説明

シーラーの塗布品質検査装置

【課題】 シーラーの塗布品質の管理を正確に行う。
【解決手段】 レーザー投光機18によって、ウインドガラス12上に塗布されたシーラー16に対し、塗布ガン14と平行な方向からレーザースリット光Lを照射し、シーラー16の断面形状を、レーザースリット光の線形状として視認可能とする。制御手段24において、レーザースリット光の照射軸に対する傾斜角の小さいカメラ20で撮影した画像に基づき、画像内でのワーク表面座標及びシーラー16の幅を検出する。また、カメラ20で撮影した画像に基づき検出された画像内でのワーク表面座標と、レーザースリット光の照射軸に対して傾斜角の大きいカメラ22で撮影した画像とに基づき、シーラー16の高さを検出する。よって、シーラー16の断面形状を正確に把握し、シーラー16の塗布高さとシーラーの塗布幅を正確に求めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーラーの塗布品質検査技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のボディとウインドガラスとの接合部における防水性を十分に確保するためには、ウインドガラスの周囲を囲むように塗布されるシーラーの塗布品質を管理する必要がある。そこで、従来から、ウインドガラスに塗布されたシーラーの塗布高さから塗布品質の良否を判断することが可能な、塗布高さの検出装置が発明されている(例えば、特許文献1。)。
【0003】
【特許文献1】特許第2598143号公報(〔請求項1〕、〔図1〕)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のごとく、シーラーの塗布品質をシーラーの塗布高さのみから把握する手法では、実際に塗布されたシーラーの量の把握が十分ではなく、シーラーの品質管理としては不十分となる場合があった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、シーラーの塗布品質の管理を正確に行うことを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための、本発明に係るシーラーの塗布品質検査装置は、ワークの表面と交差する方向から、塗布ガンによりワーク上に塗布されたシーラーに対し、前記塗布ガンと平行にレーザースリット光を照射するレーザー投光機と、レーザースリット光の照射軸に対して、互いに異なる二つの角度から、前記シーラーに照射されたレーザースリット光を撮影する二つのカメラと、レーザースリット光の照射軸に対する傾斜角の小さいカメラで撮影した画像に基づき画像内でのワーク表面座標と、シーラー幅とを検出し、かつ、前記検出された画像内でのワーク表面座標と、レーザースリット光の照射軸に対して傾斜角の大きいカメラで撮影した画像とに基づき、シーラー高さを検出する制御手段とを備えることを特徴とするものである。
【0006】
本発明によれば、レーザー投光機によって、ワーク上に塗布されたシーラーに対し塗布ガンと平行な方向からレーザースリット光を照射することにより、シーラーの断面形状をシーラーの表面に表れるレーザースリット光の線形状で視認可能とする。また、二つのカメラによって、レーザースリット光の照射軸に対して、互いに異なる二つの角度から、前記シーラーに照射されたレーザースリット光の線形状を撮影する。ここで、各カメラによって撮影される、レーザースリット光の線形状によって表されたシーラーの断面形状は、撮影方向の違いから、各々異なる形状となる。この際、レーザースリット光の照射軸に対する傾斜角の小さいカメラで撮影した画像は、シーラーを上方から見下ろすようにして、レーザースリット光の線形状によって表されたシーラーの断面形状を撮影することとなる。よって、シーラーの断面形状は高さ方向を縮めた形状として画像に表れ、高さ方向の寸法の分解能は著しく低下するが、レーザースリット光がシーラー自体に隠されることなく、シーラーの幅方向全体にわたる形状の撮影が可能となる。
【0007】
一方、レーザースリット光の照射軸に対して傾斜角の大きいカメラで撮影した画像では、レーザースリット光の線形状によって表されたシーラーの断面形状の高さ方向の寸法は、実際の寸法に近づき、高さ方向の分解能が向上する。しかしながら、特にシーラーの塗布軌跡が湾曲するような場所では、シーラー自体によって、レーザースリット光の線形状によって表されたシーラーの幅方向の一部が隠されるような事態が生じる。
そこで、本発明では、制御手段によって、レーザースリット光の照射軸に対する傾斜角の小さいカメラで撮影した画像に基づき、画像内でのワーク表面座標と、シーラー幅とを検出する。また、検出された画像内でのワーク表面座標と、レーザースリット光の照射軸に対して傾斜角の大きいカメラで撮影した画像とに基づき、シーラー高さを検出する。よって、シーラーの断面形状を正確に把握し、シーラーの塗布高さとシーラーの塗布幅を求めることができる。
