説明

ジチエニルビニリデンコポリマーから製造される半導体材料

芳香族または複素芳香族のπ共役システムを有するジチエニルビニレンコポリマーから製造した新しい半導体材料が開示されている。これらのコポリマーは、製膜後の熱処理がまったくあるいは殆ど無くても、高い電荷キャリアー移動度及び/又は優れた電流変調特性を示す。また、本発明のポリマーは、改善された溶液加工性や低い熱処理温度などの特定の加工上の長所も有している。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
電子時代の幕開け以来、エレクトロニクスやマイクロエレクトロニクスの主たる構成要素は、無機電極と絶縁体と半導体とを基にする電界効果トランジスタ(FET)であった。これらの材料は、信頼性が高く高度に効率的であることがわかっており、ムーアの法則に従って性能が向上している。最近、電子回路中の能動材料と受動材料の両方としての有機材料が開発された。分子材料や高分子材料系の有機FET(OFET)は、従来のケイ素技術に競合するのではなく、特殊分野で、例えば低価格ラジオ波技術や、センサー、発光など、またディスプレイ装置中の画素ドライブや開閉素子などの集積光電子装置として需要がある。これらの系は、その利点のため、例えば気相/液相での加工性や、いろいろな基板(例えば、軟質プラスチック)に対する親和性や、複雑な構造への加工性などのため、広く検討されている。低コスト大面積で柔軟で軽量な装置に対して継続的な需要があるため、また無機の半導体に比べてずっと低い基板温度でこれらの材料を加工するプロセスが可能であるため、この傾向がさらに強まっている。
【0002】
最も簡単でよく用いられるOFET装置の構成は、薄膜トランジスタ(TFT)構造であり、この構造では、下部にゲート(G)電極をもつ誘電体の上に有機半導体の薄膜が形成されている。接点を与える電荷注入用ドレイン−ソース(D−S)電極は、この有機フィルムの上に形成される(トップ配置)か、半導体の形成の前にFET誘電体の表面に形成される(ボトム配置)。G電極とD電極との間に電圧(VG)がかかっていない場合はS電極とD電極間の電流が小さく、装置はいわゆる「オフ」状態となる。VGをかけると、半導体中で誘電体層との界面に電荷が誘起される。その結果、ソース−ドレインバイアス(Vd)がかかると、S電極とD電極の間の回路に電流(Id)が流れ、トランジスタは「オン」状態となる。FET性能を評価する上で重要なパラメータは、単位電界における平均電荷キャリアードリフト速度を示す電解効果移動度(μ)であり、また「オン」状態と「オフ」状態間でのD−S電流の比率である電流オン/オフ比(Ion:Ioff)である。高性能OFETには、この電解効果移動度とオン/オフ比がともに、できる限り高いことが、例えば少なくともμが約0.1〜1cm2-1-1で、Ion:Ioffが−106であることが望ましい。
【0003】
ほとんどのOFETは、p型蓄積モードで、即ち半導体が正孔輸送物質として作用するモードで作動する。ほとんどの実用的な用途には、電解誘起された電荷の移動度が、約0.01cm2/Vsより大きいことが必要である。高性能を達成するには、有機半導体は、注入と電流容量の両方に関係する厳格な条件を満たす必要がある。特に(i)材料のHOMO/LUMOエネルギーが、実用的な電圧で正孔/電子注入をするのに好適である必要がある、(ii)材料の結晶構造がフロンティア軌道の十分な重なりを可能とし(例えば、π電子の重なりとエッジ/フェイス接触)、隣接する分子間を電荷が移動できるようにする必要がある。(iii)不純物は電荷キャリアー移動度を低下する可能性があるため、この化合物が極めて純粋である必要がある。(iv)材料の共役核部を選択的に配向させて、TFT基板の面内で電荷輸送が起こる(最も効率的な電荷輸送が、分子間π−π重複の方向に沿って起こる)ようにする必要がある。また、(v)結晶性の半導体のドメインが、ソース接点とドレイン接点間の領域を覆う必要があり、このためフィルムが単結晶的な構造をもつ必要がある。
【0004】
OFET中で用いられる有機p型半導体の中では、(オリゴ、ポリ)チオフェンとアセン系のものが最も検討されている。例えば、多複素環系のFETの最初の報告はポリチオフェンであり、ポリ(3−ヘキシル)チオフェンとα,ω−ジアルキルオリゴチオフェンが、それぞれ最初の高移動度ポリマーと高移動度小分子である。それ以降、π共役核部の化学修飾や環−環結合や置換様式の変更により、かなりの数の移動度の改善された半導性材料が見つかった。
【0005】
スピンコート法、スタンプ法、インクジェット印刷法などの溶液プロセスあるいはグラビア印刷やオフセット印刷などの大量印刷のコスト効率の良さを最大限に利用するためには、材料として高分子有機半導体が望ましい。ポリチオフェンの中では、可溶性の位置規則性ポリチオフェン、例えばポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)、またはポリ(3,3'''−ジドデシルクォーテルチオフェン)、ポリ(2,5−ビス−(3−ドデシルチオフェン−2−イル)−チエノ−(3,2−b)チオフェン、ポリ(4,8−ジドデシル−2,6−ビス−(3−メチル−チオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン)とその誘導体が、高い電荷キャリアー移動度を持つためOTFT用途に有望である。例えば、Ong、B. S. et af. J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 3378−3379; McCulloch、I. et al. Nat. Mater. 2006, 5, 328−333、およびPan、H. et al. Adv. Fund Mater. 2007, 17, 3574−3579を参照。
【0006】
最近の進歩にもかかわらず、これらのポリマーの重大な欠点の一つは、高い移動度を達成するためには、形成後の熱処理が必要なことである。熱処理温度は120℃〜200℃の範囲であり、その時間は15分間〜数時間である。柔軟性のエレクトロニクスで、有機半導体の熱処理温度がプラスチック基板のガラス転移温度または融点より高い場合は、半導体移動度が適正な値となる前に基板が軟化する。また、リール−リールプロセスを比較的低い熱処理温度で長時間にわたって行うと、大きなコストと低い収率となる。
【0007】
最新の高性能半導体のもう一つの欠点は、室温で汎用の有機溶媒に対する溶解度が低いことである。これらのポリマーは、ジクロロベンゼンなどの高沸点塩素化溶媒のみに十分に溶解し、場合によっては高温でのみ溶解する。
【0008】
このため、低コストでの有機エレクトロニクのリール−リール生産のためには、汎用有機溶媒にかなり高濃度で調整可能で、高温での厳しい熱処理を必要としない高分子半導体が必要である。
【0009】
ポリマー中のビニレン基は、主鎖中の芳香族性を低下させて電荷非局在化を促進してバンドギャップを低下させ、共役を進め、電荷輸送を改善するため、有利である。また、半導体主鎖中へのビニル基の導入は、近傍の芳香族単位間に一定程度の回転の自由度を与えると期待され、これは、溶解度を改善し、このためポリマーの加工性を改善し、さらに固体状態における分子の充填に必要なエネルギー(熱処理温度/時間)を低下させると期待される。またこれが、溶液法で製造される電子部品、例えばOTFTやOLEDやOPVの加工上の利点をもたらす。
【0010】
しかしながら、ポリマー中でのビニル基の利用は、ポリ(フェニレンビニレン)とポリ(チオフェンビニレン)(PTV)また合成・開発された誘導体に限られる。半導性ポリマーの最初の報告の中では、ポリ(パラ−フェニレンビニレン)(PPV)とその誘導体が、有機発光ダイオード(OLED)中の活性物質として用いられている。例えば、Burroughes、J. H. et al. Nature 1990, 347, 539−541、及びKraft, A. et al. Angew. Chem. Int. Ed. 1998, 37, 402−428を参照。PPVは、比較的大きなバンドギャップを持ち、小さな正孔移動度を持つ。このため、PTVとその誘導体はOTFT用途に用いられている。例えば、Fuchigami, H. T. et al. Appl. Phys. Lett. 1993, 63, 1372 ; Prins, P. et. al. Adv. Mater. 2005, 17, 718; Gillissen S. et al., Synth. Met. 2003, 135−136, 255、およびYamada, S. J. Chem. Soc、Chem. Commun. 1987, 1448を参照。ポリマー主鎖に沿ってのビニル結合の比率が高いと、これらのポリマーの固体状態が不均一となり、この結果、正孔移動度の測定値が、10-4〜10-2cm2/Vsでしかなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のような状況で、本発明は、最新装置の、上述のものも含むいろいろな不満足点や欠点を克服することのできる有機半導体材料およびそれに関連する組成物、複合物、及び/又は装置を提供する。
【0012】
より具体的には、本発明は、半導活性を有するポリマー、及びこれらのポリマーから製造される半導体材料であって、該ポリマーが、必要に応じて置換されたジチエニルビニレン(モノマーA)と芳香族または複素芳香族の環状基(モノマーB)とが共役したA−Bコポリマーであるものを提供する。本発明のポリマーを以下、ポリマーまたはコポリマーと呼ぶこととする。また、他の半導体系の装置での利用のために、これらのポリマーが他の部品と共に用いられてもよい。本発明のポリマーは、p型またはn型半導体材料の製造に用いることができ、またこれらの半導体材料は、今度は、いろいろな有機電子器具や構造物、装置の製造に、具体的には電界効果トランジスタやユニポーラ回路、相補回路、光起電装置、発光素子の製造に使用できる。
【0013】
本発明のポリマーは、半導体的な挙動を示すことができ、具体的には、電解効果装置中で高いキャリア移動度及び/又は優れた電流変調特性、また光起電装置中での光吸収/電荷分離を示すことができる。同様に、他の有機半導体系装置、例えばOPVやOLETやOLEDを、本明細書に記載の高分子材料を用いて効率的に製造することが可能である。また、本ポリマーは、溶液加工性及び/又は小さな熱処理温度/時間比などの特定の加工上の利点を持つことができる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のポリマーは、式I:
【0015】
【化1】

または式I’で表される。
【0016】
【化2】

【0017】
式中、パイ−1とパイ−2、R1、R2、R3、R4、y、y’、nは、下に定義の通りである。
【0018】
本発明はまた、本明細書に開示のポリマーや半導体材料、またこれらのポリマーや半導体材料を用いたいろいろな組成物や複合物、装置の製造方法を提供する。
【0019】
上記のまた他の本発明の特徴や利点は、以下の図や説明、請求の範囲からより一層明らかとなろう。
【0020】
以下に述べる図は説明を目的とするものである。これらの図は、決して本発明の範囲を減縮させたり制限することを意図したものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明のポリマー(P(T2−12−TVT))のCD2Cl2中での1H−NMRスペクトルを示す。
【図2】図2は、本発明のポリマー(P(T2−12−TVT))の、窒素下で走査速度が10°C /分で得られた代表的な示差走査熱量分析図を示す。
【図3】図3は、四種の異なる薄膜トランジスタの構成:a)ボトムゲート・トップコンタクト、b)ボトムゲート・ボトムコンタクト、c)トップゲート・ボトムコンタクト、及びd)トップゲート・トップコンタクトを示し、いずれの構成も、本発明のポリマーを利用することができる。
【図4】図4は、実施例3Aで用いたトランジスタ構造である。付番1は基板を表し、付番2は誘電体層を表す。
【図5】図5は、P(TS8TVT)系のトランジスタでその活性層が150℃で熱処理されたものの移動プロットの例を示す。
【図6】図6は、実施例3C〜3Eで用いたトランジスタ構造を示す。付番1は基板を表し、付番2は誘電体層を表す。
【図7】図7は、乾燥後のP(T2−12−TVT)系のトランジスタ(なんら熱処理なし)の移動プロットと抽出移動度の例を示す。
【図8a】図8aは、一種以上の本発明のポリマーを供与体材料及び/又は受容体材料として用いることのできるバルク−ヘテロ結合有機光起電装置(太陽電池とも呼ぶ)の代表的な構造を示す。付番1はITOアノードを表し、付番2はポリマーブレンド層を、付番3は金属カソードを表す。
【図8b】図8bは、一種以上の本発明のポリマーを電子輸送材料及び/又は発光材料及び/又は正孔輸送材料として用いることのできる有機発光素子の代表的な構造を示す。付番1はITOアノードを表し、付番2はポリマー層を、付番3は金属カソードを表す。
【0022】
表1には、本発明の代表的なポリマーを含むいろいろな例示TFTの構造といろいろな部品用の材料、製造方法をまとめた。
【0023】
表2には、環境条件下で半導体をいろいろな熱処理温度で処理して求めた本明細書のポリマー(P(TS8TVT))の正孔移動度例の例をまとめ、これを最新の高分子構造(P(TS8T2))と比較した。
【0024】
発明の詳細な説明
本発明は、ジチエニルビニレン系のコポリマーから製造される半導体材料に関する。本発明はまた、これらのコポリマーや半導体材料の製造方法、またこれらのコポリマーと半導体材料とを用いる組成物や複合物、材料、物品、構造物、装置に関する。
【0025】
本発明の一側面は、半導活性を有するポリマーとこれらのポリマーから製造される半導体材料を提供する。より具体的には、これらのポリマーは、ジチエニルビニレン誘導体を含む第一の繰返単位(基A)と一個以上の電子受容性または電子供与性の環状基を含む第二の繰返単位(基B)とからなるA−Bコポリマーである。基Aと基Bの両方は、通常芳香族のまたは高共役環状の(炭素環式または複素環式)核部を含み、この環状核部は、必要に応じて一個以上の電子吸引基性、電子供与性基及び/又は可溶化基で置換または官能化されていてもよい。基Aと基Bの組み合わせやいずれかの基による官能化は、次の事項により影響される。1)モノマーAとBの電子構造による、主たるキャリア型の変調、2)レジオレギュラー(位置規則性)ポリマーを与えうる重合の位置化学、3)ポリマー鎖の核部平面性と直線性、4)π共役型核部のさらなる官能化の可能性、5)溶液加工のためにポリマーの溶解度を増加させる可能性、6)強固なπ−π相互作用/分子間電子的カップリングの形成、および7)溶液からの加工の際の、得られるポリマーの、少なくとも部分的な結晶化の可能性。得られるポリマーとそれに関連する方法は、関連する装置(例えば、有機電界効果トランジスタ、発光トランジスタ、太陽電池など)の性能を改善するのに用いることができる。
【0026】
本明細書においては、組成物が特異な成分を有する、含む、あるいは含有すると記載されている、あるいはプロセスが特異的な加工段階を有する、含む、あるいは含有すると記載されているが、これは、本発明の組成物はまた、上記の成分からなっているかこれらから実質的になっていると、あるいは本発明のプロセスはまた、上記の加工工程からなっているかこれらから実質的になっていると考える。
【0027】
本出願においては、上記の素子または部品のリスト中に含まれる及び/又はリストから選ばれるとされるが、この素子または部品は、上記の素子または部品のいずれか一つであってもよく、上記の素子または部品の二つ以上からなる群からから選ばれてもよいと考えるべきである。また、ここの記載の組成物、装置、または方法の要素及び/又は形体は、ここに明示あるいは暗示されている本発明の精神と範囲から逸脱することなく、いろいろな様式で組み合わせることができるものとする。
【0028】
用語の「含む」や「有す」は、特記しない場合には、一般的には、開放的で、非制限的であると解する。
【0029】
特記しない場合、単数の使用は、複数を含むものとする(逆もまた真である)。また、定量的な値の前に用語「約」を使用する場合には、特記しない場合には、本発明はその特異な定量的な値そのものを含む。
【0030】
工程の順序または特定の処理を行う順序は、本発明が実施可能である限り重要でない。また、2つ以上の工程または処理を同時に行ってもよい。
【0031】
本明細書で用いられる「p型半導体材料」または「p型半導体」は、半導性材料で、例えば主たる電流キャリアとして正孔を有する有機半導性材料をさす。いくつかの実施様態においては、p型半導体は、支持体上に形成されると、約10-5cm2/Vsを超える正孔移動度を与えることがある。電解効果装置の場合、p型半導体材料はまた、約1000を超える電流オン/オフ比を示す必要がある。
【0032】
本明細書で用いる「n型半導体材料」または「n型半導体」は、半導性材料で、例えば主たる電流キャリアとして電子を有する有機半導性材料をさす。いくつかの実施様態においては、n型半導体は、支持体上に形成されると、約10-5cm2/Vsを超える.電子移動度を与えることがある。電解効果装置の場合、n型半導体材料はまた、約1000を超える電流オン/オフ比を示す必要がある。
【0033】
本明細書では、「溶液加工可能」は、スピンコート法や印刷(例えば、インクジェット印刷、グラビア印刷、オフセット印刷)、噴霧塗装、電気噴霧塗装、滴下塗布、浸漬塗装、ブレード塗装などのいろいろな溶液相プロセスで使用可能な化合物、材料、または組成物に用いられる。
【0034】
本明細書で用いる「ポリマー」または「高分子化合物」は、共有化学結合で連結された少なくとも二個以上の繰返単位を含む分子をさす。このポリマーまたは高分子化合物は、単一の繰返単位を持っていてもよいし、2つ以上の種類の異なる繰返単位を持っていてもよい。前者の場合は、このポリマーをホモポリマーとよぶ。後者の場合は、特にこのポリマーが化学的に大きく異なる繰返単位を持つ場合には、用語「コポリマー」または「共重合性化合物」が使用できる。特に断らない限り、コポリマー中の繰り返し単位の組み合わせは、頭−尾型であっても、頭−頭型、または尾−尾型であってもよい。また特に断らない限り、このコポリマーは、ランダムコポリマーであっても、交互コポリマーであっても、ブロックコポリマーであってもよい。
【0035】
本明細書で用いる「縮合環」または「縮合環基」は、少なくとも二種の環を持つ多環式の環系で、うち少なくとも一種の環が芳香族であるものをいい、このような芳香族環(炭素環式または複素環式)は、芳香族であっても、非芳香族、炭素環式、複素環式であってもよい少なくとも一種の他の環と共通の結合を有している。これらの多環式の環系は、高度に共役していてもよく、多環式の芳香族炭化水素があげられる。例えば、次式のリレン類、
【0036】
【化3】

