説明

シールアセンブリ

【課題】ターボ機械用シールアセンブリの漏出及び放出を減らすと共に効率を高めることが可能な構造を提供する。
【解決手段】ターボ機械は、固定ハウジングと軸の周りで回転可能なロータ20とを含む。シールアセンブリ32は、ロータ20と固定ハウジングとの中間に配置される複数の弓形パッキンリングセグメント46と、これらの複数の弓形パッキンリングセグメント46どうしの間に設けられる複数のセグメント間隙とを含む。複数のセグメント間隙は、ロータ20の半径方向軸42に対して第1角度56をなして傾斜し、且つ複数の弓形パッキンリングセグメント46の移動方向に傾斜している。シールアセンブリ32は更に、固定ハウジングと複数の弓形パッキンリングセグメント46との中間に配置され且つこれら両者に結合される、付勢部材48を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の主題は、ターボ機械に用いるシールの分野に関する。特に、本明細書に開示の主題は、タービン又は圧縮機内のロータ等の回転部品とケーシング又はステータ等の固定部品との境界面に適用するシールに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービン、蒸気タービン、航空エンジン、圧縮機、及びその他のターボ機械システムに用いるシールは、ロータとシールの摩擦を防ぐだけの大きさにロータのクリアランスが構成されることがあるので、過剰な漏出を生じ易い。ロータがシールに接触する「ロータ摩擦」とよばれる状態が生じると、シールが損傷して、その後、尚一層大きいクリアランスが創出される可能性がある。具体的には、ロータ摩擦は、ガスタービンの様々なロータ過渡状態で生じる可能性があり、これらの過渡状態には、ロータの動的励振、ロータとステータとの相対的な熱による歪み、又は、速度上昇に伴うジャーナル軸受での動圧潤滑膜の発達によるロータの心ずれが含まれる。ガスタービンが始動時等に臨界速度を超えると、撓みが生じることがある。ガスタービン内の別々の部品間での熱的不一致により、歪みが生じることがある。シールとロータの間のクリアランスを大きくする必要がある理由は、シールがステータに堅固に結合されることから、ロータ過渡状態時にシールがそのクリアランスを調節できないからである。ガスタービンの回転部品と固定部品との間のクリアランスは、タービンの効率と性能の両方に影響を及ぼす可能性がある。ガスタービンの設計においては、部品間の許容誤差が少ないほうが効率を高めることがある。同様のロータ過渡状態は、蒸気タービン、航空エンジン、又は圧縮機等のその他のターボ機械でも生じるが、こうした過渡状態は予測困難であることも多い。
【0003】
また、ばねによってシールをロータから引き離す方向に付勢して大きいクリアランスを形成する可変クリアランス正圧パッキン(VCPPP)リングを用いて、シールを構成することがある。これは、始動時のロータ過渡状態においてロータ摩擦を防ぐ一助となる。シールを隔てた差圧が増大して或る一定値を超えると、VCPPPリングに加わる力でリングが閉じ、ロータクリアランスが小さくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7384235号明細書
【発明の概要】
【0005】
本来、特許を受けようとする発明の範囲に含まれる一部の実施形態を以下に要約する。これらの実施形態は、あくまでも本発明に可能な形態の要約を提示することを意図したものであり、特許請求の範囲を限定することを意図したものではない。なお、本発明は、下記の実施形態に類似の、又は下記の実施形態とは異なる様々な形態を包含する。
【0006】
第1の実施形態において、ターボ機械用シールアセンブリを提供する。ターボ機械は、固定ハウジングと軸の周りで回転可能なロータとを含む。シールアセンブリは、ロータと固定ハウジングとの中間に配置される複数の弓形パッキンリングセグメントと、これらの複数の弓形パッキンリングセグメントどうしの間に設けられる複数のセグメント間隙とを含む。複数のセグメント間隙は、ロータの半径方向軸に対して第1角度をなして傾斜し、且つ複数の弓形パッキンリングセグメントの移動方向に傾斜する。シールアセンブリは更に、固定ハウジングと複数の弓形パッキンリングセグメントとの中間に配置され且つこれら両者に結合される、付勢部材を含む。