【0008】
また、本発明では、前記レーザー投光機および前記二つのカメラは、前記塗布ガンと一体に固定され、なおかつ、前記レーザー照射軸に対して傾斜角の大きいカメラは、シーラーの塗布軌跡を避けた位置に設けられていることとする。
この構成によれば、シーラーを塗布するワークの表面が自由曲面であっても、塗布ガンの三次元の動きに追従し、レーザー投光機は、ワーク上に塗布されたシーラーに対し塗布ガンと平行な方向からレーザースリット光を照射すると共に、二つのカメラも、互いに異なる二つの角度を一定に維持して、レーザースリット光の線形状によって表されたシーラーの断面形状を撮影することが可能となる。
また、レーザースリット光の線形状によって表されたシーラーの断面形状の、高さ方向の寸法は、撮影位置がワークの表面に近いほど、実際の寸法に近い寸法で撮影され、高さ寸法の分解能は向上する。よって、前記レーザー照射軸に対して傾斜角の大きいカメラは、ワークの表面に可能な限り近い位置に配置することが望ましい。一方、カメラをワークの表面に接近させると、ワークの表面に塗布されたシーラーと干渉する虞が生じる。そこで、前記レーザー照射軸に対して傾斜角の大きいカメラを、シーラーの塗布軌跡を避けた位置に設けることにより、可能な限りワークの表面に近付け、シーラーの高さ寸法の分解能を向上させることが可能となる。
【0009】
また、上記課題を解決するための、本発明に係るシーラーの塗布品質検査方法は、ワークの表面と交差する方向から、塗布ガンによりワーク上に塗布されたシーラーに対し、前記塗布ガンと並行にレーザースリット光を照射し、レーザースリット光の照射軸に対して互いに異なる二つの角度から、前記シーラーに照射されたレーザースリット光を撮影し、レーザースリット光の照射軸に対する傾斜角の小さい方向から撮影した画像に基づき画像内でのワーク表面座標と、シーラー幅とを検出し、前記検出された画像内でのワーク表面座標と、レーザースリット光の照射軸に対して傾斜角の大きい方向から撮影した画像とに基づき、シーラー高さを検出する各ステップを含むことを備えることを特徴とするものである。
【0010】
本発明によれば、ワーク上に塗布されたシーラーに対し塗布ガンと平行な方向からレーザースリット光を照射することにより、シーラーの断面形状をシーラーの表面に表れるレーザースリット光の線形状で視認可能とする。また、レーザースリット光の照射軸に対して、互いに異なる二つの角度から、前記シーラーに照射されたレーザースリット光の線形状を撮影する。ここで、レーザースリット光の線形状によって表されたシーラーの断面形状は、撮影方向の違いから、各々異なる形状となる。、レーザースリット光の照射軸に対する傾斜角の小さい方向からで撮影した画像は、シーラーを上方から見下ろすようにして、レーザースリット光の線形状によって表されたシーラーの断面形状を撮影することとなる。よって、シーラーの断面形状は高さ方向を縮めた形状として画像に表れ、高さ方向の寸法の分解能は著しく低下するが、レーザースリット光がシーラー自体に隠されることなく、シーラーの幅方向全体にわたる形状の撮影が可能となる。
【0011】
一方、レーザースリット光の照射軸に対して傾斜角の大きい方向から撮影した画像では、レーザースリット光の線形状によって表されたシーラーの断面形状の高さ方向の寸法は、実際の寸法に近づき、高さ方向の分解能が向上する。しかしながら、特にシーラーの塗布軌跡が湾曲するような場所では、シーラー自体によって、レーザースリット光の線形状によって表されたシーラーの幅方向の一部が隠されるような事態が生じる。
そこで、本発明では、制御手段によって、レーザースリット光の照射軸に対する傾斜角の小さいカメラで撮影した画像に基づき、画像内でのワーク表面座標と、シーラー幅とを検出する。また、検出された画像内でのワーク表面座標と、レーザースリット光の照射軸に対して傾斜角の大きいカメラで撮影した画像とに基づき、シーラー高さを検出する。よって、シーラーの断面形状を正確に把握し、シーラーの塗布高さとシーラーの塗布幅を求めることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明はこのように構成したので、シーラーの塗布品質の管理を正確に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の実施の形態に係るシーラーの塗布品質検査装置10の、要部を示している。この検査装置10は、ウインドガラス12の表面と交差する方向(本発明の実施の形態では、直交する方向)から、塗布ガン14によりウインドガラス12上に塗布されたシーラー16に対し、塗布ガン14と平行にレーザースリット光Lを照射するレーザー投光機18を備えている。また、レーザースリット光Lの照射軸に対して、互いに異なる二つの角度から、シーラー16に照射されたレーザースリット光Lを撮影するカメラ20、22を備えている。ここで、カメラ20は、レーザースリット光Lの照射軸に対する傾斜角の小さいカメラである。また、カメラ22は、レーザースリット光Lの照射軸に対する傾斜角の大きいカメラである。また、図1(b)に示すように、レーザースリット光の照射軸に対する傾斜角の小さいカメラ20は、シーラー16の軌跡上に位置するように配置されるが、レーザースリット光の照射軸に対する傾斜角の大きいカメラ22は、後述する理由から、シーラー16の塗布軌跡を避けた位置、特に、ウインドガラス12の外側へとオフセットした位置に配置される。なお、何れのカメラ20、22にも、CCDカメラを用いることが可能である。