【0037】
(式中、a0は、0〜3の範囲の整数である)、次式のコロネン類
【0038】
【化4】

【0039】
(式中、b0は、0〜3の範囲の整数である);また、次式の線状アセン類である。
【0040】
【化5】

【0041】
(式中、xは0〜4の範囲の整数である)。
【0042】
上述のように、この縮合環基は必要に応じて置換されていてもよい。本明細書で用いる「環状の基」には、一種以上の(例えば、1〜6種の)炭素環式または複素環式環があげられる。環状の基が多環式基である実施様態においては、この多環式系は、相互に縮合された(即ち、共通の結合を持つ)及び/又はスピロ原子を経由して相互に連結された一個以上の環を含むことができる。この環状の基は、シクロアルキル基であっても、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基であってもよく、上述のように必要に応じて置換されていてもよい。
【0043】
本明細書で用いる「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードをさす。
【0044】
本明細書で用いる「アルキル」は、直鎖状または分岐状の飽和炭化水素基をさす。アルキル基の例としては、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(例えば、n−プロピルやイソプロピル)、ブチル(例えば、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル)、ペンチル基(例えば、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル)などが挙げられる。いろいろな実施様態において、アルキル基は1〜20個の炭素原子をもつ基であり、即ちC1-20アルキル基である。いくつかの実施様態においては、アルキル基が1〜6個の炭素原子を持つことができ、「低級アルキル基」と呼ぶことができる。低級アルキル基の例としては、メチルや、エチル、プロピル(例えば、n−プロピルやiso−プロピル)、ブチル基(例えばn−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル)があげられる。いくつかの実施様態においては、上述のようにアルキル基が置換されていてもよい。アルキル基は、一般的には他のアルキル基、アルケニルまたはアルキニル基で置換されていない。
【0045】
本明細書で用いる「ハロアルキル」は、一個以上のハロゲン置換基を持つアルキル基をさす。ハロアルキル基の例としては、CF3、C25、CHF2、CH2F、CCl3、CHCl2、CH2Cl、C2Cl5等があげられる。ペルハロアルキル基、即ち、全ての水素原子がハロゲン原子で置換されたアルキル基(例えば、CF3やC25)は、「ハロアルキル」の定義内に含まれる。例えば、C1-20ハロアルキル基は、式−Cm2t−または−Cm2m-tt−をとることができ、式中、XはF、Cl、Br、またはIであり、もし、mが2t以下である場合、mは1〜20の範囲の整数であり、tは0〜40の範囲の整数である。本明細書に開示されているように、ペルハロアルキル基でないハロアルキル基は、必要に応じて置換されていてもよい。
【0046】
本明細書で用いる「アリールアルキル」は、−アルキル−アリール基であって、そのアリールアルキル基がアルキル基を経由して上に定義される化学構造に共有結合しているものをさす。アリールアルキル基は、−Y−C6-14のアリール基で定義されたものであり、Yは本明細書に定義するものである。アリールアルキル基の一例がベンジル基(−CH2−C65)である。アリールアルキル基は、必要に応じてアリール基で置換されていてもよく、及び/又はアルキル基が本明細書に開示されているように置換されていてもよい。
【0047】
本明細書で用いる「アルケニル」は、一個以上の炭素−炭素二重結合をもつ直鎖または分岐状のアルキル基をさす。アルケニル基の例としては、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、ヘキサジエニル基等が含まれる。この一個以上の炭素−炭素二重結合は、内部にあっても(例えば、2−ブテン)、あるいは末端にあってもよい(例えば、1−ブテン)。いろいろな実施様態において、アルケニル基は、2〜20個の炭素原子を持つことができ、即ちC2-20アルケニル基である。本明細書に開示されているように、いくつかの実施様態においては、アルケニル基は置換されていてもよい。アルケニル基は、一般的に他のアルケニル基またはアルキルまたはアルキニル基で置換されていない。
【0048】
本明細書で用いる「アルキニル」は、一個以上の炭素−炭素三重結合をもつ直鎖または分岐状のアルキル基である。アルキニル基の例としては、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル等が含まれる。この一個以上の炭素−炭素三重結合は、内部であっても(例えば、2−ブチン)、あるいは末端であってもよい(例えば、1−ブチン)。いろいろな実施様態において、アルキニル基は2〜20個の炭素原子をもつことができ、即ちC2-20アルキニル基である。本明細書に開示されているように、いくつかの実施様態においては、アルキニル基は置換されていてもよい。アルキニル基は、一般的には他のアルキニル基またはアルキルまたはアルケニル基で置換されていない。
【0049】
本明細書で用いる「シクロアルキル」は、環状のアルキル基やアルケニル基、アルキニル基を含む非芳香族炭素環基である。シクロアルキル基は、単環式であっても(例えば、シクロヘキシル)、あるいは多環式であってもよく(例えば、縮合環、架橋環及び/又はスピロ環系を含む)、その炭素原子は環系の内部に位置していても外部に位置していてもよい。シクロアルキル基が、いずれか適当な環位置で、上に定義される化学構造に共有結合していてもよい。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピルやシクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタトリエニル、ノルボルニル、ノルピニル、ノルカリル、アダマンチル、スピロ[4.5]デカニル基、さらにはその同族体や異性体等があげられる。本明細書に開示されているように、いくつかの実施様態においては、シクロアルキル基は置換されていてもよい。
【0050】
本明細書で用いる「ヘテロ原子」は、炭素または水素以外のいずれかの元素の原子であり、例えば、窒素や酸素、ケイ素、硫黄、リン、セレンがあげられる。
【0051】
本明細書で用いる「シクロヘテロアルキル」は、OとNとSから選ばれる少なくとも一種の環ヘテロ原子と、必要に応じて一個以上の二重または三重結合を含む非芳香族シクロアルキル基である。シクロヘテロアルキル環中の一個以上のNまたはS原子は、酸化されていてもよい(例えば、モルホリンN−オキシド、チオモルフォリンS−オキシド、チオモルフォリンS,S−ジオキシド)。いくつかの実施様態においては、本明細書に記載のように、シクロヘテロアルキル基の窒素原子は、置換基を、例えば水素原子、アルキル基、または他の置換基をもつことができる。シクロヘテロアルキル基は、一個以上のオキソ基を含むことができ、例えばピペリドン、オキサゾリジノン、ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン、ピリジン−2(1H)−オン等を含むことができる。シクロヘテロアルキル基の例としては、特に、モルホリン、チオモルフォリン、ピラン、イミダゾリジン、イミダゾリン、オキサゾリジン、ピラゾリジン、ピラゾリン、ピロリジン、ピロリン、テトラヒドロフラン、テトラハイドロチオフェン、ピペリジン、ピペラジン等があげられる。本明細書に開示されているように、いくつかの実施様態においては、シクロヘテロアルキル基は置換されていてもよい。
【0052】
本明細書で用いる「アリール」は、芳香族の単環式炭化水素環系、あるいは多環式の環系であって、内部で2つ以上の芳香族炭化水素環が相互に縮合し(即ち、共通の結合を有し)あるいは少なくとも一種の芳香族の単環式炭化水素環が一個以上のシクロアルキル及び/又はシクロヘテロアルキル環と縮合している環系をさす。アリール基は、その環系内に6〜30個の炭素原子を有し、複数の縮合環を含んでいてもよい。いくつかの実施様態においては、多環式アリール基は、8〜14個の炭素原子を持つことができる。アリール基のいずれか適当な環位置は、上に定義される化学構造に共有結合していてもよい。芳香族の炭素環式環のみからなるアリール基の例としては、フェニル、1−ナフチル(二環式)、2−ナフチル(二環式)、アントラセニル(三環式)、フェナンスレニル(三環式)などの基があげられる。少なくとも一種の芳香族の炭素環式環が一個以上のシクロアルキル及び/又はシクロヘテロアルキル環と縮合している多環式環系の例としては、特に、シクロペンタンのベンゾ誘導体(即ち、インダニル基、これは5,6−二環式シクロアルキル/芳香族環系である)、シクロヘキサンのベンゾ誘導体(即ち、テトラヒドロナフチル基、これは6,6−二環式シクロアルキル/芳香族環系である)、イミダゾリンのベンゾ誘導体(即ち、ベンズイミダゾリニル基、これは、5,6−二環式シクロヘテロアルキル/芳香族環系である)、ピランのベンゾ誘導体(即ち、クロメニル基、これは6,6−二環式シクロヘテロアルキル/芳香族環系である)があげられる。アリール基の他の例としては、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキソリル、クロマニル、インドリニル基等が含まれる。本明細書に開示されているように、いくつかの実施様態においては、アリール基は置換されていてもよい。いくつかの実施様態においては、アリール基は、一個以上のハロゲン置換基を持つことができ、「ハロアリール」基と呼ぶことができる。ペルハロアリール基、即ち、全ての水素原子がハロゲン原子で置換されたアリール基(例えば、−C65)は、「ハロアリール」の定義に含まれる。特定の実施様態においては、アリール基が他のアリール基で置換され、ビアリール基と呼ぶことができる。本明細書に開示されているように、ビアリール基中のそれぞれのアリール基は、置換されていてもよい。
【0053】
本明細書で用いる「ヘテロアリール」は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、セレン(Se)およびヒ素(As)から選ばれる少なくとも一個の環ヘテロ原子を含む芳香族単環系、あるいは環系中に存在する少なくとも一個の環が芳香族で少なくとも1個の環ヘテロ原子を含んでいる多環式環系である。多環式ヘテロアリール基は、相互に縮合した2個以上のヘテロアリール環と、一種以上の芳香族炭素環式環、非芳香族炭素環式環、及び/又は非芳香族シクロヘテロアルキル環に縮合した単環式のヘテロアリール環とを含む。ヘテロアリール基は、全体として、例えば5〜14環原子と1〜5個の環ヘテロ原子を持つことができる。このヘテロアリール基は、いずれかヘテロ原子または炭素原子で、上に定義される化学構造に結合することができ、この結果、安定な構造を与えることとなる。一般的には、ヘテロアリール環は、O−O、S−S、またはS−O結合を含まない。しかしながら、ヘテロアリール基中の一個以上のNまたはS原子は、酸化されていてもよい(例えば、ピリジンN−オキシド、チオフェンS−オキシド、チオフェンS,S−ジオキシド)。ヘテロアリール基の例としては、以下に示す五員環単環式環系と5−6二環式環系があげられる。
【0054】
【化6】

【0055】
式中、Tは、O、S、NH、N−アルキル、N−アリール、またはN−(アリールアルキル)(例えば、N−ベンジル)である。このようなヘテロアリール環の例としては、ピロリル、フリル、チエニル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、キノリル、2−メチルキノリル、イソキノリル、キノキサリル、キナゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズオキサジアゾリル、ベンズオキサゾリル、シンノリニル、1H−インダゾリル、2H−インダゾリル、インドリジニル、イソベンゾフリル、ナフチリジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、オキサゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、イミダゾピリジニル、フロピリジニル、チエノ−ピリジニル、ピリドピリミジニル、ピリドピラジニル、ピリドピリダジニル、チエノチアゾリル、チエノキサゾリル、チエノイミダゾリル基等があげられる。ヘテロアリール基の他の例としては、4,5,6,7−テトラヒドロインドリル、テトラヒドロキノリニル、ベンゾチエノピリジニル、ベンゾフロ−ピリジニル基等が含まれる。本明細書に開示されているように、いくつかの実施様態においては、ヘテロアリール基は置換されていてもよい。
【0056】
本明細書で用いる「可溶化基」は、ある分子中の同一位置の置換した場合、水素原子より、得られる分子をほとんどの汎用有機溶媒に溶解可能とする(同一分子と同一溶媒の組合せで)官能基をさす。可溶化基の例としては、特に限定されるわけではないが、アルキル(例えば、メチル、エチル、i−プロピル、n−プロピル、i−ブチル、s−ブチル、n−ブチル、ヘキシル、2−メチルヘキシル、オクチル、3,7−ジメチルオクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル)や、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、n−プロポキシ、i−ブチルオキシ、s−ブチルオキシ、n−ブチルオキシ、キシロキシ、2−メチルキシロキシ、オクチルオキシ、3,7−ジメチルオクチルオキシ、デシロキシ、ドデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ)、チオアルキル(例えば、チオオクチル)、アルキルエーテル、チオエーテルがあげられる。
【0057】
全ての汎用の置換基を反映して、数百個の汎用置換基の電子供与性または電子吸引性が、決定され、数値化され、出版されている。電子供与性と電気吸引性の最もよく用いられる値は、ハメットのσ値である。水素のハメットσ値はゼロであり、他の置換基のハメットσ値は、その電子吸引性または電子供与性に直接関係して、正または負に増加する。負のハメットσ値を持つ置換基は電子供与性と考えられ、正のハメットσ値を持つ置換気は電子吸引性と考えられる。Lange’s Handbook of Chemistry, 12th ed., McGraw Hill, 1979,表3−12, pp. 3−134 to 3−138を参照。ここには、多数の汎用置換基のハメットσ値がリストアップされており、本文献を本明細書の引用文献とする。
【0058】
用語「電子受容性基」は、本明細書において、「電子アクセプタ」や「電子吸引基」と同様に用いることができるものとする。特に、「電子吸引基」(「EWG」)または「電子受容性基」または「電子受容体」は、分子中の同一位置にある場合、水素原子より大きく電子を自分自身の方に引っ張る官能基をいう。電子吸引基の例としては、以下の例に限定されないが、ハロゲンまたはハロ(例えば、F、Cl、Br、I)、−NO2、−CN、−NC、S(R02+、−N(R03+、−SO3H、−SO20、−SO30、−SO2NHR0、−SO2N(R02、−COOH、−COR0、−COOR0、−CONHR0、−CON(R02、C1-40ハロアルキル基、C6-14アリール基、5−14員環の電子欠乏性のヘテロアリール基があげられる。なお、式中、R0は、C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C2-20アルキニル基、C1-20ハロアルキル基、C1-20アルコキシ基、C6-14アリール基、C3-14シクロアルキル基、3−14員環シクロヘテロアルキル基、あるいは5−14員環ヘテロアリール基であり、本明細書に記載のようにそれぞれ任意に置換されていてもよい。例えば、上記C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C2-20アルキニル基、C1-20ハロアルキル基、C1-20アルコキシ基、C6-14アリール基、C3-14シクロアルキル基、3−14員環シクロヘテロアルキル基、および5−14員環ヘテロアリール基のそれぞれは、必要に応じて1〜5個の小さな電子吸引性基、例えばFや、Cl、Br、−NO2、−CN、−NC、S(R02+、−N(R03+、−SO3H、−SO20、−SO30、−SO2NHR0、−SO2N(R02、−COOH、−COR0、−COOR0、−CONHR0、−CON(R02で置換されていてもよい。
【0059】
用語「電子供与性の基」は、本明細書において「電子供与体」と同じ意味で使用できるものとする。特に、「電子供与性の基」または「電子供与体」は、分子中の同一位置を締める場合に、水素原子よりも大きく隣接原子に電子を供与する官能基をさす。電子供与性の基の例としては、−OH、−OR0、−NH2、−NHR0、−N(R02、5−14員環の電子に富むヘテロアリール基があげられる。なお、R0は、C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C2-20アルキニル基、C6-14アリール基、またはC3-14シクロアルキル基である。
【0060】
いろいろな無置換のヘテロアリール基が、電子に富む(またはπ過剰)あるいは電子が乏しい(またはπ欠乏)と記載できる。このような分類は、各環原子の平均電子密度を、ベンゼン中の炭素原子上の平均電子密度と比較したものである。電子に富む系の例としては、一個のヘテロ原子を含む五員環ヘテロアリール基、例えばフランやピロール、チオフェン、またそのベンゾ縮合物、例えばベンゾフランやベンズピロール、ベンゾチオフェンがあげられる。電子の乏しい系の例としては、一個以上のヘテロ原子を持つ六員環ヘテロアリール基、例えばピリジンやピラジン、ピリダジン、ピリミジン、およびそのベンゾ縮合物、例えばキノリンやイソキノリン、キノキサリン、シノリン、フタラジン、ナフチリジン、キナゾリン、フェナントリジン、アクリジン、プリンがあげられる。混合複素芳香環は、環中の一個以上のヘテロ原子の種類や番号、位置によりいずれかの等級に帰属させることができる。Katritzky, A.R and Lagowski, J.M., Heterocyclic Chemistry(John Wiley & Sons, New York, 1960)を参照。
【0061】
本明細書で用いる「半結晶性ポリマー」は、溶融状態から冷却するか溶液から析出させる場合、あるいは徐冷や小さな溶媒蒸発速度などの速度論的に好ましい条件にかけられた場合、本質的に少なくとも部分的に結晶化しやすいポリマーである。この結晶化、あるいはその欠乏は、当分野の専門家により、いろいろな分析方法で、例えば示差走査熱量分析(DSC)及び/又はX線回折(XRD)で容易に確認することができる。
【0062】
本明細書で用いる「熱処理」は、半結晶性高分子膜を得るために行われる常圧または減圧/加圧下で100秒間を超える時間での膜形成後の熱処理をさし、「熱処理温度」は、この高分子膜が熱処理の間に少なくとも60秒間さらされる最高の温度をさす。いずれかの特定の理論に拘泥するのではないが、熱処理の結果、可能な場合高分子膜び結晶性が増加し、このため電界効果移動度が増加すると考えられている。結晶化度の増加はいろいろな方法で追跡可能であり、例えば付着フィルムと熱処理後のフィルムの示差走査熱分析(DSC)またはX線回折(XRD)試験を比較することにより追跡可能である。
【0063】
本明細書中のいろいろな場所で、化合物の置換基が、群または範囲で示されている。具体的には、その記述は、このような群や範囲の要素の各々を、またそれぞれ個々の組み合わせを含んでいることを意図するものである。例えば、「C1-6アルキル」は、具体的には個別に、C1とC2、C3、C4、C5、C6、C1〜C6、C1〜C5、C1〜C4、C1〜C3、C1〜C2、C2〜C6、C2〜C5、C2〜C4、C2〜C3、C3〜C6、C3〜C5、C3〜C4、C4〜C6、C4〜C5、C5〜C6アルキルを意味するものである。他の例としては、0〜40の範囲の整数は、具体的には、個別に0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40を表すものであり、1〜20の範囲の整数は、具体的には個別に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、あるいは20を表すものである。他の例としては、語句「必要に応じて1〜5個の置換基で置換された」は、具体的には、個別に、0、1、2、3、4、5、0〜5、0〜4、0〜3、0〜2、0〜1、1〜5、1〜4、1〜3、1〜2、2〜5、2〜4、2〜3、3〜5、3〜4、4〜5個の置換基を持つことのできる化学基である。
【0064】
本明細書に記載のポリマーは、不斉原子(キラル中心ともいう)を持つことができ、いくつかの化合物は、2個以上の不斉原子または不斉中心を持つことができ、このため光学異性体(鏡像異性体)やジアステレオマー(幾何的異性体)が発生する。本発明は、このような光学異性体やジアステレオマーを、また、それぞれの分割されたエナンチオマー的またはジアステレオマー的に純粋な異性体(例えば、(+)または(−)立体異性体)とそれらのラセミ体、さらには他の鏡像異性体やジアステレオマーの混合物をも含む。いくつかの実施様態においては、キラル分離、ジアステレオマー的塩成形、速度論的分割、不斉合成などの当業界の熟練者には既知の標準作業により、光学異性体がエナンチオマー的に濃縮された形で、あるいは純粋な形で得られる。本発明はまた、アルケニル基(例えば、アルケンやアゾ、イミン)を含むポリマーのシス−及びトランス−異性体を含む。本発明のポリマーは、純粋な形でのあらゆる可能な位置異性体とこれらの混合物を含むものとする。例えば、当業界の熟練者には既知の標準的な分離方法で、具体的にはカラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、模擬移動床クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーなどの方法で、このような異性体を分離することができる。しかしながら、位置異性体の混合物は、本発明のそれぞれ個々の位置異性体と同様に用いることができる。例えば、本発明のジチエニルビニレン系のポリマーは、純粋な形(例えば、シス及び/又はトランス)でのいずれかのジチエニルビニレンの幾何異性体も含むし、またその混合物も含んでいる。
【0065】
特記しない場合には、一つの位置異性体は、いずれの他の位置異性体も含み、またいずれの位置異性体の混合物も含むものとする。
【0066】
本明細書を通して、構造が化学名で示される場合もあれば、そうでない場合もある。名称に疑義がある場合は、その構造が優先する。
【0067】
本発明は、必要に応じて置換されたジチエニルビニレン(モノマーA)と芳香族及び/又は複素芳香族の環状基(モノマーB)とが結合したA−Bコポリマーを提供する。本発明は、モノマーAが必要に応じて置換されたジチエニルビニレンであり、モノマーBが必要に応じて一個以上の電子吸引性、電子供与性または可溶化基で官能化されたπ共役型基であるA−Bコポリマーを提供する。モノマーAとモノマーBの環状核部パイ−1(π−1)は、通常炭素原子を経由して相互に結合している。具体的には、本発明のポリマーは式I、
【0068】
【化7】

