シートクッション成形型およびシートクッションの製造方法
【課題】後加工を不要としたシートクッション成形型およびシートクッションの製造方法を提供する。
【解決手段】シートクッション成形型Mは、下型60と、この下型60と型閉め可能に配設されて該下型60との間にクッション本体10に合わせたキャビティ64を形成する上型70とを備える。またシートクッション成形型Mは、フレーム20を、上型70のキャビティ64を画成する成形面72から離して該キャビティ64に支持するセット部を備える。更にシートクッション成形型Mは、上型70に下方に開口するよう成形面72から凹設され、セット部74にセットしたフレーム20から上方に突出したフック30を受け入れる凹部80を備えると共に、凹部80の開口周囲を囲う規制手段90を備える。前記規制手段90は、上型70の成形面72から突出して凹部80の開口周囲を囲う流入規制壁92から構成される。
【解決手段】シートクッション成形型Mは、下型60と、この下型60と型閉め可能に配設されて該下型60との間にクッション本体10に合わせたキャビティ64を形成する上型70とを備える。またシートクッション成形型Mは、フレーム20を、上型70のキャビティ64を画成する成形面72から離して該キャビティ64に支持するセット部を備える。更にシートクッション成形型Mは、上型70に下方に開口するよう成形面72から凹設され、セット部74にセットしたフレーム20から上方に突出したフック30を受け入れる凹部80を備えると共に、凹部80の開口周囲を囲う規制手段90を備える。前記規制手段90は、上型70の成形面72から突出して凹部80の開口周囲を囲う流入規制壁92から構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレームがクッション本体に埋設されると共に、前記フレームに設けられたフックがクッション本体から外側へ突出するシートクッションを製造するシートクッション成形型と、前記シートクッションを製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図10は、自動車の乗員室に設置されるシートを構成するシートクッションSCを、下面側(底面側)から見た概略斜視図であり、図11は、図10のZ部拡大斜視図である。このシートクッションSCは、液状の発泡原料U(図13参照)を発泡硬化して成形したクッション本体10と、クッション本体10に埋設されたフレーム20と、フレーム20に固定されてクッション本体10の下面から外側へ突出するフック30とを備える。前記フレーム20は、クッション本体10の剛性向上や型崩れ等を防止するものとして金属ワイヤー等の線材を屈曲して形成され、クッション本体10の下面外郭に沿って延在する外枠部22と、外枠部22間に架設される複数の連結線材24とから構成される。また前記フック30は、図11に示すように、シートクッションSCを車体に取付けるためのものとして金属製の線材を屈曲して形成され、略「U」字形に屈曲した係止部32と、係止部32の脚部から屈曲した取付部34,34とからなる。そして前記フック30は、両取付部34,34をフレーム20の外枠部22における枠線材22A,22Aに溶接等により接合することで、該フレーム20に固定されている。
【0003】
図12は、前記シートクッションSCを製造するシートクッション成形型M1を概略的に示したものである。このシートクッション成形型M1は、下型40および該下型40と型閉め可能に配設された上型50とからなり、下型40は図示省略した設置台等に固定され、上型50が下型40に対してヒンジ接合されて上方から型閉め可能となっている。下型40には、上方へ開口した凹状の成形面42が形成され、上型50には、下型40に閉成した際に下方へ開口した成形面52が形成されている。従って、下型40に対して上型50を型閉めすることで、両型40,50の各成形面42,52により、クッション本体10を成形するキャビティ44が内部に形成される。そして、前記上型50の成形面52には、前記フック30を受け入れる凹部56(図13参照)と、前記フレーム20をセットするためのセット部(図示せず)とが形成されている。従って、下型40から上型50を開放したもとで、上型50の成形面52にフレーム20をセットし(図12)、下型40の成形面42に所定量の前記液状の発泡原料Uを注入した後に該上型50を下型40に型閉めすることで、フレーム20が埋設されると共にフック30が外側に突出した図10のシートクッションSCが製造される。このようなシートクッション成形型およびシートクッションの製造方法は、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−188075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記上型50に設けた凹部56は、図13に示すように、上型50を下型40に型閉めしたクッション本体10の成形状態において、該上型50の成形面52に下方に開口するように凹設されている。また、凹部56の開口周囲には、成形面52と該凹部56とを隔離する突部や壁等が全く形成されていない。このような型構造では、キャビティ44内で発泡中の発泡原料Uが成形面52まで上昇すると、凹部56の真下(該凹部56の正面)に位置する発泡原料Uが、該凹部56内へ膨出するようになる。これに伴って、凹部56の開口周囲に位置する発泡原料Uが凹部56の正面方向へ移動するようになり、該凹部56内への発泡原料Uの膨出が一段と助長されて、遂には該凹部56内に溜まった空気やガスがキャビティ44へ押し出される現象が発現する。このため、図14に示すように、凹部56内へ発泡原料Uの一部が流れ込んだ状態で該クッション本体10が成形され、製造されたシートクッションSCは、フック30がクッション本体10の一部で被覆された状態となる。従って、クッション本体10の成形後に、該クッション本体10のフック30を被覆した部分をカッター等で除去して該フックを露出する後加工が必要となり、作業工数が増えてシートクッションSCの製造効率が低下する問題を内在していた。また、凹部56から押し出された空気やガスがキャビティ44から型外へ排出されなかった場合には、発泡中の発泡材料U内に該空気やガスが留まった部位が、成形されたクッション本体10内で空洞として形成されるおそれもある。
【0006】
なお、前記特許文献1には、縦溝が凹設された上型に第1吊りワイヤおよびリングを装着したもとで、該上型と下型とを型閉めしたもとで車両用シートを成形する成形型および該車両用シートを製造する方法が開示されている。しかし特許文献1では、成形型の型面に表皮材およびシート(表側シートおよび裏側シート)をセットして、これら表皮材およびシートの間で発泡原料を発泡させてパッドを成形するようになっている。すなわち上型の縦溝は、シートにより覆蓋されてキャビティ内へ開口していないので、発泡中の発泡原料が該縦溝内へ流れ込むことが規制される。従って、凹部56がキャビティ44に開口した状態でクッション本体10を成形する前述の形態とは異なっている。
【0007】
そこで本発明は、前述した課題を解決するため、クッション本体の成形後の後加工を不要としたシートクッション成形型およびシートクッションの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、
液状の発泡原料を発泡硬化して形成されるクッション本体と、前記クッション本体に埋設されたフレームと、前記フレームに設けられてクッション本体の外側へ突出するフックとを備えたシートクッションを成形するシートクッション成形型において、