また、検査装置10は、パーソナルコンピュータ等を用いて構成される制御手段24と、塗布設備制御盤26とを備えている。
【0014】
なお、塗布ガン14は、シーラー16の断面形状が三角形となるようなノズルを有している。また、図2に示すように、塗布ガン14は、塗布ロボット28のアームに支持されていることから、ウインドガラス12の自由曲面に沿って、ウインドガラス12の表面に対し直交する方向を維持して、三次元の移動が可能となっている。したがって、ウインドガラス12の端縁部に沿って塗布ガン14が移動し、シーラー16を、ウインドガラス12の端縁部に沿って塗布することとが可能となる。また、レーザー投光機18および二つのカメラ20,22は、ブラケット30によって塗布ガン14と一体に固定されていることから、ウインドガラス12に対するこれらの機器の距離および姿勢も、常に一定に保たれる。
【0015】
検査装置10は、塗布ガン14によりウインドガラス12に対しシーラー16を塗布する作業と同時進行で、シーラー16の塗布品質を検査するものであり、次のような手順で検査を行う。まず、ウインドガラス12の表面と直交する方向から、塗布ガン14によりウインドガラス12上にシーラー16を塗布する。この際、塗布ガン14を移動させる塗布ロボット28の動作は、塗布設備制御盤26によって制御される。また、レーザー投光機18によって塗布されたシーラー16に対し、塗布ガン14と並行にレーザースリット光Lを照射する。この際、レーザースリット光Lが、シーラー16を幅方向に横切るように照射する。そして、シーラー16に照射されたレーザースリット光Lの線形状を、カメラ20、22によって撮影する。
【0016】
制御手段24では、カメラ20、22で撮影された画像に基づき、図3に示すような手順で情報処理を行う。
(1)幅およびガラス面計測用画像入力
幅およびガラス面計測用画像が制御手段24に入力される。ここで、幅およびガラス面計測用画像は、レーザースリット光の照射軸に対する傾斜角の小さいカメラ20で撮影された画像であり、図4(a)に例示するような画像となる。
(2)幅算出
レーザースリット光の照射軸に対する傾斜角の小さいカメラ20で撮影された画像(図4(a)参照)から、シーラーの幅寸法Wを算出する。
(3)ガラス面座標算出。
レーザースリット光の照射軸に対する傾斜角の小さいカメラ20で撮影された画像には、図4(a)に示すように、シーラー上に照射されたレーザースリット光LSのみならず、ウインドガラスの表面に照射されたレーザースリット光LWも写されているため、画像内におけるガラス面座標を、レーザースリット光LWから算出することが可能である。
(4)高さ計測用画像入力
高さ計測用画像が制御手段24に入力される。ここで、高さ計測用画像は、レーザースリット光の照射軸に対する傾斜角の大きいカメラ22で撮影された画像であり、図4(b)に例示するような画像となる。
(5)座標変換
二つのカメラ20、22で撮影された画像を、座標変換によって一対一に対応付ける。そして、ステップ(3)において、幅およびガラス面計測用画像(図4(a))から算出したガラス座標を、高さ計測用画像(図4(b))の座標に変換する。
(6)仮想ガラス面算出
ステップ(5)において、高さ計測用画像(図4(b))用に変換されたガラス座標に基づき、高さ計測用画像(図4(b))における、仮想ガラス面を算出する。
(7)高さ算出
ステップ(6)で算出された仮想ガラス面と、高さ計測用画像(図4(b))から抽出されるシーラー頂点との距離を、シーラー16の高さHとして算出する。
【0017】
以上の手順により、制御手段24において、シーラー16の幅Wおよび高さHを求め、これらの値が規格外と判断された場合には、制御装置24から塗布設備制御盤26へとNG信号を送信し、塗布設備制御盤26はNGとなったウインドガラス12を排除する。
【0018】
上記構成を有する本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能となる。本発明の実施の形態では、レーザー投光機18によって、ウインドガラス12上に塗布されたシーラー16に対し、塗布ガン14と平行な方向からレーザースリット光Lを照射することにより、シーラー16の断面形状を、レーザースリット光の線形状として視認可能とする。そして、二つのカメラ20、22によって、レーザースリット光Lの照射軸に対して、互いに異なる二つの角度から、シーラー16に照射されたレーザースリット光LS、LWを撮影する。