または式I’を持つ。
【0069】
【化8】

【0070】
式中、
パイ−1とパイ−2は、それぞれ独立して、必要に応じて1〜4個のRa基で置換された単環式または多環式の基である;
式中、
aは、それぞれ独立してa)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)oxo、e)−OH、f)=C(Rb2、g)C1-20アルキル基、h)C2-20アルケニル基、i)C2-20アルキニル基、j)C1-20アルコキシ基、k)C1-20アルキルチオ基、l)C1-20ハロアルキル基、m)−Y−C3-10シクロアルキル基、n)−Y−C6-14アリール基、o)−Y−3−12員環シクロヘテロアルキル基、またはp)−Y−5−14員環ヘテロアリール基であり、式中、上記C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C2-20アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリールまたはハロアリール基、3−12員環シクロヘテロアルキル基、および5−14員環ヘテロアリール基は、それぞれ必要に応じて1〜4個のRb基で置換されていてもよい;
bは、それぞれ独立して、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)oxo、e)−OH、f)−NH2、g)−NH(C1-20アルキル)、h)−N(C1-20アルキル)2、i)−N(C1-20アルキル)−C6-14アリール、j)−N(C6-14アリール)2、k)−S(O)mH、l)−S(O)m−C1-20アルキル、m)−S(O)2OH、n)−S(O)m−OC1-20アルキル、o)−S(O)m−OC6-14アリール、p)−CHO、q)−C(O)−C1-20アルキル、r)−C(O)−C6-14アリール、s)−C(O)OH、t)−C(O)−OC1-20アルキル、u)−C(O)−OC6-14アリール、v)−C(O)NH2、w)−C(O)NH−C1-20アルキル、x)−C(O)N(C1-20アルキル)2、y)−C(O)NH−C6-14アリール、z)−C(O)N(C1-20アルキル)−C6-14アリール、aa)−C(O)N(C6-14アリール)2、ab)−C(S)NH2、ac)−C(S)NH−C1-20アルキル、ad)−C(S)N(C1-20アルキル)2、ae)−C(S)N(C6-14アリール)2、af)−C(S)N(C1-20アルキル)−C6-14アリール、ag)−C(S)NH−C6-14アリール、ah)−S(O)mNH2、ai)−S(O)mNH(C1-20アルキル)、aj)−S(O)mN(C1-20アルキル)2、ak)−S(O)mNH(C6-14アリール)、al)−S(O)mN(C1-20アルキル)−C6-14アリール、am)−S(O)mN(C6-14アリール)2、an)SiH3、ao)SiH(C1-20アルキル)2、ap)SiH2(C1-20アルキル)、ar)−Si(C1-20アルキル)3、as)C1-20アルキル基、at)C2-20アルケニル基、au)C2-20アルキニル基、av)C1-20アルコキシ基、aw)C1-20アルキルチオ基、ax)C1-20ハロアルキル基、ay)C3-10シクロアルキル基、az)C6-14アリールまたはハロアリール基、ba)3−12員環シクロヘテロアルキル基、またはbb)5−14員環ヘテロアリール基であり;
Yは、それぞれ独立して、2価のC1-6アルキル基、2価のC1-6ハロアルキル基、または共有結合であり;また
mはそれぞれ独立して0、1または2であり;
1とR2はそれぞれ独立してH、ハロゲン、CN、C1-30アルキル基、C2-30アルケニル基、C1-30ハロアルキル基、−L−Ar1、−L−Ar1−Ar1、−L−Ar1−R11、または−L−Ar1−Ar1−R11であり;
式中、
Lは、それぞれ独立して、−O−、−Y−O−Y−、−S−、−S(O)−、−Y−S−Y−、−C(O)−、−NRcC(O)−、−NRc−、−SiRc2−、−Y−[SiRc2]−Y−、2価のC1-30アルキル基、2価のC1-30アルケニル基、2価のC1-30ハロアルキル基、または共有結合であり;
式中、
cは、それぞれ、H、C1-20アルキル基、または−Y−C6-14アリール基であり;
Ar1は、それぞれ独立して、C6-14アリール基または5−14員環ヘテロアリール基であり、各々の必要に応じて、ハロゲン、−CN、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基およびC1-6ハロアルキル基から選ばれる1〜5個の置換基で置換されていてもよく;
11は、それぞれ独立して、C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C1-20ハロアルキル基、C1-20アルコキシ基、−L’−Ar2、−L’−Ar2−Ar2、−L’−Ar2−R12、または−L’−Ar2−Ar2−R12であり;
式中、
L’は、それぞれ独立して、−O−、−Y−O−Y−、−S−、−S(O)−、−Y−S−Y−、−C(O)−、−NRcC(O)−、−NRc−、−SiRc2−、−Y−[SiRc2]−Y−、2価のC1-20アルキル基、2価のC1-20アルケニル基、2価のC−1−20ハロアルキル基、または共有結合であり;
Ar2は、それぞれ独立して、C6-14アリール基または5−14員環ヘテロアリール基であり、各々は、必要に応じてハロゲン、−CN、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、およびC1-6ハロアルキル基から選ばれる1〜5個の置換基で置換されていてもよく;
12は、それぞれ、C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C1-20ハロアルキル基、またはC1-20アルコキシ基であり;
3とR4は、それぞれ独立して、H、CN、C1-30アルキル基、C2-30アルケニル基、C1-30ハロアルキル基、または−L−R11であり;
式中、
Lは、それぞれ独立して、−O−、−Y−O−Y−、−S−、−S(O)−、−Y−S−Y−、−C(O)−、−NRcC(O)−、−NRc’−、2価のC1-30アルキル基、2価のC1-30アルケニル基、2価のC1-30ハロアルキル基、または共有結合であり;
式中、
c’はそれぞれ、HかC1-20アルキル基であり、
11は、それぞれ独立して、C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、あるいはC1-20ハロアルキル基であり;
Yは、それぞれ独立して、2価のC1-6アルキル基、2価のC1-6ハロアルキル基、あるいは共有結合であり;
yとy’は、それぞれ独立して0、1または2であり、またy+y’>0であり、
nは1より大きな整数である。
【0071】
いくつかの好ましい実施様態においては、R1とR2は、H、ハロゲン、CN、C1-30アルキル基、C2-30アルケニル基、C1-30ハロアルキル基、C1-20アルコキシ基、およびC1-20アルキルチオ基からなる群から選ばれる。
【0072】
いくつかの好ましい実施様態においては、R3とR4は、H、CN、ハロゲン、C1-30アルキル基、C2-30アルケニル基、C1-30ハロアルキル基、C1-20アルコキシ基、およびC1-20アルキルチオ基からなる群から選ばれる。
【0073】
ある好ましい実施様態において、本発明のポリマーが上記の式Iを持つことができ、ただし、もしy+y1=1で、またもしR3=R4=Hであるなら、パイ−1とパイ−2のどちらもが無置換の、N−モノ置換またはN,N’−二置換の1,4,5,8−ナフタレンジ−イミド−2,6−ジイル、または無置換のまたはN−モノ置換1,8−ナフタレンモノイミド−2,6−ジイル、またはモノ置換またはN,N’−二置換の1,4,5,8−ナフタレンジイミド−2,7−ジイル、または無置換またはN−モノ置換1,8−ナフタレンモノイミド−3,6−ジイル、または無置換、N−モノ置換またはN,N’−二置換の3,4,9,10−ペリレンジイミド−1,7−ジイル、または無置換、N−モノ置換またはN,N’−二置換の3,4,9,10−ペリレンジイミド−1,6−ジイル、または無置換またはN−モノ置換及び/又は9,10二置換の3,4−ペリレンモノイミド−1,7−ジイル、または無置換またはN−モノ置換及び/又は9,10二置換の3,4−ペリレンモノイミド−1,6−ジイルである。
【0074】
また、鎖間のπ共役と鎖間の重なりを乱すことなく溶解度を増加させるため、アルキル鎖(また、ハロアルキル基、アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基などの類似の基)は、チオフェン環及び/又はビニル結合の一方の位置に、あるいは両方の位置に対照的に置換されていてもよい。したがって、特定の好ましい実施様態においては、R1、R2、R3、およびR4が、独立して直鎖又は分岐鎖のC1-20アルキル基または直鎖又は分岐鎖のC2-20アルケニル基であってもよい。例えば、R1とR2とR3とR4は、それぞれ独立して、n−ヘキシル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、およびn−ヘキサデシルから選ばれてもよい。特定の実施様態では、R1とR2の少なくとも一方がHであってもよい。
【0075】
いくつかの実施様態においては、パイ−1とパイ−2は、独立して、平面的で高度に共役した環状の核部で、その環原子が、一重結合と二重結合が交互に存在する基に共有結合していてもよい。これら核部の高度に共役した平面的な性質のためπ電子の非局在化が起こり(このため安定性が増加し、LUMOエネルギーが低下する)、優れた分子間のπ電子の重なりが起こる。好適な環状核部の例としては、ベンゼンやナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ペリレン、ピレン、コロネン、フルオレン、インダセン、インデノフルオレン、テトラフェニレンがあげられ、また一個以上の炭素原子がO、S、Si、Se、NまたはPなどのヘテロ原子で置換されているこれらの類似体があげられる。
【0076】
いくつかの実施様態においては、パイ−1は、必要に応じて置換されていてもよい、以下の基から選ばれる単環式、二環式または複素環式基である。
【0077】
【化9】

【0078】
式中、
kとI、p、p’、uは、独立して、−S−、−O−、−CH=、=CH−、−CR13=、=CR13−、−C(O)−、−C(C(CN)2)−、−N=、=N−、−NH−、および−NR13から選ばれ、
パイ−2は、必要に応じて置換されていてよい、以下の基から選ばれる単環式、複素環式または多環式基である。
【0079】
【化10】

【0080】
【化11】

【0081】
式中、
kとk’、I、I’、p、p’、q、u、u’、v、v’は、独立して、−S−、−O−、−CH=、=CH−、−CR13=、=CR13−、−C(O)−、−C(C(CN)2)−、−N=、=N−、−NH−、−NR13−、−SiR14=、=SiR14−、および−SiR1414−から選ばれ、
13は、それぞれ独立して、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)N(Rc2、e)−ORc、f)−C(O)Rc、g)−C(O)ORc、h)−C(O)N(Rc2、i)C1-40アルキル基、j)C2-40アルケニル基、k)C2-40アルキニル基、l)C1-40アルコキシ基、m)C1-40アルキルチオ基、n)C1-40ハロアルキル基、o)−Y−C3-14シクロアルキル基、p)−Y−C6-14アリール基、q)−Y−3−14員環シクロヘテロアルキル基、r)−Y−5−14員環ヘテロアリール基から選ばれる。なお、上記C1-40アルキル基、C2-40アルケニル基、C2-40アルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3−14員環シクロヘテロアルキル基、Y、Rcのそれぞれは、すでに述べたとおりである。
14は、それぞれ独立して、HまたはRcであってよく、Rcは上述のとおりである;
rとsは、独立して−CR22−または−C(C(CN)2)−であり;また
bは、1、2、3または4である。
【0082】
特定の実施様態においては、パイ−1(π−1)が、一個以上のチエニル、チアゾリル、またはフェニル基を含む単環式、二環式または複素環式基であってよく、これらの基は、上述のように必要に応じて置換されていてもよい。例えば、パイ−1は、以下の基より選ばれる
【0083】
【化12】

【0084】
式中、R1とR2は、それぞれ上述のとおりである。
【0085】
特定の実施様態においては、パイ−2(π−2)は、一個以上のチエニル、チアゾリル、またはフェニル基を含む単環式、多環式のまたは複素環式基であってよく、これらの基はそれぞれ、上述のように必要に応じて置換されていてもよい。例えば、パイ−2は次の基から選ばれる。
【0086】
【化13】

【0087】
【化14】

【0088】
【化15】

【0089】
【化16】

【0090】
式中、R1とR2はそれぞれ上述のとおりである。
【0091】
いくつかの好ましい実施様態においては、y=0であり、パイ−2は以下の基からなる群から選ばれる。
【0092】
【化17】

【0093】
上述の式Iの化合物の群に含まれる化合物の特定の実施様態は、本発明から除かれることがある。例えば、本発明の実施様態から、式Iのポリマーで、そのコモノマーBが単環式化合物であるものは除かれる。例えば、本発明の実施様態から、式Iのポリマーで、モノマーBが以下の基であるものは除かれる。
【0094】
【化18】

【0095】
他の例としては、本発明の実施様態から、式Iのポリマーで、そのコモノマーBが環状基中に窒素原子を含まず、また硫黄原子を含まない二環式あるいは三環式単位であるものは除かれる。例えば、本発明の実施様態から、モノマーBが下記のものであるポリマーは除かれる。
【0096】
【化19】

【0097】
他の例としては、本発明の実施様態から、式Iのポリマーで、コモノマーBがベンザチアゾール基からなるものは除かれる。特に、本発明の実施様態から、式Iのポリマーで、Bが下記のものであるポリマーは除かれる。
【0098】
【化20】

【0099】
上述のいろいろなポリマーにおいて、nは2〜5000の整数であってよい。いくつかの実施様態においては、nは、4〜5000、あるいは5〜5000、6〜5000、7〜5000、8〜5000、9〜5000、10−5000である。例えば、nは、8〜4000、8〜2000、8〜500、または8−200であってもよい。特定の実施様態においては、nは、8−100であってよい。
【0100】
従って、特定の実施様態においては、本明細書のポリマーは、式IaまたはIa’の繰返単位を含むことができる。
【0101】
【化21】

【0102】
式中、R1とR2、R3、R4は、上述のとおりであり、R5とR6は、R1と同じであり、m”は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。
【0103】
例えば特定の実施様態においては、本発明のポリマーは、式Ib、Ic、Id、Ie、If、Ig、Ih、Ii、及びIjの一種以上の繰返単位を含むことができる。
【0104】
【化22】

【0105】
式中、R1とR2、R3、R5は、上述のとおりである。例えば、R3は、それぞれ独立して、−CN、C1-40アルキル基、C1-40アルコキシ基、およびC1-40アルキルチオール基から選ばれる。
【0106】
他の例として、特定の実施様態において、本発明のポリマーは、式Ik、Il、Im、In、Io、Ip、Iq、Ir、Is、It、Iu、Iv、Iw、Ix、Iy、Iz、Iaa、Iab、およびIacの一種以上の繰返単位を含むことができる。
【0107】
【化23】

【0108】
【化24】

【0109】
【化25】

【0110】
式中、R1とR2、R3、R5、R6は、上述のとおりである。R7は、R1と同じである。例えば、R3は、それぞれ独立して、−CN、C1-30アルキル基、C1-20アルコキシ基、およびC1-20アルキルチオール基から選ばれる。
【0111】
他の例として、特定の実施様態において、本発明のポリマーは、式Iadの繰返単位を含む。
【0112】
【化26】

【0113】
式中、R5は、上述のとおりである。
【0114】
さらに他の例として、特定の実施様態においては、本発明のポリマーは、式IaeとIafの繰返単位を含む。
【0115】
【化27】

【0116】
式中、R1とR2は、上述のとおりである。
【0117】
さらに他の例として、特定の実施様態においては、本発明のポリマーは、式Iag、Iah、Iai、Iak、およびIalの繰返単位を含む。
【0118】
【化28】

【0119】
【化29】

【0120】
【化30】

【0121】
式中、R1とR2とR3は、上述のとおりである。
【0122】
さらに、特定の実施様態においては、本発明のポリマーが、式IIaとIIa’の繰返し単位を含むことができる。
【0123】
【化31】

【0124】
式中、R1とR2、R3、R4、R7は、上述のとおりであり、
8はR1と同じであり、
9とR10は、独立して、−HまたはC1-40アルキル、ハロアルキルまたはアルキルチオール基から選ばれる。例えば、R3は、それぞれ独立して、−CN、C1-30アルキル基、C1-20アルコキシ基、C1-20アルキルチオール基から選ばれ、
mは、1、2、3、4、5、あるいは6である。
【0125】
例えば特定の実施様態においては、本発明のポリマーは、式IIbとIIe、IId、IIe、IIf、およびIIgの一種以上の繰返単位を含むことができる。
【0126】
【化32】

【0127】
【化33】

【0128】
式中、R1とR2、R3、R9、R10は、上述のとおりである。例えば、R3は、それぞれ独立して−CN、C1-30アルキル基、C1-20アルコキシ基、およびC1-20アルキルチオール基から選ばれる。
【0129】
他の例として、特定の実施様態においては、本発明のポリマーが、式IIb’、IIc’、IId’、IIe’、IIf’、IIg’、IIh’、IIi’、IIj’、IIk’、IIl’、IIm’、IIn’、IIo’、およびIIp’の一種以上の繰返単位を含むことができる。
【0130】
【化34】

【0131】
【化35】

【0132】
【化36】

【0133】
【化37】

【0134】
式中、R1とR2、R3、R7、R8、R9、R10は、上述のとおりである。
【0135】
また、特定の実施様態においては、本発明のポリマーは、式IIIaとIIIa’の繰返単位を含むことができる。
【0136】
【化38】

【0137】
式中、R1とR2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、mは、上述のとおりである。
【0138】
例えば、特定の実施様態においては、本発明のポリマーは、式IIIb、IIIc、IIId、IIIe、IllfおよびIIIgの一種以上の繰返単位を含むことができる。
【0139】
【化39】

【0140】
式中、R1とR2、R3、R5は、上述のとおりである。例えば、R3は、それぞれ独立して−CN、C1-30アルキル基、C1-20アルコキシ基、及びC1-20アルキルチオール基から選ばれる。
【0141】
他の例として、特定の実施様態においては、本発明のポリマーは、式IIIb’、IIIc’、IIId’、IIIe’、IIIf’、IIIg’、lh’、IIIi’、IIIj’、IIIk’、IIIl’、IIIm’、IIIn’、IIIo’、及びIIIp’の一種以上の繰返単位を含むことができる。
【0142】
【化40】

【0143】
【化41】

【0144】
【化42】

【0145】
式中、R1とR2、R3、R5、R7、R8は、上述のとおりである。例えば、R3は、それぞれ独立して−CN、ハロゲン、C1-20ハロアルキル基、C1-30アルキル基、C1-20アルコキシ基及びC1-20アルキルチオール基から選ばれる。
【0146】
特定の実施様態においては、本発明のポリマーは、下のスキーム1に概説する方法により製造できる。
【0147】
スキーム1
【0148】
【化43】

【0149】
スキーム1を参照しながら、これらのポリマーの特定の実施様態が、金属触媒シュティレ重合により製造可能である。特に、アフリーデル・クラフト反応条件下で、シルクロリドをアルキルブロモチオフェンと反応させ、チオフェンのモノブロモケト誘導体(TK−Br)を得ることができる。TK−Brのマクマレイホモカップリングで、目的のモノマーTVT−Br2が得られる。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)Pd2(dba)3などの金属触媒の存在下でTVT−Br2を適当な有機スズ化合物と重合して、目的のポリマーが得られる。ポリマー鎖の末端封鎖は、重合混合物の後処理の前に1〜10%のモノブロモまたはモノ(トリアルキルスタニル)芳香族または複素芳香族単位を添加することで行われる。
【0150】
下のスキーム2には、これらポリマーの特定の実施様態を製造するためのもう一つの方法を示す。
【0151】
スキーム2
【0152】
【化44】

【0153】
他の本発明のポリマーは、スキーム1と2に記載の方法と同様な方法により製造可能である。あるいは、これらのポリマーを、当業界の熟練者には既知の標準的な合成方法や手法を用いて、市販の出発原料、文献に既知の化合物、または容易に製造可能な中間体から製造することもできる。有機分子の製造や官能基の変換や操作のための標準的な合成方法や手法は、関係する科学文献からあるいは当分野の標準的な教科書から容易に得ることができる。具体的な、あるいは好ましいプロセス条件(即ち、反応温度、時間、反応物のモル比、溶媒、圧力等)が与えられた場合でも、特記しない場合は、他のプロセス条件も使用可能であることはご理解いただけるであろう。最適の反応条件は用いる特定の反応物または溶媒により変動するが、このような条件は、当業界の熟練者により常用の最適化手法で決定可能である。本明細書に記載の化合物の製造を最適化するために、合成工程の内容と順序を変更してもよいことは、有機合成技術の熟練者にとって明らかであろう。
【0154】
本明細書に記載のプロセスは、いずれか適当な既知の方法で追跡可能である。例えば、生成物の生成は、核磁気共鳴スペクトル(NMR、例えば、1Hまたは13C)や赤外線スペクトル(IR)、吸光分光分析(例えば、UV−可視)、質量分析(MS)などの分光的な方法、あるいは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、または薄層クロマトグラフィー(TLC)などのクロマトグラフィーにより追跡可能である。
【0155】
本明細書に記載の反応あるいはプロセスは、適当な溶媒中で実施可能であり、この溶媒は有機合成技術の熟練者により容易に選択される。好適な溶媒は、通常実質的に反応物、中間体、及び/又は生成物に、反応の温度で、即ちその溶媒の凍結温度から溶媒の沸騰温度の範囲の温度で実質的に反応しない。ある反応は、単一の溶媒中で行っても、二種以上の溶媒の混合物中で行ってもよい。特定の反応工程では、特定の反応工程用に好適な溶媒を選ぶことができる。
【0156】
本発明のポリマーの例としては、P(TS8TVT)(P1)やP(BDT12TVT)(P2)、P(T2−14−TVT)(P3)、およびP(T2−12−TVT)(P4)があげられ、これらの構造を以下に示す。
【0157】
【化45】

【0158】
本発明の範囲を限定するのでなく、単に説明の目的で述べると、本発明のポリマーの特定の実施様態は、以下に記載の物理的性質の一つ以上により特定される。比較のために、本発明のポリマーと共に、二種のビチオフェン含有コポリマーを検討する。これら二つのビチオフェン含有コポリマーの構造は次のとおりである。
【0159】
【化46】