下型と、
前記下型と型閉め可能に配設され、該下型との間に前記クッション本体に合わせたキャビティを形成する上型と、
前記フレームを、前記上型のキャビティを画成する成形面から離して該キャビティに支持するセット部と、
前記上型に下方に開口するよう前記成形面から凹設され、前記セット部にセットしたフレームから上方に突出した前記フックを受け入れる凹部と、
前記凹部の開口周囲を囲う規制手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
従って、請求項1に係る発明によれば、キャビティ内で発泡中の発泡原料が凹部側へ移動して該凹部へ膨出することを規制手段で規制するので、成形されたクッション本体の一部がフックを被覆した状態で硬化することを防止し得る。従って、フックを被覆した部分を除去して該フックを露出させる後加工を不要として、シートクッションの製造効率向上に寄与し得る。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記規制手段は、前記上型の成形面から突出して前記凹部の開口周囲を囲う流入規制壁から構成されることを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、凹部の開口周囲が流入規制壁で囲まれているので、発泡中の発泡原料が該凹部へ膨出するのを好適に規制し得る。また規制手段が、上型に突設された流入規制壁から構成されているので、凹部への発泡原料の膨出を規制する別部材を必要とせず、シートクッション成形型の設備費やシートクッションの製造コストが嵩まない。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記規制手段は、前記凹部の開口周囲に部分的に沿うように前記上型の成形面から突設された流入規制壁と、前記凹部の開口周囲における前記流入規制壁の非形成位置に延在する前記フレームとで構成されることを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、凹部の開口周囲が流入規制壁およびフレームで囲まれているので、発泡中の発泡原料が該凹部へ膨出するのを規制し得る。また規制手段が、上型に突設された流入規制壁およびシートクッションを構成するフレームとから構成されているので、凹部への発泡原料の膨出を規制する別部材を必要とせず、シートクッション成形型の設備費やシートクッションの製造コストが嵩まない。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記凹部は、上端が閉塞した袋小路状に形成されていることを要旨とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、凹部内に閉じ込められた空気やガスが型外へ排出されずに該凹部内に保持されるので、凹部内への発泡原料の膨出を好適に規制し得る。
【0013】
請求項5に記載の発明は、液状の発泡原料を発泡硬化して形成されるクッション本体と、前記クッション本体に埋設されたフレームと、前記フレームに設けられてクッション本体の外側へ突出するフックとを備えたシートクッションを、下型および該下型と型閉め可能な上型からなるシートクッション成形型により製造する方法において、
前記上型と下型とを型開きして、前記フックが設けられたフレームを、上型の成形面から凹ませて設けた凹部へ該フックを突入させて該成形面にセットし、
前記下型の成形面に前記発泡原料を注入した後に前記上型を該下型へ型閉めし、
前記凹部の開口周囲を規制手段で囲ったもとで、前記発泡原料を発泡硬化して前記キャビティ内で前記クッション本体を成形することを特徴とする。
【0014】
従って、請求項5に係る発明によれば、キャビティ内で発泡中の発泡原料が凹部内に膨出するのを規制手段により規制したもとでクッション本体を成形するので、該クッション本体の一部がフックを被覆した状態で硬化するのを回避し得る。従って、クッション本体成形後に、フックを被覆した部分を除去して該フックを露出する後加工が不要となり、シートクッションの製造効率の向上を図り得る。また、発泡原料の無駄がなくなるので、製造コストの低減も期待できる。更に、凹部内の空気やガスがキャビティへ押し出されないので、成形されたクッション本体内に空洞が形成されることを防止し得る。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るシートクッション成形型によれば、フレームに設けられたフックが、成形されたクッション本体の一部で被覆されるのを防止し得る。
別の発明に係るシートクッションの製造方法によれば、成形されたクッション本体の一部でフックが被覆されないので、該フックを被覆した部分を除去する後加工が不要となり、シートクッションの製造効率を向上させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例のシートクッション成形型を、下型から開放した上型にフレームを装着する状態で示す斜視図である。
【図2】上型の成形面に凹設した凹部の開口周囲を囲う流入規制壁と、フレームに設けたフックとを示す部分斜視図である。
【図3】(a)は、図2のIIIa−IIIa線断面図であり、(b)は、図2のIIIb−IIIb線断面図である。
【図4】下型に上型を型閉めして形成されたキャビティ内で発泡原料が発泡している状態を示す説明断面図であって、(a)は、図2のIIIa−IIIa線で破断して示し、(b)は、図2のIIIb−IIIb線で破断して示している。
【図5】キャビティ内でクッション本体の成形が完了した状態を示す説明断面図であって、(a)は、図2のIIIa−IIIa線で破断して示し、(b)は、図2のIIIb−IIIb線で破断して示している。
【図6】流入規制壁およびフレームから構成された変更例に係る規制手段を示す部分斜視図である。
【図7】(a)は、図6のVIIa−VIIa線断面図であり、(b)は、図6のVIIb−VIIb線断面図である。
【図8】キャビティ内でクッション本体の成形が完了した状態を示す説明断面図であって、(a)は、図6のVIIa−VIIa線で破断して示し、(b)は、図6のVIIb−VIIb線で破断して示している。
【図9】別の変更例に係る規制手段を示す平面図である。
【図10】クッション本体にフレームが埋設されると共にフックが外側へ突出したシートクッションの概略斜視図である。
【図11】図10のZ部を拡大して示す斜視図である。
【図12】従来のシートクッション成形型を、下型から開放した上型にフレームを装着する状態で示す斜視図である。
【図13】図12に示すシートクッション成形型において、上型の成形面に凹設した凹部およびその近傍部分を破断して示す断面図であって、フレームに設けたフックが突入した該凹部へ発泡中の発泡原料が膨出することを示している。
【図14】キャビティ内で成形されたクッション本体の一部が、フックが突入した凹部で硬化して該フックを被覆した状態を示す説明断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明に係るシートクッション成形型およびシートクッションの製造方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。本願発明は、種々の形状、サイズのシートクッションを対象とするが、実施例では図10に示したシートクッションSCを製造する成形型および製造方法を例示して説明する。
【実施例】
【0018】
