネット錠にて施錠することができる。即ち、シャッターを閉塞位置とするための操作部が形成されており、運転者が当該操作部を操作することによってシャッターを閉塞位置とし、キー孔を覆ってシリンダ錠を保護し得る構成とされているのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−44132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のシリンダ錠の保護装置においては、運転者が操作部を操作することによりシャッターを閉塞位置とするため、その操作が面倒であり、シャッターを閉塞位置にしない状態(保護装置を機能させない状態)で駐車することが頻繁に生じてしまうという問題があった。即ち、シャッターを閉塞位置とするには、イグニッションキーを抜く動作と、その後の操作部の操作との2つの動作が必要となるため、操作部の操作が面倒であると感じるユーザが多く、保護装置を機能させない状態で駐車してしまう不具合が生じてしまうのである。
【0006】
かかる不具合を回避すべく、本出願人は、シャッターを常時閉塞位置に付勢する付勢手段と、該付勢手段で付勢されたシャッターを開放位置で係止する係止手段と、係止手段による係止を解く解除手段とを具備させ、解除手段にて係止手段による係止を解くことによりシャッターを付勢手段の付勢力で閉塞位置まで移動させてロックさせることを検討するに至った。これにより、シャッターの閉塞動作を付勢手段の付勢力で行わせることが可能となり、操作性をより向上させることが期待された。
【0007】
一方、シャッターが閉塞位置にあるときに係合してロックするための磁石を有したマグネット錠を具備させ、当該マグネット錠にて閉塞位置にあるシャッターをロックさせることも検討するに至った。しかし、マグネット錠によってロックさせる構成のものでは、閉塞位置のシャッターをロック解除して開放位置まで操作するのが面倒であるという不具合が生じる。また、マグネット錠は、そのキー種類に限界があり、不正行為を更に抑制するための手段が求められることとなった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、付勢手段の付勢力でシャッターの閉塞動作を行わせて操作性を向上させ得るとともに、不正行為を抑制しつつ閉塞位置にあるシャッターのロック解除を容易に行わせて解錠時の操作性を向上させることができるシリンダ錠の保護装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、イグニッションキーを挿抜するためのキー孔が形成されたロータの上方に設けられたハウジングと、該ハウジング内で閉塞位置と開放位置との間で移動可能とされ、閉塞位置で前記キー孔を塞ぐとともに開放位置で当該キー孔を開放するシャッターと、閉塞位置にある前記シャッターをロックする施錠手段と、該施錠手段によるロックを解除し、前記シャッターを閉塞位置から開放位置まで移動可能な状態とし得る解錠手段と、前記シャッターを常時閉塞位置に付勢する付勢手段と、該付勢手段で付勢された前記シャッターを開放位置で係止する係止手段と、該係止手段による係止を解く解除手段とを具備し、前記ロータからイグニッションキーを抜き取ると前記付勢手段による付勢力にて前記シャッターが閉塞位置まで移動してシリンダ錠を保護し得るシリンダ錠の保護装置であって、前記解錠手段は、前記イグニッションキーの把持部に形成され、車両固有の認証コードを送信可能な送信手段と、該送信手段が近接されることにより当該送信手段からの認証コードを非接触にて受信可能な受信手段と、該受信手段にて受信した認証コードが正規のものであるか否かを認証する認証手段とを具備し、当該認証手段により正規の認証コードが受信されたと認証された場合に限り、前記施錠手段によるロックを解除し、閉塞位置にある前記シャッターを開放位置まで移動可能な状態とすることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のシリンダ錠の保護装置において、前記認証手段による認証を開始させる認証開始スイッチと、該認証開始スイッチをオン、オフさせる操作ノブとを具備するとともに、前記操作ノブは、前記認証開始スイッチをオフさせるオフ位置、当該認証開始スイッチをオンさせる第2位置、及び