説明

シート材

【課題】吸音性を有すると共に一部が一側の面から反対側の面を透視可能で、しかも積層等の面倒な作業を不要にできるシート材の提供を目的とする。
【解決手段】熱可塑性合成樹脂繊維の不織布からなるシート材において、前記シート材10の一部を、繊維構造の無くなった構造として一側の面から反対側の面を透視可能な透明又は半透明の透視可能部15とし、他部を、少なくとも表面に繊維構造を有する不透明部17で構成した。また、前記透視可能部15は片面の少なくとも一部を他部材への固定部として使用するようにした。前記熱可塑性合成樹脂繊維は、横断面が低融点樹脂の部分と高融点樹脂の部分で構成されている複合熱可塑性合成樹脂繊維とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シート材に関し、特には、熱可塑性合成樹脂繊維の不織布からなって、一部がシート材の一側の面から反対側の面を透視可能な透視可能部とされているシート材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の空間を区画等するためのシート材等がある。また、前記シート材には吸音性が求められるものもある。例えば、図14に示す自動車のドアシール材70は、車体の外側パネル71と内側ライニング75等の間に位置して前記外側パネル71側に接着剤や粘着材等で固定されるものであり、主に前記外側パネル71の内面側に配置される部材等の隠蔽や保護、あるいは雨水に対するシール等を目的として用いられ、さらに車室内の静音性を高めるために吸音性も求められる。
【0003】
吸音性を有するシート材としては、例えば、プラスチックフィルムに不織布が積層されたものや、発泡体シートからなるものなどがある。
【0004】
しかし、前記プラスチックフィルムに不織布が積層されたものにあっては、積層工程が余分に必要となり、しかも二種類の部材を使用するために製品コストが嵩む問題がある。一方、発泡体シートからなるものにあっては、ラインにおけるシート材の取付工程等において接着剤や粘着材等で相手部材にシート材を複数箇所で固定した場合、その後の工程などにおいて、固定部位のシール性確認等で本当に所要箇所が接着剤や粘着材等で固定されているか確認したくても、発泡体シートの表面からは固定面の固定状態、すなわち接着剤や粘着材の有無等を目視で確認できない問題がある。なお、前記プラスチックフィルムに不織布が積層された積層材においては、プラスチックフィルムを透明とすると共に固定箇所については不織布を積層しないようにして、固定箇所を確認できるようにすることも可能であるが、その場合には、製造が一層面倒となり、製品コストが嵩むようになる。
【0005】
【特許文献1】特開平6−40296号公報
【特許文献2】特開2005−306173号公報
【特許文献3】特表2005−509756号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は前記の点に鑑みなされたものであって、吸音性を有すると共に一部が一側の面から反対側の面を透視可能で、しかも積層等の面倒な作業を不要にできるシート材の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、熱可塑性合成樹脂繊維の不織布からなるシート材において、前記シート材の一部は、繊維が溶融化してソリッド状を呈し、一側の面から反対側の面を透視可能な透明又は半透明の透視可能部で構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1において、前記透視可能部については片面の少なくとも一部が他部材への固定部とされていることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2において、前記透視可能部は前記シート材の外周部に位置していることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1から3の何れか一項において、前記シート材の透視可能部以外の部分は表面に繊維構造を有し、中心部には繊維同士が密着または融着して緻密状になっている中心層を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1及び2の発明によれば、シート材の一部については、繊維が溶融化してソリッド状を呈し、一側の面から反対側の面を透視可能な透明又は半透明の透視可能部で構成されているため、透視可能部の片面を接着剤や粘着材等で相手物へ固定した場合、固定部のシール性を確認するため、固定後の固定部における接着剤や粘着材の状態をシート材の表面から確認することができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、透視可能部がシート材の外周部に位置しているため、シート材の外周部を相手物の固定部とすることができると共に、固定部のシール性を確認するため、固定後の固定部における接着剤や粘着材の状態をシート材の表面から確認することができる。