図1は、実施例のシートクッション成形型Mを、上型70を下型60から開放した型開き状態で示す概略斜視図である。実施例のシートクッション成形型Mは、下型60および該下型60に型閉め可能に配設された上型70を備え、下型60は図示省略した設置台等に固定され、上型70が下型60に対してヒンジ接合されて上方から型閉め可能となっている。下型60には、上方へ開口した凹状の成形面62が形成され、上型70には、該下型60に閉成した際に下方へ開口した成形面72が形成されている。従って、下型60に対して上型70を型閉めすることで、両型60,70の各成形面62,72により、クッション本体10を成形するキャビティ64が内部に形成される。そして、前記上型70の成形面72には、前記フレーム20をセットするためのセット部74と、前記フック30を受け入れる凹部80とが設けられている。
【0019】
セット部74は、フレーム20の外枠部22を適宜間隔毎に支持する複数の支持突部76から構成されている。各支持突部76は、上型70に一体的に形成されたもので、各支持突部76の頂部には、フレーム20の外枠部22が係合する係合溝78が形成されている。従ってフレーム20は、外枠部22を各支持突部76の係合溝78に係合することで、上型70の成形面72から離れた状態で該上型70にセット保持され、キャビティ64内で成形されるクッション本体10内に埋設され得る。なお係合溝78は、頂面への開口幅が外枠部22の外径より僅かに狭く形成されており、該係合溝78に外枠部22を係合させて上型70を下型60に型閉めした際に、フレーム20がセット部74から脱落することなくキャビティ64内に支持される。但し、成形完了したクッション本体10の上型70からの脱型時には、該クッション本体10を上型70から離間する方向へ引張ることで、外枠部22が各支持突部76の係合溝78から無理なく脱離が可能となっている。
【0020】
凹部80は、図2および図3に示すように、略「U」字形に成形された前記フック30が、隙間をもって遊嵌的に突入可能な形状、サイズで、型閉め状態における上型70の成形面72から下方に開口するように凹設されている。実施例の凹部80は、成形面72に矩形状に開口すると共に、この開口形状と同一形状で成形面72から所要深さまで陥凹しており、有底の所謂袋小路状を呈している。そして、凹部80を形成する上端および各壁部には、該凹部80内に閉じ込められた空気やガス等の気体が通過可能な隙間や通気孔等は一切形成されていない。
【0021】
そして、実施例のシートクッション成形型Mでは、図2および図3に示すように、上型70の成形面72における前記凹部80の開口周囲に、該成形面72からキャビティ64内に向けて下型60側に突出して、該凹部80の開口周囲を囲う規制手段90が設けられている。実施例の規制手段90は、上型70を下型60に型閉めした状態で、上型70の成形面72から垂直下方へ突出する略「口」字形の流入規制壁92からなり、凹部80の開口周囲を全周に亘って囲っている。すなわち流入規制壁92は、上型70の長手方向で対向する第1規制壁92Aおよび第2規制壁92Bと、両規制壁92A,92Bの対向方向と直交する方向(上型70の短手方向)で対向して該規制壁92A,92Bの端部間に連設される第3規制壁92Cおよび第4規制壁92Dとからなる。従って、上型70の成形面72と凹部80とは、流入規制壁92で隔離されている。これにより、図4に示すように、キャビティ64内で発泡中の発泡原料Uが上型70の成形面72に到達した後に凹部80側へ移動することが、前記流入規制壁92で規制される。
【0022】
前記流入規制壁92の成形面72からの突出高さHは、セット部74にセットしたフレーム20の外枠部22と干渉しないことを前提として、5〜30mmの範囲内で設定される。流入規制壁92の突出高さHが5mm未満の場合には、発泡中の発泡原料Uが凹部80側へ移動するのを適切に規制し得なくなる。また、流入規制壁92の突出高さHを30mm以上とした場合には、クッション本体10の成形完了後にシートクッションSCを上型70から脱型する際に、フック30が該流入規制壁92の端部に引掛かってシートクッションSCを円滑に脱型し得なくなるおそれがある。そして、フック30が流入規制壁92に引掛かった状態でシートクッションSCを無理矢理に脱型しようとした場合には、クッション本体10にひび割れが生じたり、流入規制壁92が破損する等の不都合が発生するおそれがある。従って、流入規制壁92の突出高さHを5〜30mmとすることで、発泡中の発泡原料Uの一部が凹部80内へ流れ込むのを防止し得ると共に、成形されたシートクッションSCの上型70からの脱型に支障を来たさない。
【0023】
(製造方法)
次に、前記シートクッション成形型Mを使用して、前記シートクッションSCを製造する方法について、図1〜図5を引用して説明する。
【0024】
先ず、図1に示すように、上型70を下型60から開放して、フック30が設けられたフレーム20を、上型70に設けたセット部74における各支持突部76の係合溝78に係合させる。この際に、フレーム20の外枠部22に設けられた各フック30を、上型70の成形面72に形成された凹部80へ突入させる(図2および図3)。
【0025】
上型70に対するフレーム20のセットが完了したら、下型60の成形面62に所定量の液状の発泡原料Uを注入し、該発泡原料Uの注入が完了したら上型70と下型60とを型閉めする。そして、上型70の成形面72および下型60の成形面62により形成されたキャビティ64内で、前記発泡原料Uを発泡・反応させる。
【0026】
発泡中の前記発泡原料Uは、キャビティ64内で膨張しながら上昇する。そして、発泡中の発泡原料Uは、図4(a),(b)に示すように、上型70の成形面72に到達する前に流入規制壁92の下端に接触する。従って、発泡中の発泡原料Uが流入規制壁92の下端全周に亘って接触すると、凹部80は下方から蓋をした密閉状態となり、該凹部80の内部に空気やガスが閉じ込められる。
【0027】
発泡中の発泡原料Uは、流入規制壁92の下端全周に接触した後にも膨張を続け、上型70の成形面72に接触するようになる(図5)。そして、上型70の成形面72に接触した発泡原料Uは、凹部80を囲う前記流入規制壁92により、該凹部80側への移動が規制された状態で徐々に硬化する。
【0028】
一方、前記発泡原料Uにおいて、流入規制壁92の内側領域内で凹部80の正面に位置する部分は、凹部80内に閉じ込められた前記空気やガスの存在により、該凹部80内への膨張量は僅かに留まる。すなわち、凹部80の開口周囲に突設した流入規制壁92により、該流入規制壁92の外側に位置する発泡原料Uが、凹部80の正面に位置する発泡原料Uを該凹部80内に向けて押さない。従って、発泡原料Uの流入規制壁92内側への膨出量は、図5(a),(b)に示すように、流入規制壁92の突出高さHと同等程度に留まる。従って、凹部80内に閉じ込められた空気やガスは、発泡原料Uに押されてキャビティ64へ押し出されることが防止される。
【0029】
従って、発泡原料Uが凹部80内へ膨出せず、該発泡原料Uが凹部80内で硬化することが防止される。これにより、キャビティ64内で発泡原料Uが硬化してクッション本体10の成形が完了した際には、フック30がクッション本体10の下面から外側へ突出して露出しており、クッション本体10の一部によりフック30が被覆されない。
【0030】
前述した実施例のシートクッション成形型によれば、次のような作用効果を奏する。