前記施錠手段によるロックが解除された前記シャッターを開放位置まで移動させる第3位置の間で操作可能とされたことを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のシリンダ錠の保護装置において、前記操作ノブは、前記イグニッションキーの把持部と係合可能とされ、当該イグニッションキーの把持部を前記操作ノブに係合させつつ移動させることにより前記第1位置、第2位置及び第3位置の間で操作可能とされたことを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項3記載のシリンダ錠の保護装置において、前記受信手段は、前記操作ノブの近傍に配設されたことを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れか1つに記載のシリンダ錠の保護装置において、前記施錠手段は、通電によりプランジャを移動可能なソレノイドから成るとともに、当該プランジャにて閉塞位置にある前記シャッターをロックし得ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、付勢手段の付勢力でシャッターの閉塞動作を行わせて操作性を向上させ得るとともに、認証手段により正規の認証コードが受信されたと認証された場合に限り、施錠手段によるロックを解除し、閉塞位置にあるシャッターを開放位置まで移動可能な状態とするので、不正行為を抑制しつつ閉塞位置にあるシャッターのロック解除を容易に行わせて解錠時の操作性を向上させることができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、操作ノブは、認証開始スイッチをオフさせるオフ位置、当該認証開始スイッチをオンさせる第2位置、及び施錠手段によるロックが解除されたシャッターを開放位置まで移動させる第3位置の間で操作可能とされたので、第1位置から第2位置までの操作によって閉塞位置にあるシャッターのロック解除を行わせ、それに続いて第3位置までの操作によりシャッターを開放位置とすることができ、解錠動作及び開放位置までの移動動作をよりスムーズ且つ容易に行わせることができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、操作ノブは、イグニッションキーの把持部と係合可能とされ、当該イグニッションキーの把持部を操作ノブに係合させつつ移動させることにより第1位置、第2位置及び第3位置の間で操作可能とされたので、シャッターの解錠動作及び開放位置までの移動動作と並行して受信手段による受信及び認証手段による認証を行わせることができ、操作性をより向上させることができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、受信手段は、操作ノブの近傍に配設されたので、操作ノブの操作時において、受信手段による送信手段からの認証コードの受信をより確実に行わせることができる。
【0018】
請求項5の発明によれば、施錠手段は、通電によりプランジャを移動可能なソレノイドから成るとともに、当該プランジャにて閉塞位置にあるシャッターをロックし得るので、当該シャッターの施錠をより確実に行わせることができるとともに、シリンダ錠の保護装置全体を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るシリンダ錠の保護装置を示す外観斜視図
【図2】同シリンダ錠の保護装置を示す平面図及び正面図
【図3】同シリンダ錠の保護装置における内部構成を示す平面図
【図4】同シリンダ錠の保護装置を示す裏面図
【図5】図4におけるV−V線断面図
【図6】同シリンダ錠の保護装置におけるイグニッションキーを示す平面図及び正面図
【図7】同シリンダ錠の保護装置におけるイグニッションキーの把持部を操作ノブに係合させた状態を示す模式図
【図8】同シリンダ錠の保護装置における解錠手段及びその周辺構成要素を示すブロック図
【図9】同シリンダ錠の保護装置における内部構造を示す平面図(シャッターが開放位置から閉塞位置に至る途中)
【図10】同シリンダ錠の保護装置における内部構造を示す平面図(シャッターが開放位置から閉塞位置に至る途中)
【図11】同シリンダ錠の保護装置における内部構造を示す平面図(シャッターが閉塞位置にある状態)