【0013】
請求項4の発明によれば、シート材の透視可能部以外の部分は表面に繊維構造を有し、しかも中心部には繊維同士が密着または融着して緻密状になっている中心層を有しているため、シート材の透視可能部以外の部分では表面の繊維構造によって一層良好な吸音効果を得ることができ、しかも中心部が繊維同士の密着または融着によって緻密状になっていることにより防水性を発揮することができる。さらに、シート材の透視可能部以外の部分では表面の繊維構造によって不透明となるため、本発明のシート材が相手物に固定された場合、相手物を透視可能部以外の部分で隠蔽することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下この発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係るシート材を示す斜視図、図2は図1のA−A断面図、図3は同実施形態におけるシート材の固定状態を示す斜視図、図4は図3のB−B断面図である。
【0015】
図1及び図2に示す本発明の一実施形態に係るシート材10は、自動車のドアシール材として用いられるものであり、ドアに応じた所定形状とされている。前記シート材10は、熱可塑性合成樹脂繊維の不織布からなり、前記シート材10の一部が透視可能部15とされ、他部が不透明部17で構成されている。
【0016】
前記熱可塑性合成樹脂繊維は、後述のように前記透視可能部15を形成した場合に透視可能な透明性あるいは半透明性を有する材質とされる。一般的には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド樹脂等を挙げることができる。さらに、横断面が相対的に高融点樹脂の部分と低融点樹脂の部分で構成されている複合熱可塑性合成樹脂繊維で形成されたものが好ましい。なお、前記高融点樹脂の部分と低融点樹脂の部分は、それぞれ線長方向に形成されている。前記複合熱可塑性合成樹脂繊維として、図5の(5−A)に示す芯鞘構造のものや、(5−B)に示す放射状構造のものが挙げられる。図5の(5−A)に示す芯鞘構造のものにあっては、中心の芯が高融点樹脂の部分21、外周の鞘が低融点樹脂の部分22で構成されている。一方、図5の(5−B)に示す扇形に区画された放射状構造のものにあっては、繊維の横断面が高融点樹脂の部分31と低融点樹脂の部分32とによって扇形に区画されている。特に(5−A)に示す芯鞘構造のものはシート材10の剛性を高くすることができるために好ましいものである。
【0017】
前記複合熱可塑性合成樹脂繊維の例として、高融点樹脂部分がポリプロピレン、低融点樹脂部分がポリエチレンからなるものや、高融点樹脂部分がポリエステル、低融点樹脂部分がポリエチレンからなるもの、あるいは高融点樹脂部分が高融点ポリプロピレン、低融点樹脂部分が低融点ポリプロピレンからなるものなどを挙げることができる。前記芯鞘構造の複合熱可塑性合成樹脂繊維として、品名:NBF、ダイワボウ製を挙げることができる。
【0018】
前記熱可塑性合成樹脂繊維(本実施形態では複合熱可塑性合成樹脂繊維)からなる不織布は、公知の方法で縮絨されて不織布とされる。図6には、前記シート材10に成形する前の不織布の一例について、構造の模式図を示す。符号Fは熱可塑性合成樹脂繊維である。前記成形前の不織布を後述のようにプレスして、前記透視可能部15が形成される。前記成形前の不織布を構成する熱可塑性合成樹脂繊維(本実施形態では複合熱可塑性合成樹脂繊維)は0.8〜20デニールのものが好ましい。また、前記成形前の不織布の目付量は、前記シート材10に求められる剛性等によって決定される。一般には200〜1000g/mである。
【0019】
