説明

シート貼付装置および貼付方法

【課題】被着体の側面部分に接着シートを適度に回り込ませて貼付することができるシート貼付装置および貼付方法を提供すること。
【解決手段】内側支持手段2を昇降させて支持面22と外側支持手段3の平坦面33とを相対移動させてから接着シートSを貼付し、ウェハWの側面WC部分へ接着シートSを回り込んだ状態で貼付することで、ウェハWの側面WC部分に接着シートSを密着させることができ、後工程で裏面WBを研削する場合でも、ウェハWの表面に洗浄水が入り込むことを防止することができる。さらに、接着シートSの回り込み量を適切に調節することで、後工程の研削時に接着シートSの切断端部が研削部材との間に入り込んだり、捲れ上がったりしてウェハWや回路を破損させてしまうといった不都合を回避することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被着体にシートを貼付するシート貼付装置および貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造工程において、被着体としての半導体ウェハ(以下、単にウェハという場合がある)の表面に保護テープ等の接着シートを貼付するシート貼付装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。このシート貼付装置では、チャックテーブルに保持したウェハの表面上方に接着シートを配置した状態で、接着シート上に貼付ローラを転動させて接着シートをウェハの表面に貼付するとともに、貼付した接着シートをウェハの外縁に沿ってカッタ刃で切断するように構成されている。また、接着シートは、ウェハの表面だけではなく、チャックテーブルを囲んでウェハの表面と略同一高さに設けられた枠材にも貼付されるようになっており、これにより貼付ローラで押圧した際の接着シートの伸びを抑制し、接着シート切断後のウェハに反りが発生しにくくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−47976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたシート貼付装置のように、ウェハの表面と略同一高さに枠材が設けられていると、接着シートは、ウェハの側面に回り込むことなく当該ウェハの表面のみに貼付されることとなり、ウェハ側面が接着シートで覆われない状態となってしまう。このため、接着シートを貼付したウェハの裏面研削工程等において、ウェハと接着シートの切断端部との間から洗浄水等がウェハ表面に入り込んでしまい、ウェハ表面の回路を破損させてしまうという不都合が生じる。
また、裏面研削前のウェハの厚みや裏面研削量つまり研削後のウェハの厚みは、ウェハの種別やチップの用途等に応じて様々な値に設定されることから、ウェハの側面に接着シートを回り込ませたとしても、その回り込み量が大きすぎると、裏面研削工程等において、接着シートが研削部材との間に入り込んでしまい、ウェハを破損させてしまったり、接着シートの切断端部が捲れ上がり、その部位から洗浄水等がウェハ表面側に入り込んでしまい、ウェハ表面の回路を破損させてしまったりするという不都合が生じる。一方、回り込み量が小さいと、前述のようにウェハと接着シートの切断端部との間から洗浄水等が浸入する。
【0005】
本発明の目的は、被着体の側面部分に接着シートを適度に回り込ませて貼付することができるシート貼付装置および貼付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明のシート貼付装置は、被着体の一方の面に接着シートを貼付するシート貼付装置であって、前記被着体を他方の面側から支持する支持面を有した内側支持手段と、前記内側支持手段を囲み前記支持面と略平行な平坦面を有した外側支持手段と、前記支持面に支持した被着体の一方の面と前記外側支持手段の平坦面とに対向させて前記接着シートを供給する供給手段と、前記接着シートを前記被着体の一方の面と前記外側支持手段の平坦面とに押圧して貼付する押圧手段と、前記内側支持手段の支持面と外側支持手段の平坦面とを面直交方向に相対移動させることで前記接着シートを前記被着体の側面部分に回り込んだ状態で貼付可能とする移動手段とを備える、という構成を採用している。
【0007】
この際、本発明のシート貼付装置は、前記被着体の一方の面と前記外側支持手段の表面とに貼付した接着シートを前記被着体の外縁に沿って切断する切断手段を備えることが好ましい。
さらに、前記切断手段は、前記被着体の側面部分に回り込んだ状態で貼付された前記接着シートを所定の回り込み量に調節して切断可能に設けられていることが好ましい。
また、前記切断手段は、切断傾斜角度を変更する傾斜角度変更手段を備えて構成されることが好ましい。
【0008】