【図12】同シリンダ錠の保護装置における内部構造を示す平面図(操作子による操作にてシャッターが閉塞位置とされる状態)
【図13】同シリンダ錠の保護装置における内部構造を示す平面図(認証開始状態)
【図14】同シリンダ錠の保護装置における内部構造を示す平面図(シャッターの開放動作における操作過程)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るシリンダ錠の保護装置は、二輪車が具備するシリンダ錠のキー孔上方に設けられ、当該キー孔を外側から開閉可能とすることによりシリンダ錠を保護し得るもので、図1〜図8で示すように、ハウジング1と、シャッター3と、施錠手段としてのソレノイド9(図5参照)と、解錠手段5(図8参照)と、付勢手段としての捩りバネ4と、係止手段としての係合凸部6aと、連動部2b及び左右スライダ6を有して成る解除手段と、操作子10と、認証開始スイッチ11と、操作ノブ12とから主に構成されている。
【0021】
ハウジング1は、ロータ2の上方に設けられ、後述するトランスポンダ(送信手段)を除く各種構成要素を内部に収容するとともに、シリンダ錠を構成するシリンダボディ(不図示)の上端部を収容し得るようになっている。かかるシリンダボディ内には、複数のタンブラを具備したロータ2が配設されるとともに、当該ロータ2には、キー孔2aが形成されてイグニッションキーIKを挿抜(抜き差し)し得るよう構成されている。
【0022】
また、ロータ2は、キー孔2aにイグニッションキーIKを挿入した状態にて回動操作可能とされており、二輪車が具備するエンジンを始動させるオン位置、当該エンジンを停止させるオフ位置、及び車両が具備するハンドルバーをロックするロック位置の間を回動可能とされている。尚、ロータ2がオフ位置にあるとき、キー孔2aに挿入したイグニッションキーIKを押圧して押し込み、その状態で図中左側へ回動させることにより、ロック位置までの回動操作が可能とされている。
【0023】
このロック位置にロータ2が移動すると、シリンダボディ内のロックバー(不図示)が突出するよう構成されており、当該ロックバーがハンドルバーの回動軸に形成されたロック孔(不図示)内に挿入して係止することにより、当該ハンドルバーに対するロックがなされるようになっている。また、図中符号Sは、ロータ2の回転操作に伴う節度を付与するための節度付与バネを示しており、当該節度付与バネSの先端部がロータ2に形成された凹部に入り込んで構成されている。
【0024】
一方、イグニッションキーIKは、図6に示すように、樹脂等の成形部品から成る把持部IKaと、キー山やキー溝が形成されたキー部IKbとを有して構成されており、把持部IKaには、送信手段としてのトランスポンダ14が埋設されている。また、把持部IKaの一部(キー部IKbとは略反対側の部位)には、図7に示すように、操作ノブ12の凸状の摘み部12aと係合し得る凹形状Pを有した係合部IKcが形成されている。即ち、凹形状Pを操作ノブ12の摘み部12aに嵌合させることにより、係合部IKcを操作ノブ12に係合させることができるのである。
【0025】
シャッター3は、ハウジング1内で閉塞位置と開放位置との間で移動(回動)可能とされ、閉塞位置でキー孔2aを塞ぐとともに開放位置でキー孔2aを開放し得るものである。具体的には、シャッター3の基端3bがハウジング1に形成されたボス部1aに嵌合され、該ボス部1aを中心に回動可能とされている。尚、シャッター3は、開放位置では図3で示す位置とされ、キー孔2aを開放するとともに、閉塞位置では図11で示す位置とされ、キー孔2aを覆って塞ぐようになっている。
【0026】
かかるシャッター3には、係合凸部6aと係合して当該シャッター3を開放位置で係止し得る係合部3aが形成されている。かかる係合凸部6aは、付勢手段としての捩りバネ4で付勢されたシャッター3を開放位置で係止する係止手段を構成しており、左右スライダ6に一体的に突出形成されて成る。更に、シャッター3の基端側には、ソレノイド9のプランジャ9aと当接して当該シャッター3をロックし得る被ロック部3cが一体的に形成されるととともに、操作ノブ12に向かって延設された被係合部3dが一体的に形成されている。
【0027】
