説明

シート処理装置および画像形成装置

【課題】タブの突出長さ分だけストッパの位置を調節して、ストッパでタブシートのタブで受け止めてタブシート束のシート搬送方向長さの中間部を処理できるようにする。
【解決手段】シート処理装置2は、搬送されてきたシートの先端を受け止め、かつシート搬送方向に移動可能なストッパ23と、ストッパによって先端を整合されたシート束のシート搬送方向の中間部を折り曲げる折り曲げ装置40と、を備えている。そして、シートが先端にタブを有するタブシートであるとき、タブの突出長さ情報に基づくタブの突出長さ分だけ、ストッパを、シート搬送方向の下流側に位置を調節させるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の装置本体から排出されるタブ付きシート(以下、「タブシート」と言う)を束状にしてシート搬送方向長さの中間部を処理するシート処理装置、およびこのシート処理装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートに画像を形成する画像形成装置の装置本体から排出されたシートをストッパで受け止めて束状にし、そのシート束のシート搬送方向長さの中間部を処理手段によって処理するシート処理装置が特許文献1に開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−82306公開公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のシート処理装置は、ストッパでタブシートのタブで受け止めてタブシートを処理しようとすると、タブの突出長さ分だけ処理手段に対するシート束のシート搬送方向長さの中間部の位置がずれて、そのずれた位置を処理するということがあった。
【0005】
このため、従来のシート処理装置は、ストッパでタブシートのタブで受け止めてタブシートを処理することができないという問題があった。なお、タブは、シートの縁から見出し用に突出した部分である。
【0006】
また、上記のようなタブシートを処理することのできないシート処理装置を備えた従来の画像形成装置は、タブシートに画像を形成することができなかった。
【0007】
本発明は、タブの突出長さ分だけストッパの位置を調節して、ストッパでタブシートのタブで受け止めてタブシート束のシート搬送方向長さの中間部を処理できるシート処理装置を提供することにある。
【0008】
本発明は、タブシートを処理できるシート処理装置を備えて、タブシートに画像を形成できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のシート処理装置は、搬送されてきたシートの先端を受け止め、かつシート搬送方向に移動可能なストッパと、前記ストッパによって前記先端を整合されたシート束のシート搬送方向の中間部を処理する処理手段と、を備えている。そして、前記シートが先端にタブを有するタブシートであるとき、前記タブの突出長さ情報に基づく前記タブの突出長さ分だけ、前記ストッパを、前記シート搬送方向の下流側に位置を調節させるようになっている。
【0010】
本発明の画像形成装置は、シートに画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段によって画像が形成されたシート束を折り曲げるシート処理装置と、を備え、前記シート処理装置が、上記のシート処理装置である、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明のシート処理装置は、シートが先端にタブを有するタブシートであるとき、タブの突出長さ情報に基づくタブの突出長さ分だけ、ストッパを、シート搬送方向の下流側に位置を調節させるようになっている。このため、シート処理装置は、処理手段に対して、タブシートの中間部の位置をずらすことなく、中間部を処理することができるようになる。
【0012】
本発明の画像形成装置は、タブシートを処理できるシート処理装置を備えているので、タブシートに画像を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態の画像形成装置と、シート処理装置を図に基づいて説明する。
【0014】
なお、本実施形態において、取り上げる数値は、あくまでも参考数値であって、本発明を限定するものではない。
【0015】
(複写機の装置本体)