一方、本発明のシート貼付方法は、被着体の一方の面に接着シートを貼付するシート貼付方法であって、他方の面側から支持した被着体の一方の面と、当該被着体を囲む外側支持手段との相対位置を調節し、前記被着体の一方の面と前記外側支持手段とに対向させて前記接着シートを供給し、前記被着体の一方の面を前記外側支持手段の平坦面よりも前記供給された接着シートに近付けた状態とし、前記接着シートを前記被着体の一方の面と前記外側支持手段とに押圧するとともに、前記接着シートを前記被着体の側面部分に回り込んだ状態で貼付することを特徴とする。
この際、本発明のシート貼付方法では、前記被着体の一方の面と前記外側支持手段とに貼付した接着シートを前記被着体の外縁に沿って切断手段で切断する際に、前記被着体の側面部分に回り込んだ状態で貼付された前記接着シートを所定の回り込み量に調節して切断することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
以上のような本発明によれば、移動手段によって内側支持手段の支持面と外側支持手段の平坦面とを面直交方向に相対移動させ、接着シートを被着体の側面部分に回り込んだ状態で貼付することで、後工程で水等の流体を用いて被着体を処理する場合があっても、当該流体が被着体と接着シートとの間から入り込むことを抑制し、例えば、被着体が特許文献1のようなウェハのような場合でも、洗浄水等がウェハ表面側に入り込んでウェハの回路を破損させてしまうといった不都合を解消することができる。
また、切断手段を設けた構成では、被着体からはみ出る大きさの接着シートを貼付した場合に、不要な接着シート部分を除去することができ、例えば、被着体が特許文献1のようなウェハのような場合、裏面研削時に接着シートが研削部材との間に入り込んでしまうような不都合を解消することができる。
さらに、切断手段が接着シートを所定の回り込み量になるように調節して切断可能に設けられた場合、ウェハの研削後の厚みを考慮して接着シートを切断することができ、回り込み量が大きすぎたり、小さすぎたりすることでウェハや回路を破損させてしまうといった不都合を解消することができる。
また、切断手段が傾斜角度変更手段を備えた場合、切断手段の傾斜によって接着シートの回り込み量を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係るシート貼付装置の全体図。
【図2】図1のシート貼付装置の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態では、特に明示しない限り、「上」、「下」、「左」、「右」といった方位を示す用語は、図1を基準として用いる。
図1において、シート貼付装置1は、一方の面である表面WAと他方の面である裏面WBとを有した被着体としてのウェハWに対し、回路が形成された表面WAに接着シートSを貼付するとともに、貼付した接着シートSをウェハWの外縁に沿って切断する装置である。ウェハWの側面WCは、側面視で表面WAと裏面WBとを繋ぐ円弧形状に設けられている。このシート貼付装置1は、裏面WB側からウェハWを支持する内側支持手段2と、この内側支持手段2を囲んで設けられる外側支持手段3と、この外側支持手段3に対して内側支持手段2を昇降させる移動手段としての直動モータ4とを備えている。さらに、シート貼付装置1は、ウェハWの表面WAに対向させて帯状の接着シートSを供給する供給手段5と、供給された接着シートSの接着剤AD面を外側支持手段3およびウェハWの表面WAに押圧して貼付する押圧手段6と、ウェハWに貼付された接着シートSを当該ウェハWの外縁に沿って切断する切断手段7と、各部の動作を制御する制御手段8とを備えて構成されている。
【0012】
内側支持手段2は、図示しない吸引口を介して裏面WB側からウェハWを吸着保持する円盤状の外形を有するテーブル21を備えて構成されている。このテーブル21は、ウェハWの裏面WB(平坦面)と略同一の外形でかつ平坦な支持面22を有して形成され、この支持面22によってウェハWの裏面WB全面を下方から支持できるように構成されている。
【0013】
外側支持手段3は、底版部31と、この底版部31の外方から立ち上がる側壁部32とを有し、上方に円筒状の開口34を有する方形状の外形を有し、この開口34内に、所定間隔の隙間を隔ててテーブル21が配置されている。側壁部32の上面には、テーブル21の支持面22と平行でかつ平坦な平坦面33が形成され、ウェハWの表面WAとともに平坦面33にも接着シートSが貼付されるようになっている。なお、平坦面33には、貼付された接着シートSを剥離可能なように、フッ素樹脂等が積層されて不接着処理が施されている。
【0014】
直動モータ4は、本体41が外側支持手段3の底版部31上面に固定されるとともに、出力軸42がテーブル21下面に固定され、制御手段8からの指令に基づき出力軸42を進退駆動することでテーブル21を上下方向に移動可能になっている。