(1)キャビティ64内で発泡中の発泡原料Uの一部が凹部80へ膨出することを流入規制壁92で規制するので、該発泡原料Uの一部が該凹部80内で硬化することを防止し得る。従って、クッション本体10の一部がフック30を被覆した状態で成形されることを防止して、該クッション本体10のフック30を被覆した部分を除去する後加工を不要とすることを可能とする。特に、流入規制壁92が凹部80の開口周囲全周に亘って形成されているので、該凹部80に対する発泡原料Uの膨出を好適に規制し得る。
(2)流入規制壁92の突出高さHが5〜30mmの範囲に設定されているので、発泡中の発泡原料Uの一部が凹部80内へ膨出するのを防止し得ると共に、成形されたシートクッションSCを上型70から容易に脱型し得る。
(3)規制手段90をなす流入規制壁92が上型70に一体的に形成されたものであり、凹部80への発泡原料Uの膨出を規制する別途の部材が必要ないので、該規制手段90を設けることによるシートクッション成形型Mの設備費やシートクッションSCの製造コストが嵩まない。
【0031】
また、前述した実施例のシートクッションの製造方法によれば、次のような作用効果を奏する。
(1)キャビティ64内で発泡中の発泡原料Uが凹部80内へ膨出するのを流入規制壁92で規制したもとでクッション本体10を成形するので、クッション本体10の一部がフック30を被覆することを回避し得る。従って、クッション本体10のフック30を被覆した部分を除去する後加工を不要とし得るので、作業工数を減らし得ると共にシートクッションSCの製造効率の向上を図り得る。
(2)凹部56内に閉じ込められた空気やガスがキャビティ64へ押し出されないため、発泡中の発泡材料U内に該空気やガスが留まることで、成形されたクッション本体10内に空洞が形成されることを防止し得る。
(3)クッション本体10のフック30を被覆した部分が形成されないので、該クッション本体10を成形する発泡原料Uの無駄が発生しない。
【0032】
(変更例)
図6および図7は、変更例に係るシートクッションのシートクッション成形型Mにおける上型70の凹部80周辺を示した部分斜視図である。この変更例では、凹部80の開口周囲周囲に設けた規制手段90の形態を変更したものである。すなわち、変更例の規制手段90は、上型70の成形面72に突設されて凹部80の開口周囲を部分的に囲う流入規制壁94と、凹部80の開口周囲における流入規制壁94の非形成位置に延在する前記フレーム20とから構成したものである。流入規制壁94は、図6および図7に示すように、凹部80の矩形の開口周囲における4辺のうちの3辺に沿って延在する第1規制壁94A、第2規制壁94Bおよび第3規制壁94Cから平面略「コ」字形に突設されたものである。また、フレーム20の前記枠線材22Aが、矩形に開口周囲における残りの1辺、すなわち第1規制壁94Aおよび第2規制壁94Bの端部間に沿って延在している。従って、発泡中の発泡原料Uは、流入規制壁94により凹部80内へ流れ込むのを規制されると共に、枠線材22Aにより該凹部80内へ流れ込み難くなる。
【0033】
なお、前記枠線材22Aは、凹部80に対する成形中のクッション本体10の流入を完全に規制することはできない。このため前記流入規制壁94の形成長さは、凹部80の開口周囲全周における70%以上とするのが望ましい。すなわち、本願発明者が行なった実験によれば、流入規制壁94の比率を70%未満とすると(枠線材22Aの比率を30%より大きくすると)、凹部80に対する発泡原料Uの流れ込みを適切に規制できなくことがあり得る。換言すると、流入規制壁94の比率を70%以上とすれば、図8に示すように、凹部80に対する発泡中の発泡原料Uの流れ込みを抑えることが可能となり、フック30がクッション本体10の一部で被覆される不都合を回避し得る。
【0034】
前述したように、変更例の規制手段90では、流入規制壁94が上型70に一体的に形成されたものでり、フレーム20の枠線材22AがシートクッションSCを構成するものである。従って、変更例のシートクッション成形型Mにおいても、凹部80への発泡原料Uの膨出を規制する別途の部材が必要ないので、該規制手段90を設けることによるシートクッション成形型Mの設備費やシートクッションSCの製造コストが嵩むことがなく、前記実施例と同等の作用効果が得られる。
【0035】
図9は、前記変更例の別例を示した説明図である。この別例では、規制手段90を流入規制壁96およびフレーム20から構成することを前提として、該流入規制壁96の形態を変更したものである。すなわち流入規制壁96は、矩形状に開口する凹部80の開口周囲において、略「L」字形とをなす第1規制壁96Aおよび第2規制壁96Bからなり、両規制壁96A,96Bの端部間に2つの間隙98,98が形成されている。そして、フレーム20の枠線材22A,22Aが、両間隙98,98に沿って延在している。従って、この形態においても、第1規制壁96Aおよび第2規制壁96Bを、凹部80の開口周囲全周における70%以上の長さで延在するようにすることで、前記変更例と同等の作用効果を奏する。
【0036】
更に、前記凹部80および規制手段90は、前記実施例および変更例に示した形態に限定されない。
(1)凹部80は、上型70の成形面72に矩形状に開口するものに限らず、例えば円形状に開口するもの、楕円形状に開口するもの、三角形または五角形以上の多角形状に開口するものであってもよい。
(2)規制手段90は、凹部80の開口周囲を囲うものであれば、該凹部80の開口形状と異なる形状であってもよい。例えば、凹部80の開口形状が矩形状であっても、規制手段90は円形や楕円形に延在するようにしてもよい。
(3)実施例では、下型60に対して上型70が上方から開閉可能な形態のシートクッション成形型Mを例示したが、上型70に対して下型60が下方が開閉可能な形態であってもよい。
【符号の説明】
【0037】
10 クッション本体,20 フレーム,30 フック,60 下型,64 キャビティ
70 上型,72 成形面,74 セット部,80 凹部,90 規制手段,92 流入規制壁
94 流入規制壁,M シートクッション成形型,SC シートクッション,U 発泡原料
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレームがクッション本体に埋設されると共に、前記フレームに設けられたフックがクッション本体から外側へ突出するシートクッションを製造するシートクッション成形型と、前記シートクッションを製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図10は、自動車の乗員室に設置されるシートを構成するシートクッションSCを、下面側(底面側)から見た概略斜視図であり、図11は、図10のZ部拡大斜視図である。このシートクッションSCは、液状の発泡原料U(図13参照)を発泡硬化して成形したクッション本体10と、クッション本体10に埋設されたフレーム20と、フレーム20に固定されてクッション本体10の下面から外側へ突出するフック30とを備える。前記フレーム20は、クッション本体10の剛性向上や型崩れ等を防止するものとして金属ワイヤー等の線材を屈曲して形成され、クッション本体10の下面外郭に沿って延在する外枠部22と、外枠部22間に架設される複数の連結線材24とから構成される。また前記フック30は、図11に示すように、シートクッションSCを車体に取付けるためのものとして金属製の線材を屈曲して形成され、略「U」字形に屈曲した係止部32と、係止部32の脚部から屈曲した取付部34,34とからなる。そして前記フック30は、両取付部34,34をフレーム20の外枠部22における枠線材22A,22Aに溶接等により接合することで、該フレーム20に固定されている。