【0160】
本発明のポリマーの分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて決めることができる。R5がC1225である式Ibのポリマーの、具体的にはP4の実施様態においては、SECによるその分子量(Mn)が1.6×104g/molであった。その多分散指数(PDI)は、2.2であった。R5がC1429である式Ibのポリマー、具体的にはP3のもう一つの実施様態では、SECによるその分子量(Mn)が1.7×104g/molであった。その多分散指数(PDI)は1.8であった。同様に、R9とR10がC817である式Iibのポリマー、具体的にはP1の実施様態では、そのSECによる分子量(Mn)が4.1×104g/molであった。その多分散指数(PDI)は5.6であった。同様に、R5がC1225である式IIIbのポリマー、具体的にはP2の実施様態では、そのSECによる分子量(Mn)が2.5×104g/molであった。その多分散指数(PDI)は1.4であった。C817アルキル鎖をもつポリマーP6もまた、比較のために合成し、SECで求めたその分子量(Mn)は1.05×105g/molであった。その多分散指数(PDI)は4.0であった。
【0161】
本発明のポリマーの熱的性質も、示差走査熱量分析(DSC)で試験できる。例えば、走査速度が10°C/minで窒素下にて、ポリマーP4の実施様態が、加熱の際117℃で吸熱転移を示し、冷却の際77℃と124℃で発熱転移を示したが、ポリマーP3の実施様態は、加熱の際に106℃で吸熱転移を示し、冷却の際66℃と90℃で発熱転移を示した。ポリマーP1は加熱サイクルで256℃で吸熱転移を示し、P2は加熱の際に179℃で吸熱転移を示したが、これらのポリマーは、冷却サイクルでなんら発熱転移を示さなかった。ポリマーP6は、加熱の際に247℃で吸熱転移を示し、冷却の際に241℃で発熱転移を示した。
【0162】
式Iのポリマーは、半導体材料(例えば、組成物や複合物)の製造に用いることができ、この半導体材料は、今度はいろいろな製品や構造物、装置の組立に使用できる。いくつかの実施様態においては、本発明のポリマーを用いる半導体材料の一種以上がn型の半導活性を示すことができ、いくつかの実施様態においては、本発明のポリマーを用いる半導体材料の一種以上がp型の半導活性を示す。
【0163】
汎用溶媒中で比較的に高い溶解度を持つため、本発明の化合物は、薄膜半導体や電解効果装置、有機発光ダイオード(OLED)、有機太陽電池、光検出器、キャパシター、センサーなどの電気装置を組み立てるのに使用する場合に、加工上の利点を与えることができる。本明細書においては、1mlの溶媒中に少なくとも0.1mgの化合物が可溶である場合、その化合物は溶媒に可溶であると考える。汎用の有機溶媒の例としては、石油エーテル;アセトニトリル;ベンゼンやトルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素;アセトンやメチルエチルケトンなどのケトン;テトラヒドロフランやジオキサン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテルなどのエーテル;メタノールやエタノール、ブタノール、ソプロピルアルコールなどのアルコール;ヘキサンなどの脂肪族炭化水素;酢酸メチルや酢酸エチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル;ジクロロメタンやクロロホルム、塩化エチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどのハロゲン化脂肪族及び芳香族炭化水素;さらにはシクロペンタノンやシクロヘキサノン、2−メチルピロリドンなどの環状溶媒があげられる。
【0164】
有機エレクトロニクスでは、各種の溶液加工法を含むいろいろな製膜技術が用いられている。例えば、印刷エレクトロニクス技術の多くは、インクジェット印刷に注目している。
【0165】
これは、主にこの技術が、形体の位置および多層の位置合わせに対して、より大きな制御を可能とするためである。インクジェット印刷は非接触プロセスであり、この方法は、(接触印刷法と較べて)前もってマスターを作る必要がない、また吐出量の定量的な制御が可能でこのためドロップ−オンデマンド印刷が可能であるという利点を有している。しかしながら、接触印刷法は、非常に高速のロール−ロール加工に適しているという主たる利点を有している。接触印刷技術の例としては、スクリーン印刷や、グラビア、オフセット印刷、フレキソ印刷、マイクロコンタクト印刷があげられる。他の溶液加工技術としては、例えば、スピンコート法や、ドロップキャステイング、ゾーンキャステイング、浸漬塗装、ブレード塗布があげられる。
【0166】
本ポリマーは、いろいろな加工に適している。これらのポリマーを含む配合物は、グラビア印刷やフレキソ印刷、インクジェット印刷などの異なる型式の印刷技術により印刷可能で、例えばその上にピンホールの無い誘電体フィルムを形成可能な平滑で均一なフィルムを与え、結果的にすべて印字された装置の組立を可能とする。
【0167】
したがって、本発明はまた、半導体材料の製造方法を提供する。これらの方法は、ここに開示されている一種以上のポリマーが溶媒あるいは溶媒混合物などの液状媒体中に溶解または分散した組成物を製造し、その組成物を支持体上に塗布して半導体材料前駆体を与え、該半導体前駆体を加工(例えば、加熱)して、ここに開示のポリマーを含む半導体材料(例えば、薄膜半導体)を与えることからなっていてもよい。いくつかの実施様態においては、この塗布工程が、インクジェット印刷などの印刷や、いろいろな接触印刷技術(例えば、スクリーン印刷やグラビア印刷、オフセット印刷、パッド印刷、マイクロコンタクト印刷)で実施可能である。他の実施様態においては、この塗布工程を、真空蒸着、スピンコート法、ドロップ塗布、ゾーン塗布、浸漬塗布、ブレード塗布、または吹き付けにより行うことができる。
【0168】
本発明はまた、本発明の半導体材料と基板部品及び/又は誘電体部品とを含む複合物などの製品を提供する。この基板部品は、ドープ処理したケイ素、酸化インジウムスズ(ITO)、ITO塗装ガラス、ITO塗装ポリイミドまたは他のプラスチック、アルミニウムまたは他の純金属品、またはポリマーまたは他の基板にこれを塗布したもの、ドープ処理したポリチオフェン等の材料から選ばれる。誘電体部品は、いろいろな酸化物(例えば、SiO2、Al23、HfO2)などの無機誘電材料;いろいろな高分子材料(例えば、U.S. Patent Application Serial Nos. 11/315,076と、60/816,952、60/861,308に記載の架橋ポリマーブレンド、その開示の全体を本明細書の引用文献とする)や自己組織化超格子/自己組織化ナノ誘電体(SAS/SAND)材料(Yoon, M−H. et al., PAWS, 102 (13): 4678−4682 (2005)に記載、その開示の全体を本明細書の引用文献とする)などの有機誘電材料;およびハイブリッド有機/無機誘電材料(U.S. Patent Application Serial No./642,504,504に記載、その開示の全体を本明細書の引用文献とする)から製造可能である。この複合物はまた、一個以上の電気接点を有していてもよい。ソース電極やドレイン電極、ゲート電極に好適な材料としては、金属(例えば、Au、Al、Ni、Cu)や透明な導電性酸化物(例えば、ITO、IZO、ZITO、GZO、GIO、GITO)、また導電性ポリマー(例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホネート)(PE−DOT:PSS)、ポリアニリン(PANI)、ポリピロール(PPy))があげられる。ここに記載の複合物の一つ以上を、いろいろな有機電子装置や光学装置、また有機薄膜トランジスタ(OTFT)、詳しくは有機電界効果トランジスタ(OFET)などの光電子装置、さらにはセンサー、太陽電池、キャパシター、補償回路(例えば、インバータ回路)、などの中で用いることができる。
【0169】
従って、本発明の一側面は、本発明の半導体材料を含む有機電界効果トランジスタの組み立て方法に関する。本発明の半導体材料は、トップゲート・トップコンタクトキャパシター構造物、トップゲート・ボトムコンタクトキャパシター構造物、ボトムゲート・トップコンタクトキャパシター構造物、ボトムゲート・ボトムコンタクトキャパシター構造物などいろいろな型式の有機電界効果トランジスタの組立に使用できる。図3に、四種の汎用のOFET構造物:(a)ボトムゲート・トップコンタクト構造物、(b)ボトムゲート・ボトムコンタクト構造物、(c)トップゲート・ボトムコンタクト構造物、(d)トップゲート・トップコンタクト構造物を示す。図3に示すように、一個のOFETは、一枚の誘電体層(例えば、図3a、3b、3c、3d中ではそれぞれ8、8’、8”、8'''として示される)と、一枚の半導体層(例えば、図3a、3b、3c、3dではそれぞれ、6、6’、6”、6'''で示される)、一枚のゲート接点(例えば、図3a、3b、3c、3dではそれぞれ、10、10’、10”、10'''で示される)、一枚の基板(例えば、図3a、3b、3c、3dではそれぞれ、12、12’、12”、12'''で示される)、およびソース接点とドレイン接点(例えば、図3a、3b、3c、3dではそれぞれ、2、2’、2”、2'''、及び4、4’、4”、4'''で示される)を含むことができる。
【0170】
本発明のポリマーが有用であるもう一つの製品は、光起電セルまたは太陽電池である。本発明のポリマーは、広い光学吸収を示す。したがって、コモノマーB単位の性質によっては、本明細書に記載のポリマーは、光起電性セルの設計においてn型またはp型半導体(pn接合を形成する隣接のp型またはn型の半導性材料を含む)として使用できる。これらのポリマーは薄膜半導体の形であってよく、これが支持体上に形成された薄膜半導体の複合物であってもよい。このような装置で本発明のポリマーを利用することは、熟練技術者の知識内に収まることである。
【0171】
従って、本発明のもう一つの側面は、本発明の半導体材料を含む有機電界効果トランジスタの組み立て方法に関する。本発明の半導体材料は、トップゲート・トップコンタクトキャパシター構造物、トップゲート・ボトムコンタクトキャパシター構造物、ボトムゲート・トップコンタクトキャパシター構造物、ボトムゲート・ボトムコンタクトキャパシター構造物などのいろいろな型式の有機電界効果トランジスタを組み立てるのに使用できる。特定の実施様態においては、OTFT装置は、SiO2を誘電体として用い、トップコンタクト構造でドープ済みのケイ素基板上に本化合物をのせて組み立てることができる。特定の実施様態においては、少なくとも本発明の化合物を含むこの活性な半導性層が、スピンコート法またはジェット印刷により形成される。トップコンタクト装置を得るには、シャドウマスクを用いて金属性接点をフィルム上にパターン状に形成することができる。
【0172】
特定の実施様態においては、本ポリマーを用いて、プラスチック箔上に、本ポリマーを誘電体としてトップゲート・ボトムコンタクト構造で形成して、OTFT装置を組み立てることができる。特定の実施様態においては、少なくとも本発明の化合物を含むこの活性な半導性層を、室温でまたは高温で形成することができる。他の実施様態においては、少なくとも本発明の化合物を含むこの活性な半導性層を、本明細書に記載のようにスピンコート法または印刷により形成することができる。ゲート接点やソース/ドレイン接点は、Au、他の金属、または導電性ポリマーでできていてもよく、蒸着及び/又は印刷により形成されてもよい。
【0173】
以下の実施例は、より詳細に説明して、本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明を制限するものではない。
【0174】
実施例1:ポリマー合成
以下の実施例では、特定の本発明のポリマー及び関連する中間体の製造について述べる。
【0175】
すべての試薬は市場より購入したものであり、特記しない場合は、さらに精製することなく使用した。既存のシュレンク法を用い、特記しない場合、反応はN2下で行った。NMRスペクトルは、バリアン400MRスペクトロメータ(1H、400MHz)で記録した。ポリマーの分子量は、屈折率検出器を備えたアジレント1200シリーズ装置を用いて、ポリスチレン標準試薬と比較しながら、THF中室温で測定した。ポリマーの熱的な性質は、示差走査型熱量計(DSC)(メトラートレド、DSC/823e/500/404)を用い、走査速度を10°C/minとして分析した。元素分析はシンガポール国立大学で行った。5,5’−ジブロモ−4,4’−ジ(ドデシル)−2,2’−ビチオフェン(McCulloch, I.; Heeney, M.; Genevicius, K.; MacDonald, I.; Shkunov, M.; Sparrowe, D.; Tierney, S.; Wagner, R.; Zhang, W.; Chabinyc, M. L.; Kline, R. J.; McGehee, M. D.; Toney, F. M., Nat. Mater. 2006, 5, 328)と、3,3’−ジブロモ−2,2’−ビチオフェン(Lu, G.; Usta, H.; Risko, C; Wang, L.; Facchetti, A.; Ratner, M. A.; Marks, T. J., J. Am. Chem. Soc. 2008, 130, 7670−7685)と2,6−ジブロモ−4,8−ジドデシルベンゾ[1,2b:4,5−b’]ジチオフェン(H. Pan, Y. Li, Y. Wu, P. Liu, B. S. Ong, S. Zhu、G. Xu, Chem. Mater. 2006, 18, 3237)は、文献に記載の方法に従って合成した。
【0176】
実施例1A:ポリ[(1,2−ビス−(2’−チエニル)ビニル−5’,5”−ジイル)−alt−(3,3’−ジ−n−オクチルシリレン2,2’−ビチオフェン−5,5’−ジイル)]の合成
【0177】
5,5’−ビス(トリメチルスタニル)−[1,2−ビス(2’−チエニル)ビニル]の合成
【0178】
【化47】

【0179】
トランス−1,2−ジ(2−チエニル)エチレン(1)(10.4mmol、2.00g)を、無水THF(43.2ml)に溶解し、窒素下にて−78°Cまで冷却した。次いで、n−ブチルリチウム(21.84mmol、13.7ml)を滴下した。得られた溶液を30分かけて室温にまで暖め、その温度で3時間攪拌した。この混合物を−78°Cにまで冷却し、無水THF(26ml)に溶解したトリメチルスズクロリド(21.84mmol、4.35g)を滴下した。添加後、この混合物を4時間かけて室温にまで暖め、さらに20時間室温で攪拌した。この反応混合物を、飽和NH4Cl溶液(100ml)中に注ぎいれ、水層をジエチルエーテルで抽出した。有機層は集めて水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、減圧下で濃縮した。粗固体をエタノールから再結晶して、目的の化合物2を収率73%で得た。
【0180】
1H−NMR (CDCl3)(400MHz): ppm 7.12 (d, 2H), ppm 7.09 (s, 2H), ppm 7.07 (d, 2H), ppm 0.38 (s, 18H)。
【0181】
3,3’−ジ−n−オクチルシリレン−2,2’−ビチオフェンの合成
【0182】
【化48】

【0183】
−78°Cのn−BuLiのヘキサン(60mmol、24ml)溶液の無水THF(500ml)溶液に、3,3’−ジブロモ−2,2’−ビチオフェン(3)(30mmol、9.720g)の無水THF(100ml)溶液を、激しく攪拌しながら30分かけて滴下させた。次いで、この混合物を−78°Cで1時間攪拌し、白色の懸濁液を得た。次いで、ジクロロジオクチルシラン(30mmol、9.76g)のTHF(100ml)溶液を滴下した。反応混合物を−78°Cでさらに5時間攪拌し、室温にまで暖め、一夜攪拌した。次いで、飽和NH4Cl水溶液(300ml)を加えて、この反応を停止させた。この水層をエーテル(3×100ml)で抽出した。この有機相は集めて、水洗し、MgSO4上で乾燥した。濾過後、溶媒を除き、粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製して、明るい黄色の液体4(8.17g、65%)を得た。
【0184】
1H−NMR (CDCl3): ppm 0.85−0.93 (m, 10H)、ppm 1.24−1.41 (m, 24H)、ppm 7.06 (d, 2H, J=5Hz)、ppm 7.21 (d, 2H, J=5Hz)。
【0185】
5,5’−ジブロモ−3,3’−ジ−n−オクチルシリレン−2.2’−ビチオフェンの合成
【0186】
【化49】

【0187】
3,3’−ジ−n−オクチルシリレン−2,2’−ビチオフェン(4)(1.63g、5.0mmol)のDMF(40ml)溶液に、NBS(1.98g、11.0mmol)を細かく分割して添加した。この混合物を室温で10分間攪拌し、水(50ml)を添加して反応を停止させた。この反応混合物をエーテル(3×50ml)で抽出した。有機層は集めて、水(50ml)で洗浄し、MgSO4上で乾燥した。濾過後、エーテルを除き、生成物をヘキサンを溶離液とするカラムクロマトグラフィーで精製して、緑色液体5を得た(2.05g、71%)。
【0188】
1H−NMR (CDCl3): ppm 0.86−0.88 (m, 10H)、ppm 1.32−1.22 (m, 24H)、ppm 7.00 (s, 2H).
【0189】
ポリ[(1,2−ビス−(2’−チエニル)ビニル−5’,5”−ジイル)−alt−(3,3’−ジ−n−オクチルシリレン− 2,2’−ビチオフェン−5,5’−ジイル)](ポリマーP1)の合成
【0190】
【化50】

【0191】
等モル量のビス(トリメチルスタニル)トランス−1,2−ジ(2−チエニル)エチレン(2)(0.50mmol、0.26g)とジブロモモノマー5(0.50mmol、0.29g)を、無水トルエン(10.0ml)に溶解し、次いでテトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)(0.025mmol、29mg)をN2下で添加した。得られた混合物をN2下で2日間還流させた。その3時間後に、2−(トリメチルスタニル)チオフェン(0.2ml)と2−ブロモ−チオフェン(0.2ml)を添加してポリマーの末端封鎖を行い、反応混合物をさらに6時間還流させた。室温に冷却後、反応混合物を沈殿させてメタノール混合物(300ml)とし、室温で2時間攪拌した。このポリマーP1を濾過し、メタノールで洗浄し、アセトン中で24時間ソックスレー抽出にかけた。ポリマーP1をトルエンに再溶解し、メタノールから沈殿させ、メタノールで洗浄して、乾燥させた。
【0192】
Mn=4.1×104g/mol、Mw=2.3×105g/mol、D=5.61H−NMR (THF−d8)(400MHz): ppm 7.28−7.05 (m, 8H), ppm 1.54−1.16 (m, 24H), ppm 1.02 (m, 4H), ppm 0.87 (t, 6H, J=6.6Hz)
元素分析(計算値): C、66.88 (67.27); H、6.69 (6.97)
【0193】
実施例1B:
ポリ[(1,2−ビス−(2’−チエニル)ビニル−5’,5”−ジイル)−alt−(4,8−ジドデシルベンゾ−[1,2−b:4,5−b’]−ジチオフェン−2,6−ジイル)](ポリマーP2)の合成
【0194】
【化51】

【0195】
等モル量のビス(トリメチルスタニル)トランス−1,2−ジ(2−チエニル)エチレン(2)(0.29mmol、0.15g)とジブロモモノマー6(0.29mmol、0.20g)を無水クロロベンゼン(10.0ml)に溶解し、ついでトリ(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.009mmol、8mg)とトリ(o−トリル)ホスフィン(0.022mmol、6mg)をN2下で添加した。得られた混合物をN2下で2日間還流させた。その後、3時間後に2−(トリメチルスタニル)チオフェン(0.1ml)と2−ブロモ−チオフェン(0.1ml)を添加してポリマーを末端封鎖し、反応混合物をさらに6時間還流させた。室温まで冷却後、反応混合物をメタノール(300ml)と塩酸(10ml、2N)の混合物中で沈殿させて、室温で2時間攪拌させた。ポリマーP2を濾過し、メタノールで洗浄し、アセトン中で24時間ソックスレー抽出にかけた。ポリマーP2をトルエンに再溶解し、メタノールから沈殿させ、メタノールで洗浄し、乾燥させた。
【0196】
Mn=2.5×104、Mw=3.5×104g/mol、D=1.4
1H−NMR (1,1,2,2−テトラクロロエタン)(400MHz): ppm 7.54−7.00 (m, 8H), ppm 2.35 (t, 4H, J=7.5Hz), ppm 1.36−1.21 (ブロードピーク、40H), ppm 0.89 (t, 6H, J=6.8Hz)
元素分析(計算値): C、73.21 (73.89); H、7.60 (8.17)。
【0197】
実施例1C:ポリ[(1,2−ビス−(2’−チエニル)ビニル−5’,5”−ジイル)−alt−(5,5’−ビス(3−テトラデシルチオフェン−2−イル))(ポリマーP3)の合成
【0198】
【化52】