付勢手段としての捩りバネ4は、一端がシャッター3に係止されるとともに他端がハウジング1に係止されることにより、当該シャッター3を常時閉塞位置に付勢するためのものである。尚、当該捩りバネ4に代えて、シャッター3を常時閉塞位置へ付勢する他の付勢手段(板バネや弾性体など)としてもよい。
【0028】
施錠手段としてのソレノイド9は、図5に示すように、通電によりプランジャ9aを移動可能なものから成り、当該プランジャ9aにて閉塞位置にあるシャッター3をロックし得るよう構成されている。即ち、シャッター3が閉塞位置にない状態では、プランジャ9aは当該シャッター3の裏面に押圧されてスプリング9bの付勢力に抗して没入状態とされており、シャッター3が閉塞位置に至ると、当該プランジャ9aはスプリング9bの付勢力にて突出状態とされ、被ロック部3cと当接して開放位置への動作を規制してシャッター3をロックし得るようになっている。
【0029】
左右スライダ6は、図3に示すように、ハウジング1に形成された凹部内に収容されて、同図中左右方向に摺動自在とされたもので、スプリング7により同図中右側に常時付勢されている。また、左右スライダ6には、同図中上下方向に摺動自在とされた上下スライダ6bが形成されており、当該上下スライダ6bは、スプリング8により同図中下方に常時付勢されており、先端側が左右スライダ6の側面から突出状態とされている。
【0030】
連動部2bは、ロータ2から一体的に延設されて当該ロータ2と共に回動可能とされた部位から成るものであり、キー孔2aにイグニッションキーIKを挿入しつつ押圧し、そのままロック位置へ回動させる過程において、図9に示すように、上下スライダ6bの先端と当接し押圧し得るよう構成されている。即ち、ロータ2がロック位置に至ると連動部2bが上下スライダ6bを押圧し、それにより左右スライダ6全体をスプリング7の付勢力に抗して同図中左側へ移動させ得るよう構成されているのである。尚、かかる連動部2b及び左右スライダ6により、係止手段による係止を解く解除手段を構成している。
【0031】
これに伴い、係合凸部6aが同図中左側へ移動して係合部3aから離間し、シャッター3の係止が解かれることとなる。係止が解かれたシャッター3は、ロータ2がロック位置に至る過程において、図9、10に示すように、閉塞位置に向かって移動し、先端がキー孔2aに挿通されたイグニッションキーIKのキー部IKbと当接することとなる。そして、イグニッションキーIKをキー孔2aから抜き取ると、図11に示すように、捩りバネ4の付勢力によりシャッター3が閉塞位置に至り、キー孔2aを覆って塞ぐとともに、ソレノイド9のプランジャ9aが突出状態となって当該シャッター3がロックされることとなる。尚、連動部2bからの押圧力が付与されなくなった左右スライダ6は、スプリング7の付勢力により初期状態まで戻ることとなる。
【0032】
操作子10は、ロータ2がオフ位置にあるとき、操作により作動部としての左右スライダ6を動作させて係止手段係としての係合凸部6aによるシャッター3の係止を解くことが可能とされたものである。具体的には、操作子10をスプリング(操作子10を常時初期位置に付勢する付勢手段)の付勢力に抗して図中左側へ移動させて操作すると、図12に示すように、当該操作子10の先端部が左右スライダ6を同方向へ移動させるので、これにより係合凸部6aが係合部3aから離間して係合が解かれ、同図に示すように、シャッター3が閉塞位置に移動するのである。これにより、ロータ2の位置に関わらず操作子10を操作することにより任意のタイミングでシャッター3を閉塞位置とすることができる。
【0033】
尚、本実施形態においては、ロータ2がオン位置にあるとき、操作子10の操作による係合凸部6a(係止手段)の係止の解除操作がなされてもシャッター3を係止して閉塞位置に至るのを規制する規制手段を具備している。この規制手段は、ロータ2に一体的に形成された突起部2cから成り、図14、15に示すように、当該ロータ2がオン位置にあるとき、シャッター3と当接することにより、係合凸部6aによる係合が解かれた際も当該シャッター3が開放位置で係止されるようになっている。これにより、ロータ2がオン位置にあるときに操作子10を誤って操作してもシャッター3が開放位置から閉塞位置に向かって移動してイグニッションキーIKと干渉してしまうのを防止することができる。
【0034】