【0003】
図12は、前記シートクッションSCを製造するシートクッション成形型M1を概略的に示したものである。このシートクッション成形型M1は、下型40および該下型40と型閉め可能に配設された上型50とからなり、下型40は図示省略した設置台等に固定され、上型50が下型40に対してヒンジ接合されて上方から型閉め可能となっている。下型40には、上方へ開口した凹状の成形面42が形成され、上型50には、下型40に閉成した際に下方へ開口した成形面52が形成されている。従って、下型40に対して上型50を型閉めすることで、両型40,50の各成形面42,52により、クッション本体10を成形するキャビティ44が内部に形成される。そして、前記上型50の成形面52には、前記フック30を受け入れる凹部56(図13参照)と、前記フレーム20をセットするためのセット部(図示せず)とが形成されている。従って、下型40から上型50を開放したもとで、上型50の成形面52にフレーム20をセットし(図12)、下型40の成形面42に所定量の前記液状の発泡原料Uを注入した後に該上型50を下型40に型閉めすることで、フレーム20が埋設されると共にフック30が外側に突出した図10のシートクッションSCが製造される。このようなシートクッション成形型およびシートクッションの製造方法は、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−188075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記上型50に設けた凹部56は、図13に示すように、上型50を下型40に型閉めしたクッション本体10の成形状態において、該上型50の成形面52に下方に開口するように凹設されている。また、凹部56の開口周囲には、成形面52と該凹部56とを隔離する突部や壁等が全く形成されていない。このような型構造では、キャビティ44内で発泡中の発泡原料Uが成形面52まで上昇すると、凹部56の真下(該凹部56の正面)に位置する発泡原料Uが、該凹部56内へ膨出するようになる。これに伴って、凹部56の開口周囲に位置する発泡原料Uが凹部56の正面方向へ移動するようになり、該凹部56内への発泡原料Uの膨出が一段と助長されて、遂には該凹部56内に溜まった空気やガスがキャビティ44へ押し出される現象が発現する。このため、図14に示すように、凹部56内へ発泡原料Uの一部が流れ込んだ状態で該クッション本体10が成形され、製造されたシートクッションSCは、フック30がクッション本体10の一部で被覆された状態となる。従って、クッション本体10の成形後に、該クッション本体10のフック30を被覆した部分をカッター等で除去して該フックを露出する後加工が必要となり、作業工数が増えてシートクッションSCの製造効率が低下する問題を内在していた。また、凹部56から押し出された空気やガスがキャビティ44から型外へ排出されなかった場合には、発泡中の発泡材料U内に該空気やガスが留まった部位が、成形されたクッション本体10内で空洞として形成されるおそれもある。
【0006】
なお、前記特許文献1には、縦溝が凹設された上型に第1吊りワイヤおよびリングを装着したもとで、該上型と下型とを型閉めしたもとで車両用シートを成形する成形型および該車両用シートを製造する方法が開示されている。しかし特許文献1では、成形型の型面に表皮材およびシート(表側シートおよび裏側シート)をセットして、これら表皮材およびシートの間で発泡原料を発泡させてパッドを成形するようになっている。すなわち上型の縦溝は、シートにより覆蓋されてキャビティ内へ開口していないので、発泡中の発泡原料が該縦溝内へ流れ込むことが規制される。従って、凹部56がキャビティ44に開口した状態でクッション本体10を成形する前述の形態とは異なっている。
【0007】
そこで本発明は、前述した課題を解決するため、クッション本体の成形後の後加工を不要としたシートクッション成形型およびシートクッションの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、
液状の発泡原料を発泡硬化して形成されるクッション本体と、前記クッション本体に埋設されたフレームと、前記フレームに設けられてクッション本体の外側へ突出するフックとを備えたシートクッションを成形するシートクッション成形型において、
下型と、
前記下型と型閉め可能に配設され、該下型との間に前記クッション本体に合わせたキャビティを形成する上型と、
前記フレームを、前記上型のキャビティを画成する成形面から離して該キャビティに支持するセット部と、
前記上型に下方に開口するよう前記成形面から凹設され、前記セット部にセットしたフレームから上方に突出した前記フックを受け入れる凹部と、
前記凹部の開口周囲を囲う規制手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
従って、請求項1に係る発明によれば、キャビティ内で発泡中の発泡原料が凹部側へ移動して該凹部へ膨出することを規制手段で規制するので、成形されたクッション本体の一部がフックを被覆した状態で硬化することを防止し得る。従って、フックを被覆した部分を除去して該フックを露出させる後加工を不要として、シートクッションの製造効率向上に寄与し得る。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記規制手段は、前記上型の成形面から突出して前記凹部の開口周囲を囲う流入規制壁から構成されることを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、凹部の開口周囲が流入規制壁で囲まれているので、発泡中の発泡原料が該凹部へ膨出するのを好適に規制し得る。また規制手段が、上型に突設された流入規制壁から構成されているので、凹部への発泡原料の膨出を規制する別部材を必要とせず、シートクッション成形型の設備費やシートクッションの製造コストが嵩まない。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記規制手段は、前記凹部の開口周囲に部分的に沿うように前記上型の成形面から突設された流入規制壁と、前記凹部の開口周囲における前記流入規制壁の非形成位置に延在する前記フレームとで構成されることを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、凹部の開口周囲が流入規制壁およびフレームで囲まれているので、発泡中の発泡原料が該凹部へ膨出するのを規制し得る。また規制手段が、上型に突設された流入規制壁およびシートクッションを構成するフレームとから構成されているので、凹部への発泡原料の膨出を規制する別部材を必要とせず、シートクッション成形型の設備費やシートクッションの製造コストが嵩まない。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記凹部は、上端が閉塞した袋小路状に形成されていることを要旨とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、凹部内に閉じ込められた空気やガスが型外へ排出されずに該凹部内に保持されるので、凹部内への発泡原料の膨出を好適に規制し得る。
【0013】
請求項5に記載の発明は、液状の発泡原料を発泡硬化して形成されるクッション本体と、前記クッション本体に埋設されたフレームと、前記フレームに設けられてクッション本体の外側へ突出するフックとを備えたシートクッションを、下型および該下型と型閉め可能な上型からなるシートクッション成形型により製造する方法において、