図1は、本発明の実施形態のシート処理装置を装置本体に備えた画像形成装置のシート搬送方向に沿った断面図である。画像形成装置には、複写機、プリンタ、ファクシミリ、及びこれらの複合機能を備えた複合機等がある。本実施形態では、複写機を取り上げて説明するが、本発明の画像形成装置は、複写機に限定されるものではない。
【0016】
複写機1は、装置本体900とシート処理装置2とで形成されている。シート処理装置2は、オプションとして装置本体900に着脱自在に装備されてもよいし、装置本体900内に一体に組み込まれていてもよい。
【0017】
複写機1の装置本体900には、原稿載置台としてのプラテンガラス906、光源907、レンズ系908、シート供給部909、画像形成部902等が備えられている。
【0018】
シート供給部909は、記録用のシートSを収納して装置本体900に着脱自在なカセット910,911、及びぺディスタル912に配置されたデッキ913を有している。画像形成手段である例えば画像形成部902には、円筒状の感光ドラム914とその回りの現像器915、転写用帯電器916、分離帯電器917、クリーナ918、一次帯電器919等がそれぞれ備えられている。画像形成部902の下流側には、搬送装置920、定着装置904、排出ローラ対1a,1b等が配設されている。シート排出ローラ1aには、シート排出ころ1bが押圧されている。
【0019】
複写機1の装置本体900の動作を説明する。装置本体900に設けられた制御装置150からシート供給信号が出力されると、カセット910,911またはデッキ913からシートSが給送される。一方、プラテンガラス906に載置されている原稿Dに、光源907から当てられて反射した光は、レンズ系908を介して感光ドラム914に照射される。感光ドラム914は、あらかじめ一次帯電器919により帯電されており、光が照射されて静電潜像が形成される。静電潜像は、次いで現像器915により現像されてトナー像になる。
【0020】
シート供給部909から給送されたシートSは、レジストローラ対901で斜行が補正され、さらにタイミングが合わされて画像形成部902へ送られる。画像形成部902では、感光ドラム914のトナー像を、送られてきたシートSに転写用帯電器916によって転写する。トナー像が転写されたシートSは、分離帯電器917によって転写用帯電器916と逆極性に帯電されて、感光ドラム914から分離される。
【0021】
そして、分離されたシートSは、搬送装置920により定着装置904に搬送されて、定着装置904によりシートSに転写画像が永久定着される。画像が定着されたシートSは、排出ローラ対1a,1bにより装置本体900から排出される。このように、シート供給部909から給送されたシートSは、画像が形成されて排出される。
【0022】
(シート処理装置)
図2は、複写機1の装置本体900に設けられたシート処理装置2のシート搬送方向に沿った断面図である。
【0023】
シート処理装置2は、複写機1の装置本体900のみならず、プリンタ、ファクシミリ、及びこれらの複合機器等、他の画像形成装置にも設けられるようになっている。
【0024】
[スタックモード]
複写機1の装置本体900の排紙ローラ対1a,1bから排出されたシートは、入口フラッパ3に案内されて排紙ガイド4を通過してスタッカ排出ローラ5とスタッカ排出ころ6とによって、スタックトレイ7に排出される。
【0025】
スタッカ排出口ーラ5は、口ーラ5の軸5a(図3)に固着されたプーリ98とスタック排出モータ95の出力軸に固着されたプーリ96とに掛け渡されたタイミングベルト97によって、スタック排出モータ95の回転力が伝達されて回転するようになっている。
【0026】
入口フラッパ3は、入口ソレノイド3d(図3)によって回転して、排紙ガイド4と、ガイド11,12とに、シートを選択的に案内できるようになっている。
【0027】
[製本モード]
入口フラッパ3(図2)によってガイド11,12に案内されたシートは、搬送ローラ13と搬送ころ14により、半月形状をした半月ローラ17aに搬送されてステープラ18を通過する。そして、シートは、ガイド20,21を案内にして半月形状をした半月ローラ22aに搬送されてストッパ23に先端(下端)を受け止められて先端を整合される。半月ローラ17a,22aには、弾性部材17d,22dが圧接しており、シートは、弾性部材17d,22dによって半月ローラ17a,22aに圧接されて搬送される。
【0028】
ストッパ23は、ガイド20,21間に進入してきたシートの先端を受け止めて、シートを一時的に、載置収納するようになっている。ストッパ23は、ガイド20,21間を、昇降するようになっている。ストッパ23上には、シートの先端を検知するシート先端検知センサ33が配設されている。