【0199】
等モル量のビス(トリメチルスタニル)トランス−1,2−ジ(2−チエニル)エチレン(2)(0.50mmol、358mg)と5,5’−ジブロモ−4,4’−ジテトラデシル[2,2’]ビチオフェン(7)(0.50mmol、259mg)を無水クロロベンゼン(16.7ml)に溶解し、次いでトリ(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.015mmol、14mg)とトリ(o−トリル)ホスフィン(0.03mmol、9mg)をN2下で添加した。得られた混合物をN2下で2日間還流させた。その後、3時間後に2−(トリメチルスタニル)チオフェン(0.1ml)と2−ブロモ−チオフェン(0.2ml)を添加してポリマーを末端封鎖し、反応混合物をさらに6時間還流させた。室温まで冷却後、反応混合物をメタノール(300ml)と塩酸(10ml、2N)の混合物中で沈殿させて、室温で2時間攪拌させた。ポリマーP3を濾過し、メタノールで洗浄し、アセトン中で24時間ソックスレー抽出にかけた。ポリマーP3はトルエンに再溶解し、メタノールから沈殿させ、メタノールで洗浄し、乾燥させた。
【0200】
Mn=1.7×104g/mol、D=1.8
1H−NMR (1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2)(400MHz): ppm 7.04 (m, 8H), ppm 2.79 (m, 4H), ppm 1.70 (m, 4H), ppm 1.35 (ブロードピーク、44H), ppm 0.88 (t, 6H, J=6.6Hz)
元素分析(計算値): C、74.25 (73.94); H、8.58 (8.90)。
【0201】
実施例1D:ポリ[(1,2−ビス−(2’−チエニル)ビニル−5,5”−ジイル)−alt−(5,5’−ビス(3−ドデシルチオフェン−2−イル)](ポリマーP4)の合成
【0202】
【化53】

【0203】
等モル量のビス(トリメチルスタニル)トランス−1,2−ジ(2−チエニル)エチレン(2)(0.18mmol、120mg)と5,5’−ジブロモ−4,4’−ジドデシル[2,5’]ビチオフェン(8)(0.18mmol、93mg)を無水クロロベンゼン(6ml)に溶解し、次いでトリ(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.005mmol、4mg)とトリ(o−トリル)ホスフィン(0.01mmol、3mg)をN2下で添加した。得られた混合物をN2下で2日間還流させた。その後、3時間後に2−(トリメチルスタニル)チオフェン(0.1ml)と2−ブロモ−チオフェン(0.1ml)を添加してポリマーを末端封鎖し、反応混合物をさらに6時間還流させた。室温まで冷却後、反応混合物をメタノール(300ml)と塩酸(10ml、2N)の混合物中で沈殿させて、室温で2時間攪拌させた。ポリマーP4を濾過し、メタノールで洗浄し、アセトン中で24時間ソックスレー抽出にかけた。ポリマーP4はトルエンに再溶解し、メタノールから沈殿させ、メタノールで洗浄し、乾燥させた。
【0204】
Mn=1.6×104g/mol、D=2.2
1H−NMR (1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2)(400MHz): ppm 7.03 (m, 8H), ppm 2.78 (m, 4H), ppm 1.70 (m, 4H), ppm 1.35 (ブロードピーク、36H), ppm 0.89 (t, 6H, J=6.6Hz)
元素分析(計算値): C、73.30 (72.99); H、8.35 (8.46)
【0205】
実施例1E:ポリ[(2,2’−ビチオフェン−2,5’−ジイル)−alt−(3,3’−ジ−n−オクチルシリレン−2,2’−ビチオフェン−5,5’−ジイル)](ポリマーP6)の合成
【0206】
【化54】

【0207】
等モル量の2,5’−ビス(トリメチルスタニル)−2,2’−ビチオフェンモノマー(9)(0.5010mmol、0.246g)と5,5’−ジブロモ−3,3’−ジ−n−オクチルシリレン−2,2’−ビチオフェン(5)(0.50mmol、0.288g)を無水トルエン(10.0ml)に溶解し、次いでテトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)(0.025mmol、29mg)をN2下で添加した。得られた混合物を、N2下で100°Cで2日間加熱した。その後、3時間後に2−(トリメチルスタニル)チオフェン(0.2ml)と2−ブロモ−チオフェン(0.2ml)を添加してポリマーを末端封鎖し、反応混合物を100°Cでさらに6時間加熱した。室温に冷却後、反応混合物を沈殿させてメタノール混合物(300ml)とし、室温で2時間攪拌した。ポリマー6を濾過し、メタノールで洗浄し、アセトン、続けてジオキサンで24時間ソックスレー抽出した。ポリマーP6はトルエンに再溶解し、メタノールから沈殿させ、メタノールで洗浄し、乾燥させた。
【0208】
Mn=1.05×105g/mol、D=4.05
1H−NMR (テトラクロロエタン−d2)(400MHz):ppm 7.17−7.00 (m, 6H), ppm 1.48−1.16 (m, 24H), ppm 0.94−0.83 (m, 10H)
元素分析(計算値): C、66.19 (66.15); H、6.93 (6.94);類、21.93 (22.07)
【0209】
実施例2:装置の組立
本発明のポリマーの半導性特性を、二つのトランジスタ構造(ボトムゲート・トップコンタクト(図6a)及びトップゲート・ボトムコンタクト(図6cと7a))で評価した。金属蒸着工程とフィルム乾燥工程を除いて、すべての装置組立プロセスを環境条件で行った。表1に、異なる部品の構造と材料と、製造したいろいろな装置の組立方法を示す。
【0210】
【表1】

【0211】
実施例2A:P(TS8TVT)系のトップゲート・ボトムコンタクトトランジスタの組立
トップゲート・ボトムコンタクト(TGBC)TFTを、ガラス(PGOガラス)上に形成し、そのまま使用した。Auのソース−ドレイン接点(30nm厚)は、熱的に蒸着させた。これらの基板上に、半導体層をスピンコート法(濃度:CHC混合物中約5〜10mg/mL、1500〜2000rpm、フィルムは90°Cで30秒間乾燥し、そのまま、あるいは表1に示すように150°Cまたは250°Cで1時間熱処理した、膜厚=10〜30nm)により形成した。独自に配合物中のPMMAの20〜60mg/mL溶液を、スピンコートして(1500〜2000rpm)、得られる誘電体フィルムを100℃で1分間乾燥させた。得られた誘電体の厚みは300〜400nmである。シャドウマスクを通してパターン状のAuゲート接点(〜30nm厚)を蒸着させて、この装置構造を得た。回路の長さと幅は、それぞれ25〜75μmと0.5〜1.5mmであり、W/L=20であった。
【0212】
比較例2B:P(TS8T2)系のトップゲート・ボトムコンタクトトランジスタの組立
これらの装置は、上記のP(TS8TVT)をもつTGBC装置と同様に組み立てた。パターン状のS/D接点をもつ同じガラス基板を製造し、上記半導体層をスピンコート法(濃度:2−MeTHF中約5mg/mL、1000〜2000rpm、フィルムは90°Cで30秒間乾燥し、そのまま、あるいは表1に示すように最高250°Cの温度で1時間熱処理した、膜厚:10〜30nm)で形成した。上と同じ誘電体配合物を用いて、同じ厚みの類似のフィルムを得た。上と同様にパターン状のAuゲート接点を形成して完成装置を得た。
【0213】
実施例2C:P(T2−12−TVT)系のボトムゲート・トップコンタクトトランジスタの組立
熱的に成長させたSiO2(200nm)層をもつn++−Si基板上に、W=350μm〜7mm、L=5μm〜100μmで、W/L=70の範囲の異なる回路寸法をもつAuのS/D電極を、光リソグラフィー的にパターン形成して、ボトムゲート・トップコンタクト(BGBC)薄膜トランジスタ(TFT)を組み立てた。これらの基板は、半導体の形成の前に一夜ヘキサメチルジシラザン蒸気で処理した。すべてのBGBC装置は、スピンコート法(濃度:DCB中約5〜10mg/mL、1000〜2000rpm、フィルムは−90°Cの環境で30秒間乾燥させた、膜厚=10〜50nm)によりP(T2−12−TVT)層を形成して完成させた。
【0214】
実施例2D:P(T2−14−TVT)系のボトムゲート・トップコンタクトトランジスタの組立
これらの装置は、同じ条件下で形成したP(T2−14−TVT)を活性層として用いて実施例3Cと同じ方法で組み立て、よく似た厚みのフィルムを得た。
【0215】
実施例2E:P(BDT12−TVT)系のボトムゲート・トップコンタクトトランジスタの組立
P(BDT12−TVT)のBGBC装置は、実施例3Cと3Dと同様にして、まったく同じように製造した基板上に形成した。HMDSでの表面処理後、これらのBGBC装置は、スピンコート法(濃度:DCB中5〜10mg/mL、2000〜3000rpm、−90°Cの環境で30秒間乾燥したフィルム、膜厚=10〜50nm)でP(BDT12−TVT)を形成して、組み立てられた。
【0216】
実施例3:装置の特性評価
前増幅器を備えた3源計測部(SMU)を持つデュアルチャネル・ケースレー2612またはケースレー4200半導体特性評価システムを用いて、すべての組み立てられたトランジスタの電気的な特性評価を行った。試験システムの他の主たる成分は、シグナトーン分析装置である。暗い/金属ボックス密閉装置を用いて光への暴露を避け、環境に起因するノイズを低下させている。
【0217】
トランジスタキャリア移動度(μ)は、標準的な電界効果トランジスタ方程式により計算した。従来の金属−絶縁体−半導体FET(MISFETs)においては、通常、IDS対VDS曲線中の異なるVG(なお、IDSはソース−ドレイン飽和電流であり、VDSはソースとドレイン間の電位で、VGはゲート電圧である)に、直線的で飽和した領域がある。
【0218】
大きなVDSでは、電流が飽和し、次式で与えられる。

(IDSsat=(WCi/2L)μ(VG−Vt2 (1)
【0219】
式中、LとWは装置回路の長さと幅であり、それぞれのCiはゲート絶縁体の比静電容量であり、Vtは閾値電圧である。移動度(μ)は、飽和領域中で、計算式(1)を次のように変更して計算される:

μsat=(2IDSL)/[WCi(VG−Vt2] (2)
【0220】
閾値電圧(Vt)は、VG対(IDS1/2のプロットの直線部のx切片として求めることができる。
【0221】
表2に、環境条件下で測定された(ただし、半導体の熱処理温度は異なる)P(TS8TVT)の正孔移動度と、比較用のP(TS8TVT)の正孔移動度(それぞれ実施例2Aと2Bからの装置)を示す。
【0222】
【表2】

【0223】
製造直後のP(TS8TVT)のフィルムを用いたTGBC−TFTの正孔移動度は、0.8〜2×10-2cm2/Vsの間で変動する。これらのデータより、P(TS8TVT)が、従来の有機溶媒から容易に加工可能なPチャネル高分子半導体であることがわかる。より重要なことには、P(TS8TVT)半導体層の熱的熱処理(Ta)により、装置性能が殆ど改善されないことがわかった。例えば150℃で熱処理したフィルムでは、得られるTFTの移動度が、3〜6×10-2cm2/Vsであり、熱処理の無いフィルムより2〜4倍大きいに過ぎない。より高温での、例えば250℃での熱処理では、FET性能の劣化が起こり、殆どあるいはまったく電界効果が認められない。高Taのこれらの装置の収率は低く、得られる移動度は0.1〜5×10-6cm2/Vsの範囲である。図5に、P(TS8TVT)を有するTGBC装置で、その半導体を150℃で熱処理したものの典型的な移動プロットを示す。
【0224】
比較例2Bの装置(活性半導体層としてTS8T2をもつ)は、そのままのフィルムで低い正孔移動度(1〜4×10−4cm2/Vs)を持つが、熱処理品フィルムでは一桁上への改善が見られる(Ta=150℃で2〜5×10-3cm2/Vs、Ta=250℃で0.5〜2×10-1)。
【0225】
P(BDT12−TVT)をもつBGBC装置(実施例2E)は、そのままのフィルムで最大0.06cm2/Vsの正孔移動度を示すが、いろいろな熱処理処理で改善は殆ど見られなかった。60℃で30分間熱処理した装置は、最大0.1cm2/Vsの正孔移動度を示し、100℃で30分間熱処理した装置は、最大0.14cm2/Vsの正孔移動度を示し、より高い温度(>160℃)では、観測される移動度に低下が見られた。
【0226】
他の例としては、P(T2−14−TVT)をもつBGBC装置(実施例2Cの装置)は、そのままのフィルムで最高0.03cm2/Vsの正孔移動度を示し、100℃までの温度での熱処理では改善が見られなかった。この温度を超えると装置の性能が低下し、この性能劣化は、このポリマーのDSC曲線上に認められる106℃での吸熱転移に関係している。
【0227】
他の例としては、P(T2−12−TVT)をもつBGBC装置(実施例2Dの装置)が、そのままのフィルムで最高0.11cm2/Vsの正孔移動度を示した。典型的な移動プロット(p型)を図7に示す。ジチエニルビニレン基ではなくビチオフェンに構造的に類似したポリマー(PQT12)が、製造直後のフィルムでは一桁低い移動度を持っているとしても、このフィルムを120℃〜140℃で少なくとも30分間〜1時間熱処理品することにより製造フィルムとして高い正孔移動度を持つこととなるとは、当業界の熟練者でも想像できなかったであろう。Ong, B. S. et al., J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 3378−3379を参照のこと。
【0228】
本発明は、その範囲または必須の特徴から外れることなく、上記以外の具体的な形の実施様態を含む。したがって、上記の実施様態は、あくまで説明のためのものであって、ここに記載の本発明を制限することは決して無いと考えるべきである。従って、本発明の範囲は、上記の明細書では無く付属の請求の範囲により示されるものであり、請求項に等価の意味や範囲内での変更は本発明に含まれるものである。
【0229】
実施例4:モノマーの合成
試薬はすべて市販の製品であり、特記しない場合、特に精製することなく使用した。特記しない場合は、既存のシュレンク法使用し、反応はN2下で実施した。NMRスペクトルは、バリアン400MRスペクトロメータ(1H、400MHz)で測定した。ポリマーの分子量は、屈折率検出器をもつアジレント1200シリーズの製品を用い、ポリスチレン標準試薬と比較しながら、THF中室温で測定した。ポリマーの熱的な性質は、示差走査型熱量計(DSC)(メトラートレド、DSC/823e/500/404)を用い、走査速度を10°C/minとして分析した。元素分析は、シンガポール国立大学で行った。5,5’−ジブロモ−4,4’−ビ(ドデシル)−2,2’−ビチオフェン;5,5’−ジブロモ−4,4’−ビ(オクチル)−2,2’−ビチオフェン(McCulloch, I.; Heeney, M.; Genevicius, K.; MacDonald, I.; Shkunov, M.; Sparrowe, D.; Tierney, S.; Wagner, R.; Zhang, W.; Chabinyc, M. L; Kline, R. J.; McGehee, M. D.; Toney, F. M., Nat. Mater. 2006, 5,328)、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン−4,8−ジオン(Beimling, P.; Koβmehl, G. Chem. Ber. 1986, 119, 3198)、5,5’−ビス(3−ドデシル−2−チエニル)−2,2’−ジチオフェン(Ong, B. S.; Wu, Y.; Liu, P.; Gardner, S., J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 3378)、1,3−ジブロモ−5−(2−ヘキシルデシル)チエノ[3,4−c]ピロール−4,6−ジオン(Nielsen、C. B.; BjsΦrnholm、T., Org. Lett. 2004, 6, 3381)、2,7−ジブロモ−4,4−ジヘキサデシルシクロペンタジチオフェン(Zhang, M.; Tsao, H. K.; Pisula, W.; Yang, C. D.; Mishra, A. K.; Muellen, K. J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 3472)、2,5−ジブロモ−3,4−ジドデシル−チオフェン(Ashraf, R. S.; Klemm, E. J. Pofym. Sci: Part A: Polym. Chem. 2005, 43, 6445)、4,8−ジドデシルベンゾ−[1,2−b:4,5−b’]−ジチオフェン(Pan, H.; Wu, Y.; Li Y.; Liu, P.; Ong, B. S.; Zhu, S.; Xu, G., Adv. Funct. Mater. 2007, 17, 3574)、および2,5−ビス(トリメチルスタニル)−チエノ[3,2−b]チオフェン(Fuller, L. S.; Iddon、B.; Smith、K. A., J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1, 1997, 3465)は、文献に記載の方法により合成した。
【0230】
実施例4a:3−ドデシル−2−チオフェンカルボキサルデヒド(11)の合成
【0231】
【化55】

【0232】
攪拌下の2−ブロモ−3−ドデシルチオフェン(10)の溶液(4g、12.07mmol、96mlのエーテル)中に、n−ブチルリチウムの溶液(1.6Mのヘキサン、8mL、12.67mmol)を、N2下で−78℃で滴下した。すべてを添加し終わるまで、反応温度を−78℃に維持した。この温度で、DMF(1.4ml、18.11mmol)をゆっくり添加し、この混合物を室温にまで暖めた。この混合物を、1MのNH4Cl水溶液に注ぎ、CH2Cl2で抽出した。有機層は水洗し、Na2SO4上で乾燥し、減圧下で溶媒を除いた。残渣を短いカラム(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル、9:1)に通して、淡黄色の液体化合物を87%の収率で得た。
【0233】
1H−NMR (DCM−d2, 400MHz): ppm 0.88 (t, 3H, J=6.8Hz), ppm 1.27 (m, 18H), ppm 1.67 (td, 2H, J=7.6Hz, J=15.1Hz), ppm 2.96 (t, 2H), ppm 7.04 (d, 1H, J=5.0Hz), ppm 7.66 (d, 1H, J=5.0Hz), ppm 10.04 (s, 1H)
【0234】
実施例4b:(E)−1,2−ビス(3−ドデシルチエニル)エチレン(12)の合成
【0235】
【化56】

【0236】
TiCl4(0.94ml、8.56mmol)とZn(1.12g、17.11mmol)から合成した低価Tiの42ml乾燥THF中での懸濁液に、N2下で0℃で11の14mlの乾燥THF中の乾燥溶液(2g、7.13mmol)を添加した。2時間還流の後、この混合物を室温まで冷却し、濾過して過剰のZnを除き、溶媒を除去し、水中に注ぎ、CH2Cl2で抽出した。有機相は水洗し、MgSO4上で乾燥した。溶媒を除去後、粗固体をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン)で精製して、淡黄色固体化合物12を75%の収率で得た。
【0237】
1H−NMR (CDCl3, 400MHz): ppm 0.88 (t, 6H, J=6.8Hz), ppm 1.31 (m, 36H), ppm 1.59 (td, 4H, J=7.4Hz, J=14.7Hz), ppm 2.65 (m, 4H), ppm 6.84 (d, 2H, J=5.2Hz), ppm 6.99 (s, 2H), ppm 7.07 (d, 2H, J=5.2Hz)
【0238】
実施例4c:(E)−1,2−ビス[3−ドデシル−5−(トリメチルスタニル)−2−チエニル]エチレン(13)の合成
【0239】
【化57】

【0240】
(E)−1,2−ビス(3−ドデシルチエニル)エチレン(12)(10.4mmol、2.00g)を無水THF(43.2ml)中に溶解し、窒素下で−78℃に冷却し、その後、n−ブチルリチウム(21.84mmol、13.7ml)を滴下した。得られた溶液を30分かけて室温まで暖め、その温度で3時間攪拌した。この混合物を−78℃に冷却し、トリメチルスズクロリド(21.84mmol、4.35g)の無水THF(26ml)溶液を滴下した。添加後、混合物を4時間かけて室温まで暖め、室温で20時間攪拌した。反応混合物を飽和NH4Cl溶液(100ml)に注ぎ、水層をジエチルエーテルで抽出した。有機層は集めて水洗し、Na2SO4上で乾燥し、減圧下で濃縮した。粗固体をエタノールから再結晶して、目的生成物13を73%の収率で得た。
【0241】
1H−NMR (CDCl3, 400MHz): ppm 0.36 (s, 18H), ppm 0.88 (t, 6H, J=6.9Hz), ppm 1.30 (m, 36H), ppm 1.59 (td, 4H, J=7.3Hz, J=14.9Hz), ppm 2.65 (m, 4H), ppm 6.94 (s, 2H), ppm 7.00 (s, 2H)
【0242】
実施例4d:(E)−1,2−ビス[3−ドデシル−5−ブロモ−2−チエニル]エチレンの合成
【0243】
【化58】