前記上型と下型とを型開きして、前記フックが設けられたフレームを、上型の成形面から凹ませて設けた凹部へ該フックを突入させて該成形面にセットし、
前記下型の成形面に前記発泡原料を注入した後に前記上型を該下型へ型閉めし、
前記凹部の開口周囲を規制手段で囲ったもとで、前記発泡原料を発泡硬化して前記キャビティ内で前記クッション本体を成形することを特徴とする。
【0014】
従って、請求項5に係る発明によれば、キャビティ内で発泡中の発泡原料が凹部内に膨出するのを規制手段により規制したもとでクッション本体を成形するので、該クッション本体の一部がフックを被覆した状態で硬化するのを回避し得る。従って、クッション本体成形後に、フックを被覆した部分を除去して該フックを露出する後加工が不要となり、シートクッションの製造効率の向上を図り得る。また、発泡原料の無駄がなくなるので、製造コストの低減も期待できる。更に、凹部内の空気やガスがキャビティへ押し出されないので、成形されたクッション本体内に空洞が形成されることを防止し得る。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るシートクッション成形型によれば、フレームに設けられたフックが、成形されたクッション本体の一部で被覆されるのを防止し得る。
別の発明に係るシートクッションの製造方法によれば、成形されたクッション本体の一部でフックが被覆されないので、該フックを被覆した部分を除去する後加工が不要となり、シートクッションの製造効率を向上させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例のシートクッション成形型を、下型から開放した上型にフレームを装着する状態で示す斜視図である。
【図2】上型の成形面に凹設した凹部の開口周囲を囲う流入規制壁と、フレームに設けたフックとを示す部分斜視図である。
【図3】(a)は、図2のIIIa−IIIa線断面図であり、(b)は、図2のIIIb−IIIb線断面図である。
【図4】下型に上型を型閉めして形成されたキャビティ内で発泡原料が発泡している状態を示す説明断面図であって、(a)は、図2のIIIa−IIIa線で破断して示し、(b)は、図2のIIIb−IIIb線で破断して示している。
【図5】キャビティ内でクッション本体の成形が完了した状態を示す説明断面図であって、(a)は、図2のIIIa−IIIa線で破断して示し、(b)は、図2のIIIb−IIIb線で破断して示している。
【図6】流入規制壁およびフレームから構成された変更例に係る規制手段を示す部分斜視図である。
【図7】(a)は、図6のVIIa−VIIa線断面図であり、(b)は、図6のVIIb−VIIb線断面図である。
【図8】キャビティ内でクッション本体の成形が完了した状態を示す説明断面図であって、(a)は、図6のVIIa−VIIa線で破断して示し、(b)は、図6のVIIb−VIIb線で破断して示している。
【図9】別の変更例に係る規制手段を示す平面図である。
【図10】クッション本体にフレームが埋設されると共にフックが外側へ突出したシートクッションの概略斜視図である。
【図11】図10のZ部を拡大して示す斜視図である。
【図12】従来のシートクッション成形型を、下型から開放した上型にフレームを装着する状態で示す斜視図である。
【図13】図12に示すシートクッション成形型において、上型の成形面に凹設した凹部およびその近傍部分を破断して示す断面図であって、フレームに設けたフックが突入した該凹部へ発泡中の発泡原料が膨出することを示している。
【図14】キャビティ内で成形されたクッション本体の一部が、フックが突入した凹部で硬化して該フックを被覆した状態を示す説明断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明に係るシートクッション成形型およびシートクッションの製造方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。本願発明は、種々の形状、サイズのシートクッションを対象とするが、実施例では図10に示したシートクッションSCを製造する成形型および製造方法を例示して説明する。
【実施例】
【0018】
図1は、実施例のシートクッション成形型Mを、上型70を下型60から開放した型開き状態で示す概略斜視図である。実施例のシートクッション成形型Mは、下型60および該下型60に型閉め可能に配設された上型70を備え、下型60は図示省略した設置台等に固定され、上型70が下型60に対してヒンジ接合されて上方から型閉め可能となっている。下型60には、上方へ開口した凹状の成形面62が形成され、上型70には、該下型60に閉成した際に下方へ開口した成形面72が形成されている。従って、下型60に対して上型70を型閉めすることで、両型60,70の各成形面62,72により、クッション本体10を成形するキャビティ64が内部に形成される。そして、前記上型70の成形面72には、前記フレーム20をセットするためのセット部74と、前記フック30を受け入れる凹部80とが設けられている。
【0019】
セット部74は、フレーム20の外枠部22を適宜間隔毎に支持する複数の支持突部76から構成されている。各支持突部76は、上型70に一体的に形成されたもので、各支持突部76の頂部には、フレーム20の外枠部22が係合する係合溝78が形成されている。従ってフレーム20は、外枠部22を各支持突部76の係合溝78に係合することで、上型70の成形面72から離れた状態で該上型70にセット保持され、キャビティ64内で成形されるクッション本体10内に埋設され得る。なお係合溝78は、頂面への開口幅が外枠部22の外径より僅かに狭く形成されており、該係合溝78に外枠部22を係合させて上型70を下型60に型閉めした際に、フレーム20がセット部74から脱落することなくキャビティ64内に支持される。但し、成形完了したクッション本体10の上型70からの脱型時には、該クッション本体10を上型70から離間する方向へ引張ることで、外枠部22が各支持突部76の係合溝78から無理なく脱離が可能となっている。
【0020】
凹部80は、図2および図3に示すように、略「U」字形に成形された前記フック30が、隙間をもって遊嵌的に突入可能な形状、サイズで、型閉め状態における上型70の成形面72から下方に開口するように凹設されている。実施例の凹部80は、成形面72に矩形状に開口すると共に、この開口形状と同一形状で成形面72から所要深さまで陥凹しており、有底の所謂袋小路状を呈している。そして、凹部80を形成する上端および各壁部には、該凹部80内に閉じ込められた空気やガス等の気体が通過可能な隙間や通気孔等は一切形成されていない。
【0021】
そして、実施例のシートクッション成形型Mでは、図2および図3に示すように、上型70の成形面72における前記凹部80の開口周囲に、該成形面72からキャビティ64内に向けて下型60側に突出して、該凹部80の開口周囲を囲う規制手段90が設けられている。実施例の規制手段90は、上型70を下型60に型閉めした状態で、上型70の成形面72から垂直下方へ突出する略「口」字形の流入規制壁92からなり、凹部80の開口周囲を全周に亘って囲っている。すなわち流入規制壁92は、上型70の長手方向で対向する第1規制壁92Aおよび第2規制壁92Bと、両規制壁92A,92Bの対向方向と直交する方向(上型70の短手方向)で対向して該規制壁92A,92Bの端部間に連設される第3規制壁92Cおよび第4規制壁92Dとからなる。従って、上型70の成形面72と凹部80とは、流入規制壁92で隔離されている。これにより、図4に示すように、キャビティ64内で発泡中の発泡原料Uが上型70の成形面72に到達した後に凹部80側へ移動することが、前記流入規制壁92で規制される。