【0007】
第2の実施形態において、ターボ機械用シールアセンブリを提供する。ターボ機械は、固定ハウジングと軸の周りで回転可能なロータとを含む。シールアセンブリは、ロータと固定ハウジングとの中間に配置される複数の弓形パッキンリングセグメントと、これらの複数の弓形パッキンリングセグメントどうしの間に設けられる複数のセグメント間隙とを含む。複数のセグメント間隙は、ロータの半径方向軸に沿って構成される。シールアセンブリは更に、固定ハウジングと複数の弓形パッキンリングセグメントとの中間に配置され且つこれら両者に結合される、複数の付勢部材を含む。これらの複数の付勢部材は、ロータの軸に沿って見るとV形をなし、且つ複数の弓形パッキンリングセグメントに対称に結合される。
【0008】
第3の実施形態において、ロータと固定ハウジングとの中間に配置されるように構成された周方向セグメント化シールアセンブリのセグメントを提供する。このセグメントは、自身の半径方向軸に対して第1角度をなして傾斜する半径方向面を有し且つロータと固定ハウジングとの中間に配置されるように構成された、弓形パッキンリングセグメントを含む。
【0009】
全図面を通じて同様の符号で同様のパーツを示す添付図面を参照しながら下記の説明を読めば、本発明のこれら及びその他の特徴、態様、及び利点の理解が深まるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本開示の一実施形態に従ったタービンシステムの断面図である。
【図2】本開示の一実施形態に従ったシールアセンブリを有する、図1に示すタービンシステムのシーリング部分の斜視図である。
【図3】本開示の一実施形態に従った直線状のセグメント間隙を有するシールアセンブリの半径方向部分断面図である。
【図4】本開示の一実施形態に従った弓形セグメント間隙を有するシールアセンブリの半径方向部分断面図である。
【図5】本開示の一実施形態に従ったシールアセンブリに設けられる屈曲接合部を有する撓曲体の半径方向部分断面図である。
【図6】本開示の一実施形態に従ったシールアセンブリを有する、図1に示すタービンシステムのシーリング部分の斜視図である。
【図7】本開示の一実施形態に従った軸方向のロータ軸に対して傾斜したセグメント間隙を有するシールアセンブリの平面図である。
【図8】本開示の一実施形態に従った軸方向に非直線状のセグメント間隙を有するシールアセンブリの平面図である。
【図9】本開示の一実施形態に従ったターボ機械用シールアセンブリの作製プロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の1つ以上の具体的な実施形態を以下に記述する。これらの実施形態の説明を簡潔にするため、本明細書では、実際の実施における特徴の全てを記述しているわけではない。いかなる実際の実施形態の開発においても、いかなる工学的又は設計上の計画においても、実施形態ごとに異なるシステム上及びビジネス上の制約に合わせるといった、開発者の特定の目的を達成するために多くの、実施形態ごとの選択が必要であることは、理解されたい。また、このような開発努力は、煩雑で時間がかかるものとなり得るが、本開示による利益を享受する当業者にとっては、日常的な設計、製作、製造上の仕事であることも理解されたい。
【0012】
本発明の様々な実施形態の要素を説明するにあたり、単数名詞は、その要素が1つ以上存在し得ることを意図している。「備える」「含む」「有する」といった表現は、包括的な意味で、列挙した要素以外にも追加の要素が存在し得ることを意図している。
【0013】