【0244】
(E)−1,2−ビス(3−ドデシルチエニル)エチレン(12)(1.34g、2.54mmol)を25/25mlの無水DMF/THFに溶解し、0℃に冷却した。次いで、この混合物にNBS(0.99g、5.59mmol)の15mlの無水DMF溶液を滴下し、反応をTLCで追跡した。この反応を水で停止させ、ジエチルエーテルで抽出した。水洗後、有機相をNa2SO4上で乾燥し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン)で精製して、明るい黄色の固体化合物14を78%の収率で得た。
【0245】
1H−NMR (DCM−d2, 400MHz): ppm 0.88 (t, 6H, J=6.8Hz), ppm 1.28 (m, 40H), ppm 2.58 (m, 4H), ppm 6.80 (s, 2H), ppm 6.83 (s, 2H)
【0246】
実施例4e:(E)−1,2−ビス(4−ブロモチエニル)エチレン(16)の合成
【0247】
【化59】

【0248】
TiCl4(2.8ml、25.13mmol)とZn(3.29g、50.26mmol)のから合成した低価Tiの126mlの乾燥THF中の懸濁液に、N2下で0℃で、15(4g、20.94mmol)の42mlの乾燥THF溶液を添加した。2時間還流後、この混合物を室温まで冷却し、濾過して過剰のZnを除き、水に注いで、CH2Cl2で抽出した。有機相は水洗し、MgSO4上で乾燥した。脱溶媒後、粗固体を温エタノールで洗い、茶色固体化合物16を80%の収率で得た。
【0249】
1H−NMR (CDCl3, 400MHz): ppm 6.94 (s, 2H), ppm 6.97 (d, 2H, J=1.4Hz), ppm 7.10 (d, 2H, J=1.1Hz)
【0250】
実施例4f:(E)−1,2−ビス(4−ドデシルチエニル)エチレン(17)の合成
【0251】
【化60】

【0252】
16(1.1g、3.14mmol)とNiCl2(dppp)(0.17g、0.31mmol)の混合物を、二口丸底フラスコ中で脱気させた。次いで、この混合物に無水THF(25mL)を添加した。この反応混合物に、C1225MgBr(THF中1M、8ml、8mmol)を滴下し、一夜60℃で加熱した。反応を2N−HCl水溶液で停止し、CH2Cl2で抽出し、セライトで濾過した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/CH2Cl2、4:1)で精製し、ヘキサンから再結晶して、黄色の固体化合物17を38%の収率で得た。
【0253】
1H−NMR (DCM−d2, 400MHz): ppm 0.88 (t, 6H, J=6.8Hz), ppm 1.29 (m, 36H), ppm 1.60 (td, 4H, J=7.2Hz, J=14.6Hz), ppm 2.55 (m, 4H), ppm 6.78 (s, 2H), ppm 6.88 (s, 2H), ppm 6.96 (s, 2H)
【0254】
実施例4g:(E)−1,2−ビス[4−ドデシル−5−ブロモ−2−チエニル]エチレン(18)の合成
【0255】
【化61】

【0256】
(E)−1,2−ビス(4−ドデシルチエニル)エチレン(17)(0.62g、1.17mmol)を24/78mlの無水DMF/THFに溶解し、0℃に冷却した。ついで、この混合物に、NBS(0.46g、2.57mmol)の15mlの無水DMF溶液を滴下し、反応をTLCで追跡した。反応を水で停止し、ジエチルエーテルで抽出した。水洗後、有機相をNa2SO4で乾燥し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン)で精製して、黄色の固体化合物18を93%の収率で得た。
1H−NMR (DCM−d2, 400MHz): ppm 0.88 (t, 6H, J=6.8Hz), ppm 1.29 (m, 36H), ppm 1.57 (dd, 4H, J=7.3Hz, J=14.6Hz), ppm 2.51 (m, 4H), ppm 6.75 (s, 2H), ppm 6.79 (s, 2H)
【0257】
実施例4h:2−(トリメチルスタニル)−4−ドデシル−チオフェン(20)の合成
【0258】
【化62】

【0259】
脱気後の均一な3−ドデシルチオフェン(19)(2g、7.92mmol)のTHF溶液に、攪拌下−78℃で、LDA(4.75ml、9.51mmol)を滴下させた。この混合物を−78℃で1時間攪拌し、リメチルスタニルクロライドの9.5mlのTHF溶液を添加し、この溶液を室温まで暖めた。攪拌を室温で2時間継続した。この混合物を、飽和NaHCO3で洗浄し、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で濃縮して、目的生成物20を90%の収率で得た。
1H−NMR (CD2Cl2, 400MHz): 57.19 (s, 1H)、7.02 (s, 1H)、2.63 (t, 2H)、1.62 (m, 2H)、1.2−1.4 (m, 18H)、0.88 (t, 3H)、0.34 (s, 9H)
【0260】
実施例4i:4,4'''−ジドデシル−2,2’:5’,2”:5”,2'''−クォーテルチオフェン(21)の合成
【0261】
【化63】

【0262】
5,5’−ジブロモ−2,2’−ビチオフェンと4−ドデシル−3−(トリメチルスタニル)チオフェン(20)とを100ml二口丸底フラスコ中で脱気させた。この反応混合物に10mlの無水トルエンを添加し、100℃で還流させた。冷却後、反応混合物をDCMで抽出し、水と塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で濃縮した。この粗混合物を、ヘキサンを溶離液とするカラムクロマトグラフィーで精製して、目的生成物21をオレンジ色の固体として得た。収率:44%(0.4852g)。
【0263】
1H−NMR (CD2Cl2, 400MHz): 57.06 (s, 2H)、6.86 (s, 2H)、7.08−7.ll(m, 4H)、2.60 (t, 4H)、1.65 (m, 4H)、1.2−1.4 (m, 36H)、0.89 (t, 6H)
【0264】
実施例4j:5,5'''−ジブロモ−4,4'''−ジドデシル−2,2’:5’,2”:5”,2'''−クォーテルチオフェン(22)の合成
【0265】
【化64】

【0266】
21のDMF/THF混合物中の冷溶液に、0℃で、NBSの5mlのDMF溶液を添加した。反応混合物を一夜室温で攪拌した。次いで、この反応混合物を水中に注ぎ、DCMで抽出し、塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥して、目的生成物22を87%の収率で得た。(0.524g)。
【0267】
1H−NMR (CD2Cl2, 400MHz): 57.09 (d, 2H). 7.03 (d, 2H)、6.92 (s, 2H)、2.55 (t, 4H)、1.55−1.65 (4H、m)、1.2−1.4 (m, 36H)、0.88 (t, 6H)
【0268】
実施例4k:5,5'''−ビス(トリメチルスタニル)−3,3'''−ジドデシル−2,2’:5,2”:5”,2'''−クォーテルチオフェン(24)の合成
【0269】
【化65】

【0270】
脱気後の均一なクォーテルチオフェン23(Ong, B. S.; Wu, Y.; Liu, P.; Gardner, S., J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 3378)のTHF溶液に、−78°Cで、LDAを滴下させた。この混合物を−78℃で1時間攪拌した後、Me3SnClの2mlのTHF容器を添加し、この溶液を室温まで暖めた。室温で攪拌を2時間継続した。この反応混合物を、飽和NH4Cl溶液に注ぎ、DCMで抽出し、水と塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で濃縮して、目的生成物24を茶褐色液体として得た。収率:93.8%(610mg)。
【0271】
1H−NMR (CDCl3, 400MHz): 57.13 (d, 2H)、7.03 (m, 4H)、2.80 (t, 4H)、1.66 (m, 4H)、1.2−1.4 (m, 36H)、0.87 (t, 6H)、0.38 (s, 18H)
【0272】
実施例4l:4,8−ビス(2−エチルヘキシル)−ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジチオフェン(26)の合成
【0273】
【化66】

【0274】
ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン−4,8−ジオン(25)(Beimling, P.; Koβmehl, G., Chem. Ber. 1986, 119, 3198)(4.9g、22.2mmol)の100mlのTHF中の懸濁液に、2−エチルヘキシルマグネシウムブロマイド(111ml、ジエチルエーテル中1M)を添加した。次いで、この混合物を60℃で24時間加熱し、室温まで冷却し、SnCl2(13.47g、71.04mmol)の190mlの10%HClを添加した。この混合物を60°Cで24時間加熱した。THFは減圧下で除いた。残渣をエーテルに溶解し、水と飽和NaHCO3と塩水と水で洗浄した。有機層はMgSO4上で乾燥し、次いで濃縮した。ヘキサンを用いるカラムクロマトグラフィーにより、1.2g(13%)の目的生成物26を得た。
1H−NMR (400MHz, CDCl3): ppm 7.46 (d, 2H, J=5.6Hz)、7.42 (d, 2H, J=5.6Hz)、3.18−3.06 (m, 4H)、1.97 (hep、2H, J=6.4Hz)、1.43−1.18 (m, 16H)、0.91−0.81 (m, 12H)
【0275】
実施例4m:2,6−(トリメチルスタニル)−4,8−ビス(2−エチルヘキシル)−ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジチオフェン(27)の合成
【0276】
【化67】

【0277】
ベンゾジチオフェン26(1.93mmol、0.8g)を無水THF(10ml)に溶解し、窒素下で−78℃まで冷却した。次いで、n−ブチルリチウム(4.05mmol、2.5ml)を滴下した。得られた溶液を−78℃で3時間攪拌し、さらに室温で1時間攪拌した。この混合物を次いで−78°Cまで冷却し、トリメチルスズクロリド(4.05mmol、0.8g)の無水THF(5ml)溶液を滴下した。添加後、混合物をゆっくりと室温まで暖め、さらに20時間室温で攪拌した。反応混合物を飽和NH4Cl溶液(30ml)に注ぎ、水層をジエチルエーテルで抽出した。有機層は集めて水洗し、Na2SO4上で乾燥し、減圧下で濃縮して、化合物27を94の%収率で得た。この化合物は長期間真空乾燥すると固化した。
【0278】
1H−NMR (400MHz, CD2Cl2): ppm 7.53 (s, 2H)、3.21−3.08 (m, 4H)、1.93 (hep、2H, J=6.4Hz)、1.44−1.2 (m, 16H)、0.93−0.82 (m, 12H)、0.44 (s, 18H)
HPLC (CHCl3:MeOH=99:1): 98.6%
【0279】
実施例4n:2,6−(トリメチルスタニル)−4,8−ジドデシル−ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジチオフェン(20)の合成
【0280】
【化68】

【0281】
化合物28(1.9mmol、1.0g)を無水THF(20ml)に溶解し、窒素下で−78℃まで冷却し、次いでn−ブチルリチウム(4.05mmol、2.5ml)を滴下した。得られた溶液を、さらに−78℃で3時間、室温で1時間攪拌した。ついで、この混合物を−78℃まで冷却し、トリメチルスズクロリド(4.05mmol、0.8g)の無水THF(5ml)溶液を滴下した。添加後、混合物をゆっくり室温まで暖め、さらに20時間室温で攪拌した。この反応混合物を飽和NH4Cl溶液(30ml)に注ぎ、水層をジエチルエーテルで抽出した。有機層は集めて水洗し、Na2SO4上で乾燥し、減圧下で濃縮して、化合物29を得た(1.44g、89%収率)。
【0282】
1H−NMR (400MHz, CDCl3): ppm 7.49 (s, 2H)、3.20 (t, 4H, J=8Hz)、1.81 (quin, 4H, J=8Hz)、1.47 (quin, 4H, J=8Hz)、1.37 (quin, 4H, J=8H)、1.26 (bs, 28H)、0.88 (t, 6H, J=8Hz)、0.45 (s, 18H)
【0283】
実施例4o:(Z)−5,5’−ビス(トリメチルスタニル)−[1,2−ビス(2’−チエニル)ビニル](31)の合成
【0284】
【化69】

【0285】
シス−TVT30(0.52mmol、0.1g)を無水THF(8.4ml)に溶解し、窒素下で−78℃まで冷却した。次いで、n−ブチルリチウム(1.09mmol、0.68ml)を滴下した。得られた溶液を30分かけて室温まで暖め、その温度で3時間攪拌した。次いで、この混合物を−78℃まで冷却し、トリメチルスズクロリド(1.09mmol、0.22g)の無水THF(5ml)溶液を滴下した。添加後、混合物を4時間かけて室温まで暖め、室温でさらに20時間攪拌した。この反応混合物を飽和NH4Cl溶液(100ml)に注ぎ、水層をジエチルエーテルで抽出した。有機層は集めて水洗し、Na2SO4上で乾燥し、減圧下で濃縮した。粗固体をエタノールから再結晶して、所望の化合物31を43%の収率で得た。
【0286】
1H−NMR (CDCl3, 400MHz): ppm 0.37 (s, 18H), ppm 7.09 (d, 4H, J=4.8Hz), ppm 7.13 (d, 2H, J=3.4Hz)
【0287】
実施例5:ポリマーの合成

実施例5A:ポリマーP7
【0288】
【化70】

【0289】
等モル量のモノマー14(0.23mmol、158mg)とモノマー29(0.23mmol、200mg)を、無水クロロベンゼン(7.7ml)に溶解し、N2下で、Pd2dba3(0.007mmol、6mg)とトリ(o−トリル)ホスフィン(0.014mmol、4mg)を添加した。得られた混合物を2日間N2下で還流した。2−ブロモチオフェンと2−トリブチルスタニルチオフェンを末端封止剤として、2−ブロモチオフェン、次いで2−トリブチルスタニルチオフェンの順で添加した。室温まで冷却後、反応混合物をメタノール(300ml)で沈殿させ、室温で2時間攪拌した。このポリマーP7を濾過し、メタノールで洗浄し、アセトン中で24時間ソックスレー抽出にかけた。ポリマーP7をトルエンに再溶解し、メタノールから沈殿させ、ろ過、メタノール洗浄後、乾燥させた。
【0290】
Mn=1.3×104、Mw=8.6×104、PDI=6.4
1H−NMR (1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2, 400MHz): ppm 0.94 (m, 12H), ppm 1.33 (ブロードピーク、72H), ppm 1.78 (m, 4H), ppm 1.94 (m, 4H), ppm 2.78 (m, 4H), ppm 3.22 (m, 4H), ppm 7.11 (m, 2H), ppm 7.19 (m, 2H), ppm 7.54 (m, 2H)
元素分析(計算値): C、77.27 (77.65); H、9.86 (10.16)。
【0291】
実施例5B:ポリマーP8
【0292】
【化71】

【0293】
等モル量の化合物14(0.29mmol、200mg)と5,5’−ジスタニル[2,2”]ビチオフェン(32)(0.29mmol、143mg)を無水クロロベンゼン(20mL)に溶解し、N2下でPd2dba3(0.009mmol、8mg)とトリ(o−トリル)ホスフィン(0.02mmol、6mg)を添加した。得られた混合物を2日間N2下で還流した。2−ブロモチオフェンと2−トリブチルスタニルチオフェンを末端封止剤として、2−ブロモチオフェン、次いで2−トリブチルスタニルチオフェンの順で添加した。室温まで冷却後、反応混合物をメタノール(500ml)で沈殿させ、室温で2時間攪拌した。このポリマーP8を濾過し、メタノールで洗浄し、アセトン中で24時間ソックスレー抽出にかけた。ポリマーP8をトルエンに再溶解し、メタノールから沈殿させ、ろ過、メタノール洗浄後、乾燥させた。
【0294】
Mn=9.7×103、Mw=5.7×104、PDI=5.9
1H−NMR (1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2, 400MHz): ppm 0.94 (m, 6H), ppm 1.34 (ブロードピーク、36H), ppm 1.73 (m, 4H), ppm 2.72 (m, 4H), ppm 7.01 (m, 4H), ppm 7.14 (m, 4H)
元素分析(計算値): C、72.43 (72.99); H、8.25 (8.46)
【0295】
実施例5C:ポリマーP9
【0296】
【化72】

【0297】
等モル量の5,5’−ジブロモ−4,4’−ビ(テトラデシル)−2,2’−ビチオフェン(33)(0.17mmol、122mg)とモノマー31(0.17mmol、88mg)を無水クロロベンゼン(6.5ml)に溶解し、N2下で、Pd2dba3(0.005mmol、4.7mg)とトリ(o−トリル)ホスフィン(0.01mmol、3.5mg)を添加した。得られた混合物を2日間N2下で還流した。2−ブロモチオフェンと2−トリブチルスタニルチオフェンを末端封止剤として、2−ブロモチオフェン、次いで2−トリブチルスタニルチオフェンの順で添加した。室温まで冷却後、反応混合物をメタノール(300ml)で沈殿させ、室温で2時間攪拌した。このポリマーP9を濾過し、メタノールで洗浄し、アセトン中で24時間ソックスレー抽出にかけた。ポリマーP9をTHFに再溶解し、メタノールから沈殿させ、ろ過、メタノール洗浄後、乾燥させた。
【0298】
Mn=1.6×104、Mw=3.4×104、PDI=2.1
1H−NMR (1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2, 400MHz): ppm 0.93 (m, 6H), ppm 1.34 (ブロードピーク、44H), ppm 1.76 (m, 4H), ppm 2.84 (m, 4H), ppm 7.07 (m, 8H)
元素分析(計算値): C、74.67 (73.94); H、8.44 (8.90)
【0299】
実施例5D:ポリマーP10
【0300】
【化73】

【0301】
等モル量のモノマー14(0.29mmol、200mg)とモノマー34(0.29mmol、150mg)を無水クロロベンゼン(20mL)に溶解し、N2下で、Pd2dba3(0.009mmol、8mg)とトリ(o−トリル)ホスフィン(0.02mmol、6mg)を添加した。得られた混合物を2日間N2下で還流した。2−ブロモチオフェンと2−トリブチルスタニルチオフェンを末端封止剤として、2−ブロモチオフェン、次いで2−トリブチルスタニルチオフェンの順で添加した。室温まで冷却後、反応混合物をメタノール(500ml)で沈殿させ、室温で2時間攪拌した。このポリマーP10を濾過し、メタノールで洗浄し、アセトンで24時間ソックスレー抽出し、乾燥させた。
【0302】
Mn=1.1×104、Mw=3.0×104、PDI=2.8
元素分析(計算値): C、73.18 (73.94); H、8.19 (8.90).
【0303】
実施例5E:ポリマーP11
【0304】
【化74】

【0305】
等モル量の2,5−ビス(トリメチルスタニル)−チエノ[3,2−b]チオフェン(35)(0.25mmol、116mg)とモノマー14(0.25mmol、170mg)を無水クロロ−ベンゼン(20ml)に溶解し、N2下で、Pd2dba3(0.008mmol、7.3mg)とトリ(o−トリル)ホスフィン(0.02mmol、6mg)を添加した。得られた混合物を2日間N2下で還流した。2−ブロモチオフェンと2−トリブチルスタニルチオフェンを末端封止剤として、2−ブロモチオフェン、次いで2−トリブチルスタニルチオフェンの順で添加した。室温まで冷却後、反応混合物をメタノール(500ml)で沈殿させ、室温で2時間攪拌した。このポリマーP11を濾過し、メタノールで洗浄し、アセトンで24時間ソックスレー抽出し、乾燥させた。
【0306】
Mn=8.3×103、Mw=4.3×104、PDI=5.2
元素分析(計算値): C、72.12 (72.23); H、7.79 (8.49).
【0307】
実施例5F:ポリマーP12
【0308】
【化75】