【0022】
前記流入規制壁92の成形面72からの突出高さHは、セット部74にセットしたフレーム20の外枠部22と干渉しないことを前提として、5〜30mmの範囲内で設定される。流入規制壁92の突出高さHが5mm未満の場合には、発泡中の発泡原料Uが凹部80側へ移動するのを適切に規制し得なくなる。また、流入規制壁92の突出高さHを30mm以上とした場合には、クッション本体10の成形完了後にシートクッションSCを上型70から脱型する際に、フック30が該流入規制壁92の端部に引掛かってシートクッションSCを円滑に脱型し得なくなるおそれがある。そして、フック30が流入規制壁92に引掛かった状態でシートクッションSCを無理矢理に脱型しようとした場合には、クッション本体10にひび割れが生じたり、流入規制壁92が破損する等の不都合が発生するおそれがある。従って、流入規制壁92の突出高さHを5〜30mmとすることで、発泡中の発泡原料Uの一部が凹部80内へ流れ込むのを防止し得ると共に、成形されたシートクッションSCの上型70からの脱型に支障を来たさない。
【0023】
(製造方法)
次に、前記シートクッション成形型Mを使用して、前記シートクッションSCを製造する方法について、図1〜図5を引用して説明する。
【0024】
先ず、図1に示すように、上型70を下型60から開放して、フック30が設けられたフレーム20を、上型70に設けたセット部74における各支持突部76の係合溝78に係合させる。この際に、フレーム20の外枠部22に設けられた各フック30を、上型70の成形面72に形成された凹部80へ突入させる(図2および図3)。
【0025】
上型70に対するフレーム20のセットが完了したら、下型60の成形面62に所定量の液状の発泡原料Uを注入し、該発泡原料Uの注入が完了したら上型70と下型60とを型閉めする。そして、上型70の成形面72および下型60の成形面62により形成されたキャビティ64内で、前記発泡原料Uを発泡・反応させる。
【0026】
発泡中の前記発泡原料Uは、キャビティ64内で膨張しながら上昇する。そして、発泡中の発泡原料Uは、図4(a),(b)に示すように、上型70の成形面72に到達する前に流入規制壁92の下端に接触する。従って、発泡中の発泡原料Uが流入規制壁92の下端全周に亘って接触すると、凹部80は下方から蓋をした密閉状態となり、該凹部80の内部に空気やガスが閉じ込められる。
【0027】
発泡中の発泡原料Uは、流入規制壁92の下端全周に接触した後にも膨張を続け、上型70の成形面72に接触するようになる(図5)。そして、上型70の成形面72に接触した発泡原料Uは、凹部80を囲う前記流入規制壁92により、該凹部80側への移動が規制された状態で徐々に硬化する。
【0028】
一方、前記発泡原料Uにおいて、流入規制壁92の内側領域内で凹部80の正面に位置する部分は、凹部80内に閉じ込められた前記空気やガスの存在により、該凹部80内への膨張量は僅かに留まる。すなわち、凹部80の開口周囲に突設した流入規制壁92により、該流入規制壁92の外側に位置する発泡原料Uが、凹部80の正面に位置する発泡原料Uを該凹部80内に向けて押さない。従って、発泡原料Uの流入規制壁92内側への膨出量は、図5(a),(b)に示すように、流入規制壁92の突出高さHと同等程度に留まる。従って、凹部80内に閉じ込められた空気やガスは、発泡原料Uに押されてキャビティ64へ押し出されることが防止される。
【0029】
従って、発泡原料Uが凹部80内へ膨出せず、該発泡原料Uが凹部80内で硬化することが防止される。これにより、キャビティ64内で発泡原料Uが硬化してクッション本体10の成形が完了した際には、フック30がクッション本体10の下面から外側へ突出して露出しており、クッション本体10の一部によりフック30が被覆されない。
【0030】
前述した実施例のシートクッション成形型によれば、次のような作用効果を奏する。
(1)キャビティ64内で発泡中の発泡原料Uの一部が凹部80へ膨出することを流入規制壁92で規制するので、該発泡原料Uの一部が該凹部80内で硬化することを防止し得る。従って、クッション本体10の一部がフック30を被覆した状態で成形されることを防止して、該クッション本体10のフック30を被覆した部分を除去する後加工を不要とすることを可能とする。特に、流入規制壁92が凹部80の開口周囲全周に亘って形成されているので、該凹部80に対する発泡原料Uの膨出を好適に規制し得る。
(2)流入規制壁92の突出高さHが5〜30mmの範囲に設定されているので、発泡中の発泡原料Uの一部が凹部80内へ膨出するのを防止し得ると共に、成形されたシートクッションSCを上型70から容易に脱型し得る。
(3)規制手段90をなす流入規制壁92が上型70に一体的に形成されたものであり、凹部80への発泡原料Uの膨出を規制する別途の部材が必要ないので、該規制手段90を設けることによるシートクッション成形型Mの設備費やシートクッションSCの製造コストが嵩まない。
【0031】
また、前述した実施例のシートクッションの製造方法によれば、次のような作用効果を奏する。
(1)キャビティ64内で発泡中の発泡原料Uが凹部80内へ膨出するのを流入規制壁92で規制したもとでクッション本体10を成形するので、クッション本体10の一部がフック30を被覆することを回避し得る。従って、クッション本体10のフック30を被覆した部分を除去する後加工を不要とし得るので、作業工数を減らし得ると共にシートクッションSCの製造効率の向上を図り得る。
(2)凹部56内に閉じ込められた空気やガスがキャビティ64へ押し出されないため、発泡中の発泡材料U内に該空気やガスが留まることで、成形されたクッション本体10内に空洞が形成されることを防止し得る。
(3)クッション本体10のフック30を被覆した部分が形成されないので、該クッション本体10を成形する発泡原料Uの無駄が発生しない。
【0032】
(変更例)
図6および図7は、変更例に係るシートクッションのシートクッション成形型Mにおける上型70の凹部80周辺を示した部分斜視図である。この変更例では、凹部80の開口周囲周囲に設けた規制手段90の形態を変更したものである。すなわち、変更例の規制手段90は、上型70の成形面72に突設されて凹部80の開口周囲を部分的に囲う流入規制壁94と、凹部80の開口周囲における流入規制壁94の非形成位置に延在する前記フレーム20とから構成したものである。流入規制壁94は、図6および図7に示すように、凹部80の矩形の開口周囲における4辺のうちの3辺に沿って延在する第1規制壁94A、第2規制壁94Bおよび第3規制壁94Cから平面略「コ」字形に突設されたものである。また、フレーム20の前記枠線材22Aが、矩形に開口周囲における残りの1辺、すなわち第1規制壁94Aおよび第2規制壁94Bの端部間に沿って延在している。従って、発泡中の発泡原料Uは、流入規制壁94により凹部80内へ流れ込むのを規制されると共に、枠線材22Aにより該凹部80内へ流れ込み難くなる。
【0033】