前記透視可能部15は、前記不織布の熱可塑性合成樹脂繊維(本実施形態では複合熱可塑性合成樹脂繊維)が溶融により繊維同士が一体化し、その後硬化してソリッド状になったものであり、例えば図8に示すように繊維構造がほとんど無くなっており、一側の面15aから反対側の面15bを透視可能な透明又は半透明になっている。なお、前記反対側の面15bから前記一側の面15aについても透視可能となっている。前記透視可能部15は、本実施形態では、相手部材(本実施形態では車体の外側パネル)への固定部とされ、前記不透明部17の外周に位置し、前記シート材10の外周部に枠状に形成されている。前記透視可能部15における固定側の面(本実施形態では15b)は、図4に示すように接着剤や粘着材からなる固着材Sによって相手部材(本実施形態では車体の外側パネルP)に固定される。前記固定時及び固定後においては、前記透視可能部15の一側の面15aから反対側の面15b(本実施形態では車体の外側パネルPとは反対側の面15aから外側パネルPと対向する側の面15b)を透視することができるため、前記固着材Sの有無や固着状態を確認することができる。前記透視可能部15は、前記シート材10の周縁全周に限られず、固定部に応じて部分的に設けたり、前記シート材10の周縁以外の部位に設けたりしてもよい。また、前記透視可能部15に部分的に固着材Sを設けてもよい。前記透視可能部15の厚みは、適宜決定されるが、100〜500μmが一般的である。
【0020】
前記不透明部17は、少なくとも表面(片側表面あるいは両側表面)に前記不織布の熱可塑性合成樹脂繊維における繊維構造を有し、前記繊維構造により不透明となっており、一側の面17aから反対側の面17bが透視困難になっている。本実施形態の不透明部17は、両側の表面部18a,18bが繊維構造を有し、中心部18cについては繊維同士が密着または融着して緻密状になっている中心層を有している。前記表面部18a,18bでは、図7の模式図に示すように、熱可塑性合成樹脂繊維F(本実施形態では複合熱可塑性合成樹脂繊維)同士が部分的に融着し、繊維構造を残して結合している。特に、本実施形態のように、複合熱可塑性合成樹脂繊維で不織布を構成した場合には、後述のように不織布のプレス時の温度を調節することにより、低融点樹脂部分で繊維同士を融着させると共に高融点樹脂部分同士を融着しないようにして、繊維構造を維持させることができるため、前記不透明部17を容易に形成することができる。
【0021】
前記不透明部17は、前記シート材10の相手部材(本実施形態では車体の外側パネルP)や、相手部材に設けられている装置などを隠蔽することができ、美観を高めることができる。また、前記不透明部17は、繊維構造の部分、すなわち表面部18a,18bによって吸音性を発揮することができ、一方、繊維同士が密着または融着して緻密状になっている中心層を有している中心部18cによって防水性を発揮することができる。しかも、繊維構造の部分が表面に位置するため、より良好な吸音性を発揮することができる。前記不透明部17の厚みは、適宜決定されるが、0.5mm〜5mmが一般的である。
【0022】
さらに前記不透明部17には、本実施形態のように凹凸形状19を設けてもよい。前記凹凸形状19を設けることにより、表面積が増加し、吸音性を高めることができる。また、前記不透明部17に凹凸形状19を設けると共に、前記シート材10の片面に裏打ちシート(図示せず)を積層して、前記凹凸形状部分と裏打ちシート間にチャンバー(吸音室)を形成すれば、吸音性をさらに向上させることができる。なお、本実施形態の不透明部17には、スピーカ等のための開口部20が形成されている。
【0023】
前記シート材10の製造方法について説明する。製造方法の第1実施形態は、不織布加熱工程と、透視可能部及び不透明部の同時プレス工程とよりなる。
【0024】
前記不織布加熱工程では、図9に示すように、前記熱可塑性合成樹脂繊維(本実施形態では複合熱可塑性合成樹脂繊維)からなる不織布100を電気ヒータ等の加熱手段120で加熱する。前記不織布100の加熱は、前記複合熱可塑性合成樹脂繊維からなる不織布の場合、高融点樹脂の融点温度と低融点樹脂の融点温度の間の温度であって、なるべく高融点樹脂の融点温度に近い温度で加熱するのが好ましい。
【0025】
具体的な実施例として、前記高融点樹脂の部分21が融点165℃の高融点ポリプロピレン、前記低融点樹脂の部分22が融点130℃の低融点ポリプロピレンからなる芯鞘構造の複合熱可塑性合成樹脂繊維(繊維径が3.3〜6.7dtex)で形成された不織布(目付重量300g/m)を、雰囲気温度160℃で3分間加熱した例を示す。
【0026】
前記透視可能部及び不透明部の同時プレス工程では、前記加熱後の不織布100を図10に示すように、プレス型131,135間に配置してプレスし、前記シート材10の透視可能部15と不透明部17を形成する。前記プレス型131,135の型面132,136は、前記シート材10の表面形状に応じた形状とされている。なお、図示の例では型面132,136を簡略に表現している。