【0019】
ここで、各カメラ20、22によって撮影される、レーザースリット光の線形状によって表されたシーラー16の断面形状は、撮影方向の違いから、互いに異なる形状となる(図4(a)、(b)のLS、LWを参照。)。そして、図5(a)に示すように、レーザースリット光Lの照射軸に対する傾斜角θの小さいカメラ20は、シーラーを上方から見下ろすようにして、レーザースリット光Lにより線状に表された、シーラー16の断面形状を撮影することとなるので、図5(b)に示すように、その撮影画像上では、シーラー16の断面形状は高さ方向を縮めた形状として表れる。したがって、カメラ20により撮影された画像に基づく、シーラー16の高さ方向の寸法の分解能は著しく低下する。
【0020】
一方、図6(a)に示すように、レーザースリット光Lの照射軸に対する傾斜角θの大きいカメラ22により撮影した画像では、図6(b)に示すように、レーザースリット光の線形状によって表されたシーラー16の、断面形状の高さ方向の寸法は、実際の寸法に近づき、高さ方向の分解能が向上する。しかしながら、図6(c)に示すように、ウインドガラス12の角部等のシーラー16の塗布軌跡が湾曲するような場所では、シーラー16自体によって、レーザースリット光Lの線形状として表されたシーラーの断面形状のうち、幅方向の一部が隠されるような事態が生じる(図4(b)参照)。
他方、レーザースリット光Lの照射軸に対する傾斜角θの小さいカメラ20は、前述のように、シーラーを上方から見下ろすようにして、レーザースリット光Lにより線状に表されたシーラー16の断面形状を撮影することとなるので、図5(c)に示すように、シーラー16の塗布軌跡が湾曲するような場所であっても、レーザースリット光LSによって表されたシーラーの断面形状がシーラー自体に隠されることなく、シーラー16の幅方向全体にわたる形状の撮影が可能となる。
【0021】
そこで、本発明の実施の形態では、制御手段24において、レーザースリット光の照射軸に対する傾斜角の小さいカメラ20で撮影した画像(図4(a)のLS、LW)に基づき、画像内でのワーク表面座標及びシーラー幅Wを検出する。また、カメラ20で撮影した画像(図4(a))に基づき検出された画像内でのワーク表面座標と、レーザースリット光の照射軸に対して傾斜角の大きいカメラ22で撮影した画像(図4(b))とに基づき、シーラー高さHを検出する。よって、シーラー16の断面形状を正確に把握し、シーラー16の塗布高さHとシーラーの塗布幅Wを正確に求めることができる。
【0022】
また、レーザー投光機14および二つのカメラ20、22は、ブラケット30によって塗布ガン14と一体に固定され、なおかつ、レーザー照射軸に対して傾斜角の大きいカメラ22は、シーラーの塗布軌跡を避けた位置に設けられている。よって、シーラー16を塗布するウインドガラス12の自由曲面に沿って、レーザー投光機14および二つのカメラ20、22も、塗布ガン14の三次元の動きに追従することにより、レーザー投光機14は、ウインドガラス12上に塗布されたシーラー16に対し、常時、塗布ガン14と平行な方向からレーザースリット光Lを照射することができる。また、二つのカメラ20、22は、互いに異なる二つの角度を常に一定に維持して、レーザースリット光Lの線形状として表された、シーラーの断面形状を撮影することが可能となる。
【0023】
なお、レーザースリット光Lの線形状として表されたシーラー16の断面形状の、高さ方向の寸法H(図4(b))は、カメラ22の撮影位置がウインドガラス12の表面に近いほど、実際の寸法に近い寸法で撮影され、高さ寸法の分解能は向上する。したがって、レーザー照射軸に対して傾斜角の大きいカメラ22は、ウインドガラス12の表面に可能な限り近い位置に配置することが望ましい。一方、カメラ22をウインドガラス12の表面に接近させると、ウインドガラス12の表面に塗布されたシーラー16と干渉する虞が生じる。そこで、本発明の実施の形態では、レーザー照射軸に対して傾斜角の大きいカメラ22を、シーラー16の塗布軌跡を避けた位置、特にウインドガラス12との干渉を避けるために、ウインドガラス12の外側へとオフセットした位置に設けることにより、可能な限りウインドガラスの表面に近付け、シーラー16の高さ寸法の分解能を向上させることが可能となる。
【0024】