【0029】
ストッパ23を設けた目的は2つある。1つは、ステープラ18が針打ちを行うときの位置決めのためである。2つには、後述する綴じたシート束を折り曲げるときの位置決めのためである。
【0030】
ストッパ23は、ガイド20,21の下方で、シート束を受け止めたときシート束の綴じる部分をステープラ18に対向させることのできる位置に待機している。ストッパ23に所定枚数のシートが積載される間に、送り込まれてくるシートは、後述する幅寄せ装置60の1対の幅寄せ部材24a,24b(図4)によって幅整合される。幅整合とは、シート搬送方向に沿った側端を整合することである。所定枚数のシートがストッパ23に積載されると、ステープラ18は、シート束を綴じる。
【0031】
ステープラ18は、シートの幅方向の奥側と手前側との2箇所に配設されている。ステープラ18は、内部には板状のステープル針と、駆動用モータを有している。ステープラ18は、回転軸18aを中心に揺動してシート束にコ字状のステープル針を貫通させて、アンビル19によってステープル針の先端を折り曲げてシート束を綴じる。
【0032】
シート束が綴じられると、ストッパ23は、下降して、シート束の綴じられた部分を折り曲げ装置40の突き出しユニット25に対向させる。突き出しユニット25は、シート束に接近して、突き出しユニット25の突き板25aでシート束を突いて、そのシート束を折りローラ26,27に押し込む。折りローラ26,27は、シート束を折り曲げながら搬送して冊子状にする。冊子状になったシート束は、排紙ガイド28をへて排出ローラ30と排出ころ31に送り込まれて、排出トレイ32に排出される。排出ローラ30と排出ころ31の始動停止は、シート束の先端と後端を検知する排紙センサ29によって行われる。ステープラ18と折り曲げ装置40は、処理手段の一例である。
【0033】
(搬送ローラ、半月ローラの駆動機構)
図3に示す搬送ローラ13の中心軸13a上には、搬送プーリ13bが固着され、半月ローラ17a、22aの中心軸17b,22bには半月ローラプーリ17c,22cが固着されている。搬送モータ51の出力軸には搬送モータプーリ52が固着されている。
【0034】
搬送モータプーリ52、搬送プーリ13b、半月ローラプーリ17cの外周にはタイミングベルト53が巻き回されている。半月ローラプーリ17c,22c間にはタイミングルベルト54が巻き回されている。
【0035】
搬送モータ51の回転は、搬送モータプーリ52からタイミングベルト53を介して、搬送プーリ13b及び半月ローラプーリ17cに伝達される。さらに、タイミングベルト54を介して半月ローラ22cに伝達される。このような回転力の伝達によって、搬送ローラ13、半月ローラ17a,22a(図2)が回転する。
【0036】
(幅寄せ装置)
シートの側端を整合(幅整合)をする側端整合手段である例えば幅寄せ装置60を図4に基づいて説明する。
【0037】
1対の幅寄せ部材24a,24bは、シート束の搬送方向に沿った両側を整合するように配設され、垂直な壁面を有し中央部にラック24f,24gが形成されている。ラック24f,24gには、ピニオン24cが噛合している。ピニオン24cは幅寄せモータ24dの出力軸に設けられて回転するようになっている。幅寄せホームセンサ24eは、幅寄せ部材24a,24bが整合しうる最大シート束の幅よりも約5mm乃至約10mm程度外側に待避したとき、一方の幅寄せ部材24aの一部に形成されたフラグを検知することのできる位置に配置されている。幅寄せホームセンサ24eには、フォトインタラプタが使用されている。幅寄せモータ24dには、ステッピングモータが使用されている。
【0038】
幅寄せ部材24a,24bは、弾性を有する半月ローラ17aのフラグ17eが半月ローラセンサ34に検知されてから、幅寄せモータ24dにより駆動されて、ストッパ23に搬入されたシートを整合するようになっている。フラグ17eが半月ローラセンサ34に検知されたとき、半月ローラ17a,22aの切り欠き部17f,22e(図2)が搬送中のシートに当接しないようになっている。これにより、幅寄せ部材24a、24bにより整合されるシートは、半月ローラ17a,22bと、シートをこれに当接させる弾性部材17d,22dとの摩擦が回避された状態にあるので、シートの整合精度が向上される。すなわち、幅寄せ部材24a,24bにより整合されるシートは、半月ローラ17a,22aと圧接部材17d,22dとに挟まれることがなく、シートの整合精度が向上する。
【0039】