【0027】
前記プレスの際、前記シート材10の透視可能部15を形成する型面の部分については、前記熱可塑性合成樹脂繊維の全体(断面全体)が溶融可能な温度、すなわち前記複合熱可塑性合成樹脂繊維においては、低融点樹脂の部分22,32と高融点樹脂の部分21,31の何れも溶融可能な温度、つまり、前記高融点樹脂の部分21,31を構成する樹脂の融点以上の温度に加熱され、一方、前記不透明部17を形成する型面の部分については、前記熱可塑性合成樹脂繊維の融点未満の温度、すなわち前記複合熱可塑性合成樹脂繊維においては前記低融点樹脂の部分22,32を構成する樹脂の融点未満の温度とされる。図示の例では、前記プレス型131,132の型面全体を前記熱可塑性合成樹脂繊維の融点未満の温度、すなわち前記複合熱可塑性合成樹脂繊維においては前記低融点樹脂の部分22,32を構成する樹脂の融点未満の温度とする一方、前記透視可能部15を形成する型面の部分については、前記熱可塑性合成樹脂繊維の全体が溶融可能な温度、すなわち、前記複合熱可塑性合成樹脂繊維においては前記高融点樹脂の部分21,31を構成する樹脂の融点以上の温度に予め加熱した熱板等の治具133,137をセットして、前記不織布100のプレスを行っている。なお、プレス時間及びプレス量(型面の間隔)は、使用する不織布の材質や厚み等によって適宜決定される。
【0028】
前記透視可能部及び不透明部の同時プレス工程において、前記透視可能部15を形成する型面は、前記不織布100を押圧して熱可塑性合成樹脂繊維を溶融させ、繊維同士を溶融一体化させた後、前記熱可塑性合成樹脂繊維の溶融温度未満に下げられる。これにより、前記不織布100の溶融した部分を冷却硬化してソリッド状とし、前記透視可能部15を形成する。なお、前記治具133,137を予め加熱して用いる場合、前記治具133,137は、前記不織布100の押圧当初においては前記熱可塑性合成樹脂繊維の融点以上の温度となっているが、前記治具133,137のセットされている前記プレス型131,135の型面132,136が前記熱可塑性合成樹脂繊維の融点未満の温度とされていることから、前記プレス型131,135の型面132,136により冷却されて次第に温度が低下し、前記熱可塑性合成樹脂繊維の溶融温度より低くなって前記不織布100の溶融部分を冷却硬化させる。
【0029】
また、前記透視可能部及び不透明部の同時プレス工程において、前記不透明部17を形成する型面(実施例では、前記治具133,137が設けられていない部分)が、前記熱可塑性合成樹脂繊維の融点未満の温度、すなわち前記複合熱可塑性合成樹脂繊維においては前記低融点樹脂の部分22,32を構成する樹脂の融点未満の温度とされており、しかも、前記不織布100が、前記不織布加熱工程により、前記熱可塑性合成樹脂繊維の表面の溶融可能な温度、すなわち、前記複合熱可塑性合成樹脂繊維においては、前記低融点樹脂の部分22,32を構成する樹脂の融点以上であって前記高融点樹脂の部分21,31を構成する樹脂の融点未満の温度に加熱されているため、前記不透明部17を形成する型面(実施例では、前記治具133,137が設けられていない部分)で押圧された前記不織布100の部分は、型面により冷却されて繊維構造を維持した状態で型面形状に賦形され、前記不透明部17となる。その際、前記不透明部17の中心部18cは、前記型面から離れているため、型面による冷却が遅くなり、前記不織布加熱工程で加熱された温度と略等しい状態でプレスされることになり、前記繊維同士が密着し、あるいは融着して緻密状の構造に形成される。
【0030】
その後、図11に示すように、前記プレス型131,135を開き、前記シート材10を取り出す。なお、前記芯鞘構造の複合熱可塑性合成樹脂繊維の不織布を用いた実施例では、前記プレス型131,135の型面132,136の温度を60℃、予め加熱した前記治具133,137の温度を180℃、プレス時間を30秒、前記透視可能部15を形成する型面によるプレス厚み(プレス時の型面間隔)を0.1mm、前記不透明部17を形成する型面132,136によるプレス厚み(プレス時の治具間隔)を0.5mmとした。
【0031】
前記シート材10の製造方法における第2実施形態は、前記透視可能部15のためのプレスを別工程で行うものであり、不織布加熱工程、第1プレス工程、第2プレス工程よりなる。なお、前記第1実施形態と同様の部材等については同一の符号を用いて示す。
【0032】