また、カメラ22の傾斜角θは、高さ方向の分解能を高める上では、90°に近づけることが望ましい。そこで、ウインドガラス12およびシーラー16に干渉しないように、カメラ22をウインドガラス12の外側にオフセットさせて、かつ、カメラ22の傾斜角θを90°に設定することとしても良い。一方、レーザー照射軸に対する傾斜角θの小さいカメラ20により撮影される画像には、シーラー16の幅寸法を得るに足るだけの突起が現われる必要がある。よって、カメラ20の傾斜角度は0°とせず、撮影される画像中に、シーラー16上に照射された突起状のレーザースリット光LS(図4(b)参照)が確認されるだけの傾斜角度を設定することとする。
【0025】
以上のごとく、本発明の実施の形態によれば、ウインドガラス12に塗布されたシーラーの塗布品質の管理を正確に行うことが可能となるものである。なお、本発明は、ウインドガラス以外のワークに対し塗布されたシーラーその他の粘性材料の塗布品質検査にも、適用可能であることは理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態に係るシーラーの塗布品質検査装置の要部を示すものであり、(a)は要部の全体構成を、(b)は(a)に側面図として示すレーザー投光機近傍部分を、平面視した図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るシーラーの塗布品質検査装置の全体図である。
【図3】図1に示すシーラーの塗布品質検査装置の、制御手段における画像処理手順を示すブロック図である。
【図4】図1に示すシーラーの塗布品質検査装置において撮影された画像を示すものであり、(a)はレーザースリット光の照射軸に対する傾斜角の小さいカメラで撮影された画像を、(b)はレーザースリット光の照射軸に対する傾斜角の大きいカメラで撮影された画像を示している。
【図5】(a)は、レーザー投光機と、レーザースリット光の照射軸に対する傾斜角の小さいカメラとを示す側面図であり、(b)は、そのカメラによって撮影される画像であり、(c)は、シーラーの塗布軌跡が湾曲するような場所におけるシーラーの撮影時の様子を示す斜視図である。
【図6】(a)は、レーザー投光機と、レーザースリット光の照射軸に対する傾斜角の大きいカメラとを示す側面図であり、(b)は、そのカメラによって撮影される画像であり、(c)は、シーラーの塗布軌跡が湾曲するような場所におけるシーラーの撮影時の様子を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
10:シーラーの塗布品質検査装置、12:ウインドガラス、14:塗布ガン、16:シーラー、18:レーザー投光機、 20、22:カメラ、24:制御手段、L、LS、LW:レーザースリット光


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの表面と交差する方向から、塗布ガンによりワーク上に塗布されたシーラーに対し、前記塗布ガンと平行にレーザースリット光を照射するレーザー投光機と、
レーザースリット光の照射軸に対して、互いに異なる二つの角度から、前記シーラーに照射されたレーザースリット光を撮影する二つのカメラと、
レーザースリット光の照射軸に対する傾斜角の小さいカメラで撮影した画像に基づき画像内でのワーク表面座標と、シーラー幅とを検出し、かつ、前記検出された画像内でのワーク表面座標と、レーザースリット光の照射軸に対して傾斜角の大きいカメラで撮影した画像とに基づき、シーラー高さを検出する制御手段とを備えることを特徴とするシーラーの塗布品質検査装置。
【請求項2】
前記レーザー投光機および前記二つのカメラは、前記塗布ガンと一体に固定され、なおかつ、前記レーザー照射軸に対して傾斜角の大きいカメラは、シーラーの塗布軌跡を避けた位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載のシーラーの塗布品質検査装置。
【請求項3】
ワークの表面と交差する方向から、塗布ガンによりワーク上に塗布されたシーラーに対し、前記塗布ガンと並行にレーザースリット光を照射し、
レーザースリット光の照射軸に対して互いに異なる二つの角度から、前記シーラーに照射されたレーザースリット光を撮影し、
レーザースリット光の照射軸に対する傾斜角の小さい方向から撮影した画像に基づき画像内でのワーク表面座標と、シーラー幅とを検出し、
前記検出された画像内でのワーク表面座標と、レーザースリット光の照射軸に対して傾斜角の大きい方向から撮影した画像とに基づき、シーラー高さを検出する各ステップを含むことを備えることを特徴とするシーラーの塗布品質検査方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−167620(P2006−167620A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−364448(P2004−364448)
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(504462342)株式会社アイシス (2)
【Fターム(参考)】