なお、幅寄せ部材24a、24bはシート束の側面に全て接する長さであっても良いし、シート束の上部、中部、下部のように部分的に接する多対のものであっても良い。
【0040】
(ストッパ駆動機構)
ストッパ23を昇降させるストッパ駆動機構92を図4に基づいて説明する。ストッパ23は、ガイド20,21間に進入してきたシートの先端(下端)を受け止めるようになっている。送られてきたシートが、先端部にタブが突出しているタブシートの場合、ストッパ23は、タブの先端部を受け止めるようになっている。ストッパ23の両端には、ころ23aが2つずつ回転自在に取り付けられている。ころ23aは、フレーム8に形成された溝部を走行するようになっている。したがって、ストッパ23は、ころ23aと溝との案内によって上下方向にスライドするようになっている。ストッパ23の両端にはラック23f(図2)が設けられている。ラックは左右のピニオン23b,23bと係合している。2つのピニオン23b,23bは、中心同士を軸23cによって連結されている。左右のピニオン23a,23bに駆動を伝達している軸23cの一端には、ストッパ歯車23dが固着されている。
【0041】
ストッパモータ61の出力軸には、歯車62が固着してある。歯車62はストッパ歯車23dに噛合している。ストッパモータ61には、ステッピングモータが使用されている。ストッパ23の一部には、フラグ23eが形成されており、ホームポジションまで達したときに、ストッパホームポジションセンサ63(図2参照)で検知するようになっている。
【0042】
(シート処理装置の制御関係)
図5は、シート処理装置の制御ブロック図である。
【0043】
中央演算処理装置(以下、「CPU」と称する)170は、装置本体の制御装置150に接続されている。CPU170と制御装置150は、いずれか一方が他方に組み込まれていてもよい。
【0044】
CPU170には、CPU170が実行する制御手順を予め記憶しているリードオンリメモリ(ROM)152が接続されている。また、CPU170には、CPU150の演算データ、複写機1から受信した制御データ等の各種データを記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)153が接続されている。さらに、CPU170には、画像形成装置にシートに関する種々の情報を入力したり、画像形成装置の動作状態を表示したりする入力手段である例えば表示部202も接続されている。
【0045】
CPU170の入力側にはセンサ、カウンタが接続され、出力側にはモータ等が接続されている。
【0046】
CPU170の入力側に接続されたセンサ、カウンタには、次のセンサ、カウンタがある。スタックトレイ7に積載されるシートを検知するスタックセンサ84。ストッパ23に搬送させるシートの先端と後端を検知する入口センサ83(83a,83b,83c)。奥側のステープラがホームポジションにいることを検知する奥側ステープラホームセンサ85。手前側のステープラがホームポジションにいることを検知する手前側ステープラホームセンサ86。幅寄せ部材24a,24bがホームポジションにいることを検知する幅寄せホームセンサ24e。ストッパ23がホームポジションにいることを検知するストッパホームセンサ63。ストッパ23にシートが積載されていることを検知するシート先端検知センサ33。突き出しユニット25がホームポジションにいることを検知する突き出しホームセンサ82。排出トレイ32に排出されるシートを検知する排出センサ29。半月ローラ17a,22aの回転位置を検知する半月ローラセンサ34。シートの枚数をカウントする枚数カウンタ171。シート束の部数をカウントする部数カウンタ172。
【0047】
CPU170の出力側にドライバD1乃至D10を介して接続されたモータ等には、次のモータ等がある。入口フラッパ3を回転させる入口ソレノイド3d。シートをスタックトレイに排出するスタッカ排出ローラ5を回転させるスタック排出モータ95。搬送ローラ13、半月ローラ17a,22aを回転させる搬送モータ51。奥側のステープラを作動させる奥側ステープラモータ108。手前側のステープラを作動させる手前側ステープラモータ109。幅寄せ部材24a,24bを移動させる幅寄せモータ24d。ストッパ23を昇降させるストッパモータ61。折り曲げ装置40を駆動させる折りモータ64。折りモータ64の回転力を突き出しユニット25に伝達したり断ったりする突き出しクラッチ74a。排出ローラ30を回転させる排出モータ91。
【0048】