図1は、様々な部品を含むが、分かりやすくするために一部の部品については図示しないタービンシステム10(即ちターボ機械)の一実施形態の断面図である。図示の実施形態において、ガスタービンシステム10は、圧縮器部12、燃焼器部14、及びタービン部16を含む。タービン部16は、固定ハウジング18と、軸22の周りで回転する回転要素20(即ちロータ)とを含む。動翼24は回転要素20に取り付けられ、静翼26は固定ハウジング18に取り付けられている。動翼24と静翼26とは、軸方向に交互に配置される。シュラウド付き動翼24と固定ハウジング18との間の位置28、回転要素20と静翼26との間の位置30、又は回転要素20と固定ハウジング18との間の末端パッキンシール位置32等、様々な実施形態に従ったセグメント間隙を有するシールアセンブリを配設可能な位置が幾つか考えられる。
【0014】
本明細書に記載のシールアセンブリでは、シールアセンブリのセグメントが半径方向及び周方向の両方に移動可能な、したがって漏出及び放出を減らすと共に効率を高めることが可能な構造を提供する。本明細書に記載のシールアセンブリは、図1のタービンシステム10等であるがこれに制限されない何らかの適切な回転機械に使用可能である。図2及び6は、シールアセンブリ32の例の斜視図である。図3〜5は、シールアセンブリ32の様々な実施形態の、線3−3に沿った半径方向部分断面図である。図7は、シールアセンブリ32の一実施形態の平面図である。図示の実施形態では、シールアセンブリ32により、回転要素20と固定ハウジング18の間の軸方向の漏出が低減される。具体的には、これらの実施例では、回転要素20が固定ハウジング18に対して回転する。
【0015】
図2は、図1のタービンシステム10のシールアセンブリ32の一実施形態を示す斜視図である。空気、燃料、蒸気、又はその他のガスが、上流側34からタービンシステム10に流入し、下流側36でシステムから流出する。図示の実施形態では、軸方向が軸40で示され、半径方向が軸42で示されている。弓形板44は、回転要素20に面する固定ハウジング18の弓形面に結合される。一部の実施形態では、板44は鋼又は鋼合金により作製される。また、この板の断面は、一部の実施形態では、図2に示すようなT形を呈する。板44をハウジング18に堅固に取り付けてもよい。加えて、板44を、完全な360度のリングとして、2個の180度の円弧体として、又は合わさって完全なリングを形成する更に小さい円弧体として設けることができる。また、一部の実施形態では、板44を、同様に構成された複数の板によって構成してもよい。
【0016】
弓形パッキンリングセグメント46は、板44と回転要素20との中間に配置される。1つ以上の弓形パッキンリングセグメント46を合わせて完全なリングを形成してよい。換言すれば、シールアセンブリ32は、周方向にセグメント化されていると言える。一部の実施形態では、弓形パッキンリングセグメント46は鋼又は鋼合金により作製される。更に、弓形パッキンリングセグメント46は、間隙47を有しつつ、板44と噛合するように構成される。付勢部材48が、固定ハウジング18と弓形パッキンリングセグメント46との中間に配置される。付勢部材48は、軸受撓曲体として機能すると共に、軸方向40に高い剛性を、そして半径方向42に低い剛性を呈する。軸方向に剛性が高いことで、軸方向の大幅な移動が抑制される。半径方向に剛性が低いことで、弓形パッキンリングセグメント46が半径方向に移動可能になる。加えて、付勢部材48は、弓形パッキンリングセグメント46の重さを支持し、無流量条件下におけるリングセグメントの回転要素20への接触を防ぐ。一部の実施形態において、付勢部材48は、複数の撓曲体で構成される。各撓曲体の第1端部50は、弓形パッキンリングセグメント46に機械的に結合され、各撓曲体の第2端部52は、固定ハウジング18に機械的に結合されるか、又は板44がT形である場合には板44に機械的に結合される。一部の実施形態において、機械的結合の例として、ボルト締結、溶接、又は2つの構造体を機械的に固着させるその他の適切な技術が含まれる。その他の実施形態では、第1端部50が弓形パッキンリングセグメント46の一体的部分であり、第2端部52がハウジング18に機械的に固着されていてもよい。また別の実施形態では、第2端部52が、固定ハウジング18の一体的部分であるか、又は板44がT形である場合は板44の一体的部分であり、第1端部50が弓形パッキンリングセグメント46に機械的に固着されていてよい。この実施形態において、各撓曲体は、幅と厚さのアスペクト比が大きいカンチレバーとして図示されている。また、軸方向に高い剛性と半径方向に低い剛性とを達成する、その他の撓曲体設計も可能である。