前記第2実施形態の不織布加熱工程は、前記第1実施形態と同様に行われる。続く第1プレス工程では、図12に示すように、加熱後の不織布100をプレス型131,135でプレスし、前記不透明部17を形成する。前記プレス型131,135の型面132,136は、前記シート材10の表面形状に応じた形状とされている。また、前記型面132,136は、前記不織布100において少なくとも前記不透明部17と対応する部分を押圧するように構成されている。図示の例では、前記不透明部17及び前記透視可能部15の両方に対応する部分を押圧できるように構成されており、前記第1プレス工程によって前記不織布100は、前記シート材10の不透明部17を含む不織布100の全面が不透明となる。なお、前記型面132,136の温度は、前記熱可塑性合成樹脂繊維の融点未満の温度、すなわち前記複合熱可塑性合成樹脂繊維においては前記低融点樹脂の部分22,32を構成する樹脂の融点未満の温度とされる。
【0033】
第2プレス工程では、図13に示すように、前記第1プレス工程によって得られた不透明部を有する不織布101に対し、前記透視可能部15を形成する部分を、加熱治具134,138でプレスして前記透視可能部15を形成し、冷却して前記シート材10を得る。なお、前記加熱治具134,138は、予め加熱されるものでも、あるいはヒータ等の加熱手段で加熱されるものでもよく、前記熱可塑性合成樹脂繊維の全体が溶融可能な温度、すなわち、前記複合熱可塑性合成樹脂繊維においては前記高融点樹脂の部分21,31を構成する樹脂の融点以上の温度に加熱される。また、前記治具134,138でプレスした部分の冷却は、前記治具134,138を前記不織布から離すことにより、あるいは冷風を吹き付ける等により行われる。
【0034】
なお、前記実施形態の説明においては、自動車のドアシール材を例にして説明したが、本発明のシート材は、それに限定されるものではなく、種々の用途に使用可能である。特には、吸音性が求められると共に一部において一側の面から反対側の面が透視可能なことが求められる用途に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態に係るシート材を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】同実施形態におけるシート材の固定状態を示す斜視図である。
【図4】図3のB−B断面図である。
【図5】複合熱可塑性合成樹脂繊維の例を示す断面図である。
【図6】成形前の不織布の構造を示す模式図である。
【図7】熱可塑性合成樹脂繊維同士が部分的に溶着した状態を示す模式図である。
【図8】透視可能部の概略断面図である。
【図9】不織布加熱工程を示す図である。
【図10】透視可能部及び不透明部の同時プレス工程を示す図である。
【図11】シート材の取り出しを示す図である。
【図12】第1プレス工程を示す図である。
【図13】第2プレス工程及びシート材の取り出しを示す図である。
【図14】ドアシール材を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
10 シート材
15 透視可能部
17 不透明部
18a,18b 表面部(両面部)
18c 中心部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性合成樹脂繊維の不織布からなるシート材において、
前記シート材の一部は、繊維が溶融化してソリッド状を呈し、一側の面から反対側の面を透視可能な透明又は半透明の透視可能部で構成されていることを特徴とするシート材。
【請求項2】
前記透視可能部は片面の少なくとも一部が他部材への固定部とされていることを特徴とする請求項1に記載のシート材。
【請求項3】
前記透視可能部は前記シート材の外周部に位置していることを特徴とする請求項1または2に記載のシート材。
【請求項4】
前記シート材の透視可能部以外の部分は表面に繊維構造を有し、中心部には繊維同士が密着または融着して緻密状になっている中心層を有していることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のシート材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2008−6999(P2008−6999A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−180656(P2006−180656)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】