図1乃至図5の構成図と、図6乃至図9のフローチャートと、図10のタブシートの図とに基づいて、タブシートを折り曲げる動作を説明する。
【0049】
シート処理装置2のCPU170には、シート処理装置2が接続された複写機1の装置本体900からシートに関するシート情報が送られてくる。シート情報には、製本モードとスタックモードとのいずれか一方のモード情報、シートの縦長さL(タブの突出長さが含まれていない)と横幅Wからなるサイズ情報、シートの枚数情報N、シート部数情報M、シートがタブシートであるか否かの情報等がある。CPU170は、シート情報を受取り、スタート信号を受けたところで、シート処理装置2の動作を開始させる(S202)。製本モードであるか否かを確認して(S204)、製本モードでなければ、スタック処理をする(S210)。
【0050】
製本モードであれば、CPU170は、シートの長さLがシート処理装置2で処理できる上限の長さLmaxと下限の長さLminの範囲内にあるか否かを確認する(S206)。この範囲外のとき、スタック処理を行う(S210)。次に、シートの幅Wについても同様に、シート処理装置2で処理できる上限の幅Wmaxと下限の幅Wminの範囲内にあるか否かを確認して(S208)、この範囲外のときも、スタック処理を行う(S210)。
【0051】
CPU170は、幅寄せ部材24a,24b間の距離Pが、P=W+α(図4参照)となるステップ数を、幅寄せモータ24dに送って、幅寄せモータ24dを回転させる(S216)。αは、シート束と幅寄せ部材24a,24bの突き当て部との隙間であり、通常は10mm程度とする。CPU170は、ストッパ23がステープラ18のステープルポイント19a(図2参照)から下流に、シートの長さの半分(L/2)の位置まで移動する分のステップ数を、ストッパモータ61に送って回転させる(S218)。
【0052】
CPU170は、シートの枚数をカウントする枚数カウンタ171の枚数カウントCNT1を0にセットして(S220)、タブの突出長さdを算出する(S222)。タブサイズ算出ルーチンは、図8に基づいて後述する。
【0053】
枚数カウンタ171の枚数カウントCNT1(S224)がゼロでない場合は、搬送モータ51によりシートの搬送を継続する。枚数カウントCNT1がゼロの場合、CPU170は、ストッパ23がステープルポイント19aから下流に、シートの長さの半分(L/2)にタブの突出長さd分を加えた位置に移動させる分のステップ数を、ストッパモータ61に送ってストッパモータ61を回転させる(S226)。
【0054】
シート束先端(下端)がストッパ23に突き当たるまでの時間t1後(S228)、CPU170は、P=W−βになる位置まで幅寄せ部材24a,24bが移動する分のステップ数を幅寄せモータ24dに送って、幅寄せモータ24dを回転させる(S230)。βは、幅寄せ部材24a,24bがシートを押し込む量で、通常2mm程度である。
【0055】
続いて、CPU170は、幅寄せ部材24a,24bがP=W+αになる位置まで移動分のステップ数を幅寄せモータ24dに送る(S232)。枚数カウンタ171は、枚数カウントCNT1を1つ進める(S234)。CPU170は、枚数カウントCNT1が所望の枚数Nに達したか否かを確認して(S236)、達していなければS222に戻り、複写機1の装置本体900から送られてくるシートを同様に処理する。シートが所望の枚数Nに達していれば、CPU170は、幅寄せ部材24a,24bを外側へ移動させる方向に幅寄せモータ24dを回転させて(S238)、P=W−βになる位置まで幅寄せ部材24a,24bが移動する分のステップ数を幅寄せモータ24dに送り、回転を継続させる(S240)。CPU170は、幅寄せ部材24a,24bがP=W−βに到達したところで幅寄せモータ24dを停止させる(S242)。
【0056】
なお、本実施形態では、シート処理装置が、シートが所望の枚数Nに達した後、幅寄せ部材24a、24bがシートを押し込む動作を1回行っている。しかし、CPU170は、整列性を向上させるため、シートを押し込む動作を1回行った後、P=W−γとなるステップ数を、幅寄せモータ24dに送って、幅寄せモータ24dを回転させる。γはシート束と幅寄せ部材の突き当て部との隙間で通常は2mm程度である。幅寄せ部材24a,24bがP=W−γに到達したところで幅寄せモータ24dを停止させる。所定時間t3経過後、CPU170は、P=W−βになる位置まで幅寄せ部材24a,24bが移動する分のステップ数を幅寄せモータ24dに送り回転させる。CPU170は、幅寄せ部材24a,24bがP=W−βに到達したところで幅寄せモータ24dを停止させる。このようにCPU170は積載されたシート束へ整合動作を1回以上行ってもよい。