【0017】
図2に示すように、弓形パッキンリングセグメント46の半径方向の面54(即ち表面)は、半径方向42に対して第1角度56をなして傾斜している。以下に詳説するように、半径方向面54の傾斜により、弓形パッキンリングセグメント46が矢印58で示すように半径方向及び周方向の両方に移動可能になる。加えて、半径方向面54は略平面状である。その他の実施形態では、半径方向面54は曲面であってもよい。
【0018】
更に、図2には示さないが、回転要素20に面する弓形パッキンリングセグメント46の表面又は回転要素20そのものの表面は、歯状部、ブラシ、ワイヤ等であるがこれらに限定されない様々な漏出抑制システムを含み得る。例えば、漸進クリアランスラビリンスシールアセンブリは、上流側34から下流側36に向かってクリアランスが漸減する1つ以上の弓形歯状部を含み得る。このようなシールアセンブリは、動作時に自己補正挙動を呈する。具体的には、弓形歯状部の先端と回転要素20との間のクリアランスが拡大すると、流体静力学的なブローダウン圧力が増し、クリアランスが縮小する。このクリアランスが縮小すると、流体静力学的なリフトオフ圧力が増し、クリアランスが拡大する。クリアランスを維持することにより、漸進クリアランスラビリンスシールアセンブリは、軸方向の漏出を低減し、タービンの損傷を防止する一助となる。このように、漸進クリアランスラビリンスシールアセンブリは、弓形パッキングリングセグメント46の半径方向又は周方向の移動を利用して、所望の先端クリアランスの維持を助ける。以下に詳説する、セグメント間隙を有するシールアセンブリ32の実施形態は、このようなパッキンリングの移動を利用した、漸進クリアランスラビリンスシールアセンブリ及びその他のシールアセンブリにおける移動を可能にする。
【0019】
図3は、図2の線3−3に沿ったシールアセンブリ32の部分断面図である。図示の実施形態では、2つの弓形パッキンリングセグメント46が回転要素20と固定ハウジング18との中間に配置される。シールアセンブリ32は、更なる弓形パッキンリングセグメント46を含み、回転要素20の周りに完全な360度リングを形成してもよい。図示のように、セグメント間隙70が、2つの弓形パッキンリングセグメント46の間に設けられる。図示の例では、セグメント間隙70は、ロータ軸40に沿って見ると略直線状である。このようなセグメント間隙70が、回転要素20の周りの360度リングの残りの部分を形成する、追加の弓形パッキンリングセグメント46どうしの間に設けられる。セグメント間隙70は、セグメント間隙軸72と整合する。そのため、セグメント間隙70は、半径方向42とセグメント間隙軸72との間に形成される第1角度56をなして傾斜する。第1角度56は、例えば約0度〜約90度、10度〜60度、又は20度〜40度の範囲内である。パッキンリングセグメント46が矢印58で示すように半径方向と周方向との両方に移動可能なように、第1角度56の具体的な値が個々の用途に応じて選択される。弓形パッキンリングセグメント46の個数、幅、高さ、形状、又は構成等であるがこれらに制限されない要因が、第1角度56の値の選択に影響する。
【0020】
図3に、第1端部50において固定ハウジング18に結合され且つ第2端部52において弓形パッキンリングセグメント46に結合される、付勢部材48を示す。付勢部材48により、弓形パッキンリングセグメント46が矢印58で示す方向に移動可能になる。図示の実施形態では、セグメント間隙軸72が移動方向58とほぼ整合する。換言すれば、セグメント間隙70は移動方向58に傾斜する。図示のように、移動方向58は、弓形パッキンリングセグメント46の半径方向及び周方向の両方向への移動に対応している。セグメント間隙70は、個々の用途の必要性に基づいて選択可能な幅74によって画定される。例えば、幅74を最小限に抑えることにより、セグメント間隙70を介した漏出を低減することができる。様々な実施形態において、幅74は、例えば約2mm〜10mm又は4mm〜6mmの範囲内である。