更に、本実施形態においては、ソレノイド9のプランジャ9a(施錠手段)によるロックを解除してシャッター3を閉塞位置から開放位置まで移動可能な状態とすべく、解錠手段5は、図8に示すように、送信手段としてのトランスポンダ14と、受信手段としてのアンテナ15と、認証手段16とを有している。トランスポンダ14は、既述の如く、イグニッションキーIKの把持部IKaに埋設されていることから、運転者が携帯可能とされるとともに、車両固有の認証コードを送信可能とされている。より詳しくは、イグニッションキーIKの把持部IKaに内蔵したトランスポンダ14は、アンテナ15から送信される無線信号に基づいて動作し、その無線信号に対して回答となる信号(認証コード及び車両固有のIDコード)を送信するものである。
【0035】
然るに、かかるトランスポンダ14には、アンテナ15側から送られる無線信号を受信し及び当該トランスポンダ14側で生成した情報を送信するためのアンテナ、受信した無線信号を復調するための高周波回路、トランスポンダ14の制御を行う認証コード生成IC、イグニッションキーIK固有(即ち、車両固有)の情報を格納すべく不揮発性記憶手段から成るEEPROM及びコンデンサ等(何れも不図示)が配設されており、アンテナ15側からの電波にて励磁されて電力供給がなされるよう構成されている。即ち、乾電池やバッテリ等の電源を具備していないのである。
【0036】
アンテナ15は、図4に示すように、ハウジング1に形成された制御ユニットY内の基板18上に形成されたチップ状の素子から成るものであり、トランスポンダ14(送信手段)が近接されることにより当該トランスポンダ14からの認証コードを非接触にて受信可能なものである。かかるアンテナ15は、操作ノブ12の近傍に配設されており、本実施形態の如くチップ状の素子から成るものの他、コイル状のアンテナから成るものであってもよい。
【0037】
然るに、本実施形態においては、上述したように、アンテナ15側からの電波にて励磁されてトランスポンダ14の電力供給がなされるので、アンテナ15とトランスポンダ14とを極めて近い位置まで近接させた状態にてアンテナ15が認証コードを受信し得るようになっている。アンテナ15は、認証手段16と電気的に接続されており、アンテナ15で受信した認証コード(IDコード)を認証手段16に送信し得るよう構成されている。
【0038】
認証手段16は、アンテナ15(受信手段)にて受信した認証コードが正規のものであるか否かを認証するためのものであり、制御ユニットY内の基板18に搭載されたマイコン等から成る。而して、認証手段16と施錠手段としてのソレノイド9とは、電気的に接続されており、当該認証手段16により正規の認証コードが受信されたと認証された場合に限り、ソレノイド9に通電してプランジャ9aを没入状態とさせることによりシャッター3に対するロックを解除し、閉塞位置にあるシャッター3を開放位置まで移動可能な状態とするようになっている。
【0039】
尚、認証手段16による正規の認証コードの認証がないと、プランジャ9aの突出状態(シャッター3のロック状態)が維持されてロックは解除されない。また、認証手段16は、車両(二輪車)のエンジンを制御するためのECU17と電気的に接続されており、認証手段16により正規の認証コードが受信されたと認証された場合に限り、エンジン始動が許可されるようになっている。
【0040】
ここで、本実施形態においては、認証手段16による認証を開始させる認証開始スイッチ11と、該認証開始スイッチ11をオン、オフさせる操作ノブ12とがハウジング1に配設されている。認証開始スイッチ11は、マイクロスイッチ等の汎用スイッチから成るもので、認証手段16と電気的に接続されているとともに、操作ノブ12の右端から延設された延設部12bにて押圧された状態でオフ、当該操作ノブ12に対する操作によって当該延設部12bが離間した状態でオンするよう構成されている。
【0041】
操作ノブ12は、認証開始スイッチ11をオン、オフさせるためのもので、認証開始スイッチ11をオフさせる第1位置(図3の状態)、当該認証開始スイッチ11をオンさせる第2位置(図13の状態)、及び施錠手段5(ソレノイド9のプランジャ9a)によるロックが解除されたシャッター3を開放位置まで移動させる第3位置(図14の状態)の間で操作可能とされている。