【0015】
供給手段5は、外側支持手段3に対して左側である接着シートSの供給側に設けられる供給側フレーム5Aと、外側支持手段3に対して右側である回収側に設けられる回収側フレーム5Bと、図示しないリニアモータなどの駆動機器で駆動されて左右方向に移動自在に設けられる移動フレーム5Cとを備えて構成されている。
【0016】
供給側フレーム5Aには、基材BSに接着剤ADが積層され、ロール状に巻回された接着シートSを支持する支持ローラ51と、支持ローラ51から引き出された接着シートSを案内するガイドローラ52と、駆動機器としてのモータ53Aで駆動されて接着シートSを送り出す駆動ローラ53と、この駆動ローラ53との間に接着シートSを挟み込むピンチローラ54とが設けられている。回収側フレーム5Bには、図示しないモータ等の駆動機器で駆動されて接着シートSの不要部分を巻き取って回収する回収ローラ55と、接着シートSの不要部分を案内する2つのガイドローラ56とが設けられている。移動フレーム5Cには、駆動機器としてのモータ57Aで駆動される駆動ローラ57と、この駆動ローラ57との間に接着シートSを挟み込むピンチローラ58とが設けられている。
【0017】
押圧手段6は、図示しないリニアモータなどの駆動機器で駆動されて左右方向に移動自在に設けられるフレーム61と、このフレーム61に支持されて接着シートSの基材BS側に当接可能な押圧ローラ62と、フレーム61を上下動させる図示しない直動モータ等の駆動機器とを備えて構成されている。なお、押圧ローラ62は、ゴムや樹脂等で構成された弾性変形可能な部材によって形成されている。
【0018】
切断手段7は、外側支持手段3よりも図1中紙面奥側に設けられた駆動機器としての多関節ロボット71と、この多関節ロボット71の先端部に設けられる切断刃72とを備えて構成されている。多関節ロボット71は、ベース73と、このベース73に対して鉛直軸PA(上下方向の軸)を中心として回転可能に軸支された第1アーム711と、この第1アーム711に対して鉛直軸PAに直交する水平軸(図1では紙面直交方向の軸)を中心として回転可能に軸支された第2アーム712と、この第2アーム712に対して水平軸を中心にして回転可能に軸支された第3アーム713と、この第3アーム713の延出軸EAを中心として回転可能に軸支された第4アーム714と、この第4アーム714に対して延出軸EAに直交する軸(図1では紙面直交方向の軸)を中心として回転可能に軸支された第5アーム715と、この第5アーム715の延出軸CAを中心として回転可能に軸支された第6アーム716とを備え、第6アーム716に設けられた図示しないチャック機構によって、切断刃72が取り付けられたカッターツール78を支持可能に設けられている。また、多関節ロボット71は、傾斜角度変更手段としても機能し、切断刃72の切断傾斜角度θ(図2参照)が変更可能に構成されている。これにより、多関節ロボット71は、第1〜第6のアーム711〜716を相互にリンクさせて駆使し、ウェハWの外縁に沿って切断刃72を移動させ、この移動に伴って刻々変化する切断刃72のどの位置においても、切断傾斜角度θが所定の角度となるように制御可能となっている。なお、切断傾斜角度θとは、切断刃72をその切断方向正面から見たときの当該切断刃72とウェハWに貼付された接着シートSとで形成される角度のことをいう。
【0019】
制御手段8は、CPUなどの演算手段やメモリなどの記憶手段を有したコンピュータからなる制御装置81と、オペレータの操作や適宜な検出手段に基づいてウェハWや接着シートS等に関する各種情報を制御装置81に入力する入力手段82とを備えて構成されている。ここで、各種情報としては、ウェハWの径寸法や厚み寸法t、後工程で裏面WBを研削する際の研削後厚み寸法t1、側面WCの断面形状やその円弧寸法、面取り寸法、接着シート回り込み量SD1、切断後回り込み量SD2、接着シートSの厚み寸法tsや幅寸法などが例示できる。なお、それら各種情報は、入力手段82から制御装置81に入力してもよいし、図示しないセンサ等の検出手段によって自動で制御装置81に入力してもよいし、予め制御装置81のメモリに記憶させておいてもよい。制御装置81は、各種情報に応じて、側面WC部分に対する接着シート回り込み量SD1や、切断刃72の切断傾斜角度θを演算手段で算出するとともに、算出結果に基づく制御指令を直動モータ4や切断手段7等の駆動機器に出力する。
【0020】
以下、シート貼付装置1の動作を説明する。