【0057】
CPU170は、奥側のステープラと手前側ステープラからなるステープラ18を制御して、シート束をステープルする(綴じる)(S244)。
【0058】
次に、シート束を折る動作を行う。CPU170は、ストッパ23がステープルポイント19aより下流側に(L/2)+αの位置に移動させる分のステップ数を、ストッパモータ61に送って回転させる(S246)。ここで、αはステープルポイント19aと折り位置との間の距離である。
【0059】
その後、CPU170は、搬送モータ51、入口ソレノイド3dをOFFにして、折り動作に入る準備をする(S248,S250)。
【0060】
CPU170は、シート先端検知センサ33がON(シート束がストッパ23に到達して積載されている状態)であることを確認してから(S252)、折り曲げ装置40を制御して、シート束を折り曲げる(S254)。
【0061】
部数カウンタ172の部数カウントCNT2を1進める(S256)。部数カウントCNT2が所望の部数Mに達していなければS212へ戻る(S258)。所望の部数Mに達していれば、シート処理装置は、シートを束状にして、冊子状に折り曲げて排出する動作を終了する。
【0062】
(タブの突出長さを算出するシーケンス)
タブの突出長さを算出する順序を図8、図9のフローチャートと、図10とに基づいて説明する。なお、タブシートのタブTBは(図10)、シートの先端部(下端部)と後端部(上流部)との少なくとも先端部(下端部)に突出しているものとする。
【0063】
(第1実施形態の算出シーケンス)
入口センサ83(図2参照)は、ガイド11に配置されている。入口センサ83は、搬送路70の幅中心に対しシートの幅方向に左右対称の位置に3つ(入口センサ83a,83b,83c)配列されている。3つの入口センサ83a,83b,83cを総称するときの符号は83とする。図2では、入口センサが3つ重なって、1つに見えている。なお、入口センサ83の数は、4つ以上あってもよい。
【0064】
CPU170は、シートがガイド11,12に搬送されてきて、3つの入口センサ83a,83b,83cがONになると(S1501,S1511,S1521)、タブを含めたシートの長さの測定を開始する(S1502、S1512、S1522)。その後、シートが入口センサ83a,83b,83cを通過すると、入口センサ83a,83b,83cはOFFになる(S1503,S1513,S1523)。
【0065】
CPU170は、同じシートが3つの入口センサを通過する各測定時間t1,t2,t3とシートの搬送速度hとから、各センサに対向するシートの部分の長さm1(=t1×h),m2(=t2×h),m3(t3×h)を算出する(S1504、S1514、S1524)。
【0066】
CPU170は、3つの入口センサ83がOFFになったところで(S1540)、シートの各部の長さm1,m2,m3(図10)の差からタブの突出長さdを算出を開始する(図10(a))。まず、CPU170は、入口センサ83aによって検知された長さm1と入口センサ83bによって検知された長さm2とが同じか否かを判断する(S1542)。長さが異なっている場合、長さm1>m2と仮定して、両方の長さを比較する(S1544)。仮定通り、m1>m2であれば、長さm1を最長の長さ(mx)と仮定する(S1546)。仮定に反して、m1<m2であれば、長さm2を最長の長さ(mx)と仮定する(S1548)。
【0067】
そして、CPU170は、mx=m3(入口センサ83aによって検知された長さ)であるか否かを判断する(S1550)。mx≠m3であるならば、CPU170は、上記mxと長さm3とを比較する。このとき、mx>m3と改定する(S1552)。
【0068】
仮定通りmx>m3であれば、CPU170は、m1をmxと決定して、タブの突出長さdを算出する(d=mx−m3)(S1554)。この場合、入口センサ83aに対応する位置で、かつシートの下端にタブTBがあることになる(図10(a))。
【0069】
仮定に反してmx<m3であれば(S1552でNO)、CPU170は、m3をmxと決定する。この場合、m3>m1>m2となり、タブTBは、入口センサ83aに対応するシートの上下端のいずれか一方に形成され、さらに、入口センサ83cに対応する位置で、シートの上下端にもあることになる(図10(b))。CPU170は、タブTBの突出長さdを算出する(d=m3−mx)(S1556)。
【0070】