【0042】
より具体的には、操作ノブ12は、図中左右方向に摺動自在とされつつスプリング13にて図中右側に常時付勢されてハウジング1に組み付けられており、凸形状から成る摘み部12aと、右側に延設された延設部12bと、シャッター3側に突起した係合部12cとを有している。摘み部12aは、運転者が摘んで操作ノブ12を操作するためのもので、当該操作ノブ12の略中央に形成されている。
【0043】
延設部12bは、既述の如く、操作ノブ12が第1位置にあるとき認証開始スイッチ11と当接してオフとし、当該操作ノブ12が第2位置乃至第3位置にあるとき認証開始スイッチ11から離間してオンとさせるもので、認証開始スイッチ11がオンしたことを条件として認証手段16による認証を開始させるようになっている。即ち、操作ノブ12を第1位置から第2位置まで摺動操作することにより、トランスポンダ14からアンテナ15にて受信した認証コードが正規のものであるか否かの認証が開始されるのである。
【0044】
係合部12cは、図13に示すように、操作ノブ12が第2位置にあるとき閉塞位置にあるシャッター3の被係合部3dと係合するとともに、当該操作ノブ12を更に左側へ摺動操作して第3位置に至らせる過程で被係合部3dを同方向に押圧し、図14に示すように、シャッター3全体を開放位置まで移動させるためのものである。これにより、認証開始スイッチ11をオフさせるオフ位置、当該認証開始スイッチ11をオンさせる第2位置、及び施錠手段5(ソレノイド9のプランジャ9a)によるロックが解除されたシャッター3を開放位置まで移動させる第3位置の間で操作可能とされたので、第1位置から第2位置までの操作によって閉塞位置にあるシャッター3のロック解除を行わせ、それに続いて第3位置までの操作によりシャッター3を開放位置とすることができ、解錠動作及び開放位置までの移動動作をよりスムーズ且つ容易に行わせることができる。
【0045】
更に、本実施形態においては、操作ノブ12は、イグニッションキーIKの把持部IKa(具体的には把持部IKaに形成された係合部IKcの凹形状P)と係合可能とされ、当該イグニッションキーIKの把持部IKaを操作ノブ12に係合させつつ(図7参照)左側へ移動させることにより第1位置、第2位置及び第3位置の順で操作可能とされている。尚、把持部IKaを操作ノブ12から離間させて係合を解けば、スプリング13による付勢力にて自然と第1位置まで戻るようになっている。
【0046】
而して、第1位置から第2位置まで操作した状態で把持部IKa内のトランスポンダ14とアンテナ15との間で認証コードの送受信を行わせ、施錠手段5(ソレノイド9のプランジャ9a)によるロックが解除された後、第3位置まで操作すれば、シャッター3を開放位置まで移動させることができる。従って、シャッター3の解錠動作及び開放位置までの移動動作と並行してアンテナ15(受信手段)による受信及び認証手段16による認証を行わせることができ、操作性をより向上させることができる。特に、本実施形態においては、アンテナ15(受信手段)は、操作ノブ12の近傍に配設されたので、操作ノブ12の操作時において、アンテナ15(受信手段)によるトランスポンダ14(送信手段)からの認証コードの受信をより確実に行わせることができる。
【0047】
シャッター3が開放位置に至ると、キー孔2aが外部に臨むこととなる。而して、キー孔2aにイグニッションキーIKのキー部IKbを挿入しつつ回動操作すれば、ロータ2と共に連動部2bを初期位置まで移動させることができるとともに、当該ロータ2をロック位置からオフ位置(更にはオン位置)まで回動させることができる。尚、ロータ2をロック位置からオフ位置に回動する過程においては、シャッター3の一部が係合凸部6aを左側へ押圧して左右スライダ6を同方向へ移動させ、オフ位置に至ると、係合部3aが係合凸部6aと係合するようになっている。
【0048】
上記実施形態によれば、捩りバネ4(付勢手段)の付勢力でシャッター3の閉塞動作を行わせて操作性を向上させ得るとともに、認証手段16により正規の認証コードが受信されたと認証された場合に限り、施錠手段5(ソレノイド9のプランジャ9a)によるロックを解除し、閉塞位置にあるシャッター3を開放位置まで移動可能な状態とするので、不正行為を抑制しつつ閉塞位置にあるシャッター3のロック解除を容易に行わせて解錠時の操作性を向上させることができる。