先ず、各種情報を入力手段82から制御装置81に入力してシート貼付装置1をスタンバイ状態としておく。その後、ウェハWが内側支持手段2の支持面22に載置されると、供給手段5は、駆動ローラ57を停止したままで移動フレーム5Cを外側支持手段3の左側から右方向に移動し、この移動に同期して支持ローラ51から接着シートSの未使用部分を繰り出すとともに、回収ローラ55で接着シートSの不要部分を巻き取る。これにより、外側支持手段3の平坦面33およびウェハWの表面WAの上方に接着シートSの接着剤AD側を対向させて供給する。次に、制御装置81からの指令を受けた直動モータ4の駆動により内側支持手段2が上昇または下降し、外側支持手段3の平坦面33に対して支持面22を高さ方向(図1中上下方向)に相対移動させる。この相対移動量は、図2に示すように、ウェハWの側面WC部分に対する接着シートS回り込み量SD1に応じて制御装置81で算出され、ウェハWの厚み寸法tから接着シート回り込み量SD1を引いた値の分だけ、支持面22が平坦面33よりも下方向に移動する。
【0021】
次に、押圧手段6は、図示しない直動モータを駆動して押圧ローラ62を下降させ、この押圧ローラ62で接着シートSを押し下げ、接着剤AD面を平坦面33に押圧する。さらに、押圧手段6は、押圧ローラ62を押圧したままで図示しないリニアモータを駆動し、押圧ローラ62を左方向に移動させて接着シートS上を転動させ、平坦面33およびウェハWの表面WAに順次接着剤AD面を押圧して貼付する。この際、前述のように内側支持手段2の高さ位置が調節され、ウェハWの表面WAと外側支持手段3の平坦面33とに所定の段差が形成されているため、弾性変形可能な押圧ローラ62で押圧された接着シートSは、接着シート回り込み量SD1分だけ側面WC部分に回り込んで貼付される。
【0022】
以上のようにして平坦面33およびウェハWの表面WAに接着シートSを貼付した後、切断手段7は、多関節ロボット71を駆動して切断刃72を接着シートSに突き刺すとともに、制御手段8に入力されたウェハWの径寸法の情報を基にしてウェハWの外縁に沿って接着シートSを切断する。この際、多関節ロボット71は、制御手段8に入力された切断後回り込み量SD2の値に応じて切断刃72の切断傾斜角度θが決定される。具体的には、図2(A)に示すように、ウェハWの厚みの中程まで接着シートSが回り込む場合には、切断傾斜角度θが直角に近い角度(直角でも可)になるように変更し、図2(B)に示すように回り込み量が小さい場合には、切断傾斜角度θが鋭角で小さくなるように変更し、図2(C)に示すように回り込み量が大きい場合には、切断傾斜角度θが鈍角で大きくなるように変更する。このように切断後回り込み量SD2を残して接着シートSを切断することで、後工程で裏面WBを研削する際に洗浄水等がウェハと接着シートSとの間から入り込むことを効率的に防止することができる。また、切断後回り込み量SD2は、研削後厚み寸法t1を考慮して当該研削後厚み寸法t1以下に設定されることが好ましく、研削後厚み寸法t1に対する所定割合になるように、制御手段8で自動設定するようにしてもよい。このように研削後厚み寸法t1を考慮して切断後回り込み量SD2を設定することで、裏面WBを研削する際に接着シートSが研削刃に巻き込まれ、ウェハWや研削装置が破損することを防止することができる。
【0023】
以上のようにして接着シートSを切断したら、切断手段7が退避するとともに押圧ローラ62が上昇し、接着シートSが貼付されたウェハWは、適宜な搬送装置によって搬出されて裏面研削などの後工程に送られる。その後、供給手段5は、移動フレーム5Cを図1中左方向に移動させることでウェハWの外縁に沿って切断され、平坦面33上に貼付されている接着シートSの不要部分を駆動ローラ57で剥離する。そして、次のウェハWが内側支持手段2上に載置されると、以降上述と同様の動作が繰り返される。
【0024】
以上のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
すなわち、内側支持手段2を昇降させて支持面22と外側支持手段3の平坦面33とを相対移動させてから接着シートSを貼付し、ウェハWの側面WC部分へ接着シートSを回り込んだ状態(接着シート回り込み量SD1)で貼付することで、ウェハWの側面WC部分に接着シートSを密着させることができ、後工程で裏面WBを研削する場合でも、ウェハWの表面WAに洗浄水が入り込むことを防止することができる。さらに、多関節ロボット71が接着シートSを所定の回り込み量(切断後回り込み量SD2)になるように調節して切断可能に設けられているので、ウェハWの研削後の厚みを考慮して接着シートSを切断することができ、切断後回り込み量SD2が大きすぎたり、小さすぎたりすることで、後工程の研削時に接着シートSの切断端部が研削部材との間に入り込んだり、捲れ上がったりしてウェハWや回路を破損させてしまうといった不都合を解消することができる。
【0025】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0026】