処理S1542において、m1=m2である場合、m3がmxとなる。CPU170は、タブTBの突出長さdを算出する(d=m3−m1(又はm2))(S1558)。この場合、タブTBは、入口センサ83cに対応するシートの下端に形成されていることになる(S1558)。
【0071】
処理S1550において、mx=m3である場合、CPU170は、タブTBの突出長さdを算出する(d=m1(又はm3)−m2)(S1560)。この場合、タブTBは、入口センサ83a,83cに対応するシートの下端2箇所に形成されていることになる(図10(c))。
【0072】
(第2実施形態の算出シーケンス)
シートが入口センサ83a,83b,83cに送り込まれてきたとき、いずれかの入口センサがシートの先端を検知する。タブはシートの下流端部に突出しているため、最初にシートを検知した入口センサは、タブの先端を検知していることになる。そして残りの入口センサがシートを検知する。この場合は、シートの先端を検知していることになる。したがって、CPU170は、この両者の検知時間差(T)と、シート搬送速度(h)からタブの突出長さ(d=T×h)を検知することができる。この場合、最初に検知動作した入口センサに対応する位置にタブTBが形成されていることになる。
【0073】
(第3実施形態の算出シーケンス)
また、シートの各部の長さm1,m2,m3のいずれも異なる長さである場合(S1552でNOのような場合)、図10(b)に示すように、シートの上下端の2箇所と、上端又は下端との1箇所との都合3箇所にタブが形成されていることになる。この場合、CPU170は、最長長さ(例えばm3)と最短長さ(例えばm2)との差分の半分を算出(d=(m3−m1)/2)して、タブの突出長さを求める。すなわち、最長長さ(例えばm3)と最短長さ(例えばm2)とからタブの突出長さを求めることができる。この場合、最長長さ(例えばm3)と中間長さ(例えばm2)との差(d=m3−m2)を算出して、タブの突出長さを求めてもよい。
【0074】
(第4実施形態の算出シーケンス)
図9に示す算出シーケンスは、図6に示す算出シーケンスと略同じである。処理S203において、図6の処理202と異なるのは、表示部202にユーザによって入力されたタブの突出長さ(d1)の情報が送られてくることである。その後、CPU170は、処理204から処理242までの処理を、図6の処理204から処理242までの処理と同様に行う。
【0075】
そして、CPU170は、ストッパ23がステープラ18のステープルポイント19a(図2参照)から下流の、シートの長さの半分にタブの突出長さを加えた((L/2)+d1)の位置に移動する分のステップ数を、ストッパモータ61に送って回転させる(S219)。
【0076】
その後、CPU170は、シートの枚数をカウントする枚数カウンタ171の枚数カウントCNT1を0にセットする(S220)。さらに、CPU170は、入口センサ83をシートが通過して、ストッパ23に突き当たるまでそのシートを搬送し、時間t1後(S221乃至S228)に幅寄せモータを駆動させる、これ以降の処理は図6に示す算出シーケンスと同様である。
【0077】
以上の説明において、タブシート検知手段である例えば入り口センサ83と、算出手段である例えばCPU170は、突出長さ検知手段の構成の一例である。
【0078】
以上の実施形態のシート処理装置は、シートを単に折り曲げるときには、シートの中間部を折り曲げて2つ折りにするようになっている。また、シート束を製本するときには、シートの中間部を綴じて、その綴じた部分を折り曲げて、2つ折りにして、週刊誌のような冊子状にするようになっている。
【0079】
さらに、シート処理装置2は、タブシートやタブシート束のタブをストッパ23で受け止めて綴じるときや、折るとき、タブTBの突出長さdを考慮してストッパ23の位置を決めるようになっている。このため、本シート処理装置2は、タブの分だけ突出させて折り曲げることができて、タブの見出し機能を損なうことがない。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施形態における画像形成装置のシート搬送方向に沿った断面図である。
【図2】本発明の実施形態におけるシート処理装置のシート搬送方向に沿った断面図である。
【図3】シート処理装置の駆動源を示す図である。
【図4】幅寄せ装置と、ストッパ駆動機構との図である。
【図5】シート処理装置の制御ブロック図である。
【図6】ストッパの位置決め動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】図6に続いたフローチャートである。