【0049】
また、本実施形態に係る施錠手段5は、通電によりプランジャ9aを移動可能なソレノイド9から成るとともに、当該プランジャ9aにて閉塞位置にあるシャッター3をロックし得るので、当該シャッター3の施錠をより確実に行わせることができるとともに、他の汎用的なアクチュエータを用いたものに比べて、シリンダ錠の保護装置全体を小型化することができる。
【0050】
尚、本実施形態においては、図9、10に示すように、イグニッションキーIKのキー部IKbにおける側面(キー山やキー溝が形成されていない面)に対して、シャッター3が当接するよう設定されているため、当該シャッター3のキー部IKbに対する当接によって傷等が生じてしまうのも抑制することができる。更に、シャッター3におけるキー部IKbとの当接部及びその近傍を耐摩耗処理等施すよう構成してもよい。
【0051】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、直線状に摺動操作可能な操作ノブ12に代えて、揺動操作等他の操作形態とされるものとしてもよい。また、本実施形態においては、シャッター3が閉塞位置と開放位置との間を回動するものとされているが、当該閉塞位置と開放位置との間を直線状にスライド(摺動)するものであってもよい。尚、二輪車のシリンダ錠の保護装置の他、四輪車やバギー、雪上車等他の車両におけるシリンダ錠の保護装置に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
付勢手段の付勢力でシャッターの閉塞動作を行わせて操作性を向上させ得るとともに、認証手段により正規の認証コードが受信されたと認証された場合に限り、施錠手段によるロックを解除し、閉塞位置にあるシャッターを開放位置まで移動可能な状態とするシリンダ錠の保護装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 ハウジング
2 ロータ
2a キー孔
2b 連動部(解除手段)
3 シャッター
3a 係合部
4 捩りバネ(付勢手段)
5 解錠手段
6 左右スライダ(解除手段)
6a 係合凸部(係止手段)
7 スプリング
8 スプリング
9 ソレノイド(施錠手段)
9a プランジャ
10 操作子
11 認証開始スイッチ
12 操作ノブ
13 スプリング
14 トランスポンダ(送信手段)
15 アンテナ(受信手段)
16 認証手段
17 ECU
IK イグニッションキー
IKa 把持部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イグニッションキーを挿抜するためのキー孔が形成されたロータの上方に設けられたハウジングと、
該ハウジング内で閉塞位置と開放位置との間で移動可能とされ、閉塞位置で前記キー孔を塞ぐとともに開放位置で当該キー孔を開放するシャッターと、
閉塞位置にある前記シャッターをロックする施錠手段と、
該施錠手段によるロックを解除し、前記シャッターを閉塞位置から開放位置まで移動可能な状態とし得る解錠手段と、
前記シャッターを常時閉塞位置に付勢する付勢手段と、
該付勢手段で付勢された前記シャッターを開放位置で係止する係止手段と、
該係止手段による係止を解く解除手段と、
を具備し、前記ロータからイグニッションキーを抜き取ると前記付勢手段による付勢力にて前記シャッターが閉塞位置まで移動してシリンダ錠を保護し得るシリンダ錠の保護装置であって、
前記解錠手段は、
前記イグニッションキーの把持部に形成され、車両固有の認証コードを送信可能な送信手段と、
該送信手段が近接されることにより当該送信手段からの認証コードを非接触にて受信可能な受信手段と、
該受信手段にて受信した認証コードが正規のものであるか否かを認証する認証手段と、
を具備し、当該認証手段により正規の認証コードが受信されたと認証された場合に限り、前記施錠手段によるロックを解除し、閉塞位置にある前記シャッターを開放位置まで移動可能な状態とすることを特徴とするシリンダ錠の保護装置。
【請求項2】
前記認証手段による認証を開始させる認証開始スイッチと、
該認証開始スイッチをオン、オフさせる操作ノブと、