なお、前記枠線材22Aは、凹部80に対する成形中のクッション本体10の流入を完全に規制することはできない。このため前記流入規制壁94の形成長さは、凹部80の開口周囲全周における70%以上とするのが望ましい。すなわち、本願発明者が行なった実験によれば、流入規制壁94の比率を70%未満とすると(枠線材22Aの比率を30%より大きくすると)、凹部80に対する発泡原料Uの流れ込みを適切に規制できなくことがあり得る。換言すると、流入規制壁94の比率を70%以上とすれば、図8に示すように、凹部80に対する発泡中の発泡原料Uの流れ込みを抑えることが可能となり、フック30がクッション本体10の一部で被覆される不都合を回避し得る。
【0034】
前述したように、変更例の規制手段90では、流入規制壁94が上型70に一体的に形成されたものでり、フレーム20の枠線材22AがシートクッションSCを構成するものである。従って、変更例のシートクッション成形型Mにおいても、凹部80への発泡原料Uの膨出を規制する別途の部材が必要ないので、該規制手段90を設けることによるシートクッション成形型Mの設備費やシートクッションSCの製造コストが嵩むことがなく、前記実施例と同等の作用効果が得られる。
【0035】
図9は、前記変更例の別例を示した説明図である。この別例では、規制手段90を流入規制壁96およびフレーム20から構成することを前提として、該流入規制壁96の形態を変更したものである。すなわち流入規制壁96は、矩形状に開口する凹部80の開口周囲において、略「L」字形とをなす第1規制壁96Aおよび第2規制壁96Bからなり、両規制壁96A,96Bの端部間に2つの間隙98,98が形成されている。そして、フレーム20の枠線材22A,22Aが、両間隙98,98に沿って延在している。従って、この形態においても、第1規制壁96Aおよび第2規制壁96Bを、凹部80の開口周囲全周における70%以上の長さで延在するようにすることで、前記変更例と同等の作用効果を奏する。
【0036】
更に、前記凹部80および規制手段90は、前記実施例および変更例に示した形態に限定されない。
(1)凹部80は、上型70の成形面72に矩形状に開口するものに限らず、例えば円形状に開口するもの、楕円形状に開口するもの、三角形または五角形以上の多角形状に開口するものであってもよい。
(2)規制手段90は、凹部80の開口周囲を囲うものであれば、該凹部80の開口形状と異なる形状であってもよい。例えば、凹部80の開口形状が矩形状であっても、規制手段90は円形や楕円形に延在するようにしてもよい。
(3)実施例では、下型60に対して上型70が上方から開閉可能な形態のシートクッション成形型Mを例示したが、上型70に対して下型60が下方が開閉可能な形態であってもよい。
【符号の説明】
【0037】
10 クッション本体,20 フレーム,30 フック,60 下型,64 キャビティ
70 上型,72 成形面,74 セット部,80 凹部,90 規制手段,92 流入規制壁
94 流入規制壁,M シートクッション成形型,SC シートクッション,U 発泡原料
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状の発泡原料を発泡硬化して形成されるクッション本体と、前記クッション本体に埋設されたフレームと、前記フレームに設けられてクッション本体の外側へ突出するフックとを備えたシートクッションを成形するシートクッション成形型において、
下型と、
前記下型と型閉め可能に配設され、該下型との間に前記クッション本体に合わせたキャビティを形成する上型と、
前記フレームを、前記上型のキャビティを画成する成形面から離して該キャビティに支持するセット部と、
前記上型に下方に開口するよう前記成形面から凹設され、前記セット部にセットしたフレームから上方に突出した前記フックを受け入れる凹部と、
前記凹部の開口周囲を囲う規制手段とを備えた
ことを特徴とするシートクッション成形型。
【請求項2】
前記規制手段は、前記上型の成形面から突出して前記凹部の開口周囲を囲う流入規制壁から構成される請求項1記載のシートクッション成形型。
【請求項3】
前記規制手段は、前記凹部の開口周囲に部分的に沿うように前記上型の成形面から突設された流入規制壁と、前記凹部の開口周囲における前記流入規制壁の非形成位置に延在する前記フレームとで構成される請求項1記載のシートクッション成形型。
【請求項4】
前記凹部は、上端が閉塞した袋小路状に形成されている請求項1〜3の何れか一項に記載のシートクッション成形型。
【請求項5】
液状の発泡原料を発泡硬化して形成されるクッション本体と、前記クッション本体に埋設されたフレームと、前記フレームに設けられてクッション本体の外側へ突出するフックとを備えたシートクッションを、下型および該下型と型閉め可能な上型からなるシートクッション成形型により製造する方法において、
前記上型と下型とを型開きして、前記フックが設けられたフレームを、上型の成形面から凹ませて設けた凹部へ該フックを突入させて該成形面にセットし、
前記下型の成形面に前記発泡原料を注入した後に前記上型を該下型へ型閉めし、
前記凹部の開口周囲を規制手段で囲ったもとで、前記発泡原料を発泡硬化して前記キャビティ内で前記クッション本体を成形する
ことを特徴とするシートクッションの製造方法。
【請求項1】
液状の発泡原料を発泡硬化して形成されるクッション本体と、前記クッション本体に埋設されたフレームと、前記フレームに設けられてクッション本体の外側へ突出するフックとを備えたシートクッションを成形するシートクッション成形型において、
下型と、
前記下型と型閉め可能に配設され、該下型との間に前記クッション本体に合わせたキャビティを形成する上型と、
前記フレームを、前記上型のキャビティを画成する成形面から離して該キャビティに支持するセット部と、
前記上型に下方に開口するよう前記成形面から凹設され、前記セット部にセットしたフレームから上方に突出した前記フックを受け入れる凹部と、
前記凹部の開口周囲を囲う規制手段とを備えた
ことを特徴とするシートクッション成形型。
【請求項2】
前記規制手段は、前記上型の成形面から突出して前記凹部の開口周囲を囲う流入規制壁から構成される請求項1記載のシートクッション成形型。
【請求項3】
前記規制手段は、前記凹部の開口周囲に部分的に沿うように前記上型の成形面から突設された流入規制壁と、前記凹部の開口周囲における前記流入規制壁の非形成位置に延在する前記フレームとで構成される請求項1記載のシートクッション成形型。
【請求項4】
前記凹部は、上端が閉塞した袋小路状に形成されている請求項1〜3の何れか一項に記載のシートクッション成形型。
【請求項5】
液状の発泡原料を発泡硬化して形成されるクッション本体と、前記クッション本体に埋設されたフレームと、前記フレームに設けられてクッション本体の外側へ突出するフックとを備えたシートクッションを、下型および該下型と型閉め可能な上型からなるシートクッション成形型により製造する方法において、
前記上型と下型とを型開きして、前記フックが設けられたフレームを、上型の成形面から凹ませて設けた凹部へ該フックを突入させて該成形面にセットし、
前記下型の成形面に前記発泡原料を注入した後に前記上型を該下型へ型閉めし、
前記凹部の開口周囲を規制手段で囲ったもとで、前記発泡原料を発泡硬化して前記キャビティ内で前記クッション本体を成形する
ことを特徴とするシートクッションの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−20417(P2011−20417A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169435(P2009−169435)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]