【図8】タブの突出長さを算出する説明用のフローチャートである。
【図9】ストッパの位置決め動作を説明するための他の実施形態のフローチャートである。
【図10】タブシートのタブの突出長さを検知する説明用の図である。
【符号の説明】
【0081】
S シート
TB タブ
d タブの突出長さ
1 複写機(画像形成装置)
2 シート処理装置
18 ステープラ(処理手段)
23 ストッパ
40 折り曲げ装置(処理手段)
60 幅寄せ装置(側端整合手段)
83(83a,83b,83c) 入口センサ(突出長さ検知手段、タブシート検知手段)
150 制御装置
170 CPU(突出長さ検知手段、算出手段)
202 表示部(入力手段)
900 装置本体
902 画像形成部(画像形成手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されてきたシートの先端を受け止め、かつシート搬送方向に移動可能なストッパと、
前記ストッパによって前記先端を整合されたシート束のシート搬送方向の中間部を処理する処理手段と、を備えたシート処理装置において、
前記シートが先端にタブを有するタブシートであるとき、前記タブの突出長さ情報に基づく前記タブの突出長さ分だけ、前記ストッパを、前記シート搬送方向の下流側に位置を調節させる、
ことを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
前記タブの突出長さが外部から入力される入力手段を備え、
前記タブの突出長さ情報を前記入力手段から得る、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記タブの突出長さを検知する突出長さ検知手段を備え、
前記タブの突出長さ情報を前記突出長さ検知手段から得る、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記突出長さ検知手段が、
前記タブシートの幅方向一列に配列されて前記タブの先端と前記タブシートのシート部分の先端とを検知する複数のタブシート検知手段と、
前記複数のタブシート検知手段による検知時間差を求めて、前記検知時間差とシート搬送速度とから前記タブの突出長さを算出する算出手段と、を備えた、
ことを特徴とする請求項3に記載のシート処理装置。
【請求項5】
前記突出長さ検知手段が、
前記タブシートの幅方向一列に配列されて前記タブシートを検知する複数のタブシート検知手段と、
前記複数のタブシート検知手段による前記タブシートの検知所要時間とシート搬送速度とから前記タブシートの最長長さと最短長さを求めて前記タブの突出長さを算出する算出手段と、を備え、
前記算出手段が、前記複数のタブシート検知手段の内、前記タブシートを最初から最後まで検知しているタブシート検知手段があった場合、当該タブシート検知手段によって得られた前記タブシートの長さと前記最短長さとから前記タブの突出長さを算出する、
ことを特徴とする請求項3に記載のシート処理装置。
【請求項6】
前記ストッパに受け止められた前記タブシートの側端を整合する側端整合手段を備えた、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項7】
前記処理手段が、前記シート束の中間部を綴じるステープラである、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項8】
前記処理手段が、前記シート束の中間部を折り曲げる折り曲げ装置である、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項9】
シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段によって画像が形成されたシート束を折り曲げるシート処理装置と、を備え、
前記シート処理装置が、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のシート処理装置である、
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−114940(P2008−114940A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−297138(P2006−297138)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】