【0021】
図4は、シールアセンブリ32の部分断面図である。図示の実施形態において、セグメント間隙70は、ロータ軸40に沿って見ると非直線状である。或いは、セグメント間隙70はロータ軸40に沿って見ると略弓形である。これに対応して、セグメント間隙軸72も弓形であってもよい。弓形のセグメント間隙70により、弓形パッキンリングセグメント46が、矢印58で示すような曲線をなす方向に移動可能になる。このような弓形のセグメント間隙70は、弓形パッキンリングセグメント46の撓みが大きい(例えば約5mm以上)用途等の特定の用途では、有利なこともある。例えば、弓形パッキンリングセグメント46及び/又は付勢部材48は、半径方向及び/又は周方向に移動する際に、撓み又は屈曲を生じることがある。そのため、弓形セグメント間隙70は、このような撓みに起因する、矢印58で示す方向のあらゆる変化に対応可能である。図4に示すシールアセンブリ32のその他の態様は、図3に関して上記に述べたものと同様である。
【0022】
図5は、シールアセンブリ32の部分断面図である。図5に示す弓形パッキンリングセグメント46は、図3に示す直線状のセグメント間隙70を有するリングセグメントと同様である。但し、図5の付勢部材(又は撓曲体)の構成は、図3及び4に示したものとは異なる。図5において、各弓形パッキンリングセグメント46は、二等分軸(又は二等分線)84について対称な一対のV形付勢部材(又は撓曲体)80により、固定ハウジング18に結合される。換言すれば、二等分軸84が弓形パッキンリングセグメント46を二等分し、V形付勢部材80が二等分軸84からほぼ等間隔に配置される。V形付勢部材80のV形は、ロータ軸40に沿って見ると明らかである。V形付勢部材80が二等分軸84について対称に配置されるため、弓形パッキンリングセグメント46は矢印86で示すようなほぼ半径方向に移動する。図示の実施形態では、弓形パッキンリングセグメント46の周方向の移動が制限されるので、セグメント間隙70(したがって、セグメント間隙軸72)は、半径方向42に沿って構成される。その他の実施形態では、二等分軸84について対称な、一対よりも多いV形付勢部材80が各々の弓形パッキンリングセグメント46に結合されていてもよい。
【0023】
図6は、シールアセンブリ32の一実施形態を示す斜視図である。図示の実施形態において、弓形パッキンリングセグメント46の半径方向面54は、ロータ軸40に対して第2角度90をなして傾斜する。第2角度90は、例えば約0度〜90度、10度〜60度、又は20度〜40度の範囲内である。第2角度90の具体的な値は、個々の用途に応じて、以下に詳細に述べるように軸方向の漏出の低減を促進するように選択される。弓形パッキンリングセグメント46の個数、幅、高さ、形状、又は構成等であるがこれらに制限されない要因が、第2角度90の値の選択に影響する。図6に示すシールアセンブリ32のその他の態様は、上記に詳述したシールアセンブリ32の様々な実施形態と同様である。
【0024】
図7は、図6の線7−7に沿ったシールアセンブリ32の平面図である。これに対応して、図6の斜視図は、図7の線6−6に沿った図を示している。図7では、わかりやすくするために弓形板44をなくし、弓形パッキンリングセグメント46の間隙47が見えるようにしている。図示のように、セグメント間隙軸74は、ロータ軸40に対して第2角度90をなして傾斜する。このような構成のセグメント間隙70は、セグメント間隙70が軸方向40に流れる流体と整合しないので、セグメント間隙70を介した軸方向の漏出を低減する一助となる。撓曲体の第2端部52は、図示のようにロータ軸40と整合するか、又はセグメント間隙軸72と整合する。
【0025】
図8は、シールアセンブリ32の一実施形態を示す平面図である。図示の実施形態では、セグメント間隙70は、軸方向40に非直線状である。或いは、セグメント間隙70は、ラビリンス状又は歯状構造に構成される。セグメント間隙70をこのように構成することにより、軸方向の漏出防止を促進する蛇行経路が得られる。セグメント間隙70の幾つかの表面は、全体的には非直線状であるものの、ロータ軸40とほぼ整合する。その他の実施形態では、セグメント間隙70の幾つかの表面は、図7に示すシールアセンブリ32と同様の第2角度90をなして傾斜している。