を具備するとともに、前記操作ノブは、前記認証開始スイッチをオフさせるオフ位置、当該認証開始スイッチをオンさせる第2位置、及び前記施錠手段によるロックが解除された前記シャッターを開放位置まで移動させる第3位置の間で操作可能とされたことを特徴とする請求項1記載のシリンダ錠の保護装置。
【請求項3】
前記操作ノブは、前記イグニッションキーの把持部と係合可能とされ、当該イグニッションキーの把持部を前記操作ノブに係合させつつ移動させることにより前記第1位置、第2位置及び第3位置の間で操作可能とされたことを特徴とする請求項2記載のシリンダ錠の保護装置。
【請求項4】
前記受信手段は、前記操作ノブの近傍に配設されたことを特徴とする請求項3記載のシリンダ錠の保護装置。
【請求項5】
前記施錠手段は、通電によりプランジャを移動可能なソレノイドから成るとともに、当該プランジャにて閉塞位置にある前記シャッターをロックし得ることを特徴とする請求項1〜4の何れか1つに記載のシリンダ錠の保護装置。
【請求項1】
イグニッションキーを挿抜するためのキー孔が形成されたロータの上方に設けられたハウジングと、
該ハウジング内で閉塞位置と開放位置との間で移動可能とされ、閉塞位置で前記キー孔を塞ぐとともに開放位置で当該キー孔を開放するシャッターと、
閉塞位置にある前記シャッターをロックする施錠手段と、
該施錠手段によるロックを解除し、前記シャッターを閉塞位置から開放位置まで移動可能な状態とし得る解錠手段と、
前記シャッターを常時閉塞位置に付勢する付勢手段と、
該付勢手段で付勢された前記シャッターを開放位置で係止する係止手段と、
該係止手段による係止を解く解除手段と、
を具備し、前記ロータからイグニッションキーを抜き取ると前記付勢手段による付勢力にて前記シャッターが閉塞位置まで移動してシリンダ錠を保護し得るシリンダ錠の保護装置であって、
前記解錠手段は、
前記イグニッションキーの把持部に形成され、車両固有の認証コードを送信可能な送信手段と、
該送信手段が近接されることにより当該送信手段からの認証コードを非接触にて受信可能な受信手段と、
該受信手段にて受信した認証コードが正規のものであるか否かを認証する認証手段と、
を具備し、当該認証手段により正規の認証コードが受信されたと認証された場合に限り、前記施錠手段によるロックを解除し、閉塞位置にある前記シャッターを開放位置まで移動可能な状態とすることを特徴とするシリンダ錠の保護装置。
【請求項2】
前記認証手段による認証を開始させる認証開始スイッチと、
該認証開始スイッチをオン、オフさせる操作ノブと、
を具備するとともに、前記操作ノブは、前記認証開始スイッチをオフさせるオフ位置、当該認証開始スイッチをオンさせる第2位置、及び前記施錠手段によるロックが解除された前記シャッターを開放位置まで移動させる第3位置の間で操作可能とされたことを特徴とする請求項1記載のシリンダ錠の保護装置。
【請求項3】
前記操作ノブは、前記イグニッションキーの把持部と係合可能とされ、当該イグニッションキーの把持部を前記操作ノブに係合させつつ移動させることにより前記第1位置、第2位置及び第3位置の間で操作可能とされたことを特徴とする請求項2記載のシリンダ錠の保護装置。
【請求項4】
前記受信手段は、前記操作ノブの近傍に配設されたことを特徴とする請求項3記載のシリンダ錠の保護装置。
【請求項5】
前記施錠手段は、通電によりプランジャを移動可能なソレノイドから成るとともに、当該プランジャにて閉塞位置にある前記シャッターをロックし得ることを特徴とする請求項1〜4の何れか1つに記載のシリンダ錠の保護装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−127385(P2011−127385A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288949(P2009−288949)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000213954)朝日電装株式会社 (184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000213954)朝日電装株式会社 (184)
【Fターム(参考)】
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