【0309】
等モル量のモノマー18(0.26mmol、180mg)と5,5’−ジスタニル−[2,2’]ビチオフェン(32)(0.26mmol、128mg)を無水クロロベンゼン(16ml)に溶解し、N2下で、Pd2dba3(0.008mmol、7.3mg)とトリ(o−トリル)ホスフィン(0.02mmol、6.1mg)を添加した。
得られた混合物を2日間N2下で還流した。2−ブロモチオフェンと2−トリブチルスタニルチオフェンを末端封止剤として、2−ブロモチオフェン、次いで2−トリブチルスタニルチオフェンの順で添加した。室温まで冷却後、反応混合物をメタノール(500ml)で沈殿させ、室温で2時間攪拌した。このポリマーP12を濾過し、メタノールで洗浄し、アセトン中で24時間ソックスレー抽出にかけた。ポリマーP12をTHFに再溶解し、メタノールから沈殿させ、ろ過、メタノール洗浄後、乾燥させた。
【0310】
Mn=2.0×104、Mw=4.2×104、PDI=2.1
1H−NMR (1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2, 400MHz): ppm 0.95 (t, 6H, J=6.8Hz), ppm 1.35 (ブロードピーク、36H), ppm 1.75 (m, 4H), ppm 2.82 (m, 4H), ppm 6.97 (d, 4H, J=6.9Hz), ppm 7.12 (d, 2H, J=3.7Hz), ppm 7.20 (d, 2H, J=3.6Hz)
【0311】
実施例5G:
【0312】
【化76】

【0313】
等モル量のモノマー18(0.26mmol、180mg)と2,5−ビス(トリメチルスタニル)−チエノ[3,2−b]チオフェン(35)(0.26mmol、122mg)を無水クロロ−ベンゼン(16mL)に溶解し、N2下で、Pd2dba3(0.008mmol、7.3mg)とトリ(o−トリル)ホスフィン(0.02mmol、6.1mg)を添加した。得られた混合物を2日間N2下で還流した。2−ブロモチオフェンと2−トリブチルスタニルチオフェンを末端封止剤として、2−ブロモチオフェン、次いで2−トリブチルスタニルチオフェンの順で添加した。室温まで冷却後、反応混合物をメタノール混合物(500ml)で沈殿させ、室温で2時間攪拌した。このポリマーP13を濾過し、メタノールで洗浄し、アセトン中で24時間ソックスレー抽出にかけた。ポリマーP13をクロロベンゼンに再溶解し、メタノールから沈殿させ、ろ過、メタノール洗浄後、乾燥させた。
【0314】
Mn=8.0×103、Mw=1.3×104、PDI=1.6
1H−NMR (1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2, 400MHz): ppm 0.95 (t, 6H, J=6.8Hz), ppm 1.35 (ブロードピーク、36H), ppm 1.76 (m, 4H), ppm 2.85 (m, 4H), ppm 6.99 (d, 4H, J=4.2Hz), ppm 7.33 (s, 2H)
元素分析(計算値): C、72.32 (72.23); H、7.92 (8.49)
【0315】
実施例5H:ポリマーP14
【0316】
【化77】

【0317】
ジブロモチオフェンイミド36(0.20g、0.37mmol)とモノマー34(0.19g、0.37mmol)と、Pd2dba3(0.010g、0.011mmol)とP(o−トリル)3(0.007g、0.022mmol)を丸底フラスコに添加し、3回脱気させた。その後、クロロベンゼン(12ml)を添加し、この混合物を130°Cで2日間攪拌した。2−ブロモチオフェンと2−トリブチルスタニルチオフェンを末端封止剤として、2−ブロモチオフェン、次いで2−トリブチルスタニルチオフェンの順で添加した。この反応液を400mlメタノールに滴下し、濾過し、アセトンでソックスレー抽出した。ソックスレー濾紙内に回収されたポリマーP14を70°Cでトルエンに溶解し、メタノール中でもう一度沈殿させた。
【0318】
Mn=9.54×103g/mol、D=1.9
元素分析(計算値): C、67.96 (67.92); H、6.80 (6.95).
【0319】
実施例5I: ポリマーP15
【0320】
【化78】

【0321】
等モル量のモノマー18(0.22mmol、150mg)とモノマー29(0.22mmol、188mg)を無水クロロベンゼン(7.4ml)に溶解させ、N2下で、Pd2dba3(0.007mmol、6.4mg)とトリ(o−トリル)ホスフィン(0.01mmol、3.1mg)を添加した。得られた混合物を2日間N2下で還流した。2−ブロモチオフェンと2−トリブチルスタニルチオフェンを末端封止剤として、2−ブロモチオフェン、次いで2−トリブチルスタニルチオフェンの順で添加した。室温まで冷却後、反応混合物をメタノール(300ml)で沈殿させ、室温で2時間攪拌した。このポリマーP15を濾過し、メタノールで洗浄し、アセトン中で24時間ソックスレー抽出にかけた。ポリマーP15をTHFに再溶解し、メタノールから沈殿させ、ろ過、メタノール洗浄後、乾燥させた。
【0322】
Mn=2.4×103、Mw=4.8×103、PDI=2.0
1H−NMR (1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2, 400MHz): ppm 0.93 (m, 12H), ppm 1.41 (m, 72H), ppm 1.78 (m, 4H), ppm 1.95 (m, 4H), ppm 2.92 (m, 4H), ppm 3.22 (m, 4H), ppm 7.02 (m, 4H), ppm 7.51 (m, 2H)
元素分析(計算値): C、77.98 (77.65); H、9.91 (10.16).
【0323】
実施例5J:ポリマーP16
【0324】
【化79】

【0325】
等モル量のモノマー24(0.15g、0.15mmol)とモノマー18(0.103g、0.15mmol)を、Pd2dba3(0.004g、0.0045mmol)とP(o−トリル)3(0.0027g、0.009mmol)とともに、50mlの二口丸底フラスコ中で脱気させた。次いで、この混合物に無水のクロロベンゼン(5.6ml)を添加した。反応混合物を、窒素下にて130°Cで48時間還流させた。2−ブロモチオフェンと2−トリブチルスタニルチオフェンを末端封止剤として、2−ブロモチオフェン、次いで2−トリブチルスタニルチオフェンの順で添加した。このポリマーP16をメタノール中で沈殿させ、ろ過後、24時間アセトンでソックスレー抽出し、クロロベンゼンに再溶解後、もう一度メタノール中で再沈殿させた。
【0326】
Mn=1.5×104、PDI=1.83
元素分析(計算値): C%: 74.79 (74.56) H%: 9.18 (9.30)
1H−NMR (C2214, 400MHz): 7.18 (brs, 2H)、7.09 (brs, 2H)、7.01 (brs、2H)、6.93 (brs、2H)、6.91 (brs、2H)、2.79 (t, 8H)、1.2−1.5 (m, 80H) 0.88 (t, 12H)
【0327】
実施例5K: ポリマーP17
【0328】
【化80】

【0329】
モノマー37(0.20g、0.32mmol)と2,5−ビス(トリメチルスタニル)−チエノ[3,2−b]チオフェン35(0.15g、0.32mmol)とPd2dba3(0.009g、0.010mmol)とP(o−トリル)3(0.006g、0.019mmol)を、二口丸底フラスコに入れ、3回脱気した。クロロベンゼン(16ml)を添加後、混合物を130°Cで36時間攪拌した。2−ブロモチオフェンと2−トリブチルスタニルチオフェンを末端封止剤として、2−ブロモチオフェン、次いで2−トリブチルスタニルチオフェンの順で添加した。この反応混合物を室温まで冷却した。反応液を400mlのメタノールに滴下し、ろ過後、アセトンでソックスレー抽出にかけた。ソックスレー濾紙内に回収されたポリマーP17を70°Cでクロロベンゼンに溶解し、メタノール中でもう一度沈殿させた。
【0330】
Mn=1.03×104g/mol、D=1.7
元素分析(計算値): C、70.86 (71.00); H、7.46 (7.94)
【0331】
実施例5L:ポリマーP18
【0332】
【化81】

【0333】
等モル量のモノマー22(0.5g、0.606mmol)とモノマー13(0.518g、0.606mmol)と、Pd2dba3(0.0167g、0.018mmol)とP(o−トリル)3(0.011g、0.036mmol)を、50mlのシュレンクチューブ中で脱泡した。次いで、6mlのクロロベンゼンを添加し、混合物を130°Cで2日間還流した。2−ブロモチオフェンと2−トリブチルスタニルチオフェンを末端封止剤として、2−ブロモチオフェン、次いで2−トリブチルスタニルチオフェンの順で添加した。粗ポリマをメタノール中で沈殿させ、濾過した。濾過後、このポリマーP18を85°Cでアセトンでソックスレー抽出にかけた。次いで、ポリマーP18をクロロベンゼンに再溶解し、メタノール中で沈殿させ、乾燥した。
【0334】
Mn=2.7×104、PDI=4.4
元素分析(計算値): C%: 74.56 (74.56) H%: 9.30 (9.17)
1H−NMR (C2214, 400MHz): 7.14 (brs、4H)、7.08 (brs、2H)、7.05 (brs、2H)、6.98 (brs、2H)、2.85、(t, 4H)、2.75 (t, 4H)、1.75 (m, 8H)、1.3−1.5 (m, 72H)、0.95 (m, 12H)
【0335】
実施例5M:ポリマーP19
【0336】
【化82】

【0337】
等モル量の5,5’−ジブロモ−4,4’−ビ(ドデシル)−2,2’−ビチオフェン(38)(0.15mmol、100mg)とモノマー13(0.15mmol、128mg)を無水クロロ−ベンゼン(2ml)に溶解し、N2下で、Pd2dba3(0.005mmol、4.6mg)とトリ(o−トリル)ホスフィン(0.01mmol、3.1mg)を添加した。得られた混合物を2日間N2下で還流した。2−ブロモチオフェンと2−トリブチルスタニルチオフェンを末端封止剤として、2−ブロモチオフェン、次いで2−トリブチルスタニルチオフェンの順で添加した。室温に冷却後、反応混合物を沈殿させてメタノール混合物(300ml)とし、室温で2時間攪拌した。ポリマーP19を濾過し、メタノールで洗浄し、アセトン中で24時間ソックスレー抽出にかけた。ポリマーP19をTHFに再溶解し、メタノールから沈殿し、濾過後、メタノールで洗浄し、乾燥した。
【0338】
Mn=1.3×104、Mw=2.2×104、PDI=1.7
1H−NMR (1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2, 400MHz): ppm 0.94 (m, 12H), ppm 1.34 (ブロードピーク、72H), ppm 1.75 (m, 8H), ppm 2.74 (m, 4H), ppm 2.84 (m, 4H), ppm 6.97 (s, 2H), ppm 7.05 (d, 4H, J=6.8Hz)
元素分析(計算値): C、76.67 (77.13); H、9.72 (10.40)
【0339】
実施例5N:ポリマーP20
【0340】
【化83】

【0341】
等モル量の5−5’−ジブロモ−4,4’−ジ(オクチル)−2,2’−ビチオフェン(39)(0.28mmol、153.6mg)とモノマー13(0.28mmol、208.1mg)を無水クロロベンゼン(5.2ml)に溶解し、N2下で、Pd2dba3(0.0084mmol、7.7mg)とトリ(o−トリル)ホスフィン(0.0168mmol、5.1mg)を添加した。得られた混合物を2日間N2下で還流した。2−ブロモチオフェンと2−トリブチルスタニルチオフェンを末端封止剤として、2−ブロモチオフェン、次いで2−トリブチルスタニルチオフェンの順で添加した。室温まで冷却後、この反応混合物をメタノール混合物(300ml)中で沈殿させ、室温で2時間攪拌した。このポリマーP20を濾過し、メタノールで洗浄し、24時間アセトンでソックスレー抽出した。このポリマーP20をTHFに再溶解し、メタノールから再沈殿し、メタノールで洗浄後乾燥した。
【0342】
Mn=6.4×103、PDI=1.55
1H−NMR (CDCl3, 400MHz): ppm 0.89 (m, 12H), ppm 1.31 (m, 40H), ppm 1.67 (m, 8H), ppm 2.73 (m, 8H), ppm 6.92 (m, 6H)
元素分析(計算値): C、74.48 (74.75); H、9.72 (9.28)
【0343】
実施例5O:ポリマーP21
【0344】
【化84】

【0345】
等モル量の40(0.047g、0.135mmol)と27(0.1g、0.135mmol)を、Pd2dba3(0.00782g、0.0081mmol)とP(o−トリル)3(0.00493g、0.0162mmol)とともに、50mlのシュレンクチューブ中で脱気させた。次いで、この混合物に無水クロロベンゼン(5ml)を添加した。反応混合物を、N2下で130°Cで還流した。2−ブロモチオフェンと2−トリブチルスタニルチオフェンを末端封止剤として、2−ブロモチオフェン、次いで2−トリブチルスタニルチオフェンの順で添加した。この反応混合物をメタノールから沈殿し、粗ポリマーP21を濾過後、アセトン中で24時間ソックスレー抽出し、乾燥した。
【0346】
Mn=1640、PDI=1.5
元素分析(計算値): C%: 71.76 (71.71) H%: 6.92 (7.02)
【0347】
実施例5P:ポリマーP22
【0348】
【化85】

【0349】
等モル量のシクロペンタジチオフェン41(0.38mmol、300mg)とモノマー34(0.38mmol、197mg)を無水クロロベンゼン(12.7mL)に溶解し、N2下で、Pd2dba3(0.011mmol、10.4mg)とP(o−トリル)3(0.02mmol、6.9mg)を添加した。得られた混合物をN2下で2日間還流させた。2−ブロモチオフェンと2−トリブチルスタニルチオフェンを末端封止剤として、2−ブロモチオフェン、次いで2−トリブチルスタニルチオフェンの順で添加した。室温まで冷却後、この反応混合物をメタノール混合物(500mL)中で沈殿させ、2時間室温で攪拌した。このポリマーP22を濾過し、メタノールで洗浄し、アセトン中で24時間ソックスレー抽出した。ポリマーP22をクロロベンゼンに再溶解し、メタノールから再沈殿し、濾過後メタノールで洗浄し、乾燥した。
【0350】
Mn=3.6×104、PDI=2.5
1H−NMR (1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2, 400MHz): ppm 0.95 (t, 6H, J=6.8Hz), ppm 1.24 (ブロードピーク、56H), ppm 1.93 (m, 4H), ppm 7.01 (s, 2H), ppm 7.12 (ブロードピーク、6H)
元素分析(計算値): C、75.16 (75.12); H、8.59 (9.15)
【0351】
実施例5Q:ポリマーP23
【0352】
【化86】

【0353】
等モル量のモノマー42(0.17mmol、100mg)とモノマー13(0.17mmol、145mg)を無水クロロベンゼン(1ml)に溶解し、N2下で、Pd2dba3(0.005mmol、4.6mg)とトリ(o−トリル)ホスフィン(0.01mmol、3.1mg)を添加した。得られた混合物をN2下で2日間還流させた。2−ブロモチオフェンと2−トリブチルスタニルチオフェンを末端封止剤として、2−ブロモチオフェン、次いで2−トリブチルスタニルチオフェンの順で添加した。室温に冷却後、反応混合物を沈殿させてメタノール混合物(300ml)とし、室温で2時間攪拌した。このポリマーP23を濾過し、メタノールで洗浄し、アセトン中で24時間ソックスレー抽出にかけた。ポリマーP23をTHFに再溶解し、メタノールから沈殿させ、濾過後メタノール洗浄し、乾燥した。
【0354】
Mn=1.4×104、PDI=2.0
1H−NMR (1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2, 400MHz): ppm 0.93 (m, 12H), ppm 1.34 (m, 72H), ppm 1.71 (m, 8H), ppm 2.71 (m, 4H), ppm 2.83 (m, 4H), ppm 7.02 (m, 4H)
【0355】
実施例5R:ポリマーP24
【0356】
【化87】

【0357】
等モル量のモノマー43(0.24mmol、114mg)とモノマー13(0.24mmol、205mg)を無水クロロベンゼン(4.8ml)に溶解し、N2下で、Pd2dba3(0.007mmol、6.6mg)と(o−トリル)ホスフィン(0.01mmol、4.4mg)を添加した。得られた混合物をN2下で2日間還流させた。2−ブロモチオフェンと2−トリブチルスタニルチオフェンを末端封止剤として、2−ブロモチオフェン、次いで2−トリブチルスタニルチオフェンの順で添加した。室温に冷却後、反応混合物を沈殿させてメタノール混合物(300ml)とし、室温で2時間攪拌した。このポリマーP24を濾過し、メタノールで洗浄し、アセトン中で24時間ソックスレー抽出にかけた。ポリマーP24をTHFに再溶解し、メタノールから沈殿し、濾過後、メタノールで洗浄し、乾燥した。
【0358】
Mn=3.5×104、PDI=4.7
1H−NMR (1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2, 400MHz): ppm 0.94 (m, 9H), ppm 1.35 (m, 54H), ppm 1.80 (m, 6H), ppm 2.83 (t, 4H, J=7.3Hz), ppm 3.76 (m, 2H), ppm 7.20 (s, 2H), ppm 7.76 (s, 2H), ppm 7.85 (s, 2H)
【0359】
化合物43は、Dierschke, F.; Jacob, J.; Muellen, K., Synth. Met. 2006,156, 433に従って合成した。
【0360】
実施例5S:ポリマーP25
【0361】
【化88】

【0362】
化合物43(2.78g、5.87mmol)と、2−(トリブチルスタニル)チオフェン(5.48g、14.69mmol)と、Pd2(dba)3(0.32g、0.35mmol)とトリ(o−トリル)ホスフィン(0.21g、0.7mmol)を丸底フラスコに入れ、3回脱気した。この丸底フラスコに、クロロベンゼン(19.6ml)を注入した。この混合物を130°Cで一夜攪拌した。反応混合物をH2O(50ml)で停止させ、CHCl3(50ml×3)で抽出した。H2Oで洗浄後、有機相をNa2SO4上で乾燥し、真空下で濃縮した。3重量%トリエチルアミンのヘキサンを溶離液とするカラムクロマトグラフィーでの精製により、2.71g(96%)の生成物44(黄色固体)を得た。
【0363】
1H−NMR (CDCl3, 400MHz): 7.78−7.77 (m, 4H)、7.48−7.47 (m, 2H)、7.19−7.16 (d, 2H)、3.68−3.64 (t, 2H)、1.67−1.62 (m, 2H)、1.30−1.24 (m, 18H)、0.89−0.85 (t, 3H)
【0364】
【化89】

【0365】
化合物44(2.61g、5.45mmol)とNBS(2.33g、13.07mmol)をAcOH(54ml)とCHCl3(54ml)に溶解し、室温で一夜攪拌した。この反応混合物をH2O(50ml)で停止させ、CH2Cl2で抽出した(50ml×3)。H2Oで洗浄後、有機相をNa2SO4上で乾燥し、真空下で濃縮した。ヘキサンを溶離液とするカラムクロマトグラフィーでの精製により、3.12g(90%)の生成物45(黄色固体)を得た。
【0366】
1H−NMR (CDCl3, 400MHz): 7.69 (s, 2H)、7.52−7.51 (d, 2H)、7.13−7.12 (d, 2H)、3.68−3.64 (t, 2H)、1.31−1.24 (m, 20H)、0.89−0.86 (t, 3H)
【0367】
【化90】

【0368】
モノマー45(200mg、0.31mmol)とモノマー13(268mg、0.31mmol)と、Pd2dba3(8.6mg、0.009mmol)とトリ(o−トリル)ホスフィン(5.7mg、0.019mmol)を50mlのシュレンクチューブに入れ、3回脱気した。次いで、この混合物に、無水クロロベンゼン(6.3ml)を添加した。この反応混合物を100°Cで一夜攪拌した。このポリマーP25をメタノールから沈殿し、濾過後、85°Cでアセトン中でソックスレー抽出した。ポリマーP25をクロロベンゼンに溶解し、メタノールから再沈殿させた。
【0369】
1H−NMR (テトラクロロエタン−d2, 400MHz): 7.86 (m, 4H)、7.29 (m, 2H)、7.12−7.03 (m, 4H)、3.75 (m, 2H)、2.74 (m, 4H)、1.75 (m, 6H)、1.49−1.35 (m, 54H)、0.95 (m, 9H)
Mn=8.2×103、PDI=1.48
【0370】
実施例5T:ポリマーP26
【0371】
【化91】