【0026】
図9は、シールアセンブリ32の作製プロセス120を示すフローチャートである。ステップ122において、傾斜面を有するパッキンリングセグメント46を形成する。これらの傾斜面は、例えば略平面状又は曲面状である。パッキンリングセグメント46は、円弧状であってよい。加えて、パッキンリングセグメント46の半径方向面54は、円弧の半径に対して第1角度56をなして傾斜している。ステップ124において、パッキンリングセグメント46を、固定ハウジング18に隣接し且つセグメント間隙70によって分離されるように、配設する。パッキンリングセグメント46の半径方向面54は、パッキンリングセグメント46の移動方向58に傾斜するように設けられており、このことによって、パッキンリングセグメント46が移動方向58に移動可能になる。ステップ126において、付勢部材48を用いてパッキンリングセグメント46を固定ハウジング18に結合する。付勢部材48は、パッキンリングセグメント46がセグメント間隙軸72にほぼ沿った移動方向58に移動可能になるように、構成される。
【0027】
本明細書では、最適な態様を含めた例を用いて本発明を開示しているが、これによって当業者は、任意の装置又はシステムの作製及び使用、並びにこれに付随する任意の方法の実施を含め、本発明を実施することができる。また、本明細書に提示した典型的な実施形態は、相互に組み合わせが可能で、開示されているその他の実施形態の特徴との組み合わせも可能な特徴を含む。本発明の特許請求の範囲は請求項に記載されているが、当業者に想到可能なその他の例も包含し得る。こうしたその他の例は、請求項の文言と相違ない構成要素を有する場合、又は請求項の文言と実質的に相違ない等価の構成要素を含む場合、本発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0028】
10 タービンシステム
12 圧縮器部
14 燃焼器部
16 タービン部
18 固定ハウジング
20 回転要素
22 軸
24 動翼
26 静翼
28 シュラウド付き動翼と固定ハウジングとの間の位置
30 回転要素と静翼との間の位置
32 末端パッキンシール位置
34 上流側
36 下流側
40 軸方向の軸
42 半径方向の軸
44 弓形板
46 弓形パッキンリングセグメント
47 間隙
48 付勢部材
50 撓曲体の第1端部
52 撓曲体の第2端部
54 半径方向面
56 第1角度
58 半径方向及び周方向の移動を示す矢印
70 セグメント間隙
72 セグメント間隙軸
74 セグメント間隙の幅
80 V形付勢部材
84 二等分軸
86 半径方向の移動を示す矢印
90 第2角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定ハウジング(18)と軸(22)周りで回転可能なロータ(20)とを含むターボ機械(10)用シールアセンブリ(32)であって、
前記ロータ(20)と前記固定ハウジング(18)との中間に配置される複数の弓形パッキンリングセグメント(46)と、
前記複数の弓形パッキンリングセグメント(46)どうしの間に設けられる複数のセグメント間隙(70)であって、前記ロータ(20)の半径方向軸(42)に対して第1角度(56)をなして傾斜し、且つ前記複数の弓形パッキンリングセグメント(46)の移動方向に傾斜している、複数のセグメント間隙(70)と、
前記固定ハウジング(18)と前記複数の弓形パッキンリングセグメント(46)との中間に配置され、且つ前記固定ハウジング(18)と前記複数の弓形パッキンリングセグメント(46)に結合される付勢部材(48)と、
を含むシールアセンブリ(32)。
【請求項2】
前記複数のセグメント間隙(70)により、前記複数の弓形パッキンリングセグメント(46)が半径方向(58)と周方向(58)との両方向に移動可能になる、請求項1に記載のシールアセンブリ(32)。