例えば、前記実施形態では、被着体が半導体ウェハWである場合を示したが、被着体は半導体ウェハWに限定されるものではなく、ガラス板、鋼板、または、樹脂板等、その他の部材も対象とすることができ、半導体ウェハとしては、シリコン半導体ウェハや化合物半導体ウェハ等が例示できる。
また、接着シートSは、マウント用シートや、保護シート、ダイシングテープ、ダイボンディングテープなど、半導体ウェハに貼付される各種シートやテープ、フィルムであってもよいし、被着体が半導体ウェハ以外の部材である場合には、接着シート以外に表面コーティング用のシートやフィルム、装飾用のシートなど、適宜な用途のシートが利用可能である。
【0027】
また、前記実施形態では、切断手段7を用いて接着シートSをウェハWの外縁に沿って切断したが、切断手段7は必須ではなく、接着シートを切断しなくてもよい。さらに、後工程において被着体の裏面を研削することは本発明の必須要件ではなく、裏面を研削しなくてもよい。このように接着シートを切断しない場合や、裏面を研削しない場合であっても、被着体の側面部分に接着シートを回り込ませて貼付することにより、接着シートを確実に被着体の表面に貼付することができるといった効果が得られる。
また、前記実施形態では、直動モータ4で内側支持手段2を昇降させることで支持面22と平坦面33とを相対移動させる構成を採用したが、外側支持手段3を移動させてもよいし、内側支持手段2および外側支持手段3の両方を移動させてもよい。
さらに、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【符号の説明】
【0028】
1 シート貼付装置
2 内側支持手段
3 外側支持手段
4 直動モータ(移動手段)
5 供給手段
6 押圧手段
7 切断手段
8 制御手段
22 支持面
33 平坦面
79 モータ(傾斜角度変更手段)
82 入力手段
S 接着シート
W ウェハ(被着体)
WA 表面(一方の面)
WB 裏面(他方の面)
WC 側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被着体の一方の面に接着シートを貼付するシート貼付装置であって、
前記被着体を他方の面側から支持する支持面を有した内側支持手段と、
前記内側支持手段を囲み前記支持面と略平行な平坦面を有した外側支持手段と、
前記支持面に支持した被着体の一方の面と前記外側支持手段の平坦面とに対向させて前記接着シートを供給する供給手段と、
前記接着シートを前記被着体の一方の面と前記外側支持手段の平坦面とに押圧して貼付する押圧手段と、
前記内側支持手段の支持面と外側支持手段の平坦面とを面直交方向に相対移動させることで前記接着シートを前記被着体の側面部分に回り込んだ状態で貼付可能とする移動手段とを備えることを特徴とするシート貼付装置。
【請求項2】
前記被着体の一方の面と前記外側支持手段の表面とに貼付した接着シートを前記被着体の外縁に沿って切断する切断手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のシート貼付装置。
【請求項3】
前記切断手段は、前記被着体の側面部分に回り込んだ状態で貼付された前記接着シートを所定の回り込み量に調節して切断可能に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のシート貼付装置。
【請求項4】
前記切断手段は、切断傾斜角度を変更する傾斜角度変更手段を備えて構成されることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のシート貼付装置。
【請求項5】
被着体の一方の面に接着シートを貼付するシート貼付方法であって、
他方の面側から支持した被着体の一方の面と、当該被着体を囲む外側支持手段との相対位置を調節し、
前記被着体の一方の面と前記外側支持手段とに対向させて前記接着シートを供給し、
前記被着体の一方の面を前記外側支持手段の平坦面よりも前記供給された接着シートに近付けた状態とし、
前記接着シートを前記被着体の一方の面と前記外側支持手段とに押圧するとともに、前記接着シートを前記被着体の側面部分に回り込んだ状態で貼付することを特徴とするシート貼付方法。
【請求項6】
前記被着体の一方の面と前記外側支持手段とに貼付した接着シートを前記被着体の外縁に沿って切断手段で切断する際に、前記被着体の側面部分に回り込んだ状態で貼付された前記接着シートを所定の回り込み量に調節して切断することを特徴とする請求項5に記載のシート貼付方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−198979(P2011−198979A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63715(P2010−63715)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】