【0372】
化合物46(0.5g、0.76mmol)と2−(トリブチルスタニル)チオフェン(0.71g、1.89mmol)と、Pd2(dba)3(41.7mg、0.046mmol)とトリ(o−トリル)ホスフィン(27.7mg、0.091mmol)を丸底フラスコに入れ、3時間脱気させた。この丸底フラスコに、クロロベンゼン(10ml)を添加した。混合物を130°Cで一夜攪拌した。この反応混合物をH2O(20ml)で停止させ、CH2Cl2で抽出した(20mL×3)。H2Oで洗浄後、有機相をNa2SO4上で乾燥し、真空下で濃縮した。ヘキサンを溶離液とするカラムクロマトグラフィーでの精製により、0.5g(99%)の黄色固体を得た。
【0373】
1H−NMR (CDCl3, 400MHz): 7.31−7.30 (d, 2H)、7.13−7.12 (d, 2H)、7.08−7.06 (t, 2H)、7.00 (s, 2H)、2.74−2.70 (t, 4H)、1.69−1.61 (m, 4H)、1.39−1.26 (m, 36H)、0.90−0.88 (t, 6H)
【0374】
【化92】

【0375】
化合物47(0.1g、0.15mmol)をDMF(0.5ml)に溶解し、0°Cに冷却した。次いで、この混合物に、0.5mlのDMFに溶解したNBS(0.053g、0.30mmol)を12分かけて滴下し、反応をTLCで追跡した。この反応混合物をメタノール中で沈殿させ、濾過後乾燥して、0.1g(81%)のモノマー48(黄色固体)を得た。
【0376】
1H−NMR (CDCl3, 400MHz): 7.02−7.01 (d, 2H)、6.97 (s, 2H)、6.87−6.86 (d, 2H)、2.69−2.65 (t, 4H)、1.67−1.57 (m, 4H)、1.36−1.26 (m, 36H)、0.90−0.86 (t, 6H)
(M+): 825.0; 測定値: 825.1
【0377】
【化93】

【0378】
モノマー48(200mg、0.24mmol)とモノマー13(207mg、0.24mmol)と、Pd2dba3(7mg、0.007mmol)とトリ(o−トリル)ホスフィン(4mg、0.014mmol)を50mlのシュレンクチューブに入れ、3回脱気した。次いで、この混合物に無水クロロベンゼン(8ml)を添加した。反応混合物を130°Cで3日間攪拌した。このポリマーP26をメタノール中で沈殿させ、濾過後85°Cでアセトン中でのソックスレー抽出にかけた。このポリマーP26をTHFに溶解し、メタノールから再沈殿させた。
【0379】
1H−NMR (テトラクロロエタン−d2, 400MHz): 7.16−6.96 (m, 8H)、6.22 (s, 1H)、5.77 (s, 1H)、2.78−2.67 (m, 8H)、1.69−1.56 (m, 8H)、1.36−1.27 (m, 72H)、0.89−0.87 (m, 12H)
Mn=1.8×104、PDI=2.20
【0380】
【表3】

【0381】
【表4】

【0382】
【表5】

【0383】
実施例6:装置の組み立て
装置は、溶液塗布により、ボトムゲート・ボトムコンタクト(BGBC)型およびトップゲート・ボトムコンタクト(TGBC)型の構造で作製した。これらのポリマー溶液は、相当するポリマーを1,2−ジクロロベンゼンに溶解し、オーブン中で溶解するまで加熱(90−150℃)して調整した。溶液は、0.45μmのフィルターで濾過した。部分溶解性のポリマーは、超音波照射で溶解を促進した。トランジスタはすべて、周囲環境で調整し試験した。
【0384】
実施例6a:ボトムゲート・ボトムコンタクトトランジスタ(BGBC−TFT)の製作
BGBC−TFTの製作には、高度にドープしたSiウエハーを基板として用い、ゲート誘電体として作用する、熱的に成長させた200nmのSiO2をゲート電極として用いた。ソース電極とドレイン電極は金からなり、リソグラフィーでパターン状に形成した。半導体を形成する前に、これらの基板をヘキサメチルジシラザン(HMDS)で蒸気処理した。次いで、半導体を、表4にまとめた条件下でスピンコート法または滴下塗布法により形成した。
【0385】
【表6】

【0386】
実施例6b:トップゲート・ボトムコンタクトトランジスタ(TGBC−TFT)の製作
TGBC装置の製作のために、二枚の異なる種類の基板、ガラス基板とPET(ポリエチレンテレフタレート)基板を用いた。ガラス基板の製造には、ベアーガラス基板上に蒸着によりソース/ドレイン(S/D)金パッドを形成した。半導体の形成の前に、付着する恐れのあるほこりを除くために、基板の表面をブロアーで乾燥させた。ソース−ドレインの配置がリソグラフによりパターン状に形成されているPET基板の場合は、基板の製造は、基板をアセトンで洗浄してフォトレジスト層と結合粒子を剥ぎ取ることから始まった。次いで、基板をホットプレートを用いて加熱し(90℃、30秒間)、金のS/Dラインの結合をさらに強化した。
【0387】
半導体の形成:次いで、表5にまとめた条件下でのスピンコートにより半導体を形成した。熱処理は、ホットプレートを用いてグローブボックス中で行った。
【0388】
誘電体の形成:4重量%のポリスチレン(PS)をイソプロピルアセテート中に溶解して誘電体溶液を調整した。この溶液を、以下の条件:600rpm、255acc、30s;90℃、30sを適用して、スピンコート法で半導体層の上に塗布した。誘電体で封止後、さらに蒸着により金ゲートパッドを形成した。ガラス基板では、IV測定の前に、PS層を溶解させるために1,2−ジクロロベンゼン中に浸漬して、S/D接触パッドを露出させた。
【0389】
【表7】

【0390】
実施例7:装置特性の評価

実施例7a:BGBC−TFT
測定は、チャネル長が5μmでチャネル幅が350μmのトランジスタ上で行った。結果を下の表6にまとめた(Vd=ドレイン電圧、Vg=ゲート電圧)。
【0391】
I−V測定:
P7と、P8、P9、P10、P11、P12の測定条件:
d:−10V及び−120V
gスイープ:20〜−90V
P14の測定条件:
d:−10V及び−60V
Gスイープ:20〜−60V
他のポリマーの測定条件:
d:−10V及び−90V
Gスイープ:20〜−90V
【0392】
【表8】

【0393】
実施例7b: TGBC−TFT

I−V測定:
P18の測定条件:
d:−80V及び−1V
Gスイープ:40〜−40V
P16の測定条件:
d:−60Vおよび−1V
Gスイープ:60〜−60V
P24の測定条件:
d:−60V及び−1V
Gスイープ:10〜−40V
P24−PETの測定条件:
d:−40V and −1V
Gスイープ:10〜−40V
他のポリマーの測定条件:
d:−60V及び−1V
Gスイープ:20〜−60V
【0394】
これらの結果を、下の表7にまとめる。
【0395】
【表9】

【0396】
実施例7C: BGTC−TFT
【0397】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iのポリマー:
【化1】

または式I’のポリマー。
【化2】

式中、
パイ−1とパイ−2は、独立して必要に応じて1−4個のRa基で置換されていてもよい単環式または多環式の基であり;
式中、
aは、それぞれ独立して、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)oxo、e)−OH、f)=C(Rb2;g)C1-20アルキル基、h)C2-20アルケニル基、i)C2-20アルキニル基、j)C1-20アルコキシ基、k)C1-20アルキルチオ基、I)C1-20ハロアルキル基、m)−Y−C3-10シクロアルキル基、n)−Y−C6-14アリール基、o)−Y−3−12員環シクロヘテロアルキル基、またはp)−Y−5−14員環ヘテロアリール基であり、なお、各々のC1-20アルキル基とC2-20アルケニル基、C2-20アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリールまたはハロアリール基、3−12員環シクロヘテロアルキル基、5−14員環ヘテロアリール基は、必要に応じて1−4個のRb基で置換されていてもよい;
bは、それぞれ独立して、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)oxo、e)−OH、f)−NH2、g)−NH(C1-20アルキル)、h)−N(C1-20アルキル)2、i)−N(C1-20アルキル−C6-14アリール、j)−N(C6-14アリール)2、k)−S(O)mH、I)−S(O)m−C1-20アルキル、m)−S(O)2OH、n)−S(O)m−OC1-20アルキル、o)−S(O)m−OC6-14アリール、p)−CHO、q)−C(O)−C1-20アルキル、r)−C(O)−C6-14アリール、s)−C(O)OH、t)−C(O)−OC1-20アルキル、u)−C(O)−OC6-14アリール、v)−C(O)NH2、w)−C(O)NH−C1-20アルキル、x)−C(O)N(C1-20アルキル)2、y)−C(O)NH−C6-14アリール、z)−C(O)N(C1-20アルキル)−C6-14アリール、aa)−C(O)N(C6-14アリール)2、ab)−C(S)NH2、ac)−C(S)NH−C1-20アルキル、ad)−C(S)N(C1-20アルキル)2、ae)−C(S)N(C6-14アリール)2、af)−C(S)N(C1-20アルキル)−C6-14アリール、ag)−C(S)NH−C6-14アリール、ah)−S(O)mNH2、ai)−S(O)mNH(C1-20アルキル)、aj)−S(O)mN(C1-20アルキル)2、ak)−S(O)mNH(C6-14アリール)、al)−S(O)mN(C1-20アルキル)−C6-14アリール、am)−S(O)mN(C6-14アリール)2、an)SiH3、ao)SiH(C1-20アルキル)2、ap)SiH2(C1-20アルキル)、ar)−Si(C1-20アルキル)3、as)C1-20アルキル基、at)C2-20アルケニル基、au)C2-20アルキニル基、av)C1-20アルコキシ基、aw)C1-20アルキルチオ基、ax)C1-20ハロアルキル基、ay)C3-10シクロアルキル基、az)C6-14アリールまたはハロアリール基、ba)3−12員環シクロヘテロアルキル基、またはbb)5−14員環ヘテロアリール基であり;
Yは、それぞれ独立して、2価のC1-6アルキル基、2価のC1-6ハロアルキル基、または共有結合であり;また
mは、それぞれ独立して、0、1または2であり;
1とR2は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、CN、C1-30アルキル基、C2-30アルケニル基、C1-30ハロアルキル基、−L−Ar1、−L−Ar1−Ar1、−L−Ar1−R11、または−L−Ar1−Ar1−R11であり;
式中、
Lは、それぞれ独立して、−O−、−Y−O−Y−、−S−、−S(O)−、−Y−S−Y−、−C(O)−、−NRcC(O)−、−NRc−、−SiRc2、−Y−[SiRc2]−Y−、2価のC1-30アルキル基、2価のC1-30アルケニル基、2価のC1-30ハロアルキル基、または共有結合であり;
式中、
cは、それぞれ、H、C1-20アルキル基、またはY−C6-14アリール基であり;
Ar1は、それぞれ独立して、各々必要に応じてハロゲン、−CN、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、および1−6ハロアルキル基から選ばれる1〜5個の置換基で置換されていてもよいC6-14アリール基または5−14員環ヘテロアリール基であり;
また
11は、それぞれ独立して、C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C1-20ハロアルキル基、C1-20アルコキシ基、−L’−Ar2、−L’−Ar2−Ar2、−L’−Ar2−R12、または−L’−Ar2−Ar2−R12であり;
式中、
L’は、それぞれ独立して、−O−、−Y−O−Y−、−S−、−S(O)−、−Y−S−Y−、−C(O)−、−NRcC(O)−、−NRc−、−SiRc2−、−Y−[SiRc2]−Y−、2価のC1-20アルキル基、2価のC1-20アルケニル基、2価のC1-20ハロアルキル基、または共有結合であり;
Ar2は、それぞれ独立して、各々必要に応じて、ハロゲン、−CN、C1-6アルキル基、C1-6ルコキシ基、およびC1-6ハロアルキル基から選ばれる1〜5個の置換基で置換されていてもよいC6-14アリール基または5−14員環ヘテロアリール基であり;
12は、それぞれ、C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C1-20ハロアルキル基、またはC1-20アルコキシ基であり;
3とR4は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、CN、C1-30アルキル基、C2-30アルケニル基、C1-30ハロアルキル基、または−L−R11であり;
式中、
Lは、それぞれ独立して、−O−、−Y−O−Y−、−S−、−S(O)−、−Y−S−Y−、−C(O)−、−NRc’C(O)−、−NRc’−、2価のC1-30アルキル基、2価のC1-30アルケニル基、2価のC1-30ハロアルキル基、または共有結合であり;
式中、
c’は、それぞれ、H、C1-20アルキル基であり、
11は、それぞれ独立してC1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C1-20ハロアルキル基であり;
Yは、それぞれ独立して、2価のC1-6アルキル基、2価のC1-6ハロアルキル基、または共有結合であり;
yとy’は、それぞれ独立して、y+y’>0なら、0、1または2であり、
nは1より大きな整数である。
【請求項2】
2y+y’=1の場合、パイ−2が次の基でない請求項1のポリマー。
【化3】

【請求項3】
2y+y’=1の場合、パイ−2が以下の基でない請求項1または2のポリマー。
【化4】

【請求項4】
繰返し単位が以下の基である請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリマー。
【化5】

【請求項5】
パイ−1が、以下の基から選ばれる必要に応じて置換された単環式、二環式または複素環式基である請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリマー。
【化6】

式中、
kとI、p、p’、uは、独立して、−S−、−O−、−CH=、=CH−、−CR13=、=CR13−、−C(O)−、−C(C(CN)2)−、−N=、=N−、−NH−および−NR13−から選ばれ;
13、それぞれ独立して、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)N(Rc2、e)−ORc、f)−C(O)Rc、g)−C(O)ORc、h)−C(O)N(Rc2、i)C1-40アルキル基、j)C2-40アルケニル基、k)C2-40アルキニル基、I)C1-40アルコキシ基、m)C1-40アルキルチオ基、n)C1-40ハロアルキル基、o)−Y−C3-14シクロアルキル基、p)−Y−C6-14アリール基、q)−Y−3−14員環シクロヘテロアルキル基、およびr)−Y−5−14員環ヘテロアリール基から選ばれ、なお、C1-40アルキル基、C2-40アルケニル基、C2-40アルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3−14員環シクロヘテロアルキル基、YおよびRcは、上述のとおりであり、
また、パイ−2が、必要に応じて置換された以下の基から選ばれる単環式、複素環式または多環式の基であり;
【化7】

式中、
kとk’、I、I’、p、p’、q、u、u’、v、v’は、独立して、−S−、−O−、−CH=、=CH−、−CR13=、=CR13−、−C(O)−、−C(C(CN)2)−、−N=、=N−、−NH−、−NR13−、−SiR14=、=SiR14−、および−SiR1414−から選ばれ;
13は、それぞれ独立して、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)N(Rc2、e)−ORc、f)−C(O)Rc、g)−C(O)ORc、h)−C(O)N(Rc2、i)C1-40アルキル基、j)C2-40アルケニル基、k)C2-40アルキニル基、l)C1-40アルコキシ基、m)C1-40アルキルチオ基、n)C1-40ハロアルキル基、o)−Y−C3-14シクロアルキル基、p)−Y−C6-14アリール基、q)−Y−3−14員環シクロヘテロアルキル基、r)−Y−5−14員環ヘテロアリール基から選ばれ、なお、C1-40アルキル基、C2-40アルケニル基、C2-40アルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3−14員環シクロヘテロアルキル基、YおよびRcは、上述のとおりであり;
14は、それぞれ独立して、HまたはRcであってよく、なお、Rcは上述のとおりであり;
rとsは、独立して、−CR1414−または−C(C(CN)2)−であり;また
bは1、2、3または4である。
【請求項6】
パイ−1が、必要に応じて置換された単環式基、二環式基、または以下の基から選ばれる一個以上のチエニル、チアゾリル、またはフェニル基:
【化8】

とを含む複素環式基である請求項1〜4のいずれか一項のポリマー。
式中、R1とR2は、それぞれ、上述のとおりであり;
パイ−2は、必要に応じて置換された単環式、多環式のまたは以下の基から選ばれる一個以上のチエニル、チアゾリル、またはフェニル基を含む複素環式基であり
【化9】

【化10】

【化11】

なお式中、R1とR2は上述のとおりである。
【請求項7】
y=0であり、パイ−2が下記の式の繰返単位をもつ基から選ばれる請求項6に記載のポリマー。
【化12】

式中、R1とR2は、上述のとおりである。
【請求項8】
nが2〜5000の整数である請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項9】
前記繰返し単位が、式Ia、Ia’、IIa、IIa’、IIIa及びIlIa’から選ばれる請求項1に記載のポリマー。
【化13】

式中、R1とR2、R3、R4は、上述の通りであり、R5とR6は、R1と同様に定義され、m”は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。
【化14】

式中、R1とR2、R3、R4は上述のとおりであり、
7とR8は、R1と同様に定義され、
9とR10は、独立して、HまたはC1-40アルキル、ハロアルキルまたはアルキル−チオール基から選ばれ、
mは、1、2、3、4、5または6である。
【化15】

式中、R1とR2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、mは、上述のとおりである。
【請求項10】
前記繰返し単位が以下の基から選ばれる請求項1のポリマー。
【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

式中、R1とR2、R3、R4、R5、R6、R7、R8は、上述のとおりである。
【請求項11】
前記繰返し単位が、次式から選ばれる請求項1に記載のポリマー。
【化20】

式中、R5は、上述のとおりである。
【請求項12】
前記繰返し単位が、次式から選ばれる請求項1に記載のポリマー。
【化21】

式中、R1とR2は、上述のとおりである。
【請求項13】
前記繰返し単位が、次式から選ばれる請求項1に記載のポリマー。
【化22】

【化23】

式中、R1とR2とR3は、上述のとおりである。
【請求項14】
前記繰返し単位が、次式から選ばれる請求項1に記載のポリマー。
【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

式中、R1とR2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10は、上述のとおりである。
【請求項15】
前記繰返し単位が、次式から選ばれる請求項1に記載のポリマー。
【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

式中、R1と、R2、R3、R5、R7、R8は、上述のとおりである。
【請求項16】
液状媒体中に溶解または分散した、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリマーを一種以上含む組成物。
【請求項17】
前記液状媒体が水または有機溶媒を含む請求項16の組成物。
【請求項18】
前記組成物が、さらに一種以上の添加物を含む請求項16または17の組成物。
【請求項19】
前記添加物が、独立して、粘度調整剤、洗剤、分散剤、結合剤、相溶化剤、硬化剤、開始剤、湿潤剤、消泡剤、界面活性剤、pH調整剤、殺菌剤および静菌剤から選ばれる請求項18の組成物。
【請求項20】
請求項1〜15のいずれか一項に記載のポリマーを一種以上含む製品。
【請求項21】
上記製品が、電子装置、光学装置、または光電子装置である請求項20の製品。
【請求項22】
請求項1〜15のいずれか一項に記載のポリマーを一種以上含む薄膜半導体。
【請求項23】
基板と、該基板上に形成された請求項22の薄膜半導体からなる複合物。
【請求項24】
請求項22の薄膜半導体を含む電界効果トランジスタ装置。
【請求項25】
請求項23の複合物を含む電界効果トランジスタ装置。
【請求項26】
記電界効果トランジスタが、トップゲート・ボトムコンタクト構造、ボトムゲート・トップコンタクト構造、トップゲート・トップコンタクト構造、及びボトムゲート・ボトムコンタクト構造から選ばれる構造を有する請求項24または25の電界効果トランジスタ装置。
【請求項27】
誘電材料を有する請求項24〜26のいずれか一項の電界効果トランジスタ装置であって、該誘電材料が、有機誘電材料、無機誘電材料、または複合有機/無機誘電材料を含む電界効果トランジスタ装置。
【請求項28】
請求項22の薄膜半導体を含む光起電装置。
【請求項29】
請求項23の複合物を含む光起電装置。
【請求項30】
請求項22の薄膜半導体を含む有機発光素子。
【請求項31】
請求項23の複合物を含む有機発光素子。
【請求項32】
請求項12〜15のいずれか一つの組成物を基板上に形成することからなる請求項20または21の製品の製造方法。
【請求項33】
前記組成物の形成が、印刷、スピンコート法、ドロップキャステイング、ゾーンキャステイング、浸漬塗装、ブレード塗装、吹き付け塗装の少なくとも一つで行われる請求項32の方法。
【請求項34】
印刷が、グラビア印刷、インクジェット印刷、おおびフレキソ印刷から選ばれる
請求項33の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【公表番号】特表2012−512922(P2012−512922A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541414(P2011−541414)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【国際出願番号】PCT/EP2009/067330
【国際公開番号】WO2010/079064
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【出願人】(511124954)ポリエラ、コーポレーション (4)
【Fターム(参考)】