【請求項3】
前記複数のセグメント間隙(70)は、軸方向(40)に非直線状である、請求項1に記載のシールアセンブリ(32)。
【請求項4】
前記複数のセグメント間隙(70)は、前記ロータ(20)の前記軸(22)に沿って見ると直線状である、請求項1に記載のシールアセンブリ(32)。
【請求項5】
前記複数のセグメント間隙(70)は、前記ロータ(20)の前記軸(22)に沿って見ると弓形である、請求項1に記載のシールアセンブリ(32)。
【請求項6】
前記複数のセグメント間隙(70)は、前記ロータ(20)の前記軸(22)に対して第2角度(90)をなして傾斜する、請求項1に記載のシールアセンブリ(32)。
【請求項7】
前記付勢部材(48)は、前記固定ハウジング(18)と前記複数の弓形パッキンリングセグメント(46)とに機械的に結合される複数の撓曲体を含み、
前記複数の撓曲体は、軸受として機能し、且つ前記複数の弓形パッキンリングセグメント(46)の半径方向(42)の移動を可能にしつつ軸方向(40)の移動を抑制するように構成される、請求項1に記載のシールアセンブリ(32)。
【請求項8】
動作時に自己補正挙動を呈するように構成される漸進クリアランスラビリンスシールアセンブリを含む、請求項1に記載のシールアセンブリ(32)。
【請求項9】
固定ハウジング(18)と軸(22)周りで回転可能なロータ(20)とを含むターボ機械(10)用シールアセンブリ(32)であって、
前記ロータ(20)と前記固定ハウジング(18)との中間に配置される複数の弓形パッキンリングセグメント(46)と、
前記複数の弓形パッキンリングセグメント(46)どうしの間に設けられる複数のセグメント間隙(70)であって、前記ロータ(20)の半径方向軸(42)に沿って構成される複数のセグメント間隙(70)と、
前記固定ハウジング(18)と前記複数の弓形パッキンリングセグメント(46)との中間に配置され、且つ前記固定ハウジング(18)と前記複数の弓形パッキンリングセグメント(46)に結合される複数の付勢部材(80)であって、前記ロータ(20)の前記軸(22)に沿って見るとV形であり、前記複数の弓形パッキンリングセグメント(46)に対称に結合される複数の付勢部材(80)と、
を含むシールアセンブリ(32)。
【請求項10】
前記複数の付勢部材(80)が前記複数の弓形パッキンリングセグメント(46)に対称に結合されることと前記複数のセグメント間隙(70)の構成とにより、前記複数の弓形パッキンリングセグメント(46)は実質的に半径方向(86)に移動可能になる、請求項9に記載のシールアセンブリ(32)。
【請求項11】
前記複数のセグメント間隙(70)は、前記ロータ(40)の前記軸(22)に沿って見ると直線状である、請求項9に記載のシールアセンブリ。
【請求項12】
前記複数のセグメント間隙(70)は、前記ロータ(20)の前記軸(22)に対して第2角度(90)をなして傾斜する、請求項9に記載のシールアセンブリ(32)。
【請求項13】
前記複数の付勢部材(80)の各々は、前記固定ハウジング(18)と前記複数の弓形パッキンリングセグメント(46)の各々とに機械的に結合される一対の撓曲体を含み、
前記一対の撓曲体は、軸受として機能し、且つ前記複数の弓形パッキンリングセグメント(46)の各々の半径方向(86)の移動を可能にしつつ軸方向(40)の移動を抑制するように構成される、請求項9に記載のシールアセンブリ(32)。
【請求項14】
複数対の撓曲体を含む、請求項13に記載のシールアセンブリ。
【請求項15】
動作時に自己補正挙動を呈するように構成される漸進クリアランスラビリンスシールアセンブリを含む、請求項9に記載のシールアセンブリ(32)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−117671(P2012−117671A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−255666(P2011−255666)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】